(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】遠隔制御された色変化を有する異色性レンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20240305BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240305BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20240305BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20240305BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20240305BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240305BHJP
【FI】
G02C7/04
G02F1/13 505
G02F1/137
G02F1/1347
G02F1/15 503
G02F1/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557402
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022056802
(87)【国際公開番号】W WO2022194922
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506364215
【氏名又は名称】アンスティテュ・マインズ・テレコム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ルイ・ドゥ・ブーグルネ・ドゥ・ラ・トクネイ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・デュポン
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・ヌリ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ペルソン
【テーマコード(参考)】
2H006
2H088
2H189
2K101
【Fターム(参考)】
2H006BC06
2H006CA00
2H088EA33
2H088EA35
2H088GA13
2H088HA02
2H088HA24
2H088MA20
2H189AA35
2H189HA16
2H189JA06
2H189LA03
2H189LA18
2K101AA04
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB04
2K101DB33
2K101DC43
2K101DC52
2K101DC55
2K101EA41
2K101ED52
2K101EF21
2K101EG52
2K101EJ15
2K101EK04
(57)【要約】
本発明は、ユーザ制御可能色変化を有する、特に強膜タイプのコンタクトレンズ(1)であって、異なる比色分析吸収性を有する少なくとも1つの第2の安定状態へ少なくとも1つの第1の安定状態から電場を加える効果により、逆も同様に、反対の極性の電場を加える効果により移行することができる、双安定電気光学吸収性材料の少なくとも1つの層(21)を含む電気光学構造(20)であって、前記材料の状態のこの変化はコンタクトレンズの可視色の変更につながり、電気光学構造は中心区間(11)を自由にしながら、虹彩を少なくとも部分的に覆うことを意図した環状領域内に延びている、電気光学構造と、対応する制御信号の受信に応じて、その状態の変化を引き起こす電場に前記材料を曝すように構成された、レンズ(1)内に封入された電子回路(30)とを備える、コンタクトレンズ(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色調のユーザ制御可能変化を備える、特に強膜タイプのコンタクトレンズ(1)であって、
異なる比色分析吸収性を有する少なくとも1つの第2の安定状態へ少なくとも1つの第1の安定状態から電場を加える効果により、好ましくは逆も同様に、反対の極性の電場を加える効果により切り換えることができる、双安定吸収性の電気光学材料の少なくとも1つの層(21)を含む電気光学構造(20)であって、前記電気光学材料の状態のこの変化は前記コンタクトレンズの可視色の変更につながり、前記電気光学材料は中心区間(11)を自由にしながら、虹彩を少なくとも部分的に覆うことを意図した環状領域内に延びている、電気光学構造と、
対応する制御信号の受信に応じて、その状態の前記変化を引き起こす電場に前記電気光学材料を曝すように構成された、前記コンタクトレンズ(1)内に封入された電子回路(30)と、
を備える、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記電気光学材料の層(21)は非不透過性であり、前記電気光学構造(20)は、前記電気光学材料の層(21)の後ろに配置され、少なくとも部分的に、および好ましくは完全に、下にある前記電子回路(30)をマスキングする、乱反射を備えている少なくとも1つの反射または半反射層(24)を備えている、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記電気光学構造(20)は、前記電気光学材料の層(21)のいずれの側にも配置された少なくとも2つの電極(22、23)、特に、前記電気光学材料の層(21)の上および下にそれぞれ配置されている2つの透明電極を備えている、請求項1または2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記電気光学構造(20)は、第1の双安定電気光学材料の少なくとも1つの第1の層(21)、および前記第1のものとは異なる第2の双安定電気光学材料の第2の層(25)を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記電気光学材料の少なくとも1つの層(21;25)は、電圧を加える効果により色を変える少なくとも2つの化合物の混合物、好ましくは、特に、電場に曝される場合に異なる色をとる、少なくとも2つの異なるエレクトロクロミック化合物の混合物を含んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記加えられる電圧の振幅、および/または前記電圧を加える持続時間を選択することによって得られた色を制御することが可能であるように、前記少なくとも2つの化合物は異なる電圧閾値および/またはトランスフォメーションカイネティクスを有する、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記反射または半反射層(24)の比色分析性は、前記コンタクトレンズが少なくとも2つの別個の可視色をとることができるように、前記電気光学材料の少なくとも1つの層(21)のものに関して選択される、請求項2から6のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記電子回路(30)は、RFまたは光学、特にIR、制御信号、好ましくはRF制御信号を受信するように配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記電子回路(30)は、その動作に必要なエネルギーを受けることを可能にする、少なくとも1つのアンテナ(61、71)または別のタイプのセンサ、例えば光学センサを備え、好ましくは、前記中心区間(11)周りに延びる1つまたは複数の巻きを備える少なくとも1つのアンテナを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記電子回路(30)は、前記電子回路(30)の前記動作に必要な前記エネルギーが前記制御信号によって提供されるように配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記電子回路(30)は、異なるそれぞれの周波数(F1、F2)に調整された、および/または前記制御信号の異なるそれぞれの極性に敏感である2つの受信回路(60、70)を備えており、2つの受信回路は異なるそれぞれの周波数に調整されていることが好ましく、これらの受信回路は、前記電気光学材料の少なくとも1つの層(21)に反対の極性および/または異なる振幅のそれぞれの電場を加えることを可能にし、前記コンタクトレンズはその後、あらゆる電池を有していないことが好ましい、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
各受信回路(60、70)は、少なくとも1つの巻きを備えていることが好ましい特定のアンテナ(61、71)、および前記受信回路(60、70)がそれによって前記電気光学構造(20)に結合されたそれぞれの整流器(D1、D2)を備えている、請求項11に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記電子回路(30)は、前記制御信号を受けるたびに連続して前記電気光学構造(20)の電源電圧を生成するように配置されており、その極性は前に生成されたものと反対であり、前記コンタクトレンズは前記制御信号の受信がない場合に前記電気光学構造(20)の前記電力供給極性を貯蔵することを可能にするためのマイクロ電池(B1)を備えていることが好ましい、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
1つまたは複数の前記電気光学材料(21、25)は、双安定エレクトロクロミック、電気泳動、エレクトロプラズモンまたは双安定液晶タイプ、特に色付きの2色性ドーパントを備える液晶であり、1つまたは複数の前記電気光学材料は双安定エレクトロクロミックタイプであることが好ましい、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
一方では、請求項1から14のいずれか一項に記載のコンタクトレンズと、もう一方では、状態変化制御信号を生成することを可能にする活性化デバイス(100;101)、特に、請求項11に記載の前記電子回路の前記アンテナの前記2つの周波数(F1、F2)に調整された双周波数エミッタを備える活性化デバイスとを備える、アセンブリ。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に定義した、または請求項15に定義したアセンブリに属するコンタクトレンズの色の変化を引き起こすための方法であって、
活性化デバイス(100;101)を使用して制御信号を発するステップであって、前記コンタクトレンズの前記電子回路(30)によるこの制御信号の前記受信は、所定である極性、振幅、および/または持続時間の電場を前記電気光学材料(21)に前記加えることを引き起こして、前記電気光学材料に状態を変化させて、前記電気光学材料は前記電場が加えられるのを止める場合にこの状態を維持する、ステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折性矯正を含むまたは含まないコンタクトレンズ、より詳細には、色の遠隔制御変化を備える異色性レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
光学矯正の必要があるかどうかに関わらず、目の色を変えることができることを望む人がいる。
【0003】
このため、所定の色の色付きコンタクトレンズがある。
【0004】
これらのレンズでの欠点は、レンズを変えることによって以外で、色を変えることができないことである。
【0005】
例えば携帯電話を使用することによって遠隔で色を制御することが可能である「コネクテッド」レンズの概念は比較的古いが、今日まで、このようなレンズを製造する際の諸問題のため、商業用のものはない。
【0006】
実際、このようなレンズの設計は、大量販売に適合する費用で製造することができることと、およびレンズ内に封入することを可能にするのに十分に構成部品を小型化できることとの両方を前提としている。
【0007】
米国特許第8542325B2号は、体温の変化などの様々な刺激に応じて色を変えるコンタクトレンズを記載している。色の変化は、液晶の使用に依存している。
【0008】
韓国実用新案出願第KR20200020021116U号はまた、大気温度の変化に応じて色を変更することを可能にする、熱変色性構成部品の使用に依存する解決法を記載している。
【0009】
熱変色性化合物の使用の場合、色の変化はユーザによって容易に制御することができない。
【0010】
さらに、コンタクトレンズは、太陽からの紫外線への露出の際の光発色性着色剤の色の変化に基づいて概念化されてきた。これらの着色剤は、紫外線保護に関して使用者に応じた対応をもたらすことを可能にする。コンタクトレンズは、太陽の光に露出される場合に色を変化させ、したがって、ユーザが視野内の色の変化に気が付くのを助けることができる。
【0011】
米国特許第10678068B2号は、通常は無色であるが適宜色付きとなり、透過率が可変で電子制御される、瞳孔の前に置かれた網膜保護遮断フィルタを備えるコンタクトレンズを記載している。遮断フィルタは、連続したグラデーションで永久的に制御され、電子回路はマイクロプロセッサ、太陽電池などの1つまたは複数のグレアセンサ、および小型電池を備えている。電子回路の複雑性は、レンズ内のその一体化を困難にし、費用がかかるようにする。加えて、マイクロプロセッサの永久的な電力供給の必要性により、自律性は比較的限られたままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第8542325B2号
【特許文献2】韓国実用新案出願第KR20200020021116U号
【特許文献3】米国特許第10678068B2号
【特許文献4】国際特許出願公開第WO2018/167393A1号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】A Full Color Electrophoretic Display、S.J. Telferら、42-4/S.J. Telfer Invited Paper SID 2016 DIGEST
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、単に化粧用途、または所望の場合に、他のタイプの用途での大規模製造に適した、ユーザにより容易に制御することができる色の変化を可能にするコンタクトレンズから利益を得る必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、この要求を満たすことを目的とし、色調のユーザ制御可能変化を備える、特に強膜タイプのコンタクトレンズを提案することによって、その態様の第1の態様により、その要求を満たすことに成功する。コンタクトレンズは、異なる比色分析吸収性を有する少なくとも1つの第2の安定状態へ少なくとも1つの第1の安定状態から電場を加える効果により、好ましくは逆も同様に、反対の極性の電場を加える効果により切り換えることができる、双安定吸収性電気光学材料の少なくとも1つの層を含む電気光学構造であって、前記材料の状態のこの変化はコンタクトレンズの可視色の変更につながり、電気光学材料は中心区間を自由にしながら、虹彩を少なくとも部分的に覆うことを意図した環状領域内に延びている、電気光学構造と、対応する制御信号の受信に応じて、その状態の変化を引き起こす電場に前記材料を曝すように構成された、レンズ内に封入された電子回路と、を備えている。
【0016】
「強膜」タイプレンズは、ここでは、および本発明の文脈では、普通の意味で、すなわち、目に装着される構成で、目の強膜上で支えられることによって、接触することなく角膜の上をブリッジ状に通過する比較的大きな直径のコンタクトレンズであると理解される。
【0017】
本発明による、特に強膜である場合のレンズは、剛性またはハイブリッド(半剛性)である可能性がある。
【0018】
中心区間は、少なくとも平均瞳孔径に対して、瞳孔への光学アクセスを、瞳孔に到達する光が吸収性電気光学材料によって妨害されることがない状態で、そのままにしておく。この中心区間は、5mmの直径を有し、瞳孔のサイズはほぼ2から8mmの直径で変化することが好ましい。
【0019】
電気光学構造
電気光学材料の層は非不透過性であり、電気光学構造は、電気光学材料の層の後ろに配置され、少なくとも部分的に、および好ましくは完全に、下にある電子回路をマスキングする、乱反射を備えていることが好ましい、少なくとも1つの反射または半反射層を備えていることが好ましい。
【0020】
電気光学構造は、電気光学材料の層のいずれの側にも配置された少なくとも2つの電極、特に、電気光学材料の層の上および下にそれぞれ配置されていることが好ましい2つの透明または半透明電極を備えていることが好ましい。
【0021】
いくつかの例示的実施形態では、電気光学構造は、第1の双安定電気光学材料の少なくとも1つの第1の層、および第1のものとは異なる第2の双安定電気光学材料の1つの第2の層を備えており、2つの層の色の組合せによって、レンズに対するより大きな色調可能性を得ることが可能になる。この場合、2つの層は、同時に、または電子回路がそのように配置されている変更形態では、互いに独立して選択的に制御することができる。
【0022】
双安定電気光学材料の各層は、2つの電極、特に、この層の上および下にそれぞれ配置された2つの透明電極の間に配置されていることが好ましい。電気絶縁材料は、これらの層に接触する電極の間の短絡を避けるように、異なる層の間に存在する可能性がある。
【0023】
電極は中実である、または特にレンズの中心区間に開口を含むことができる。
【0024】
反射または半反射層
上に記載した反射または半反射層上の光の反射は、拡散タイプであり、正反射性ではないことが好ましい。
【0025】
この反射または半反射層は、着色することができる、またはできなく、その色は1つまたは複数の吸収性電気光学材料によってとられる状態にしたがって電気光学構造に与えられることが望まれる色調に応じて選択することができる。
【0026】
反射または半反射層の比色分析性は、コンタクトレンズが少なくとも2つの別個の可視色調をとることができるように、電気光学材料の1つまたは複数の層のものに関して選択することができる。
【0027】
電気光学構造は、例えば、その色がXであり、反射または半反射層が色Yである状態をとる電気光学材料の層を備えることができ、対(X、Y)は例えば、他の可能性のうち、レンズがそれぞれ実質的に緑、青または茶色の色調を有する状態で現れるように、(黄色、シアン)、(シアン、黄色)、(マゼンタ、シアン)または(黄色、藤色)から選択される。変更形態として、反射または半反射層の比色分析性は、コンタクトレンズの可視色調がその後実質的に黒であるように、その状態の1つで電気光学材料の少なくとも1つの層のものと実質的に相補的である。
【0028】
電気光学材料
「安定状態」および「双安定」材料は、この状態にされる電場が停止する場合に、その比色分析性を保つ吸収性電気光学材料であることを理解されたい。これらの性状は、必要に応じて、しかし、ユーザが少なくとも3時間、さらに良くは少なくとも12時間、さらに良くは少なくとも24時間で得られる色から利益を得る時間を有するのに十分ゆっくりな速度で変化することができる。
【0029】
電気光学材料は、双安定エレクトロクロミック、電気泳動、エレクトロプラズモンまたは双安定液晶タイプ、特に色付きの2色性ドーパントを備える液晶であることが好ましい。
【0030】
電気光学材料は例えば、金属および遷移金属の酸化物、ヘキサシアノメタレート化合物、特にプルシアンブルー、またはさらに導電性着色剤またはポリマー、ビオロゲン、フラーレンまたはメタロポリマー(特にゲルの形のもの)を含んでいる。
【0031】
電気光学材料は、市販されている多くの材料の存在により幅広い様々な色調を得ることを容易にし、また約1Vの低い制御電圧を有するという利点を提供する双安定エレクトロクロミックタイプであることが好ましい。
【0032】
色の変化は、材料との酸化還元反応の結果である可能性がある。電気光学材料による光の吸収はその酸化または還元状態によるので、したがって、電場を加えることによりその比色分析吸収性を制御することが可能である。
【0033】
吸収性電気光学材料の色調の変化は、その性質および加えられる電圧によって、多少急速である可能性がある。
【0034】
色調の変化が比較的ゆっくりである場合、色調の変化の遅さは、所望の色調または外観に到達した場合にトランスフォメーションを止めることによって、得られる最終色を制御するために利用することができる。
【0035】
上に記載したように、電気光学構造内では、加えた電場に応じて色を変えることが可能ないくつかの化合物を組み合わせることができる。これらの化合物は例えば、異なるそれぞれの層内に存在する。例えば、電気光学構造は、例えば補色をとることができる別個の層内に存在し、一方がアクティブである(したがって、着色されている)場合に、もう一方がそうではない(したがって、色がない)、および逆も同様であるように、逆に取り付けられた2つの重ね合わされたエレクトロクロミック化合物を備えている。この場合、補色の反射または半反射底層の使用を回避することが可能である。
【0036】
これらの化合物はさらに、1つのおよび同じ層内で混合させることができる。例えば、吸収性電気光学材料の少なくとも1つの層は、電圧を加える効果により色を変える少なくとも2つの化合物の混合物を含んでいる。層は、例えば、特に電場に曝される場合に異なる色(例えば、シアンおよびマゼンタ)をとる、少なくとも2つの異なるエレクトロクロミック化合物の混合物を含んでいる。
【0037】
例えば、吸収性電気光学材料の層は、少なくとも2つの異なるエレクトロクロミック化合物の混合物を含み、混合物は、電場に曝された場合に不均質色分布、特に自然の虹彩に大まかに近いパターンを作り出す分布を示すように配置されている。
【0038】
加えられる電圧の振幅、および/または電圧を加える持続時間を選択することによって得られた色を制御することが可能であるように、異なる電圧閾値および/またはトランスフォメーションカイネティクスを有する化合物を選択することが特に可能である。例えば、エレクトロクロミック化合物の混合物の場合、色の選択は加えられる電圧を変調することによって行うことができる。例えば、電圧V1を加えることにより、1色、例えば赤を活性化させ、より高い電圧V1+ΔVを加えることにより、第1の色に加えて、別の色、例えば青を活性化させる。この場合、より高い活性化電圧の化合物の活性化は必然的に、より低い活性化電圧の化合物の活性化につながり、それぞれエレクトロクロミック化合物を含む2つの別個の層を使用する場合に当てはまらない可能性がある。
【0039】
色付き背景(例えば、緑または青)の前に配置された天然のエレクトロクロミック化合物(すなわち、黒または透明なもの)を使用することもでき、状態を変える場合に、レンズの色、特に輝度の変化を作り出すことができる。その後、電場を加える持続時間に、およびレンズの色の輝度を次第に変調するためにトランスフォメーションカイネティクスに作用することが可能である。例えば、電場を加える高い持続時間は、化合物を強く暗くすること、したがって輝度の大きな減少につながり、もう一方では、活性化のより短い持続時間は、より少なく暗くすること、したがって、輝度のより少ない減少につながる。
【0040】
さらに、双安定電気光学材料として、インクまたは電気泳動インクの混合物を使用することが可能である。電気泳動インクの例が、A Full Color Electrophoretic Displayと題された、S.J. Telferら、42-4/S.J. Telfer Invited Paper SID 2016 DIGESTの記事に記載されている。
【0041】
活性化デバイス
レンズの色の変化を引き起こすために、様々な活性化デバイスを使用することができる。
【0042】
活性化デバイスは高周波数であり、例えば、その電子回路に電力を与えるためにレンズ内で誘導結合によって、電気エネルギーに変換することができる高周波場を放出することを可能にすることが好ましい。
【0043】
活性化電磁場から電圧への活性化場のエネルギーの単純な変換によって、一例では、制御を得ることができる。この場合、制御信号は活性化電磁場に還元される。
【0044】
活性化デバイスによって放出される高周波場はまた、電子回路が高周波場によって各新しい活性化の際に色の変化を引き起こすように構成されている、または高周波場が色の対応する変化を作り出すためにレンズの電子回路によって復号された制御信号を担持する、のいずれかであるので、色の変化を制御することを可能にすることができる。
【0045】
活性化デバイスはまた、レンズの電子回路によって復号された、光学信号、例えばIRを放出することができる。これは、この場合、自立電源のレンズ内の存在を前提とする。
【0046】
活性化デバイスは、例えば1つの同じパッケージ内で、レンズと同時にユーザに例えば提供される特定のデバイスである可能性がある。変更形態では、活性化デバイスは、どこかに他の使用を有するデバイス、例えば携帯電話である。
【0047】
活性化デバイスは、レンズの電子回路の各新しい活性化が色の変化に付随して起こるその最も単純なバージョンでオン/オフスイッチを備えることができる。変更形態として、活性化デバイスは、少なくとも1つの得られた色調を選択することを可能にするセレクタを備えている。
【0048】
色調の選択は、二値またはより複雑である可能性があり、活性化デバイスは特に、上に説明したように、色調を次第に変更するように活性化の持続時間に作用することができる。
【0049】
変更形態として、アプリケーションデバイスは、例えば、輝度および/または色調を符号化する信号を放出し、レンズの電子回路は、電気光学構造内で電圧レベルおよび/または電圧を加える持続時間に変換するようにこの信号を復号する。アプリケーションデバイスはまた、レンズの活性化の持続時間および/または強度に直接ユーザによって選択された輝度レベルおよび/または色合いを変換することができ、その電子回路はその後完全に受動的である。
【0050】
レンズの活性化は、取り付けられる前に、または変更形態として、その後にインサイチューで行うことができる。
【0051】
レンズが取り付けられる前に活性化が行われる場合、活性化デバイスは、活性化のための所定の方法でレンズを位置決めすることを可能にする支持体、またはレンズを含む無菌パッケージを備えることができる。活性化が高周波によって行われる場合、このような支持体は、活性化デバイスのコイルの所定の配向および分離でレンズを位置決めすることを可能にすることによって、レンズ内で誘導される電場の強度をより正確に制御することを可能にし、これは、活性化の強度が双安定光学材料に加えられる電場の振幅を直接制御する場合に有利である。
【0052】
活性化デバイスは再使用可能である場合があり、レンズは使い捨てである可能性がある。
【0053】
電子回路
電子回路は、RFまたは光学、好ましくはIR、制御信号、好ましくはRF信号を受信するように配置されていることが好ましい。
【0054】
電子回路は、例えば、その動作に必要なエネルギーを受けることを可能にする、少なくとも1つのアンテナまたは別のタイプのセンサ、例えば光学センサを備え、好ましくは、前記中心区間周りに延びる1つまたは複数の巻きを備える少なくとも1つのアンテナを備える。
【0055】
電子回路は、電子回路の動作に必要なエネルギーが制御信号によって提供されるように配置されていることが好ましい。
【0056】
一実施形態では、電子回路は、異なるそれぞれの周波数に調整された、および/または制御信号の異なるそれぞれの極性に敏感である2つの受信回路を備えており、2つの受信回路は異なるそれぞれの周波数に調整されていることが好ましく、これらの受信回路は、電気光学材料の少なくとも1つの層に反対の極性および/または異なる振幅のそれぞれの電場を加えることを可能にし、レンズはその後、あらゆる電池を有していないことが好ましい。
【0057】
各受信回路は、少なくとも1つの巻きを備えていることが好ましい特定のアンテナ、および受信回路がそれによって電気光学構造に結合されたそれぞれの整流器を備えていることが好ましい。この場合、電気光学構造に加えられた電圧への受けられた電場の単純な変換によって制御を行うことができる。
【0058】
変更形態として、電子回路は、制御信号を受けるたびに連続して電気光学構造の電源電圧を生成するように配置されており、その極性は前に生成されたものと反対であり、レンズは制御信号の受信がない場合に電気光学構造の電力供給極性を貯蔵することを可能にするためのマイクロ電池を備えていることが好ましい。電気消費は極めて低い可能性があり、これは、自律的探求を得るのに有利である。
【0059】
上に記載したように、電場を加える持続時間、および/または色を制御するために加えられた電圧の振幅に作用することが可能である。
【0060】
例えば、電子回路は、得られた色が加えるこの持続時間の機能である場合、電気光学材料へ電場を加える対応する持続時間に変換するように、制御信号を復号するように配置することができる。レンズの色の輝度はしたがって、例えば制御することができる。
【0061】
別の例では、エレクトロクロミック化合物の混合物を使用する場合、制御信号は、この混合物に電圧を加える振幅に変換するように復号される。
【0062】
本発明の別の主題は、一方では、本発明によるレンズと、もう一方では、状態変化制御信号を生成することを可能にする活性化デバイス、特に、上記電子回路のアンテナの2つの周波数に調整された双周波数エミッタを備える活性化デバイスとを備えるアセンブリである。
【0063】
本発明の別の主題は、本発明による、または上に定義したアセンブリに属するコンタクトレンズの色の変化を引き起こすための方法である。この方法は、活性化デバイスを使用して制御信号を発するステップであって、レンズの電子回路によるこの制御信号の受信は、所定である極性、振幅、および/または持続時間の電場を電気光学材料に加えることを引き起こして、光学材料に状態を変化させて、材料は電場が加えられるのを止める場合にこの状態を維持するステップを含む。
【0064】
本発明は、その例示的な非限定的実施の以下の詳細な記載を読み、添付の図面を検討することで、より良く理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】本発明によるレンズの一例の概略的な部分断面図である。
【
図3】電子回路のプリント回路の一例を示す図である。
【
図4】レンズの変更形態の電子回路を示す図である。
【
図5】反射した光の色への光学構造の異なる層の作用を示す図である。
【
図6】電気光学吸収性材料の2つの層を備える光学構造の変更実施形態を概略的および部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、電気光学構造20を封入した本体10と、電気光学構造20を制御する電子回路30とを備える、本発明によるコンタクトレンズ1の一例を概略的に示している。
【0067】
レンズ1は例えば、強膜タイプであり、屈折性矯正を含むことができる、または含むことができない。レンズは、使い捨てであり得る、または特定の回数の使用後に廃棄可能である。
【0068】
電気光学構造20は、審美的目的で、その可視色を変更するために、それが取り付けられた目の虹彩を覆うことを意図している。電気光学構造20の色の変化は、その吸収性電気光学材料の少なくとも1つの層21の状態の変化から得られる。
【0069】
光学構造20は、環状の形を有し、後者の周りに延びつつ中心区間11を覆っていないことが好ましい。電気光学構造20の色の変化は、レンズの中心区間11に影響を与えず、したがって、少なくとも中心区間11が過度に膨張されない場合に、瞳孔を自由にする。
【0070】
図1では、光学構造20は、厚さの変化が示されるが、特に、電気光学材料の厚さの変化による輝度のあらゆる変化を生じさせないために、実質的に一定の厚さを有することもできる。
【0071】
電気光学構造20は、その間に電気光学材料の層21が配置される2つの電極22および23を備えることができる。これらの電極22および23は透明であることが好ましく、それぞれ層21を全体的に覆うことができる。
【0072】
これらの層は、輪郭を変更して製造することができる。これらは中実である、または特にレンズの中心区間11に開口を有することができる。これらは、
図1に示すように、中心区間11を通過することができか、またはできない。
【0073】
電極22、23は、例えば、インジウム、および錫(ITO)またはさらにはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の混合酸化物などの導電性ポリマー内で製造される。
【0074】
電気光学構造20はまた、考えられる例では、底層24を備え、その光学性状は、以下に詳細に記載するように、層21の光学性状、および生成したい色に応じて選択される。
【0075】
電子回路30は、それによりマスキングされ、見えないように、底層24の後ろに配置されている。
【0076】
その構成部品は、瞳孔に到達する光を遮断しないように、中心区間11周りに延びている。電子回路は、
図3に示すように、虹彩の利用可能な表面全体の上に延びることができる。
【0077】
電子回路30は、様々な方法で製造することができるが、例えば、
図3に示すようなプリント回路50上に作り出された1つまたは複数の巻きを備える磁気アンテナを備える少なくとも1つのRF受信回路を具備することが好ましい。
【0078】
図2に示した例示的実施形態では、回路30は2つの受信回路60、70を備え、それぞれの周波数F1またはF2にそれぞれ調整される。
【0079】
これらの回路60、70は、例えば、磁気アンテナ61、71を備え、その巻きは、
図3に示すように、プリント回路50の対向するそれぞれの面上に作り出される。
【0080】
図3は、アンテナ61、71に対応するプリントトラックのみを示している。アンテナ61および71は、例えば、それぞれ調整キャパシタンス(図示せず)に結合され、共通の接地600に接続されている。
【0081】
受信回路60または70は、例えばダイオードD1、D2で構成されたそれぞれの整流器、および例えばダイオードの陰極と接地の間に接続されたフィルタリングキャパシタC1およびC2を備え、各ダイオードの陽極はそのそれぞれのアンテナに結合されている。
【0082】
したがって、電極22および23に加えられる極性は、活性化される受信回路によって、反対である。
【0083】
レンズ1を制御するために、周波数F1およびF2の1つで、
図2に概略的に示すように、必要に応じて、放出することが可能な制御デバイス100を使用することが可能である。この制御デバイス100は、例えば、周波数F1およびF2にそれぞれ調整された磁気アンテナを備える2つの放出回路、および放出回路を選択し、放出をトリガすることを可能にする少なくとも1つの制御ボタンを備えている。例えば、F1に対して約12.5MHz、およびF1の約数に対応するF2に対して6.25MHzである、搬送波周波数が使用される。したがって、ユーザが周波数F1を選択し、放出をトリガする場合、ユーザはデバイスをレンズに十分近くにすることによって、受信回路60が電極22と23の間に正の電圧を加えるように、受信回路60を活性化させることができる。受信回路70はこの時点で実際に電圧を伝えず、周波数F1およびF2は十分に離れている。
【0084】
電極22および23の極性に結合された電場を電気光学材料の層21へ加えることにより、電極22および23が所定の状態をとるようにさせる。
【0085】
受信回路60の活性化場の放出が停止すると、電気光学材料はその双安定性によりその状態を維持する。
【0086】
この状態を変えるため、ユーザは周波数F2で放出することによって、受信回路70を活性化させる。この場合、電極22および23に加えられた極性は負になり、受信回路60は、周波数F1とF2の間の距離のため、実際には信号を運ばない。
【0087】
電気光学材料へ対向の極性場を加えることにより、電気光学材料に状態を変えさせる。放出が停止すると、材料はその双安定性によりその状態を維持する。
【0088】
状態の1つでは、電気光学材料は、例えば、実質的に色がなく透明であり、他の状態では、色付きである。
【0089】
この例示的実施形態は、少ない数の構成部品での電気光学材料の状態の極めて単純な制御を可能にする利点を提供し、レンズを比較的低い費用で大量生産に適合するようにする。
【0090】
制御デバイス100は、例えば、ユーザによってレンズにより近くにすることができるキーホルダ内に組み込まれている。
【0091】
明らかに、電子回路30は、別のやり方でも、本発明の枠組みから逸脱することなく、製造することができ、例えば、電気光学材料に加えられる極性を記憶するための機能で、および/または極性の少なくとも1つに対するいくつかの電圧レベルを加えることを可能にすることによって、製造することができる。
【0092】
電子回路30は、
図4に示すように、小型電池B1を備えることができ、1つまたは複数の論理回路および/またはマイクロプロセッサまたは他の専用回路を使用することを可能にする。
【0093】
小型電池は、レンズ内に封入された変形可能電池である可能性がある。特に、国際特許出願公開第WO2018/167393A1号に記載されたような電池である可能性がある。このような電池は、極めて小さな寸法、典型的には、約0.75cm2の表面積を有する利点がある。このフレキシブル電池の他の有利な特徴は、コンタクトレンズに最も良く組み込まれるように、伸縮可能であり自己修復可能であることである。
【0094】
図4の例では、電子回路30は、周波数FF1に調整された単一の受信回路110のみを備え、その信号は、例えば、ダイオードD1を使用して整流される。使用される周波数は例えば、ほぼRFIDシステムに使用される高い周波数、例えば、12.5MHzである。
【0095】
制御回路111は、一方では、受信回路が活性化された場合に小型電池B1の充電を保証し、もう一方では、電気光学材料に加えられる極性を制御する制御信号に受信回路の活性化をトランスフォームするために提供される。
【0096】
例えば、制御回路111は、そのあらゆる新しい活性化が、前に加えたものに対して、加えられた極性の状態の変化を引き起こすように製造される。
【0097】
受信回路110の活性化が停止すると、制御回路111は、電気光学材料に電場を加えるのを停止し、電気光学材料は、残される状態を維持する。
【0098】
それにも関わらず、小型電池B1は、制御回路111が加えられる極性の状態をメモリ内に保持することを可能にする。したがって、受信回路が新しく活性化されると、制御回路111は加えられる新しい極性を判断することができ、古いものが分かる。
【0099】
制御回路111は、論理フリップフロップで単純に製造することができ、その状態は、小型電池B1によって維持されている電源により維持される。
【0100】
図4に示すように、受信回路110を活性化するため、電子回路30のアンテナの周波数FF1に調節されたエミッタを備える活性化デバイス101を使用することが可能である。このデバイスは、例えば特定的に製造される。
【0101】
伝達された情報を復号することが可能なより複雑な電子回路30を使用する場合、スマートフォンまたはコネクテッド腕時計などの別の用途を有する活性化デバイスを使用することが可能である。
【0102】
異なる色を、異なる方法でレンズ1に対して生成することができる。
【0103】
電気光学構造が
図1に示した例のように底層24を備えている場合、この層24の光学性状は有利には、生成させるのが望ましい色、および前に置かれた電気光学材料の層21の比色分析吸収性に応じて選択される。
【0104】
底層24が拡散反射を伴って反射または半反射していることが好ましいので、
図5に示すように、層21によって吸収されなかった光Lを少なくとも部分的に反射させることができる。
【0105】
その後、所望の色の光のみを反射させるように、層24の色を選択することが可能である。
【0106】
シアン色CL2は、例えば、赤の入射光を吸収するように、層24の色として選択される。したがって、電気光学材料21が赤色状態CL1をとる場合、黒色C3のレンズは減法合成によって得られる。というのは、2つの層21、24は相補的比色分析性を有するので、実質的に全ての入射光が電気光学構造によって吸収されることになるからである。
【0107】
同様に、層21が黄色状態CL1またはマゼンタ色状態CL1をとる場合、実質的に緑色または実質的に青色のレンズがそれぞれ得られる。
【0108】
所望のものによって、自然の色調CL3を生成するため、またはそうしないために、層21と24の間の色(CL1、CL2)のあらゆる組合せが可能である。特にこれらの組合せのいくつかを、非限定的な方法で、以下の表1に挙げる。
【0109】
以下のtable 1(表1)では、CL1は電気光学材料の層21の色であり、CL2は底層24の色であり、CL3はレンズ1に対して得られた可視色である。ここで、入射光Lは白色であると考えられる。
【0110】
【0111】
変更形態では、電気光学構造は、
図6に示すように、電気光学材料の第1の層21の後ろ、および底層24の前に配置された、特にエレクトロクロミックタイプの電気光学材料の第2の層25を備えている。
【0112】
電極26および27は、第2の層25のいずれの側にも配置することができ、その状態はその後、電極26と27の間へ電場を加えることによって、第1の層21の状態と独立して変えることができる。
【0113】
絶縁材料28は、電気光学材料21および25の2つの層の間に存在する。
【0114】
その状態によって、吸収性層21および25は特定の色の光を吸収する。その比色分析性は、例えば、現実的な虹彩色調に対応する、レンズ1に対する、結果として得られるいくつかの可能な色を得ることが可能であるように選択される。
【0115】
この変更形態では、底層24は、製造されることが望ましい色の組合せによって、色調設定することができるまたはできない。
【0116】
また、レンズ1に対して得ることができる可視色のパネルを広げるように、吸収性電気光学材料の1つまたは複数の層内の色の変化につながる酸化還元反応の動力に作用することが可能である。
【0117】
その後、電場を加える持続時間を制御するために活性化デバイス101を使用することが可能であり、それにより、関連するエレクトロクロミック材料の1つまたは複数の層内の吸収剤の密度を変え、その色または吸収を調節することが可能になる。
【0118】
他の例示的実施形態では、電気光学材料の少なくとも1つの層は、いくつかの混合エレクトロクロミック化合物を備えている。したがって、この層に加えられる電圧を変調することによって、活性化された色を加えることにより、1つの同じ層内で異なる色を選択することが可能である。加えられた電圧Vは、例えば、青色を吸収する状態に層を変えることを可能にし、V+ΔVに加えられた電圧を増加させることによって、青および赤色両方を吸収する状態が活性化される。
【0119】
エレクトロクロミック化合物および/または異なる層の混合物は特に、特定の電圧レベルに曝される場合に不均質色分布を作り出すことを可能にすることができ、例えば、分布は自然の虹彩の色の変化を再現するパターンを形成する。
【0120】
異なる電圧レベルは、いくつかの方法で得ることができる。
【0121】
例えば、レンズ内に誘導される電圧レベル、したがって、加えられる電場の振幅を変更するために、レンズ1に多少近くに制御デバイスを移動させることが可能である。
【0122】
変更形態では、電子回路30は、電気光学材料が異なる活性化電圧を有するエレクトロクロミック化合物の混合物を備えている場合に特に有用である、電圧レベルを加えることがそれぞれ可能ないくつかの受信回路を備えている。これらの回路は、例えば、それぞれの周波数F1、F2に調整される。周波数F1の回路は、活性化された場合に電圧Vを生成し、周波数F2の回路は同じ極性のより高い電圧V’を生成する。周波数F3の第3の回路は、対向する極性の電圧を加えることを可能にし、電気光学材料をリセットすることを可能にする。ユーザは、活性化周波数、したがって得られた色を選択することによって、電圧VまたはV’を加えることができる。色を変えるため、ユーザは、前に加えられた電圧がVであった場合には周波数F2で活性化することによって電圧V’を加える、または周波数F3で活性化することによって逆の極性の電圧、その後に、周波数F1で活性化することによって電圧Vを加えることができる。周波数に応じて異なる電圧を生成するために、例えば、受信回路の品質係数に作用することが可能である。
【0123】
別の変更形態では、電子回路30は、レンズに対する指示、例えば、加えられる電場の極性および/またはその振幅の変更を符号化する制御信号を処理するのに必要な埋め込み式インテリジェンスを備えている。
【0124】
電気光学構造および電子回路の封入を製造するため、あらゆる適切な方法で進めることが可能である。
【0125】
例えば、レンズの本体を製造するため、共に結合された2つの封入要素一式が使用され、その第1の材料は通常は剛性のコンタクトレンズを製造するために実装される。例えば、少なくとも1つのポリマー塩基を有する材料を考えることができる。
【0126】
この一式の封入要素は、例えば、その輪郭が封入される1つまたは複数の構成部品の性質および設計により規定される中空の底部封入要素と、その輪郭が中空要素、および封入される1つまたは複数の構成部品と一致する雄上部封入要素とを備えている。封入は、例えば、いわゆる結合材料を重合化するための方法を介して行われる。封入では、ジオプタを、レンズの中心区間11内に形成することも可能である。
【0127】
その機械加工後に、封入要素は、組立の方法に結合された特定の制約、および/または封入される1つまたは複数の構成部品の性質に曝すように準備するために、追加のステップを経ることがあり得る。これは、例えば、2つの要素の圧縮の段階中に、ポリマー材料の結合の空気および/または余剰分を排出するために、位置決めおよび/または位置合わせスタッド、おそらく周辺排水溝/溝を備える非均一容量を必要とする。
【0128】
電子回路および電気光学構造の所望の封入で2つの要素の組立を得るため、圧縮力をその間に加えることができる。中空の底要素は、圧縮デバイスの底部インサート内に置くことができ、雄上部要素は上部インサート内に置くことができる。結合ポリマーのいくつかの液滴は、中空要素の周面上に堆積させることができる。このポリマーは、例えば、アクリレート系である。デバイスのフレームはその後、要素および結合材料に使用される材料に応じて決まる時間だけ結合を可能にする圧縮力を加える。
【0129】
明らかに、本発明は記載した例に限るものではない。
【0130】
電子回路はより複雑である可能性があり、後者は、例えばコンタクトレンズのRFアンテナによって受信される外部指示によって、例えばSWIPT(「同時無線情報および電力電圧」の頭字語)タイプの1つまたは複数の再構成可能制御回路を備えることができる。
【0131】
コンタクトレンズは、電子回路に電力を与えるために、目の涙から生じる機械、光または化学エネルギーを収集および変換するための手段を備えることができる。
【0132】
レンズは、今記載した方法以外によって製造することができる。例えば、コンタクトレンズ内の異なる要素の封入は、あらゆる適切な方法、特に成形によって行うことができる。
【符号の説明】
【0133】
1 コンタクトレンズ、レンズ
10 本体
11 中心区間
20 電気光学構造
21 層
22 電極
23 電極
24 底層
26 電極
27 電極
30 電子回路
50 プリント回路
60 受信回路
61 アンテナ
70 受信回路
71 アンテナ
100 制御デバイス
101 活性化デバイス
110 受信回路
111 制御回路
600 接地
B1 小型電池
C1 フィルタリングキャパシタ
C2 フィルタリングキャパシタ
D1 ダイオード
D2 ダイオード
F1 周波数
F2 周波数
FF1 周波数
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色調のユーザ制御可能変化を備える、特に強膜タイプのコンタクトレン
ズであって、
異なる比色分析吸収性を有する少なくとも1つの第2の安定状態へ少なくとも1つの第1の安定状態から電場を加える効果によ
り切り換えることができる、双安定吸収性の電気光学材料の少なくとも1つの
層を含む電気光学構
造であって、前記電気光学材料の状態のこの変化は前記コンタクトレンズの可視色の変更につながり、前記電気光学材料は中心区
間を自由にしながら、虹彩を少なくとも部分的に覆うことを意図した環状領域内に延びている、電気光学構造と、
対応する制御信号の受信に応じて、その状態の前記変化を引き起こす電場に前記電気光材料を曝すように構成された、前記コンタクトレン
ズ内に封入された電子回
路と、
を備える、コンタクトレン
ズ。
【請求項2】
電気光学材料の
層は非不透過性であり、前記電気光学構
造は、前記電気光学材料の
層の後ろに配置され、少なくとも部分的に
、下にある前記電子回
路をマスキングする、乱反射を備えている少なくとも1つの反射または半反射
層を備えている、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記電気光学構
造は、前記電気光学材料の
層のいずれの側にも配置された少なくとも2つの電
極、特に、前記電気光学材料の
層の上および下にそれぞれ配置されている2つの透明電極を備えている、請求項1または2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記電気光学構
造は、第1の双安定電気光学材料の少なくとも1つの第1の
層、および前記第1の層とは異なる第2の双安定電気光学材料の第2の
層を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記電気光学材料の少なくとも1つの
層は、
特に、電場に曝される場合に異なる色をとる、電圧を加える効果により色を変える少なくとも2つの化合物の混合
物を含んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記加えられる電圧の振幅、および/または前記電圧を加える持続時間を選択することによって得られた色を制御することが可能であるように、前記少なくとも2つの化合物は異なる電圧閾値および/またはトランスフォメーションカイネティクスを有する、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記反射または半反射
層の比色分析性は、前記コンタクトレンズが少なくとも2つの別個の可視色をとることができるように、前記電気光学材料の少なくとも1つの
層のものに関して選択される、請求項2から6のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記電子回路(30)は、RFまたは光学
、制御信
号を受信するように配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記電子回
路は、少なくとも1つのアンテ
ナまたは別のタイプのセン
サを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記電子回路(30)は、前記電子回路(30)の作動に必要なエネルギーが前記制御信号によって提供されるように配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記電子回
路は、異なるそれぞれの周波
数に調整された、および/または前記制御信号の異なるそれぞれの極性に敏感である2つの受信回
路を備えており
、これらの受信回路は、前記電気光学材料の少なくとも1つの
層に反対の極性および/または異なる振幅のそれぞれの電場を加えることを可能に
する、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
各受信回
路は、特定のアンテ
ナ、および前記受信回
路がそれによって前記電気光学構
造に結合されたそれぞれの整流
器を備えている、請求項11に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記電子回
路は、前記制御信号を受けるたびに連続して前記電気光学構
造の電源電圧を生成するように配置されており、その極性は前に生成されたものと反対であ
る、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
1つまたは複数の前記電気光学材
料は、双安定エレクトロクロミック、電気泳動、エレクトロプラズモンまたは双安定液晶タイプ、特に色付きの2色性ドーパントを備える液晶であ
る、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
一方では、請求項1から14のいずれか一項に記載のコンタクトレンズと、もう一方では、状態変化制御信号を生成することを可能にする活性化デバイ
スと、を備える、アセンブリ。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に定義した、または請求項15に定義したアセンブリに属するコンタクトレンズの色の変化を引き起こすための方法であって、
活性化デバイ
スを使用して制御信号を発するステップであって、前記コンタクトレンズの前記電子回
路によるこの制御信号の前記受信は、所定である極性、振幅、および/または持続時間の電場を前記電気光学材
料に前記加えることを引き起こして、前記電気光学材料に状態を変化させて、前記電気光学材料は前記電場が加えられるのを止める場合にこの状態を維持する、ステップを含む、方法。
【国際調査報告】