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特表2024-511062マイクロ波熱分解とプラズマを組み合わせたオレフィン製造用反応器
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  • 特表-マイクロ波熱分解とプラズマを組み合わせたオレフィン製造用反応器 図1
  • 特表-マイクロ波熱分解とプラズマを組み合わせたオレフィン製造用反応器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】マイクロ波熱分解とプラズマを組み合わせたオレフィン製造用反応器
(51)【国際特許分類】
   C10G 15/12 20060101AFI20240305BHJP
   C10G 1/10 20060101ALI20240305BHJP
   C10G 3/00 20060101ALI20240305BHJP
   C10G 15/08 20060101ALI20240305BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20240305BHJP
   C07C 4/22 20060101ALI20240305BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20240305BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20240305BHJP
   C07C 15/46 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C10G15/12
C10G1/10
C10G3/00 Z
C10G15/08
C08J11/12 ZAB
C07C4/22
C07C11/04
C07C11/06
C07C15/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557446
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2022057745
(87)【国際公開番号】W WO2022200490
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】00312/21
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523094845
【氏名又は名称】マイクロウェーブ ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタペラ、アンネリー
(72)【発明者】
【氏名】ロッソウ、マティス ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4F401
4H006
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA03
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA13
4F401AA16
4F401AA17
4F401AA22
4F401BA02
4F401BA03
4F401BA06
4F401CA70
4F401CB03
4F401FA01Z
4H006AA02
4H006AC91
4H129AA01
4H129BA04
4H129BA07
4H129BA08
4H129BB03
4H129BC30
4H129CA04
4H129DA03
4H129FA20
4H129NA20
4H129NA21
4H129NA22
4H129NA43
4H129NA46
(57)【要約】
本発明は、熱処理を使用して原料物質から少なくとも1つの成分を回収するための熱分解方法に関する。原料は熱分解チャンバー(1)に送られ、制御された雰囲気にさらされ、マイクロ波エネルギーを加えることによって熱分解チャンバー(1)内で少なくとも1つの成分の処理温度まで加熱される。熱分解分解生成物は分別凝縮によって分離され、目的の成分がマイクロ波プラズマ中で分解される。マイクロ波プラズマは、プラズマ温度が少なくとも1つの成分の分解および/またはクラッキング温度を含む温度範囲にわたって変化するように生成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理を用いて原料物質(7)から少なくとも1つの成分を回収するための熱分解およびプラズマ分解方法であって、原料物質は、
- 熱分解チャンバー(1)に送られる、
- 制御された雰囲気にさらされる、および
- マイクロ波エネルギーによって熱分解チャンバー内で処理温度まで加熱され、原材料 (7) が熱分解分解生成物に分解される、
しかも、熱分解分解生成物は、少なくとも1つの成分の分解温度および/またはクラッキング温度を生成するように生成されるマイクロ波プラズマに曝露される。
【請求項2】
前記マイクロ波プラズマが、300MHz~40000MHzの周波数のマイクロ波放射によって生成される、請求項1に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項3】
前記マイクロ波プラズマは、パルスマイクロ波照射により生成される、請求項1または2に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項4】
前記熱分解チャンバー(1)内の温度が1200℃未満、好ましくは1000℃未満に維持される、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項5】
前記原料物質が、プラスチック、混合プラスチック、ゴム製品、ポリマー複合材料、ナフサ油、エタンガス、バイオオイル、および/またはタイヤを含む原料または廃棄物の流れである、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回収された成分が、油、炭化水素、モノマーおよび/または化学可塑剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの回収された成分が、エチレン、プロピレン、メタン、水素、DLリモネン、イソプレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、スチレンおよび/またはフタレートである、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項8】
前記原料物質が、水素を回収するために約-252.9℃に、メタンを回収するために約-161.5℃に、エチレンを回収するために約-103.7℃、プロピレンを回収するために約-47.6℃に、ブタジエンを回収するために約-4℃に、イソプレンを回収するために約35℃に、ベンゼンを回収するために約80.1℃に、トルエンを回収するために約110.6℃に、p-キシレンを回収するために約138.3℃に、m-キシレンを回収するために約139.1℃に、o-キシレンを回収するために約144.4℃に、スチレンを回収するために約145.2℃に、DLリモネンを回収するために約178℃に、および/またはフタレートを回収するに300℃~410℃に温度調節される、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項9】
前記熱分解チャンバーから抽出された揮発性成分が分別凝縮システムを通過する、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項10】
オレフィン、特にエチレンおよびプロピレンが、ポリマー、ナフサ、エタンガスおよび/またはバイオオイルを含む原料物質を分解することによって生成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項11】
前記原料物質が熱分解油または熱分解ガスを含み、前記原料物質が-253℃~600℃の温度範囲で分別凝縮を受け、少なくとも1つの凝縮画分が発生する、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの凝縮画分をさらなる分別凝縮に供して、パラフィン、ナフテン、オレフィンおよび/または芳香族化合物を単離する、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項13】
前記制御された雰囲気が、前記熱分解チャンバ(1)内に適用される負圧環境、特に10kPa未満の圧力である、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項14】
前記制御された雰囲気が、少なくとも1つの反応性ガス、特に水素、水蒸気、一酸化炭素、メタン、ベンゼン、またはそれらの混合物から選択されるガスによって規定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項15】
前記マイクロ波プラズマの温度は、前記マイクロ波プラズマを生成するマイクロ波放射パルスの振幅および形状を変化させることによって制御される、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項16】
温度およびマイクロ波パワー入力が、熱分解チャンバー(1)の連続するゾーンで変化する、請求項1~15のいずれか一項に記載の熱分解およびプラズマ分解方法。
【請求項17】
熱分解を用いて原料物質から少なくとも1つの成分を回収するための熱分解反応器であって、
原料物質(7)を収容するための熱分解チャンバー(1)と、
原料物質を原料物質の熱分解温度まで加熱するための熱源としての少なくとも1つのマイクロ波発生器、並びに、
マイクロ波プラズマを生成するマイクロ波発生器と、制御ユニットとを備えたプラズマ処理チャンバー、
を備え、
制御ユニットは、300MHzから40000MHzの間のマイクロ波周波数を使用してマイクロ波プラズマを生成するためのマイクロ波放射制御装置と、原料物質の分解温度を制御する温度制御装置とを備える、
前記の熱分解反応器。
【請求項18】
前記プラズマチャンバ内でのプラズマ点火のためのアクティブインピーダンス整合回路を備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の熱分解反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業的に価値のある熱分解油、炭化水素、モノマーおよび化学物質(可塑剤を含む)の化合物を抽出または回収するための、好ましくはパルスマイクロ波プラズマを用いた、マイクロ波熱分解およびプラズマの複合プロセス、ならびに、熱分解のための原料(後述)の分解に関する。マイクロ波エネルギーを使用して、プラスチック、混合プラスチック、タイヤ、ゴム製品、ポリマー複合材料、ナフサ油、エタンガス、バイオオイルを原料としてエチレンやプロピレンなどのオレフィンを製造する。プロセスの一環として、回収された化合物の一部またはすべてがマイクロ波プラズマで処理され、ポリマーがより短い鎖のポリマー、特にエタンとプロパンに分解される。
【背景技術】
【0002】
タイヤ、プラスチック、ゴム製品、ポリマー複合材料などの原料は、さまざまな製品、構造物、製造プロセスで使用され、製品や構造物の耐用年数が終了したときのエネルギー源および原材料となる。また、そのような材料を使用する製造および生産プロセスから発生するスクラップ材料は、エネルギーおよび化学の構成要素の源となる。循環経済をサポートするには、これらの化学構成要素を回収し、化学合成や製品の製造に使用する必要がある。
【0003】
化学産業は温室効果ガス (GHG) の排出に大きく貢献している。化学産業の脱炭素化は、GHG の削減に大きく貢献できる。化学産業では、エチレンの生産によって大量の CO2 が排出される。エチレンは、アンモニアに次いで 2 番目に汚染度の高い大量汎用化学物質であり、化学産業の GHG の約 10% を占める。既存のエチレン製造プロセスに伴う高い GHG 排出量により、炭素の回収と貯留、バイオベースの原料と材料の使用、プラスチックのリサイクルの増加、再生可能エネルギーへの移行などのリスク軽減戦略が必要となる。
【0004】
以下の特許に見られるように、ゴムまたはプラスチック廃棄物に対するさまざまなマイクロ波熱分解プロセスが存在する。しかしながら、これらのプロセスは本発明とは異なる。例えば、マイクロ波技術を使用してタイヤをリサイクルする取り組みが米国特許第5,507,927号に記載されている。タイヤはタイヤ廃棄物の流れとしてマイクロ波チャンバーに供給され、還元雰囲気とマイクロ波放射にさらされる。タイヤの温度が監視され、マイクロ波発生器への入力パワーが必要に応じて調整され、タイヤの材料を還元するのに最適な温度が得られる。ガス状生成物の除去を促進するために、チャンバーは大気圧よりわずかに高い圧力に保たれる。さらに、タイヤ材料の分解に伴って還元性ガスの濃度を高めることにより還元雰囲気を調整する。タイヤの材料を減らすために、12 個のマグネトロンが使用され、それぞれのマグネトロンは 2450 MHz の周波数で 1.5 kW の出力を持っている。
【0005】
プラスチック自体はマイクロ波加熱の影響を受けにくいが、プラスチックを分解する取り組みが米国特許第5,084,140号に記載されている。プラスチックは廃タイヤ材料などの炭素質材料と混合され、マイクロ波放射にさらされてプラスチックが 400℃~800℃に加熱され、プラスチックの熱分解が引き起こされる。
【0006】
さらに、n-ヘキサデカン、潤滑油、重油などのさまざまな炭化水素のプラズマクラッキングを使用した分解方法が、Mohammad Reza Khani, Atieh Khosravi, Elham Dezhbangooy, Babak Mohammad Hosseini, and Babak Shokriによって説明されている。しかし、これらの方法は、タイヤ、プラスチック、混合プラスチック、ゴム製品、ポリマー複合材料、ナフサ油、エタンガス、またはバイオオイルを含む原料および廃棄物ストリームにはうまく適用されていない。
【0007】
要約すると、これまでの研究では、廃棄物から特定の化合物を回収するために単一周波数のマイクロ波放射を使用していた。しかしながら、既知のマイクロ波システムは、処理される材料へのマイクロ波エネルギーの浸透が低く、熱分解できる生成物のサイズが制限されている。さらに、周波数 2.45 GHz のマイクロ波エネルギーは電気エネルギーから得られるが、変換効率は2.45 GHz ではわずか約 50% である。熱分解反応器内で複数の小型マグネトロンを使用することは、通常、温度制御のためにオンとオフを繰り返すため、非効率的であり、温度制御はあまり正確ではない。特に、熱分解油、炭化水素、モノマー、化学薬品は温度に非常に敏感であり、回収される化合物の収量と品質に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、タイヤ、プラスチック、混合プラスチック、ゴム製品、ポリマー複合材料などの原料から回収される化合物の収率および品質を向上させる、プラズマプロセスおよびプラズマ反応器と組み合わせた熱分解プロセスおよび熱分解反応器を提供することである。これらは、大量の原料の処理を可能にし、これらの原料から回収される化合物、特に回収オレフィンの経済的および商業的実行可能性を高める。
【0009】
以下の説明から明らかになるこれらの目的および他の目的は、添付の独立請求項に記載される熱分解およびプラズマ分解方法、ならびに熱分解およびプラズマ分解を使用して原材料から少なくとも1つの成分を回収するための反応器によって達成される。好ましい実施形態は従属請求項で定義される。
【0010】
本発明によれば、原料物質は、少なくとも1つの成分を回収するために熱分解およびプラズマ分解法によって処理される。この方法は、熱処理を使用し、原料物質を熱分解チャンバーに送り、制御された雰囲気にさらし、熱分解チャンバー内でマイクロ波エネルギーによって処理温度まで加熱して、原料物質を熱分解分解生成物に分解する。熱分解分解生成物は、少なくとも1つの成分の分解および/またはクラッキング温度を生成して分解生成物から成分を回収するように生成されるマイクロ波プラズマに曝露される。
【0011】
本発明の第1の変形方法によれば、原料物質は、材料を熱分解チャンバに送達することによって熱分解法によって処理される。チャンバー内では、原料物質は制御された雰囲気にさらされ、原料物質の少なくとも1つの成分を回収するための熱処理にさらされる。
【0012】
加熱は、原料を直接かつ容積的に加熱するマイクロ波によって行われる。加熱により、熱分解室内の温度は、少なくとも1つの成分のクラッキング温度および/または分解温度を含む温度範囲にわたって変化する。特に、熱分解チャンバ内の温度は、異なる成分を回収するために原材料に異なる分解温度および分解温度を適用するための連続加熱ステップまたは加熱ゾーンで連続的に上昇させることができる。
【0013】
本発明による原料物質から少なくとも1つの成分を回収するための熱分解反応器は、原料物質を収容するための熱分解チャンバーと、原料物質を原料物質の分解温度および/またはクラッキング温度まで加熱するための熱源としての少なくとも1つのマイクロ波発生器とを備える。さらに、300MHz~40000MHzのマイクロ波周波数を使用してマイクロ波パワーを生成するためのマイクロ波放射制御装置と、原料物質を加熱するための処理温度を制御するための温度制御装置とを備える制御ユニットが提供される。
【0014】
好ましくは、温度制御は、熱分解室内で温度が連続的に変化または増加するように温度を制御する。有利には、熱分解チャンバ内の温度は、以下に定義される原料物質を回収するために、1200℃未満、好ましくは1000℃未満に維持される。
【0015】
本発明の熱分解方法および熱分解反応器は、炭素ベースの原料物質から成分を回収するのに特に適している。熱分解法は、プラスチック、混合プラスチック、ゴム製品、ポリマー複合材料、ナフサ油、エタンガス、バイオオイルおよび/またはタイヤを含む原料または廃棄物の流れから成分を回収するのに特に有利である。プラスチックには、エチレン(コ)ポリマー、プロピレン(コ)ポリマー、スチレン(コ)ポリマー、ブタジエン(コ)ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、またはそれらの混合物が含まれる。ゴム製品やタイヤは、スチレンブタジエンゴムやブチルゴムなどの天然ゴムや合成ゴムで構成されている。ナフサ油は石油留出物で構成されており、通常はガソリンとベンジンの中間生成物であり、溶媒や燃料などとして使用される。バイオオイルは、バイオマスから生成される液体バイオ燃料/オイルである。
【0016】
一実施形態では、熱分解チャンバーから抽出された揮発性成分は、分別凝縮システムを通過して、重成分を凝縮させる。次いで、標的成分を含む残りの揮発性物質をマイクロ波プラズマ分解ステップに通して、標的成分を例えばエタンやプロパンを含むオレフィンにさらに分解する。
【0017】
熱分解ステップ中に形成される選択された炭化水素材料またはその組み合わせは、分別凝縮システムによって他の成分から分離され、搬送ガスとともにプラズマチャンバーに導入される。プラズマは炭化水素を目的のより小さな分子に分解し、それが新しいポリマー製造の原料となる。
【0018】
最新技術とは対照的に、本発明による熱分解およびプラズマ分解方法のステップは、熱分解プロセスがプラズマプロセスに特定の成分を提供するように設定され、2つのプロセスがお互いに適合されるように設定される。
【0019】
本発明の重要な側面は、熱分解条件(例えば、マイクロ波出力、温度および圧力)、凝縮器温度およびプラズマ条件が、目標成分の高収率を達成するために共同して最適化されることである。
【0020】
プラズマチャンバー内では、非平衡の低温パルスマイクロ波プラズマによってターゲット成分が分解される。ガス流量、搬送ガスの量、プラズマ圧力、マイクロ波周波数およびマイクロ波パワー入力は、例えば、この方法の貴重な生成物であるオレフィンの形成を最適化するように選択される。好ましくは、マイクロ波プラズマは、300MHzと40000MHzとの間の周波数のパルスマイクロ波放射によって生成され、その周波数は、分解またはクラッキングが生じる成分に合わせて最適化される。
【0021】
マイクロ波プラズマは、電源ユニットと、固体マイクロ波発生器または電子管(例えば、マグネトロン、三極管、クライストロンなど)などのマイクロ波源とを備えるマイクロ波プラズマ発生器によって発生される。
【0022】
プラズマ点火の場合、熱分解反応器はアクティブインピーダンス整合回路を備えていてもよい。能動インピーダンス整合回路は、マイクロ波プラズマ発生器とプラズマチャンバとの間に取り付けられてもよい。この配置により、プラズマの開始中にチャンバー内の電磁場が最大化され、プラズマが定常状態に達すると、定常状態のプラズマ動作中にプラズマへの最大のマイクロ波パワー伝達が確保される。通常、テスラ コイルまたはスパーク ギャップを使用してプラズマを開始できる。
【0023】
マイクロ波プラズマ発生器は、パルスマイクロ波放射で有利に動作する。放射線のパルス幅は10μsから10msの範囲であり、デューティサイクルは1%から50%の範囲であることが好ましい。プラズマにより分解される成分の特性に応じて放射特性が選択される。
【0024】
好ましくは、マイクロ波発生器は、熱分解室内に連続的に変化可能な加熱エネルギーを提供する。したがって、熱分解チャンバ内の温度は、例えば従来技術から知られているようにマグネトロンのオンとオフを切り替えることによって、離散的または漸進的なステップで単純に変更されるわけではない。供給されるマイクロ波出力とチャンバー温度は、原料の成分を回収するために必要な分解温度の範囲にわたって正確に調整できる。
【0025】
好ましくは、プラズマ分解ステップでは、パルスマイクロ波発生器は、マイクロ波出力レベル、パルス幅、およびパルス形状を正確に制御して、試薬ガスを価値ある生成物に分解する。
【0026】
一般に、電磁スペクトルでは、マイクロ波は赤外線と無線周波数の間に位置する。マイクロ波の波長は1mm ~1 m で、対応する周波数はそれぞれ 300 GHz ~300 MHz である。最も一般的に使用される 2 つのマイクロ波周波数は、915 MHz と 2.45 GHz である。マイクロ波エネルギーは電気エネルギーから得られ、変換効率は、たとえば 915 MHz では約 85% であるが、2.45 GHz ではわずか 50% である。家庭用電子レンジの多くは2.45GHzの周波数を使用している。2.45 GHz と比較して、915 MHz の低周波マイクロ波を使用すると、実質的に大きな侵入深さが得られる。これは、マイクロ波キャビティサイズの設計、プロセスのスケールアップ、材料のマイクロ波吸収能力の調査において重要なパラメーターである。
【0027】
さらに、従来技術から知られるように、温度制御のためにオンおよびオフされるマイクロ波放射を生成するための複数の小型マグネトロンの利用は、本発明の熱分解方法で使用されるパルス可変高出力マイクロ波源よりも効率が低い。パルス可変高出力マイクロ波源からの加熱により、原材料から成分を回収する際の非常に良好な温度制御が可能になる。熱分解オイル、炭化水素、モノマー、および可塑剤を含む化学物質のほとんどは温度に非常に敏感であり、本発明の可変の高出力マイクロ波源によって提供されるため、適切な温度制御がないと収量と品質に悪影響を及ぼす。
【0028】
本発明の熱分解およびプラズマ分解方法は、原料物質から油、炭化水素、モノマーおよび/または化学可塑剤を回収するのに特に有用である。これらの成分は、マイクロ波熱分解反応器のさまざまなゾーンでマイクロ波加熱を適用することによって材料から抽出され、各ゾーンは互いに独立して動作する。使用されるマイクロ波放射は、300 MHz ~約 40 GHz の範囲にある。適用する加熱エネルギーは、各ゾーンの対象回収された成分の分解温度または分解温度に応じて選択することができる。エネルギーは、異なるターゲット回収された成分の異なる分解温度の間で可変的に変化させることができる。したがって、チャンバー内の条件は、異なるターゲット回収された成分のさまざまな分解反応に適応させることができる。
【0029】
好ましくは、プラズマ分解ステップにおいて、マイクロ波プラズマは、原料物質の少なくとも1つの成分を分解するように設計される。特に、本発明の熱分解およびプラズマ分解方法および装置は、ポリマー、ナフサ、エタンガスおよびバイオオイル原料の分解に有利に使用され、エチレンおよびプロピレンなどのオレフィンを製造する。
【0030】
一例では、熱分解法は、油、炭化水素、モノマーおよび/または化学可塑剤のうちの少なくとも1つを回収するために有利に使用される。特に、この方法は、エチレン、プロピレン、メタン、水素、DLリモネン、イソプレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、スチレンおよび/またはフタレートを回収するために使用される。
【0031】
本発明による熱分解方法の一変形例では、原料物質は、熱分解チャンバ内でメタンを回収するために約-161.5℃に、エチレンを回収するために約-103.7℃に、プロピレンを回収するために約-47.6℃に、ブタジエンを回収するために約-4℃に、イソプレンを回収するために約35℃に、ベンゼンを回収するために約80.1℃に、トルエンを回収するために約110.6℃に、p-キシレンを回収するために約138.3℃に、m-キシレンを回収する場合は約139.1℃に、o-キシレンを回収する場合は約144.4℃に、スチレンを回収する場合は約145.2℃に、DLリモネンを回収する場合は約178℃に、および/またはフタレートを回収する場合は300℃~410℃に、温度調節される。温度がこれらの値付近であるという表示は、温度がその値からわずかに逸脱する可能性があるが、それぞれの成分の追求される回復プロセスを変更するほど大きくないという点で理解されるべきである。
【0032】
本発明による熱分解方法のさらなる変形例では、オレフィン、特にエチレンおよびプロピレンは、ポリマー、ナフサ、エタンガスおよび/またはバイオオイルを含む原料物質を分解することによって製造される。
【0033】
熱分解オイルと熱分解ガスは、広範囲の分子量と沸点を持つさまざまな化学成分の複雑な混合物である。-253℃から600℃の間で沸騰する熱分解油とガスの分別凝縮によって得られる凝縮留分には、商業的に価値のある化学物質が含まれていることがわかっている。
【0034】
本発明の熱分解方法の一態様によれば、熱分解油は、-253℃~600℃の範囲の温度で分別凝縮を受けて、その少なくとも1つの成分が回収される。好ましくは、熱分解油から回収される成分は、パラフィン、ナフテン、オレフィンおよび芳香族化合物からなる群から選択される。
【0035】
分別凝縮プロセスは、好ましくは、熱分解チャンバー内での揮発性物質の滞留時間を短縮するために、揮発性物質を迅速に抽出するステップを含む。次に、揮発性ガスは凝縮されてさまざまな留分油成分になる。場合により、分画された成分は、さらなる分別凝縮に供されて、パラフィン、ナフテン、オレフィンおよび芳香族からなる群から選択される少なくとも1つの商業的に価値のある化学物質を単離する。
【0036】
熱分解分解生成物の分別凝縮プロセス中に、極低温冷却を含む蒸発ステップまたは凝縮ステップを実行して、プラズマ処理の対象となる分子を単離することができる。
【0037】
上記の凝縮留分で特定された特に興味深い成分は、前述のとおりである。メタンは約 -161.5 ℃で回収され、エチレンは約 -103.7 ℃で回収され、プロピレンは約 -47.6 ℃で回収され、ブタジエンは約 -4 ℃で回収され、イソプレンは約 35 ℃で回収され、ベンゼンは約80.1℃で回収され、トルエンは約110.6℃で回収され、p-キシレンは138.3℃で回収され、m-キシレンは139.1℃で回収され、o-キシレンは144.4℃で回収され、スチレンは145.2℃で回収され、DLリモネンは178℃で回収され、フタレート類は300℃~410℃で回収される。
【0038】
これらの成分は、さまざまなポリマーの合成における溶媒や石油化学原料として使用でき、資源の循環を可能にする。たとえば、スチレンは主にプラスチック、ゴム、樹脂の製造に使用される。キシレンはポリエステル繊維の製造に特に役立ちます。また、安息香酸やイソフタル酸の製造における溶媒および出発原料としても使用される。トルエンは安息香酸の製造にも使用される。DL リモネンは、主に化学、食品、香料業界で香料として使用されている。
【0039】
したがって、制御された雰囲気下で熱分解チャンバー内で材料を熱分解し、熱分解油の分別凝縮を実行して約-253℃から約600℃の範囲で沸騰する留分を回収し、またマイクロ波プラズマアプリケーションを利用することによって、本発明によって定義されるように、制御された雰囲気を使用して熱分解分解生成物をさらに変性すると、上記の商業的に価値のある化学物質を回収することが可能である。
【0040】
熱分解チャンバー内の制御された雰囲気は、10kPa未満の圧力を有する負圧環境であることが有利である。
【0041】
プラズマ反応器内の制御された雰囲気は、熱分解による目的成分および窒素またはアルゴンなどの場合による不活性搬送ガスを含む1kPa未満の負圧環境であることが有利である。
【0042】
さらに、熱分解チャンバーまたはプラズマ反応器の両方における制御された雰囲気は、分解中に形成される成分または成分の生成物を改変するための反応性雰囲気として実現することができる。制御された雰囲気は、水素、水蒸気、メタン、ベンゼン、または例えば合成ガスに含まれるような反応性ガスの混合物を含む少なくとも1つの反応性ガスによって有利に画定される。有利なことに、熱分解法中に形成される反応性ガス、特に合成ガスは反応器を通して部分的に再循環され、代替反応を促進するか、または目的の液体またはガス生成物の収率を増加させる。熱分解チャンバー内の制御された雰囲気は、熱分解法によって回収される対象成分に応じて選択および適合させることができる。同様に、プラズマ反応器内の制御された雰囲気は、プラズマ反応によって形成されるターゲット成分に応じて選択および適合させることができる。
【0043】
炭化水素オイルとガスは熱分解法によって生成される。炭素の循環を可能にし、化石燃料の需要を減らす商業的に価値のある化学物質を得るために、プラズマ解離ステップによってこれらの熱分解油および熱分解ガスの価値を高めることが望ましい。
【0044】
本発明のプラズマステップの一変形例では、マイクロ波プラズマ発生器は、マイクロ波パルスの振幅と形状を正確に制御することを可能にし、ひいてはプラズマ束と温度を具体的に制御することを可能にするソリッドステートパルス整形を含む。アクティブ インピーダンス マッチング回路により、動作中の信頼性の高いプラズマ点火と効率的なパワー伝送が保証される。
【0045】
マイクロ波プラズマの適用、特にパルスマイクロ波プラズマの適用により行われる原材料の熱処理は、炭素質固体の高温反応を引き起こし、ガスおよび固体生成物の生成につながる。反応性の高いマイクロ波プラズマゾーンには、大量の電子、イオン、励起された分子が存在する。同時に、高エネルギー放射が発生し、原料中の炭素質化合物が急速に加熱される。揮発性化合物が放出されて分解され、水素と炭化水素が回収される。
【0046】
上述のプロセスの変形例では、ポリマー材料を固体、液体、または気相でパルスマイクロ波プラズマに直接導入し、直接分解して標的化合物にすることができる。プロセス コントローラーはマイクロ波パワー入力を調整して、プラズマ温度と形成される生成物を制御する。
【0047】
要約すると、熱分解油、炭化水素、モノマーおよび化学物質(可塑剤を含む)の熱分解および回収のためのマイクロ波プラズマおよび熱分解システムに基づく方法を利用することにより、上記の商業的に価値のある化学物質を熱分解、分解、抽出および/または回収することが可能である。並びに、制御された雰囲気下でエチレンやプロピレンなどのオレフィンを製造するための原料の分解にも使用され、必要に応じて熱分解油または熱分解ガスの分別凝縮を実行して、約-253℃~約600℃の範囲で沸騰する留分を回収する。さまざまな化学物質の収量と組成は原料によって異なる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態を添付図面に記載するが、これらは本発明の原理を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。図面は次のことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、本発明による熱分解反応器のセットアップの第1の例の概略図である。
図2図2は、本発明による熱分解反応器の熱分解チャンバーを説明する第2のセットアップ例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に、本発明による熱処理を使用して供給原料から少なくとも1つの成分を回収するための熱分解方法を実行するのに適した、本発明による熱分解反応器の2つの例示的な実施形態について説明する。両方の実施形態において、熱分解反応器は、原料物質、特に、タイヤ、プラスチック、混合プラスチック、ゴム製品、ポリマー複合材料、ナフサ油などの原料および廃棄物ストリームからの熱分解油、炭化水素、モノマーおよび化学物質の熱分解および/または分解のための熱分解反応器である。エタンガスおよびバイオオイルなどの原料物質を収容するための熱分解チャンバー1を備える。さらに、熱分解反応器の例示的実施形態は、原料物質を原料物質の分解温度および/または分解温度まで加熱するための熱源としてマイクロ波放射源を有する少なくとも1つのマイクロ波発生器を備える。
【0051】
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などのプロセス制御ユニットは、本発明による熱分解プロセスを制御するために使用される。有利には、温度制御は、熱分解チャンバー1内の温度を連続的に変化させるか上昇させるためにマイクロ波発生器を動作させる。また、制御ユニットは、原料物質に対して300MHzと40000MHzの間のマイクロ波周波数を使用してマイクロ波プラズマを生成するためのマイクロ波放射制御装置を備え、温度制御は、プラズマ反応器内の原料物質の分解温度および/または分解温度を制御する。
【0052】
2つの例示的な実施形態は、熱分解チャンバの設計が主に異なるが、反応器の他の特徴および方法のステップは同じである。したがって、反応器の構造的特徴および両方の例示的な実施形態に適した方法ステップの説明は、2つの例示的な実施形態の間で交換可能であるとみなされるものとする。
【0053】
例えば、両方の例示的な実施形態について、熱分解法の温度範囲が周囲温度と1200℃との間、特に周囲温度と1000℃との間にわたると定義することが有利である。例示的な実施形態は、熱分解油を熱分解し、それを-253℃~600℃の温度範囲で分別凝縮させるのに適している。熱分解チャンバは、負圧環境、特に10kPa未満の圧力の形態の制御雰囲気を含んでもよく、または制御雰囲気は、少なくとも1つの反応性ガス、特に水素、水蒸気、一酸化炭素、メタン、ベンゼンまたはその混合物。例示的な実施形態は、熱分解チャンバから揮発性ガスを抽出し、そのガスを異なる留分油に凝縮することを可能にする。同様に、他の特徴およびステップは両方の実施形態に適用される。
【0054】
図1は、細長い設計を有する連続流レトルトの形態の熱分解反応器の例示的な実施形態を示す。例えば、それは、原料物質を熱分解チャンバ1に送り、その成分が分解されている間に材料をチャンバを通して移送するためのコンベヤを備え得る。
【0055】
例えば、完成したタイヤ、プラスチック、ゴム製品、およびポリマー複合材料を、熱分解チャンバーの第1の端にある供給ポート6を通して熱分解チャンバー1に断続的に供給することができる。酸素をパージする手段を備えたエアロックシステムも第1の端部に設けることができる。
【0056】
熱分解ガスは、熱分解チャンバー1の長さに沿って一定間隔で排出され、チャンバー温度が上昇するゾーンに連続する出口ポート2が設けられ、異なるガスまたは化合物が出口ポートを通じて収集され得る。図1の変形例では、ガスは、チャンバの長さに沿って位置する3つの位置の出口ポート2a、2b、2cから収集され、これらのポートは3つの異なる回収された成分に対応する。固体生成物は、熱分解チャンバー1の端にあるエアロックシステムを通じて排出され、振動スクリーン5などの適切な方法を使用して分離され得る。
【0057】
制御ユニットは、熱分解チャンバへのマイクロ波パワー入力を調整し、熱分解チャンバ1に沿った様々な連続加熱ゾーン10a、10b、10cにおける原料物質の温度を、処理温度を連続的に上昇させる方式で制御することができる。また、制御ユニットは、プラズマ反応器内で300MHzと40000MHzとの間の周波数で可変エネルギーのマイクロ波プラズマを生成するためのマイクロ波放射制御装置を備える。
【0058】
図1に示される熱分解反応器の例では、原料物質は、コンベアによって熱分解チャンバ1の第1の端にある供給ポート6に導入され、熱分解チャンバ1の長さに沿って輸送される。熱分解チャンバーおよび原料物質はそれぞれ、まずマイクロ波加熱によって第1の加熱ゾーン内で原料物質の第1の成分の第1の分解温度まで加熱される。第1の生成物は、第1の出口ポート2aを通じて排出され得る。
【0059】
熱分解チャンバー1は連続反応器として設計することができ、後続の加熱ゾーンを互いに統合することができる。
【0060】
熱分解チャンバー1の第2の端部では、さらなる回収された成分または原料残留物がエアロックシステムを通じて排出され得る。
【0061】
図2は、本発明による熱分解反応器の第2の例示的な実施形態の熱分解チャンバー1の概略図を示す。反応器は、ゴムタイヤなどの原料物質を受け入れるために開く圧力容器などのバッチ反応器の形態を有する。例えば、反応器の熱分解チャンバー1は円形であり、円形チャンバーの上部が開口していてもよい。
【0062】
図示の例示的な実施形態では、反応器には単一のタイヤ7が装填される。マイクロ波プラズマが、熱分解チャンバ1の屋根にある供給ポート6を介して熱分解チャンバ1に印加される。電気要素または一部の熱分解分解生成物の燃焼により、チャンバー壁が加熱され、加熱が促進され、容器内の結露が防止される場合がある。パルス化マイクロ波プラズマは、チャンバ1内でマイクロ波放射が均一に分布することを保証する位置および方向に配置された容器の屋根上の多数のマイクロ波供給ポート6を通して導入される。チャンバはまた、熱分解チャンバー1内の空の容積を減らすために、中央部分8が除去された環状部の形状であってもよい。
【0063】
バッチ反応器では、加熱ステップで原料の温度を、回収されるさまざまな成分の分解または分解温度まで上昇させることができる。凝縮液は、連続熱分解プロセスの各ステップで凝縮液保管庫を切り替えながら、そのコンポーネント専用の保管庫に収集できる。プロセス中、反応器内での揮発性物質の再凝縮を防ぐために、加熱ステップで反応器の壁温度を上昇させることもできる。温度はコントロールユニットによって制御できる。各加熱ステップにおいて、回収された成分は出口ポート2を通って熱分解チャンバー1から抽出され、凝縮器システムに入ることができる。
【0064】
PLCはまた、ガス出口ポート2、および反応器の長さに沿った様々な分解加熱ゾーン10a、10bおよび10cで反応器から出る材料、反応容器および揮発性物質の温度を監視する。熱分解分解生成物のオンラインおよびオフライン分析を使用して、制御ユニットに入力を提供することもできる。収集されたデータに基づいて、プロセス制御ユニットは加熱ゾーンへのマイクロ波出力入力と、反応器内の材料の滞留時間と移動時間を制御する。反応器の異なる加熱ゾーンにパワーを供給するマイクロ波を変えることによって、材料は、異なる材料成分の分解またはクラッキング温度に対応する所定の温度まで加熱される。これにより、これらのコンポーネントは対応する加熱ゾーンで分解またはクラッキングが発生し、そのコンポーネントの処理中に生成される揮発性物質を専用の凝縮器および収集容器に収集できる。後続の加熱ゾーンでは、残りの材料成分が、例えば連続的に高い分解温度または分解温度まで加熱され、そのたびに、異なる材料成分に関連する揮発性成分が抽出され、別個の凝縮器システムに収集される。この異なる材料成分の逐次分解により、生成された異なる成分を別々に収集することが可能になる。各熱分解ステップ中に生成される揮発性成分はパルスマイクロ波プラズマ反応器で分解され、分解生成物は貯蔵容器に収集され、そこで蒸留によって分離される。
【0065】
また、凝縮器システムをバイパスし、熱分解中に形成されるすべての揮発性成分をプラズマ分解にさらすこともこのプロセスの目的である。
【0066】
本発明による熱分解方法および熱分解反応器は、原料中に存在する各材料成分が異なる沸点およびマイクロ波吸収特性を有するという事実に依存している。300 MHz ~40,000 MHz の周波数を使用するパルスマイクロ波プラズマを適用して、回収された成分の分解および/またはクラッキング温度を含む温度範囲にわたって熱分解チャンバー内の温度を連続的に上昇させることで、高い回収率と回収された回収物の高品質が保証される。コンポーネント。また、処理温度の範囲が広いため、多種多様な成分を回収できる。
【0067】
参照番号リスト
1 熱分解室
2a、b、c 出口ポート
5 振動スクリーン
6 供給ポート
7 ゴムタイヤ
8 中央部
10a、b、c ヒートゾーン
図1
図2
【国際調査報告】