(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】投入物を熱処理するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C03B 5/235 20060101AFI20240305BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C03B5/235
F23K5/00 303
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557657
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2022056711
(87)【国際公開番号】W WO2022200127
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ジャリー,ルック
(72)【発明者】
【氏名】グレーブナー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】カウダル,ジャン
【テーマコード(参考)】
3K068
4G014
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068AA05
3K068AB21
3K068AB36
3K068CA01
4G014AF00
4G014AF01
(57)【要約】
【解決手段】
炉(13)において非ガス状投入物を熱処理するためのプロセスであって、前記熱処理の間に投入物によって放出された二酸化炭素、前記放出された二酸化炭素を含有する煙道ガス(6)の非ゼロ画分(7)は、水素(3)と合わさり、前記水素(3)によるrWGS反応に供され、その後、rWGS反応の反応生成物(9)は、燃料として炉(13)へと供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-熱処理された非ガス状投入物が、炉(13)へと導入され、
-前記炉(13)が、酸化体(2、2b)による燃料(1、1b、9)の燃焼を用いて加熱され、前記燃料(1、1b、9)及び酸化体(2、2b)が、前記炉(13)に調節された供給速度で供給され、
-雰囲気が前記炉(13)において生じ、前記雰囲気が、(a)前記酸化体(2、2b)による前記燃料(1、9)の前記燃焼によって生じた燃焼ガス、及び(b)熱処理の間に前記投入物によって放出された二酸化炭素を含むガス状混合物からなり、
-前記熱処理された投入物が、前記炉(13)から取り除かれ、
-前記ガス状混合物が、煙道ガス(6)として前記炉(13)から排除される
プロセスであって、
-水素(3)は、前記プロセスに供給され、少なくとも50容量%、最大限でも100容量%のCO
2を含有する前記煙道ガス(6)の非ゼロ画分(7)は、前記供給された水素(3)の少なくとも一部と合わさり、rWGS反応器(14)において前記水素(3)によるrWGS反応に供され、それによって前記画分(7)中のCO
2の少なくとも一部はCOへと変換され、
-前記rWGS反応の反応生成物(9)は、燃焼される前記燃料(1、1b、9)の部分又は全てとして前記炉(13)へと供給される
ことを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記煙道ガス(6)の前記画分(7)が、
・少なくとも80容量%、好ましくは、少なくとも90容量%、より好ましくは、少なくとも98容量%のCO
2
及び/又は
・0~20容量%のH
2O、好ましくは、最大限でも10容量%のH
2O
を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記煙道ガス(6)の前記画分(7)が、好ましくは、凝縮によってそこから水を除去することによって得られる除湿された煙道ガス画分である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
熱が、前記排除された煙道ガス(6)から回収され、前記rWGS反応に供給される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記排除された煙道ガス(6)から回収された熱が、前記回収された熱を使用することによって前記rWGS反応に供給され、前記rWGS反応器(14)の上流の前記煙道ガス(6)の前記画分(7)を加熱し、且つ/又は前記rWGS反応器(14)の上流の前記供給された水素(3)の前記少なくとも一部を加熱し、且つ/又は前記煙道ガス(6)の前記合わせた画分(7)、及び前記rWGS反応器(14)の上流の前記供給された水素(3)の前記少なくとも一部を加熱し、且つ/又は前記rWGS反応器(14)を加熱し;好ましくは、前記rWGS反応器(14)の上流の前記煙道ガス(6)の前記画分(7)を加熱し、且つ/又は前記煙道ガス(6)の前記合わせた画分(7)、及び前記rWGS反応器(14)の上流の前記供給された水素(3)の前記少なくとも一部を加熱し、且つ/又は前記rWGS反応器(14)を加熱し、より好ましくは、前記rWGS反応器(14)の上流の前記煙道ガス(6)の前記画分(7)を加熱し、且つ/又は前記rWGS反応器(14)を加熱する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
熱が、前記排除された煙道ガス(6)から回収され、
酸化体事前加熱及び/又は
燃料事前加熱及び/又は
熱処理された前記投入物の乾燥及び/又は事前加熱
のために使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記プロセスへと供給される前記水素のさらなる部分(1、1b)が、前記rWGS反応の前記反応生成物(9)と混合して、及び/又はそれとは別々に、さらなる燃料として前記炉(13)へと注入される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
ガス状炭化水素含有燃料(1、1b)が、前記プロセスへと供給され、前記rWGS反応の前記反応生成物(9)と混合して、及び/又はそれとは別々に、さらなる燃料として前記炉(13)へと注入され、前記ガス状炭化水素含有燃料(1、1b)が、好ましくは、再生可能な源から得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記炉(13)へと注入されるさらなる燃料の量が、前記炉(13)の即時の燃焼熱必要量が前記注入されたさらなる燃料(1、1b)の燃焼と一緒に前記rWGS反応の前記反応生成物(9)の燃焼によって満たされるように自動的に調節される、請求項7又は8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸化体(2、2b)が、70%~100容量%、好ましくは、少なくとも85容量%、より好ましくは、少なくとも95容量%の酸素含量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記燃料(1、9)が、複数の火炎で及び/又は段階的燃焼によって前記酸化体(2、2b)と共に燃焼される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
ガラス溶融プロセスであり、
-溶融される固体ガラス形成材料が、熱処理された前記非ガス状投入物として前記炉(13)へと導入され、
-二酸化炭素が、熱処理の間に前記ガラス形成材料によって前記炉(13)雰囲気中に放出され、
-溶融ガラスが、前記熱処理された投入物として前記炉(13)から取り除かれる、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記炉(13)が、
a)酸化体(2、2b)による燃料(1、9)の燃焼及び
b)前記ガラス形成材料に埋め込まれた電極
を用いて同時に加熱される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記炉(13)に供給されるエネルギーの5~50%、好ましくは、20~50%が、前記電極を用いて前記炉(13)に供給される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記炉(13)に供給されたエネルギーの30~95%、好ましくは、50~95%が、前記電極を用いて前記炉(13)に供される、請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ガス状投入物が加熱される炉において酸化体による燃料の燃焼によって熱処理されるプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素燃料は加熱炉のために長く使用されてきており、低価格、高純度及び制御の容易さのその組合せによって天然ガスが好まれることが多いが、バイオガスの使用がますます促進されている。
【0003】
炭化水素含有燃料の不都合は、それらの燃焼が二酸化炭素を生じさせることである。
【0004】
再生可能なエネルギー源から十分な電気を生じさせる信頼のおける安定な電力網が利用可能である場合、加熱を電気加熱による燃焼で置換することは、単に工業用炉の炭素除去に向けての道筋の一部であり得る。
【0005】
さらに、炉において投入物を熱処理する全てのプロセスが電気加熱による燃焼による加熱の完全又は部分的な置換に適していると限らない。したがって、酸化体による燃料の燃焼による加熱は依然として工業用炉における機構である。
【0006】
代替の非炭化水素燃料としての水素の使用がまた、二酸化炭素排出を低減させるために提案されてきた。
【0007】
電気加熱の場合のように、水素が再生可能なエネルギー源を使用して生じるとき、水素による炭化水素燃料の置換えはカーボンフットプリントの低減に単に寄与することができる。
【0008】
さらに、水素火炎の特性(例えば、火炎体積、燃焼ガス組成など)は、炭化水素火炎の特性とかなり異なり、それゆえ燃料として水素によって生じる火炎は炭化水素燃料を従来燃やしている全ての工業用熱処理炉に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、そのような場合、低減した炭化水素燃焼を伴うか若しくは炭化水素燃焼を伴わない、炉において投入物を熱処理するための効率的な方法を提供することであり、それによって投入物は熱処理の間に二酸化炭素ガスを放出する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、炭化水素燃焼の低減又は除去は、その熱処理の間に投入物によって放出される二酸化炭素の有効な使用によって達成される。
【0011】
一実施形態によれば、本発明は、投入物が酸化体による燃料の燃焼によって加熱される炉において熱処理されるプロセスに関する。
【0012】
本文脈において、用語「熱処理」は、非ガス状投入物の化学的及び/又は物理的特性(単なる温度以外)が熱の効果下で変化するプロセスを指す。このような熱処理の例は、溶融(例えば、ガラス溶融)、焼結、焼却、ガラス化及び(再)結晶化(例えば、金属再加熱/焼なましの間)である。
【0013】
本発明のプロセスにおいて、熱処理された非ガス状投入物は炉へと導入される。炉は酸化体による燃料の燃焼を用いて加熱され、前記燃料及び酸化体は、調節/制御された供給速度で炉に供給される。炉内雰囲気が炉において生じ、(a)酸化体による燃料の燃焼によって生じる燃焼ガス、及び(b)熱処理の間に投入物によって放出される二酸化炭素を含むガス状混合物からなる。炉内雰囲気はまた、さらなる成分、例えば、熱処理の間に投入物によって放出されるCO2以外の物質、進入空気などを含有してもよく、含有することが多い。
【0014】
熱処理された投入物は炉から取り除かれ、二酸化炭素含有ガス状混合物は炉から煙道ガスとして排除される。
【0015】
本発明によると、水素がプロセスに供給される。煙道ガスの非ゼロ画分は供給された水素の少なくとも一部と合わさり、前記煙道ガス画分は、少なくとも50容量%及び最大限でも100容量%のCO2を含有する。
【0016】
次いで、煙道ガス画分は、逆水性ガスシフト(rWGS)反応器において前記水素によるrWGS反応に供され、その結果、煙道ガス画分中のCO2の少なくとも一部はCOへと変換される。
【0017】
次いで、rWGS反応のCO含有反応生成物は、燃焼される燃料の一部又は全てとして炉へと供給される。
【0018】
本文脈において、用語「ガス状混合物」は、複数のガス状化合物を含むガス状媒体を指す。さらに、「ガス状混合物」はまた、気相に懸濁された液滴又は固体粒子、例えば、煤煙及び粉塵を含有し得る。
【0019】
投入物によって放出されるCO2は、例えば、投入物中に存在する可燃性物の燃焼、及び/又は熱処理、例えば、脱炭素の間に投入物において起こるいくつかの他の化学反応によるものであり得る。
【0020】
燃料中のrWGS反応生成物の存在の結果として、燃焼によって生じる火炎の特性は、水素のみが燃焼される場合より炭化水素火炎の特性により密接に似ている。
【0021】
さらに、投入物によって放出され、且つ煙道ガスとして炉から排除されたCO2は効果的に使用され、熱処理を改善させる。
【0022】
rWGS反応は当技術分野において公知であり、触媒又は非触媒反応として行い得る。rWGS反応を使用して、CO2をCOに変換し、その後、生成されたCOの一部は、その中の金属鉱石の化学的還元のための還元剤として溶鉱炉シャフトへと供給され、一方、生成されたCOのさらなる部分はさらなる処理プロセスに向けられることは、例えば、米国特許出願公開第A-2016/0083810号明細書から公知である。
【0023】
プロセスに供給される水素は、好ましくは、低又はゼロカーボンフットプリントを伴う水素、例えば、いわゆる、ブルー又はグリーン水素である。グリーンH2は、例えば、再生可能エネルギーを使用した水電気分解を介してゼロのCO2排出を伴って生成されたH2である。ブルーH2は、0.97kg CO2/kg H2までの排出原単位を示し、例えば、炭素捕捉による水蒸気メタン改質によって生成され得る。(van Cappellen,L.,Croezen,H.& Rooijers,F.“Feasibility Study into Blue Hydrogen”.CE Delft,2018)。
【0024】
水素と合わさり、且つrWGSに供される煙道ガスの画分のCO2含量は有利にはできるだけ高い。画分の水含量は好ましくはできるだけ低い。特に、煙道ガス画分は、少なくとも80容量%、好ましくは、少なくとも90容量%、より好ましくは、少なくとも98容量%のCO2を有利に含有する。その湿度レベルは有利には、0~20容量%のH2O、好ましくは、最大限でも10容量%のH2Oである。
【0025】
rWGS反応器へと送られる煙道ガス画分は、単純に排除された煙道ガスの部分であり得、したがって、同じ組成、特に、炉から排除された煙道ガスと同じCO2及びH2O含量を有する。好ましくは、rWGSへと送られる煙道ガスの画分は、炉から排除された煙道ガスのCO2含量より高いCO2含量、及び/又は炉から排除された煙道ガスのそれより低い水含量、好ましくは、より高いCO2含量及びより低いH2O含量の両方を有する。
【0026】
このようなCO2が濃縮された煙道ガス画分は、煙道ガスからCO2以外の1つ若しくは複数の成分を部分的又は完全に除去することによって得られる。CO2が濃縮された煙道ガス画分を得るための特に有効な方法は、例えば、水凝縮によってそこからの水を除去(除湿)することによる。煙道ガスから水を凝縮によって抽出するために、煙道ガスを水凝縮温度又はそれ未満に冷却する。有用な実施形態によると、CO2が濃縮された煙道ガス画分は、水凝縮ステップの下流及びrWGS反応の上流で、好ましくは、排除された煙道ガスから回収された残留熱を使用して再加熱される。
【0027】
水に加えて、他の物質、例えば、粉塵粒子を凝縮の間に煙道ガス画分から除去し得る。必要又は適当である場合、1つ若しくは複数のさらなる煙道ガス清浄ステップをプロセスに含み得る。
【0028】
オンサイトで利用可能な廃熱を使用して、rWGS反応のために必要とされるエネルギー(熱)を提供し得る。
【0029】
炉において非ガス状投入物を熱処理するための大部分のプロセスにおいて、煙道ガスは高温にて炉から排除される。例えば、ガラス溶融は、その中で煙道ガスが操作条件及びガラスの必要条件によって1300℃~1600℃の温度にて排除される炉において通常実現される。
【0030】
このような場合、排除された煙道ガス中に存在する残留熱は、rWGS反応において使用し得る。本文脈において、表現「残留熱」は、排除された煙道ガスを介して炉から排除され、したがって、炉内の投入物に移されなかった熱エネルギーを指す。
【0031】
排除された煙道ガスが十分な残留熱を含有するとき、プロセスのエネルギー効率は、排除された煙道ガスから熱を回収することによって、及び排除された煙道ガスから回収された熱の少なくとも一部をrWGS反応に供給することによって改善させることができる。
【0032】
熱回収プロセスは、間接熱回収プロセスであり得るか、又はこれを含み得、それによって熱は、煙道ガスから固体又は流体熱回収媒体へと最初に移され、次いで、このように回収された熱は、熱回収媒体から、供給された水素へと、並びに/又は煙道ガス画分へと、並びに/又は合わせた煙道ガス画分及び水素へと、並びに/又はrWGS反応器自体へと移され、このように、rWGS反応に利用可能なものとなる。
【0033】
このように、熱は、排除された煙道ガスとの熱交換によって熱回収流体を加熱することによって煙道ガスから回収し得、このように回収された熱は、
・rWGS反応の上流で加熱された熱回収流体との熱交換によって煙道ガス画分を加熱すること、並びに/又は
・rWGS反応の上流で加熱された熱回収流体との熱交換によって供給された水素を加熱すること、並びに/又は
・加熱された熱回収流体との熱交換によって合わせた煙道ガス画分及び水素を加熱すること、並びに/又はrWGS反応が行われる反応器を加熱すること
によってrWGS反応へと供給し得る。
【0034】
熱回収プロセスはまた、すなわち、
・煙道ガス画分は、rWGS反応の上流の炉からの排除された煙道ガスとの熱交換によって加熱され、且つ/又は
・供給された水素は、rWGS反応の上流の排除された煙道ガスとの熱交換によって加熱され、且つ/又は
・合わせた煙道ガス画分及び水素及び/又はrWGS反応が起こる反応器を加熱すること
は、排除された煙道ガスとの熱交換によって加熱される
という点で中間の熱回収媒体を伴わない直接熱回収プロセスであり得るか、又はこれを含み得る。
【0035】
直接熱回収は典型的には熱交換器において行われ、ここでは、熱源として作用する流体及びそれによって加熱される流体は、熱交換表面を間にして互いに熱的接触しており、一方、前記熱交換表面によって互いに物理的に分離を保っている(混合していない)。
【0036】
rWGS反応への排除された煙道ガスから回収された熱の供給の代わりに、又はそれと組み合わせて、排除された煙道ガスから回収された熱はまた、
・酸化体事前加熱及び/又は
・燃料事前加熱及び/又は
・非ガス状投入物の乾燥及び/又は事前加熱
のために使用し得る。
【0037】
本文脈において、用語「事前加熱」は、当該の材料が炉へと導入される前に、炉へと導入される材料、例えば、酸化体、燃料、又は非ガス状投入物の全て若しくは一部の加熱を説明するために使用される。
【0038】
直接又は間接の熱交換によって酸化体及び/又は燃料を事前加熱するために炉煙道ガスからの残留熱を使用することは、当技術分野において公知である。
【0039】
炭化水素燃料の場合、そこまで燃料を事前加熱することができるレベル(温度)は、燃料クラッキングなどの現象によって制限される。
【0040】
たとえ水素がクラッキングに供されなくても、水素事前加熱によって炉へと再循環させることができる残留熱エネルギーの量は、その低い質量流量によって制限される。
【0041】
本発明のプロセスにおいて、酸化体による燃料の燃焼を用いた炉の加熱は、炉の加熱の方法、例えば、電気加熱と合わせ得る。
【0042】
燃料を酸化体と共に燃焼する様々な方法を本発明の状況において使用し得る。例えば、燃料は、炉において単一又は複数の火炎で酸化体と共に燃焼し得る。燃料はまた、段階的又は遅延燃焼を使用して炉において酸化体と共に燃焼し得る。特定の実施形態によれば、燃料は、高度に段階的な燃焼の1形態であるいわゆる無炎燃焼によって酸化体と共に燃焼し得る。これらの燃焼方法は、したがって、当技術分野において公知である。
【0043】
一実施形態によれば、プロセスに供給される水素の全ては煙道ガス画分と合わさり、上記のようなrWGS反応に供される。
【0044】
代わりの実施形態によれば、プロセスに供給される水素の第1の部分は、煙道ガス画分と合わさり、rWGS反応に供され、一方、プロセスに供給される水素のさらなる部分は、rWGS反応の反応生成物と混合して、及び/又はそれとは別々にさらなる燃料として炉へと注入される。
【0045】
特定の場合、ガス状炭化水素含有燃料がプロセスに供給され、rWGS反応生成物に加えてさらなる燃料として炉へと注入されることがまた有用であり得る。前記ガス状炭化水素含有燃料は、rWGS反応の反応生成物と混合して、及び/又はそれとは別々に炉へと注入し得る。プロセスのカーボンフットプリントをできるだけ低く保つために、炉へと注入される炭化水素含有燃料の量はできるだけ低く保たれ、且つ/又は炉へと注入される炭化水素燃料は好ましくは、再生可能な源から得られる。好ましくは、炭化水素含有燃料を用いたプロセスへのエネルギー供給は、水素を用いたプロセスへのエネルギー供給以下である。典型的には、炭化水素含有燃料を用いたエネルギー供給は、水素を用いたエネルギー供給未満(すなわち、水素を用いたエネルギー供給の100%未満)、特に、プロセスへの水素によるエネルギー供給の50%未満、好ましくは、20%未満である。しかし、運転開始の間、又は投入物の熱処理の中断の間、すなわち、rWGS反応のために投入物によってより少ないCO2が放出されるか、又はCO2が放出されないとき、より高いレベルの炭化水素含有燃料の使用が、炉を加熱するために必要とし得ることを認識されたい。
【0046】
rWGS反応生成物の燃焼による炉の加熱と、熱エネルギーの他の源、例えば、電気加熱又はさらなる燃料の燃焼(場合により両方)とを合わせることによって、それによって炉における投入物によるCO2放出のレベルとは無関係に炉の(変化する)熱必要量を満たすことが可能となるという点でプロセスの柔軟性は増加する。
【0047】
有利な実施形態によると、プロセスは、炉の即時の熱必要量を満たすように、rWGS反応の反応生成物に加えて炉へと注入されるさらなる燃料の量を自動的に調節するステップを含む。炉へと注入されるさらなる燃料の量の自動的な調節のために、すなわち、存在する場合、電気加熱、rWGS反応生成物の事前加熱、さらなる燃料の事前加熱、存在する場合、酸化体事前加熱及び投入物加熱を含めた、炉へと供給される熱エネルギーの全ての源を考慮した制御ユニットが使用される。炉へと注入されるさらなる燃料の自動的に調節される量、及びrWGS反応生成物の注入される量は、このように一緒に炉の即時の燃焼熱必要量を満たす。
【0048】
制御ユニットをまた使用して、炉へと注入される酸化体の量を調節するか、又はさらに具体的には、注入された酸化体を用いて炉へと導入される酸素の量を調節し得る。炉、及び熱処理プロセスのタイプ(例えば、投入物の性質)によって、制御ユニットは、注入される燃料の全ての燃焼のために化学量論的に必要とされる酸化体の量として、炉へと注入される酸化体の量を調節し得る。しかし、炉へと注入される酸化体の調節される量はまた、前記化学量論量とは異なり得る。例えば、炉において還元性又は酸化性雰囲気を維持するように、特に、熱処理の間の投入物の過度の酸化又は還元を回避するように、制御ユニットは酸化体の注入される量を制御し得る。制御ユニットはまた、制御されない進入空気として炉に入る酸素の量を考慮し、酸化体と共に炉へと注入される酸素の調節された量から進入空気酸素を差し引きし得る。制御ユニットはまた、投入物中に存在し得るか、又は熱処理の間に投入物によって放出され得た任意の可燃性物を考慮し、炉内で前記可燃性物を少なくとも部分的に燃焼させるように炉へと注入される酸素の量を増加させるように適合し得る。炉へと注入される酸化体の量をこのように調節及び調整するための方法及びシステムは当技術分野において公知であり、炉煙道ガス中の可燃性物質の存在及び/又はレベルを検出するための方法又はシステムを含み得る。
【0049】
さらに、熱エネルギーがまた電気加熱によって炉へと提供されるとき、制御ユニットを使用して、電気加熱、及びそれによって供給される熱エネルギーの量を調節し得る。
【0050】
使用される酸化体は空気であり得る。空気の酸素含量より高い酸素含量を有する酸化体を使用することが好ましいことが多い。例えば、酸化体は有用に、70%~100容量%、好ましくは、少なくとも85容量%、より好ましくは、少なくとも95容量%の酸素含量を有する。高酸素酸化体中の不活性なバラストガスの低減した量によって、空気中の78容量%のN2と比較して、燃焼の加熱効率を改善することができる。
【0051】
従前に示したように、本発明によると、熱処理の間に投入物によって放出されたCO2を使用して、熱処理を改善させる。供給された水素を投入物によって放出されるCO2と共にrWGS反応に供する1つの特定の効果は、炭化水素火炎により密接に似ている火炎が得られることである。熱処理の間に投入物によって放出されるCO2に加えて、又はその代わりに、外部源からのCO2をまたrWGS反応のために使用し得る。外部のCO2の使用は、運転開始の間、又は炉における投入物の熱処理が中断されるとき、又は熱処理の間に僅かなCO2を放出するか若しくはCO2を放出しない投入物が炉において処理されているとき(例えば、ガラス溶融炉におけるカレット)、例えば、水素がrWGSに供されることを可能とするのに有用である。このような場合はまた、他の源からのCO2をプロセスにおいて使用し得る。カーボンフットプリントをできるだけ低く保つために、この場合、オンサイトの他の源から利用可能なCO2を好ましくは使用する。その結果、本発明の方法は、サイトのカーボンフットプリントの低減に寄与する。
【0052】
従前に示したように、本発明は、特に、金属鉱石の化学的還元のためのプロセス以外のプロセスを含めた広範囲の熱処理プロセスに適用可能である。
【0053】
本発明は、ガラス溶融プロセス及び炉について特に関心のあるものである。
【0054】
ガラスの生成は、固体ガラス形成材料を溶融することによって溶融ガラスを生成するプロセスを含む。この目的のために、固体ガラス形成材料は炉へと導入され、ここで、これは加熱及び溶融される。この溶融プロセスはエネルギー集約型である。
【0055】
燃焼及び電気の両方は、別々に及び組み合わせて、必要な熱を生じさせるために使用されてきた。
【0056】
工業用電気ガラス溶融炉において、溶融エネルギーは、ガラス形成材料に埋め込まれた電極によって供給され(ジュール熱)、その結果、全ての生じた熱は電極を取り囲むガラス形成材料へと移される。
【0057】
電気ガラス溶融炉(EM)とまた称される100%電気工業用ガラス溶融炉は、相対的に低い資本経費を有するが、また短い寿命(2~7年)及び高エネルギーコストも有する。電気炉の経済的な継続性は、炭化水素燃料のコストと比較した電気のコストと密接に関連している。
【0058】
結果として、EMは典型的には、特殊ガラス、特に、相当な揮発性の構成物を有するガラス、例えば、フッ化物オパールガラス、ホウケイ酸塩及びレッドクリスタルのために使用される。EMは典型的には、1日当たり生成される10~100トン(tpd)の範囲のガラス生産能力を有する。世界で単に約50のEMユニットは100~250tpdの生産能力を有する。EMは世界のガラス炉の5%未満の割合を占める。
【0059】
さらに、完全にカーボンフリー電気の使用でさえ、ガラス溶融プロセスを完全に脱炭酸することができない。実際殆ど全ての場合において、二酸化炭素は溶融及び/又は精製の間に投入物によって放出される。実際には、1kgのガラスの生産は、固体ガラス形成材料中のカーボネート原料(例えば、CaCO3及びドロマイト)の解離から平均して概ね0.15kgのCO2を生じさせる。放出されるCO2の量は、ガラスのタイプ、及びまたカレットと称される再生ガラスの使用と直接関連付けられる。可能な例外は、完全にきれいな再生ガラス/カレットをベースとするガラスの生産であるが、しかしこれらのプロセスはガラス溶融工業の単に非常に小さな部分に相当する。
【0060】
ガラス形成材料の投入物によって放出されるCO2は、ガラス生産プロセスの二酸化炭素排出に寄与するだけでなく、熱エネルギーはCO2の生成の間に、及び生じたCO2の炉内雰囲気温度への加熱の間に消費され、その後、加熱されたCO2は、炉煙道ガスの一部として炉から排除されるという点で、これはまたエネルギー損失の源を構成する。このように、このCO2は炉に供給される熱の一部を吸収し、増加した量の炉煙道ガスによって炉からさらなる熱を排除するバラストとして作用する。
【0061】
大部分のガラス溶融炉は、単独で又は電気加熱と組み合わせて、それらのエネルギー必要量のための炭化水素燃料燃焼に完全に又は主に頼っている。天然ガスは長い間好ましい炭化水素燃料であった。天然ガス炉は長い寿命、平均して12年超、時には20年までの寿命を有する。
【0062】
酸素が濃縮された空気又は酸素で空気を置き換えることを可能とする新技術は、NOx排出を低減させ、且つ/又は燃焼加熱ガラス溶融炉のエネルギー効率を改善させるために開発されてきた。
【0063】
従前に示したように、ガラス溶融炉のエネルギー必要量(の一部)を電気加熱又は水素燃焼で置換することは、前記電気又は水素が再生可能資源を使用して生成されるとき、全体的なCO2排出を低減させることにおける単に一要因であり得る。
【0064】
さらに、水素火炎はより多量でなく、したがって、ガラス形成材料のより小さな被覆率(表面積に関して)を実現する。酸素が燃焼のための酸化体として使用されるとき、この問題は複雑になる。
【0065】
さらに、水素火炎は、対応する炭化水素火炎より高いH2O含量を有する。炉内雰囲気における高いH2O分圧は、溶融ガラス上の絶縁フォーム層の形成と関連付けられてきた。
【0066】
本発明のプロセスにおいて、炉がガラス溶融炉であるとき、溶融される固体ガラス形成材料は、熱処理された投入物として炉へと導入され、溶融ガラスは、熱処理された投入物として炉から取り除かれる。ガラス溶融材料がプロセス/炉における溶融に単に供されるとき、投入物が供される熱処理は溶融からなる。ガラス溶融材料がプロセス/炉における溶融及び精製の両方に供されるとき、投入物が供される熱処理は、溶融及び精製(この順番で)の組合せからなる。二酸化炭素は、上記で考察するように、その熱処理の間にガラス形成材料によって炉内雰囲気へと放出される。
【0067】
燃料中のrWGS反応生成物の存在の結果として、煙道ガス画分によるrWGS反応を伴わずに水素が燃料の一部又は全てとして炉に供給されてきた場合と比較して投入物上でより多量及びより輝く火炎が得られる。
【0068】
これは、ガラス形成材料のより有効な加熱をもたらす。
【0069】
さらに、炉内雰囲気におけるH2O分圧は、煙道ガス画分によるrWGS反応を伴わずに水素が燃料の一部又は全てとして炉に供給されてきた場合と比較してより低い。
【0070】
さらに、上記で既に示したように、投入物によって放出され、炉から煙道ガスとして排除されたCO2の一部は再循環され、炉におけるエネルギー効率を改善させるために使用される。
【0071】
ガラス溶融炉の場合、煙道ガスは、高温(例えば、1300℃~1600℃)にて排除される。このように、前記煙道ガスは高レベルの残留熱を含有し、これはrWGS反応に少なくとも部分的に供給することができる。
【0072】
結果的に、従前に記載した方法のいずれかによる煙道ガスからの熱回収は、ガラス溶融プロセスのために特に有用である。
【0073】
特定の実施形態によると、酸化体による燃料の燃焼を用いた炉の加熱を、炉の電気加熱と組み合わせる。特に、炉は、酸化体による燃料の上記の燃焼を用いて、及びガラス形成材料に埋め込まれた電極を用いての両方によって同時に加熱し得る。
【0074】
1つのこのようなプロセスによると、電気加熱を使用して、溶融プロセスをブーストする。本文脈において、「電気ブースティング」は、炉に供給されるエネルギーの5~50%、好ましくは、20~50%が電極を用いた電気加熱によって炉に供給されるプロセスを指す。
【0075】
代わりの実施形態によれば、プロセスは、ハイブリッド溶融プロセスである。ハイブリッドプロセスにおいて、炉に供給されるエネルギーの30~95%、好ましくは、50~95%は電極を用いた電気加熱によって炉に供給され、残余は燃焼による。このように、炉(炉に供給されるエネルギーの30~50%は電極を用いた電気加熱によって炉へと供給され、一方、エネルギーの残りは燃焼によって供給される)は、ブーストされた炉又はハイブリッド炉として考慮し得る。
【0076】
炉が燃焼及び電気加熱の組合せを用いて加熱されるこのようなプロセスにおいて、100%電気溶融炉についてまた通例であるように、炉は運転開始の間など燃焼によってのみ時々加熱し得ることを当業者は認識する。
【0077】
燃焼によって生じる熱を補完する電気加熱の使用はガラス溶融炉の柔軟性を増加させ、溶融ガラスの望ましい質を維持する一方で、炉の加熱をガラス形成投入物の組成における変化、及び/又はガラス生成速度(引上げ速度)の変化に適応させることをより容易にする。このように、燃焼による加熱及び電気加熱を合わせることによって、プロセスは、再生ガラスを伴う若しくは伴わないガラス形成材料の溶融のために、及び異なるタイプのガラスの溶融のために容易に使用及び調整することができる。
【0078】
本発明によるプロセスにおいて燃焼による加熱及び電気加熱を合わせることのさらなる結果は、同じ量の生成される熱について、より少ない燃焼ガスが生じることである。結果として、熱処理の間に投入物によって放出されるCO2の濃度は、燃焼によってのみ加熱される炉の場合におけるよりも高く、したがって、本発明によってH2と合わさり、rWGS反応器に送られる、高CO2煙道ガス画分を得ることがより容易になる。
【0079】
酸化体及び/若しくは燃料の事前加熱、並びに/又はガラス形成材料の乾燥及び/若しくは事前加熱によって、酸化体による燃料の燃焼を用いて炉へと熱を供給する必要性が低減するとき、同様の有利な効果が得られる。
【0080】
複数の火炎を生じさせるために複数の場所において燃料及び酸化体を炉へと注入することによって、ガラス形成材料の火炎被覆率は改善し得る。
【0081】
投入物と平行である火炎の幅が投入物に垂直な火炎の高さより小さい、いわゆる平坦火炎はまた、投入物の火炎被覆率を改善させることができる。
【0082】
段階的燃焼又は遅延燃焼は、投入物の火炎被覆率の改善を実現するためのさらなる手段である。
【0083】
プロセスに供給される唯一の燃料が、プロセスによって生じるのとは対照的に、水素であるとき、プロセスによって生じた唯一の二酸化炭素は、ガラス形成材料によって最初に放出された二酸化炭素である。煙道ガス画分を水素によるrWGS反応に供することによって得られるrWGS反応生成物の燃焼によって生成される二酸化炭素についてこれはまた当てはまる。
【0084】
本発明によるガラス溶融プロセスにおいて、炭化水素含有燃料、例えば、天然ガス又はバイオガスをまた、供給された水素に加えてプロセスに供給し得る。前記さらなる炭化水素燃料は、rWGS反応生成物と混合して及び/又はそれとは別々に炉へと注入し得る。その場合、プロセスは、炉におけるガラス形成材料によって最初に放出された二酸化炭素を生じさせるだけでなく、前記さらなる燃料の燃焼によって当初生じた二酸化炭素もまた生じさせる。
【0085】
炭化水素燃料がプロセスに供給される場合、ガラス溶融プロセスのカーボンフットプリントをできるだけ低く保つために、さらなる燃料として再生可能な源から生成された炭化水素含有燃料を使用することが好ましい。
【0086】
それと共に燃料が燃焼される酸化体は空気であり得るが、従前に考察したように、空気より高い酸素含量を有する酸化体が一般に好ましい。
【0087】
このような酸素に富んだ酸化体におけるバラストガス窒素の低減された存在又はそれどころか不存在によって、加熱プロセスの効率は増進される。さらなる利点は、再びバラストガスの低減された量又は不存在によって、より高いCO2濃度を有する煙道ガスが炉から排除され、これによって、前記排除された煙道ガスから、供給された水素と共にrWGS反応に供給されるCO2に富んだ画分を抽出することがより容易となることである。
【0088】
酸素に富んだ酸化体による燃焼の場合に通常遭遇する不都合は、空気による燃焼と比較して、これはより小さな体積を有する、すなわち、投入物のより小さな表面積をカバーする火炎を生じさせることである。これは、炉において燃焼する燃料の一部としてrWGS反応の反応生成物の注入によって本発明によって少なくとも部分的に補われる。
【0089】
ガラス溶融炉に適用される本発明によるプロセスの特定の実施形態の模式的な流れ図を示す図を参照して本発明を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】
図1は、ガラス溶融炉に適用される本発明によるプロセスの特定の実施形態の模式的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
炉13は、そこへと固体ガラス形成材料が供給端において連続的に導入され、且つそこから溶融ガラスが炉の反対端(図示せず)において連続的に取り除かれるガラス溶融炉である。炉13は、ガラス形成材料の投入物上の酸化体による燃料の燃焼によって加熱され、それによって燃焼ガスは炉内雰囲気へと導入される。
【0092】
さらに、電力10は、炉13における電極(図示せず)に供給され、炉への熱供給をブーストし得る。
【0093】
ガラス形成材料が加熱され、溶融するにつれ、これはかなりの量のCO2を含めた一連の化合物を炉内雰囲気へと放出する。
【0094】
炉は気密でないため、炉への空気の不可避な進入11が存在し、前記進入空気はまた炉内雰囲気の部分を形成する。
【0095】
このように得られたガスの混合物は、炉から煙道ガス流6として約1450℃の温度にて連続的に排除される。排除された煙道ガス流6のCO2含量は、概ね42容量%である。
【0096】
残留熱は熱交換器6aにおいて排除された煙道ガス流6から回収され、それによって煙道ガスの温度は、約512℃、すなわち、前記煙道ガス流6中に存在する水蒸気の凝縮温度をかなり上回る温度に低下する。
【0097】
冷却された煙道ガス流6bは、2つの部分:再循環煙道ガス流12及び停止流8(これはプロセスから排除される)へと分割される。特に、炉13における投入物によって新たなCO2が連続的に放出され、煙道ガスの一部としてそこから排除されるため、プロセスから停止流8を排除する必要性が生じる。停止流8なしで、プロセスにおけるCO2の量は蓄積し続ける。このようなパージはまた、プロセスからの進入空気によって導入された窒素を排除するために必要とされる。停止流8は、雰囲気へと放出される前に、例えば、1つ若しくは複数のクリーニングステップに供し得る。しかし、可能である場合、停止流8は、ガラス溶融プロセスのカーボンフットプリントを低減させるさらなる処置としてCCUSへと供される。
【0098】
冷却器15において、再循環流12はさらに冷却されて、水がそこから凝縮されることをもたらし、それによって、気相中のCO2含量が増加する。凝縮された水は、流れ5として除去される。
【0099】
少なくとも部分的に除湿された再循環流7は、概ね70容量%のCO2含量を有し、rWGS反応器14へと送られる。
【0100】
再循環流7に加えて、水素流3はまたrWGS反応器14に送られ、ここで、再循環流7からのCO2は、下記のように流れ3からの水素と反応する:
CO2+H2⇔CO+H2O。
【0101】
CO及びH2の両方を含有するこのように得られたrWGS反応生成物流9は、燃料として炉13へと注入され、炉13においてガラス形成材料の火炎被覆率を生じさせ、これは水素火炎より炭化水素燃料の燃焼を用いて得た火炎被覆率により密接に似ているが、炭化水素燃焼のさらなるCO2排出を伴わない。
【0102】
酸素に富んだ酸化体、さらに具体的には、工業用純度の酸素の流れ2は、熱交換器2aにおいて事前加熱され、その後、事前加熱された酸化体流2bは、炉13に送られ、燃料の燃焼のための燃焼酸化体としてその中に注入される。
【0103】
任意選択で、再循環流7に加えて外部源からのCO2はまた、rWGS反応器14に供給し得る。例示した実施形態では、さらなるCO2含有流4はスタティックミキサー16中で水素流3と混合され、混合されたH2+CO2流はrWGS反応器14に供給され、ここで、それは再循環流7と合わさり、rWGS反応に供される。
【0104】
任意選択で、さらなる燃料は、rWGS反応生成物流9に加えて炉13に供給され得る。例示された実施形態では、さらなる燃料流1は熱交換器1aにおいて事前加熱され、事前加熱されたさらなる燃料流1bは炉13へと送られ、事前加熱された酸化体流2bの一部と共に炉において燃焼されるようにその中に注入される。
【0105】
さらなる燃料流1、1bは、好ましくは、再生可能な源から作製された炭化水素含有燃料流であり得る。さらなる燃料流1、1bは有利にまた、最初にrWGS反応に供されることを伴わずに炉13へと注入される水素流であり得る。
【0106】
参照番号17は、例示したプロセスの熱回収アセンブリーを示す。前記熱回収アセンブリーを用いて、排除された煙道ガス流6中に存在する残留熱は熱交換器6aを用いて回収され、(a)反応器14においてrWGS反応のための熱源として、(b)熱交換器2aにおいて酸化体流2を事前加熱するための熱源として、及び(c)さらなる燃料が炉に供給されるとき、熱交換器1aにおけるさらなる燃料流1を事前加熱するための熱源として使用される。
【0107】
図の単純化された配置図において、熱回収プロセスの異なるステップは、明確さを得る理由のために別々に示す。しかし、従前に考察したように、熱交換器6aの熱回収ステップは、反応器14におけるrWGS反応への熱供給ステップ、並びに熱回収ステップにおいて回収される熱に依存する熱交換器1a及び2aの事前加熱ステップと必然的に関連していることを認識されたい。さらに、前記ステップの任意の1つは、複数のサブステップからなり得る。例えば、熱交換器6aの熱回収ステップは、高温熱回収サブステップ、それに続く低温熱回収サブステップを含み得る。しかし、また本明細書の上記で考察したように、異なる熱回収サブステップの間に回収される熱は、異なる熱供給ステップにおいて使用し得ることを当業者は認識する。rWGS反応器14においてrWGS反応へと回収された熱を供給するステップは、例えば、反応器14へと熱を供給することからなり得るか、又はまたrWGS反応器14の上流の除湿された再循環流7を加熱するサブステップを含み得る。
【0108】
[
図1]において例示したタイプの実施形態はガラス形成プロセスに限定されないが、投入物を熱処理するための他の方法に適用し得、それによって、投入物は、熱処理の間にCO
2を放出し、前記放出されたCO
2を含有する高温煙道ガスは、前記熱処理が起こる炉から排除されることが認識される。
【0109】
本発明によるプロセスを使用することによって、ガラス形成材料によって放出されるCO2(ガラス溶融プロセスのエネルギー損失に通常は寄与する)は、少なくとも部分的に再循環及び使用され、炉における投入物の加熱を改善させる。さらに、本発明はまた、炉煙道ガス中に存在する残留熱の最適化された使用を可能とする。
【国際調査報告】