(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】抗IL-13抗体を用いてアトピー性皮膚炎を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240305BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240305BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20240305BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P17/00
C07K16/24 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557731
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2022020518
(87)【国際公開番号】W WO2022197782
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523357407
【氏名又は名称】レセプトス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,サラ
(72)【発明者】
【氏名】バブコック,エリン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB18
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、治療上有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎を処置するステップを含む方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎を処置するステップを含む方法。
【請求項2】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
抗IL-13抗体が皮下に投与される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
抗IL-13抗体が、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
抗IL-13抗体が、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
アトピー性皮膚炎の処置における使用のための抗IL-13抗体又はその抗原結合断片。
【請求項22】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項23】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項21又は22に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項24】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項21から23のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項25】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項26】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項21から25のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項27】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項21から26のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項28】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項21から27のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項29】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項21から28のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項30】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項21から28のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項31】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項21から28のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項32】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項21から31のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項33】
抗IL-13抗体が皮下投与用に製剤化される、請求項21から32のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項34】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬用に製剤化される、請求項21から33のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項35】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬用に製剤化される、請求項21から34のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項36】
抗IL-13抗体が、対象に対する約300mg~約800mgの投薬用に製剤化される、請求項21から35のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項37】
抗IL-13抗体が、対象に対する約360mg~約720mgの投薬用に製剤化される、請求項21から36のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項38】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項21から37のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項39】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項21から37のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項40】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項21から37のいずれか一項に記載の使用のための抗IL-13抗体。
【請求項41】
アトピー性皮膚炎の処置用の医薬を製造するための抗IL-13抗体又はその抗原結合断片の使用。
【請求項42】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項41又は42に記載の使用。
【請求項44】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項41から43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項41から44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項41から45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項41から46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項41から47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項41から48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項41から48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項41から48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項41から51のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
抗IL-13抗体が皮下投与用に製剤化される、請求項41から52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬用に製剤化される、請求項41から53のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬用に製剤化される、請求項41から54のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
抗IL-13抗体が、約300mg~約800mgの投薬用に製剤化される、請求項41から55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
抗IL-13抗体が、対象に対する約360mg~約720mgの投薬用に製剤化される、請求項41から56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項41から57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項41から57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項41から57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎の発生率を低下させる、アトピー性皮膚炎の発生率を低下させる方法。
【請求項62】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項61から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項61から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項61から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項61から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項61から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項61から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項61から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項61から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項61から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
抗IL-13抗体が皮下に投与される、請求項61から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される、請求項61から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される、請求項61から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
抗IL-13抗体が、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される、請求項61から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
抗IL-13抗体が、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される、請求項61から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項61から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項61から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項61から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、IL-13とIL-13Rα1及びIL-13Rα2との相互作用を阻止する治療有効量の医薬組成物を、それを必要としている対象に投与するステップを含む方法。
【請求項82】
医薬組成物が抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項82又は83に記載の方法。
【請求項85】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項82から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項82から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項82から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項82から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項82から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項82から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項82から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項82から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項82から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
抗IL-13抗体が皮下に投与される、請求項82から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される、請求項82から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される、請求項82から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
抗IL-13抗体が約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される、請求項82から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
抗IL-13抗体が約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される、請求項82から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項82から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項82から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項82から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
それを必要としている対象におけるアトピー性皮膚炎の処置の有効性を判定する方法であって、
(a)治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎を処置するステップ、並びに
(b)対象が、ステップ(a)の投与を行う前の対象における末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCのベースラインレベルから、末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCのうちの1つ以上のレベルの増加又は減少を示すかどうか判定するステップ
を含む方法。
【請求項103】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項102又は103に記載の方法。
【請求項105】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項102から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項102から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項102から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項102から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項102から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項102から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項102から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項102から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項102から112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
抗IL-13抗体が皮下に投与される、請求項102から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される、請求項102から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される、請求項102から115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
抗IL-13抗体が、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される、請求項102から116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
抗IL-13抗体が、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される、請求項102から117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項102から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項102から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項102から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
アトピー性皮膚炎の少なくとも1つの症状又は兆候を処置するか又は改善する方法であって、治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象における少なくとも1つの症状を処置するか又は改善するステップを含み、少なくとも1つの症状が、掻痒症(pruritus)、皮膚乾燥、掻痒(itching)、赤色~茶色がかった灰色の皮膚の斑、引っ掻いた場合に液状物を漏出し、その上に痂皮を形成する小さく盛り上がった隆起物、肥厚性の皮膚、ひび割れた皮膚、鱗状の皮膚、生皮、皮膚過敏症、又は腫脹した皮膚である、方法。
【請求項123】
抗IL-13抗体が、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体が、
(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、
(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、
(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、
(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、
(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は
(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3
のうちの少なくとも1つを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む、請求項122又は123に記載の方法。
【請求項125】
抗IL-13抗体が、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項122~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
抗IL-13抗体が、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む、請求項122~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
抗IL-13抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項122~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
抗IL-13抗体が配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項122~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
抗IL-13抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項122~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
抗IL-13抗体がL240A変異を含む、請求項122~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
抗IL-13抗体がL241A変異を含む、請求項122~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
抗IL-13抗体が、L240A変異及びL241A変異を含む、請求項122~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
抗IL-13抗体がセンダキマブである、請求項122~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
抗IL-13抗体が皮下に投与される、請求項122~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
抗IL-13抗体が、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される、請求項122~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
抗IL-13抗体が、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される、請求項122~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
抗IL-13抗体が、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される、請求項122~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
抗IL-13抗体が、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される、請求項122~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
アトピー性皮膚炎が中程度のアトピー性皮膚炎である、請求項122~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
アトピー性皮膚炎が重度のアトピー性皮膚炎である、請求項122~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
アトピー性皮膚炎が中程度~重度のアトピー性皮膚炎である、請求項122~138のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、それを必要としている対象におけるアトピー性皮膚炎を処置するための抗IL-13抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎(AD)は、幅広い人口に影響を及ぼす一般的で慢性的な炎症性皮膚障害であり、その有病率は世界的に増加している。ADの報告された有病率は変動的であるものの、US集団及び世界人口の3~10%に影響を及ぼし、ADは子供の最大20%及び成人の3%に影響を及ぼすものと推定される(Sacotteら、Clin. Dermatol. 36:595-605 (2018))。疾病負荷が高いことと整合して、罹患者のうち約40%が中程度~重度の疾患を有し、患者の生活の質に対して重大な影響を引き起こす(Chiesaら、J. Invest. Dermatol. 139:583-90 (2019))。ADは、不安、鬱病、睡眠障害、生産性の低下、及び活動障害の増加と関連し、そのいずれも乾癬において観察される程度とほぼ等しい(Eckertら、J. Am. Acad. Dermatol. 78:54-61 (2017))。米国において実施された最近の試験では、より進歩した療法、例えばデュピルマブ(抗IL-4Rモノクローナル抗体)、全身副腎皮質ホルモン、全身免疫抑制剤、及び光線療法等と関連するコスト及び処置パターンに重点が置かれた。この試験では、中程度~重度のADを有する患者のほぼ3分の2が全身性免疫抑制剤を開始し、またデュピルマブを開始した患者の4分の1が6ヶ月以内に処置を中止したことが推定された。このような患者は、健康管理システムに対する有意な負荷となり、米国内では年間患者1人当たりおよそ$20,000のコストがかかる(Eichenfieldら、Dermatol. Ther. (Heidelb.) 10:791-806 (2020))。従って、中程度~重度のADを有する患者の複雑な医学的及び社会的必要性に対処するための処置選択肢において、更なる進歩に対する未だ対処されていない明白な必要性が存続する。
【0003】
表皮バリアの欠陥、自然免疫応答の異常調節、及び2型免疫の変化を含む多様な因子がADの病因と関わっており、複数の細胞型、サイトカイン、及びケモカインが関与する一連の複合的炎症反応において最大化する。障害性の皮膚バリアを通じてアレルゲン/抗原の浸透が強化されると、2型Tヘルパー(Th2)タイプの環境が引き起こされることが、ADを有する患者における一次バリアの欠陥とTh2分極化との間にきわめて重要な関連性が認められることから提案されている(Boguniewiczら、Immunol. Rev. 242:233-46 (2011))。ナイーブCD4+T細胞のTh2分化が、ADにおいて支配的であり、インターロイキン(IL)、主にIL-4、IL-5、及びIL-13の生成増加の原因となり、次に免疫グロブリンE (IgE)のレベル増加を引き起こす(Alexanderら、F1000Res. 8:F1000 Faculty Rev-132 (2019))。IL-4及びIL-13のいずれも、2型炎症状態に関与する重要なサイトカインである。しかしながら、ADに関与する主要なサイトカインとしてIL-13を支持するエビデンスが継続的に出現している(Bieber、Allergy 75:54-62 (2020))。
【0004】
最近まで、中程度又は重度のADに対する処置には、皮膚の水和、及び/又は局所的処置、例えば副腎皮質ホルモン、カルシニュリン阻害剤、非ステロイド系ホスホジエステラーゼ4阻害剤、タール、ビタミンD、又は希釈した漂白剤等の塗布が含まれた。中程度~重度ADに対する第一選択療法は、局所的副腎皮質ホルモン剤(TCS)を用いた処置である。局所的カルシニュリン阻害剤(TCI)は、第二選択療法として、又はTCS不耐性の患者に対する代替療法として一般的に使用される。局所療法は依然としてADで用いられる処置の主流をなすものの、このような処置は限定された有効性と関連するものとして存続する。それに加えて、TCSの長期塗布は、副作用、例えばざ瘡様の発疹、色素沈着異常、皮膚萎縮等のリスク、及び全身吸収と関連するリスクを孕む(Sidburyら、J. Am. Acad. Dermatol. 71:327-49 (2014)。
【0005】
局所的処置により適切にコントロールされない中程度又は重度のAD症例は、光線療法又はその他の全身処置(例えば、経口副腎皮質ホルモン、シクロスポリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸、及びアザチオプリン)を用いて一般的に処置される。ほとんどの患者に対して、これらの薬剤を用いて長期処置を行っても、わずかな有効性しかもたらさず、また重大な安全性問題及び長期合併症、例えば臓器毒性等の可能性を有する(Schneiderら、; Simpsonら、Semin. Cutan. Med. Surg. 36:124-30 (2017))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より最近では、生物学的及び小分子療法が、ADに対する有望な治験処置であることが証明された。特に、欧州医薬品庁及び米国食品医薬品局がデュピルマブを最近承認したが、それはAD患者にとって重要な処置の前進を代表する(Ariensら、Ther. Adv. Chronic Dis. 9:159-70 (2018))。それにもかかわらず、ADは生物学的及び臨床的不均一性を呈し(Muraroら、J. Allergy Clin. Immunol. 137:1347-58 (2016)、Czarnowickiら、J. Allergy Clin. Immunol. 143:1-11 (2019))、新規治療剤、例えばデュピルマブ等でさえも、中程度~重度のADを有する対象において様々な有効性応答を示した。デュピルマブの第III相レジストレーショナルプログラム(SOLO 1及びSOLO 2)から得られた結果は、ADが中程度~重度の患者の処置における有効性を実証した。しかしながら、ピボタル試験に登録した対象の半数未満(それぞれ38%~36%)しか、16週間の処置後、1(ほぼ寛解)又は0(寛解)に至る治験責任医師の包括的評価(Investigators’ Global Assessment; IGA)の低下を経験しなかった。これらのデータより、進歩した治療剤、例えばデュピルマブ等を用いてさえも、大部分の患者はその疾患を適切にコントロールできないことから、中程度~重症疾患を有する患者を処置する際に医師が直面するいくつかの課題が浮き彫りとなる。従って、患者転帰を改善し、疾病負荷を低下させ、そしてより進行した疾患を有するAD患者にとって利用可能な現行の処置パラダイムを更に拡張するための新規標的療法に対する未だ対処されていない高い必要性が存続する((Simpsonら(2017)、Simpsonら、N. Eng. J. Med. 375:2335-48 (2016))。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様は、アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎を処置するステップを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0008】
別の態様は、アトピー性皮膚炎の処置における使用のための抗IL-13抗体又はその抗原結合断片に関する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0009】
更なる態様は、アトピー性皮膚炎の処置用の医薬を製造するための抗IL-13抗体又はその抗原結合断片の使用に関する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬用に製剤化される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬用に製剤化される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬用に製剤化される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、対象に対する約360mg~約720mgの投薬用に製剤化される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0010】
追加の態様は、治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎の発生率を低下させる、アトピー性皮膚炎の発生率を低下させる方法に関する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0011】
別の態様は、アトピー性皮膚炎を処置する方法であって、IL-13とIL-13Rα1及びIL-13Rα2との相互作用を阻止する治療有効量の医薬組成物を、それを必要としている対象に投与するステップを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を含み、またいくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0012】
更なる態様は、それを必要としている対象におけるアトピー性皮膚炎の処置の有効性を判定する方法であって、(a)治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に投与し、これにより対象におけるアトピー性皮膚炎を処置するステップ、並びに(b)対象が、ステップ(a)の投与を行う前の対象にける末梢血液好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCのベースラインレベルから、末梢血液好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCのうちの1つ以上のレベルの増加又は減少を示すかどうか判定するステップを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0013】
追加の態様は、アトピー性皮膚炎の少なくとも1つの症状又は兆候を処置するか又は改善する方法であって、治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与し、これにより対象における少なくとも1つの症状を処置するか又は改善するステップを含み、少なくとも1つの症状が、掻痒症(prunius)、皮膚乾燥、掻痒(itching)、赤色~茶色がかった灰色の皮膚の斑、引っ掻いた場合に液体を漏出し、その上に痂皮を形成する小さく盛り上がった隆起物、肥厚性の皮膚、ひび割れた皮膚、鱗状の皮膚、生皮、皮膚過敏症、又は腫脹した皮膚である、方法に関する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、6つのCDR: CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む抗原結合ドメインを含み、抗IL-13抗体は、(a)配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、(b)配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、(c)配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、(d)配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、(e)配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、又は(f)配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、及び配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2の残基31~37を含むCDR-H1、配列番号2の残基52~67を含むCDR-H2、配列番号2の残基100~112を含むCDR-H3、配列番号3の残基24~34を含むCDR-L1、配列番号3の残基50~56を含むCDR-L2、及び配列番号3の残基89~97を含むCDR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL240A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、L240A変異及びL241A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体はセンダキマブである。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は皮下に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約100mg~約1000mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約200mg~約900mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約300mg~約800mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、約360mg~約720mgの投薬量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は重度のアトピー性皮膚炎である。いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎は中程度~重度のアトピー性皮膚炎である。
【0014】
その他の目的及び長所は、以下に続く詳細な説明を参照すれば当業者にとって明白となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
出願人は記載された問題を解決した。センダキマブは、組換えヒト化高親和性中和(免疫グロブリンG1カッパ[IgG1κ])モノクローナル抗体(mAb)である。センダキマブはヒトIL-13に対してきわめて選択的であり、そして齧歯類抗ヒトIL-13 mAbのヒト化により生成されたが、それは、ヒトQ110バリアント組換えIL-13を用いたマウスの免疫化を通じたハイブリドーマ技術を使用して同定された。文献報告により示唆されるように、センダキマブの結晶化可能な(Fc)領域である断片は、エフェクター機能を低下させるために重鎖ヒンジ/CH2領域内の残基L240A及びL241Aにおいて変異している(Hezarehら、J. Virol. 75:12161-68(2001))。センダキマブは哺乳動物細胞発現により生成される。
【0016】
IL-13は、ほとんどの白血球、マスト細胞、上皮細胞、線維芽細胞、及び平滑筋細胞を含む多数の細胞型により発現されるサイトカインである(Brightlingら、Clin. Exp. Allergy 40:42-49 (2010))。センダキマブは、野生型IL-13及びIL-13の一般的なバリアントQ110(ヒトのアレルギー性炎症と関連し、それを強化する)に対して高親和性を有する(Vladichら、J. Clin. Invest. 115:747-54 (2005))。センダキマブは、ヘリックスA及びヘリックスD内の残基から構成されるIL-13エピトープに結合する。この結合は、ひいてはIL-13がIL-13受容体アルファ1(IL-13Rα1)及びIL-13受容体アルファ2(IL-13Rα2)の両者と結合するのを阻止する(Yingら、American Thoracic Society Conference、Abstract 6644 (2010))。
【0017】
IL-13、IL-13Rα1、及びIL-13Rα2は、ADの病変皮膚において過剰発現している(Tsoiら、J. Invest. Dermatol. 139:1480-89 (2019)、Esakiら、J. Allergy Clin. Immunol. 135:153-63(2015))。それに加えて、機械的に引っ掻くこと、並びにIL-13そのものもまたIL-13 Rα2発現を上方制御する(Ulziiら、Int. J. Mol. Sci. 20:3324(2019))。引っ掻くことにより誘発されるIL-13 Rα2の上方制御は、IL-13媒介式の表皮バリア機能障害及び真皮の線維化を減弱する可能性がある。
【0018】
出願人は、抗IL-13抗体は、ADを有する対象にとって有効な治療オプションであることを見出した。抗IL-13抗体の使用など、ADに対する新規療法は、有効性を最適化する可能性がある特別な機会を提供する。
【0019】
定義
本開示ではいくつかの用語及び略号が使用される。下記の定義が提供される。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「約」又は「およそ」とは、所与の数値又は範囲から20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、又はそれ以下の範囲内にあることを意味する。
【0021】
用語「~を含むこと(comprising)」は、用語「~から実質的に構成される(consisting essentially of)」及び「~から構成される(consisting of)」により包含される実施形態を含むように意図されている。同様に、用語「~から実質的に構成される(consisting essentially of)」は、用語「~から構成される(consisting of)」により包含される実施形態を含むように意図されている。
【0022】
不定冠詞「a(1つの)」及び「an(1つの)」は、本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、反証例が明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解すべきである。
【0023】
慣用句「及び/又は」は、本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、そのように結びつけられた要素の「いずれか一方又は両方」、すなわちあるケースでは結合的に存在し、また他のケースでは非結合的に存在する要素を意味するものと理解すべきである。句「及び/又は」により特別に特定された要素以外のその他の要素が、特別に特定された要素と関連する又は関係しないに関わらず、反証例が明確に示されない限り、場合により存在する可能性がある。従って、非限定的な例として、「A及び/又はB」との記載は、非制限的言語、例えば「~を含むこと(comprising)」等と連携して使用される場合、1つの実施形態では、Bが存在しないA(場合により、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Aが存在しないB(場合により、A以外の要素を含む)、なおも別の実施形態では、A及びBの両方(場合により、その他の要素を含む)等を指し得る。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、「又は」は、上記で定義したような「及び/又は」と同一の意味を有するものと理解すべきである。例えば、リスト内のいくつかの項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は包含的であり、すなわちいくつかの又はリスト化された要素のうちの少なくとも1つの組み入れだけでなく、2以上及び場合により追加のリスト化されない項目も含むものと解釈されなければならない。明確に反示される用語、例えば「~のうちの1つのみ」若しくは「~のうちの正確に1つ」等に限り、又は特許請求の範囲で使用される場合、「~から構成される(consisting of)」は、いくつかの若しくはリスト化された要素のうちの正確に1つの要素の組み入れを指す。一般的に、用語「又は」は、本明細書で使用される場合、排他性の用語である「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、「~のうちの正確に1つ」が先行する場合、排他的代替(すなわち、「一方又は他方、但し両方ではない」)を表すものと限定して解釈されなければならない。「~から実質的に構成される(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるような、その通常の意味を有するものとする。
【0025】
用語「IL-13」及び「IL-13野生型」には、本明細書で使用される場合、Tヘルパー2細胞により主に分泌されるサイトカインが含まれる。用語「IL-13」及び「IL-13野生型」には、13kDaポリペプチドからなる単量体タンパク質が含まれる。IL-13の構造は、例えば、Moyら、J. Mol. Biol. 310:219-30(2001)に更に記載されている。用語IL-13は、標準的な組換え発現法により調製され得る組換えヒトIL-13(rhIL-13)を含むように意図されている。更に、該用語は、その他の種、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリ等におけるIL-13のオルソログ/ホモログを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示のIL-13ポリペプチド標的には、ヒトIL-13タンパク質(そのバリアント、断片、アイソフォーム、及び同属種を含む)が含まれる。ヒトIL-13のアミノ酸配列は当技術分野において公知であり、また配列番号1で表される(NCBIアクセッション番号AF043334.1(バージョン1、2010年3月10日更新)、UNIPROTアクセッション番号P35225(バージョン170、2016年3月16日レビュー済み))。
ヒトIL-13野生型の配列(配列番号1):
MALLLTTVIALTCLGGFASPGPVPPSTALRELIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFN
【0027】
用語「IL-13バリアント」(本明細書ではIL-13vと省略される)は、本明細書で使用される場合、IL-13の任意のバリアントを含む。ヒトIL-13バリアントの一例は、配列番号1のアミノ酸残基130がアルギニンからグルタミンに変化している(R130Q)。この特別なヒトIL-13バリアントの配列は当技術分野において公知である(NCBIアクセッション番号AAH96141.2(バージョン2、2014年9月23日更新))。
【0028】
IL-13リガンド/受容体システムの受容体部分は、IL-4受容体のアルファ鎖(IL-4Rα)及び2つの公知IL-13特異的結合鎖のうちの少なくとも1つを含む膜貫通受容体多量体を含む(Wynnら、Annu. Rev. Immunol. 21:425-56(2003))。作用は、転写因子である転写6のシグナルトランスジューサ及びアクチベーター(STAT6)を介して主に媒介される。
【0029】
特に、抗体又はその抗原結合断片はIL-13ポリペプチドと特異的に結合し、これによりIL-13リガンドとそのコグネート(cognate)受容体との結合を低減させるか又は中和する。同時に、IL-13抗体又はその抗原結合部分は、IL-13リガンド/受容体システムの生物学的活性の阻害及び/又は中和を引き起こす可能性がある。
【0030】
「生物学的活性」とは、本明細書で使用される場合、サイトカインのあらゆる固有の生物学的特性を指す。IL-13の生物学的特性として、GI管の粘膜を取り巻く上皮組織における、IL-13受容体との結合による炎症誘発、ケモカイン分泌強化、アレルギー性エフェクター細胞の移動増加、異形成等が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0031】
用語「特異的結合」又は「~に特異的に結合すること」とは、抗体、タンパク質、又はペプチドと第2の化学種との相互作用と関連して本明細書で使用される場合、相互作用は、化学種上の特別な構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存することを意味し、例えば、抗体はタンパク質に一般的に結合するのではなく、特定のタンパク質構造を認識し、それと結合する。抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識された「A」及び抗体を含む反応において、エピトープA(又は遊離した未標識のA)を含有する分子が存在すれば、抗体に結合する標識されたAの量は低下する。
【0032】
用語「抗体」とは、本明細書で使用される場合、4つのポリペプチド鎖、すなわち2つの重鎖(H)及び2つの軽鎖(L)、又はIg分子にとって必須のエピトープ結合特性を保持する任意のその機能的断片、変異体、バリアント、若しくは派生物から構成される任意の免疫グロブリン(Ig)分子を大まかに指す。そのような変異体、バリアント、又は誘導抗体のフォーマットは、当技術分野において公知である。その非限定的な実施形態は本明細書において議論される。1つの実施形態では、本開示の構成物及び方法において使用される抗体は、抗IL-13抗体センダキマブである。
【0033】
完全長抗体では、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてはHCVR又はVHとして省略される)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CHI、CH2、及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてはLCVR又はVLとして省略される)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が混在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域に更に細分化され得る。各VH及びVLは3つのCDR及び4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に、下記の順番: FRl、CDRl、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置構成されている。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl、及びIgA2)、又はサブクラスの分子であり得る。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号2で表される重鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は配列番号3で表される軽鎖可変領域を有する。
重鎖可変領域(配列番号2)
EVTLRESGPGLVKPTQTLTLTCTLYGFSLSTSDMGVDWIRQPPGKGLEWLAHIWWDDVKRYNPALKSRLTISKDTSKNQVVLKLTSVDPVDTATYYCARTVSSGYIYYAMDYWGQGTLVTVSS
軽鎖可変領域(配列番号3)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTISCRASQDIRNYLNWYQQKPGKAPKLLIFYTSKLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDIATYYCQQGNTLPLTFGGGTKVEIK
【0034】
抗体の「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)という用語は、本明細書で使用される場合、抗原(例えば、IL-13)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の複数の断片により実施可能であることが明らかにされている。そのような抗体の実施形態は、2つ以上の異なる抗原に特異的に結合する二重特異性、デュアル特異性、又は多重特異性のフォーマットでもあり得る。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、(i)Fab断片、VL、VH、CL、及びCHIドメインから構成される1価の断片、(ii)F(ab’)2断片(ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によりリンクした2つのFab断片を含む2価の断片)、(iii)Fd断片(VH及びCHIドメインから構成される)、(iv)Fv断片(抗体の一方のアームのVL及びVHドメインから構成される)、(v)dAb断片(Wardら、Nature 341:544-46(1989)、WO90/05144)(単一可変ドメインを含む)、及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。更に、Fv断片の2つドメインであるVL及びVHは別個の遺伝子によりコードされるものの、組換え法を使用して、VL領域及びVH領域が対形成して1価の分子を形成する単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(single chain Fv; scFv)として知られている。例えば、Birdら、Science 242:423-26(1988)、Hustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-83(1988)を参照されたい)としてそれらの作成を可能にする合成リンカーによりそれらを連結することができる。そのような単鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるように意図される。単鎖抗体のその他の形態、例えばダイアボディ等も包含される。ダイアボディは、VH及びVLドメインが単一ポリペプチド鎖上に発現された2価の二重特異性抗体であるが、しかし同一鎖上の2つのドメイン間で対形成可能となるには短すぎるリンカーを使用し、これによりドメインを別の鎖の相補的ドメインと対形成させることで2つの抗原結合部位を創出する(例えば、Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48(1993)、Poljakら、Structure 2:1121-23(1994)を参照されたい)。そのような抗体結合部分は当技術分野において公知である(Kontermann及びDubel編、Antibody Engineering (2001) Springer-Verlag. New York. 790頁(ISBN 3-540-41354-5))。
【0035】
用語「抗体コンストラクト」とは、本明細書で使用される場合、リンカーポリペプチド又は免疫グロブリン定常ドメインとリンクした本開示の1つ以上の抗原結合部分を含むポリペプチドを指す。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合により連結した2つ以上のアミノ酸残基を含み、1つ以上の抗原結合部分をリンクさせるのに使用される。そのようなリンカーポリペプチドは当技術分野において周知である(例えば、Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48(1993)、Poljakら、Structure 2: 1121-23 (1994)を参照されたい)。免疫グロブリン定常ドメインとは重鎖又は軽鎖定常ドメインを指す。ヒトIgG重鎖及び軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列は当技術分野において公知であり、また下記の表に記載される通りである。
【0036】
【0037】
なおも更に、抗体又はその抗原結合部分は、抗体又は抗体部分と1つ以上のその他のタンパク質又はペプチドとの共有結合性又は非共有結合性の会合により形成されたより大きな免疫接着分子の一部分であり得る。そのような免疫接着分子の例として、四量体scFv分子を作成するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanovら、Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101(1995))、及び2価及びビオチン化scFv分子を作成するためのシステイン残基、マーカーペプチド、及びC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanovら、Mol. Immunol. 31:1047-58(1994))が挙げられる。抗体部分、例えばFab及びF(ab’)2断片等は、従来技術、例えば全抗体のパパイン又はペプシン消化等をそれぞれ使用して、全抗体から調製され得る。それに加えて、抗体、抗体部分、及び免疫接着分子は、本明細書に記載されるような標準的な組換えDNA技術を使用して取得可能である。
【0038】
「単離された抗体」とは、本明細書で使用される場合、異なる抗原特異性を有するその他の抗体を実質的に含まない抗体を指すように意図される(例えば、IL-13に特異的に結合する単離された抗体は、IL-13以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、IL-13に特異的に結合する単離された抗体は、その他の抗原、例えば他種に由来するIL-13分子等との交差反応性を有する可能性がある。それに加えて、単離された抗体は、その他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まない可能性がある。
【0039】
用語「ヒト抗体」には、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体が含まれるように意図される。本開示のヒト抗体は、例えばCDR、特にCDR3内に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム若しくは部位特異的変異誘発により、又はin vivoでの体細胞変異により導入された変異)を含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、別の哺乳動物種、例えばマウス等の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むように意図するものではない。
【0040】
用語「組換えヒト抗体」には、本明細書で使用される場合、組換え手段により調製、発現、創出、又は単離されるすべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(Hoogenboomら、TIB Tech. 15:62-70(1994)、Azzazyら、Clin. Biochem. 35:425-45(2002)、Gavilondoら、BioTechniques 29:128-45(2002)、Hoogenboomら、Immunol. Today 21:371-78(2000))、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら、Nucleic Acids Res. 20:6287-95(1992)、Kellermannら、Curr. Opin. Biotechnol. 13:593-97(2002)、Littleら、Immunol. Today 21:364-70(2002)を参照されたい)、又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列のその他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意のその他の手段により調製、発現、創出、又は単離された抗体等が含まれるように意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体には、in vitro変異誘発(又はヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される場合、in vivo体細胞変異誘発)が施され、従って、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、それと関連するものの、in vivoのヒト抗体生殖系列レパートリー内に本来存在しない可能性がある配列である。1つの実施形態は、ヒトIL-13に結合する能力を有する完全ヒト抗体(例えばヒトIgファージライブラリー、例えば(WO2005/007699)で開示されるライブラリー等を使用すること等の、但しこれに限定されない、当技術分野において周知の技術を使用して生成可能である)を提供する。
【0041】
用語「キメラ抗体」とは、1つの種に由来する重鎖及び軽鎖可変領域配列、及び別の種に由来する定常領域配列を含む抗体、例えばヒト定常領域とリンクしたマウス重鎖及び軽鎖可変領域を有する抗体等を指す。例えば、本明細書において参照によりそのまま組み込まれるMorrison、Science 229:1202-07(1985)、Oiら、BioTechniques 4:214-21(1986)、Gilliesら、J. Immunol. Methods 125: 91-202(1989)、米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、及び同第4,816,397号を参照されたい。それに加えて、「キメラ抗体」は当技術分野で公知の技術により製造され得る。Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:851-55(1984)、Neubergerら、Nature 312:604-08(1984)、Takedaら、Nature 314:452-54(1985)を参照されたい。
【0042】
1つの実施形態では、本開示の組成物及び/又は方法で使用するためのキメラ抗体は、セクション1に記載されているマウスモノクローナル抗ヒトIL-13抗体の重鎖定常領域をヒトIgGl定常領域と置換することにより生成される。
【0043】
用語「CDR移植抗体」とは、1つの種に由来する重鎖及び軽鎖可変領域配列を含むが、しかしVH及び/又はVLのCDR領域について、その1つ以上の配列が別の種のCDR配列と置き換わっている抗体、例えば、マウスCDR(例えば、CDR3)のうちの1つ以上がヒトCDR配列と置き換わった、マウス重鎖及び軽鎖可変領域を有する抗体等を指す。
【0044】
用語「ヒト化抗体」とは、ヒト以外の種(例えば、マウス)に由来する重鎖及び軽鎖可変領域配列を含むが、しかしVH及び/又はVL配列の少なくとも一部分が、より「ヒトらしい」、すなわちヒトの生殖系列可変配列に、より類似するように変化した抗体を指す。ヒト化抗体の1つの種類は、ヒトCDR配列がヒト以外のVH及びVL配列内に導入され、対応するヒト以外のCDR配列と置き換わっているCDR移植抗体である。1つの実施形態では、ヒト化抗ヒトIL-13抗体及び抗原結合部分が提供される。そのような抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用してマウス抗IL-13モノクローナル抗体を取得することと、それに後続する、in vitroでの遺伝子工学、例えばWO2005/123126で開示されるもの等を使用するヒト化により生成された。ヒトIg配列は当技術分野において公知である。例えば、本明細書において参照によりそのまま組み込まれる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Dept. Health(1983)を参照されたい。そのようなインポートされた配列は、当技術分野において公知なように、免疫原性を低下させるか、又は結合性、親和性、会合速度、解離速度、アビディティー、特異性、半減期、若しくは任意のその他の適する特性を低下させ、強化又は改変するのに使用可能である。
【0045】
ヒトフレームワーク領域内のフレームワーク残基は、抗原結合性を変化させ、そしていくつかの実施形態では改善するために、CDRドナー抗体由来の対応する残基と置換し得る。このようなフレームワーク置換は、当技術分野において周知の方法により、例えば、CDR及びフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を特定することにより、及び配列比較を行って特別な位置にある稀なフレームワーク残基を特定することにより特定される(例えば、本明細書において参照によりそのまま組み込まれる米国特許第5,585,089号、Riechmannら、Nature 332:323-27(1988)を参照されたい)。三次元免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、また当業者にとってなじみ深い。選択された免疫グロブリン配列候補の考え得る三次元コンフォメーション構造を例証及び提示するコンピュータープログラムが利用可能である。このような提示を精査することで、免疫グロブリン配列候補がその機能を発揮する際に残基が有すると思われる役割を分析すること、すなわち、免疫グロブリン候補がその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基について分析することが可能になる。こうして、望ましい抗体の特徴、例えば標的抗原に対する親和性増加等が達成されるように、FR残基がコンセンサス及びインポート配列から選択及び統合され得る。一般的に、CDR残基が、抗原結合に対する影響に直接的且つ最も実質的に関与する。抗体は、当技術分野において公知の様々な技術、例えばJonesら、Nature 321:522-25(1986)、Verhoeyenら、Science 239:1534-36(1988)、Simsら、J. Immunol. 151:2296-2308(1993)、Chothiaら、J. Mol. Biol. 196:901-17(1987)、Carterら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:4285-89(1992)、Prestaら、J. Immunol. 151:2623-32(1993)、Padlan、Mol. Immunol. 28:489-98(1991)、Studnickaら、Protein Eng. 7:805-14(1994)、Roguskaら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:969-73(1994)、WO91/09967、PCT/US98/16280、PCT/US96/18978、PCT/US91/09630、PCT/US91/05939、PCT/US94/01234、PCT/GB89/01334、PCT/GB91/01134、PCT/GB92/01755、WO90/14443、WO90/14424、WO90/14430、EP229246、EP592,106、EP519,596、EP239,400、米国特許第5,565,332号、同第5,723,323号、同第5,976,862号、同第5,824,514号、同第5,817,483号、同第5,814,476号、同第5,763,192号、同第5,723,323号、同第5,766,886号、同第5,714,352号、同第6,204,023号、同第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,225,539号、同第4,816,567号に記載されているもの等、但しこれらに限定されない様々な技術を使用してヒト化することが可能であり、上記文献のそれぞれは、そこで引用された参考資料を含め、本明細書において参照によりそのまま組み込まれる。
【0046】
その他の種類のライブラリーは、抗原と結合するクローンに対して明らかな偏りを有しない遺伝子の起源に由来する抗体断片から構成され得る。従って、「ナイーブ抗体」又は「天然の抗体」ライブラリーは、天然の免疫化されない再構成後のV遺伝子に由来する。
【0047】
完全縮重又は特別に適合させた縮重のエリアを1つ以上のV遺伝子のCDR内に導入するin vitro法により、「合成抗体」ライブラリーが完全構築される。「半合成ライブラリー」は、自然多様性及び合成多様性を併せ持ち、また機能的多様性について所望のレベルを維持しつつ、自然多様性を増加させるために多くの場合創出される。従って、そのようなライブラリーは、例えば、天然CDR領域をシャッフリングすることにより(Soderlindら、Nat. Biotechnol. 18:852-56(2000))、又はヒトB細胞に由来する天然に再配置されたCDR配列を合成CDR1及びCDR2多様性と組み合わせることにより(Hoetら、Nat. Biotechnol. 23:344-38(2005))創出可能である。本開示は、ナイーブ/天然、合成及び半合成の抗体ライブラリー又は任意のこれらの組合せの使用を包含する。
【0048】
用語「Kabatナンバリング」、「Kabat定義」、及び「Kabatラベリング」は、本明細書では交換可能に使用される。当技術分野において公認されているこれらの用語は、抗体又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域内のその他のアミノ酸残基よりも可変性(すなわち、高度可変性)であるアミノ酸残基をナンバリングするシステムを指す(Kabatら、Ann. NY Acad. Sci. 190:382-91(1971)、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242 (1991))。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体の重鎖可変領域の場合、高度可変領域は、CDR1について配列番号2のアミノ酸位置31~37、CDR2について配列番号2のアミノ酸位置52~67、及びCDR3について配列番号2のアミノ酸位置100~112の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体の軽鎖可変領域の場合、高度可変領域は、CDR1について配列番号3のアミノ酸位置24~34、CDR2について配列番号3のアミノ酸位置50~56、及びCDR3について配列番号2のアミノ酸位置89~97の範囲に及ぶ。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「アクセプター」及び「アクセプター抗体」とは、1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列について、その少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%を提供するか又はコードする抗体又は核酸配列を指す。いくつかの実施形態では、用語「アクセプター」とは、定常領域を提供するか又はコードする抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。なおも別の実施形態では、用語「アクセプター」とは、フレームワーク領域及び定常領域のうちの1つ以上を提供するか又はコードする抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。特別な実施形態では、用語「アクセプター」とは、フレームワーク領域の1つ以上のアミノ酸配列について、その少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%を提供するか又はコードするヒト抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。この実施形態に基づき、アクセプターは、ヒト抗体の1つ以上の特定位置において生ずることがない、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は少なくとも10個のアミノ酸残基を含有し得る。アクセプターフレームワーク領域及び/又はアクセプター定常領域は、例えば生殖系列抗体遺伝子、成熟した抗体遺伝子、機能的な抗体(例えば、当技術分野において周知されている抗体、開発段階にある抗体、又は市販の抗体)に由来するか又はそれらから取得され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「CDR」とは、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域それぞれには3つのCDR(可変領域毎にCDR1、CDR2、及びCDR3と命名される)が存在する。用語「CDRセット」とは、本明細書で使用される場合、抗原に結合する能力を有する単一の可変領域内に生ずる3つのCDRの群を指す。これらCDRの正確な境界は、システムが異なればその定義も相違する。Kabatにより記載されるシステム(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)及び(1991))は、抗体の任意の可変領域に適用される明確な残基ナンバリングシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを定義する精密な残基境界も提供する。これらのCDRはKabat CDRと呼ばれることがある。Chothia及び共同研究者(Chothiaら、J. Mol. Biol. 196:901-17(1987)、Chothiaら、Nature 342:877-83(1989))は、Kabat CDR内のある特定部分の一部分は、アミノ酸配列のレベルで顕著な多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格コンフォメーションを採ることを見出した。この部分の一部分は、L1、L2、及びL3、又はHI、H2、及びH3と命名され、「L」及び「H」は軽鎖領域及び重鎖領域をそれぞれ指す。この領域は、Chothia CDR(Kabat CDRと重複する境界を有する)と呼ばれることがある。Kabat CDRと重複するCDRを定義するその他の境界は、Padlan、FASEB J. 9:133-39(1995)、及びMacCallum、J. Mol. Biol. 262:732-45(1996)により記載されている。なおもその他のCDR境界の定義は、上記システムの1つに厳密には追随していない場合があるけれども、それにもかかわらずKabat CDRと重複するが、但し特定の残基若しくは残基の群又はCDR全体が抗原結合に有意に影響を及ぼさないという予測又は実験的知見に鑑み、それらは短縮又は伸長され得る。いくつかの実施形態はKabat又はChothiaを使用するものの、本明細書において使用される方法は、これらのシステムのいずれかに基づき定義されたCDRを利用する場合がある。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「カノニカル」残基とは、Chothiaら、J. Mol. Biol. 196:901-07(1987)、Chothiaら、J. Mol. Biol. 227:799-817(1992)(いずれも本明細書において参照により組み込まれる)が定義するような、特定のカノニカルCDR構造を定義するCDR又はフレームワーク内の残基を指す。Chothiaらによれば、多くの抗体のCDRのきわめて重要な部分は、アミノ酸配列のレベルにおいて顕著な多様性があるにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格コンフォメーションを有する。各カノニカル構造は、ループを形成するアミノ酸残基の連続するセグメントに関して、一連のペプチド骨格回旋角を主に規定する。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「ドナー」及び「ドナー抗体」とは、1つ以上のCDRを提供する抗体を指す。いくつかの実施形態では、ドナー抗体とは、フレームワーク領域が取得されるか又はその元となる抗体とは異なる、ある種に由来する抗体である。ヒト化抗体の文脈において、用語「ドナー抗体」とは、1つ以上のCDRを提供する非ヒト抗体を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」とは、可変領域からCDRを除いた残りの配列を指す。CDR配列の正確な定義は異なるシステムにより決定可能であるので、フレームワーク配列の意味は、それに対応して異なる解釈に付される。また、6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3、並びに重鎖のCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)は、各鎖上において、軽鎖及び重鎖上のフレームワーク領域を4つの細分領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)にやはり分割し、CDR1はFR1及びFR2の間、CDR2はFR2及びFR3の間、並びにCDR3はFR3及びFR4の間に位置する。特定の細分領域をFR1、FR2、FR3、又はFR4として規定しない場合、フレームワーク領域は、別の呼び方では、単一の天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内のFRの組合せとして表される。本明細書で使用される場合、FRは4つの細分領域の1つを表し、そしてFR(複数)はフレームワーク領域を構成する4つの細分領域の2つ以上を表す。
【0054】
ヒト重鎖及び軽鎖アクセプター配列は当技術分野において公知である。本開示の1つの実施形態では、ヒト重鎖及び軽鎖アクセプター配列は、米国特許第7,915,388号(その内容は本明細書において参照により組み込まれる)で開示される表3及び表4に記載されている配列から選択される。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「生殖系列抗体遺伝子」又は「遺伝子断片」とは、特定の免疫グロブリンの発現について、遺伝子再配列及び変異を引き起こす成熟プロセスを経なかった非リンパ系細胞によりコードされる免疫グロブリン配列を指す(例えば、Shapiroら、Crit. Rev. Immunol. 22:183-200(2002)、Marchalonisら、Adv. Exp. Med. Biol. 484:13-30(2001)を参照されたい)。本開示の様々な実施形態により提供される長所の1つは、生殖系列抗体遺伝子は、成熟した抗体遺伝子よりも、種内の個体に特徴的な必須アミノ酸配列構造を保存する可能性が高く、したがってその種において治療的に使用される場合、外来起源に由来するものとして認識される可能性がより低いという認識に起因する。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「重要な(key)」残基とは、特にヒト化抗体において、抗体の結合特異性及び/又は親和性に対してより大きな影響を有する可変領域内のある特定の残基を指す。重要な残基として、CDRに隣接する残基、潜在的グリコシル化部位(N-又はO-グリコシル化部位のいずれかであり得る)、稀な残基、抗原と相互作用する能力を有する残基、CDRと相互作用する能力を有する残基、カノニカル残基、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間の接触残基、Vernierゾーン内の残基、並びに可変重鎖CDR1のChothia定義と第1の重鎖フレームワークのKabat定義の間でオーバーラップする領域内の残基のうちの1つ以上が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト化抗体」は、目的とする抗原と免疫特異的に結合し、そしてヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む抗体、又はそのバリアント、誘導体、アナログ、若しくは断片である。本明細書で使用される場合、CDRの文脈において用語「実質的に」とは、ヒト以外の抗体CDRのアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上同一のアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)の実質的にすべて、少なくとも1つ、及び一般的に2つを含み、その場合、CDR領域のすべて又は実質的にすべてがヒト以外の免疫グロブリンのそれに対応し(すなわち、ドナー抗体)、及びフレームワーク領域のすべて又は実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれである。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、一般的にヒト免疫グロブリンのそれも含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖並びに少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含有する。抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域も含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体はヒト化軽鎖のみを含有する。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体はヒト化重鎖のみを含有する。特別な実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖のヒト化可変ドメイン及び/又はヒト化重鎖のみを含有する。
【0058】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、並びにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を非限定的に含む任意のアイソタイプから選択され得る。ヒト化抗体は、2以上のクラス又はアイソタイプに由来する配列を含み得るが、また特定の定常ドメインが、当技術分野において周知されている技術を使用して所望のエフェクター機能を最適化するために選択され得る。
【0059】
ヒト化抗体のフレームワーク及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークは、その部位あるCDR又はフレームワーク残基がドナー抗体又はコンセンサスフレームワークのいずれにも対応しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入、及び/又は欠失により変異が誘発され得る。いくつかの実施形態では、そのような変異は、しかしながら広範囲に及ばない。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、又はそれ以上は、親のFR及びCDR配列のそれに対応する。本明細書で使用される場合、用語「コンセンサスフレームワーク」とは、コンセンサス免疫グロブリン配列内のフレームワーク領域を指す。本明細書で使用される場合、用語「コンセンサス免疫グロブリン配列」とは、関連する免疫グロブリン配列のファミリー内の最も頻繁に生ずるアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成される配列を指す(例えば、Winnaker、From Genes to Clones (Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany 1987)を参照されたい)。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列内の各位置は、ファミリー内のその位置で最も頻繁に生ずるアミノ酸により占有される。2つのアミノ酸が同じ頻度で生ずる場合、いずれかがコンセンサス配列内に含まれ得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、重鎖ヒンジ/CH2領域内の残基L240A及び/又はL241Aにおいて変異している。
【0061】
いくつかの実施形態では、ヒト化抗IL-13抗体はセンダキマブである。センダキマブは、配列番号2(重鎖可変領域)及び配列番号3(軽鎖可変領域)の配列を有する。センダキマブは、インターロイキン13(IL-13)のへリックスA及びDと顕著な親和性を有して結合するヒト化抗体である(米国特許公開第2014/0341913号を参照されたい)。センダキマブは、重鎖ヒンジ/CH2領域内の残基L240A及びL241Aにおいて変異を含む。
【0062】
用語「活性」には、活性、例えば抗体、例えばIL-13抗原と結合する抗IL-13抗体の抗原に対する結合特異性/親和性、及び/又は抗体、例えばIL-13に対する結合性がIL-13の生物学的活性を阻害する抗IL-13抗体の中和能力等が含まれる。
【0063】
用語「エピトープ」には、免疫グロブリン又はT細胞受容体に対して特異的に結合する能力を有する任意のポリペプチド決定基が含まれる。ある特定の実施形態では、エピトープ決定基は、分子の化学的に活性な表在基、例えばアミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニル等を含み、またある特定の実施形態では、特異的三次元構造特性及び/又は特別な電荷特性を有し得る。エピトープは、抗体が結合する抗原の領域である。ある特定の実施形態では、抗体は、タンパク質及び/又はマクロ分子からなる複合した混合物内のその標的抗原を選好的に認識する場合、抗原に特異的に結合すると言われる。
【0064】
あらゆる公知の方法が抗体-抗原相互作用を検出するのに採用され得る。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)は、例えば、BIACOREシステム(Pharmacia Biosensor社、Piscataway、N.J.)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度における変化を検出することにより、生体特異的相互作用の分析を可能にする光学現象である。Jonssonら、Ann. Biol. Clin. 51:19-26(1993)、Jonssonら、Biotechniques 11:620-27(1991)、Johnssonら、J. Mol. Recognit. 8:125-31(1995)、及びJohnnsonら、Anal. Biochem. 198:268-77(1991)を参照されたい。
【0065】
本開示の方法の文脈で使用される抗IL-13抗体は、pH依存性結合特性を有し得る。例えば、本開示の方法で使用される抗IL-13抗体は、中性pHと比較して酸性pHにおいて、IL-13に対する結合性の低下を示す可能性がある。或いは、本開示の抗IL-13抗体は、中性pHと比較して酸性pHにおいて、その抗原に対する結合性の強化を示す場合もある。表現「酸性pH」は、約6.2未満、例えば、約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0、又はそれ未満のpH値を含む。本明細書で使用される場合、表現「中性pH」とは、約7.0~約7.4のpHを意味する。表現「中性pH」は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、及び7.4のpH値を含む。
【0066】
特定の事例では、「中性pHと比較して酸性pHにおけるIL-13に対する結合性の低下」は、酸性pHにおけるIL-13に対する抗体結合性のKD値と、中性pHにおけるIL-13に対する抗体結合性のKD値との比に関して表現される(又はその逆も成り立つ)。例えば、抗体又はその抗原結合断片は、抗体又はその抗原結合断片が約3.0以上の酸性/中性KD比を示す場合には、本開示の目的に照らせば、「中性pHと比較して、酸性pHにおけるIL-13に対する結合性の低下」を示すとみなされ得る。ある特定の例示的な実施形態では、本開示の抗体又は抗原結合断片に関する酸性/中性KD比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0、又はそれ以上であり得る。
【0067】
pH依存性結合特性を有する抗体は、例えば、中性pHと比較した酸性pHにおける特定の抗原に対する結合性の低下(又は強化)について抗体の集団をスクリーニングすることにより取得され得る。更に、アミノ酸レベルで抗原結合ドメインを改変すれば、pH依存性の特性を有する抗体が取得され得る。例えば、抗原結合ドメイン(例えば、CDR内の)の1つ以上のアミノ酸をヒスチジン残基と置換することにより、中性pHと比較して酸性pHにおいて抗原結合性が低下した抗体が取得され得る。
【0068】
上記の抗体は、望ましい特性、例えば生理学的安定性、半減期の増加、バイオアベイラビリティーの増加等を実現するために、その他の部分及び/又は薬剤にコンジュゲートし得る。用語「抗体コンジュゲート」とは、結合タンパク質、例えば第2の化学部分、例えば治療剤又は細胞傷害剤等と化学的にリンクした抗体等を指す。その他の事例では、化学部分は、診断用薬剤、例えば放射性リガンドであり得る。用語「薬剤」は、化学物質、化学物質の混合物、生物学的マクロ分子、又は生体物質から作成された抽出物を表すのに本明細書において使用される。
【0069】
いくつかの実施形態では、治療剤又は細胞傷害剤として、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシ アントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、並びにそのアナログ又はホモログが挙げられるが、但しこれらに限定されない。用語「~を制御する」及び「~を調節する」は、交換可能に使用され、また本明細書で使用される場合、目的とする分子の活性(例えば、IL-13の生物学的活性)における変化(change)又は変化(alteration)を指す。調節は、目的とする分子の特定の活性又は機能の大きさの増加又は減少であり得る。分子の例示的活性及び機能として、結合特性、酵素活性、細胞受容体活性化、及びシグナル伝達が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0070】
同様に、用語「モジュレーター」とは、本明細書で使用される場合、目的とする分子の活性又は機能(例えば、IL-13の生物学的活性)を変化(changing)又は変化(altering)させる能力を有する化合物を指す。例えば、モジュレーターは、モジュレーターが存在しない場合に観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子の特定の活性又は機能の大きさにおいて増加又は減少を引き起こす可能性がある。ある特定の実施形態では、モジュレーターは、分子の少なくとも1つの活性又は機能の大きさを減少させる阻害剤である。例示的阻害剤として、タンパク質、ペプチド、抗体、ペプチボディ、炭水化物、又は小型の有機分子が挙げられるが、但しこれらに限定されない。ペプチボディは、例えばWO01/83525に記載されている。
【0071】
用語「アゴニスト」とは、本明細書で使用される場合、目的とする分子と接触すると、アゴニストが存在しない場合に観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子の特定の活性又は機能の大きさの増加を引き起こすモジュレーターを指す。目的とするアゴニストの具体例として、IL-13ポリペプチド、又はIL-13と結合するポリペプチド、核酸、炭水化物、若しくは任意のその他の分子を挙げ得るが、但しこれらに限定されない。
【0072】
用語「アンタゴニスト」又は「阻害剤」とは、本明細書で使用される場合、目的とする分子と接触すると、アンタゴニストが存在しない場合に観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子の特定の活性又は機能の大きさの減少を引き起こすモジュレーターを指す。目的とするアンタゴニストの具体例として、IL-13及び/又はIL-13vの生物学的又は免疫学的活性をブロック又は調節するものが挙げられる。IL-13及び/又はIL-13vのアンタゴニスト及び阻害剤として、IL-13若しくはIL-13vと結合するタンパク質、核酸、炭水化物、又は任意のその他の分子を挙げ得るが、但しこれらに限定されない。
【0073】
用語「受容体との結合を阻害すること」とは、IL-13が1つ以上のその受容体と結合するのを阻止する結合タンパク質の能力を指す。受容体とのそのような結合阻害は、IL-13がその一受容体又は複数受容体に結合することにより媒介される生物学的活性の低減又は無効化を引き起こす。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」又は「治療有効量」とは、障害の重症度及び/又は期間、又は1つ以上のその症状を低下させるか又は改善し、障害の進行を防止し、障害の退化を引き起こし、障害と関連する1つ以上の症状の再発、発達、発現、若しくは進行を防止し、障害を検出し、或いは別の療法(例えば、予防剤又は治療剤)の予防又は治療効果を強化又は改善するのに十分である抗体又はその抗原結合部分の量を指す。
【0075】
医薬組成物
本開示は、IL-13抗体又はその抗原結合部分を対象に投与するステップを含み、IL-13抗体又その抗原結合部分が医薬組成物内に含まれる方法を含む。医薬組成物は、適する移送性、送達性、忍容性等を提供する、好適な担体、賦形剤、及びその他の薬剤と共に製剤化され得る。多くのふさわしい製剤が、すべての製薬化学者にとって公知の処方集に見出され得る: Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa。このような製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)を含有する小胞(例えば、LIPOFECTIN(商標)等)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型及び油中水型エマルジョン、カーボワックス乳剤(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、及びカーボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。Powell、J. Pharm. Sci. Technol. 52:238-311(1998)も参照されたい。
【0076】
様々な送達システムが公知であり、また医薬組成物を投与するのに使用可能であり、例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、変異体ウイルス発現能力を有する組換え細胞、受容体介在性エンドサイトーシスである(Wuら、J. Biol. Chem. 262:4429-32(1987)を参照されたい)。投与の方法として、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が挙げられるが、但しこれらに限定されない。組成物は、任意の好都合な経路、例えば、輸液又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜ライニング(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜等)を通じた吸収により投与され得るが、またその他の生物学的に活性な薬剤と共に投与され得る。
【0077】
医薬組成物は標準的な針及びシリンジを用いて皮下又は静脈内に送達可能である。それに加えて、皮下送達に関して、ペン送達デバイスが医薬組成物を送達する際の適用を容易にする。そのようなペン送達デバイスは、再利用可能又はディスポーザブルであり得る。再利用可能なペン送達デバイスは、医薬組成物を収納する交換可能なカートリッジを一般的に利用する。カートリッジ内のすべての医薬組成物が投与され、そしてカートリッジが空になると、空のカートリッジは容易に廃棄可能であり、そして医薬組成物を収納する新しいカートリッジに置き換わる。ペン送達デバイスは、従って再使用可能である。ディスポーザブルペン送達デバイスでは、交換可能なカートリッジが存在しない。その代わりに、ディスポーザブルペン送達デバイスは、デバイス内のリザーバー中に保持された医薬組成物により事前充填されることとなる。リザーバーの医薬組成物がなくなれば、デバイス全体が廃棄される。
【0078】
特定の状況では、医薬組成物は制御放出システムで送達可能である。1つの実施形態では、ポンプが使用され得る。別の実施形態では、ポリマー材料が使用可能であり、Medical Applications of Controlled Release、Langer及びWise(編)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.を参照されたい。なおも別の実施形態では、制御放出システムは、組成物の標的の近傍に配置されることがあり、従って全身的投与の一部分のみを必要とする(例えば、Goodson、1984、in Medical Applications of Controlled Release、supra、2巻、115-138頁を参照されたい)。その他の制御放出システムは、Langer、Science 249:1527-33(1990)によるレビューにおいて議論されている。
【0079】
注射用調製物は、静脈内、皮下、皮内、及び筋肉内注射、点滴注入等のための投与剤形を含み得る。これらの注射用調製物は公知の方法により調製され得る。例えば、注射用調製物は、例えば、注射用として慣習的に使用される滅菌水性媒体又は油性媒体内で、上記抗体又はその塩を溶解、懸濁、又は乳化することにより調製され得る。注射用の水性媒体の場合、例えば生理食塩水、グルコース及びその他の補助剤を含有する等張液等が存在し、適する可溶化剤、例えばアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ひまし油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]等と組み合わせて使用され得る。油性媒体の場合、例えばゴマ油、ダイズ油等が採用され、可溶化剤、例えばベンジルベンゾエート、ベンジルアルコール等と組み合わせて使用され得る。そのように調製された注射剤は、いくつかの実施形態では、適するアンプル中に充填される。
【0080】
上記した経口又は非経口で使用するための医薬組成物は、有効成分の用量に適合させるのに適する単位用量で投与剤形に調製される。そのような単位用量の投与剤形として、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が挙げられる。
【0081】
本開示の文脈において使用可能である抗IL-13抗体を含む例示的医薬組成物は、例えば、その全内容が本明細書において参照により明示的に組み込まれる米国特許出願第2012/0097565号に開示されている。
【0082】
本開示は、上記IL-13抗体及びその抗原結合部分、並びに薬学的に許容される担体のうちの1つ以上を含む医薬組成物を提示する。更に、関連する実施形態では、本開示は、上記IL-13抗体及びその抗原結合部分、並びに診断テスト用の複数の試薬、バッファー、及び担体のうちの1つ以上を含む診断用組成物を提示する。この態様によれば、医薬組成物は、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、又は筋肉内投与用に製剤化され得る。なおも更にこの態様によれば、医薬組成物はマイクロニードルパッチとして皮下投与用に製剤化され得る。医薬組成物は、ボーラス注射によるか又は時間をかけた段階的な潅流による非経口投与用に製剤化され得る。診断組成物は、in vitro、in vivo、又はex vivoでのアプリケーション用に製剤化され得る。
【0083】
上記IL-13抗体及びその抗原結合部分を医薬組成物及び/又は診断用組成物に製剤化するのに使用される例示的薬剤は、本明細書において参照により組み込まれる米国特許出願第2014/0341913号に提示されている。特に、上記IL-13抗体及びその抗原結合部分を、ADを処置するための医薬組成物に製剤化するのに使用される例示的薬剤は、本明細書において参照により組み込まれる米国特許出願第2015/0017176号に提供されている。
【0084】
用法・用量
本開示の方法に基づき対象に投与されるIL-13抗体又はその抗原結合部分の量は、一般的に治療有効量である。
【0085】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、約800mg、約810mg、約820mg、約830mg、約840mg、約850mg、約860mg、約870mg、約880mg、約890mg、約900mg、約910mg、約920mg、約930mg、約940mg、約950mg、約960mg、約970mg、約980mg、約990mg、約1000mg、約1010mg、約1020mg、約1030mg、約1040mg、約1050mg、約1060mg、約1070mg、約1080mg、約1090mg、約1100mg、又はそれ以上の抗IL-13抗体又はその抗原結合部分であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、約100mg~約1100mg、約120mg~約1100mg、約140mg~約1100mg、約160mg~約1100mg、約180mg~約1100mg、約200mg~約1100mg、約220mg~約1100mg、約240mg~約1100mg、約260mg~約1100mg、約280mg~約1100mg、約300mg~約1100mg、約320mg~約1100mg、約340mg~約1100mg、約360mg~約1100mg、約380mg~約1100mg、約400mg~約1100mg、約420mg~約1100mg、約440mg~約1100mg、約460mg~約1100mg、約480mg~約1100mg、約500mg~約1100mg、約520mg~約1100mg、約540mg~約1100mg、約560mg~約1100mg、約580mg~約1100mg、約600mg~約1100mg、約620mg~約1100mg、約640mg~約1100mg、約660mg~約1100mg、約680mg~約1100mg、約700mg~約1100mg、約720mg~約1100mg、約740mg~約1100mg、約760mg~約1100mg、約780mg~約1100mg、約800mg~約1100mg、約820mg~約1100mg、約840mg~約1100mg、約860mg~約1100mg、約880mg~約1100mg、約900mg~約1100mg、約920mg~約1100mg、約940mg~約1100mg、約960mg~約1100mg、約980mg~約1100mg、約1000mg~約1100mg、約1020mg~約1100mg、約1040mg~約1100mg、約1060mg~約1100mg、約1080mg~約1100mg、約100mg~約1080mg、約120mg~約1080mg、約140mg~約1080mg、約160mg~約1080mg、約180mg~約1080mg、約200mg~約1080mg、約220mg~約1080mg、約240mg~約1080mg、約260mg~約1080mg、約280mg~約1080mg、約300mg~約1080mg、約320mg~約1080mg、約340mg~約1080mg、約360mg~約1080mg、約380mg~約1080mg、約400mg~約1080mg、約420mg~約1080mg、約440mg~約1080mg、約460mg~約1080mg、約480mg~約1080mg、約500mg~約1080mg、約520mg~約1080mg、約540mg~約1080mg、約560mg~約1080mg、約580mg~約1080mg、約600mg~約1080mg、約620mg~約1080mg、約640mg~約1080mg、約660mg~約1080mg、約680mg~約1080mg、約700mg~約1080mg、約720mg~約1080mg、約740mg~約1080mg、約760mg~約1080mg、約780mg~約1080mg、約800mg~約1080mg、約820mg~約1080mg、約840mg~約1080mg、約860mg~約1080mg、約880mg~約1080mg、約900mg~約1080mg、約920mg~約1080mg、約940mg~約1080mg、約960mg~約1080mg、約980mg~約1080mg、約1000mg~約1080mg、約1020mg~約1080mg、約1040mg~約1080mg、約1060mg~約1080mg、約100mg~約1060mg、約120mg~約1060mg、約140mg~約1060mg、約160mg~約1060mg、約180mg~約1060mg、約200mg~約1060mg、約220mg~約1060mg、約240mg~約1060mg、約260mg~約1060mg、約280mg~約1060mg、約300mg~約1060mg、約320mg~約1060mg、約340mg~約1060mg、約360mg~約1060mg、約380mg~約1060mg、約400mg~約1060mg、約420mg~約1060mg、約440mg~約1060mg、約460mg~約1060mg、約480mg~約1060mg、約500mg~約1060mg、約520mg~約1060mg、約540mg~約1060mg、約560mg~約1060mg、約580mg~約1060mg、約600mg~約1060mg、約620mg~約1060mg、約640mg~約1060mg、約660mg~約1060mg、約680mg~約1060mg、約700mg~約1060mg、約720mg~約1060mg、約740mg~約1060mg、約760mg~約1060mg、約780mg~約1060mg、約800mg~約1060mg、約820mg~約1060mg、約840mg~約1060mg、約860mg~約1060mg、約880mg~約1060mg、約900mg~約1060mg、約920mg~約1060mg、約940mg~約1060mg、約960mg~約1060mg、約980mg~約1060mg、約1000mg~約1060mg、約1020mg~約1060mg、約1040mg~約1060mg、約100mg~約1040mg、約120mg~約1040mg、約140mg~約1040mg、約160mg~約1040mg、約180mg~約1040mg、約200mg~約1040mg、約220mg~約1040mg、約240mg~約1040mg、約260mg~約1040mg、約280mg~約1040mg、約300mg~約1040mg、約320mg~約1040mg、約340mg~約1040mg、約360mg~約1040mg、約380mg~約1040mg、約400mg~約1040mg、約420mg~約1040mg、約440mg~約1040mg、約460mg~約1040mg、約480mg~約1040mg、約500mg~約1040mg、約520mg~約1040mg、約540mg~約1040mg、約560mg~約1040mg、約580mg~約1040mg、約600mg~約1040mg、約620mg~約1040mg、約640mg~約1040mg、約660mg~約1040mg、約680mg~約1040mg、約700mg~約1040mg、約720mg~約1040mg、約740mg~約1040mg、約760mg~約1040mg、約780mg~約1040mg、約800mg~約1040mg、約820mg~約1040mg、約840mg~約1040mg、約860mg~約1040mg、約880mg~約1040mg、約900mg~約1040mg、約920mg~約1040mg、約940mg~約1040mg、約960mg~約1040mg、約980mg~約1040mg、約1000mg~約1040mg、約1020mg~約1040mg、約100mg~約1020mg、約120mg~約1020mg、約140mg~約1020mg、約160mg~約1020mg、約180mg~約1020mg、約200mg~約1020mg、約220mg~約1020mg、約240mg~約1020mg、約260mg~約1020mg、約280mg~約1020mg、約300mg~約1020mg、約320mg~約1020mg、約340mg~約1020mg、約360mg~約1020mg、約380mg~約1020mg、約400mg~約1020mg、約420mg~約1020mg、約440mg~約1020mg、約460mg~約1020mg、約480mg~約1020mg、約500mg~約1020mg、約520mg~約1020mg、約540mg~約1020mg、約560mg~約1020mg、約580mg~約1020mg、約600mg~約1020mg、約620mg~約1020mg、約640mg~約1020mg、約660mg~約1020mg、約680mg~約1020mg、約700mg~約1020mg、約720mg~約1020mg、約740mg~約1020mg、約760mg~約1020mg、約780mg~約1020mg、約800mg~約1020mg、約820mg~約1020mg、約840mg~約1020mg、約860mg~約1020mg、約880mg~約1020mg、約900mg~約1020mg、約920mg~約1020mg、約940mg~約1020mg、約960mg~約1020mg、約980mg~約1020mg、約1000mg~約1020mg、約100mg~約1000mg、約120mg~約1000mg、約140mg~約1000mg、約160mg~約1000mg、約180mg~約1000mg、約200mg~約1000mg、約220mg~約1000mg、約240mg~約1000mg、約260mg~約1000mg、約280mg~約1000mg、約300mg~約1000mg、約320mg~約1000mg、約340mg~約1000mg、約360mg~約1000mg、約380mg~約1000mg、約400mg~約1000mg、約420mg~約1000mg、約440mg~約1000mg、約460mg~約1000mg、約480mg~約1000mg、約500mg~約1000mg、約520mg~約1000mg、約540mg~約1000mg、約560mg~約1000mg、約580mg~約1000mg、約600mg~約1000mg、
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【0087】
1つの実施形態では、本開示の組成物は1回投与される。別の実施形態では、組成物は毎週投与される。別の実施形態では、組成物は2週間投与される。別の実施形態では、組成物は3週間投与される。別の実施形態では、組成物は、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、2年、3年、4年、5年、10年、疾患の期間、又は対象の生存期間投与される。1つの実施形態では、組成物は皮下投与される。別の実施形態では、組成物は静脈内に投与される。1つの実施形態では、組成物は静脈内に1回投与され、それに後続して皮下投与が毎週行われる。
【0088】
医薬組成物の用量は、レシピエントの年齢、性別、健康、及び体重、同時処置の種類、もしあれば処置の頻度、並びに所望の効果の性質に応じて変化し得る。前臨床及び臨床治療薬として、又は臨床診断において使用される製剤は、診断及び処置の公認された原理を利用しながら、当業者により製造され得る。組成物の用量範囲は、所望の効果を生成するのに十分広い範囲であり得る。同様に、診断用組成物の用量は、診断、例えばin vitroやin vivoでのアプリケーションの性質に応じて変化し得る。IL-13抗体及びその抗原結合部分を診断用薬剤に製剤化する方法、例えば、抗体を、放射能標識、比色分析部分、蛍光部分、化学発光部分、酵素部分、及び免疫原性部分から選択される診断用薬剤に対してキレート化する方法は、当技術分野において公知である。
【0089】
上記組成物及び医薬調製物はキットの形態で包装され得る。用語「キット」とは、本明細書で使用される場合、コンポーネント(それと共に本開示の抗IL-13抗体を投与してADを処置する)を含む包装された製品を指す。キットは、いくつかの実施形態では、キットのコンポーネントを保持するボックス又はコンテナーを含む。ボックス又はコンテナーには、ラベル又は食品医薬品局により承認されたプロトコールが貼付される。ボックス又はコンテナーは、いくつかの実施形態では、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、又はプロピレン容器に収納される本開示のコンポーネントを保持する。容器はキャップ付きのチューブ又はビンであり得る。キットは、抗IL-13抗体を投与するためのインストラクションも含み得る。
【0090】
併用療法
用語「併用療法」とは、本明細書で使用される場合、2つ以上の治療物質、例えば抗IL-13抗体及び別の薬剤の投与を指す。その他の薬物は、抗IL-13抗体の投与と同時、その前、又はその後に投与され得る。特に、追加の薬剤は、皮膚炎障害の診断及び/又は治療において有用である薬剤である。
【0091】
慣用句「第1の薬剤と第2の薬剤との組合せ」における用語「組合せ」は、例えば、同一の薬学的に許容される担体内に溶解又は混在し得る第1の薬剤及び第2の薬剤の同時投与、又は第1の薬剤とそれに後続する第2の薬剤の投与、若しくは第2の薬剤とそれに後続する第1の薬剤の投与を含む。本開示は、従って治療処置の組合せ及び医薬組成物の組合せからなる方法を含む。
【0092】
慣用句「同時治療処置」における用語「同時」は、第2の薬剤の存在下での薬剤の投与を含む。同時治療処置法は、第1、第2、第3、又は追加の薬剤が同時投与される方法を含む。同時治療処置方法には、第1又は追加の薬剤が第2又は追加の薬剤の存在下で投与される方法も含まれ、その場合、例えば、第2又は追加の薬剤はこれまでにすでに投与されている。同時治療処置方法は、異なる主体により段階的に実行され得る。例えば、一主体が第1の薬剤を対象に投与する可能性があり、そして第2の主体が、第2の薬剤を対象に投与する可能性があり、また投与するステップは、第1の薬剤(及び追加の薬剤)が、第2の薬剤(及び追加の薬剤)の存在下での後続投与である限り、同時又はほぼ同時、又は時間を空けて実行され得る。主体と対象とは同一の実体(例えば、ヒト)であり得る。
【0093】
アトピー性皮膚炎
「アトピー性皮膚炎」、「AD」、又は「湿疹」とは、本明細書で使用される場合、皮膚の慢性炎症により特徴付けられる炎症性疾患を指す。ADの症状として、掻痒症(pruritus)(掻痒性の皮膚及び/又は掻痒感)、皮膚乾燥、特に夜間において重度であり得る掻痒(itching)、赤色~茶色がかった灰色の皮膚の斑(特に手、足、足関節、手首、頸部、上部胸部、瞼、肘や膝の屈曲部内側、及び小児期において、顔面、及び頭皮)、引っ掻いた場合に液状物を漏出し、その上に痂皮を形成する可能性がある小さく盛り上がった隆起物、肥厚性の皮膚、ひび割れた皮膚、鱗状の皮膚、生皮、皮膚過敏症、腫脹した皮膚、並びに睡眠の中断及び/又は不眠が挙げられるが、但しこれらに限定されない。ADは5歳より前に開始する頻度が最も高く、そして青年期及び成人期まで遷延し得る。一部の患者では、ADは定期的に再燃し、寛解の期間(数年間継続する可能性がある)がそれに後続する。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「~を処置する」、「~を処置すること」等は、症状を改善すること、一時的若しくは永続的に症状の原因を除去すること、又はADの症状発現を防止若しくは遅延させることを意味する。ある特定の実施形態では、本方法は、ADと関連する症状又は兆候の発生率を低下させるのに有用である。本開示の特別な実施形態は、ADと関連する少なくとも1つの症状又は兆候を処置するか又は改善するための方法と関連する。
【0095】
特に、本方法は、ADの少なくとも1つの症状又は兆候を処置するか又は改善するのに有用である。この実施形態に基づき処置可能であるADと関連する症状又は兆候として、掻痒症、皮膚乾燥、掻痒、赤色~茶色がかった灰色の皮膚の斑、引っ掻いた場合に液状物を漏出し、その上に痂皮を形成する可能性がある小さく盛り上がった隆起物、肥厚性の皮膚、ひび割れた皮膚、鱗状の皮膚、生皮、皮膚過敏症、及び腫脹した皮膚が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0096】
ADの療法に関する複数の実施形態では、本開示の方法は、AD関連マーカーのレベルが上昇している対象を処置するステップを含む。AD関連マーカーの例として、例えば、末梢血好酸球、免疫グロブリンE(IgE)、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(CCL17)/胸腺活性化制御ケモカイン(TARC)、及びケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド18(CCL18)/肺活性化制御ケモカイン(PARC)が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0097】
いくつかの実施形態では、対象又は患者は動物であり、いくつかの実施形態では、哺乳動物又は鳥である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、スイギュウ、及びウマからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、3歳未満の子供対象におけるADを処置するのに使用され得る。例えば、本方法は、1月齢、2月齢、3月齢、4月齢、5月齢、6月齢、7月齢、8月齢、9月齢、10月齢、11月齢未満、又は12月齢未満である小児対象を処置するのに使用され得る。その他の実施形態では、本開示の方法は、3歳を超える、4歳、5歳、6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳を超える、又は15歳を超える(その間のすべての年齢を含む)子供を処置するのに使用され得る。
【0099】
関連する実施形態では、本明細書の方法は、成人対象におけるADを処置するのに使用され得る。「成人」とは、年齢が、例えば16歳、17歳、18歳、19歳、20歳、25歳、30歳、40歳、50歳、60歳、70歳、80歳、90歳、又はそれ以上(その間のすべての年齢を含む)である対象を含む、少なくとも16歳である対象を意味する。
【0100】
いくつかの実施形態では、それを必要としている対象におけるADの少なくとも1つの症状を処置するか又は改善するための方法であって、ADと関連する少なくとも1つの症状を呈する対象を最初に選択するステップ、及び治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を対象に投与するステップを含む方法が本明細書に開示される。
【0101】
対象の選択
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、ADを有する対象を最初に選択するステップを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、ADと診断された対象を最初に選択するステップを含む。第2のステップは、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む本開示の組成物を投与するステップを含む。
【0102】
本実施形態の文脈において、選択ステップは、好酸球の障害に対してより罹患しやすい集団のサブセットを特定するのに使用され得る。これらの実施形態では、対象は、好酸球の障害と関連する特別な特質又は状態を示す可能性がある。例えば、それを必要としている対象はADに罹患した対象が含まれ得る。
【0103】
その他の実施形態では、選択ステップは、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を用いた療法から利益を享受する可能性がより高い集団のサブセットを特定するのに使用され得る。そのような集団のサブセットの例は、少なくとも4週間、局所薬を用いた処置に対して不耐性若しくは不適切な応答を有するか、又はADをコントロールするために少なくとも1つの全身療法を必要としたAD患者である。
【0104】
易罹患性の対象集団の選択を更に含む治療的実施形態では、方法は、ADと関連する疾患特異的マーカーを検出するための1つ以上の試薬及び/又はツールを導入するステップを含み得る。例えば、AD関連マーカーは、タンパク質マーカー、例えば上昇又は低下したIgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、又はPARC等を含み得る。上記のマーカー、例えばバイオマーカーや生理学的マーカーの組合せも採用され得る。
【0105】
本開示の実施形態は、処置未経験の対象並びにこれまでに処置された対象の処置と関連する。対象には、応答例、非応答例、難治性又は再発性の対象が含まれ得る。
【0106】
用語「処置未経験」は、ADについて積極的に処置されたことのない対象が含まれるように意図されている。ADの治療の既存モードには、例えば、局所療法(例えば、副腎皮質ホルモン、ヒドロコルチゾン、又は抗ヒスタミンクリームの使用、又は局所的副腎皮質ホルモン剤及び湿式包帯を用いた患部のラッピング)、又は光線療法(例えば、皮膚を、コントロールされた量の自然太陽光又は人工的紫外線A(UVA)及び狭帯域紫外線B(UVB)に単独で曝露するか又は医薬と共に曝露すること)が含まれる。特に、この実施形態では、局所的療法をこれまでに受けたことのある、ADに罹患している対象を処置する方法が提供される。
【0107】
従って、本開示の実施形態は、ADに対する療法をこれまでに受けたことがあり、そしてAD療法に対して非応答性であるとみなされるか、又はAD療法に対して難治性若しくは再発性であった対象におけるADの少なくとも1つの症状又は兆候について、それを処置し、その発生率を低下させ、それを予防するか又は改善するための方法であって、治療有効量の抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を対象に投与するステップを含む方法と関連する。対象は、いくつかの実施形態では、ADと関連する少なくとも1つの症状又は兆候を呈するヒト対象である。
【0108】
処置の有効性の判定
本開示のその他の態様によれば、ADを処置するための方法は、処置の有効性の判定と関連付けられる。この実施形態では、対象には、治療有効量の抗IL-13アンタゴニストを含む組成物が投与され、そしてAD関連マーカーの変化が療法の前及び/又は後にモニタリングされる。少なくとも1つのAD関連マーカー(例えば、末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及びPARC等)が、投与前の対象におけるマーカーレベルと比較して、組成物の投与後の時点において低下している場合には、療法は有効とみなされる。この実施形態では、組成物を用いた処置(又はプラセボを用いた処置)の前のマーカーレベルと比較して、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含有する組成物を用いて処置した後に、マーカーレベルが少なくとも約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上低下すれば、それは処置が有効であることを意味する。
【0109】
別の実施形態では、対象による疾患重症度の包括的評価が判断される。
【0110】
別の実施形態では、臨床医による疾患重症度の包括的評価が判断される。なおも別の実施形態では、対象による疾患重症度の包括的評価及び臨床医による疾患重症度の包括的評価を組み合わせて判断される。
【0111】
別の実施形態では、対象による疾患重症度の評価の判断は、対象において、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(処置後)の両方で実施され、その場合ベースラインと比較して、対象による疾患重症度の評価が低下すれば、処置の有効性が示唆される。
【0112】
別の実施形態では、臨床医による疾患重症度の評価の判断は、対象において、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(処置後)の両方で実施され、その場合ベースラインと比較して、臨床医による疾患重症度の評価が低下すれば、処置の有効性が示唆される。
【0113】
関連する実施形態では、組成物投与前(ベースラインレベル)、及び組成物投与後(処置後のレベル)の対象のスコア及び臨床医のスコアからなる複合物(複合スコア)について判断され、ベースラインと比較して処置後の複合スコアが低下すれば、処置の有効性が示唆される。
【0114】
当業者により認識されるように、AD関連バイオマーカーの増加又は減少は、(i)抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物を投与した後に、定義された時点で対象において測定されたバイオマーカーレベルを、(ii)抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物を投与する前に患者において測定された(すなわち、「ベースライン測定」)バイオマーカーレベルと比較することにより決定可能である。バイオマーカーが測定される定義された時点は、例えば抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物を投与した後の約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、又はそれ以上の時点であり得る。
【0115】
本開示のある特定の実施形態によれば、対象は、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物を投与した後の末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCについて、そのうちの1つ以上のレベルの増加又は減少を示し得る。例えば、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物の第1、第2、第3、又は第4の用量を投与した後の約1日目、4日目、8日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目、又は85日目において、対象は、本開示によれば、ベースライン(但し、「ベースライン」は、初回投与直前の対象における末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCのレベルとして定義される)から少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれを上回る末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、TARC、及び/又はPARCの増加又は減少を呈し得る。
【0116】
本開示は、対象が、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物を用いた療法に適するかどうかを判断するための方法も含む。例えば、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物の投与を受ける前の個人が、疾患状態を表すAD関連バイオマーカーのレベルを示す場合、個人は、従って本開示の組成物(抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物)の投与が有益である、適する患者として特定される。関連する実施形態では、本開示は、適する対象を処置するための方法を含み、その場合、適する対象はADに対してより罹患しやすい可能性がある。
【0117】
その他の実施形態では、診断方法は遺伝子発現アッセイ法の力を借りることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を用いて処置された対象は、複数の特異的及び包括的なマーカーを使用して、様々な時点において評価される。特異的マーカーは、これまでに記載されたバイオマーカー又は生理学的マーカーであり得る。
【0119】
更に、本開示の関連する実施形態は、療法の前後においてパラメーターを決定するステップを含む、ADに対する療法を受ける対象をモニタリングするための方法を提供する。その他の実施形態では、パラメーターは、対象による疾患重症度の包括的評価、臨床医による疾患重症度の包括的評価、対象の包括的印象(例えば、ウェルネススコアリングに基づく)、組織学グレード、及び疾患の病期調整後のスコア、処置期間中に現れた有害事象(TEAE)の数及び重症度(全体として「巨視的アセスメント」と呼ばれる)から選択される。
【0120】
巨視的アセスメントに基づく、AD治療のモニタリングに関係する上記の実施形態において、疾患の重症度、組織学/病期スコア、又はTEAE数を対象/臨床医が評価した際に、処置前レベルと比較して、処置後、少なくとも30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91% 92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上低下すれば、療法が有効であることが示唆される。同様に、ベターメント及び/又はウェルネススコアにおいて、処置前に取得されたスコアと比較して、処置後、少なくとも30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、若しくはそれ以上、又は少なくとも1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.8倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、若しくはそれ以上増加すれば、療法が有効であることが示唆される。
【0121】
出願人らは、本開示内のすべての引用された参考資料の全内容をことさらに組み込む。更に、量、濃度、又はその他の数値若しくはパラメーターが上限値及び下限値の範囲又はリストとして提示される場合、これは、任意の上限範囲又は数値と任意の下限範囲又は数値との任意の対から形成されるすべての範囲を、範囲が個別に開示されるかどうかを問わず、特に開示するものと理解される。数値の範囲が本明細書において列挙される場合、別途記載がなければ、範囲はその端点、並びに範囲内のすべての整数及び端数が含まれるように意図されている。範囲を定義する場合、本開示の範囲が列挙した特定の数値に限定されるようには意図されない。
【0122】
[実施例]
これは、中程度~重度のADを有する成人対象におけるセンダキマブの有効性及び安全性を評価するための国際的、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群、用量設定、第II相試験である。本試験に参加する対象は、局所薬を用いた処置に対して少なくとも4週間不耐性又は不適切な応答を有するか、又はその疾患をコントロールするためにこれまでに全身療法を必要とした者として定義される、全身療法に対する候補でもならなければならない。
【0123】
最長4週間のスクリーニング期間終了後、適格性を有する対象およそ200例(1治療群当たり対象50例)が、センダキマブ(720mg QW、720mg Q2W、又は360mg Q2W)、又はプラセボの投与を受けるようにランダム化される(1:1:1:1)。処置の割り付けは地域(日本とそれ以外の地域)別に階層化され、それ以外の地域のみ、ランダム化は、ベースラインvIGA-ADスコア(3[中程度]、又は4[重度])に基づく疾患の重症度によっても階層化される。ランダム化は、双方向自動応答技術(Interactive Response Technology; IRT)システムの使用を通じて1日目(ベースライン)に生ずる。
【0124】
センダキマブ720mg SC QW用量の全体的な利益/リスクプロファイルが、この試験において最初に探索される。これは、より高度の累積的曝露においてセンダキマブの安全性及び有効性プロファイルを更に評価する最初の臨床試験であるので、追加の安全性アセスメント、例えば、実施例2.6)に更に記載されている、オンサイト来院頻度の増加、試験データの継続的盲検化安全性レビュー、内部の安全性管理チーム(Safety Management Team; SMT)による監視、及び外部の独立したデータモニタリング委員会(Data Monitoring Committee; DMC)による監視等が、対象の安全性が適切にモニタリングされることを保証するために、本試験期間中に実施される。
【0125】
臨床検査室テスト、バイタルサイン、身体検査(身長及び体重を含む)、妊娠テスト、臨床症状アセスメント、対象が報告する転帰、血清中のセンダキマブ濃度、血清中のセンダキマブに対する抗体(免疫原性を評価する)、併用医薬、及びAEアセスメントが実施される。末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、CCL17(TARC)、及びCCL18(PARC)を含む、但しこれらに限定されない関連するバイオマーカーが、処置前及び処置後に測定される。
【0126】
AD症状を緩和するための基礎療法との同時処置は本試験の処置期間及びフォローアップ期間においては禁止されるものの、ランダム化の後に耐えがたいAD症状を経験する対象に対して、実施例4.4に記載されている救済薬の使用を採用することができる。
【0127】
この試験に対象が参加する最長期間はおよそ36週間である。
【0128】
対象は、スクリーニング期間において最長4週間参加する。対象は最長4週間継続するスクリーニング期間に参加する。処置期間において、対象は、1日目/0週目から開始して15週目に終了する、合計16回のIP投与を受ける(1週間に1回投与される)。16週目に、対象は、安全性及び有効性アセスメントのために処置の終了来院に戻る。16週目の処置の終了来院後に、対象は16週間フォローアップ期間に入り、そして安全性、臨床状態、PK/PD、及び血清中のセンダキマブに対する抗体を評価するために、2回の追加来院に戻る。初回フォローアップ来院が、処置の終了来院から8週間後(24週目)に実施され、そして最終フォローアップ/試験の終了来院が、処置の終了来院から16週間後(32週目)に実施される。
【0129】
すべての対象が16週目/処置の終了来院アセスメントを完了した後に開始するように予定されている一次分析データベースロック後まで、試験の継続実施に関与する人員について盲検化を維持すべきである。盲検化される人員として、臨床研究医師、臨床研究科学者、臨床トライアルマネージャー、治験統計担当者、データマネージャー、プログラマー、臨床研究社員を挙げることができるが、但しこれらに限定されない。
【0130】
本試験は、ヒトに使用される医薬品の登録に関する技術的要求事項の医薬品規制調和国際会議(International Council on Harmonisation; ICH)/医薬品臨床試験の実施基準(GCP)、及び該当する規制要求事項を順守して実施される。
【0131】
1.1 -対象の試験期間
本試験への対象参加の最長期間はおよそ36週間である。
【0132】
対象はスクリーニング期間において最長4週間参加する。ランダム化されたら、対象は試験の処置段階に入り、そして1日目(ベースライン)より開始して15週目に終了する、合計16回のIP投与を受ける。
【0133】
16週目に、対象は、安全性及び有効性アセスメントのために処置の終了来院に戻る。16週目の処置の終了来院の後に、対象は16週間フォローアップ期間に入り、そして安全性、臨床状態、PK/PD、及び血清中のセンダキマブに対する抗体を評価するために、2回の追加来院に戻る。処置の終了来院から8週間後(24週目)に初回フォローアップ来院が実施され、そして最終フォローアップ/試験の終了来院が、処置の終了来院から16週間後(32週目)に実施される。
【0134】
トライアルの終了
トライアルの終了は、プロトコールに事前に規定されるように、最後の対象が処置後のフォローアップを完了するために最終来院した日付、或いは一次、二次、及び/又は探査分析を必要する最後の対象から最後のデータポイントを受け取った日付のうち、いずれか遅い方の日付として定義される。
【0135】
1.2 -治験集団
1.2.1 -対象の数
中程度~重度のADを有する成人対象(18~75歳)およそ200例を国際的にランダム化する。
【0136】
1.2.2 -組み入れ基準
対象は試験に登録されるには下記の基準を満たさなければならない:
インフォームドコンセント書式(ICF)に署名するときに、対象は、18歳以上且つ75歳以下であり、及び40kg(88.2lb)以上の体重を有しなければならない。日本国内の対象は、ICFに署名するときに法定承諾年齢(20歳以上)にも達していなければならない。
【0137】
対象は、Hanifin及びRajkaにより定義されるような慢性のADであって(Tada、Japan Med. Assoc. J. 45:460-65(2002)を参照されたい)、ベースライン来院(1日目)よりも前1年以上存在するADを有する。
【0138】
対象は、ベースライン来院当日(1日目)に下記の基準のすべてを満たすこととして定義される中程度~重度の活動性及び症候性のADを有する:
BSA≧10%、及び
EASIスコア≧16、及び
vIGA-AD≧3、及び
掻痒症NRS重症度スコア≧4
【0139】
対象は、局所的処置が医学的に推奨されないか(例えば、重大な副作用、安全上のリスク、及び/又は過去の不耐性を理由として)、又は疾患をコントロールするために全身療法を必要とした場合を除き、少なくとも4週間、局所薬を用いた処置に対する不適切な応答の文書化された履歴を有しなければならない。
【0140】
不適切な応答は、下記のいずれか又はその両方として定義される:
中程度~より高い効力のTCS(適宜±TCI)の毎日投与レジメンを用い、少なくとも4週間(28日間)、又は製品処方情報により推奨される最長期間のいずれかより短い期間適用される処置を行ったが、IGA 0[寛解]~2[軽度]に匹敵する疾患活動状態の実現及び/又は維持について不奏功であった、或いは
疾患をコントロールするために全身療法が必要であった。
【0141】
対象は、ベースライン来院の前に、安定用量の局所軟化薬(店頭渡しの保湿剤)を、1日2回、7日間以上塗布する意思、そして試験全体を通じて塗布を継続する意思を有しなければならない。試験全体を通じた局所軟化薬の塗布と関連する追加要求事項については、実施例4.3を参照されたい。
【0142】
対象は、試験期間中、太陽への長期曝露を避け、そして日焼けマシン、太陽灯、又はその他の紫外線源を使用しないことを確約しなければならない。
【0143】
AD以外の何らかの理由により併用医薬、例えば吸入式副腎皮質ホルモン剤、ロイコトリエン受容体遮断薬(例えば、モンテルカスト)、又は喘息用の肥満細胞安定化薬(例えば、クロモグリク酸ナトリウム)等の投与を現在受けている対象は、安定なレジメン(本試験の1日目の前及び処置期間を通じて、新規薬物を開始しないこと、7日間又は半減期の5倍の期間のいずれかより長い期間内に投薬を変更したり又停止したりしないこととして定義される)に基づかなければならない。
【0144】
妊娠可能な女性対象は、きわめて有効な避妊方法を実践することに合意しなければならない。きわめて有効な避妊方法は、一貫して及び正しく使用した場合、単独又は併用で、年間のパール指数1%未満の不合格率を実現する方法である。妊娠可能な女性(FCBP)は、1)ある時点において初潮を迎えた、2)子宮摘出術又は両側卵巣摘出術を受けたことがない、又は3)少なくとも連続24ヶ月、自然閉経後の状態にない(がん療法後の無月経症は妊娠可能性を除外しない)(すなわち、先行する連続24ヶ月内に、時期を問わず月経を有する)女性であり、また
治験責任医師による検証に従い、試験療法開始前に妊娠テストが2回陰性でなければならない。妊娠可能な女性は、試験の過程において及び最終フォローアップ来院まで、継続的な妊娠テストを行うことに合意しなければならない。これは、対象が異性間性交からの真の禁欲*を実践する場合であっても適用される。
【0145】
試験全体を通じて中断することなく、及びIPの最終投与後の5ヶ月間、異性間性交からの真の禁欲*(1ヶ月毎にレビューされ、そしてソースを文書化しなければならない)を確約するか、又はきわめて有効な避妊を使用すること、及び順守可能であることに合意すること。
【0146】
この試験において許容される妊娠調節方法は下記の通り:
a.複合式ホルモン剤(エストロゲン及びプロゲストゲンを含有する)避妊法(経口、膣内、又は経皮的であり得る)。注記:膣内及び経皮的な複合式ホルモン剤避妊法は日本国の保健当局により承認されておらず、従ってこの地域において登録した対象にとって許容される避妊法ではない。
b.排卵の阻害と関連するプロゲストゲン単独ホルモン剤避妊法(経口、注射可能、又は移植可能であり得る)。注記:プロゲストゲン単独ホルモン剤避妊法は日本国の保健当局により承認されておらず、従ってこの地域において登録した対象にとって許容される避妊法ではない。
c.子宮内避妊具(IUD)の留置
d.子宮内ホルモン放出システム(IUS)の留置
e.両側卵管閉塞
f.パートナーの精管切除
g.禁欲
【0147】
対象は、試験全体を通じてSC注射の毎週投与を受ける意思を有する。対象は、ICFを理解し、そして何らかの試験関連アセスメント/手順が実施される前に自発的に署名しなければならない。対象は、試験来院スケジュール及びその他のプロトコール要求事項に従う意思及びその能力を有する。
【0148】
*真の禁欲は、それが対象の好ましく且つ通常のライフスタイルである場合に許容される。定期的禁欲(例えば、カレンダー法、排卵、症状体温法、排卵後避妊法)、膣外射精(性交中絶)、及び授乳性無月経法は許容される避妊方法ではない。
【0149】
1.2.3 -除外基準
下記のいずれかが存在すれば、対象は登録から除外される:
治験責任医師又は対象が実施するADの評価を妨害する活動的及び/又は共存的な炎症性皮膚状態(例えば、脂漏性皮膚炎、乾癬、急性アレルギー性接触皮膚炎等)のエビデンス。
スクリーニングとベースライン/ランダム化との間の急性的なAD再燃のエビデンス(例えば、スクリーニングとベースラインとの間でEASIスコアが2倍に増加する)。
1日目来院から7日以内の、ADのアセスメントに影響を及ぼすおそれのある局所的処置の使用(例えば、副腎皮質ホルモン、カルシニュリン阻害剤、タール、抗生物質クリーム、局所的抗ヒスタミン薬)。
ベースライン来院の前4週間以内に狭帯域UVB(NB-UVB)光線療法又は広帯域光線療法を受けた。
免疫抑制のエビデンス。対象は、全身性の免疫抑制的又は免疫調節的薬物(例えば、アザチオプリン、シクロスポリン、全身性副腎皮質ホルモン、IFN-γ、ヤヌスキナーゼ阻害剤、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル等)の投与を受けているか、又はベースライン来院の前4週間以内に受けたことがある。
免疫調節的な生物学的製剤を用いた処置は以下の通り:
a.ベースライン来院から3ヶ月以内のデュピルマブ。
b.ベースライン来院前6ヶ月以内の、リツキシマブを含む細胞枯渇型の生物学的製剤。
c.ベースライン来院前の5半減期(公知の場合)又は16週間のいずれかより長い期間内のその他の免疫調節的生物学的製剤。
d.別のIPを用いた同時処置(COVID-19に対する介入的トライアルへの参加による場合を含む)。プロスペクティブな対象は、同時IP試験に参加するか、又は本試験に対するICFに署名する前の5薬物半減期以内にIPの投与を受けていてはならない。更に、初回スクリーニング来院前に、臨床トライアルの一環としてCOVID-19治験ワクチンの投与を受けた対象の場合、治験責任医師と臨床トライアル医師との間の協議による決定に従い、ワクチンの生物学的影響が安定するまで登録を遅らせなければならない。
e.初回スクリーニング来院前1ヶ月以内の弱毒生ワクチン投与を受けたか、又は試験期間中に弱毒生ワクチンを用いたワクチン接種の必要性が予想される。何らかの弱毒生ワクチン投与は、試験期間中、最終フォローアップ来院まで禁止される。
f.これまでにセンダキマブ処置(以前にはRPC4046及びABT-308として知られている)を受けたことがある。
g.肝臓機能障害、又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)、又はアラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)の、正常範囲上限(ULN)の2倍以上である遷延性の上昇、又は総ビリルビンがULNの1.5倍。ジルベール症候群と関連する臨床的に重要ではない総ビリルビンの上昇を有する対象は参加することができる。
h.1日目の前2週間以内の全身性抗生物質、抗ウイルス薬、駆虫薬、抗原虫薬、若しくは抗真菌薬を用いた処置を必要とする活動性の慢性若しくは急性皮膚感染症、又は1日目の前1週間以内の表皮感染症。
i.活動性の寄生虫/蠕虫感染症又は寄生虫/蠕虫感染症の疑い。ランダム化の前に、臨床及び/又は検査アセスメントにより活動性感染症が除外される場合には、感染症の疑いのある対象は参加することができる。
j.治療中の感染症(標準的な医学ガイドラインにより定義され、及び実施例3.1で概説されるように、スクリーニング期間中に除外するためのテストが必要とされるB型若しくはC型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]、又は結核が含まれるが、但しこれらに限定されない)
k.スクリーニング前4週間以内の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症の既往歴。症状は完全に消散していなければならず、また臨床トライアル医師との協議を経た治験責任医師アセスメントに基づき、参加者に治験処置を受けさせるより高度のリスクに晒すような後遺症が認められない。スクリーニング期間中のSARS-CoV-2テストと関連する追加ガイダンスについては、実施例3.1.3を参照されたい。
l.妊娠中又は授乳中である。
m.免疫グロブリンG(IgG)含有薬剤に対する特発性アナフィラキシー、又は主要免疫学反応(例えば、アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、又は血清病等)の病歴。治験薬(IP)内の任意の成分に対する過敏症既知もまた除外される。
n.スクリーニングから5年以内のがん又はリンパ増殖性疾患の病歴、但し瑕疵なく処置された非転移性皮膚扁平上皮細胞若しくは基底細胞の癌、又は適切に処置されたin situ子宮頸癌を除く。
o.スクリーニングを開始する前5年以内のアルコール又は薬物乱用の履歴。
p.対象の本試験への参加を妨げるあらゆる重大な医学的状態、検査異常値、又は精神病。
q.対象が本試験に参加した場合に対象を許容されないリスクに晒す、検査異常値の存在を含むあらゆる状態。
r.本試験から得られたデータを解釈する能力を阻害するあらゆるその他の状態。
【0150】
[実施例2]-手順
試験アセスメント及び手順を本明細書に記載する。第1用量のIPを投与する日を1日目として定義する(ベースライン/投与前)。
【0151】
試験来院は午前中にスケジュール化されることが推奨される。可能な限り、アセスメントの順番は一定に保つべきであり、また試験全体を通じて1日のほぼ同一時刻に実施すべきである。
【0152】
2.1 -スクリーニング期間
スクリーニング評価を、すべての対象について試験への適格性を判断するために実施する。この評価は、以下で別途注記しない限り、IPの初回投与を受ける前28日(4週間)以内に完了しなければならない。いかなる状況によらず、この試験実施期間中には、プロトコールの適用免除は認められない。
【0153】
スクリーニング手順を、すべての対象について試験への適格性を判断するために実施する。すべてのスクリーニング手順を、IPの初回投与を受ける前4週間以内に完了しなければならない。
【0154】
携帯式デバイス上の電子式患者報告転帰(ePRO)装置が、スクリーニング来院時に対象に配布される。訓練モジュール完了後、スクリーニング期間(1日目の前)中の少なくとも最終週(7日間)について、対象は掻痒症NRSに日々記入する。しかしながら、組み入れ基準を評価するための数値を1日目に評価する(ベースライン/投与前)。
【0155】
安全性検査分析及びすべてのアセスメントを実施する。スクリーニング検査値は対象の適格性を実証しなければならない。しかしながら、必要な場合には、アナライトがスクリーニングウィンドウ内で反復され得る(及び中央検査室により分析され得る)。
【0156】
任意の試験関連手順実施前に、対象からの文書による署名及び日付が記載されたインフォームドコンセントが、治験総括医師又はその被指名者により取得されなければならない。署名されたインフォームドコンセントのコピーは、対象の記録用として対象に付与されなければならない。
【0157】
インフォームドコンセント/アセントを取得した後のスクリーニング時に、下記の評価を実施する:
●組み入れ/除外基準の評価
●人口統計学及びベースライン特性
●アトピー状態を含む既往歴(AD履歴、その他のアトピー状態、並びにAD及びその他のアトピー状態に対する過去の薬物療法についての証拠文書)、並びにAD又はその他のアトピー状態を処置するための任意の事前療法又は手順の詳細情報。事前療法及び併用療法(スクリーニング前28日以内に生ずるすべての手順を含む)。
●有害事象のアセスメントは、対象がインフォームドコンセント/アセント書式に署名したら開始する。試験の過程全体を通じて、考え得るAE又は重篤なAE(SAE)に対して継続して警戒するように、あらゆる努力が払われなければならない。対象が同意したら、AE/SAEを各試験来院時に記録する。AE/SAEの定義、モニタリング、及び報告については、実施例6を参照されたい。
●血液学、化学、凝固パネル、及び尿分析(中央検査室)。センダキマブの安全性プロファイルを評価するために、下記の安全性検査室テストを実施する:
〇血液学:赤血球(RBC)カウント、総白血球数及び白血球(WBC)百分率(好塩基球、好酸球、リンパ球、単球、及び好中球)、血小板数、ヘモグロビン(hgb)、ヘマトクリット(hct)、平均血球体積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、及び平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)。
〇血液化学:化学検査項目の必要とされるすべての時点に含まれるインデックスは、ナトリウム、カリウム、クロライド、カルシウム、マグネシウム、リン酸、血中尿素窒素、グルコース(ランダム、絶食を必要としない時点)、アルブミン、アルカリホスファターゼ、クレアチニン、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、ALT/SGPT、AST/SGOT、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アミラーゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、及びC反応性タンパク質(CRP)である。それに加えて、空腹時脂質パネル(総コレステロール、トリグリセリド、高密度リポタンパク質、及び低密度リポタンパク質)、及び空腹時血糖(ランダムグルコースの代わり)を、1日目及び6週目/EOT/ETにおいてのみ実施する。
〇凝固:プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、及び国際標準化比(INR)。
〇尿分析:白血球、比重、ビリルビン、血液、グルコース、ケトン、pH、タンパク質、及びウロビリノーゲン。
●B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及びHIVに対するテスト(中央検査室)をスクリーニング時にのみ実施する。
〇HBV: B型肝炎表面抗原(HBsAg)スクリーニングテスト及びB型肝炎コア抗体(HBcAb)テストを実施する。HBsAgについて試験結果陽性の対象は試験から除外される。HBcAbについてのみ試験結果陽性の対象の場合、HBVデオキシリボ核酸(DNA)テストを実施しなければならない。HBV DNAテストが陽性である場合には、対象は本試験から除外される。HBV DNAテストが陰性(抗ウイルス療法を用いない)であり、且つALT及びASTがULN以下である場合には、対象は本試験について適格性を有する。
〇HCV: HCV抗体(抗HCV IgG)テストを実施する。HCV抗体について試験結果陽性であり、且つ陽性の確認テスト(HCVリボ核酸[RNA])を有する対象は本試験から除外される。HCV感染症から回復したエビデンスを有し(例えば、HCV RNAについて陰性であるHCV抗体陽性対象)、及び少なくとも12週間、抗HCV療法を受けたことがない対象は参加について適格性を有する。
〇HIV: HIV抗体テストを実施する。HIVについて試験結果陽性(酵素結合免疫吸着アッセイ法[ELISA]テスト結果、ウェスタンブロットにより確認される)である対象は本試験から除外される。
●結核(TB)に関するテストを、スクリーニング時にのみ実施する。活動性TBは、現地医学実践法に基づき除外されなければならない。TBは、TB皮膚テスト、QuantiFERON Goldテスト、又はその他のインターフェロンガンマ放出アッセイ法(IGRA)(例えば、T-SPOT)を用いて評価しなければならない。潜伏性TBを有する対象は、現地標準医療による予防的処置完了についての証拠文書を有しなければならない。IGRAテストのいずれかを使用して不確定なテスト結果を得た対象は、状況に応じて、治験依頼者のメディカルモニター又はその被指名者により適格性について協議されなければならない。部分的に処置されたにすぎないか又は予防的処置を現在受けている、潜伏性TBを有する対象は、ランダム化について適格性を有しない。
●血清妊娠テスト(FCBPに限る)。血清ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)のβ-サブユニットに対するテストを、妊娠可能な女性を対象としてスクリーニング時に実施しなければならない。尿(又は血清)β-hCGを、1日目及びその後の複数の時点において実施する。尿テスト陽性の場合には、対象への投与は行われず、また血清妊娠テストによる確認を実施すべきである。スクリーニング時及び後続する各試験来院において、治験責任医師は、試験期間中の妊娠予防についてFCBP対象に助言を与える。
●身体検査:全身理学検査(心臓、肺、頭頸部、腹部、神経学的アセスメント、及び四肢の評価を含む)を実施する。
●身長及び体重
●バイタルサイン:心拍数、血圧(収縮期及び拡張期)、呼吸数、及び体温を、各来院時に評価する。座位において対象が安静となったら、血圧及び心拍を評価する。利用可能な場合には、妥当性確認済みの自動式デバイスを使用することができる。
●心電図(ECG):スクリーニング来院時にのみ、対象安静時に単極12リード式ECGを実施し、そして何らかの異常な知見があればそれを確認するために反復され得る。
●AD疾患活動性アセスメント:
〇vIGA-AD
〇EASI
〇BSA
〇掻痒症NRS
【0158】
2.1.1 -安全性検査室アセスメントに関する追加情報
サンプルの分析を中央検査室により実施する。サンプルの収集、サンプルの搬送、結果の報告、検査室参照範囲、及び異常値の警告に関する詳細を、施設開設前に、試験検査室マニュアルにおいて施設に提供する。分析の結果は、中央検査室が各施設にとって利用可能となるようにする。
【0159】
検査室安全性テストの追加及び繰り返しを、治験責任医師の裁量により現地にて実施することができる。現地の検査データは電子症例報告書(eCRF)内に収集されないので、実現可能な場合には、サンプルを、中央検査室にも送付するべきである。それに加えて、安全性検査室サンプルがAEを更に評価するために収集される場合、ADA及びPKを評価するための血清サンプルも収集され、そして実現可能な場合、中央検査室に送付することが推奨される。再テストがスクリーニング期間中に必要とされる場合には、試験への適格性を確認するのに必要とされる検査サンプル(例えば、肝機能テスト、血清学パネル等)が、中央検査室により実施されることが求められる。適格性を確認するために行う特定の検査パラメーターの再テストは、スクリーニング期間中に1回許容される。再テストしても対象がなおも適格性基準を満たさない場合には、対象はスクリーン不合格とすべきである。
【0160】
2.1.2 -対象候補のスクリーニング不合格及び再スクリーニング
スクリーン不合格は、インフォームドコンセント/アセントを提出したが、組み入れ及び/又は除外基準を満たすことができなかった対象として定義される。組み入れ/除外基準を当初満たすことができなかった対象は、治験責任医師のアセスメントに従って再スクリーニングされ得る。再スクリーニングされる対象は再同意し、そしてすべての必要とされるスクリーニング来院手順を実施することが求められる。対象は、メディカルモニターとの事前の協議を行わずに、本試験に関して追加の1回に限り再スクリーニングされ得る。
【0161】
2.1.3 -スクリーニング期間中にCOVID-19を発症する対象の再スクリーニング
無症候性のCOVID-19感染症に対する分子テストは、この試験では不要である。しかしながら、現地要求事項又は施設実践法がより厳格である場合には、現行の現地ガイダンスへの順守を保証するために、無症候性COVID-19のスクリーニングが、現地にて実施され得る。それに加えて、対象によっては、疑義的若しくは確定的な症候性のCOVID-19感染症を発症する可能性があり、又は対象がスクリーニング期間中に無症候性のCOVID-19感染症を有することが判明する。そのような場合には、対象は、活動性感染症と関連するすべての組み入れ/除外基準を満たした後、及び下記の基準を満たした後に、本試験に対して適格性を有するものとみなされ得る:
●症状の最初の出現又はテスト結果陽性から少なくとも10日(重度/きわめて重大な疾病の場合20日)が経過していること、及び
●解熱剤を使用せずに、最後の発熱から少なくとも24時間が経過していること、及び
●症状(例えば、咳嗽及び息切れ)が消散しており、そして治験責任医師の意見において、対象に治験処置を受けさせるより高度のリスクに晒すおそれのあるCOVID-19後遺症が認められないこと、及び
●施設、現地、又は地域のガイドラインに基づき、COVID-19についてフォローアップ分子テスト陰性。
【0162】
2.2 -処置期間
1日目、ランダム化に先行して、ベースラインアセスメント(検査室アセスメント及び場合による皮膚生検を含む)を治験薬投与前に完了する。治験責任医師は、対象の適格性を確認するために、入手可能なすべての情報をレビューする。
●スクリーニング検査テストはランダム化に対する適格性を判断するのに使用されるが、但し1日目のテスト結果によって確認される必要がある妊娠テストを例外とする。
●尿(又は血清)妊娠テストを、1日目に妊娠可能なすべての女性について実施し、そしてランダム化の前に結果をレビューしなければならない。妊娠テスト陰性結果を、ランダム化の前に取得しなければならない。尿妊娠テスト結果が陽性であったが、しかし偽陽性と考えられる場合には、当該施設は、妊娠状態を確認するために、現地検査室において血清妊娠テストを実施しなければならない。
●ベースライン検査テストをフォローアップテストと比較するために1日目に実施する。しかしながら、このテストの結果は、1日目のランダム化より前には入手可能ではない。
●1日目に実施されるベースラインvIGA-AD、EASI、BSA、及び対象により報告される掻痒症NRSを、対象の適格性を評価するのに使用する;vIGA-ADスコアに対する階層化データポイントをランダム化のために提供する。
【0163】
適格性が確認され、そしてベースラインアセスメントが完了した後に、適格性を有する対象は1日目に処置に対してランダム化される。後続する来院、アセスメント、及び手順を実施する。
●適格性を確認するための組み入れ/除外基準の評価(1日目のみ)
●併用療法
●AE/SAEのアセスメント。それに加えて、1日目から開始して、デバイス(すなわち、事前充填されたシリンジ)の不具合又は故障を把握すべきであり、そしてデバイス関連のAEも収集すべきである。
●血液学、化学、空腹時脂質パネル、及び尿分析
●尿妊娠テスト(FCBPに限る)
●身体検査(全身理学検査(心臓、肺、頭頸部、腹部、神経学的アセスメント、及び四肢の評価を含む)、又は省略された(中間/簡易)身体検査(これまでに指摘された異常を有し、及び/又は対象からの何らかの新規の訴えと関連するエリアを含む)を実施する。
●体重
●バイタルサイン
●血清中のセンダキマブに対する抗体
●血清中のセンダキマブPKアセスメント
●全血及び血清バイオマーカーアセスメント
●SARS-CoV-2血清学アセスメント
●政府及び現地規則に基づき適用される場合には、遺伝薬理学的アセスメントが、1日目に1回、収集される(注記、サンプルは任意の後続する来院時に取得され得る)。
●場合による皮膚生検
●AD疾患活動性及び有効性アセスメント:
〇vIGA-AD
〇EASI
〇BSA
〇SCORAD
〇掻痒症NRS
〇PROMIS睡眠障害SF
〇DLQI
〇HADS
〇IP投与
【0164】
試験全体を通じて実施される有効性アセスメント及び転帰指標の詳細な説明については実施例2.5を参照されたい。
【0165】
2.2.1 -処置の終了又は初期終了
本試験の処置段階を完了する対象(16週目)、又は何らかの理由により本試験を早期に中断する対象(すなわち、16週目に至らない対象)の場合、EOT/ET来院を実施する。本試験を早期に中断する対象の場合、試験中止時点にできる限り近接して実施される、ET来院において詳記するアセスメントを完了するようにあらゆる試みをなすべきである。定期的にスケジュール化された来院時に試験中止が生ずる場合には、ET来院及びすべての対応するET来院手順を実施すべきである。それに加えて、このような対象はフォローアップ来院のために戻るべきである。
【0166】
2.3 -フォローアップ期間
すべての対象は、実施例6.1に記載するように、AE報告のためにEOT/ET来院後の16週間フォローされ、並びにその後、時期を問わず、IPと関連すると疑われるSAEが治験責任医師に開示される。対象は、EOT/ET来院終了後の8週間及び16週間それぞれにおいて、初回(24週目)及び最終(32週目)フォローアップ来院に戻る。本試験を早期に中止する対象の場合、16週間フォローアップ期間は、本試験の処置段階の期間中に実施される最後の試験来院(例えば、ET来院)の日付に基づくべきであり、従って24週及び32週より早期に実施され得る。
【0167】
2.4 -有効性アセスメント
治験責任医師によりなされる下記の有効性アセスメントには、アトピー性皮膚炎に対する治験責任医師による包括的アセスメント(妥当性確認済み)、湿疹エリア、及び重症度インデックス、体表面積(BSA)%、及びSCORingアトピー性皮膚炎インデックスが含まれる。アトピー性皮膚炎の臨床的有効性評価が、経験を有し且つ適格性が確認された医療専門家(AD臨床トライアルの実施に経験を有する)により実施される。
【0168】
すべての有効性評価担当者は、評価を実施する前に、プロトコールに固有で且つ該当する有効性アセスメントスケール訓練を受け、それを文書化しなければならない。一貫性を保証し、そして変動を抑えるために、可能な限り、試験全体を通じて、任意の個々の対象について、同一の評価担当者がすべての皮膚科学的臨床評価を行わなければならない。指定された評価担当者が評価を実施することができない場合、裏付け経験を有し、そして適格性が確認され、プロトコール訓練を受けた評価担当者のみが稀なこととして許可される。同一の評価者がすべての試験来院時において所定の対象についてアセスメントを実施することを保証するために、あらゆる努力が払われるべきである。
【0169】
2.4.1 -妥当性確認された治験責任医師による包括的評価
vIGA-ADは、紅斑、硬結/丘疹形成、滲出/痂皮形成を含む(苔癬化は除外される)、ADの主要な急性臨床兆候の包括的重症度を評価するように意図された、妥当性確認済みの5ポイントアセスメントである。実施例1に規定するスケジュール化された来院時に、寛解(0)、ほぼ寛解(1)、軽度(2)、中程度(3)、及び重度(4)の評定を評価する。vIGA-ADはEASIアセスメントの前に実施されなければならない。IGAは、これまでの来院時に取得されたスコアに関係なく実施される静的評価である。
【0170】
2.4.2 -湿疹面積・重症度指数
EASIは、ADに罹患している4つの身体領域(頭頸部、上肢、下肢、及び体幹)のそれぞれの割合、及びADの4つの主要な兆候(例えば、紅斑、硬結/丘疹形成、表皮剥離、及び苔癬化)のそれぞれの強度に基づき治験責任医師により評価される複合スコアリングシステムであり、0(無し)、1(軽度)、2(中程度)、及び3(重度)の4ポイントスケールに基づく。4つの主要な臨床兆候の評価は、4つの身体領域:頭頸部、上肢、体幹(腋窩及び鼠径部を含む)、及び下肢(臀部を含む)について個別に実施される。全体的なEASIスコアは0~72の範囲であり、スコアが大きいほどより重症の疾患を示唆する。
【0171】
2.4.3 -体表面積
体表面積病変(Body Surface Area involvement)は、身体領域内のアトピー性皮膚炎に罹患している皮膚のハンドプリントの数の合計から計算される。身体領域内のアトピー性皮膚炎に罹患している皮膚のハンドプリント数は、ADに関わる身体領域の範囲(%)を決定するのに使用可能である。測定する場合、ハンドプリント1単位は、個々の対象それぞれの、指を閉じた状態に配置した手の大きさを指す。BSAは、5本の指すべてを密着させた掌により表される面積が対象のBSAのおよそ1%であるという1%ハンドプリント規則を使用して、治験責任医師又は適格性が確認された被指名者により計算される。
【0172】
2.4.4 -SCORingアトピー性皮膚炎インデックス
SCORADは、アトピー性皮膚炎に対する妥当性確認済みのスコアリングインデックスであり、程度(0~100)、重症度(0~18)、並びに掻痒症及び不眠(各スコア(0~10))に基づく主観的症状(0~20)を併用する。対象はアセスメントの主観的症状(掻痒及び不眠)部分を評価する。
【0173】
2.5 -対象により報告される有効性アセスメント及び転帰指標
対象により報告されるADに関連する有効性アセスメント及び転帰指標には、下記のアセスメントが含まれる:
●掻痒症数値評価スケール
●PROMIS睡眠障害簡易書式8a
●患者重視型の湿疹尺度
●皮膚病学生活の質インデックス
●病院不安及び鬱スケール
【0174】
2.5.1 -掻痒症数値評価スケール
単項目として開発及び妥当性確認された掻痒症NRS(掻痒重症度の患者により報告される転帰(PRO))を使用して、掻痒症を対象により評価する。臨床応答は、ピーク掻痒症NRSスコアにおけるベースラインからの変化(2ポイント~4ポイント以上)により表される。妥当性確認された11ポイントNRを使用しながら、最近24時間に基づいて、掻痒症の強度を0(「掻痒症無し」)~10(「想像し得る最悪の掻痒症」)の範囲で評価する。対象は、電子ダイアリーに入力して、その掻痒症の強度を、4週目まで毎日、及びその後は16週目の来院まで毎週(例えば、試験来院日/治験薬投与日)記録する。
【0175】
2.5.2 -PROMIS睡眠障害簡易書式
PROMIS睡眠障害簡易書式8aは、前週における睡眠の質、睡眠深度、及び睡眠と関連する回復について対象の認識を把握するように設計された8項目の質問からなる対象質問票である。質問票は、[項目の合計×8)÷回答した項目数]によりスコア化される。合計スコアが大きいほど、症状はより重症である。24未満の合計スコアは、睡眠障害無し~若干の睡眠障害を示唆し、24~28は軽度の障害、29~38は中程度の障害、及び38超は重度の睡眠障害を示唆する。
【0176】
対象は試験来院時にオンサイトで質問票に記入する。
【0177】
2.5.3 -患者重視型の湿疹尺度
POEMは、アトピー性湿疹重症度をモニタリングするのに使用される妥当性確認されたツールである。これは、前週における湿疹の重症度を評価するために、対象が記入する7項目質問票である。7つの質問はそれぞれ等しい重みを持ち、そして応答は0~4でスコア化され、合計スコアは0~28の範囲でスコア化される:今日までに、2例の公表された試験において、POEMの最低限度の重要な変化(minimally important change; MIC)は3ポイントであることで概ね一致した(Howell、2018)。
【0178】
対象は試験来院時にオンサイトで質問票に記入する。
【0179】
2.5.4 -皮膚病学生活の質インデックス
DLQIは、試験来院時に対象により記入される。DLQIは、対象のQOLのいくつか異なる側面に対する皮膚疾患の影響について、対象が前週においてどのように認識したか、その認識と関連する10項目の質問から構成される、自己実施型の使い易い皮膚病学固有の生活の質(QOL)質問票である。質問は0~3でスコア化され、0(生活の質に対する皮膚疾患の影響はないことを意味する)~30(生活の質に対する最大の影響を意味する)の範囲で可能性のある合計スコアをもたらす。
【0180】
2.5.5 -病院不安及び鬱病スケール(HADS)
HADSは、非精神科集団における不安及び鬱を評価する、対象により記入される質問票である。HADSは2つのサブスケール(鬱及び不安)を有し、いずれも7項目の質問を含む。回答は、前週における症状の相対的頻度に基づき、0(まったく無し)~3(非常に頻繁)の範囲の4ポイントスケールを使用する。HADSは試験来院時に対象により記入される。
【0181】
2.6 -安全性評価
この試験で評価される安全性パラメーターは実施例1で概説されており、センダキマブのこれまでに実施された臨床試験又は現在実施されている臨床試験で使用されるものと類似する。治験依頼者のメディカルモニター及び治験責任医師の両者による、臨床及び検査知見についての慎重な安全性モニタリングが本プロトコールに導入された。これは、より高度の累積的曝露においてセンダキマブの安全性及び有効性プロファイルを更に探索する最初の臨床試験であるので、追加のリスク最小化措置、例えばオンサイト来院の頻度、試験データの継続的な盲検化安全性レビュー、内部の安全性マネジメントチーム(SMT)による監視、及び外部の独立したデータモニタリング委員会(DMC)による監視等が、対象の安全性が適切にモニタリングされることを保証するために、この第II相試験全体を通じて実施される。本試験に対する追加の安全性監視措置の概要を以下にまとめる。
【0182】
2.6.1 -オンサイト来院頻度
すべての対象は、最初の3週間、通常の安全性モニタリング、IP投与、及びIP投与後30分間の観察期間のために、毎週、施設に戻る。対象は、16週間の処置期間全体を通じて、毎週クリニックに戻るか、又は3週目から開始して、対象はIP投与のために1週間おきにクリニックに戻り、その入れ替わりの週に、在宅訪問保健士により在宅にて注射投与を受けるというオプションを有し得る。
【0183】
在宅保健士オプションを利用する対象は、追加の安全性アセスメント、例えば治験責任医師及び施設職員による安全性検査サンプルの収集、及びオンサイトアセスメント等が実施可能であることを保証するために、最低2週間毎(例えば、4週目[来院5/29日目]、6週目[来院7/43日目]、8週目[来院9/57日目、10週目[来院11/71日目]、12週目[来院13/85日目]、14週目[来院15/99日目]、及び16週目[来院17/第113日目])に施設に戻る必要がある。いずれかの来院について在宅保健サービスオプションを利用する対象は、併用療法使用における何らかの変更を評価し、有害事象について評価し、治験責任医師及び施設職員により実施される安全性監視に継続性が存在することを保証するために、施設職員よりなおも連絡を受ける(24時間以内)。
【0184】
2.6.2 -盲検化された安全性データレビュー
試験の開始(最初の対象のランダム化として定義される)から、盲検化安全性レビューが、内部試験チーム/盲検化されたデータレビューチームメンバーにより継続的に実施される。それに加えて、安全性データについてもSMTにより定期的に評価され、またSMTの特定のメンバーは、継続的試験データレビュー関連の活動にも参加し得る。これらの計画されたレビューの予想される頻度を下記に概説する:
●最初の対象8例がIPを用いた処置を少なくとも4週間受けた後に、内部試験チーム及びSMTが関わる予備的な中間盲検化安全性レビューも実施される。最初の日本人対象8例が少なくとも4週間の処置を受けた後に、同様のレビューが開始される。この予備的な中間レビューの目的は、試験実施の初期において臨床的に重要な安全性知見のあらゆる可能性を評価するために、盲検化された集約的な方式でデータをレビューすることである。
●試験の開始(最初の対象のランダム化として定義される)から、継続的な盲検化安全性レビューが内部試験チーム/データレビューチームメンバーによりほぼ毎月実施される。必要な場合には、より高頻度のレビューが特別に実施され得る。
【0185】
2.6.3 -内部安全性マネジメントチーム
治験責任医師及び試験職員により実施される継続的な安全性モニタリングに付加して、累積的及び中間的な盲検化AE、AESI、SAE; AEに起因する中止;及び異常な検査知見が治験依頼者の安全性マネジメントチーム(SMT)により内部的にレビューされる。SMTは、センダキマブ開発プログラムに関わる複数の治験依頼者部門からの首席代表者から構成される。適用範囲、実施、プロセス、及び数量管理は、治験依頼者の標準業務手順書(SOP)により規定される。
【0186】
対象又は試験レベルの安全性評価、並びに任意の後続する治験実施関連の勧告及び/又は活動(SMTにより提供される)は、盲検化されたデータのみに由来してなされる。DMCは、SMTによりなされた関連する対象又は試験レベルの決定について通知を受ける。
【0187】
2.6.4 -データモニタリング委員会による安全性監視
試験チームとは独立しているDMC及びSMTが、追加レベルの安全性監視を提供するために規定されている。DMCはアドバイザーとしての立場で機能し、安全性データに関するその独立アセスメントに基づき試験チーム及びSMTに対する勧告を作成する。内部試験チーム/データレビューチーム又はSMTのメンバーは、試験又は試験の実施期間中に生じ得る関連する安全性知見(例えば、AESI、SAE、対象中止と関連する知見等)について協議するために、試験期間全体を通じて、特別にDMCと協議する場合もある。
【0188】
2.7 -抗薬物抗体アセスメント
センダキマブに対する抗体の血中レベルを評価するための血清サンプルを、投与前、EOT/ET来院時、及フォローアップ来院の様々な時点において取得する。
【0189】
サンプルの収集、処理、保管、搬送、及びテストについて順守するべき手順の詳細は、別紙試験研究室マニュアルにおいて文書化される。
【0190】
血清中センダキマブに対する抗体の発現について、センダキマブの安全性、PK、及び有効性に対する免疫原性の影響を評価するためにモニタリングする。免疫原性の影響は、PK、薬力学、及び免疫原性データの結果を総合して検討することにより評価される。必要な場合には、追加分析用としてサンプルを保管する。
【0191】
ADAについて陽性であるサンプルに対する更なる分析が、中和抗体の評価を含め、それが正当化される場合に実施され得る。サンプルは試験終了後最長5年間保管される。
【0192】
2.8 -薬物動態
センダキマブ濃度を評価するための血清サンプルを、試験来院時、EOT/ET来院時の投与前、及びフォローアップ来院の様々な時点において取得する。
【0193】
サンプル収集、処理、保管、搬送、及びテストについて順守すべき手順の詳細は、別紙試験研究室マニュアルにおいて文書化される。
【0194】
2.9 -バイオマーカー、薬力学、ファーマコゲノミクス
2.9.1 -全血及び血清バイオマーカーアセスメント
血液サンプルを、全血及び血清中の様々なバイオマーカー(末梢血好酸球、IgE、乳酸脱水素酵素、IL-13、IL-22、CCL17(TARC)、及びCCL18(PARC)が含まれ、但しこれらに限定されない)のレベルを評価するために、EOT/ET来院時の投与前及びフォローアップ来院時の様々な時点において、及びSARS-CoV-2血清学的状態の起こり得るアセスメントのために、様々な時点において取得する。国内及び現地規則に従い、SARS-CoV-2血清学(全抗SARS-CoV-2又はIgG)測定のために、血清を収集する。指摘すべきこととして、1日目(ベースライン)、EOT/ET来院時、並びに該当する場合にはSARS-CoV-2感染症が文書化されるか又は疑われたときからおよそ4週間後に、SARS-CoV-2血清学用として血清を収集する。
【0195】
IL-13一塩基多型(SNP)の特徴付けを含む、但しこれに限定されないバイオマーカーアセスメント用として、ファーマコゲノミクスサンプルを1時点においてのみ収集し、それを1日目(実施例1を参照されたい)にスケジュール化する。政府及び現地の必要な承認が得られた場合、遺伝薬理学サンプルを対象から収集する。必要な場合には、遺伝薬理学的サンプルは、試験期間中の後続する任意の時点において収集することができる。
【0196】
これらのサンプルは分析用として中央検査室に搬送される。サンプルの収集、処理、保管、及び搬送について順守すべき手順の詳細は、別紙試験研究室マニュアルにおいて文書化される。
【0197】
2.9.2 -組織バイオマーカーアセスメント
皮膚パンチ生検は場合によるが、AD患者におけるこれら療法に対する応答を完全に理解するのにきわめて重要である。将来的な試験を視野に入れるならば、できる限り多くの皮膚サンプルを手にすることで、どの組織尺度が有望な血液/血清代用特性を有し得るか、また何が生検からのみ正確に評価可能かより多くの理解を得ることも可能になる。同一のAD病変部位に由来する皮膚パンチ生検を、ベースライン、EOT/ET時、及び最終フォローアップ来院時に採取する。比較用として、隣接する非病変皮膚生検を、参照ポイントを提供するためにベースライン時に採取する。サンプルは、材料を実験用として最終的に使用するために、凍結され、ホルマリン漬けにするか、又は適宜等価プロセスに送られる(例えば、RNA抽出のための分離処理)。生検手順の詳細については、試験研究室マニュアルに提示される。
【0198】
[実施例3]-治験処置の説明
3.1 -治験薬の説明
センダキマブの有効成分は、ヒトIL-13を標的とする組換えヒト化IgG1モノクローナル抗体である。治験薬(注射用のセンダキマブ及びプラセボ溶液)は2℃~8℃で保管する。IPを凍結してはならない。ラベリングはGCP及び任意のその他の現地規制要求事項に基づく。試験期間中、IPは治験依頼者により提供される事前充填式シリンジ(PFS)内に分注される。
【0199】
センダキマブ注射液(又はプラセボ)は、180mg/mLの濃度(又はプラセボ)でPFS内に滅菌性の液体として提供され、2.0mL充填物が試験で利用され、そしてIPはカートン内に包装される(1カートン当たり2PFS)。
【0200】
IPの取り扱い、調製、分配、及び投与に関連する追加のインストラクションが、別紙試験薬局マニュアルに提示される。
【0201】
3.2 -処置投与スケジュール
2mL容積の2回注射を、180mg/mlのセンダキマブ(活性IP)又は対応するプラセボからなるPFSを使用して、1週間に1回、SC投与する。盲検化を維持するために、すべての対象は、その処置アサインメントを問わず、活性IP、プラセボ、又は両者の組合せからなる2回注射を受ける。対象は下記の処置群の1つに1:1:1:1でランダム化される:
●センダキマブ720mg SC、1週間に1回、16週間。活性IPの2回注射を介して毎週投与する。
●センダキマブ720mg SC、1週間おき、16週間。ベースライン来院時に開始し、活性IPの2回注射を投与する。それと入れ替わりの週に、プラセボの2回注射を投与する。
●センダキマブ360mg SC、1週間おき、16週間。ベースライン来院時に開始し、活性IPの1回注射、及び対応するプラセボの1回注射を投与する。それと入れ替わりの週に、盲検を維持するためにプラセボの2回注射を各週投与する。
●対応するプラセボSC、1週間に1回、16週間。プラセボの2回注射を介して各週投与する。
【0202】
IPの最初の3回の投与は、クリニックにおいて投与される必要がある。最初の3回の投与来院では、対象は、更なる観察のために、少なくとも30分間、クリニック内に留まる必要がある。治験責任医師の裁量に基づき、クリニック内で投与される注射の数及び注射後の観察期間を、現地要求事項を順守するために必要に応じて増加・延長することができる。
【0203】
その後、IPの2回SC注射による投与が15週目の来院まで毎週継続する。3週目(来院4/22日目)に開始して、対象は、IP投与のために1週間おきにクリニックに戻り、そしてその入れ替わりの週に、認可されたホームヘルスケア提供者により在宅にて注射投与を受けるオプションを有する。ホームヘルスケアサービスを利用する対象は、本試験の処置段階において、スケジュール化された検査収集及び追加の安全性及び有効性アセスメントのために、最低2週間毎(例えば、4週目[来院5/29日目]、6週目[来院7/43日目]、8週目[来院9/57日目]、10週目[来院11/71日目]、12週目[来院13/85日目]、14週目[来院15/99日目]、及び16週目[来院17/第113日目])に施設に戻る必要がある。それに加えて、IPがクリニック内投与されない週では、併用療法使用における何らかの変更を評価し、有害事象を評価するために、対象は施設職員より連絡を受ける(24時間以内)。
【0204】
ホームヘルスケア提供者のサービスがその地域で利用できない対象、又はサービスを利用しない選択をする対象は、そのすべてのIP注射を受けるために毎週クリニックに戻る必要がある。
【0205】
2回のSC投与は、場所を区別するために、大腿部又は上腕の背部(注射部位を毎回変更する)を含む、腹部又はその他の適する代替箇所に投与すべきであり、任意の血管、肥厚性若しくは敏感な皮膚、瘢痕、線維性組織、皮膚線条、傷、発赤、母斑、又はその他の皮膚不完全箇所を避ける。
【0206】
3.2.1 -訪問ヘルスケア提供者による投与
3週目から開始して、対象は、IP投与のために1週間おきにクリニックに戻り、そしてその入れ替わりの週に在宅訪問保健士により在宅にて注射投与されるオプションを有し得る。在宅保健士オプションを利用する対象は、試験の処置段階において、スケジュール化された検査収集及び追加の安全性及び有効性アセスメントのために、最低2週間毎(例えば、4週目[来院5/29日目]、6週目[来院7/43日目]、8週目[来院9/57日目]、10週目[来院11/71日目]、12週目[来院13/85日]、14週目[来院15/99日目]、及び16週目[来院17/第113日目])に施設に戻る必要がある。ホームヘルスケア提供者は訓練を受け、そして投与時の注射部位反応をモニターすることができる。ホームヘルスケア提供者の訪問から24時間以内に、併用医薬の何らかの変更、及び/又は有害事象を評価するために施設職員より連絡を受ける。その地域において在宅保健士サービスが利用できない対象、又は在宅訪問保健士サービスオプションを利用しない選択をする対象は、その注射のために毎週クリニックに戻る必要がある。
【0207】
3.2.2 -投与不実施
対象が通常のスケジュール化された日に投与を受けることができない場合:
●対象は通常の投与日から±3日以内に投与を受けることができ、そして次週のその通常日に投与を継続する。
●通常の投与日から±3日以内に投与を受けることができない場合には、次週の通常の投与日に行われるその次回投与まで待機すべきである。
【0208】
投与不実施はいずれも試験記録内で把握される。投与不実施が3回以上連続した場合には、対象はIPを永続的に中断する必要がある。
【0209】
3.2.3 -過量投与
過量投与は、プロトコールに記載されている用量を上回り、対象に対してなされた、又は対象により取り込まれたIPのあらゆる投与である。センダキマブについて過量投与に関する情報は存在しない。あらゆる過量投与は、関連するAEの有無に関わらず、メディカルモニターに速やかに報告されなければならない(実施例6.1を参照されたい)。実施例3.2.2に更に記載されている来院ウィンドウにより許可された、最低中3暦日の用量投与よりも頻繁に投与されたIP投与は、いずれも過量投与として報告されるべきである。
【0210】
3.2.4 -用量調節
本試験では用量調節に関する規定は存在しない。治験責任医師による判断に従い、その指定された用量のIPに対して忍容性を有し得ない対象は、IPを永続的に中止する。
【0211】
3.2.5 -投与の一時中断に関するガイドライン
下記の事象のいずれかが生じた場合、対象への投与を中断(IPの一時的中止)すべきである:
●対象は、治験責任医師による判断によれば、何らかのAE、併発性の医学的状態、又は治験処置を継続した場合、それに起因して対象に不当なリスクをもたらし得る大手術を経験する。
●対象は単一又は複数の重大な検査異常を経験する。現実的に可能な場合、確認のため、異常を最初に観測したときから48~72時間以内に検査室テストを反復すべきである。
●対象は、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、駆虫薬、又は抗原虫薬を用いた非経口処置を必要とする感染症を経験する。
●抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、駆虫薬、又は抗原虫薬を用いた経口処置を2週間よりも長期間必要とする感染症の場合、IPの中断は不要である。しかしながら、投与の中断が対象にとって最良の利益であるかどうか、治験責任医師は判断すべきである。
●局所的感染症及び再発性の感染症の場合、治験責任医師は、IPの中断と関連するしかるべき行動を決定すべきである。感染症の重症度に応じて、治験責任医師は、追加の行動、例えばIPの中止等が対象にとって最良の利益となるかどうか判断するために、メディカルモニターと連絡を取るべきである。
●疑義的若しくは確定的な症候性のCOVID-19感染症を発症した対象の場合、又は処置期間中に対象が無症候性のCOVID-19感染症を有することが判明した場合、下記の条件が満たされるまでIPを一時的に中断すべきである:
症候性の対象の場合:
・症状の最初の出現又は陽性のテスト結果から少なくとも10日間(重度/きわめて重大な疾病の場合、20日間)経過していること、及び
・解熱剤を使用せずに、最後の発熱から少なくとも24時間が経過していること、及び
・症状(例えば、咳嗽及び息切れ)が消散していること、及び
・治験責任医師の意見において、対象に治験処置を受けさせるより高度のリスクに晒すおそれのあるCOVID-19後遺症が認められないこと、及び
・施設、現地、或いは地域のガイドライン及び/又は要求事項に基づき、COVID-19についてフォローアップ分子テストが陰性であること。
無症候性の対象の場合:
・テスト結果陽性から少なくとも7日経過していること(テスト結果が入手可能になった日付ではなく、収集の日付に基づく)。
・施設、現地、或いは地域のガイドライン及び/又は要求事項に基づき、COVID-19についてフォローアップ分子テストが陰性であること。
【0212】
IPの投与を中断する決定は、なおも処置担当医師の責任に留まる。しかしながら、投与を中断する前に、治験責任医師はメディカルモニターと連絡を取ることができる。検査異常が安定化するか又は状態が消散したら、治験責任医師の裁量により、好ましくはスケジュール化された次回来院時にIP投与を再開することができる。メディカルモニターは、IPの再導入に関する時期及び妥当性について協議するために相談を受ける場合もある。投与不実施が3回以上連続した場合には、実施例3.2.6で定義するように、対象はIPを永続的に中止しなければならない。
【0213】
3.2.6 -投与中止基準
IP開始後に、対象が以下にリスト化する事象のいずれかを経験する場合には、対象に対する投与を永続的に中止する(処置の中止)必要がある。
●治験責任医師又は治験依頼者による判断に従えば、SAEがIPと関連することが疑われ、そして治験処置を継続すれば対象が不当なリスクに晒される。
●IPと関連するものと疑われる、下記の重大な検査異常のいずれかを経験する。IPを永続的に中止する前に、確認のため、異常を最初に観測したときから48~72時間以内に、又は現実的に可能な場合に、検査室テストを反復すべきである。
〇好中球数≦0.5×103/μL
〇血小板数≦50×103/μL
〇ALT及び/又はAST値>3×ULN、且つ総ビリルビン>2×ULN又はINR>1.5、但し確定したジルベール症候群及び治療的抗凝固を除く
〇2週間超、ALT及び/又はAST>5×ULN
〇ALT又はAST>8×ULN
●重度の又は重篤な(治験責任医師のアセスメントに基づく)日和見感染症(対象が免疫不全状態であることを示唆する)を経験する。
●悪性腫瘍と診断される。但し、局部摘出により瑕疵なく処置され得る場合には、子宮頸部のin situ癌、又は皮膚の扁平上皮癌若しくは基底細胞癌を除く。
●治験責任医師又は治験依頼者によりIPと関連することが疑われるアナフィラキシー反応又はその他の重度全身性反応(例えば、過敏症、アレルギー、又は自己免疫)を経験する。
●24時間よりも長時間継続する重度の注射部位反応(ISR)について、2回の異なる発生を経験する。
●重度ISRは、重度の不快感/疼痛を引き起こす症状、内科的/外科的な手当て/介入を必要とする症状、日常の社会的及び機能的活動の実施不能(例えば、欠勤及び/又は床上安静)を含む日常生活活動(ADL)の阻害を伴い現れる場合、並びに/或いは薬物療法が必要とされる場合、ISRとして定義される。
●妊娠した。
●禁止された全身性免疫抑制剤又は免疫調節剤の使用。
●全身性の救済療法の使用。
●3回以上連続した投与不実施。
【0214】
このような対象は試験に留まるように推奨され、そして本試験の処置期間及びフォローアップ期間に留まりながらすべての必要とされる試験アセスメントを完了する(IPを用いた投与を除く)。データの欠測を防止するために、施設スタッフは、治験責任医師との連絡を維持しない対象に、電話又はEメールにより連絡を取るための試みがなされることを徹底する。試験を早期に中止する対象のいずれにも、ET来院、並びに初回及び最終フォローアップ来院を完了するように求める。
【0215】
3.3 -包装及びラベリング
IP用のラベルには、治験依頼者の名称、住所及び電話番号、プロトコール番号、IPの名称、投与剤形、及び強度(該当する場合)、1コンテナー当たりのIPの量、ロット番号、有効期限(該当する場合)、医薬識別情報/キット番号、投与インストラクション、保管条件、及び必要とされる注意書き、及び/又は必要に応じて規制記載事項が含まれる。現地規則に従い、必要に応じて、ラベルには追加情報が含まれ得る。
【0216】
センダキマブ溶液とプラセボ溶液とは物理的外見においてわずかに異なり、またバイアル内に提供された場合、IPに若干の色の違いがあり、完全に盲検化することができない。従って、PFSの場合、活性及びプラセボシリンジ上にラベルカバーが盲検化を維持するために使用される(包装/ラベリング期間中に貼付される)。
【0217】
3.4 -治験薬の数量管理及び廃棄
出願人(又はその被指名者)は、治験責任医師及び関連する施設職員と共に、IPの返却、廃棄、及び/又は破壊のための方法について、施設と出願人(又はその被指名者)に関する責任を含め、レビューする。
【0218】
IP及びプラセボのすべての供給物をGCPに基づき数量管理する。対象毎に個々のIP数量管理記録が存在し、そして治験責任医師は、試験期間中に受け取られるIP供給物に関係する正確な記録を維持すべきである。このような記録は、臨床薬物供給物の量、及びそれが治験施設によるか若しくはホームヘルスケアサービスにより受領、分配、及び対象に投与され、又は指定された治験施設スタッフによるか若しくはホームヘルスケアサービスにより返却され、及び治験依頼者に返却された日付を含むべきである。臨床薬物供給物の出荷においてエラー又は損傷が生じた場合には、治験責任医師はIP供給業者及び試験モニターに速やかに連絡を取るべきである。IP数量管理記録のコピーは各治験責任医師により提供され、データベースロック後にトライアルマスターファイルに収納される。試験モニターは、使用されるすべてのIPの数量管理を検証するために、治験責任医師又は薬剤師により保持されるIPの供給物を定期的にチェックする。
【0219】
出願人は、本試験プロトコールに記載されている手順に従い、本試験の特定された対象に対してのみIPを提供する。試験終了後に、試験モニターは、適切な文書が提供される限り、すべての未使用のIP及び必要に応じてすべての医薬コンテナーがオンサイトで破壊され得ることを保証する。オンサイト破壊が不可能である場合には、未使用の医薬及び必要に応じてコンテナーのすべてを、治験依頼者又はその被指名者に返却する。試験モニターは、最終的な数量管理を実施し、出荷するために包装、シール、及び準備を行う。臨床研究組織(CRO)は、薬物数量管理の最終報告書が作製され、そして治験責任医師トライアルマスターファイル内に維持されていることを検証する。
【0220】
3.5 -治験薬投与順守
出願人は、IPがプロトコールに基づいてのみ使用されること、及び対象はそのIPをどのように投与するか適切に説明を受けること、及び各対象は、その指定された投与レジメンを完全に順守することを保証する。治験薬投与不履行は、全試験期間において80%未満又は120%超のIPが投与されることとして定義される。使用したIP及び来院間の間隔の記録を試験期間中に保持する。薬剤数量管理を、フィールドモニターが施設来院期間中及び試験の終了時に付記する。IPは、出願人の監視の下、治験責任医師によるか又は適格性が確認された個人により分配されるべきである。最新の処置在庫/分配記録を維持しなければならない。
【0221】
[実施例4]-併用医薬及び手順
初回スクリーニング来院前4週間(28日間)以内又は試験期間中、時期を問わず、対象により使用されたすべての処置(処方薬及び店頭渡し[over the counter; OTC]の薬剤、ハーブ及び栄養補助食品、食生活の改善、並びに手順を含む)は事前処置又は併用処置とみなされ、そしてeCRFの該当するセクションに文書化されなければならない。それに加えて、ADに対するこれまでの処置の履歴を文書化する。
【0222】
初回スクリーニング来院前28日から最終安全性フォローアップ来院又は最終試験来院までに使用された、血液及び血液製剤を含むすべての併用処置をeCRFに報告しなければならない。
【0223】
4.1 -許可される併用医薬及び手順
下記の併用医薬は試験期間中許可される:
●経口抗ヒスタミン薬は許可される。但し、用量及びレジメンは、1日目(ベースライン)の前に少なくとも2週間から16週目のEOT/ET来院まで安定に保つべきである。対象は、試験来院前24時間以内の投与も差し控えるべきである。
●対象は、初回スクリーニング来院前の少なくとも4週間、用量/レジメンを安定に保ち、そして本試験の処置期間全体を通じてレジメンを安定に保つものとする場合には、AD以外の兆候、例えば喘息等に対して、吸入式副腎皮質ホルモン、ロイコトリエン受容体遮断薬(例えば、モンテルカスト)、又は肥満細胞安定化薬(例えば、クロモグリク酸ナトリウム)を使用することができる。これらの医薬のうちの1つが最近中止された場合、当該医薬は初回スクリーニング来院前の少なくとも4週間中止されていなければならない。
●医学的に必要な用量調節(例えば、予想されない増悪を処置するため等)は許可される。しかしながら、変更は現地処置ガイドラインと整合すべきである。それに加えて、メディカルモニターは、医薬変更の潜在的影響について協議するために相談を受けるべきである。
●アレルギー性結膜炎を処置するために安定用量の投与を受ける対象に対して、眼科用副腎皮質ホルモンは許容される。
【0224】
禁止される場合を除き、対象には、治験責任医師により必要とみなされる場合、併存する医学的状態又は有害事象の処置に必要な任意のその他の医薬を投与することができる。1日目後は、併用医薬の追加又は投薬量の何らかの変更は、医学的に必要と考えられる場合に限定すべきである。
【0225】
4.2 -禁止される併用医薬及び手順
ADに影響を及ぼすことが公知のその他の医学的状態に対する医薬又は療法(例えば、全身性副腎皮質ホルモン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロンガンマ(IFN-y)、ヤヌスキナーゼ阻害剤、生物学的療法、TCS(救済療法を目的として投与される場合を除く)、TCI、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、光線療法等)の導入は、本試験期間中許可されない。
【0226】
本試験期間全体を通じて禁止される併用医薬及び手順と関連する追加の詳細情報は、除外基準(実施例5.3)において最初に特定されるが、それを以下にまとめる。
●1日目来院の7日以内及び試験期間全体を通じて、ADのアセスメントに影響を及ぼすおそれのある局所的処置(例えば、副腎皮質ホルモン、カルシニュリン阻害剤、タール、抗生物質クリーム、局所的抗ヒスタミン薬)。
●1日目の前2週間以内の全身性抗生物質、抗ウイルス薬、駆虫薬、抗原虫薬、又は抗真菌薬を用いた処置。しかしながら、本試験期間中、感染症関連の有害事象を処置する場合、その使用は許可される。
●ベースライン来院前4週間以内及び本試験期間全体を通じて行われる狭帯域UVB(NB-UVB)又は広帯域光線療法。
●ベースライン来院前4週間以内及び本試験期間全体を通じて投与される全身性の免疫抑制薬物又は免疫調節薬物(例えば、アザチオプリン、シクロスポリン、全身性副腎皮質ホルモン、IFN-γ、ヤヌスキナーゼ阻害剤、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル等)。
●本試験期間全体を通じて以下のような免疫調節性の生物学的製剤を用いた処置:
〇ベースライン来院の3ヶ月以内のデュピルマブ。
〇ベースライン来院前6ヶ月以内の、リツキシマブを含む細胞枯渇型の生物学的製剤。
〇ベースライン来院の前、5半減期(公知の場合)又は16週間以内のいずれかより長い期間におけるその他の免疫調節性の生物学的製剤。
●経口抗ヒスタミン薬を例外とするが、ADに影響を及ぼすおそれのあるあらゆる追加医薬及び/又は処置もやはり本試験全体を通じて禁止される。
●紫外線曝露がADに影響を及ぼす可能性に起因して、対象は、本試験期間中、太陽への長期曝露も避けなければならず、また日焼けマシン、太陽灯、又はその他の紫外線源を使用してはならない。
●COVID-19に対する介入的トライアルへの参加を通じた場合を含む、別のIPを用いた同時処置は、本試験期間全体を通じて禁止される。プロスペクティブな対象は、本試験に対するICF/同意に署名する前の5薬物半減期以内に同時IP試験に参加するか又はIP投与を受けていてはならない。更に、初回スクリーニング来院前に臨床トライアルの一環としてCOVID-19治験ワクチンの投与を受けた対象の場合、治験責任医師及び臨床トライアル担当医師間の協議による決定に従い、ワクチンの生物学的影響が安定化するまで登録を遅延させなければならない。
●弱毒生ワクチンは、初回スクリーニング来院前1ヶ月以内及び本試験期間全体を通じて禁止される。
【0227】
禁止される場合を除き、対象には、治験責任医師により必要とみなされる場合、併存する医学的状態又は有害事象の処置に必要な任意のその他の医薬を投与することができる。1日目後は、併用医薬の追加又は投薬量の何らかの変更は、医学的に必要と考えられる場合に限定すべきである。
【0228】
4.3 -必要とされる併用医薬及び手順
非薬用局所軟化薬は、ベースライン/1日目来院前、1日2回、7日間以上塗布されるべきであり、また塗布(1日2回の同一頻度)は試験全体を通じて継続すべきである。試験来院日当日、対象は、来院前に加湿したり又は軟化薬を塗布したりしてはならない。最後の軟化薬塗布は、計画された試験来院前夜に塗布すべきである。非薬用軟化薬は来院が完了した後に許可され、そして試験期間全体を通じて同一種類の軟化薬を使用すべきである。
【0229】
4.4 -救済薬
対象が、救済療法を必要とする耐えがたいAD症状を発症する場合、禁止医薬に関連する例外、例えばTCSの使用等が許可される。救済療法の使用は、トライアルの処置段階全体を通じて控えるべきであり、またAD再燃と関連する重度の症状に限定して留保されるべきである。そのような場合、同時救済療法の使用を継続しながら対象は試験参加を継続し得る。しかしながら、投与される救済薬の種類に応じて、IPの中止が必要とされる場合がある。
●救済療法を必要とする対象は、全身処置を検討する前にTCSの追加を検討すべきである。TCS救済療法処置を必要とする対象のいずれも、IPを用いた処置を継続し、そして試験来院スケジュールを維持しながら、できる限り短期間(例えば、7日未満)、TCSを継続することが推奨される。
●試験の処置段階においてそのADを処置するための全身的救済療法を必要とする対象は、いずれもIPを中止し、そしてIP投与を行わなくても試験に継続して参加することが推奨される。本試験への更なる参加を辞退する対象は、早期終了来院及びフォローアップ来院アセスメントに進むべきである。本試験のフォローアップ期間中に全身的救済療法を必要とする対象は、試験来院を計画通りに継続すべきである。試験参加の過程で生ずる救済療法投与の全事例を、eCRF内の原資料においてしかるべく把握する。
【0230】
救済療法の影響も、16週目より前に救済療法を開始する対象について、これらのエンドポイントを欠測として規定することにより評価し、そして実施例5に記載されている方法に従い分析する。
【0231】
[実施例5]-統計的考察
5.1 -概要
これは、中程度~重度のADを有する成人対象におけるセンダキマブの安全性及び有効性内を評価するための第II相、多施設、国際、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験である。対象は16週間、治験医薬品の投与を受けるようにランダム化され、そしてランダム化は地域別に階層化され(日本とそれ以外の世界(RoW))、またRoW地域内のみ、ランダム化は、ベースラインv-IGA-ADスコア(3[中程度]、又は4[重度])に基づき、疾患の重症度別にやはり階層化される。独立したDMCが、試験の過程において安全性データを定期的にレビューするのに使用される。
【0232】
5.2 -治験集団の定義
下記の分析集団が統計分析において使用される:
修正包括解析(mITT)集団
少なくとも1回の治験薬(IP)投与を受けたことのあるランダム化されたすべての参加者。
【0233】
mITT集団はすべての有効性パラメーターに関する一次集団として使用される。何らかの理由でトライアルから早期に離脱する対象、及び何らかの理由でアセスメントが実施されない対象はmITT集団になおも含まれる。対象はそれがランダム化された処置群に含まれる。誤報告された階層によりランダム化された対象は、そのオリジナルの(誤報告された)階層に従い分類される。
【0234】
安全性集団
安全性集団は、IPの投与を少なくとも1回受けたすべての対象から構成される。この集団はすべて安全性データの要約で使用される。プラセボにランダム化され、センダキマブの何らかの投与を受ける対象は、センダキマブ群内で要約される。センダキマブにランダム化され、プラセボ投与のみを受ける対象はプラセボ群内で要約され、さもなければセンダキマブ群内で要約される。
【0235】
薬物動態学集団
実薬の少なくとも1回の投与を受けた、少なくとも1つの測定可能な濃度データを有するすべての対象。
【0236】
バイオマーカー
何らかの治験処置を受け、及び何らかの利用可能なバイオマーカー測定値を有するすべての参加者。
【0237】
5.3 -標本サイズ及び検出力の検討
対象およそ200例がこの第II相用量範囲探索試験においてランダム化される。ランダム化は、プラセボ、300mg Q2W、720mg Q2W、及び720mg QWの4投与群間で均等である(1群当たり対象およそ50例)。16週目のEASIスコアにおいて、ベースラインからの変化率(%)の一次エンドポイントに関して、35%の処置の差異(平均の差異)をプラセボと比較して検出するのに、脱落率10%を仮定すれば、1群当たり対象45例の標本サイズからおよそ90%の検出力が得られる。この検出力を計算する際には、特定の投与群におけるプラセボに対する優位性は、処置の差異に関する(両側)95%信頼区間(z-スコア)の下方限界がゼロを上回る場合に満たされる(多重性について調整後)。
【0238】
標本サイズの算出は、16週目のEASIスコアにおけるベースラインからの平均変化率(%)をプラセボに対して比較する下記の検討に基づく。特に、デュピルマブの最近の第II相b試験では、プラセボについて平均18.1%が観測された一方、対応する処置における差異は、300mg Q2W及び300mg QWの用量それぞれについて50.1%(標準誤差[SE=6.7%])及び55.7%(SE=6.7%)であることが報告された(Thaci、2016)。センダキマブを評価するこの試験は、プラセボと比較して処置における(真の)差異35%が検出されるように設計される。出願人は、共通標準偏差(SD)を50%として、プラセボに関する(真の)平均は20%であり、並びに実薬投与群の処置の差異に対応する平均は25%(300mg Q2W)、30%(720mg Q2W)、及び35%(720mg QW)であると仮定する。出願人は、16週目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化率(%)について共通SD 50%を仮定し、それはデュピルマブ第II相b治験デザインにおいても同様に仮定されたことを特に指摘する(Thaciら、Lancet 387:40~52(2016))。この仮説に基づき、1群当たり対象45例の標本サイズを用いれば、全体的な第一種の過誤をα=0.05(両側)として、階層的テストアプローチを使用した場合(720mg QW vs プラセボ、720mg Q2W vs プラセボ、及び300mg Q2W vs プラセボの順番で)、本試験は、少なくとも1つの用量についてプラセボに対する優位性を検出するのに、およそ90%の検出力を提供するものと推定される。
【0239】
それに加えて、本試験は、真の割合2%(プラセボ)、15%(300mg Q2W)、25%(720mg Q2W)、及び25%(720mg QW)と仮定すれば、重要な二次エンドポイントである16週目のIGA応答(0-寛解、1-ほぼ寛解)に関して、少なくとも1つの用量についてプラセボに対する優位性を検出するのに90%を超える検出力を提供する。出願人は、第II相デュピルマブ試験では、300mg Q2W及び300mg QWの用量それぞれについて、30%及び33%の割合が報告されたことを特に指摘する(Thaciら、(2016))。IGA応答エンドポイントに関して、一次エンドポイントで使用された階層的テストアプローチを、全体的な第一種の過誤α=0.05(両側)を維持するのに利用した。しかしながら、多重性調整は、エンドポイントを横断して総合的には実施されない(例えば、一次及び重要な二次エンドポイントの両方について同時に)。
【0240】
5.4 -バックグラウンド及び人口統計学特性
人口統計学、ベースライン特性、既往歴、既投与医薬、及びプロトコールからの逸脱に関する要約を、mITT集団について処置群別に提示する。併用医薬を安全性集団について処置群別に提示する。安全性集団に対する同時医療行為を含め、個別のリストも提供する。
【0241】
5.5 -対象の処遇
対象の処遇を、すべての登録された対象について、人数及び割合(%)と共に処置群別にまとめる。要約には、下記の分類内の対象の人数及び割合(%)を含める:
●ランダム化された者、投与された者(治験処置の少なくとも1回の投与)、IPを永続的に中止した者、試験を中止した者、IPを中止したが試験フォローアップに留まった者、及び試験を完了した者
●試験中止の主な理由
【0242】
5.6 -有効性分析
5.6.1 -16週目におけるEASIスコアのベースラインからの変化率(%)
16週目におけるEASIスコアのベースラインからの変化率(%)である一次有効性エンドポイントを、ベースラインEASIスコアを調整する主要効果として処置群インジケーター、並びに共変量としてvIGA-ADスコア(3[中程度]、又は4[重度])、及び地域(日本 vs RoW)の階層化因子を用いて、共分散分析(ANCOVA)モデルを使用しながら、修正包括分析(mITT)集団に基づき分析する。実薬処置群毎に、16週目におけるEASIスコアのベースラインからの調整済み平均変化率(%)、及び対応するプラセボとの差異(最小2乗平均に基づく)を、95% Wald信頼区間(CI)及びp値と共に推定する。
【0243】
16週目におけるEASIスコアの欠損(例えば、試験からの脱落又はその他のアセスメント欠落事由に起因して)は、ランダムな欠損(missing at random; MAR)仮説に基づき、多重代入(MI)アプローチを使用して取り扱われる(Berglund、SAS Institute、Paper 2018-2015)。以後、出願人はこれをMIアプローチと呼ぶ。
【0244】
多重性について調整するために、720mg QW vs プラセボ、720mg Q2W vs プラセボ、及び360mg Q2W vs プラセボの順番で、それぞれ両側0.05 α-レベル(上記調整後のp値に基づく)において比較を実施することにより、標準的な階層的アプローチを利用する。
【0245】
一次分析を裏付けるために、代替的欠測データアプローチを利用することにより、並びに救済療法の影響を評価することにより感度分析を実施する。第1の感度分析では、16週目にEASIスコアが欠損している場合、MIアプローチはLOCF(最終観察の引き延ばし補完(last observation carried forward))による代入法に置き換わる。救済療法(16週目より前)開始後のEASIスコアを欠損として定義することにより、救済療法の影響を評価する。第2の感度分析では、救済に起因する欠損(更なる程度の)を追加しながら、MIアプローチが適用される。第3の感度分析では、第2の感度分析におけるMIアプローチをLOCFに置き換えることにより、第1及び第2の感度分析が統合される。
【0246】
5.6.2 -一次エンドポイントのサブグループ分析
処置効果が様々な群を横断して一貫しているかどうかを評価するために、部分集団分析が16週目に一次エンドポイントについて実施される。以下にリスト化するサブグループ毎に処置の差異及び両側95% CIを提供する。処置の差異に関するサブグループ別のフォレストプロットも提供する。
1.非高齢成人[65年未満]と高齢成人[65年以上])
2.vIGA-ADベースラインスコア(4と3)
3.性別(女性と男性)
4.地域(日本と日本以外の世界)
5.人種(白色と非白色)
6.全身的免疫抑制薬を用いた過去の経験
【0247】
各サブグループ及び処置カテゴリー内に十分な数の対象が存在しない場合(例えば、観測された症例に基づきmITT集団の8%未満)、対応する部分集団分析は実施されない。その代わりに要約統計量が提供される。
【0248】
5.6.3 -分析法
第1の重要な二次エンドポイントでは、16週目において、vIGA-ADスコア0(寛解)又は1(ほぼ寛解)、及びベースラインからのv-IGA-ADスコアにおいて2ポイント以上の低下の両方を示す対象の割合を、階層化されたCMH検定を両側5%の有意水準で使用しながら、mITT集団に基づき分析する。ランダム化階層化レベルは:(1)日本地域、(2)RoW地域且つvIGA-ADスコア3、及び(3)RoW地域且つvIGA-ADスコア4である。各処置群とプラセボとの間の割合に認められる差異及び関連する95%信頼区間の推定を、p値と共に提供する。欠損エンドポイント値(例えば、試験からの脱落又はその他のアセスメント欠落事由に起因して)は、非応答例として補完する。救済療法を開始する(16週目よりも前に)対象を欠損として定義し、それに基づき感度分析を実施し、そして非応答例として扱う。
【0249】
第2の重要な二次エンドポイントでは、16週目にEASI(EASI-75)がベースラインから75%改善した対象の割合を上記と同様に分析する。
【0250】
一次エンドポイントで使用される階層的テストアプローチを、これら重要な二次エンドポイントのそれぞれについて、3つの実薬用量に関して多重性を調整するのに利用する。但し、一次エンドポイント及び2つの重要な二次エンドポイントを横断して多重性調整を同時に実施しない。
【0251】
下記のエンドポイントを、重要な二次エンドポイントと同様に(但し、p値が提供されないことを除く)分析する:
●16週目に、ベースラインから4以上掻痒症NRSが変化した対象の割合とする二次エンドポイント
●16週目に、EASI(EASI-90)がベースラインから90%改善した対象の割合とする二次エンドポイント
【0252】
下記のエンドポイントを一次エンドポイントと同様に(但し、p値が提供されないことを除く)分析する:
●16週目における掻痒症NRSのベースラインからの変化率(%)とする二次エンドポイント
●16週目におけるベースラインからのSCORADスコアの変化率(%)とする二次エンドポイント
●16週目におけるベースラインからのADと関係する体表面積(BSA)の平均変化率(%)とする二次エンドポイント
【0253】
処置の最初の16週間内に、掻痒症NRSスケールの重症度において少なくとも4ポイントの改善を実現するまでの時間とする二次エンドポイントの場合、4ポイント改善の最初の事象までの時間分布を、カプラン・マイヤー(K-M)及び対数順位アプローチに基づき比較する。プラセボに対して投与群毎に個別に比較する場合、それは関連するp値が提供される階層化された対数順位検定に基づく。階層化レベルは:(1)日本地域、(2)RoW領域且つIGAスコア3、及び(3)RoW領域且つvIGA-ADスコア4である。所定の時点までに4ポイントの改善を達成する対象の累積割合に関するK-M推定量が、投与群毎並びにプラセボとの差異及び関連する95%信頼区間毎に提供される。これらは様々な時点(例えば、1~28日目、それに後続する毎週行われるアセスメント)において報告される。
【0254】
5.7 -安全性の分析
安全性データのすべての分析が、処置毎に安全性集団を使用して、32週間の全試験期間にわたり実施される。安全性の評価には、試験処置の中止に至ったAE、SAE、AE、及び試験中止に至ったAE、検査数値及びバイタルサインにおけるベースラインからの変化、並びに検査値、バイタルサイン、及び身体検査異常の発生率及び種類が含まれる。個別のデータリストも提供される。
【0255】
トライアル期間中に有害事象をモニタリングし、そしてデータを最悪重症度グレード別に要約する。有害事象を、処置下で発現したAEに重点を置きながら、MedDRA器官別大分類及び基本語別に要約する。治験薬関連の有害事象、死亡又は処置の中止に至った有害事象、中程度又は重度と評価された事象、IP関連の事象、及び重篤な有害事象、及び興味深い事象。
【0256】
検査室アセスメントを中央検査室により実施する。すべての要約は、中央検査室により提供される標準的な国際単位系(SI)に基づく。各対象の血液学、血液化学、及び尿分析値を、中央検査室の正常範囲と比較して、「低」、「正常」、又は「高」としてフラッグ表示する。
【0257】
バイタルサインにおける実際の数値及びベースラインからの変化の要約統計量を来院毎に提供する。
【0258】
5.8 -その他のトピックス
5.8.1 -探索的エンドポイントの分析
探索的有効性エンドポイントを、処置群別に記述統計学を使用して要約する。連続的なエンドポイントの場合、対象の数(n)、平均、SD、SE、メジアン、最低値及び最大値を提示する。バイナリーエンドポイントを数及び割合(%)別に要約する。
【0259】
5.8.2 -薬物動態、薬力学、及び曝露応答
センダキマブの血清トラフ濃度(Cトラフ)を、処置及び来院毎に記述統計学を用いて要約する。追加の分析が適宜実施され得る(例えば、ADA状態毎に)。
【0260】
センダキマブの集団PKを特徴づけ、そして重要な共変量効果(例えば、免疫原性、内性及び外性因子)を特定するために、非線形混合効果モデリングを使用して集団PK分析を実施する。該当する場合には、その他の試験から得られたデータを含めることができる。曝露応答及び薬力学的関連性を、有効性、安全性、及びバイオマーカーエンドポイントについて実施する。試験及び方法論に関する詳細は別紙PK分析計画において概説され、また結果はスタンドアローン報告として総括報告書とは別に発行される。
【0261】
5.8.3 -データモニタリング委員会
追加の安全性モニタリングを、外部の独立したデータモニタリング委員会(DMC)により実施する。DMCは、2型炎症性疾患を有する対象の処置に経験を有する医師並びに統計担当者(そのいずれも、別途治験実施に関与せず、また特定された利害の対立が存在しない)が含まれる会合を開く。
【0262】
試験期間中、DMCは、利益-リスクを評価し、また試験継続を判断するために、選択されたデータ(DMCチャーターに規定される)を定期的にレビューする。独立した第三者は、適宜、集計データの要約及び個々の対象データリストからなる報告書を、スケジュール化されたミーティング毎に、DMCメンバーのために作製する。試験の実施に関与するすべての職員がデータレビューの結果に対して盲検化された状態に留まることを保証するための盲検化計画を含む、DMCに関する業務上の詳細事項もDMCチャーターに記載される。DMCはアドバイザーとしての立場で機能し、その独立した安全性データのアセスメントに基づき勧告を作成する。非盲検安全性データは、IPのリスク/利益の継続的アセスメントを更に強化するために、必要に応じて、DMCにより定期的又は臨時的にレビューされ得る。
【0263】
[実施例6]-有害事象
6.1 -有害事象のモニタリング、記録、及び報告
AEは、試験の過程で対象に現れるか又は対象を悪化させ得る、あらゆる有害で意図されない、又は好ましからざる医療上のできごとである。AEは、病因を問わず、新たな併発性の疾病、併存疾病の悪化、傷害、又は検査テスト値(実施例6.3の基準により規定される通り)を含む、対象の健康のあらゆる同時発生的な障害であり得る。あらゆる悪化(すなわち、既存状態の頻度又は強度における臨床的に重要で有害なあらゆる変化)は、AEと考えるべきである。診断又は病理現象は、診断又は病理現象の個々の兆候又は症状ではなく、CRFのAEの頁に記録すべきである。
【0264】
治験薬の乱用、投与中止、過敏性、又は毒性は、AEとして報告すべきである。偶発的又は意図的な過量投与は、それがAEと関連する/しないに関わらず、過量投与CRFにおいて報告すべきである(過量投与の定義については実施例3.2を参照されたい)。有害事象の定義を満たす、治験薬の偶発的又は意図的な過量投与のあらゆる後遺症は、AEとしてCRFにおいて報告すべきである。過量投与の後遺症が重篤基準を満たす場合には、重篤としてCRFに表示しなければならない。過量投与そのものをAEとして報告してはならない。
【0265】
過量投与の場合には、対象を適宜モニタリングすべきであり、また必要に応じて対症措置を講じるべきである。センダキマブ過量投与に対する公知の特異的解毒剤は存在しない。実際の処置は、臨床的状況の重症度、並びに処置担当医師の判断及び経験に依存すべきである。
【0266】
すべての対象を試験期間中にAEについてモニタリングする。アセスメントは、下記のパラメーター:対象の臨床症状、検査、病理学、放射線学、又は外科に関する知見、身体検査知見、或いはその他のテスト及び/又は手技に由来する知見のいずれか又はすべてのモニタリングを含み得る。
【0267】
治験責任医師により、対象がインフォームドコンセントに署名した時から、IPの最終投与後16週間又は最後のフォローアップ来院のいずれか長期の時点まで、すべてのAEを、並びにそれ以後、時期を問わず、IPと関連することが疑われ、治験責任医師に開示されたSAEを記録する。すべての有害事象(重篤/非重篤)を、CRF及び対象の原資料に記録する。薬物安全性部署に対してSAEを報告する方法に関するインストラクションについては、実施例6.5を参照されたい。
【0268】
6.2 -有害事象の評価
適格性が確認された治験責任医師が、下記事項に関してすべての有害事象を評価する。
【0269】
6.2.1 -重篤度
SAEは、下記事項に該当し、用量を問わず生ずるあらゆるAEである:
●死をもたらす、
●生命を脅かす(すなわち、治験責任医師の意見として、対象はAEに起因して死亡する喫緊のリスクに晒される)、
●患者入院又は既存入院期間の延長を必要とする(入院(hospitalization)は滞在期間を問わない患者入院(inpatient admission)として定義される)、
●遷延性の又は重大な能力障害/不能状態(通常の生活機能を行う対象の能力の実質的破綻)を引き起こす、
●先天異常/出生時欠損である、
●重要な医学的事象を構成する。
【0270】
重要な医学的事象とは、直ちに生命を脅すか、又は死、入院、若しくは能力障害を引き起こす可能性はないが、しかし対象を危うくするおそれがあるか、又は上記掲載のその他の転帰の1つを防止するために内科的若しくは外科的介入を必要とし得るできごととして定義される。そのようなAEを重篤とみなすべきかどうか決定する際には、医学的及び科学的判断を仰ぐべきである。
【0271】
SAEとみなされない事象は、下記の事由による入院である:
●計画済み(試験において処置を開始する前にすでに計画済み)の手技は、原資料及びCRFに文書化されなければならない。合併症による入院又は長期入院はなおも報告義務のあるSAEに留まる。
●試験される適応とは無関係であり、ベースラインからの増悪を認めなかった、既存状態の選択的処置又はそれに対する選択的手技。
●入院を引き起こさない緊急の外来患者処置又は観察。但し、上記記載のその他の重篤度基準を満たす場合を除く。
【0272】
AE毎に、治験責任医師は、重症度、開始日及び停止日、IPとの関係、IPについて取られた行動、及び転帰に関する情報を提供する。
【0273】
6.2.2 -重症度/強度
AE毎に、治験責任医師は、事象の重症度/強度を評価しなければならない。下記の評価尺度は、重症度/強度を評価するのに使用すべきである:
軽度
●無症候又は軽度の症状、臨床的又は診断上の観察のみ
●介入は適応されない
●日常生活の活動(ADL)に最低限度で又はまったく影響を及ぼさない
●最低限度の介入/療法が必要とされるか、又はまったく必要とされない可能性がある。
中程度
●症状は中程度の不快感を引き起こす
●局所的又は非侵襲的介入が適応される
●最低限度を上回りADLを妨げるが、しかし日常の社会的及び機能的活動を実施することができる
●薬物療法を必要とする可能性がある。
重度(非重篤か又は重篤であり得る)
●重度の不快感/疼痛を引き起こす症状
●内科的/外科的な手当て/介入を必要とする症状
●日常の社会的及び機能的活動の実施不能を含むADLの阻害(例えば、欠勤及び/又は床上安静)
●薬物療法を必要とする。
【0274】
用語「重度(severe)」は、特定の事象の強度を記載する(軽度、中程度、又は重度心筋梗塞のように)のに多くの場合使用される。しかしながら、事象そのものは比較的軽度の医学的重要性(例えば、重度の頭痛等)を有する場合もある。この基準は、対象の生命若しくは機能に対して脅威を惹起する事象と関連する対象/事象の転帰又は行動基準に基づく「重篤な(serious)」とは同一ではない。
【0275】
重篤度(重症度ではない)は、規制義務を規定するための指針として機能する。
【0276】
6.2.3 -因果関係
出願人は、下記の定義に従い、IPの投与とAEの発生との間の関係を、疑い無し又は疑いありとして決定する:
疑い無し:有害事象とIP投与との因果関係はありそうもないか若しくはあってもわずか、又はその他の医薬、治療介入、若しくは基礎疾患から、観測された事象について十分な説明が得られる。
疑いあり:IPの投与が有害事象を引き起こしたという合理的な可能性が存在する。「合理的な可能性」とは、IPと有害事象との間の因果関係を示唆するエビデンスが存在することを意味する。
【0277】
因果関係は、現在利用可能な情報に基づき、AE毎に評価及び提供されるべきである。因果関係は、追加情報が入手可能となったときに再評価及び提示されるものとする。
【0278】
6.2.4 -期間
AE毎に、出願人は事象の開始日及び停止日の記録を提供する。
【0279】
6.2.5 -取るべき行動
出願人は、各AEの結果としてIPについて取られた行動(例えば、適宜、IPの中止、中断、又は用量減量)を必要に応じて報告し、並びに同時及び/又は追加の処置が当該事象について取られた場合には報告する。
【0280】
6.2.6 -転帰
出願人はAE毎に事象の転帰を報告する。
【0281】
対象が試験への参加を中止しても消散しなかったすべてのSAEは、回復し(ベースラインに戻る)、後遺症を伴い回復し、又は死亡する(SAEに起因して)まで追跡しなければならない。
【0282】
6.3 -異常な検査値
異常な検査値は、異常が下記事項に該当する場合にはAEとみなされる:
●試験中止を引き起こす、
●処置、IP投与の修正/中断、若しくは任意のその他の治療介入を必要とする、又は
●重大な臨床的重要性を有すると判断される、例えば新規疾患プロセス及び/又は臓器毒性を示唆するか、或いは既存の状態の増悪又は悪化である異常。
【0283】
重症度グレードを問わず、重篤度基準を満たす検査異常のみが、重篤な有害事象として文書化される必要がある。
【0284】
臨床検査異常が、診断又は病理現象の1つのコンポーネントである場合には、診断又は病理現象のみを、AEとして記録すべきである。異常が診断又は病理現象の一部分ではなかった場合には、検査異常は、AEとして記録すべきである。可能な場合、検査異常は、単に異常な検査結果としてではなく、医学用語として記録すべきである(例えば、血小板の低下(decreased platelets)ではなく、血小板減少症(thrombocytopenia)を記録する)。
【0285】
6.4 -妊娠
妊娠可能な女性対象又は男性対象の妊娠可能なパートナーのいずれかに生ずるすべての妊娠又は妊娠の疑いは、速やかに報告する義務のある事象である。
【0286】
6.5 -妊娠可能な女性
対象へのIP投与中に、又は対象へのIPの最終投与において、若しくはそれから5ヶ月以内に生ずる妊娠及び妊娠の疑い(疾患状態を問わず、妊娠可能な女性対象におけるβ-hCGの上昇又は妊娠テスト陽性を含む)は、速やかに報告する義務のある事象と考えられる。治験薬は速やかに中止される。妊娠、妊娠の疑い、又は妊娠テスト陽性は、妊娠初回報告書式又は承認された同等の書式を使用して、Eメール、電話、又はファックス、又はその他の適する方法により、出願人の薬物安全性部署に速やかに報告しなければならない。
【0287】
女性対象は、更なる評価を目的として、産婦人科医又は別の適するヘルスケア専門家に照会され得る。
【0288】
出願人は女性対象を妊娠の終了まで追跡するものとし、そして妊娠の転帰(正常又は異常な転帰)について、妊娠フォローアップ報告書式又は承認された同等の書式を使用して、出願人の薬物安全性部署に速やかに通知しなければならない。
【0289】
妊娠の転帰が、異常(例えば、自然流産)であった場合には、出願人は異常な転帰をAEとして報告する。異常な転帰が重篤基準のいずれかを満たす場合には、該異常な転帰を、出願人が事象を知ったときから24時間以内に、出願人の薬物安全性部署にSAEとして報告しなければならない。
【0290】
出生から28日以内に生ずるすべての新生児死亡は、因果関係に関係なくSAEとして報告すべきである。それに加えて、IPへの子宮内曝露と関連すると治験責任医師が疑う28日後の小児死亡のいずれについても、SAEとしてやはり報告すべきである。
【0291】
6.5 -重篤な有害事象の報告
いずれかの重篤基準を満たすあらゆるAEは、治験責任医師が事象を知ったときから24時間以内にSAEとして報告する必要がある。このインストラクションは、初回SAE報告並びに任意のフォローアップ報告に関係する。
【0292】
この要求事項は、試験期間(対象がインフォームドコンセントに署名したときから、IPの最終用量後の16週間又は最後のフォローアップ来院のいずれかより長い時点まで)中に生ずるすべてのSAE(IPとの関連性を問わない)、又は以後、時期を問わず治験責任医師に開示された、IPと関連することが疑われるあらゆるSAEに適用される。処置の前(ICFに署名した後)に生ずる重篤な有害事象はCRFに記録するものとするが、しかし出願人の薬物安全性部署に報告する必要はない。
【0293】
現地法令により必要とされる場合、出願人は、治験審査委員会/倫理委員会(IRB/EC)にSAEを通知し、そして該事象について、すべての関連する初期及び追加情報を同委員会に提供する責任を有する。出願人は、すべてのSAE情報のコピーを、出願人とIRB/ECとのやり取りを含めファイルに保管する。
【0294】
SAEはCRF内に記録し、そしてデータは出願人の薬物安全性部署に電子的に伝達する。電子的伝達が利用できない場合、紙のSAE報告書式を作成し、そして出願人の薬物安全性部署に直接送付し、事象がCRFにも記録されることを徹底する。
【0295】
6.6 -特に注目すべき有害事象
重篤な感染症に対するリスクは、この第II相試験においては低いものと予想されるものの、特に注目すべき有害事象(AESI)が、更なる安全性モニタリングガイダンスを治験責任医師に提供するために特定されている。AESIは、デュピルマブ、レブリキズマブ、その他のセンダキマブの臨床試験に由来する安全性観察、並びにIL-4受容体アンタゴニスト及び抗IL-13抗体の潜在的薬理効果に基づき、いくつかの分類に該当する。出願人は、下記の基準を満たすAEを特に注目すべき有害事象(AESI)として特定する。すべてのAESIは、出願人が事象を知ったときから24時間以内に報告されなければならない。AESIには下記事項が含まれる:
●アナフィラキシー反応
●全身性又は重度の過敏反応
●24時間よりも長時間継続する重度の注射部位反応(ISR)
〇重度ISRは、重度の不快感/疼痛を引き起こす症状、内科的/外科的な手当て/介入を必要とする症状、日常の社会的及び機能的活動の実施不能(例えば、欠勤及び/又は床上安静)を含む日常生活活動(ADL)の阻害を伴い現れる場合、並びに/或いは薬物療法が必要とされる場合、ISRとして定義される
●子宮頸部のin situ癌、又は皮膚の非転移性扁平上皮細胞若しくは基底細胞癌を除く悪性腫瘍
●蠕虫又は寄生虫感染症
●日和見感染
●任意の重度感染症、又は非経口抗生物質、抗ウイルス薬又は抗真菌薬を用いた処置を必要とする感染症、又は2週間よりも長期間、経口抗生物質、抗ウイルス薬、又は抗真菌薬を用いた処置を必要とする感染症。
【0296】
6.7 -有害事象の緊急報告
規制報告を目的として、出願人の薬物安全性部署は、治験薬概要書に基づき、センダキマブとの関連性が疑われる事象の予測可能性を判断する。
【0297】
[実施例7]-中止
7.1 -処置の中止
下記の事象は、対象がIPを永続的に中止する十分な理由と考えられる:
●有害事象
●医師の決定
●有効性の欠如
●プロトコールからの逸脱
●対象による離脱
●死亡
●追跡不能
●IPの服薬不履行
●その他(eCRFに規定される)
【0298】
IPを永続的に中止する対象は、有効性の評価を含むすべての必要とされる残りの試験アセスメントを完了するために、IP投与を行わずに試験に継続して参加することが推奨される。本試験への更なる参加を辞退する対象は、早期終了来院及びフォローアップ来院アセスメントを完了すべきである。
【0299】
処置の中止理由をCRF及び原資料に記録すべきである。
【0300】
対象が処置を中止する決定は、なおも処置担当医師の責任に留まり、治験依頼者により遅延されたり、また拒絶されたりしない。しかしながら、対象の中止前に、治験責任医師はメディカルモニターと連絡を取ることができ、またレビュー及び協議用として該当する支援文書を提出することができる。
【0301】
7.2 -試験中止
下記の事象は、対象が試験を中止する十分な理由と考えられる:
●スクリーニング不合格
●有害事象
●医師の決定
●対象による離脱
●死亡
●追跡不能
●その他(eCRFに規定される)
【0302】
試験中止理由をeCRF及び原資料に記録すべきである。試験を早期に中止する対象のフォローアップは特別な重要性を有するので、中止した対象について、すべて又は特定の最終データを収集するためのあらゆる試みをなすべきである。
【配列表】
【国際調査報告】