(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】蓄電装置の容量損失を算定する方法、装置およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20240305BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20240305BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20240305BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240305BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240305BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/00
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557817
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022053363
(87)【国際公開番号】W WO2022199933
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】アルツベルガー,アルノ
【テーマコード(参考)】
2G036
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036BB08
2G216BA01
2G216BA21
2G216BA29
2G216BA34
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA05
5G503EA08
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF24
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明は、蓄電装置の容量損失を算定する方法、装置およびコンピュータプログラム製品に関する。まず、少なくとも2つの負荷サイクルにわたって容量損失の算定が行われる。1つの負荷サイクルは、下位電圧と上位電圧との間における蓄電装置の放電、充電、および再度の放電を含む。その際に、電圧は、高精度クーロメトリ装置によって求められる。測定に基づいて、第1電荷シフトと第2電荷シフトが決定される。両電荷シフトに基づいて、容量損失が算定される。これらのステップは、少なくとも2つの負荷サイクルにおいて容量損失がほぼ一定になるまで実行される。少なくとも2つの容量損失に基づいて、平均容量損失が算定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置(2)の少なくとも1つの平均容量損失を算定するための方法であって、
a)高精度クーロメトリ装置(4)を用いて前記蓄電装置(2)の少なくとも2つの負荷サイクル(100)を測定するステップであって、1つの負荷サイクル(100)が、第1電荷量(Q1)が第1充電状態(21)から第2充電状態(22)まで測定される間の第1放電と、第2電荷量(Q2)が前記第2充電状態(22)から第3充電状態(23)まで測定される間の第1充電と、第3電荷量(Q3)が前記第3充電状態(23)から第4充電状態(24)まで測定される間の第2放電と、を含み、前記負荷サイクル(100)の充電および放電が、前記蓄電装置(2)の下位電圧(26)と上位電圧(25)との間で行われる、ステップと、
b)前記第4充電状態(24)と前記第2充電状態(22)との間の差によって第1電荷シフト(d1)を算定し、前記第3充電状態(23)と前記第1充電状態(21)との間の差によって第2電荷シフト(d2)を算定するステップと、
c)前記第1電荷シフト(d1)と前記第2電荷シフト(d2)との差から容量損失(dKap)を算定するステップと、
・前記容量損失(dKap)が、少なくとも2つの連続した負荷サイクル(100)においてほぼ一定となるまで、前記ステップa)からc)を実行するステップと、
・少なくとも2つの容量損失(dKap)に基づいて平均容量損失(dKap
mittel)を算定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
各連続した負荷サイクル(100)において、前記負荷サイクル内で、一定の温度が支配する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項3】
前記高精度クーロメトリ装置(4)が、温度制御チャンバ(3)内で、コンダクティブ方式の温度コントローラおよび/または冷却装置によって温度調節される、請求項3記載の方法。
【請求項4】
前記下位電圧(26)が前記蓄電装置(2)の第1電圧範囲から選択され、前記上位電圧(25)が前記蓄電装置(2)の第2電圧範囲から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1電圧範囲および前記第2電圧範囲が、前記蓄電装置(2)の全作動電圧範囲から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記蓄電装置の残存容量(CR)が、開始容量(CS)と前記平均容量損失(dKap
mittel)との差から算定される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記残存容量が、少なくとも2つの平均容量損失(dKap
mittel)に基づいて決定される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの平均容量損失(dKap
mittel)を算定するために、各平均容量損失について、負荷スペクトルからの負荷サイクルにおける様々な条件が使用される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記負荷スペクトルの前記負荷サイクルの前記条件が、予め与えられたバッテリ動作に依存して選択され、前記残存容量(CR)の算定が、バッテリ動作のための前記残存容量(CR)の予測を表すか、または前記残存容量(CR)が、バッテリ動作のための前記蓄電装置(2)の劣化挙動の予測に含まれる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記方法が計算ユニット(10)においてコンピュータ支援されて実行される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
記載の方法。
【請求項11】
高精度クーロメトリ装置(4)と計算ユニット(10)とを備えた、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置(1)であって、
・前記高精度クーロメトリ装置(4)が、前記蓄電装置(2)の負荷サイクル(100)を計量学的に記録するように構成されており、前記負荷サイクル(100)が、第1電荷量(Q1)が第1充電状態(21)から第2充電状態(22)まで測定される間の第1放電と、第2電荷量(Q2)が前記第2充電状態(22)から第3充電状態(23)まで測定される間の第1充電と、第3電荷量(Q3)が前記第3充電状態(23)から第4充電状態(24)まで測定される間の第2放電と、を含み、前記負荷サイクル(100)の充電および放電が、前記蓄電装置(2)の下位電圧(26)と上位電圧(25)との間で行われ、
・前記計算ユニット(10)が、前記第4充電状態(24)と前記第2充電状態(22)との差により第1電荷シフト(d1)を決定すると共に、前記第3充電状態(23)と前記第1充電状態(21)との差により第2電荷シフト(d2)を決定するように構成されており、さらに前記第1電荷シフト(d1)と前記第2電荷シフト(d2)との差から容量損失(dKap)を決定するように構成されており、かつ、平均容量損失(dKap
mittel)を算定するように構成されている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置(1)。
【請求項12】
前記計算ユニット(100)が、開始容量(CS)と少なくとも1つの平均容量損失(dKap
mittel)との間の差から前記残存容量(CR)を算定するように構成されている、請求項11記載の装置(1)。
【請求項13】
前記計算ユニット(10)が、前記平均容量損失(dKap
mittel)を算定するために使用される前記容量損失(dKap)に基づいて、前記負荷サイクル(100)の回数(Z)を決定するように構成されている、請求項11または12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記装置(1)が、前記蓄電装置を配置するのに適した温度制御チャンバ(3)を備えている、請求項11から13のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品(13)がコンピュータユニット(10)内で実行されるとき、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するためのプログラムコード手段を有する、プログラム可能な前記コンピュータユニット(10)の記憶装置に直接ロードすることができるコンピュータプログラム製品(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置の容量損失を算定する方法、この方法を実施するための装置、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、以下にリチウムイオンバッテリとも呼ばれるが、その高い出力とエネルギ密度のため、移動および定置用途のエネルギ蓄積装置として使用される。この電気化学的エネルギ蓄積装置を安全に、確実に、そしてできるだけ長くメンテナンスなしで動作できるようにするために、特に、充電状態(英語:State of Charge)と劣化状態(英語:State of Health、健全状態)に関して、臨界的な動作状態をできるだけ正確に知ることが必要である。
【0003】
バッテリの劣化、特に、高温によるいわゆるサイクリック劣化、低温での急速充電は、充電状態、放電深度および充電電力と放電電力に応じて、マイナスの影響を受けることが知られている。したがって、同じタイプのバッテリセルが、上述のパラメータに依存して、著しく異なる回数の負荷サイクルを達成することが可能である。
【0004】
予想される劣化プロセスを算定するために、従来技術では、使用されるバッテリセルの劣化特性は、バッテリシステムの設計フェーズ中の測定によって算定される。実際の負荷プロファイルを使用した実際の劣化速度は、多くの場合テストされない。むしろいわゆるラフテスト(Rafftest)において、劣化速度またはサイクル安定性が圧縮負荷プロファイルで算定される。これらの結果により、経験的な劣化モデルがパラメータ化され、それらの劣化モデルから、その用途での劣化プロセスが明らかになる。負荷プロファイル、作動点および環境条件に関係した物理的および/または化学的測定に基づく将来の劣化プロセスの実現は、基礎となる物理的および化学的プロセスの非線形性およびそれらの複雑な相互作用ために実行が極めて困難である。
【0005】
バッテリの劣化状態の予測は、不利なことに複雑である。したがって、多くの場合、有意義な劣化モデルのパラメータ化は、非常に時間がかかるという欠点がある。さらに、劣化を評価するために、しばしば仮定がなされなければならず、これは、劣化を不都合に不正確にする。
【0006】
これは、十分な性能を保証し、したがって、責任および保証の約束に従うことができるようにするために、性能および耐用年数要件によって要求されるものと比較して、蓄電装置が過大寸法にされるという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、簡単かつ確実な方法でバッテリセルの劣化の状態を確認することを可能にする方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の容量損失を算定するための方法、請求項9に記載の装置、および請求項12に記載のコンピュータプログラム製品によって解決される。
【0009】
蓄電装置の少なくとも1つの平均容量損失を算定するための本発明による方法は、いくつかのステップを含む。第1ステップa)では、蓄電装置の少なくとも2つの負荷サイクルが、高精度クーロメトリ装置によって測定され、単一の負荷サイクルが第1放電を含み、この第1放電では、第1電荷量が第1充電電状態から第2充電状態まで測定される。これに続く第1充電が行われ、この第1充電では、第2電荷量が第2充電状態から第3充電状態まで測定される。続いて、第2放電が行われ、この第2放電では、第3電荷量が第3充電状態から第4充電状態まで測定される。負荷サイクルでの充電および放電は、蓄電装置の下位電圧と上位電圧との間で行われる。第2ステップb)では、第4充電状態と第2充電状態との間の差による第1電荷シフトの算定と、第3充電状態と第1充電状態との間の差による第2電荷シフトの算定とが行われる。第3ステップc)では、第1電荷シフトと第2電荷シフトとの差から容量損失が決定され、第1ステップa)、第2ステップb)および第3ステップc)が、容量損失がほぼ一定となるまで実行される。その後、平均容量損失が、少なくとも2つの容量損失に基づいて算定される。
【0010】
蓄電装置の平均容量損失を算定するための方法を実施するための本発明による装置は、高精度クーロメトリ装置を備える。この高精度クーロメトリ装置は、蓄電装置の1つの負荷サイクルを計量記録するように構成されている。この場合、その負荷サイクル内で第1放電が実行され、この第1放電では、第1電荷量が第1充電状態から第2充電状態まで測定される。これに続く第1充電が行われ、この第1充電では、第2電荷量が第2充電状態から第3充電状態まで測定される。その後、第2放電が行われ、この第2放電では、第3電荷量が第3電荷状態から第4電荷状態まで測定される。負荷サイクル内の充電および放電は、蓄電装置の下位電圧と上位電圧との間で行われる。本発明による装置は、さらに計算ユニットを備え、この計算ユニットは、第4充電状態と第2充電状態との差によって第1電荷シフトを決定するように構成されている。計算ユニットは、さらに、第3充電状態と第1充電状態との差によって第2電荷シフトを決定するように構成されている。さらに、計算ユニットは、第1電荷シフトと第2電荷シフトとの差から容量損失を決定し、かつその容量損失がほぼ一定である場合に平均容量損失を決定するように構成されている。さらに、計算ユニットは、平均容量損失を算定するように構成されている。
【0011】
本発明によるコンピュータプログラム製品は、プログラム可能な計算ユニットの記憶装置に直接ロードすることができる。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラム製品が計算ユニットで実行されるときに、本発明による方法を実施するプログラムコード手段を有する。
【0012】
平均容量損失は、サイクルあたりの単位容量損失における選択された負荷サイクルの劣化速度を表す。本発明による方法により、高精度クーロメトリ装置の測定データの、バッテリの劣化速度に関する定量的評価を有利に実行することが可能である。この定量的評価は、平均容量損失の算定に基づいて容量の絶対値を求めることができることから、定量評価は可能である。
【0013】
さらに、本発明による方法では、非対称の充電および放電サイクル、並びに1つの負荷サイクルに対する高い電流強度を使用することが有利に可能である。言い換えれば、それは、任意の負荷サイクル、特に定電流プロファイル、定出力プロファイル、過渡電流プロファイル、または過渡出力プロファイルとすることができる。また、負荷サイクルは、例えば、電圧限界によって定義される反転点において、電流が流れない休止を有してもよい。負荷サイクルは定期的にのみ実行され、2つの固定電圧制限に遭遇する。電圧限界の選択は、平均充電状態(SOC)およびサイクル奥行き(DOD)によって特徴付けられる特定の動作点を規定する。
【0014】
さらに、有利には、本発明による方法を使用して、短時間で劣化状態を決定することが可能である。有利には、電気化学的エネルギ蓄積装置の製品開発またはその用途は、このように加速することができる。有利には、これは、製品開発のコストを低減する。さらに、試験装置の利用を減らし、開発をより効率的にする。
【0015】
容量損失の経過に適合した接線の傾きが、測定された容量損失の最後の10%の傾きの平均の10%未満の値を有する場合、算定された容量損失はほぼ一定であると考えられる。あるいは、少なくとも2つの連続する容量損失(dKap)の絶対変化が、特に5%未満である場合、容量損失は、ほぼまたは実質的に一定であると考えられる。
【0016】
有利には、容量損失の値を介したスライディング線形適合(フィット)によってコンピュータ支援されて平均容量損失が算定され、このようにして生成された直線式における最小の勾配が見つけ出される。全容量損失にわたるフィットから始めて、算定された容量損失を含むデータセットが連続的に短縮され、新しい直線がフィットされる。フィットは、データセットの、すなわち容量損失の特定の最小残長まで実行される。引き続き、直線方程式は、それらの傾きの値に従って、大きさの昇順にソートされる。次いで、少なくとも2つの勾配が、大きさに関して容量損失の最後の10%の平均の10%未満の値を有する場合、測定は有効であるとみなすことができる。例えば、最後の20個の容量損失の平均、特に少なくとも200個の容量損失の測定の場合の平均が、5mAh/負荷サイクルである場合、2つの最良適合接線(「フィット」)の勾配は、0.05mAh/負荷サイクル未満であるべきである。
【0017】
特に、本発明の範囲内において、容量損失は、負荷サイクルの過渡段階後にはじめて、残存容量を算定するために使用され得ることが認識されている。測定の開始時に、すなわち、過渡過程中に算定される容量損失は、誤差を生じやすく、したがって、平均容量損失の算定に含めるべきではない。フィッティングにおいて容量損失に適用される直線の少なくとも2つが、測定された容量損失の最後の10%の平均値の10%未満の勾配を有するとき、この過渡的な位相が終了することが判明した。あるいは、2つの連続する容量損失および/または少なくとも20の容量損失にわたる移動平均が容量損失として5%未満の変化を示す場合、容量損失はほぼ一定であると見なされる。有利なことに、この手順は、容量損失に基づく残存容量の算定を迅速かつ確実に行うことができることを保証する。
【0018】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、容量損失の算定内で、連続する各負荷サイクルにおいて一定の温度が支配的である。言い換えれば、これは、容量損失の2つの連続した算定において温度が異なり得ることを意味する。ただし、1つの負荷サイクル中の温度は一定である。したがって、有利には、平均容量損失を決定するために、それぞれ異なる温度で取得された負荷サイクルは、1つの負荷サイクル内で温度が一定のままである限り、組み合わせることができる。
【0019】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、バッテリまたはバッテリセルは、温度制御チャンバ内で動作する。この実施形態では、バッテリまたはバッテリセルは温度制御チャンバ内に配置されている。
【0020】
特に、温度制御チャンバは、バッテリの1つの負荷サイクル中に十分に高い温度安定性を確保することを可能にする。あるいは、接触温度コントローラおよび/または冷却回路によって、負荷サイクルを通過する蓄電装置の温度を安定させることが可能である。有利には、温度制御の使用は、容量損失の算定の間、温度が一定のままであることを保証する。これにより、蓄電装置の残存容量算定の信頼性が向上するという利点がある。
【0021】
有利には、1つの負荷サイクルの測定のために、許容される作動範囲の任意の温度を使用することが可能である。有利には、単一の容量損失の算定は、標準的な条件下で実行される必要はない。
【0022】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態において、下位電圧は、第1電圧範囲から選択され、上位電圧は、第2電圧範囲から選択される。第2電圧範囲は、有利には、第1電圧範囲よりも高い電圧である。特に有利には、第1電圧範囲および第2電圧範囲の両方を、蓄電装置の全作動電圧範囲から選択することができる。言い換えれば、フルサイクルを実行する必要はない。そのため、製品シートまたはその他に従い、蓄電装置の許容電圧範囲を使用することが可能である。有利には、フルサイクル、すなわちフル充放電を実行することなく容量損失を測定することは、より短い測定期間を可能にする。さらに、蓄電装置は、測定によってかかる負荷があまり大きくなく、これは、有利には、急速な経年劣化を防止する。
【0023】
本発明のさらなる有利な実施形態では、残存容量の算定のために少なくとも2つの容量損失が選択され、平均化され、選択された負荷サイクルの数が掛けられる。
【0024】
特に有利には、平均容量損失の決定のための移動平均は、少なくとも20個の容量損失から算定される。
【0025】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、開始容量と平均容量損失との間の差に基づいて蓄電装置の残存容量が算定される。有利には、この残存容量は、基準残存容量と比較することができる。これにより、負荷プロファイルおよび評価の選択されたプロパティの検証が可能になる。さらに、残存容量は、種々の蓄電装置を相互に直接比較することができる基礎となる値を表している。これにより、複数のメーカーの2台の蓄電装置を同じ負荷プロファイルで作動させることができる。算定された残存容量に基づいて、複数の蓄電装置の劣化挙動を推測し、負荷プロファイルをマッピングする予め与えられたアプリケーションの選択を行うことができる。
【0026】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、残存容量は、少なくとも2つの平均容量損失に基づいて決定される。特に有利には、平均容量損失の算定のために、負荷サイクルにおける複数の条件が、負荷スペクトルから選択される。言い換えれば、これは、本発明による方法が、第1負荷プロファイルと、第1負荷プロファイルとは異なる第2負荷プロファイルとを用いて実行されることを意味する。第1および第2負荷プロファイルについて、第1および第2平均容量損失が、それぞれにおいて決定される。少なくとも2つの平均容量損失に基づいて、残差容量が決定される。有利には、この決定は、2つの異なる蓄電装置、特に異なる仕様および/または異なる製造業者に対して実行することができる。したがって、2つの負荷プロファイルの組合せに類似または等しい計画された使用のために、最適な蓄電装置を有利に見つけ出すことができる。
【0027】
少なくとも2つの異なる負荷プロファイルを有するスペクトルは、負荷スペクトルと見なされる。
【0028】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、負荷スペクトルの負荷サイクルの条件は、予め与えられたバッテリ動作依存して選択される。そして、残存容量の算定は、バッテリ動作のための残存容量の予測である。代替的に、残存容量は、バッテリ動作のための蓄電装置の劣化挙動の予測に含めることができる。特に有利には、負荷スペクトルは、具体的なバッテリ動作、例えば電気自動車内での使用または家庭用蓄電装置としての使用における蓄電装置のストレスを反映するように定義される。
【0029】
残存容量の算定のために平均値が使用される場合、残存容量の決定の信頼性が有利に高められる。
【0030】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、平均容量損失を算定するための方法は、計算ユニットにおいてコンピュータ支援されて実施される。したがって、有利には、測定方法は自動化することができ、これにより評価が加速される。有利には、電気化学的エネルギ蓄積装置の製品開発またはその用途は、このように加速され得る。有利には、これは、製品開発のコストを低減する。さらに、試験装置の利用が減るため、開発がより効率的になる。
【0031】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、計算ユニットは、容量損失の選択に基づいて負荷サイクルの数を決定するように構成される。言い換えれば、計算ユニットは、平均値が少なくとも2つの容量損失にわたって得られる場合、平均容量損失を決定することもできる。
【0032】
本発明のさらなる有利な実施形態および発展形態では、負荷サイクルの測定が行われる間、計算ユニットは、容量損失のほぼ一定の値にすでに到達したかどうかを確認し、評価の結果の関数として蓄電装置のさらなる負荷サイクルを開始するように構成されている。有利には、残存容量の算定を自動化された方法で実施することが可能である。
【0033】
本発明の更なる特徴、特性および利点は、添付の図面による以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、高精度クーロメトリ装置を用いて平均的な容量損失と残存容量を算定する装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、負荷サイクルの電圧-時間ダイアグラムを概略的に示す。
【
図3】
図3は、負荷サイクルの電圧-電荷ダイアグラムを概略的に示す。
【
図4】
図4は、少なくとも200回の負荷サイクル経過に関して、サイクル当たりの容量損失-サイクル数ダイアグラムを概略的に示す。
【
図5】
図5は、少なくとも200回の負荷サイクル経過に関して、残存容量-サイクル数ダイアグラムを概略的に示す。
【
図6】
図6は、蓄電装置の残存容量の平均容量損失を算定するための方法フローチャートを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、高精度クーロメトリ装置1で平均容量損失と残存容量を算定する装置を示している。装置1は、蓄電装置2を備え、この蓄電装置は、少なくとも1つのバッテリセルを有する。この蓄電装置は、温度制御チャンバ3内に配置されている。蓄電装置2は、電力ケーブル11を介して高精度クーロメトリ装置4に接続されている。高精度クーロメトリ装置4は、データケーブル12を介して計算ユニット10に接続されている。高精度クーロメトリ装置4は、蓄電装置2の充電-時間ダイアグラムを非常に高い精度で記録する。蓄電装置2は、周期的な負荷サイクル100で作動させられる。
【0036】
図2は、蓄電装置2の周期的な負荷サイクル100の間に高精度クーロメトリ装置4によって記録される電圧-時間ダイアグラムを示す。負荷サイクル100は、第1充電状態21から第2充電状態22への放電を含み、第1充電状態21は上位電圧25にあり、第2充電状態22は下位電圧26にある。続いて、負荷サイクル100では、蓄電装置2が第2充電状態22から第3充電状態23へ充電される。次のステップとして、負荷サイクル100では、第3充電状態23が第4充電状態24にまで放電される。個々の充電/放電ステップのそれぞれにおいて、上位電圧25および下位電圧26が電圧限界として維持される。充電には、充電期間t
Cがかかる。放電には、放電期間t
Dがかかる。
【0037】
図2に示す測定に基づいて、ここで、
図3に示すように、どれほどの累積電荷量が個々の充電ステップおよび放電ステップにおいて流れたかを算出することができる。
図3は、蓄電装置の電圧を累積電荷量Qに対してプロットしたダイアグラムを示す。負荷サイクル100は、ここでも第1充電状態21で開始される。蓄電装置2は、第1放電31において第2充電状態22にまで放電される。その際に、第1電荷量Q1が、蓄電装置2から取り出される。第1電荷量Q1は、式1により計算することができ、ここで、Iは電流を示し、t
Dは放電時間長さを示す。
【0038】
【0039】
負荷サイクル100内において、蓄電装置2は、続いて第1充電32により、第2充電状態22から第3充電状態23へと充電される。第2電荷量Q2が蓄電装置2に充電される。Q2は、式2により計算することができる:
【0040】
【0041】
負荷サイクル100内において、蓄電装置2は、続いて第3充電状態23から第4充電状態24へと、第2放電33により放電される。取り出される電荷量Q3は、再び、式1と同様に、放電の時間長さおよびそれに関連する電流に基づいて計算することができる。
【0042】
ここで、第1充電状態21と第3充電状態23との間で第1電荷シフトd1を求めることができる。さらに、第2充電状態22と第4充電状態24との間で第2電荷シフトd2を求めることができる。第1電荷シフトd1と第2電荷シフトd2との差から、今や、負荷サイクル100に対する容量損失dKapを、式3用いて求めることができる。
【0043】
【0044】
ここで、
図4において、負荷サイクル当たりの容量損失を、250回の負荷サイクルについて示す。ここで、x軸には、負荷サイクル数Z、すなわち、各負荷サイクル100の実施数、を示しており、y軸には、負荷サイクル100当たりの容量損失dKap、を示している。
図4は、連続する負荷サイクル100の間に、最初に過渡フェーズP1が生じること、を明らかにしている。過渡フェーズP1の長さは、蓄電装置またはバッテリセルの動作点および履歴に依存する。過渡フェーズP1は、有利には、例えば、先行する測定と同じ平均充電状態(SOC)で後続の動作点の測定を実行することによって短縮することができる。
【0045】
本方法の測定値としての平均容量損失dKapmittelの決定は、容量損失dKapの値についてのスライディング線形フィット(英:sliding linear fit、独:gleitenden linearen Fit)と、このようにして生成された線形方程式における最小勾配の決定とにより、行われる。容量損失dKapの全ての値、すなわち、例えば、値1~値250についての適合(フィット)に基づいて、データセットが連続的に切り詰められ、新しい直線が生成される(フィットされる)(2~250、3~250等)。適合は、データセットの所定の最小の残り長さまで、例えば、全長の10%まで、行われる。その後、直線方程式は、特にその勾配の値により大きさに従って昇順にソートされる。ここで、測定は、勾配のうち少なくとも2つが、量的に、容量損失dKapの最後の10%の平均値の10%未満の値を有する場合、測定は有効と見なすことができる。例えば、最後の20回の容量損失の平均が、特には容量損失を少なくとも200回測定する際に、5mAh/負荷サイクルである場合、両方の最適に適合された接線(「フィット」)の傾きは0.05mAh/負荷サイクル未満である必要がある。
【0046】
それ以外の場合は、特にはより多くの支持点を用いて測定を繰り返す必要があるのは、システムが十分に定常状態に達していないからである。ソートに基づいて、所定の数、例えば、データセットの長さ全体の3%を丸めた数、または2つの測定値の最小数が、選択され、適合された直線の対応するスタート指標が算出される。このようにして算出された線分のそれぞれに対して、平均化された容量損失が、含まれる容量損失dKapの算術平均値として、指定される。平均容量損失dKapmittelの値は、その後、平均された個別の容量損失についての平均値として、決定される。
【0047】
まだ十分に定常状態ではない、つまり略一定の容量損失が達成されていない場合、負荷サイクルの測定は繰り返される。ソートに基づいて、その場合、所定の数、例えば、データセットの長さ全体の約3%を丸めた数または2つの測定値の最小数、が選択され、適合された直線の対応するスタート指標が算出される。このようにして算出された線分のそれぞれに対して、平均化された容量損失dKapmittelが、含まれる容量損失の算術平均値として、指定される。平均容量損失dKapmittelの値は、しかしながら、算術平均化
された容量損失の平均値としても、算出することができる。
【0048】
また
図5は、過渡フェーズP1の後に過渡フェーズP2が続くことを明らかにする。これらのフェーズは、容量損失dKapの評価中にシフトする可能性がある。
【0049】
平均容量損失dKapに基づいて、残存容量CRを決定することが可能となり、したがって、使用される負荷プロファイルについて負荷サイクルの条件下で検査された蓄電装置の劣化挙動を予測することが可能となる。平均容量損失dKapmittelは、残存容量を算定するために有利に使用される。平均容量損失dKapmittelは、評価に含まれる負荷サイクル数に乗算されて、その結果が開始容量CSから引かれる。これは、式4に示されるように、残存容量CRをもたらす。
【0050】
【0051】
図5は、負荷サイクル数Zに対する残存容量CRの計算値を示すダイアグラムである。最初の負荷サイクルの前に、このダイアグラムから開始容量CSも読み取ることができる。
図5に示すダイアグラムは、容量損失dKapの3つの異なるデータセットに基づく残存容量CRを示す。第1算定残存容量CR1では、負荷サイクル数42~241の第1サイクル数が選択された。第2算定残存容量CR2には、第2サイクル数の負荷サイクル数162~241が含まれている。基準Refおよび出発容量CSは、セル製造業者の仕様に従った標準容量試験によって確認した。確認された残存容量CR1、CR2およびRefの比較によって、第1残存容量CR1および第2残存容量CR2が、基準残存容量Refと高い対応を示すことがわかる。残存容量の算定の質は、dKap
mittelの算定に含まれる支持点の継続的な短縮によって有利に増大する。
【0052】
図5により、負荷サイクルとその評価に基づいて、残存容量を確実に算定できることが明らかになる。このように、高精度クーロメトリ測定に基づいて、使用される負荷プロファイルに対する蓄電装置2の容量の定量的な決定を行うことができる。定義されたバッテリ動作のための負荷プロファイルスペクトルから負荷プロファイルを選択することにより、この決定は、定義されたバッテリ動作のための蓄電装置の(残存)容量の予測とみなすことができる。これは、特に、蓄電装置、特に電気自動車、電気列車または家庭用蓄電装置への規定された使用のための蓄電装置の選択を有利に可能にする。
【0053】
さらに、測定方法は、有利には、非対称の充電または放電電流のために、および任意の所望の高電流強度で、有利に使用することもできる。この方法の別の利点は、この方法が、特にアノードオーバーハングの影響のような影響とは無関係であることである。さらに有利には、負荷サイクル100は、蓄電装置2のフルサイクルである必要はない。
【0054】
図6は、蓄電装置2の平均容量損失dKap
mittelおよび残存容量CRを算定する方法のフローチャートを示している。第1ステップS1では、蓄電装置の少なくとも10回の負荷サイクルが、高精度クーロメトリ装置によって測定される。負荷サイクルは、第1放電と、第1充電と、第2放電とを含む。第2ステップS2において、電荷シフトが決定される。第3ステップS3では、電荷シフトに基づいて容量損失が決定される。第4ステップS4において、容量損失が不変性についてチェックされる。少なくとも2つの容量損失が一定であると見なされない場合、ステップS1から始まるさらなる負荷サイクルが開始される。少なくとも2つの容量損失が一定であると見なされる場合、測定された動作点、すなわち、定義された負荷プロファイルに対する平均容量損失dKap
mittelが、第5ステップS5で特定される。次いで、測定結果は、特に、更なる動作点もしくは負荷プロファイルに対する結果と一緒に、例えば、蓄電装置の設計またはモデリングに使用することができる。
【0055】
本発明は、好ましい実施例によって、より詳細に図示して説明したが、本発明は、開示した実施例によって限定されない。その変形は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の保護範囲から逸脱することなく、当業者によって導き出すことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 残存容量を予測するための装置
2 蓄電装置
3 温度制御チャンバ
4 高精度クーロメトリ装置
10 計算ユニット
11 電源ケーブル
12 データケーブル
13 コンピュータプログラム製品
21 第1充電状態
22 第2充電状態
23 第3充電状態
24 第4充電状態
25 上位電圧
26 下位電圧
31 第1放電
32 第1充電
33 第2放電
100 負荷サイクル
t 時間
tC 充電期間
tD 放電期間
V 電圧
Q 電荷
CR 残存容量
CS 開始容量
d1 第1電荷シフト
d2 第2電荷シフト
Z 負荷サイクル回数
dKap 負荷サイクル当たりの容量損失
P1 過渡フェーズ
P2 算定フェーズ
S1 負荷サイクルの測定
S2 第1および第2電荷シフトの算定
S3 容量損失の算定
S4 定常性のための少なくとも2つの容量損失の不変性チェック
S5 平均容量損失と残存容量の算定
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置(2)の少なくとも1つの平均容量損失を算定するための方法であって、
a)高精度クーロメトリ装置(4)を用いて前記蓄電装置(2)の少なくとも2つの負荷サイクル(100)を測定するステップであって、1つの負荷サイクル(100)が、第1電荷量(Q1)が第1充電状態(21)から第2充電状態(22)まで測定される間の第1放電と、第2電荷量(Q2)が前記第2充電状態(22)から第3充電状態(23)まで測定される間の第1充電と、第3電荷量(Q3)が前記第3充電状態(23)から第4充電状態(24)まで測定される間の第2放電と、を含み、前記負荷サイクル(100)の充電および放電が、前記蓄電装置(2)の下位電圧(26)と上位電圧(25)との間で行われる、ステップと、
b)前記第4充電状態(24)と前記第2充電状態(22)との間の差によって第1電荷シフト(d1)を算定し、前記第3充電状態(23)と前記第1充電状態(21)との間の差によって第2電荷シフト(d2)を算定するステップと、
c)前記第1電荷シフト(d1)と前記第2電荷シフト(d2)との差から容量損失(dKap)を算定するステップと、
・前記容量損失(dKap)が、少なくとも2つの連続した負荷サイクル(100)においてほぼ一定となるまで、前記ステップa)からc)を実行するステップと、
・少なくとも2つの容量損失(dKap)に基づいて平均容量損失(dKap
mittel)を算定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
各連続した負荷サイクル(100)において、前記負荷サイクル内で、一定の温度が支配する、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記高精度クーロメトリ装置(4)が、温度制御チャンバ(3)内で、コンダクティブ方式の温度コントローラおよび/または冷却装置によって温度調節される、請求項
2記載の方法。
【請求項4】
前記下位電圧(26)が前記蓄電装置(2)の第1電圧範囲から選択され、前記上位電圧(25)が前記蓄電装置(2)の第2電圧範囲から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1電圧範囲および前記第2電圧範囲が、前記蓄電装置(2)の全作動電圧範囲から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記蓄電装置の残存容量(CR)が、開始容量(CS)と前記平均容量損失(dKap
mittel)との差から算定される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記残存容量が、少なくとも2つの平均容量損失(dKap
mittel)に基づいて決定される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの平均容量損失(dKap
mittel)を算定するために、各平均容量損失について、負荷スペクトルからの負荷サイクルにおける様々な条件が使用される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記負荷スペクトルの前記負荷サイクルの前記条件が、予め与えられたバッテリ動作に依存して選択され、前記残存容量(CR)の算定が、バッテリ動作のための前記残存容量(CR)の予測を表すか、または前記残存容量(CR)が、バッテリ動作のための前記蓄電装置(2)の劣化挙動の予測に含まれる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記方法が計算ユニット(10)においてコンピュータ支援されて実行される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
高精度クーロメトリ装置(4)と計算ユニット(10)とを備えた、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置(1)であって、
・前記高精度クーロメトリ装置(4)が、前記蓄電装置(2)の負荷サイクル(100)を計量学的に記録するように構成されており、前記負荷サイクル(100)が、第1電荷量(Q1)が第1充電状態(21)から第2充電状態(22)まで測定される間の第1放電と、第2電荷量(Q2)が前記第2充電状態(22)から第3充電状態(23)まで測定される間の第1充電と、第3電荷量(Q3)が前記第3充電状態(23)から第4充電状態(24)まで測定される間の第2放電と、を含み、前記負荷サイクル(100)の充電および放電が、前記蓄電装置(2)の下位電圧(26)と上位電圧(25)との間で行われ、
・前記計算ユニット(10)が、前記第4充電状態(24)と前記第2充電状態(22)との差により第1電荷シフト(d1)を決定すると共に、前記第3充電状態(23)と前記第1充電状態(21)との差により第2電荷シフト(d2)を決定するように構成されており、さらに前記第1電荷シフト(d1)と前記第2電荷シフト(d2)との差から容量損失(dKap)を決定するように構成されており、かつ、平均容量損失(dKap
mittel)を算定するように構成されている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置(1)。
【請求項12】
前記計算ユニット(100)が、開始容量(CS)と少なくとも1つの平均容量損失(dKap
mittel)との間の差から前記残存容量(CR)を算定するように構成されている、請求項11記載の装置(1)。
【請求項13】
前記計算ユニット(10)が、前記平均容量損失(dKap
mittel)を算定するために使用される前記容量損失(dKap)に基づいて、前記負荷サイクル(100)の回数(Z)を決定するように構成されている、請求項11または12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記装置(1)が、前記蓄電装置を配置するのに適した温度制御チャンバ(3)を備えている、請求項11から13のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品(13)がコンピュータユニット(10)内で実行されるとき、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実施するためのプログラムコード手段を有する、プログラム可能な前記コンピュータユニット(10)の記憶装置に直接ロードすることができるコンピュータプログラム製品(13)。
【国際調査報告】