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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】多目的送達針
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240305BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61M25/06 580
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558255
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022021187
(87)【国際公開番号】W WO2022204049
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/164,191
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ソーンリー、カイル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スパタロ、ジョー
(72)【発明者】
【氏名】マッキノン、オースティン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA21
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB26
4C267BB31
4C267CC08
4C267GG22
(57)【要約】
患者の脈管構造にアクセスするための針が開示される。カニューレは、遠位端部から近位端部まで延びる流体管腔と、遠位端部から離れるように近位方向に延びるガイドウェイ管腔とを備える。ガイドウェイ管腔は、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内に配置されるように構成されている。ガイドウェイスロットは、ガイドウェイ管腔壁を通って半径方向に延び、ガイドウェイ管腔に沿って遠位端部まで延びている。カニューレを被覆するたシースが開示される。シースは、ガイドワイヤが横方向に通過する分離可能部分を含む。また、ガイドワイヤ固定位置とガイドワイヤ解放位置との間で回転可能に配置可能であるカラーが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管構造にアクセスするための針であって、
遠位端部における鋭利な先端部と、
近位端部における接続ハブであって、シリンジに接続するように構成されている接続ハブと、
遠位端部から近位端部まで延びるカニューレであって、遠位端部から近位端部まで延びる流体管腔を含むカニューレと、
遠位端部から離れるように近位方向に延びるガイドウェイ管腔であって、ガイドウェイ管腔の長さに沿って延びるガイドウェイスロットを備え、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内に配置されるように構成されている、ガイドウェイ管腔と、
を備える、針。
【請求項2】
請求項1に記載の針において、
ガイドウェイスロットは、ガイドウェイ管腔壁を通って半径方向に延びている、針。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の針において、
ガイドウェイスロットは、ガイドウェイ管腔に沿って遠位端部まで延びている、針。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の針において、
ガイドウェイスロットの幅は、ガイドウェイ管腔の直径にほぼ等しいか又はそれより小さくすることができる、針。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の針は、更に、
遠位端部から離れるように延びるカニューレの長さに沿ってカニューレ上に配置されたシースを備え、
シースは、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔内に保持するように構成されている、針。
【請求項6】
請求項5に記載の針において、
シースは、シースの遠位端部からシースの近位端部まで延びる分離可能部分を有するシース壁を備える、針。
【請求項7】
請求項6に記載の針において、
シースは、カニューレのまわりを第1の角度位置と第2の角度位置との間で回転可能であり、
分離可能部分は、第1の位置ではガイドウェイスロットに隣接して配置され、
分離可能部分は、第2の位置ではガイドウェイスロットから離れて配置される、針。
【請求項8】
請求項5~7のうちいずれか一項に記載の針において、
分離可能部分は、ガイドワイヤが分離可能部分を通過するように構成されている、針。
【請求項9】
請求項5~8のうちいずれか一項に記載の針において、
分離可能部分は、カニューレが分離可能部分を通過するように構成されている、針。
【請求項10】
請求項6~9のうちいずれか一項に記載の針において、
分離可能部分は、スリットを備える、針。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか一項に記載の針において、
ガイドウェイ管腔壁は、ガイドウェイスロットを横切って少なくとも部分的に延びる偏向可能部分を備え、
偏向可能部分は、偏向可能部分が非偏向状態であるときには、ガイドワイヤをガイドウェイスロット内に保持するように構成され、
偏向可能部分は、偏向可能部分が偏向状態であるときには、ガイドワイヤのガイドウェイスロットから外への通過を可能にするように構成されている、針。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載の針において、
流体管腔は、流体管腔壁を通って半径方向に延びる流体管腔スロットを備え、
流体管腔スロットは、遠位端部から離れるようにカニューレの長さに沿って延び、
流体管腔スロットの幅は、ガイドウェイ管腔の直径にほぼ等しいか又はそれより小さく、
ガイドウェイ管腔壁は、流体管腔スロットを横切って延びて流体管腔壁の一部を画定する、針。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか一項に記載の針において、
ガイドウェイ管腔壁及び流体管腔壁は、異なる材料で形成されている、針。
【請求項14】
請求項13に記載の針において、
ガイドウェイ管腔壁は、流体管腔壁より可撓性である、針。
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか一項に記載の針において、
流体管腔は、非円形断面を備える、針。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載の針において、
ガイドウェイスロットは、
第1のスロット幅を有する第1のスロット部分と、
第2のスロット幅を有する第2のスロット部分とを備え、
第2のスロット幅は、第1のスロット幅より大きい、針。
【請求項17】
請求項16に記載の針において、
第1のスロット部分は、第2のスロット部分の遠位に配置されている、針。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の針において、
第1のスロット部分は、針の遠位端部まで遠位方向に延びている、針。
【請求項19】
請求項16~18のうちいずれか一項に記載の針において、
第1のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より小さく、
第2のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より大きい、針。
【請求項20】
請求項1~19のうちいずれか一項に記載の針において、
カニューレは、非円形断面を備える、針。
【請求項21】
請求項20に記載の針において、
カニューレは、オーバル形断面を有する、針。
【請求項22】
請求項20に記載の針において、
カニューレは、三角形断面を有する、針。
【請求項23】
請求項1~19のうちいずれか一項に記載の針は、更に、
カニューレに結合されたカラーを備え、
カニューレは、カラーの開口部内に配置され、
開口部は、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延び、
カラーは、ガイドワイヤがガイドワイヤ管腔から外へ側方に移動するのを防止する、針。
【請求項24】
請求項23に記載の針において、
カラーは、開口部からカラーの外面まで半径方向外方に延びるカラースロットを備え、
カラースロットは、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延び、
カラースロットは、ガイドワイヤがカラースロットを側方に通過するように構成されている、針。
【請求項25】
請求項24に記載の針において、
カラーは、カニューレ上において、カラースロットがガイドウェイスロットと整合するガイドワイヤ解放位置に回転可能に配置可能であり、
カラーが解放位置にあるときには、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが可能となり、
カラーが解放位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが防止される、針。
【請求項26】
請求項23~25のうちいずれか一項に記載の針において、
カラーは、カニューレ上において、ガイドワイヤ固定位置に回転可能に配置可能であり、
カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが防止され、
カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが可能となる、針。
【請求項27】
請求項26に記載の針において、
カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、針に対するガイドワイヤの回転が防止され、
カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、針に対するガイドワイヤの回転が可能となる、針。
【請求項28】
請求項23~27のうちいずれか一項に記載の針において、
カラーは、第2のスロット部分がカラーの遠位端部とカラーの近位端部との間に配置されるように、カニューレ上に配置される、針。
【請求項29】
請求項23~28のうちいずれか一項に記載の針において、
カラーは、シースとの共回転を規定するようにシースに結合される、針。
【請求項30】
患者の脈管構造にアクセスするためのシステムであって、
針であって、
遠位端部における鋭利な先端部と、
近位端部における接続ハブであって、シリンジに接続するように構成されている接続ハブと、
遠位端部から近位端部まで延びるカニューレであって、遠位端部から近位端部まで延びる流体管腔を含むカニューレと、
遠位端部から離れるように近位方向に延びるガイドウェイ管腔であって、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内に配置されるように構成され、ガイドウェイ管腔の長さに沿って延びるガイドウェイスロットを備える、ガイドウェイ管腔と、
を含む、針と、
ガイドウェイ管腔内に配置されるガイドワイヤと、
を備える、システム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムは、更に、
接続ハブに結合されたシリンジを備える、システム。
【請求項32】
請求項30又は31に記載のシステムにおいて、
針は、更に、遠位端部から離れるように延びるカニューレの長さに沿ってカニューレ上に配置されたシースを備え、
シースは、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔内に保持するように構成され、
シースは、シースの遠位端部からシースの近位端部まで延びる分離可能部分を有するシース壁を備え、
分離可能部分は、ガイドワイヤが分離可能部分を通過するように構成されている、システム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、
シースは、カニューレのまわりを第1の角度位置と第2の角度位置との間で回転可能であり、
分離可能部分は、第1の位置ではガイドウェイスロットに隣接して配置され、
分離可能部分は、第2の位置ではガイドウェイスロットから離れて配置される、システム。
【請求項34】
請求項30~33のうちいずれか一項に記載のシステムにおいて、
ガイドウェイ管腔壁は、ガイドウェイスロットを横切って少なくとも部分的に延びる偏向可能部分を備え、
偏向可能部分は、偏向可能部分が非偏向状態であるときには、ガイドワイヤをガイドウェイスロット内に保持するように構成され、
偏向可能部分は、偏向可能部分が偏向状態であるときには、ガイドワイヤのガイドウェイスロットから外への通過を可能にするように構成される、システム。
【請求項35】
請求項30~34のうちいずれか一項に記載のシステムにおいて、
ガイドウェイスロットは、
第1のスロット幅を有する第1のスロット部分と、
第2のスロット幅を有する第2のスロット部分とを備え、
第2のスロット幅は、第1のスロット幅より大きい、システム。
【請求項36】
請求項35に記載のシステムにおいて、
第1のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より小さく、
第2のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より大きい、システム。
【請求項37】
請求項35又は36に記載のシステムにおいて、
ガイドワイヤは、
第1の直径を有する第1の直径部分と、
第2の直径を有する第2の直径部分とを備え、
第1の直径は、第1のスロット幅より大きく、
第2の直径は、第1のスロット幅より小さい、システム。
【請求項38】
請求項30~37のうちいずれか一項に記載のシステムにおいて、
針は、更に、カニューレに結合されたカラーを備え、
カニューレは、カラーの開口部内に配置され、開口部は、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延び、
カラーは、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔から外へ側方に移動するのを防止する、システム。
【請求項39】
請求項38に記載のシステムにおいて、
カラーは、開口部からカラーの外面まで半径方向外方に延びるカラースロットを備え、
カラースロットは、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延び、
カラースロットは、ガイドワイヤがカラースロットを側方に通過するように構成されている、システム。
【請求項40】
請求項38又は39に記載のシステムにおいて、
カラーは、カニューレ上において、カラースロットがガイドウェイスロットと整合するガイドワイヤ解放位置に回転可能に配置可能であり、
カラーがガイドワイヤ解放位置にあるときには、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが可能となり、
カラーが解放位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが防止される、システム。
【請求項41】
請求項38~40のうちいずれか一項に記載のシステムにおいて、
カラーは、カニューレ上においてガイドワイヤ固定位置に回転可能に配置可能であり、
カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが防止され、
カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが可能となる、システム。
【請求項42】
請求項41に記載のシステムにおいて、
カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、針に対するガイドワイヤの回転が防止され、
カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、針に対するガイドワイヤの回転が可能となる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の脈管構造にアクセスするための針に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤ、カテーテル、血管スネア、又は他の経皮的器具を含む様々な血管内装置は、患者の脈管構造に挿入されて、様々な健康問題を検出及び/又は治療する。脈管構造内における経皮的器具の配置は、典型的にはいくつかのステップを要する。これらのステップは、一般に、皮膚を刺通し、針の先端部を血管内に挿入することにより、皮膚を介して血管にアクセスすることを含み得る。典型的な手法は、針挿入プロセス中に針内で陰圧を確立し維持して、血管を含む患者への異物の導入を防止することを含み得る。したがって、シリンジは、典型的には、針と結合されて陰圧を与える。針の先端部が血管に挿入された後、臨床医は、血管から血液をシリンジに吸い込んで(一般に吸引フラッシュ(drawing flash)と称される)針先端部が血管内にあることを確認することができる。その後、シリンジは針のハブから切り離される。臨床医は、次に針カニューレを通してガイドワイヤ又は他の経皮的器具を血管に挿入することができる。経皮的器具が血管に挿入され、針を器具の近位端部から摺動させることによって、針は器具から除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した典型的な脈管構造アクセスプロセスは、いくつかの厄介な問題をもたらす。例えば、ガイドワイヤが針を通って血管に挿入されるまで、針先端部が血管内に残存することを保証するように注意しなければならない。シリンジを針から切り離す間に針の先端部を血管内に維持することは、特に血管が小さい場合、臨床医には困難である可能性がある。したがって、臨床医は、針先端部を血管から不用意に移動させてしまう場合がある。さらに、シリンジが針から切り離されると、臨床医には針先端部が血管内に残存することを再確認することは不可能である。
【0004】
脈管構造アクセスプロセス中、針カニューレは2つの目的を果たす。上述したように、カニューレは、(1)血管への流体アクセスを画定し、(2)器具のための案内された通路を画定する。しかしながら、針は単一のカニューレを含んでいるため、双方の目的は同時には満たされない可能性がある。換言すると、針がシリンジに結合されているときには、カニューレを器具通路として用いることはできず、また器具がカニューレを通して挿入されているときには、針を流体アクセスとして用いることはできない。
【0005】
また現在の脈管構造アクセスプロセスにより、経皮的器具の設計が複雑になったり、又は制限されたりする。例えば、器具は、カニューレを通じた器具の近位端部の移動によって針を器具から切り離すことに適応しなければならない。
【0006】
本明細書では、患者の脈管構造にアクセスし、経皮的器具を患者の脈管構造内に配置する際の安全性及び実用性を高めるための新たなデバイス、システム及び方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、患者の脈管構造にアクセスするための針が開示される。針は、遠位端部において鋭利な先端部と、近位端部において接続ハブとを備え、ハブはシリンジに接続するように構成されている。針は、遠位端部から近位端部まで延びるカニューレをさらに備える。カニューレは、遠位端部から近位端部まで延びる流体管腔と、遠位端部から離れるように近位方向に延びるガイドウェイ管腔とを備える。ガイドウェイ管腔は、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内に配置されるように構成されており、ガイドウェイ管腔は、ガイドウェイ管腔の長さに沿って延びるガイドウェイスロットを備え、ガイドウェイスロットは、ガイドウェイ管腔壁を通って半径方向に延び、且つガイドウェイ管腔に沿って遠位端部まで延びる。ガイドウェイスロットの幅は、ガイドウェイ管腔の直径にほぼ等しいか又はそれより小さくすることができる。
【0008】
針は、遠位端部から離れるように延びるカニューレの長さに沿ってカニューレ上に配置されたシースをさらに備えることができ、シースは、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔内に保持するように構成されている。シースは、シースの遠位端部からシースの近位端部まで延びる分離可能部分を有するシース壁を備え得る。シースは、カニューレのまわりを第1の角度位置と第2の角度位置との間で回転可能であり得る。分離可能部分は、第1の位置ではガイドウェイスロットに隣接して配置され、分離可能部分は、第2の位置ではガイドウェイスロットから離れて配置される。いくつかの実施形態では、分離可能部分は、ガイドワイヤが分離可能部分を通過するように構成され、またいくつかの実施形態では、分離可能部分は、カニューレが分離可能部分を通過するように構成されている。分離可能部分は、スリットを備え得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、ガイドウェイ管腔壁は、ガイドウェイスロットを横切って少なくとも部分的に延びる偏向可能部分を備える。偏向可能部分は、偏向可能部分が非偏向状態であるときには、ガイドワイヤをガイドウェイスロット内に保持するように構成され、偏向可能部分は、偏向可能部分が偏向状態であるときには、ガイドワイヤのガイドウェイスロットから外への通過を可能にするように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、流体管腔は、流体管腔壁を通って半径方向に延びる流体管腔スロットを備え、流体管腔スロットは遠位端部から離れるようにカニューレの長さに沿って延び、流体管腔スロットの幅は、ガイドウェイ管腔の直径にほぼ等しいか又はそれより小さい。ガイドウェイ管腔壁は、流体管腔スロットを横切って延びて流体管腔壁の一部を画定する。ガイドウェイ管腔壁及び流体管腔壁は、異なる材料で形成され得、ガイドウェイ管腔壁は、流体管腔壁より可撓性であり得る。いくつかの実施形態において、流体管腔は非円形断面を備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、ガイドウェイスロットは、第1のスロット幅を有する第1のスロット部分と、第2のスロット幅を有する第2のスロット部分とを備え、第2のスロット幅は、第1のスロット幅より大きい。第1のスロット部分は、第2のスロット部分の遠位に配置され得、第1のスロット部分は、針の遠位端部まで遠位方向に延び得る。第1のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より小さく、第2のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より大きくすることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、カニューレは非円形断面を備え、いくつかの実施形態では、カニューレは、オーバル形断面又は三角形断面を有する。
いくつかの実施形態において、針は、カニューレに結合されたカラーを備え、カニューレはカラーの開口部内に配置され、開口部は、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延び、カラーは、ガイドワイヤがガイドワイヤ管腔から外へ側方に移動するのを防止する。カラーは、開口部からカラーの外面まで半径方向外方に延びるカラースロットを備えることができ、カラースロットは、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延び、カラースロットは、ガイドワイヤがカラースロットを側方に通過するように構成されている。
【0013】
カラーは、カニューレ上において、カラースロットがガイドウェイスロットと整合するガイドワイヤ解放位置に回転可能に配置可能であり得る。カラーが解放位置にあるときには、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが可能となり、カラーが解放位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが防止される。カラーはまた、カニューレ上においてガイドワイヤ固定位置に回転可能に配置可能であり得、そのため、カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが防止され、カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが可能となる。いくつかの実施形態において、カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、針に対するガイドワイヤの回転が防止され、カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、針に対するガイドワイヤの回転が可能となる。カラーは、第2のスロット部分がカラーの遠位端部とカラーの近位端部との間に配置されるように、カニューレ上に配置され得る。カラーはまた、シースとの共回転を規定するようにシースに結合され得る。
【0014】
本明細書では同様に、患者の脈管構造にアクセスするためのシステムが開示され、このシステムは針及びガイドワイヤを備える。針は、遠位端部において鋭利な先端部と、近位端部において接続ハブとを備え、ハブはシリンジに接続するように構成されている。針は、遠位端部から近位端部まで延びるカニューレをさらに備える。カニューレは、遠位端部から近位端部まで延びる流体管腔と、遠位端部から離れるように近位方向に延びるガイドウェイ管腔とを備える。ガイドウェイ管腔は、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内に配置されるように構成されており、ガイドウェイ管腔は、ガイドウェイ管腔の長さに沿って延びるガイドウェイスロットを備える。ガイドワイヤは、ガイドウェイ管腔内に配置される。システムは、針に結合されたシリンジをさらに備え得る。
【0015】
システムのいくつかの実施形態において、針は、遠位端部から離れるように延びるカニューレの長さに沿ってカニューレ上に配置されたシースをさらに備え、シースは、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔内に保持するように構成されている。シースは、シースの遠位端部からシースの近位端部まで延びる分離可能部分を有するシース壁を備え、分離可能部分は、ガイドワイヤが分離可能部分を通過するように構成されている。シースは、カニューレのまわりを第1の角度位置と第2の角度位置との間で回転可能であり得、分離可能部分は、第1の位置ではガイドウェイスロットに隣接して配置され、分離可能部分は、第2の位置ではガイドウェイスロットから離れて配置される。
【0016】
システムのいくつかの実施形態において、ガイドウェイ管腔壁は、ガイドウェイスロットを横切って少なくとも部分的に延びる偏向可能部分を備え、偏向可能部分は、偏向可能部分が非偏向状態であるときには、ガイドワイヤをガイドウェイスロット内に保持するように構成され、偏向可能部分は、偏向可能部分が偏向状態であるときには、ガイドワイヤのガイドウェイスロットから外への通過を可能にするように構成される。
【0017】
ガイドウェイスロットは、第1のスロット幅を有する第1のスロット部分と、第2のスロット幅を有する第2のスロット部分とを備え、第2のスロット幅は、第1のスロット幅より大きい。第1のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より小さくすることができ、第2のスロット幅は、ガイドワイヤの直径より大きくすることができる。
【0018】
システムのいくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、第1の直径を有する第1の直径部分と、第2の直径を有する第2の直径部分とを備え、第1の直径は、第1のスロット幅より大きく、第2の直径は、第1のスロット幅より小さい。
【0019】
システムのいくつかの実施形態において、針は、カニューレに結合されたカラーをさらに備え、カニューレはカラーの開口部内に配置され、カラーは、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔から外へ側方に移動するのを防止する。開口部は、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延びる。カラーは、開口部からカラーの外面まで半径方向外方に延びるカラースロットを備え、カラースロットは、カラーの遠位端部からカラーの近位端部まで延びる。カラースロットは、ガイドワイヤがカラースロットを側方に通過するように構成されている。
【0020】
システムのいくつかの実施形態において、カラーは、カニューレ上において、カラースロットがガイドウェイスロットと整合するガイドワイヤ解放位置に回転可能に配置可能であり、そのため、カラーがガイドワイヤ解放位置にあるときには、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが可能となり、カラーが解放位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔から側方に除去することが防止される。
【0021】
カラーはまた、カニューレ上においてガイドワイヤ固定位置に回転可能に配置可能であり得、そのため、カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが防止され、カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、ガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動することが可能となる。カラーがガイドワイヤ固定位置にあるときには、針に対するガイドワイヤの回転も防止され得、カラーがガイドワイヤ固定位置から離れるように回転されると、針に対するガイドワイヤの回転が可能となり得る。
【0022】
本明細書では、ガイドワイヤを患者の脈管構造内に配置する方法も開示される。この方法は、患者の皮膚を介して針を針の先端部が血管内に配置されるように挿入するステップと、血管から針の流体管腔を通して針に結合されたシリンジ内に血液を吸い込むステップと、針のガイドウェイ管腔を通してガイドワイヤを血管に沿って前進させるステップと、ガイドウェイ管腔に沿って延びるスロットを通してガイドワイヤを針から側方に分離するステップとを含む。分離するステップは、シリンジが針に結合されたまま実施され得る。
【0023】
方法は、ガイドワイヤの遠位先端部が針の先端部に近接して配置されるように、ガイドワイヤをガイドウェイ管腔に配置するステップをさらに含むことができ、配置するステップは、挿入するステップの前に実施され得る。
【0024】
方法は、挿入するステップの前に、針のカラーをガイドワイヤ固定位置へ回転させて、挿入するステップ中にガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動するのを防止するステップをさらに含み得る。方法は、前進させるステップの前にカラーを固定位置から離れるように回転させることをさらに含み得る。
【0025】
方法のいくつかの実施形態において、分離するステップは、カニューレ上に配置されたシースの分離可能部分を通してガイドワイヤを側方に移動させることを含む。他の実施形態において、分離するステップは、スロットを通してガイドワイヤの縮径部分を長手方向に移動させることを含む。
【0026】
本明細書で提供される概念のこれらの特徴及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付図面及び以下の説明を考慮すると当業者にはより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示のより詳細な説明は、添付図面に示される本開示の特定の実施形態を参照することによってなされる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定するものとは見なされないことが理解される。本発明の例示的な実施形態は、添付図面を用いて、さらに具体的且つ詳細に記載され説明される。
図1A】いくつかの実施形態による、脈管構造アクセスシステムを例示する図。
図1B】いくつかの実施形態による、図1Aの針の遠位部分の詳細斜視図。
図1C】いくつかの実施形態による、シースをさらに示す図1Bと同様の詳細斜視図。
図1D】いくつかの実施形態による、シースの分離可能部分をさらに示す図1Cと同様の詳細斜視図。
図2A】いくつかの実施形態による、針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図2B】いくつかの実施形態による、可撓性壁部分を有する図2Aの針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図2C】いくつかの実施形態による、シースを有する図2Aの針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図3】いくつかの実施形態による、流体管腔内に配置されたガイドウェイ管腔を有する針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図4】いくつかの実施形態による、カニューレ壁内において流体管腔及びガイドウェイ管腔を画定する隔壁を有する針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図5】いくつかの実施形態による、可撓性壁を備えたガイドウェイ管腔を有する針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図6A】いくつかの実施形態による、オーバル形を有する針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図6B】いくつかの実施形態による、図6Aの針の端面図。
図7A】いくつかの実施形態による、三角形を有する針の別の実施形態の遠位部分の詳細斜視図。
図7B】いくつかの実施形態による、図7Aの針の端面図。
図8A】いくつかの実施形態による、拡張部分を備えたスロットを有する針の別の実施形態の近位部分の詳細斜視図。
図8B】いくつかの実施形態による、スロット内に配置されたガイドワイヤを例示する図8Aの針の近位部分の詳細斜視図。
図9A】いくつかの実施形態による、針に結合された回転可能なカラーを有する針の別の実施形態の近位部分の詳細斜視図。
図9B】いくつかの実施形態による、図9Aの針の近位部分の後方斜視図。
図9C】いくつかの実施形態による、カラーがガイドワイヤ固定位置へ回転されている図9Aの針の近位部分の正面図。
図9D】いくつかの実施形態による、図9Cの分割線9D-9Dに沿って切断した図9Aの針の近位部分の断面図。
図9E】いくつかの実施形態による、カラーが解放位置に回転されている図9Aの針の近位部分の正面図。
図9F】いくつかの実施形態による、図9Eの分割線9F-9Fに沿って切断した図9Aの針の近位部分の断面図。
図9G】いくつかの実施形態による、シースを含む図9Aの針の斜視図。
図10A】いくつかの実施形態による、脈管構造アクセスシステムの別の実施形態を例示する図。
図10B】いくつかの実施形態による、図10Aの針の遠位部分の詳細斜視図。
図10C】いくつかの実施形態による、スロットの拡張部分を通って挿入されたガイドワイヤを示す図10Aの針の近位部分の斜視図。
図10D】いくつかの実施形態による、縮径部分を有するガイドワイヤを示す図10Aのシステムの近位部分の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0029】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0030】
方向を示す用語「近位」および「遠位」は、本明細書では、医療装置における対向する位置を指すために使用される。装置の近位端は、装置がエンドユーザによって使用されるときに、エンドユーザに最も近く、患者からより遠い装置の端部として定義される。遠位端は、装置の長手方向に沿った近位端の反対側の端部、またはエンドユーザから最も遠く、患者により近い端部である。
【0031】
「~に接続される」及び「~に結合される」という語句は、機械的相互作用及び流体相互作用を含む2つ以上のエンティティ間の相互作用の任意の形を指す。2つの構成要素は、たとえそれらが互いに直接接触していなくても、互いに接続又は結合され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに結合され得る。
【0032】
本明細書で開示するいずれの方法も、記載の方法を実施するための1つ以上のステップ又は動作を含む。方法ステップ及び/又は動作は、互いに入れ替えることができる。換言すると、ステップ又は動作の特定の順序が実施形態の適切な操作に必要とされない限り、特定のステップ及び/又は動作の順序及び/又は使用は変更されてもよい。さらに、本明細書に記載される方法のサブルーチン又は一部のみが、本開示の範囲内の独立した方法である場合がある。別様に述べると、いくつかの方法は、より詳細な方法に記載されるステップの一部のみを含み得る。
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
図1Aは、針100、シリンジ20、及びガイドワイヤ30を含む脈管構造アクセスシステム10を例示する。針100は、血管15内においてガイドワイヤ30のためのアクセスを提供するために用いられ得る。針100は、針100の近位端部102に配置されたハブ115によってシリンジ20に結合され、針100は、遠位端部101において鋭利な先端部113を備える。針100は、ハブ115に隣接するカニューレの近位端部112から先端部113まで延びるカニューレ110を備える。カニューレ110は、ステンレス鋼又は硬質プラスチックなどの任意の硬質材料で形成され得る。以下でさらに説明するように、針100は、シリンジ20と血管15との間の流体連通を画定する流体管腔を備える。
【0034】
使用時、臨床医は、皮膚を介して針100の先端部113を血管15に挿入する。場合によっては、臨床医は、先端部113が血管15内にあるという視覚的な「血液フラッシュ」の確認のために、シリンジ20のプランジャ21を引いて血管15から血液を吸い込むことができる。血液フラッシュは、シリンジ20内で、カニューレ110が半透明/透明である場合にはカニューレ110に沿って、又はいくつかの他のチャンバで、可視化され得る。他の場合には、血液フラッシュは、シリンジ20がハブ115から切り離されるときに針ハブ115から滴る血液を含み得る。先端部113が血管15内にあると確認した後、臨床医は、ガイドワイヤを血管内に遠位方向に移動させることができる。
【0035】
図1B図1Dは、針100の付加的な詳細、構成要素、及び特徴を示す針100の遠位部分の詳細斜視図を例示する。図1Bに示すように、カニューレ110は、先端部113に隣接する開放端を有する流体管腔120を備える。流体管腔120は、遠位端部101の先端部113から近位端部102のハブ115まで延び、針100の全長に沿って流体通路を画定する。ハブ115は、シリンジ20に対する針100の物理的な取付けを容易にし、また流体管腔120とシリンジ20との流体結合を確立する。
【0036】
カニューレ110は、先端部113からカニューレ110の近位端部112までカニューレ110の長さに沿って延びるガイドウェイ管腔130をさらに備える。ガイドウェイ管腔130は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔130への配置に適応するように寸法決めされている。カニューレ110は、ガイドウェイ管腔130の長さに沿って長手方向に延びるスロット135を備える。スロット135は、ガイドウェイ管腔壁131を通って半径方向に延び、スロット幅135Aを画定する。スロット幅135Aは、ガイドワイヤ30がスロット135を通ってガイドウェイ管腔130の内外へ側方に通過するのに適応するように寸法決めされ得る。いくつかの実施形態では、スロット幅135Aは、ガイドウェイ管腔130の直径にほぼ等しくてもよい。他の実施形態では、スロット幅135Aは、ガイドウェイ管腔130の直径より小さくてもよい。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部113に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔130に配置され得る。
【0037】
図1Cに示す例示した実施形態では、針100は、カニューレ110の周囲のまわりに配置された長尺状シース140を備え得る。シース140は、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130内に拘束するように寸法決めされ得る。より詳細には、シース140は、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔130から外へ側方に移動するのを防止し得る。いくつかの実施形態において、シース140がカニューレ130に対して長手方向に摺動及び/又は回転することができるように、シース140はカニューレ110に摺動可能に結合され得る。シース140は、鋭利な先端部113がシース140の遠位端部を越えて遠位方向に延びるように、寸法決めされ、且つカニューレ130上に配置され得る。図示していないが、ガイドウェイ管腔130は、シース140の近位端部を越えて近位方向に延びている。シース140は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は細い管状シースを形成するのに適した他の材料などの医療グレードプラスチック材料で形成され得る。
【0038】
図1Dは、シース140の全長に沿って延び得るシース140の分離可能部分141を示す、図1Cと同様の詳細斜視図である。分離可能部分141は、スリット、又は例えば薄肉部分若しくはミシン目などの弱化されたシース構造の長手方向部分であり得る。使用時、分離可能部分141は、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130から側方に除去するのを容易にし得る。分離可能部分141はまた、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作が行われない場合にはガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130内に保持するのを容易にし得る。いくつかの実施形態において、意図的なガイドワイヤ除去動作は、分離可能部分141の分離を引き起こす十分な引張力でガイドワイヤを引っ張り、それによりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130から側方に除去できるようにすることを含み得る。いくつかの実施形態において、分離可能部分141はまた、シース140をカニューレ110から側方に除去するのを容易にし得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、分離可能部分141は、ガイドワイヤ30の直径より大きな幅を有するスリットであり得る。このような実施形態では、分離可能部分141がスロット135から離れて配置されるように、シース140が回転可能に配置されるとき、シース140は、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130内に保持し得る。この実施形態において、意図的なガイドワイヤ除去動作は、シース140を回転させて分離可能部分141をスロット135と整合させ、それによりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130から側方に除去するのを容易にすることを含み得る。
【0040】
図2A図2Cは、図1A図1Dに関連して説明される針100の構成要素に特定の点で似ている可能性がある針200の実施形態を例示する。例示する実施形態はすべて類似した特徴を有し得ることが理解されよう。よって、類似の特徴は、先頭の数字を「2」に増大させた類似の参照番号で示される。例えば、カニューレは、図1A図1Dでは「110」と示され、類似したカニューレは、図2A図2Cでは「210」と示されている。したがって、同様に識別される特徴に関して上述した関連する開示は、今後、繰り返されない場合がある。さらに、図1A図1Dに示す針100及び関連する構成要素の特定の特徴は、図面で示されない若しくは参照番号で識別されない、又は続く説明文中で具体的に論じられない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態に示される特徴及び/又はそのような実施形態に関して説明される特徴と明確に同一又はほぼ同一であり得る。よって、そのような特徴の関連する説明は、図2A図2Cの針の特徴に等しく適用される。図1A図1Dに例示された針100及び構成要素に関して説明される特徴の任意の適当な組み合わせ及び特徴の変形例は、図2A図2Cの針及び構成要素と共に用いることができ、逆もまた同様である。この開示のパターンは、後続の図に示され後述されるさらなる実施形態に等しく適用される。
【0041】
図2A図2Cは、針200の詳細、構成要素、及び特徴を示す針200の遠位部分の詳細斜視図である。針200は、カニューレ壁211を有するカニューレ210を備える。図1A及び図1Bに示すように、カニューレ210は、先端部213に隣接する開放端を有する流体管腔220を備える。流体管腔220は、先端部213から近位端部においてハブ(図示しないが図1A参照)まで延び、針200の全長に沿って流体通路を画定する。流体管腔220は、流体管腔220の周囲を形成する流体管腔壁221によって画定される。したがって、流体管腔壁221は、カニューレ壁211によって画定されるカニューレ内部内に配置された別個の流体導管を画定し得る。
【0042】
カニューレ壁211及び流体管腔壁221は、互いに組み合わさって、先端部213からカニューレ210の近位端部までカニューレ210の長さに沿って延びるガイドウェイ管腔230を画定する。ガイドウェイ管腔230は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔230への配置に適応するように寸法決めされている。カニューレ210は、遠位先端部213からハブまでカニューレ210の長さに沿って延びる長手方向スロット235を備える。スロット235は、カニューレ壁211を通って半径方向に延び、スロット幅235Aを画定する。スロット幅235Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔230の内外へ側方に通過するのに適応するように寸法決めされ得る。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部213に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔230に配置され得る。
【0043】
図2Bに示すように、カニューレ壁211は、1つ以上の可撓性延長部211Aを備え得る。可撓性延長部211Aは、スロット235を部分的に横切って延びて、縮小したスロット幅235Bを画定する。縮小したスロット幅235Bは、ガイドワイヤ30の直径より小さくすることができ、そのため、可撓性延長部211Aは、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔230内での保持を容易にし得る。可撓性延長部211Aはまた、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230から側方に除去するのを容易にし得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、カニューレ210は、金属、プラスチック、又は他の適当な材料で作製することができ、可撓性延長部211Aは、カニューレ壁211の延長された部分であってもよい。他の実施形態では、可撓性延長部211Aは、カニューレ210に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。そのような実施形態では、可撓性延長部211Aは、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ゴムなどを含むエラストマー又は軟質プラスチックなどの任意の適切に可撓性の材料で形成され得る。
【0045】
図2Cに示す例示した実施形態では、針100は、カニューレ210の周囲のまわりに配置された長尺状シース240を備え得る。シース240は、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230内に拘束するように寸法決めされ得る。より詳細には、シース140は、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔230から外へ側方に移動するのを防止し得る。いくつかの実施形態において、シース240がカニューレ210に対して長手方向に摺動及び/又は回転することができるように、シース240はカニューレ210に摺動可能に結合され得る。シース240は、鋭利な先端部213がシース240の遠位端部を越えて遠位方向に延びるように、寸法決めされ、且つカニューレ230上に配置され得る。図示していないが、ガイドウェイ管腔230は、シース240の近位端部を越えて近位方向に延びている。
【0046】
シース240は、シース240の全長に沿って延び得る分離可能部分241を備え得る。分離可能部分241は、例えば、スリット、又は薄肉部分若しくはミシン目などの弱化構造の長手方向部分であり得る。使用時、分離可能部分241は、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230から側方に除去するのを容易にし得る。分離可能部分241はまた、臨床医による意図的な動作が行われない場合にはガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230内に保持するのを容易にし得る。いくつかの実施形態において、意図的な動作は、分離可能部分241の分離を引き起こす十分な引張力でガイドワイヤを引っ張り、それによりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230から側方に除去できるようにすることを含み得る。いくつかの実施形態において、分離可能部分241はまた、シース240をカニューレ210から側方に除去するのを容易にし得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、分離可能部分241は、ガイドワイヤ30の直径より大きな幅を有するスリットであり得る。このような実施形態では、分離可能部分241がスロット235から離れて配置されるように、シース140が回転可能に配向されるとき、シース240は、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230内に保持し得る。この実施形態において、意図的な動作は、シース240を回転させて分離可能部分241をスロット235と整合させ、それによりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔230から側方に除去するのを容易にすることを含み得る。
【0048】
図3は、針300の遠位部分の詳細斜視図である。針300は、カニューレ壁311を有するカニューレ310を備え、カニューレ壁311は、カニューレ310の内部を画定する。ガイドウェイ管腔壁331を備えるガイドウェイ管腔330は、カニューレ310の内部内に配置され、ガイドウェイ管腔330は、先端部313からカニューレ310の近位端部までカニューレ310の長さに沿って延びる。カニューレ壁311及びガイドウェイ管腔壁331は、互いに組み合わさって流体管腔320を画定する。カニューレ壁311及びガイドウェイ管腔壁331は共にシール可能に結合されて流体管腔320の閉鎖された周壁を形成する。流体管腔320は、先端部313から近位端部においてハブ(図示しないが図1A参照)まで延び、針300の全長に沿って流体通路を画定する。示したように、流体管腔320は、ガイドウェイ管腔330のまわりに少なくとも部分的に延びている。
【0049】
ガイドウェイ管腔330は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔330への配置に適応するように寸法決めされている。カニューレ壁311及びガイドウェイ管腔壁331は、遠位先端部313からハブまでカニューレ310の長さに沿って延びる長手方向スロット335を備える。スロット335は、ガイドウェイ管腔壁331及びカニューレ壁311を通って半径方向に延び、スロット幅335Aを画定する。スロット幅335Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔330の内外へ側方に通過するのに適応するように寸法決めされ得る。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部313に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔330に配置され得る。
【0050】
図4は、針400の遠位部分の詳細前方斜視図である。針400は、カニューレ壁411を有するカニューレ410を備え、カニューレ壁411は、カニューレ410の内部を画定する。この内部内には、カニューレ壁411に取り付けられた隔壁450が配置されている。隔壁450は、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ゴムを含むエラストマー材料、又は軟質プラスチックなどの可撓性材料で形成され得る。隔壁450及びカニューレ壁411は、互いに組み合わさって流体管腔420を画定する。より詳細には、隔壁450とカニューレ壁411とが組み合わさって、周方向流体管腔壁421を形成する。流体管腔420は、先端部411から近位端部においてハブ(図示しないが図1A参照)まで延び、針400の全長に沿って流体通路を画定する。
【0051】
隔壁450は、ガイドウェイ管腔壁431を備えたガイドウェイ管腔430を形成する。ガイドウェイ管腔430は、先端部413からカニューレ410の近位端部までカニューレ410の長さに沿って延びる。ガイドウェイ管腔430は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔430への配置に適応するように寸法決めされている。カニューレ壁411は、遠位先端部413からハブまでカニューレ410の長さに沿って延びる長手方向カニューレスロット435を備える。カニューレスロット435は、カニューレ壁411を通って半径方向に延び、スロット幅435Aを画定する。スロット幅435Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔430の内外へ側方に通過するのに適応するように寸法決めされ得る。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部413に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔430に配置され得る。
【0052】
隔壁450は、カニューレスロット435内に延びて、隔壁450の1つ以上の可撓性延長部450Aを画定し得る。可撓性延長部450Aは、カニューレスロット435を部分的に横切って延びて、縮小したスロット幅435Bを画定する。縮小したスロット幅435Bは、ガイドワイヤ30の直径より小さくすることができ、そのため、可撓性延長部450Aは、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔430内での保持を容易にし得る。可撓性延長部450Aはまた、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔430から側方に除去するのを容易にし得る。
【0053】
図5は、針500の遠位部分の詳細前方斜視図である。針500は、カニューレ壁511を有するカニューレ510を備え、カニューレ壁511は、カニューレ510の内部を画定する。この内部内には、カニューレ壁511の内面に取り付けられた隔壁550が少なくとも部分的に配置されている。いくつかの実施形態では、隔壁550の一部は、カニューレ壁511の外面に取り付けられ得る。隔壁550は、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ゴムを含むエラストマー材料、又は軟質プラスチックなどの可撓性材料で形成され得る。隔壁550及びカニューレ壁511は、互いに組み合わさって流体管腔520を画定する。より詳細には、隔壁550とカニューレ壁511とが組み合わさって、周方向流体管腔壁521を形成する。流体管腔520は、先端部513から近位端部においてハブ(図示しないが図1A参照)まで延び、針500の全長に沿って流体通路を画定する。
【0054】
隔壁550は、ガイドウェイ管腔壁531を備えたガイドウェイ管腔530を形成する。ガイドウェイ管腔530は、先端部511からカニューレ510の近位端部までカニューレ510の長さに沿って延びる。ガイドウェイ管腔530は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔530への配置に適応するように寸法決めされている。カニューレ壁511は、遠位先端部511からハブまでカニューレ510の長さに沿って延びる長手方向スロット535を備える。カニューレスロット535は、カニューレ壁511を通って半径方向に延び、スロット幅535Aを画定する。スロット幅535Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔530の内外へ側方に通過するのに適応するように寸法決めされ得る。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部511に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔530に配置され得る。
【0055】
隔壁550は、カニューレスロット535内に延び得る。隔壁550は、隔壁550に沿って長手方向に延びるスリット555を備える。スリット555は、スロット535と整合して配置される。スリット555は、ガイドウェイ管腔壁531を通って半径方向に延びて、隔壁550の1つ以上の可撓性延長部550Aを画定する。可撓性延長部550Aは、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作が行われない場合にはガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔530内における保持をもたらす。可撓性延長部550Aはまた、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔530から側方に除去するのを容易にし得る。換言すると、臨床医は、スリット555を通してガイドワイヤ30を引っ張ることができる。
【0056】
図6A及び6Bは、針600を例示する。図6Aは、針600の遠位部分の詳細斜視図であり、図6Bは、図6Aの遠位部分の端面図である。針600は、流体管腔壁621を有する流体管腔620と、ガイドウェイ管腔壁631を有するガイドウェイ管腔630とを画定するオーバル形のカニューレ610を備える。流体管腔620及びガイドウェイ管腔630は、並列関係で配置されてオーバル形を画定する。流体管腔620は、先端部613から近位端部においてハブ(図示しないが図1A参照)まで延びて、針600の全長に沿って流体通路を画定する。
【0057】
ガイドウェイ管腔630は、先端部613からカニューレ610の近位端部までカニューレ610の長さに沿って延びる。ガイドウェイ管腔630は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔630への配置に適応するように寸法決めされている。ガイドウェイ管腔壁631は、遠位先端部613からハブまでカニューレ610の長さに沿って延びる長手方向スロット635を備える。カニューレスロット635は、ガイドウェイ管腔壁631を通って半径方向に延び、スロット幅435Aを画定する。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部613に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔630に配置され得る。
【0058】
例示する実施形態において、スロット幅635Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔630内に保持されるように、ガイドワイヤ30の直径より小さくすることができる。ガイドウェイ管腔壁631は、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔630から外へ側方に通過できるようにするのに十分なほど幅635Aを増大させるために外側に偏向するように構成された偏向可能部分632を備え得る。使用時、偏向可能部分632は、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作が行われない場合にはガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔130内に保持するのを容易にし得る。偏向可能部分632はまた、例えばガイドワイヤ30を引っ張るなどの臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔630から側方に除去するのを容易にし得る。
【0059】
図7A及び7Bは、針700を例示する。図7Aは、針700の遠位部分の詳細斜視図であり、図7Bは、図7Aの遠位部分の端面図である。針700は、流体管腔壁721を有する流体管腔720と、ガイドウェイ管腔壁731を有するガイドウェイ管腔730とを画定する三角形のカニューレ710を備える。流体管腔720及びガイドウェイ管腔730は、並列関係で配置されている。ガイドウェイ管腔730は円形断面を備えることができ、流体管腔720の断面はカニューレ710の三角形状によって画定され得る。流体管腔720は、先端部713から近位端部においてハブ(図示しないが図1A参照)まで延び、針700の全長に沿って流体通路を画定する。
【0060】
ガイドウェイ管腔730は、先端部713からカニューレ710の近位端部までカニューレ710の長さに沿って延びる。ガイドウェイ管腔730は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔730への配置に適応するように寸法決めされている。ガイドウェイ管腔壁731は、遠位先端部713からハブまでカニューレ710の長さに沿って延びる長手方向スロット735を備える。カニューレスロット735は、ガイドウェイ管腔壁731を通って半径方向に延び、スロット幅735Aを画定する。示したように、使用時、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位端部31が先端部713に近接して配置されるように、ガイドウェイ管腔730に配置され得る。
【0061】
例示する実施形態において、スロット幅735Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔730内に保持されるように、ガイドワイヤ30の直径より小さくすることができる。ガイドウェイ管腔壁731は、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔730から外へ側方に通過できるようにするのに十分なほど幅735Aを増大させるために外側に偏向するように構成された1つ以上の偏向可能部分732を備え得る。使用時、偏向可能部分732は、臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作が行われない場合にはガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔730内に保持するのを容易にし得る。偏向可能部分732はまた、例えばガイドワイヤ30を引っ張るなどの臨床医による意図的なガイドワイヤ除去動作によりガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔730から側方に除去するのを容易にし得る。
【0062】
図8Aは、針800の近位部分の詳細斜視図である。ハブ815から離れるように遠位方向に延びるカニューレ810が示されている。カニューレ810は、ガイドウェイ管腔壁831を有するガイドウェイ管腔830を備える。ガイドウェイ管腔830は、カニューレ810の遠位端部からカニューレ810の近位端部812までカニューレ810の長さに沿って延びる。ガイドウェイ管腔830は、ガイドワイヤ30のガイドウェイ管腔830への配置に適応するように寸法決めされている。ガイドウェイ管腔壁831は、遠位端部からハブ815までカニューレ810の長さに沿って延びる長手方向スロット835を備える。スロット835は、ガイドウェイ管腔壁831を通って半径方向に延び、スロット幅835Aを画定する。スロット835は、拡張したスロット幅835Bを画定する拡張部分836を備える。
【0063】
図8Bは、スロット835内に配置されたガイドワイヤ30を有する針800を例示する。例示する実施形態において、スロット幅835Aは、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔830内に保持されるように、ガイドワイヤ30の直径より小さい。反対に、拡張したスロット幅835Bは、ガイドワイヤ30が拡張部分836を通ってガイドウェイ管腔830から退出することができるように、ガイドワイヤ30の直径よりも大きい。示したように、拡張部分836は、カニューレ810の近位端部812に近接して配置され得る。
【0064】
図9A図9Gは、いくつかの実施形態による、針900の別の実施形態を例示する。図9Aは、カニューレ910に結合された回転可能なカラー960を備える針900の近位部分の斜視図である。示したように、カラー960は、ハブ915に近接して配置され得る。カラー960は、遠位端部961、近位端部962、及び外面963を画定する。カラー960は、臨床医がカラー960をハブ915に対して回転させるのを容易にするハンドル965を備え得る。カラー960は、カラー960を通って遠位端部961から近位端部962まで延びる円筒開口部970(すなわち穴)を備え、カニューレ910は開口部970を通って挿入される。開口部970は、カニューレ910との回転嵌合及び/又は滑り嵌めを規定するように寸法決めされ、またガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔スロット935を通ってガイドウェイ管腔930から外へ側方に移動するのを防止するように寸法決めされている。
【0065】
カラー960は、図9B図9Dに例示するガイドワイヤ固定位置と図9E図9Fに例示するガイドワイヤ解放位置との間で回転するように構成されている。図9Bは、カラー960の後方を示す針900の近位部分の後方斜視図である。カラー960は、開口部970から外面963まで半径方向外方に延びるカラースロット975を備える。カラースロット975はまた、遠位端部961から近位端部962まで延びる。同様に示されるように、ガイドワイヤ30は、カラー960の通路980内に配置され得る。
【0066】
図9Cは、針900の近位部分の正面図である。カラースロット975の最小幅976は、カニューレ910が開口部970から外へ側方に移動するのを防止するために十分に小さく、且つガイドワイヤ30が開口部970から外へ側方に移動できるようにするために十分に大きくなるように寸法決めされる。
【0067】
図9Dは、いくつかの実施形態による、針900のガイドワイヤ固定機構を例示する、図9Cの分割線9D-9Dに沿って切断した図9Aの針の近位部分の断面図である。図9Dは、ガイドワイヤ30がカラー970の遠位部分に沿ってガイドウェイ管腔930内に配置されることを示す。また、ガイドワイヤ30がガイドウェイ管腔930の近位端部932でガイドウェイ管腔930から退出する(exciting)ことも示されている。図9Dは、ガイドワイヤ30がカラー970の近位部分に沿った通路980内に配置されることをさらに示す。
【0068】
ガイドワイヤ固定機構は、通路980の一部によって画定されるカム表面981を備え得る。カム表面981は、ガイドウェイ管腔930の近位端部932に近接して、カム表面981とカニューレ910との間に可変間隙985を画定する。カム表面981は、カラー960がガイドワイヤ固定位置に向かって回転されると間隙985が低減され、カラー970がガイドワイヤ解放位置に向かって回転されると間隙985が増大されるように構成され得る。カラー960がガイドワイヤ固定位置に回転されると、間隙985は、ガイドワイヤ30に対する締付力982を規定するように十分に低減され得る。締付力982は、針900に対するガイドワイヤ30の長手方向の移動及び/又は回転を防止するのに十分であり得る。
【0069】
図9Eは、針900の近位部分の正面図であり、図9Fは、カラー970がガイドワイヤ解放位置に回転された図9Eの分割線9F-9Fに沿って切断した針900の近位部分の断面図である。図9Eに示すように、カラー970がガイドワイヤ解放位置に回転されると、カラースロット975は、ガイドウェイ管腔930のスロット935と整合される。したがって、カラースロット975により、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔930からスロット935を介して側方に除去することが可能となる。図9Fに示すように、ガイドワイヤ30は、通路980から除去される。カラー970がガイドワイヤ解放位置に回転された状態で、臨床医は、針900をガイドワイヤ30から側方に分離することができる。換言すると、臨床医は、針900をガイドワイヤ30の近位端部から外すことなく、針900からガイドワイヤ30を分離することができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ30は、カラー970を遠位方向に摺動させてカニューレ910の遠位端部から外し、次にガイドワイヤ30をスロット935に側方に通過させることによって、針900から分離され得る。いくつかの実施形態において、カラー970は、スロット975の最小幅976をカラー970の変形によって広げることができるように、可撓性材料で形成されてもよいし、又は1つ以上の可撓性部分(例えばヒンジ部分)を備えてもよい。このような実施形態では、スロット975の最小幅976は、カニューレ910がスロット975を通って側方に移動するのを容易にするために増大され得る。
【0071】
図9Gは、シース940を備える針900の斜視図である。シース940は、カニューレ910に沿って配置されて、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔930内に拘束する。シース940はまた、シース940の長さに沿って延びる分離可能部分941(図9Gではシース940の底部側に隠れている)を備え得る。シース940は、カラー970との共回転を規定するように、つまり、臨床医がカラー960を回転させるとシース940が回転されるように、カラー970と結合され得る。シース940は、分離可能部分941がカラースロット975と角度的に整合するように、カラー970と結合され得る。使用時、臨床医は、カラー960をガイドワイヤ解放位置へ回転させ、スロット935、カラースロット975、及び分離可能部分941を通してガイドワイヤを半径方向外方に引き出すことによって、ガイドワイヤ30をガイドウェイ管腔930から除去することができる。
【0072】
図10Aは、針1100、シリンジ1020、及びガイドワイヤ1030を含む脈管構造アクセスシステム1010の別の実施形態を例示する。針1100は、針1100の近位端部1102に配置されたハブ1115によってシリンジ1020に結合され、遠位端部1101において鋭利な先端部1113を備える。針1100は、ハブ1115に隣接するカニューレ1110の近位端部1112から先端部1113まで延びるカニューレ1110を備える。カニューレ1110は、ステンレス鋼又は硬質プラスチックなどの任意の硬質材料で形成され得る。針1100は、血管15内においてガイドワイヤ1030のためのアクセスを提供するために用いられる。以下でさらに説明するように、針1100は、シリンジ1020と血管15との間の流体連通を画定する流体管腔を備える。
【0073】
図10Bは、針1100の付加的な詳細、構成要素、及び特徴を示す針1100の遠位部分の詳細斜視図である。図10Bに示すように、カニューレ1110は、先端部1113に隣接する開放端を有する流体管腔1120を備える。流体管腔1120は、遠位端部1101の先端部1113から近位端部1102のハブ1115まで延び、針1100の全長に沿って流体通路を画定する。ハブ1115は、シリンジ1020に対する針1100の物理的な取付けを容易にし、また流体管腔1120とシリンジ1020との流体結合も確立する。
【0074】
カニューレ1110は、先端部1113からカニューレ1110の近位端部1112までカニューレ1110の長さに沿って延びるガイドウェイ管腔1130をさらに備える。ガイドウェイ管腔1130は、ガイドワイヤ1030のガイドウェイ管腔1130への配置に適応するように寸法決めされている。カニューレ1110は、ガイドウェイ管腔1130の長さに沿って長手方向に延びるスロット1135を備える。スロット1135は、ガイドウェイ管腔壁1131を通って半径方向に延び、スロット幅1135Aを画定する。
【0075】
図10Cは、直径1030Aを有するガイドワイヤ1030の一部を含む針1100の近位部分の詳細斜視図である。スロット幅1135Aは、ガイドワイヤ1030の直径1030Aより小さくなるように寸法決めされる。図10Cは、直径1030Aを有し、スロット1135の拡張部分1136を通ってガイドウェイ管腔1030に挿入されているガイドワイヤ1030を示している。拡張部分1136は、拡張したスロット幅1135Bを画定する(図10D参照)。拡張したスロット幅1135Bは、ガイドワイヤ1030の直径1030Aより大きくなるように寸法決めされる。
【0076】
図10Dは、直径1030Aを有するガイドワイヤ1030の一般部分1033と、縮小した直径1030Bを有するガイドワイヤ1030の縮小部分1034とを例示する。ガイドワイヤ1030の直径の直径1030Aから縮小した直径1030Bへの変化は、移行部1036で生じている。縮小した直径1035Bは、スロット幅1135Aより小さくなるように寸法決めされる。要約すると、直径1030Aを有する一般部分1033は、幅1135Aを有するスロット1135を側方に通過することはできないが、幅1135Bを有するスロット1135の拡張部分1136を通過することはできる。同様に、縮小した直径1030Bを有するガイドワイヤ1030の縮小部分1034は、幅1135Aを有するスロット1135を側方に通過することができる。
【0077】
使用時、ガイドワイヤ30は、拡張部分1136を通ってガイドウェイ管腔1130内に遠位方向に挿入され得る。一般部分1033がスロット1135の拡張部分1136を通って延びるとともに、ガイドワイヤ30は、ガイドウェイ管腔1130に沿って脈管構造内にさらに前進させられ得る。この前進は、ガイドワイヤ30の縮小部分11134がカニューレ1110の近位端部1112に近接して配置されるまで継続し得る。この時点で、針1100は、縮小部分1134がスロット1135内で長手方向に移動されるように、ガイドワイヤ30に対して近位方向に移動され得る。針1100の近位方向の移動は、その間に縮小部分1134がスロット1135に沿って長手方向に移動され、縮小部分1134がスロット1135の遠位端部から退出して、針1100のガイドワイヤ30からの分離を確立するまで継続し得る。
【0078】
ガイドワイヤ30を患者50の脈管構造内に配置する方法は、以下のステップ又はプロセスを含み得る。ガイドワイヤを、ガイドワイヤの遠位先端部が針の遠位先端部に近接して配置されるように、針のガイドウェイ管腔に挿入することができる。患者50の皮膚を介して針を針の先端部が血管内に配置されるように挿入することができる。針の先端部が血管内に配置された状態で、針の流体管腔を通してシリンジ内に血液を吸い込んで、針先端部が血管内にあることを確認することができる。針のガイドウェイ管腔を通してガイドワイヤを血管に沿って前進させることができる。シリンジが針に結合されたまま、針をガイドワイヤから側方に分離することができる。ガイドワイヤをガイドウェイ管腔に挿入するステップは、皮膚を介して針を挿入するステップの前に実施され得る。
【0079】
挿入するステップの前に、カラーを回転させてガイドワイヤを針に固定して、皮膚を介した針の挿入中にガイドワイヤがガイドウェイ管腔内で長手方向に移動するのを防止することができる。針を通してガイドワイヤを前進させることができるように、カラーを固定位置から離れるように回転させることができる。
【0080】
この方法は、シースを有する針を用いることを含むことができ、またこの方法は、シースの分離可能部分を通してガイドワイヤを側方に移動させることによって、針をガイドワイヤから分離することをさらに含むことができる。針をガイドワイヤから分離するとき、カラーのスロットを通してガイドワイヤを側方に移動させることができる。
【0081】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されるとともに、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態は、本明細書で提供された概念の範囲を制限することを意図するものではない。追加的な適応および/または変更が当業者に理解され得る。より広い態様では、これらの適応および/または変更もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱してよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10A
図10B
図10C
図10D
【国際調査報告】