(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】がんを治療するための薬学的組み合わせ物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/74 20150101AFI20240305BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240305BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240305BHJP
C12N 9/88 20060101ALI20240305BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240305BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20240305BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20240305BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240305BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240305BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240305BHJP
C12N 15/60 20060101ALN20240305BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
A61K35/74 A
C12N1/21 ZNA
C07K19/00
C12N9/88
C07K16/28
C07K14/195
A61K38/17
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P43/00 121
C12N15/13
C12N15/60
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558268
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2022057752
(87)【国際公開番号】W WO2022200493
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523157896
【氏名又は名称】ティースリー ファーマシューティカルズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イッティ, シモン
(72)【発明者】
【氏名】カスペル, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ソープ, ファルク
(72)【発明者】
【氏名】アムスタッツ, マーリーズ
(72)【発明者】
【氏名】デュヴァル, メロディ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA26X
4B065AA26Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084BA44
4C084DC50
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB022
4C084ZB032
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZC751
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4C085AA14
4C085BB11
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4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC32
4C087CA09
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZB02
4C087ZB03
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む薬学的組み合わせ物、ならびに対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法におけるそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む薬学的組み合わせ物。
【請求項2】
異種タンパク質またはその断片が、インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するタンパク質またはその断片である、請求項1に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項3】
異種タンパク質またはその断片が、RIG-I様受容体(RLR)ファミリーまたはその断片、抗ウイルスシグナル伝達およびI型IFN誘導に関与する他のCARDドメインを含有するタンパク質またはその断片、ならびにSTINGの刺激をもたらす、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素からなる群から選択されるI型IFN応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質またはその断片である、請求項1に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項4】
異種タンパク質またはその断片が、RIG1、MDA5、LGP2、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択されるI型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質またはその断片である、請求項1に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項5】
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-L、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)、VISTA(B7-H5)、IDO、OX40(CD134)、OX40L(CD252)、CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)、ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)、KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、A2aR、CD27、CD70(CD27L)、BTLA、HVEM、GITR、GITRL、CD40、CD40L(CD154)、TIM-1、CEACAM1、ICAM、LFA-1、CD2、CD160、HVEM、CD226、Cd112、PIR-B(gp49B)、CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、CD85C(LIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8);ILT2、ILT4、ILT5、ILT3、SIRPアルファ、CD47、GARP、TGFベータ1、TDO、CD94、NKG2A、HLA-E、CSF1、CSF1R、2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)、およびCD48(SLAMF2)からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項6】
ICMが、CTLA-4、PD-1、PD-L1、およびPD-L2からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の阻害剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項7】
ICMが、PD-1アンタゴニストまたはCTLA-4アンタゴニストである、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項8】
PD-1アンタゴニストが、アンタゴニストPD-1抗体である、請求項7に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項9】
アンタゴニストPD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、レチファンリマブ、プロルゴリマブ(BCD-100)、セルプルリマブ(HLX10)、スパルタリズマブ、AK105、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびスゲマリマブからなる群から選択される、請求項8に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項10】
CTLA-4アンタゴニストが、アンタゴニストCTLA-4抗体である、請求項7に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項11】
アンタゴニストCTLA-4抗体が、イピリムマブおよびトレメリムマブから選択される、請求項10に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項12】
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株である、請求項1から11のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項13】
医薬としての使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項14】
対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法における使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ物。
【請求項15】
第1の容器、第2の容器および添付文書を含む部材のキットであって、第1の容器が、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株を含む少なくとも1用量の医薬を含み、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列はプロモーターに動作可能に連結されており、第2の容器が、免疫チェックポイント阻害剤(ICM)を含む少なくとも1用量の医薬を含み、添付文書が、任意選択で、医薬を使用して対象のがんを治療するための指示を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む薬学的組み合わせ物、ならびに対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、増え続けるがん療法、および特に、組み合わせがん療法の数にもかかわらず、がんは、依然として、心血管疾患および感染性疾患/寄生虫病に次ぐ世界で3番目の一般的な死因であり;絶対数では、これは、任意の所与の年において760万人の死亡(全死亡のおよそ13%)に相当する。WHOは、がん起因する死亡が、2030年までに1310万人に増加すると推定している。これらの統計は、がんが重要な健康状態のままであること、および新しい治療についての緊急の必要性が存在するという事実を示す。最近の手法において、免疫チェックポイント阻害剤(CPI)が、がんの治療のために使用されている。過去6年間では、4つの操作されたモノクローナル抗体免疫チェックポイント阻害剤の薬剤が、6つの形態のがんに対して50超の世界市場において承認されている;PD-1に基づく療法で最大で40~50%の奏効率で、イピリムマブ(抗CTLA-4)、ペムブロリズマブおよびニボルマブ(抗PD-1)、およびアテゾリズマブ(抗PD-L1)。しかしながら、現在のチェックポイント阻害剤単剤療法による治療は、より突然変異負荷が低いおよび/またはより免疫原性が低い腫瘍が、この形態の療法に対して本質的に耐性であることがあるので、すべてのがん型に有効というわけではない。非常に有効な免疫調節剤と一般に考えられているCPIは、多くの腫瘍型において比較的低い奏効率を生じ(平均で<20%);(Carretero-Gonzalezら、2018)、ある特定のがんは、それらに全く応答しないように見える。したがって、チェックポイント阻害剤を使用する場合、単剤チェックポイント遮断から利益を受けない運命にある患者の割合を、長期間生存に変換する必要性が存在する。
【0003】
がんにおける併用療法についての論理的根拠は、通常、異なるメカニズムによって働く薬物を使用し、それによって、耐性がん細胞が発生する可能性を減少させることである。他方で、がんなどの所与の状態を治療するための2つ以上の薬物の投与は、一般に、薬物間の複雑なインビボ相互作用に起因して多くの潜在的な問題を生じる。任意の単一の薬物の効果は、その吸収、分布、および排泄に関連する。2つの薬物が身体に導入されると、それぞれの薬物は、他のものの吸収、分布、および排泄に影響を与え、そのため、他のものの効果を変更することができる。例えば、1つの薬物は、他の薬物の排泄の代謝経路に関与する酵素の産生を阻害、活性化または誘導し得る。したがって、2つの薬物が同じ状態を治療するために投与される場合、それぞれが、対象における他のものの治療活性を補完するか、それに対して効果を有さないか、またはそれに干渉するかどうかは予測不能である。2つの薬物間の相互作用は、それぞれの薬物の意図される治療活性に影響を与えることがあるだけでなく、相互作用は、毒性代謝産物のレベルを増加させることがある。相互作用は、それぞれの薬物の副作用を高めるか、または減らすこともある。そのため、疾患を治療するための2つの薬物の投与の際に、それぞれの薬物の副作用プロファイルにどのような悪化または改善のいずれかの変化が起こるかは予測不能である。加えて、2つの薬物間の相互作用の効果がいつ現れるかを正確に予測することは困難である。例えば、薬物間の代謝相互作用は、第2の薬物の最初の投与の際に、その2つが定常状態の濃度に達した後に、または薬物の一方の中止の際に明らかになり得る。したがって、2つ以上の薬物の併用療法の効果は、容易に予測することができない。
【発明の概要】
【0004】
ここに、異種タンパク質をコードする組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む組み合わせ物が、がんの予防、進行の遅延または治療のために有用であることが予想外に見出された。前記組み合わせ物による治療が相乗的な抗腫瘍効果を提供することが予想外に見出された。
【0005】
これらの予期外の知見を考慮して、本発明者らは、本発明を、その以下の態様で、ここに提供する。
【0006】
第1の態様において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む薬学的組み合わせ物を提供する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、医薬としての使用のための、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物を提供する。
【0008】
第3の態様において、本発明は、対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法における使用のための、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物を提供する。
【0009】
第4の態様において、本発明は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含む部材のキットであって、第1の容器が、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株を含む少なくとも1用量の医薬を含み、第2の容器が、免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor)(ICM)を含む少なくとも1用量の医薬を含み、添付文書が、任意選択で、医薬を使用するがんについて対象を治療するための指示を含む、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)pYV-MRS40病原性プラスミド、pYV。一定の縮尺で描かれたMRS40株のエルシニア属(Yersinia)病原性の75’115bpのプラスミド(pYV)。選択されたT3SS機構、T3SSエフェクタータンパク質、複製開始点およびヒ素耐性(遺伝子arsC、B、RおよびHによってコードされる)を示す:I.複製起点53...203;II.YopO 7377...9566;III.YopP 10311...11177;IV.YopQ 12920...13468;V.YopT 13989...14957;VI.sycT 14957...15349;VII.YopM 18926...20029;VIII.YopD 21283...22203;IX.YopB 22222...23427;X.sycD 23405...23911;XI.YopH 47882...49288;XII.sycH 49516...49941;XIII.sycE 51552...51944;XIV.YopE 52137...52796;XV.yadA 62215...63678;XVI.arsC 67164...67589;XVII.arsB 67602...68891;XVIII.arsR 68937...69257;XIX.arsH 69343...70041
【
図2】改変エルシニア・エンテロコリチカMRS40病原性プラスミド、pYV-Y004、一定の縮尺で描かれた71’408bpのpYV-Y004。選択されたT3SS機構、破壊されたT3SSエフェクタータンパク質、複製開始点およびヒ素耐性遺伝子(遺伝子arsC、B、RおよびHによってコードされる)を示す。I.複製起点53...203;II.破壊されたYopO 7409...8116;III.破壊されたYopP 8597...8949;IV.YopQ 10692...11240;V.破壊されたYopT 11761...12301;VI.sycT 12301...12693;VII.破壊された(dirsupted)YopM 16270...17375;VIII.YopD 18629...19549;IX.YopB 19568...20773;X.sycD 20751...21257;XI.破壊されたYopH 45213...45563;XII.sycH 45791...46216;XIII.sycE 47827...48219;XIV.破壊されたYopE 48426...49089;XV.yadA 58508...59971;XVI.arsC 63457...63882;XVII.arsB 63895...65184;XVIII.arsR 65230...65550;XIX.arsH 65636...66334
【
図3】それぞれ、yopHおよびyopEの内因性部位において内因性pYVプラスミドにおいてコードされるYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522およびYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD2をコードする、改変エルシニア・エンテロコリチカMRS40病原性プラスミド、pYV-Y051。一定の縮尺で描かれた73’073bpのpYV-051。選択されたT3SS機構、破壊されたT3SSエフェクタータンパク質、カーゴタンパク質(インフレームでhRigI CARD2ドメインを有するYopE
1-138およびインフレームでhcGAS
161-522を有するYopE
1-138(コドン変更))、複製開始点およびヒ素耐性遺伝子(遺伝子arsC、B、RおよびHによってコードされる)を示す:I.複製起点53...203;II.破壊されたYopO 7409...8116;III.破壊されたYopP 8597...8949;IV.YopQ 10692...11240;V.破壊されたYopT 11761...12301;VI.sycT 12301...12693;VII.破壊された(dirsupted)YopM 16270...17375;VIII.YopD 18629...19549;IX.YopB 19568...20773;X.sycD 20751...21257;XI.YopH::YopE
1-138(コドン適応)-hcGAS
161-522;45228...46742;XII.sycH 46970...47395;XIII.sycE 49006...49398;XIV.YopE::YopE
1-138-hRigI(CARD2)49591...50754;XV.yadA 60173...61636;XVI.arsC 65122...65547;XVII.arsB 65560...66849;XVIII.arsR 66895...67215;XIX.arsH 67301...67999;
【
図4】ベクターpBad_Si_2の説明。YopE
1-138との融合コンストラクトを作成するために使用されたクローニングプラスミドpBad_Si_2(5’085bp(pb))のベクターマップ。シャペロンSycEおよびYopE
1-138融合物は、ネイティブY.エンテロコリチカプロモーター下である。I.araBADプロモーター領域4...279;II.PBAD 250...277;III.MCS I 317...331;IV.sycE 339...731;V.YopE1-138 924...1337;VI.MCS II 1338...1361;VII.Mycタグ1368...1397;VIII.6×hisタグ1413...1430;IX.停止1431...1433;X.rrnB 1536...1693;XI.rrnB T2 1834...1861;XII.AmpR 1972...2832;XIII.pBR322起点2981...3609;XIV.araC 4181...5059;
【
図5】ベクターpT3P-454の説明。 コドン最適化YopE
1-138との融合物Rig1-CARD
2(マウス
1-246)をコードする中コピー数クローニングプラスミドpT3P-454(5’818bp(pb))のベクターマップ。シャペロンSycEおよびYopE
1-138融合物は、ネイティブY.エンテロコリチカプロモーター下である。I.araBADプロモーター領域4...279;II.PBAD 250...277;III.MCS I 317...331;IV.SycE 339...731;V.YopE1-138 924...1337;VI.停止コドンで終結するRig1-CARDドメイン 1349...2087;VII.Mycタグ2101...2130;VIII.6×hisタグ2146...2163;IX.第2の停止2164...2166;X.rrnB 2269...2426;XI.rrnB T2 2567...2594;XII.アンピシリン耐性遺伝子2705...3565;XIII.pBR322起点3714...4342;XIV.araC 4914...5792
【
図6】ベクターpT3P-453の説明。 コドン最適化YopE
1-138との融合物Rig1-CARD
2(マウス
1-245)をコードする中コピー数クローニングプラスミドpT3P-453(5’815bp(pb))のベクターマップ。シャペロンSycEおよびYopE
1-138融合物は、ネイティブY.エンテロコリチカプロモーター下である。I.araBADプロモーター領域4...279;II.PBAD 250...277;III.MCS I 317...331;IV.SycE 339...731;V.YopE1-138 924...1337;VI.停止コドンで終結するヒトRig1-CARDドメイン 1350...2087;VII.Mycタグ2098...2127;VIII.6×hisタグ2143...2160;IX.第2の停止2161...2163;X.rrnB 2266...2423;XI.rrnB T2 2564...2591;XII.アンピシリン耐性遺伝子2702...3562;XIII.pBR322起点3711...4339;XIV.araC 4911...5789
【
図7】ベクターpT3P-715の説明。YopE
1-138との融合コンストラクトを作成するために使用された中コピー数クローニングプラスミドpT3P-715(4’149bp)のベクターマップ。シャペロンSycEおよびYopE1-138融合物は、ネイティブY.エンテロコリチカプロモーター下である。I.araBADプロモーター領域4...279;II.PBAD 250...277;III.MCS I 317...331;IV.sycE 339...731;V.YopE1-138 924...1337;VI.MCS II 1338...1361;VII.Mycタグ1368...1397;VIII.6×hisタグ1413...1430;IX.停止1431...1433;X.rrnB 1536...1693;XI.rrnB T2 1834...1861;XII.クロラムフェニコール耐性遺伝子2110...2766;XIII.pBR322起点2924...3552;
【
図8】YopE
1-138-ヒトcGAS
161-522およびYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2をコードするベクターpT3P-751の説明。yopEプロモーターの制御下の1つのオペロンにおけるYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522およびYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD2をコードする中コピー数ベクターpT3P-751(6’407bp)のベクターマップ。I.araBADプロモーター領域4...279;II.PBAD 250...277;III.MCS I 317...331;IV.SycE 339...731;V.YopE1-138 924...1337;VI.停止コドンで終結するヒトRig1-CARDドメイン 1350...2087;VII.yopE1-138(コドン変更)2101...2514;VIII.停止コドンで終結するh_cGAS161-522 2527...3614;IX.Mycタグ3626...3655;X.6×hisタグ3671...3688;XI.第3の停止3689...3691;XII.rrnB 3794...3951;XIII.rrnB T2 4092...4119;XIV.クロラムフェニコール耐性遺伝子4368...5024;XV.pBR322起点5182...5810;
【
図9】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスにおける腫瘍進行。EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-mRIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または対照として滅菌PBSを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、60~130mm
3の体積(92mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。平均腫瘍体積(群あたりn=15動物)を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。データは、それぞれの群が、最初のマウスの50%未満の生存を含むまで表す。 群を、V.PBS+PBS;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;VII.PBS+抗PD-1;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図10】対照群のEMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスにおける腫瘍進行。EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、滅菌PBSを腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、60~130mm
3の体積(92mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図11】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療された、EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスにおける腫瘍進行。EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、滅菌PBSを腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、60~130mm
3の体積(92mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図12】抗PD-1抗体で治療された、EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスにおける腫瘍進行。EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、60~130mm
3の体積(92mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図13】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTおよび抗PD-1抗体の組み合わせで治療された、EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスにおける腫瘍進行。EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、60~130mm
3の体積(92mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図14】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスの生存の確率。EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、60~130mm
3の体積(92mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。 数日(II)にわたるそれぞれの群についての生存の確率(I、%)を表す。最初の治療の日を、0日目として定義する。i.t.治療(III)を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。 群を、V.PBS+PBS;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;VII.PBS+抗PD-1;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図15】EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植することによってチャレンジ/再チャレンジされた、ナイーブまたは以前に完全もしくは部分的腫瘍縮小を経験した野生型Balb/cマウスにおける腫瘍進行。最初のEMT6腫瘍が検出不能であったか(0mm
3)、または25mmより小さかった、ナイーブまたはすべての生存中マウスのいずれかの野生型Balb/cマウスに、反対側の脇腹にEMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植することによってチャレンジ/再チャレンジした。反対側の脇腹の平均腫瘍体積(再チャレンジ腫瘍)を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義し、再チャレンジを66日目(III)に行った。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。群を、IV.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS(N=4);V.PBS+抗PD-1(N=1);VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1(N=7);VII.ナイーブマウス(N=10)として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図16】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。データは、それぞれの群が、最初のマウスの50%未満の生存を含むまで表す。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。平均腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。 群を、V.PBS+PBS;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;VII.PBS+抗PD-1;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図17】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗CTLA-4抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗CTLA-4抗体(注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。データは、それぞれの群が、最初のマウスの50%未満の生存を含むまで表す。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。平均腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。 群を、V.PBS+PBS;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;VII.PBS+抗CTLA-4;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗CTLA-4として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図18】対照群のB16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、滅菌PBSを腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図19】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、滅菌PBSを腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図20】抗PD-1抗体で治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図21】抗CTLA-4抗体で治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗CTLA-4抗体(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図22】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTおよび抗PD-1抗体の組み合わせで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図23】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTおよび抗CTLA-4抗体の組み合わせで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗CTLA-4抗体(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、30~120mm
3の体積(71mm
3+/-25の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。
【
図24】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスの生存の確率。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。数日(II)にわたるそれぞれの群についての生存の確率(I、%)を表す。最初の治療の日を、0日目として定義する。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。 群を、V.PBS+PBS;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;VII.PBS+抗PD-1;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図25】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗CTLA-4抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスの生存の確率。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗CTLA-4抗体(注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。数日(II)にわたるそれぞれの群についての生存の確率(I、%)を表す。最初の治療の日を、0日目として定義する。i.t.治療(III)を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d7、およびd11において行った。 群を、V.PBS+PBS;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;VII.PBS+抗CTLA-4;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗CTLA-4として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図26】対照群のB16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBSを静脈内(i.v.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、対照IgG(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、40~120mm
3の体積(66mm
3+/-22の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.v.治療(III)を、d0、d2、d4、d6、d9、d13、d16において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d6およびd9において行った。
*d10において5頭のマウスを屠殺した。
【
図27】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、1×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、静脈内(i.v.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、対照IgG(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、40~120mm
3の体積(66mm
3+/-22の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.v.治療(III)を、d0、d2、d4、d6、d9、d13、d16において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d6およびd9において行った。
*d10において5頭のマウスを屠殺した。
【
図28】抗PD-1抗体で治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBSを静脈内(i.v.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、40~120mm
3の体積(66mm
3+/-22の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.v.治療(III)を、d0、d2、d4、d6、d9、d13、d16において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d6およびd9において行った。
*d10において5頭のマウスを屠殺した。
【
図29】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTおよび抗PD-1抗体の組み合わせで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスにおける腫瘍進行。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、1×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、静脈内(i.v.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体を、腹腔内(i.p.)注射した。腫瘍が、40~120mm
3の体積(66mm
3+/-22の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=15)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.v.治療(III)を、d0、d2、d4、d6、d9、d13、d16およびd20において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d6およびd9において行った。
*d10において5頭のマウスを屠殺した。
【
図30】YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスの生存の確率。B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または1×10
7CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-RIG-I CARD
2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2(RIG-I
1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、静脈内(i.v.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体または対照IgG(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。数日(II)にわたるそれぞれの群についての生存の確率(I、%)を表す。最初の治療の日を、0日目として定義する。i.v.治療(III)を、d0、d2、d4、d6、d9、d13、d16およびd20において行い、i.p.治療(IV)を、d0、d4、d6およびd9において行った。 群を、V.PBS+対照IgG;VI.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+対照IgG;VII.PBS+抗PD-1;VIII.YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
*群あたり5頭のマウスをd10において屠殺し、そのため、これらの算出において考慮しなかった。
【
図31】中コピー数ベクターにおいてコードされるI型IFNを誘導するタンパク質の送達。ヒトRIG-I CARD
2またはマウスRIG-I CARD
2の送達は、B16F1メラニン形成細胞におけるI型IFNシグナル伝達の誘導に至る。B16F1 IFNレポーター細胞を、カーゴを送達しないか(III)、または中コピー数ベクターIV:YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD2、V:YopE
1-138-マウスRIG-I CARD2をコードする対照株のいずれかのY.エンテロコリチカΔHOPEMTで、感染させた。細胞に添加される細菌の用量設定を、それぞれの株について行い、感染多重度(MOI)としてIに示した。IFN刺激を、多量体ISREによって増強されたIFN誘発性ISG54プロモーターで構成されるI-ISG54プロモーターの制御下にある分泌されたアルカリホスファターゼ(II:OD
650)の活性に基づいて評価した。
【
図32】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、CT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける平均腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUのpYVおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522は、yopEプロモーターの制御下でオペロンとしてコードされる)の両方においてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1(ラットIgG2a、注射あたり10mg/kg)、ならびに適切な場合、対照IgG2aアイソタイプおよび/または対照IgG2bアイソタイプを、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。平均腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2a i.p.治療(IV)を、d0、d4、d8、およびd12において行い、IgG2b治療(V)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。データは、それぞれの群が、最初のマウスの60%未満の生存を含むまで表す。 群を、群あたり13頭の動物で、VI.PBS+対照IgG2aアイソタイプ+対照IgG2bアイソタイプ;VII.YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+対照IgG2bアイソタイプ;VIII.PBS+抗PD-1;IX.YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図33】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-L1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、CT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける平均腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUのpYVおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522は、yopEプロモーターの制御下でオペロンとしてコードされる)の両方においてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-L1(ラットIgG2b、注射あたり10mg/kg)、または対照IgG2bアイソタイプ、および適切な場合、対照IgG2aアイソタイプを、腹腔内(i.p.)注射した。データは、それぞれの群が、最初のマウスの60%未満の生存を含むまで表す。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。平均腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2a i.p.治療(IV)を、d0、d4、d8、およびd12において行い、IgG2b治療(V)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。 群を、群あたり13頭の動物で、VI.PBS+対照IgG2aアイソタイプ+対照IgG2bアイソタイプ;VII.YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+対照IgG2bアイソタイプ;VIII.PBS+抗PD-L1;IX.YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-L1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図34】対照群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、IgG2aおよびIgG2b対照アイソタイプ(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=13)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2aのi.p.治療(IV)を、d0、d4、d8、およびd12において行い、IgG2bのi.p.治療(V)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。
【
図35】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、7.5×10
7CFUのpYVおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522は、yopEプロモーターの制御下でオペロンとしてコードされる)の両方においてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、IgG2b対照アイソタイプを、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=13)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2bのi.p.治療(IV)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。
【
図36】抗PD-1抗体で治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1(ラットIgG2a、注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=13)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2a抗PD-1のi.p.治療(IV)を、d0、d4、d8、およびd12において行った。
【
図37】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、ならびに抗PD-1抗体の組み合わせで治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、7.5×10
7CFUのpYVおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522は、yopEプロモーターの制御下でオペロンとしてコードされる)の両方においてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1(ラットIgG2a、注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=13)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2a抗PD-1のi.p.治療(IV)を、d0、d4、d8、およびd12において行った。
【
図38】抗PD-L1抗体で治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBSを腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-L1(ラットIgG2b、注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=13)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2bのi.p.治療(IV)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。
【
図39】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、ならびに抗PD-L1抗体の組み合わせで治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、7.5×10
7CFUのpYVおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522は、yopEプロモーターの制御下でオペロンとしてコードされる)の両方においてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-L1(ラットIgG2b、注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。個々の動物(n=13)の腫瘍体積を、mm
3として示す(I)。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2bのi.p.治療(IV)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。
【
図40】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、ならびに/または抗PD-1抗体で治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける最適な腫瘍成長阻害効果。腫瘍成長阻害(T/C%、I)は、治療された動物の腫瘍体積中央値対対照動物(滅菌PBS/対照IgGアイソタイプの注射)の腫瘍体積中央値の比として定義される。最適な値は、達成された最大の腫瘍成長阻害を反映する最小T/C%比である。それぞれの考慮される最適な日(III)における生きているマウスの数(II)を示す。T/C%比を、以下の通り分類した:60~100%:抗腫瘍活性なし(IV)、30~60%:最低限の抗腫瘍活性(V)、10~30%:中程度の抗腫瘍活性(VI)、0~10%:著しい抗腫瘍活性(VII)。 群を、VIII.PBS+対照IgG2aアイソタイプ+対照IgG2bアイソタイプ;IX.YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+対照IgG2bアイソタイプ;X.YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1、XI.PBS+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図41】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、ならびに/または抗PD-L1抗体で治療された群のCT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスにおける最適な腫瘍成長阻害効果。腫瘍成長阻害(T/C%、I)は、治療された動物の腫瘍体積中央値対対照動物(滅菌PBS/対照IgGアイソタイプの注射)の腫瘍体積中央値の比として定義される。最適な値は、達成された最大の腫瘍成長阻害を反映する最小T/C%比である。それぞれの考慮される最適な日(III)における生きているマウスの数(II)を示す。T/C%比を、以下の通り分類した:60~100%:抗腫瘍活性なし(IV)、30~60%:最低限の抗腫瘍活性(V)、10~30%:中程度の抗腫瘍活性(VI)、0~10%:著しい抗腫瘍活性(VII)。 群を、VIII.PBS+対照IgG2aアイソタイプ+対照IgG2bアイソタイプ;IX.YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+対照IgG2bアイソタイプ;X.YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-L1、XI.PBS+抗PD-L1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【
図42】YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗PD-L1抗体、または両方の治療の組み合わせのいずれかで治療された、CT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスの生存の確率。CT26結腸がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBS、または7.5×10
7CFUのpYVおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522は、yopEプロモーターの制御下でオペロンとしてコードされる)の両方においてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、IgG2b抗体、抗PD-L1またはIgG2bアイソタイプのいずれか、および適切な場合、対照IgG2aアイソタイプを、腹腔内(i.p.)注射した。 腫瘍が、30~120mm
3の体積(58mm
3+/-19の平均サイズ)に達したら、注射を開始した。生存の確率(I、%)を示す。最初の治療の日を、0日目として定義する。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日(II:日)にわたって測定した。i.t.治療(III)を、d0、d1、d3、d6、d10およびd14において行い、IgG2a i.p.治療(IV)を、d0、d4、d8、およびd12において行い、IgG2b治療(V)を、d0、d2、d4、d6、d8、d10、d12およびd14において行った。群を、VI.PBS+対照IgG2aアイソタイプ+対照IgG2bアイソタイプ;VII.YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+対照IgG2bアイソタイプ;VIII.PBS+抗PD-L1;IX.YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-L1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記で概説したように、本発明は、組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む薬学的組み合わせ物を提供し、これは、がんの予防、進行の遅延、または治療のために有用である。
【0012】
そのため、第1の態様において、本発明は、
a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む薬学的組み合わせ物を提供する。
【0013】
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、適切な場合はいつでも、単数形で使用される用語は、複数形も含み、逆もまた同様である。本明細書に使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0014】
本発明の特定の態様、実施形態または例と併せて記載される、特徴、整数、特性、化合物は、それと不適合ではない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態または例に適用可能であることが理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示される特徴のすべて、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程のすべては、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本発明は、任意の前述の実施形態の詳細に制限されない。
【0015】
「含む(comprise)」という用語、およびその変形形態、例えば、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、一般に、含む(include)、すなわち、「含むが、それらに限定されない」の意味で使用される、すなわち、1つまたは複数の特徴または構成要素の存在を許容することを言う。
【0016】
単数形の「a」、「an」および「the」は、内容が明確に他を示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0017】
「約」という用語は、指定された値の値±10%の範囲を指す。例えば、「約200」という語句は、200の±10%、すなわち180~220を含む。
【0018】
「グラム陰性菌株」という用語は、本明細書で使用される場合、以下の細菌を含む:エロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エロモナス・ベロニ(Aeromonas veronii)、アナエロミクソバクター・デハロゲナンス(Anaeromyxobacter dehalogenans)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、ボルデテラ・パラペルタッシス(Bordetella parapertussis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)、バークホルデリア・セノセファシア(Burkholderia cenocepacia)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)、クラミジア・ムリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachmoatis)、クラミドフィラ・アボルタス(Chlamydophila abortus)、クラミドフィラ・ニューモニアエ(Chlamydophila pneumoniae)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)、サイトロバクター・ロデンティウム(Citrobacter rodentium)、デスルホビブリオ・ブルガリス(Desulfovibrio vulgaris)、エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エンドゾイコモナス・エリシコラ(Endozoicomonas elysicola)、エルウイニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、エシェリキア・アルベルティイ(Escherichia albertii)、大腸菌(Escherichia coli)、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、フォトバクテリウム・ダムセラエ(Photobacterium damselae)、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)、フォトラブダス・テムペラテ(Photorabdus temperate)、シュードアルテロモナス・スポンギアエ(Pseudoalteromonas spongiae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プレコグロシシダ(Pseudomonas plecoglossicida)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、ラルストニア・ソラナセアラム(Ralstonia solanacearum)、根粒菌属種(Rhizobium sp)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)および他のサルモネラ属種(Salmonella sp)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)および他のシゲラ属種(Shigella sp)、ソーダリス・グロスシニディウス(Sodalis glossinidius)、ビブリオ・アルギノリティカス(Vibrio alginolyticus)、ビブリオ・アズレウス(Vibrio azureus)、ビブリオ・キャンペリイ(Vibrio campellii)、ビブリオ・カリベンチクス(Vibrio caribbenthicus)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harvey)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・タスマニエンシス(Vibrio tasmaniensis)、ビブリオ・ツビアシイ(Vibrio tubiashii)、キサントモナス・アキソノポディス(Xanthomonas axonopodis)、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)、キサントモナス・オリザエ(Xanthomonas oryzae)、エルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、エルシニア・シュードツベルクローシス(Yersinia pseudotuberculosis)。本発明の好ましいグラム陰性菌株は、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)およびシュードモナス科(Pseudomonadaceae)のファミリーによって構成されるグラム陰性菌株である。本発明のグラム陰性菌株は、通常、細菌T3SSによる真核細胞への異種タンパク質のインビトロおよび/またはインビボ、好ましくは、インビボでの送達のために使用される。
【0019】
「組換えグラム陰性菌株」という用語は、本明細書で使用される場合、ベクターのようなポリヌクレオチドコンストラクトで遺伝子的に形質転換された組換えグラム陰性菌株を指す。本発明の組換えグラム陰性菌株は、形質転換、形質導入またはコンジュゲーションにより遺伝子改変され、好ましくは、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子による、形質転換、形質導入またはコンジュゲーションにより遺伝子改変された組換えグラム陰性菌株であり、ここで、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに動作可能に連結されている。そのような組換えグラム陰性菌株の病原性は、通常、分泌系機構の一部である1つまたは複数の細菌タンパク質によって輸送される病原性活性を有する細菌エフェクタータンパク質の欠失によって減弱される。そのようなエフェクタータンパク質は、分泌系機構によって宿主細胞に送達され、そこで、それらは、さまざまな宿主タンパク質および細胞機構に対してそれらの病原性活性を示す。さまざまな分泌系の種類によって輸送され、宿主の調節性分子の機能をモジュレートする生化学的活性の大きなレパートリーを示す、多くの異なるエフェクタータンパク質が公知である。本明細書で使用される組換えグラム陰性菌株の病原性は、グラム陰性菌株によって通常または時々産生されるシデロホアの欠如によってさらに減弱され得、その結果、株はシデロホアを産生せず、例えば、シデロホアの産生が欠損している。そのため、好ましい実施形態において、グラム陰性菌株によって通常または時々産生されるシデロホアを欠く組換えグラム陰性菌株が使用され、その結果、株は、シデロホアを産生せず、例えば、シデロホアの産生が欠損しており、より好ましくは、グラム陰性菌株によって通常または時々産生されるシデロホアを欠く、エルシニア属株、特に、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virFまたはY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asdが使用され、その結果、株は、シデロホアを産生せず、例えば、シデロホアの産生が欠損しており、特に、エルシニアバクチンの産生が欠損している。最も好ましくは、グラム陰性菌株によって通常または時々産生されるシデロホアを欠く、エルシニア属株、特に、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tが使用され、その結果、株は、シデロホアを産生せず、例えば、シデロホアの産生が欠損し、特に、エルシニアバクチンの産生が欠損している。エルシニアバクチンの産生が欠損しているY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tは、WO02077249に記載されており、Belgian Coordinated Collections of Microorganisms(BCCM)での特許手続きを目的とした微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従って2001年9月24日に寄託され、寄託番号LMG P-21013が付与された。組換えグラム陰性菌株は、好ましくは、シデロホアを産生せず、例えば、シデロホアの産生が欠損している。
【0020】
本明細書で互換的に使用される「シデロホア」、「鉄シデロホア」または「鉄キレート剤」という用語は、鉄に対して高い親和性を有する化合物、例えば、鉄に対して高い親和性を有する小化合物を指す。
【0021】
グラム陰性菌のシデロホアは、例えば、サルモネラ属(Salmonella)、大腸菌属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、シゲラ属(Shigella)、セラチア属(Serratia)によって合成されるエンテロバクチンおよびジヒドロキシベンゾイルセリン(しかし、すべての腸内細菌によって使用される)、シュードモナス属(Pseudomonas)によって合成されるピオベルジン、ビブリオ属(Vibrio)によって合成されるビブリオバクチン、アシネトバクター属(Acinetobacter)によって合成されるアシネトバクチンおよびアシネトフェリン、エルシニア属によって合成されるエルシニアバクチンおよびアエロバクチン、バークホルデリア属(Burkholderia)によって合成されるオルニバクチン、サルモネラ属によって合成されるサルモケリン、大腸菌属、シゲラ属、サルモネラ属およびエルシニア属によって合成されるアエロバクチン、ボルデテラ属(Bordetella)によって合成されるアルカリギン、ビブリオ属によって合成されるビスカベリンである。
【0022】
シデロホアには、ヒドロキサメート、カテコレート、および混合リガンドシデロホアが含まれる。これまでに、いくつかのシデロホアが、主に、鉄過剰症の治療を目的として、ヒトにおける使用について承認されている。好ましいシデロホアは、デフェロキサミン(デスフェリオキサミンB、デスフェロキサミンB、DFO-B、DFOA、DFBまたはデスフェラールとしても公知)、デスフェリオキサミンE、デフェラシロクス(Exjade、Desirox、Defrijet、Desifer)、およびデフェリプロン(Ferriprox)である。
【0023】
本明細書で使用される「成長に必須の内因性タンパク質」という用語は、それなしではグラム陰性菌株が成長することができな、組換えグラム陰性菌株のタンパク質を指す。成長に必須の内因性タンパク質は、例えば、アミノ酸産生に必須の酵素、ペプチドグリカン生合成に関与する酵素、LPS生合成に関与する酵素、ヌクレオチド合成に関与する酵素、または翻訳開始因子である。
【0024】
本明細書で使用される「アミノ酸産生に必須の酵素」という用語は、組換えグラム陰性菌株のアミノ酸産生に関し、それなしではグラム陰性菌株が成長することができない、酵素を指す。アミノ酸産生に必須の酵素は、例えば、アスパラギン酸-ベータ-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(asd)、グルタミンシンテターゼ(glnA)、トリプトファニルtRNAシンテターゼ(trpS)、またはセリンヒドロキシメチル(hydroxymethly)トランスフェラーゼ(glyA)、またはトランスケトラーゼ1(tktA)、トランスケトラーゼ2(tktB)、リブロースリン酸3-エピメラーゼ(rpe)、リボース-5-リン酸イソメラーゼA(rpiA)、トランスアルドラーゼA(talA)、トランスアルドラーゼB(talB)、ホスホリボシルピロリン酸シンターゼ(prs)、ATPホスホリボシルトランスフェラーゼ(hisG)、ヒスチジン生合成二官能性タンパク質HisIE(hisI)、1-(5-ホスホリボシル)-5-[(5-ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール-4-カルボキサミドイソメラーゼ(hisA)、イミダゾールグリセロールリン酸シンターゼサブユニットHisH(hisH)、イミダゾールグリセロールリン酸シンターゼサブユニットHisF(hisF)、ヒスチジン生合成二官能性タンパク質HisB(hisB)、ヒスチジノールリン酸アミノトランスフェラーゼ(hisC)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(hisD)、3-デヒドロキナ酸シンターゼ(aroB)、3-デヒドロキナ酸デヒドラターゼ(aroD)、シキミ酸デヒドロゲナーゼ(NADP(+))(aroE)、シキミ酸キナーゼ2(aroL)、シキミ酸キナーゼ1(aroK)、3-ホスホシキミ酸1-カルボキシビニルトランスフェラーゼ(aroA)、コリスミ酸シンターゼ(aroC)、P-タンパク質(pheA)、Tタンパク質(tyrA)、芳香族アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(tyrB)、ホスホ-2-デヒドロ-3-デオキシヘプトン酸アルドラーゼ(aroG)、ホスホ-2-デヒドロ-3-デオキシヘプトン酸アルドラーゼ(aroH)、ホスホ-2-デヒドロ-3-デオキシヘプトン酸アルドラーゼ(aroF)、キナ酸/シキミ酸デヒドロゲナーゼ(ydiB)、ATP依存性6-ホスホフルクトキナーゼアイソザイム1(pfkA)、ATP依存性6-ホスホフルクトキナーゼアイソザイム2(pfkB)、フルクトース二リン酸アルドラーゼクラス2(fbaA)、フルクトース二リン酸アルドラーゼクラス1(fbaB)、トリオースリン酸イソメラーゼ(tpiA)、ピルビン酸キナーゼI(pykF)、ピルビン酸キナーゼII(pykA)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼA(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)、2,3-ビスホスホグリセリン酸依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmA)、2,3-ビスホスホグリセリン酸非依存性ホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmM/yibO)、おそらくホスホグリセリン酸ムターゼ(ytjC/gpmB)、エノラーゼ(eno)、D-3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(serA)、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ(serC)、ホスホセリンホスファターゼ(serB)、L-セリンデヒドラターゼ1(sdaA)、L-セリンデヒドラターゼ2(sdaB)、L-スレオニンデヒドラターゼ異化(tdcB)、L-スレオニンデヒドラターゼ生合成(ilvA)、L-セリンデヒドラターゼ(tdcG)、セリンアセチルトランスフェラーゼ(cysE)、システインシンターゼA(cysK)、システインシンターゼB(cysM)、ベータ-シスタチオナーゼ(malY)、シスタチオニンベータ-リアーゼ(metC)、5-メチルテトラヒドロプテロイルトリグルタミン酸ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(metE)、メチオニンシンターゼ(metH)、S-アデノシルメチオニンシンターゼ(metK)、シスタチオニンガンマ-シンターゼ(metB)、ホモセリンO-スクシニルトランスフェラーゼ(metA)、5’-メチルチオアデノシン/S-アデノシルホモシステインヌクレオシダーゼ(mtnN)、S-リボシルホモシステインリアーゼ(luxS)、シスタチオンベータリアーゼ、シスタチオンガンマリアーゼ、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(glyA)、グリシンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(itaE)、3-イソプロピルリンゴ酸デヒドラターゼ小サブユニット(leuD)、3-イソプロピルリンゴ酸デヒドラターゼ大サブユニット(leuC)、3-イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(leuB)、L-スレオニンデヒドラターゼ生合成(ilvA)、アセト乳酸シンターゼアイソザイム3大サブユニット(ilvI)、アセト乳酸シンターゼアイソザイム3小サブユニット(ilvH)、アセト乳酸シンターゼアイソザイム1小サブユニット(ilvN)、アセト乳酸シンターゼアイソザイム2小サブユニット(ilvM)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(NADP(+))(ilvC)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(ilvD)、分岐鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(ilvE)、二官能性アスパルトキナーゼ/ホモセリンデヒドロゲナーゼ1(thrA)、二官能性アスパルトキナーゼ/ホモセリンデヒドロゲナーゼ2(metL)、2-イソプロピルリンゴ酸シンターゼ(leuA)、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(alaA)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspC)、二官能性アスパルトキナーゼ/ホモセリンデヒドロゲナーゼ1(thrA)、二官能性アスパルトキナーゼ/ホモセリンデヒドロゲナーゼ2(metL)、リジン感受性アスパルトキナーゼ3(lysC)、アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(asd)、2-ケト-3-デオキシガラクトン酸アルドラーゼ(yagE)、4-ヒドロキシテトラヒドロジピコリン酸シンターゼ(dapA)、4-ヒドロキシテトラヒドロジピコリン酸レダクターゼ(dapB)、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-2,6-ジカルボキシレートN-スクシニルトランスフェラーゼ(dapD)、スクシニル-ジアミノピメリン酸デスクシニラーゼ(dapE)、ジアミノピメリン酸エピメラーゼ(dapF)、推定リアーゼ(yjhH)、アセチルオルニチン/スクシニルジアミノピメリン酸アミノトランスフェラーゼ(argD)、クエン酸シンターゼ(gltA)、アコニット酸ヒドラターゼB(acnB)、アコニット酸ヒドラターゼA(acnA)、特性のない推定アコニット酸ヒドラターゼ(ybhJ)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(icd)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspC)、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(alaA)、グルタミン酸シンターゼ[NADPH]大型鎖(gltB)、グルタミン酸シンターゼ[NADPH]小型鎖(gltD)、グルタミンシンテターゼ(glnA)、アミノ酸アセチルトランスフェラーゼ(argA)、アセチルグルタミン酸キナーゼ(argB)、N-アセチル-ガンマ-グルタミルリン酸レダクターゼ(argC)、アセチルオルニチン/スクシニルジアミノピメリン酸アミノトランスフェラーゼ(argD)、アセチルオルニチンデアセチラーゼ(argE)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ鎖F(argF)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ鎖I(argl)、アルギニノコハク酸シンターゼ(argG)、アルギニノコハク酸リアーゼ(argH)、グルタミン酸5-キナーゼ(proB)、ガンマ-グルタミルリン酸レダクターゼ(proA)、ピロリン-5-カルボキシレートレダクターゼ(proC)、オルニチンシクロデアミナーゼ、ロイシン-tRNAリガーゼ(leuS)、グルタミン-tRNAリガーゼ(glnS)、セリン-tRNAリガーゼ(serS)、グリシン-tRNAリガーゼベータサブユニット(glyS)、グリシン-tRNAリガーゼアルファサブユニット(glyQ)、チロシン-tRNAリガーゼ(tyrS)、スレオニン-tRNAリガーゼ(thrS)、フェニルアラニン-tRNAリガーゼアルファサブユニット(pheS)、フェニルアラニン-tRNAリガーゼベータサブユニット(pheT)、アルギニン-tRNAリガーゼ(argS)、ヒスチジン-tRNAリガーゼ(hisS)、バリン-tRNAリガーゼ(valS)、アラニン-tRNAリガーゼ(alaS)、イソロイシン-tRNAリガーゼ(ileS)、プロリン-tRNAリガーゼ(proS)、システイン-tRNAリガーゼ(cysS)、アスパラギン-tRNAリガーゼ(asnS)、アスパラギン酸tRNAリガーゼ(aspS)、グルタミン酸-tRNAリガーゼ(gltX)、トリプトファン-tRNAリガーゼ(trpS)、グリシン-tRNAリガーゼベータサブユニット(glyS)、メチオニン-tRNAリガーゼ(metG)、リジン-tRNAリガーゼ(lysS)である。アミノ酸産生に必須の好ましい酵素は、tktA、rpe、prs、aroK、tyrB、aroH、fbaA、gapA、pgk、eno、tdcG、cysE、metK、glyA、asd、dapA/B/D/E/F、argC、proC、leuS、glnS、serS、glyS/Q、tyrS、thrS、pheS/T、argS、hisS、valS、alaS、ileS、proS、cysS、asnS、aspS、gltX、trpS、glyS、metG、lysSであり、asd、glyA、leuS、glnS、serS、glyS/Q、tyrS、thrS、pheS/T、argS、hisS、valS、alaS、ileS、proS、cysS、asnS、aspS、gltX、trpS、glyS、metG、lysSがより好ましく、asdが最も好ましい。
【0025】
「成長に必須のアミノ酸を産生するのが欠損したグラム陰性菌株」および「栄養要求性突然変異体」という用語は、本明細書において互換的に使用され、少なくとも1つの外因的に提供された必須アミノ酸またはその前駆体の非存在下で成長することができないグラム陰性菌株を指す。株が産生するのに欠損しているアミノ酸は、例えば、アスパラギン酸、メソ-2,6-ジアミノピメリン酸、芳香族アミノ酸またはロイシン-アルギニンである。そのような株は、例えば、アスパラギン酸-ベータ-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失(Δasd)によって作成することができる。そのような栄養要求性突然変異体は、外因性メソ-2,6-ジアミノピメリン酸の非存在下で成長することができない。突然変異、例えば、アスパラギン酸-ベータ-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失は、本明細書において、本発明の成長に必須のアミノ酸を産生するのが欠損したグラム陰性菌株のために好ましい。
【0026】
「真核細胞表面または細胞外マトリックスに結合する接着タンパク質を産生するのが欠損したグラム陰性菌株」という用語は、対応する野生型株によって発現される接着タンパク質と比較して、少なくとも1つの接着タンパク質を発現しない突然変異型グラム陰性菌株を指す。接着タンパク質には、例えば、線毛(pili/fimbriae)または非線毛アドヘシンのような拡張ポリマー接着分子が含まれ得る。線毛アドヘシンには、1型線毛(FimHアドヘシンを有する大腸菌Fim線毛など)、P線毛(大腸菌由来のPapGアドヘシンを含むPap線毛など)、4型線毛(例えば、緑膿菌由来のピリンタンパク質として)、またはcurli(S.エンテリカ由来のCsgAアドヘシンを有するCsgタンパク質)が含まれる。非線毛接着(adhesions)には、Y.エンテロコリチカ由来のYadA、BpaA(B.シュードマレイ)、Hia(インフルエンザ菌(H. influenzae))、BadA(B.ヘンセラエ(B. henselae))、NadA(髄膜炎菌(N. meningitidis))、またはUspAl(M.カタラリス(M. catarrhalis))などの三量体自己輸送体アドヘシン、ならびにAIDA-1(大腸菌)などの他の自動輸送体アドヘシン、ならびにY.エンテロコリチカまたはインチミン(大腸菌)由来のInvAなどの他のアドヘシン/インバシン、またはDrファミリーまたはAfaファミリー(大腸菌)のメンバーが含まれる。YadAおよびInvAという用語は、本明細書で使用される場合、Y.エンテロコリチカ由来のタンパク質を指す。自己輸送体YadA(SkurnikおよびWolf-Watz、1989)はコラーゲンおよびフィブロネクチンの異なる形態に結合するが、インバシンInvA(Isbergら、1987)は真核細胞膜においてβ-インテグリンに結合する。グラム陰性菌株がYエンテロコリチカ株である場合、株は、好ましくは、InvAおよび/またはYadAが欠損している。
【0027】
本明細書で使用される場合、「腸内細菌科のファミリー」は、土壌、水、植物、および動物において見られるグラム陰性の桿状の通性嫌気性細菌のファミリーを含み、これは、脊椎動物において病原体として頻繁に生じる。このファミリーの細菌は、類似する生理機能を共有し、個々のゲノムの機能的エレメントおよび遺伝子内での保存を実証している。オキシダーゼ陰性であるだけでなく、このファミリーのすべてのメンバーは、グルコース発酵体であり、ほとんどが硝酸塩還元体である。
【0028】
本発明の腸内細菌科細菌は、そのファミリー由来の任意の細菌であってもよく、具体的には、以下の属:大腸菌属、シゲラ属、エドワージエラ属(Edwardsiella)、サルモネラ属、サイトロバクター属(Citrobacter)、クレブシエラ属、エンテロバクター属(Enterobacter)、セラチア属、プロテウス属(Proteus)、エルウイニア属(Erwinia)、モーガネラ属(Morganella)、プロビデンシア属(Providencia)、またはエルシニア属の細菌を含むが、それらに限定されない。より具体的な実施形態において、細菌は、大腸菌、エシェリキア・ブラタエ(Escherichia blattae)、エシェリキア・ファグソニイ(Escherichia fergusonii)、エシェリキア・ヘルマニイ(Escherichia hermanii)、エシェリキア・ブネリス(Escherichia vuneris)、サルモネラ・エンテリカ、サルモネラ・ボンゴリ(Salmonella bongori)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ボイディイ(Shigella boydii)、シゲラ・ソンネイ(Shigella sonnei)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・ジェルゴビアエ(Enterobacter gergoviae)、エンデロバクター・サカザキイ(Enterobacter sakazakii)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、エルシニア・シュードツベルクローシス、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、エルウイニア・アミロボーラ、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ハウセリ(Proteus hauseri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、またはモーガネラ・モーガニイ(Morganella morganii)種のものである。好ましくは、グラム陰性菌株は、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属、シゲラ属、シュードモナス属、クラミジア属(Chlamydia)、エルウイニア属、パンテア属(Pantoea)、ビブリオ属、バークホルデリア属、ラルストニア属(Ralstonia)、キサントモナス属(Xanthomonas)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)、ソーダリス属(Sodalis)、サイトロバクター属、エドワージエラ属、リゾビア属(Rhizobiae)、エロモナス属(Aeromonas)、フォトラブダス属(Photorhabdus)、ボルデテラ属(Bordetella)およびデスルホビブリオ属(Desulfovibrio)からなる群から、より好ましくは、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属、およびシュードモナス属からなる群から、最も好ましくは、エルシニア属およびサルモネラ属、特に、エルシニア属からなる群から選択される。
【0029】
「エルシニア属」という用語は、本明細書で使用される場合、エルシニア属のすべての種を含み、エルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア・シュードツベルクローシスおよびペスト菌を含む。エルシニア・エンテロコリチカが好ましい。
【0030】
「サルモネラ属」という用語は、本明細書で使用される場合、サルモネラ属のすべての種を含み、サルモネラ・エンテリカおよびS.ボンゴリを含む。サルモネラ・エンテリカが好ましい。
【0031】
「プロモーター」は、本明細書で使用される場合、転写ユニットの発現を調節する核酸配列を指す。「プロモーター領域」は、細胞中でRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始することができる調節領域である。プロモーター領域内に、転写開始部位(簡便には、ヌクレアーゼS1によるマッピングによって定義される)、ならびに推定-35領域およびプリブノーボックスなどのRNAポリメラーゼに結合する原因となるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。「動作可能に連結された」という用語は、2つのヌクレオチド間、例えば、DNA領域間の関係を記載する場合、それらが互いと機能的に関連し、同じ核酸断片上に位置することを単に意味する。プロモーターは、それが遺伝子の転写を制御する場合、およびそれが遺伝子と同じ核酸断片上に位置する場合、構造遺伝子に動作可能に連結されている。通常、プロモーターは、前記グラム陰性菌株において機能的であり、すなわち、プロモーターは、本発明の融合タンパク質を発現することができ、すなわち、プロモーターは、さらなるタンパク質のさらなる遺伝子操作または発現なしで、本発明の融合タンパク質を発現することができる。さらにまた、機能性プロモーターは、天然で、細菌T3SSに対して対抗調節されてはならない。
【0032】
本明細書で使用される「染色体外遺伝エレメント」という用語は、病原性プラスミドなどの本発明のグラム陰性菌株が内因的に保有するか、またはグラム陰性菌株が形質転換され、染色体にもしくは内因性病原性プラスミドなどの内因的に保有される染色体以外の遺伝エレメントに、一過性にもしくは安定に組み込まれる外因性遺伝エレメントである、染色体以外の遺伝エレメントを指す。内因性病原性プラスミドは、好ましい本発明の染色体外遺伝エレメントである。そのような染色体外遺伝エレメントは、発現ベクター、相同組換えのためのDNA断片の組み込み、または染色体へのもしくは病原性プラスミドなどの内因的に保有される染色体以外の遺伝エレメントへの他の組み込みによって、あるいは染色体へのもしくは病原性プラスミドなどの内因的に保有される染色体以外の遺伝エレメントへのRNAエレメントがガイドする部位特異的挿入、例えば、CRISPR/Cas9および関連するガイドRNAを介して、染色体へのもしくは病原性プラスミドなどの内因的に保有される染色体以外の遺伝エレメントへの相同組換えまたは他の組み込みのためのベクターのようなベクターの組み込みによって作成され得る。
【0033】
「ポリ核酸分子」および「ポリヌクレオチド分子」という用語は、本明細書で互換的に使用され、本明細書で同一の意味を有し、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得るDNAおよびRNA分子の両方を指し、これは、遺伝子産物に、部分的にもしくは完全に転写および翻訳され得るか(DNA)、または部分的にもしくは完全に翻訳され得る(RNA)。
【0034】
「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド酸配列」という用語は、本明細書で互換的に使用され、本明細書で同一の意味を有し、好ましくは、DNAまたはRNAを指す。「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド酸配列」という用語は、好ましくは、「ポリヌクレオチド配列」という用語と同義で使用される。
【0035】
本明細書で使用される「オペロン」という用語は、単一のプロモーターの制御下で転写される2つ以上の遺伝子を指す。したがって、これらの遺伝子は、典型的には、一緒に転写され、1つのメッセージRNA(messenge RNA)を形成し、そこで、単一のmRNAは、2つ以上のタンパク質をコードする(多シストロン性mRNA)。プロモーターおよび2つ以上の遺伝子に加えて、転写を制御するオペレーターエレメントも存在していてもよい。
【0036】
本明細書で使用される「送達」という用語は、組換えグラム陰性菌株から真核細胞へのタンパク質の輸送を指し、組換えグラム陰性菌株における異種タンパク質を発現する工程、そのような組換えグラム陰性菌株から発現するタンパク質を分泌する工程、およびそのような組換えグラム陰性菌株によって真核細胞のサイトゾルに分泌されたタンパク質を移動させる工程を含む。したがって、本明細書で互換的に使用される「送達シグナル」または「分泌シグナル」という用語は、グラム陰性菌株の分泌および転座系によって認識され得、グラム陰性菌株から真核細胞へのタンパク質の送達を指示する、ポリペプチド配列を指す。
【0037】
本明細書で使用される「細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル」という用語は、組換えグラム陰性菌株において機能的な細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルを指し、すなわち、これは、組換えグラム陰性菌株において発現する異種タンパク質が、III型、IV型もしくはVI型分泌系などの分泌系によってそのような組換えグラム陰性菌株から分泌されるのを可能にするか、またはIII型、IV型もしくはVI型分泌系などの分泌系によって真核細胞のサイトゾルにそのような組換えグラム陰性菌株によって移動されるのを可能にする。本明細書で使用される「細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル」という用語はまた、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片、すなわち、送達シグナルのより短いバージョン、例えば、送達シグナルの、例えば、天然に存在する送達シグナルの最大で10、好ましくは、最大で20、より好ましくは、最大で50、さらにより好ましくは、最大で100、特に、最大で140のアミノ酸を含む送達シグナルを含む。そのため、例えば、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするDNA配列などのヌクレオチド配列は、全長送達シグナルまたはその(therof)断片をコードし得、ここで、断片は、通常、最大で30、好ましくは、最大で60、より好ましくは、最大で150、さらにより好ましくは、最大で300、特に、最大で420核酸を含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、タンパク質の「分泌」は、組換えグラム陰性菌株の細胞膜を横断して外側への異種タンパク質の輸送を指す。タンパク質の「移動」は、そのような真核細胞のサイトゾルへの、真核細胞の細胞膜を横断する組換えグラム陰性菌株からの異種タンパク質の輸送を指す。
【0039】
「分泌系機構の一部である細菌タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、細菌の3型分泌系(T3SS)、4型分泌系(T4SS)および6型分泌系(T6SS)、好ましくは、T3SSの必須構成要素を構成する細菌タンパク質を指す。そのようなタンパク質なしでは、分泌系のすべての他の構成要素および移動される細菌エフェクタータンパク質が依然としてコードされ、産生される場合でさえ、個々の分泌系は、タンパク質を宿主細胞に移動する際に非機能的である。
【0040】
「細菌エフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞への分泌系機構の一部である、分泌系によって、例えば、細菌タンパク質によって輸送される細菌タンパク質を指す。そのようなエフェクタータンパク質は、分泌系よって宿主細胞に送達され、そこで、例えば、さまざまな宿主タンパク質および細胞機構に対して病原性活性を示す。多くの異なるエフェクタータンパク質が公知であり、さまざまな分泌系の種類によって輸送され、宿主調節分子の機能をモジュレートする生化学的活性の大きなレパートリーを示す。分泌系には、3型分泌系(T3SS)、4型分泌系(T4SS)および6型分泌系(T6SS)が含まれる。一部のエフェクタータンパク質(シゲラ・フレックスネリIpaCのような)は、同様に、分泌系機構の一部であり、タンパク質の移動を可能にする、細菌タンパク質のクラスに属する。本明細書で使用される組換えグラム陰性菌株は、通常、細菌の3型分泌系(T3SS)、4型分泌系(T4SS)および/または6型分泌系(T6SS)、好ましくは、3型分泌系(T3SS)の必須構成要素を構成する細菌タンパク質を含む。本発明の組換えグラム陰性菌株の細菌エフェクタータンパク質は、通常、細菌T3SSエフェクタータンパク質、細菌T4SSエフェクタータンパク質または細菌T6SSエフェクタータンパク質、好ましくは、細菌T3SSエフェクタータンパク質である。
【0041】
「細菌T3SSの必須構成要素を構成する細菌タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、インジェクチソーム、例えば、注射針を天然に形成するか、またはそうでなければ、タンパク質を真核細胞に移動する際にその機能に必須である、タンパク質を指す。インジェクチソームを形成するか、またはそうでなければ、タンパク質を真核細胞に移動する際にその機能に必須である、タンパク質には、限定されるものではないが、SctC、YscC、MxiD、InvG、SsaC、EscC、HrcC、HrcC(セクレチン)、SctD、YscD、MxiG、Prg、SsaD、EscD、HrpQ、HrpW、FliG(外側MS環タンパク質)、SctJ、YscJ、MxiJ、PrgK、SsaJ、EscJ、HrcJ、HrcJ、FliF(内側MS環タンパク質)、SctR、YscR、Spa24、SpaP、SpaP、SsaR、EscR、HrcR、HrcR、FliP(マイナー排出装置タンパク質)、SctS、YscS、Spa9(SpaQ)、SpaQ、SsaS、EscS、HrcS、HrcS、FliQ(マイナー排出装置タンパク質)、SctT、YscT、Spa29(SpaR)、SpaR、SsaT、EscT、HrcT、HrcT、FliR(マイナー排出装置タンパク質)、SctU、YscU、Spa40、SpaS、SpaS、SsaU、EscU、HrcU、HrcU、FlhB(排出装置スイッチタンパク質)、SctV、YscV、MxiA、InvA、SsaV、EscV、HrcV、HrcV、FlhA(メジャー排出装置タンパク質)、SctK、YscK、MxiK、OrgA、HrpD(アクセサリーサイトゾルタンパク質)、SctQ、YscQ、Spa33、SpaO、SpaO、SsaQ、EscQ、HrcQA+B、HrcQ、FliM+FliN(C環タンパク質)、SctL、YscL、MxiN、OrgB、SsaK、EscL、Orf5、HrpE、HrpF、FliH(Stator)、SctN、YscN、Spa47、SpaL、InvC、SsaN、EscN、HrcN、HrcN、FliI(ATPアーゼ)、SctO、YscO、Spa13、SpaM、InvI、SsaO、Orf15、HrpO、HrpD、FliJ(Stalk)、SctF、YscF、MxiH、PrgI、SsaG、EscF、HrpA、HrpY(ニードルフィラメントタンパク質)、SctI、YscI、MxiI、PrgJ、SsaI、EscI、rOrf8、HrpB、HrpJ、(内側ロッドタンパク質)、SctP、YscP、Spa32、SpaN、InvJ、SsaP、EscP、Orf16、HrpP、HpaP、FliK(針の長さの調節因子)、LcrV、IpaD、SipD(親水性輸送体、ニードルチップタンパク質)、YopB、IpaB、SipB、SseC、EspD、HrpK、PopF1、PopF2(疎水性輸送体、ポアタンパク質)、YopD、IpaC、SipC、SseD、EspB(疎水性輸送体、ポアタンパク質)、YscW、MxiM、InvH(パイロチン)、SctW、YopN、MxiC、InvE、SsaL、SepL、HrpJ、HpaA(ゲートキーパー)が含まれる。
【0042】
「T6SSエフェクタータンパク質」または「細菌T6SSエフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、T6S系によって真核細胞または細菌のサイトゾルに天然で注入されるタンパク質、および例えば、真核細胞膜への輸送ポアを形成する可能性があるT6S系によって天然で分泌されるタンパク質を指す。「T4SSエフェクタータンパク質」または「細菌T4SSエフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、T4S系によって真核細胞のサイトゾルに天然で注入されるタンパク質、および例えば、真核細胞膜への輸送ポアを形成する可能性があるT4S系によって天然で分泌されるタンパク質を指す。「T3SSエフェクタータンパク質」または「細菌T3SSエフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、T3S系によって真核細胞のサイトゾルに天然で注入されるタンパク質、および例えば、真核細胞膜への輸送ポアを形成する可能性があるT3S系によって天然で分泌されるタンパク質(ポア形成輸送体(tranlocators)(エルシニア属YopBおよびYopDのような)およびtipタンパク質様エルシニア属LcrVを含む)を指す。好ましくは、T3S系によって真核細胞のサイトゾルに天然で注入されるタンパク質が使用される。これらの病原性因子は、病原体に有利であるように、真核細胞を麻痺させるか、または再プログラムする。T3Sエフェクターは、生化学的活性の大きなレパートリーを示し、極めて重要な宿主調節分子の機能をモジュレートし、限定されるものではないが、AvrA、AvrB、AvrBs2、AvrBS3、AvrBsT、AvrD、AvrD1、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrXv3、CigR、EspF、EspG、EspH、EspZ、ExoS、ExoT、GogB、GtgA、GtgE、GALAファミリーのタンパク質、HopAB2、HopAO1、HopI1、HopM1、HopN1、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、HopU1、HsvB、IcsB、IpaA、IpaB、IpaC、IpaH、IpaH7.8、IpaH9.8、IpgB1、IpgB2、IpgD、LcrV、Map、OspC1、OspE2、OspF、OspG、OspI、PipB、PipB2、PopB、PopP2、PthXo1、PthXo6、PthXo7、SifA、SifB、SipA/SspA、SipB、SipC/SspC、SipD/SspD、SlrP、SopA、SopB/SigD、SopD、SopE、SopE2、SpiC/SsaB、SptP、SpvB、SpvC、SrfH、SrfJ、Sse、SseB、SseC、SseD、SseF、SseG、SseI/SrfH、SseJ、SseK1、SseK2、SseK3、SseL、SspH1、SspH2、SteA、SteB、SteC、SteD、SteE、TccP2、Tir、VirA、VirPphA、VopF、XopD、YopB、YopD YopE、YopH、YopJ、YopM、YopO、YopP、YopT、YpkAを含む。
【0043】
「悪性固形腫瘍において蓄積している組換えグラム陰性菌株」または「悪性固形腫瘍において蓄積する組換えグラム陰性菌株」という用語は、本明細書で使用される場合、悪性固形腫瘍内で複製し、それによって、悪性固形腫瘍の内側でこの組換えグラム陰性菌株の細菌数を増加させる、組換えグラム陰性菌株を指す。驚くべきことに、対象への投与後の組換えグラム陰性菌株が、悪性固形腫瘍において特異的に、すなわち、悪性腫瘍が存在する臓器において特異的に蓄積し、ここで、悪性固形腫瘍が存在しない臓器における組換えグラム陰性菌株の細菌数は、低いか、または検出不能であることが見出された。エルシニア属のような細菌が細胞外に存在する場合において、細菌は、主に、腫瘍細胞間または腫瘍微小環境の細胞間に形成される細胞間の空間内に蓄積する。サルモネラ属のような細胞内で成長する細菌は、主に、腫瘍細胞または腫瘍微小環境の細胞に侵入し、そのような細胞の内側に存在するが、細胞外蓄積が依然として起こる可能性がある。悪性固形腫瘍の内側に蓄積した組換えグラム陰性菌株の細菌数は、例えば、腫瘍組織1グラムあたり104~109個細菌の範囲内であり得る。
【0044】
本明細書で使用される「がん」という用語は、異常な細胞が、制御なしで分裂し、近くの組織に侵入し得る疾患を指す。がん細胞はまた、血液およびリンパ系を通じて身体の他の部分に広がり得る。いくつかのがんの主な型がある。癌腫は、内臓を覆うまたは被覆する皮膚または組織において開始するがんである。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、または他の結合組織もしくは支持組織において開始するがんである。白血病は、骨髄などの血液形成組織において開始するがんであり、多数の異常な血液細胞が、生じ、血液への侵入を引き起こす。リンパ腫および多発性骨髄腫は、免疫系の細胞において開始するがんである。中枢神経系がんは、脳および脊髄の組織において開始するがんである。本明細書で使用される「がん」という用語は、固形腫瘍、すなわち、例えば、肉腫、癌腫、およびリンパ腫などの悪性固形腫瘍、ならびに、例えば、白血病(血液のがん)などの非固形腫瘍を含む。固形腫瘍が好ましい。
【0045】
本明細書で使用される「固形腫瘍」または「固形腫瘍適応症」という用語は、通常、嚢胞または液体領域を含有しない組織の異常な塊を指す。固形腫瘍は、良性(がんではない)、または悪性(がん)であり得る。好ましくは、悪性固形腫瘍は、本発明の方法により治療される。本明細書で使用される「悪性固形腫瘍」または「悪性固形腫瘍適応症」という用語は、通常、嚢胞または液体領域を含有しない組織の異常な塊を指す。異なる型の悪性固形腫瘍が、それらを形成する細胞型に対して命名されている。悪性固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に、悪性固形腫瘍を形成しない(NIHの国立がん研究所による定義)。悪性固形腫瘍には、限定されるものではないが、肝臓、結腸、結腸直腸、皮膚、乳房、膵臓、子宮頸部、子宮体、膀胱、胆嚢、腎臓、喉頭、唇、口腔、食道、卵巣、前立腺、胃、精巣、甲状腺または肺などの異なる組織型に起因し得る異常な細胞の塊が含まれ、したがって、悪性の固形の肝臓、結腸、結腸直腸、皮膚、乳房、膵臓、子宮頸部、子宮体、膀胱、胆嚢、腎臓、喉頭、唇、口腔、食道、卵巣、前立腺、胃、精巣、甲状腺または肺の腫瘍が含まれる。本発明の方法により治療され得る好ましい悪性固形腫瘍は、皮膚、乳房、肝臓、膵臓、膀胱、前立腺および結腸に起因する悪性固形腫瘍であり、したがって、悪性の固形の皮膚、乳房、肝臓、膵臓、膀胱、前立腺および結腸の腫瘍が含まれる。同様に、本発明の方法に治療され得る好ましい悪性固形腫瘍は、肝臓がん、例えば、肝細胞癌に関連する悪性固形腫瘍である。
【0046】
「客観的奏効率」(ORR)という用語は、本明細書で使用される場合、所定の量および最小期間で腫瘍サイズ低減を有する患者の割合を指す。奏功期間は、通常、初期応答の時から腫瘍の進行が確認されるまで測定される。一般に、FDAは、ORRを、部分寛解と完全寛解の合計として定義している。この方法で定義される場合、ORRは、薬物の抗腫瘍活性の直接測定であり、これは、シングルアーム研究において評価され得る。ORRは、完全寛解(CR)および部分寛解(PR)の合計を指す。ヒトに対するORR、CRおよびPRの定義は、RECISTガイドライン(RECIST 1.1;(Eisenhauerら、2009))および免疫療法化合物の評価のために適応されたガイドライン(iRECIST;(Seymourら、2017))において提供されている。
【0047】
腫瘍保持マウスによる前臨床研究において、腫瘍応答の定義は、ヒトに対するRECIST定義と比較して、適応され:腫瘍縮小なしは、0日目のそれらの個々の体積と比較して35%超の腫瘍体積の増加として定義され;安定疾患は、0日目と比較して、腫瘍体積の50%の減少~35%の増加の腫瘍体積の変化として定義され;部分縮小は、0日目と比較して、50%~95%の体積の腫瘍体積の減少として定義され;完全縮小または完全寛解は、0日目と比較して、腫瘍体積の>95%の減少として定義される。
【0048】
「完全寛解」および「完全縮小」という用語は、本明細書で互換的に使用され、同じ意味を有する。標的病変に関する「完全寛解」(CR)という用語は、すべての標的病変の消失を指す。任意の病理学的なリンパ節(標的または非標的にかかわらない)は、短軸の<10mmまでの低減を有していなければならない。「完全寛解」(CR)という用語は、非標的病変に関して本明細書で使用される場合、すべての非標的病変の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化を指す。すべてのリンパ節は、非病理学的なサイズでなければならない(<10mmの短軸)。
【0049】
「部分寛解」(PR)という用語は、標的病変に関して本明細書で使用される場合、ベースラインの合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも30%の減少を指す。
【0050】
「進行性疾患」(PD)という用語は、標的病変に関して本明細書で使用される場合、研究における最小合計(これは、研究において最小である場合のベースライン合計を含む)を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも20%の増加を指す。20%の相対的増加に加えて、合計は、少なくとも5mmの絶対的増加も実証しなければならない。1つまたは複数の新しい病変の出現も、進行と考えられる。進行性疾患(PD)という用語は、非標的病変に関して本明細書で使用される場合、1つまたは複数の新しい病変の出現および/または既存の非標的病変の明解な進行を指す。明解な進行は、通常、標的病変の状態をしのぐものではないはずである。これは、単一の病変の増加ではなく、代表的な全体的な疾患状態の変化でなければならない。
【0051】
「安定疾患」(SD)という用語は、標的病変に関して本明細書で使用される場合、研究の間の最小の合計直径を参照して、PRにふさわしい十分な収縮も、PDにふさわしい十分な増加もないことを指す。
【0052】
「無増悪生存」(PFS)という用語は、本明細書で使用される場合、治療の開始から進行または死亡のどちらか最初に起こった時までの期間に関する。
【0053】
「真核細胞に対して病原性である細菌エフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、分泌系によって宿主細胞に輸送され、そこで、それらがさまざまな宿主タンパク質および細胞機構に対するそれらの病原性活性を示す、細菌エフェクタータンパク質を指す。多くの異なるエフェクタータンパク質が公知であり、さまざまな分泌系の種類によって輸送され、宿主調節分子の機能をモジュレートする生化学的活性の大きなレパートリーを示す。分泌系には、3型分泌系(T3SS)、4型分泌系(T4SS)および6型分泌系(T6SS)が含まれる。重要なことには、真核細胞に対して病原性である一部のエフェクタータンパク質(シゲラ・フレックスネリIpaCのような)は、同様に、分泌系機構の一部である細菌タンパク質のクラスに属する。真核細胞に対して病原性である細菌エフェクタータンパク質の場合において、同様に、分泌機構の機能に必須であり、そのようなタンパク質は、この定義から排除される。真核細胞に対して病原性であるT3SSエフェクタータンパク質は、Y.エンテロコリチカYopE、YopH、YopJ、YopM、YopO、YopP、YopT、またはシゲラ・フレックスネリOspF、IpgD、IpgB1、またはサルモネラ・エンテリカSopE、SopB、SptP、または緑膿菌ExoS、ExoT、ExoU、ExoY、または大腸菌Tir、Map、EspF、EspG、EspH、EspZのようなタンパク質を指す。真核細胞に対して病原性であるT4SSエフェクタータンパク質は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)LidA、SidC、SidG、SidH、SdhA、SidJ、SdjA、SdeA、SdeA、SdeC、LepA、LepB、WipA、WipB、YlfA、YlfB、VipA、VipF、VipD、VpdA、VpdB、DrrA、LegL3、LegL5、LegL7、LegLC4、LegLC8、LegC5、LegG2、Ceg10、Ceg23、Ceg29、またはバルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)BepA、BepB、BepC、BepD、BepE、BepF BepG、またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)VirD2、VirE2、VirE3、VirF、またはH.ピロリ(H. pylori)CagA、または百日咳菌の百日咳毒素のようなタンパク質を指す。真核細胞に対して病原性であるT6SSエフェクタータンパク質は、コレラ菌(Vibrio cholerae)VgrGタンパク質(VgrG1のような)のようなタンパク質を指す。
【0054】
「真核細胞に対して病原性であるT3SSエフェクタータンパク質」または「真核細胞に対して病原性である細菌T3SSエフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、T3S系によって真核細胞のサイトゾルに天然で注入されるタンパク質、および例えば、真核細胞に対する病原性因子である、真核細胞膜への輸送ポアを形成する可能性があるT3S系によって天然で分泌されるタンパク質、すなわち、病原体に有利であるように、真核細胞を麻痺させるか、または再プログラムするタンパク質を指す。エフェクターは、生化学的活性の大きなレパートリーを示し、極めて重要な宿主調節分子の機能、例えば、食作用およびアクチン細胞骨格、炎症シグナル伝達、アポトーシス、エンドサイトーシスまたは分泌経路などをモジュレートし(Cornelis、2006;MotaおよびCornelis、2005)、限定されるものではないが、AvrA、AvrB、AvrBs2、AvrBS3、AvrBsT、AvrD、AvrD1、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrXv3、CigR、EspF、EspG、EspH、EspZ、ExoS、ExoT、GogB、GtgA、GtgE、GALAファミリーのタンパク質、HopAB2、HopAO1、HopI1、HopM1、HopN1、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、HopU1、HsvB、IcsB、IpaA、IpaH、IpaH7.8、IpaH9.8、IpgB1、IpgB2、IpgD、LcrV、Map、OspC1、OspE2、OspF、OspG、OspI、PipB、PipB2、PopB、PopP2、PthXo1、PthXo6、PthXo7、SifA、SifB、SipA/SspA、SlrP、SopA、SopB/SigD、SopD、SopE、SopE2、SpiC/SsaB、SptP、SpvB、SpvC、SrfH、SrfJ、Sse、SseB、SseC、SseD、SseF、SseG、SseI/SrfH、SseJ、SseK1、SseK2、SseK3、SseL、SspH1、SspH2、SteA、SteB、SteC、SteD、SteE、TccP2、Tir、VirA、VirPphA、VopF、XopD、YopE、YopH、YopJ、YopM、YopO、YopP、YopT、YpkAを含む。
【0055】
真核細胞に対して病原性であり、例えば、Y.エンテロコリチカから欠失/突然変異され得るエルシニア属のT3SSエフェクター遺伝子は、YopE、YopH、YopM、YopO、YopP(YopJとも名付けられる)、およびYopTである(Troskyら、2008)。真核細胞に対して病原性である個々のエフェクター遺伝子は、シゲラ・フレックスネリ(例えば、OspF、IpgD、IpgB1)、サルモネラ・エンテリカ(例えば、SopE、SopB、SptP)、緑膿菌(例えば、ExoS、ExoT、ExoU、ExoY)または大腸菌(例えば、Tir、Map、EspF、EspG、EspH、EspZ)から欠失/突然変異され得る。これらの遺伝子の核酸配列は、例えば、Genbankデータベース(NC_002120 GI:10955536由来のyopH、yopO、yopE、yopP、yopM、yopT;AF386526.1 GI:18462515由来のS.フレックスネリエフェクタータンパク質;NC_016810.1 GI:378697983またはFQ312003.1 GI:301156631由来のS.エンテリカエフェクター;AE004091.2 GI:110227054またはCP000438.1 GI:115583796由来の緑膿菌エフェクター、およびNC_011601.1 GI:215485161由来の大腸菌エフェクタータンパク質)において、当業者に利用可能である。
【0056】
本発明の目的のために、遺伝子は、タンパク質から区別するために、小文字およびイタリック体の文字によって表される。遺伝子(小文字およびイタリック体の文字によって表される)が以下の細菌種名(大腸菌のような)である場合において、それらは、対応する細菌種における対応する遺伝子の突然変異を指す。例えば、YopEは、yopE遺伝子によってコードされるエフェクタータンパク質を指す。Y.エンテロコリチカyopEは、yopE遺伝子に突然変異を有するY.エンテロコリチカを表す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、「タンパク質」、「ポリペプチド性」および「ペプチド性」という用語は、アルファ-アミノと隣接する残基のカルボキシ基との間のペプチド結合によって互いに接続された一連のアミノ酸残基を指定するために、互換的に使用される。少なくとも10アミノ酸、より好ましくは、少なくとも20アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するタンパク質が好ましい。
【0058】
本発明によれば、「異種タンパク質またはその断片」は、天然に存在するタンパク質またはその断片、そしてまた人工的に操作されたタンパク質またはその断片を含む。人工的に操作されたタンパク質またはその断片は、例えば、異種タンパク質のバリアントまたは機能的に活性な断片である。本発明の異種タンパク質に関する「バリアントまたはその機能的に活性な断片」とは、断片またはバリアント(アナログ、誘導体または突然変異体など)が、異種タンパク質と同じ生理的機能を示すことができることを意味する。そのようなバリアントは、天然に存在する対立遺伝子バリアントおよび天然に存在しないバリアントを含む。1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、置換および誘導体化は、改変が断片またはバリアントの機能活性の喪失をもたらさない限り、企図される。好ましくは、機能的に活性な断片またはバリアントは、異種タンパク質の関連部分に対して、少なくとも約80%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも約90%の配列同一性、さらにより好ましくは、少なくとも約95%の配列同一性、最も好ましくは、少なくとも約98%の配列同一性を有する。本明細書で使用される場合、「異種タンパク質またはその断片」という用語は、それが融合し得るT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片以外のタンパク質またはその断片を指す。特に、異種タンパク質またはその断片は、本明細書で使用される場合、プロテオーム、すなわち、本発明によって提供および使用される特定の組換えグラム陰性菌株の天然タンパク質相補体全体に属さない、例えば、プロテオーム、すなわち、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属またはシュードモナス属の特定の菌株の天然タンパク質相補体全体に属さない、タンパク質またはその断片を指す。「異種タンパク質またはその断片」は、本明細書で使用される場合、プロテオーム、すなわち、本発明のグラム陰性菌株の天然タンパク質相補体全体に属さないタンパク質またはその断片をコードする遺伝子またはコード配列が、遺伝子形質転換、形質導入またはコンジュゲーションによってグラム陰性菌株に導入されていることを意味することが理解される。異種タンパク質またはその断片は、グラム陰性菌株の染色体または染色体外遺伝エレメント上に位置し得る。異種タンパク質またはその断片をコードする遺伝子またはコード配列は、それが導入される宿主細胞とは異なる起源が起源である。通常、異種タンパク質またはその断片は、ヒト起源を含む動物起源のものである。好ましくは、異種タンパク質またはその断片は、ヒトタンパク質またはその断片である。より好ましくは、異種タンパク質またはその断片は、インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質、アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、小GTPアーゼ、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合コンストラクトおよびナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター、およびウイルスタンパク質、またはその断片からなる群から選択される。特に好ましくは、異種タンパク質またはその断片は、インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質、アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、アンキリンリピートタンパク質、レポータータンパク質、小GTPアーゼ、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合コンストラクト、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター、およびウイルスタンパク質、またはその断片からなる群から選択される。インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質、アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、およびアンキリンリピートタンパク質、またはその断片からなる群から選択される異種タンパク質またはその断片がさらにより特に好ましい。アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与する動物、好ましくはヒト異種タンパク質もしくはその断片、またはインターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するヒトタンパク質もしくはその断片のような、アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与するタンパク質もしくはその断片、またはインターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質もしくはその断片、特に、インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質もしくはその断片が最も好ましい。インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質またはその断片は、好ましくは、I型インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質またはその断片、より好ましくは、I型インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するヒトタンパク質またはその断片である。
【0059】
一部の実施形態において、本発明のグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで互いに独立して融合された同一または2つの異なる異種タンパク質またはその断片をコードする2つのヌクレオチド配列を含む。
【0060】
一部の実施形態において、本発明のグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで互いに独立して融合された同一または3つの異なる異種タンパク質またはその断片をコードする3つのヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、本発明のグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで互いに独立して融合された同一または4つの異なる異種タンパク質またはその断片をコードする4つのヌクレオチド配列を含む。
【0061】
組換えグラム陰性菌株によって発現される異種タンパク質は、通常、1~150kDa、好ましくは、1~120kDa、より好ましくは、1~100kDa、最も好ましくは、10~80kDaの分子量を有する。異種タンパク質の断片は、通常、10~1500アミノ酸、好ましくは、10~800アミノ酸、より好ましくは、100~800アミノ酸、特に、100~500アミノ酸を含有する。本明細書で定義される異種タンパク質の断片は、通常、それが由来する異種タンパク質と同じ機能的性質を有する。
【0062】
一部の実施形態において、異種タンパク質の断片は、異種タンパク質のドメインを含む。したがって、一部の実施形態において、本発明のグラム陰性菌株は、異種タンパク質のドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。好ましくは、本発明のグラム陰性菌株は、異種タンパク質の1つまたは2つのドメイン、より好ましくは、異種タンパク質の2つのドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0063】
一部の実施形態において、本発明のグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された、異種タンパク質の反復ドメイン、または異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0064】
「タンパク質の同じ機能クラスに属する異種タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、同じ機能を有する異種タンパク質、例えば、特定の酵素活性を有する異種タンパク質、例えば、細胞周期調節などの同じ経路において作用するか、または例えば細菌エフェクタータンパク質の同じクラスに属している共通の特定の特徴を共有する異種タンパク質を指す。タンパク質の機能クラスは、例えば、アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子として作用するタンパク質、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、小GTPアーゼ、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合コンストラクトおよびナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター、および真核細胞に対する病原性を確立する生物学的プロセスにおいて一緒に作用するウイルスタンパク質である。
【0065】
本発明によれば、「異種タンパク質のドメイン」は、天然に存在するタンパク質のドメインを含み、人工的に操作されたタンパク質のドメインも含む。本明細書で使用される場合、「異種タンパク質のドメイン」という用語は、T3SSエフェクタータンパク質のドメイン以外の異種タンパク質のドメイン、またはそれが融合して融合タンパク質を達成し得るそのN末端断片を含むドメイン以外のドメインを指す。特に、異種タンパク質のドメインは、本明細書で使用される場合、プロテオーム、すなわち、本発明によって提供および使用される特定の組換えグラム陰性菌株の天然タンパク質相補体全体に属さない、例えば、プロテオーム、すなわち、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属またはシュードモナス属の特定の菌株の天然タンパク質相補体全体に属さない、異種タンパク質のドメインを指す。通常、異種タンパク質のドメインは、ヒト起源を含む動物起源のものである。好ましくは、異種タンパク質のドメインは、ヒトタンパク質のドメインである。より好ましくは、異種タンパク質のドメインは、アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与するタンパク質、インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、小GTPアーゼ、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合コンストラクトおよびナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター、およびウイルスタンパク質からなる群から選択されるタンパク質のドメインである。特に好ましくは、異種タンパク質のドメインは、アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与するタンパク質、インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、アンキリンリピートタンパク質、レポータータンパク質、小GTPアーゼ、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合コンストラクト、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター、およびウイルスタンパク質からなる群から選択されるタンパク質のドメインである。アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与するタンパク質、インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、およびアンキリンリピートタンパク質からなる群から選択される異種タンパク質のドメインがさらにより特に好ましい。インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与する動物タンパク質のようなインターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するタンパク質のドメイン、好ましくは、インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するヒト異種タンパク質のドメイン、特に、1型インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するヒト異種タンパク質のドメインが最も好ましい。
【0066】
組換えグラム陰性菌株によって発現される異種タンパク質のドメインは、通常、1~50kDa、好ましくは、1~30kDa、より好ましくは、1~20kDa、最も好ましくは、1~15kDaの分子量を有する。
【0067】
本発明によれば、「IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質」は、哺乳動物細胞中に存在する場合に、例えば、本発明の組換えグラム陰性菌株によって哺乳動物細胞に移動した場合に、発現または発現の変更、好ましくは、哺乳動物細胞によるIFNの増加をもたらすシグナル伝達事象またはシグナル伝達カスケードを引き起こすか、またはそれに参加する、異種タンパク質である。IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質には、限定されるものではないが、STING、TRIF、TBK1、IKKイプシロン、IRF3、TREX1、VPS34、ATG9a、DDX3、LC3、DDX41、IFI16、MRE11、DNA-PK、RIG1(DDX58)、MDA5、LGP2、IPS-1/MAVS/Cardif/VISA、Trim25、Trim32、Trim56、Riplet、TRAF2、TRAF3、TRAF5、TANK、IRF3、IRF7、IRF9、STAT1、STAT2、PKR、TLR3、TLR7、TLR9、DAI、IFI16、IFIX、MRE11、DDX41、LSm14A、LRRFIP1、DHX9、DHX36、DHX29、DHX15、Ku70、IFNAR1、IFNAR2、TYK2、JAK1、ISGF3、IL10R2、IFNLR1、IFNGR1、IFNGR2、JAK2、STAT4、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGASのようなサイクリックジヌクレオチド生成酵素(サイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼ)、またはその断片が含まれる。
【0068】
本発明によれば、「I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質」は、哺乳動物細胞中に存在する場合に、例えば、本発明の組換えグラム陰性菌株によって哺乳動物細胞に移動した場合に、発現または発現の変更、好ましくは、哺乳動物細胞によるI型IFNの発現の増加をもたらすシグナル伝達事象またはシグナル伝達カスケードを引き起こすか、またはそれに参加する、異種タンパク質である。I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質には、限定されるものではないが、STING、TRIF、TBK1、IKKepsilon、IRF3、TREX1、VPS34、ATG9a、DDX3、LC3、DDX41、IFI16、MRE11、DNA-PK、RIG1、MDA5、LGP2、IPS-1/MAVS/Cardif/VISA、Trim25、Trim32、Trim56、Riplet、TRAF2、TRAF3、TRAF5、TANK、IRF3、IRF7、IRF9、STAT1、STAT2、PKR、TLR3、TLR7、TLR9、DAI、IFI16、IFIX、MRE11、DDX41、LSm14A、LRRFIP1、DHX9、DHX36、DHX29、DHX15、Ku70、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGASのようなサイクリックジヌクレオチド生成酵素(サイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼ)、またはその断片が含まれる。
【0069】
I型IFN応答の誘導または調節に関与する好ましいタンパク質は、STING、TRIF、TBK1、IKKイプシロン、IRF3、TREX1、VPS34、ATG9a、DDX3、LC3、DDX41、IFI16、MRE11、DNA-PK、RIG1、MDA5、LGP2、IPS-1/MAVS/Cardif/VISA、Trim25、Trim32、Trim56、Riplet、TRAF2、TRAF3、TRAF5、TANK、IRF3、IRF7、IRF9、STAT1、STAT2、PKR、LSm14A、LRRFIP1、DHX29、DHX15、ならびにWspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGASからなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素、またはその断片からなる群から選択される。
【0070】
I型IFN応答の誘導または調節に関与するより好ましいタンパク質は、cGAS(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q8N884のような)、RIG1(ヒトタンパク質に対するUniprot.O95786のような)、MDA5(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q9BYX4のような)、IPS-1/MAVS(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q7Z434のような)、IRF3(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q14653のような)、IRF7(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q92985のような)、IRF9(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q00978のような)、ならびにWspR(緑膿菌タンパク質に対するUniprot.Q9HXT9のような)、DncV(コレラ菌タンパク質に対するUniprot.Q9KVG7のような)、DisAおよびDisA様(B.セレウス(B. cereus)タンパク質に対するUniprot.Q812L9のような)、CdaA(L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)タンパク質に対するUniprot.Q8Y5E4のような)、CdaS(枯草菌(B. subtilis)タンパク質に対するUniprot.O31854または構成的に活性なL44F突然変異のような)およびcGAS(ヒトタンパク質に対するUniprot.Q8N884のような)からなる群から選択されるサイクリックジヌクレオチド生成酵素、例えば、サイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼ、またはこれらのタンパク質の断片からなる群から選択される。
【0071】
IPS-1/MAVS/Cardif/VISAは、N末端CARDドメインを含有し、ヒト配列に対する「Q7Z434」およびマウス配列に対する「Q8VCF0」のUniprot(www.uniprot.org)識別子を有する、真核生物ミトコンドリア抗ウイルスシグナル伝達タンパク質を指す。「IPS-1/MAVS」、「MAVS/IPS-1」および「MAVS」という用語は、本明細書で互換的に使用され、N末端CARDドメインを含有し、ヒト配列に対する「Q7Z434」およびマウス配列に対する「Q8VCF0」のUniprot(www.uniprot.org)識別子を含有する、真核生物ミトコンドリア抗ウイルスシグナル伝達タンパク質を指す。
【0072】
一部の実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、CARDドメインを含有するタンパク質またはその断片、ならびにサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼ、またはその断片などのサイクリックジヌクレオチド生成酵素からなる群から選択される。CARDドメインを含有するI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、例えば、通常2つのCARDドメインを含有するRIG1、通常2つのCARDドメインを含有するMDA5、および通常1つのCARDドメインを含有するMAVSである。
【0073】
IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質の断片は、通常、25~1000アミノ酸、好ましくは、50~600アミノ酸、より好ましくは、100~500アミノ酸、さらにより好ましくは、100~362アミノ酸を含有する。一部の実施形態において、IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質の断片は、通常、25~1000アミノ酸、好ましくは、50~600アミノ酸、より好ましくは、100~500アミノ酸、さらにより好ましくは、100~362アミノ酸、特に、100~246アミノ酸を含有するIFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質の断片を含むか、あるいはN末端アミノ酸のアミノ酸1~アミノ酸160を含有するアミノ酸配列の欠失、好ましくは、N末端アミノ酸(amino aids)1~59またはN末端アミノ酸(amino aids)1~160を含有するアミノ酸配列の欠失を有するIFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質の断片を含み、ここで、IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質の断片は、通常、25~1000アミノ酸、好ましくは、50~600アミノ酸、より好ましくは、100~500アミノ酸、さらにより好ましくは、100~362アミノ酸を含有する。
【0074】
IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与するCARDドメインを含有する異種タンパク質の断片は、通常、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~500のいずれかのアミノ酸配列、好ましくは、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~400のいずれかのアミノ酸配列、より好ましくは、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~300のいずれかのアミノ酸配列、より好ましくは、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~294のいずれかのアミノ酸配列、より好ましくは、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~246のいずれかのアミノ酸配列を含有する。
【0075】
一部の実施形態において、IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与するCARDドメインを含有する異種タンパク質の断片は、CARDドメインを含有する異種タンパク質、好ましくは、ヒトCARDドメインを含有する異種タンパク質の、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸294以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸246以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸245以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸231以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸229以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸228以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸218以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸217以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸100以下を含むアミノ酸配列、および少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸101以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特に、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸245以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸228以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸217を含むアミノ酸配列、および少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸100以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特に、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸245以下を含むアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含有する。
【0076】
一部の好ましい実施形態において、異種タンパク質は、IFN応答もしくはI型IFN応答の誘導または調節に関与するCARDドメインを含有する異種タンパク質の断片であるか、またはIFN応答もしくはI型IFN応答の誘導または調節に関与するCARDドメインを含有する異種タンパク質の断片を含む。通常、IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与するCARDドメインを含有する異種タンパク質の断片は、少なくとも1つのCARDドメインを含む。これらの実施形態において、異種タンパク質は、特に、IFN応答またはI型IFN応答の誘導または調節に関与するCARDドメインを含有する異種タンパク質のN末端アミノ酸1~アミノ酸294のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸246のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸231のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸229のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸218のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸100のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸101のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列、およびN末端アミノ酸1~アミノ酸100のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有するか、またはそれからなる。
【0077】
これらの実施形態において、異種タンパク質は、より特に、RIG-1のN末端アミノ酸1~アミノ酸246のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸229のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸218のアミノ酸配列、およびN末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列、特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列、最も特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはMAVSのN末端アミノ酸1~アミノ酸100のアミノ酸配列、およびN末端アミノ酸1~アミノ酸101のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはMDA5のN末端アミノ酸1~アミノ酸294のアミノ酸配列およびN末端アミノ酸1~アミノ酸231のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、さらにより特に、RIG-1のN末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、およびN末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはMAVSのN末端アミノ酸1~アミノ酸100のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列、またはMDA5のN末端アミノ酸1~アミノ酸294のアミノ酸配列およびN末端アミノ酸1~アミノ酸231のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有するか、またはそれからなる。
【0078】
ヒトRIG-1のN末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、およびマウスRIG-1のN末端アミノ酸1~アミノ酸246のアミノ酸配列が最も好ましい。ヒトRIG-1の1~245断片およびマウスRIG-1の1~246断片は、互いに、73%の配列同一性(および85%の配列類似性)に相当し、それらは、機能的に同等であり、すなわち、両方の断片は、マウス細胞およびヒト細胞において同等の活性を示す。
【0079】
一部の好ましい実施形態において、異種タンパク質は、サイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素の断片である。サイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素の断片は、サイクリックジヌクレオチド生成酵素、好ましくは、ヒトcGASの、通常、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~600のいずれかのアミノ酸配列、好ましくは、アミノ酸50~アミノ酸100~550のいずれかのアミノ酸配列、より好ましくは、アミノ酸60~アミノ酸100~530のいずれかのアミノ酸配列、特に、アミノ酸60~アミノ酸530のアミノ酸配列、より特に、アミノ酸146~アミノ酸507のアミノ酸配列、またはアミノ酸161~アミノ酸522のアミノ酸配列、最も特に、アミノ酸161~アミノ酸522のアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態において、cGASの断片は、特に、少なくともアミノ酸60~アミノ酸422以下を含むアミノ酸配列、少なくともアミノ酸146~アミノ酸507以下を含むアミノ酸配列、および少なくともアミノ酸161~アミノ酸522以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態において、cGASの断片は、より特に、アミノ酸60~アミノ酸422のアミノ酸配列、アミノ酸146~アミノ酸507のアミノ酸配列、およびアミノ酸161~アミノ酸522のアミノ酸配列、最も好ましくは、アミノ酸161~アミノ酸522のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する。
【0080】
より好ましい実施形態において、異種タンパク質またはその断片は、CARDドメインを含むRIG1、MDA5、およびMAVS、またはその断片からなる群から選択されるI型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質であり、ここで、断片は、少なくとも1つのCARDドメイン、ならびにcGASおよびその断片、特に、CARDドメインを含むRIG1およびその断片からなる群から選択される、少なくとも1つのCARDドメイン、ならびにcGASおよびその断片を含み、断片は、少なくとも1つのCARDドメイン、CARDドメインを含むMAVSおよびその断片を含み、断片は、少なくとも1つのCARDドメイン、ならびにcGASおよびその断片を含む。上記に概説されるこれらのタンパク質の断片が特に好ましい。このより好ましい実施形態において、CARDドメインを含むRIG1、MDA5、MAVSは、天然に存在するCARDドメイン、および任意選択で、例えば、RIG-1またはその断片、好ましくは、1~500、より好ましくは、1~250を含有する断片の場合において、天然に存在するヘリカーゼドメインを含む天然に存在するCARDドメイン後にさらにC末端アミノ酸を含み、ここで、天然に存在するヘリカーゼドメインまたはその断片は、機能的ではなく、すなわち、CARDドメインに結合しないか、またはMAVSもしくはその断片、好ましくは、1~500、より好ましくは、1~250、さらにより好ましくは1~150アミノ酸を含有する断片の場合において、任意選択で下流のC末端配列を含む。これらの実施形態において、cGASおよびその断片は、通常、天然に存在するシンターゼドメイン(NTアーゼコアおよびC末端ドメイン;(Kranzuschら、2013)およびヒトタンパク質に対するUniprot.Q8N884に記載されるヒトcGASのアミノ酸160~522)を含み、好ましくは、cGASおよびその断片は、天然に存在するシンターゼドメインを含むが、部分または完全N末端ドメインの欠失、好ましくは、完全N末端ヘリックス伸長(N末端ヘリックス伸長;(Kranzuschら、2013)およびヒトタンパク質に対するUniprot.Q8N884に記載されるヒトcGASのアミノ酸1~160)の欠失を有する。部分または完全N末端ドメインの欠失は、好ましくは、アミノ酸1~160の欠失である。
【0081】
好ましい実施形態において、異種タンパク質またはその断片は、RIG-I様受容体(RLR)ファミリー(RIG1およびMDA5のような)またはその断片、抗ウイルスシグナル伝達およびI型IFN誘導に関与する他のCARDドメインを含有するタンパク質(MAVSのような)またはその断片、ならびにWspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素からなる群から選択されるI型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質である。WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素は、STINGの刺激をもたらす。
【0082】
一部の実施形態において、異種タンパク質またはその断片は、RIG1、MDA5、LGP2、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択される、より好ましくは、RIG1、MAVS、MDA5、WspR、DncV、DisA様、およびcGAS、またはその断片からなる群から選択される、最も好ましくは、RIG1またはその断片およびcGASまたはその断片からなる群から選択される、I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質である。
【0083】
より好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質は、RIG1、MDA5、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、ならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択され、さらにより好ましくは、RIG1、MDA5、MAVS、WspR、DncV、DisA様、CdaA、およびcGAS、またはその断片からなる群から選択され、特に、RIG1、MDA5、MAVSおよびcGAS、またはその断片からなる群から選択される。上記に記載されるこれらのタンパク質の断片が特に好ましい。
【0084】
このより好ましい実施形態において、RIG1、MDA5、MAVSの断片は、通常、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~500のいずれかのアミノ酸配列、好ましくは、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~400のいずれかのアミノ酸配列、より好ましくは、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~300のいずれかのアミノ酸配列を含有する。
【0085】
このより好ましい実施形態において、RIG1の断片は、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸246以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸245以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸229以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸228以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸218以下を含むアミノ酸配列、および少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸217以下を含むアミノ酸配列、特に、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸245以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有し;MDA5の断片は、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸294以下を含むアミノ酸配列、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸231以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有し、MAVSの断片は、少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸100以下を含むアミノ酸配列および少なくともN末端アミノ酸1~アミノ酸101以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する。
【0086】
このより好ましい実施形態において、RIG1の断片は、より特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸246のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸229のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸218のアミノ酸配列、およびN末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列、さらにより特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸228のアミノ酸配列、N末端アミノ酸1~アミノ酸217のアミノ酸配列、最も特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸245のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有し;MDA5の断片は、より特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸294のアミノ酸配列およびN末端アミノ酸1~アミノ酸231のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有し;MAVSの断片は、より特に、N末端アミノ酸1~アミノ酸100のアミノ酸配列およびN末端アミノ酸1~アミノ酸101のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する。
【0087】
このより好ましい実施形態において、cGASの断片は、ヒトcGASの、通常、N末端アミノ酸1~アミノ酸100~600のいずれかのアミノ酸配列、好ましくは、アミノ酸50~アミノ酸100~550のいずれかのアミノ酸配列、より好ましくは、アミノ酸60~アミノ酸100~530のいずれかのアミノ酸配列、特に、アミノ酸60~アミノ酸530のアミノ酸配列、アミノ酸146~アミノ酸507のアミノ酸配列、またはアミノ酸161~アミノ酸530のアミノ酸配列、より特に、アミノ酸60~アミノ酸530のアミノ酸配列、またはアミノ酸161~アミノ酸530のアミノ酸配列を含有する。
【0088】
このより好ましい実施形態において、cGASの断片は、特に、少なくともアミノ酸60~アミノ酸422以下を含むアミノ酸配列、少なくともアミノ酸146~アミノ酸507以下を含むアミノ酸配列、および少なくともアミノ酸161~アミノ酸522以下を含むアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する。
【0089】
このより好ましい実施形態において、cGASの断片は、より特に、アミノ酸60~アミノ酸422のアミノ酸配列、アミノ酸146~アミノ酸507のアミノ酸配列、アミノ酸161~アミノ酸522のアミノ酸配列、最も特に、アミノ酸161~アミノ酸522のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する。
【0090】
さらにより好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質は、ヒトRIG1 CARDドメイン1-245(配列番号1)、ヒトRIG1 CARDドメイン1-228(配列番号2)、ヒトRIG1 CARDドメイン1-217(配列番号3)、マウスRIG1 CARDドメイン1-246(配列番号4)、マウスRIG1 CARDドメイン1-229(配列番号5)、マウスRIG1 CARDドメイン1-218(配列番号6)、ヒトMAVS CARDドメイン1-100(配列番号7)、マウスMAVS CARDドメイン1-101(配列番号8)、N.ベクテンシス(N. vectensis)cGAS(配列番号9)、ヒトcGAS161-522(配列番号10)、マウスcGAS146-507(配列番号11)、N.ベクテンシスcGAS60-422(配列番号12)、マウスMDA51-294(配列番号13)、マウスMDA51-231(配列番号14)、ヒトMDA51-294(配列番号15)、およびヒトMDA51-231(配列番号16)からなる群から選択される。
【0091】
特に好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質は、ヒトRIG1 CARDドメイン1-245、(配列番号1)、ヒトRIG1 CARDドメイン1-228(配列番号2)、ヒトRIG1 CARDドメイン1-217(配列番号3)、ヒトMAVS CARDドメイン1-100(配列番号7)、およびヒトcGAS161-522(配列番号10)からなる群から選択される。
【0092】
より特に好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質は、ヒトRIG1 CARDドメイン1-245(配列番号1)、マウスRIG1 CARDドメイン1-246(配列番号4)、マウスRIG1 CARDドメイン1-229(配列番号5)、マウスRIG1 CARDドメイン1-218(配列番号6)、およびヒトcGAS161-522(配列番号10)からなる群から選択され、最も特に、ヒトRIG1 CARDドメイン1-245(配列番号1)およびヒトcGAS161-522(配列番号10)からなる群から選択される。
【0093】
RIG-I様受容体(RLR)ファミリーは、RIG1、MDA5およびLGP2からなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいI型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、CARDドメインを含有するタンパク質RIG1およびMDA5、特に、CARDドメインを含有するタンパク質RIG1である。他の好ましいI型IFN誘導に関与するCARDドメインを含有するタンパク質は、MAVSからなる群から選択されるタンパク質を含む。
【0094】
一部の好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、RIG1のCARDドメイン、MDA5のCARDドメイン、および/またはMAVSのCARDドメイン、ならびにWspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSおよびcGAS、ならびにその断片を含むタンパク質の群から選択され、好ましくは、RIG1のCARDドメイン、MDA5のCARDドメインおよび/またはMAVSのCARDドメイン、ならびにWspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、およびcGAS、またはその断片から構成されるタンパク質の群から選択される。
【0095】
一部の好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、RIG1のCARDドメイン、MDA5のCARDドメイン、MAVSのCARDドメイン、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGASからなる群から選択され、より好ましくは、RIG1のCARDドメイン、WspR、DncV、DisA様、およびcGASからなる群から選択される。
【0096】
一部の好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、1つまたは複数(例えば、2つ、3つまたは4つ)のCARDドメインを含み、好ましくは、RIG1、MDA5、および/またはMAVSの、好ましくは、RIG1および/またはMAVSの、1つまたは複数(例えば、2つ、3つまたは4つ)の、CARDドメインを含む。より好ましい実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、RIG1の両方のCARDドメイン、MDA5の両方のCARDドメイン、ならびに/またはMAVSおよびcGASのCARDドメイン、またはその断片、特に、RIG1およびcGASの両方のCARDドメイン、またはその断片、より特に、RIG1の両方のCARDドメインを含む。
【0097】
一部の実施形態において、I型IFN応答の誘導または調節に関与する異種タンパク質は、酵素機能なしのI型IFN応答を誘導するタンパク質、および酵素機能ありのI型IFN応答を誘導するタンパク質からなる群から選択される。本発明に包含される酵素機能なしのI型IFN応答を誘導するタンパク質は、通常、少なくとも1つのCARDドメイン、好ましくは、2つのCARDドメインを含む。CARDドメインは、通常、6~7つのアルファ-ヘリックスの束、好ましくは、疎水性コアおよび荷電残基から構成される外側面を有する6~7つの逆平行アルファ-ヘリックスの配列から構成される。本発明に包含される酵素機能ありのI型IFN応答を誘導するタンパク質は、通常、STINGの刺激をもたらすサイクリックジヌクレオチド生成酵素(サイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼ)またはそのドメイン、好ましくは、ジ-アデニル酸シクラーゼ(DAC)、ジ-グアニル酸シクラーゼ(DGC)もしくはGMP-AMPシクラーゼ(GAC)、またはそのドメインを含む。
【0098】
本発明によれば、「アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与するタンパク質」には、限定されるものではないが、Bad、Bcl2、Bak、Bmt、Bax、Puma、Noxa、Bim、Bcl-xL、Apaf1、カスパーゼ9、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ10、DFFA、DFFB、ROCK1、APP、CAD、ICAD、CAD、EndoG、AIF、HtrA2、Smac/Diablo、Arts、ATM、ATR、Bok/Mtd、Bmf、Mcl-1(S)、IAPファミリー、LC8、PP2B、14-3-3タンパク質、PKA、PKC、PI3K、Erk1/2、p90RSK、TRAF2、TRADD、FADD、Daxx、カスパーゼ8、カスパーゼ2、RIP、RAIDD、MKK7、JNK、FLIP、FKHR、GSK3、CDK、ならびにINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))、およびCip1/Waf1/Kip1-2ファミリー(p21(Cip1/Waf1)、p27(Kip1)、p57(Kip2)のようなそれらの阻害剤が含まれる。好ましくは、Bad、Bmt、Bcl2、Bak、Bax、Puma、Noxa、Bim、Bcl-xL、カスパーゼ9、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、Smac/Diablo、Bok/Mtd、Bmf、Mcl-1(S)、LC8、PP2B、TRADD、Daxx、カスパーゼ8、カスパーゼ2、RIP、RAIDD、FKHR、CDK、およびINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))のようなそれらの阻害剤、最も好ましくは、BIM、Bid、切断型Bid、FADD、カスパーゼ3(およびそのサブユニット)、Bax、Bad、Akt、CDK、ならびにINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))のようなそれらの阻害剤が使用される(BrennerおよびMak、2009;ChalahおよびKhosravi-Far、2008;FuchsおよびSteller、2011)。加えて、アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与するタンパク質には、DIVA、Bcl-Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、BidおよびtBid、Egl-1、Bcl-Gs、チトクロムC、ベクリン、CED-13、BNIP1、BNIP3、Bcl-B、Bcl-W、Ced-9、A1、NR13、Bfl-1、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ8が含まれる。
【0099】
アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与するタンパク質は、アポトーシス促進性タンパク質、抗アポトーシス性タンパク質、アポトーシス予防経路の阻害剤、および生存促進性シグナル伝達または経路の阻害剤からなる群から選択される。アポトーシス促進性タンパク質は、Bax、Bak、Diva、Bcl-Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、BidおよびtBid、Bok、Apaf1、Smac/Diablo、BNIP1、BNIP3、Bcl-Gs、ベクリン1、Egl-1およびCED-13、チトクロムC、FADD、カスパーゼファミリー、およびCDK、ならびにINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))のようなそれらの阻害剤からなる群から選択されるか、またはBax、Bak、Diva、Bcl-Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、BidおよびtBid、Bok、Egl-1、Apaf1、Smac/Diablo、BNIP1、BNIP3、Bcl-Gs、ベクリン1、Egl-1およびCED-13、チトクロムC、FADD、およびカスパーゼファミリーからなる群から選択されるタンパク質を含む。Bax、Bak、Diva、Bcl-Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、BidおよびtBid、Bok、Egl-1、Apaf1、BNIP1、BNIP3、Bcl-Gs、ベクリン1、Egl-1およびCED-13、Smac/Diablo、FADD、カスパーゼファミリー、CDK、ならびにINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))のようなそれらの阻害剤が好ましい。Bax、Bak、Diva、Bcl-Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、BidおよびtBid、Bok、Apaf1、BNIP1、BNIP3、Bcl-Gs、ベクリン1、Egl-1およびCED-13、Smac/Diablo、FADD、カスパーゼファミリーが同様に好ましい。
【0100】
抗アポトーシス性タンパク質は、Bcl-2、Bcl-Xl、Bcl-B、Bcl-W、Mcl-1、Ced-9、A1、NR13、IAPファミリーおよびBfl-1からなる群から選択されるタンパク質を含む。Bcl-2、Bcl-Xl、Bcl-B、Bcl-W、Mcl-1、Ced-9、A1、NR13およびBfl-1が好ましい。
【0101】
アポトーシス予防経路の阻害剤は、Bad、NoxaおよびCdc25Aからなる群から選択されるタンパク質を含む。BadおよびNoxaが好ましい。
【0102】
生存促進性シグナル伝達または経路の阻害剤は、PTEN、ROCK、PP2A、PHLPP、JNK、p38からなる群から選択されるタンパク質を含む。PTEN、ROCK、PP2AおよびPHLPPが好ましい。
【0103】
一部の実施形態において、アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与する異種タンパク質は、BH3のみのタンパク質、カスパーゼ、およびアポトーシスのデスレセプター制御の細胞内シグナル伝達タンパク質、またはその断片からなる群から選択される。BH3のみのタンパク質が好ましい。BH3のみのタンパク質は、Bad、BIM、BidおよびtBid、Puma、Bik/Nbk、Bod、Hrk/Dp5、BNIP1、BNIP3、Bmf、Noxa、Mcl-1、Bcl-Gs、ベクリン1、Egl-1ならびにCED-13からなる群から選択されるタンパク質を含む。Bad、BIM、BidおよびtBid、特に、tBidが好ましい。
【0104】
カスパーゼは、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10からなる群から選択されるタンパク質を含む。カスパーゼ3、カスパーゼ8およびカスパーゼ9が好ましい。
【0105】
アポトーシスのデスレセプター制御の細胞内シグナル伝達タンパク質は、FADD、TRADD、ASC、BAP31、GULP1/CED-6、CIDEA、MFG-E8、CIDEC、RIPK1/RIP1、CRADD、RIPK3/RIP3、Crk、SHB、CrkL、DAXX、14-3-3ファミリー、FLIP、DFF40および45、PEA-15、SODDからなる群から選択されるタンパク質を含む。FADDおよびTRADDが好ましい。
【0106】
一部の実施形態において、アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与する2つの異種タンパク質は、グラム陰性菌株に含まれ、ここで、一方のタンパク質は、アポトーシス促進性タンパク質であり、他方のタンパク質は、アポトーシス予防経路の阻害剤であるか、または一方のタンパク質は、アポトーシス促進性タンパク質であり、他方のタンパク質は、生存促進性シグナル伝達または経路の阻害剤である。
【0107】
本発明に包含されるアポトーシス促進性タンパク質は、通常、アルファヘリックス構造、好ましくは、両親媒性ヘリックスに囲まれた疎水性ヘリックスを有し、通常、BH1、BH2、BH3またはBH4ドメインの少なくとも1つを含み、好ましくは、少なくとも1つのBH3ドメインを含む。通常、本発明に包含されるアポトーシス促進性タンパク質は、酵素活性を有さない。
【0108】
本発明に包含される抗アポトーシス性タンパク質は、通常、アルファヘリックス構造、好ましくは、両親媒性ヘリックスに囲まれた疎水性ヘリックスを有し、異なるBH1、BH2、BH3およびBH4ドメインの組み合わせ、好ましくは、異なるBH1、BH2、BH3およびBH4ドメインの組み合わせを含み、ここで、BH1およびBH2ドメインが存在し、より好ましくは、BH4-BH3-BH1-BH2、BH1-BH2、BH4-BH1-BH2またはBH3-BH1-BH2(N末端からC末端)である。加えて、少なくとも1つのBIRドメインを含有するタンパク質も包含される。
【0109】
本発明に包含されるアポトーシス予防経路の阻害剤は、通常、アルファヘリックス構造、好ましくは、両親媒性ヘリックスに囲まれた疎水性ヘリックスを有し、通常、1つのBH3ドメインを含む。
【0110】
BH1、BH2、BH3またはBH4ドメインは、それぞれ、通常、約5~約50アミノ酸長である。したがって、一部の実施形態において、アポトーシスまたはアポトーシス調節に関与する異種タンパク質は、約5~約200、好ましくは、約5~約150、より好ましくは、約5~約100、最も好ましくは、約5~約50、特に、約5~約25アミノ酸長であるアポトーシスまたはアポトーシス調節に関与する異種タンパク質からなる群から選択される。
【0111】
特に好ましい異種タンパク質は、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメイン、より特に、配列番号17~20、好ましくは、配列番号17または配列番号18からなる群から選択される配列を含むBH3ドメインである。
【0112】
アポトーシス調節因子BAXのBH3ドメイン、より特に、配列番号21~24、好ましくは、配列番号21または配列番号22からなる群から選択される配列を含むBAXドメインが同様に好ましい。ヒトおよびマウス配列は、配列番号で与えられるが、すべての他の種のtBIDおよびBAX BH3ドメインが、同様に含まれる。
【0113】
別の特に好ましい異種タンパク質は、I型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質のドメインを含有する異種タンパク質、より特に、i)配列番号1~6からなる群から選択される配列を含むRIG1のCARDドメイン、ii)配列番号13~16、好ましくは、配列番号15または16からなる群から選択される配列を含むMDA5のCARDドメイン、およびiii)配列番号7または8、好ましくは、配列番号7からなる群から選択される配列を含むMAVSのCARDドメインからなる群から選択されるI型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質のドメインを含有する異種タンパク質である。別の特に好ましい異種タンパク質は、全長cGAS、例えば、N.ベクテンシスcGAS(配列番号9)、ヒトcGAS161-522(配列番号10)、N.ベクテンシスcGAS60-422(配列番号12)またはマウスcGAS146-507(配列番号11)である。最も特に好ましい異種タンパク質は、ヒトRIG1(配列番号1~3)のCARDドメイン、特に、ヒトRIG1(配列番号1)およびヒトcGAS161-522(配列番号10)のCARDドメインを含有する異種タンパク質である。
【0114】
一部の実施形態において、異種タンパク質は、プロドラッグ変換酵素である。これらの実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、プロドラッグ変換酵素を発現し、好ましくは、発現および分泌する。本明細書で称されるプロドラッグ変換酵素は、非毒性プロドラッグを毒性薬物に変換する酵素、好ましくは、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、チミジンキナーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、カルボキシルエステラーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼおよびベータ-グルクロニダーゼからなる(consiting of)群から選択される酵素、より好ましくは、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、チミジンキナーゼおよびベータ-ガラクトシダーゼからなる(consiting of)群から選択される酵素を含む。
【0115】
「プロテアーゼ切断部位」という用語は、本明細書で使用される場合、アミノ酸配列内、例えば、タンパク質または融合タンパク質のアミノ酸配列内の特異的なアミノ酸モチーフを指し、これは、アミノ酸モチーフを認識する特異的なプロテアーゼによって切断される。概説について、(Waugh、2011)を参照されたい。プロテアーゼ切断部位の例は、エンテロキナーゼ(軽鎖)、エンテロペプチダーゼ、prescissionプロテアーゼ、ヒトライノウイルスプロテアーゼ(HRV 3C)、TEVプロテアーゼ、TVMVプロテアーゼ、第Xa因子プロテアーゼおよびトロンビンからなる群から選択されるプロテアーゼによって切断されるアミノ酸モチーフである。
【0116】
以下のアミノ酸モチーフは、個々のプロテアーゼによって認識される:
- Asp-Asp-Asp-Asp-Lys:エンテロキナーゼ(軽鎖)/エンテロペプチダーゼ(配列番号37)
- Leu-Glu-Val-Leu-Phe-Gln/Gly-Pro:PreScissionプロテアーゼ/ヒトライノウイルスプロテアーゼ(HRV 3C)(配列番号38)
- Glu-Asn-Leu-Tyr-Phe-Gln-SerおよびTEVプロテアーゼ(タバコエッチウイルス)によって認識されるGlu-X-X-Tyr-X-Gln-Gly/Ser(ここで、Xは任意のアミノ酸である)に基づく改変モチーフ(配列番号39)および(配列番号40)
- Glu-Thr-Val-Arg-Phe-Gln-Ser:TVMVプロテアーゼ(配列番号41)
- Ile-(GluまたはAsp)-Gly-Arg:第Xa因子プロテアーゼ(配列番号42)
- Leu-Val-Pro-Arg/Gly-Ser:トロンビン(配列番号43)。
【0117】
プロテアーゼ切断部位に包含されるものは、本明細書で使用される場合、ユビキチンである。したがって、一部の好ましい実施形態において、ユビキチンは、プロテアーゼ切断部位として使用され、すなわち、ヌクレオチド配列は、プロテアーゼ切断部位としてユビキチンをコードし、これは、N末端部位で特異的ユビキチンプロセシングプロテアーゼによって切断され得、例えば、融合タンパク質が送達されている細胞において内因性に(endogeneously)、N末端部位で脱ユビキチン化酵素と呼ばれる特異的ユビキチンプロセシングプロテアーゼによって切断され得る。ユビキチンは、内因性ユビキチン特異的C末端プロテアーゼ(脱ユビキチン化酵素、DUB)の群によってそのC末端でプロセシングされる。DUBによるユビキチンの切断は、ユビキチンのまさにC末端(G76後)で起こるはずである。
【0118】
「突然変異」という用語は、本明細書において一般的な用語として使用され、単一の塩基対および複数の塩基対の両方の変更を含む。そのような突然変異には、置換、フレームシフト突然変異、欠失、挿入およびトランケーションが含まれ得る。
【0119】
「核局在化シグナル」という用語は、本明細書で使用される場合、真核細胞の核への移入のためのタンパク質をマークするアミノ酸配列を指し、好ましくは、SV40大型T抗原由来NLS(PPKKKRKV)(配列番号44)などのウイルス核局在化シグナルを含む。
【0120】
「多重クローニング部位」という用語は、本明細書で使用される場合、AclI、HindIII、SspI、MluCI、Tsp509I、PciI、AgeI、BspMI、BfuAI、SexAI、MluI、BceAI、HpyCH4IV、HpyCH4III、BaeI、BsaXI、AflIII、SpeI、BsrI、BmrI、BglII、AfeI、AluI、StuI、ScaI、ClaI、BspDI、PI-SceI、NsiI、AseI、SwaI、CspCI、MfeI、BssSI、BmgBI、PmlI、DraIII、AleI、EcoP15I、PvuII、AlwNI、BtsIMutI、TspRI、NdeI、NlaIII、CviAII、FatI、MslI、FspEI、XcmI、BstXI、PflMI、BccI、NcoI、BseYI、FauI、SmaI、XmaI、TspMI、Nt.CviPII、LpnPI、AciI、SacII、BsrBI、MspI、HpaII、ScrFI、BssKI、StyD4I、BsaJI、BslI、BtgI、NciI、AvrII、MnlI、BbvCI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、SbfI、Bpu10I、Bsu36I、EcoNI、HpyAV、BstNI、PspGI、StyI、BcgI、PvuI、BstUI、EagI、RsrII、BsiEI、BsiWI、BsmBI、Hpy99I、MspA1I、MspJI、SgrAI、BfaI、BspCNI、XhoI、EarI、AcuI、PstI、BpmI、DdeI、SfcI、AflII、BpuEI、SmlI、AvaI、BsoBI、MboII、BbsI、XmnI、BsmI、Nb.BsmI、EcoRI、HgaI、AatII、ZraI、Tth111I PflFI、PshAI、AhdI、DrdI、Eco53kI、SacI、BseRI、PleI、Nt.BstNBI、MlyI、HinfI、EcoRV、MboI、Sau3AI、DpnII BfuCI、DpnI、BsaBI、TfiI、BsrDI、Nb.BsrDI、BbvI、BtsI、Nb.BtsI、BstAPI、SfaNI、SphI、NmeAIII、NaeI、NgoMIV、BglI、AsiSI、BtgZI、HinP1I、HhaI、BssHII、NotI、Fnu4HI、Cac8I、MwoI、NheI、BmtI、SapI、BspQI、Nt.BspQI、BlpI、TseI、ApeKI、Bsp1286I、AlwI、Nt.AlwI、BamHI、FokI、BtsCI、HaeIII、PhoI、FseI、SfiI、NarI、KasI、SfoI、PluTI、AscI、EciI、BsmFI、ApaI、PspOMI、Sau96I、NlaIV、KpnI、Acc65I、BsaI、HphI、BstEII、AvaII、BanI、BaeGI、BsaHI、BanII、RsaI、CviQI、BstZ17I、BciVI、SalI、Nt.BsmAI、BsmAI、BcoDI、ApaLI、BsgI、AccI、Hpy166II、Tsp45I、HpaI、PmeI、HincII、BsiHKAI、ApoI、NspI、BsrFI、BstYI、HaeII、CviKI-1、EcoO109I、PpuMI、I-CeuI、SnaBI、I-SceI、BspHI、BspEI、MmeI、TaqαI、NruI、Hpy188I、Hpy188III、XbaI、BclI、HpyCH4V、FspI、PI-PspI、MscI、BsrGI、MseI、PacI、PsiI、BstBI、DraI、PspXI、BsaWI、BsaAI、EaeI、好ましくは、XhoI、XbaI、HindIII、NcoI、NotI、EcoRI、EcoRV、BamHI、NheI、SacI、SalI、BstBIなどの制限エンドヌクレアーゼによる切断のためのいくつかの制限酵素認識部位を含有する短いDNA配列を指す。「多重クローニング部位」という用語は、本明細書で使用される場合、例えばGatewayクローニング戦略において、またはギブソンアセンブリーまたはtopoクローニングなどの方法のための、組換え事象のために使用される短いDNA配列をさらに指す。
【0121】
「野生型株」または「野生型のグラム陰性菌株」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在するバリアント、またはベクターの使用を可能にする遺伝子改変、例えば、制限エンドヌクレアーゼまたは抗生物質耐性遺伝子における欠失突然変異を含有する天然に存在するバリアントを指す。これらの株は、染色体DNA、および一部の場合において(例えば、Y.エンテロコリチカ、S.フレックスネリ)、未改変病原性プラスミドを含有する。
【0122】
「エルシニア属野生型株」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在するバリアント(Y.エンテロコリチカE40のような)、またはベクターの使用を可能にする遺伝子改変、例えば、制限エンドヌクレアーゼまたは抗生物質耐性遺伝子における欠失突然変異を含有する天然に存在するバリアント(Y.エンテロコリチカMRS40、Y.エンテロコリチカE40のアンピシリン感受性誘導体のような)を指す。これらの株は、染色体DNA、および未改変病原性プラスミド(pYVと呼ばれる)を含有する。
【0123】
Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカ(Y. enterocolitica subspecies palearctica)は、低病原性Y.エンテロコリチカ株を指し、これは、亜種エンテロコリチカのより高い病原性株と対照的である(Howardら、2006;Thomsonら、2006)。Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカは、Y.エンテロコリチカ亜種エンテロコリチカと比較して、高病原性アイランド(HPI)を欠く。このHPIは、エルシニアバクチンと呼ばれる鉄シデロホアをコードする(Pelludatら、2002)。Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカにおけるエルシニアバクチンの欠如は、この亜種をより病原性が低い状態にし、例えば、肝臓または脾臓における持続的感染のための全身的にアクセス可能な鉄の誘導に依存する(Pelludatら、2002)。鉄は、例えば、患者における鉄過剰症を治療するために使用される鉄キレート剤であるデフェロキサミンによる事前治療によって、個体において細菌にアクセス可能になり得る(Mulderら、1989)。
【0124】
「免疫チェックポイント」または「免疫チェックポイント分子」という用語は、本明細書で使用される場合、同族HLA/抗原-T細胞受容体活性化または免疫系の他の活性化によって引き起こされる免疫応答を弱めるまたは促進するための陰性または陽性の刺激を指す。免疫チェックポイント分子は、典型的には、免疫経路に関与し、例えば、T細胞活性化、T細胞増殖および/またはT細胞機能を調節する。免疫チェックポイント分子の多くは、免疫グロブリンスーパーファミリー、より具体的には、B7-CD28ファミリーに、または腫瘍壊死因子/腫瘍壊死因子受容体(TNF/TNFR)スーパーファミリーに属し、特異的リガンドの結合によって、細胞質ドメインに動員されるシグナル伝達分子を活性化する(Suzukiら、2016)。
【0125】
免疫チェックポイントの例には、限定されるものではないが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)のようなPD-1経路の免疫チェックポイント;CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)のようなCTLA-4経路の免疫チェックポイント;OX40(CD134)、OX40L(CD252)のようなOX40経路の免疫チェックポイント;CD137(41BB)、CD137L(41BB-L)のような41BB経路の免疫チェックポイント;ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)のようなICOS経路の免疫チェックポイント;LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-IIのようなLAG-3経路の免疫チェックポイント;TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-LのようなTIM-3経路の免疫チェックポイント;B7.1(Cd80)、B7.2(CD86)およびCD28のようなCD28経路の免疫チェックポイント;KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、MHC-I;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1);A2aRのようなKIRファンミリー受容体経路の免疫チェックポイント;CD27、CD70(CD27L)のようなCD27経路の免疫チェックポイント;BTLA(CD272)、HVEM(Cogdillら、2017;Pardoll、2012)のようなBTLA経路の免疫チェックポイント;TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)のようなTIGIT経路の免疫チェックポイント;GITR(CD357)、GITRLのようなGITR経路の免疫チェックポイント;、CD40、CD40L(CD154);、TIM-1;VISTA(B7-H5またはPD-1H);CEACAM1(Cogdillら、2017;Gray-OwenおよびBlumberg、2006;HolderおよびGrant、2020;Waldmanら、2020)のようなCD40経路の免疫チェックポイント;ICAM、LFA-1、CD2のようなICAM経路の免疫チェックポイント;CD160、HVEMのようなCD160経路の免疫チェックポイント;LFA-1、LFA-3のようなLFA経路の免疫チェックポイント;CD226、Cd112(Cogdillら、2017)のようなCD226経路の免疫チェックポイント;PIR-B(gp49B)、LILRB1~LILRB5(CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、およびCD85C、またはLIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8;またLILRB1~4=ILT2、ILT4、ILT5、ILT3)(Kangら、2016)のようなLILRB経路の免疫チェックポイント;SIRPアルファ、CD47(Seiffertら、2001)のようなSIRP経路の免疫チェックポイント;GARP、TGFベータ1(de Streelら、2020)のようなGARP経路の免疫チェックポイント;TNFR、TNFα;DcR3(FasR);DR3;TL1A(Bodmerら、2002;Meylanら、2011);IDO(Liuら、2010);TDO(Plattenら、2014)のようなTNFR経路の免疫チェックポイント、B7-H6、Nkp30(Obiedatら、2020)のようなB7-H6経路の免疫チェックポイント;CD94、NKG2A、HLA-E(Sheuら、2005)のようなCD94経路の免疫チェックポイント;CSF1、CSF1R(Zhuら、2014);TIM-4(ChengおよびRuan、2015)のようなCSF1R経路の免疫チェックポイント;2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)およびCD48(SLAMF2)としてのSLAM(Agrestaら、2018;McArdelら、2016);CD122(Mathewsら、2018);PS(ホスファチジルセリン)(DayoubおよびBrekken、2020)のようなSLAM経路の免疫チェックポイント;CD30、CD30L/TNFSF8(Oflazogluら、2009);LIGHT/CD258(Skeateら、2020);CD69(Mitaら、2018);ガレクチン1(Itoら、2012);LAIR-1(CD305)(Sledzinskaら、2015)のようなCD30経路の免疫チェックポイントが含まれる。括弧内の用語は、便宜上示される対応するタンパク質の同義語を指す。例として、CD154は、CD40Lの同義語であり、したがって、CD40L(CD154)として示される。同義語のリストは結論付けられておらず、さらなる同義語が、免疫チェックポイントの多くに存在する。
【0126】
「免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫チェックポイントをモジュレートする分子、すなわち、抗体としてのタンパク質を指す。免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)は、免疫チェックポイントに干渉し、1つまたは複数の免疫チェックポイント分子の機能をモジュレートする。ICMに関連する「モジュレーション」または「モジュレートする」は、本明細書において、ICMが、全体的にまたは部分的に、1つまたは複数の免疫チェックポイント分子の機能を、低減する、阻害する、干渉する、活性化する、刺激する、増加させる、強化するまたは支持することを意味する。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、「免疫チェックポイント阻害剤」(「チェックポイント阻害剤」または「阻害剤」とも称される)または「免疫チェックポイント活性化剤」(「チェックポイント活性化剤」または「活性化剤」とも称される)であってもよい。
【0127】
PD-1、PD-L1またはCTLA4などの免疫チェックポイントに干渉することを可能にする免疫チェックポイントモジュレーターの例は、対応するネガティブフィードバックループのネガティブフィードバックを予防または低減する、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA4抗体などの免疫チェックポイント阻害剤(CPI)である。この手法のための印象的な原理の証明は、転移性黒色腫を有する患者におけるモノクローナル抗体イピリムマブによるCTLA-4遮断の第III相臨床研究の2010年の報告に付随し、これは、治療された患者の増強された生存を実証した(Hodi、2010)。
【0128】
免疫チェックポイントモジュレーターは、典型的には、(i)自己免疫寛容、ならびに/または(ii)免疫応答の広さおよび/もしくは期間をモジュレートすることができる。好ましくは、本発明により使用される免疫チェックポイントモジュレーターは、1つまたは複数のヒトチェックポイント分子の機能をモジュレートし、したがって、「ヒトチェックポイントモジュレーター」である。したがって、チェックポイントモジュレーターによってモジュレートされる(例えば、全体的にまたは部分的に、低減される、阻害される、干渉される、活性化される、刺激される、増加される、強化されるまたは支持される)免疫チェックポイントの機能は、典型的には、T細胞活性化、T細胞増殖および/またはT細胞機能の調節である。
【0129】
好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)のようなPD-1経路の免疫チェックポイント;CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)のようなCTLA-4経路の免疫チェックポイント;LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-IIのようなLAG-3経路の免疫チェックポイント;TIM-3(HAVcr-2);Gal9(ガレクチン9);TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)のようなTIM-3経路の免疫チェックポイント;TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96);VISTA(B7-H5);IDOのようなTIGIT経路の免疫チェックポイント;OX40(CD134)、OX40L(CD252)のようなOX40経路の免疫チェックポイント;CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)のような41BB経路の免疫チェックポイント;ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)のようなICOS経路の免疫チェックポイント;KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、MHC-I;A2aRのようなKIRファミリー受容体経路の免疫チェックポイント;CD27、CD70(CD27L)のようなCD27経路の免疫チェックポイント;BTLA、HVEMのようなBTLA経路の免疫チェックポイント;GITR、GITRLのようなGITR経路の免疫チェックポイント;CD40、CD40L(CD154);TIM-1;CEACAM1のようなCD40経路の免疫チェックポイント;ICAM、LFA-1、CD2のようなICAM経路の免疫チェックポイント;CD160、HVEMのようなCD160経路の免疫チェックポイント;CD226、Cd112のようなCD226経路の免疫チェックポイント;PIR-B(gp49B)、LILRB1~LILRB5(CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、およびCD85C、またはLIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8;またLILRB1~4=ILT2、ILT4、ILT5、ILT3)のようなLILRB経路の免疫チェックポイント;SIRPアルファ、CD47のようなSIRP経路の免疫チェックポイント;GARP、TGFベータ1;TDOのようなGARP経路の免疫チェックポイント;CD94、NKG2A、HLA-EのようなCD94経路の免疫チェックポイント;CSF1、CSF1RのようなCSF1R経路の免疫チェックポイント;2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)およびCD48(SLAMF2)としてのSLAMのようなSLAM経路の免疫チェックポイントからなる群から選択される1つまたは複数の免疫チェックポイントポイント(checkpoint point)分子の活性化剤または阻害剤である。
【0130】
より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)のようなPD-1経路の免疫チェックポイント;CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)のようなCTLA-4経路の免疫チェックポイント;LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-IIのようなLAG-3経路の免疫チェックポイント;TIM-3(HAVcr-2)、Gal9、TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)のようなTIM-3経路の免疫チェックポイント;TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRIG);VISTA(B7-H5);およびIDOのようなTIGIT経路の免疫チェックポイントからなる群から選択される1つまたは複数の免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である。
【0131】
最も好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)のようなPD-1経路の免疫チェックポイント;およびCTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)のようなCTLA-4経路の免疫チェックポイントからなる群から選択される1つまたは複数の免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である。
【0132】
「免疫チェックポイント阻害剤」(本明細書において「チェックポイント阻害剤」または「阻害剤」とも称される)は、全体的にまたは部分的に、1つまたは複数のチェックポイント分子の機能を低減し、阻害し、干渉し、または負の影響を及ぼす。
【0133】
「免疫チェックポイント活性化剤」(本明細書において「チェックポイント活性化剤」または「活性化剤」とも称される)は、全体的にまたは部分的に、1つまたは複数のチェックポイント分子の機能を活性化し、刺激し、増加させ、強化し、支持し、またはそれに正の影響を及ぼす。
【0134】
「PD-1アンタゴニスト」または「PD-1阻害剤」という用語は、本明細書で互換的に使用され、全体的にまたは部分的に、PD1、PDL1および/またはPDL2の機能を低減し、阻害し、干渉し、または負にモジュレートする、分子、例えば、抗体を指す。
【0135】
「CTLA-4アンタゴニスト」または「CTLA-4阻害剤」という用語は、本明細書で互換的に使用され、全体的にまたは部分的に、CTLA-4の機能を低減し、阻害し、干渉し、または負にモジュレートする、分子、例えば、抗体を指す。
【0136】
「プログラム死-1」、「プログラム細胞死タンパク質1」または「PD-1」という用語は、本明細書で互換的に使用され、CD28ファミリーに属する免疫阻害受容体を指す。PD-1は、インビボで、以前に活性化されたT細胞において主に発現され、PD-L1およびPD-L2の2つのリガンドに結合する。「PD-1」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトPD-1(hPD-1)、hPD-1のバリアント、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-1と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログを含む。同じく、「PD-L1」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1のバリアント、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L1と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログを含み、「PD-L2」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトPD-L2(hPD-L2)、hPD-L2のバリアント、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L2と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログを含む。完全hPD-1配列は、GenBank寄託番号U64863またはUniprot番号Q15116で見出され得る。完全ヒトPD-L1タンパク質配列は、Uniprot番号Q9NZQ7で見出され得、完全ヒトPD-L2配列は、Uniprot番号Q9BQ51で見出され得る。
【0137】
「細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4」、「CTLA-4」、「CTLA4」、「CTLA-4抗原」および「CD152」(例えば、(MurataおよびDalakas、1999)を参照されたい)という用語は、互換的に使用され、ヒトCTLA-4のバリアント、アイソフォーム、種ホモログ、およびCTLA-4と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログ(例えば、(Balzano、1992)を参照されたい)を含む。完全CTLA-4核酸配列は、GenBank寄託番号L15006またはUniprot番号P16410で見出され得る。
【0138】
「ヒト抗体」(HuMAb)または「完全ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有するAbを指す。さらにまた、Abが定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒトAbは、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によって、またはインビボの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、CDR配列がマウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来し、ヒトフレームワーク配列にグラフトされているAbを含むことを意図しない。「ヒト」Abおよび「完全ヒト」Abという用語は、同義語として使用される(and are used)。
【0139】
「ヒト化抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、非ヒトAbのCDRドメイン外のアミノ酸の一部、ほとんどまたはすべてが、ヒト免疫グロブリンに由来する対応するアミノ酸で置き換えられているAbを指す。Abのヒト化形態の一実施形態において、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、ほとんどまたはすべては、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置き換えられているが、1つまたは複数のCDR領域内の一部、ほとんどまたはすべてのアミノ酸は、変化していない。アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換または改変は、それらが、Abが特定の抗原に結合する能力を無効化しない限り、許容される。「ヒト化」Abは、元のAbのものと類似の抗原特異性を保持する。
【0140】
「キメラ抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、可変領域が1つの種に由来し、定常領域が別の種に由来するAb、例えば、可変領域がマウスAbに由来し、定常領域がヒトAbに由来するAbを指す。
【0141】
「薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体」という用語は、本明細書で使用される場合、合理的な利益/リスク比に見合う、過度の有害な副作用(毒性、刺激、およびアレルギー応答など)なく、ヒトおよび/または動物での使用に好適である、希釈剤、添加物または担体を指す。「希釈剤」は、固体組成物を作り上げる活性薬剤のバルク体積に添加される剤である。結果として、固体組成物のサイズは増加し、それを取り扱うのを容易にする。希釈剤は、固形組成物あたりの薬物の用量が低く、固形組成物がそうでなければ小さすぎる場合に好都合である。「添加物」は、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、コーティング添加剤、またはその組み合わせであり得る。したがって、添加物は、複数の目的を果たすことが意図される。「担体」は、本化合物を対象に送達するための、溶媒、懸濁化剤またはビヒクルであり得る。
【0142】
「個体」、「対象」または「患者」は、本明細書で使用される場合、脊椎動物である。ある特定の実施形態において、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物には、限定されるものではないが、霊長類(ヒトおよび非ヒト霊長類を含む)、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれる。好ましい実施形態において、対象は、ヒトである。
【0143】
そのため、第1の態様において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む薬学的組み合わせ物を提供する。
【0144】
組換えグラム陰性菌株
一実施形態において、本発明の組換えグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であり、ここで、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに動作可能に連結されており、異種タンパク質またはその断片は、インターフェロン(IFN)応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質、アポトーシスもしくはアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期調節因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、小GTPアーゼ、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合コンストラクトおよびナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター、およびウイルスタンパク質、またはその断片からなる群から選択される。
【0145】
一実施形態において、本発明の組換えグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であり、ここで、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに動作可能に連結されており、異種タンパク質またはその断片は、インターフェロン(IFN)応答の誘導または調節に関与するタンパク質、またはその断片である。
【0146】
一実施形態において、本発明の組換えグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であり、ここで、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに動作可能に連結されており、異種タンパク質またはその断片は、I型IFN応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質またはその断片である。
【0147】
好ましくは、異種タンパク質またはその断片は、RIG-I様受容体(RLR)ファミリーまたはその断片、抗ウイルスシグナル伝達およびI型IFN誘導に関与する他のCARDドメインを含有するタンパク質またはその断片、ならびにSTINGの刺激をもたらす、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素からなる群から選択されるI型IFN応答の誘導または調節に関与するタンパク質、またはその断片である。
【0148】
より好ましくは、異種タンパク質またはその断片は、RIG1、MDA5、LGP2、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択される、より好ましくは、RIG1、MAVS、MDA5、WspR、DncV、DisA様、およびcGAS、またはその断片からなる群から選択される、最も好ましくは、RIG1またはその断片およびcGASまたはその断片、特に、そのCARDドメインを含むRIG1の断片、より特に、そのCARDドメインを含むRIG1の断片、さらより特に、2つのCARDドメインを含む、RIG1、好ましくは、ヒトRIG1の断片、最も特に、配列番号1、配列番号2または配列番号3に示される、好ましくは、配列番号1に示される2つのCARDドメインを含むヒトRIG1の断片、ならびに/あるいはcGASまたはその断片、例えば、上記に記載されるその断片、特に、配列番号10に示されるヒトcGASまたはその断片からなる群から選択される、I型IFN応答の誘導もしくは調節に関与するタンパク質またはその断片である。
【0149】
本発明のグラム陰性菌株に含まれるポリヌクレオチド分子は、発現ベクターのようなベクターであり得る。ポリヌクレオチド分子を含むベクターは、低、中または高コピー数プラスミドであり得る。低コピー数プラスミドは、通常、1~15コピー/細菌細胞、好ましくは、1~10コピー/細菌細胞を有する。中コピー数プラスミドは、通常、5~200コピー/細菌細胞、好ましくは、10~150コピー/細菌細胞を有する。高コピー数プラスミドは、通常、100~1’000コピー/細菌細胞、好ましくは、150~700コピー/細菌細胞を有する。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチド分子を含むベクターは、中コピー数プラスミドである。好ましい実施形態において、ベクターは、5~200コピー/細菌細胞を有する中コピー数プラスミドであり、すなわち、プラスミドの5~200コピーが、単一の細菌細胞中に存在し、好ましくは、10~150コピー/細菌細胞、すなわち、プラスミドの10~150コピーが、単一細菌細胞中に存在する。
【0150】
一実施形態において、ポリヌクレオチド分子を含むベクターは、挿入断片なしで、1~15kDa、好ましくは、2~10kDa、より好ましくは、3~7kDaのサイズを有するプラスミドである。
【0151】
一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、組換え病原性弱毒化グラム陰性菌株である。
【0152】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属およびシュードモナス属からなる群から選択される。一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、エルシニア属およびサルモネラ属からなる群から選択される。好ましくは、組換えグラム陰性菌株は、エルシニア属株、より好ましくは、エルシニア・エンテロコリチカ株である。エルシニア・エンテロコリチカE40(O:9、バイオタイプ2)(SoryおよびCornelis、1994)、または(Sarker、1998)に記載されるY.エンテロコリチカMRS40(Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40とも名付けられる)のようなそのアンピシリン感受性誘導体が最も好ましい。Y.エンテロコリチカE40およびその誘導体の(Sarkerら、1998)に記載されるY.エンテロコリチカMRS40は、Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカE40およびその誘導体の(Howardら、2006;Neubauerら、2000;Pelludatら、2002)に記載されるY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40と同一である。また好ましくは、組換えグラム陰性菌株は、サルモネラ属株、より好ましくは、サルモネラ・エンテリカ株である。Public health England culture collection(NCTC 13347)に記載されるサルモネラ・エンテリカ血液型亜型ティフィムリウム(Salmonella enterica Serovar Typhimurium)SL1344が最も好ましい。
【0153】
本発明の一部の実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、シデロホアを産生しない、例えば、シデロホアの産生が欠損している、好ましくは、シデロホアを産生しない、例えば、任意のシデロホアの産生が欠損している、株である。そのような株は、例えば、エルシニアバクチンを産生せず、好ましい(Howardら、2006;Neubauerら、2000;Pelludatら、2002;Sarkerら、1998)に記載されるY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40である。
【0154】
本発明の一実施形態において、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌エフェクタータンパク質またはそのN末端断片、好ましくは、真核細胞に対して病原性である細菌エフェクタータンパク質またはそのN末端断片を含む。
【0155】
本発明の一実施形態において、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌T3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片を含む細菌T3SSエフェクタータンパク質であり、ここで、T3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、シャペロン結合部位を含み得る。シャペロン結合部位を含むT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、本発明において、送達シグナルとして特に有用である。好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、SopE、SopE2、SptP、YopE、ExoS、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SseJ、Sse、SrfH、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、IpaH、SspH1、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、XopD、AvrRpt2、HopAO1、HopPtoD2、HopU1、GALAファミリーのタンパク質、AvrBs2、AvrD1、AvrBS3、YopO、YopP、YopE、YopM、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、およびAvrXv3からなる群から選択される。より好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、SopE、SptP、YopE、ExoS、SopB、IpgB1、IpgD、YopJ、YopH、EspF、OspF、ExoS、YopO、YopP、YopE、YopM、YopTからなる群から選択され、そのうち、最も好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、IpgB1、SopE、SopB、SptP、OspF、IpgD、YopH、YopO、YopP、YopE、YopM、YopT、特に、YopEまたはそのN末端断片からなる群から選択される。
【0156】
同様に好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、SopE、SopE2、SptP、SteA、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SifB、SseJ、Sse、SrfH、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、IpaH、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、AvrRpt2、HopAO1、HopU1、GALAファミリーのタンパク質、AvrBs2、AvrD1、YopO、YopP、YopE、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、およびAvrXv3からなる群から選択される。同様により好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、SopE、SptP、SteA、SifB、SopB、IpgB1、IpgD、YopJ、YopH、EspF、OspF、ExoS、YopO、YopP、YopE、YopTからなる群から選択され、そのうち、同様に最も好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、IpgB1、SopE、SopB、SptP、SteA、SifB、OspF、IpgD、YopH、YopO、YopP、YopE、およびYopT、特に、SopE、SteA、もしくはYopEまたはそのN末端断片、より特に、SteAもしくはYopEまたはそのN末端断片、最も特に、YopEまたはそのN末端断片からなる群から選択される。
【0157】
一部の実施形態において、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌エフェクタータンパク質またはそのN末端断片を含むヌクレオチド配列によってコードされ、ここで、そのN末端断片は、細菌T3SSエフェクタータンパク質の少なくとも最初の10アミノ酸、好ましくは、少なくとも最初の20アミノ酸、より好ましくは、少なくとも最初の100アミノ酸を含む。
【0158】
一部の実施形態において、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌T3SSエフェクターまたはそのN末端断片を含むヌクレオチド配列によってコードされ、ここで、細菌T3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、シャペロン結合部位を含む。
【0159】
シャペロン結合部位を含む好ましいT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片は、シャペロン結合部位およびT3SSエフェクタータンパク質またはそのN末端断片の以下の組み合わせを含む:SycE-YopE、InvB-SopE、SicP-SptP、SycT-YopT、SycO-YopO、SycN/YscB-YopN、SycH-YopH、SpcS-ExoS、CesF-EspF、SycD-YopB、SycD-YopD。SycE-YopE、InvB-SopE、SycT-YopT、SycO-YopO、SycN/YscB-YopN、SycH-YopH、SpcS-ExoS、CesF-EspFがより好ましい。SycEシャペロン結合部位を含むYopEまたはそのN末端断片、例えば本明細書においてYopE1-138と指定され、配列番号25に示されるYopEエフェクタータンパク質のN末端の138アミノ酸を含有するYopEエフェクタータンパク質のN末端断片、あるいはInvBシャペロン結合部位を含むSopEエフェクタータンパク質またはそのN末端断片、例えば(s as uch)本明細書においてそれぞれSopE1-81またはSopE1-105と指定され、配列番号26および27に示されるSopEエフェクタータンパク質のN末端の81または105アミノ酸を含有するSopEエフェクタータンパク質のN末端断片が最も好ましい。
【0160】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、エルシニア属株であり、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、YopEエフェクタータンパク質またはそのN末端部分、好ましくは、Y.エンテロコリチカYopEエフェクタータンパク質またはそのN末端部分を含む。好ましくは、SycE結合部位は、YopEエフェクタータンパク質のN末端部分内に含まれる。これに関して、YopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、N末端の12、16、18、52、53、80または138アミノ酸を含み得る(Feldmanら、2002;Ittigら、2015;RamamurthiおよびSchneewind、2005;Wolkeら、2011)。例えば、ForsbergおよびWolf-Watz(ForsbergおよびWolf-Watz、1990)に記載され、本明細書においてYopE1-138と指定され、配列番号25に示される、YopEエフェクタータンパク質のN末端の138アミノ酸を含有するYopEエフェクタータンパク質のN末端断片が最も好ましい。
【0161】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、サルモネラ属株であり、ヌクレオチド配列(anucleotide sequence)によってコードされる細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、SopEもしくはSteAエフェクタータンパク質またはそのN末端部分、好ましくは、サルモネラ・エンテリカSopEもしくはSteAエフェクタータンパク質またはそのN末端部分を含む。好ましくは、シャペロン結合部位は、SopEエフェクタータンパク質のN末端部分内に含まれる。これに関して、SopEエフェクタータンパク質タンパク質(protein protein)のN末端断片は、N末端の81または105アミノ酸を含み得る。例えば、配列番号27に記載される、エフェクタータンパク質のN末端の105アミノ酸を含有するSopEエフェクタータンパク質の全長SteA(配列番号28)およびそのN末端断片が最も好ましい。
【0162】
当業者は、タンパク質を送達することができるエフェクタータンパク質のポリペプチド配列を特定するための方法に精通している。例えば、そのような方法の1つは、Soryら(SoryおよびCornelis、1994)によって記載されている。簡潔には、例えば、Yopタンパク質のさまざまな部分由来のポリペプチド配列を、百日咳菌シクロリシンのカルモジュリン活性化アデニル酸シクラーゼドメイン(またはCya)などのレポーター酵素にインフレームで融合することができる。Yop-Cyaハイブリッドタンパク質の真核細胞のサイトゾルへの送達は、cAMPの蓄積をもたらす感染した真核細胞におけるシクラーゼ活性の出現によって示される。そのような手法を用いることによって、当業者は、所望により、タンパク質を送達することができる最小配列要件、すなわち、最も短い長さの連続するアミノ酸配列を決定することができ、例えば、(SoryおよびCornelis、1994)を参照されたい。したがって、本発明の好ましい送達シグナルは、タンパク質を送達することができるT3SSエフェクタータンパク質のアミノ酸の少なくとも最小配列からなる。
【0163】
一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、少なくとも1つの細菌エフェクタータンパク質の産生が欠損しており、より好ましくは、真核細胞に対して病原性である少なくとも1つの細菌エフェクタータンパク質の産生が欠損しており、さらにより好ましくは、少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生が欠損しており、最も好ましくは、真核細胞に対して病原性である少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生が欠損している。一部の実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、真核細胞に対して病原性である、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つ、さらにより好ましくは、少なくとも4つ、特に、少なくとも5つ、より特に、少なくとも6つ、最も特に、すべての細菌エフェクタータンパク質の産生が欠損している。一部の実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、真核細胞に対して病原性である、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つ、さらにより好ましくは、少なくとも4つ、特に、少なくとも5つ、より特に、少なくとも6つ、最も特に、すべての機能的細菌エフェクタータンパク質の産生が欠損しており、その結果、得られる組換えグラム陰性菌株は、非病原性弱毒化グラム陰性菌野生型株と比較して、すなわち、細菌エフェクタータンパク質を正常に産生するか、またはその結果得られる組換えグラム陰性菌株が真核細胞に対して病原性である任意の機能的細菌エフェクタータンパク質をもはや産生しないグラム陰性菌野生型株と比較して、細菌エフェクタータンパク質の産生が少ないか、またはより少ない程度に細菌エフェクタータンパク質を産生する。
【0164】
本発明によれば、そのような突然変異型グラム陰性菌株、すなわち、少なくとも1つの細菌エフェクタータンパク質の産生が欠損している、例えば、真核細胞、例えば、そのような突然変異型エルシニア属株に対して病原性である少なくとも1つの細菌エフェクタータンパク質の産生が欠損しているそのような組換えグラム陰性菌株は、少なくとも1つの突然変異を少なくとも1つのエフェクターコード遺伝子に導入することによって作成することができる。好ましくは、そのようなエフェクターコード遺伝子には、エルシニア属株が関連する限り、YopE、YopH、YopO/YpkA、YopM、YopP/YopJおよびYopTが含まれる。好ましくは、そのようなエフェクターコード遺伝子には、サルモネラ属株が関連する限り、AvrA、CigR、GogB、GtgA、GtgE、PipB、SifB、SipA/SspA、SipB、SipC/SspC、SipD/SspD、SlrP、SopB/SigD、SopA、SpiC/SsaB、SseB、SseC、SseD、SseF、SseG、SseI/SrfH、SopD、SopE、SopE2、SspH1、SspH2、PipB2、SifA、SopD2、SseJ、SseK1、SseK2、SseK3、SseL、SteC、SteA、SteB、SteD、SteE、SpvB、SpvC、SpvD、SrfJ、SptPが含まれる。最も好ましくは、すべてのエフェクターコード遺伝子が欠失している。当業者は、これらのT3SSエフェクター遺伝子において突然変異を作成するために、任意のいくつかの標準的な技法を用い得る。Sambrookらは、一般に、そのような技法を記載している。Sambrookら(Sambrook、2001)を参照されたい。
【0165】
本発明に従って、そのようなエフェクター遺伝子の発現が無効化されるように、突然変異を、エフェクターコード遺伝子のプロモーター領域に作成することができる。コードされるエフェクタータンパク質の触媒活性が無効化されるように、突然変異を、エフェクターコード遺伝子のコード化領域に作成することもできる。エフェクタータンパク質の「触媒活性」は、通常、エフェクタータンパク質の抗標的細胞機能、すなわち、毒性を指す。そのような活性は、エフェクタータンパク質の触媒ドメイン中の触媒モチーフによって支配される。エフェクタータンパク質の触媒ドメインおよび/または触媒モチーフを特定するための手法は、当業者に周知である。例えば、(AltoおよびDixon、2008;Altoら、2006)を参照されたい。
【0166】
したがって、本発明の1つの好ましい突然変異は、触媒ドメイン全体の欠失である。別の好ましい突然変異は、触媒ドメインがそのような「フレームシフトした」遺伝子から発現されるタンパク質産物中に存在しないような、エフェクターコード遺伝子におけるフレームシフト突然変異である。最も好ましい突然変異は、エフェクタータンパク質のコード化領域全体の欠失を有する突然変異である。所与のエフェクタータンパク質の触媒活性の破壊をもたらすエフェクタータンパク質の触媒モチーフにおいて作成される小さな欠失または塩基対置換などの他の突然変異も本発明によって企図される。
【0167】
機能的細菌エフェクタータンパク質の遺伝子において作成される突然変異は、いくつかの方法によって特定の株に導入され得る。そのような方法の1つは、対立遺伝子交換を介して突然変異配列を株に導入することができる「自殺」ベクターに突然変異遺伝子をクローニングすることを含む。そのような「自殺」ベクターの例は、(Kanigaら、1991)によって記載されている。
【0168】
この方法において、複数の遺伝子に作成された突然変異は、グラム陰性菌株に成功裏に導入されて、多突然変異型、例えば、六重突然変異型組換え株を生じ得る。これらの突然変異配列が導入される順序は重要ではない。一部の状況下で、エフェクター遺伝子のすべてではなく一部のみを突然変異させることが望ましいことがある。したがって、本発明は、六重突然変異型エルシニア属、例えば、二重突然変異型、三重突然変異型、四重突然変異型および五重突然変異型株以外の多突然変異型エルシニア属をさらに企図する。タンパク質を送達する目的のために、本突然変異型株の分泌および転座系は、無傷である必要がある。
【0169】
好ましい本発明の組換えグラム陰性菌株は、エフェクターコード遺伝子(yopH、yopO、yopP、yopE、yopM、yopTである)のすべてが、得られるエルシニア属が任意の機能的エフェクタータンパク質をもはや産生しないように突然変異されている、六重突然変異型エルシニア属株である。そのような六重突然変異型エルシニア属株は、Y.エンテロコリチカについて、ΔyopH,O,P,E,M,Tと指定される。例として、そのような六重突然変異体は、好ましいY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tを生じさせるY.エンテロコリチカMRS40株(本明細書において、Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,TまたはY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,TまたはY.エンテロコリチカΔyopHOPEMTまたはY.エンテロコリチカΔH,O,P,E,M,TまたはY.エンテロコリチカΔHOPEMTまたはY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopHOPEMTまたはY.エンテロコリチカMRS40 ΔH,O,P,E,M,TまたはY.エンテロコリチカMRS40 ΔHOPEMTまたはY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40 ΔyopHOPEMTまたはY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40 ΔH,O,P,E,M,T、またはY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカMRS40 ΔHOPEMTとも名付けられる)から作成され得る。エルシニアバクチンの産生が欠損しているY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tは、WO02077249に記載されており、Belgian Coordinated Collections of Microorganisms(BCCM)での特許手続きを目的とした微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従って2001年9月24日に寄託され、寄託番号LMG P-21013が付与された。
【0170】
Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virF(Y.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virFとも名付けられる)などの内因性AraC型DNA結合タンパク質(ΔHairpinI-virF)をコードする遺伝子の上流のヘアピンIの欠失などのRNAヘアピン構造またはその部分を除去する内因性病原性プラスミドpYV上に欠失を含むY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tが同様に好ましい。Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asd(本明細書でY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asdとも名付けられる)などのプロモーター(pYV-asd)に動作可能に連結されたasdをコードする遺伝子を含むヌクレオチド配列を含むasdおよび内因性病原性プラスミドpYVをコードする染色体遺伝子の欠失を含むY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tが同様に好ましい。上記に記載される両方の改変を含むY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T Δasd ΔHairpinI-virF pYV-asd(本明細書でY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd ΔHairpinI-virF pYV-asdとも名付けられる)が特に好ましい。特に好ましい株は、シデロホアの産生が欠損している、好ましくは、シデロホアを産生しない、例えば、すべてのY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカ株についての場合のように、任意のシデロホアの産生が欠損している、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virF(Y.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virFとも名付けられる)、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asd(本明細書でY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asdとも名付けられる)またはY.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,T Δasd ΔHairpinI-virF pYV-asd(本明細書でY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd ΔHairpinI-virF pYV-asdとも名付けられる)である。したがって、同様に特に好ましい株は、Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virF(Y.エンテロコリチカ亜種パレアークティカΔyopH,O,P,E,M,T ΔHairpinI-virFとも名付けられる)、本明細書でY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asdとも名付けられるY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd pYV-asd)、またはY.エンテロコリチカ亜種パレアークティカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd ΔHairpinI-virF pYV-asd(本明細書でY.エンテロコリチカΔyopH,O,P,E,M,T Δasd ΔHairpinI-virF pYV-asdとも名付けられる)である。
【0171】
ΔyopH,O,P,E,M,Tと指定される六重突然変異型エルシニア・エンテロコリチカ株が最も好ましい。
【0172】
グラム陰性菌株を形質転換するために本発明により使用され得るベクターのようなポリ核酸コンストラクトは、当業者に公知であるように、使用されるグラム陰性菌株に依存し得る。本発明により使用され得るポリ核酸コンストラクトは、発現ベクター(内因性病原性プラスミドの合成またはそうでなければ作成された改変バージョンを含む)、染色体または病原性プラスミド挿入のためのベクター、および例えば、染色体または病原性プラスミド挿入のためのDNA断片などのヌクレオチド配列を含む。例えば、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属またはシュードモナス属株において有用である発現ベクターは、例えば、pUC、pBad、pACYC、pUCP20およびpETプラスミドである。例えば、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属またはシュードモナス属株において有用である染色体または病原性プラスミド挿入のためのベクターは、例えば、pKNG101である。染色体または病原性プラスミド挿入のためのDNA断片は、例えば、ラムダ-レッド遺伝子操作として、例えば、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属またはシュードモナス属株において使用される方法を指す。染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのベクター、または染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのDNA断片は、本発明のヌクレオチド配列に挿入され得、その結果、例えば、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、組換えグラム陰性菌株の内因性プロモーターに動作可能に連結される。したがって、染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのベクター、または染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのDNA断片が使用される場合、内因性プロモーターは、内因性細菌DNA(染色体またはプラスミドDNA)においてコードされ得、個々のヌクレオチド配列のみが、染色体もしくは病原性プラスミド挿入のための操作されたベクター、または染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのDNA断片によって提供される。あるいは、染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのベクター、または例えば、染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのヌクレオチド配列などのポリ核酸コンストラクトが使用される場合、内因性プロモーターおよび細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、内因性細菌DNA(染色体またはプラスミドDNA)においてコードされ得、例えば、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列などのポリ核酸コンストラクトのみが、染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのベクターによって、または例えば、染色体もしくは病原性プラスミド挿入のためのヌクレオチド配列などのポリ核酸コンストラクトによって提供される。したがって、プロモーターは、組換えグラム陰性菌株の形質転換のために使用されるベクターに含まれることは必ずしも必要ではなく、すなわち、本発明の組換えグラム陰性菌株は、プロモーターを含まないベクターで形質転換されてもよい。
【0173】
エルシニア属のための、好ましいベクター、例えば、好ましい発現ベクターは、pBad_Si_1、pBad_Si_2およびpT3P-715、pT3P-716およびpT3P-717からなる群から選択される。pBad_Si2は、精製pYV40由来のYopEおよびSycEのための内因性プロモーターを含有するSycE-YopE1-138断片を、pBad-MycHisA(Invitrogen)のKpnI/HindIII部位にクローニングすることによって構築された。追加の改変には、消化、クレノウ断片処理および再ライゲーションによるpBad-MycHisAのNcoI/BglII断片の除去が含まれる。さらに、次の切断部位が、YopE1-138の3’末端に追加された:XbaI-XhoI-BstBI-(HindIII)。pBad_Si1は、pBad_Si2と同等であるが、アラビノース誘導性プロモーター下でNcoI/BglII部位においてpEGFP-C1(Clontech)から増幅されたEGFPをコードする。T3SSシグナル配列への融合物として異種タンパク質をコードする内因性エルシニア属病原性プラスミドpYVの改変バージョンの使用が同様に好ましい。
【0174】
サルモネラ属のための、好ましいベクター、例えば、好ましい発現ベクターは、pT3P_267、pT3P_268およびpT3P_269からなる群から選択される。対応する内因性プロモーターおよび全長SteA配列(pT3P_267)、SopE1-81断片(pT3P_268)またはSopE1-105断片(pT3P_269)を含有するプラスミドpT3P_267、pT3P_268およびpT3P_269を、S.エンテリカSL1344ゲノムDNAから増幅し、pBad-MycHisA(Invitrogen)のNcoI/KpnI部位にクローニングした。
【0175】
pT3P-715は、pSi_2と類似の特性を有する完全合成プラスミド(デノボ合成(snythesized)ベクター)であるが、対応するAraCコード化領域は、欠失しており、アンピシリン耐性遺伝子(プラス70bp上流)は、200bp上流領域で、クロラムフェニコール(chlorampenicol)耐性遺伝子によって置き換えられている。明確にするために、pT3P-715は、pYV40由来のYopEおよびSycEのための内因性プロモーターを含有するSycE-YopE1-138断片を含み、ここで、次の切断部位が、YopE1-138の3’末端に追加された:XbaI-XhoI-BstBI-HindIII。これは、pBR322複製開始点、および転位可能な遺伝エレメントTn9(AltonおよびVapnek、1979)からのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(触媒)を特徴とする。
【0176】
pBad_Si2およびpT3P-715は、pBR322(pMB1)複製開始点(配列番号29)を有する中コピー数プラスミドである。
【0177】
誘導体pT3P-716は、pBR322複製開始点(配列番号29)における点突然変異に基づく高コピー数プラスミドであり、これは、次いで、ColE1複製開始点(配列番号30)をもたらす。異種カーゴタンパク質の発現および送達のための高コピー数プラスミドは、pT3P-716に基づく。
【0178】
誘導体pT3P-717は、pT3P-715におけるpBR322複製開始点に基づくが、追加してrop(「プライマーの抑制性因子」のための)遺伝子(配列番号31)を含む、低コピー数プラスミドである。異種カーゴタンパク質の発現および送達のための低コピー数プラスミドは、pT3P-717に基づく。
【0179】
本発明のポリヌクレオチド分子は、3’末端配列(停止コドンおよびポリA配列を含む)などの他の配列エレメント、またはポリヌクレオチド分子を受け取る形質転換体の選択を可能にする薬物耐性を付与する遺伝子、または形質転換体の選択を可能にする他のエレメントを含んでいてもよい。
【0180】
本発明のポリヌクレオチド分子は、いくつかの公知の方法によって、組換えグラム陰性菌株に形質転換され得る。本発明の目的のために、ポリヌクレオチド分子を導入するための形質転換の方法には、限定されるものではないが、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム媒介形質転換、コンジュゲーション、またはその組み合わせが含まれる。例えば、ベクター上に位置する、例えば、ポリヌクレオチド分子は、標準的なエレクトロポレーション手順によって、第1の菌株に形質転換され得る。その後、例えば、ベクター上に位置する、そのようなポリヌクレオチド分子は、「可動化」とも呼ばれるプロセスであるコンジュゲーションによって、第1の菌株から所望の株に移入され得る。形質転換体(すなわち、ベクターを取り込んでいるグラム陰性菌株)は、例えば、抗生物質を用いて選択され得る。これらの技法は、当技術分野において周知である。例えば、(SoryおよびCornelis、1994)を参照されたい。
【0181】
本発明に従って、本発明の組換えグラム陰性菌株の細菌エフェクタータンパク質に動作可能に連結されたプロモーターは、個々の株または適合する菌株のT3SSエフェクタータンパク質のネイティブプロモーター、あるいは個々のまたは適合する菌株の別のネイティブプロモーター、または例えば、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属もしくはシュードモナス属株において有用である発現ベクターにおいて使用されるプロモーター、例えば、pUCおよびpBadであり得る。そのようなプロモーターは、T7プロモーター、Placプロモーター、またはアラビノース誘導性Ara-badプロモーターである。
【0182】
組換えグラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、プロモーターは、エルシニア属ビルロン遺伝子由来であり得る。「エルシニア属ビルロン遺伝子」は、エルシニア属pYVプラスミド上の遺伝子を指し、その発現は、温度によって、および標的細胞との接触によっての両方で制御される。そのような遺伝子には、分泌機構のエレメントをコードする遺伝子(Ysc遺伝子)、輸送体をコードする遺伝子(YopB、YopD、およびLcrV)、制御エレメントをコードする遺伝子(YopN、TyeAおよびLcrG)、T3SSエフェクターシャペロンをコードする遺伝子(SycD、SycE、SycH、SycN、SycOおよびSycT)、ならびにエフェクター(YopE、YopH、YopO/YpkA、YopM、YopTおよびYopP/YopJ)だけでなく、VirFおよびYadAのようなタンパク質がコードされる他のpYVをコードする遺伝子が含まれる。
【0183】
本発明の好ましい実施形態において、プロモーターは、T3SS機能的エフェクターコード遺伝子のネイティブプロモーターである。組換えグラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、プロモーターは、YopE、YopH、YopO/YpkA、YopMおよびYopP/YopJのいずれか1つから選択される。より好ましくは、プロモーターは、YopEおよび/またはYopH由来である。それぞれ、YopEおよびYopHプロモーターが最も好ましい。
【0184】
組換えグラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、プロモーターは、SpiIもしくはSpiII病原性アイランド由来、または他の場所でコードされるエフェクタータンパク質由来であり得る。そのような遺伝子には、分泌機構のエレメントをコードする遺伝子、輸送体をコードする遺伝子、制御エレメントをコードする遺伝子、T3SSエフェクターシャペロンをコードする遺伝子、およびエフェクターだけでなく、SPI-1またはSPI-2によってコードされる他のタンパク質をコードする遺伝子が含まれる。本発明の好ましい実施形態において、プロモーターは、T3SS機能的エフェクターコード遺伝子のネイティブプロモーターである。組換えグラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、プロモーターは、エフェクタータンパク質のいずれか1つから選択される。より好ましくは、プロモーターは、SopE、InvBまたはSteA由来である。
【0185】
一部の実施形態において、プロモーターは、例えば、IPTG誘導性プロモーター、光誘導性プロモーターおよびアラビノース誘導性プロモーターのような人工誘導性プロモーターである。
【0186】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、プロテアーゼ切断部位をコードするヌクレオチド配列を含む。プロテアーゼ切断部位は、通常、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列と送達シグナルをコードするヌクレオチド配列との間で細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子上に位置する。機能的および一般に利用可能な切断部位の作成は、移動後の送達シグナルの切り落としを可能にする。送達シグナルが、正しい局在化および/または標的細胞内の移動したタンパク質の機能に干渉し得るので、送達シグナルと目的のタンパク質との間のプロテアーゼ切断部位の導入は、ほとんどのネイティブタンパク質の真核細胞への送達を提供する。好ましくは、プロテアーゼ切断部位は、エンテロキナーゼ(軽鎖)、エンテロペプチダーゼ、prescissionプロテアーゼ、ヒトライノウイルスプロテアーゼ3C、TEVプロテアーゼ、TVMVプロテアーゼ、第Xa因子プロテアーゼおよびトロンビンからなる群から選択されるプロテアーゼまたはその触媒ドメインによって切断されるアミノ酸モチーフ、より好ましくは、TEVプロテアーゼによって切断されるアミノ酸モチーフである。同様に好ましいプロテアーゼ切断部位は、エンテロキナーゼ(軽鎖)、エンテロペプチダーゼ、prescissionプロテアーゼ、ヒトライノウイルスプロテアーゼ3C、TEVプロテアーゼ、TVMVプロテアーゼ、第Xa因子プロテアーゼ、脱ユビキチン化酵素と呼ばれるユビキチンプロセシングプロテアーゼ、およびトロンビンからなる群から選択されるプロテアーゼまたはその触媒ドメインによって切断されるアミノ酸モチーフである。TEVプロテアーゼによって、またはユビキチンプロセシングプロテアーゼによって切断されるアミノ酸モチーフが最も好ましい。
【0187】
したがって、本発明のさらなる実施形態において、異種タンパク質は、プロテアーゼによって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルから切断される。切断の好ましい方法は、以下の方法である:
a)プロテアーゼは、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルおよび異種タンパク質としてプロテアーゼを含む融合タンパク質を発現する本明細書に記載される組換えグラム陰性菌株によって、真核細胞に移動される;または
b)プロテアーゼは、真核細胞において、構成的にまたは一過性に発現される。
【0188】
通常、所望のタンパク質を真核細胞に送達するために使用される組換えグラム陰性菌株、およびプロテアーゼを真核細胞に移動させる組換えグラム陰性菌株は異なる。
【0189】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、標識化分子または標識化分子のための受容部位をコードするさらなるヌクレオチド配列を含む。標識化分子または標識化分子のための受容部位をコードするさらなるヌクレオチド配列は、通常、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’末端または3’末端に融合される。好ましい標識化分子または標識化分子のための受容部位は、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、クマリン、クマリンリガーゼ受容部位、レゾルフィン、レゾルフィン(resurofin)リガーゼ受容部位、FlAsH/ReAsH色素(life technologies)との使用におけるテトラ-システインモチーフからなる群から選択される。レゾルフィンおよびレゾルフィン(resurofin)リガーゼ受容部位、またはEGFPが最も好ましい。標識化分子または標識化分子のための受容部位の使用は、標識化分子の目的の異種タンパク質への付着をもたらし、これは、次いで、それ自体が真核細胞に送達され、例えば、生細胞顕微鏡法によって、タンパク質の追跡を可能にする。
【0190】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、ペプチドタグをコードするさらなるヌクレオチド配列を含む。ペプチドタグをコードするさらなるヌクレオチド配列は、通常、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’末端または3’末端に融合される。好ましいペプチドタグは、Mycタグ、Hisタグ、Flagタグ、HAタグ、StrepタグもしくはV5タグ、またはこれらの群のうち2つ以上のタグの組み合わせからなる群から選択される。Mycタグ、Flagタグ、Hisタグ、ならびに組み合わされたMycタグおよびHisタグが最も好ましい。ペプチドタグの使用は、例えば、抗タグ抗体を使用する免疫蛍光またはウエスタンブロット法によって、タグ化タンパク質のトレーサビリティをもたらす。さらに、ペプチドタグの使用は、培養上清への分泌後または真核細胞への移動後のいずれかで、両方の場合において、対応するタグに適した精製方法(例えば、Hisタグを用いる使用における金属-キレート親和性精製、またはFlagタグを用いる使用における抗Flag抗体に基づく精製)を使用して、所望のタンパク質の親和性精製を可能する。
【0191】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、核局在化シグナル(NLS)をコードするさらなるヌクレオチド配列を含む。核局在化シグナル(NLS)をコードするさらなるヌクレオチド配列は、通常、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’末端または3’末端に融合され、ここで、前記さらなるヌクレオチド配列は、核局在化シグナル(NLS)をコードする。好ましいNLSは、SV40大型T抗原NLSおよびその誘導体(Yonedaら、1992)、および他のウイルスNLSからなる群から選択される。SV40大型T抗原NLSおよびその誘導体が最も好ましい。
【0192】
本発明の一実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、多重クローニング部位を含む。多重クローニング部位は、通常、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端、および/または異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端に位置する。1つまたは2つ以上の多重クローニング部位が、ベクターに含まれ得る。好ましい多重クローニング部位は、XhoI、XbaI、HindIII、NcoI、NotI、EcoRI、EcoRV、BamHI、NheI、SacI、SalI、BstBIからなる制限酵素の群から選択される。XbaI、XhoI、BstBIおよびHindIIIが最も好ましい。
【0193】
本発明の組換えグラム陰性菌株によって発現されるタンパク質は、「融合タンパク質」または「ハイブリッドタンパク質」とも称され、すなわち、送達シグナルおよび異種タンパク質の融合タンパク質またはハイブリッドである。融合タンパク質は、例えば、送達シグナルおよび2つ以上の異なる異種タンパク質を含むこともできる。一部の実施形態において、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルおよび異種タンパク質をそれぞれ含む少なくとも2つの融合タンパク質は、組換えグラム陰性菌株によって発現され、本発明の方法によって、真核細胞、例えば、がん細胞に移動される。
【0194】
組換えグラム陰性菌株は、当技術分野において公知の方法(例えば、FDA、Bacteriological Analytical Manual(BAM)、第8章:Yersinia enterocolitica)に従って、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルおよび異種タンパク質を含む融合タンパク質が発現するように、培養することができる。好ましくは、組換えグラム陰性菌株は、例えば、28℃で、脳心臓インフュージョンブロス中で培養することができる。T3SS、および例えば、YopE/SycEプロモーター依存性遺伝子の発現の誘導のために、細菌を、37℃で成長させることができる。
【0195】
当業者は、いくつかのアッセイを使用して、組換えグラム陰性菌によって、融合タンパク質のような異種タンパク質の送達が成功するかどうかを決定することもできる。例えば、融合タンパク質は、融合されたタグ(Mycタグのような)を認識する抗体を使用して、免疫蛍光を介して検出され得る。決定は、送達されるタンパク質の酵素活性、例えば、(SoryおよびCornelis、1994)によって記載されるアッセイに基づくこともできる。
【0196】
好ましい実施形態において、本発明の組換えグラム陰性菌株は、
i)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド分子であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、第1のポリヌクレオチド分子;
ii)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチド分子であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、第2のポリヌクレオチド分子;
iii)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含む第3のポリヌクレオチド分子であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、第3のポリヌクレオチド分子;および
iv)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含む第4のヌクレオチド分子であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、第4のヌクレオチド分子
を含む組換えグラム陰性菌株であって、
前記第1および前記第2のポリヌクレオチド分子が、前記グラム陰性菌株に含まれるベクター上に位置し、前記第3および前記第4のポリヌクレオチド分子が、前記グラム陰性菌株の染色体または前記グラム陰性菌株に含まれる染色体外遺伝エレメント上に位置し、ただし、染色体外遺伝エレメントが、前記第1および前記第2のポリヌクレオチド分子が位置するベクターではない、
組換えグラム陰性菌株である。
【0197】
一実施形態において、第3および第4のポリヌクレオチド分子は、内因性病原性プラスミド上に位置し、好ましくは、細菌エフェクタータンパク質のネイティブ部位、例えば、病原性因子のネイティブ部位、好ましくは、組換えグラム陰性菌株がエルシニア属株である場合において、YopEおよび/もしくはYopHのネイティブ部位または別のYop(YopO、YopP、YopM、YopT)のネイティブ部位、好ましくは、それぞれ、YopEおよびYopHのネイティブ部位、あるいは組換えグラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合において、SpiI、SpiII内でコードされるか、または他の場所でコードされるエフェクタータンパク質のネイティブ部位、好ましくは、SpiIまたはSpiII内でコードされるエフェクタータンパク質のネイティブ部位、より好ましくは、SopEまたはSteAのネイティブ部位で、内因性病原性プラスミド上に位置する。
【0198】
一実施形態において、第1のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列および第3のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、同じ異種タンパク質またはその断片をコードする。
【0199】
さらなる実施形態において、第2のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列および第4のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、同じ異種タンパク質またはその断片をコードする。
【0200】
好ましい実施形態において、第1のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列および第3のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、同じ異種タンパク質またはその断片をコードし、
第2のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列および第4のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、同じ異種タンパク質またはその断片をコードし、ここで、第1および第3のポリヌクレオチド分子によってコードされる異種タンパク質またはその断片は、第2および第4のポリヌクレオチド分子によってコードされる異種タンパク質またはその断片と異なる。
【0201】
より好ましい実施形態において、互いに独立して、第1および第3のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質またはその断片は、RIG-I様受容体(RLR)ファミリーまたはその断片、他のCARDドメインを含有する抗ウイルスシグナル伝達およびI型IFN誘導に関与するタンパク質またはその断片、ならびにSTINGの刺激をもたらす、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGASまたは上記に記載されるその断片からなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素からなる群から選択される。さらにより好ましくは、互いに独立して、第1および第3のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質は、RIG1、MDA5、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、ならびにcGAS、または上記に記載されるその断片からなる群から選択される。特に、第1および第3のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質は、cGASまたはその断片、例えば、上記に記載されるその断片、より特に、配列番号10に示されるヒトcGASまたはその断片である。
【0202】
より好ましい実施形態において、互いに独立して、第2および第4のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質またはその断片は、RIG-I様受容体(RLR)ファミリーまたはその断片、他のCARDドメインを含有する抗ウイルスシグナル伝達およびI型IFN誘導に関与するタンパク質またはその断片、ならびにSTINGの刺激をもたらす、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、CdaSならびにcGAS、または上記に記載されるその断片からなる群から選択されるサイクリック-ジ-AMPシクラーゼ、サイクリック-ジ-GMPシクラーゼおよびサイクリック-ジ-GAMPシクラーゼなどのサイクリックジヌクレオチド生成酵素からなる群から選択される。さらにより好ましくは、互いに独立して、第2および第4のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質は、RIG1、MDA5、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、CdaA、ならびにcGAS、またはその断片からなる群から選択される。特に、互いに独立して、第2および第4のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質は、RIG1、MDA5、MAVS、WspR、DncV、DisAおよびDisA様、ならびにCdaA、またはその断片からなる群から選択される。より特に、第2および第4のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされる異種タンパク質は、RIG1または上記に記載されるその断片、より特に、CARDドメインを含むRIG1の断片、さらにより特に、RIG1の断片、好ましくは、2つのCARDドメインを含むヒトRIG1、最も特に、配列番号1、配列番号2または配列番号3に示される、好ましくは、配列番号1に示される2つのCARDドメインを含むヒトRIG1の断片である。
【0203】
一部の実施形態において、第1、第2、第3および第4のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、同じ送達シグナルである。好ましい実施形態において、第1、第2、第3および第4のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌T3SSエフェクタータンパク質由来の送達シグナル、好ましくは、細菌T3SSエフェクタータンパク質由来の同じ送達シグナルである。より好ましい実施形態において、第1、第2、第3および第4のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、YopEエフェクタータンパク質またはそのN末端断片を含む。
【0204】
一実施形態において、第1のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列、および第2のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ、同じプロモーターに動作可能に連結されている。「それぞれ、同じプロモーターに動作可能に連結される」という用語は、これに関して、1つのプロモーター(同じプロモーター)が、第1および第2のポリヌクレオチド分子の異種タンパク質の発現を駆動することを意味する。好ましい実施形態において、第1のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列、および第2のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、同じyopEプロモーターにそれぞれ動作可能に連結されている。
【0205】
さらなる実施形態において、第3のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列、および第4のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、2つの異なるプロモーターに動作可能に連結されている。好ましい実施形態において、第3のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、YopEプロモーターに動作可能に連結され、第4のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、YopHプロモーターに動作可能に連結されている。
【0206】
さらなる好ましい実施形態において、第1のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列、および第2のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、同じプロモーターに動作可能に連結され、第3のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列、および第4のポリヌクレオチド分子の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列は、2つの異なるプロモーターに動作可能に連結されている。
【0207】
前記第1および第2のポリヌクレオチド分子を含むベクターは、低、中または高コピー数プラスミドであり得る。低コピー数プラスミドは、通常、1~15コピー/細菌細胞、好ましくは、1~10コピー/細菌細胞を有する。中コピー数プラスミドは、通常、5~200コピー/細菌細胞、好ましくは、10~150コピー/細菌細胞を有する。高コピー数プラスミドは、通常、100~1’000コピー/細菌細胞、好ましくは、150~700コピー/細菌細胞を有する。
【0208】
好ましい実施形態において、前記第1および第2のポリヌクレオチド分子を含むベクターは、中コピー数プラスミドである。好ましい実施形態において、ベクターは、5~200コピー/細菌細胞を有する中コピー数プラスミドであり、すなわち、プラスミドの5~200コピーが、単一の細菌細胞中に存在し、好ましくは、10~150コピー/細菌細胞、すなわち、プラスミドの10~150コピーが、単一の細菌細胞中に存在する。
【0209】
一実施形態において、前記第1および第2のポリヌクレオチド分子を含むベクターは、挿入断片なしで、1~15kDa、好ましくは、2~10kDa、より好ましくは、3~7kDaのサイズを有するプラスミドである。
【0210】
一実施形態において、染色体外遺伝エレメントは、内因性病原性プラスミド、好ましくは、III型分泌系のタンパク質を天然に(天然で)コードする内因性病原性プラスミドである。好ましい実施形態において、染色体外遺伝エレメントは、内因性病原性プラスミドpYVである。
【0211】
本発明の組換えグラム陰性菌株は、以下によって、得ることができる。
1)グラム陰性菌株を、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列、および細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるか、または細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片をコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド分子、好ましくは、DNAポリヌクレオチド分子で形質転換すること、ここで、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルは、グラム陰性菌株の染色体上または内因性病原性プラスミド上でコードされる。好ましくは、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルのヌクレオチド配列と相同または同一であるヌクレオチド配列は、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’末端上に位置する。異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルの3’末端の染色体または内因性病原性プラスミドのヌクレオチド配列に相同なヌクレオチド配列によって、その3’末端上で隣接し得る。その3’末端上の相同タンパク質に隣接するこのヌクレオチド配列は、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルの3’末端の染色体上または内因性病原性プラスミド上の10kbp以内にあるヌクレオチド配列に相同であり得る。その3’末端上の相同タンパク質に隣接するこのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列と相同であり得、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルと、染色体上または内因性病原性プラスミド上の同じオペロン内にあり得る。形質転換は、通常、染色体または病原性プラスミドによってコードされる細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端で、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、組換えグラム陰性菌株の内因性病原性プラスミドまたは染色体上、好ましくは、内因性病原性プラスミド上に挿入されるように行われ、ここで、送達シグナルに融合された異種タンパク質が発現および分泌される;
2)工程1)の後(またはそれと並行して)、組換え菌株を、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列、および細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるか、または細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片をコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるヌクレオチド配列を含む、さらなるポリヌクレオチド分子、好ましくは、DNAポリヌクレオチド分子で形質転換することができ、ここで、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルは、グラム陰性菌株の染色体上または内因性病原性プラスミド上でコードされる。ヌクレオチド配列は、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルのヌクレオチド配列と相同または同一であり得、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’末端上に位置し得る。異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルの3’末端の染色体または内因性病原性プラスミドのヌクレオチド配列に相同なヌクレオチド配列によって、その3’末端上で隣接し得る。その3’末端上の相同タンパク質に隣接するこのヌクレオチド配列は、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルの3’末端の染色体上または内因性病原性プラスミド上の10kbp以内にあるヌクレオチド配列に相同であり得る。その3’末端上の相同タンパク質に隣接するこのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列と相同であり得、細菌エフェクタータンパク質またはその断片からの送達シグナルと、染色体上または内因性病原性プラスミド上の同じオペロン内にあり得る。形質転換は、通常、染色体または内因性病原性プラスミドによってコードされる細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端で、異種タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、組換えグラム陰性菌株の内因性病原性プラスミドまたは染色体上、好ましくは、内因性病原性プラスミド上に挿入されるように行われ、ここで、送達シグナルに融合された異種タンパク質が、発現および分泌される;ならびに/あるいは
3)組換え菌株は、異種タンパク質、および細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるか、または細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片をコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるヌクレオチド配列をコードする、1つ(2つのベクターの場合において)または2つ(1つのベクターの場合において)のヌクレオチド配列を含む発現ベクターのような1つまたは2つのポリヌクレオチドコンストラクトで遺伝子的に形質転換することができる。
【0212】
1)および2)で得られた組換え菌株が、工程3)において、異種タンパク質、および細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるか、または細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片をコードするヌクレオチド配列と相同もしくは同一であるヌクレオチド配列をそれぞれコードする、2つのヌクレオチド配列を含む1つのベクターで形質転換される場合において、これらの2つの配列は、融合されて、オペロンを形成することができる。
【0213】
工程1)~3)の順序は、交換することができ、または工程は、組み合わされてもよく、または個々の工程のみが行われてもよい。組換えグラム陰性菌株がエルシニア属株である場合において、内因性病原性プラスミドは、pYV(エルシニア属病原性のプラスミド)である。組換えグラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合において、挿入のための内因性位置は、エフェクタータンパク質が、他の場所でコードされる位置のSpiIまたはSpiII(サルモネラ属病原性アイランドについて)と呼ばれる遺伝子クラスターの1つ、あるいはサルモネラ属病原性プラスミド(SVP)の1つである。
【0214】
免疫チェックポイントモジュレーター
一実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-L、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)、VISTA(B7-H5)、IDO、OX40(CD134)、OX40L(CD252)、CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)、ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)、KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、A2aR、CD27、CD70(CD27L)、BTLA、HVEM、GITR、GITRL、CD40、CD40L(CD154)、TIM-1、CEACAM1、ICAM、LFA-1、CD2、CD160、HVEM、CD226、Cd112、PIR-B(gp49B)、CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、CD85C(LIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8);ILT2、ILT4、ILT5、ILT3、SIRPアルファ、CD47、GARP、TGFベータ1、TDO、CD94、NKG2A、HLA-E、CSF1、CSF1R、2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)、およびCD48(SLAMF2)からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である。括弧内の用語は、便宜上示される対応するタンパク質の同義語を指す。例として、CD154は、CD40Lの同義語であり、したがって、CD40L(CD154)として示される。同義語のリストは結論付けられておらず、さらなる同義語が、免疫チェックポイントの多くに存在する。
【0215】
好ましい実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9、TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRIG)、VISTA(B7-H5)およびIDOからなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である。
【0216】
より好ましい実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの活性化剤または阻害剤、特に、CTLA-4、PD-1およびPD-L1からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの活性化剤または阻害剤である。
【0217】
さらにより好ましい実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの阻害剤、特に、CTLA-4、PD-1およびPD-L1からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの阻害剤である。
【0218】
特に好ましい実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1アンタゴニストまたはCTLA-4アンタゴニストである。好ましくは、PD-1アンタゴニストは、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体またはアンタゴニストPDL-2抗体、より好ましくは、アンタゴニストPD-1抗体またはアンタゴニストPDL-1抗体である。好ましくは、CTLA-4アンタゴニストは、アンタゴニストCTLA-4抗体である。特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体、アンタゴニストPDL-2抗体およびアンタゴニストCTLA-4抗体からなる群から選択され、より特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体および/またはアンタゴニストCTLA-4抗体であり、さらにより特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、アンタゴニストPD-1抗体および/またはアンタゴニストCTLA-4抗体である。
【0219】
より特に好ましい実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、レチファンリマブ、プロルゴリマブ(BCD-100)、セルプルリマブ(HLX10)、スパルタリズマブ、AK105、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびスゲマリマブからなる群から選択されるアンタゴニストPD-1抗体、ならびに/またはイピリムマブおよびトレメリムマブからなる群から選択されるアンタゴニストCTLA-4抗体である。
【0220】
一実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、抗体である。好ましい実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト抗体、より好ましくは、ヒト化抗体または完全ヒト抗体からなる群から選択される抗体である。
【0221】
一実施形態において、免疫チェックポイントモジュレーターは、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体、アンタゴニストPDL-2抗体またはアンタゴニストCTLA-4抗体であり、ここで、抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体または完全ヒト抗体、好ましくは、ヒト化抗体または完全ヒト抗体である。
【0222】
組み合わせ物
本発明による薬学的組み合わせ物は、例えば、同時の、別々のまたは逐次的な使用のための、組み合わせ調製物または薬学的組成物である。
【0223】
「組み合わせ調製物」という用語は、本明細書で使用される場合、特に、前記組換えグラム陰性菌株および前記免疫チェックポイントモジュレーターが、独立して、別々の形態で、または区別された量の活性成分との異なる固定された組み合わせの使用によってのいずれかで投薬され得るという意味で、「部材のキット」を定義する。組み合わせ調製物において投与される組換えグラム陰性菌株の量の免疫チェックポイントモジュレーターの量に対する比は、例えば、治療される患者の下位集団の必要性または単一の患者の必要性に対処するために変更することができ、この必要性は、患者の年齢、性別、体重などに起因して異なり得る。組み合わせ調製物(部材のキット)の個々の部材は、同時にまたは逐次的に投与することができ、すなわち、部材のキットの任意の部材について、例えば、異なる時点および等しいまたは異なる時間間隔で、経時的に調整することができる。
【0224】
「薬学的組成物」という用語は、個々の投与量の所定の組み合わせを有する、単一投与形態中で組み合わされた組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーターを含む固定用量組み合わせ物(FDC)を指す。
【0225】
薬学的組み合わせ物は、アドオン療法としてさらに使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「アドオン」または「アドオン療法」は、療法における使用のための試薬の集合体を意味し、療法を受けている対象は、第1の治療レジメンに加えて1つまたは複数の異なる試薬の第2の治療レジメンを開始する前に、1つまたは複数の試薬の第1の治療レジメンを開始し、その結果、療法において使用される試薬のすべては、同じ時に開始しない。例えば、すでにグラム陰性菌株療法を受けている患者に免疫チェックポイントモジュレーター療法を追加する。
【0226】
好ましい実施形態において、本発明による薬学的組み合わせ物は、組み合わせ調製物である。
【0227】
投与される組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーターの量は、例えば、投与される特定の組換えグラム陰性菌株、投与の経路、治療される状態、治療される標的領域、および治療される対象または宿主を含む、症例の周囲の特定の状況に従って、特定の化合物、疾患状態およびその重症度などの要因に応じて変わるであろう。
【0228】
一実施形態において、本発明は、組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む薬学的組み合わせ物であって、前記組換えグラム陰性菌株および前記免疫チェックポイントモジュレーターが、治療的有効量で存在する、薬学的組み合わせ物を提供する。
【0229】
「有効量」または「治療的有効量」という表現は、本明細書で使用される場合、本発明の組み合わせ物を受けている対象において以下の効果の1つまたは複数を呼び起こすことができる量を指す:(i)腫瘍成長の阻害または停止、腫瘍成長率を低減することまたは完全な成長の停止を引き起こすことを含む;(ii)完全な腫瘍縮小;(iii)腫瘍サイズの低減;(iv)腫瘍数の低減;(v)抹消器官への腫瘍細胞浸潤の転移の阻害(すなわち、低減、減速または完全な停止);(vi)抗腫瘍免疫応答の増強、これは、腫瘍の縮小または排除をもたらし得るが、必ずしもそうでなくてもよい;(vii)がんに関連する1つまたは複数の症状のある程度の軽減;(viii)組み合わせ物を受けている対象の無増悪生存(PFS)および/または;全生存(OS)の増加。
【0230】
治療的有効量の決定は、特に、本明細書に提供される詳述される開示を考慮すると、十分に当業者の能力内である。一部の実施形態において、治療的有効量は、(i)がん細胞の数を低減し得る;(ii)腫瘍サイズを低減し得る;(iii)末梢器官へのがん細胞浸潤を、ある程度、阻害し得、妨害し得、遅らせ得、好ましくは、停止させ得る;(iv)腫瘍転移を阻害し得る(例えば、ある程度遅らせ得、好ましくは、停止させ得る);(v)腫瘍成長を阻害し得る;(vi)腫瘍の出現および/もしくは再発を遅延させ得る;ならびに/または(vii)がんに関連する症状の1つもしくは複数を、ある程度、軽減し得る。さまざまな実施形態において、量は、がんの症状の1つまたは複数を、回復させ、和らげ、少なくし、および/または遅延させるのに十分である。
【0231】
別の好ましい実施形態において、本発明は、組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む薬学的組み合わせ物であって、前記組換えグラム陰性菌株および前記免疫チェックポイントモジュレーターが、相加的治療効果を生じる量で存在する、薬学的組み合わせ物を提供する。
【0232】
本明細書で使用される場合、「相加的」という用語は、本発明の薬学的組み合わせ物により達成される効果が、抗がん剤、すなわち、単剤療法としての組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーターの使用から生じる効果のおよそ合計であることを意味する。
【0233】
別の好ましい実施形態において、本発明は、組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)を含む薬学的組み合わせ物であって、前記組換えグラム陰性菌株および前記免疫チェックポイントモジュレーターが、相乗的治療効果を生じる量で存在する、薬学的組み合わせ物を提供する。
【0234】
本明細書で使用される場合、「相乗的」という用語は、本発明の薬学的組み合わせ物により達成される効果が、抗がん剤、すなわち、単剤療法としての組換えグラム陰性菌株および免疫チェックポイントモジュレーターの使用から生じる効果の合計よりも大きいことを意味する。有利には、そのような相乗作用は、同じ用量でより高い有効性を提供し、療法に対するより長い奏功期間をもたらし得る。
【0235】
一実施形態において、本発明は、免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)および組換えグラム陰性菌株を含む薬学的組み合わせ物であって、組合せ物中の前記免疫チェックポイントモジュレーターの量が、約1~約1000mgである、薬学的組み合わせ物を提供する。
【0236】
好ましい実施形態において、本発明は、免疫チェックポイントモジュレーター(ICM)および組換えグラム陰性菌株を含む薬学的組み合わせ物であって、組合せ物中の抗アポトーシス性タンパク質の前記阻害剤の量が、約105~約1010個細菌である、薬学的組み合わせ物を提供する。
【0237】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属、およびシュードモナス属からなる群から選択され;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-L、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)、VISTA(B7-H5)、IDO、OX40(CD134)、OX40L(CD252)、CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)、ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)、KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、A2aR、CD27、CD70(CD27L)、BTLA、HVEM、GITR、GITRL、CD40、CD40L(CD154)、TIM-1、CEACAM1、ICAM、LFA-1、CD2、CD160、HVEM、CD226、Cd112、PIR-B(gp49B)、CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、CD85C(LIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8);ILT2、ILT4、ILT5、ILT3、SIRPアルファ、CD47、GARP、TGFベータ1、TDO、CD94、NKG2A、HLA-E、CSF1、CSF1R、2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)、およびCD48(SLAMF2)からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0238】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属およびサルモネラ属からなる群から選択され;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9、TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRIG)、VISTA(B7-H5)およびIDOからなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0239】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-L、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)、VISTA(B7-H5)、IDO、OX40(CD134)、OX40L(CD252)、CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)、ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)、KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、A2aR、CD27、CD70(CD27L)、BTLA、HVEM、GITR、GITRL、CD40、CD40L(CD154)、TIM-1、CEACAM1、ICAM、LFA-1、CD2、CD160、HVEM、CD226、Cd112、PIR-B(gp49B)、CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、CD85C(LIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8);ILT2、ILT4、ILT5、ILT3、SIRPアルファ、CD47、GARP、TGFベータ1、TDO、CD94、NKG2A、HLA-E、CSF1、CSF1R、2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)、およびCD48(SLAMF2)からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0240】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9、TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRIG)、VISTA(B7-H5)およびIDOからなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0241】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり;
ICMが、CTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント、特に、CTLA-4、PD-1およびPD-L1からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0242】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり;
ICMが、PD-1アンタゴニストまたはCTLA-4アンタゴニストである;
組み合わせ物を提供する。
【0243】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり;
ICMが、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体および/またはアンタゴニストCTLA-4抗体である;
組み合わせ物を提供する。
【0244】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア・エンテロコリチカであり;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-L、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)、VISTA(B7-H5)、IDO、OX40(CD134)、OX40L(CD252)、CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)、ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)、KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、A2aR、CD27、CD70(CD27L)、BTLA、HVEM、GITR、GITRL、CD40、CD40L(CD154)、TIM-1、CEACAM1、ICAM、LFA-1、CD2、CD160、HVEM、CD226、Cd112、PIR-B(gp49B)、CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、CD85C(LIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8);ILT2、ILT4、ILT5、ILT3、SIRPアルファ、CD47、GARP、TGFベータ1、TDO、CD94、NKG2A、HLA-E、CSF1、CSF1R、2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)、およびCD48(SLAMF2)からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0245】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア・エンテロコリチカであり;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9、TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRIG)、VISTA(B7-H5)およびIDOからなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0246】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア・エンテロコリチカであり;
ICMが、CTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント、特に、CTLA-4、PD-1およびPD-L1からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0247】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア・エンテロコリチカであり;
ICMが、PD-1アンタゴニストまたはCTLA-4アンタゴニストである;
組み合わせ物を提供する。
【0248】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア・エンテロコリチカであり;
ICMが、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体および/またはアンタゴニストCTLA-4抗体である;
組み合わせ物を提供する。
【0249】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tであり;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9(ガレクチン9)、TIM3-L、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRL2)、PVRIG、PVRL3(CD113)、PVRL1(CD111)、DNAM-1(CD226)、KIR2DL5(CD158f)、TACTILE(CD96)、VISTA(B7-H5)、IDO、OX40(CD134)、OX40L(CD252)、CD137(41BB)、Cd137L(41BB-L)、ICOS(CD278)、ICOSL(B7-H2またはCD275またはB7RP1)、KIR、KIRDS(KIR2DSおよびKIR3DS)、KIRDL(KIR2DLおよびKIR3DL)、A2aR、CD27、CD70(CD27L)、BTLA、HVEM、GITR、GITRL、CD40、CD40L(CD154)、TIM-1、CEACAM1、ICAM、LFA-1、CD2、CD160、HVEM、CD226、Cd112、PIR-B(gp49B)、CD85J、CD85D、CD85A、CD85K、CD85C(LIR1、LIR2、LIR3、LIR5、およびLIR8);ILT2、ILT4、ILT5、ILT3、SIRPアルファ、CD47、GARP、TGFベータ1、TDO、CD94、NKG2A、HLA-E、CSF1、CSF1R、2B4(CD244)、CD229(SLAMF3)、およびCD48(SLAMF2)からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0250】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tであり;
ICMが、PD-1、B7-H1(PDL1またはCD274)、B7-DC(PD-L2またはCD273)、CTLA-4(CD152)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、LAG-3(CD223)、MHC-I、MHC-II、TIM-3(HAVcr-2)、Gal9、TIM3-L;B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1)、TIGIT、PVR(CD155)、ネクチン-2(CD112またはPVRIG)、VISTA(B7-H5)およびIDOからなる群から選択される免疫チェックポイントポイント分子の活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0251】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア・エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tであり;
ICMが、CTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2からなる群から選択される免疫チェックポイントポイント、特に、CTLA-4、PD-1およびPD-L1からなる群から選択される免疫チェックポイントポイントの活性化剤または阻害剤である;
組み合わせ物を提供する。
【0252】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tであり;
ICMが、PD-1アンタゴニストまたはCTLA-4アンタゴニストである;
組み合わせ物を提供する。
【0253】
一実施形態において、本発明は、
(a)細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株;
(b)免疫チェックポイントモジュレーター(ICM);および任意選択で、
(c)1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体
を含む組み合わせ物であって;
組換えグラム陰性菌株が、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔyopH,O,P,E,M,Tであり;
ICMが、アンタゴニストPD-1抗体、アンタゴニストPDL-1抗体および/またはアンタゴニストCTLA-4抗体である;
組み合わせ物を提供する。
【0254】
製剤、投与様式および投薬
製剤および投与の経路は、個々の対象、対象における治療される状態の特質、および一般に主治医の判断に合わされ得る。
【0255】
本発明の薬学的組み合わせ物、すなわち、薬学的組成物または組み合わせ調製物は、単回用量または複数回用量のいずれかで、直腸、頬側、鼻腔内、経粘膜、経皮、動脈内注射によって、点滴によって、静脈内(点滴または注射)、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、および腫瘍内注射を含む局所的を含む類似の有用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって投与され得る。
【0256】
本発明に従って本明細書に記載される対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法における使用のための薬学的組み合わせ物は、好ましくは、注射、例えば、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内、腫瘍内または腹腔内注射または注入に好適であり、より好ましくは、静脈内もしくは腫瘍内注射または点滴に好適であり、通常、治療的有効量の活性成分、および1つまたは複数の好適な薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体を含む。
【0257】
したがって、好ましい実施形態において、薬学的組み合わせ物は、対象に、静脈内または腫瘍内に投与され、すなわち、免疫チェックポイントモジュレーターおよび組換え病原性弱毒化グラム陰性菌株は、対象に、静脈内または腫瘍内に、特に、静脈内点滴によって投与される。
【0258】
対象への免疫チェックポイントモジュレーターの投与様式は、静脈内、腫瘍内、皮下、筋肉内または腹腔内投与からなる群から選択され得る。本発明は、任意の特定の適用様式に限定されることを意図しないが、免疫チェックポイントモジュレーターの静脈内または腹腔内投与が好ましい。
【0259】
免疫チェックポイントモジュレーターが注射または点滴による投与のために組み込まれ得る形態は、水性もしくは油性懸濁液、またはゴマ油、コーン油、綿実油、もしくは落花生油とのエマルジョン、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、スクロース、または滅菌水溶液、および類似の薬学的ビヒクルを含む。生理食塩水の水溶液はまた、慣例的に、注射または点滴のために使用され得、好ましくは、生理学的に適合するバッファー、例えば、ハンクス液、リンゲル液、L-ヒスチジンバッファー、クエン酸ナトリウムまたは生理的食塩水バッファーは、水溶液として使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール、(氷)酢酸、ペンテト酸など(およびその好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、ポリソルベートおよび植物油も用いられ得る。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合において必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射溶液は、必要な量の本開示による化合物を、必要により、上記に列挙されるさまざまな他の成分とともに、適切な溶媒に組み込むことによって調製される。一般に、分散液は、さまざまな滅菌された活性成分を、基礎分散媒および上記に列挙されたものから必要な他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。注射溶液の調製用の粉末の場合において、好ましい調製の方法は、活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末を与える真空乾燥および凍結乾燥技法である。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、治療される状態を含む関連する状況、選択された投与の経路、投与される実際の化合物およびその相対的活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度などを考慮して、医師によって決定されることが理解される。
【0260】
組換えグラム陰性菌の対象への投与様式は、静脈内、腫瘍内、腹腔内および経口的投与からなる群から選択され得る。本発明は、任意の特定の適用様式に限定されることを意図しないが、細菌の静脈内または腫瘍内投与が好ましい。
【0261】
免疫チェックポイントモジュレーターおよび組換え病原性弱毒化グラム陰性菌株を含む別々の形態の薬学的組成物または組み合わせ調製物は、従来の混合、溶解、造粒、コーティング錠作製、粉末化、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。別々の形態の薬学的組成物または組み合わせ調製物は、1つまたは複数の生理的に許容される担体、希釈剤、添加物、または薬学的に使用され得る調製物への活性成分の処理を容易にする補助剤を使用して、従来の方法で製剤化され得る。適当な製剤は、選択された投与方法に依存する。
【0262】
個々の用量における活性成分の単位含有量は、そのような量が複数の投与単位の投与によって達成され得るので、それ自身が治療的有効量を構成する必要はない。本発明による組成物は、例えば、活性成分の治療的有効量の約10%~約100%を含有し得る。
【0263】
本発明による薬学的組み合わせ物が組み合わせ調製物である場合、前記組換えグラム陰性菌株は、好ましくは、前記免疫チェックポイントモジュレーターと同じ投与形態で投与されない。
【0264】
例示的な治療レジメンは、1日1回、1日2回、1日3回、2日ごと、1週間に2回、1週間に1回、1週間おきに1回、3週間ごとに1回、1か月に1回、または6週間ごと1回の投与を伴う。本発明の組み合わせ物は、通常、複数の機会に投与される。単回投与間の間隔は、例えば、1日未満、毎日、2日ごと、1週間に2回、毎週、隔週、3週間ごとに1回、1か月ごとに1回(r once)、または6週間ごとに1回であり得る。本発明の組み合わせ物は、継続的な中断なしの治療として与えられてもよい。本発明の組み合わせ物はまた、対象が、休薬期間または非治療期間によって中断される治療のサイクルを受けるレジメンで与えられてもよい。したがって、本発明の組み合わせ物は、1週間もしくはその一部、2週間、3週間、4週間、5週間または6週間の継続的な期間にわたって上記の選択された間隔に従って投与され、次いで、1週間もしくはその一部、2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間の期間にわたって停止されてもよい。治療間隔および非治療間隔の組み合わせは、サイクルと呼ばれる。サイクルは、1回または複数回繰り返されてもよい。2回以上の異なるサイクルを、治療を1回または複数回繰り返すために、組み合わせて使用してもよい。間隔はまた、患者における前記組換えグラム陰性菌株および/または前記免疫チェックポイントモジュレーターの血液(または腫瘍)レベルを測定することによって示される通りに不規則であり得る。一実施形態において、本発明による薬学的組み合わせ物は、1日1回投与される。例示的な治療レジメンにおいて、組換えグラム陰性菌株は、1日あたり約105~約1010個細菌を投与することができ、免疫チェックポイントモジュレーターは、1日あたり1~1000mgを投与することができる。
【0265】
本明細書に記載される組換えグラム陰性菌株の投与の投薬レジメンは、当業者に公知であるように、達成される特定の目標、治療される対象の年齢および健康状態、治療の期間、併用療法の特質および用いられる特定の細菌により変わる。組換えグラム陰性菌株は、通常、1~20日ごと、好ましくは、1~10日ごと、より好ましくは、1~7日ごとの単回用量からなる投薬レジメンに従って対象に投与される。投与の期間は、通常、約20~約60日、好ましくは、約30~40日である。あるいは、投与の期間は、通常、約8~約32週間、好ましくは、約8~約24週間、より好ましくは、約12~約16週間である。
【0266】
本発明は、本明細書に記載される組換えグラム陰性菌株を含み、任意選択で、好適な薬学的に許容される希釈剤、添加物または担体を含む、薬学的組み合わせ物も提供する。
【0267】
組換えグラム陰性菌は、好適な薬学的に許容される担体との薬学的組成物として対象を治療するのに十分である量で、便利で有効な投与のために調合され得る。例えば、70kgの人間に対して、投与される組換えグラム陰性菌または薬学的組成物の単位投与形態は、例えば、投与形態あたり約105~約1010個細菌、好ましくは、投与形態あたり約106~約109個細菌、より好ましくは、投与形態あたり約107~約109個細菌、最も好ましくは、投与形態あたり約108個細菌;または1mlあたり約105~約1010個細菌、好ましくは、1mlあたり約106~約109個細菌、より好ましくは、1mlあたり約107~約109個細菌、最も好ましくは、1mlあたり約108個細菌の量の組み換えグラム陰性菌を含有し得る。
【0268】
本明細書で互換的に使用される「対象を治療するのに十分である量」または「有効量」とは、健全な医学的判断の範囲内で、治療される状態を有意にポジティブに修正するのに十分な高さであるが、重篤な副作用を回避するのに十分な低さ(合理的な利益/リスク比で)である、1つまたは複数の細菌の量であることを意味する。細菌の有効量は、達成される特定の目標、治療される対象の年齢および健康状態、治療の期間、併用療法の特質および用いられる特定の細菌により変わる。細菌の有効量は、したがって、所望の効果を提供する最小限の量である。通常、約105~約1010個細菌、例えば、約105~約1010個細菌/体表面積m2、好ましくは、約106~約109個細菌、例えば、約106~約109個細菌/体表面積m2、より好ましくは、約107~約108個細菌、例えば、約107~約108個細菌/体表面積m2、最も好ましくは、108個細菌、例えば、108個細菌/体表面積m2の量が、対象に投与される。
【0269】
がん、例えば、悪性固形腫瘍を治療するために、対象、例えば、ヒトに投与するための組換えグラム陰性菌株の単回用量は、通常、約104~約1010個細菌、例えば、約104個細菌/体表面積m2~約1010個細菌/体表面積m2、好ましくは、約105~約109個細菌、例えば、約105~約109個細菌/体表面積m2、より好ましくは、約106~約108個細菌、例えば、約106~約108個細菌/体表面積m2、さらにより好ましくは、約107~約108個細菌、例えば、約107~約108個細菌/体表面積m2、最も好ましくは、108個細菌、例えば、約108個細菌/体表面積m2の総組換えグラム陰性菌株である。
【0270】
薬学的担体としての機能を果たし得る物質の例は、例えば、糖類、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプンおよびその誘導体、例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;炭酸カルシウム;植物油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびカカオ油;ポリオール、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリソルベート、マニトール(manitol)、およびポリエチレングリコール;寒天;アルギン酸;パイロジェンフリーの水;等張食塩水;クランベリー抽出物およびリン酸バッファー溶液;スキムミルク粉末;ならびに薬学的製剤において使用される他の非毒性適合性物質、例えば、ビタミンC、エストロゲンおよびエキナシアである。湿潤剤、および潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびに着色剤、香味剤、潤滑剤、添加物、錠剤化剤、安定剤、抗酸化剤および防腐剤も存在し得る。
【0271】
免疫チェックポイントモジュレーターの単回用量は、0.01mg/kg~100mg/体重kgの範囲の投与量(doseage)、好ましくは、1~20mg/体重kgの投与量を含み、ここで、人間の典型的な体重は、70kgである。
【0272】
投与の経路に応じて、細菌を含む活性成分は、酵素、酸、および前記生物体を不活性化し得る他の天然条件の作用から前記生物体を保護する材料でコーティングする必要があってもよい。非経口投与以外によって細菌を投与するために、それらは、不活性化を予防する材料によってコーティングされ、またはそれとともに投与されなければならない。例えば、細菌は、酵素阻害剤とともに、またはリポソーム中で共投与され得る。酵素阻害剤には、膵トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFP)およびトラジロールが含まれる。リポソームには、水中油中水型P40エマルジョン、ならびに細菌、例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)またはそれらの副産物を宿主対象の内部標的に輸送する従来のおよび特異的に設計されたリポソームが含まれる。1種の細菌は、単独で、または第2の異なる細菌と併用して投与されてもよい。任意の数の異なる細菌が併用されてもよい。「併用」とは、一緒に、実質的に同時に、または逐次的にを意味する。組成物はまた、錠剤、丸剤またはカプセル剤、例えば、本発明の細菌を含む凍結乾燥カプセル剤、またはDMSOもしくはグリセロールを含有する本発明の細菌の凍結溶液としてなどの形態で投与されてもよい。適用の別の好ましい形態は、本発明の細菌の凍結乾燥カプセル剤の調製物を含む。適用のまた別の好ましい形態は、本発明の細菌の加熱乾燥カプセル剤の調製物を含む。組成物は、凍結乾燥ケーキとして製剤化および調製されてもよく、これは、液体形態(懸濁液または溶液)として、投与前に好適なバッファー中で再構成される。
【0273】
投与される組換えグラム陰性菌は、注射によって投与することができる。注射使用に好適な形態は、モノセプティック懸濁液、およびモノセプティック注射用懸濁液の即時調製のためのモノセプティック粉末を含む。すべての場合において、形態は、モノセプティックでなければならず、容易に注射できる程度に流動性でなければならない。これは、製造および保管の条件下で安定でなければならない。担体は、例えば、水、糖類、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物、および植物油を含有する、溶媒または分散媒であり得る。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合において必要な粒子サイズの維持によって維持することができる。多くの場合において、等張剤、または生理学的に適合するバッファー、例えば、糖類、塩化ナトリウムまたはL-ヒスチジンバッファーを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用によってもたらすことができる。
【0274】
本発明の一部の実施形態において、組換えグラム陰性菌株は、対象に、シデロホアと共投与される。これらの実施形態が好ましい。共投与され得るシデロホアは、ヒドロキサメート、カテコレート、および混合リガンドシデロホアを含むシデロホアである。好ましいシデロホアは、デフェロキサミン(デスフェリオキサミンB、デスフェロキサミンB、DFO-B、DFOA、DFBまたはデスフェラールとしても公知)、デスフェリオキサミンE、デフェラシロクス(Exjade、Desirox、Defrijet、Desifer)、およびデフェリプロン(Ferriprox)であり、デフェロキサミンがより好ましい。デフェロキサミンは、放線菌門(Actinobacteria)ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)によって産生される細菌シデロホアであり、例えば、Novartis Pharma Schweiz AG(スイス)から市販されている。
【0275】
シデロホアとの共投与は、組換えグラム陰性菌株の投与の前、それと同時に、またはその後であり得る。好ましくは、シデロホアは、組換えグラム陰性菌株の投与の前に投与され、より好ましくは、組換えグラム陰性菌株の対象への投与の約24時間前、好ましくは、約6時間前、より好ましくは、3時間前の時間、特に、1時間前に投与される。特定の実施形態において、対象は、細菌の成長を可能にするために、組換えグラム陰性菌株による感染の1時間前にデスフェロキサミンで事前治療される。通常、シデロホアは、約0.5×10-5Mol~約1×10-3Mol、より好ましくは、約1×10-5Mol~約5×10-4Mol、好ましくは、約1×10-4Mol~約4×10-4Molの単回用量で共投与される。通常、デスフェロキサミンは、対象あたり約20mg~約500mg、好ましくは、約50mg~約200mgの単回用量で共投与され、より好ましくは、100mgのデスフェロキサミンの単回用量が共投与される。
【0276】
一実施形態において、がん細胞、例えば、悪性固形腫瘍の細胞は、2つの組換えグラム陰性菌株と接触し、ここで、第1の組換えグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルおよび第1の異種タンパク質を含む第1の融合タンパク質を発現し、第2の組換えグラム陰性菌株は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルおよび第2の異種タンパク質を含む第2の融合タンパク質を発現し、その結果、第1および第2の融合タンパク質は、悪性固形腫瘍の細胞または腫瘍微小環境の細胞に移動される。この実施形態は、例えば、2つの異なるハイブリッドタンパク質を単一細胞に送達する有効な方法として、2つの菌株とのがん細胞、例えば、悪性固形腫瘍の細胞の共感染を提供した。
【0277】
がんを治療するための本発明の組み合わせ物の使用
第2の態様によれば、本発明は、医薬としての使用のための、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物を提供する。
【0278】
第3の態様によれば、本発明は、対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法における使用のための、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物を提供する。
【0279】
対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物の使用も提供される。
【0280】
対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物の使用も提供される。
【0281】
対象におけるがんの予防、進行の遅延または治療のための方法であって、本明細書に記載される治療的有効量の薬学的組み合わせ物を前記対象に投与することを含む、方法も提供される。
【0282】
「治療/治療すること」という用語は、本明細書で使用される場合、(1)状況、障害もしくは状態に苦しんでいるか、またはそれに罹りやすくあり得るが、まだ状況、障害または状態の臨床症状または無症候性症状を経験または示していない、動物、特に、哺乳動物、特に、ヒトにおいて、発生している状況、障害または状態の臨床症状の出現を遅延させること;(2)状況、障害または状態を阻害すること(例えば、その少なくとも1つの臨床症状または無症候性症状の、疾患、または維持治療の場合においてその再発の発生を停止すること、低減することもしくは遅延させること);および/あるいは(3)状態を軽減すること(すなわち、状況、障害もしくは状態、またはその臨床症状もしくは無症候性症状の少なくとも1つの縮小を引き起こすこと)を含む。治療される患者に対する利益は、統計学的に有意である、または患者もしくは医師が少なくとも感じられる。しかしながら、医薬が患者に投与されて、疾患が治療される場合、治療成績は、常に有効な治療でなくてもよいことが認識されるであろう。
【0283】
本明細書で使用される場合、「進行の遅延」は、がんの症状もしくはがんに関連するマークの出現までの時間を増加させること、またはがんの症状の重症度の増加を遅らせることを意味する。さらに、「進行の遅延」は、本明細書で使用される場合、疾患の進行の反転または阻害を含む。対象における疾患の進行または疾患の合併症の「阻害」は、対象における疾患の進行および/または疾患の合併症を予防することまたは低減することを意味する。
【0284】
予防的治療は、予防治療を含む。予防的適用において、本発明の薬学的組み合わせ物は、がんを有していると疑われるか、またはそれを発生するリスクがある対象に投与される。治療的適用において、薬学的組み合わせ物は、疾患の症状を治癒または少なくとも部分的に停止するのに十分な量で、がんをすでに患っている患者などの対象に投与される。この使用のために有効な量は、疾患の重症度および過程、以前の療法、対象の健康状況および薬物に対する応答、ならびに治療する医師の判断に依存する。
【0285】
対象の状態が改善しない場合において、本発明の薬学的組み合わせ物は、対象の疾患または状態の症状を回復させる、またはそうでなければ制御もしくは制限するために、対象の生涯を通じてを含む長期間にわたって、長期的に投与されてもよい。
【0286】
対象の状況が改善する場合において、薬学的組み合わせ物は、継続的に投与されてもよく;あるいは、投与される薬物の用量は、一時的に低減されてもよく、またはある一定の期間、一時的に止められてもよい(すなわち、「休薬期間」)。患者の状態の改善が起こったら、本発明の薬学的組み合わせ物の維持用量が、必要により、投与される。その後、投与の投与量もしくは頻度、またはその両方は、症状の関数として、改善された疾患が維持されるレベルに、任意選択で低減される。
【0287】
一実施形態において、がんは、肉腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、中枢神経系がん、および悪性固形腫瘍からなる群から選択され、これには、限定されるものではないが、肝臓、結腸、結腸直腸、皮膚、乳房、膵臓、子宮頸部、子宮体、膀胱、胆嚢、腎臓、喉頭、唇、口腔、食道、卵巣、前立腺、胃、精巣、甲状腺または肺などの異なる組織型に起因し得る異常な細胞の塊が含まれ、したがって、悪性の固形の肝臓、結腸、結腸直腸、皮膚、乳房、膵臓、子宮頸部、子宮体、膀胱、胆嚢、腎臓、喉頭、唇、口腔、食道、卵巣、前立腺、胃、精巣、甲状腺または肺の腫瘍が含まれる。好ましくは、がんは、固形腫瘍、好ましくは、悪性固形腫瘍である。より好ましくは、がんは、乳がん、黒色腫および結腸がん(結腸癌)からなる群から選択される。
【0288】
一実施形態において、固形腫瘍は、対象における悪性固形腫瘍であり、ここで、組換えグラム陰性菌株は、悪性固形腫瘍中に蓄積する。したがって、一実施形態において、固形腫瘍は、対象における悪性固形腫瘍であり、ここで、組換えグラム陰性菌株は、悪性固形腫瘍中に蓄積し、方法は、前記組換えグラム陰性菌株を対象に投与することを含み、組換えグラム陰性菌株は、対象を治療するのに十分である量で投与される。
【0289】
グラム陰性菌株の異種タンパク質は、組換えグラム陰性菌株の対象への投与の時に、がん細胞、例えば、悪性固形腫瘍の細胞に、送達され得る、すなわち、移動され得るか、または後の時、例えば、組換えグラム陰性菌株ががん細胞、例えば、悪性固形腫瘍の部位に達したか、および/もしくはがん細胞、例えば、悪性固形腫瘍の部位に達し、上記に記載されるように複製された後、がん細胞、例えば、悪性固形腫瘍の細胞もしくは腫瘍微小環境の細胞に、送達され得る、すなわち、移動され得る。送達の時間は、例えば、組換えグラム陰性菌株の異種タンパク質を発現させるために使用されるプロモーターによって、調節することができる。第1の場合において、構成的プロモーター、またはより好ましくは、細菌エフェクタータンパク質の内因性プロモーターが、異種タンパク質を駆動してもよい。遅延したタンパク質送達の場合において、アラビノース誘導性プロモーターとして、人工誘導性プロモーターが、異種タンパク質を駆動してもよい。この場合において、アラビノース(または対応する誘導性プロモーターの誘導因子)は、細菌が所望の部位に達し、蓄積されたら、対象に投与される。アラビノースは、次いで、送達されるタンパク質の細菌発現を誘導する。
【0290】
一実施形態において、がんを治療する方法は、
i)本明細書に記載される組換えグラム陰性菌株を培養すること;
ii)i)の前記組換えグラム陰性菌株を対象に投与すること、ここで、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルおよび異種タンパク質を含む融合タンパク質が、組換えグラム陰性菌株によって発現され、がん細胞または腫瘍微小環境の細胞に移動される;ならびに任意選択で、
iii)異種タンパク質が、がん細胞の内側で細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルから切断されるように、融合タンパク質を切断すること;
を含み、組換えグラム陰性菌株は、対象を治療するのに十分な量で投与される。
【0291】
組換えグラム陰性菌株およびICMは、同時に、またはいずれかの順序で、逐次的に投与されてもよい。そのため、組換えグラム陰性菌株は、例えば、ICMの前、それと同時的に、またはその後に投与されてもよく、または逆もまた同様である。前の投与は、本明細書で使用される場合、他方の化合物(例えば、グラム陰性菌株)による治療の開始前の、一方の化合物(例えば、ICM)による前の治療の開始を指す。その後の投与は、本明細書で使用される場合、他方の化合物(例えば、グラム陰性菌株)による治療の開始後の、一方の化合物(例えば、ICM)による治療のその後の開始を指す。同時的投与は、本明細書で使用される場合、すなわち、投与の同じ日における、両方の化合物(ICMおよびグラム陰性菌株)による治療の同時の開始を指す。
【0292】
部材のキット
本発明は、好ましくは、ヒトにおける、がん、例えば、悪性固形腫瘍などを治療するためのキットも提供する。そのようなキットは、一般に、本明細書に記載される薬学的組み合わせ物、およびキットを使用するための指示を含む。一部の実施形態において、キットは、担体、包装、または1つまたは複数の容器、例えば、バイアル、管などを受け入れる区分化された容器を含み、容器のそれぞれは、本明細書に記載される方法において使用される別々の要素の1つを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および試験管が含まれる。他の実施形態において、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの各種の材料から形成される。さらなる実施形態において、キットは、前に示した医薬を含むバンドル容器を含む。
【0293】
したがって、一実施形態において、本発明は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含む部材のキットであって、第1の容器が、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列の3’末端にインフレームで融合された異種タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を含む組換えグラム陰性菌株であって、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列が、プロモーターに動作可能に連結されている、組換えグラム陰性菌株を含む少なくとも1用量の医薬を含み、第2の容器が、免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor)(ICM)を含む少なくとも1用量の医薬を含み、添付文書が、任意選択で、医薬を使用するがんについて対象を治療するための指示を含む、キットを提供する。
【実施例】
【0294】
本実施例は、本発明を制限することなく、本発明を説明することを意図する。
【0295】
実施例1:
A)材料および方法
菌株および成長条件。本研究において使用した株を
図43にリストする。プラスミド精製およびクローニングのために使用される大腸菌Top10(Invitrogen製)、およびコンジュゲーションのために使用される大腸菌Sm10 λ pir(Simonら、1983)、ならびにpKNG101を増やすために使用される大腸菌BW19610(Metcalfら、1994)を、LB寒天プレート上およびLBブロス中で、37℃で常套的に成長させた。アンピシリンを、200μg/ml(エルシニア属)または100μg/ml(大腸菌)の濃度で使用した。ストレプトマイシンを、自殺ベクターに対して選択するために、100μg/mlの濃度で使用した。クロラムフェニコールを、10μg/mlの濃度で使用した。Y.エンテロコリチカMRS40(O:9、バイオタイプ2)(Sarkerら、1998)は、Y.エンテロコリチカE40のアンピシリン感受性誘導体である(SoryおよびCornelis、1994)。すべてのY.エンテロコリチカ株を、室温で、脳心臓インフュージョン(BHI;Difco)において常套的に成長させた。すべてのY.エンテロコリチカ株に、ナリジクス酸を添加した(35μg/ml)。Y.エンテロコリチカMRS40およびE40は両方とも、
図1に示される、pYV-MRS40またはpYV-E40と称される同一のpYVプラスミド(Y.エンテロコリチカMRS40およびE40株の病原性プラスミド)を含む。密接に関連するY.エンテロコリチカのpYVプラスミドW22703、pYVe227の完全配列は、Genbankでアクセス可能である(AF102990.1)。すべてのT3SSエフェクタータンパク質(yopH、yopO、yopP、yopE、yopM、yopT)の破壊によりpYV-MRS40から誘導されたpYVプラスミドは、pYV-Y004と指定し、pYV-Y004を持つ対応するY.エンテロコリチカMRS40株は、例えば、
図43に示されるように、Y.エンテロコリチカMRS40 ΔHOPEMTと指定する。pYV-Y004は、
図2に記載し、表す。pYV-Y004におけるネイティブyopEの場所にyopE
1-138を有する融合物におけるヒトRig-I CARD2ドメインの挿入は、pYV-Y021をもたらし、pYV021におけるyopHの場所にヒトcGAS
161-522を有する融合物におけるYopE
1-138(コドン適応)の追加挿入は、pYV-Y051をもたらした。pYV-Y051を、
図3に記載し、表す。
【0296】
Y.エンテロコリチカの遺伝子操作。Y.エンテロコリチカの遺伝子操作は、記載されている(Diepoldら、2010;Iriarteら、1995)。簡潔には、pYVプラスミドにおけるまたは染色体上の遺伝子の改変または欠失のための突然変異剤を、鋳型として精製pYV40プラスミドまたはゲノムDNAを使用して、2-断片重複PCRによって構築し、個々の遺伝子の欠失部分または改変部分の両側に200~250bpのフランキング配列をもたらした。あるいは、個々の遺伝子の欠失部分または改変部分の両側に200~250bpのフランキング配列を有する完全合成DAN断片(デノボ合成された)を使用した。得られた断片を、大腸菌BW19610(Metcalfら、1994)においてpKNG101(Kanigaら、1991)にクローニングした。配列が検証されたプラスミドを、大腸菌Sm10 λ pirに形質転換し、そこからプラスミドを、対応するY.エンテロコリチカ株に移動させた。組み込まれたベクターを持つ突然変異体を、選択圧なしで、いくつかの世代にわたって増やした。次いで、スクロースを使用して、ベクターを失ったクローンについて選択した。最後に、突然変異体を、コロニーPCRによって特定した。特異的な突然変異剤(pT3P-456およびpT3P-714)を、表IIIにリストする。
【0297】
プラスミドの構築。プラスミドpBad_Si_2およびpT3T-715を、YopEのN末端138アミノ酸(配列番号25)を有する融合タンパク質のクローニングのために使用した。pBad_Si_2(
図4)を、精製pYV40由来のYopEおよびSycEに対する内因性プロモーターを含有するSycE-YopE
1-138断片のpBad-MycHisA(Invitrogen)のKpnI/HindIII部位へのクローニングによって構築した。追加の改変には、消化、クレノウ断片処理および再ライゲーションによるpBad-MycHisAのNcoI/BglII断片の除去が含まれる。さらに、次の切断部位が、YopE
1-138の3’末端に追加された:XbaI-XhoI-BstBI-HindIII(MCSを作出する、配列番号36を参照されたい)。これは、pBR322複製開始点(配列番号29)を特徴とする。
【0298】
ベクターpT3P-454(
図5)およびpT3P-453(
図6)は、下記に記載するように、YopE 1-138 ORFとのインフレームで、XbaI/HindIII部位における制限/ライゲーション技法を使用して、マウスまたはヒトRig1-CARD2ドメインをクローニングすることによって(それぞれ)、pBAD_SI_2から誘導される。
【0299】
pT3P-715(
図7)は、pBAD_Si_2と類似の特性を有する完全合成プラスミド(デノボ合成ベクター)であるが、対応するAraCコード化領域は、欠失しており、アンピシリン耐性遺伝子(プラス70bp上流)は、200bp上流領域で、クロラムフェニコール耐性遺伝子によって置き換えられている。明確にするために、pT3P-715は、pYV40由来のYopEおよびSycEのための内因性プロモーターを含有するSycE-YopE1-138断片を含み、ここで、次の切断部位が、YopE1-138の3’末端に追加された:XbaI-XhoI-BstBI-HindIII。これは、pBR322複製開始点、および転位可能な遺伝エレメントTn9(AltonおよびVapnek、1979)からのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(触媒)を特徴とする。pBad_Si_2およびpT3P-715は、pBR322(pMB1)複製開始点(配列番号29)を有する中コピー数プラスミドである。
【0300】
ベクターpT3P-751(
図8)は、下記に記載されるように、XbaI/HindIII部位における制限/ライゲーション技法を使用して、1つのオペロンとして、ヒトRig1-CARD2ドメインとの融合物におけるYopE
1-138、続いてヒトcGAS
161-522との融合物におけるYopE
1-138(コドン適応)をクローニングすることによって、pT3P-715から誘導される。
【0301】
送達のための異種タンパク質-RIG-I。RIG-I(DDX58とも呼ばれる;マウスタンパク質についてUniprot Q6Q899およびヒトタンパク質についてUniprot O95786)は、短い二本鎖RNAについての細胞質センサーおよび自然免疫系の主要なパターン認識受容体である。RIG-Iは、RNAヘリカーゼドメイン、C末端ドメインおよびN末端ドメインからなり、これは、2つのCARDドメインから構成される(BrisseおよびLy、2019)。RIG-I経路のRNA非依存性構成的活性化をもたらす、RIG-I単独(タンパク質の残部なし;ヒトRIG-I1-245;マウスRIG-I1-246)のN末端CARDドメインから主に構成されるように、送達のための異種タンパク質を選択した。細菌により送達されるRIGI-CARDドメインは、接近しやすく、MAVSおよびTBK1活性化をもたらす。これに、活性化されたIRF3およびIRF7の核移行が続き、これは、IFNaおよびbなどのISRE調節されたコード配列の転写をもたらす。
【0302】
同様に、MAVSまたはMDA5の1つまたは複数のCARDドメインを、細菌による送達の際にアゴニスト非依存的に機能するように選択した。
【0303】
送達のための異種タンパク質-cGAS。サイクリックGMP-AMPシンターゼ(cGAS;ヒトタンパク質についてUniprot Q8N884)は、DNAについての細胞質センサーである。cGASは、ATPおよびグアノシン三リン酸(GTP)からのサイクリックGMP-AMP(cGAMP)の形成を触媒するヌクレオチジルトランスフェラーゼであり、cGAS-STING DNAセンシング経路の一部である。これは、触媒ポケットの反対側に2つの主要なdsDNA結合部位を有し、サイトゾルDNAに結合することによって活性化される。DNAへの結合後、cGASは、cGAMP合成を触媒し、次いで、これは、小胞体に位置する膜貫通タンパク質173(TMEM173)/STINGに結合し、活性化するセカンドメッセンジャーとして機能する。次いで、STINGは、プロテインキナーゼIκBキナーゼ(IKK)およびTBK1を活性化し、次に、転写因子NF-κBおよびIRF3を活性化して、インターフェロンおよび他のサイトカインを誘導する。セカンドメッセンジャーcGAMPはまた、いくつかの方法で他の細胞を通過し、それによって、細胞の周囲にサイトゾルDNAの危険シグナルを伝える。N末端でトランケートされたcGAS(ヒトcGAS161-522のような)は、N末端DNA結合ドメインを欠くが、触媒活性を保持している。このトランケートされたcGASの真核細胞への送達は、STING経路の活性化をもたらす、cGASの酵素活性に起因して、細胞内cGAMP産生に至る。RIG-I経路で見られるように、STING経路の活性化は、最終的に、I型IFNの産生をもたらす。
【0304】
マウスおよびヒト遺伝子をデノボ合成し、これは、Y.エンテロコリチカに適合するコドン使用を可能にし(
図43)、YopE
1-138との融合物として、両方とも中コピー数ベクターであるプラスミドpBad_Si_2またはpT3P-715にクローニングした(下記の表IIを参照されたい)。ライゲーションされたプラスミドを、大腸菌Top10においてクローニングした。配列決定されたプラスミドを、標準的な大腸菌エレクトロポレーションに関する設定を使用して、所望のY.エンテロコリチカ株にエレクトロポレーションした。
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
動物へのi.t./i.v.注射のための細菌調製物
Y.エンテロコリチカ凍結ストック(OD600=8まで成長させ、-80℃で保たれた細菌の7%のDMSOストック)を、適切な抗生物質が補充された新鮮なBHIで、0.1のOD600に希釈し、37℃の水浴シェーカーにおけるさらに2時間の温度シフト前に、室温で2/3時間成長させた。最後に、細菌を、遠心分離(6000rcf、30秒)によって収集し、PBS(滅菌、エンドトキシン不含)で2回洗浄し、滅菌PBSに再懸濁させた。細菌懸濁液の濃度を、OD600に基づいて適応させ、懸濁液を、下記の指示に従って、マウスに注射した。マウスに投与される接種材料を、希釈プレーティングによって検証した。
【0309】
EMT-6腫瘍同種移植マウスモデルおよびi.t./i.p.治療における有効性
動物の収容および実験手順は、フランスおよび欧州の規制、ならびに米国学術研究会議の実験動物のケアと使用に関する指針に従って実施した。動物を使用するすべての手順(手術、麻酔、および適用される場合安楽死を含む)は、フランス当局(CNREEA)によって承認された。5~7週齢のBALB/cByJ(EMT-6モデル)マウスを、Charles Riversに発注し、特定病原体除去(SPF)環境中で保った。収容の少なくとも5~14日後、マウスを、イソフルランを使用して麻酔し、200ulのEMT-6細胞(1×106個細胞)を、マウスの脇腹に皮下同種移植した。実験全体を通して、マウスを、行動および外見についてスコア付けし、体重を測定した。
【0310】
腫瘍が、60~130mm3(平均サイズ92mm3+/-19)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、1mg/mL(10mg/kg)の濃度にPBSに希釈された抗PD-1抗体(クローン:RMP1-14、カタログ:BE0146、アイソタイプ:ラットIgG2a、Bioxcell)を、i.p.注射により投与した。対照として、マウスに、滅菌エンドトキシン不含PBSのみを注射した。同じ日に、マウスを、腫瘍への直接注射(i.t.)によって、YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(7.5×107個細菌)に感染させた。マウスに投与される接種材料を、希釈プレーティングによって検証した。対照として、マウスに、滅菌エンドトキシン不含PBSのみを注射した。最初の治療の日を、0日目として定義する。治療を、上記に記載されたようにして、さらに繰り返した:YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTまたはPBS対照のi.t.投与を、0、1、5、6、10、11日目に行い;抗PD-1抗体(クローン:RPM1-14、アイソタイプ:ラットIgG2a、Bioxcell、注射あたり10mg/kg)またはPBS対照のi.p.投与を、0、4、7、11日目に行った。最後の細菌治療の24時間前に、マウスに、8mg/mlのデスフェラール溶液(10ml/kg)を、i.p.注射により投与した。腫瘍の進行を、ノギスを用いる腫瘍の長さおよび幅の測定によって監視した。腫瘍体積を、0.5×長さ(lenght)×幅2として決定した。1500mm3を超える腫瘍体積を、人道的なエンドポイントと定義した。感染後のそれぞれの日に、マウスを、ガス麻酔(イソフルラン)の過剰摂取とそれに続く頸椎脱臼または失血によって屠殺した。
【0311】
再チャレンジアッセイのために、66日目に、1×106個のEMT6細胞を、最初のEMT6腫瘍が検出不能(0mm3)または25mm未満のいずれかであったすべての生存マウスの反対側の脇腹に200μLのRPMI1640中、皮下注射した。ナイーブマウスにも、腫瘍成長についての対照としての役割を果たすために、同じ方法で移植した。腫瘍の進行を、上記に記載されたようにして監視した。
【0312】
B16F10腫瘍同種移植マウスモデルおよびi.t./i.p.治療における有効性
動物の収容および実験手順は、フランスおよび欧州の規制、ならびにNRCの実験動物のケアと使用に関する指針に従って実現した。動物を使用するすべての手順は、フランス当局(CNREEA)によって同意された。7週齢のC57BL/6J(B16F10モデル)マウスを、Janvier Labsに発注し、特定病原体除去(SPF)環境中で保った。収容の少なくとも5~14日後、マウスを、イソフルランを使用して麻酔し、200ulのB16F10(1×106個細胞)を、マウスの脇腹に皮下同種移植した。実験全体を通して、マウスを、行動および外見についてスコア付けし、体重を測定した。
【0313】
腫瘍が、30~120mm3(平均サイズ71mm3+/-25)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、1mg/mL(10mg/kg)の濃度に滅菌PBSに希釈された抗PD-1抗体(クローン:RMP1-14、カタログ:BE0146、アイソタイプ:ラットIgG2a、Bioxcell)または抗CTLA-4抗体(クローン:9H10、カタログ:BE0131、アイソタイプ:ハムスターIgG1、BioXcell)を、i.p.注射により投与した。対照として、マウスに、滅菌エンドトキシン不含PBSのみを注射した。同じ日に、マウスを、腫瘍への直接注射(i.t.)によって、YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(7.5×107個細菌)に感染させた。マウスに投与される接種材料を、希釈プレーティングによって検証した。対照として、マウスに、滅菌エンドトキシン不含PBSのみを注射した。最初の治療の日を、0日目として定義する。治療を、上記に記載されたようにして、さらに繰り返した:YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTまたはPBS対照のi.t.投与を、0、1、2、3、6、9日目に行い;抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体またはPBS対照のi.p.投与を、0、4、7、11日目に行った。最後の細菌治療の24時間前に、マウスに、8mg/mlのデスフェラール溶液(10ml/kg)を、i.p.注射により投与した。腫瘍の進行を、ノギスを用いる腫瘍の長さおよび幅の測定によって監視した。腫瘍体積を、0.5×長さ×幅2として決定した。1500mm3を超える腫瘍体積を、人道的なエンドポイントと定義した。感染後のそれぞれの日に、マウスを、ガス麻酔の過剰摂取(イソフルラン)とそれに続く頸椎脱臼または失血によって屠殺した。
【0314】
B16F10腫瘍同種移植マウスモデルおよびi.v./i.p.治療における有効性
この研究に記載されるすべての動物実験は、地方倫理委員会(CELEAG、Comite d’ethique Local pour l’experimentation animale Genevois)によって審査および承認された。8週齢のC57BL/6J(B16F10モデル)マウスを、Charles Rivers Labsに発注した。収容の少なくとも5日後、マウスを、イソフルランを使用して麻酔し、100ulのB16F10細胞(5×105個細胞)を、マウスの脇腹に皮下同種移植した。実験全体を通して、マウスを、行動および外見についてスコア付けし、体重を測定した。
【0315】
腫瘍が、40~120mm3(平均サイズ66mm3+/-22)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、デスフェラール溶液(10ml/kg)を、i.p.注射により投与し、これは、0日目に相当する。同じ日に、マウスを、0、2、4、6、9、13、16、20日目に、尾静脈への注射によって、YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(1×107個細菌)に感染させた。マウスに投与される接種材料を、希釈プレーティングによって検証した。対照として、マウスに、滅菌エンドトキシン不含PBSのみを注射した。抗PD-1抗体またはアイソタイプ対照抗体を、0、4、6および9日目に、10mg/kgの用量でi.p.投与した。加えて、すべてのマウスは、6、13、20日目に、10mL/kgの用量のデスフェラールのi.p.注射を受けた。腫瘍の進行を、手動のノギスを用いる腫瘍の長さおよび幅の測定によって監視した。腫瘍体積を、0.5×長さ×幅2として決定した。1500mm3を超える腫瘍体積を、人道的なエンドポイントと定義した。感染後のそれぞれの日に、マウスを屠殺した。
【0316】
CT26腫瘍同種移植マウスモデルおよびi.t./i.p.治療における有効性
動物の収容および実験手順は、フランスおよび欧州の規制、ならびに米国学術研究会議の実験動物のケアと使用に関する指針に従って実施した。動物を使用するすべての手順(手術、麻酔、および適用される場合安楽死を含む)は、フランス当局(CNREEA)によって承認された。5~6週齢のBALB/c(BALB/cByJ)マウスを、Charles Riversに発注し、特定病原体除去(SPF)環境中で保った。収容の少なくとも5~14日後、マウスを、イソフルランを使用して麻酔し、200ulのCT26細胞(1×106個細胞)を、マウスの脇腹に皮下同種移植した。実験全体を通して、マウスを、行動および外見についてスコア付けし、体重を測定した。
【0317】
腫瘍が、30~120mm3(平均サイズ58mm3+/-19)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、抗PD-1抗体(参照:BE0146、BioXcell;クローン:RMP1-14;アイソタイプ:ラットIgG2a)またはそのそれぞれの対照:ラットIgG2aアイソタイプ(参照:BE0089、BioXcell;クローン:2A3);および/または抗PD-L1(参照:BP0101、BioXcell;クローン:10F.0G2;アイソタイプ:ラットIgG2b)またはそのそれぞれの対照:ラットIgG2bアイソタイプ(参照:BE0090、BioXcell;クローン:LTF-2)を、10mg/kgの用量で、i.p.注射により投与した。同じ日に、少なくとも4時間後、マウスを、腫瘍内(i.t.)投与によって、YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(7.5×107個細菌)に感染させた。マウスに投与される接種材料を、希釈プレーティングによって検証した。対照として、マウスに、滅菌エンドトキシン不含PBSのみを注射した。最初の治療の日を、0日目として定義する。治療を、上記に記載されたようにして、さらに繰り返した:YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(7.5×107個細菌)または滅菌PBS対照のi.t.投与を、0、1、3、6、10、14日目に行い;10mg/kgのラットIgG2b抗体(抗PD-L1または対照アイソタイプ)のi.p.注射を、0、2、4、6、8、10、12、14日目に行い;および/または10mg/kgのラットIgG2a抗体(抗PD-1または対照アイソタイプ)のi.p.注射を、0、4、8および12日目に行った。0、7および14日目に、細菌または滅菌PBS対照の注射の約1時間前に、マウスに、8mg/mlのデスフェラール溶液(10ml/kg)を、i.p.注射により投与した。腫瘍の進行を、ノギスを用いる腫瘍の長さおよび幅の測定によって監視した。腫瘍体積を、0.5×長さ×幅2として決定した。1500mm3を超える腫瘍体積を、人道的なエンドポイントと定義した。感染後のそれぞれの日に、マウスを、ガス麻酔(イソフルラン)の過剰摂取とそれに続く頸椎脱臼または失血によって屠殺した。
【0318】
インビトロアッセイのための細胞培養、細菌調製および感染。B16 Blue ISG細胞(InvivoGenから購入)を、10%のFCSおよび2mMのL-グルタミンが補充されたRPMI 1640中で培養した。Y.エンテロコリチカ凍結ストック(OD600=8まで成長させ、-80℃で保たれた細菌の7%のDMSOストック)を、新鮮なBHIで、0.1のOD600に希釈し、37℃の水浴シェーカー(150rpm)におけるさらに1時間の温度シフト前に、オービタルシェーカー(150rpm)において、室温で2時間成長させた。最後に、細菌を、遠心分離(600rcf、60秒)によって収集し、10mMのHEPESおよび2mMのL-グルタミンが補充されたDMEMで1回洗浄し、同じ培地に再懸濁させた。細菌懸濁液の濃度を、OD600に基づいて調整した。96ウェルプレートに播種された細胞を、示されたMOIで感染させ、プレートを、500gで1分間遠心分離し、示された期間、37℃/5%のCO2に置いた。
【0319】
直接I型インターフェロン活性化アッセイ。多量体ISREによって増強されるIFN誘導性ISG54プロモーターから構成されるI-ISG54プロモーターの制御下で分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を安定に発現するマウスB16F1黒色腫細胞を、InvivoGen(B16-Blue ISG)から購入した。成長条件およびI型IFNアッセイを、InvivoGenによって提供されたプロトコールから適応させた。簡潔には、ウェルあたり150マイクロリットルの試験培地(RPMI+2mMのL-グルタミン+10%のFCS)中の15’000個のB16-Blue ISG細胞を、平底96ウェルプレート(NUNCまたはCorning)に播種した。翌日、細胞を、所望の感染多重度(MOI)のウェルあたり15ミリリットルを添加し、それに続いて短時間の遠心分離(500g、60秒、室温)によって、評価される菌株に感染させた。インキュベーション(37℃および5%のCO2)の2時間後、インキュベーター(37℃および5%のCO2)において、2時間、ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100ug/ml)を含有する試験培地に添加することによって、細菌を死滅させた。次いで、上清を除去し、細胞を、滅菌PBSで洗浄し、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有する100uLの新鮮な試験培地を添加した。インキュベーションを16時間継続した。QUANTI-BlueTM(InvivoGen)の推奨に従ったSEAPの検出:20μlの細胞懸濁液を、180μlの検出試薬(QUANTI-BlueTM、InvivoGen)とともにインキュベートした。プレートを37℃でインキュベートし、SEAP活性を、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して、650nmでODを読み取ることによって測定した。
【0320】
B)結果
抗PD-1チェックポイント阻害剤(i.p.)とmRig1-CARD2をコードするエルシニア・エンテロコリチカΔHOPEMT(i.t.)治療の組み合わせは、EMT-6(乳がんモデル)細胞を同種移植されたBalb/Cマウスにおける完全腫瘍縮小を促進する。
EMT-6乳がん細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/cマウスに、滅菌PBS、または7.5×107CFU(コロニー形成単位)の中コピー数ベクター(そこでは、YopE1-138-RIG-I CARD2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE1-138-マウスRIG-I CARD2(RIG-I1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(クローン:RPM1-14、アイソタイプ:ラットIgG2a、Bioxcell、注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。群を、PBS+PBS;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;PBS+抗PD-1;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)、(15マウス/群)。腫瘍が、60~130mm3(平均サイズ92mm3+/-19)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、治療を開始した(最初の治療の日を0日目として定義する)。i.t.治療を、d0、d1、d5、d6、d10およびd11に行い、i.p.治療を、d0、d4、d7およびd11に行った。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日にわたって測定した。
【0321】
治療の際に、抗PD-1およびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの組み合わせで治療された群の平均腫瘍サイズは、それぞれの治療単独と比較した場合に、有意により顕著な腫瘍成長の低減を示した(
図9)。また、対照群(PBS/PBS)は、腫瘍縮小を示さなかったが(
図10)、抗PD-1 CPI単独の投与は、1つの完全縮小に至り(
図12);YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独による治療は、4つの完全縮小に至り(
図11);抗PD-1 CPIおよびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの共投与は、7つの完全縮小をもたらした(
図13)。
【0322】
また、カプラン-マイヤー生存プロット(
図14)は、対照群(PBS/PBS)のマウスが、最初の治療の66日後まで生存しなかったことを示す。抗PD-1単独で治療されたマウスの群において、7%が研究の最後に生存していた。YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独で治療されたマウスの群において、27%が研究の最後に生存していた。抗PD-1と組み合わせてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療されたマウスの群において、47%が研究の最後に生存していた。
【0323】
最初のEMT6腫瘍が検出不能(0mm
3)または25mm
3未満のいずれかであったマウスに、次いで、反対側の脇腹へのEMT-6腫瘍細胞注射により2回目のチャレンジを行った。これは、66日目に行った。再チャレンジ後に腫瘍を発生したマウスはなかったが、最初の時にEMT-6細胞を注射されたナイーブマウスは、すべて、腫瘍が発生した(
図15)。
【0324】
また、中程度であるが、一過性の体重減少が、YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTのi.t.投与により起こった。複数回のi.t.用量は、進行性の体重減少に至らなかった。YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTへの抗PD-1 CPIの追加は、YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独と比較して、体重減少を増加させなかった。
【0325】
これらの知見は、乳がんモデルにおいて、I型IFNを誘導するタンパク質を抗PD-1 CPIと組み合わせて送達するT3SS系を用いる細菌が、単独で与えられるいずれかの治療と比較して、治療成績(平均腫瘍体積、完全縮小の数、生存の確率)を有意に改善し、したがって、驚くべき相乗的抗腫瘍活性を提供したことを強調する。
【0326】
抗PD-1または抗CTLA-4チェックポイント阻害剤(i.p.)とmRig1-CARD2をコードするエルシニア・エンテロコリチカΔHOPEMT(i.t.)治療の組み合わせは、B16F10黒色腫細胞を同種移植されたC57BL/6Jマウスにおける完全腫瘍縮小を促進する。
B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または7.5×107CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE1-138-RIG-I CARD2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE1-138-マウスRIG-I CARD2(RIG-I1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(クローン:RPM1-14、アイソタイプ:ラットIgG2a、Bioxcell、注射あたり10mg/kg)または抗CTLA-4抗体(クローン:9H10、アイソタイプ:ハムスターIgG1、Bioxcell、注射あたり10mg/kg)または対照として滅菌PBSを、腹腔内(i.p.)注射した。群を、PBS+PBS;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+PBS;PBS+抗PD-1;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1;PBS+抗CTLA-4;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗CTLA-4として分配した(i.t.治療+i.p.治療として示す)、(群あたり15頭のマウス)。
【0327】
腫瘍が、30~120mm3(平均サイズ71mm3+/-25)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、治療を開始した(最初の治療の日を0日目として定義する)。i.t.治療を、d0、d1、d2、d3、d6およびd9に行い、i.p.治療を、d0、d4、d7、d11に行った。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日にわたって測定した。
【0328】
治療の際に、抗PD-1およびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTならびに抗CTLA-4およびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの組み合わせで治療された群の平均腫瘍サイズは、それぞれの治療単独と比較した場合に、より顕著な腫瘍成長の低減を示した(
図16および
図17)。また、対照群(PBS/PBS)は、腫瘍縮小を示さず(
図18)、同じく、抗PD-1単独(
図20)および抗CTLA-4単独(
図21)の投与も、完全腫瘍縮小を示さなかった。YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独の注射は、3つの完全縮小に至り(
図19);抗PD-1 CPIおよびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの共投与は、4つの完全縮小をもたらし(
図22);抗CTLA-4 CPIおよびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの共投与は、4つの完全縮小をもたらした(
図23)。
【0329】
また、カプラン-マイヤー生存プロット(
図24および25)は、対照群(PBS/PBS)のマウス、ならびに抗PD-1単独および抗CTLA-4単独のマウスが、それぞれ、研究の最後(最初の治療の71日後)まで生存しなかったことを示す。YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独で治療されたマウスの群において、20%が研究の最後に生存していた。抗PD-1と組み合わせてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT、または抗CTLA-4と組み合わせてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTのいずれかで治療されたマウスの両方の群において、27%が研究の最後に生存していた。また、中程度であるが、一過性の体重減少が、YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTのi.t.投与により起こった。複数回のi.t.用量は、進行性の体重減少に至らなかった。YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTへの抗PD-1 CPIまたは抗CTLA-4の追加は、YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独と比較して、体重減少を増加させなかった。
【0330】
これらの知見は、黒色腫モデルにおいて、I型IFNを誘導するタンパク質を抗PD-1 CPIまたは抗CTLA-4 CPIと組み合わせて送達するT3SS系を用いる細菌が、単独で与えられるいずれかの治療と比較して、治療成績(完全縮小の数、平均腫瘍体積、生存の確率)を有意に改善し、したがって、驚くべき相乗的抗腫瘍活性を提供したことを強調する。
【0331】
抗PD-1チェックポイント阻害剤(i.p.)とmRig1-CARD2をコードするエルシニア・エンテロコリチカΔHOPEMT(i.v.)治療の組み合わせは、B16F10黒色腫細胞を同種移植されたC57BL/6Jマウスにおける完全腫瘍縮小を促進する。
B16F10黒色腫細胞をs.c.同種移植された野生型C57BL/6Jマウスに、滅菌PBS、または1×107CFUの中コピー数ベクター(そこでは、YopE1-138-RIG-I CARD2は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)においてYopE1-138-マウスRIG-I CARD2(RIG-I1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、静脈内(i.v.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体またはIgGアイソタイプ対照(注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。群を、PBS+IgGアイソタイプ対照;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+IgG対照;PBS+抗PD-1;YopE1-138-マウスRIG-I CARD2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1として分配した(i.v.治療+i.p.治療として示す)、15マウス/群。
【0332】
腫瘍が、40~120mm3(平均サイズ66mm3+/-22)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、治療を開始した(最初の治療の日を0日目として定義する)。i.v.治療を、d0、d2、d4、d6、d9、d13、d16およびd20に行い、i.p.治療を、d0、d4、d6、d9に行った。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日にわたって測定した。
【0333】
治療の際に、対照群(PBS/対照IgG)は、腫瘍縮小を示さなかった(
図26)。YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独または抗PD-1単独の投与は、完全腫瘍縮小に至らなかった(
図27および28)。しかしながら、抗PD-1 CPIおよびYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの共投与は、1つの完全縮小をもたらした(
図29)。
【0334】
また、カプラン-マイヤー生存プロット(
図30)は、対照群(PBS/対照IgG)のマウス、ならびにYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独および抗PD-1単独で治療されたマウスが、研究の最後(最初の治療の23日後)まで生存しなかったことを示す。抗PD-1と組み合わせてYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療されたマウスの群において、20%が研究の最後に生存していた。また、中程度であるが、一過性の体重減少が、YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTのi.v.投与により起こった。複数回のi.t.用量は、進行性の体重減少に至らなかった。体重減少は、PBSのおよび対照IgGの複数回i.v.用量で観察されなかった。YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTへの抗PD-1 CPIの追加は、YopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独と比較して、体重減少を増加させなかった。
【0335】
これらの知見は、黒色腫モデルにおいて、I型IFNを誘導するタンパク質を抗PD-1 CPIと組み合わせて送達するT3SS系を用いる細菌が、単独で与えられるいずれかの治療と比較して、治療成績(完全縮小の数、生存の確率)を有意に改善し、したがって、驚くべき相乗的抗腫瘍活性を提供したことを強調する。
【0336】
T3SSを介したヒトおよびマウスRig1-CARD
2の送達は、B16F1黒色腫レポーター細胞株において、同様のレベルのI型IFNを誘導する
ヒトRIG-I CARD
2またはマウスRIG-I CARD
2の送達は、B16F1メラニン形成細胞におけるI型IFNシグナル伝達の誘導に至る。B16F1 IFNレポーター細胞を、Y.エンテロコリチカΔHOPEMTを、カーゴを送達しないか、または中コピー数ベクターにおいてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2もしくはYopE
1-138-マウスRIG-I CARD
2をコードする対照株のいずれかで、感染させた。細胞に添加される細菌の用量設定を、それぞれの株について行い、感染多重度(MOI)として示した。IFN刺激を、多量体ISREによって増強されたIFN誘発性ISG54プロモーターで構成され、OD
650測定によって評価される、I-ISG54プロモーターの制御下にある分泌されたアルカリホスファターゼの活性に基づいて評価した。結果は、ヒトバージョン(ヒトRIG-Iアミノ酸1~245)およびマウスバージョンのRig1-CARD
2ドメイン(マウスRIG-Iアミノ酸1~246)の送達が、マウス細胞において類似のレベルのI型IFNの誘導を引き起こした(trigerred)ことを示す(
図31)。ヒト細胞株において行われた類似の実験は、Rig1-CARD
2ドメインのヒトバージョンおよびマウスバージョンの送達が、ヒト細胞においても類似のレベルのI型IFNの誘導を引き起こした。
【0337】
抗PD-1または抗PD-L1チェックポイント阻害剤(i.p.)とエルシニア・エンテロコリチカΔHOPEMT hRig1-CARD2およびh-cGAS161-522(i.t.)治療の組み合わせは、CT26結腸癌細胞を同種移植されたBalb/Cマウスにおける完全腫瘍縮小を促進する。
CT26結腸癌細胞をs.c.同種移植された野生型Balb/Cマウスに、滅菌PBS、または7.5×107CFUのpYVプラスミドおよび中コピー数ベクター(そこでは、YopE1-138-RIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522は、yopEプロモーターの制御下でコードされる)において両方のYopE1-138-ヒトRIG-I CARD2(RIG-I1-246)およびYopE1-138-ヒトcGAS(cGAS161-522)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTを、腫瘍内(i.t.)注射した。組み合わせにおいて、マウスに、抗PD-1抗体(BE0146、BioXcell;クローン:RMP1-14;アイソタイプ:ラットIgG2a、注射あたり10mg/kg)、または抗PD-L1抗体(BP0101、BioXcell;クローン:10F.0G2;アイソタイプ:ラットIgG2b、注射あたり10mg/kg)、またはそれらのそれぞれの対照アイソタイプ(IgG2a対照アイソタイプ:BE0089、BioXcell;クローン:2A3、およびIgG2b対照アイソタイプ:BE0090、BioXcell;クローン:LTF-2、注射あたり10mg/kg)を、腹腔内(i.p.)注射した。
【0338】
腫瘍が、30~120mm3(平均サイズ58mm3+/-19)の体積に達したら、マウスを、群に無作為化し、治療を開始した(最初の治療の日を0日目として定義する)。YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(7.5×107個細菌)または滅菌PBS対照のi.t.投与を、0、1、3、6、10、14日目に行い;10mg/kgのラットIgG2b抗体(抗PD-L1または対照アイソタイプ)のi.p.注射を、0、2、4、6、8、10、12、14日目に行い、ならびに/あるいは10mg/kgのラットIgG2a抗体(抗PD-1または対照アイソタイプ)のi.p.注射を、0、4、8および12日目に行った。腫瘍体積を、ノギスを用いて以下の日にわたって測定した。
【0339】
群を、PBS+IgG2a+IgG2b対照アイソタイプ;YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+IgG2b対照アイソタイプ;PBS+抗PD-1;PBS+抗PD-L1;YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-1;YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT+抗PD-L1として分配した(i.v.治療+i.p.治療として示す)(群あたり13頭のマウス)。
【0340】
治療の際に、抗PD-1ならびにYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの組み合わせと、抗PD-L1ならびにYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの組み合わせで治療された群の平均腫瘍サイズは、それぞれの治療単独と比較した場合に、より顕著な腫瘍成長の低減を示した(
図32および33)。また、対照群(PBS/IgG2a+IgG2b対照アイソタイプ、
図34)、抗PD-1単独で治療された群(
図36)および抗PD-L1単独で治療された群(
図38)は、研究の最後(または屠殺の日)に、腫瘍縮小を示さず、それぞれの群のすべてのマウスは、0日目のそれらの個々の体積と比較して、35%超増加した腫瘍体積を保持していた。YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTによる治療は、部分縮小として分類される1つの腫瘍に至った(0日目と比較して、腫瘍体積の50%~95%の減少、
図35)。抗PD-1 CPIとYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの併用治療は、1つの完全縮小をもたらし(
図37);抗PD-L1 CPIとYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTの併用治療は、1つの完全縮小、および部分縮小として分類される1つの腫瘍をもたらした(
図39)。また、異なる治療の最適な腫瘍成長阻害効果を、
図40および
図41に表す。腫瘍成長阻害(治療群/対照群比、T/C、%)は、治療された群の腫瘍体積中央値対対照群(PBSおよび対照アイソタイプを注射)の動物の腫瘍体積中央値の比として定義される。最適な値は、達成された最大の腫瘍成長阻害を反映する最小T/C%比である(n≧4動物を用いる)。T/C%比を、以下の通り分類した:0~10%:著しい抗腫瘍活性、10~30%:中程度の抗腫瘍活性、30~60%:最低限の抗腫瘍活性、60~100%:抗腫瘍活性なし。この分類は、内部データに基づく文献(Johnsonら、2001)が出典であった。また、カプラン-マイヤー生存プロット(
図42)は、対照群(PBS/IgG2aおよびIgG2b対照アイソタイプ)のマウスが、43日目まで生存しなかったことを示す。抗PD-L1単独で治療されたマウスの群において、マウスは、43日目まで生存しなかった。YopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独で治療されたマウスの群において、8%が43日目まで生存した。抗PD-L1と組み合わせてYopE
1-138-ヒトRIG-I CARD
2およびYopE
1-138-ヒトcGAS
161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTで治療されたマウスの群において、23%が43日目まで生存した。
【0341】
さらにまた、中程度であるが、一過性の体重減少が、YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTによりi.t.治療された群において起こった。複数回のi.t.用量は、進行性の体重減少に至らず、全体的な体重減少は、軽度および一過性であり、マウスは治療期間後に回復し始めた。YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMTへの抗PD-1 CPIまたは抗PD-L1の追加は、YopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT単独と比較して、体重減少を増加させなかった。
【0342】
これらの知見は、マウスCT26癌腫のがんモデルにおいて、I型IFNを誘導するタンパク質を抗PD-1または抗PD-L1 CPIと組み合わせて送達するT3SS系を用いる細菌が、単独で与えられるいずれかの治療と比較して、治療成績(完全または部分縮小の数、平均腫瘍体積、生存の確率)を有意に改善し、したがって、驚くべき相乗的抗腫瘍活性を提供したことを強調する。
【0343】
要約すれば、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA-4 CPIのi.p.注射と一緒のYopE1-138-マウスRIG-I CARD2(RIG-I1-246)をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(i.t.またはi.v.)またはYopE1-138-ヒトRIG-I CARD2およびYopE1-138-ヒトcGAS161-522をコードするY.エンテロコリチカΔHOPEMT(i.t.)の併用的治療を、固形腫瘍の異なる動物モデルにおける腫瘍進行に対するその影響、ならびに生存の確率および相対体重発展について、固形腫瘍の異なるマウスがんモデルにおいて評価した。結果は、単独で与えられたいずれかの治療と比較して、有意に改善された治療成績を示し、全体的に驚くべき相乗的抗腫瘍活性を示した。また、我々は、Rig1-CARD2のヒトおよびマウスバージョンが、類似のレベルのI型IFNを誘導し、したがって機能的等価体であることを示した。
【0344】
【配列表】
【国際調査報告】