IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

特表2024-511097小規模データの送信に関与するユーザ機器および基地局
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】小規模データの送信に関与するユーザ機器および基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20240101AFI20240305BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20240305BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W72/231
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558269
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022057215
(87)【国際公開番号】W WO2022200226
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21164227.7
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】タオ ミン-フン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ16
(57)【要約】
本開示は、以下を備えるユーザ機器UEに関する。プロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定し、送信に利用可能な小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定する。送信機は、利用可能な小規模データの送信を実行する。第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる。一方、第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)であって、
動作時に、第1のデータボリューム閾値を決定するプロセッサであって、
前記プロセッサは、動作時に、送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な前記小規模データのボリュームおよび前記第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定し、前記UEは、前記接続状態、アイドル状態、および前記非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にある、
前記プロセッサと、
動作時に、前記利用可能な小規模データの送信を実行する送信機と、
を備え、
前記第1のデータボリューム閾値は、前記UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して前記非アクティブ状態で利用可能な前記小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、前記周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられ、
前記第1のデータボリューム閾値は、前記非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない、
UE。
【請求項2】
前記プロセッサが前記第1のデータボリューム閾値を決定することは、
前記サービング基地局からデータボリューム閾値インデックスを受信することと、
受信された前記データボリューム閾値インデックスを使用して、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間の関連付けから前記第1のデータボリューム閾値を決定することと、
を含み、
任意選択により、受信機が前記サービング基地局から前記データボリューム閾値インデックスを受信することは、
前記サービング基地局によってブロードキャストされたシステム情報で前記データボリューム閾値インデックスを受信すること、または
前記サービング基地局からの媒体アクセス制御(MAC)プロトコルのメッセージで前記データボリューム閾値インデックスを受信すること
を含む、請求項1に記載のUE。
【請求項3】
前記関連付けは前記UEに固有であり、任意選択により、前記受信機は、動作時に、任意選択により無線リソース制御(RRC)プロトコルのメッセージで、前記サービング基地局から前記関連付けに関する情報を受信し、
任意選択により、前記受信機は、動作時に、前記サービング基地局によってセル全体において複数のビームの全てでブロードキャストされるデータボリューム閾値インデックスに関するシステム情報をモニタする、または、前記受信機は、動作時に、前記サービング基地局によって複数のビームのうちの1つでブロードキャストされるデータボリューム閾値インデックスに関するシステム情報をモニタする、
請求項2に記載のUE。
【請求項4】
前記プロセッサは、動作時に、前記UEに設定され、小規模データを割り当てることができる全ての論理チャネルに共通に前記第1のデータボリューム閾値を適用して、前記プロセッサが、動作時に、前記論理チャネルに関係なく利用可能な前記小規模データのボリュームを考慮するようにし、
任意選択により、複数の論理チャネルに対して1つの共通の関連付けが存在する、
請求項2または3に記載のUE。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1のデータボリューム閾値を決定するときに、利用可能な前記小規模データが割り当てられる論理チャネルを考慮し、
任意選択により、論理チャネルごとに1つの関連付けが存在し、前記プロセッサは、前記第1のデータボリューム閾値を決定するときに、利用可能な前記小規模データが割り当てられる前記論理チャネルに対応する論理チャネル固有の関連付けを決定し、次いで、受信された前記データボリューム閾値インデックスを使用して、決定された前記論理チャネル固有の関連付けから前記第1のデータボリューム閾値を決定し、
任意選択により、小規模データ送信のための優先順位の高い論理チャネルは、小規模データ送信のための優先順位の低い論理チャネルよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる、
請求項2または3に記載のUE。
【請求項6】
前記プロセッサは、動作時に、前記非アクティブ状態で利用可能な前記小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用可能な第2のデータボリューム閾値を別途決定し、
前記プロセッサが前記第2のデータボリューム閾値を決定することは、
前記サービング基地局から第2のデータボリューム閾値インデックスを受信することと、
受信された前記第2のデータボリューム閾値インデックスを使用して、複数の第2のデータボリューム閾値インデックスと複数の第2のデータボリューム閾値との間の他の関連付けから前記第2のデータボリューム閾値を決定することと、
を含み、任意選択により、
利用可能な前記小規模データのボリュームが前記第2のデータボリューム閾値を下回る場合、前記プロセッサは、動作時に、前記UEが利用可能な前記小規模データを送信するために前記非アクティブ状態に留まることを決定し、前記送信機は、動作時に、前記UEと前記サービング基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として利用可能な前記小規模データの送信を実行し、
利用可能な前記小規模データのボリュームが前記第2のデータボリューム閾値を上回る場合、前記プロセッサは、動作時に、前記UEが利用可能な前記小規模データを送信するために前記接続状態に移行することを決定し、前記送信機は、動作時に、前記UEが前記接続状態にあるときに利用可能な前記小規模データの送信を実行し、
任意選択により、前記ランダムアクセス手順は2つのステップを含み、利用可能な前記小規模データの送信は前記2つのステップを含む前記ランダムアクセス手順の第1メッセージで実行され、任意選択により、前記ランダムアクセス手順は4つのステップを含み、利用可能な前記小規模データの送信は前記4つのステップを含む前記ランダムアクセス手順の第3メッセージで実行される、
請求項2~5のいずれか一項に記載のUE。
【請求項7】
前記プロセッサが前記第1のデータボリューム閾値を決定することは、
前記UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースの設定パラメータの値を決定することであって、前記周期的無線リソースは前記サービング基地局によって事前に割り当てられる、前記決定することと、
前記周期的無線リソースの前記設定パラメータの決定された前記値を使用して、複数の異なるデータボリューム閾値と割り当てられた前記周期的無線リソースの前記設定パラメータの異なる値とを関連付ける関連付けから前記第1のデータボリューム閾値を決定することと、
を含み、
任意選択により、前記周期的無線リソースの前記設定パラメータは、前記周期的無線リソースの時間周期、あるいは周波数領域および時間領域のうちの1つまたは複数における前記周期的無線リソースのサイズであり、
任意選択により、前記関連付けは、前記周期的無線リソースの周期が短いほど、対応する前記データボリューム閾値が大きくなるようなものである、
請求項1に記載のUE。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1のデータボリューム閾値を決定するときに、前記UEの優先順位または利用可能な前記小規模データが割り当てられる論理チャネルも考慮し、
任意選択により、UEの優先順位または論理チャネルごとに1つの関連付けが存在し、前記プロセッサは、前記第1のデータボリューム閾値を決定するときに、前記UEの優先順位に対応するか、または利用可能な前記小規模データが割り当てられる前記論理チャネルに対応する関連付けを決定し、前記プロセッサは次いで、前記周期的無線リソースの特性の決定された前記値を使用して、決定された前記関連付けから前記第1のデータボリューム閾値を決定し、
任意選択により、小規模データ送信のための優先順位の高い論理チャネルは、小規模データ送信のための優先順位の低い論理チャネルよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられ、
任意選択により、優先順位の高いUEは、優先順位の低いUEよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる、
請求項7に記載のUE。
【請求項9】
前記UEは、前記複数の異なるデータボリューム閾値と割り当てられた前記周期的無線リソースの特性の異なる前記値との間の前記関連付けに関する情報を、
前記サービング基地局によってブロードキャストされるシステム情報、および
前記UEに事前設定された情報
のうちの1つまたは複数から取得する、
請求項7または8に記載のUE。
【請求項10】
利用可能な前記小規模データのボリュームが前記第1のデータボリューム閾値を下回る場合、前記プロセッサは、動作時に、前記UEが利用可能な前記小規模データを送信するために前記非アクティブ状態に留まることを決定し、前記送信機は、動作時に、割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して利用可能な前記小規模データの送信を実行し、
利用可能な前記小規模データのボリュームが前記第1のデータボリューム閾値を上回る場合、前記プロセッサは、動作時に、前記UEが利用可能な前記小規模データを送信するために前記接続状態に移行することを決定し、前記送信機は、動作時に、前記UEが前記接続状態にあるときに利用可能な前記小規模データの送信を実行する、
請求項1~9のいずれか一項に記載のUE。
【請求項11】
受信機は、動作時に、前記サービング基地局から設定グラント有効化/無効化インデックスを受信し、
前記プロセッサは、動作時に、受信された前記設定グラント有効化/無効化インデックスに関連付けられた周期的無線リソースの設定パラメータの値を、複数の設定グラント有効化/無効化インデックスを前記周期的無線リソースの前記設定パラメータの異なる値に関連付けるさらなる関連付けに基づいて決定し、
前記プロセッサは、動作時に、周期的無線リソースの前記設定パラメータの決定された前記値に基づいて、前記サービング基地局によって前記UEに事前に割り当てられた、小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを有効化するか無効化するかを判定し、
任意選択により、前記周期的無線リソースの前記設定パラメータは周期であり、前記プロセッサは、設定された前記周期的無線リソースの周期が、受信された前記設定グラント有効化/無効化インデックスによって示される前記周期よりも短いまたは長い場合に、設定された前記周期的無線リソースを無効化し、
任意選択により、前記プロセッサは、設定された前記周期的無線リソースの周期が、前記設定グラント有効化/無効化インデックスによって示される前記周期以上である場合に、設定された前記周期的無線リソースを有効化されたままにし、
任意選択により、前記受信機は、動作時に、前記設定グラント有効化/無効化インデックスを前記サービング基地局によってブロードキャストされるシステム情報で受信する、
請求項1~10のいずれか一項に記載のUE。
【請求項12】
ユーザ機器(UE)であって、
動作時に、小規模データが送信に利用可能であると判定するプロセッサであって、前記UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にある、前記プロセッサと、
動作時に、前記UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して前記非アクティブ状態にあるときに利用可能な前記小規模データを送信する送信機であって、前記周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる、前記送信機と、
を備え、
前記プロセッサは、動作時に、次の短い期間内にさらなる小規模データが送信に利用可能になるか否かを判定し、
前記プロセッサは、動作時に、前記次の短い期間内にさらなる小規模データが送信に利用可能になると前記プロセッサが判定した場合に小規模データ通知を生成し、前記小規模データ通知は間もなく小規模データが送信に利用可能になることを示し、
前記送信機は、利用可能な前記小規模データを送信するときに、割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して利用可能な前記小規模データと共に生成された前記小規模データ通知も送信する、
UE。
【請求項13】
前記プロセッサは、割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して利用可能な前記小規模データの全てを送信することができない場合、前記UEによる送信に依然として利用可能な前記UEのバッファ内の利用可能な前記小規模データの残量を示すバッファ状態報告を作成し、作成された前記バッファ状態報告は、割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して利用可能な前記小規模データと共に送信され、
任意選択により、前記小規模データ通知は媒体アクセス制御(MAC)プロトコルの制御要素で搬送される、
請求項12に記載のUE。
【請求項14】
前記非アクティブ状態、前記接続状態、および前記アイドル状態は、無線リソース制御(RRC)プロトコルに関連する、
請求項1~13のいずれか一項に記載のUE。
【請求項15】
ユーザ機器(UE)によって実行される、
第1のデータボリューム閾値を決定するステップと、
送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な前記小規模データのボリュームおよび前記第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定するステップであって、前記UEは、前記接続状態、アイドル状態、および前記非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にある、ステップと、
利用可能な前記小規模データの送信を実行するステップと、
を含み、
前記第1のデータボリューム閾値は、前記UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して前記非アクティブ状態で利用可能な前記小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、前記周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられ、
前記第1のデータボリューム閾値は、前記非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない、
方法。
【請求項16】
動作時に、周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器(UE)に割り当てるプロセッサであって、割り当てられた前記周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために前記1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能であり、
前記プロセッサは、動作時に、割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で前記小規模データの送信を実行するか否かを判定するために前記UEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定し、前記複数のデータボリューム閾値は、前記非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために前記UEによって使用されない、
前記プロセッサと、
動作時に、決定された前記複数のデータボリューム閾値に関する情報を前記UEに送信する送信機と、
を備える、基地局。
【請求項17】
決定された前記複数のデータボリューム閾値に関する情報は、複数のデータボリューム閾値インデックスと前記複数のデータボリューム閾値との間の関連付けを含み、
前記プロセッサは、動作時に、前記UEによって使用される前記複数のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つのデータボリューム閾値インデックスを決定し、
前記送信機は、動作時に、決定された前記1つのデータボリューム閾値インデックスを送信し、
任意選択により、決定された前記1つのデータボリューム閾値インデックスは、前記基地局によってブロードキャストされるシステム情報で、または前記基地局からの媒体アクセス制御(MAC)プロトコルのメッセージで送信される、
請求項16に記載の基地局。
【請求項18】
前記プロセッサは、動作時に、1つのUEに固有の前記関連付けを決定し、
任意選択により、前記プロセッサは、1つのUEに固有の前記関連付けの前記決定を実行するときに、
前記UEの時間領域におけるトラフィックパターンと、
前記UEの優先順位と、
前記UEから受信される典型的なパケットサイズと、
のうちの1つまたは複数を考慮し、
任意選択により、前記送信機は、動作時に、任意選択により無線リソース制御(RRC)プロトコルのメッセージで、1つのUEに固有の前記関連付けに関する情報を対応する前記UEに送信する、
請求項17に記載の基地局。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記UEによって使用される前記複数のデータボリューム閾値インデックスのうちの前記1つのデータボリューム閾値インデックスを、前記基地局のセル全体における全てのビームに共通のデータボリューム閾値インデックスとして、あるいは前記セル全体における1つまたは複数のビームに固有のデータボリューム閾値インデックスとして決定し、
任意選択により、前記ビームに共通のデータボリューム閾値インデックスは、前記セル全体の全てのビームで送信され、
任意選択により、前記ビームに固有のデータボリューム閾値インデックスは、前記ビームに固有のデータボリューム閾値が属するビームでのみ送信される、
請求項17または18に記載の基地局。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記UEによって使用される前記複数のデータボリューム閾値インデックスのうちの前記1つのデータボリューム閾値インデックスを決定するときに、前記基地局の負荷状況を考慮し、前記負荷状況は、
ダウンリンクおよびアップリンク送信のスケジューリングに利用可能な無線リソースの量と、
接続状態にあるUEの数と、
のうちの1つまたは複数を含み、
任意選択により、前記基地局の前記負荷状況が高負荷状況である場合、前記プロセッサは、前記基地局の前記負荷状況が低負荷状況である場合よりも低いデータボリューム閾値に関連付けられたデータボリューム閾値インデックスを決定する、
請求項17~19のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項21】
前記複数のデータボリューム閾値インデックスと前記複数のデータボリューム閾値との間の前記関連付けは、小規模データが割り当てられる1つの論理チャネルに固有であり、前記論理チャネルのうちの1つまたは複数のそれぞれについて、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間を関連付ける1つの関連付けが存在し、
任意選択により、優先順位の高い論理チャネルは、優先順位の低い論理チャネルよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる、
請求項17~20のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項22】
前記プロセッサは、動作時に、複数の第2のデータボリューム閾値インデックスと複数の第2のデータボリューム閾値との間のさらなる関連付けを生成し、前記第2のデータボリューム閾値は、UEによってアクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用可能であり、
前記送信機は、動作時に、前記さらなる関連付けに関する情報を前記UEに送信し、
任意選択により、前記プロセッサは、動作時に、前記UEによって使用される前記複数の第2のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つの第2のデータボリューム閾値インデックスを決定し、
前記送信機は、動作時に、決定された前記1つの第2のデータボリューム閾値インデックスを、任意選択により前記基地局によってブロードキャストされるシステム情報で、または前記媒体アクセス制御(MAC)プロトコルのメッセージで前記UEに送信する、
請求項17~21のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項23】
決定された前記複数のデータボリューム閾値に関する記情報は、複数の異なるデータボリューム閾値と、前記基地局によって事前にUEに割り当てることができる周期的無線リソースの設定パラメータの異なる値とを関連付ける関連付けを含み、前記周期的無線リソースはその後、事前のスケジューリング要求なしで小規模データを送信するためにUEによって使用可能であり、
任意選択により、前記周期的無線リソースの前記設定パラメータは、周期的無線リソースの時間周期、あるいは周波数領域および時間領域のうちの1つまたは複数における周期的無線リソースのサイズであり、任意選択により、前記関連付けは、前記周期的無線リソースの周期が短いほど、対応する前記データボリューム閾値が大きくなるようなものであり、
任意選択により、前記複数の異なるデータボリューム閾値と周期的無線リソースの特性の異なる前記値とを関連付ける前記関連付けに関する情報は、前記基地局によってブロードキャストされるシステム情報を使用して前記基地局によって送信される、
請求項16に記載の基地局。
【請求項24】
前記関連付けは、UEの優先順位または小規模データが割り当てられる論理チャネルに固有であり、
UEの優先順位ごとまたは論理チャネルごとに1つの関連付けが存在する、
請求項23に記載の基地局。
【請求項25】
基地局によって実行される、
周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器(UE)に割り当てるステップであって、割り当てられた前記周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために前記1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である、ステップと、
割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で前記小規模データの送信を実行するか否かを判定するために前記UEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定するステップであって、前記複数のデータボリューム閾値は、前記非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために前記UEによって使用されない、ステップと、
決定された前記複数のデータボリューム閾値に関する情報を前記UEに送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項26】
動作時に、ユーザ機器(UE)の処理を制御する集積回路であって、前記処理は、前記ユーザ機器によって実行される、
第1のデータボリューム閾値を決定するステップと、
送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な前記小規模データのボリュームおよび前記第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定するステップであって、前記UEは、前記接続状態、アイドル状態、および前記非アクティブ状態のうちの前記非アクティブ状態にある、ステップと、
利用可能な前記小規模データの送信を実行するステップと、
を含み、
前記第1のデータボリューム閾値は、前記UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して前記非アクティブ状態で利用可能な前記小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、前記周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられ、
前記第1のデータボリューム閾値は、前記非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない、
集積回路。
【請求項27】
動作時に、基地局の処理を制御する集積回路であって、前記処理は、前記基地局によって実行される、
周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器(UE)に割り当てるステップであって、割り当てられた前記周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために前記1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である、ステップと、
割り当てられた前記周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で前記小規模データの送信を実行するか否かを判定するために前記UEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定するステップであって、前記複数のデータボリューム閾値は、前記非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために前記UEによって使用されない、ステップと、
決定された前記複数のデータボリューム閾値に関する情報を前記UEに送信するステップと、
を含む、集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3GPP(登録商標)通信システム等の通信システムにおける方法、装置、および物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:the 3rd Generation Partnership Project)は、第5世代(5G:fifth generation)とも呼ばれる次世代セルラ技術に対する技術仕様に取り組んでいる。
【0003】
1つの目的は、少なくとも拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive machine type communication)を含むすべての利用シナリオ、要件、および配置シナリオ(例、TR 38.913バージョン16.0.0のセクション6を参照)に対処する単一の技術フレームワークを提供することである。たとえば、eMBB配置シナリオは屋内ホットスポット、密集した都市部、ルーラル、都市部マクロ、および高速を含んでもよく、URLLC配置シナリオは産業用制御システム、モバイルヘルスケア(遠隔モニタリング、診断、および治療)、車両のリアルタイム制御、広域モニタリング、およびスマートグリッドのための制御システムを含んでもよく、mMTC配置シナリオは、たとえばスマートウェアラブルおよびセンサネットワークなどの、非タイムクリティカルデータ転送を伴う多数のデバイスを有するシナリオを含んでもよい。eMBBおよびURLLCサービスは、どちらも非常に広い帯域幅を要求する点で類似しているが、URLLCサービスは好ましくは超低遅延を必要とし得る点で異なっている。
【0004】
第2の目的は、上位互換性を達成することである。Long Term Evolution(LTE、LTE-A)セルラシステムに対する下位互換性は必要ないため、まったく新しいシステム設計および/または新規の特性の導入が促進される。
【発明の概要】
【0005】
1つの非限定的かつ例示的な実施形態は、UEが改良された小規模データ(スモールデータ:small data)送信を実行することを容易にするための手順を提供することに資する。
【0006】
一実施形態では、本明細書で開示する技術は、以下を備えるユーザ機器UEを特徴とする。UEのプロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定する。プロセッサは、送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定する。UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEの送信機は、利用可能な小規模データの送信を実行する。第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる。一方、第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない。一般的な実施形態または特定の実施形態が、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはそれらの任意の選択的な組み合わせとして実施され得ることに留意されたい。たとえば、集積回路は、UEまたは基地局の処理を制御することができる。
【0007】
開示されている実施形態および様々な実施態様のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって、個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得る目的で、実施形態および特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の実施形態は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャの図
図2】NG-RANと5GCとの間の機能分離を示す概略図
図3】RRC接続のセットアップ/再設定の手順のシーケンス図
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼低遅延通信(URLLC)の利用シナリオを示す概略図
図5】非ローミングシナリオのための例示的な5Gシステムアーキテクチャを示すブロック図
図6】競合ベース(contention-based)および非競合(contention-free)のRACH手順を示す図
図7】競合ベースおよび非競合のRACH手順を示す図
図8】可能なRRC状態変更を示す図
図9】非アクティブ状態から接続状態へのUEの状態変化を含む、アップリンクデータ送信のための従来技術のメッセージ交換を示す図である。
図10】RRC_INACTIVEのUEのための小規模データアップリンク送信に使用可能な例示的な4ステップRACHを示す図である。
図11】RRC_INACTIVEのUEのための小規模データアップリンク送信に使用可能な例示的な2ステップRACHを示す図である。
図12】様々な設定グラント(CONFIGURED GRANT)と、UEが設定グラントリソースを小規模データの送信に使用することと、を示す図である。
図13】UEおよびgNBの例示的な簡略化した構造を示す図である。
図14】改良された小規模データ送信手順の例示的な実装形態によるUEの構造を示す図である。
図15】改良された小規模データ送信手順の例示的な実装形態による、UE動作の流れ図である。
図16】改良された小規模データ送信手順の例示的な実装形態に参加する基地局の構造を示す図である。
図17】改良された小規模データ送信手順の例示的な実装形態に参加する基地局の動作の流れ図である。
図18】改良された小規模データ送信手順の第1の解決策に参加する基地局の動作の流れ図である。
図19】改良された小規模データ送信手順の第1の解決策に参加するUEの動作の流れ図である。
図20】改良された小規模データ送信手順の第1の解決策の他の変形例に参加するUEの動作の流れ図である。
図21】改良された小規模データ送信手順の第2の解決策に参加するUEの動作の流れ図である。
図22】改良された小規模データ送信手順の第2の解決策に参加する基地局の動作の流れ図である。
図23】改良された小規模データ送信手順の第3の解決策に参加する基地局の動作の流れ図である。
図24】改良された小規模データ送信手順の第3の解決策に参加するUEの動作の流れ図である。
図25】改良された小規模データ送信手順の第4の解決策に参加するUEの動作の流れ図である。
図26】改良された小規模データ送信手順の第4の解決策に参加する基地局の動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<5G NRのシステムアーキテクチャおよびプロトコルスタック>
3GPPは、100GHzまでの周波数範囲で動作する新無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラ技術(単に「5G」ともいう)の次のリリースに向けて作業を続けている。5G規格の初版は2017年の終わりに完成しており、これにより、5G NRの規格に準拠したスマートフォンの試作および商用配備に移ることが可能となっている。
【0010】
特に、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを備えるNG-RAN(Next Generation-Radio Access Network)を想定する。gNBは、NG無線アクセスのユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)及び制御プレーン(RRC)プロトコルのUE側の終端を提供する。gNBは、Xnインタフェースによって相互に接続される。また、gNBは次世代(NG:Next Generation)インタフェースによって次世代コア(NGC:Next Generation Core)に、より具体的には、NG-Cインタフェースによってアクセス・モビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function。例えば、AMFを実行する特定のコアエンティティ)に、また、NG-Uインタフェースによってユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function。例えば、UPFを実行する特定のコアエンティティ)に接続される。NG-RANアーキテクチャは、図1に示される(例えば、3GPP TS 38.300 v16.4.0のセクション4参照)。
【0011】
NRのユーザプレーンプロトコルスタック(例えば、3GPP TS 38.300のセクション4.4.1参照)は、gNBにおいてネットワーク側で終端されるPDCP(Packet Data Convergence Protocol。TS 38.300のセクション6.4参照)サブレイヤ、RLC(Radio Link Control。TS 38.300のセクション6.3参照)サブレイヤ、及びMAC(Medium Access Control。TS 38.300のセクション6.2参照)サブレイヤを含む。さらに、PDCPの上位には、新たなアクセス層(AS:Access Stratum)サブレイヤ(SDAP:Service Data Adaptation Protocol)が導入されている(例えば、3GPP TS 38.300のsub-clause 6.5参照)。また、NRでは制御プレーンのプロトコルスタックも定義されている(例えば、TS 38.300のセクション4.4.2参照)。レイヤ2機能の概要は、TS 38.300のsub-clause 6に記載されている。RRCレイヤの機能は、TS 38.300のsub-clause 7に列挙されている。
【0012】
例えば、MACレイヤでは、論理チャネルの多重化や、様々なヌメロロジーの処理を含むスケジューリングやスケジューリング関連の機能を担う。
【0013】
物理レイヤ(PHY:physical layer)は、例えば、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、及び信号の適切な物理時間-周波数リソースへの配置を担う。また、トランスポートチャネルの物理チャネルへの配置も行う。物理レイヤは、トランスポートチャネルの形式でMACレイヤにサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間-周波数リソースの組に対応し、各トランスポートチャネルは、対応する物理チャネルに配置される。例えば、物理チャネルは、上りリンクではPRACH(Physical Random Access Channel)、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)及びPUCCH(Physical Uplink Control Channel)となり、下りリンクではPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)及びPBCH(Physical Broadcast Channel)となる。
【0014】
NRのユースケース/展開シナリオには、eMBB(enhanced Mobile Broadband)、URLLC(Ultra-Reliable Low-Latency Communications)、mMTC(massive Machine Type Communication)などがあり、これらはデータレート、遅延、カバレッジに関して多様な要件を持つ。例えば、eMBBでは、IMT-Advancedで提供されているものの三倍ほどのピークデータレート(下り20Gbps、上り10Gbps)および実効(user-experienced)データレートに対応することが求められる。一方、URLLCでは、より厳しい要件が超低遅延(ユーザプレーンの遅延はUL、DLともに0.5ms)と高信頼性(1ms以内に1-10-5)について課されている。最後に、mMTCには、好ましくは、高い接続密度(都市環境では1平方キロメートルあたり100万台)、悪環境での広いカバレッジ、低コスト機器の超長寿命バッテリー(15年)が求められる。
【0015】
したがって、一つのユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例えば、サブキャリア間隔、OFDMシンボル長、巡回プレフィクス(CP)長、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)は、他のユースケースには有効でない場合がある。例えば、低遅延サービスは、好ましくは、mMTCサービスよりも短いシンボル長(したがって、より大きなサブキャリア間隔)および/またはスケジューリング区間(換言すると、TTI)毎のシンボル数が少ないことが求められうる。さらに、チャネルの遅延スプレッドが大きい展開シナリオでは、好ましくは、遅延スプレッドが短いシナリオよりもCP長が長いことが求められうる。同様のCPオーバーヘッドを維持するためには、サブキャリア間隔は適宜最適化される必要がある。NRでは、複数の値のサブキャリア間隔をサポートしてもよい。これに対応して、現時点では15kHz、30kHz、60kHz、・・・、のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル長Tとサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tによって直接関係づけられる。LTEシステムと同様、「リソースエレメント」という用語は、1つのOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する一つのサブキャリアで構成される最小のリソース単位を示すのに使用することができる。
【0016】
新たな無線システム5G-NRにおいては、各ヌメロロジーおよびキャリアに対して、アップリンクおよびダウンリンクのそれぞれに対してサブキャリアおよびOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッドの各エレメントはリソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと、時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(3GPP TS 38.211 v16.4.0、例、セクション4を参照)。たとえば、ダウンリンクおよびアップリンク送信は10msの持続時間を有するフレームに編成され、各フレームはそれぞれ1msの持続時間の10のサブフレームからなる。5g NRの実装において、サブフレーム当りの連続するOFDMシンボルの数は、サブキャリア間隔設定に依存する。たとえば、15kHzのサブキャリア間隔に対して、サブフレームは14のOFDMシンボルを有する(通常のサイクリックプレフィックスを想定したLTE適合実装と同様である)。他方で、30kHzのサブキャリア間隔に対して、サブフレームは2つのスロットを有し、各スロットは14のOFDMシンボルを含む。
【0017】
<5G NRにおけるNG-RANと5GCとの間の機能分離>
図2は、NG-RANと5GCとの間の機能分離を示す。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCは、論理ノードAMF、UPF、およびSMFを有する。
【0018】
特に、gNBおよびng-eNBは、以下の主な機能をホストする:
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、上りリンクおよび下りリンクの両方におけるリソースのUEへの動的割当(スケジューリング)等の無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能;
- データのIPヘッダ圧縮、暗号化、および完全性保護;
- UEが提供する情報からAMFへのルーティングを決定することができない場合のUEのアタッチ時のAMFの選択;
- UPFに向けたユーザプレーンのデータのルーティング;
- AMFに向けた制御プレーン情報のルーティング;
- 接続のセットアップおよび解除;
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信;
- システム報知情報(AMFまたは運用管理保守機能(OAM:Operation,Admission,Maintenance)が発信源)のスケジューリングおよび送信;
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定の報告の設定;
- 上りリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング;
- セッション管理;
- ネットワークスライシングのサポート;
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラに対するマッピング;
- RRC_INACTIVE状態のUEのサポート;
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)メッセージの配信機能;
- 無線アクセスネットワークの共有;
- デュアルコネクティビティ;
- NRとE-UTRAとの緊密な連携。
【0019】
アクセス・モビリティ管理機能(AMF)は、以下の主な機能をホストする:
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)のシグナリングを終端させる機能;
- NASシグナリングのセキュリティ;
- アクセス層(AS)のセキュリティ制御;
- 3GPPのアクセスネットワーク間でのモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング;
- アイドルモードのUEへの到達可能性(ページングの再送の制御および実行を含む);
- 登録エリアの管理;
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート;
- アクセス認証;
- ローミング権限のチェックを含むアクセス承認;
- モビリティ管理制御(加入およびポリシー);
- ネットワークスライシングのサポート;
- セッション管理機能(SMF)の選択。
【0020】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF)は、以下の主な機能をホストする:
- RAT内モビリティ/RAT間モビリティ(適用可能な場合)のためのアンカーポイント;
- データネットワークとの相互接続のための外部PDU(Protocol Data Unit)セッションポイント;
- パケットのルーティングおよび転送;
- パケット検査およびユーザプレーン部分のポリシールールの強制(Policy rule enforcement);
- トラフィック使用量の報告;
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートする上りリンククラス分類(uplink classifier);
- マルチホームPDUセッション(multi-homed PDU session)をサポートするための分岐点(Branching Point);
- ユーザプレーンに対するQoS処理(例えば、パケットフィルタリング、ゲーティング(gating)、UL/DLレート制御(UL/DL rate enforcement);
- 上りリンクトラフィックの検証(SDFのQoSフローに対するマッピング);
- 下りリンクパケットのバッファリングおよび下りリンクデータ通知のトリガ機能。
【0021】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、以下の主な機能をホストする:
- セッション管理;
- UEに対するIPアドレスの割当および管理;
- UPFの選択および制御;
- 適切な宛先にトラフィックをルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリング(traffic steering)の設定機能;
- 制御部分のポリシー強制およびQoS;
- 下りリンクデータの通知。
【0022】
<RRC接続のセットアップおよび再設定の手順>
図3は、NAS部分の、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに移行する際のUE、gNB、およびAMF(5GCエンティティ)の間のやり取りのいくつかを示す(TS 38.300参照)。
【0023】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位レイヤのシグナリング(プロトコル)である。特に、この移行により、AMFは、UEコンテキストデータ(これは、例えば、PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力(UE Radio Capability)、UEセキュリティ能力(UE Security Capabilities)等を含む)を用意し、初期コンテキストセットアップ要求(INITIAL CONTEXT SETUP REQUEST)とともにgNBに送る。そして、gNBは、UEと一緒に、ASセキュリティをアクティブにする。これは、gNBがUEにSecurityModeCommandメッセージを送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって行われる。その後、gNBは、UEにRRCReconfigurationメッセージを送信し、これに対するUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによって、シグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB)をセットアップするための再設定を行う。シグナリングのみの接続については、SRB2およびDRBがセットアップされないため、RRCReconfigurationに関するステップは省かれる。最後に、gNBは、初期コンテキストセットアップ応答(INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSE)でセットアップ手順が完了したことをAMFに通知する。
【0024】
したがって、本開示では、gNodeBとのNext Generation(NG)接続を動作時に確立する制御回路と、gNodeBとユーザ機器(UE:User Equipment)との間のシグナリング無線ベアラがセットアップされるように動作時にNG接続を介してgNodeBに初期コンテキストセットアップメッセージを送信する送信部と、を備える、5th Generation Core(5GC)のエンティティ(例えば、AMF、SMF等)が提供される。具体的には、gNodeBは、リソース割当設定情報要素(IE:Information Element)を含む無線リソース制御(RRC)シグナリングを、シグナリング無線ベアラを介してUEに送信する。そして、UEは、リソース割当設定に基づき上りリンクにおける送信または下りリンクにおける受信を行う。
【0025】
<2020年以降のIMTの利用シナリオ>
図4は、5G NRのユースケースの一部を示す。第3世代パートナーシッププロジェクトNR(3GPP NR)では、IMT-2020によって多種多様なサービスやアプリケーションに対応することが想定されている三つのユースケースが検討されている。高速大容量(eMBB)のための第一段階の仕様の策定は終了している。eMBBのサポートをさらに拡充することに加え、現在および将来的には、超高信頼低遅延(URLLC)および多数同時接続の標準化の研究も進められる。図4は、2020年以降のIMTで想定される利用シナリオの例を示す(例えば、ITU-R M.20183の図2を参照)。
【0026】
URLLCのユースケースは、スループット、遅延、アベイラビリティ等の性能に対する厳しい要件を有し、工業生産や製造プロセスの無線制御、遠隔医療手術、スマートグリッドの配電自動化、交通安全等、将来の垂直アプリケーションを実現するものの一つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、TR 38.913v16.0.0によって設定された要件を満たす技術を特定することでサポートされる。リリース15におけるNR URLLCの場合、UL(上りリンク)0.5ms、DL(下りリンク)0.5msのユーザプレーン遅延を目標とすることが主要な要件である。一度のパケット送信に対する一般的なURLLCの要件は、ユーザプレーン遅延が1msの場合、32バイトのパケットサイズに対してブロック誤り率(BLER:block error rate)が1E-5であることである。
【0027】
物理レイヤの観点では、信頼性は、多くの採り得る方法で向上可能である。現在の信頼性向上の余地としては、URLLC用の別個のCQIテーブル、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返し送信等を定義することが含まれる。しかしながら、この余地は、NRが(NR URLLCの重要要件に関し)より安定しかつより開発されるにつれて、超高信頼性の実現のために広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースには、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セイフティ、およびミッションクリティカルなアプリケーションが含まれる。
【0028】
また、NR URLLCが目標とする技術拡張は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目指している。レイテンシの改善のための技術拡張には、設定可能なヌメロロジー、フレキシブルなマッピングによる非スロットベースのスケジューリング、グラントフリーの(設定グラントの)上りリンク、データチャネルにおけるスロットレベルでの繰り返し送信、および下りリンクでのプリエンプション(Pre-emption)が含まれる。プリエンプションとは、リソースが既に割り当てられた送信が停止され、当該既に割り当てられたリソースが、後から要求されたより低いレイテンシ/より高い優先度の要件の他の送信に使用されることを意味する。したがって、既に許可されていた送信は、後の送信によって差し替えられる。プリエンプションは、具体的なサービスタイプと無関係に適用可能である。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信が、サービスタイプB(eMBB等)の送信によって差し替えらされうる。信頼性向上についての技術拡張には、1E-5の目標BLERのための専用のCQI/MCSテーブルが含まれる。
【0029】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースの特徴は、典型的には遅延の影響を受けにくい比較的少量のデータを送信する接続装置の数が極めて多いことである。装置には、低価格であること、および電池寿命が非常に長いことが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することが、UEから見て電力が節約されかつ電池の長寿命化を可能にする1つの解決手段である。
【0030】
上述のように、NRにおける信頼性向上のスコープはより広くなることが予測される。あらゆるケースにとっての重要要件の1つであって、特にURLLCおよびmMTCに必要な重要要件が高信頼性または超高信頼性である。いくつかのメカニズムは、無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させることができると考えられうる。概して、信頼性の向上に役立つ可能性がある2つ~3つの重要な領域が存在する。これらの領域には、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し送信、および周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関するダイバーシチがある。これらの領域は、特定の通信シナリオにかかわらず一般に信頼性向上に適用可能である。
【0031】
NR URLLCに関し、ファクトリーオートメーション、運送業、および電力の分配のような、要件がより厳しいさらなるユースケースが想定されている。厳しい要件とは、高い信頼性(10レベルまでの信頼性)、高い可用性、256バイトまでのパケットサイズ、数μs程度までの時刻同期(time synchronization)(ユースケースに応じて、値を、周波数範囲および0.5ms~1ms程度の短いレイテンシ(特に、目標とするユーザプレーンでの0.5msのレイテンシ)に応じて1μsまたは数μsとすることができる)である。
【0032】
さらに、NR URLLCについては、物理レイヤの観点からいくつかの技術拡張が有り得る。これらの技術拡張には、コンパクトなDCIに関するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の拡張、PDCCHの繰り返し送信、PDCCHのモニタの増加がある。また、UCI(Uplink Control Information)の拡張は、enhanced HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)およびCSIフィードバックの拡張に関係する。また、ミニスロットレベルのホッピングに関係するPUSCHの拡張、および再送/繰り返し送信の拡張が有り得る。用語「ミニスロット」は、スロットより少数のシンボルを含む送信時間間隔(TTI)を指す(スロットは、14個のシンボルを含む)。
【0033】
<QoS制御>
5GのQoS(サービス品質)モデルは、QoSフローに基づいており、保証されたフロービットレートが求められるQoSフロー(GBR(Granteed Bit Rate)QoSフロー)、および、保証されたフロービットレートが求められないQoSフロー(非GBR QoSフロー)をいずれもサポートする。したがって、NASレベルでは、QoSフローは、PDUセッションにおける最も微細な粒度のQoSの区分である。QoSフローは、NG-Uインタフェースを介してカプセル化ヘッダ(encapsulation header)において搬送されるQoSフローID(QFI:QoS Flow ID)によってPDUセッション内で特定される。
【0034】
各UEについて、5GCは、1つ以上のPDUセッションを確立する。各UEについて、PDUセッションに合わせて、NG-RANは、例えば図3を参照して上に示したように少なくとも一つのデータ無線ベアラ(DRB)を確立する。また、そのPDUセッションのQoSフローに対する追加のDRBが後から設定可能である(いつ設定するかはNG-RAN次第である)。NG-RANは、様々なPDUセッションに属するパケットを様々なDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルパケットフィルタが、ULパケットおよびDLパケットとQoSフローとを関連付けるのに対し、UEおよびNG-RANにおけるASレベルマッピングルールは、UL QoSフローおよびDL QoSフローとDRBとを関連付ける。
【0035】
図5は、5G NRの非ローミング参照アーキテクチャを示す(3GPP TS 23.501 v16.7.0、セクション4.2.3参照)。図4に例示される、5Gサービスをホストする外部アプリケーションサーバなどのアプリケーション機能(AF)は、サービスを提供するために3GPPコアネットワークとやり取りを行う。例えば、トラフィックルーティングに影響を与えるアプリケーションをサポートするためにネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスすること、QoS制御などのポリシー制御のためにポリシーフレームワークとやり取りすること(ポリシー制御機能(PCF)参照)が挙げられる。オペレータによる配備に基づき、オペレータから信頼されているとみなされるアプリケーション機能は、関連するネットワーク機能と直接やり取りすることができる。ネットワーク機能への直接のアクセスをオペレータから許可されていないアプリケーション機能は、NEFを介して外部に対する開放フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能とやり取りする。
【0036】
図5は、5Gアーキテクチャのさらなる機能単位、すなわち、ネットワークスライス選択機能(NSSF)、ネットワークリポジトリ機能(NRF)、統一データ管理(UDM)、認証サーバ機能(AUSF)、アクセス・モビリティ管理機能(AMF)、セッション管理機能(SMF)、およびデータネットワーク(DN、例えば、オペレータによるサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティーによるサービス)をさらに示す。コアネットワークの機能およびアプリケーションサービスの全部または一部がクラウドコンピューティング環境において展開されかつ動作してもよい。
【0037】
したがって、本開示では、QoS要件に応じたgNodeBとUEとの間の無線ベアラを含むPDUセッションを確立するために、動作時に、URLLCサービス、eMBBサービス、およびmMTCサービスのうちの少なくとも1つに対するQoS要件を含む要求を5GCの機能(例えば、NEF、AMF、SMF、PCF、UPF等)のうちの少なくとも1つに送信する送信部と、動作時に、確立されたPDUセッションを使用してサービスを行う制御回路と、を備える、アプリケーションサーバ(例えば、5GアーキテクチャのAF)が提供される。
【0038】
<ランダムアクセス手順>
LTEと同様に、5G NRはRACH(ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel))手順(または簡単にランダムアクセス手順)を提供する。例えば、RACH手順は、UEによって、UEが見出したセルにアクセスするために用いられ得る。RACH手順は、5G NR内のその他のコンテキスト、例えば以下のもの等においても用いられ得る。
・ 新たなセルに対する同期を確立する場合のハンドオーバのため;
・ あまりにも長期間デバイスからの任意の上りリンク送信がなかったために同期が失われたときに、現在のセルに対する上りリンク同期を再確立するため;
・ デバイスに対する専用スケジューリング要求リソースが設定されていないときに、上りリンクスケジューリングを要求するため。
【0039】
UEにランダムアクセス手順をトリガさせ得るイベントは、以下を含めて多数存在する(3GPP TS 38.300、v16.4.0 セクション9.2.6を参照)。ランダムアクセス手順は、次のようないくつかのイベントによってトリガされる。
- RRC_IDLEからの初期アクセス;
- RRC接続再確立手順;
- UL同期状態が「非同期」である場合のRRC_CONNECTED中のDLデータまたはULデータの到着;
- 利用可能なSRに対するPUCCHリソースが存在しない場合のRRC_CONNECTED中のULデータの到着;
- SRの失敗;
- 同期再設定(例、ハンドオーバ)の際のRRCによる要求;
- RRC_INACTIVEからの移行;
- セカンダリTAGに対する時間的整合を確立すること;
- 他のSIの要求(第7.3節を参照);
- ビーム障害回復;
- SpCellにおける継続的なUL LBTの失敗。
【0040】
移動端末の上りリンク送信が時間同期されている場合、移動端末を上りリンク送信のためにスケジューリングすることができる。したがって、ランダムアクセスチャネル(RACH)手順は、非同期移動端末(UE)と上りリンク無線アクセスの直交送信との間のインタフェースとしての役割を果たす。例えば、ランダムアクセス手順は、上りリンク同期をまだ獲得していないか、または失っているユーザ機器のための上りリンク時間同期を実現するために使用される。ユーザ機器が上りリンク同期を実現すると、基地局はそのユーザ機器に対する上りリンク送信リソースをスケジューリングできる。ランダムアクセスに関連する1つのシナリオは、RRC_CONNECTED状態にあるユーザ機器が、現在のサービングセルから新たなターゲットセルにハンドオーバし、ターゲットセルにおいて上りリンク時間同期を実現するためにランダムアクセス手順を実行するシナリオである。
【0041】
ランダムアクセス手順には少なくとも2つのタイプが存在でき、アクセスを競合ベース(すなわち、衝突の固有リスクを意味する)または非競合(非競合ベース)のいずれかにできる。ランダムアクセス手順の例示的な定義は、3GPP TS 38.321、v16.3.0 セクション5.1に見出され得る。
【0042】
RACH手順を、図6および図7を参照して、以下でより詳細に説明する。以下では、競合ベースのランダムアクセス手順を、図6に関してより詳細に説明する。この手順は、4つの「ステップ」からなり、したがって、例えば、4ステップRACH手順と呼ぶことができる。最初に、ユーザ機器は物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)でランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble)を基地局に送信する(すなわち、RACH手順のメッセージ1)。基地局はRACHプリアンブルを検出した後に、ランダムアクセス応答(RAR:Random Access Response)メッセージ(RACH手順のメッセージ2)を、そのプリアンブルを検出した時間-周波数およびスロットを識別する(ランダムアクセス)RA-RNTIを含むPDCCHにおいてアドレッシングされた物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)で送信する。複数のユーザ機器が同一のPRACHリソースにおいて同一のRACHプリアンブルを送信する場合(衝突ともいう)、それらのユーザ機器は同一のランダムアクセス応答メッセージを受信し得る。RARメッセージは、検出されたRACHプリアンブルと、受信したプリアンブルのタイミングに基づくその後の上りリンク送信の同期のためのタイミングアライメント(timing alignment)コマンド(TAコマンド)と、第1のスケジューリングされた送信(Scheduled Transmission)を送信するための初期上りリンクリソース割当て(グラント)と、一時セル無線ネットワーク一時識別子(T-CRNTI:Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier)の割当てと、を伝達してもよい。このT-CRNTIは、基地局によって、RACH手順が終了するまでRACHプリアンブルが検出された移動端末をアドレッシングするために使用されるが、これは、RACHプリアンブルの検出の時点でその移動端末の「実際の」アイデンティティはまだ基地局に知られていないためである。
【0043】
ユーザ機器は、基地局によって設定され得る所与の時間ウィンドウ(例えば、RAR受信ウィンドウと呼ばれる)内でランダムアクセス応答メッセージの受信のためにPDCCHをモニタする。基地局から受信したRARメッセージに応答して、ユーザ機器は、ランダムアクセス応答内でグラントによって割り当てられた無線リソースで第1のスケジューリングされた上りリンク送信を送信する。このスケジューリングされた上りリンク送信は、RRC接続要求、RRC再開要求、またはバッファ状態報告等の特定の機能を有する実際のメッセージを伝達する。
【0044】
RACH手順の第1メッセージにおいてプリアンブル衝突が発生した(すなわち、複数のユーザ機器が同一のPRACHリソースで同一のプリアンブルを送信した)場合、衝突するユーザ機器は、ランダムアクセス応答内で同一のT-CRNTIを受信し、RACH手順の第3ステップにおいてそれらのスケジューリングされた送信を送信する場合に同一の上りリンクリソースにおいても衝突する。1つのユーザ機器からのスケジューリングされた送信を基地局が復号できた場合、競合は、他のユーザ機器について未解決のままである。このタイプの競合の解決のために、基地局は、C-RNTIまたは一時C-RNTI宛の競合解決メッセージ(第4メッセージ)を送信する。これによって手順が終了する。
【0045】
図7は非競合ランダムアクセス手順を示しており、これは競合ベースのランダムアクセス手順と比べて簡略化されている。基地局は、第1ステップにおいて、衝突のリスクがないように(すなわち、複数のユーザ機器が同一のプリアンブルを送信するリスクがないように)、ランダムアクセスのために使用するための専用プリアンブルをユーザ機器に提供する。したがって、ユーザ機器はその後、PRACHリソースの上りリンクにおいて、基地局によってシグナリングされたプリアンブルを送信する。非競合ランダムアクセスについては、複数のUEが同じプリアンブルを送信する場合が回避されるため、UEがランダムアクセス応答を問題なく受信した後、非競合ランダムアクセス手順は基本的に完了する。
【0046】
3GPPはまた、5G NRのための2ステップ(競合ベース)RACH手順を定義しており、ここでは、4ステップLTE/NR RACH手順のメッセージ1および3に相当するメッセージ1(MsgAと名付けられる)が最初に送信される2ステップRACHタイプのMsgAは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)におけるプリアンブルと、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)のペイロードと、を含む。MsgA送信後、UEは、設定された時間ウィンドウ内のgNBからの応答をモニタする。次いで、gNBは、4ステップLTE/NR RACH手順のメッセージ2および4に対応するメッセージ2(MsgBと呼ばれる)で応答する。このMsgBは、例えば、成功ランダムアクセス応答(Success RAR)、フォールバックRAR、およびオプションとしてバックオフ通知を含むことができる。成功RARを受信して競合解決が成功したとき、UEはランダムアクセス手順を終了させる。MsgBでフォールバックRARを受信したとき、UEは(4ステップRACH手順と同様に)メッセージ3の送信を行い、競合解決をモニタする。RACHタイプ(例えば、2ステップRACH)を決定した後に、UEが、失敗するまで同一のRACHタイプを再試行し続けるというような、2ステップRACH手順について、いくつかのさらなる例示的な想定がなされる。しかし、MsgA送信の或る回数の再試行の後に、UEが4ステップRACH手順に切り替えることができる可能性もあり得る。
【0047】
さらに、ネットワークは、2ステップRACH手順および4ステップRACH手順を実行するために使用される、互いに排他的な無線リソースを準静的に決定することができる。RACH手順において第1メッセージを送信するために使用される無線リソースは、少なくともRACH機会とプリアンブルとを含む。例えば、2ステップRACH手順において、第1メッセージMsgAは、PRACHリソース(例えば、RACH機会およびプリアンブル)だけでなく、関連するPUSCHリソースも使用する。
【0048】
一般的に、RACHプリアンブルについては、たとえば3GPP TS 38.211 V16.4.0、「表6.3.3.2-2:FR1に対するランダムアクセス設定および対をなすスペクトル/補足アップリンク(Table 6.3.3.2-2:Random access configurations for FR1 and paired spectrum/supplementary uplink)」およびセクション6.3.3.2、「物理リソースに対するマッピング(Mapping to physical resources)」などを参照されたい。
【0049】
<RRC状態(RRC_Connected,RRC_Inactive)>
LTEにおいて、RRC状態マシンはただ2つの状態からなり、それらはRRCアイドル状態(高い省電力性、UEの自律的移動、およびUEのコアネットワークへの接続性が確立されていないことを主な特徴とする)と、RRC接続状態と、であり、RRC接続状態のUEはユーザプレーンデータを送信でき、一方で無損失のサービス継続をサポートするために移動性がネットワーク制御される。5G NRに関連して、以下に説明されるとおり、LTEに関するRRC状態マシンは非アクティブ状態によって拡張される(例、TS 38.331 v16.3.1、図4.2.1-1、1-2を参照)。
【0050】
NR 5GにおけるRRC(TS 38.331、セクション4を参照)は次の3つの状態、すなわちRRCアイドル状態、RRC非アクティブ状態、およびRRC接続状態をサポートする。RRC接続が確立されているとき、UEはRRC_CONNECTED状態またはRRC_INACTIVE状態のいずれかである。これが当てはまらないとき、すなわちRRC接続が確立されていないとき、UEはRRC_IDLE状態である。図8に示されるとおり、以下の状態遷移(移行)が可能である。
- 例えば「接続確立」手順に続くRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDへの状態移行;
- 例えば「接続解除」手順に続くRRC_CONNECTEDからRRC_IDLEへの状態移行;
- 例えば「一時停止(suspend)を伴う接続解除」手順に続くRRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEへの状態移行;
- 例えば「接続再開」手順に続くRRC_INACTIVEからRRC_CONNECTEDへの状態移行;
- 例えば「接続解除」手順に続くRRC_INACTIVEからRRC_IDLE(単方向)への状態移行。
【0051】
新たなRRC状態であるRRC Inactiveは、5G 3GPPの新たな無線技術のために定義され、シグナリング、省電力化、レイテンシ等の点で要件が大きく異なる拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、高信頼超低遅延通信(URLLC)等のより広い範囲のサービスをサポートする場合に利益を提供する。したがって、新たなRRC Inactive状態は、例えば、低遅延でデータ転送を開始することを依然として可能にしながら、無線アクセスネットワークおよびコアネットワークにおけるシグナリング、電力消費、およびリソースコストを最小限に抑えることを可能にするように設計される。例示的な5G NRの実施態様によれば、様々な状態が、以下のように特徴付けられる(TS 38.331のセクション4.2.1を参照)。
「RRC_IDLE:
- UE固有DRXが上位レイヤによって設定されうる;
- ネットワーク設定に基づくUE制御モビリティ;
- UEは、
- DCIを介してP-RNTIで送信されるショートメッセージをモニタする(第6.5節を参照);
- 5G-S-TMSIを使用したCNページングのページングチャネルをモニタする;
- 隣接セル測定およびセル(再)選択を実行する;
- システム情報を取得し、SI要求を送信できる(設定されている場合);
- 位置および時間と共に利用可能な測定値のロギングを、ロギングされる測定値が設定されるUEのために実行する。
- RRC_INACTIVE:
- UE固有DRXは、上位レイヤによって、またはRRCレイヤによって設定されうる;
- UEはネットワーク設定に基づきモビリティを制御する;
- UEは、UE InactiveのASコンテキストを記憶する;
- RANベースの通知エリアは、RRCレイヤによって設定される;
UEは、
- DCIを介してP-RNTIで送信されるショートメッセージをモニタする(第6.5節を参照);
- 5G-S-TMSIを使用したCNページングおよび完全なI-RNTIを使用したRANページングのためのページングチャネルをモニタする;
- 隣接セル測定およびセル(再)選択を実行する;
- 周期的に、また、設定されたRANベースの通知エリア外に移動する場合にRANベースの通知エリアの更新を実行する;
- システム情報を取得し、SI要求を送信できる(設定されている場合);
- 位置および時間と共に利用可能な測定値のロギングを、ロギングされる測定値が設定されるUEのために実行する。
- RRC_CONNECTED:
- UEは、ASコンテキストを記憶する;
- UEへの/UEからのユニキャストデータの転送;
- 下位レイヤでは、UEには、UE固有DRXが設定されうる;
- CAをサポートするUEの場合、帯域幅を増大するために、SpCellとアグリゲートされた1つまたは複数のScellを使用する;
- DCをサポートするUEの場合、帯域幅を増大するために、MCGとアグリゲートされた1つのSCGを使用する;
- NR内およびE-UTRAへ/E-UTRAからの、ネットワーク制御されたモビリティ;
- UEは、
- DCIを介してP-RNTIで送信されるショートメッセージをモニタする(第6.5節を参照)(設定されている場合);
- 共有データチャネルに関連付けられた制御チャネルをモニタして、自身に対してデータがスケジューリングされているかを決定する;
- チャネル品質およびフィードバック情報を提供する;
- 隣接セルの測定と測定報告を実行する;
- システム情報を取得する;
- 利用可能な位置の報告とともに、即時のMDT測定を実行する。」
【0052】
RRC Inactive状態の特性によれば、Inactive UEに対して、接続(ユーザプレーンおよび制御プレーンの両方の接続)がRANおよびコアネットワークによって維持される。より具体的には、RRC Inactiveでは、接続は依然として存在するが、接続は一時停止されているか、または換言すると、接続はもはやアクティブではない。一方、RRC Connectedでは、接続は存在し、例えば、データ送信に使用されるという意味でアクティブである。RRC Idle状態では、UEは、RANおよびコアネットワークとのRRC接続を有しない。これはまた、例えば、無線基地局が、UEのコンテキストを有さず、例えば、UEの識別情報を知らず、UEによって送信されたデータを適切に復号可能である(例えば、送信されたデータの完全性を保証する)ために、UEに関するセキュリティパラメータを有しないことを意味する。UEコンテキストは、コアネットワークにおいて利用可能であり得るが、無線基地局によって最初に取得されなければならない。
【0053】
さらに、無線セル内のユーザ機器のためのページングメカニズム(例えば、通知メカニズムと呼ばれることもある)は、いわゆる無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)ベースの通知エリア(略してRNA:RAN-based Notification Area)に基づく。無線アクセスネットワークは、ユーザ機器が位置する現在のRNAを認識すべきであり、ユーザ機器は、gNBが様々なRNA間を移動するUEを追跡するのを支援してよい。RNAは、UE固有であってよい。
【0054】
<設定グラント、グラントフリーアクセス、グラントフリーアップリンク>
アップリンクデータ送信では、典型的には、UEによってリソースが要求されることと、それに続く、スケジューリング側(基地局など)でのパックされたスケジューリングの決定およびリソースの割り当てとが必要になる。割り当てサイクルにより、追加の遅延およびシグナリングが発生する。UEと基地局との間の無線リソース割り当ての遅延は、UEが前もって基地局に無線リソースを要求することなく無線リソースを使用できるようにすることによって、回避することができる。
【0055】
LTEでは、ボイスオーバーIP(VoIP:Voice over IP)サービスなどの周期的なデータ送信に特に役立つセミパーシステントスケジューリング(SPS:semi-persistent-scheduling)機能が導入された。基地局はSPS無線リソースを設定し、UEは追加のスケジューリング要求手順なしでこれらの周期的無線リソースを使用することができる。しかしながら、LTEのSPS設定は単一のデバイス専用である。割り当てられた周期的リソースをデバイスが必要としない場合(たとえば、衝突警告などの特定のイベントに対してのみデータが送信される場合)、UEによって使用されないSPSリソースは無駄になる。
【0056】
5G NRでは、グラントなしの送信(TWG:transmission without grant)の別名でも知られているグラントフリーアクセスが5G NRに導入されており、UEは事前のスケジューリングなしで(たとえば、UEが対応するリソース要求を送信せずに)データを送信することも可能になる。同様に、このアプローチにより、レイテンシおよびそれぞれのシグナリングを最小限に抑えることが可能になり得る。
【0057】
具体的には、複数のデバイス(UE)が周期的無線リソースを共有することが可能にされ得、これは設定グラント(CG:configured grant)と呼ばれている(これにより、LTEのSPSと比較して、周期的無線リソースの無駄を削減することが容易になる)。gNBは設定グラントの無線リソースを複数のUEに割り当て、その後、UEはデータ(たとえば小規模データであり、後のセクションを参照)を送信する必要があるときに、周期的無線リソースをランダムに利用する。CGにより、ネットワークは、データを送信できるようになる前に本来実行される必要があるはずの特定のスケジューリング要求手順によって引き起こされるパケット送信遅延を排除する。これにより、割り当てられた周期的無線リソースの利用率も高められ得る。
【0058】
3GPPリリース16では2タイプのグラントフリー設定方式がサポートされている(3GPP38.300v16.4.0:「NR;NR and NG-RAN Overall Description;Stage 2(Release 16)」、セクション10.3を参照)。
【0059】
TS38.300のこの例示的な実装によれば、RRCは、タイプ1のCGを使用して、周期を含む設定アップリンクグラントを直接提供する。
【0060】
タイプ2の設定グラントでは、RRCは設定アップリンクグラントの周期を定義するが、CS-RNTIにアドレッシングされたPDCCHメッセージが、設定アップリンクグラントをシグナリングしてアクティブ化したり、非アクティブ化したりすることができ、CS-RNTIにアドレッシングされたPDCCHは、アップリンクグラントが、非アクティブ化されるまで、RRCによって定義された周期に従って暗黙的に再利用できることを示す。換言すれば、追加のL1シグナリング(たとえば、PDCCH)が導入され、アップリンクは、(非)アクティベーションDCIによってアクティブ化/非アクティブ化されるRRCベースのアップリンクグラントによって半永続的にスケジューリングされる。RRCは上位レイヤのパラメータを提供する。
【0061】
両方の場合において、例示的な3GPP実装によれば、RRCは、ConfiguredGrantConfigと呼ばれる上位レイヤパラメータを通じてUEにグラント設定を提供する(TS38.331v16.3.1、セクション6.3.2「RRC Information Elements」を参照)。RRC情報要素ConfiguredGrantConfigおよびConfiguredGrantConfigIndexの以下の定義は、引用したTS38.331v16.3.1から抽出されており、gNBが設定グラントをどのように設定できるかの例にすぎないと考えられるべきである。
【0062】
ConfiguredGrantConfig
IE ConfiguredGrantConfigは、2つの可能な方式によれば動的グラントなしでアップリンク送信を設定するために使用される。実際のアップリンクグラントは、RRCを介して設定され得る(タイプ1)、または、PDCCH(CS-RNTIにアドレッシングされたもの)を介して提供され得る(タイプ2)。複数の設定グラント設定が、サービングセルの1つのBWPで設定され得る。
【数1】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表2】
【表3】
【表4】
【0063】
ConfiguredGrantConfigIndex
IE ConfiguredGrantConfigIndexは、1つのBWP内の複数のUL設定グラント設定のうちの1つのインデックスを示すために使用される。
【数2】
【0064】
概要を説明すると、タイプ1およびタイプ2のCGの両方は、RRCによって、たとえば、サービングセルごとおよび/または帯域幅部分(BWP:Bandwidth Part)ごとに設定することができる。複数の設定をサービングセル間で同時にアクティブにすることができる。
【0065】
CGタイプ1が使用される場合、たとえば、次のパラメータのうちの1つまたは複数を設定することができる。
・再送用のCS-RNTI
・設定グラントタイプ1の周期
・時間領域におけるSFN=0(システムフレーム番号:System Frame Number)に対するリソースのオフセット
・割り当ての開始シンボルおよび長さを含む時間領域パラメータ
・HARQプロセスの数
【0066】
あるいは、CGタイプ2では、たとえば、次のパラメータのうちの1つまたは複数を設定することができる。
・アクティブ化、非アクティブ化、および再送用のCS-RNTI
・設定グラントタイプ2の周期
・HARQプロセスの数
【0067】
タイプ1のCGまたはタイプ2のCGのいずれかが設定されている場合、UEは設定された周期および無線リソースに従って自律的にアップリンクデータ送信を開始することができる。設定グラント送信は、複数のUEが同じ設定グラントリソースにアクセスすることをサポートし得、これによりレイテンシが短縮され、シグナリングオーバーヘッドが削減され得る。
【0068】
CGのリソース設定は、時間領域および/または周波数領域における物理リソース、ならびに/あるいは参照信号(RS:reference signal)パラメータを含み得る。設定パラメータには、変調・符号化方式(MCS:modulation and coding scheme)、および/または繰り返し送信回数、ならびに/あるいはサイクル期間が含まれ得る。
【0069】
<小規模データ送信>
本開示においてターゲットとされる小規模データ送信の特性は、遅延に対する厳密な要件なしに、UL/DLにおけるデータバーストが小さく、オプションによっては、データバーストはかなり低頻度であるという特性を有する任意のサービスを指す。例えば、UEによって1回の送信で送信され得るほど小さい単一のデータ送信(例えば、RACHにおける送信(以下を参照))が小規模データ送信とみなされ得る。トラフィック特性の典型的な非限定的な例は、以下の表に示されている(TR 25.705 バージョン13.0.0のセクション5を参照)。
【0070】
[小規模データ通信の特性]
【表5】
【0071】
別の異なる可能な例示的定義は、gNBの設定に依存し得る。たとえば、gNBは、特定の閾値(例、1000キロバイト)未満のデータを小規模データとみなし得るのに対し、その閾値を超えるデータを小規模データとみなさないことを定義し得る。この閾値は、たとえばバッファ状態に関連して定義され得る。
【0072】
代替的に、小規模データとは何かという定義は、たとえば上述と同様のデータ量閾値などを提供する適切な標準によって固定されることもあり得る。
【0073】
<RRC非アクティブ状態のUEによる小規模データ送信>
より詳細には、5G NRはRRC_INACTIVE状態をサポートし、低頻度の(定期的および/または非定期的な)データ送信を行うUEは、一般的にRRC_INACTIVE状態でネットワークに維持される。Rel-16まで、RRC_INACTIVE状態はデータ送信をサポートしない。よってUEは、任意のDL(MobileTerminated)およびUL(MobileOriginated)データに対する接続を再開する(例、RRC_CONNECTED状態になる)必要がある。接続セットアップ(または再開)およびその後のRRC_INACTIVE状態へのリリースは、データパケットがいかに小さくて低頻度であっても、各データ送信について行われる必要があるだろう。その結果、不必要な電力消費およびシグナリングオーバーヘッドがもたらされる。
【0074】
さらに、3GPP RP-193252の文書は、NR小規模データに関する3GPP作業項目の説明書であり、小規模データという意味での、小規模で頻度の低いデータトラフィックの以下の特定の例を提供し、以下のユースケースを含む。
- スマートフォンアプリケーション:
・ インスタントメッセージングサービス(ワッツアップ、QQ、ウィーチャットなど)からのトラフィック
・ IM/eメールのクライアントおよびその他のアプリからのハートビート/キープアライブトラフィック
・ さまざまなアプリケーションからのプッシュ通知
- 非スマートフォンアプリケーション:
・ ウェアラブルからのトラフィック(定期的な測位情報など)
・ センサ(定期的に、またはイベントによりトリガされる方式で温度、圧力の測定値を送信する産業用ワイヤレスセンサネットワークなど)
・ 定期的なメータ測定値を送信するスマートメータおよびスマートメータネットワーク
【0075】
小規模データ送信は、様々な異なるパケットサイズをサポートすることができ、異なるトラフィック要件を有することができる。
【0076】
たとえば、ハートビートトラフィック/キープアライブトラフィックの場合、パケットサイズは約50バイト~100バイトである。さらに、ハートビートメッセージは5分ごとまたは秒単位で届く。周期的なメータ測定値を送信するスマートメータの場合、パケットサイズは通常の送信で約12~100バイトである。周期的なトラフィックまたはイベントトリガトラフィック(非周期的なトラフィック)を送信するセンサの場合、パケットサイズは約8バイト~128バイトである。インスタントメッセージ(トラフィックパターンは決定的ではない)はテキスト、写真、ビデオなどを送ることができ、パケットサイズは100バイトから1000バイトまで変化する。プッシュ通知の場合、トラフィックパターンは決定的ではなく、異なるアプリケーションは非常に多様なメッセージサイズを生成する。
【0077】
RRC非アクティブ状態にあるUEがRRC接続状態への移行後に(小規模)データを送信することを可能にする従来技術(この場合、5G-NR準拠の従来技術の解決策)の例示的な手順について、図9を参照して以下で簡単に説明する。図から明らかなように、UEはRRC_Inactive状態にあると仮定し、これには、たとえば、UE(およびgNB)の全てのデータ無線ベアラが一時停止されていること、ならびにgNBにデータを送信できないことが含まれ得る。UEがデータを送信できるようにするには、まずUEをRRC接続状態に移行させる必要があり、これは、たとえば、UEがRACH手順の一部としてRRC接続の再開を要求する(ここでは、RRCResumeRequestを送信する)ことによって行うことができる(図9では、たとえば、4ステップのRACH手順を使用する)。
【0078】
詳細には、UEは現行のgNBにプリアンブルを送信してもよく、次いで無線リソースの小さいULグラントを有する対応のランダムアクセス応答を受信し、UEはそれを用いてRACH手順のmsg3としてRRCResumeRequestメッセージを送信する。
【0079】
最後に、新たなgNBがUEにRRCResumeメッセージを提供し、次いでUEはすべてのデータ無線ベアラの再開を含むRRC接続状態に移行する。RRC_Connected状態において、次いでUEはULデータを送信できる。
【0080】
UEを実際にRRC_CONNECTED状態に移行させるべきであるとgNBがいつどのように判断するかはまだ定義されていない。この点に関する制御は、UEがRRC接続を再開することを要求し得るとしても、依然としてgNB次第である可能性が高い。1つの例示的な可能性は、UEがRRC_CONNECTED状態に移行すべきか否かを決定するために、UEが例えばMsg3またはMsgAにおいて送信することができるバッファ状態報告をgNBが考慮に入れることである。バッファ状態報告は、UEバッファ内のデータの実際の量を示す。例えば、バッファ状態報告がUEバッファ内の大量のデータを示す場合、gNBは、(例えば、gNBがRRCResumeメッセージを送信することによって)UEをRRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に移行させることを決定し得る。一方、バッファ状態報告がUEバッファ内のわずかな量のデータしか示さない場合、gNBは、(例えば、gNBがRRCReleaseメッセージを送信することによって)UEをRRC_INACTIVE状態に保つことを決定し得る。さらに、Msg3/MsgAにおけるバッファ状態報告が無いことによっても、例えば、UEバッファにおいてさらなるデータが利用可能でないという通知をgNBに提供することができ、UEがRRC_INACTIVEに留まることができるという結果になる。さらに、Msg3/MsgAにバッファ状態報告がないことも、たとえば、UEバッファ内に利用可能なデータがこれ以上ないので、UEがRRC_INACTIVEに留まることができると結論付ける通知をgNBに提供し得る。
【0081】
図9の説明から分かるように、UEがアップリンクでユーザデータを送信できるようにするためにUEが最初に非アクティブ状態から接続状態に移行する必要がある上記のプロセスは、レイテンシを生じさせ、ユーザデータの送信ごとにかなりのUE電力を消費する。さらに、小規模データパケットを送信するときにINACTIVE状態のUEのために発生するシグナリングオーバーヘッドは一般的な問題であり、5G NRで同時に処理されるUEが増えるとさらに悪化する。
【0082】
したがって、3GPPは、RRC_Inactive UEが、UE状態をRRC Connectedに変更することなく、上りリンクにおいて小規模データを送信できるようにすることを意図している。一般に、INACTIVE状態にあるとき、断続的な小規模データパケットを有する任意のデバイスには、INACTIVE状態での小規模データ送信を可能にすることによる恩恵がある。
【0083】
3GPPでは、4ステップRACH、2ステップRACH(図6図7など、上記を参照)または設定グラント(CG)手順(上記のセクション「設定グラント、グラントフリーアクセス、グラントフリーアップリンク」を参照)を使用した小規模データ送信(SDT:small data transmission)を有効化することが合意された。本出願は主にCGベースのSDT手順を中心に展開するが、RACHベースのSDT手順もカバーしており、これは4ステップRACHまたは2ステップRACHのいずれに基づくかによらない。
【0084】
UEのアプリケーションタイプに応じて、UEはトラフィック要求が異なり得、それに対応してパケットサイズも異なり得る。gNBは設定グラント(たとえば、タイプ1)に基づいてUEに割り当てられるリソースを決定することができる。gNBは、たとえば、加入情報、トラフィックパターン、および他のタイプのUE支援情報のうちの1つまたは複数に基づいて、この決定を実行することができる。
【0085】
UEがまだRRC_INACTIVE状態にあるときにアップリンクで小規模データを送信する1つの可能性は、上記のようにRACH手順を使用することである。図10および図11に対して行う、またその後に本発明のいくつかの概念、解決策および変形例を説明するために行う以下の仮定は、単なる例示として考えられるべきである。
【0086】
例としてRACHベースの小規模データアップリンク送信を想定すると、UEは2ステップRACHまたは4ステップRACHのいずれかを使用してアップリンクで小規模データを送信することができ(MsgAまたはMsg3を参照)、簡略化した例示的なRACHベースの小規模データアップリンク送信手順を図10および図11に示す。図10および図11の両方において、UEが既にRRC_INACTIVE状態にあり、送信に利用可能な小規模データを有していると例示的に仮定する。図10は4ステップのRACH手順を想定しており、UEがMsg3で小規模データを送信する方法を示している。図11は2ステップのRACH手順を想定しており、UEがMsgAで小規模データを送信する方法を示している。
【0087】
一例によれば、制御メッセージおよび小規模データは、基地局に一緒に、例えば、同一のトランスポートブロックにおいて一緒に送信される。UEは、リソースを使用してトランスポートブロックを構成し、MACレイヤの同一のトランスポートブロックにおいてデータおよびシグナリングを一緒に多重する。4ステップRACHの場合、小規模データは、例えば、Msg2においてgNBから受信し上りリンクグラントを通じて許可された無線リソースに基づいてMsg3において送信される。2ステップRACHの場合、小規模データは、例えば、選択されたRACHプリアンブルに関連して以前に設定された無線リソースからUEによって選択された無線リソースを使用してMsgAにおいて送信される。
【0088】
さらに、図10および図11は、バッファ状態報告(BSR)をそれぞれMsg3およびMsgAに含めることができることを示しているが、BSRを含めることが例示的な可能性にすぎないことを反映するために、BSRは括弧内にしか示していない。たとえば、図10では、たとえばBSRが存在しないか、またはUEバッファ内にアップリンク小規模データがほとんどないことを示しているので、gNBがUEをRRC_Inactive状態に維持することを決定すると例示的に仮定する。それに対応して、RRCReleaseメッセージがMsg4で送信される。一方、図11では、たとえば、UEによって送信される必要があるUEバッファ内のアップリンクデータがかなりの量であることをBSRが示しているので、gNBがUEをRRC_Connected状態に移行させることを決定すると例示的に仮定する。それに対応して、RRCResumeメッセージがMsgAで送信される。さらに、図10では、アップリンクグラントをMsg2のランダムアクセス応答とは別に示しているが、図10では同等に、アップリンクグラントがランダムアクセス応答に属し、その一部であるとみなされ得る。
【0089】
要約すると、RRC_INACTIVEのUEのための小規模データアップリンク送信の考えられる例示的な実装が可能であり、たとえば、RACH手順に基づくことができ、これは2ステップまたは4ステップRACH手順(図10および図11を参照)のいずれであるかによらない。
【0090】
図12は、共に非アクティブ状態にあるUE1およびUE2の2つのUEに対する設定グラントを例示的な方法で示している。周期的なCGで割り当てられる無線リソースは、図12の一番上の行に示しており、特定の周期を有する。たとえば、ハートビートメッセージは5分ごとにUE1で送信に利用可能になり得るが、センサのトラフィック生成はトラフィック周期が1時間ごとである。
【0091】
同じCGリソースがUE1およびUE2の間で共有されて、UE1およびUE2でのアップリンク送信に利用可能になる。時刻t1において、UE1においてデータが送信に利用可能になると仮定する。次に使用可能なCGリソースは時刻t2であり、UE1はこれを使用して小規模データ送信を実行する。同様に、UE1は、t3で生成されたデータを送信するために、t4で設定グラントによって割り当てられた無線リソースを使用することができる。UE2において、小規模データが時刻インスタンスt5で送信に利用可能になり、UE2がt6で次に利用可能なCGを使用して小規模データを送信すると例示的に仮定する。
【0092】
3GPPでは、RRC非アクティブ状態に留まっているUEに対して(小規模)データの送信を有効化できる方法に関する標準化された方法について最終合意に達していない。しかしながら、UEが非アクティブ状態の間に小規模データ送信を実行するか否かを判断するためにデータボリューム閾値が使用されるという点で暫定的な合意に達した。たとえば、利用可能なデータボリュームが設定されたデータボリューム閾値を超えていない場合に、UEは非アクティブ状態で小規模データ送信をトリガすることを決定することができる。一方、小規模データの総量がデータボリューム閾値を上回る場合、UEはRRC_Connected状態に切り替わってSDTを実行する。
【0093】
<さらなる改良>
3GPPでデータボリューム閾値の使用に関する上記の合意が行われたが、それがどのように使用および実装されるかについての詳細はまだ不明である。
【0094】
たとえば、上記データボリューム閾値がランダムアクセスベースの小規模データ送信(RAベースのSDT:Random-Access-based small-data transmission)と、設定グラントベースの小規模データ送信(CGベースのSDT:configured-grant-based small-data transmission)とに共通に使用されるか否かは不明である。発明者らは、1つのデータボリューム閾値が共通に使用される場合、データボリューム閾値の特定の値の定義がRAベースのSDTまたはCGベースのSDTの性質に合わせて調整されていないということを認識した。
【0095】
たとえば、データボリューム閾値が、割り当てられたCGベースの無線リソースよりも低く設定される場合、UEは、特定の量の小規模データを送信するのに十分かつ有効なCGベースの無線リソースを有しているにもかかわらず、利用可能な小規模データの量がデータボリューム閾値より大きいので、依然としてRRC接続状態に移行しなければならなくなる。その結果、電力消費ならびにシグナリングオーバーヘッドが増加し得る。
【0096】
さらに、データボリューム閾値が全てのUEに共通であるか否かは不明である。たとえば、本発明者らは、UEが異なるトラフィック要求およびサービスを有するので、1つの共通のデータボリューム閾値が全てのUEに適していない可能性があり、適切な値を見つけることが難しいので、全てのUEに共通のデータボリューム閾値を設定することがgNBにとって困難であるということを認識した。電力消費およびシグナリングオーバーヘッドは、異なるUEにとっては最適ではないであろう。これは、RAベースのSDTだけでなくCGベースのSDTにも当てはまる(たとえば、CGリソースは、gNBによってUEのトラフィック要求および特性に基づいて定義され得る)。
【0097】
発明者らは、上記で論じた潜在的な欠点および課題を特定しており、したがって、上記で特定した問題のうちの1つまたは複数を回避または軽減することを可能にする改良された小規模データ送信手順を提供する可能性を特定した。本発明は、そのような改良された小規模データ送信手順のための様々な解決策および変形例に関する。
【0098】
<実施形態>
以下では、これらのニーズを満たすためのUE、基地局、および手順が5G移動通信システムのために想定される新たな無線アクセス技術のために説明されるが、LTE移動通信システムにおいても使用されうる。様々な実装形態および変形例も同様に説明される。以下の開示は、上述の議論および知見によって促進され、例えば、その少なくとも一部に基づくことができる。
【0099】
一般に、本開示の根底にある原理を明確で簡潔かつ理解可能な方法で説明できるようにするために、本明細書では多くの仮定を行ってきており、以下でも行うことに留意されたい。しかしながら、これらの仮定は、説明のために本明細書でなされた単なる例として理解されるべきであり、本開示の範囲を限定すべきではない。当業者は、以下の開示の原理および特許請求の範囲に記載した原理が、異なるシナリオに適用することができ、また、本明細書で明示的に説明していない方法で適用することができることに気付くであろう。
【0100】
さらに、以下において使用される手順、エンティティ、レイヤなどの用語のいくつかは、LTE/LTE-Aシステムまたは現行の3GPP 5G標準化において用いられる用語に密接に関係するが、次の3GPP 5G通信システムに対する新しい無線アクセス技術のコンテキストにおいて用いられる特定の用語はまだ完全に決定されていないか、または最終的に変更され得る。よって、実施形態の機能に影響することなく、将来は用語が変更される可能性がある。結果として、実施形態およびそれらの保護範囲は、より新しい用語または最終合意される用語を欠いた本明細書において例示的に使用される特定の用語に制限されるべきではなく、本開示の機能および原理の基礎をなす機能および概念によってより広く理解されるべきであることを当業者は認識している。
【0101】
たとえば、移動局または移動ノードまたはユーザ端末またはユーザ機器(UE)は、通信ネットワーク内の物理エンティティ(物理ノード)である。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有してもよい。機能エンティティとは、同じもしくは別のノードまたはネットワークの他の機能エンティティに対して予め定められた機能セットを実施および/または提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを示す。ノードは、ノードの通信を可能にする通信設備または媒体にノードを取り付ける1つ以上のインタフェースを有してもよい。同様に、ネットワークエンティティは、自エンティティと他の機能エンティティまたは対応するノードとの通信を可能にする通信設備または媒体に機能エンティティを取り付ける論理インタフェースを有してもよい。
【0102】
本明細書における「基地局」または「無線基地局」という用語は、通信ネットワーク内の物理エンティティを示す。移動局と同様に、基地局はいくつかの機能エンティティを有してもよい。機能エンティティとは、同じもしくは別のノードまたはネットワークの他の機能エンティティに対して予め定められた機能セットを実施および/または提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを示す。物理エンティティは、スケジューリングおよび設定のうちの1つ以上を含む、通信デバイスに関するいくつかの制御タスクを実行する。なお、基地局の機能と通信デバイスの機能とが単一のデバイス内に統合されてもよい。たとえば、移動端末は、他の端末に対する基地局の機能も実装してもよい。LTEにおいて使用される用語はeNB(またはeNodeB)であるが、5G NRに対して現在使用される用語はgNBである。
【0103】
UEと基地局との通信は典型的に標準化されており、たとえばPHY、MAC、RRCなどの異なるレイヤによって定義されてもよい(上記の背景技術の説明を参照)。
【0104】
本出願において使用される「小規模データ」という用語は、UEと基地局とがたとえば非小規模に対する小規模として合意したデータとして広く理解されるべきである。たとえば、データが小規模データとみなされるか否かは、基地局がデータ量閾値を設定することによって定義され得る。代替的に、何が小規模データを構成するかは電気通信規格によって、たとえばデータ量閾値を設定することなどによって定義され得る。例として、小規模データとは何かについての可能な定義は、上記の対応する小規模データのセクションで見つけることができる。
【0105】
本出願において使用される「非アクティブ状態」という用語は、UEと基地局との間の通常のデータ交換ができない状態として広く理解されるべきである。非アクティブ状態のときのUEは、アクティブに使用されるデータ接続を有しないかもしれないが、なおも1つ以上の非アクティブデータ接続を有し(例、存在するが現在使用されていないともいえる)、それによって最初にデータ接続を再開させる必要なく(小規模)データ送信が可能である。説明を完成させるために、アイドル状態のUEは、UEが基地局にデータを送信することを可能にするデータ接続を有しないのに対し、接続状態のUEは、基地局にデータを伝達するために即時使用できる1つ以上のアクティブデータ接続を有する。
【0106】
本出願で使用する「データボリューム閾値」という用語は、データの、この場合はたとえば小規模データのボリューム(すなわち、データの量)の上限閾値(「限度」とも称され得る)を指すものとして広く理解されるべきである。データボリューム閾値は、対応するデータの量またはボリュームと比較可能であり、UEおよび/または基地局におけるさらなる判定のためのパラメータとして機能する。
【0107】
本出願で使用する「周期的無線リソース」という用語は、時間的に周期的に発生する(たとえば、時間領域および/または周波数領域の)無線リソースを指すものとして広く理解されるべきである。これらの「周期的無線リソース」は、(UEにサービス提供する)対応するサービング基地局によって事前に1つのUE(または複数のUE)に割り当てることができるので、既に設定されており、(小規模)データが送信に利用可能になったときにUEが最初に無線リソースを要求する必要なく、UEがデータを送信するために使用可能である。一例では、「周期的無線リソース」は、5G実装に関して上述したような設定グラント、たとえば、タイプ1の設定グラントのものである。
【0108】
本出願は、周期的リソースベースの小規模データ送信(たとえば、上述のCGベースのSDT)と、ランダムアクセスベースの小規模データ送信(たとえば、上述のRAベースのSDT)と、を区別する。
【0109】
以下の解決策では、改良された小規模データ送信手順が、3GPP 4Gまたは5G規格に従って既に定義された小規模データ送信に概念的に基づくと例示的に仮定する。
【0110】
図13は、ユーザ機器(通信デバイスとも称する)と、スケジューリングデバイス(ここでは、eLTE eNB(別名、ng-eNB)または5G NRのgNBなどの基地局に配置されると例示的に仮定する)との一般的で簡略化した例示的なブロック図を示している。UEおよびeNB/gNBは、それぞれ送受信機を使用して(ワイヤレス)物理チャネルを介して相互に通信する。
【0111】
通信デバイスは、送受信機と処理回路とを含んでもよい。送受信機は、受信機および送信機を含んでもよく、かつ/または受信機および送信機として機能してもよい。処理回路は、たとえば1つ以上のプロセッサまたは任意のLSIなどの1つ以上のハードウェアであってもよい。送受信機と処理回路との間に入力/出力点(またはノード)が存在し、処理回路は動作中にこの入力/出力点を通じて送受信機を制御でき、すなわち受信機および/または送信機を制御して受信/送信データを交換できる。送受信機は、送信機および受信機として、1つ以上のアンテナ、増幅器、およびRF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数:radio frequency)フロントを含んでもよい。処理回路は、たとえば送受信機を制御して、処理回路が提供するユーザデータおよび制御データを送信すること、および/または処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信することなどの制御タスクを実施してもよい。加えて処理回路は、たとえば判定、決定、計算、測定などのその他のプロセスの実行を担ってもよい。送信機は、送信のプロセスおよびそれに関するその他のプロセスの実行を担ってもよい。受信機は、受信のプロセスおよびそれに関するその他のプロセス、たとえばチャネルのモニタなどの実行を担ってもよい。
【0112】
改良された小規模データ送信手順の様々な解決策を以下に説明する。これに関連して、改良された小規模データ送信手順に参加する改良されたUEおよび改良された基地局を示す。UE動作および基地局動作に対応する方法も提供する。
【0113】
図14は、改良された小規模データ送信手順の1つの例示的な実装形態による簡略化した例示的なUE構造を示しており、これは、図13に関連して説明した一般的なUE構造に基づいて実装することができる。この図14に示すUEの様々な構造要素は、たとえば、制御およびユーザデータならびに他の信号を交換するために、たとえば、対応する入力/出力ノード(図示せず)によって、互いに相互接続することができる。説明のために図示していないが、UEはさらなる構造要素を含み得る。
【0114】
図14から明らかなように、UEは、第1のデータボリューム閾値決定回路、小規模データ送信判定回路、および小規模データ送信機を含み得、小規模データ送信機は、たとえば、UEに割り当てられた周期的無線リソースまたはランダムアクセス手順を使用してデータを送信することができる。
【0115】
したがって、この場合、以下の開示から明らかになるように、UEの受信機は、データボリューム閾値インデックスを受信すること、データボリューム閾値インデックスとデータボリューム閾値との間の関連付けに関する情報を受信すること、異なるデータボリューム閾値と割り当てられた周期的無線リソースの設定パラメータの異なる値との間の他の関連付けに関する情報を受信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成することができる。
【0116】
したがって、この場合、以下の開示から明らかになるように、UEの処理回路は、第1のデータボリューム閾値を決定すること、送信に利用可能になった小規模データを送信することを決定すること、前に決定された第1のデータボリューム閾値を使用して、周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定すること、周期的リソースの設定パラメータの値を決定することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成することができる。
【0117】
したがって、この場合、以下の開示から明らかになるように、UEの送信機は、周期的リソースを使用して、もしくはランダムアクセス手順の一部として、または接続状態にあるときに、小規模データを送信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成することができる。
【0118】
以下でさらにより詳細に開示する1つの例示的な手順は、以下を含むUEによって実現される。UEのプロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定する。プロセッサは、送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定する。UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEの送信機は、利用可能な小規模データの送信を実行する。第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる。一方、第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない。
【0119】
上記で論じたUEに沿った例示的なUE動作に対応するシーケンス図を図15に示す。対応する方法は、UEによって実行される以下のステップ、すなわち、
第1のデータボリューム閾値を決定するステップと、
送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定するステップであって、UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある、ステップと、
利用可能な小規模データの送信を実行するステップと、
を含み、
第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられ、
第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない。
【0120】
図15によるUE動作の例示的な実装は、UEにサービス提供するサービング基地局によって事前に割り当てられた周期的無線リソースを使用して小規模データ送信を送信するか否かを区別するための判定ステップを含む。上記で示したように、第1のデータボリューム閾値は、この周期的リソースベースの小規模データ送信のために特別に設定されており、小規模データのランダムアクセスベースの送信に適用可能ではない。図15では、これは、第1のデータボリューム閾値が周期的リソースベースの小規模データ送信の分岐では使用されるが、ランダムアクセスベースの小規模データ送信の分岐では使用されないという点で例示的に示している。図15のUE動作は、改良された小規模データ送信手順のこの概念を反映するために大幅に簡略化しており、UEの動作、特にランダムアクセスベースの小規模データ送信のためのものは、限定と考えられるべきではなく、改良された小規模データ送信手順のこの広範な実装の焦点ではないと考えられるべきである。むしろ、改良された小規模データ送信手順のさらなる変形例は、ランダムアクセスベースの小規模データ送信に関するUE動作を定義する。
【0121】
改良された小規模データ送信手順は、UEが現在接続されている基地局(たとえば、サービング基地局と称される)も関与する。それに対応して、改良された小規模データ送信手順は、それに参加する基地局も提供する。基地局は以下を含むことができる。基地局のプロセッサは、周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器UEに割り当てる。割り当てられた周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である。プロセッサは、割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定する。複数のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用されない。基地局の送信機は、決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報をUEに送信する。
【0122】
図16は、改良された小規模データ送信手順の1つの例示的な実装による簡略化した例示的な基地局構造を示しており、これは、図13に関連して説明した一般的な基地局構造に基づいて実装することができる。この図16に示す基地局の様々な構造要素は、たとえば、制御およびユーザデータならびに他の信号を交換するために、たとえば、対応する入力/出力ノード(図示せず)によって、互いに相互接続することができる。説明のために図示していないが、基地局はさらなる構造要素を含み得る。
【0123】
これから明らかなように、基地局は、周期的無線リソースを割り当てるための回路と、UEが小規模データ送信および周期的無線リソースと共に使用するためのデータボリューム閾値を決定するための回路と、決定されたデータボリューム閾値に関する情報をUEに送信するための送信機と、を含む。
【0124】
上記で論じた基地局に沿った例示的な基地局動作に対応するシーケンス図を図17に示す。対応する方法は、基地局によって実行される以下のステップ、すなわち、
周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器UEに割り当てるステップであって、割り当てられた周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である、ステップと、
割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定するステップであって、複数のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用されない、ステップと、
決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報をUEに送信するステップと、
を含む。
【0125】
UEおよび基地局のための改良された小規模データ手順、ならびに対応するUEおよび基地局の方法に関する上記の説明から明らかなように、データボリューム閾値は、周期的リソースベースの小規模データ送信に固有であり、たとえば、周期的リソースベースのSDTのために定義および使用され、ランダムアクセスベースのSDTには使用されない。したがって、別の共通のデータボリューム閾値(周期的リソースベースのSDTとランダムアクセスベースのSDTとの間で共通)と比較して、周期的リソースに適した閾値を(たとえば基地局によって)定義することが可能である。非アクティブ状態に留まるのではなく、小規模データを送信するためにいつ接続状態に切り替わるかについてのUE側での決定をより正確に、割り当てられた周期的リソースに合わせて行うことができる。
【0126】
たとえば、小規模データ送信に十分な周期的リソースが利用可能であるにもかかわらず、UEが接続状態に切り替わる必要があるシナリオを回避することができる。この目的のために、データボリューム閾値は、たとえば、最も低いデータボリューム閾値が設定された周期的リソースのサイズよりもまだ大きくなるように、割り当てられた周期的リソースに基づいて個別に適応させることができる。
【0127】
以下では、対応するUE構造、UE動作、基地局構造、および基地局動作を含む、上記で提示した改良された小規模データ送信手順の様々な変形例および実装形態を提示する。
【0128】
様々な解決策では、UEが現在非アクティブ状態にあり、データ(または小規模データ)が送信に利用可能になることを想定する。データは、アップリンクで基地局に送信することができるが(以下では主に例として想定している)、代わりにサイドリンクインターフェース(たとえば、PC5)で他のUEに送信することができる。
【0129】
概要として、第1の解決策を提示し、これによれば、基地局はデータボリューム閾値のインデックスをUEに送信し、UEはそれぞれ、受信されたインデックスに従って対応するデータボリューム閾値を取得できるようにするUE固有の関連付けを有する。
【0130】
第2の解決策を提示し、これによれば、UEは、UEに既に記憶されている(たとえば、マッピングテーブルの形式の)関連付けと、小規模データの送信に使用するためにUEに事前に割り当てられた周期的無線リソースの対応する設定パラメータとに基づいて、適切なデータボリューム閾値を自律的に決定する。
【0131】
さらに第3の解決策を提示し、これによれば、UEは、前もって割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データを送信するか否かを判定するためにデータボリューム閾値を使用しない。その代わりに、UEは、常に最初にこれらの周期的リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を開始し得るが、UEを非アクティブ状態に留まらせるべきか、またはUEを接続状態に移行させるべきかについて基地局が判断するのを支援する支援情報を基地局に追加的に提供する。
【0132】
最後に、第4の解決策を提示し、これによれば、基地局は、単純かつ動的な方法で、UEが非アクティブ状態にある間に1つ以上のUEが小規模データの送信に使用できる特定の周期的リソースを有効化または無効化し得る。この解決策は、基地局が対応するインデックスをシステム情報などで送信することに依存しており、そこから各UEは次いで、自身の事前設定された周期的リソースが有効化されているか無効化されているかを自身で導き出すことができる。
【0133】
以下の4つの解決策では、たとえばUEがまだ接続状態にある間に、基地局が事前に1つ以上のUEに周期的無線リソースを割り当てる(たとえば、設定グラントを参照)と仮定する。1つの例示的な可能性は、非アクティブ状態にあるときに小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースをUEに提供するために、上述の5Gの解決策を再利用することであり、たとえば、引用したTS38.331v16.3.1から抽出されたRRC情報要素ConfiguredGrantConfigおよびConfiguredGrantConfigIndexの上記の定義を基地局によって使用することができる。
【0134】
したがって、それに対応して、UEは、非アクティブ状態にあるときに設定グラントのこれらの周期的無線リソースを使用して送信に利用可能になった小規模データを送信することが可能になる。
【0135】
それに加えて、またはその代わりに、UEは小規模データを送信するためにランダムアクセス手順を使用するように構成されてもよい。
【0136】
<第1の解決策-インデックスを使用したUE固有のデータボリューム閾値>
簡単に言うと、改良された小規模データ送信手順の第1の解決策は、基地局がデータボリューム閾値のインデックスをUEに送信し、UEが受信されたインデックスに従って対応するデータボリューム閾値を取得できるようにするUE固有の関連付けがUEにそれぞれ記憶されていることに基づいている。次いで、このデータボリューム閾値は、UEが非アクティブ状態で利用可能な小規模データを送信すべきか否かを判定するために使用することができる。そうすべきでない場合、小規模データを送信するために、最初に接続状態に移行することが必要になり得る。
【0137】
この第1の解決策の例示的な基地局動作を図18に示す。この第1の解決策の対応する例示的なUE動作を図19に示す。
【0138】
この第1の解決策について論じるために、以下ではいくつかの仮定を行う。基地局は、UEが非アクティブ状態にあるときにUEによって小規模データ送信がどのように実行されるかについて適切にUEを設定する役割を担うと例示的に仮定する。
【0139】
さらに、図18から明らかなように、基地局は、(特に可能なデータボリューム閾値に関して)事前に1つ以上のUEを設定し、その後、どの特定のデータボリューム閾値が使用されるかについて1つ以上のUEを動的に制御する役割を担う。
【0140】
簡単に言うと、これには、たとえば基地局が、
・最初にデータボリューム閾値を決定し、
・決定されたデータボリューム閾値に関する適切な情報を、場合によってはインデックスとデータボリューム閾値との間の関連付けとしてUEに送信し、
・現時点で適切なデータボリューム閾値または適切なインデックスを動的に決定し、
・決定されたインデックスを1つ以上のUEに送信する
ことが含まれる。
【0141】
転じて、UEはインデックスを受信し、受信されたインデックスと、可能性のあるインデックスとデータボリューム閾値との間の関連付けに関する前もって受信された情報と、に基づいて、対応するデータボリューム閾値を決定することができる。この第1の解決策の対応する例示的なUE動作を図19に示す。
【0142】
簡単に言うと、図15の前述のUE動作と比較して、これには、より具体的には、UEが、
・異なるデータボリューム閾値インデックスと対応するデータボリューム閾値との間の関連付けに関する情報を受信し、
・サービング基地局からデータボリューム閾値インデックスを受信し、次いで、
・受信されたインデックスに対応する関連付けにおける閾値を見つけることによって、第1のデータボリューム閾値を決定する
ことによって、第1のデータボリューム閾値を決定することが含まれる。
【0143】
上記で要約した基地局動作およびUE動作のさらなる詳細および変形例について、以下で説明する。
【0144】
UEはデータボリューム閾値を使用して、(周期的リソースを使用して)非アクティブ状態で小規模データを送信すべきか、または接続状態で小規模データを送信すべきかを判定する。利用可能な小規模データがデータボリューム閾値未満であるとUEが判定した場合、UEは小規模データを送信するために非アクティブ状態に留まることができると判定する。UEは周期的無線リソースを使用した小規模データの送信に進む。そうでない場合、利用可能な小規模データはデータボリューム閾値より大きく、UEは、非アクティブ状態では小規模データを送信することができず、むしろ接続状態に移行する必要があると判定する。それに対応して、UEは接続状態への移行に進む。図19には示しておらず、以下では詳細に説明しないが、UEの接続状態への移行には、たとえば、最初にUEと基地局との間で適切なメッセージを交換することが含まれ得る。最終的に、UEは、接続状態で、たとえば動的に割り当てられた無線リソースを使用して、小規模データを送信する。
【0145】
第1の解決策は、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間の関連付けに依存する。この関連付けは、たとえば、1つのインデックスとそれに対応するデータボリューム閾値との間の1対1のエントリを有するマッピングテーブルの形式にすることができる。これにより、基地局は、UEが割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データ送信を実行するか否かを判定するために使用することができるいくつかの異なるデータボリューム閾値を設定する。
【0146】
インデックスと対応するデータボリューム閾値との間のこの関連付けは、基地局のセル内の異なるUE間で共通にすることができる。そのような場合、異なるUEによって同じ関連付けが使用される。
【0147】
一方、UEに共通のマッピングテーブルを使用する代わりに、基地局は、たとえばUEのうちの1つまたはグループごとに、UE固有の関連付けを決定することができ、基地局は、異なるデータボリューム閾値に対応するエントリを有するそのようなマッピングテーブルを用意する。これには、基地局がデータボリューム閾値の値を決定するときにUE固有の状況を考慮できるという利点がある。たとえば、基地局は、
・そのUEの時間領域におけるトラフィックパターン、
・そのUEの優先順位、
・そのUEから受信される典型的なパケットサイズ、
のうちの1つまたは複数を考慮することができる。
【0148】
たとえば、UEのトラフィックパターンは、たとえば、UE1が5分ごとにトラフィックを送信し、UE2が1時間ごとにデータを送信するなどであり得る。それに対応して、基地局は、UE1に対して5分の周期を有する周期的リソースを設定することができ、UE2に対して1時間の周期を有する周期的リソースを設定することができる。一例では、基地局は、より短い周期を有するUE1に対してより大きいデータ閾値を設定することができる。
【0149】
たとえば、UEの優先順位は、高優先順位のUE、中優先順位のUE、および低優先順位のUEを区別することができる。概念的には、基地局は、中優先順位のUEまたは低優先順位のUEと比較して、高優先順位のUEに対してより高いデータボリューム閾値の値を決定することができ、これにより、高優先順位のUEが非アクティブ状態でより多くのデータを送信できるようになるので、電力が節約される。別の目標に従って、基地局は、中優先順位のUEまたは低優先順位のUEと比較して、高優先順位のUEに対してより低いデータボリューム閾値の値を決定することができ、これにより、高優先順位のUEがより早く接続状態に移行し、小規模データ送信がよりロバストになる。
【0150】
さらに、たとえば、UEによって典型的に送信される小規模データパケットの典型的なパケットサイズを、データボリューム閾値を決定するために基地局によって考慮される他のパラメータとすることができる。たとえば、典型的なパケットサイズが大きいほど、UEが非アクティブ状態で小規模データを送信し続けられるようにするために、基地局がより高いデータボリューム閾値を決定することになり得る。あるいは、基地局は、UE固有の関連付けの最小のデータボリューム閾値が典型的なパケットサイズよりも大きいことが保証される限り、典型的なパケットサイズのみを考慮することができる。
【0151】
特定のUE固有の特性を一貫して考慮することにより、基地局は、トラフィックパターン、UEの優先順位、または典型的なパケットサイズなど、類似のUE特性に対して類似のUE固有の関連付けを決定することができる。その結果、基地局が次いで対応するデータボリューム閾値インデックスをブロードキャストすると、類似のUEは同一または類似のデータボリューム閾値を使用することになるので、基地局のセル全体で明確に定義された一貫したUE動作が容易になる。
【0152】
UEの観点から見ると、UEは、異なるインデックスと対応するデータボリューム閾値との間の関連付けを含む、サービング基地局によって生成されたマッピングテーブルを単に受信する。
【0153】
UE1およびUE2ならびにサービング基地局における例示的なマッピングテーブルを以下に示す。
【表6】
【表7】
【0154】
上記のマッピングテーブルから明らかなように、基地局が同じインデックス(たとえば、インデックス3)をブロードキャストした場合、UE1およびUE2は場合によっては異なるデータボリューム閾値を使用し得る。
【0155】
さらに、上記に加えて、または上記の代わりに、インデックスと異なるデータボリューム閾値との間の関連付けの決定は、全ての論理チャネルに共通であるか、または論理チャネルのうちの1つまたはグループに固有とすることができる。
【0156】
具体的には、関連付けが全ての論理チャネルに共通であると仮定すると、基地局はデータボリューム閾値を決定するときに異なる論理チャネルを区別しない。論理チャネルは、たとえば、小規模データを生成するUE内の異なるサービスに関連付けることができ、ここで、論理チャネル(およびサービス)は特定の特性(たとえば、優先順位、異なるQoSなど)を有する。
【0157】
UE側では、UEは適切なデータボリューム閾値を決定するときに、小規模データがどの論理チャネルに割り当てられているかを区別しない。むしろ、UEが選択を行う全ての論理チャネルに対して1つの関連付けが存在することになり、言い換えれば、関連付けは全ての論理チャネルに共通である。したがって、UEは、小規模データが割り当てられている1つまたは複数の論理チャネルに関係なく、利用可能な小規模データをデータボリューム閾値と比較する。
【0158】
一方、全ての論理チャネルに共通の関連付けを有する代わりに、基地局は論理チャネルごと、または論理チャネルのグループごとに(ただし、全ての論理チャネルに対してではない)1つの関連付けを用意することができる。
【0159】
次いで、UEはデータボリューム閾値を決定するときに、小規模データが割り当てられる論理チャネルも考慮する。具体的には、UEは、小規模データが割り当てられる論理チャネルを決定し、次いで、前に受信されたインデックスを使用することによって、前に決定された論理チャネルに対応する論理チャネル固有の関連付けからデータボリューム閾値を決定する。
【0160】
たとえば、基地局側で関連付けが用意される論理チャネルのグループは、優先順位、QoSなど、同一または類似の特性を有する論理チャネルを含むことができる。
【0161】
論理チャネル間でマッピングテーブルを区別することは、基地局がその論理チャネル(または論理チャネルのグループ)に適したデータボリューム閾値を設定することができるという点で有益であり得る。さらに、基地局による設定がより単純になる。その理由は、基地局が可能性のある全ての論理チャネルを考慮して統合された(共通の)マッピングテーブルを決定する必要がないためであり、対応する基地局アルゴリズムを設計する方が簡単であり得る。
【0162】
たとえば、論理チャネルは、(たとえば、低レイテンシ要件に関して)異なる優先順位を有することができ、ある論理チャネル#1は高い優先順位(たとえば、厳格な低レイテンシ要件)を反映し、他の論理チャネル#2は低い優先順位(たとえば、緩和されたレイテンシ要件)を反映する。そのような場合、優先順位の高い論理チャネル#1には、優先順位の低い論理チャネル#2よりも比較的大きいデータボリューム閾値を設定することができ、UEが最初に接続状態に移行する必要がある場合に、論理チャネル#1の小規模データが追加の遅延を受ける可能性が低くなる。
【0163】
あるいは、より高い優先順位を有するUEのみによって、またはより高い優先順位を有するサービス(および論理チャネル)のみに関して、より大きいデータボリュームを送信することができる。
【0164】
他の例は、論理チャネルが異なるトラフィックパターンを有し得るものであり得る。例として、論理チャネル1は5分ごとのトラフィックを有し、論理チャネルは1時間ごとのトラフィックを有する。この場合、トラフィックパターンの周期が長いほど、データボリューム閾値を小さく設定することができる。
【0165】
UE1および基地局における例示的な論理チャネル固有のマッピングテーブルを以下に示す。UE1には2つの異なる論理チャネルのみが設定されると例示的に仮定する。
【表8】
【表9】
【0166】
それに対応して、UEは、送信に利用可能になったばかりの小規模データが論理チャネル1に属するか論理チャネル2に属するかを判定する。値1のインデックスが基地局によって指示されたと仮定すると、UEはこれにより、小規模データが論理チャネル1のものである場合には100バイトのデータボリューム閾値を決定することになり、小規模データが論理チャネル2のものである場合には500バイトのデータボリューム閾値を決定することになる。
【0167】
1つの例示的な変形例は、小規模データが2つ以上の論理チャネルから利用可能になり得ることを考慮する。この場合、UEは論理チャネルごとに、その論理チャネルのデータの量が論理チャネル固有のデータボリューム閾値より大きいか否かを個別に判定し得る。一例では、論理チャネルのうちの1つについてデータボリューム閾値を超えている場合、UEは、非アクティブ状態では小規模データを送信することができず、代わりに接続状態に移行する必要があると判定し得る。
【0168】
上述したように、基地局は、インデックスと対応するデータボリューム閾値との間のUE固有の関連付けを後の使用のためにUEに送信する。この基地局の送信は、たとえばUEがまだRRC接続状態にあるときに、たとえばRRCプロトコルのメッセージを使用するなど、様々な方法で実行することができる。
【0169】
例示的な3GPP準拠の実装は、次の情報要素をRRCReleaseメッセージに含めることができる。
【数3】
【0170】
それに対応して、UEはRRCプロトコルのメッセージ、たとえば、上述のRRCReleaseメッセージでUE固有の関連付けを受信することができる。
【0171】
上記では、第1の解決策は、UEがどのデータボリューム閾値を使用すべきか、また、これに関してどのインデックスをセル内にブロードキャストすべきかを決定する基地局側のステップを含むものとして説明した。基地局によってどのインデックスを送信するかの決定は、様々な方法で行うことができ、1つまたは複数の考慮事項に基づくことができる。
【0172】
たとえば、基地局は、セル内でブロードキャストされる1つのインデックスを決定するときに、自身の負荷状況を考慮することができる。1つの例示的な実装形態によれば、基地局における負荷状況は、
・ダウンリンクおよびアップリンク送信のスケジューリングに利用可能な無線リソースの量、
・接続状態にあるUEの数、
・など
のうちの1つまたは複数に基づくことができる。
【0173】
UE1およびUE2のための基地局側の例示的なマッピングテーブルを以下に示す。
【表10】
【表11】
【0174】
上記の例示的なテーブルから明らかなように、基地局の負荷が高くなるほど、基地局によって選択されるデータボリューム閾値は低くなる。それに対応して、高負荷状況にある基地局は、UE1およびUE2がそれぞれ200バイトおよび500バイトをデータボリューム閾値として使用するためにインデックス2をブロードキャストし、低負荷状況にある基地局は、UE1およびUE2がより高いデータボリューム閾値、すなわち、両方のUEに対して800バイトを使用するためにインデックス4をブロードキャストする。したがって、基地局の負荷が高くなるほど、基地局はデータボリューム閾値を低下させることによって、より多くのUEを強制的に接続状態に切り替えることに関心を示し得る。
【0175】
負荷状況に基づいてインデックスを決定することは、過負荷になった基地局が適切なデータボリューム閾値を選択することが可能になり、非アクティブ状態での小規模データ送信がまばらにしか発生しなくなるので、有用である。
【0176】
基地局の負荷状況に基づく適切なインデックスの上記の決定に加えて、またはその代わりに、以下の変形例は、基地局がそのセル内にいくつかの送信ビーム(たとえば、5Gでは、同期信号ブロックSSB(Synchronization Signal Block)ビームとも呼ばれ得る)を有するシナリオを考慮する。この場合、基地局は、全ての送信ビーム間で共通のデータボリューム閾値インデックスを使用することができ、または基地局は、送信ビームのうちの1つまたはグループに固有のデータボリューム閾値インデックスを決定することができる。
【0177】
たとえば、基地局は、全ての送信ビームに対して1つのインデックスを決定し、次いで、それに対応して、全ての送信ビームのシステム情報でビーム共通インデックスをブロードキャストすることができる。
【0178】
一方、基地局は、送信ビームまたは送信ビームのグループごとに異なるインデックスを決定し、次いで、ビーム固有のインデックスをそれぞれ対応する1つ以上の送信ビームのシステム情報でブロードキャストすることができる。
【0179】
ビーム固有のインデックスを決定する場合、基地局は、ビームの混雑度(たとえば、そのビーム内に位置するUEの数)など、送信ビーム間の差異をさらに考慮することができる。一例によれば、送信ビーム内のUEの数は異なり、基地局は、たとえば、混雑度の高いビームに対しては比較的低いデータボリューム閾値を有するインデックスを選択し、逆に、混雑度が低いビームに対しては比較的高いデータボリューム閾値を有するインデックスを選択することによって、送信ビームに適したインデックスを選択する。ビームが混雑している場合、リソースの不足が発生する。
【0180】
UEの観点から見ると、UEは自身が位置する送信ビームを介してシステム情報を受信している。したがって、UEは、どんな場合でも、自身の現在の送信ビームを介してシステム情報を受信する。
【0181】
上記には様々な利点があり得る。セルごとに共通のインデックスを有することにより、ビーム固有のインデックスを有する場合と比較してシグナリングオーバーヘッドを削減することが可能になる。一方、データボリューム閾値を指示するためにビーム固有のインデックスを使用することは柔軟性が高く、異なるビーム間でトラフィック負荷が大幅に異なる場合などに特に有用である。
【0182】
上記では、基地局において適切なデータボリューム閾値インデックスを決定できる方法の詳細を提供した。適切なインデックスを決定した後、基地局は対応するインデックスをUEに送信する。これは、たとえば、基地局によってそのセル内に(存在する場合にはそれぞれ送信ビームを介して)ブロードキャストされるシステム情報で行うことができる。これは、非アクティブ状態にあるUEがシステム情報を受信することになっているため、全てのUEが基地局によってブロードキャストされるデータボリューム閾値インデックスにアクセスできるようになることを考慮すると有益である。
【0183】
そのようなデータボリューム閾値インデックスの特定の5G準拠の例は、次の情報要素CG-datavolumethreshold-Indexで提供される。
【数4】
【0184】
あるいは、インデックスをMAC制御要素でUEに提供することができる。
【0185】
逆に、UEはそれに応じて、たとえば基地局によってブロードキャストされるシステム情報を介して、またはMAC CEで、サービング基地局からインデックスを受信することができる。
【0186】
上述の第1の解決策では、データボリューム閾値は主に周期的リソースベースの小規模データ送信のために定義されていたので、周期的リソース固有のインデックスおよびデータボリューム閾値が提供される。しかしながら、第1の解決策は、これに関して適用されることに限定されず、ランダムアクセスベースの小規模データ送信の状況においても適用することができる。したがって、第1の解決策は、周期的無線リソースを使用した小規模データ送信が実装される方法とは独立して、RAベースの小規模データ送信のためにスタンドアロンとして適用することができる。したがって、例として、周期的リソースベースの小規模データ送信のためのデータボリューム閾値を示すためのインデックスを使用することに加えて、またはその代わりに、基地局およびUEは、ランダムアクセスベースの小規模データ送信のためにUEによって使用される(さらなる)データボリューム閾値を示すための(さらなる)インデックスを使用することができる。
【0187】
前述の周期的リソースに特化した第1の解決策と、下記のランダムアクセスに特化した第1の解決策との主な違いについて、以下で説明する。上記で行った仮定のほとんどは、このランダムアクセスに特化した第1の解決策にも同様に適用され、上記を参照する。
【0188】
違いは、たとえば基地局によって事前に適切な周期的リソースが設定されていないので、UEが周期的リソースを使用した小規模データ送信を実行しようとしないことである。その代わりに、UEは、小規模データが送信に利用可能になると、小規模データを送信するためにランダムアクセス手順を使用することが可能になる。しかしながら、UEは、データボリューム閾値を使用して、(ランダムアクセス手順を使用して)非アクティブ状態で小規模データを送信すべきか、または接続状態で小規模データを送信すべきかを判定する。利用可能な小規模データがデータボリューム閾値未満であるとUEが判定した場合、UEは小規模データを送信するために非アクティブ状態に留まることができると判定する。UEは基地局にデータを送信するために、基地局とのランダムアクセス手順への参加に進む。
【0189】
対応して、改良された小規模データ送信手順の第1の解決策は、RAベースの小規模データの送信のための第1の解決策を実装するために、改良されたUEおよび基地局(ならびにそれぞれの方法)を提供する。
【0190】
UE動作の例示的な実装形態を図20に示す。これから明らかなように、UE動作は図19のUE動作と同様に構成されるが、ここでは第1のデータボリューム閾値がランダムアクセス手順の分岐で使用されるという点で異なる。一方、図20では、周期的リソースベースの小規模データ送信に関する分岐はほとんど未定義のままである。
【0191】
したがって、対応するUEは、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用可能な第2のデータボリューム閾値を別途決定するプロセッサを含むことができる。プロセッサは、サービング基地局から受信された第2のデータボリューム閾値インデックスに基づいて、複数の第2のデータボリューム閾値インデックスと複数の第2のデータボリューム閾値との間の関連付けから、第2のデータボリューム閾値を決定する。
【0192】
利用可能な小規模データのボリュームが第2のデータボリューム閾値を下回る場合、プロセッサは、UEが利用可能な小規模データを送信するために非アクティブ状態に留まることを決定し、その後、UEの送信機は、UEとサービング基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として利用可能な小規模データの送信を実行する。
【0193】
利用可能な小規模データのボリュームが第2のデータボリューム閾値を上回る場合、プロセッサは、UEが利用可能な小規模データを送信するために接続状態に移行することを決定し、送信機は、UEが接続状態にあるときに利用可能な小規模データの送信を実行する。小規模データを送信するためのRACH手順は、4ステップRACH手順または2ステップRACH手順とすることができる(詳細については、たとえば図10および図11に関連する上記の説明など参照)。
【0194】
このRAに特化した第1の解決策に対応する基地局も提供する。具体的には、基地局のプロセッサは、複数の第2のデータボリューム閾値インデックスと複数の第2のデータボリューム閾値との間の(さらなる)関連付けを生成する。第2のデータボリューム閾値は、UEによってアクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用可能である。基地局の送信機は、さらなる関連付けに関する情報をUEに送信する。プロセッサは、UEによって使用される複数の第2のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つを決定する。送信機は、決定された第2のデータボリューム閾値インデックスを、たとえば、基地局によってブロードキャストされるシステム情報で、または媒体アクセス制御MAC(Medium Access Control)プロトコルのメッセージでUEに送信する。
【0195】
<第2の解決策-周期的リソースベースのデータボリューム閾値>
簡単に言うと、改良された小規模データ送信手順の第2の解決策は、UEが小規模データを送信するために使用する周期的無線リソースの設定パラメータの異なる値に異なるデータボリューム閾値を関連付ける、UEに既に記憶されているマッピングテーブルに基づいて、UEが適切なデータボリューム閾値を自律的に決定することに基づいている。マッピングテーブルは全てのUEで同じであり、各UEは、自身に割り当てられた周期的無線リソースの特定の設定パラメータ値を考慮して、適切なデータボリューム閾値を決定する。
【0196】
第1の解決策と比較して、第2の解決策はUEにインデックスを送信する必要がないので、必要なシグナリングオーバーヘッドが少なくなる。さらに、第2の解決策の変形例では、マッピングテーブル(ここでは、たとえば、周期対閾値)を送信する必要がない。その理由は、マッピングテーブルを全てのUEに共通にすることができ、代わりに事前設定することができるためである。したがって、第2の解決策によって生成されるシグナリングオーバーヘッドはさらに少なくなる。
【0197】
第1の解決策で説明したのと同様に、このようにして決定されたデータボリューム閾値は次いで、UEがこれらの周期的リソースを使用して非アクティブ状態にある間に小規模データ送信を実行すべきか、またはUEが小規模データ送信のために接続状態に変化すべきかを判定するために使用することができる。
【0198】
UEの観点から見ると、第2の解決策は、たとえば、
・UEに割り当てられた周期的リソースの設定パラメータの値を決定することと、
・設定パラメータの割り当てられた値を使用して、設定パラメータの異なる値を異なるデータボリューム閾値に関連付けるマッピングテーブルから第1のデータボリューム閾値を決定することと、
を含み、
・マッピングテーブルがサービング基地局によって生成および配信される場合、UEは基地局からマッピングテーブルを受信する必要もあり得、そうでない場合、マッピングテーブルはUEに事前設定され、基地局からマッピングテーブルを受信する必要はない。
【0199】
基地局の観点から見ると、第2の解決策は、たとえば、
・マッピングテーブルの内容、すなわち、どのデータボリューム閾値が周期的リソースの設定パラメータのどの値に関連付けられているかを決定することと、
・マッピングテーブルを1つ以上のUEに送信することと、
を含む。この第2の解決策の例示的なUE動作を図21に示す。この第2の解決策の対応する例示的な基地局動作を図22に示す。
【0200】
この第2の解決策では、第1の解決策と同様の仮定を行う。既に上記で述べたように、UEには周期的無線リソースが既に設定されていると仮定する。周期的リソースは1つまたは複数の設定パラメータに基づいて設定され、これには、たとえば、周期的無線リソースの時間周期、あるいは周波数領域における周期的無線リソースのサイズ(たとえば、サブキャリア数)および/または時間領域における周期的無線リソースのサイズ(たとえば、OFDMシンボル数)を含めることができる。周期的無線リソースの設定方法に応じて、他の設定パラメータ、たとえば、上記のような例示的な3GPP実装のConfiguredGrantConfig情報要素内の多数のパラメータのうちの1つまたは複数も使用される。
【0201】
第2の解決策では、改良された小規模データ送信手順の一部として、データボリューム閾値を決定する目的で、周期的リソースの設定パラメータのうちの1つ、たとえば、上記の周期またはサイズが使用される(ただし、他の設定パラメータもこの目的を果たすことができる)。以下では、関連する設定パラメータが、ミリ秒単位などの周期的無線リソースの周期であると例示的に仮定する。
【0202】
したがって、周期的リソースの異なる周期は、異なるデータボリューム閾値に関連付けられる。基礎となる概念の一例は、周期が短いほど、対応するデータボリューム閾値が大きくなるというものである。しかしながら、他の概念を使用して、どの周期がどのデータボリューム閾値に関連付けられるかを決定することもできる。
【0203】
周期とデータボリューム閾値との間の例示的なマッピングテーブルを以下に提供する。
【表12】
【0204】
これから明らかなように、周期が短いほど、対応するデータボリューム閾値が大きくなる。利点は、周期がより短いUEは非アクティブ状態でより大量の小規模データを送信することが可能になるので、シグナリングのオーバーヘッドならびに電力消費が削減されることである。
【0205】
周期対閾値マッピングテーブルは、異なるUE間で共通に使用することができ、これは、インデックス対閾値マッピングテーブルが主として各UEに固有である上記の第1の解決策の実装とは異なる。したがって、第2の解決策によれば、異なるUEは同じマッピングテーブルを使用するにもかかわらず、異なるデータボリューム閾値を使用し得る。
【0206】
以下では、UE1~UE4のUEには周期的無線リソースが設定されており、それぞれが設定パラメータ、ここでは周期の以下の値を有すると仮定する。
【表13】
【0207】
その結果、各UEはそれぞれ上記のマッピングテーブルを適用してデータボリューム閾値を選択し、UE1は800バイトのデータボリューム閾値を決定し、UE2およびUE4は200バイトのデータボリューム閾値を決定し、UE3は400バイトのデータボリューム閾値を決定する。
【0208】
第2の解決策の1つの変形例によれば、基地局は、上記で論じた周期対閾値マッピングテーブルを用意し、これを自身のセル内のUEに配信することができる。マッピングテーブルを用意するときに、基地局は、基地局の現在のトラフィック負荷状況などの様々なパラメータを考慮することができる。
【0209】
さらに、基地局は、マッピングテーブルのデータボリューム閾値の値を更新し、次いで更新されたマッピングテーブルをUEに再配信することもできる。これにより、基地局は、UEによって使用されるデータボリューム閾値を動的に変更し、これを現在の状況、たとえば基地局における負荷状況に適応させることができる。
【0210】
たとえば、基地局は高負荷状況および低負荷状況を区別することができる。基地局が(低負荷状況と比較して)高負荷となっている場合、比較的小さいデータボリューム閾値を使用することによってデータボリューム閾値を適応させることができ、その結果、UEはより早くRRC接続状態に変化し得、周期的リソースのために予約される必要のある無線リソースが少なくなる。逆に、基地局は高負荷状況にあるときに、データボリューム閾値を比較的大きくなるように適応させることができ、その結果、UEがより遅くRRC接続状態に変化するので(たとえば、比較的多くの小規模データを依然として非アクティブ状態で送信することができる)、より多くのUEを接続状態にすることによる余分な負荷が回避される。
【0211】
マッピングテーブルは、基地局によって、自身のセル内にブロードキャストするシステム情報で送信することができる。
【0212】
さらに、基地局は、周期的リソースの特定の周期に対して、非アクティブな小規模データ送信が不可能になるようにマッピングテーブルを定義することもできる。1つの例示的な可能性は、対応するエントリをマッピングテーブル内に依然として保持するが、その周期または周期の範囲に対して0バイトのデータボリューム閾値を設定することであろう。たとえば、基地局は、特定の周期閾値を上回る周期を有する周期的リソースが設定されたUEが非アクティブ状態で小規模データを送信できなくなるようにマッピングテーブルを設定することができ、言い換えれば、特定の周期を下回る周期を有する周期的無線リソースが設定されたUEのみが、非アクティブ状態で小規模データを送信することができる。対応する例示的なマッピングテーブルは次のように定義することができる。
【表14】
【0213】
明らかなように、0バイトのデータボリューム閾値は、周期が60ミリ秒より長い設定された周期的無線リソースを有するUEによって使用される。この場合、データボリューム閾値が0バイトであることにより、UEが利用可能な小規模データを送信するために接続状態に移行する必要があると判定する状況が必然的に発生する。
【0214】
上記の説明では、全てのUEに対して共通して同じように適用可能な1つの周期対閾値マッピングテーブルが存在すると例示的に仮定した。各UEは、たとえば、UEの優先順位または小規模データが割り当てられる論理チャネルとは無関係に、このマッピングテーブルを適用することになる。第2の解決策のさらなる変形例では、2つ以上の周期対閾値マッピングテーブルが存在してもよい。
【0215】
たとえば、全ての論理チャネルに共通して1つのマッピングテーブルを使用する代わりに、1つの論理チャネルごとに、または論理チャネルのグループごとに、1つのマッピングが存在してもよい。次いで、UEは、データボリューム閾値を決定するときに、小規模データが割り当てられる論理チャネルも考慮する。具体的には、小規模データが送信に利用可能になると、UEはまず、利用可能な小規模データが属する論理チャネルを決定する。次いで、UEは、全ての論理チャネル固有マッピングテーブルの中から、小規模データの決定された論理チャネルに対応するものを決定する。次いで、UEは、小規模データの論理チャネルに固有のマッピングテーブルを使用して、自身に割り当てられた周期的無線リソースの設定パラメータに対応するデータボリューム閾値を決定する。
【0216】
たとえば、1つのマッピングテーブルが提供される論理チャネルのグループは、優先順位、QoSなど、同一または類似の特性を有する論理チャネルを含むことができる。
【0217】
論理チャネル間でマッピングテーブルを区別することは、その論理チャネル(または論理チャネルのグループ)に適したデータボリューム閾値を特別に設定することができるという点で有益であり得る。さらに、マッピングテーブルの設定がより単純になり得る。その理由は、可能性のある全ての論理チャネルを考慮して統合された(共通の)マッピングテーブルを決定する必要がないためであり、対応する基地局アルゴリズムを設計する方が簡単であり得る。
【0218】
たとえば、論理チャネルは、(たとえば、低レイテンシ要件に関して)異なる優先順位を有することができ、ある論理チャネル#1は、高い優先順位(たとえば、厳格な低レイテンシ要件)を反映し、他の論理チャネル#2は、低い優先順位(たとえば、緩和されたレイテンシ要件)を反映する。そのような場合、優先順位の高い論理チャネル#1には、優先順位の低い論理チャネル#2よりも比較的大きいデータボリューム閾値を設定することができ、UEが最初に接続状態に移行する必要がある場合に、論理チャネル#1の小規模データが追加の遅延を受ける可能性が低くなる。あるいは、より高い優先順位を有するUEのみによって、またはより高い優先順位を有するサービス(および論理チャネル)のみに関して、より大きいデータボリュームを送信することができる。
【0219】
他の例は、論理チャネルが異なるトラフィックパターンを有し得るものであり得る。例として、論理チャネル1は5分ごとのトラフィックを有し、論理チャネルは1時間ごとのトラフィックを有する。この場合、トラフィックパターンの周期が長いほど、データボリューム閾値を小さく設定することができる。他の変形例によれば、周期対閾値マッピングテーブルに関して、UEの異なる優先順位を区別することができる。それに対応して、UEの優先順位またはUEの優先順位のセットごとに1つのそのようなマッピングが存在してもよい。たとえば、UEの優先順位は、プレミアムUE対ベーシックUE、または他の同様のカテゴリとすることができる。
【0220】
同様に、UEはデータボリューム閾値を決定するときに、自身のUEの優先順位も考慮する。具体的には、小規模データが送信に利用可能になると、UEは自身の優先順位を決定し、全ての優先順位固有マッピングテーブルの中から、決定されたUEの優先順位に対応するものを決定する。次いで、UEは、そのUE優先順位固有マッピングテーブルを使用して、自身に割り当てられた周期的無線リソースの設定パラメータに対応するデータボリューム閾値を決定する。
【0221】
たとえば、比較的大きいデータボリューム閾値を設定することで、(ベーシックUEではなく)プレミアムUEの消費電力を低くしやすくすることができる。
【0222】
それに加えて、またはその代わりに、デフォルトの周期対閾値マッピングテーブルは、たとえば、3GPP規格で提供される情報(たとえば、UEのソフトウェアにコード化されたもの)に基づいて、UEのSIMで提供される情報(たとえば、UEの事業者によって定義されるパラメータ)に基づいて、UEに事前設定することができ、またはUEの開始時に最初に事前設定することができる。このデフォルトのマッピングテーブルは、各UEが直接使用して、基地局によって事前に割り当てられた周期的無線リソースに対応する、対応するデータボリューム閾値を決定することができる。
【0223】
さらなる変形例によれば、基地局がさらなる周期対閾値マッピングテーブルを(たとえば、システム情報で)提供する場合、UEはデフォルトのマッピングテーブルをこれ以上使用する必要がなくなり、代わりに基地局によって動的に提供されるマッピングを使用してもよい。
【0224】
1つの例示的な5G準拠の実装によれば、周期対閾値マッピングテーブルは、以下の情報要素を使用して基地局からUEに送信することができる。
【数5】
【0225】
この情報要素から明らかなように、周期とデータボリューム閾値とのいくつかの組み合わせを設定して、UEに提供することができる。1つの例示的な変形例では、この情報要素はRRCプロトコルのメッセージで送信することができる。
【0226】
<第3の解決策-周期的ベースの小規模データ送信用のデータボリューム閾値なし>
上記の2つの解決策では、UEが非アクティブ状態で小規模データ送信を実行するか否かを判定するためにデータボリューム閾値が使用されると仮定した。以下の第3の解決策によれば、UEは、前もって割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データを送信するか否かを判定するためにデータボリューム閾値を使用しないと仮定する。その代わりに、UEは、常に最初にこれらの周期的リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を開始し得るが、UEを非アクティブ状態に留まらせるべきか、またはUEを接続状態に移行させるべきかについて基地局が判断するのを支援する支援情報を基地局に追加的に提供する。
【0227】
たとえば、3GPPの合意で言及されているデータボリューム閾値は、RAベースの小規模データ送信に対してのみ実装され、CGベースの小規模データ送信(周期的リソースベースのSDT)に対しては実装されていないであろう。データボリューム閾値を使用したRAベースの小規模データ送信のそのような実装は、本発明の第3の解決策の焦点ではなく、むしろ、UEが小規模データ送信のために基地局によって事前に割り当てられた周期的リソースを使用するシナリオに焦点を当てている。
【0228】
したがって、第3の解決策による基地局は以下を含む。基地局のプロセッサは、1つまたは複数のユーザ機器UEに周期的無線リソースを割り当てる。割り当てられた周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である。基地局の受信機は、小規模データを受信し、さらにUEから小規模データ通知を受信する。小規模データ通知は、間もなくUEで小規模データが送信に利用可能になることを示す。プロセッサは、少なくとも受信された小規模データ通知に基づいて、さらなる小規模データの送信のためにUEを接続状態に移行させるか、またはUEを非アクティブ状態に維持するかを判定する。
【0229】
第3の解決策の一例は、以下を含むUEを提供する。UEのプロセッサは、小規模データが送信に利用可能であると判定し、UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEの送信機は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態にあるときに利用可能な小規模データを送信し、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる。プロセッサは、次の短い期間内にさらなる小規模データが送信に利用可能になるか否かを判定する。プロセッサは、次の短い期間内にさらなる小規模データが送信に利用可能になるとプロセッサが判定した場合に小規模データ通知を生成し、小規模データ通知は間もなく小規模データが送信に利用可能になることを示す。送信機は、利用可能な小規模データを送信するときに割り当てられた周期的無線リソースを使用して利用可能な小規模データと共に生成された小規模データ通知も送信する。
【0230】
上記で論じた基地局に沿った例示的な基地局動作に対応するシーケンス図を図23に示す。上記で論じたUEに沿った例示的なUE動作に対応するシーケンス図を図24に示す。
【0231】
1つの変形例によれば、第3の解決策は、バッファ状態報告を送信するか否かのメカニズムも含む。具体的には、小規模データが送信に利用可能になった後、UEは、割り当てられた周期的リソースを使用して、利用可能な小規模データの全てを送信できるか否かを判定し、否定的な場合(すなわち、小規模データの一部が送信のために送信バッファに残っている場合)、対応するバッファ状態報告を小規模データと共に送信することができる。バッファ状態報告は、UEのバッファに残っている利用可能な小規模データの残量を示す。一方、肯定的な場合(すなわち、全ての小規模データを送信することができ、UE送信バッファに何も残っていない場合)、UEはバッファ状態報告を作成して送信する必要はない。
【0232】
UEがこのバッファ状態報告メカニズムを使用すると仮定すると、1つの例示的な変形例では、上述の小規模データ通知の送信は、様々な方法で送信することができる。具体的には、小規模データ通知メカニズムは、バッファ状態報告が送信されるか否かに関係なく実行することができる。したがって、小規模データ通知メカニズムおよびバッファ状態報告メカニズムは、並行してまたは順次的に実行することができ、小規模データと共に小規模データ通知およびバッファ状態報告のいずれも送信しないか、あるいはその一方または両方を送信することができる。
【0233】
他の例示的な変形例によれば、送信バッファに小規模データが残っており、UEがバッファ状態報告を基地局に送信する場合、小規模データ通知メカニズムを実行する必要はない。逆に、送信バッファに小規模データが残っておらず、バッファ状態報告が送信されない場合にのみ、UEは上述した小規模データ通知メカニズムの実行に進み、場合によっては、小規模データと共に小規模データ通知を基地局に送信する(後者は、間もなくさらなる小規模データが送信に利用可能になる場合である)。この変形例では、UEはバッファ状態報告または小規模データ通知の一方を送信するか、またはいずれも送信せず、両方は送信しない。
【0234】
上述の第3の解決策およびその変形例によれば、UEは、小規模データの量に関係なく、基地局によって事前に割り当てられた周期的リソースが利用可能な場合には、常に非アクティブ状態で小規模データ送信を開始する。これにより、UE側のシグナリングオーバーヘッドならびに電力消費が削減される。
【0235】
さらに、UEは、UEによって送信される支援情報に基づいて、その後UEを小規模データ送信のために接続状態に移行させるか否かの判定において基地局を支援する。この支援情報は、バッファ状態報告および小規模データ通知の一方または両方とすることができる(上記の変形例を参照)。
【0236】
1つの例示的な実装形態では、小規模データ通知は、MAC制御要素の一部として送信することができる。
【0237】
<第4の解決策-SDT用の周期的無線リソースのインデックスベースの有効化/無効化>
以下の第4の解決策は、UEがアクティブ状態で小規模データ送信を実行するか否かを判定する方法に関係しないという点で、上記の3つの解決策とは異なる。むしろ、第4の解決策は、基地局が単純かつ動的な方法で、UEが非アクティブ状態にある間に1つ以上のUEが小規模データの送信に使用し得る特定の周期的リソースを有効化または無効化するためのメカニズムを提供することを中心に展開する。それに対応して、第4の解決策は、上記の第1から第3の解決策とは独立して、単独の解決策として、またはこれらの第1から第3の解決策のうちの1つと組み合わせて使用することができる。
【0238】
この第4の解決策は、基地局が対応するインデックスをシステム情報などで送信することに依存しており、そこから各UEは次いで、自身の事前設定された周期的リソースが有効化されているか無効化されているか(たとえば、生じ得る小規模データ送信に使用できるか否か)を自身で導出することができる。受信された有効化/無効化インデックスを解釈できるようにするために、UEは、異なるインデックスを周期的リソースの設定パラメータの異なる値に関連付ける、対応する関連付け(たとえば、マッピングテーブルの形式)を有する。
【0239】
UEの観点から見ると、第4の解決策は、たとえば、
・非アクティブ状態での小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースが設定されることであって、周期的無線リソースは設定パラメータを有する、設定されることと、
・異なる有効化/無効化インデックスを、割り当て可能な周期的リソースの設定パラメータの異なる値に関連付ける関連付けを記憶することと、
・基地局から有効化/無効化インデックスを受信することと、
・受信された有効化/無効化インデックスおよび記憶された関連付けを使用して、UE自身の周期的リソースを有効化するか無効化するかを判定することと、
・前述の判定の結果に従って、UE自身の周期的リソースを有効化または無効化することと、
を含む。
【0240】
基地局の観点から見ると、第4の解決策は、たとえば、
・非アクティブ状態での小規模データの送信のためにUEによって使用可能な周期的リソースをUEに設定することであって、周期的無線リソースは設定パラメータを有する、設定することと、
・異なる有効化/無効化インデックスを、割り当て可能な周期的リソースの設定パラメータの異なる値に関連付ける関連付けを使用して、設定パラメータの特定の1つまたは複数の値を有する周期的リソースを有効化または無効化するためのインデックスを決定することと、
・有効化/無効化インデックスをUEに送信することと、
を含む。
【0241】
この第4の解決策の例示的なUE動作を図25に示す。この第4の解決策の対応する例示的な基地局動作を図26に示す。
【0242】
周期的リソースは1つまたは複数の設定パラメータに基づいて設定され、これには、たとえば、周期的無線リソースの時間周期、あるいは周波数領域における周期的無線リソースのサイズ(たとえば、サブキャリア数)および/または時間領域における周期的無線リソースのサイズ(たとえば、OFDMシンボル数)を含めることができる。周期的無線リソースの設定方法に応じて、他の設定パラメータ、たとえば、上記のような例示的な3GPP実装のConfiguredGrantConfig情報要素内の多数のパラメータのうちの1つまたは複数も使用される。
【0243】
以下では、関連する設定パラメータが、ミリ秒単位などの周期的無線リソースの周期であると例示的に仮定する。
【0244】
インデックスと周期との間の例示的なマッピングテーブルを以下に提供する。
【表15】
【0245】
1つの例示的な解決策によれば、基地局がインデックス3を送信した場合、UEは上記のマッピングテーブルを使用して受信されたインデックスが80ミリ秒の周期を示すと判定する。一例によれば、インデックスは、示された周期よりも短い周期を有する周期的リソースが無効化され、その他が有効化される(有効化されたままにされる)ように解釈される。したがって、インデックスは、使用できる周期的リソースの最小周期を示す。
【0246】
たとえば、基地局がインデックス3を送信した場合、UEは受信されたインデックスが80msの周期を示すと判定する。次いで、UEは、自身に割り当てられた周期的リソースの周期を決定して、示された最小周期と比較する。UEが60ミリ秒の周期の割り当てられた周期的リソースを有すると仮定すると、UEは、その周期的無線リソースが有効化/無効化インデックスによって無効化され、したがって、もはや使用されるべきではないと判定する。逆に、他のUEが100ミリ秒の周期の割り当てられた周期的リソースを有すると仮定すると、そのUEは、その周期的無線リソースが有効化/無効化インデックスによってまだ有効化されていると判定し、したがって、小規模データが送信に利用可能である場合に、まだリソースを使用することができる。
【0247】
あるいは、有効化/無効化インデックスは、使用できる周期的リソースの最大周期を示すことができ、その場合、インデックスによって示された周期よりも長い周期を有する周期的リソースは無効化され、使用されないが、インデックスによって示された周期よりも短い周期を有する周期的リソースは有効化され、まだ使用可能である。
【0248】
一例によれば、有効化/無効化インデックスは、たとえば、基地局によってブロードキャストされるシステム情報で、または媒体アクセス制御MACプロトコルのメッセージで、UEに送信することができる。
【0249】
1つの例示的な5G準拠の実装によれば、インデックスと周期との関連付けは、以下の情報要素を使用して基地局からUEに送信することができる。
【数6】
【0250】
明らかなように、この情報要素により、有効化/無効化インデックスと特定の周期(上記の設定パラメータの例である)とのいくつかの組み合わせを定義することが可能になる。1つの例示的な変形例では、この情報要素は、RRCプロトコルのメッセージで送信することができる。
【0251】
第4の解決策は、基地局が周期的リソースを動的に有効化および無効化することによって、使用可能な周期的リソースを現在の状況に、たとえば基地局の負荷状況に適応させることを可能にするメカニズムを提供する。
【0252】
<さらなる態様>
第1の態様によれば、以下を含むユーザ機器が提供される。UEのプロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定する。プロセッサは、送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定する。UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEの送信機は、利用可能な小規模データの送信を実行する。第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる。一方、第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない。
【0253】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、プロセッサが第1のデータボリューム閾値を決定することは、
・サービング基地局からデータボリューム閾値インデックスを受信することと、
・受信されたデータボリューム閾値インデックスを使用して、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間の関連付けから第1のデータボリューム閾値を決定することと、
を含む。
【0254】
任意選択の実装では、受信機がサービング基地局からデータボリューム閾値インデックスを受信することは、
・サービング基地局によってブロードキャストされるシステム情報でデータボリューム閾値インデックスを受信すること、または
・サービング基地局からの媒体アクセス制御MACプロトコルのメッセージでデータボリューム閾値インデックスを受信すること
を含む。
【0255】
第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、関連付けはUEに固有であり、任意選択により、受信機は、動作時に、任意選択により無線リソース制御RRCプロトコルのメッセージで、サービング基地局から関連付けに関する情報を受信する。任意選択の実装では、受信機は、サービング基地局によってセル全体において複数のビームの全てでブロードキャストされるデータボリューム閾値インデックスに関するシステム情報をモニタする、または、受信機は、サービング基地局によって複数のビームのうちの1つでブロードキャストされるデータボリューム閾値インデックスに関するシステム情報をモニタする。
【0256】
第2または第3の態様に加えて提供される第4の態様によれば、プロセッサは、UEに設定され、小規模データを割り当てることができる全ての論理チャネルに共通に第1のデータボリューム閾値を適用して、プロセッサが、動作時に、論理チャネルに関係なく利用可能な小規模データのボリュームを考慮するようにする。任意選択の実装では、複数の論理チャネルに対して1つの共通の関連付けが存在する。
【0257】
第2または第3の態様に加えて提供される第5の態様によれば、プロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定するときに、利用可能な小規模データが割り当てられる論理チャネルを考慮する。1つの任意選択の実装によれば、論理チャネルごとに1つの関連付けが存在し、プロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定するときに、利用可能な小規模データが割り当てられる論理チャネルに対応する論理チャネル固有の関連付けを決定し、次いで、受信されたデータボリューム閾値インデックスを使用して、決定された論理チャネル固有の関連付けから第1のデータボリューム閾値を決定する。1つの任意選択の実装によれば、小規模データ送信のための優先順位の高い論理チャネルは、小規模データ送信のための優先順位の低い論理チャネルよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる。
【0258】
第2~第5の態様のいずれかに加えて提供される第6の態様によれば、プロセッサは、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用可能な第2のデータボリューム閾値を別途決定する。プロセッサが第2のデータボリューム閾値を決定することは、
・サービング基地局から第2のデータボリューム閾値インデックスを受信することと、
・受信された第2のデータボリューム閾値インデックスを使用して、複数の第2のデータボリューム閾値インデックスと複数の第2のデータボリューム閾値との間の他の関連付けから第2のデータボリューム閾値を決定することと、
を含む。
【0259】
任意選択の実装では、利用可能な小規模データのボリュームが第2のデータボリューム閾値を下回る場合、プロセッサは、UEが利用可能な小規模データを送信するために非アクティブ状態に留まることを決定し、送信機は、UEとサービング基地局との間で実行されるランダムアクセス手順の一部として利用可能な小規模データの送信を実行する。利用可能な小規模データのボリュームが第2のデータボリューム閾値を上回る場合、プロセッサは、UEが利用可能な小規模データを送信するために接続状態に移行することを決定し、送信機は、UEが接続状態にあるときに利用可能な小規模データの送信を実行する。任意選択の実装では、ランダムアクセス手順は2つのステップを含み、利用可能な小規模データの送信は2つのステップのランダムアクセス手順の第1メッセージで実行される。任意選択の実装では、ランダムアクセス手順は4つのステップを含み、利用可能な小規模データの送信は4つのステップのランダムアクセス手順の第3メッセージで実行される。
【0260】
第1の態様に加えて提供される第7の態様によれば、プロセッサが第1のデータボリューム閾値を決定することは、
・UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースの設定パラメータの値を決定することであって、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる、決定することと、
・周期的無線リソースの設定パラメータの決定された値を使用して、複数の異なるデータボリューム閾値と割り当てられた周期的無線リソースの設定パラメータの異なる値とを関連付ける関連付けから第1のデータボリューム閾値を決定することと、
を含む。
【0261】
任意選択の実装では、周期的無線リソースの設定パラメータは、周期的無線リソースの時間周期、あるいは周波数領域および時間領域のうちの1つまたは複数における周期的無線リソースのサイズである。任意選択の実装では、関連付けは、周期的無線リソースの周期が短いほど、対応するデータボリューム閾値が大きくなるようなものである。
【0262】
第7の態様に加えて提供される第8の態様によれば、プロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定するときに、UEの優先順位または利用可能な小規模データが割り当てられる論理チャネルも考慮する。任意選択の実装では、UEの優先順位または論理チャネルごとに1つの関連付けが存在し、プロセッサは、第1のデータボリューム閾値を決定するときに、UEの優先順位に対応するか、または利用可能な小規模データが割り当てられる論理チャネルに対応する関連付けを決定する。プロセッサは次いで、周期的無線リソースの特性の決定された値を使用して、決定された関連付けから第1のデータボリューム閾値を決定する。任意選択の実装では、小規模データ送信のための優先順位の高い論理チャネルは、小規模データ送信のための優先順位の低い論理チャネルよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる。任意選択の実装では、優先順位の高いUEは、優先順位の低いUEよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる。
【0263】
第7または第8の態様に加えて提供される第9の態様によれば、UEは、複数の異なるデータボリューム閾値と、割り当てられた周期的無線リソースの特性の異なる値との間の関連付けに関する情報を、
・サービング基地局によってブロードキャストされるシステム情報、および
・UEに事前設定された情報
のうちの1つまたは複数から取得する。
【0264】
第1~第9の態様のいずれかに加えて提供される第10の態様によれば、利用可能な小規模データのボリュームが第1のデータボリューム閾値を下回る場合、プロセッサは、UEが利用可能な小規模データを送信するために非アクティブ状態に留まることを決定し、送信機は、割り当てられた周期的無線リソースを使用して利用可能な小規模データの送信を実行する。利用可能な小規模データのボリュームが第1のデータボリューム閾値を上回る場合、プロセッサは、UEが利用可能な小規模データを送信するために接続状態に移行することを決定し、送信機は、UEが接続状態にあるときに利用可能な小規模データの送信を実行する。
【0265】
第1~第10の態様のいずれかに加えて提供される第11の態様によれば、受信機は、サービング基地局から設定グラント有効化/無効化インデックスを受信する。プロセッサは、受信された設定グラント有効化/無効化インデックスに関連付けられた周期的無線リソースの設定パラメータの値を、複数の設定グラント有効化/無効化インデックスを周期的無線リソースの設定パラメータの異なる値に関連付けるさらなる関連付けに基づいて決定する。プロセッサは、周期的無線リソースの設定パラメータの決定された値に基づいて、サービング基地局によってUEに事前に割り当てられた、小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを有効化するか無効化するかを判定する。任意選択の実装では、周期的無線リソースの設定パラメータは周期である。プロセッサは、設定された周期的無線リソースの周期が、受信された設定グラント有効化/無効化インデックスによって示される周期よりも短いまたは長い場合に、設定された周期的無線リソースを無効化する。任意選択の実装では、プロセッサは、設定された周期的無線リソースの周期が、設定グラント有効化/無効化インデックスによって示される周期以上である場合に、設定された周期的無線リソースを有効化されたままにする。任意選択の実装では、受信機は、設定グラント有効化/無効化インデックスをサービング基地局によってブロードキャストされるシステム情報で受信する。
【0266】
第12の態様によれば、以下を備えるUEが提供される。UEのプロセッサは、小規模データが送信に利用可能であると判定し、UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある。UEの送信機は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態にあるときに利用可能な小規模データを送信し、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられる。プロセッサは、次の短い期間内にさらなる小規模データが送信に利用可能になるか否かを判定する。プロセッサは、次の短い期間内にさらなる小規模データが送信に利用可能になるとプロセッサが判定した場合に小規模データ通知を生成し、小規模データ通知は間もなく小規模データが送信に利用可能になることを示す。送信機は、利用可能な小規模データを送信するときに、割り当てられた周期的無線リソースを使用して利用可能な小規模データと共に生成された小規模データ通知も送信する。
【0267】
第12の態様に加えて提供される第13の態様によれば、プロセッサは、割り当てられた周期的無線リソースを使用して利用可能な小規模データの全てを送信することができない場合、UEによる送信に依然として利用可能なUEのバッファ内の利用可能な小規模データの残量を示すバッファ状態報告を作成し、作成されたバッファ状態報告は、割り当てられた周期的無線リソースを使用して利用可能な小規模データと共に送信される。任意選択により、小規模データ通知は媒体アクセス制御MACプロトコルの制御要素で搬送される。
【0268】
第1~第13の態様のいずれかに加えて提供される第14の態様によれば、非アクティブ状態、接続状態、およびアイドル状態は、無線リソース制御RRCプロトコルに関連する。
【0269】
第15の態様によれば、UEによって実行される以下のステップ、すなわち、
第1のデータボリューム閾値を決定するステップと、
送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定するステップであって、UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある、ステップと、
利用可能な小規模データの送信を実行するステップと、
を含み、
第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられ、
第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない、
方法が提供される。
【0270】
第16の態様によれば、以下を備える基地局が提供される。基地局のプロセッサは、周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器UEに割り当て、割り当てられた周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である。プロセッサは、割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定し、複数のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用されない。基地局の送信機は、決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報をUEに送信する。
【0271】
第16の態様に加えて提供される第17の態様によれば、決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報は、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間の関連付けを含む。プロセッサは、UEによって使用される複数のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つを決定する。送信機は、決定された1つのデータボリューム閾値インデックスを送信する。任意選択の実装では、決定されたデータボリューム閾値インデックスは、基地局によってブロードキャストされるシステム情報で、または基地局からの媒体アクセス制御MACプロトコルのメッセージで送信される。
【0272】
第17の態様に加えて提供される第18の態様によれば、プロセッサは、1つのUEに固有の関連付けを決定する。任意選択の実装では、プロセッサは、UE固有の関連付けの決定を実行するときに、
・そのUEの時間領域におけるトラフィックパターンと、
・そのUEの優先順位と、
・そのUEから受信される典型的なパケットサイズと、
のうちの1つまたは複数を考慮する。
【0273】
任意選択の実装では、送信機は、任意選択により無線リソース制御RRCプロトコルのメッセージで、UE固有の関連付けに関する情報を対応するUEに送信する。
【0274】
第17または第18の態様に加えて提供される第19の態様によれば、プロセッサは、UEによって使用される複数のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つを、基地局のセル全体における全てのビームに共通のものとして、あるいはセル全体における1つまたは複数のビームに固有のものとして決定する。任意選択の実装では、ビーム共通のデータボリューム閾値インデックスは、セル全体の全てのビームで送信される。任意選択の実装では、ビーム固有のデータボリューム閾値インデックスは、ビーム固有のデータボリューム閾値が属するビームでのみ送信される。
【0275】
第17~第19の態様のいずれか1つに加えて提供される第20の態様によれば、プロセッサは、UEによって使用される複数のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つを決定するときに、基地局の負荷状況を考慮し、負荷状況は、
・ダウンリンクおよびアップリンク送信のスケジューリングに利用可能な無線リソースの量と、
・接続状態にあるUEの数と、
のうちの1つまたは複数を含む。
【0276】
任意選択の実装では、基地局の負荷状況が高負荷状況である場合、プロセッサは、基地局の負荷状況が低負荷状況である場合よりも低いデータボリューム閾値に関連付けられたデータボリューム閾値インデックスを決定する。
【0277】
第17~第20の態様のいずれか1つに加えて提供される第21の態様によれば、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間の関連付けは、小規模データが割り当てられる1つの論理チャネルに固有である。これらの論理チャネルのうちの1つまたは複数のそれぞれについて、複数のデータボリューム閾値インデックスと複数のデータボリューム閾値との間を関連付ける1つのそのような関連付けが存在する。任意選択の実装では、優先順位の高い論理チャネルは、優先順位の低い論理チャネルよりも高いデータボリューム閾値に関連付けられる。
【0278】
第17~第21の態様のいずれか1つに加えて提供される第22の態様によれば、プロセッサは、複数の第2のデータボリューム閾値インデックスと複数の第2のデータボリューム閾値との間のさらなる関連付けを生成する。第2のデータボリューム閾値は、UEによってアクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用可能である。送信機は、さらなる関連付けに関する情報をUEに送信する。任意選択の実装では、プロセッサは、UEによって使用される複数の第2のデータボリューム閾値インデックスのうちの1つを決定する。送信機は、決定された第2のデータボリューム閾値インデックスを、任意選択により基地局によってブロードキャストされるシステム情報で、または媒体アクセス制御MACプロトコルのメッセージでUEに送信する。
【0279】
第16の態様に加えて提供される第23の態様によれば、決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報は、複数の異なるデータボリューム閾値と、基地局によって事前にUEに割り当てることができる周期的無線リソースの設定パラメータの異なる値とを関連付ける関連付けを含む。これらの周期的無線リソースはその後、事前のスケジューリング要求なしで小規模データを送信するためにUEによって使用可能である。任意選択の実装では、周期的無線リソースの設定パラメータは、周期的無線リソースの時間周期、あるいは周波数領域および時間領域のうちの1つまたは複数における周期的無線リソースのサイズである。任意選択の実装では、関連付けは、周期的無線リソースの周期が短いほど、対応するデータボリューム閾値が大きくなるようなものである。任意選択の実装では、複数の異なるデータボリューム閾値と周期的無線リソースの特性の異なる値とを関連付ける関連付けに関する情報は、基地局によってブロードキャストされるシステム情報を使用して基地局によって送信される。
【0280】
第23の態様に加えて提供される第24の態様によれば、関連付けは、UEの優先順位または小規模データが割り当てられる論理チャネルに固有である。UEの優先順位ごとまたは論理チャネルごとに1つのそのような関連付けが存在する。
【0281】
第25の態様によれば、基地局によって実行される以下のステップ、すなわち、
周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器UEに割り当てるステップであって、割り当てられた周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である、ステップと、
割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定するステップであって、複数のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用されない、ステップと、
決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報をUEに送信するステップと、
を含む方法が提供される。
【0282】
第26の態様によれば、ユーザ機器の処理を制御する集積回路が提供され、処理は、ユーザ機器によって実行される以下のステップ、すなわち、
第1のデータボリューム閾値を決定するステップと、
送信に利用可能になった小規模データを、利用可能な小規模データのボリュームおよび第1のデータボリューム閾値に基づいて非アクティブ状態または接続状態で送信することを決定するステップであって、UEは、接続状態、アイドル状態、および非アクティブ状態のうちの非アクティブ状態にある、ステップと、
利用可能な小規模データの送信を実行するステップと、
を含み、
第1のデータボリューム閾値は、UEからの事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信に使用可能な周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で利用可能な小規模データの送信を実行するか否かを判定するために使用され、周期的無線リソースはサービング基地局によって事前に割り当てられ、
第1のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で利用可能な小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するために使用されない。
【0283】
第27の態様によれば、動作時に、基地局の処理を制御する集積回路が提供され、処理は、基地局によって実行される以下のステップ、すなわち、
周期的無線リソースを1つまたは複数のユーザ機器UEに割り当てるステップであって、割り当てられた周期的無線リソースは、事前のスケジューリング要求なしで小規模データの送信のために1つまたは複数のUEのうちのいずれか1つによって使用可能である、ステップと、
割り当てられた周期的無線リソースを使用して非アクティブ状態で小規模データの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用される複数のデータボリューム閾値を決定するステップであって、複数のデータボリューム閾値は、非アクティブ状態で小規模データのランダムアクセスベースの送信を実行するか否かを判定するためにUEによって使用されない、ステップと、
決定された複数のデータボリューム閾値に関する情報をUEに送信するステップと、
を含む。
【0284】
<本開示のハードウェアおよびソフトウェアの実装>
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア又はハードウェアと連動するソフトウェアによって実現することができる。上述した各実施例の説明に用いた各機能ブロックは、集積回路等のLSIによって部分的又は全体的に実現可能であり、各実施例で説明される各処理は、同一のLSI又はLSIの組み合わせによって部分的又は全体的に制御されてもよい。LSIは、個別にチップとして形成されていてもよいし、あるいは、機能ブロックの一部又は全部を含むように1つのチップが形成されていてもよい。LSIは、それに結合されたデータ入出力を含んでもよい。ここで、LSIとは、集積度の違いにより、IC(集積回路)、システムLSI、スーパーLSI又はウルトラLSIとして呼ばれうる。しかし、集積回路を実現する技術はLSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサを用いて実現されてもよい。さらに、LSI内部に配置される回路セルの接続及び設定が再設定可能なLSI又はリコンフィギュラブルプロセッサの製造後にプログラミング可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)が利用されてもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現することができる。半導体技術や他の派生技術の進歩の結果として、将来の集積回路技術がLSIに取って代わる場合、機能ブロックは、将来の集積回路技術を用いて集積化することができる。バイオテクノロジーも適用できる。
【0285】
本開示は、通信装置と呼ばれる、通信機能を有する何れかのタイプの装置、デバイス又はシステムによって実現することができる。
【0286】
通信装置は、送受信機及び処理/制御回路を有してもよい。送受信機は、受信機及び送信機を有し、及び/又は機能してもよい。送信機及び受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器など及び1つ以上のアンテナを含むRF(Radio Frequency)モジュールを含んでもよい。
【0287】
そのような通信装置のいくつかの非限定的な例は、電話機(例えば、携帯(セル)電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック)、カメラ(例えば、デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレーヤ(デジタルオーディオ/ビデオプレーヤ)、ウェアラブルデバイス(例えば、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、デジタルブックリーダ、遠隔ヘルス/遠隔医療(リモートヘルス及びリモート医療)デバイス、及び通信機能を提供する車両(例えば、自動車、飛行機、船舶)、並びにそれらの様々な組み合わせを含む。
【0288】
通信装置は、携帯型又は可動型であることに限定されず、スマートホームデバイス(例えば、家電、ライティング、スマートメータ、制御パネル)、自動販売機及び“Internet of Things(IoT)”のネットワークにおける他の何れかの“物”など、非携帯型又は固定型である何れかのタイプの装置、デバイス又はシステムを含んでもよい。
【0289】
通信は、例えば、セルラシステム、無線LANシステム、衛星システムなど、及びそれらの様々な組み合わせを介してデータを交換することを含んでもよい。
【0290】
通信装置は、本開示に記載された通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラ又はセンサなどのデバイスを含んでもよい。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号又はデータ信号を生成するコントローラ又はセンサを含んでもよい。
【0291】
加えて通信装置は、たとえば基地局、アクセスポイント、およびたとえば上述の非限定的な例におけるものなどの装置と通信するか、またはそれを制御する任意のその他の装置、デバイス、またはシステムなどのインフラストラクチャ設備を含んでもよい。
【0292】
(制御信号)
本開示において、本開示に関連するダウンリンク制御信号(情報)は、物理レイヤのPDCCHを介して送信される信号(情報)であり得、または上位レイヤのMAC制御エレメント(CE:Control Element)またはRRCを介して送信される信号(情報)であり得る。ダウンリンク制御信号は、事前定義された信号(情報)であり得る。
【0293】
本開示に関連するアップリンク制御信号(情報)は、物理レイヤのPUCCHを介して送信される信号(情報)であり得、上位レイヤのMAC CEまたはRRCを介して送信される信号(情報)であり得る。また、アップリンク制御信号は、事前定義された信号(情報)であり得る。アップリンク制御信号は、アップリンク制御情報(UCI:uplink control information)、第1ステージサイドリンク制御情報(SCI:sidelink control information)、または第2ステージSCIに置き換えられ得る。
【0294】
(基地局)
本開示では、基地局は、たとえば、送受信ポイント(TRP:Transmission Reception Point)、クラスタヘッド、アクセスポイント、リモートラジオヘッド(RRH:Remote Radio Head)、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、基地局(BS:Base Station)、基地送受信局(BTS:Base Transceiver Station)、ベースユニット、またはゲートウェイであり得る。また、サイドリンク通信においては、基地局の代わりに端末が採用され得る。基地局は、上位ノードと端末との間の通信を中継する中継装置であり得る。基地局は路側ユニットであり得る。
【0295】
(アップリンク/ダウンリンク/サイドリンク)
本開示は、アップリンク、ダウンリンク、およびサイドリンクのいずれにも適用され得る。
【0296】
本開示は、たとえば、PUSCH、PUCCH、およびPRACHなどのアップリンクチャネル、PDSCH、PDCCH、およびPBCHなどのダウンリンクチャネル、ならびに物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical Sidelink Shared Channel)、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical Sidelink Control Channel)、および物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH:Physical Sidelink Broadcast Channel)などのサイドリンクチャネルに適用され得る。
【0297】
PDCCH、PDSCH、PUSCH、およびPUCCHは、それぞれ、ダウンリンク制御チャネル、ダウンリンクデータチャネル、アップデータチャネル、アップリンク制御チャネルの例である。PSCCHおよびPSSCHは、それぞれサイドリンク制御チャネルおよびサイドリンクデータチャネルの例である。PBCHおよびPSBCHはそれぞれブロードキャストチャネルの例であり、PRACHはランダムアクセスチャネルの例である。
【0298】
(データチャネル/制御チャネル)
本開示は、データチャネルおよび制御チャネルのいずれにも適用され得る。本開示におけるチャネルは、PDSCH、PUSCH、およびPSSCHを含むデータチャネル、ならびに/あるいはPDCCH、PUCCH、PBCH、PSCCH、およびPSBCHを含む制御チャネルに置き換えられ得る。
【0299】
(参照信号)
本開示において、参照信号は、基地局および移動局の両方に既知の信号であり、各参照信号は、参照信号(RS)または場合によってはパイロット信号と呼ばれ得る。参照信号は、DMRS、チャネル状態情報-参照信号(CSI-RS:Channel State Information-Reference Signal)、トラッキング参照信号(TRS:Tracking Reference Signal)、位相トラッキング参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、およびサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)のいずれでもあり得る。
【0300】
(時間間隔)
本開示では、時間リソース単位は、スロットおよびシンボルのうちの1つまたは組み合わせに限定されず、フレーム、スーパーフレーム、サブフレーム、スロット、タイムスロットサブスロット、ミニスロットなどの時間リソース単位、またはシンボル、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、シングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC-FDMA:Single Carrier-Frequency Division Multiplexing Access)シンボルなどの時間リソース単位、あるいは他の時間リソース単位であり得る。1スロットに含まれるシンボル数は、上述の実施形態(複数可)で例示したいかなるシンボル数にも限定されず、他のシンボル数であり得る。
【0301】
(周波数バンド)
本開示は、ライセンスバンド、アンライセンスバンドのいずれにも適用され得る。
【0302】
(通信)
本開示は、基地局と端末との間の通信(Uuリンク通信)、端末と端末との間の通信(サイドリンク通信)、およびビークルツーエブリシング(V2X:Vehicle to Everything)通信のいずれにも適用され得る。本開示におけるチャネルは、PSCCH、PSSCH、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH:Physical Sidelink Feedback Channel)、PSBCH、PDCCH、PUCCH、PDSCH、PUSCH、およびPBCHに置き換えられ得る。
【0303】
また、本開示は、地上ネットワーク、または衛星もしくは高高度疑似衛星(HAPS:High Altitude Pseudo Satellite)を使用した地上ネットワーク以外のネットワーク(NTN:非地上ネットワーク:Non-Terrestrial Network)のいずれにも適用され得る。また、本開示は、セルサイズが大きいネットワーク、シンボル長またはスロット長に比べて遅延が大きい地上ネットワーク、たとえば、超広帯域伝送ネットワークにも適用され得る。
【0304】
(アンテナポート)
アンテナポートとは、1つまたは複数の物理アンテナ(複数可)で形成される論理アンテナ(アンテナグループ)を指す。すなわち、アンテナポートは、必ずしも1つの物理アンテナを指すわけではなく、複数のアンテナで形成されるアレイアンテナなどを指す場合もある。たとえば、アンテナポートを形成する物理アンテナの数は定義されておらず、代わりに、アンテナポートは、端末が参照信号を送信することが可能な最小単位として定義される。また、アンテナポートは、プリコーディングベクトルの重み付けを乗算するための最小単位として定義され得る。
【0305】
さらに、さまざまな実施形態は、プロセッサによって実行されるか、またはハードウェアにおいて直接実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよい。ソフトウェアモジュールとハードウェア実装との組み合わせも可能であり得る。ソフトウェアモジュールは、たとえばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどの任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。さらに、異なる実施形態の個々の特徴が個別に、または任意の組み合わせで、別の実施形態の主題になり得ることに留意すべきである。
【0306】
特定の実施形態において示された本開示に対して、多数の変更および/または修正を加えてもよいことを当業者は認識するだろう。したがって本実施形態はすべての点から例示的であり、限定的なものではないとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】