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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】音響入出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240305BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240305BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H04R1/10 101A
H04R1/00 317
H04R1/02 108
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558272
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2021090298
(87)【国際公開番号】W WO2022226792
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】521104171
【氏名又は名称】シェンチェン ショックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェン ジンボ
(72)【発明者】
【氏名】リャオ フォンユン
(72)【発明者】
【氏名】チー シン
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AB11
5D017BC12
(57)【要約】
本願の実施例に係る音響入出力装置は、第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリと、音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるマイクロフォンと、を含み、マイクロフォンは、第1の機械的振動と第2の機械的振動の作用下で、第1の信号と第2の信号をそれぞれ生成し、一定の周波数範囲において、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比は、第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリと、
音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるマイクロフォンと、を含み、前記マイクロフォンは、前記第1の機械的振動と前記第2の機械的振動の作用下で、第1の信号と第2の信号をそれぞれ生成し、一定の周波数範囲において、前記第1の機械的振動の強度と前記第1の信号の強度との比は、前記第2の機械的振動の強度と前記第2の信号の強度との比よりも大きい、音響入出力装置。
【請求項2】
前記スピーカーアセンブリは、骨伝導スピーカーアセンブリであり、前記骨伝導スピーカーアセンブリは、ハウジングと、前記ハウジングに接続されて第1の機械的振動を発生する振動素子とを含み、前記マイクロフォンは、前記ハウジングに直接的又は間接的に接続される、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項3】
ユーザが前記音響入出力装置を装着している場合、前記音響入出力装置の前記ユーザに接触する部分が受ける締め付け力は、0.1N~0.5Nである、請求項2に記載の音響入出力装置。
【請求項4】
制振構造をさらに含み、前記マイクロフォンは、前記制振構造により前記スピーカーアセンブリに接続される、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項5】
前記制振構造は、弾性率が第1の閾値よりも小さい制振材料を含む、請求項4に記載の音響入出力装置。
【請求項6】
前記制振材料の弾性率は、0.01MPa~1000MPaである、請求項5に記載の音響入出力装置。
【請求項7】
前記制振構造の厚さは、0.5mm~5mmである、請求項4に記載の音響入出力装置。
【請求項8】
前記マイクロフォンの表面の第1の部分は、前記第2の機械的振動を伝導し、前記マイクロフォンの表面の第2の部分は、外部に前記制振構造が設置され、前記制振構造により前記スピーカーアセンブリに接続される、請求項4に記載の音響入出力装置。
【請求項9】
前記マイクロフォンの表面の第1の部分には、振動伝達層が設置される、請求項8に記載の音響入出力装置。
【請求項10】
前記振動伝達層の材料の弾性率は、第2の閾値よりも大きい、請求項9に記載の音響入出力装置。
【請求項11】
前記スピーカーアセンブリは、ハウジング及び振動素子を含み、前記ハウジングと前記振動素子との間は、第1の接続部を有し、前記マイクロフォンと前記ハウジングとの間は、第2の接続部を有し、前記第1の接続部は、第1の制振構造を含む、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項12】
前記第2の接続部は、第2の制振構造を含む、請求項11に記載の音響入出力装置。
【請求項13】
前記振動素子の質量は、0.005g~0.3gの範囲にある、請求項11に記載の音響入出力装置。
【請求項14】
ユーザが前記音響入出力装置を装着している場合、前記音響入出力装置の前記ユーザに接触する部分が受ける締め付け力は、0.01N~0.05Nである、請求項11に記載の音響入出力装置。
【請求項15】
前記スピーカーアセンブリは、第1の振動膜及び第2の振動膜を含み、前記第1の振動膜と前記第2の振動膜とは、振動方向が逆である、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項16】
前記スピーカーアセンブリは、ハウジングを含み、前記ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記第1の振動膜と前記第2の振動膜は、それぞれ前記第1のキャビティと前記第2のキャビティに位置し、
前記第1のキャビティの側壁には、第1の通音孔及び第2の通音孔が形成され、前記第2のキャビティの側壁には、第3の通音孔及び第4の通音孔が形成され、前記第1の通音孔から伝達された音声の位相は、前記第3の通音孔から伝達された音声の位相と同じであり、前記第2の通音孔から伝達された音声の位相は、前記第4の通音孔から伝達された音声の位相と同じである、請求項15に記載の音響入出力装置。
【請求項17】
前記第1の通音孔及び前記第3の通音孔は、前記ハウジングの同一の側壁に設置され、前記第2の通音孔及び前記第4の通音孔は、前記ハウジングの同一の側壁に設置され、前記第1の通音孔及び前記第2の通音孔は、前記ハウジングの隣接しない側壁に設置され、前記第3の通音孔及び前記第4の通音孔は、前記ハウジングの隣接しない側壁に設置される、請求項16に記載の音響入出力装置。
【請求項18】
前記スピーカーアセンブリは、磁場を形成する第1の磁気回路アセンブリ及び第2の磁気回路アセンブリをさらに含み、前記第1の磁気回路アセンブリは、前記第1の振動膜に振動を発生させ、前記第2の磁気回路アセンブリは、前記第2の振動膜に振動を発生させ、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとは、連通し、前記第1の磁気回路アセンブリ及び前記第2の磁気回路アセンブリは、直接的又は間接的に接続される、請求項16に記載の音響入出力装置。
【請求項19】
前記音声信号源は、ユーザが前記音声信号を提供する時の振動部位であり、前記ユーザが前記音響入出力装置を装着している場合、前記ユーザの前記振動部位と前記マイクロフォンとの距離は、第3の閾値よりも小さい、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項20】
前記マイクロフォンは、前記ユーザの声帯、喉部、口部、鼻腔のうちの少なくとも1つの付近に位置する、請求項19に記載の音響入出力装置。
【請求項21】
固定アセンブリをさらに含み、前記固定アセンブリは、前記音響入出力装置とユーザとの安定した接触を保持し、前記スピーカーアセンブリに固定的に接続される、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項22】
前記音響入出力装置は、ヘッドホンであり、前記固定アセンブリは、ヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの両側に接続された2つのイヤーマフとを含み、前記ヘッドバンドは、ユーザの頭蓋骨に固定され、かつ前記2つのイヤーマフを前記ユーザの頭蓋骨の両側に固定し、前記マイクロフォンと前記スピーカーアセンブリは、それぞれ前記2つのイヤーマフに設置される、請求項21に記載の音響入出力装置。
【請求項23】
前記音響入出力装置は、両耳ヘッドホンであり、各前記イヤーマフの前記ユーザに接触する一側にスポンジスリーブが設置され、前記マイクロフォンは、前記スポンジスリーブに収容される、請求項22に記載の音響入出力装置。
【請求項24】
前記第2の信号の強度と前記第1の信号の強度との比は、閾値よりも大きい、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項25】
第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリと、
音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるマイクロフォンと、を含み、
前記マイクロフォンは、前記第1の機械的振動と前記第2の機械的振動の作用下で、第1の信号と第2の信号をそれぞれ生成し、
前記マイクロフォンの振動方向と前記第1の機械的振動の方向とがなす第1の夾角は、一定の周波数範囲において、前記第1の機械的振動の強度と前記第1の信号の強度との比が前記第2の機械的振動の強度と前記第2の信号の強度との比よりも大きいように、設定された角度範囲にある、音響入出力装置。
【請求項26】
前記第1の夾角は、20度~90度の角度範囲にある、請求項25に記載の音響入出力装置。
【請求項27】
前記第1の夾角は、90度を含む、請求項26に記載の音響入出力装置。
【請求項28】
前記マイクロフォンの振動方向と前記第2の機械的振動の方向とがなす第2の夾角は、前記第1の機械的振動の強度と前記第1の信号の強度との比が前記第2の機械的振動の強度と前記第2の信号の強度との比よりも大きいように、設定された角度範囲にある、請求項25に記載の音響入出力装置。
【請求項29】
前記第2の夾角は、0度~85度の角度範囲にある、請求項28に記載の音響入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響の分野に関し、特に音響入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカーアセンブリは、機械的振動を発生して音声を伝達する。マイクロフォンは、ユーザが話す時の皮膚などの位置の振動をピックアップすることにより、ユーザが話す時の音声信号を受信する。スピーカーアセンブリ及びマイクロフォンが同時に動作する場合、スピーカーアセンブリの機械的振動は、マイクロフォンに伝達されることにより、マイクロフォンは、スピーカーアセンブリの振動信号を受信してエコーを発生し、マイクロフォンによって生成された音声信号の品質を低下させ、ユーザの使用体験に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、スピーカーアセンブリによるマイクロフォンへの影響を低減し、マイクロフォンによって生成されたエコー信号の強度を低下させ、マイクロフォンによって収集された音声信号の品質を向上させることができる音響入出力装置を提供する。
【0004】
本発明の目的は、スピーカーアセンブリによる骨伝導マイクロフォンの振動への影響を低減し、骨伝導マイクロフォンによって生成されたエコー信号の強度を低下させ、骨伝導マイクロフォンによってピックアップされた音声信号の品質を向上させる音響入出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の上記目的を達成するために、本発明に係る技術手段は、以下のとおりである。
【0006】
音響入出力装置は、第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリと、音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるマイクロフォンと、を含み、マイクロフォンは、第1の機械的振動と第2の機械的振動の作用下で、第1の信号と第2の信号をそれぞれ生成し、一定の周波数範囲において、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比は、第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きい。
【0007】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリは、骨伝導スピーカーアセンブリであり、骨伝導スピーカーアセンブリは、ハウジングと、ハウジングに接続されて第1の機械的振動を発生する振動素子とを含み、マイクロフォンは、ハウジングに直接的又は間接的に接続される。
【0008】
いくつかの実施例において、ユーザが音響入出力装置を装着している場合、音響入出力装置のユーザに接触する部分が受ける締め付け力は、0.1N~0.5Nである。
【0009】
いくつかの実施例において、音響入出力装置は、制振構造をさらに含み、マイクロフォンは、制振構造によりスピーカーアセンブリに接続される。
【0010】
いくつかの実施例において、制振構造は、弾性率が第1の閾値よりも小さい制振材料を含む。
【0011】
いくつかの実施例において、制振材料の弾性率は、0.01MPa~1000MPaである。
【0012】
いくつかの実施例において、制振構造の厚さは、0.5mm~5mmである。
【0013】
いくつかの実施例において、マイクロフォンの表面の第1の部分は、第2の機械的振動を伝導し、マイクロフォンの表面の第2の部分は、外部に制振構造が設置され、制振構造によりスピーカーアセンブリに接続される。
【0014】
いくつかの実施例において、マイクロフォンの表面の第1の部分には、振動伝達層が設置される。
【0015】
いくつかの実施例において、振動伝達層の材料の弾性率は、第2の閾値よりも大きい。
【0016】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリは、ハウジング及び振動素子を含み、ハウジングと振動素子との間は、第1の接続部を有し、マイクロフォンとハウジングとの間は、第2の接続部を有し、第1の接続部は、第1の制振構造を含む。
【0017】
いくつかの実施例において、第2の接続部は、第2の制振構造を含む。
【0018】
いくつかの実施例において、振動素子の質量は、0.005g~0.3gの範囲にある。
【0019】
いくつかの実施例において、ユーザが音響入出力装置を装着している場合、音響入出力装置のユーザに接触する部分が受ける締め付け力は、0.01N~0.05Nである。
【0020】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリは、第1の振動膜及び第2の振動膜を含み、第1の振動膜と第2の振動膜とは、振動方向が逆である。
【0021】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリは、ハウジングを含み、ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、第1の振動膜と第2の振動膜は、それぞれ第1のキャビティと第2のキャビティに位置し、第1のキャビティの側壁には、第1の通音孔及び第2の通音孔が形成され、第2のキャビティの側壁には、第3の通音孔及び第4の通音孔が形成され、第1の通音孔から伝達された音声の位相は、第3の通音孔から伝達された音声の位相と同じであり、第2の通音孔から伝達された音声の位相は、第4の通音孔から伝達された音声の位相と同じである。
【0022】
いくつかの実施例において、第1の通音孔及び第3の通音孔は、ハウジングの同一の側壁に設置され、第2の通音孔及び第4の通音孔は、ハウジングの同一の側壁に設置され、第1の通音孔及び第2の通音孔は、ハウジングの隣接しない側壁に設置され、第3の通音孔及び第4の通音孔は、ハウジングの隣接しない側壁に設置される。
【0023】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリは、磁場を形成する第1の磁気回路アセンブリ及び第2の磁気回路アセンブリをさらに含み、第1の磁気回路アセンブリは、第1の振動膜に振動を発生させ、第2の磁気回路アセンブリは、第2の振動膜に振動を発生させ、第1のキャビティと第2のキャビティとは、連通し、第1の磁気回路アセンブリ及び第2の磁気回路アセンブリは、直接的又は間接的に接続される。
【0024】
いくつかの実施例において、音声信号源は、ユーザが音声信号を提供する時の振動部位であり、ユーザが音響入出力装置を装着している場合、マイクロフォンとユーザの振動部位との距離は、第3の閾値よりも小さい。
【0025】
いくつかの実施例において、マイクロフォンは、ユーザの声帯、喉部、口部、鼻腔のうちの少なくとも1つの付近に位置する。
【0026】
いくつかの実施例において、音響入出力装置は、固定アセンブリをさらに含み、固定アセンブリは、音響入出力装置とユーザとの安定した接触を保持し、スピーカーアセンブリに固定的に接続される。
【0027】
いくつかの実施例において、音響入出力装置は、ヘッドホンであり、固定アセンブリは、ヘッドバンドと、ヘッドバンドの両側に接続された2つのイヤーマフとを含み、ヘッドバンドは、ユーザの頭蓋骨に固定され、かつ2つのイヤーマフをユーザの頭蓋骨の両側に固定し、マイクロフォンとスピーカーアセンブリは、それぞれ2つのイヤーマフに設置される。
【0028】
いくつかの実施例において、音響入出力装置は、両耳ヘッドホンであり、各イヤーマフのユーザに接触する一側にスポンジスリーブが設置され、マイクロフォンは、スポンジスリーブに収容される。
【0029】
いくつかの実施例において、第2の信号の強度と第1の信号の強度との比は、閾値よりも大きい。
【0030】
本願の1つ以上の実施例に係る音響入出力装置は、第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリと、音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるマイクロフォンと、を含み、マイクロフォンは、第1の機械的振動と第2の機械的振動の作用下で、第1の信号と第2の信号をそれぞれ生成し、マイクロフォンの振動方向と第1の機械的振動の方向とがなす第1の夾角は、一定の周波数範囲において、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比が第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きいように、設定された角度範囲にある。
【0031】
いくつかの実施例において、第1の夾角は、20度~90度の角度範囲にある。
【0032】
いくつかの実施例において、前記第1の夾角は、90度を含む。
【0033】
いくつかの実施例において、マイクロフォンの振動方向と第2の機械的振動の方向とがなす第2の夾角は、一定の周波数範囲において、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比が第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きいように、設定された角度範囲にある。
【0034】
いくつかの実施例において、第2の夾角は、0度~85度の角度範囲にある。
【0035】
例示的な実施例によって本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号は、類似する構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の構成ブロック図である。
図2A】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の概略構成図である。
図2B】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の概略構成図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の部分構造の断面概略図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の振動伝達の簡易概略図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の別の機械的振動伝達モデルの概略図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の振動伝達の別の概略構成図である。
図7】本願のいくつかの実施例に係る2軸マイクロフォンにおいて生成された電気信号の計算概略図である。
図8】本願のいくつかの実施例に係る第2の信号及び第1の信号の強度曲線図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る第2の信号及び第1の信号の別の強度曲線図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンと制振構造とが接続された断面概略図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る、制振構造を有する音響入出力装置の断面概略図である。
図12】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の断面概略図である。
図13】本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の断面概略図である。
図14】本願のいくつかの実施例に係る、2つの空気伝導スピーカーアセンブリを有する音響入出力装置の断面概略図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る、2つの空気伝導スピーカーアセンブリを有する音響入出力装置の別の断面概略図である。
図16】本願のいくつかの実施例に係るヘッドホンの概略構成図である。
図17】本願のいくつかの実施例に係る片耳ヘッドホンの概略構成図である。
図18】本願のいくつかの実施例に係る両耳ヘッドホンの断面概略図である。
図19】本願のいくつかの実施例に係るメガネの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。これらの例示的な実施例は、当業者が本発明をよりよく理解して実施することを可能にするためのものに過ぎず、いかなる方法で本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ符号は、同じ構造又は操作を示す。
【0038】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を指すものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。用語「基づく」は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味する。用語「1つの実施例」は、「少なくとも1つの実施例」を示す。用語「別の実施例」は、「少なくとも1つの別の実施例」を示す。その他の用語の関連定義は、以下の説明において与えられる。以下、一般性を失うことなく、本発明における骨伝導の関連技術を説明する場合、「骨伝導マイクロフォン」、「骨伝導マイクロフォンアセンブリ」、「骨伝導スピーカー」、「骨伝導スピーカーアセンブリ」又は「骨伝導イヤホン」を用いて説明する。本発明における空気伝導の関連技術を説明する場合、「空気伝導マイクロフォン」、「空気伝導マイクロフォンアセンブリ」、「空気伝導スピーカー」、「空気伝導スピーカーアセンブリ」又は「空気伝導イヤホン」を用いて説明する。該説明は、骨伝導の適用の一形態に過ぎず、当業者であれば、「装置」又は「イヤホン」は、例えば「プレーヤー」、「補聴器」などの他の同種の単語で置き換えられてもよい。実際に、本発明における様々な実施形態は、スピーカー以外の他の装置に容易に適用することができる。例えば、当業者は、装置の基本原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、装置を実装する具体的な方法及びステップの形態及び詳細に様々な修正及び変更を行うことができ、特に、環境音声のピックアップ及び処理機能を装置に追加することにより、該装置が補聴器の機能を実現することができる。例えば、骨伝導マイクロフォンなどの音響伝達器は、ユーザ/装着者の周囲環境の音声をピックアップし、特定のアルゴリズムで処理された音声(又は生成された電気信号)をスピーカーアセンブリ部分に伝送することができる。すなわち、環境音声のピックアップ機能を追加するように骨伝導マイクロフォンを変更し、特定の信号処理を行った後にスピーカーアセンブリ部分により音声をユーザ/装着者に伝達することにより、補聴器の機能を実現することができる。例として、ここで言及されるアルゴリズムは、ノイズ除去、自動利得制御、音響フィードバック抑制、ワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的環境認識、アクティブノイズキャンセル、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的ハウリング抑制、音量制御などのうちの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。
【0039】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の構成ブロック図である。図1に示すように、音響入出力装置100は、スピーカーアセンブリ110、マイクロフォンアセンブリ120及び固定アセンブリ130を含んでもよい。
【0040】
スピーカーアセンブリ110は、音声情報を含む信号を音響信号(音声信号とも呼ばれる)に変換することができる。例えば、スピーカーアセンブリ110は、音声情報を含む信号の受信に応答して、機械的振動を発生して音波(すなわち、音響信号)を伝達することができる。説明を容易にするために、スピーカーアセンブリ110により発生した機械的振動は、第1の機械的振動と呼ばれてもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリは、振動素子及び/又は振動素子に接続された振動伝達素子(例えば、音響入出力装置100の少なくとも一部のハウジング、振動伝達シート)を含んでもよい。スピーカーアセンブリ110は、第1の機械的振動を発生するときにエネルギーの変換を伴い、スピーカーアセンブリ110は、音声情報を含む信号の機械的振動への変換を実現することができる。変換の過程において、複数の異なるタイプのエネルギーの共存及び変換が含まれる可能性がある。例えば、電気信号(すなわち、音声情報を含む信号)は、スピーカーアセンブリ110の振動素子におけるエネルギー変換装置により、第1の機械的振動に直接的に変換することができ、スピーカーアセンブリ110の振動伝達素子により、第1の機械的振動を伝達して音波を伝達する。また例えば、音声情報は、光信号に含まれてもよく、特定のエネルギー変換装置は、光信号から振動信号に変換する過程を実現することができる。エネルギー変換装置の動作中に共存、変換することができる他のタイプのエネルギーは、熱エネルギー、磁場エネルギーなどを含む。エネルギー変換装置のエネルギー変換方式は、可動コイル式、静電式、圧電式、バランスドアーマチュア式、空気圧式、電磁式などを含んでもよい。
【0041】
スピーカーアセンブリ110は、空気伝導スピーカーアセンブリ及び/又は骨伝導スピーカーアセンブリを含んでもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110は、振動素子及びハウジングを含んでもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110が骨伝導スピーカーアセンブリである場合、スピーカーアセンブリ110のハウジングは、ユーザの身体のある部位(例えば、顔)に接触し、ユーザに音声が聞こえるように、骨格を介して、振動素子により発生した第1の機械的振動を聴覚神経に伝達し、音響入出力装置100の少なくとも一部のケースとして振動素子及びマイクロフォンアセンブリ120を収容してもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110が空気伝導スピーカーアセンブリである場合、振動素子は、ユーザに音声が聞こえるように、空気を振動させて空気の密度を変化させてもよく、ハウジングは、音響入出力装置100の少なくとも一部のケースとして振動素子及びマイクロフォンアセンブリ120を収容してもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110とマイクロフォンアセンブリ120は、異なるハウジングに位置してもよい。
【0042】
振動素子は、音声信号を機械的振動信号に変換することにより、第1の機械的振動を発生することができる。いくつかの実施例において、振動素子(すなわち、エネルギー変換装置)は、磁気回路アセンブリを含んでもよい。磁気回路アセンブリは、磁場を提供することができる。磁場は、音声情報を含む信号を機械的振動信号に変換することができる。いくつかの実施例において、音声情報は、特定のデータフォーマットを有するビデオファイル、オーディオファイル、又は特定のアプローチで音声に変換され得るデータ若しくはファイルを含んでもよい。音声情報を含む信号は、音響入出力装置100自体の記憶アセンブリに由来してもよく、音響入出力装置100以外の情報生成、記憶又は伝達システムに由来してもよい。音声情報を含む信号は、電気信号、光信号、磁気信号、機械信号などのうちの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。音声情報を含む信号は、1つの信号源又は複数の信号源に由来してもよい。複数の信号源は、関連してもよく、関連しなくてもよい。いくつかの実施例において、音響入出力装置100は、複数種の異なる方式で音声情報を含む信号を取得することができ、信号の取得は、有線であってもよく、無線であってもよく、リアルタイム型であってもよく、遅延型であってもよい。例えば、音響入出力装置100は、有線又は無線の方式で音声情報を含む電気信号を受信してもよく、記憶媒体からデータを直接的に取得して、音声信号を生成してもよい。また例えば、音響入出力装置100は、音声収集機能を有するアセンブリ(例えば、空気伝導マイクロフォンアセンブリ)を含んでもよく、環境中の音声をピックアップして、音声の機械的振動を電気信号に変換し、増幅器により処理して特定の要求を満たす電気信号を取得する。いくつかの実施例において、有線接続は、金属ケーブル、光ケーブル、又は金属ケーブル及び光ケーブルの組み合わせ、例えば、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、リボンケーブル、シールドケーブル、電気通信ケーブル、対ケーブル、二芯平行配線、ツイストペアなどの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。上述した例は、説明の便宜上のものに過ぎず、有線接続の媒体は、他のタイプのもの、例えば、他の電気信号又は光信号などの伝達キャリアであってもよい。
【0043】
無線接続は、無線通信、自由空間光通信、音声通信、電磁誘導などを含んでもよい。無線通信は、IEEE802.11標準規格、IEEE802.15標準規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)技術及びセルラー技術など)、第1世代移動通信技術、第2世代移動通信技術(例えば、FDMA、TDMA、SDMA、CDMA、及びSSMAなど)、汎用パケット無線サービス技術、第3世代移動通信技術(例えば、CDMA2000、WCDMA、TD-SCDMA、及びWiMAXなど)、第4世代移動通信技術(例えば、TD-LTE及びFDD-LTEなど)、衛星通信(例えば、GPS技術など)、近距離無線通信(NFC)及びISMバンド(例えば、2.4GHzなど)における他のオペレーティングを含んでもよく、自由空間光通信は、可視光信号、赤外線信号などを含んでもよく、音声通信は、音波信号、超音波信号などを含んでもよく、電磁誘導は、近距離無線通信技術などを含んでもよい。上述した例は、説明の便宜上のものに過ぎず、無線接続の媒体は、他のタイプのもの、例えば、Z-wave技術、他の有料の民向け無線周波数帯、軍事用の無線周波数帯などであってもよい。例えば、本技術のいくつかの適用シーンにおいて、音響入出力装置100は、ブルートゥース(登録商標)技術により他の音響入出力装置から音声情報を含む信号を取得してもよい。
【0044】
マイクロフォンアセンブリ120は、音響信号(音声信号とも呼ばれる)をピックアップし、音声情報を含む信号(例えば、電気信号)に音響信号を変換することができる。例えば、マイクロフォンアセンブリ120は、音声信号源が音声信号を提供する時に発生した機械的振動をピックアップして電気信号に変換する。説明を容易にするために、ユーザが音声信号を提供する時に発生した機械的振動は、第2の機械的振動と呼ばれてもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォンアセンブリ120は、1つ以上のマイクロフォンを含んでもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォンの動作原理に基づいて、マイクロフォンを骨伝導マイクロフォン及び/又は空気伝導マイクロフォンに分けてもよい。説明を容易にするために、本願の1つ以上の実施例において、骨伝導マイクロフォンを例として説明する。なお、本願の1つ以上の実施例における骨伝導マイクロフォンは、空気伝導マイクロフォンに置き換えられてもよい。
【0045】
骨伝導マイクロフォンは、ユーザの骨格、皮膚などの組織を介して伝導され、骨伝導マイクロフォンによって感知され得る任意の機械的振動(例えば、第1の機械的振動及び第2の機械的振動)を収集することができ、受けた機械的振動は、骨伝導マイクロフォン120の内部素子(例えば、マイクロフォン振動膜)に対応する機械的振動(例えば、第3の機械的振動及び第4の機械的振動)を発生し、かつ音声情報を含む電気信号(例えば、第1の信号及び第2の信号)に変換し、第1の信号は、骨伝導マイクロフォンによって生成されたエコー信号であると理解されてもよく、第2の信号は、骨伝導マイクロフォンによって生成された音声信号であると理解されてもよい。空気伝導マイクロフォンは、空気によって伝導された機械的振動(すなわち、音波)を収集し、音声情報を含む信号(例えば、電気信号)に機械的振動を変換することができる。例えば、スピーカーアセンブリ110が空気伝導スピーカーを含むと、空気伝導マイクロフォンは、空気伝導スピーカーによって伝達されたエコー信号(空気伝導により伝達される)を受信することができる。また例えば、スピーカーアセンブリ110が骨伝導スピーカーを含むと、空気伝導マイクロフォンは、骨伝導スピーカーによって伝達される機械的振動と、骨伝導スピーカーによって空気伝導方式で伝達されるエコー信号との両方を受信することができる。いくつかの実施例において、マイクロフォンアセンブリ120は、マイクロフォン振動膜及び他の電子素子を含んでもよく、音声信号源の機械的振動がマイクロフォン振動膜に伝達された後に、マイクロフォン振動膜に、対応する機械的振動を発生し、電子素子は、音声情報を含む信号(例えば、電気信号)に機械的振動信号を変換することができる。いくつかの実施例において、マイクロフォンアセンブリ120は、リボンマイクロフォン、微小電気機械システム(MEMS)マイクロフォン、動的マイクロフォン、圧電マイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、カーボンマイクロフォン、アナログマイクロフォン、デジタルマイクロフォンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。また例えば、骨伝導マイクロフォンは、全指向性マイクロフォン、単一指向性マイクロフォン、双指向性マイクロフォン、カーディオイドマイクロフォン、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110及びマイクロフォンアセンブリ120が同時に動作する場合、マイクロフォンアセンブリ120は、スピーカーアセンブリ110により発生した第1の機械的振動及び音声信号源により発生した第2の機械的振動を感知してもよい。第1の機械的振動に応答して、マイクロフォンアセンブリ120は、第3の機械的振動を発生し、第3の機械的振動を第1の信号に変換してもよい。第2の機械的振動に応答して、マイクロフォンアセンブリ120は、第4の機械的振動を発生し、第4の機械的振動を第2の信号に変換してもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110は、エコー信号源と呼ばれてもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ110及びマイクロフォンアセンブリ120が同時に動作する場合、一定の周波数範囲において、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比は、第2の機械的振動の強度と第2信号の強度との比よりも大きい。周波数範囲は、200Hz~10kHz、又は200Hz~5000Hz、又は200Hz~2000Hz、又は200Hz~1000Hzなどを含んでもよい。
【0047】
固定アセンブリ130は、スピーカーアセンブリ110及びマイクロフォンアセンブリ120を支持する役割を果たすことができる。いくつかの実施例において、固定アセンブリ130は、人体の頭蓋骨に安定して接触することができるように円弧状の中部に反発する力を発生することができる円弧状の弾性部材を含んでもよい。いくつかの実施例において、固定アセンブリ130は、1つ以上の接続部材を含んでもよい。1つ以上の接続部材は、スピーカーアセンブリ110及び/又はマイクロフォンアセンブリ120に接続されてもよい。いくつかの実施例において、固定アセンブリ130は、両耳装着を実現することができる。例えば、固定アセンブリ130の両端は、それぞれ2組のスピーカーアセンブリ110に固定的に接続されてもよい。ユーザが音響入出力装置100を装着している場合、固定アセンブリ130は、2組のスピーカーアセンブリ110をそれぞれユーザの左耳、右耳の付近に固定することができる。いくつかの実施例において、固定アセンブリ130は、片耳装着を実現することもできる。例えば、固定アセンブリ130は、1組のスピーカーアセンブリ110のみに固定的に接続することができる。ユーザが音響入出力装置100を装着している場合、固定アセンブリ130は、スピーカーアセンブリ110をユーザの一側の耳の付近に固定することができる。いくつかの実施例において、固定アセンブリ130は、メガネ(例えば、サングラス、拡張現実メガネ、仮想現実メガネ)、ヘルメット、ヘアバンドのうちの1つ以上の任意の組み合わせであってもよく、ここでは限定しない。
【0048】
以上の音響入出力装置の構造に対する説明は、具体的な例に過ぎず、唯一の実行可能な実施形態と見なすべきではない。明らかに、当業者は、音響入出力装置100の基本原理を理解すれば、この原理から逸脱することなく、音響入出力装置100を実施する具体的な方法及びステップの形態及び詳細に様々な修正及び変更を行う可能性があるが、これらの修正及び変更は、依然として以上の説明の範囲にある。例えば、音響入出力装置100は、1つ以上のプロセッサを含んでもよく、プロセッサは、1つ以上の音声信号処理アルゴリズムを実行することができる。音声信号処理アルゴリズムは、音声信号を補正するか又は強化することができる。例えば、音声信号に対してノイズ低減、音響フィードバック抑制、ワイドダイナミックレンジ圧縮、自動利得制御、能動的環境認識、アクティブノイズキャンセル、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的ハウリング抑制、音量制御、又は他の類似する処理、又は以上の任意の組み合わせの処理を行い、これらの修正及び変更は、依然として本発明の特許請求の範囲にある。また例えば、音響入出力装置100は、1つ以上のセンサ、例えば、温度センサ、湿度センサ、速度センサ、変位センサなどを含んでもよい。該センサは、ユーザ情報又は環境情報を収集することができる。
【0049】
図2Aは、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の概略構成図であり、図2Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の概略構成図である。図2A及び図2Bに示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置200は、イヤークリップイヤホンであり、イヤークリップイヤホンは、イヤホンコア210、固定アセンブリ230、制御回路240及び電池250を含んでもよい。イヤホンコア210は、スピーカーアセンブリ(図示せず)及びマイクロフォンアセンブリ(図示せず)を含んでもよい。固定アセンブリは、耳掛け231、イヤホンハウジング232、回路ケース233及び後掛け234を含んでもよい。イヤホンハウジング232と回路ケース233は、耳掛け231の両端にそれぞれ設置されてもよく、後掛け234は、さらに回路ケース233の耳掛け231から遠い一端に設置されてもよい。イヤホンハウジング232は、異なるイヤホンコアを収容してもよい。回路ケース233は、制御回路260及び電池270を収容してもよい。後掛け234の両端は、対応する回路ケース233にそれぞれ接続されてもよい。耳掛け231は、ユーザが音響入出力装置200を装着している場合、イヤークリップイヤホンをユーザの耳に掛ける構造であってもよく、イヤホンハウジング232及びイヤホンコア210をユーザの耳に対する所定の位置に固定する。
【0050】
いくつかの実施例において、耳掛け231は、弾性ワイヤを含んでもよい。弾性ワイヤは、耳掛け231にユーザの耳に合わせた形状を保持させるとともに、ユーザがイヤークリップイヤホンを装着している場合、ユーザの耳の形状及び頭部の形状に応じて一定の弾性変形を発生して、異なる耳の形状及び頭部の形状を有するユーザに適応するように、一定の弾性を有するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、弾性ワイヤは、良好な変形回復力を有する記憶合金で製造されてもよい。耳掛け231は、外力によって変形しても、外力が除去された場合、元の形状に回復することができるため、イヤークリップイヤホンの耐用年数を延長する。いくつかの実施例において、弾性ワイヤは、非記憶合金で製造されてもよい。イヤホンコア210と他の部材(例えば、制御回路260、電池270など)との電気的接続を確立して、イヤホンコア210に対して電源を提供してデータ転送を行うように、弾性ワイヤにリード線を設置してもよい。いくつかの実施例において、耳掛け231は、保護スリーブ236と、保護スリーブ236と一体に形成されたケースプロテクタ237とをさらに含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施例において、イヤホンハウジング232は、イヤホンコア210を収容するように構成されてもよい。イヤホンコア210は、1つ以上のスピーカーアセンブリ及び/又は1つ以上のマイクロフォンアセンブリを含んでもよい。1つ以上のスピーカーアセンブリは、骨伝導スピーカーアセンブリ、空気伝導スピーカーアセンブリなどを含んでもよい。1つ以上のマイクロフォンアセンブリは、骨伝導マイクロフォンアセンブリ、空気伝導マイクロフォンアセンブリなどを含んでもよい。スピーカーアセンブリ及びマイクロフォンアセンブリの構造及び設置について、本願の他の箇所の説明、例えば、図3図15及びそれらの詳細な説明を参照してもよい。イヤホンコア210とイヤホンハウジング232は、数が2つであってもよく、ユーザの左耳と右耳にそれぞれ対応してもよい。
【0052】
いくつかの実施例において、耳掛け231とイヤホンハウジング232は、直接的に一体成形されるのではなく、別個に成形されて、さらに組み立てられてもよい。
【0053】
いくつかの実施例において、イヤホンハウジング232には、接触面2321が設置されてもよい。接触面2321は、ユーザの皮膚に接触してもよい。イヤークリップイヤホンを使用している場合、イヤホンコア210の1つ以上の骨伝導スピーカーにより発生する音波は、接触面2321によりイヤホンハウジング232の外部に伝達する(例えば、ユーザの鼓膜に伝達する)ことができる。いくつかの実施例において、接触面2321の材料及び厚さは、骨伝導音波のユーザへの伝達に影響を与えるため、音質に影響を与えることがある。例えば、接触面2321の材料弾性が大きいと、低周波数範囲における骨伝導音波の伝達は、高周波数範囲における骨伝導音波の伝達よりも優れる可能性がある。逆に、接触面2321の材料弾性が小さいと、高周波数範囲における骨伝導音波の伝達は、低周波数範囲における骨伝導音波の伝達よりも優れる可能性がある。なお、本実施例におけるイヤホンハウジング232及び本願の他の実施例におけるハウジングは、いずれも、音響入出力装置200のユーザに接触する部材を指す。
【0054】
図3は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の部分構造の断面概略図である。図3に示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置300は、第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリ310と、音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受ける骨伝導マイクロフォン320と、を含んでもよい。いくつかの実施例において、音響入出力装置300は、固定アセンブリ330をさらに含んでもよく、図3に示すように、固定アセンブリ330は、スピーカーアセンブリ310に固定的に接続され、ユーザが音響入出力装置300を装着している場合、スピーカーアセンブリ310及び骨伝導マイクロフォン320をユーザの顔340に接触させる。いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン320及びスピーカーアセンブリ310が同時に動作する場合、骨伝導マイクロフォン320は、第1の機械的振動及び第2の機械的振動を受け、第1の機械的振動と第2の機械的振動の作用下で、第3の機械的振動と第4の機械的振動をそれぞれ発生し、第3の機械的振動と第4の機械的振動をそれぞれ第1の信号と第2の信号に変換する。いくつかの実施例において、一定の周波数範囲において、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比は、第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きい。本明細書に記載のように、第3の機械的振動は、骨伝導マイクロフォン320が受けた第1の機械的振動、すなわち、骨伝導マイクロフォン320が受信したエコー信号と呼ばれてもよく、第4の機械的振動は、骨伝導マイクロフォン320が受けた第2の機械的振動、すなわち、骨伝導マイクロフォン320が受信した音声信号と呼ばれてもよい。いくつかの実施例において、周波数範囲は、200Hz~10kHzを含んでもよい。いくつかの実施例において、周波数範囲は、200Hz~9000Hzを含んでもよい。いくつかの実施例において、周波数範囲は、200Hz~8000Hzを含んでもよい。いくつかの実施例において、周波数範囲は、200Hz~6000Hzを含んでもよい。いくつかの実施例において、周波数範囲は、200Hz~5000Hzを含んでもよい。
【0055】
スピーカーアセンブリ310は、ユーザに音声が聞こえるように第1の機械的振動を発生して音波を伝達してもよい。スピーカーアセンブリ310が音波を伝達する方式は、空気伝導方式及び骨伝導方式を含む。ここで、空気伝導による音波の伝達に対応するのは、空気伝導スピーカーアセンブリであり、空気伝導スピーカーアセンブリは、波の形で空気によって音波を伝達し、音波は、ユーザに音声が聞こえるように、ユーザの鼓膜-耳小骨-蝸牛を介して聴覚神経に伝達される。一方、骨伝導による音波の伝達に対応するのは、骨伝導スピーカーアセンブリであり、骨伝導スピーカーアセンブリは、ユーザの顔340に接触する(例えば、骨伝導スピーカーアセンブリのハウジング350は、ユーザの顔340に接触する)ことにより機械的振動をユーザの顔340の皮膚、骨格に伝達し、骨格を介して聴覚神経に伝達することにより、ユーザに音声が聞こえる。骨伝導スピーカーアセンブリ又は空気伝導スピーカーアセンブリにかかわらず、骨伝導マイクロフォン320は、スピーカーアセンブリ310に直接的又は間接的に接続される。具体的には、スピーカーアセンブリ310が骨伝導スピーカーアセンブリである場合、ハウジング350は、骨伝導スピーカーアセンブリの振動伝達素子の1つであり、骨伝導スピーカーアセンブリの振動素子は、振動をユーザの皮膚、骨格に伝達するように、ハウジング350に直接的又は間接的に接続される必要がある。骨伝導マイクロフォン320は、ユーザが話す時に発生した振動を収集するように、ハウジング350に直接的又は間接的に接続される必要がある。骨伝導スピーカーは、音波を伝達する時にハウジング350の機械的振動を引き起こし、ハウジング350は、さらに機械的振動を骨伝導マイクロフォン320に伝達し、骨伝導マイクロフォン320は、機械的振動を受けた後、対応する第3の機械的振動を発生し、第3の機械的振動に基づいて、音声情報を含む第1の信号を生成する。スピーカーアセンブリ310が空気伝導スピーカーアセンブリである場合、ハウジング350は、空気伝導スピーカーアセンブリ及び骨伝導マイクロフォン320を収容するものであり、音響入出力装置300のケースに相当し、空気伝導スピーカーアセンブリの振動素子は、空気伝導スピーカーアセンブリを固定するように、ハウジング350に直接的又は間接的に接続することができる。以上より、骨伝導マイクロフォン320は、ユーザが話す時に発生した振動を収集するように、ハウジング350に直接的又は間接的に接続される必要がある。空気伝導スピーカーは、音波を伝達する時にハウジング350の機械的振動を引き起こし、ハウジング350は、さらに機械的振動を骨伝導マイクロフォン320に伝達し、骨伝導マイクロフォン320は、機械的振動を受けた後、対応する第3の機械的振動を発生し、第3の機械的振動に基づいて、音声情報を含む第1の信号を生成する。
【0056】
したがって、スピーカーアセンブリ310により発生した第1の機械的振動の少なくとも一部は、骨伝導マイクロフォン320に伝達されて、骨伝導マイクロフォン320に第3の機械的振動を発生させる。スピーカーアセンブリ310により伝達された第1の機械的振動以外に、骨伝導マイクロフォン320は、ユーザの顔340の皮膚に接触して、ユーザが話す時に発生した第2の機械的振動(例えば、皮膚及び骨格の振動)を受け、骨伝導マイクロフォン320に第4の機械的振動を発生させる。
【0057】
骨伝導マイクロフォン320及びスピーカーアセンブリ310が同時に動作する場合、例えば、骨伝導マイクロフォン320が音声信号を受信する(例えば、人が話す時の皮膚などの位置の振動をピックアップすることにより、人が話す時の音声信号を受信する)と同時に、スピーカーアセンブリ310が振動して音声信号(例えば、音楽)を伝達する場合、骨伝導マイクロフォン320は、第1の機械的振動及び第2の機械的振動を同時に受ける。骨伝導マイクロフォン320のマイクロフォン振動膜(図示せず)は、第1の機械的振動と第2の機械的振動にそれぞれ対応する第3の機械的振動と第4の機械的振動を発生し、第3の機械的振動と第4の機械的振動をそれぞれ第1の信号と第2の信号に変換する。マイクロフォン振動膜は、ピックアップした第1の機械的振動に応答して第3の機械的振動を発生する場合、骨伝導マイクロフォン320は、第2の機械的振動により伝達された音声情報以外の第1の機械的振動により伝達された音声情報を受信することにより、マイクロフォンによってピックアップされる音声信号の品質に影響を与える。説明を容易にするために、第1の機械的振動により伝達された信号をエコー信号(又は副音声信号)と称し、第1の機械的振動を発生し伝達する部材(例えば、スピーカーアセンブリ310、ハウジング350)をエコー信号源(又は副音声信号源)と称することができる。第2の機械的振動を音声信号(又は主音声信号)と称し、第2の機械的振動を発生し伝達する部材(例えば、ユーザの声帯、鼻腔、口部など)を音声信号源(又は主音声信号源)と称することができる。図3は、音声信号源、エコー信号源及び骨伝導マイクロフォンの振動方向を示し、矢印Aで示す方向は、第1の機械的振動の方向であり、すなわち、エコー信号源の振動方向であり、矢印Bで示す方向は、骨伝導マイクロフォンの振動方向、すなわち、第3の機械的振動及び第4の機械的振動の方向であり、矢印Cで示す方向は、第2の機械的振動の方向、すなわち、音声信号源の振動方向である。
【0058】
上記理由により、音響入出力装置300を設計することにより、骨伝導マイクロフォン320によって生成されたエコー信号の強度(すなわち、第1の信号の強度)を低下させる必要がある。さらに、骨伝導マイクロフォン320によって生成されたエコー信号の強度を低下させるとともに、骨伝導マイクロフォン320によって生成された音声信号の強度(すなわち、第2の信号の強度)を向上させることができ、第1の信号の強度を低下させ第2の信号の強度を向上させるという目的を達成することにより、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比が第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きく、骨伝導マイクロフォンによって生成された音声信号の品質を向上させることができる。
【0059】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の振動伝達の概略図である。図3及び図4に示すように、音響入出力装置300の骨伝導マイクロフォン320及びスピーカーアセンブリ310が同時に動作する場合、音響入出力装置300の機械的振動伝達モデルは、図4に示すモデルに相当することができる。具体的には、音声信号源360(例えば、ユーザの骨格又は声帯)の機械的振動(すなわち、第2の機械的振動)の強度は、L1であり、エコー信号源380(例えば、スピーカーアセンブリ310)の機械的振動(すなわち、第1の機械的振動)の強度は、L2であり、骨伝導マイクロフォン320と音声信号源360との間は、第1の弾性接続部370であってもよく、第1の弾性接続部370の弾性係数は、k1であり、骨伝導マイクロフォン320とエコー信号源380との間は、第2の弾性接続部390であってもよく、第2の弾性接続部390の弾性係数は、k2であり、骨伝導マイクロフォン320の質量は、mである。音声信号源360と骨伝導マイクロフォン320との間の第1の弾性接続部370は、骨伝導マイクロフォン320のユーザの顔340に接触する部材(例えば、振動伝達層、金属シート、一部のハウジング350など)、ユーザの皮膚などを含んでもよい。骨伝導マイクロフォン320とエコー信号源380との間の第2の弾性接続部390は、音響入出力装置300の一部に属する。例えば、骨伝導マイクロフォン320とエコー信号源380の両方が、ハウジング350に物理的に接続されると、第2の弾性接続部390は、ハウジング350を含んでもよい。また例えば、骨伝導マイクロフォン320とエコー信号源380が、それぞれ接続部材によりハウジング350に物理的に接続されると、第2の弾性接続部390は、ハウジング350及び接続部材を含んでもよい。図4に示す実施例において、音声信号源360の振動方向が骨伝導マイクロフォン320の振動方向に平行であり、エコー信号源380の振動方向が骨伝導マイクロフォン320の振動方向に平行であると仮定することができ、骨伝導マイクロフォンは、音声信号源360の振動及びエコー信号源380の振動を最大限に受けることができる。骨伝導マイクロフォン320の振動方向は、マイクロフォン振動膜の振動方向であると理解されてもよい。
【0060】
図4に基づいて、骨伝導マイクロフォン320が受けた機械的振動の強度Lは、以下のとおりである。
【0061】
【数1】
【0062】
式中、L1は、骨伝導マイクロフォン320が受けた第2の機械的振動の強度(すなわち、第4の機械的振動の強度)であり、L2は、受けた第1の機械的振動の強度(すなわち、第3の機械的振動の強度)であり、mは、骨伝導マイクロフォン320の質量である。ωは、信号の角周波数であり、信号は、音声信号及び/又はエコー信号を含む。
【0063】
【数2】
【0064】
は、L1(すなわち、第2の機械的振動)によるLへの影響を示し、
【0065】
【数3】
【0066】
は、L2(すなわち、第1の機械的振動)によるLへの影響を示す。
【0067】
これにより、第1の弾性接続部370の弾性係数k1が大きいほど、音声信号源360の振動強度L1による、骨伝導マイクロフォン320が受けた機械的振動の強度Lへの影響が大きくなり、第2の弾性接続部390の弾性係数k2が小さいほど、エコー信号源380の振動強度L2による骨伝導マイクロフォン320が受けた機械的振動の強度Lへの影響が小さくなり、骨伝導マイクロフォン320によって受信されたエコー信号が小さくなる。
【0068】
式(1)から分かるように、骨伝導マイクロフォン320によって受信されたエコー信号を低減するために、複数の方面から音響入出力装置を設計することができ、例えば、L1及び/又はk1をできるだけ大きくし、L2及び/又はk2をできるだけ小さくして、L1によるLへの影響を増大させ、L2によるLへの影響を低減することにより、骨伝導マイクロフォンによって生成された音声信号の品質を向上させる。
【0069】
図5は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の別の機械的振動伝達モデルの概略図である。図5に示すように、いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン520は、1軸骨伝導マイクロフォンであってもよく、1軸骨伝導マイクロフォンのマイクロフォン振動膜は、一方向のみに振動を発生することができ、すなわち、マイクロフォン振動膜は、該方向の機械的振動のみを電気信号(例えば、第1の信号)に変換することができる。例えば、図5を例として、骨伝導マイクロフォン520の振動方向は、上下方向であり、機械的振動の方向が骨伝導マイクロフォン520の振動方向に平行である(すなわち、上下方向である)場合、マイクロフォン振動膜は、受けた機械的振動を最大限に電気信号(例えば、第1の信号及び第2の信号)に変換することができる。ここで、受けた機械的振動を最大限に電気信号に変換することは、抵抗力などの影響による損失(例えば、機械的振動は、第1の弾性接続部570、第2の弾性接続部590を介して伝達された場合に一部が損失される)を除いた全ての機械的振動は、ほとんどマイクロフォン振動膜によって受けられ電気信号に変換され得ると理解されてもよい。機械的振動の方向が骨伝導マイクロフォン520の振動方向に垂直(すなわち、左右方向)である場合、受けた機械的振動は、少数の部分のみがマイクロフォン振動膜によって電気信号に変換することができるため、電気信号の強度が最小であり、つまり、骨伝導マイクロフォン520の振動方向が機械的振動の方向に垂直である場合、骨伝導マイクロフォン520によって生成された電気信号の強度が最小であり、生成された音声信号の強度が最小である。
【0070】
上記原理に基づいて、いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン520の取り付け位置を設計することにより、骨伝導マイクロフォン520の振動方向とエコー信号源580(例えば、図3に示すスピーカーアセンブリ310)の振動方向(すなわち、第1の機械的振動の方向)とを一定の角度範囲にして、骨伝導マイクロフォン520によって生成された第1の信号の強度を低下させ、すなわち、骨伝導マイクロフォン520によって生成されたエコー信号の強度を低下させることができる。さらに、いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン520の振動方向と音声信号源560(例えば、図3に示すユーザの顔340)の振動方向とを一定の角度範囲にして、骨伝導マイクロフォン520によって生成された第2の信号の強度を向上させ、すなわち、骨伝導マイクロフォン520によって生成された音声信号の強度を向上させる。
【0071】
図6は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の振動伝達の別の概略構成図である。図6に示すように、いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン620の振動方向とエコー信号源680(例えば、図3に示すスピーカーアセンブリ310)の振動方向とがなす夾角は、第1の夾角αであってもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αは、20度~90度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αは、45度~90度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αは、60度~90度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αは、75度~90度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αは、90度であってもよい。本実施例において、20度~90度の範囲において、第1の夾角αの角度が大きいほど、マイクロフォン振動膜の振動方向とエコー信号源680の振動方向とが垂直に近づき、マイクロフォン振動膜によって変換された第1の信号の強度が小さくなり、第1の夾角αが90度である場合、マイクロフォン振動膜によって変換された第1の信号の強度が最小であり、すなわち、骨伝導マイクロフォン620によって生成されたエコー信号の強度が最小であることを示す。
【0072】
いくつかの実施例において、式(1)から分かるように、音声信号源660の振動強度L1による、骨伝導マイクロフォン620が受けた機械的振動の強度Lへの影響が大きいほど、骨伝導マイクロフォン620が受けた音声信号源660の振動強度L1が大きくなり、これは、エコー信号源680の振動強度L2による骨伝導マイクロフォン620が受けた機械的振動の強度Lへの影響を低減することに相当する。いくつかの実施例において、音声信号源660の振動強度L1による骨伝導マイクロフォン620によって生成された音声信号Lへの影響を増大させるために、骨伝導マイクロフォン620の振動方向と音声信号源660の振動方向との間の夾角を一定の範囲に設計してもよい。骨伝導マイクロフォン620の振動方向と音声信号源660の振動方向との間の夾角は、第2の夾角βであってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~85度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~75度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~60度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~45度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~30度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~15度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度~5度の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第2の夾角βは、0度であってもよく、すなわち、骨伝導マイクロフォン620の振動方向は、音声信号源660の振動方向に平行である。本実施例において、0度~90度の範囲において、第2の夾角βの角度が小さいほど、マイクロフォン振動膜の振動方向と音声信号源660の振動方向とが平行に近づき、マイクロフォン振動膜によって変換された第2の信号の強度が大きくなり、第2の夾角βが0度である場合、マイクロフォン振動膜によって変換された第2の信号の強度が最大であり、この場合、骨伝導マイクロフォン620によって生成された第2の信号の強度が最大であり、すなわち、生成された音声信号の強度が最大であることを示す。本明細書に記載のように、2つの方向の間の夾角は、2つの方向の位置する直線が交差して形成される最小の正の角を指す。
【0073】
なお、第1の夾角αを設定された角度範囲に制御する手段と、第2の夾角βを設定された角度範囲に制御する手段とを組み合わせてもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αを90度に設定し、第2の夾角βを30度に設定してもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αを90度に設定し、第2の夾角βを45度に設定してもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αを90度に設定し、第2の夾角βを60度に設定してもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αを45度に設定し、第2の夾角βを30度に設定してもよい。いくつかの実施例において、第1の夾角αを90度に設定し、第2の夾角βを15度に設定してもよい。第1の夾角αを90度に設定し、第2の夾角βを0度に設定する場合、図6は、図5と同じである。該実施例において、骨伝導マイクロフォン620は、受けた音声信号源660の振動を最大限に第2の信号に変換することができ、生成された第1の信号の強度が最小であり、骨伝導マイクロフォン620によって生成された音声信号の品質を向上させる。
【0074】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る第2の信号及び第1の信号の強度曲線図である。図8は、骨伝導マイクロフォンが図4中のエコー信号源380により発生した機械的振動(すなわち、第1の機械的振動)と、音声信号源360により発生した機械的振動(すなわち、第2の機械的振動)とに基づいて変換した第1の信号の強度曲線810と第2の信号の強度曲線820を示し、横軸は、周波数であり、縦軸は、音声強度である。いくつかの実施例において、図8に示す第1の信号及び第2の信号の強度曲線図は、第1の夾角αが0度、第2の夾角βも0度である場合に取得されたものである。図3図4及び図8から分かるように、約0~500Hzの周波数範囲において、骨伝導マイクロフォン320によって生成された第1の信号の強度は、第2の信号の強度よりも小さい。周波数が500Hzを超えた後、例えば、500Hz~10000Hzの周波数範囲において、骨伝導マイクロフォン320によって生成された第1の信号の強度は、いずれも第2の信号の強度よりも大きく、骨伝導マイクロフォン320により発生したエコーは、大きい。したがって、骨伝導マイクロフォン320及びスピーカーアセンブリ310の取り付け位置を設計することにより、骨伝導マイクロフォン320によって生成されたエコー信号の強度を低下させることができる。
【0075】
例えば、図9は、本願のいくつかの実施例に係る第1の信号及び第2の信号の別の強度曲線図である。図9に示すように、本実施例において、第1の夾角αが90度であり、第2の夾角βが60度であるように、骨伝導マイクロフォン620及びエコー信号源680(例えば、図3に示すスピーカーアセンブリ310)の位置を設計する。第1の信号の強度曲線810及び第1の信号の強度曲線910と第2の信号の強度曲線820及び第2の信号の強度曲線920から分かるように、上記設計(すなわち、第1の夾角α及び第2の夾角βを調整する)により、骨伝導マイクロフォン620によって生成された第1の信号の強度が明らかに低下する(図9に示す)。それと同時に、上記設計は、骨伝導マイクロフォン620によって生成された第2の信号の強度に対する減衰が非常に小さいか、又はほとんど無視することができ、骨伝導マイクロフォン620によって生成された第1の信号の強度の低下量は、第1の信号の強度の低下量よりも明らかに小さいため、第1の機械的振動の強度と第1の信号の強度との比は、第2の機械的振動の強度と第2の信号の強度との比よりも大きい。いくつかの実施例において、上記設計を用いた後、0~800Hzの周波数範囲において、骨伝導マイクロフォン620によって生成された第1の信号の強度が小さく、図8に比べて、より広い低周波数範囲において、骨伝導マイクロフォン620によって生成された第1の信号の強度が小さく、すなわち、骨伝導マイクロフォン620によって生成されたエコー信号の強度がより小さく、それにより、ユーザにより明瞭な音声信号が聞こえ、音声品質を効果的に向上させ、ユーザ体験を効果的に向上させることができる。
【0076】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン620及びエコー信号源680(例えば、スピーカーアセンブリ310)の位置を設計することにより、第2の信号の強度の低下幅が第1の信号の強度の低下幅よりも明らかに小さく、さらに第2の信号の強度と第1の信号の強度との比が閾値より大きくてもよく、音声信号の骨伝導マイクロフォン620によって生成された音声信号における占有率を向上させ、音声信号をより明瞭にし、ユーザ体験をより良くする。いくつかの実施例において、第2の信号の強度と第1の信号の強度との比は、1/4よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第2の信号の強度と第1の信号の強度との比は、1/3よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第2の信号の強度と第1の信号の強度との比は、1/2よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第2の信号の強度と第1の信号の強度との比は、2/3よりも大きくてもよい。
【0077】
なお、前述の1つ以上の実施例において説明された、第1の夾角及び第2の夾角を調整することにより、マイクロフォンアセンブリ(例えば、図3に示すマイクロフォンアセンブリ320)によって受信された音声信号の強度を向上させ、エコー信号の強度を低下させる手段はまた、空気伝導マイクロフォンに適用することができる。
【0078】
いくつかの実施例において、1軸骨伝導マイクロフォンは、単に例として説明される。これに加えて、骨伝導マイクロフォン(例えば、図3に示す骨伝導マイクロフォン320)は、他のタイプのマイクロフォンであってもよく、例えば、骨伝導マイクロフォン320は、2軸マイクロフォン、3軸マイクロフォン、振動センサ、加速度計などであってもよい。
【0079】
さらに、図3及び図4に示すように、いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン320は、2軸マイクロフォンであってもよく、すなわち、骨伝導マイクロフォン320は、受けた2つの方向の機械的振動を電気信号に変換してもよい。例えば、図7は、本願のいくつかの実施例に係る2軸マイクロフォンにおいて生成された電気信号の計算概略図である。いくつかの実施例において、2つの方向は、一定の夾角(すなわち、第3の夾角)を有してもよい。第3の夾角の角度範囲は、0度~90度である。図7に示すように、2つの方向は、X軸方向及びY軸方向で示され、X軸は、Y軸に垂直である。エコー信号源380と骨伝導マイクロフォンX軸との間の夾角は、α(e)であり、音声信号源360と骨伝導マイクロフォンX軸との夾角は、β(s)であり、エコー信号源380によって生成されたエコー信号(すなわち、第1の機械的振動)は、e(t)であり、音声信号源360によって生成された音声信号(すなわち、第2の機械的振動)は、s(t)であり、エコー信号源380及び音声信号源360の骨伝導マイクロフォンX軸における振動成分は、以下のとおりである。
【0080】
x(t)=e(t)cos(α(e))+s(t)cos(β(s)) (2)
【0081】
エコー信号源380及び音声信号源360の骨伝導マイクロフォンY軸における振動成分は、以下のとおりである。
【0082】
y(t)=e(t)sin(α(e))+s(t)sin(β(s)) (3)
【0083】
エコー信号源380及び音声信号源360の骨伝導マイクロフォンX軸における振動成分x(t)と、エコー信号源380及び音声信号源360の骨伝導マイクロフォンY軸における振動成分y(t)とを重み付けして骨伝導マイクロフォン320のエコー信号を除去すると、骨伝導マイクロフォン320の総音声信号は、以下のとおりである。
【0084】
out(t)=x(t)sin(α(e))-y(t)cos(α(e))=s(t)sin(α(e)-β(s)) (4)
【0085】
式中、エコー信号源380及び音声信号源360の骨伝導マイクロフォンX軸における振動成分x(t)に対応する重み付け係数は、sin(α(e))であり、エコー信号源380及び音声信号源360の骨伝導マイクロフォンY軸における振動成分y(t)に対応する重み付け係数は、-cos(α(e))である。いくつかの実施例において、エコー信号源380と骨伝導マイクロフォンX軸との間の夾角は、α(e)であり、音響入出力装置の組み立て時に取得されてもよい。いくつかの実施例において、α(e)は、骨伝導マイクロフォン320の現在信号が音声信号s(t)を有するか否かを判定することと、現在信号に音声信号s(t)がない場合、以下の式(5)~(7)によりα(e)の大きさを求めることとを含むプロセスにより取得されてもよい。
【0086】
x(t)=e(t)cos(α(e)) (5)
【0087】
y(t)=e(t)sin(α(e)) (6)
【0088】
式(5)及び(6)に基づいて、下式を得ることができる。
【0089】
【数4】
【0090】
いくつかの実施例において、x(t)及びy(t)を重み付けした後、式(7)に基づいてα(e)を求めてもよい。いくつかの実施例において、式(9)に基づいてα(e)を解くと、α(e)を時間的に平滑化して安定したα(e)の推定を取得することができる。
【0091】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン320は、さらに3軸マイクロフォンであってもよい。例えば、マイクロフォンは、X軸、Y軸及びZ軸を含んでもよく、3軸マイクロフォンによって生成された音声信号は、音声信号s(t)及びエコー信号e(t)の骨伝導マイクロフォンのX軸、Y軸及びZ軸における成分の重み付けに基づいて計算されてもよい。3軸マイクロフォンによって生成された音声信号の計算原理は、2軸マイクロフォンの場合に類似するため、ここでは、説明を省略する。
【0092】
いくつかの実施例において、エコー信号源380の振動方向は、単一の方向ではない可能性があり、例えば、エコー信号源380の振動方向は、円弧軌跡に沿って拡散する可能性がある。この場合に、エコー信号源380により発生した振動のうちの、骨伝導マイクロフォン320の振動方向に垂直でない振動は、骨伝導マイクロフォン320によって受けられ、第1の信号に変換され、すなわち、エコー信号を生成することができる。したがって、いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン320が受けたエコー信号源380から伝達された振動を小さくするために、骨伝導マイクロフォン320とスピーカーアセンブリ310(例えば、ハウジング350)との位置が相対的に固定されるように、スピーカーアセンブリ310及び骨伝導マイクロフォン320を設計してもよい。
【0093】
いくつかの実施例において、第1の夾角α及び第2の夾角βを設計する以外に、第1の弾性接続部370の弾性係数k1及び第2の弾性接続部390の弾性係数k2を変化させることにより、エコー信号を小さくするという目的を達成することができる。
【0094】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン320とエコー信号源380との間の第2の弾性接続部390の弾性強度k2を低下させることにより、骨伝導マイクロフォン320が受けた第1の機械的振動(すなわち、第3の機械的振動)の強度を低下させてもよい。
【0095】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンと制振構造とが接続された断面概略図であり、図11は、本願のいくつかの実施例に係る、制振構造を有する音響入出力装置の断面概略図である。図10及び図11に示すように、音響入出力装置1000は、骨伝導マイクロフォン1020及びスピーカーアセンブリ1010を含んでもよい。骨伝導マイクロフォン1020及びスピーカーアセンブリ1010は、同一のハウジングに配置されてもよい。いくつかの実施例において、音響入出力装置1000は、制振構造1100をさらに含んでもよく、骨伝導マイクロフォン1020は、制振構造1100によりスピーカーアセンブリ1010に接続されてもよい。骨伝導マイクロフォン1020及びスピーカーアセンブリ1010が同時に動作する場合、スピーカーアセンブリ1010は、第1の機械的振動により音声信号(音波)を伝達し、骨伝導マイクロフォン1020は、音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるか又は伝達して音声信号をピックアップしてもよい。スピーカーアセンブリ1010の第1の機械的振動が制振構造1100により骨伝導マイクロフォン1020に伝達されると、骨伝導マイクロフォン1020は、第1の機械的振動及び第2の機械的振動の作用下で、第3の機械的振動及び第4の機械的振動を発生することができる。制振構造1100は、骨伝導マイクロフォン1020が受けたスピーカーアセンブリ1010(エコー信号源)の第1の機械的振動の強度を低下させ、骨伝導マイクロフォン1020によって生成された第1の信号の強度をさらに低下させることができる。
【0096】
制振構造1100は、一定の弾性を有する構造であってもよく、その弾性により、エコー信号源1080から伝達された機械的振動の強度を低下させる。いくつかの実施例において、制振構造1100は、伝達される機械的振動の強度を低下させるために、弾性部材であってもよい。制振構造1100の弾性は、制振構造の材料、厚さ、構造などの複数の方面により決定されてもよい。
【0097】
いくつかの実施例において、制振構造1100は、弾性率が第1の閾値よりも小さい制振材料で製造されてもよい。いくつかの実施例において、第1の閾値は、5000MPaであってもよい。いくつかの実施例において、第1の閾値は、4000MPaであってもよい。いくつかの実施例において、第1の閾値は、3000MPaであってもよい。いくつかの実施例において、制振材料の弾性率は、0.01MPa~1000MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振材料の弾性率は、0.015MPa~2500MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振材料の弾性率は、0.02MPa~2000MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振材料の弾性率は、0.025MPa~1500MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振材料の弾性率は、0.03MPa~1000MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振材料は、ウレタンフォーム、プラスチック材料(例えば、高分子ポリエチレン、ブロー成形ナイロン、エンジニアリングプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない)、ゴム、シリコーンゴムなどを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、制振材料は、ウレタンフォームであってもよい。
【0098】
いくつかの実施例において、制振構造1100は、一定の厚さを有してもよい。図10に示すように、制振構造1100の厚さは、X軸方向、Y軸方向又はZ軸方向のいずれかの方向における寸法であると理解されてもよい。いくつかの実施例において、制振構造1100の厚さは、0.5mm~5mmの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振構造1100の厚さは、1mm~4.5mmの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振構造1100の厚さは、1.5mm~4mmの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振構造1100の厚さは、2mm~3.5mmの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、制振構造1100の厚さは、2mm~3mmの範囲にあってもよい。
【0099】
いくつかの実施例において、制振構造1100の弾性は、その構造上の設計によって提供されてもよい。例えば、制振構造1100は、弾性構造体であってもよく、制振構造1100を製造する材料は、剛性が大きくても、その構造によって弾性を提供することができる。いくつかの実施例において、制振構造1100は、バネに類似する構造、環状又は環状に類似する構造などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1020の表面は、第1の部分1021及び第2の部分1022を含んでもよく、第1の部分1021は、音声信号源により提供された第2の機械的振動を伝導するように、ユーザの顔1040に接触してもよく、第2の部分1022は、音響入出力装置1000の他の部材に接続され(例えば、スピーカーアセンブリ1010に接続される)、第2の部分1022は、制振構造1100を有するように設置されてもよいため、制振構造1100によりスピーカーアセンブリ1010に接続されてもよい。本実施例において、スピーカーアセンブリ1010と骨伝導マイクロフォン1020との間に設置された制振構造1100は、一定の弾性を有し、スピーカーアセンブリ1010により伝達された第1の機械的振動を減少させ、骨伝導マイクロフォン1020が受けた第1の機械的振動の強度を低下させることにより、骨伝導マイクロフォン1020によって生成されたエコー信号をより小さくすることができる。さらに、第1の部分1021に制振構造1100を設置しない原因は、骨伝導マイクロフォン1020の表面の第1の部分1021がユーザの顔1040に接触して第2の機械的振動を伝導することである。例えば、第1の部分1021は、マイクロフォン振動膜に近接する一側であってもよく、第2の機械的振動は、音声信号源により提供された音声信号を示すため、第2の機械的振動が減衰されないことをできるだけ保証する。具体的には、図10及び図11に示すように、制振構造1100は、骨伝導マイクロフォン1020の表面の第2の部分1022を囲み、第1の部分1021がユーザの顔1040に直接的に接触できるように第1の部分1021を囲まなくてもよい。
【0101】
いくつかの実施例において、制振構造1100は、接着剤により骨伝導マイクロフォンの表面の第2の部分1022に接続されてもよい。いくつかの実施例において、制振構造1100は、さらに溶接、係止、リベット接合、ネジ接続(例えば、ネジ釘、ネジ、スクリュー、ボルトなどの部材による接続)、クランプ接続、ピン接続、くさび接続、一体成形の方式で骨伝導マイクロフォン1020に固定されてもよい。
【0102】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1020の表面の第1の部分1021に振動伝達層1023が設置されてもよい。骨伝導マイクロフォン1020の剛性が大きいため、第1の部分1021がユーザの顔1040に直接的に接触すると、ユーザに不快を感じさせる可能性があり、ユーザ体験を低下させ、第1の部分1021に振動伝達層1023を設置した後、ユーザに接触する時の触感がより良くなり、ユーザの使用体験を効果的に向上させることができる。
【0103】
いくつかの実施例において、振動伝達層1023は、一定の弾性を保持する必要があり、第2の機械的振動の伝導過程における損失を減少させることができるだけでなく、ユーザが音響入出力装置1000を装着した後に触感が良好であることを保証することができる。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の材料の弾性率が小さすぎると、振動伝達層1023の材料の弾性が小さく、第2の機械的振動の強度を低下させることを説明する。したがって、いくつかの実施例において、振動伝達層1023を製造する材料の弾性率は、第2の閾値よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第2の閾値は、0.01MPaであってもよい。いくつかの実施例において、第2の閾値は、0.015MPaであってもよい。いくつかの実施例において、第2の閾値は、0.02MPaであってもよい。いくつかの実施例において、第2の閾値は、0.025MPaであってもよい。いくつかの実施例において、第2の閾値は、0.03MPaであってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の弾性率は、0.03MPa~3000MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の弾性率は、5MPa~2000MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の弾性率は、10MPa~1500MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の弾性率は、10MPa~1000MPaの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023を製造する材料は、シリコーンゴム(シリコーンゴムの弾性率が10MPaである)、ゴム又はプラスチック(プラスチックの弾性率が1000MPaである)であってもよい。
【0104】
いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さを低下させることにより、第2の機械的振動の伝導過程における損失を減少させることができ、振動伝達層1023の厚さが薄い場合、振動伝達層1023を製造する材料の弾性率が小さくても、第2の機械的振動の強度が大幅に損失されない。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さは、30mmよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さは、25mmよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さは、20mmよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さは、15mmよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さは、10mmよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、振動伝達層1023の厚さは、5mmよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、厚さが5mmのゴム又はシリコーンゴムを用いて振動伝達層1023を製造することができ、良好な触感を保証するとともに、骨伝導マイクロフォン1020が受けた第2の機械的振動の強度を保証することができる。
【0105】
なお、以上の音響入出力装置1000に関する実施例の説明は、骨伝導スピーカーアセンブリに適用されるだけでなく、空気伝導スピーカーアセンブリに適用される。例えば、骨伝導スピーカーアセンブリである場合、ハウジング1050は、骨伝導スピーカーアセンブリの一部であってもよく、骨伝導マイクロフォン1020は、制振構造1100により骨伝導スピーカーアセンブリのハウジングに接続されてもよい。空気伝導スピーカーアセンブリである場合、空気伝導スピーカーアセンブリ及び骨伝導マイクロフォン1020は、いずれもハウジングに接続されてもよく(例えば、振動膜は、ハウジングに接続され、骨伝導マイクロフォン1020は、ハウジングに接続される)、骨伝導マイクロフォン1020とハウジングとの間には、制振構造がさらに設置される。
【0106】
いくつかの実施例において、音響入出力装置1000のユーザに接触する部分が受ける締め付け力を大きくすることにより、骨伝導マイクロフォンが受けた第2の機械的振動(すなわち、第4の機械的振動)の強度を向上させてもよい。なお、音響入出力装置1000のユーザに接触する部分(例えば、ユーザの顔1040)の接触が緊密であるほど、第2の機械的振動の伝達過程における損失が少なくなるが、音響入出力装置1000のユーザに接触する部分が受ける締め付け力が大きいと、ユーザは、痛みを感じ、使用体験が悪い。したがって、締め付け力を一定の範囲に制御する必要がある。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1010が空気伝導スピーカーアセンブリであり、すなわち、音響入出力装置1000が空気伝導スピーカーアセンブリによりユーザに音声信号を伝達し、骨伝導マイクロフォン1020によりユーザの音声信号を受信する場合、この状況では、締め付け力を0.001N~0.3Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.0025N~0.25Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.005N~0.15Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.0075N~0.1Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.01N~0.05Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、骨伝導スピーカーアセンブリは、振動素子により発生した機械的振動をハウジングを介してユーザの顔に伝達してユーザに音声が聞こえるものであるため、スピーカーアセンブリ1010が骨伝導スピーカーアセンブリである場合、締め付け力が異なる。例えば、音響入出力装置1000のスピーカーアセンブリ1010が骨伝導スピーカーアセンブリを含む場合、締め付け力が小さすぎると、骨伝導スピーカーアセンブリからユーザに伝達される機械的振動の強度も小さすぎ、すなわち、音響入出力装置1000からユーザに伝達される音声の音量が小さくなる。したがって、ユーザが受けた機械的振動の強度を保証するために、いくつかの実施例において、音響入出力装置1000のスピーカーアセンブリ1010が骨伝導スピーカーアセンブリを含む場合、締め付け力を一定の範囲に設定する必要がある。いくつかの実施例において、締め付け力を0.01N~2.5Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.025N~2Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.05N~1.5Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.075N~1Nの範囲に設定してもよい。いくつかの実施例において、締め付け力を0.1N~0.5Nの範囲に設定してもよい。
【0107】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1010と骨伝導マイクロフォン1020とは、直接的に接続されてもよく、例えば、骨伝導マイクロフォン1020は、スピーカーアセンブリ1010のハウジング1050(骨伝導スピーカーアセンブリのハウジング)に直接的に接続され、ハウジング1050に収容される。いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォンとスピーカーアセンブリは、間接的に接続されてもよい。
【0108】
図12は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の断面概略図である。いくつかの実施例において、音響入出力装置1200は、スピーカーアセンブリ1210及び骨伝導マイクロフォン1220を含む。スピーカーアセンブリ1210は、骨伝導スピーカーアセンブリである。スピーカーアセンブリ1210は、ハウジング1250と、ハウジング1250に接続されて音波の伝達において第1の機械的振動を発生する振動素子1211とを含んでもよい。骨伝導マイクロフォン1220は、ハウジング1250に接続される。図12に示すように、振動素子1211は、振動伝達シート1213、磁気回路アセンブリ1215及びコイル(又はボイスコイル)1217を含んでもよい。磁気回路アセンブリ1215は、磁場を形成し、コイル1217は、該磁場において機械的振動を発生して振動伝達シート1213の振動を引き起こすことができる。具体的には、コイル1217に信号電流を流す場合、コイル1217は、磁気回路アセンブリ1215によって形成された磁場に位置し、アンペール力を受けて機械的振動を発生する。コイル1217の振動は、機械的振動を発生するように振動伝達シート1213を駆動する。そして、振動伝達シート1213の機械的振動は、さらにハウジング1250に伝達され、その後にハウジング1250によりユーザに接触して、ユーザに音声が聞こえる。
【0109】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1220は、ハウジング1250の内壁の任意の位置に設置されてもよく、例えば、図12に示すハウジング1250の下側の内壁と左側の内壁との接続箇所に設置される。また例えば、ハウジング1250の下側の内壁の、左側の内壁又は右側の内壁に接触しない箇所に設置される。音響入出力装置1200は、前述の1つ以上の実施例と組み合わせることができ、例えば、図12に示す骨伝導マイクロフォン1220とハウジング1250との間に制振構造が設置されて、骨伝導マイクロフォン1220が受けた第1の機械的振動の強度が低下する。
【0110】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る音響入出力装置の断面概略図である。音響入出力装置1300は、スピーカーアセンブリ1310及び骨伝導マイクロフォン1320を含む。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1310は、空気伝導スピーカーアセンブリであり、ハウジング1350及び振動素子1311を含んでもよい。振動素子1311は、振動膜1313、磁気回路アセンブリ1315及びコイル1317を含んでもよい。磁気回路アセンブリ1315は、磁場を形成してもよく、コイル1317は、該磁場において機械的振動を発生して振動膜1313の振動を引き起こしてもよい。ハウジング1350と振動素子1311との間は、第1の接続部を有する。第1の接続部は、第1の制振構造を含んでもよい。
【0111】
空気伝導スピーカーアセンブリが動作するとき、振動膜1313は、機械的振動を発生し、(図13に示すように)振動膜1313がハウジング1350に直接的に接続されるため、振動膜1313の振動は、ハウジング1350の機械的振動を引き起こす。図12に示す骨伝導スピーカーアセンブリと対比すると、空気伝導スピーカーアセンブリは、ハウジング1350の振動により音波を伝達する必要がなく、ハウジングに形成された複数の通音孔(例えば、第1の通音孔1351及び第2の通音孔1352)により音波をユーザに伝達するという点で相違する。したがって、振動素子1311とハウジング1350との間に第1の制振構造を設置して、ハウジング1350の機械的振動を減少させることにより、骨伝導マイクロフォン1320が受けた、ハウジング1350によって伝達された機械的振動の強度を低下させることができる。
【0112】
いくつかの実施例において、第1の制振構造は、前述の実施例における制振構造1100の設置方式と同じであるか又は類似してもよく、例えば、制振構造1100と同じ厚さ、同じ材料、同じ構造を用いて第1の制振構造を製造してもよい。いくつかの実施例において、第1の制振構造は、制振構造1100と異なってもよい。例えば、第1の制振構造は、一定の弾性を有する帯状部材又はシート状部材であってもよい。帯状部材又はシート状部材の両端は、振動膜1313とハウジング1350にそれぞれ接続されて、振動膜1313からハウジング1350に伝達される機械的振動の強度を低下させる。第1の制振構造は、環状部材であってもよい。環状部材は、中部が振動膜に接続され、外側がハウジング1350に接続される場合、同様に振動膜1313からハウジング1350に伝達される機械的振動の強度を低下させることができる。
【0113】
さらに、図13に示すように、いくつかの実施例において、ハウジング1350と骨伝導マイクロフォン1320との間は、第2の接続部を含んでもよい。第2の接続部は、第2の制振構造を含んでもよい。第2の制振構造により、ハウジング1350を介して骨伝導マイクロフォン1320に伝達される機械的振動(すなわち、第3の機械的振動)の強度を低下させることができる。
【0114】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1320とスピーカーアセンブリ1310は、音響入出力装置の異なる領域にそれぞれ設置され、骨伝導マイクロフォン1320とスピーカーアセンブリ1310のハウジング1350との間に第2の制振構造が設置されてもよい。いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1320は、音響入出力装置の他の領域に単独で設置され、第2の制振構造によりハウジング1350に接続されてもよい。図17に示す実施例を例として、音響入出力装置1700は、片耳ヘッドホンであり、骨伝導マイクロフォン1720とスピーカーアセンブリ1710は、固定アセンブリ1730の両側の2つのイヤーマフ1731にそれぞれ設置され、固定アセンブリ1730により接続される。図17に示す実施例において、第2の接続部は、固定アセンブリ1730と、固定アセンブリ1730の両側に設置されたイヤーマフ1731とを含み、固定アセンブリ1730、イヤーマフ1731に第2の制振構造が設置されてもよい。例えば、固定アセンブリ1730の外部に第2の制振構造として1層の制振材料が外嵌される。また例えば、図18に示す実施例において、音響入出力装置1800は、両耳ヘッドホンであり、イヤーマフ1831にスポンジスリーブ1833が設置され、骨伝導マイクロフォン1820は、スポンジスリーブ1833内に設置され、スポンジスリーブ1833によりスピーカーアセンブリ1810のハウジング1850に接続される。該実施例において、スポンジスリーブ1833は、第2の制振構造に相当し、骨伝導マイクロフォン1820に伝達された第1の機械的振動の強度を低下させることができる。第2の制振構造の具体的な説明について、本願の他の実施例(例えば、図17図18及び図19の実施例)の説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0115】
第2の制振構造に関する上記実施例は、空気伝導スピーカーアセンブリに適用されるだけでなく、骨伝導スピーカーアセンブリに適用される。例えば、図17図18に示す実施例におけるスピーカーアセンブリは、図12に示す骨伝導スピーカーアセンブリに置き換えることができる。図17を例として、骨伝導スピーカーアセンブリと骨伝導マイクロフォン1720は、2つのイヤーマフ1731内にそれぞれ設置され、固定アセンブリ1730に、依然として第2の制振構造として1層の制振材料が外嵌されてもよい。
【0116】
なお、骨伝導マイクロフォンが図13に示すようにハウジングの内部に設置され、骨伝導マイクロフォンがハウジングに直接的に接続される場合、第2の制振構造は、前述の実施例における制振構造と同じであり、より多くの説明について、図10及び図11の関連内容を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0117】
図13に示すように、いくつかの実施例において、振動素子1311とハウジング1350との間に第1の制振構造を増設してハウジング1350の機械的振動の強度を低下させるだけでなく、他の方式で該目的を達成することができる。いくつかの実施例において、振動素子1311の質量を小さくすることにより、振動素子1311の振動によるハウジング1350への影響を低減することにより、ハウジング1350の機械的振動の強度を低下させてもよい。振動素子1311は、振動膜1313を含んでもよく、ハウジング1350の機械的振動は、振動膜1313の振動によって引き起こされ、振動素子1311(例えば、振動膜1313)の質量が小さいと、振動素子1311の振動によるハウジング1350への影響が小さくなり、ハウジング1350が発生する機械的振動の強度が小さくなる。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.001g~1gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.002g~0.9gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.003g~0.8gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.004g~0.7gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.005g~0.6gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.005g~0.5gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、振動膜1313の質量を0.005g~0.3gの範囲に制御してもよい。
【0118】
同様に、ハウジング1350の質量が振動膜1313の質量よりもはるかに大きいと、振動膜1313の機械的振動によるハウジング1350への影響も小さい。したがって、いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量を増大させてハウジング1350の機械的振動の強度を低下させてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量を2g~20gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量を3g~15gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量を4g~10gの範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量と振動膜1313の質量との比を制御することにより、ハウジング1350の質量を振動膜1313の質量よりもはるかに大きくして、振動膜1313の機械的振動によるハウジング1350への影響を低減してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量と振動膜1313の質量との比を10~100の範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量と振動膜1313の質量との比を15~80の範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量と振動膜1313の質量との比を20~60の範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量と振動膜1313の質量との比を25~50の範囲に制御してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング1350の質量と振動膜1313の質量との比を30~50の範囲に制御してもよい。
【0119】
図14は、本願のいくつかの実施例に係る、2つの空気伝導スピーカーアセンブリを有する音響入出力装置の断面概略図であり、図15は、本願のいくつかの実施例に係る、2つの空気伝導スピーカーアセンブリを有する別の音響入出力装置の断面概略図である。図14及び図15に示す実施例において、スピーカーアセンブリは、いずれも空気伝導スピーカーアセンブリである。図14に示すように、いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1410は、第1の振動素子1411及び第2の振動素子1412を含んでもよく、第1の振動素子1411は、第1の振動膜1413、第1の磁気回路アセンブリ1415及び第1のコイル1417を含み、第2の振動素子1412は、第2の振動膜1414、第2の磁気回路アセンブリ1416及び第2のコイル1418(又はボイスコイル)を含む。いくつかの実施例において、第1の振動膜1413と第2の振動膜1414は、振動方向が逆である。例えば、図14は、ある時点での第1の振動膜1413及び第2の振動膜1414の振動方向を示し、第1の振動膜1413の振動方向は、上から下であり、第2の振動膜1414の振動方向は、下から上である。ユーザに聞こえる音声は、ユーザの骨格、皮膚などが感じる振動に由来するものではなく、第1の振動膜1413及び第2の振動膜1414は、空気振動を促進して空気密度を変化させることにより、ユーザに音声が聞こえる。したがって、空気伝導スピーカーアセンブリから出力された音声信号の音量に影響を与えない場合に、ハウジング1450とハウジング1450に接続された部材(すなわち、エコー信号源)の機械的振動(すなわち、第1の機械的振動)の強度を低下させることにより、骨伝導マイクロフォン(図示せず)が受けた、ハウジング1450によって伝達された機械的振動(すなわち、第3の機械的振動)の強度を低下させ、さらに骨伝導マイクロフォンによって生成された第1の信号の強度を低下させることができる。また、スピーカーアセンブリ1410には、第1の振動膜1413の振動方向と逆である第2の振動膜1414がさらに設置される。空気伝導スピーカーアセンブリには、2つの振動膜が設置され、第1の振動膜1413により発生した機械的振動は、ハウジング1450の振動を引き起こし、第2の振動膜1414により発生した機械的振動も、ハウジング1450の振動を引き起こす。また、第1の振動膜1413の振動方向と第2の振動膜1414の振動方向とが逆であるため、ハウジングにより発生した2つの機械的振動が互いに相殺されることにより、ハウジングの機械的振動の強度を低下させる。いくつかの実施例において、2つの振動膜は、同一の空気伝導スピーカーアセンブリ内の部材であってもよい。別のいくつかの実施例において、音響入出力装置1400は、第1の空気伝導スピーカーアセンブリ及び第2の空気伝導スピーカーアセンブリを含んでもよく、第1の振動膜1413と第2の振動膜1414は、それぞれ第1の空気伝導スピーカーアセンブリと第2の空気伝導スピーカーアセンブリ内の部材である。図14に示す実施例において、2つの空気伝導スピーカーアセンブリがあり、ハウジング1450の異なる領域にそれぞれ位置し、各空気伝導スピーカーアセンブリが振動膜、磁気回路アセンブリ及びコイルを含むと見なされてもよい。
【0120】
いくつかの実施例において、ハウジング1450は、第1のキャビティ1455及び第2のキャビティ1456を含んでもよく、第1の振動膜1413と第2の振動膜1414は、第1のキャビティ1455と第2のキャビティ1456にそれぞれ位置してもよい。ハウジング1450は、第1のキャビティ1455に対応する第1の部分と、第2のキャビティ1456に対応する第2の部分とを含んでもよい。第1のキャビティ1455の側壁(すなわち、ハウジング1450の第1の部分の側壁)には、第1の通音孔1451及び第2の通音孔1452が形成されてもよい。いくつかの実施例において、第1の通音孔1451と第2の通音孔1452は、ハウジング1450の第1の部分の異なる側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1の通音孔1451と第2の通音孔1452は、ハウジング1450の第1の部分の隣接しない側壁に設置されてもよく、すなわち、第1の通音孔1451と第2の通音孔1452は、(図14に示すように)ハウジング1450の第1の部分の反対側の位置に設置されてもよい。
【0121】
第2のキャビティ1456(すなわち、ハウジング1450の第2の部分の側壁)の側壁には、第3の通音孔1453及び第4の通音孔1454が形成されてもよい。いくつかの実施例において、第3の通音孔1453と第4の通音孔1454は、ハウジング1450の第2の部分の異なる側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第3の通音孔1453と第4の通音孔1454は、ハウジング1450の第2の部分の隣接しない側壁に設置されてもよく、すなわち、第3の通音孔1453と第4の通音孔1454は、(図14に示すように)ハウジング1450の第2の部分の反対側の位置に設置されてもよい。
【0122】
図14に示すように、いくつかの実施例において、第1の通音孔1451及び第3の通音孔1453は、ハウジング1450の同一側に設置され、第2の通音孔1452及び第4の通音孔1454は、第1の通音孔1451から伝達された音声の位相が第3の通音孔1453から伝達された音声の位相と同じであり、第2の通音孔1452から伝達された音声の位相が第4の通音孔1454から伝達された音声の位相と同じであるように、ハウジング1450の同一側に設置されてもよい。本実施例において、ハウジング1450は、互いに連通しない2つのキャビティ、すなわち、第1のキャビティ1455及び第2のキャビティ1456に分けられ、第1の空気伝導スピーカーアセンブリ(又は第1の振動素子1411)と第2の空気伝導スピーカーアセンブリ(又は第2の振動素子1412)は、2つのキャビティにそれぞれ位置する。第1のキャビティ1455は、第1の振動膜1413によりフロントキャビティ及びリアキャビティに分けられ、第2のキャビティ1456は、第2の振動膜1414によりフロントキャビティ及びリアキャビティに分けられてもよい。第1の通音孔1451及び第3の通音孔1453は、第1のキャビティ1455及び第2のキャビティ1456のフロントキャビティ通音孔に相当し、第2の通音孔1452及び第4の通音孔1454は、第1のキャビティ1455及び第2のキャビティ1456のリアキャビティ通音孔に相当することができ、第1のキャビティ1455と第2のキャビティ1456のフロントキャビティ通音孔の音声の位相が同じであり、リアキャビティ通音孔の音声の位相も同じである場合、2つの振動膜から発する音声の位相が同じであるため、空気伝導音声の音量を小さくすることはない。
【0123】
いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1410の振動膜が複数である場合、スピーカーアセンブリ1410の構造を調整して全体サイズを縮小してもよい。
【0124】
図15に示すように、いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1510は、第1の振動素子1511及び第2の振動素子1512を含んでもよく、第1の振動素子1511は、第1の振動膜1513、第1の磁気回路アセンブリ1515及び第1のコイル1517を含み、同様に、第2の振動素子1512は、第2の振動膜1514、第2の磁気回路アセンブリ1516及び第2のコイル1518(又はボイスコイル)を含み、第1のキャビティ1555と第2のキャビティ1556は、連通することができる。第1の磁気回路アセンブリ1515及び第2の磁気回路アセンブリ1516は、一体として結合されて、スピーカーアセンブリ1510全体の占有スペースを減少させる。
【0125】
いくつかの実施例において、第1の空気伝導スピーカーアセンブリ及び第2の空気伝導スピーカーアセンブリは、2つの同じスピーカーであってもよい。いくつかの実施例において、第1の空気伝導スピーカーアセンブリ及び第2の空気伝導スピーカーアセンブリは、2つの異なるスピーカーであってもよい。例えば、音響入出力装置1500には、第1の空気伝導スピーカーアセンブリ及び第2の空気伝導スピーカーアセンブリが含まれ、第1の空気伝導スピーカーアセンブリは、主スピーカーとして機能してもよく、主にユーザに聞こえる音声信号を生成する。第2の空気伝導スピーカーアセンブリは、補助スピーカーとして機能してもよい。補助スピーカーの機械的振動の強度を調整することにより、補助スピーカーにハウジング1550に対して主スピーカーと反対の力を発生し、ハウジング1550の振動の強度を低下させる。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1510は、主スピーカーと、ハウジング1550に対して主スピーカーの振動方向と逆である振動を発生する補助装置とを含んでもよい。いくつかの実施例において、補助装置は、振動モータであってもよく、振動モータは、ハウジング1550に対して主スピーカーの振動方向と逆である振動を発生し、ハウジング1550の振動強度を低下させてもよい。いくつかの実施例において、補助スピーカーにより発生した機械的振動の強度は、調整可能である。具体的には、スピーカーアセンブリ1510は、補助スピーカー制御装置を含んでもよく、補助スピーカー制御装置は、主スピーカーの機械的振動の強度及び方向を取得し、主スピーカーの機械的振動の強度及び方向に基づいて、補助スピーカーにより発生した機械的振動の強度及び方向を調整することにより、補助スピーカーによるハウジングへの力と主スピーカーによるハウジング1550への力とは、互いに相殺されてハウジング1550の振動を減少させ、さらにハウジング1550から骨伝導マイクロフォン1520に伝達される振動を小さくして骨伝導マイクロフォン(図15に図示せず)によって生成されたエコー信号の強度を低下させることができる。
【0126】
なお、2つの振動膜の振動方向を逆に設定する実施形態は、上記1つ以上の実施例と組み合わせることができる。例えば、2つの振動膜の振動方向を逆に設定する実施例において、第1の振動膜(例えば、第1の振動膜1413)とハウジング(例えば、ハウジング1450)との間及び第2の振動膜(例えば、第2の振動膜1414)とハウジング1450との間にいずれも第2の制振構造を設置し、ハウジング1450が受けた機械的振動を小さくし、それにより骨伝導マイクロフォンが受けた第1の機械的振動の強度を低下させることができる。
【0127】
いくつかの実施例において、音声信号源は、ユーザが音声信号を提供する時の振動部位であってもよい。例えば、ユーザが話す時の声帯、口、鼻腔、喉部などの部位の振動の強度は、耳、目などの部位の振動の強度よりもはるかに高いため、これらの部位は、音声信号源として機能することができる。いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1920を設計するとき、骨伝導マイクロフォン1920がユーザの口、鼻腔又は声帯のうちの少なくとも1つの付近に位置するようにしてもよい。例えば、音響入出力装置1900が図19に示すメガネである場合、骨伝導マイクロフォン1920をメガネのブリッジ1935に設置することができ、骨伝導マイクロフォン1920がユーザの鼻梁に近接するため、受けた機械的振動の強度がより大きい。図19に示すメガネのより多くの説明は、本願の他の実施例で見つけることができるため、ここでは、説明を省略する。図19に示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置1900は、ユーザが音響入出力装置1900を装着している場合、骨伝導マイクロフォン1920とユーザの振動部位(図示せず)との距離が第3の閾値よりも小さいように設置されてもよい。本明細書に記載のように、骨伝導マイクロフォン1920とユーザの喉部との間の距離を例として、いくつかの実施例において、第3の閾値は、20cmであってもよい。いくつかの実施例において、第3の閾値は、15cmであってもよい。いくつかの実施例において、第3の閾値は、10cmであってもよい。いくつかの実施例において、第3の閾値は、2cmであってもよい。本実施例において、骨伝導マイクロフォン1920がユーザの振動部位により近接するため、受けた第2の機械的振動(すなわち、第4の機械的振動)の強度がより大きく、骨伝導マイクロフォン1920によって生成された第2の信号の強度が大きくなり、音声信号の強度を効果的に向上させることができる。
【0128】
図16は、本願のいくつかの実施例に係るヘッドホンの概略構成図である。図16に示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置1600は、ヘッドホンであってもよく、固定アセンブリ1630を含む。固定アセンブリ1630は、ヘッドバンド1632と、ヘッドバンド1632の両側に接続された2つのイヤーマフ1631とを含んでもよく、ヘッドバンド1632は、ヘッドホンをユーザの頭部に固定し、2つのイヤーマフ1631をユーザの頭部の両側に固定してもよい。各イヤーマフ1631には、いずれも骨伝導マイクロフォン1620及びスピーカーアセンブリ1610が設置されてもよい。いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1620は、イヤーマフ1631の任意の位置に位置してもよく、例えば、骨伝導マイクロフォン1620は、イヤーマフ1631の上方寄りに位置してもよい。又は例えば、骨伝導マイクロフォン1620は、(図16に示すように)イヤーマフ1631の下方寄りに位置してもよく、ユーザが音響入出力装置1600を装着している場合、骨伝導マイクロフォン1620とユーザの振動部位との距離を短くすることができる。本実施例において、骨伝導マイクロフォン1620が、ユーザが話す時の振動部位により近接するため、骨伝導マイクロフォン1620は、ユーザが話す時に受けた振動部位の振動(すなわち、第4の機械的振動)の強度がより大きくなり、骨伝導マイクロフォン1620によって生成された第2の信号の強度がより大きくなる。さらに、第2の信号の強度と第4の信号の強度との比がより大きくなり、骨伝導マイクロフォンによって生成された音声信号におけるエコー信号の占有率がより小さくなり、ユーザ体験がより優れている。
【0129】
図17は、本願のいくつかの実施例に係る片耳ヘッドホンの概略構成図である。図17に示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置1700は、片耳ヘッドホンであってもよく、すなわち、骨伝導マイクロフォン1720とスピーカーアセンブリ1710は、2つのイヤーマフ1731にそれぞれ設置されてもよく、各イヤーマフ1731には、1つのみのスピーカーアセンブリ1710又は1つのみの骨伝導マイクロフォン1720が設置される。本実施例において、骨伝導マイクロフォン1720とスピーカーアセンブリ1710が異なるイヤーマフ1731にそれぞれ設置され、ユーザの頭部の両側に位置し、骨伝導マイクロフォン1720とスピーカーアセンブリ1710との間の距離が遠いため、骨伝導マイクロフォン1720が受けた、スピーカーアセンブリ1710により発生した第1の機械的振動の強度が小さく、すなわち、第3の機械的振動の強度がより小さく、骨伝導マイクロフォン1720によって生成された音声信号におけるエコー信号の占有率がより小さくなり、ユーザ体験がより優れている。いくつかの実施例において、ヘッドバンド1732は、1つ以上の第2の制振構造(図示せず)を含んでもよく、ヘッドバンド1732を介して伝達された第1の機械的振動の強度を低下させる。いくつかの実施例において、ヘッドバンド1732にウレタンフォームが設置されてもよく、ウレタンフォームによりスピーカーアセンブリ1710から骨伝導マイクロフォン1720に伝達される第1の機械的振動の強度を低下させる。別のいくつかの具体的な実施例において、ヘッドバンド1732は、第2の制振材料で製造されてもよい。制振材料は、前述の1つ以上の実施例における制振材料と同じであってもよく、例えば、ヘッドバンド1732は、シリコーンゴム又はゴムなどの材料で製造されてもよい。
【0130】
いくつかの実施例において、骨伝導マイクロフォン1720又はスピーカーアセンブリ1710は、イヤーマフ1731内に設置されなくてもよく、例えば、骨伝導マイクロフォンは、図16及び図17に示すヘッドバンドのD点に設置されてもよく、D点は、ユーザの頭上に対応し、スピーカーアセンブリは、イヤーマフ内に設置される。また例えば、スピーカーアセンブリは、図16及び図17に示すヘッドバンド上のD点に設置されてもよく、D点は、ユーザの頭のてっぺんに対応し、骨伝導マイクロフォンは、イヤーマフ内に設置される。
【0131】
図18は、本願のいくつかの実施例に係る両耳ヘッドホンの断面概略図である。図16及び図18に示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置1800は、両耳ヘッドホンであってもよく、固定アセンブリ1830を含む。固定アセンブリ1830は、ヘッドバンド1832と、ヘッドバンド1832の両側に接続された2つのイヤーマフ1831とを含んでもよい。各イヤーマフ1831のユーザの顔1840に接触する一側には、スポンジスリーブ1833が設置されてもよく、骨伝導マイクロフォン1820は、スポンジスリーブ1833に収容されてもよい。スポンジスリーブ1833を設置すると、骨伝導マイクロフォン1820とスピーカーアセンブリ1810のハウジング1850との間に制振構造、すなわち、前述の実施例における第2の制振構造を増設したことに相当し、ハウジング1850を介して伝達されたスピーカーアセンブリ1810により発生した第1の機械的振動の強度を低下させる。さらに、スポンジスリーブ1833は、弾性が大きく、ユーザの顔1840を介して伝達される第2の機械的振動の強度を低下させるため、いくつかの実施例において、スポンジスリーブ1833の表面の一部には、剛性が大きい振動伝達構造が設置されてもよい。いくつかの実施例において、振動伝達構造をシート状部材、例えば、金属シート又はプラスチックシート(金属シート及びプラスチックシートは、いずれも図示されない)として設置してもよい。いくつかの実施例において、シート状部材は、外側がユーザの顔1840に接触し、内側が骨伝導マイクロフォン1820に接続されてもよい。本実施例において、剛性が大きいシート状部材によりユーザの顔1840と骨伝導マイクロフォン1820とを接触させ、ユーザが話す時に骨伝導マイクロフォン1820が受けた振動部位の振動(すなわち、第2の機械的振動)の伝達過程における損失をできるだけ低減し、第4の機械的振動の強度を向上させ、さらに骨伝導マイクロフォン1820によって生成された音声信号の強度を向上させる。
【0132】
図19は、本願のいくつかの実施例に係るメガネの概略構成図である。図19に示すように、いくつかの実施例において、音響入出力装置1900は、スピーカー及びマイクロフォンの機能を有するメガネであってもよく、メガネは、固定アセンブリを含んでもよく、固定アセンブリは、メガネフレーム1930であってもよく、該メガネフレーム1930は、メガネ縁1932及び2つのテンプル1933を含んでもよく、テンプル1933は、メガネ縁1932に接続されたテンプル本体1934を含んでもよく、少なくとも1つのテンプル本体1934は、本願の上記実施例におけるスピーカーアセンブリ1910を含んでもよい。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ1910は、骨伝導スピーカーアセンブリを含んでもよい。骨伝導スピーカーアセンブリは、テンプル1933のユーザの皮膚に接触する部分に位置してもよい。いくつかの実施例において、メガネ縁1932は、メガネ縁1932をユーザの鼻梁の上方に支持するブリッジ1935を含んでもよく、ブリッジ1935内に本願の上記実施例における骨伝導マイクロフォン1920が設置されてもよい。鼻腔は、ユーザが音声信号を提供する時の振動部位として、その機械的振動の強度が大きく、骨伝導マイクロフォンをブリッジ1935内に設置することによる利点は、骨伝導マイクロフォン1920によって受信された音声信号の機械的振動の強度を向上させることができる一方で、骨伝導マイクロフォン1920とスピーカーアセンブリ1910とがメガネの異なる位置に設置されるため、骨伝導マイクロフォン1920が受けた、スピーカーアセンブリ1910が音波を伝達する時に発生した第1の機械的振動の強度がより小さく、骨伝導マイクロフォン1920によって生成されたエコー信号がより小さいことである。
【0133】
なお、上記実施例に記載のメガネは、各種のメガネ、例えば、サングラス、近視メガネ、遠視メガネであってもよい。いくつかの実施例において、メガネは、VR(Virtual Reality)機能又はAR(Augmented Reality)機能を有するメガネであってもよい。
【0134】
本願の実施例による有益な効果は、以下の(1)~(6)を含むが、これらに限定されない。(1)骨伝導マイクロフォンの振動方向とエコー信号源の振動方向とがなす第1の夾角を設定された角度範囲に設定し、骨伝導マイクロフォンが受けたエコー信号源の振動の強度を低下させ、生成されたエコー信号(すなわち、第1の信号)の強度を低下させ、(2)骨伝導マイクロフォンの振動方向とエコー信号源の振動方向とがなす第2の夾角を設定された角度範囲に設定し、骨伝導マイクロフォンが受けた音声信号源の振動の強度を向上させ、生成された音声信号(すなわち、第2の信号)の強度を向上させ、(3)音響入出力装置のユーザに接触する部分が受けた締め付け力を一定の範囲に制御することにより、骨伝導マイクロフォンがユーザにより緊密に接触し、受けた音声信号源の振動の強度(すなわち、第4の機械的振動の強度)がより高くなり、(4)骨伝導マイクロフォンとスピーカーアセンブリのハウジングとの間に制振構造を増設して、受けたスピーカーアセンブリの振動の強度(すなわち、第3の機械的振動の強度)を低下させ、(5)スピーカーアセンブリの振動素子とハウジングとの間に制振構造を増設し、制振構造により振動素子の振動によるハウジングへの影響を低減することにより、ハウジングにより発生した機械的振動の強度を低下させ、最後に骨伝導マイクロフォンが受けたスピーカーアセンブリの振動の強度の低下を実現し、(6)ユーザが音声信号を提供する時の振動部位により近接するように骨伝導マイクロフォンを設置し、受けた音声信号源の振動の強度を向上させる。なお、実施例によって、達成可能な有益な効果が異なるが、異なる実施例において、達成可能な有益な効果は、以上のいずれか1種又は複数種の組み合わせであってもよく、他の任意の達成可能な有益な効果であってもよい。
【0135】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記発明の開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲にある。
【0136】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしも全てが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0137】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序に限定されない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲にある全ての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0138】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0139】
いくつかの実施例において、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が説明する値の±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値データは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値データについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びデータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0140】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0141】
100 音響入出力装置
110 スピーカーアセンブリ
120 マイクロフォンアセンブリ
130 固定アセンブリ
200 音響入出力装置
210 イヤホンコア
230 固定アセンブリ
231 耳掛
232 イヤホンハウジング
233 回路ケース
234 後掛け
236 保護スリーブ
237 ケースプロテクタ
240 制御回路
250 電池
2321 接触面
300 音響入出力装置
310 スピーカーアセンブリ
320 マイクロフォンアセンブリ
330 固定アセンブリ
340 ユーザの顔
350 ハウジング
360 音声信号源
370 第1の弾性接続部
380 エコー信号源
390 第2の弾性接続部
520 骨伝導マイクロフォン
560 音声信号源
570 第1の弾性接続部
580 エコー信号源
590 第2の弾性接続部
1000 音響入出力装置
1010 スピーカーアセンブリ
1020 骨伝導マイクロフォン
1023 振動伝達層
1040 ユーザの顔
1100 制振構造
1200 音響入出力装置
1210 スピーカーアセンブリ
1211 振動素子
1213 振動伝達シート
1220 骨伝導マイクロフォン
1250 ハウジング
1300 音響入出力装置
1310 スピーカーアセンブリ
1311 振動素子
1313 振動膜
1315 磁気回路アセンブリ
1317 コイル
1320 骨伝導マイクロフォン
1350 ハウジング
1351 第1の通音孔
1352 第2の通音孔
1410 スピーカーアセンブリ
1411 第1の振動素子
1412 第2の振動素子
1413 第1の振動膜
1414 第2の振動膜
1415 第1の磁気回路アセンブリ
1416 第2の磁気回路アセンブリ
1417 第1のコイル
1418 第2のコイル
1450 ハウジング
1451 第1の通音孔
1452 第2の通音孔
1453 第3の通音孔
1454 第4の通音孔
1455 第1のキャビティ
1456 第2のキャビティ
1510 スピーカーアセンブリ
1511 第1の振動素子
1512 第2の振動素子
1513 第1の振動膜
1514 第2の振動膜
1515 第1の磁気回路アセンブリ
1516 第2の磁気回路アセンブリ
1517 第1のコイル
1518 第2のコイル
1555 第1のキャビティ
1556 第2のキャビティ
1600 音響入出力装置
1610 スピーカーアセンブリ
1620 骨伝導マイクロフォン
1630 固定アセンブリ
1631 イヤーマフ
1632 ヘッドバンド
1700 音響入出力装置
1710 スピーカーアセンブリ
1720 骨伝導マイクロフォン
1730 固定アセンブリ
1731 イヤーマフ
1800 音響入出力装置
1810 スピーカーアセンブリ
1820 骨伝導マイクロフォン
1830 固定アセンブリ
1831 イヤーマフ
1832 ヘッドバンド
1833 スポンジスリーブ
1840 ユーザの顔
1850 ハウジング
1900 音響入出力装置
1910 スピーカーアセンブリ
1930 メガネフレーム
1932 メガネ縁
1933 テンプル
1934 テンプル本体
1935 ブリッジ

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機械的振動を発生して音波を伝達するスピーカーアセンブリと、
音声信号源が音声信号を提供する時に発生した第2の機械的振動を受けるマイクロフォンと、
を含み、
前記マイクロフォンは、前記第1の機械的振動と前記第2の機械的振動の作用下で、第1の信号と第2の信号をそれぞれ生成し、一定の周波数範囲において、前記第1の機械的振動の強度と前記第1の信号の強度との比は、前記第2の機械的振動の強度と前記第2の信号の強度との比よりも大きい、音響入出力装置。
【請求項2】
前記スピーカーアセンブリは、骨伝導スピーカーアセンブリであり、
前記骨伝導スピーカーアセンブリは、ハウジングと、前記ハウジングに接続されて第1の機械的振動を発生する振動素子と、
を含み、
前記マイクロフォンは、前記ハウジングに直接的又は間接的に接続される、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項3】
ユーザが前記音響入出力装置を装着している場合、前記音響入出力装置の前記ユーザに接触する部分が受ける締め付け力は、0.1N~0.5Nである、請求項2に記載の音響入出力装置。
【請求項4】
制振構造をさらに含み、前記マイクロフォンは、前記制振構造により前記スピーカーアセンブリに接続される、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項5】
前記制振構造は、弾性率が第1の閾値よりも小さい制振材料を含み、又は、
前記制振構造の厚さは、0.5mm~5mmである、請求項4に記載の音響入出力装置。
【請求項6】
前記制振材料の弾性率は、0.01Mpa~1000Mpaである、請求項5に記載の音響入出力装置。
【請求項7】
前記マイクロフォンの表面の第1の部分は、前記第2の機械的振動を伝導し、前記マイクロフォンの表面の第2の部分は、外部に前記制振構造が設置され、前記制振構造により前記スピーカーアセンブリに接続される、請求項4に記載の音響入出力装置。
【請求項8】
前記マイクロフォンの表面の第1の部分には、振動伝達層が設置され、前記振動伝達層の材料の弾性率は、第2の閾値よりも大きい、請求項7に記載の音響入出力装置。
【請求項9】
前記スピーカーアセンブリは、ハウジング及び振動素子を含み、前記ハウジングと前記振動素子との間は、第1の接続部を有し、前記マイクロフォンと前記ハウジングとの間は、第2の接続部を有し、前記第1の接続部は、第1の制振構造を含む、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項10】
前記第2の接続部は、第2の制振構造を含む、請求項9に記載の音響入出力装置。
【請求項11】
前記振動素子の質量は、0.005g~0.3gの範囲にあり、又は、
ユーザが前記音響入出力装置を装着している場合、前記音響入出力装置の前記ユーザに接触する部分が受ける締め付け力は、0.01N~0.05Nである、請求項9に記載の音響入出力装置。
【請求項12】
前記スピーカーアセンブリは、ハウジングを含み、前記ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、第1の振動膜と第2の振動膜は、それぞれ前記第1のキャビティと前記第2のキャビティに位置し、
前記第1のキャビティの側壁には、第1の通音孔及び第2の通音孔が形成され、前記第2のキャビティの側壁には、第3の通音孔及び第4の通音孔が形成され、前記第1の通音孔から伝達された音声の位相は、前記第3の通音孔から伝達された音声の位相と同じであり、前記第2の通音孔から伝達された音声の位相は、前記第4の通音孔から伝達された音声の位相と同じである、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項13】
前記第1の通音孔及び前記第3の通音孔は、前記ハウジングの同一の側壁に設置され、前記第2の通音孔及び前記第4の通音孔は、前記ハウジングの同一の側壁に設置され、前記第1の通音孔及び前記第2の通音孔は、前記ハウジングの隣接しない側壁に設置され、前記第3の通音孔及び前記第4の通音孔は、前記ハウジングの隣接しない側壁に設置される、請求項12に記載の音響入出力装置。
【請求項14】
前記音声信号源は、ユーザが前記音声信号を提供する時の振動部位であり、前記ユーザが前記音響入出力装置を装着している場合、前記ユーザの前記振動部位と前記マイクロフォンとの距離は、第3の閾値よりも小さい、請求項1に記載の音響入出力装置。
【請求項15】
前記音響入出力装置は、固定アセンブリをさらに含み、ヘッドホンであり、前記固定アセンブリは、ヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの両側に接続された2つのイヤーマフとを含み、前記ヘッドバンドは、ユーザの頭蓋骨に固定され、かつ前記2つのイヤーマフを前記ユーザの頭蓋骨の両側に固定し、前記マイクロフォンと前記スピーカーアセンブリは、それぞれ前記2つのイヤーマフに設置される、請求項1に記載の音響入出力装置。
【国際調査報告】