(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】セララセルチブを含む製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20240305BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240305BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240305BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240305BHJP
A61K 9/30 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K9/20
A61K9/30
A61K47/02
A61K47/38
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558276
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022057305
(87)【国際公開番号】W WO2022200251
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/081978
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,デイビッド ブラッドリー ブルック
(72)【発明者】
【氏名】レン,ハイシャ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD26
4C076DD41
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4C086AA01
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4C086MA03
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4C086MA35
4C086NA20
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC02
(57)【要約】
セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤。
【請求項2】
30~50%w/wのセララセルチブを含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記セララセルチブが、CuKα放射線を用いる測定として、約2シータ=21.2°及び17.2°で少なくとも2つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Aである、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
10~16%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
30~40%w/wの微結晶セルロースを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
5~20%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
0.5~2.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
160mgのセララセルチブを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
120mgのセララセルチブを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
80mgのセララセルチブを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
40%w/wのセララセルチブ;
15%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウム;
33.5%w/wの微結晶セルロース;
10%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース;及び
1.5%w/wのステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
錠剤製剤である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
着色フィルムコーティングをさらに含む、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
薬剤としての使用のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
ヒトなどの温血動物においてATR阻害効果を生成する方法であって、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法。
【請求項16】
ヒトなどの温血動物におけるがんの治療のための薬剤の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項17】
乳がん、トリプルネガティブ乳がん、胃がん、慢性リンパ球性白血病、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、非ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、又はメラノーマの治療における使用のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、セララセルチブを含む医薬製剤、より詳細に、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤に関する。本明細書はまた、治療、特にがんの治療における製剤の使用、及び製剤の投与を含む治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管拡張性失調症及びRad3関連タンパク質(ATR)は、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼ及びホスファチジルイノシトール3-キナーゼ関連キナーゼ(PIKK)ファミリーのメンバーである。正常なDNA複製の間、ATRは、未修復のままであれば、二本鎖切断に進行し得る、停止された複製フォークで動員される。ATRはまた、一本鎖DNA損傷又は二本鎖切断の切除の後、複製タンパク質A(RPA)でコーティングされた一本鎖DNAに動員される。ATRの動員及び活性化は、DNAが修復される一方で、S期における細胞周期停止、停止された複製フォークの分解、又は核断片化及びプログラム細胞死(アポトーシス)への移行を引き起こす。
【0003】
結果として、ATR阻害剤は、DNA修復においてATRに依存する腫瘍細胞、例えば、血管拡張性失調症突然変異(ATM)欠損腫瘍において増殖阻害を引き起こすことが予想される。そのような単独療法活性に加えて、ATR阻害剤はまた、(ATR依存性DNA修復プロセスの阻害を通じて)細胞傷害性DNA傷害剤及び放射線療法の活性を、組み合わせて使用されるときに増強することが予想される。
【0004】
セララセルチブは、他のPIKKファミリーメンバーに対して優れた選択性を有するATRの強力な阻害剤であり、特許文献1で最初に開示された。それは、DNA修復におけるATR機能に依存した疾患、例えば、ATMが欠損した腫瘍を有する患者における経口抗腫瘍剤として開発されつつある。セララセルチブは、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がん;胃がん;慢性リンパ球性白血病(CLL);頭頸部扁平上皮がん(H&NSCC);非小細胞肺がん(NSCLC);卵巣がん;非ホジキンリンパ腫(NHL);小細胞肺がん(SCLC);及びメラノーマの治療のため、詳細に評価されつつある。
【0005】
患者コンプライアンスは、がんのような生命を脅かす病態の場合であっても、治療に対する重大な脅威である。米国企業のCVS Pharmacyにおいて実施された試験では、1日1回のみ服用される薬剤に対する平均順守率(患者が処方指示に正確に従う度合い)が、1日4回服用されなければならない治療薬における約50%と比較すると、ほぼ80%であることが報告された。75%もの患者(及び慢性的に病気の患者の50%)が、医師が処方した治療計画を順守せず、又はそれに従わない。評価段階のセララセルチブの現用量は、160mg qd及び240mg bdである。これは、複数の錠剤を服用することによって引き起こされる患者コンプライアンスのリスクを軽減するため、高い薬物負荷を伴う製剤を必要とする。また、より高い薬物負荷は、製品の全体コスト低減に寄与し得る。
【0006】
薬物負荷に加えて、好適なセララセルチブ製剤は、市販規模の生産に適するようないくつかの他の基準も満たさなければならない。セララセルチブは、不十分な流動性を示し、利用され得る製造技術の一部を制限する、やや吸湿性の結晶材料である。後期臨床試験及び市販目的で製品を送達するため、強固なプロセスが必要とされることから、好適な製剤は、優れた製造可能性(製品が最小のコスト及び最大の信頼度で比較的容易に製造され得る程度)を有しなければならない。製剤が錠剤である場合、錠剤は、許容される錠剤空隙率を維持する一方で、高い圧縮力を適用する必要性がなく、好適な引張強さを達成しなければならない。これらの要素は、過剰圧縮及び可変溶解速度のリスクを最小化する、即ち、好適な製剤は、その活性成分を均一な許容される様式で放出しなければならない。最後に、ヒト使用のための製剤は、慢性服用にとっての調節要件を満たす薬学的に許容される賦形剤を使用しなければならず、有意な期間、典型的に>1年、及び理想的に最大3年にわたり、安定でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/154737号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書は、これらの基準を満たし、市販規模での製造に適する、セララセルチブの医薬製剤について記載する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、部分的に、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤について記載する。
【0010】
本明細書はまた、部分的に、薬剤としての使用のための医薬製剤について記載する。
【0011】
本明細書はまた、部分的に、ヒトなどの温血動物におけるがんを治療する方法であって、有効量の医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法について記載する。
【0012】
本明細書はまた、部分的に、ヒトなどの温血動物におけるがんの治療のための薬剤の製造における医薬製剤の使用について記載する。
【0013】
本明細書はまた、部分的に、がんの治療における使用のための医薬製剤について記載する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
多くの実施形態が本明細書全体を通じて詳述され、当業者の読者にとって明らかであろう。本明細書は、列挙される実施形態のいずれかに限定されるものとして解釈されるべきでない。
【0015】
「1つの(a)」は、「少なくとも1つ」を意味する。「1つの(a)」が所与の材料又は要素を表すために使用される場合の任意の実施形態では、「1つの(a)」は1つ(one)を意味してもよい。
【0016】
「含む(comprising)」は、所与の材料又は要素が他の材料又は要素を含有してもよいことを意味する。「含む(comprising)」が言及される場合の任意の実施形態では、所与の材料又は要素は、その材料又は要素の少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、又は少なくとも40%w/wから形成されてもよい。「含む(comprising)」が言及される場合の任意の実施形態では、「含む(comprising)」はまた、所与の材料又は要素「からなる(consisting of)」(又は「からなる(consists of)」)又は「から本質的になる(consisting essentially of)」(又は「から本質的になる(consists essentially of)」)を意味してもよい。
【0017】
「~からなる(consisting of)」又は「~からなる(consists of)」は、所与の材料又は要素が、全体的にその材料又は要素から形成されることを意味する。「~からなる(consisting of)」又は「~からなる(consists of)」が言及される場合の任意の実施形態では、所与の材料又は要素は、その材料又は要素の100%w/wから形成されてもよい。
【0018】
「~から本質的になる(consisting essentially of)」又は「~から本質的になる(consists essentially of)」は、所与の材料又は要素が、ほぼ全体的にその材料又は要素からなることを意味する。「~から本質的になる(consisting essentially of)」又は「~から本質的になる(consists essentially of)」が言及される場合の任意の実施形態では、所与の材料又は要素は、その材料又は要素の少なくとも50%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w又は少なくとも99%w/wから形成されてもよい。
【0019】
「w/w」は、重量比を意味する。
【0020】
「~である」又は「~であってもよい」がある材料又は要素を定義するために使用される場合の任意の実施形態では、「~である」又は「~であってもよい」は、その材料又は要素がその材料又は要素「からなる」又は「から本質的になる」ことを意味してもよい。
【0021】
特許請求の範囲は、実施形態である。
【0022】
セララセルチブ
AZD6738としても公知である、セララセルチブは、4-{4-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-6-[1-((R)-S-メチルスルホンイミドイル)シクロプロピル]ピリミジン-2-イル}-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンであり、化学構造:
【化1】
を有する。
【0023】
一実施形態では、セララセルチブは、遊離塩基のセララセルチブを指す。
【0024】
一実施形態では、セララセルチブは、セララセルチブ及びその薬学的に許容される塩を指す。
【0025】
一実施形態では、セララセルチブは、セララセルチブの薬学的に許容される塩を指す。
【0026】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、>25%w/wのセララセルチブを含有する。
【0027】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、30~50%w/wのセララセルチブを含有する。
【0028】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、35~45%w/wのセララセルチブを含有する。
【0029】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、37.5~42.5%w/wのセララセルチブを含有する。
【0030】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約40%w/wのセララセルチブを含有する。
【0031】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、40%w/wのセララセルチブを含有する。
【0032】
一実施形態では、セララセルチブは、粒径≦500μmのセララセルチブを指す。
【0033】
一実施形態では、セララセルチブは、粒径≦150μmのセララセルチブを指す。
【0034】
一実施形態では、セララセルチブは、粒径≦90μmのセララセルチブを指す。
【0035】
セララセルチブは、2つの結晶形態-セララセルチブ形態A及びセララセルチブ形態Bの1つで存在し得る。
【0036】
形態A
セララセルチブ形態Aは、CuKα放射線を用いて測定された以下の2シータ(2θ)値:21.2及び17.2°の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。10の最も顕著なX線粉末回折ピークが、表1に示される。
【0037】
【0038】
一実施形態では、セララセルチブは、セララセルチブ形態Aを指す。
【0039】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=21.2°で少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Aを指す。
【0040】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=17.2°で少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Aを指す。
【0041】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=21.2°及び17.2°で少なくとも2つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Aを指す。
【0042】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=21.2、17.2、18.7、12.5、11.0、17.0、23.7、22.8、10.0、14.4°で特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Aを指す。
【0043】
一実施形態では、2シータ値は、±0.2°シータであってもよい。
【0044】
セララセルチブ形態AのDSC分析では、221.5℃~222.1℃の間、例えば221.8℃での開始及び222.0℃~222.6℃の間、例えば222.3℃でのピークを有する融解吸熱が示される。
【0045】
一実施形態では、セララセルチブは、約221.8℃での融解の開始及び約222.3℃でのピークを有するセララセルチブ形態Aを指す。
【0046】
形態B
セララセルチブ形態Bは、CuKα放射線を用いて測定された以下の2θ値:13.2及び18.3°の少なくとも1つを有するX線粉末回折パターンを有する。10の最も顕著なX線粉末回折ピークが、表2に示される。
【0047】
【0048】
一実施形態では、セララセルチブは、セララセルチブ形態Bを指す。
【0049】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=13.2°で少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Bを指す。
【0050】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=18.3°で少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Bを指す。
【0051】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=13.2°及び18.3°で少なくとも2つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Bを指す。
【0052】
一実施形態では、セララセルチブは、約2シータ=13.2、18.3、19.7、21.7、15.9、13.0、28.1、9.6、14.2、10.1°で特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有するセララセルチブ形態Bを指す。
【0053】
一実施形態では、2シータ値は、±0.2°シータであってもよい。
【0054】
セララセルチブ形態BのDSC分析では、52.7℃~53.3℃の間、例えば53.0℃での開始及び53.9℃~54.5℃の間、例えば54.2℃でのピークを有する融解吸熱が示される。
【0055】
一実施形態では、セララセルチブは、約53.0℃での融解の開始及び約54.2℃でのピークを有するセララセルチブ形態Bを指す。
【0056】
本明細書がセララセルチブの結晶形態、即ち形態A又は形態Bに関することが述べられる場合、一実施形態では、結晶化度は、約60%超、約80%超、約90%超、又は約95%超である。一実施形態では、結晶化度は、約98%超である。
【0057】
二塩基性リン酸カルシウム
二塩基性リン酸カルシウムは、式CaHPO4のリン酸カルシウムであり、水不溶性充填剤として使用される。それは、セララセルチブのフローを、その高い容積密度のおかげで改善する。二塩基性リン酸カルシウムは、欧州薬局方においてリン酸水素カルシウム、並びに米国及び日本薬局方において無水二塩基性リン酸カルシウムと称される。
【0058】
二塩基性リン酸カルシウムは、2つの主な形態-二水和物及び無水物形態で存在する。
【0059】
一実施形態では、二塩基性リン酸カルシウムは、二塩基性リン酸カルシウム二水和物を指す。
【0060】
一実施形態では、二塩基性リン酸カルシウムは、無水二塩基性リン酸カルシウムを指す。
【0061】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、<16.5%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウムを含有する。
【0062】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、10~16%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウムを含有する。
【0063】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、12~16%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウムを含有する。
【0064】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約15%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウムを含有する。
【0065】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、15%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウムを含有する。
【0066】
一実施形態では、二塩基性リン酸カルシウムは、欧州薬局方基準のリン酸水素カルシウムを指す。
【0067】
一実施形態では、二塩基性リン酸カルシウムは、日本薬局方基準の無水二塩基性リン酸カルシウムを指す。
【0068】
一実施形態では、二塩基性リン酸カルシウムは、米国薬局方基準の無水二塩基性リン酸カルシウムを指す。
【0069】
微結晶セルロース
微結晶セルロース又は「セルロース、微結晶」は、充填剤としても使用される。微結晶セルロースは、木材パルプのような供給源、及びソルガム、コットンリネン又はアサのような丈夫な植物の茎からの非消化性植物である。植物は、収穫、洗浄及び粉砕され、小さい結晶が顕微鏡下で観察可能である微細な白色粉末が作られる。微結晶セルロースは、薬局方基準を満たすことを除き、セルロースと同じであり;それは異なるグレード及び粒径において利用可能である。それは、粉末セルロース、セルロースガム又はカルボキシメチルセルロースと称されることもある。
【0070】
一実施形態では、微結晶セルロースは、約40~200μMの粒径を有する微結晶セルロースを指す。
【0071】
一実施形態では、微結晶セルロースは、約80~120μMの粒径を有する微結晶セルロースを指す。
【0072】
一実施形態では、微結晶セルロースは、約100μMの粒径を有する微結晶セルロースを指す。
【0073】
一実施形態では、微結晶セルロースは、アビセル(登録商標)PH-102微結晶セルロースを指す。
【0074】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、20~50%w/wの微結晶セルロースを含有する。
【0075】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、30~40%w/wの微結晶セルロースを含有する。
【0076】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、30~36%w/wの微結晶セルロースを含有する。
【0077】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、33~34%w/wの微結晶セルロースを含有する。
【0078】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約33.5%w/wの微結晶セルロースを含有する。
【0079】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、33.5%w/wの微結晶セルロースを含有する。
【0080】
一実施形態では、微結晶セルロースは、欧州薬局方基準の微結晶セルロースを指す。
【0081】
一実施形態では、微結晶セルロースは、日本薬局方基準の微結晶セルロースを指す。
【0082】
一実施形態では、微結晶セルロースは、米国薬局方基準の微結晶セルロースを指す。
【0083】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(methycellulose)(HPMC)、「ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度」又はヒプロメロースとしても公知である、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)は、崩壊剤として使用される。崩壊剤は、湿潤時、分解を可能にし、生成物の迅速な吸収を促進するための迅速な分解を保証する。L-HPCは、水に不溶性であり、その水中での膨潤作用のおかげで、有効な崩壊剤である。
【0084】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、5~20%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
【0085】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、7.5~12.5%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
【0086】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約10%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
【0087】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、10%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
【0088】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、LH-11グレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0089】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、LH-21グレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0090】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、LH-22グレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0091】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、LH-31グレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0092】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、LH-32グレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0093】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、LH-B1グレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0094】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、欧州薬局方基準の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを指す。
【0095】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、国民医薬品集基準の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを指す。
【0096】
一実施形態では、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、日本薬局方基準の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを指す。
【0097】
ステアリン酸マグネシウム
ステアリン酸マグネシウムは、式Mg(C18H35O2)2を有する。それは、摩擦を低減するための潤滑剤として使用され、典型的に、白色の水不溶性粉末である。
【0098】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、0.5~2.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0099】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、1~2%w/wのステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0100】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約1.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0101】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、1.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0102】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、MF-2-Vグレードのステアリン酸マグネシウムである。
【0103】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、米国薬局方基準のステアリン酸マグネシウムを指す。
【0104】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、英国薬局方基準のステアリン酸マグネシウムを指す。
【0105】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、欧州薬局方基準のステアリン酸マグネシウムを指す。
【0106】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、日本薬局方基準のステアリン酸マグネシウムを指す。
【0107】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、中国薬局方基準のステアリン酸マグネシウムを指す。
【0108】
一実施形態では、処理の間、ステアリン酸マグネシウムは、2つのバッチに添加されてもよい:(i)造粒ステップ前(内部);及び(ii)最終の混合プロセス(外部)。
【0109】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウムの約1/3は、ステアリン酸マグネシウム内部であってもよく;ステアリン酸マグネシウムの約2/3は、ステアリン酸マグネシウム外部であってもよい。
【0110】
薬局方
本明細書で薬局方基準が言及される場合、基準が薬局方の以下の版において公開された通りであることは理解されるべきである。
【0111】
【0112】
薬学的に許容される塩
本明細書で用いられるとき、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が既存の酸性部分(例えば、カルボキシルなど)又は塩基性部分(例えば、アミン、アルカリなど)をその塩形態に変換することによって修飾される、本開示の化合物の誘導体を指す。本開示の化合物の好適な薬学的に許容される塩は、例えば、例として、無機酸(例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸など)又は有機酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、メタンスルホン酸など)に由来し得る酸付加塩を含む。
【0113】
本開示の化合物の好適な薬学的に許容される塩はまた、例えば、例として、無期塩基(例えば、ナトリウム又はカリウムや、カルシウム、マグネシウムなどの周期表の列I~XIIの金属の塩)又は有機塩基(例えば、一次、二次、及び三次アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など)に由来し得る塩基付加塩を含む。特定の有機アミンは、限定はされないが、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン又はリジンなどのアミノ酸を含む。当業者であれば、例示された以外の酸/塩基付加塩を形成するために酸又は塩基を付加することも可能であり得ることを理解するであろう。さらなる好適な塩のリストは、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,20th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,(1985);及び“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use”by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)に見出すことができる。
【0114】
錠剤
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、錠剤であってもよい。
【0115】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、経口投与用錠剤であってもよい。
【0116】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、即時放出錠剤であってもよい。
【0117】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、毎日投与されてもよい。
【0118】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、毎日投与される錠剤であってもよい。
【0119】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、1日2回(bd)投与されてもよい。
【0120】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、1日2回(bd)投与される錠剤であってもよい。
【0121】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、80~160mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0122】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、80~160mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0123】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、100~140mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0124】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、100~140mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0125】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約80mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0126】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約80mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0127】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、80mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0128】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、80mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0129】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約80mgのセララセルチブを含んでもよく、1日2回投与されてもよい。
【0130】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約80mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよく、1日2回投与されてもよい。
【0131】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、80mgのセララセルチブを含んでもよく、1日2回投与されてもよい。
【0132】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、80mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよく、1日2回投与されてもよい。
【0133】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約120mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0134】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約120mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0135】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、120mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0136】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、120mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0137】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約120mgのセララセルチブを含んでもよく、1日2回投与されてもよい。
【0138】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約120mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよく、1日2回投与されてもよい。
【0139】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、120mgのセララセルチブを含んでもよく、1日2回投与されてもよい。
【0140】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、120mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよく、1日2回投与されてもよい。
【0141】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約160mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0142】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約160mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0143】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、160mgのセララセルチブを含んでもよい。
【0144】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、160mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよい。
【0145】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約160mgのセララセルチブを含んでもよく、1日2回投与されてもよい。
【0146】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、約160mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよく、1日2回投与されてもよい。
【0147】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、160mgのセララセルチブを含んでもよく、1日2回投与されてもよい。
【0148】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、160mgのセララセルチブを含む錠剤であってもよく、1日2回投与されてもよい。
【0149】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、
30~50%w/wのセララセルチブ;
10~16%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウム;
30~40%w/wの微結晶セルロース;
5~20%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース;及び
0.5~2.5%w/wのステアリン酸マグネシウム
を含んでもよい。
【0150】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、
40%w/wのセララセルチブ;
15%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウム;
33.5%w/wの微結晶セルロース;
10%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース;及び
1.5%w/wのステアリン酸マグネシウム
を含んでもよい。
【0151】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、
30~50%w/wのセララセルチブ;
10~16%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウム;
30~40%w/wの微結晶セルロース;
5~20%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース;及び
0.5~2.5%w/wのステアリン酸マグネシウム
を含む錠剤であってもよい。
【0152】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、
40%w/wのセララセルチブ;
15%w/wの無水二塩基性リン酸カルシウム;
33.5%w/wの微結晶セルロース;
10%w/wの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース;及び
1.5%w/wのステアリン酸マグネシウム
を含む錠剤であってもよい。
【0153】
コーティング
一実施形態では、医薬製剤が錠剤の形態である場合、錠剤をコーティング剤でコーティングすることは有利であり得る。次に、得られるコーティング錠は、錠剤コア及びコーティング剤を含むことになる。コーティング錠は、患者の錠剤の嚥下を補助し得る。着色コーティングは、患者コンプライアンス及び/又は他の薬剤、特に組み合わせ治療の一部として投与されるものとの区別を補助し得る。ピンクの錠剤は、特に区別の観点で適合性であり得る。
【0154】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、コーティング錠であってもよい。錠剤がコーティング錠である場合、本明細書で引用される任意の%w/w値が錠剤コアのw/wの組成を指すことは理解されるべきである。
【0155】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、色コーティング錠であってもよい。
【0156】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、フィルムコート錠であってもよい。
【0157】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、着色されたフィルムコート錠であってもよい。
【0158】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、ピンクフィルムコート錠であってもよい。
【0159】
治療方法
一実施形態では、治療法によるヒト又は動物身体の治療方法における使用のため、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が提供される。
【0160】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるATR阻害効果を生成する方法であって、本明細書で定義される通り、有効量の、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法が提供される。
【0161】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるがんを治療する方法であって、本明細書で定義される通り、有効量の、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法が提供される。
【0162】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物における、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、胃がん、慢性リンパ球性白血病、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、非ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、又はメラノーマを治療する方法であって、本明細書で定義される通り、有効量の、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法が提供される。
【0163】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物における肺がん、特に非小細胞肺がん又は小細胞肺がんを治療する方法であって、本明細書で定義される通り、有効量の、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法が提供される。
【0164】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるメラノーマを治療する方法であって、本明細書で定義される通り、有効量の、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤を前記動物に投与することを含む、方法が提供される。
【0165】
本明細書で用いられるとき、「治療」及び「治療する」という用語は、本明細書に記載の通り、疾患若しくは障害、又はその1つ以上の症状を回復させ、軽減し、その発症を遅延させ、又はその進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態では、治療は、1つ以上の症状が発現してから、実施されてもよい。他の実施形態では、治療は、症状の不在下で実施されてもよい。例えば、治療は、(例えば、症状の履歴の観点から、及び/又は遺伝若しくは他の感受性要素の観点から)症状の発症前に感受性のある個体に対して実施されてもよい。治療はまた、症状が回復してから、例えば、それらの再発を予防する(present)又は遅延させるため、継続されてもよい。
【0166】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるがんを治療する方法であって、(1)温血動物が、ATR阻害に対して受容性のがんを有するか否かを判定することと、(2)そうであれば、本明細書で定義される通り、有効量の、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤を前記動物に投与することと、を含む、方法が提供される。
【0167】
化合物の使用
一実施形態では、薬剤としての使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が提供される。
【0168】
一実施形態では、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の薬剤としての使用が提供される。
【0169】
一実施形態では、治療法における使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が提供される。
【0170】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるATR阻害効果の生成のための薬剤の製造における、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0171】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるがんの治療のための薬剤の製造における、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0172】
一実施形態では、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、胃がん、慢性リンパ球性白血病、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、非ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、又はメラノーマの治療のための薬剤の製造における、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0173】
一実施形態では、メラノーマの治療のための薬剤の製造における、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0174】
一実施形態では、肺がん、特に非小細胞肺がん又は小細胞肺がんの治療のための薬剤の製造における、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0175】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるATR阻害効果の生成における使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0176】
一実施形態では、ヒトなどの温血動物におけるがんの治療における使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤の使用が提供される。
【0177】
一実施形態では、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、胃がん、慢性リンパ球性白血病、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、非ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、又はメラノーマの治療における使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が提供される。
【0178】
一実施形態では、メラノーマの治療における使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が提供される。
【0179】
一実施形態では、肺がん、特に非小細胞肺がん又は小細胞肺がんの治療における使用のための、本明細書で定義される通り、セララセルチブ、二塩基性リン酸カルシウム、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【
図1】
図1は、本明細書のセララセルチブ錠剤の製造を表すプロセスフロー図である。
【
図2】
図2は、本明細書の製剤(N11)における、セララセルチブの他の製剤(N2~N10)及び実験1からの結果と比較した圧縮特性を示す。結果は、N11が、所望される錠剤の引張強さを達成し、ひいては過剰圧縮課題のリスクを最小化するため、より低い圧縮力を必要とすることを示す。
【
図3】
図3は、実験2からの製剤バリアント(formulation variant)N8、N9、N10及びN11における、コンパクション圧力対引張強さのデータを示す。比較製剤N9及びN10は、より高い製造速度(Fetteなど、72,000錠剤/時間)の圧縮圧150MPaで、錠剤における目標の2Mpaの引張強さを達成することができず、それは錠剤が、正常圧縮圧100~200MPaで、目標の機械的強度を達成することができないことを意味する。本明細書の製剤(N11)は、圧縮圧150MPaでの両方のシミュレーション特性において、>2MPaの目標の引張強さを達成し、強固な機械的強度を保証することができる。
【
図4】
図4は、実験2からの製剤バリアントN8、N9、N10及びN11における、コンパクション圧力対錠剤空隙率を示す。錠剤空隙率は、比較製剤N8、N9及びN10において、正常コンパクション圧力(100~200MPa)で低く(<10%)、それは可変溶解のリスクをもたらす。本明細書の製剤(N11)は、10%を超える空隙率を有し、可変溶解及び過剰圧縮のリスクを最小化する。
【実施例】
【0181】
実施例及び結果セクションにおいて使用される賦形剤は、以下のグレードであった。
【0182】
【0183】
実施例1
セララセルチブ形態Aの調製
形態A材料は、国際公開第2011154737号パンフレットに、66頁~67頁につながる文脈の中で実施例2.02として開示された合成経路によって作製した。最終生成物4-{4-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-6-[1-((R)-S-メチルスルホンイミドイル)シクロプロピル]ピリミジン-2-イル}-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(セララセルチブ)の形態Aは、XRPD及びDSCによって分析し、約221.8℃で融解が開始し、約222.3℃でピークを有する結晶であることが見出された。
【0184】
実施例2
セララセルチブ形態Bの調製
形態Bは、形態Aを30%イソプロピルアルコール及び70%水の混合物中でスラリー化した後、約1か月にわたり家庭用冷凍庫内に(約-18℃の温度で)置くことによって作製した。家庭用冷凍庫内での1か月の貯蔵後、サンプルを取り出し、周囲温度で平衡化しておき、次にキャップを外し、スラリーを周囲条件下で乾燥しておいた。得られた材料は、XRPDによって結晶であることが判定し、DSCによってさらに分析し、53.0℃での融解開始及び54.2℃でのピークを有した。或いは、形態Bは、形態Aを、約5℃の温度で、30%イソプロピルアルコール及び70%水の混合物中で2週間スラリー化することによって作製してもよい。
【0185】
実施例3
X線粉末回折
分析機器:Bruker D4。X線粉末ディフラクトグラムは、結晶材料のサンプルをBruker単シリコン結晶(SSC)ウェーハマウントにマウントし、顕微鏡スライドを活用して、サンプルを薄層に広げることによって測定した。サンプルは、30回毎分で回転させ(計数統計を改善し)、1.5418オングストロームの波長、40kV及び40mAで操作した銅ロングファインフォーカス管によって生成したX線を照射した。視準X線源を、V20で設定した自動可変分岐スリットを通過させ、反射放射線を、5.89mmの抗散乱スリット及び9.55mmの検出器スリットを通るように方向づけた。サンプルは、θ-θモードにおける2°~40°の範囲の2シータにわたり、0.00570°2シータ増加あたり0.03秒間曝露させた(連続スキャンモード)。機器は、位置感受性検出器(Lynxeye)を備えた。制御及びデータ捕捉は、Diffrac+ソフトウェアで動作するDell Optiplex 755XPプロフェッショナルワークステーションを用いて行った。X線粉末回折の当業者は、ピークの相対的強度が、例えば、サンプルの分析に影響し得る、粒径が30ミクロン超の粒子及び単位アスペクト比でないことによって影響を受ける可能性があることを理解するであろう。当業者はまた、反射の位置が、サンプルが回折計内に位置する正確な高さ及び回折計のゼロ較正によって影響を受ける可能性があることを理解するであろう。また、サンプルの表面平面性は、小さい効果を有することがある。それ故、本明細書に記載の回折パターンデータは、絶対的な値と解釈されるべきではない。
【0186】
実施例4
示差走査熱量測定
分析機器:TA Instruments Q2000 DSC。蓋を装着した標準アルミニウムパン内に含有される、量が典型的に5mg未満の材料を、25℃~300℃の温度範囲にわたり、10℃/分の一定加熱速度で加熱した。窒素を用いるパージガスを50ml/分の流速で使用した。
【0187】
実施例5
セララセルチブ錠剤の製造における手順
セララセルチブ錠剤は、従来の混合、乾式造粒、及び圧縮プロセスを使用し、適正製造基準に従って作製した。通常のインプロセスチェックは、製造プロセス全体を通じて実施した。
【0188】
好適なローラーコンパクションプロセスの概要を
図1に概説し、以下に説明する:
1.以下の成分を好適な拡散ミキサーに添加した:セララセルチブ、微結晶セルロース、無水二塩基性リン酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。次に、乾燥成分を一緒に混合した。必要があれば、材料を適切なスクリーンでプレスクリーニングした。
2.粒内のステアリン酸マグネシウムを粉末に添加し、ローラーコンパクション前に混合した。必要があれば、材料を適切なスクリーンでプレスクリーニングした。
3.潤滑ブレンドのローラーコンパクションによって、リボンを生成した。続いて、リボンを好適なミルに通過させることによって、リボンを顆粒に粉砕した。
4.好適なミキサーを使用し、顆粒を粒外潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム)と混合した。必要があれば、材料を適切なスクリーンでプレスクリーニングした。
5.好適な錠剤プレスを使用し、潤滑された顆粒を錠剤コアに圧縮した。
【0189】
以下のインプロセス検査は、圧縮の間に実施した:外観、錠剤重量、破断荷重、厚み及び破砕性。
【0190】
実施例6
比較製剤(N2~N10)及び本明細書の製剤(N11)の調製
製剤N2~N11は、実施例5の手順に従って(又はそれと同様に)調製した。表中に引用された値は、%w/wである。
【0191】
【0192】
結果
実験1
圧縮特性
圧縮特性は、全てのバッチに対して適用されたコンパクション力の関数としての錠剤の引張強さを表す。この特性を、パンチ先端面面積及び錠剤幾何学に対して正規化し、錠剤サイズと独立した製剤の頑強性の真の比較を可能にする。
【0193】
異なる圧縮力下で、同じパンチ設計を伴う好適なロータリー錠剤プレス(例えば、Korsch XL100)を使用し、全てのバッチを別々に圧縮した(N8、N9及びN10は、1つの力のみで圧縮した)。好適な硬度及び厚み測定機器を使用し、生成された錠剤の破断荷重及び厚みを特徴づけた。引張強さは、生成された錠剤の破断荷重及び寸法の観点から計算した。結果を
図2に提示する。
【0194】
実験2
N8~N11におけるコンパクション圧力対引張強さ及び錠剤空隙率
開発対市販の錠剤化及びコンパクションプロセスを模倣し得る、好適なコンパクションシミュレーターを使用し、N8~N11におけるコンパクション特性を測定した。円形で平坦面の錠剤を、単一パンチで圧縮し、金型内のデータを、異なるシミュレーション特性に基づいて評価した。Korschは、開発レベルの生産(12,000錠剤/時間)をシミュレートし、Fetteは、より高い製造速度での市販レベルの生産(72,000錠剤/時間)をシミュレートしている。コンパクション特性、並びに錠剤特性に対する変化する圧縮力及び速度の効果について検討した。その結果を
図3及び
図4に提示する。
【国際調査報告】