(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】データマトリックスコードをスキャンするための装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240305BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240305BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240305BHJP
G06K 7/015 20060101ALI20240305BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23Q11/00 F
G06K7/14 017
G06K7/015
G06K7/10 372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558370
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2022057827
(87)【国際公開番号】W WO2022200527
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021001523.1
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518396013
【氏名又は名称】エリコン サーフィス ソリューションズ アーゲー ファフィコン
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルブ,ユリアン ティエモ
(72)【発明者】
【氏名】シーグラー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ブルメル,アンドレ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA02
4E168JA02
(57)【要約】
本発明は、工具のシャフト上のDMCおよび/またはバーコードをスキャンするための装置(1)に関する。該装置は、スキャンカメラ(3)と、スキャンカメラが配置および位置合わせされるハウジング(5)と、を備える。スキャンカメラは、ハウジング内の領域をスキャンすることができるように位置合わせされ、スキャンカメラ(3)の位置合わせによって、スキャンカメラ(3)からスキャン対象の工具のシャフトへのスキャン方向が画定され、その領域によって、スキャン領域が画定される。ハウジング(5)は、スキャン方向と実質的に平行に延びる壁に開口部(7)を有し、開口部は、DMCおよび/またはバーコードを有する工具のシャフトを、スキャンのためにスキャン方向と垂直にスキャン領域に挿入することができるように設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具のシャフト上のDMCおよび/またはバーコードをスキャンするための装置(1)であって、
スキャンカメラ(3)と、
前記スキャンカメラが配置および位置合わせされるハウジング(5)と、
を備え、
前記スキャンカメラは、前記ハウジング内の領域をスキャンすることができるように配置および位置合わせされ、前記スキャンカメラ(3)の位置合わせによって、前記スキャンカメラ(3)からスキャン対象の前記工具のシャフトへのスキャン方向が画定され、その領域によって、スキャン領域が画定され、
前記ハウジング(5)は、前記スキャン方向と実質的に平行に延びる壁に開口部(7)を有し、前記開口部は、DMCおよび/またはバーコードを有する前記工具のシャフトを、スキャンのために前記スキャン方向と垂直に前記スキャン領域に挿入することができるように設けられる、
装置。
【請求項2】
前記ハウジング(5)は、前記スキャンカメラ(3)を固定および/または調整するための固定要素および/または調整要素を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング(5)は、前記スキャン領域を暗くするための暗色化要素を有し、前記暗色化要素は、好ましくは光を遮蔽するための暗色化プレートの形態を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記開口部(7)を制限するための開口部境界要素が前記開口部の上方に配置され、前記開口部境界要素は、好ましくは可撓性材料の形態を有し、前記工具のシャフトを挿入するためのスロットを有し、前記可撓性材料は、特に前記開口部境界要素内に形成され、前記スロットは、前記開口部境界要素内に配置され、これにより、前記可撓性材料は、前記シャフトが挿入されたときに前記シャフトを少なくとも部分的に囲んで、前記開口部(7)のサイズを最小限に抑えることができることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
偏光されていない光をフィルタリングするための偏光フィルタが設けられ、前記偏光フィルタは、好ましくは前記スキャンカメラと前記ハウジング(5)の開口部(7)との間に配置され、特に前記開口部(7)の真上に配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記開口部(7)内に前記工具を位置決めするための位置決め要素が設けられ、前記位置決め要素は、好ましくは前記工具の少なくとも部分的な挿入のための凹部の形態を有し、前記凹部は、特に前記開口部(7)の反対側で前記ハウジングの壁に配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記開口部(7)は、前記スキャン領域に挿入されたときに前記シャフトが前記開口部の境界に当接し、これにより、前記シャフトが前記カメラに向けて上流方向にさらに移動することを防止するように構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング(5)の開口部(7)は、上側に向けてV字形状に延在するように構成され、好ましくはV字形状の前記開口部の反対側において、同様のV字形状の凹部が前記ハウジングに設けられ、これにより、前記開口部(7)内で前記工具がセンタリングされることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
V字形状の前記開口部の一部領域、好ましくは上部領域が平らであることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
スキャンプロセスをトリガーするための要素(9)が前記スキャン領域に設けられ、前記要素は、好ましくは前記シャフトが前記スキャン領域に挿入されたときに前記スキャンプロセスがトリガーされるように構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記要素(9)は、光バリアを備え、前記スキャンプロセスは、前記光バリアの光ビームに干渉することでトリガーされることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
複数の基材の表面処理方法であって、
第1のセットに属する処理対象の各基材にDMCおよび/またはバーコードをマーキングするステップと、
第2のセットに属する処理対象の各基材に、前記第1のセットの基材のマーキングに対応しないDMCおよび/またはバーコードをマーキングするステップと、
前記第1のセットの基材および前記第2のセットの基材を基材用ホルダに供給するステップと、
前記ホルダ内の前記基材に共通の表面処理を実施するステップと、
前記第1のセットの基材および前記第2のセットの基材に従って表面処理された前記基材をソートするステップと、
を含み、
前記ソートは、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において前記DMCおよび/または前記バーコードをスキャンすることで実施される、
方法。
【請求項13】
クラウドベースのデータ交換が提供され、好ましくは前記DMCを介して符号化されたデータは、まず顧客によってクラウドに供給され、その後、前記データは、前記DMCのスキャンを介して、製造者によって前記クラウドから取得されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
顧客の住所を示すものに加えて、少なくとも製造者が実施する注文が前記DMCで符号化されることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記製造者によって、前記注文の進捗状況に関するデータおよび追跡データがクラウドベースで前記顧客と共有されることを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のセットの基材が、マーキングされた後にさらなるDMCおよび/またはバーコードでマーキングされた第1の割り当て容器にそれぞれ収集され、前記第2のセットの基材が、マーキングされた後にさらなるDMCおよび/またはバーコードでマーキングされた第2の割り当て容器にそれぞれ収集されることを特徴とする、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の割り当て容器および前記第2の割り当て容器は、輸送容器であり、表面処理された前記基材は、それぞれの前記割り当て容器にソートされることを特徴とする、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記表面処理は表面コーティング、特にPVDおよび/またはCVDコーティングを含むことを特徴とする、請求項12~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記基材は工具、特にシャフトを有する工具であることを特徴とする、請求項12~18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データマトリックスコード(DMC)をスキャンするための装置およびそのような装置を用いた表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製または合金製の構成要素には、しばしば表面処理が必要である。これは、例えば工具、特に円筒形のシャフトを有する工具の場合に適用される。その代表として挙げられるのがシャフト工具であり、特にドリルである。
【0003】
ドリルは、例えば使用後に再研磨することができる。しかしながら、そのためには、まずその表面を洗浄する必要がある。再研磨後に再度洗浄され、好ましくは硬質材料層でコーティングされる。
【0004】
通常、シャフト工具が異なれば異なる処理が必要となる。これらのステップ/段階を工業規模で実施する場合、個々の顧客が処理サービスを注文する工具の数が少なすぎて、例えば洗浄ホルダおよび/またはコーティングホルダを効率よく埋めることができないという問題がしばしば生じる。これは、洗浄の効率を悪くする。そのため、異なる顧客からの異なる注文を組み合わせて洗浄を行うことが望ましい。しかしながら、その場合、洗浄後に、個々の注文を再び互いに分離する必要があるという問題が生じる。さらなる支援がなければ、この作業は困難で時間がかかり、非効率的なものとなる。
【0005】
また、様々な処理ステップ/段階のなかで工具が紛失し、後になって発見される場合がある。これらの問題は、個々の工具に固有のコードをマーキングすることで対処することができる。
【0006】
別の可能性として、工具のシャフトにマーカーコードを直接刻印することが挙げられる。これは、既知のバーコードとすることができるが、いわゆるデータマトリックスコード(DMC)も適しているといえる。本発明は、バーコードアプローチとDMCアプローチの両方に対応する解決策を提供する。この解決策はどちらのアプローチでも同じであるので、以下の本発明の説明では主にDMCアプローチを例とする。
【0007】
データマトリックスコードは、特に、マトリックスの形態で可変の矩形形状を有する2次元データポイントパターンであることに留意されたい。このマトリックスは、少なくとも10×10、最大144×144のシンボル要素を含むことができる。また、マトリックスは、例えば0や1で解釈されるバイナリコードであり得、最大1,556バイト含むことができる。
【0008】
ここで、水平方向および垂直方向のエッジは、読み取りのために方向付けとして機能する角、いわゆる「ファインダーパターン」を表すことができる。反対側では、好ましくは「交互パターン」として正方形の白と黒の要素があり、マトリックス構造の位置とサイズを表すことができる。ここで、データ記憶領域は、有利にはシンボル内に配置される。
【0009】
この機械読み取り可能なコーディング形式は、1次元コードよりも大量のデータをより小さいスペースに配置することができるように開発されたものである。カメラスキャナは、既に2mm×2mm程度の小さいドットパターンを確実に読み取ることができる。このため、DMCは、非常に小さな製品や曲面など、製品にマーキングするスペースが小さい場合に適している。
【0010】
DMC技術により、工具に一意の体系的なマーキングを付けることが可能になる。これにより、物品番号やバッチ番号、製造日や有効期限、およびその他の重要な製造データなど、データベースに格納される多数の情報を、すべての加工ステップ/段階にわたってワークピースに恒久的に割り当てることができる。したがって、データベース内のすべての情報に割り当てられる一意の番号としてDMCを使用することができる。
【0011】
また、特別な利点として、様々なプリントプロセスまたはエンボスプロセスを使用して、ラベルなしでコードを対象物に直接付与することができることが挙げられる。これは、ニードル加工、レーザ加工、インクジェットプリント、または熱転写プリントで行うことができる。また、プラスチック、紙、および金属など、様々な材料に対応する。DMCの読み取りには特殊なカメラを使用するので、どのような位置にあっても読み取りが可能である。
【0012】
また、DMCを読み取る際のエラー補正は、情報の冗長性とエラー補正アルゴリズムにより非常に高く、データフィールドへの25%~30%の汚染や損傷であっても、完全に補償することができる。
【0013】
しかしながら、DMCの位置によって読み取り可能かどうかが決まるという欠点がある。これは、RFIDとは異なり、DMCは視覚的に認識した場合のみ読み取れるからである。隠されたDMCはカメラでは読み取ることができない。また、視覚的に認識されたとしても、DMCは一定の読み取り距離内でしか読み取ることができない。
【0014】
また、DMCは、低コントラストプリント(20%のコントラストで十分)を可能にするが、光沢のある表面では、カメラで読み取るための光が適切に反射されないか、散乱し過ぎる場合があるので、取り扱いが難しい。また、カメラの取り付け角度も影響する場合もある。
(https://www.innovating-automation.blog/dmc-vs-rfid/?lang=de参照)
【0015】
上述したように、シャフト工具(ドリルなど)は、ほとんどの場合金属製または合金製であるため、光沢のある表面を有するか、表面が粗くなっている。そのため、上述したように、読み取り用のカメラで使用される光が適切に反射されないか、散乱し過ぎる。したがって、このような基材上でDMCを読み取ることは、通常、問題を引き起こす。特に、丸みを帯びた通常高度に研磨された表面は、DMCの上方に光の帯を作り出し、特に制御されていない照明条件下では、読み取りを困難にするか、あるいは不可能にさえする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、データマトリックスコードをスキャンするための既知の装置およびシステムの上述した欠点を少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明の目的は、金属表面、特にシャフト工具の金属表面上のDMCの信頼性の高い読み取りを可能にする、簡単で費用効果が高い解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した問題は、添付の特許請求の範囲の独立請求項に記載の特徴を有する装置、および独立請求項に記載の特徴を有する方法によって解決される。本発明のさらなる特徴および詳細は、それぞれの従属請求項、本明細書の説明、および添付の図面から明らかになるであろう。本発明による装置に関連して記載される特徴および詳細は、言うまでもなく、本発明による方法にも関連して適用され、それぞれの場合においてその逆もまた同様であるので、本発明の個々の態様の開示に関して相互に参照され得るか、常に参照され得る。
【0018】
本発明によれば、工具のシャフト上のDMCおよび/またはバーコードをスキャンするための装置が提供される。該装置は、スキャンカメラと、スキャンカメラが配置および位置合わせされるハウジングと、を備える。スキャンカメラは、ハウジング内の領域をスキャンすることができるように配置および位置合わせされる。特に、スキャンカメラの位置合わせによって、スキャンカメラからスキャン対象の工具シャフトへのスキャン方向が画定され得る。また、特にその領域によって、スキャン領域が画定され得る。本発明によれば、ハウジングは、スキャン方向と実質的に平行に延びる壁に開口部を有し、開口部は、DMCおよび/またはバーコードを有する工具のシャフトを、スキャンのためにスキャン方向と垂直にスキャン領域に挿入することができるように設けられる。
【0019】
本発明によれば、ハウジングによって、関連しない光からの干渉を特定の方法で最小化できることが確認された。特に、これは外部光、偏光されていない光、および迷光であり得る。
【0020】
本発明者らは、驚くべきことに、周囲光(特に偏光されていない光)を除去することが、データマトリックスコードを正しく確実に読み取ることに大きく貢献することを見出した。純粋な偏光を使用することで、カメラは、表面のテクスチャが異なる低コントラストのコードも識別することができる。偏光は、コントラストの違いだけでなく、表面のテクスチャ(粗さなど)の違いも特に良好に明確にする。
【0021】
本発明の文脈において、スキャンとは、特に、好ましくはデータマトリックスコードまたはバーコードの形態で符号化されたデータの取得を意味する。本発明によれば、スキャンカメラとは、ここでは特に、好ましくはデータマトリックスコードまたはバーコードの形態で符号化された情報を検出するための検出要素を意味する。スキャンカメラがハウジング内の領域をスキャンできるようにする、ハウジング上のスキャンカメラの配置および位置合わせは、例えば、スキャンカメラをハウジングに固定することで確保することができる。ここで、スキャンに必要なスキャンカメラの構成要素は、ハウジング内に向けられる。スキャンカメラをハウジングに取り外し不可能に固定することもできるが、スキャンカメラは、ハウジングに取り外し可能に固定されることもでき、例えば正確な位置合わせまたは調整のために調整要素を有することもできる。本発明によれば、スキャン方向とは、好ましくは、スキャン対象のデータマトリックスコードまたはバーコードを検出するために、スキャンに必要なスキャンカメラの構成要素が向けられる方向を意味する。したがって、スキャン領域とは、特にスキャンカメラによって捕捉され得る領域を意味する。実質的に平行な経路とは、例えば、完全に平行な位置から5°、好ましくは3°未満、より詳細には1°未満だけずれた経路を意味する。
【0022】
本発明によるハウジングは、数々の目的、特に以下の目的を有利に達成することができ、また、それらの目的に応じて構成され得る:
・ スキャンカメラまたはスキャンヘッドを保持すること、
・ スキャン領域を暗くすること、
・ スキャナの読み取り範囲における工具の位置決めを容易にすること、
・ スキャンをトリガーする手段を提供すること、および
・ 工具を最適な焦点位置に配置すること。
【0023】
工具が挿入されるハウジングの開口部は、好ましくはハウジングの下部前面領域に位置することができる。特に、開口部によって、工具をスキャナの読み取り領域内に正確に配置および位置合わせすることができる。
【0024】
特に、ハウジングは、周囲からの散乱光がスキャナの検出器を透過しないようにすることができる。これにより、特に干渉を最小限に抑えることができる。
【0025】
好ましくは、工具が挿入されるハウジングの開口部は、工具がハウジングに挿入された後に工具に付けられたDMCがスキャナの読み取り領域および焦点領域に実質的に自動的に且つ正確に配置され、迅速且つ効果的に読み取りが可能になる程度の大きさおよび深さを有してもよい。
【0026】
有利には、簡単な固定と、スキャン領域またはスキャン対象物に対するスキャンカメラの最適な位置合わせを確保する可能性とに関連して、本発明によるハウジングは、スキャンカメラを固定および/または調整するための固定要素および/または調整要素を有することができる。好ましくは、固定要素は、形状的または強制的な嵌合接続を生じさせることができ、例えば、ねじ接続またはクランプ接続の形態で構成され得る。代替的に、磁気固定要素を介した固定も考えられる。さらに、ここで提供される調整要素は、特に、スキャンカメラをx方向、y方向、およびz方向に並進させることができ、また、任意選択で回転軸を中心に回転させることもできる。
【0027】
好ましくは、スキャン領域への干渉光、特に迷光の進入を防止するために、本発明によるハウジングは、スキャン領域を暗くするための暗色化要素を有することができる。好ましくは、暗色化要素は、光を遮蔽するための暗色化プレートの形態を有する。特に、暗色化プレートは、開口部を有するハウジング壁に対して垂直に配置され、閉じたハウジングにおいて、スキャン領域を明確に画定するのに役立つことができる。
【0028】
さらに有利には、干渉光の進入をさらに最小限に抑えるために、開口部を制限するための開口部境界要素が開口部の上方に配置されてもよい。好ましくは、開口部境界要素は、可撓性材料の形態を有し、工具のシャフトを挿入するためのスロットを有する。特に、可撓性材料は、開口部境界要素内に形成され、スロットは、開口部境界要素内に配置される。これにより、可撓性材料は、シャフトが挿入されたときにシャフトを少なくとも部分的に囲んで、開口部のサイズを最小限に抑えることができる。
【0029】
有利には、スキャン領域における工具シャフトの迅速で正確な位置合わせを確保する建設的に簡単で費用効果が高い方法に関して、スキャン領域に挿入されたときにシャフトが開口部の境界に当接し、これにより、シャフトがカメラに向けて上流方向にさらに移動することを防止するように開口部が構成されてもよい。これに関して、上流とは、特にハウジング内に配置されたシャフトの一部がスキャンカメラの方向に移動することがあることを意味する場合がある。これは、スキャン方向に対するシャフトの垂直方向の位置合わせのずれにつながり、スキャン品質を低下させる。
【0030】
有利には、上述したハウジングの開口部は、上側に向けて延在するV字形状に形成され得る。V字形状の開口部の反対側において、同様のV字形状の凹部がハウジングに設けられ得る。このようにして、円筒形のシャフトを有するシャフト工具は、V字形状に隣接して配置され得る。これにより、シャフトは自動的にセンタリングされ、シャフトの表面の一部がスキャナの読み取り領域に自動的に位置することになる。本実施形態によれば、ユーザは、DMCが上向きであることを確認するだけでよい。
【0031】
所与の半径ごとにV字形状の角度αを調整する必要がないように、V字の上部領域を平らにすることができる。これにより、特に(言うまでもなく最大読み取り範囲内でのみ)1つの開口部で広範囲の半径を完全に位置合わせすることができるようになる。範囲が十分でない場合、α=arcsin(r/(x+r))の式と距離x(工具と読み取り装置間の距離)を用いて角度αを決定し直すことができる。
【0032】
スキャンプロセスを実施するための可能な限り正確なタイミングに関して、スキャンプロセスをトリガーするための要素をスキャン領域に設けることができる。これらの要素は、好ましくは、シャフトがスキャン領域に挿入されたときにスキャンプロセスがトリガーされるように構成される。有利には、スキャンプロセスをトリガーするための要素は、シャフトがスキャン領域に完全に挿入されたときにのみスキャンプロセスがトリガーされ、スキャンプロセスによる情報の取得が確実に保証されるように構成され得る。
【0033】
有利には、この物体の開口部内のシャフトの挿入を検出するための、特に信頼性が高く自動化可能な可能性に関して、上記要素は、光バリアを備えることができ、スキャンプロセスは、光バリアの光ビームに干渉することでトリガーされ得る。
【0034】
有利には、スキャンカメラを介した情報の特に信頼性の高い検出を可能にするために、偏光されていない光をフィルタリングするための偏光フィルタが設けられ得る。ここで、偏光フィルタは、好ましくはスキャンカメラとハウジングの開口部との間に配置され、特に開口部の真上に配置される。本発明の範囲において、特に偏光されていない光は、データマトリックスコードまたはバーコードの確実な認識を妨げることが認識された。
【0035】
有利には、開口部内でのスキャン対象工具の最適な位置合わせを保証するために、開口部内に工具を位置決めするための位置決め要素が設けられ得る。位置決め要素は、好ましくは工具の少なくとも部分的な挿入のための凹部の形態を有する。特に、凹部は、開口部の反対側でハウジングの壁に配置される。
【0036】
また、本発明の目的は、特に複数の基材の表面処理方法を提供することである。この場合、該方法は、第1のセットに属する処理対象の各基材にDMCおよび/またはバーコードをマーキングするステップ/段階と、第2のセットに属する処理対象の各基材に、第1のセットの基材のマーキングに対応しないDMCおよび/またはバーコードをマーキングするステップ/段階と、第1のセットの基材および第2のセットの基材を基材用ホルダに供給するステップ/段階と、ホルダ内の基材に共通の表面処理を実施するステップ/段階と、第1のセットの基材および第2のセットの基材に従って表面処理された基材をソートするステップ/段階と、を含む。ソートは、上述した装置においてDMCおよび/またはバーコードをスキャンすることで実施される。
【0037】
簡単で迅速な情報交換に関して、クラウドベースのデータ交換が提供されることも考えられる。ここで、好ましくは、DMCを介して符号化されたデータは、まず顧客によってクラウドに供給され、その後、データは、DMCのスキャンを介して、製造者によってクラウドから取得され得る。
【0038】
有利には、有用な情報の交換に関して、顧客の住所を示すものに加えて、少なくとも製造者が実施する注文もDMCで符号化され得る。
【0039】
また、有利には、有益な情報を共有することに関しても、注文の進捗状況に関する製造者側データおよび追跡データがクラウドベースで顧客と共有され得る。
【0040】
さらに、異なる基材の迅速且つ信頼性が高い制御可能なソートに関して、第1のセットの基材が、マーキングされた後にさらなるDMCおよび/またはバーコードでマーキングされた第1の割り当て容器にそれぞれ収集され、第2のセットの基材が、マーキングされた後にさらなるDMCおよび/またはバーコードでマーキングされた第2の割り当て容器にそれぞれ収集され得る。
【0041】
さらに有利には、基材の最も経済的な再分配と輸送に関して、第1および第2の容器は、輸送容器であり得る。また、表面処理された基材は、それぞれの割り当て容器にソートされ得る。
【0042】
さらに、本方法の有利な使用に関して、表面処理は表面コーティング、特にPVDおよび/またはCVDコーティングを含むことも考えられる。
【0043】
また、本方法の有利な使用に関して、基材は工具、特にシャフトを有する工具であることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳述する以下の説明から明らかになるであろう。これに関して、添付の特許請求の範囲および本明細書に記載の特徴は、個々に、または任意の組み合わせで、本発明に必須である場合がある。
【
図1】DMCを有するシャフト工具(ここではドリル)を示す図である。
【
図2】DMCを有するプラスチック製の洗浄バスケットを示す図である。
【
図3】DMCをスキャンするための本発明による装置の構造を模式的に示す図である。
【
図4】本発明による装置の開かれたハウジングを示す図である。
【
図5】様々な基材の表面処理方法のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
まず、レーザマーキングを使用して、特別に割り当てられたDMCが各工具にマーキングされる。
図1は、対応するようにマーキングされたドリルを示している。その後、顧客によって、工具、例えばシャフトの直径、長さおよび機能的直径などが測定される。顧客は、測定データをERPシステムに入力し、DMCに割り当てる。ここで、初めてスキャンを介してシャフト上のDMCを識別する必要がある。
【0046】
次に、例えば切断エッジの再研磨を行うことができる。その後、工具は、(輸送装置としても使用される)洗浄バスケットに移され、データレベルで互いに結合される。
図2は、DMCを有するそのような洗浄バスケットを示している。ここで、洗浄バスケットとドリルは、コーティングを受けることができる。本実施例において、注文とドリルおよびDMCに関する情報とがクラウドに置かれる。ここで、データが再構築されて、データセットがコーターのデータ構造に対応することができる。同時に、ドリルを入れた洗浄バスケットは、コーターに送られる。
【0047】
コーターがバスケットを受け取ると、バスケット上のDMCをスキャンして、工具セットに割り当てられたデータをクラウドからダウンロードすることができる。他の注文(例えば他の顧客からの注文)を再整理して組み合わせることで、使用する治具をより多く活用することができるので、生産フローを最適化することができる。
【0048】
生産プロセスが終了した時点で、出荷部門において顧客の元の配送ステータスを復元する必要がある。そのため、個々のドリルは、本発明による装置(「スキャンボックス」)でスキャンおよび識別される。
【0049】
図3は、スキャンするための装置1の構造を模式的に示している。該構造は、スキャナとして使用されるカメラ3と、ハウジング5と、開口部7と、を含む。ハウジング内には光バリア9が配置される。この光バリア9がシャフト工具の挿入によって遮られると、スキャンプロセスがトリガーされる。周囲からの外部光は、ハウジング5によって大幅に防止される。
【0050】
図4は、内部を見ることができるように前面パネルが取り外されたハウジング5を示している。取り外された前面パネルが2つの視点から示されている。また、開かれたハウジング5の下部が拡大して示されている。ハウジング5は、3Dプリンタで作製されたものである。
【0051】
元の注文が再整理されると、コーティングされた工具は、顧客および/または最終顧客に輸送されることができる。
【国際調査報告】