(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】垂直勾配凍結200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C30B 29/42 20060101AFI20240305BHJP
C30B 11/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C30B29/42
C30B11/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558436
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022021294
(87)【国際公開番号】W WO2022204106
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504348747
【氏名又は名称】エイエックスティー,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AXT,INC.
【住所又は居所原語表記】4281 Technology Drive,Fremont,CA 94538,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェイグオ
(72)【発明者】
【氏名】シェティ,ラジャラム
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077AB09
4G077BE46
4G077CD04
4G077EH07
4G077HA02
4G077HA12
4G077MB08
4G077MB33
(57)【要約】
垂直勾配凍結200mm(8インチ)ガリウムヒ素(GaAs)基板のための方法およびウェーハ。開示される例では、ケイ素をドーパントとして有するガリウムヒ素(GaAs)基板を形成するための垂直勾配凍結システムであって、このシステムは、形成プロセス中にGaAs融液および種材料を含むためのるつぼと、複数の加熱帯に配置される1つまたは複数の加熱コイルと、るつぼに対して移動する軸受台とを含み、システムは、単結晶GaAs基板を形成するために複数の加熱帯の加熱および軸受台の移動を制御するように動作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素をドーパントとして有するガリウムヒ素(GaAs)200mm(8インチ)基板を形成するための垂直勾配凍結システムであって、
形成プロセス中にGaAs融液および種材料を含むためのるつぼと、
複数の加熱帯に配置される1つまたは複数の加熱コイルと、
前記るつぼに対して移動する軸受台とを備えており、単結晶GaAs基板を形成するために、前記複数の加熱帯の加熱および前記軸受台の移動を制御するように動作可能である、
システム。
【請求項2】
前記るつぼを支持するためのアンプルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記軸受台が、前記るつぼを前記加熱コイルに対して移動するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記軸受台が、前記加熱コイルに対して回転するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記軸受台が、前記加熱コイルに対して垂直に移動するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱コイルが活性化するように動作可能であり、または前記軸受台が、低エッチピット密度(EPD)を達成するためにGaAs融液と結晶との間の界面の形状を制御するように移動するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記形状が、前記GaAs融液に対して窪んでいる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記界面の前記形状が、中心が前記基板の縁部よりも5~20mmだけ低くなるように、5~20mmの窪みである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
三酸化ホウ素B
2O
3層が、結晶成長材料の損失を低減するために、GaAs融液上に封止材料として配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記加熱コイルが活性化するように動作可能であり、または前記軸受台が、0.1~1.0度C/時の範囲になるように構成され得る冷却速度によって制御されるときに結晶化速度を制御するように移動するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記加熱コイルが活性化するように動作可能であり、または前記軸受台は、1~10度C/cmとなるように構成され得るGaAs融液/結晶界面における温度勾配を制御するように移動するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
成長中の内向きの放射状熱流束、または成長後プロセスおよび冷却中の熱除去を促進するために、前記軸受台上またはその内部に配置される絶縁をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
1つまたは複数の電子素子および/または光電子素子が前記表面の第1の表面に形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記電子素子または光電子素子は、発光ダイオード(LED)、レーザー、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、およびpseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)のうちの1つまたは複数である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記基板の第1の側部上の前記電子素子または光電子素子のうちの光電子素子からの光信号が前記第1の側部とは反対側の前記基板の第2の側部に伝送されるように、前記基板は、複数のダイに切り離される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記基板が、200cm
-2未満のエッチピット密度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記基板が、1×10
19cm
-3以上のドーパント濃度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記基板が、300μm以上の厚さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
単結晶ガリウムヒ素基板を形成するための方法であって、
多結晶ガリウムヒ素(GaAs)種結晶と、B
2O
3封止材料と、炭素とを含むチャージ原料をるつぼに封止するステップと、
前記るつぼを石英アンプルに封止するステップと、
前記種結晶の一部が融解するまで前記チャージ原料を徐々に融解するために多帯加熱システムを使用して前記アンプルを加熱することによって垂直勾配凍結結晶成長プロセスを実行するステップと、
前記るつぼに対して軸受台を移動するステップであって、前記システムが、前記多帯加熱システムの過熱および前記軸受台の移動を制御するように動作可能である、移動するステップと、
単結晶200mm(8インチ)GaAs基板を形成するために、前記部分的に融解された種からの成長中に前記多帯加熱システムの制御された冷却を実施するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
融体-結晶界面において1C/cmと8C/cmとの間の温度勾配を印加するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
凝固ガリウムヒ素結晶を形成するために、前記多帯加熱システムにおいて冷却速度を利用して前記融体に対して窪むように前記界面の形状を制御するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記界面の前記形状が、前記中心が前記基板の縁部よりも5~20mmだけ低くなるように、5~20mmの窪みである、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記軸受台を移動することが、前記るつぼを前記多帯加熱システムに対して移動する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記軸受台を移動することが、前記るつぼを前記多帯加熱システムに対して回転する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記軸受台を移動することが、前記るつぼを前記多帯加熱システムに対して垂直に移動する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
0.1~2.0度C/時の範囲になるように構成され得る前記冷却速度によって制御されるときに結晶化速度を制御するように前記多帯加熱システムまたは前記軸受台移動を制御するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
1つまたは複数の電子素子および/または光電子素子を前記基板の第1の表面に形成するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記電子素子または光電子素子は、発光ダイオード(LED)、レーザー、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、およびpseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)のうちの1つまたは複数である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記るつぼを前記石英アンプルに封止する前に前記るつぼを真空にするステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の300°Cに対して前記多帯加熱システムの異なる加熱帯のために0.5~5C/h、1~10C/h、および5~20C/hの速度で、その後、室温へ20~50C/hの速度で、凝固された前記チャージ原料を冷却するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照/参照による組み込み
[0001]本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2021年3月22日に出願された米国仮特許出願第63/164,378号に対する優先権およびその利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示の特定の実施形態は、半導体基板に関する。より詳しくは、本開示の特定の実施形態は、垂直勾配凍結200mm(8インチ)ガリウムヒ素(GaAs)基板のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]半導体基板、特にIII-V族半導体基板は、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザー、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、pseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)などの電子素子および光電子素子の製造において使用される。基板における欠陥は、歩留まりを下げ、コストを増加させ得る。
【0004】
[0004]そのようなシステムを、図面を参照した本願の以下の部分において記載されるような本開示と比較することによって、従来のアプローチや通常のアプローチのさらなる制約および欠点は当業者にとって明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]図のうちの少なくとも1つと関連して実質的に図示および/または説明されるような垂直勾配凍結200mm(8インチ)ガリウムヒ素(GaAs)基板のためのシステムおよび/または方法は、請求項においてより完全に記載される。
【0006】
[0006]本開示の様々な利点、態様および新規の特徴とともに、その例示される実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]本開示の例示的な実施形態による、垂直勾配凍結反応器を図示する図である。
【
図2】[0008]本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)GaAsインゴットおよびそのインゴットの先端面および末端面を示す図である。
【
図3A】[0009]本開示の実施形態にしたがって製造された200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハについてのエッチピット密度結果を示す図である。
【
図3B】本開示の実施形態にしたがって製造された200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハについてのエッチピット密度結果を示す図である。
【
図3C】本開示の実施形態にしたがって製造された200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハについてのエッチピット密度結果を示す図である。
【
図3D】本開示の実施形態にしたがって製造された200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハについてのエッチピット密度結果を示す図である。
【
図4A】[0010]本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
【
図4B】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
【
図4C】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
【
図4D】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
【
図4E】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
【
図4F】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
【
図5A】[0011]本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。
【
図5B】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。
【
図5C】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。
【
図5D】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。
【
図5E】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。
【
図5F】本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。
【
図6】[0012]
図1に示す垂直勾配凍結炉100を使用してGaAsウェーハを作製するための方法を図示する図である。
【
図7】[0013]本開示の例示的な実施形態による、低エッチピット密度の200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハに作製された装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0014]本開示の特定の態様は、垂直勾配凍結200mm(8インチ)ガリウムヒ素(GaAs)基板のための方法およびシステムに見出され得る。
【0009】
[0015]
図1は、本開示の例示的な実施形態による、垂直勾配凍結反応器を図示する図である。
図1を参照すると、アンプル110、加熱コイル120、るつぼ130、および軸受台140を備える垂直勾配凍結(VGF)システム100が示される。アンプル110内で、垂直構成において種結晶101および融液105を使用して、成長が進行可能であり、三酸化ホウ素B
2O
3層を融液105上の封止材料とした融液105の非常にゆるやかな冷却に起因して、固体103が発生する。るつぼ130は、例えば熱分解窒化ホウ素(PBN)を含んでもよく、処理中の融体および種材を含有し得る。
【0010】
[0016]VGFシステム100は、成長チャージ、加熱装置、絶縁、および軸受台140のための構成を備えており、加熱コイル120から結晶成長チャージにおける円錐、すなわち種101の高さより上への直接放射を含み、加熱コイル120におけるアンプル110の支持のための軸受台140も備え得る。さらに、絶縁は、成長中の内向きの放射状熱流束と、成長後プロセスおよび冷却中の熱除去とを促進するために、軸受台140内に配置され得る。成長アンプル110のための軸受台140は、中心を通る下向きの導電熱流路を提供するために、種結晶101を保持する種ポケットの下方に中空コアを備え得、加熱装置の底部までの石英ロッドの直径が大きいほど、さらに促進され、より安定した状態となる。軸受台140は、成長プロセスを促進するために垂直方向に移動するように動作可能でもよく、または固定高さのままであってもよい。加えて、軸受台140は、加熱中のさらなる熱均一性を実現するために回転し得る。
【0011】
[0017]VGFプロセスにおいて、アンプル110のるつぼ130における多結晶チャージである種101は、加熱コイル120によって示されるような多帯炉を用いて加熱され得る。例示的なシナリオでは、B2O3封止材料107は、より高い蒸気圧による結晶成長材料、特にヒ素の損失を低減するために、融体の上部上に配置され得る。結晶成長は種101へのチャージを融解することによって開始され、それにより、融体105を発生させ、種101における融体105を冷却する温度をゆっくりと低下させる。固体103を発生させる結晶化プロセスは、加熱コイル120の異なる部分に対して異なる電流を印加する、および/または軸受台140を垂直に移動するなど、炉の異なる帯において温度勾配を変化させることによって高精度に制御され得る。加えて、軸受台140は、加熱コイル120内のあらゆる熱的変動を平均するために、加熱および冷却中に回転し得る。それに応じて、加熱コイル120は、異なる温度、加熱速度/冷却速度、および空間温度プロファイルが可能である多帯加熱システムを備えてもよい。
【0012】
[0018]VGFプロセスは、液体封止チョクラルスキー(LEC)および水平ブリッジマン(HB)などの他のプロセスを上回るいくつかの利点を有する。第1に、結晶および融体の熱環境は放射状に対称的であり、半径方向で均一な界面および温度プロファイルの高精度の制御を可能とする。第2に、るつぼによって課された直径制御と組み合わせた低軸上温度勾配および放射状温度勾配における成長と、結晶を高速で凍結させるために大きい温度勾配を使用する必要がないこととは、結晶における、歪と、したがって転位とを顕著に減少させる。第3に、液固界面が融体を通って上向きに進行し、るつぼ130の底部の種101で結晶化が開始する。システム100は底部においてより低温でもよく、対流に対して熱的に安定化され得る。冷却プロセスにおいても、容易に調節可能な冷却は、結晶上での歪を最小限にする速度で結晶を室温とする。
【0013】
[0019]結晶成長前に、GaAs多結晶体は、複統合によって事前に作製され得る。この複統合プロセスは、例えばボート法を使用して石英反応管において実行され得る。多結晶GaAsが生成されると、VGF結晶成長が進行し得る。低エッチピット密度(EPD)を実現するため、いくつかのVGFパラメータが注意深く制御され得る。第1のパラメータは、融体に対して窪んでいるように、例えば、中心が200mm(8インチ)の直径の結晶の縁部よりも5~20mm低い5~20mmの窪みとなるように制御され得る融体/結晶界面109の形状を含み得る。これは、異なる時間的および/または空間的温度プロファイルを用いて制御され得る。
【0014】
[0020]第2に、冷却速度によって制御される場合の結晶化速度は、0.1~1.0度C/時の範囲となるように構成され得る。インゴットの異なる部分において異なる凝固速度が構成され得る。成長している結晶に沿った温度勾配は、ボウルにおいて応力を発生させ、先端部は早期に冷え、場合によっては、先端部は、末端部よりも100度以下だけ低温となり得るため、高精度な制御が望ましい。
【0015】
[0021]最後に、融体/結晶界面における温度勾配は、1~10度C/cmとなるように構成され得る。この場合も、多帯加熱によって、るつぼ130全体において温度の高精度な制御が可能となり得る。全体的な凝固の完了後、加熱温度は、異なる加熱帯において、それぞれ、約0.5~5度C/時、1~20度C/時、および5~20度C/時の速度で室温まで下げられ得る。このプロセスの結果として、円筒体部分を有する、少なくとも長さ約90mmの低転位200mm(8インチ)直径のGaAs単結晶が得られる。ここで説明するウェーハは、n型ドープであるが、p型および反絶縁ウェーハもまた上記プロセスによって可能である。このプロセスは200mm(8インチ)直径のインゴットについて説明しているが、同じプロセスが他の直径(例えば、200mm(8インチ)よりも小さい、またはそれよりも大きい直径)についても、異なる炉のサイズを用いて使用し得る。このプロセスの結果として生じる転位密度は、
図3A~
図3Dに示すように、1000cm
-2未満、500cm
-2未満、200cm
-2未満、100cm
-2未満、さらに30cm
-2未満である。
【0016】
[0022]
図1に示す炉の設計において、軸受台140のために特定の材料組み合わせが選択されてもよく、それによって結晶アンプル110は、所望の成長位置に結晶を作るために、成長のための要件に応じて炉における位置を調節できる。軸受台は垂直に移動し得、それにより、垂直ブリッジマン(VB)法による結晶の成長を可能にし、また、VGFシステム100における熱均一性を改善するように回転し得る。軸受台140および加熱コイル120は、縦方向に沿った高品質結晶の成長を可能にする。一例では、結晶装填重量は、20kgよりも大きい場合があり、実効200mm(8インチ)結晶長さは、90mm以上の場合がある。この炉のレイアウトは、アンプル110内部の適切な圧力を維持するために、成長および冷却中の伝熱および温度勾配を正確に構成するVGFプロセスを可能にする
[0023]ここで開示されるVGFプロセスは、成長中に維持され得る低温度勾配に起因する低欠陥密度の結晶を可能にする。ただし、低勾配の場合でも、成長プロセス全体を通した継続的な結晶成長を維持するために特定の温度勾配が固液界面109において必要とされ、溶融温度は、アンプル110内での高圧力をもたらす程度に高くてもよい。これらのより高い圧力は、インゴットの直径が増加するにつれて好ましくなくなる場合があり、アンプル110自体の変形を引き起こし、それによって結果として化学量論からの潜在的な偏差、ならびに結晶、るつぼおよび/またはアンプルの破損をもたらし得る。これらの問題を避けるため、アンプル110/るつぼ130の側部および上部からの熱入力を用いた、多帯加熱構成が利用され得、例示的な加熱帯を
図1に破線で示す。このようにして、高品質の単結晶成長のために適切な温度勾配が成長界面109で維持され得るが、依然として、アンプル変形およびその結果生じる問題を低減および/または無くす程度に低い溶融温度を維持する。加えて、軸受台140は、効果的な軸方向伝熱を可能にし、それにより、より大きい直径での単結晶成長を容易にする。
【0017】
[0024]
図2は、本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)GaAsインゴットおよびそのインゴットの先端面および末端面を示す図である。上の画像を参照すると、200mm(8インチ)GaAsインゴットまたはブールは、90mmより大きい長さを有して示されており、一方、下の画像は、それぞれ、インゴットの未研磨の先端面および末端面を示しており、直径の不均一性、ならびにその長さのインゴットの場合の双晶境界または結晶粒界などの巨視的欠陥を示している。軸受台140の垂直移動がある場合、炉の設計は「VB様」となり得、低EPDを伴うより長い結晶が可能となり、移動とVB様構成によっても、結晶は、成長中の温度プロファイル、勾配、およびランプ速度の適切な設計によってより低いEPDを有し得る。
【0018】
[0025]軸受台140は、垂直方向において上下に移動し得る。最初に、アンプルが設置されると、加熱帯におけるアンプルの位置は任意のタイミングで調節され得、それによって結晶が最良の温度場位置にある。したがって、このVGF+VBの組み合わせ方法は、より長い結晶の成長を可能にする。静止したるつぼ130/アンプル110と比較すると、このアプローチは必ずしもより高いEPDにつながらない。このVB+VGFは、高品質、低転位、大きいサイズのGaAs結晶を成長させるための優れた方法を提供する。
【0019】
[0026]
図3A~
図3Dは、本開示の実施形態にしたがって製造された200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハについてのエッチピット密度結果を示す図である。EPD測定は、SEMI M36-0699およびASTM試験方法F140-92にしたがって行われ得る。
図3Aは、第1の200mm(8インチ)インゴットからの先端および末端ウェーハについてのEPD結果を示し、EPDレベルは測定時で69点(各点は0.024cm
2の面積を有する)であり、結果は、結晶種(先端部)および末端部についてのものである。このインゴットについて、ウェーハは、平均EPDとして、インゴットの先端部で1288cm
-2、末端部で71cm
-2を示している。これは、既存のGaAs基板を超える顕著な改善である。
【0020】
[0027]
図3Bは、第2のインゴットからの先端および末端ウェーハについてのEPD結果を示しており、先端部において289cm
-2のEPD、および末端部において100cm
-2のEPDであり、非常に高品質の200mm(8インチ)GaAs基板を示している。
図3Bのウェーハについてのホール測定は、結果として、先端部において3×10
17cm
-3から末端部において4×10
18cm
-3の範囲のキャリア濃度となり、比抵抗は、先端部において5×10
-3Ω-cmから末端部において2×10
-3Ω-cmの範囲となった。最後に、ホール移動度は、先端部において3000cm
2/V秒から末端部において2000cm
2/V秒の範囲であった。
【0021】
[0028]
図3Cは、末端ウェーハ(第3のブールのNo.47)についてのEPD結果を示しており、平均EPDは28cm
-2で、最大EPDは250cm
-2である。このブールの非接触電気測定は、先端部において6×10
17cm
-3から末端部において1.8×10
18cm
-3の範囲のキャリア濃度で、比抵抗は、先端部において3.4×10
-3Ω-cmから末端部において1.7×10
-3Ω-cmの範囲であった。最後に、ホール移動度は、先端部において2600cm
2/V秒から末端部において2000cm
2/V秒の範囲であった。
【0022】
[0029]
図3Dは、
図3C(第3のブールのNo.47)のウェーハのnSpec測定ツールからのEPD分布および画像を示しており、EPDは112cm
-2で、零EPDを有するウェーハの割合は、約50%であり、<1000cm
-2の面積の割合は97%であった。
図3Dの右側の画像は、ウェーハの光学画像を示す。nSpecツールは、69点測定である
図3CのEPD分布とは対照的に、ウェーハの全面を測定する。
【0023】
[0030]
図4A~
図4Fは、本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
図4A~
図4Fを参照すると、200mm(8インチ)直径GaAsブールに沿った異なるウェーハについての発光強度分布が示されており、そのブールのウェーハ1、30、35、40、45、および47についての結果を示している。
【0024】
[0031]ブールの最初の約10のウェーハにおいて、より高い強度の信号が、ウェーハ周囲の3:00、6:00、9:00、および12:00の位置に沿って配置された4つの領域で明らかである。この強度の増加は、ブールの先端部におけるそれらの領域での転位に関係し得る。強度変動の標準偏差は先端部において約20%であるが、ウェーハを越えると約15~20%であり、強度変動は約4%に減少にされる。
【0025】
[0032]
図5A~
図5Fは、本開示の例示的な実施形態による、200mm(8インチ)ガリウムヒ素基板の比抵抗分布を示す図である。mΩ-cmの比抵抗を有する分布において高い値および低い値が含まれ、各ウェーハ標準偏差にわたる比抵抗変動は、各分布の下に示されている。
【0026】
[0033]
図5A~
図5Cは、ブールからの3つの200mm(8インチ)GaAsウェーハについての比抵抗プロットを示しており、それらのプロットは、
図4A~
図4Jの発光強度結果に類似して、先端ウェーハについて、ウェーハ周囲の3:00、6:00、9:00、および12:00位置でより高い比抵抗を示している。発光強度のように、比抵抗変動は、ブールの末端部に向かって減少し、ウェーハ5において12%変動または3.4~6.5mΩ-cm、ウェーハ70において3%変動または2.1~2.5mΩ-cmを有する。
【0027】
[0034]
図5D~
図5Fは、別のブールからの3つの200mm(8インチ)ウェーハについての比抵抗を示しており、この場合も、比抵抗変動が、ブールの末端により近いウェーハについて減少している。先端部において2.7~3.7mΩ-cm、および末端部において1.7~1.9mΩ-cmの範囲の分布において高い値および低い値が示されており、ウェーハ1についての9%からウェーハ47についての3.6%の範囲で、各々が下に示されている変動標準偏差に対応する。
【0028】
[0035]
図6は、
図1に示す垂直勾配凍結炉100を使用してGaAsウェーハを作製するための方法を図示する図である。このプロセスによって、結果的に、1000cm
-2未満、500cm
-2未満、100cm
-2未満、および30cm
-2未満のエッチピット密度という平均エッチピット密度を伴う200mm(8インチ)GaAs基板が得られる。このプロセスは、さらに、リン化インジウム(InP)、ガリウムリン(GaP)、または他の関連のIII-V化合物半導体を作製するために使用され得る。
【0029】
[0036]ステップ601で、原料ヒ素(As)、ガリウム(Ga)およびドーパントが得られることができ、ドープまたは非ドープの多結晶GaAsを生成するために、複統合のための石英管におけるボートに配置される前に、その原料に対して試験が実行され得る。いくつかの例では、ドーパントは、ケイ素である。いくつかの例では、ドーパントは、1つまたは複数の種類のドーパントを含む。いくつかの例では、ドーパントは任意選択的である。次いで、種結晶、適切な量のB2O3封止材料、適切な量のドーパントとともに、るつぼにおける複統合によって事前に作製された多結晶GaAsを配置し、真空化し、融解石英アンプルの内部にるつぼを封止することによってチャージが調製される。
【0030】
[0037]GaAsチャージが生成されると、ステップ603において垂直勾配凍結(VGF)結晶成長が発生し、るつぼを備えるアンプルが制御されるやり方で多帯加熱システム内において加熱されて、種結晶の一部分が溶解されるまで、任意のドーパントを含有する多結晶チャージ材料を上から下へ徐々に溶解する。多帯加熱装置の制御された冷却を実施することによって、部分的に融解された種からの成長が開始され得る。時間的および空間的温度プロファイルは、低EPDの200mm(8インチ)以上の直径の結晶をもたらすように厳密に制御される。
【0031】
[0038]低EPDを実現するため、いくつかのVGFパラメータが注意深く制御される。第1のパラメータは、融体に対して窪んでいるように、例えば、中心が200mm(8インチ)の直径の凝固結晶の縁部よりも5~15mm低い5~15mmの窪みとなるように制御され得る融体/結晶界面の形状を含み得る。これは、異なる時間的および/または空間的温度プロファイルを用いて制御され得る。第2に、冷却速度によって制御されるときの結晶化速度は、インゴットの異なる部分について0.1~2度C/時の範囲になり、一方で融体-結晶界面においての1C/cmと8C/cmとの間の温度勾配を印加するように構成され得る。界面形状は、多帯加熱システムにおいて適切な冷却速度を使用することによって、融体に対してわずかに窪むように制御され得る。インゴットの異なる部分において異なる凝固速度が構成され得る。最後に、融体/結晶界面における温度勾配は、4~8度C/cmとなるように構成され得る。チャージ材料の凝固の完了後に、第1の300Cに対して異なる加熱帯について0.5~5C/h、1~10C/h、および5~20C/h、その後室温まで20~50C/hの適切な冷却速度の制御された冷却を印加すると、結果として非常に低欠陥密度の結晶が得られる。
【0032】
[0039]ステップ605でVGF結晶が成長すると(さらに、任意で試験が行われると)、インゴット成形プロセスが実行されてもよく、その結果として、例えば所望の平部を有する丸みを帯びたインゴットが得られ、さらに試験され得る。インゴットが成形されると、インゴットは、ステップ607でウェーハにスライスされ、それらのウェーハは、任意で試験され得る。
【0033】
[0040]低EPDのウェーハがインゴットからスライスされると、それらのウェーハは、ウェーハ処理ステップ609に進んでもよい。任意のウェーハアニーリングプロセスが実行されてもよい。例示的なアニーリングプロセスにおいて、1つまたは複数のアニーリング段階が使用されてもよく、その場合、ウェーハは、水平な石英ボートに垂直に装填され、ヒ素塊とともに水平な石英アンプルに挿入されてもよい。ヒ素塊は、GaAs基板からの何らかのヒ素解離を回避するために、アニーリング温度において必要な蒸気圧を実現するように構成され得る。次いで、アンプルは、高真空レベル(<5E-3トル)まで加圧され、封止される。アンプルとその内容物は、その後、例えば水平3帯炉に挿入されてもよく、所望の設定(プラットフォーム)温度までのアンプルおよびその内容物の加熱が開始される。
【0034】
[0041]構造的および電気的品質を確実にするために、そのウェーハに対して試験が行われてもよい。例示的なシナリオでは、構造的品質は、x線特性化およびエッチピット密度測定によって評価され得、x線透過測定は、すべり転位の存在を評価するために利用され得る。1000cm-2未満、500cm-2未満、200cm-2未満、100cm-2未満、さらには30cm-2未満のエッチピット密度という平均転位エッチピット密度(EPD)は、結果として、上述したプロセスを使用して、200mm(8インチ)GaAs基板をもたらし得る。構造的および電気的品質はまた、光ルミネセンス測定およびホール測定によって評価され得る。
【0035】
[0042]低EPDウェーハのアニーリング、さらに任意で試験が行われると、低EPDウェーハを研磨するウェーハ研磨プロセスが実行されてもよく、研磨されたウェーハは任意で再度試験され得る。ウェーハが研磨されると、洗浄されてもよく、その後、ステップ611に進み、それらは顧客への出荷のために梱包され得る。上記のプロセスは、リン化インジウム(InP)または他の化合物半導体ウェーハを生成するためにも使用され得る。このプロセスの結果として、低EPD200mm(8インチ)GaAsウェーハが作製される。
【0036】
[0043]
図7は、本開示の例示的な実施形態による、低エッチピット密度の200mm(8インチ)ガリウムヒ素ウェーハに作製された装置を示す図である。
図7を参照すると、上述したプロセスを使用して製造され、さらにダイ703上の電気素子および/または光電子素子を用いて処理される200mm(8インチ)のGaAsウェーハ701が示される。さらに、例えば、結晶面を示すためにウェーハ作製中に形成され得る平部705が示される。別の例示的なシナリオにおいて、平部の代わりに、切り欠きが利用され得る。ウェーハ701上のダイ703の数は、各ダイの面積によって規定されることが可能であり、
図7に示されるサイズは一例にすぎない。
【0037】
[0044]加えて、ダイ703は、端面発光レーザー、垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)、マイクロLEDを含む発光ダイオード(LED)、および光検出器などの光電子素子を含み得、いくつかのシナリオでは、ウェーハ701を介して光信号を伝送することが望ましい。例えば、検出器または面発光レーザーのアレイは、ウェーハ701上に形成されてもよく、光信号は、ウェーハ701を介して受信および/または送信されるが、読み出し回路または制御回路が、それらの装置上に配置されてもよい。
【0038】
[0045]上述したプロセスは、例えば光電子用途のために、ケイ素ドープ基板などのドープ基板を作製するために利用され得る。例えばケイ素は、結晶成長中に取り込まれ得るが、他のドーパントも可能である。基板における転位は、上記で示したように、電流が欠陥のサイズを増加させることができ、欠陥が発光に影響し得るため、装置の信頼性を低下させる場合がある。マイクロLEDなどのより小さい装置が基板上で作製される場合、欠陥は、装置のより大きい面積が、不利益なことに、ここで開示される低EPD結晶の利点を示す性能に影響を及ぼすことを含み得る。
【0039】
[0046]加えて、上記プロセスは、半絶縁または低ドープ基板を生成するためにも使用され得る。半絶縁GaAs基板は、導電性基板が損失および寄生容量を引き起こし得る場合、基板の高比抵抗に起因して高速の電子装置を可能にする。例示的な装置は、pseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)およびヘテロ接合バイポーラトランジスタを含む。
【0040】
[0047]本開示の実施形態において、ケイ素ドーパント(および/または他の適したドーパント)による低エッチピット密度ガリウムヒ素結晶のためのウェーハは、1000cm-2未満、500cm-2未満、200cm-2未満、100cm-2未満、さらには30cm-2未満のエッチピット密度を有するガリウムヒ素単結晶ウェーハを含み得る。ウェーハは、200mm(8インチ)以上の直径を有し得る。このウェーハは、3×1017~4×1018cm-3の範囲のドーパント濃度を有し得る。ウェーハは、500μm以上の厚さを有し得る。光ルミネセンス測定は、結果として、5%未満のピーク強度標準偏差をもたらし得る。
【0041】
[0048]本開示の他の実施形態では、低エッチピット密度ガリウムヒ素結晶のための方法は、多結晶ガリウムヒ素種結晶と、B2O3封止材料と、炭素を含むチャージ原料をるつぼに封止するステップと、るつぼを石英アンプルに封止するステップと、種結晶の一部分が融解するまでチャージ原料を徐々に融解するために多帯加熱システムを使用してアンプルを加熱することによって垂直勾配凍結結晶成長プロセスを実行するステップと、多帯加熱システムの制御された冷却を実施することによって、部分的に融解された種からの成長を開始するステップと、融体-結晶界面において1C/cmと8C/cmとの間の温度勾配を印加するステップと、凝固ガリウムヒ素結晶を形成するために、多帯加熱システムにおいて冷却速度を利用して融体に対して窪むように界面の形状を制御するステップとを含み得る。
【0042】
[0049]0.1~2C/hの速度で多帯加熱システムの冷却が構成され得る。るつぼを石英アンプルに封止する前にるつぼが真空にされ得る。第1の300Cに対して異なる加熱帯のために0.5~5C/h、1~10C/h、および5~20C/hの速度で、その後、室温へ20~50C/hの速度で、凝固されたチャージ材料が冷却され得る。融体に対して窪むように界面形状が制御されてもよく、中心は凝固結晶の縁部よりも5~15mm以下だけ低い。凝固結晶は、200mm(8インチ)以上の直径を有してもよく、1000cm-2未満、500cm-2未満、200cm-2未満、100cm-2未満、さらには30cm-2未満のエッチピット密度を有してもよい。ウェーハは、200mm(8インチ)以上の直径を有し得る。このウェーハは、3×1017~4×1018cm-3の範囲のドーパント濃度を有し得る。ウェーハは、500μm以上の厚さを有し得る。光ルミネセンス測定は、結果として、5%未満のピーク強度標準偏差をもたらし得る。
【0043】
[0050]開示される例では、ケイ素をドーパントとして有するガリウムヒ素(GaAs)200mm(8インチ)基板を形成するための垂直勾配凍結システムであって、このシステムは、形成プロセス中にGaAs融液および種材料を含むためのるつぼと、複数の加熱帯に配置される1つまたは複数の加熱コイルと、るつぼに対して移動する軸受台とを含み、システムは、単結晶GaAs基板を形成するために複数の加熱帯の加熱および軸受台の移動を制御するように動作可能である。
【0044】
[0051]いくつかの例では、アンプルは、るつぼを支持する。例では、軸受台は、るつぼを加熱コイルに対して移動するように動作可能である。例では、軸受台は、加熱コイルに対して回転するように動作可能である。例では、軸受台は、加熱コイルに対して垂直に移動するように動作可能である。
【0045】
[0052]いくつかの例では、加熱コイルは活性化するように動作可能であり、または軸受台は、低エッチピット密度(EPD)を達成するためにGaAs融液と結晶との間の界面の形状を制御するように移動するように動作可能である。例では、形状はGaAs融液に対して窪んでいる。例では、界面の形状は、中心が基板の縁部よりも5~20mmだけ低くなるように、5~20mmの窪みである。
【0046】
[0053]いくつかの例では、三酸化ホウ素B2O3層は、結晶成長材料の損失を低減するために、GaAs融液上に封止材料として配置される。例では、加熱コイルは活性化するように動作可能であり、または軸受台は、0.1~1.0度C/時の範囲になるように構成され得る冷却速度によって制御されるときに結晶化速度を制御するように移動するように動作可能である。
【0047】
[0054]いくつかの例では、加熱コイルは活性化するように動作可能であり、または軸受台は、1~10度C/cmとなるように構成され得るGaAs融液/結晶界面における温度勾配を制御するように移動するように動作可能である。
【0048】
[0055]例では、絶縁は、成長中の内向きの放射状熱流束、または成長後プロセスおよび冷却中の熱除去を促進するために、軸受台上またはその内部に配置され得る。
【0049】
[0056]いくつかの例では、1つまたは複数の電子素子または光電子素子が表面の第1の表面上に形成される。例では、電子素子または光電子素子は、発光ダイオード(LED)、レーザー、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、およびpseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)のうちの1つまたは複数である。例では、基板の第1の側部上の電子素子または光電子素子のうちの光電子素子からの光信号が第1の側部とは反対側の基板の第2の側部に伝送されるように、基板は、複数のダイに切り離される。
【0050】
[0057]いくつかの例では、基板は、200cm-2未満のエッチピット密度を有する。例では、基板は、1×1019cm-3以上のドーパント濃度を有する。例では、基板は、300μm以上の厚さを有する。
【0051】
[0058]いくつかの開示される例では、単結晶ガリウムヒ素基板を形成する方法であって、方法は、多結晶ガリウムヒ素(GaAs)種結晶と、B2O3封止材料と、炭素とを含むチャージ原料をるつぼに封止するステップと、るつぼを石英アンプルに封止するステップと、種結晶の一部分が融解するまでチャージ原料を徐々に融解するために多帯加熱システムを使用してアンプルを加熱することによって垂直勾配凍結結晶成長プロセスを実行するステップと、るつぼに対して軸受台を移動するステップであって、システムが、多帯加熱システムの加熱および軸受台の移動を制御するように動作可能である、移動するステップと、単結晶GaAs基板200mm(8インチ)を形成するために部分的に溶解された種からの成長中に多帯加熱システムの制御された冷却を実施するステップとを含む。
【0052】
[0059]いくつかの例では、上記方法は、融体-結晶界面において1C/cmと8C/cmとの間の温度勾配を印加することをさらに含む。
【0053】
[0060]いくつかの例では、方法は、凝固ガリウムヒ素結晶を形成するために、多帯加熱システムにおいて冷却速度を利用して融体に対して窪むように界面の形状を制御することをさらに含む。いくつかの例では、界面の形状は、中心が基板の縁部よりも5~20mmだけ低くなるように、5~20mmの窪みである。
【0054】
[0061]いくつかの例では、軸受台を移動することは、多帯加熱システムに対してるつぼを移動することを含む。いくつかの例では、軸受台を移動することは、多帯加熱システムに対してるつぼを回転させることを含む。いくつかの例では、軸受台を移動することは、多帯加熱システムに対してるつぼを垂直に移動することを含む。
【0055】
[0062]いくつかの例では、上記方法は、0.1~2.0度C/時の範囲になるように構成され得る冷却速度によって制御されるときに結晶化速度を制御するように多帯加熱システムまたは軸受台移動を制御することをさらに含む。
【0056】
[0063]いくつかの例では、方法は、基板の第1の表面上に1つまたは複数の電子素子または光電子素子を形成することをさらに含む。いくつかの例では、電子素子または光電子素子は、発光ダイオード(LED)、レーザー、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、およびpseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)のうちの1つまたは複数である。
【0057】
[0064]いくつかの例では、上記方法は、石英アンプル内に封止する前にるつぼを真空化することをさらに含む。例では、方法は、第1の300Cに対して多帯加熱システムの異なる加熱帯のために0.5~5C/h、1~10C/h、および5~20C/hの速度で、その後、室温へ20~50C/hの速度で、凝固されたチャージ原料を冷却することをさらに含む。
【0058】
[0065]本発明は特定の実施形態を参照して説明されたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、等価物が置き換えられてもよいことが当業者によって理解されるであろう。さらに、その範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況または材料を適応するために、多くの修正が行われ得る。したがって、本開示は開示された特定の実施形態に限定されず、本開示は添付の特許請求の範囲内にある全実施形態を含むことが意図される。
【国際調査報告】