(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリエステルから誘導されるアセトアセテート末端封鎖ポリオールを利用するコーティング、接着剤及びエラストマー
(51)【国際特許分類】
C08G 63/16 20060101AFI20240305BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20240305BHJP
C09D 167/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C08G63/16
C09J167/00
C09D167/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558442
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022057610
(87)【国際公開番号】W WO2022200415
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523354897
【氏名又は名称】エクウス ユーケイ トプコ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホンクープ、ヴィルヘルムス アドリアヌス ヤコブス
【テーマコード(参考)】
4J029
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J029AA01
4J029AB01
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4J038CG001
4J038DD001
4J038JA35
4J038MA14
4J040DF001
4J040ED001
4J040HB22
4J040LA01
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性ポリエステルから誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基を含むアセトアセテート末端封鎖ポリオール、末端封鎖ポリオールを含むポリマー、及びかかる末端封鎖ポリオール含有材料の使用に関する。本発明はまた、熱可塑性ポリエステルから誘導されたポリオールの少なくとも1つの残基を含むアセトアセテート末端封鎖ポリオールを含むポリマー組成物の作製方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されたポリオールの少なくとも1つの残基を含む、アセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項2】
a)二量体脂肪酸残基、二量体脂肪ジオール残基、及び二量体脂肪ジアミン残基から選択される、少なくとも1つの二量体脂肪残基、
並びに/又は
b)直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも1つの残基を更に含む、請求項1に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項3】
b)直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも1つの残基を含む、請求項1又は2に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項4】
前記ポリオール中のa)対b)の重量比が、100:0~0:100の範囲内、好ましくは、45:55~15:85の範囲内にあり得る、請求項2又は3に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項5】
少なくとも500の分子量(数平均)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項6】
最大5000の分子量(数平均)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項7】
前記アセトアセテート末端封鎖ポリオールのアセトアセテート末端封鎖成分が、以下のうちの1つ以上:メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、tert-ブチルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、イソブチルアセトアセテート、及びケテン誘導体から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。好ましくは、前記アセトアセテート末端封鎖が、メチルアセトアセテートである。
【請求項8】
少なくとも10重量%のアセトアセテート末端封鎖を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項9】
最大95重量%のアセトアセテート末端封鎖を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項10】
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されたポリオールの前記少なくとも1つの残基が、ポリエチレンテレフタレートから誘導される、請求項1~9のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項11】
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されたポリオールの前記少なくとも1つの残基が、前記リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、リサイクルされたポリエチレンテレフタレート(rPET)、未使用のPET、及びこれらの混合物から誘導される、請求項9に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項12】
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されたポリオールの前記少なくとも1つの残基が、リサイクルされたプロピレングリコールの存在下で消化されたrPETから生成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項13】
少なくとも5重量%の二量体脂肪残基、好ましくは、少なくとも10重量%の二量体脂肪残基を含む、請求項2~12のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項14】
最大90重量%の二量体脂肪残基を含む、請求項2~13のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項15】
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、又はエライジン酸の前記二量体化生成物から誘導される、二量体脂肪酸残基から選択される少なくとも1つの二量体脂肪残基を含む、請求項2~14のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項16】
前記末端封鎖ポリオール中の成分b)の量が、少なくとも0.10重量%、好ましくは、少なくとも0.15重量%、より好ましくは、少なくとも0.20重量%である、請求項2~15のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項17】
成分b)が、4~12個の炭素原子の範囲内の炭素鎖を有する直鎖ジカルボン酸の少なくとも1つの残基を含む、請求項2~16のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項18】
成分b)が、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、及びドデカンジカルボン酸から誘導された直鎖ジカルボン酸の少なくとも1つの残基を含む、請求項17に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項19】
成分b)が、アゼライン酸から誘導された直鎖ジカルボン酸の少なくとも1つの残基を含む、請求項18に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオール。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオールを含む、ポリマー組成物。
【請求項21】
再生可能な及び/又はバイオベースの供給源から誘導される、請求項20に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
ASTM D6866を使用して判定されるとき、少なくとも50%の再生可能な炭素含有量を有する、請求項20又は21に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
前記ポリマー組成物が、イソシアネートを含有しない、請求項20~22のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
前記ポリマー組成物が、前記アセトアセテート末端封鎖ポリオール及びアクリレートを含む、請求項20~22のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
前記アクリレートが、1つ以上のアクリレート、多官能性アクリレート、オリゴマーアクリレート又はこれらの誘導体から選択され得る、請求項24に記載のポリマー組成物。
【請求項26】
前記ポリマー組成物が、発泡剤、触媒、顔料、充填剤、界面活性剤、及び安定剤から選択される1つ以上の他の添加剤を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
前記ポリマー組成物が、鎖延長剤成分を含む、請求項20~26のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
前記鎖延長剤対前記アセトアセテート末端封鎖ポリオールのモル比が、1~10:1、より好ましくは、1.5~8:1、特に、2~5:1、及び具体的には、2.5~4:1の範囲内にある、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
ポリマー組成物を作製する方法であって、請求項1~19のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオールをアクリレートと反応させて、
(i)ポリマー樹脂、又は
(ii)ポリマーマトリックスを形成することを含む、方法。
【請求項30】
i)ポリマー樹脂を形成する工程と、次いで、続いて前記予備形成された樹脂からii)ポリマーマトリックスを形成する工程と、を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アセトアセテート末端封鎖ポリオール対アクリレート反応物のモル比が、1:0.2~4、好ましくは、1:0.25~3、より好ましくは、1:0.25~2.5、及び最も好ましくは、1:0.25~1.8の範囲内にある、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマー組成物を作製する前記方法において、(ii)ポリマーマトリックスが、前記ポリマー鎖を架橋する工程を含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記架橋が、フリーラジカル重合を介して、又はマイケル付加反応を介して達成される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
フリーラジカル重合を介する、又はマイケル付加反応を介する架橋が、0℃~120℃の温度、好ましくは、15℃~60℃の温度、より好ましくは、20℃~25℃の温度で達成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ポリマー組成物を形成するための、請求項1~19のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオールの使用。
【請求項36】
コーティング組成物、接着剤組成物、シーラント組成物、又はエラストマー組成物における、請求項1~19のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオールの使用。
【請求項37】
請求項1~19のいずれか一項に記載のアセトアセテート末端封鎖ポリオールを含む、コーティング組成物、接着剤組成物、シーラント組成物、又はエラストマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリエステルから誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基を含むアセトアセテート末端封鎖ポリオール、末端封鎖ポリオールを含むポリマー、及びかかる末端封鎖ポリオール含有材料の使用に関する。本発明はまた、アセトアセテート末端封鎖ポリオールを含むポリマー組成物を作製する方法に関する。具体的には、ポリマー組成物を作製する方法は、有利には、C-マイケル付加反応を利用し得、その使用は、末端封鎖ポリオールの組成物によって促進される。
【0002】
本発明のアセトアセテート末端封鎖ポリオールは、遊離イソシアネートから調製されるポリウレタンの代替物を作製する際に使用され得る。ポリウレタンは、極めて多用途の材料であり、発泡絶縁体、自動車シート、塗料コーティング、接着剤、シーラント、チューブ類及び配線、エラストマー、並びに耐摩耗性コーティングなどの多種多様な用途において使用されている。ポリウレタンは、保護コーティング(例えば、木材、金属、又はプラスチックに適用される)、剛性基材(例えば、複合材、金属)用接着剤、可撓性基材(織物、プラスチックフィルム)用接着剤、耐湿性を必要とする用途(例えば、屋外使用のための製品、又は、例えば、電子デバイスにおける製品封止)、並びに強靭かつ耐摩耗性のエラストマーにおいて使用され得る。
【0003】
ポリウレタンはまた、多種多様な形態、例えば、エラストマーなどの非多孔質材料、並びに低密度可撓性発砲体、高密度可撓性発泡体、及び微孔質発泡体などの多孔質材料において使用される。
【0004】
ポリウレタンはまた、分散形態及び非分散形態の両方において、接着剤、例えば、ホットメルト接着剤、湿気硬化型接着剤及び2成分反応性接着剤における使途を見出すことが知られている。かかる接着剤は、例えば、家具産業における使途を見出す。
【0005】
ポリウレタンは、鋳型熱硬化性形態及び熱可塑性形態の両方において、複合材における使途を見出すことが知られている。例えば、ポリウレタンは、プレマトリックス、繊維含浸樹脂として、及び炭素、ガラス、又はポリエステルなどの繊維で強化された複合材のバインダ樹脂として、使用され得る。
【0006】
ポリウレタンエラストマーは、配線、チューブ類、ベルト類、スポーツウェア(例えば、スポーツシューズ、ゴーグル、スキーブーツ)、フィルム/シート、自動車内装品(例えば、グリップ、アームレスト、コンソール)、及び多くの他の用途において使用され得る。
【0007】
典型的には、ポリウレタン樹脂(及び後続の対応する硬化ポリウレタンポリマーマトリックス生成物)は、イソシアネートをポリオールと反応させることによって作製され得る。イソシアネートから調製されたかかるポリウレタンは、それらの利点を有するが、イソシアネートの使用及び取り扱いと関連付けられた安全性、環境及び健康要因を考慮するとき、制限をもたらす。かかるポリウレタン中に存在するポリイソシアネート硬化剤中のモノマーイソシアネートの毒性プロファイルは、近年調査の対象になっており、法律によって推進される変化は、ポリウレタン製造業を、新しいポリマー樹脂及びマトリックス、特に、イソシアネートの存在を必要としないが、その意図された最終使途のためのポリマーの性能が損なわれない新しいポリマー樹脂及びマトリックスを探すように導いた。このため、有益なポリウレタンの機械的及び化学的特性を提供するが、イソシアネートを使用しないポリマーを生成するための新しい技術が求められている。かかる新しい技術は、より持続可能であると考えられる。
【0008】
マイケル付加(又はマイケル反応)化学は、有用なポリマーがイソシアネートの不在下で調製され得る代替的な持続可能なプロセスを提供すると考えられる。マイケル付加化学が研究され、いくつかの用途において使用されている(Noomen,A.,Prog.Org.Coat,32,137-142(1997))。
【0009】
マイケル付加系の重要な化学成分は、電子不足C=C二重結合、酸性C-H結合、及びC=C二重結合に付加することができる求核性カルバニオンを提供するこのC-H結合のプロトンを引き抜くのに十分強力な塩基触媒である。このように、炭素-炭素結合は、提供された求核性カルバニオンの反応を介して、2つの分子間に形成される。ドナー分子の第2のプロトンは、同様の後続の反応に利用可能である。
【0010】
【0011】
本発明は、イソシアネート誘導ポリウレタンと関連する問題を克服することができるように、ポリマー組成物において有用性を見出し得る、改善されたポリオールを提供しようとするものである。
【0012】
したがって、本発明は、アセトアセテート末端封鎖ポリオールを提供し、
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル及びこれらの混合物から誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基と、任意選択的に、
a)二量体脂肪酸残基、二量体脂肪ジオール残基及び二量体脂肪ジアミン残基から選択される少なくとも1つの二量体脂肪残基、並びに
b)直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも1つの残基、のうちの1つ以上と、を含む。
【0013】
代替的な実施形態では、本発明は、当該アセトアセテート末端封鎖ポリオールを含むポリマー組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、当該アセトアセテート末端封鎖ポリオールをアクリレートと反応させて、
(i)ポリマー樹脂、又は
(ii)ポリマーマトリックスを形成することを含むポリマー組成物を作製する方法を提供する。
【0015】
本発明は、ポリマー組成物を形成するための、第1の態様のポリオールの使用を更に提供する。
【0016】
追加的に、本発明は、当該アセトアセテート末端封鎖ポリオール又は当該アセトアセテート末端封鎖ポリオールを含む当該ポリマー組成物を含むコーティングを提供する。
【0017】
本明細書において記載されるいかなる上限若しくは下限の量又は範囲の限界も、独立して組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【0018】
置換基中の炭素原子の数(例えば、「C1~C6」)を説明するとき、その数は、任意の分岐基中に存在する任意のものを含む、置換基中に存在する炭素原子の総数を指すことが、当業者によって理解されるであろう。追加的に、例えば、脂肪酸中の炭素原子の数を説明するとき、これは、カルボン酸における炭素原子、及び任意の分岐基中に存在する任意の炭素原子を含む炭素原子の総数を指す。
【0019】
本発明のポリオール又はポリマー組成物を生成するために使用され得る化学物質の多くは、天然源から得られる。かかる化学物質は、典型的には、それらの天然起源に起因する化学種の混合物を含む。かかる混合物の存在に起因して、本明細書において定義される様々なパラメータは、平均値であり得、非整数であり得る。
【0020】
「ポリオール」という用語は、当該技術分野において周知であり、2つ以上のヒドロキシル基を含む分子を指す。
【0021】
本明細書において使用される際、「ポリエステル」という用語は、2つ以上のエステル結合を有する分子又は基を指す。
【0022】
本明細書において使用される際、「二量体脂肪残基」という用語は、別段の定義がない限り、二量体脂肪酸(二量体脂肪二酸とも称される)の残基、又は二量体脂肪ジオール若しくは二量体脂肪ジアミンなどの二量体脂肪酸誘導体の残基を指す。
【0023】
分子又は分子の一部に関して本明細書において使用される際、「官能価」という用語は、その分子又は分子の一部における官能基の数を指す。「官能基」は、化学反応に関与し得る分子中の基を指す。例えば、カルボン酸基、ヒドロキシル基及びアミン基は、全て官能基の例である。例えば、二酸(2つのカルボン酸基を有する)及びジオール(2つのヒドロキシル基を有する)は、両方とも2の官能価を有し、三酸及びトリオールは、両方とも3の官能価を有する。
【0024】
「二量体脂肪酸」(二量体脂肪二酸とも称される)という用語は、当該技術分野において周知であり、モノ若しくはポリ不飽和脂肪酸及び/又はそのエステルの二量化生成物を指す。関連する用語である三量体脂肪酸は、同様に、モノ若しくはポリ不飽和脂肪酸及び/又はそのエステルの三量体化生成物を指す。
【0025】
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及び混合物から誘導されるポリオールという用語は、当該技術分野において周知であり、消化ポリオールを与えるために、熱可塑性ポリエステルをグリコールと共に加熱することから得られる生成物を指す。
【0026】
本発明は、アセトアセテート末端封鎖ポリオールを提供し、
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基を含む。
【0027】
本発明のアセトアセテート末端封鎖ポリオールは、任意選択的に、好ましくは、
a)二量体脂肪酸残基、二量体脂肪ジオール残基、及び二量体脂肪ジアミン残基から選択される、少なくとも1つの二量体脂肪残基、
並びに/あるいは
b)直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも1つの残基を含む。
【0028】
このように、本アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、少なくとも2つの成分を含むと考えることができ、一方は、アセトアセテート末端封鎖成分であり、他方は、上で定義したような未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル及びこれらの混合物から誘導されたポリオールの少なくとも1つの残基である。代替的に、いくつかの実施形態では、アセトアセテート末端封鎖ポリエステルポリオールは、3つの成分を含み、1つは、アセトアセテート末端封鎖成分であり、他の2つは、未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基、並びに上で定義されたようなa)又はb)(b)の存在が特に好ましい)である。追加的に、更なる代替的な実施形態では、アセトアセテート末端封鎖ポリエステルポリオールは、4つの成分を含み、1つは、アセトアセテート末端封鎖成分であり、他の3つは、未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル、及びこれらの混合物から誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基、並びに上で定義されたようなa)及びb)である。
【0029】
好適には、末端封鎖前、ポリオールは、ジオール、トリオール、テトロール、ペントール、又はヘキソールであり得る。好ましくは、ポリオールは、末端封鎖前、ジオール、トリオール又はテトロールであり、より好ましくは、ジオール又はトリオールである。最も好ましくは、末端封鎖前、ポリオールは、ジオールである。
【0030】
ポリオールは、少なくとも2つのエステル結合、好ましくは、少なくとも3つのエステル結合、より好ましくは、少なくとも4つのエステル結合、更により好ましくは、少なくとも5つのエステル結合を含み得る。
【0031】
ポリオールは、最大10のエステル結合、好ましくは、最大8つのエステル結合、より好ましくは、最大7つのエステル結合を含み得る。
【0032】
ポリオールは、ポリエステルであり得る。
【0033】
ポリオールは、少なくとも1つのエーテル結合を含み得る。ポリオールは、ポリエステルエーテルであり得る。
【0034】
あまり好ましくない実施形態では、ポリオールは、少なくとも1つのアミド結合を含み得る。
【0035】
あまり好ましくない実施形態では、ポリオールは、ポリエステルアミドであり得る。
【0036】
あまり好ましくない実施形態では、ポリオールは、ポリカーボネートであり得る。
【0037】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、少なくとも500、好ましくは、少なくとも800、より好ましくは、少なくとも1000、更により好ましくは、少なくとも1500、具体的に好ましくは、少なくとも1800の分子量(数平均)を有し得る。
【0038】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、最大5000、好ましくは、最大4000、より好ましくは、最大3000、更により好ましくは、最大2500、具体的に好ましくは、最大2200の分子量(数平均)を有し得る。
【0039】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールのアセトアセテート末端封鎖成分は、以下のうちの1つ以上:メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、tert-ブチルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、イソブチルアセトアセテート及びケテン誘導体から選択され得る。好ましくは、アセトアセテート末端封鎖は、メチルアセトアセテートである。
【0040】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは50重量%のアセトアセテート末端封鎖を含み得る。アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、最大95重量%、好ましくは85重量%、より好ましくは最大75重量%のアセトアセテート末端封鎖を含み得る。
【0041】
ポリオールは、未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル及び混合物から誘導されるポリオールの少なくとも1つの残基を含む。これらのポリオールは、ここでより詳細に説明される。
【0042】
未使用の熱可塑性ポリエステル、リサイクルされた熱可塑性ポリエステル及び混合物から誘導されるポリオールは、当該技術分野において周知であり、消化ポリオールを与えるために、熱可塑性ポリエステルをグリコールと共に加熱することから得られる生成物を指す。
【0043】
ポリエステルポリオールの作製に使用するのに好適な熱可塑性ポリエステルは、当該技術分野において周知である。未使用の可塑性ポリエステルは、グリコールと芳香族ジカルボン酸又は酸誘導体との反応から生成される縮合ポリマーである。リサイクルされた熱可塑性ポリエステルは、一般に、再利用の未使用熱可塑性ポリエステル廃棄物から誘導され、以前にリサイクルされた熱可塑性ポリエステル廃棄物もまた本発明において利用することができる。好適な熱可塑性ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(glycol-modified polyethylene terephthalate、PETG)、テレフタル酸と1,4-シクロヘキサンジメタノールとのコポリマー(PCT)、PCTA(イソフタル酸変性PCT)、ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリヒドロキシブチレート)、ジオールと2,5-フランジカルボン酸又はジアルキル2,5-フランジカルボキシレートとのコポリマー(例えば、ポリエチレンフラノエート)、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールとイソフタル酸、テレフタル酸又はオルトフタル酸誘導体とのコポリマー、ジヒドロフェルラ酸ポリマーなどが挙げられる。ポリエステル熱可塑性プラスチックの更なる例は、Modern Polyesters:Chemistry and Technology of Polyesters and Copolyesters,J.Scheirs and T.Long,eds.,Wiley Series in Polymer Science,2003,John Wiley & Sons,Ltd.Hoboken,NJ内で説明されている。熱可塑性ポリエステルの他の例は、Handbook of Thermoplastics,O.Olabisi,ed.,1997,Marcel Dekker,Inc.New Yorkの第18~20章において見出され得る。好適な熱可塑性ポリエステルの更なる例については、米国特許出願公開第2009/0131625号を参照されたく、その教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
更に、ポリエチレンテレフタレート、特にリサイクルされたポリエチレンテレフタレート(recycled polyethylene terephthalate、rPET)、未使用PET、及びこれらの混合物から誘導されるポリオールが本発明において特に好ましい。本発明のポリエステルポリオールを作製する際の使用に好適なrPETは、様々な供給源に由来し得る。最も一般的な供給源は、プラスチックボトル又は他の容器からのPETの使用済み廃棄物流である。rPETは、無色であるか、又は染料(例えば、緑色、青色、若しくは他の色)を含有するか、又はこれらの混合物であり得る。少量の有機又は無機異物(例えば、紙、他のプラスチック、ガラス、金属など)が存在し得る。rPETの望ましい供給源は、スクラップPETボトル中に存在する一般的な不純物の多くが予め除去されている「フレーク」rPETである。rPETの別の望ましい供給源は、ペレット化されたrPETであり、これは、rPETを溶融し、金属濾過メッシュを通して押し出して、粒状不純物を更に除去することによって作製される。PETプラスチックボトルは、現在、任意のリサイクルの取り組みが匹敵し得るよりもはるかに多くの量で製造されているので、スクラップPETは、豊富に利用可能であり続けるであろう。本発明は、ポリオールが新たな反応を受け、元のPETの特性とは異なる特性を有するポリマーを形成することができるので、これらのスクラップPETが元のPET材料から作製された生成物においてより広い有用性を享受することを可能にし、PETからrPETへの直接的なリサイクルは、生成物特性におけるかかる発散の実現を可能にしない。
【0045】
ポリエステルポリオールを作製する際に使用するのに好適なグリコールもまた、当該技術分野において周知である。この文脈において、「グリコール」とは、2つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖若しくは分岐の脂肪族又は脂環式化合物又は化合物の混合物を意味する。しかしながら、他の官能基、特にエーテル又はエステル基がグリコール中に存在し得る。好ましいグリコールにおいて、ヒドロキシル基のうちの2つは、2~10個の炭素、好ましくは、2~5個の炭素によって分離される。好適なグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエトキシレート、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、最大約400g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダムコポリマーなどが挙げられる。プロピレングリコールが特に好ましい。最も好ましくは、グリコールは、リサイクルされたグリコール、特にリサイクルされたプロピレングリコールである。使用済み除氷流体から回収されたプロピレングリコールは、回収されてリサイクルされたプロピレングリコールとして作製され、利用可能な使用済みグリコール源の一例であり、かかる特に好ましい実施形態として、ポリオールは、100%リサイクルされた材料からポリオールを生成するために、リサイクルされたプロピレングリコールの存在下で消化されたrPETから生成され得る。
【0046】
上に記載されるように、熱可塑性ポリエステルをグリコールと共に加熱して、消化ポリオールを得ることを介して、熱可塑性ポリエステルからポリオールを調製する方法が既知である。しかしながら、調製方法の簡単な概要をここに説明する。熱可塑性ポリエステル及びグリコールは、任意選択的に、触媒の存在下で加熱されて、消化された中間体を与える。消化された中間体は、通常、グリコール反応物、熱可塑性ポリエステルから発生したグリコール、テレフタレートオリゴマー、及び他の解糖生成物の混合物である。例えば、PET又はrPETが熱可塑ポリエステルであるとき、消化された中間体は、グリコール反応物、エチレングリコール(PET又はrPETから発生)、ビス(2-ヒドロキシアルキル)テレフタレート(「bis(2-hydroxyalkyl)terephthalate、BHAT」)、高級PETオリゴマー、及び他の解糖生成物の混合物を含む。様々な形態の類似の消化混合物が、これまでに作製され、特徴付けられている(例えば、D.Paszun et al.,Ind.Eng.Chem.Res.36(1997)1373及びN.Ikladious,J.Elast.Plast.32(2000)140を参照されたい)。加熱は、有利には、80℃~260℃の範囲内の温度で実施される。一態様では、熱可塑性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであるとき、消化中間体は、グリコール及びテレフタレート成分を含む。テレフタレート成分は、好ましくは、45~70重量%のビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレートを含む(紫外線検出を使用するゲル透過クロマトグラフィによって測定される)。好ましい態様では、テレフタレート成分は、20~40重量%のテレフタレート二量体を更に含む。別の好ましい態様では、消化中間体のテレフタレート成分は、45~65重量%のビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレート、20~35重量%のテレフタレート二量体、及び5~15重量%のテレフタレート三量体を含む。別の好ましい態様では、テレフタレート成分は、50~60重量%のビス(ヒドロキシアルキル)-テレフタレート、25~30重量%のテレフタレート二量体、及び8~12重量%のテレフタレート三量体を含む。
【0047】
成分
a)アセトアセテート末端封鎖ポリエステルポリオールの二量体脂肪酸残基、二量体脂肪ジオール残基及び二量体脂肪ジアミン残基から選択される少なくとも1つの二量体脂肪残基が、
ここでより詳細に説明される。
【0048】
概して、少なくとも1つの二量体脂肪残基は、以下に詳述されるような二量体脂肪酸、二量体脂肪ジオール又は二量体脂肪ジアミンに関して本明細書において説明される特徴又は選好のいずれかを含み得る。
【0049】
好適には、少なくとも1つの二量体脂肪残基は、飽和又は不飽和であり得る。しかしながら、好ましくは、少なくとも1つの二量体脂肪残基は、飽和されている。
【0050】
二量体脂肪残基は、本質的に脂肪であり、これがポリオールの疎水性を増加させ得る。二量体脂肪残基の存在は、ポリオールをより非晶質、非結晶性又は実質的に非結晶性にし得る。ポリオールの非晶質性は、以下に更に説明されるように、ポリオールを含むポリマーマトリックスの可撓性を増加させ、及び/又は引張強度を減少させ得る。
【0051】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、少なくとも5重量%、好ましくは、少なくとも10重量%の二量体脂肪残基を含み得る。ポリオールは、最大90重量%の二量体脂肪残基、好ましくは、85重量%の二量体脂肪残基、より好ましくは、最大80重量%を含み得る。
【0052】
選択される少なくとも1つの二量体脂肪残基は、二量体脂肪酸残基であり得る。
【0053】
好適には、アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、少なくとも5重量%、好ましくは、少なくとも10重量%の二量体脂肪酸残基を含み得る。ポリオールは、最大30重量%、好ましくは、最大20重量%の二量体脂肪酸残基を含み得る。
【0054】
二量体脂肪酸は、J.I.Kroschwitz(ed.),Kirk-Othmer Encyclopaedia of Chemical Technology,4th Ed.,Wily,New York,1993,Vol.8,pp.223-237内のT.E.Breuer,「Dimer Acids」に記載されている。それらは、加圧下で脂肪酸を重合し、次いで、蒸留によって未反応の脂肪酸出発材料の大部分を除去することによって調製される。最終生成物は、通常、いくらかの少量のモノ脂肪酸及び三量体脂肪酸を含有するが、大部分は二量体脂肪酸から作製される。結果として得られる生成物は、所望に応じて様々な割合の異なる脂肪酸で調製することができる。
【0055】
二量体脂肪酸対三量体脂肪酸の比は、当業者に既知であるように、処理条件及び/又は不飽和脂肪酸供給原料を改質することによって変化させることができる。二量体脂肪酸は、当該技術分野において既知の精製技術を使用して、生成物混合物から実質的に純粋な形態で単離され得るか、又は代替的に、二量体脂肪酸及び三量体脂肪酸の混合物が用いられ得る。
【0056】
本発明において使用される二量体脂肪酸又は二量体脂肪残基は、好ましくは、C10~C30脂肪酸、より好ましくは、C12~C24脂肪酸、特に、C14~C22脂肪酸、更に好ましくは、C16~C20脂肪酸、及び具体的には、C18脂肪酸の二量化生成物から誘導される。このため、得られる二量体脂肪酸は、好ましくは、20~60個、より好ましくは、24~48個、特に28~44個、更に好ましくは、32~40個の範囲内にあり、及び具体的には、36個の炭素原子を含む。
【0057】
好適には、二量体脂肪酸が誘導される脂肪酸は、直鎖又は分岐不飽和脂肪酸から選択され得、直鎖脂肪酸が好ましい。不飽和脂肪酸は、シス/トランス配置のいずれかを有する脂肪酸から選択され得、1つ以上の不飽和二重結合を有し得る。しかしながら、一価不飽和脂肪酸が、特に好ましい。最も好ましくは、脂肪酸は、直鎖一価不飽和脂肪酸である。
【0058】
好適には、二量体脂肪酸は、水素化されていないか、水素化されているか、又は部分的に水素化され得る。水素化二量体脂肪残基(二酸、ジオール、又はジアミンに由来するかどうかにかかわらず)は、より良好な酸化安定性又は熱安定性を有する場合があり、ポリオールを含むポリマーにおいて望ましい可能性があり、このため、好ましくは、二量体脂肪酸は、水素化されるか、又は部分的に水素化される。
【0059】
好適な二量体脂肪酸は、好ましくは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、又はエライジン酸の二量化生成物から誘導される(すなわち、その二量体等価物である)。特に、好適な二量体脂肪酸は、好ましくは、オレイン酸から誘導される。
【0060】
二量体脂肪酸は、天然油脂、例えば、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、又はトール油の加水分解から得られる不飽和脂肪酸混合物の二量化生成物であり得る。
【0061】
二量体脂肪酸の分子量(重量平均)は、好ましくは、450~690、より好ましくは、500~640、特に、530~610、及び具体的には、550~590の範囲内にある。
【0062】
更に、二量体脂肪酸に加えて、二量化は、通常、様々な量の三量体脂肪酸(いわゆる「三量体」)、オリゴマー脂肪酸、及びモノマー脂肪酸(いわゆる「モノマー」)の残基、又はそれらのエステルが存在することをもたらす。モノマーの量は、例えば、蒸留によって低減させることができる。二量体脂肪酸生成物の蒸留は、製造コストを増加させるので、これらの任意選択的な二量化反応生成物の存在は許容されるが、しかしながら、二量体脂肪酸の蒸留による精製は、いくつかのニッチ用途に好ましい場合がある。
【0063】
好適には、三量体脂肪酸は、好ましくは二量体脂肪酸に関して言及した材料の三量体化生成物から誘導され、好ましくはC10~C30、より好ましくはC12~C24、特にC14~C22、更に好ましくはC16~C20脂肪酸、及び特にC18脂肪酸の三量体である。このため、三量体脂肪酸は、好ましくは、30~90個、より好ましくは、36~72個、特に42~66個、更に好ましくは、48~60個の範囲内にあり、及び具体的には、54個の炭素原子を含有する。
【0064】
三量体脂肪酸の分子量(重量平均)は、好ましくは、750~950、より好ましくは、790~910、特に、810~890、及び具体的には、830~870の範囲内にある。
【0065】
追加的に、又は代替的に、四量体脂肪酸及びより高次のオリゴマー(以下、両方ともオリゴマー酸と称される)は、二量体脂肪酸の生成中に形成され得る。したがって、かかるオリゴマー酸は、上記で言及したように、三量体脂肪酸及び/又は二量体脂肪酸及び/又はモノ脂肪酸モノ酸と組み合わせて、本発明で使用される二量体脂肪酸中に存在し得る。
【0066】
オリゴマー酸は、好ましくは、C10~C30、より好ましくは、C12~C24、特に、C14~C22、及び具体的には、C18脂肪酸から誘導される4つ以上の単位を含有するオリゴマーである。オリゴマー酸の分子量(重量平均)は、好適には、1000より大きく、好ましくは、1200~1800、より好ましくは、1300~1700、特に、1400~1600、及び具体的には、1400~1550の範囲内にある。
【0067】
本発明において使用される二量体脂肪酸は、好ましくは、60重量%超、より好ましくは、70重量%超、特に、80重量%超、及び具体的には、85重量%超の二量体脂肪酸(又は二量体)含有量を有し得る。最も好ましくは、二量体脂肪酸の二量体含有量は、90重量%~99重量%の範囲内にある。
【0068】
代替的な実施形態では、二量体脂肪酸は、好ましくは、70重量%~96重量%の範囲内の二量体脂肪酸(又は二量体)含有量を有する。これは、特に2成分系又は架橋系に適用可能であり得る。
【0069】
追加的に、又は代替的に、特に好ましい二量体脂肪酸は、40重量%未満、より好ましくは、30重量%未満、特に、20重量%未満、及び具体的には、15重量%未満の三量体脂肪酸(又は三量体)含有量を有し得る。三量体脂肪酸含有量は、4重量%未満であり得る。
【0070】
更に、二量体脂肪酸は、好ましくは、10重量%未満、より好ましくは、5重量%未満、特に、4重量%未満、及び具体的には、2.5重量%未満のモノ脂肪モノ酸(又はモノマー)を含む。
【0071】
上記の重量百分率の値は全て、二量体脂肪酸中に存在する重合脂肪酸及びモノ脂肪酸の総重量に基づく。
【0072】
選択される少なくとも1つの二量体脂肪残基は、二量体脂肪ジオール残基であり得る。
【0073】
好適な二量体脂肪ジオールは、対応する二量体脂肪酸の水素化によって形成され得る。
【0074】
二量体脂肪酸(又は二量体脂肪二酸)は、当該技術分野において既知であるように、二量体脂肪ジオールに変換され得る。二量体脂肪ジオールは、二量体脂肪酸中の酸基が二量体脂肪ジオール中のヒドロキシル基と置換されていることを除いて、二量体脂肪酸(又は二量体脂肪二酸)に関して本明細書において説明されているような特性を有し得る。同様の様式において、三量体脂肪三酸は、三量体脂肪三酸に関して本明細書において説明されるような特性を有し得る、三量体脂肪トリオールに変換され得る。このため、二量体脂肪酸に関して本明細書において詳述される同じ好ましい実施形態は、ポリオールの二量体脂肪ジオール残基成分の対応する好ましい実施形態に適用され得る。
【0075】
好適には、末端封鎖される前に、ポリオールは、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも60重量%の二量体脂肪ジオール残基を含み得る。ポリオールは、最大90重量%、好ましくは、最大80重量%の二量体脂肪ジオール残基を含み得る。二量体脂肪残基のこれらの量は、ポリオールを含むポリマーマトリックスの引張強度若しくは硬度を過度に減少させることなく、ポリオールに好適な量の疎水性及び/又は非晶質性を提供し得る。
【0076】
好適には、アセトアセテート末端封鎖ポリオールは、少なくとも5重量%、好ましくは、少なくとも10重量%の二量体脂肪酸残基を含み得る。ポリオールは、最大30重量%、好ましくは、最大20重量%の二量体脂肪ジオール残基を含み得る。
【0077】
二量体脂肪ジオールは、水素化され得る。二量体脂肪ジオールは、水素化されていない場合がある。
【0078】
追加的に、又は代替的に、ポリオールは、少なくとも1つの二量体脂肪ジアミン残基を含み得、そのため選択される少なくとも1つの二量体脂肪残基は、二量体脂肪ジアミン残基であり得る。しかしながら、この実施形態は、あまり好ましくなく、ポリオールは、二量体脂肪ジアミン残基を含まない場合があり、したがって、ポリオールの成分a)中に関連アミン基を含まない場合がある。
【0079】
成分
b)アセトアセテート末端封鎖ポリエステルポリオールの直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、
ここでより詳細に説明される。
【0080】
好ましくは、C2~C36二酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、カルボン酸基、ヒドロキシル基及びこれらの混合物から選択される少なくとも2つの官能基を有する。いくつかの実施形態では、二酸又はジオールは、好ましくは、カルボン酸基、ヒドロキシル基及びこれらの混合物から選択される2つの官能基のみを有する。
【0081】
末端封鎖される前のポリオールは、少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも15重量%、より好ましくは、少なくとも20重量%の成分b)を含み得る。末端封鎖される前のポリオールは、最大50重量%、好ましくは、最大40重量%のb)を含み得る。末端封鎖ポリオール中の成分b)のレベルは、少なくとも0.10重量%、好ましくは、少なくとも0.15重量%、より好ましくは、少なくとも0.20重量%であることが理解されるであろう。更に、末端封鎖ポリオール中の成分b)のレベルは、最大15重量%、好ましくは、最大8重量%の二量体脂肪ジオール残基を含み得ることが理解されるであろう。b)のこれらの量は、ポリオールを含むポリマーマトリックスの柔軟性を過度に減少させることなく、ポリオールに好適な量の結晶化度を提供し得る。
【0082】
成分b)は、非二量体二酸又はジオールであり、成分a)について上で説明された二量体脂肪酸及びジオールとは異なることを理解すべきである。
【0083】
好適な非二量体二酸は、脂肪族又は芳香族(フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸など)であり得、ジカルボン酸及びそれらのエステル、好ましくは、それらのアルキルエステルが挙げられる。
【0084】
好ましくは、ポリオールは、直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも2つの残基を含み、いくつかの実施形態では、直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの少なくとも3つの残基を含み得、各々独立して、以下に詳述する好ましい実施形態から選択される。直鎖若しくは分岐C2~C36二酸又はジオールの1つの残基の2つ以上のタイプを含めることにより、ポリオールを含むポリマーの物理的特性をその特定の最終使途に合わせることが可能になる。
【0085】
好ましい一実施形態では、b)は、直鎖若しくは分岐C6~C36ジカルボン酸又はジオールの少なくとも1つの残基を含む。ポリオール中のb)の存在は、C6~C36直鎖若しくは分岐ジカルボン酸又はジオールの少なくとも1つの残基中に存在する長い脂肪族炭素鎖に起因して、ポリオールをより結晶性にし得る。増加した結晶化度は、ポリオールを含むポリマーマトリックスの引張強度及び/又は硬度を増加させ得る。それはまた、かかるポリオール含有ポリマーから形成される接着剤のグリーン強度を増加させ得る。C6~C36直鎖又は分岐二酸の少なくとも1つの残基は、それらのエステル、好ましくは、アルキルエステル、より好ましくは、ジメチルエステルを含み得る。
【0086】
C6~C36直鎖若しくは分岐ジカルボン酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、直鎖であり得る。これは、末端カルボキシル基又はヒドロキシル基を含み得、末端カルボキシル基又はヒドロキシル基は、アルキル基又はアルケニル基によって架橋される。
【0087】
C6~C36直鎖若しくは分岐ジカルボン酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、分岐鎖であり得る。C6~C36直鎖若しくは分岐二酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、少なくとも1つのメチル分岐を含み得る。C6~C36直鎖若しくは分岐二酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、少なくとも1つのエチル分岐を含み得る。
【0088】
C6~C36直鎖若しくは分岐ジカルボン酸又はジオールの少なくとも1つの残基は、飽和されるか又は不飽和であり得、好ましくは、飽和され得る。
【0089】
好ましくは、C6~C36ジカルボン酸又はジオールは、直鎖ジカルボン酸である。
【0090】
C6~C36ジカルボン酸又はジオールは、好ましくは、C18~C26ジカルボン酸又はジオール、より好ましくは、C18~C26ジカルボン酸又はジオールであり得る。C6~C36ジカルボン酸又はジオールは、好ましくは、C18ジカルボン酸であり得る。C6~C36ジカルボン酸又はジオールは、好ましくは、C26ジカルボン酸であり得る。
【0091】
C6~C36二酸又はジオールは、メタセシス反応、好ましくは、自己メタセシス反応によって得られる、C6~C36二酸又はジアルキルエステルから誘導され得る。メタセシス反応は、触媒の存在下で発生し得る。好適なメタセシス触媒は、国際公開第2008/065187号及び国際公開第2008/034552号に開示されており、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
追加的に、又は代替的に、成分b)が、4~12個の炭素原子の範囲内の炭素鎖を有する直鎖ジカルボン酸の少なくとも1つの残基を含むことが特に好ましく、より好ましくは、b)が、6~10個の炭素原子を有する直鎖ジカルボン酸の少なくとも1つの残基を含む。特に好ましい例としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、及びドデカンジカルボン酸が挙げられる。アジピン酸が、特に好ましい。より具体的には、この実施形態は、成分b)が当該C2~C36二酸又はジオールの少なくとも2つ以上の残基を含む場合に特に好ましい。
【0093】
代替的に、好ましくは、b)は、2~10個の炭素原子、より好ましくは、5~8個の炭素原子を有するジオールの少なくとも1つの残基を含み得る。この実施形態は、成分b)がC2~C36二酸又はジオールの少なくとも2つ以上の残基を含む場合に特に好ましい。
【0094】
好適な非二量体ジオールは、直鎖状脂肪族ジオール若しくは分岐脂肪族ジオール、又はそれらの組み合わせから独立して選択され得る。
【0095】
好適な非二量体ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール(ヘキサンジオールとしても知られる)及びこれらの混合物などの直鎖状脂肪族ジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタングリコール、1,2-プロピレングリコール及びこれらの混合物などの分岐ジオール、並びに1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4-シクロヘキサンジメタノール及びこれらの混合物などの環状ジオールが挙げられる。ヘキサンジオールが、特に好ましい。
【0096】
直鎖状脂肪族ジオールは、独立して、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール(1,3-プロパンジオールとしてより知られている)、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールから選択され得る。かかる材料が、特に好ましい。
【0097】
分岐脂肪族ジオールは、独立して、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、及び1,3-ブタンジオールから選択され得る。
【0098】
成分b)は、ポリエーテルジオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラヒドロフラン(ポリテトラメチレンエーテルグリコール又はPTMEG(polytetramethylene ether glycol)としても知られている)の少なくとも1つの残基を含み得る。PTMEGは、200~2000、好ましくは、200~1000、より好ましくは、200~500の分子量(数平均)を有し得る。この実施形態は、成分b)がC2~C36二酸又はジオールの少なくとも2つ以上の残基を含む場合に特に好ましい。
【0099】
成分b)は、2より大きいヒドロキシル官能基を有するポリオールの少なくとも1つの残基を含み得る。かかるポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール、又はトリメチロールプロパンが挙げられ得る。
【0100】
成分b)は、好ましくは、再生可能な及び/又はバイオベースの供給源、及び最も好ましくは、植物性誘導体から誘導される。b)の再生可能な炭素含有量のレベルは、14C放射性炭素年代測定法を使用して試料のバイオベース含有量を判定するための標準化された分析方法としてのASTM D6866によって判定可能であり得る。ASTM D6866は、バイオベース源から生じる炭素を、化石ベース源から誘導される炭素と区別する。この標準を使用して、再生可能な供給源からの炭素のパーセンテージを、試験試料中の総炭素から計算することができる。好適には、成分b)は、ASTM D6866を使用して判定されるとき、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも65重量%、より好ましくは、少なくとも80重量%の再生可能な炭素含有量を有し得る。
【0101】
好適には、ポリオール中のa)対b)の重量比は、100:0~0:100の範囲内、好ましくは、45:55~15:85の範囲内にあり得る。アセトアセテート末端封鎖ポリオール中のa)の5重量%は、少なくともb)の95重量%であり得る。アセトアセテート末端封鎖ポリエステルポリオール中のa)及びb)のこれらの相対量は、ポリエステルポリオールから形成されるポリマーマトリックスにおいて、可撓性、引張強度、硬度、及び耐加水分解性の有利なバランスを提供し得る。
【0102】
末端封鎖前のポリオールは、好ましくは、10~150、より好ましくは、30~140、特に好ましくは、60~120、及び具体的に好ましくは、75~110mgKOH/gの範囲内にあるヒドロキシル価(本明細書において説明されるように測定される)を有する。
【0103】
加えて、末端封鎖前のポリオールは、好ましくは、2未満、より好ましくは、1.7未満、特に好ましくは、1.3未満、及び具体的に好ましくは、1.0mgKOH/g未満の酸価(本明細書において説明されるように測定される)を有する。
【0104】
追加的に、又は代替的に、本発明は、上で説明されたようなアセトアセテート末端封鎖ポリオールを含むポリマー組成物を提供する。かかるポリマー組成物は、1つ以上の所望の物理的特性を有し得、それらの意図される最終使途に特に適し得る。
【0105】
好適には、ポリマー組成物は、樹脂(すなわち、中間形態の硬化前ポリマー材料)又はポリマーマトリックス(すなわち、その最終形態の硬化後ポリマー材料)であり得る。このため、ポリマー組成物は、2つの別個の実施形態を包含すると考えることができ、第1の実施形態は樹脂であり、第2の実施形態はポリマーマトリックスである。ポリマーマトリックス最終生成物の意図された使用又は処理に必要な添加剤は、後処理又は取り扱いを容易にするためにポリマー樹脂の製造中に導入され得るので、2つのポリマー組成物実施形態の間には大量の重複が存在する。このため、「ポリマー組成物」に言及する以下の実施形態は、ポリマー樹脂及びポリマーマトリックスの実施形態に等しく適用される。
【0106】
ポリマー組成物は、樹脂として提供され得、その後、樹脂は、硬化を介してポリマーマトリックスに変換され得る。ポリマー樹脂とポリマーマトリックスとの間の違いは、当業者によって理解されるように、ポリマー鎖の架橋がポリマーマトリックス中に存在することである。ポリマー鎖を架橋するための硬化は、任意の好適な手段によって達成され得るが、好ましい手段は、以下に更に説明される。
【0107】
ポリマー組成物の二量体脂肪残基含有量は、好ましくは、5~50重量%、より好ましくは、8~40重量%、特に、12~30重量%、及び具体的には、15~20重量%の範囲内にある。
【0108】
ポリマー組成物は、好ましくは、再生可能な及び/又はバイオベースの供給源から誘導される。このレベルは、本明細書において簡単に説明されるように、ASTM D6866によって判定され得る。好ましくは、ポリマー組成物は、ASTM D6866を使用して判定されるとき、少なくとも50%の再生可能な炭素含有量を有する。より好ましくは、少なくとも65%である。最も好ましくは、少なくとも80%である。
【0109】
本発明のポリマー組成物の特別な利点は、イソシアネートを含まないことである。このため、ポリマー組成物は、イソシアネートを含有しない。ポリマー組成物は、イソシアネートを実質的に含まない。
【0110】
好ましくは、ポリマー組成物は、上で説明されたアセトアセテート末端封鎖ポリオールとアクリレートとの反応生成物である。このため、ポリマー組成物は、アセトアセテート末端封鎖ポリオール及びアクリレートを含む。
【0111】
好適には、アクリレートは、1つ以上のアクリレート、多官能性アクリレート、オリゴマーアクリレート又はこれらの誘導体から選択され得る。
【0112】
好ましくは、アクリレートは、オリゴマーアクリレート又はその誘導体によって提供される。特に好ましいオリゴマーアクリレートは、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートである。かかるオリゴマーアクリレートは、好ましくは、以下に更に詳述するようなオリゴマーアクリレート樹脂であり得る。市販のオリゴマーアクリレート樹脂としては、とりわけ、IGM Resins製Photomer(登録商標)、BASF製Laromer(登録商標)、Allnex製Ebecryl(登録商標)が挙げられる。
【0113】
好ましい多官能アクリレート又はその誘導体は、2以上の官能価を有する。好適には、多官能性アクリレート誘導体は、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、及びこれらの組み合わせを有する任意のモノマー分子又はオリゴマー分子からなる群から選択され得る。
【0114】
好ましくは、アクリレート誘導体は、六官能性ウレタンアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、二官能性ウレタンアクリレート、テトラアクリレートモノマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0115】
特に好ましい一実施形態では、多官能性アクリレート誘導体は、ウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0116】
代替的な特に好ましい実施形態では、アクリレートは、オリゴマーエポキシアクリレート樹脂、又はオリゴマーポリエーテルアクリレート樹脂、又はオリゴマーポリエステルアクリレート、又はこれらの組み合わせから選択される多官能性アクリレートオリゴマーである。
【0117】
ポリマー組成物は、任意選択的に、発泡剤、触媒、顔料、充填剤、界面活性剤、及び安定剤などの他の添加剤を含有し得る。
【0118】
ポリマー組成物は、任意選択的に、発泡剤を含み得、発泡剤としては、水、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン及びトリクロロジフルオロエタンなどのフルオロカーボン、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0119】
ポリマー組成物は、任意選択的に、触媒を含み得る。触媒は、後処理を補助するためにポリマー樹脂中に存在し得るか、又は処理中にポリマーマトリックス中に固定化されることに起因して、ポリマーマトリックス中に存在し得る。かかる触媒は、均一系触媒である傾向がある。好ましい均一系触媒は、塩基性アニオン基の塩である。有用なカチオンの例としては、無機カチオン、好ましくは、アルカリ若しくはアルカリ土類金属カチオン、より好ましくは、K+、Na+及びLi+、又はテトラアルキルアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウム塩のような有機カチオンが挙げられるが、またプロトンを有するが極めて非酸性であるカチオン、例えば、強塩基性有機塩基のプロトン化種、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene、DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(1,5-Diazabicyclo[4.3.0]non-5-ene、DBN)又はテトラメチルグアニジンも挙げられる。
【0120】
ポリマー組成物は、任意選択的に、界面活性剤を含み得る。好ましい界面活性剤としては、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンポリオール変性ジメチルポリシロキサン、及びアルキレングリコール変性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン界面活性剤、並びに/又は脂肪酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、及びスルホネートなどのアニオン界面活性剤のうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0121】
ポリマー組成物は、任意選択的に、安定剤を含み得る。好適には、安定剤は、ラジカル捕捉剤、抗酸化剤、又は紫外線吸収剤から選択され得る。好適な安定剤は、ポリマー組成物の意図される最終使途に応じて、当業者によって選択され得る。安定剤の例としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及びイソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノールラジカル捕捉剤、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、及びトリフェニルホスフィンなどの亜リン酸化合物などの酸化防止剤、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。
【0122】
ポリマー組成物は、任意選択的に、顔料又は染料を含み得る。好適な顔料としては、遷移金属塩などの無機顔料、アゾ化合物などの有機顔料、及びカーボン粉末が挙げられる。
【0123】
ポリマー組成物は、任意選択的に、充填剤を含み得る。好適な充填剤としては、粘土、チョーク、及びシリカなどの無機充填剤が挙げられる。
【0124】
ポリマー組成物は、任意選択的に、鎖延長剤成分を含み得る。鎖延長剤成分は、鎖延長剤組成物の形態にあり得る。鎖延長剤組成物は、好ましくは、例えば、鎖延長剤、(上で説明されたような)アクリレート、並びに(上で説明されたような顔料及び/又は充填剤などの)他の添加剤の単純な予備混合によって調製される。少なくとも1つのアクリレートオリゴマーは、ポリマー組成物を形成するために、鎖延長剤成分と一緒に添加されて、プレポリマーと反応され得る。有利には、形成は、以下に更に説明されるように、C-マイケル付加を介して行われ、C-マイケルポリマーを提供する。
【0125】
ポリマーを形成するために使用される鎖延長剤成分は、好適には、2つ以上の活性アクリル官能基を有する低分子化合物を含む。かかるアクリル官能基含有化合物の例としては、六官能性ウレタンアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、二官能性ウレタンアクリレート、及びテトラアクリレートモノマーからなるアクリレート群が挙げられる。
【0126】
本発明で用いられる第1の態様の鎖延長剤対アセトアセテート末端封鎖ポリオールのモル比は、好ましくは、1~10:1、より好ましくは、1.5~8:1、特に、2~5:1、及び具体的には、2.5~4:1の範囲内にある。
【0127】
本発明はまた、当該アセトアセテート末端封鎖ポリオールをアクリレートと反応させて、
(i)ポリマー樹脂、又は
(ii)ポリマーマトリックスを形成することを含むポリマー組成物を作製する方法を提供する。
【0128】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールの好ましい特徴及びアクリレートの好ましい特徴は、組成物の実施形態に関して上で説明した通りである。
【0129】
好適には、本方法は、i)ポリマー樹脂を形成する工程、次いで、続いて予備形成された樹脂からii)ポリマーマトリックスを形成する工程を含む。i)ポリマー樹脂を形成する工程は、1つの地理的場所で実施され得、次いで、ポリマー樹脂からii)ポリマーマトリックスを形成する後続の工程は、第2の地理的に異なる場所で実施され得ることが想定される。
【0130】
ポリマー組成物を作製する方法は、アセトアセテート末端封鎖ポリオールをアクリレートと一緒に混合することを含み得る。これは、2つの反応物が密接に接近して均質なポリマー組成物をもたらすことを確実にするためである。
【0131】
好適には、アセトアセテート末端封鎖ポリオール対アクリレート反応物のモル比は、1:0.2~4、好ましくは、1:0.25~3、より好ましくは、1:0.25~2.5、及び最も好ましくは、1:0.25~1.8の範囲内にある。
【0132】
上記で示唆したように、ポリマー組成物樹脂とポリマー組成物マトリックスとの間の主な違いは、マトリックスが更に処理されて、ポリマー鎖間の架橋を達成するという事実である。このため、ポリマー組成物を(ii)ポリマーマトリックスにする方法において、方法は、ポリマー鎖を架橋する工程を含まなければならない。ポリマー樹脂を架橋して、ポリマーマトリックスを提供する方法は、ポリマー製造の当該技術分野において既知であり、概して、硬化方法と称される。本発明の方法において、ポリマー鎖の架橋は、任意の好適な手段によって達成され得る。しかしながら、フリーラジカル重合を介する、又はマイケル付加反応を介する架橋が、特に好適である。
【0133】
フリーラジカル重合を介する、又はマイケル付加反応を介する架橋は、周囲温度で、より望ましくは、室温で達成され得る。特に、フリーラジカル重合を介する、又はマイケル付加反応を介する架橋は、有利には、0℃~120℃の温度、好ましくは、15℃~60℃の温度、より好ましくは、20℃~25℃の温度で達成され得る。
【0134】
より具体的には、マイケル付加反応を介する架橋が好ましく、かかる材料は、炭素-マイケル反応ポリマー、又は略してC-マイケルポリマーと称され得る。このため、この特に好ましい方法を介して形成される末端封鎖ポリオール含有ポリマー組成物マトリックス生成物は、本明細書において便宜上C-マイケルポリマーと称され得る。
【0135】
本発明の重要な利点は、マイケル付加反応による炭素架橋によって架橋(又は硬化)を達成することができることである。炭素-炭素結合を達成するためにマイケル付加反応法を利用する能力は、本明細書において説明されるようにアセトアセテート末端封鎖ポリオールの存在によって促進される。炭素-炭素結合を達成する比較的穏和な方法を利用することができるという事実は、イソシアネートを反応体として利用するポリマー製造方法が、イソシアネートを利用して調製されたポリマーと比較して、ポリマーマトリックスがその意図された最終用途において利用されるときに、意外にも製品性能の損失なしに置き換えられ得ることを意味する。かかるイソシアネートを含まないポリマー製造方法は、従来のイソシアネートポリマー製造方法よりも明らかに健康及び環境上の利点を有する。追加的に、マイケル付加反応が、周囲温度及び/又は室温で達成され得るという事実は、製造の容易さという利益を提供する。
【0136】
本発明は、ポリマー組成物を形成するための、本明細書において説明されたようなアセトアセテート末端封鎖ポリオールの使用を更に提供する。本明細書において説明されたポリマー組成物、より具体的には、C-マイケルポリマーは、多くの用途において使用され得る。本発明のポリマーは、好ましくは、コーティング組成物、接着剤組成物、シーラント組成物、又はエラストマー組成物において使用され得る。特に、ポリマーは、コーティング、接着剤、エラストマー、又はシーラントにおいて、より好ましくは、エラストマー又はシーラントにおいて用途を見出すことができる。
【0137】
追加的に、本発明は、上で説明されたアセトアセテート末端封鎖ポリオールを含むコーティング組成物、接着剤組成物、シーラント組成物、又はエラストマーを提供する。好ましくは、上で説明されたアセトアセテート末端封鎖ポリオールを含む接着剤組成物、シーラント組成物又はエラストマー組成物が提供される。
【0138】
より具体的には、好ましい接着剤組成物、シーラント組成物又はエラストマー組成物は、本明細書において説明されるようなポリマー組成物マトリックスを含む。有利には、接着剤組成物、シーラント組成物、又はエラストマー組成物は、本明細書において説明されるようなC-マイケルポリマーを含む。
【0139】
本明細書において説明される特徴の全ては、任意の組み合わせで、上記態様のいずれかと組み合わされ得る。
【実施例】
【0140】
ここで、以下の実施例を参照して、単なる例として本発明を更に説明する。全ての部及びパーセンテージは、別段の記載がない限り、重量によるものである。
【0141】
列挙された全ての試験及び物理的特性は、本明細書において別段の記載がない限り、又は参照された試験方法及び手順において別段の記載がない限り、大気圧及び室温(すなわち、約20℃)で判定されていることが理解されるであろう。
【0142】
以下の実施例において使用される材料は、以下のように識別される。
■Croda製Crodacid DC1195としてのアジピン酸(C9ジカルボン酸)-バイオベースバージョン
■Croda製Pripol(商標)1006二量体脂肪二酸-水素化C36ジカルボン酸
■NEOGROUP製NEOPOLYOL240-rPETポリオール
■Sigma-Aldrich製PPG1000
■Lonza製メチルアセトアセテート-MAA
■IGM Resins製Photomer(商標)3016-アクリレート
■IGM Resins製Photomer(商標)4028-アクリレート
■Imerys製Nyad(登録商標)400-珪灰石
■ADD-additives製Add-2272-脱気剤
■Evonik Industries製Aerosil 200-ヒュームドシリカ。
【0143】
試験方法:
■数平均分子量を、水酸基価を参照して末端基分析により判定した。
■数平均分子量を、水酸基価を参照して末端基分析により判定した。
■ヒドロキシル価は、試料1gのヒドロキシル含有量に相当する水酸化カリウムのmg数として定義され、アセチル化、続いて過剰の無水酢酸の加水分解によって測定した。次いで、形成された酢酸を、エタノール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
■酸価は、試料1g中の遊離脂肪酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数として定義され、標準水酸化カリウム溶液で直接滴定することによって測定した。
■ショアA硬度を、DIN 53505に従って測定した。
■伸びを、別段の指定がない限り、タイプ2のダンベル試験片を使用して、ISO37に従ってInstron引張試験機を使用して測定した。
■引張強度を、別段の指定がない限り、タイプ2のダンベル試験片を使用して、ISO37に従ってInstron引張試験機を使用して測定した。
■引裂強度を、別段の指定がない限り、方法Bを使用してISO34-1に従ってInstron引張試験機を使用して測定した。
■接着強度を、ISO4587に従って試験した。
【0144】
実施例1:アセトアセテート末端封鎖ポリオールの調製及び実施例
P1-二量体脂肪酸及び含有ポリオール
撹拌機、温度計、ガス入口、及び凝縮器を備えた反応器内に、100重量部のPripol 1006及び200部のNEOPOL 240を充填した。続いて、反応器の温度を、窒素雰囲気下、常圧下で周囲温度から220~230℃まで上昇させた。これらの条件下でエステル化反応を行って、ポリエステルポリオールを得た。エステル化反応は、所望の酸/ヒドロキシル価が観察されるまで行い、この実施例では、得られたポリエステルポリオールは、1mg KOH/g未満の酸価及び103mgKOH/gのヒドロキシル価を有した。得られたポリエステルポリオールは、約1000g/molの計算された数平均分子量を有していた。
【0145】
P2-アゼライン酸及びrPETポリオール含有ポリオール
撹拌機、温度計、ガス入口、及び凝縮器を備えた反応器内に、70重量部のCrodacid DC1195及び100部のNEOPOLYOL 240を充填した。続いて、反応器の温度を、窒素雰囲気中、常圧下で、周囲温度から220~230℃まで上昇させた。これらの条件下で、所望の酸/ヒドロキシル価が観察されるまでエステル化反応を行った。この実施例では、得られたポリエステルポリオールは、1mg KOH/g未満の酸価及び112mg KOH/gのヒドロキシル価を有していた。得られたポリエステルポリオールは、約1000g/molの計算された数平均分子量を有していた。
【0146】
アセトアセテート末端封鎖ポリオールへの変換のための一般的方法
続いて、上記で調製したポリエステルポリオール及び比較PPGポリオールの各々を変性して、本発明に従って、それらをアセトアセテート末端封鎖した。
【0147】
撹拌機、温度計、ガス導入口、及び凝縮器を備えた反応器内に、上記で調製した100重量部の各々のポリオール及び25重量部のメチルアセトアセテート(Lonza MAA)を充填した。
【0148】
反応器の温度を、窒素雰囲気中、常圧下で150~160℃まで上昇させた。これらの条件下で、理論量のメタノール留出物が達成されるまで反応を継続する。
【0149】
必要な場合、反応の完了を確実にするために真空を適用することができる。
【0150】
反応の完了を識別するために、ゲルクロマトグラフィを使用することができる。
【0151】
実施例2:実施例ポリオール及び比較ポリオールを含有するエラストマー/シーラントの調製及び分析
様々なエラストマー/シーラント組成物を、以下の表1に詳述されるように調製した。室温で実施されたC-マイケル付加反応は、上で説明されたような例示的なアセトアセテート末端封鎖ポリエステルポリオールの利用可能なアクリレート系オリゴマーを利用するときに、用いられた。エラストマー/シーラントを、2成分プロセスを使用して調製した。ポリマーマトリックス内で達成されるC-マイケル架橋は、所望される場合、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)のような有機塩基触媒の使用によって加速され得る。
【0152】
以下の表1に示されるように、アセトアセテート末端封鎖ポリオールとアクリレート系オリゴマーを、1:1のモル比で反応させた。試験した2つの市販のアクリレート系オリゴマーは、Photomer(商標)3016(IGM Resins製エポキシアクリレート)及び/又はPhotomer4028(IGM Resins製アクリレート)であった。したがって、得られるエラストマー/シーラントは、2つの成分ベースの生成物であるが、イソシアネートの不在下で有利に調製されるものである。エラストマー/シーラント組成物を、ショアA硬度、引張強度、伸び及び引裂強度を含む、機械的特性評価のために鋳型した。
【0153】
エラストマー/シーラント特性を評価し、結果を、表1及び2に示す。
【0154】
【0155】
【0156】
上記の表2に詳述される機械的特性を考慮するとき、アクリレートオリゴマーと組み合わせた本発明のアセトアセテート末端封鎖ポリオールから室温で形成されるC-マイケルポリマーマトリックス材料は、(基準に基づいてエラストマー又はシーラントと比較したとき)ショアA硬度に悪影響を及ぼすことなく、より高い引張強度、伸び、及び改善された引裂強度を提供するエラストマー又はシーラントを提供する。
【0157】
実施例2のより結晶質の構造は、より非晶質の実施例1よりも引裂強度を高める。本発明のアセトアセテート末端封鎖ポリオールを単一のアクリレートオリゴマーと組み合わせるとき、(基準に基づいてエラストマー/シーラントを比較したとき)ショアA硬度に影響を及ぼすことなく、又はほんのわずかしか影響を及ぼさずに、より高い引張強度、伸び、及び改善された引裂強度を提供するエラストマー/シーラントが提供される。実施例2aのより結晶質の構造は、より非晶質の実施例1aよりも引裂強度を高める。
【0158】
【0159】
【0160】
上記の表4から分かるように、20%超~40%未満、例えば26~34%の充填剤を含むアクリレートオリゴマーブレンド、例えば、実施例4を含む組成物は、同等のショアA硬度で、実施例5のような単回使用アクリレートオリゴマーと比較したとき、高い引裂強度、引張強度及び伸びを有する。
【0161】
【0162】
表5に詳述される接着強度を考慮するとき、アクリレートオリゴマーと組み合わせた本発明のアセトアセテート末端封鎖ポリオールから室温で形成される、C-マイケルポリマーマトリックス材料は、実施例7よりも高い接着強度の接着剤配合物を提供する。接着強度は、アセトアセテート末端封鎖ポリオールの芳香族及び半結晶構造によって与えられる。
【国際調査報告】