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特表2024-511120低圧で水素ガスを貯蔵するための空圧膜ガス貯蔵器
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  • 特表-低圧で水素ガスを貯蔵するための空圧膜ガス貯蔵器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】低圧で水素ガスを貯蔵するための空圧膜ガス貯蔵器
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F17C3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558528
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 IT2022050059
(87)【国際公開番号】W WO2022201208
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021000006764
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523361161
【氏名又は名称】エコメンブレン エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】スペディーニ,ロレンツォ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA06
3E172BB10
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD05
3E172CA03
3E172EB19
(57)【要約】
本発明は、ガス貯蔵システムの分野に関し、低圧で水素ガスを貯蔵するための、空圧膜ガス貯蔵器(1)に関係し:水素貯蔵チャンバ(C1)の境界を定めるよう適合された、袋状の第1の膜(10);少なくとも一部を貯蔵チャンバ(C1)で重ね合わされた加圧チャンバ(C2)を、部分的に境界を定めるよう適合された、第2の膜(20);第1の膜(10)に載って設置され、少なくとも第2の膜(20)に対して不透過で固定され、かつ第1の膜(10)と共に、ガス貯蔵器(1)の外側に向けて通じた空洞(2)を画定するよう適合された、第3の膜(30);貯蔵チャンバ(C1)に関連付けられた、水素の供給及び排出手段;空気による、加圧チャンバ(C2)の加圧手段;第1の膜(1)、第2の膜(20)、及び第3の膜(30)のベース面(S)に対する、機械式定着手段(4);空洞(2)を、加圧チャンバ(C2)を通して、外部環境に接続するよう適合されたダクト(5)を備えた、いかなる水素損失分も外部へ換気する、自然の受動的換気システム、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧で水素を貯蔵するための、空圧膜ガス貯蔵器(1)であって、
ベース面(S)に置かれた水素貯蔵チャンバ(C1)の境界を定めるよう適合された、袋状の第1の膜(10)と、
前記貯蔵チャンバ(C1)に、少なくとも一部に重ねられた加圧チャンバ(C2)を、部分的に境界を定めるよう適合された、第2の膜(20)と、
前記第1の膜(10)の頂部に載って設置され、少なくとも前記第2の膜(20)に不透過で固定され、前記第2の膜(20)と協働して前記加圧チャンバ(C2)の境界を定めるよう、かつ前記第1の膜(10)と共に、前記空圧ガス貯蔵器(1)の外側に向けて通じた空洞(2)を画定するよう、適合された、第3の膜(30)と、
前記貯蔵チャンバ(C1)に関連付けられた、水素の供給及び排出手段と、
前記加圧チャンバ(C2)に含まれた空気を、調節及び排出するための、ファン手段(3)及び弁手段を備えた、空気による前記加圧チャンバ(C2)の加圧手段と、
前記第1の膜(1)、前記第2の膜(20)、及び前記第3の膜(30)の、前記ベース面(S)への機械式定着手段(4)と、
を備え、
ここで前記空圧膜ガス貯蔵器(1)は、
前記加圧チャンバ(C2)を通過して、前記空洞(2)を外部環境へ接続するよう適合されたダクト(5)を含み、外側に向かういかなる水素漏洩分も換気するよう適合された、自然な受動的換気システムを備えることを特徴とする、空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項2】
前記第1の膜(10)に面した、前記第3の膜(30)の表面は、前記第1の膜(10)と共にチャネル(6)を画定するよう形成され、いかなる水路漏洩分も、前記空洞(2)から前記ダクト(5)に向けて集積して送ることを特徴とする、請求項1に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項3】
前記第1の膜(10)に面した前記第3の膜(30)の表面は、前記第1の膜(10)に対するスペーサ手段(7)を備え、前記空洞(2)に前記チャネル(6)を作り出すことを特徴とする、請求項2に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項4】
前記スペーサ手段(7)は、連続外形、不連続の間隙材、または前記表面に生成された起伏、から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項5】
少なくとも前記第2の膜(20)及び前記第3の膜(30)は、帯電防止材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項6】
前記機械式定着手段(4)は、
前記ベース面(S)に配置され、前記空圧ガス貯蔵器(1)を取り囲むよう適合された、ガスケット(8)、
前記ガスケット(8)の上に設置され、やはり前記空圧ガス貯蔵器(1)を取り囲むよう適合された、フランジ(9)、
前記フランジ(9)を、前記ガスケット(8)の所定の位置に保持するよう適合された、複数の定着ボルト(12)、
を備えることと、
少なくとも前記第2の膜(20)及び前記第3の膜(30)の縁部(21、31)は、互いに重ね合わされ、かつ前記ガスケット(8)と前記フランジ(9)との間に締付けられることと、
を特徴とする、請求項1に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項7】
前記ダクト(5)は、第1の端部(15’)及び第2の端部(15’’)を有する蛇腹タイプの可撓性パイプ(15)を備え、前記第1の端部(15’’)は、第1の穴(13)によって前記第3の膜(30)に液圧で接続され、前記第2の端部(15’’)は、前記第2の膜(20)に設けられた第2の穴(14)によって、外側に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項8】
蛇腹タイプの前記可撓性パイプ(15)は、前記蛇腹の折り目において前記可撓性パイプ(15)に対して横断方向に配置された、補強リングを備えることを特徴とする、請求項7に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項9】
前記ダクト(5)は、前記可撓性パイプ(15)の前記第1の端部(15’)と前記第2の端部(15’’)との間に配置された、コイルバネの弾性手段(16)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項10】
前記第2の膜(20)は、前記第2の穴(14)に設置された、前記ダクト(5)のための防護キャップ(18)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項11】
前記第2の膜(20)の、前記第2の穴(14)の近傍で、前記加圧チャンバ(C2)の頂部に設置された、水素検出センサ(19)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項12】
前記第1の膜(10)は、底面膜(10a)及び被覆膜(10b)を備え、それらは互いに不透過で固定され、前記貯蔵チャンバ(C1)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項13】
前記ベース面(S)の上、かつ前記第1の膜(10)の下に配置された第4の膜(40)であって、前記第3の膜(30)に不透過で固定され、前記貯蔵チャンバ(C1)を全体的に取り囲むために、前記空洞(2)の延長部を生成する、第4の膜(40)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項14】
前記第1の膜(10)と前記第4の膜(40)との間に挿置され、TNTで作られ、かつ前記空洞(2)の前記延長部を占有するよう適合された、ベルト(23)を備えることを特徴とする、請求項13に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【請求項15】
前記第4の膜(40)は、前記定着手段(4)の前記ガスケット(8)と前記フランジ(9)との間に締付けられるよう配置された縁部(41)を備え、少なくとも前記第2の膜(20)及び前記第3の膜(30)の縁部(21、31)に連結することを特徴とする、請求項6または13に記載の空圧膜ガス貯蔵器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス貯蔵システムの分野に関し、より詳細には、低圧で水素ガスを貯蔵するための、空圧膜ガス貯蔵器に関する。
【背景技術】
【0002】
メンブレンガスホルダまたは圧力ガスホルダとも呼ばれる、空圧膜ガス貯蔵器は、一般的に、ガス不透過性のベース面の上でガス貯蔵チャンバの境界を定める、第1の膜と、ガス貯蔵チャンバに隣接した(通常は空気である)加圧チャンバを作り出すよう適合された、第2の膜と、を備える。
【0003】
このベース面は、例えば液体面、または縁部に沿って第1の膜に接合された別の膜であってもよい。
【0004】
第2の膜は、部分的に加圧空気チャンバの境界を定めることに加えて、気候、大気中の作用物質、及び外側本体に対する衝撃から、最も内側の膜を防護する機能を果たす。
【0005】
貯蔵チャンバは、中に含まれたガスのための、供給パイプ及び排出パイプに接続される。それに対して加圧チャンバは、補助的な空気ファンに接続され、特定の圧力を中で維持するのを可能にする。このように、ガス貯蔵チャンバに対して加圧チャンバによって加えられた押圧力は、ガスの使用に依存して、所望の圧力でガスを供給することを可能にする。
【0006】
これら2つのチャンバは、ガス貯蔵器の縁部に沿って地面に定着され、かつ作動圧を制御するために、空気及びガスの吐出弁を備える。
【0007】
これらの膜は、一般的にポリエステル繊維織物などの可撓性材料で作られ、PVCなどのプラスチック材料の層で覆われるか、またはコーティングされる。
【0008】
膜ガス貯蔵器の動作及び安全を保証するために、チャンバの不透過性は、何よりも重要である。実際、貯蔵チャンバから空気圧チャンバへのガスの通過、及びその逆、ならびに外部へのガスまたは空気の損失は、あってはならない。
【0009】
チャンバ間の不透過性は、実際には、第1の膜の完全性、及びガス貯蔵器のベース面における下縁部の封止閉鎖、に委ねられている。
【0010】
第1の膜、特に第1の膜を形成する様々な要素間の接合部において、もしくはフランジが付いた接続部に、たとえ非常に小さいサイズでも亀裂が入った場合、または上記の膜の下縁部における不完全な封止が存在する場合、あるいは材料にたとえ僅かでも有孔性がある場合に、ガスは貯蔵チャンバから空気加圧チャンバへ移る場合がある。これは常にガスチャンバから空気チャンバに発生する。なぜならガスの圧力が空気の圧力と等しいことに加え、第1の膜の重量によって生じる圧力増加のためである。空気チャンバの中への、ガスの僅かな漏洩でも、爆発性混合物をこのチャンバの内側に形成させて、非常に重大な安全リスクをもたらすのに十分であることを、念頭に置くべきである。
【0011】
チャンバの封止及び不透過性の重要さは、気体状態で水素を貯蔵するよう適合されたガス貯蔵器の場合に、より大きい。
【0012】
水素の小さい分子サイズのため、メタンなど他の可燃性ガスよりも大幅に容易に、最小の有孔性を有する膜でさえ通過する。
【0013】
水素分子は、非常に低い爆発の発火点を有する。摩擦によって発生した小さい火花、または表面における静電荷の増大は、爆発を引き起こすのに十分である。
【0014】
水素分子は、空気混合における広い爆発範囲によって、さらに特徴付けられる。水素は、空気中で4体積%の濃度から爆発を開始し、空気中で75.6体積%の濃度まで、潜在的な爆発性雰囲気にあるよう継続する。
【0015】
上述の、従来の膜ガス貯蔵器は、水素を伴う特別な適用において、特定の制限及び不利点を有する。
【0016】
ガス貯蔵チャンバの境界を定める、上記のPVCコーティングされたポリエステル繊維の第1の膜は、不透過性を保証することはできない。
【0017】
水素の透過性は、たとえ低圧(数ミリバールの正圧範囲)においてでも、一定の水素が上記の第1の貯蔵膜を常に通過し、第1のガス貯蔵膜と頂部の加圧膜との間に囲まれた空気ボリューム内に、水素の存在をもたらすことを意味する。
【0018】
これは、ガス貯蔵器の全ボリュームが、爆発の高危険領域(ATEXゾーン0と同等)となるポイントまで水素を蓄積する、明確な危険を引き起こす。
【0019】
さらに悪いことに、ガス貯蔵器に供給して加圧するための補助的ファンから来て、第1のガス貯蔵膜の上を流れる一定の換気の存在は、小さい火花でさえ爆発を引き起こすことができるような静電荷を伴い、この表面を局所的に帯電させる危険を発生させる場合がある。
【0020】
漏洩に厳格である、これらの課題の少なくとも一部を解決する試みにおいて、空圧ガス貯蔵器が公知であり、それには、上述の第1の膜の上に設置され、かつ少なくとも上記の第2の膜に不透過で装着された、第3の膜が装備される。
【0021】
この第3の膜は、上記の第2の膜と協働して加圧チャンバの境界を定め、かつ第1の膜と共に、外部へ通じる空洞を画定するよう、適合される。
【0022】
第2の膜と協働して加圧チャンバの境界を定める、第3の膜の存在により、2つのチャンバ間における隔絶の程度は増加され、ガスが貯蔵チャンバから漏洩して、加圧チャンバに入る危険は軽減される。実際、第3の膜は、1つのチャンバから他のチャンバへのガスの通過に対する、追加の障壁を形成する。貯蔵チャンバからの、いかなるガス損失分も、第1の膜と第3の膜との間の空洞に閉じ込められる。これらの漏洩は外側に流れることができる。なぜなら、この空間の圧力は、大気と直接接触して、ガスの圧力及び加圧チャンバにおける空気の圧力の両方よりも大幅に低いが、この排出は、実際には、地面の定着システムに近い、膜の下縁部間の自由空間においてのみ発生し得るからである。
【0023】
逆に、水素は非常に軽い分子量を有し、空洞の頂部に蓄積して上方に押し進む傾向があるので、水素は、膜の下縁部間の自由空間を通して大気中に逃げることは不可能である。
【0024】
1mの水素が、空気体積の約10%の重量と等しいことを考慮すると、水素の各mは、約0.9kgの垂直浮力を発生させる。
【0025】
したがって、空洞内の水素の存在は、空洞の上部ボリュームに停滞する傾向にあり、水素が膜の下縁部に沿った開口部に向けて流れることは、起こりそうにない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、上述の欠点及び不利点を排除することである。
【0027】
本発明の主な目的は、ガス貯蔵チャンバ、及びそれに隣接した加圧チャンバが設けられた、空圧膜ガス貯蔵器を提供することであり、それは、安全及び信頼性の利点のために、水素が加圧チャンバに浸透するのを大幅に軽減させる。より詳細には、本発明の目的は、膜の有孔性のため、または貯蔵チャンバの特定のポイントから来ることによる、いかなる水素損失分も、空気加圧チャンバの中の浸透する代わりに、外側に流れることを保証し、それによってガス貯蔵器の火災または爆発を避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
これらの目的は、低圧で水素ガスを貯蔵するための、空圧膜ガス貯蔵器によって実現され、それは:
-ベース面に置かれた水素貯蔵チャンバの境界を定めるよう適合された、袋状の第1の膜;
-この貯蔵チャンバに、少なくとも一部に重ねられた加圧チャンバを、部分的に境界を定めるよう適合された、第2の膜;
-第1の膜に置かれて設置され、少なくとも第2の膜に対して不透過で装着され、第2の膜と協働して上記の加圧チャンバの境界を定めるよう、かつ第1の膜と共に、空圧ガス貯蔵器の外側に向けて通じた空洞を画定するよう、適合された、第3の膜;
-貯蔵チャンバに関連付けられた、水素の供給及び排出手段;
-加圧チャンバに含まれた空気を、調節及び排出するための、ファン手段及び弁手段を備えた、空気による加圧チャンバの加圧手段;
-第1、第2、及び第3の膜の、上記のベース面への機械式定着手段;
を備え、
加圧チャンバを通して、上記の空洞を外部環境へ接続するよう適合されたダクトを含み、いかなる水素損失分も外側に向けて換気するよう適合された、自然な受動的換気システムを備えることを特徴とする。
【0029】
有利には、第1の膜に面した、第3の膜の表面は、第1の膜と共にチャネルを画定するよう形状付けられ、いかなる水素漏洩分も、上記の空洞から上記のダクトに向けて集積して送る。
【0030】
本発明の第1の態様によると、第1の膜に面した第3の膜の表面は、第1の膜に対するスペーサ手段を備え、空洞にチャネルを作り出す。
【0031】
代替として、これらのスペーサ手段は、連続した外形、不連続な間隙材、または表面に生成された起伏、から選ばれる。
【0032】
本発明の好ましい変形において、少なくとも第2及び第3の膜は、帯電防止材料で作られる。
【0033】
本発明の別の態様によると、上記の機械式定着手段は:
-ベース面に配置され、空圧ガス貯蔵器を取り囲むよう適合された、ガスケット;
-このガスケットの上に設置され、やはり空圧ガス貯蔵器を取り囲むよう適合された、フランジ;
-このフランジをガスケットの所定の位置に保持するよう適合された、複数のボルト;
を備え、
少なくとも第2及び第3の膜の縁部は、互いに重ね合わされ、ガスケットとフランジとの間に締付けられる。
【0034】
考えられる実施形態によると、ダクトは、第1及び第2の端部を有する蛇腹タイプの可撓性パイプを備え、第1の端部は、第1の穴によって第3の膜に液圧で接続され、第2の端部は、第2の膜に設けられた第2の穴によって、外側に接続される。
【0035】
好ましくは、蛇腹タイプの可撓性パイプは、この蛇腹の折り目に対して横断方向に配置された、補強リングを含む。
【0036】
さらに、ダクトは、可撓性パイプの第1及び第2の端部間に配置された、コイルバネの弾性手段を備える。
【0037】
本発明の別の態様によると:
-可撓性パイプの第2の端部は、フランジを備え;
-第2の膜は、第2の穴の近傍に設置された、ダクトのための防護キャップを備える。
【0038】
さらに好ましくは、空圧ガス貯蔵器は;
-第2の膜における第2の穴の近傍で、加圧チャンバの頂部に設置された、水素検出センサ;
-周囲の周りに配置された、複数の避雷針アンテナ、
を備える。
【0039】
特に好ましい変形において、第1の膜は、底部膜及び被覆膜を備え、不透過で互いに装着されて、袋形状の貯蔵チャンバを形成する。
【0040】
実施形態の考えられる変形によると、空圧ガス貯蔵器は、ベース面の上、かつ第1の膜の下に配置された、第4の膜を備え、第3の膜に不透過で装着され、貯蔵チャンバを全体的に取り囲むために、空洞の延長部を生成する。
【0041】
さらに、空圧ガス貯蔵器は、不織布で作られたベルトを備え、それは第1の膜と第4の膜との間に挿置され、空洞の延長部を占有するよう適合される。
【0042】
好ましくは、第4の膜は、定着手段のガスケットとフランジとの間に締付けられるよう配置された縁部を備え、少なくとも第2及び第3の膜の縁部に連結する。
【0043】
本発明を用いて得られる主な利点は、受動的な自然の換気システムにおけるガス貯蔵器の内側の存在に由来し、それによって、第1の膜の透過性から生じる、考えられる漏洩及び損失からもたらされた水素は、加圧チャンバを通過するダクトの内側を上方へ自由に流れ、大気の中に出る。それによって水素がガス貯蔵器のボリューム内に蓄積する危険を排除する。
【0044】
ダクトが生成される可撓性蛇腹パイプは、可変延長で、かつ第1の膜と第2の膜との間に構成されるボリュームの内側に水素の通過を限定する形状の、連続したチャネルを作り出す。
【0045】
上記の空洞に存在する、いかなる水素損失分も集積して送るためのチャネルは、貯蔵膜を貫通して透過する水素が、その非常に軽い特定の重量のためもあり、上方へ流れるのを有利に可能にする。
【0046】
空洞に面した第3の膜の表面に存在するスペーサ手段は、低い透過性である第3の膜の抵抗性に対して、流れに対する、より低い抵抗性を有する排水及び搬送チャネルを作り出す。
【0047】
膜が作られる帯電防止材料は、静電荷の発生、及び静電荷の局所的な蓄積を制限することができる。静電荷の発生、及び静電荷の局所的な蓄積は、危険な電気放電を発生させる場合があり、大気中で4%よりも大きい水素濃度を有する場合、爆発を誘発させる可能性がある。
【0048】
可撓性パイプに横断方向に設置された補強リングは、安全性をもたらし、加圧チャンバの内側における圧縮空気の圧力によって生成された力に抵抗する。
【0049】
可撓性パイプに沿って設けられた弾性手段は、第1の貯蔵膜によって境界が定められたチャンバの、全ての積込ステップ及び積卸ステップの間、可撓性パイプを主に垂直位置にとどめ、それによって最適に水素を自然に流出させる。
【0050】
より有利には、弾性手段によって発生した張力は、可撓性パイプの固定ポイントの近傍において、第3の膜に上方への垂直の引張りを作り出し、その結果、水素の流れの自然な上方への集積を容易にする尖点を作り出す。
【0051】
これら、及び他の利点は、非限定例として例示された、実施形態のいくつかの例を表わす図の助けを得て、以下で記載する本発明の説明から、より明確かつより明瞭となろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】垂直面に沿った、本発明による空圧膜ガス貯蔵器の断面図である。
図2図1の空圧ガス貯蔵器における構成要素の、底面図である。
図3a】実施形態の様々な考えられる変形による、図2の詳細断面図である。
図3b】実施形態の様々な考えられる変形による、図2の詳細断面図である。
図3c】実施形態の様々な考えられる変形による、図2の詳細断面図である。
図4】部分的に水素が充填されて動作中である、垂直面に沿った、本発明による空圧膜ガス貯蔵器の断面図である。
図5図1の空圧ガス貯蔵器における地上定着の、詳細断面図である。
図6】やはり地上定着システムに関連する、本発明による空圧ガス貯蔵器の実施形態の、特定の変形の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、低圧で水素を貯蔵するための、空圧膜ガス貯蔵器1を例示する。
【0054】
全体の空圧ガス貯蔵器1は、有利には不透過性のコンクリートベースによって形成されたベース面Sに載り、そこに定着される。
【0055】
本発明の空圧ガス貯蔵器1は、第1の膜10及び第2の膜20を備える。第1の膜10は、水素ガス貯蔵チャンバC1の境界を定め、その一方で第2の膜20は、空気加圧チャンバC2の境界を部分的に定める。
【0056】
第1の膜10は、ワンピースで作られ、それ自体で閉鎖されて袋形状とすることができるか、または例示された変形のように、底部膜10a及び被覆膜10bを備え、それらのそれぞれの縁部に沿って溶接することによって、不透過で互いに固定され、貯蔵チャンバC1を形成する。
【0057】
ガス供給及び排出手段(図示せず)は、貯蔵チャンバC1に接続され、その一方で加圧手段は、加圧チャンバC2に接続される。
【0058】
ガス供給及び排出手段は、第1の貯蔵膜10において、好適なパイプ及びフランジが付いた接続部を備え、その一方で加圧手段は、有利にはファン3(または空気圧縮機)及び第2の膜20に接続されたパイプ24を備える。
【0059】
空圧ガス貯蔵器1は、第3の膜30を備え、それは第1の膜10の頂部に載って設置され、少なくとも第2の膜20に不透過で固定され、第2の膜20と協働して加圧チャンバC2の境界を定めるよう、かつ第1の膜10と共に、空圧ガス貯蔵器1の外側に向けて通じた空洞2を画定するよう、適合される。
【0060】
この目的のため、空圧ガス貯蔵器1は、受動的な自然の換気システムを備え、それは外側に向かう、いかなる水素損失分も換気するよう適合され、加圧チャンバC2を通過して空洞2を外部環境に接続するよう適合されたダクト5を備える。
【0061】
図2を詳細に参照すると、第3の膜30の下面、すなわち第1の膜10に面した面は、それらを伴うチャネル6を画定するよう形状付けられ、第1の膜10で浸透し、かつ空洞2に集積された、いかなる水素損失分も集積して送る。
【0062】
チャネル6は、水素を空洞2の頂部に向けて、次にダクト5に向けて送る役割を有する。
【0063】
空洞2の中にチャネル6を作り出すために、第1の膜10に面した第3の膜30の表面は、第1の膜10に対するスペーサ手段7、すなわち連続もしくは不連続タイプの突出要素を備える。それらは、膜から得られるか、または膜に加えられる。
【0064】
スペーサ手段7は、第3の膜における表面の下方で径方向に配置された連続外形、またはこの表面の下方において均一に設置された不連続な間隙材、から選ばれる。
【0065】
図3a、図3b、及び図3cは、様々なタイプのスペーサ手段7を例示し、大きく突出するか、または小さく突出し、大きい距離か、または小さい距離だけ離隔される。
【0066】
空洞2にチャネル6を作り出すために、第3の膜30の表面における起伏は、さらに十分となり得る。2つの膜10、30の間が直接的に接触する場合、第3の膜30の下面における起伏は、空の微小チャネルを作り出し、その中に水素は浸透して上方へ流れる。
【0067】
この目的のため、第1の膜10が、両面にPVCをコーティングされた織物で作られるのに対して、第3の膜30も織物で作られるが、第1の膜10に接触する面は、例えばPVC以外の潤滑特性を有する材料、有利にはシリコーンでコーティングされ、それによって膜が互いに接着するのを防止して、浸透した水素のための集積空間を残す。
【0068】
ダクト5は、第1の端部15’及び第2の端部15’’を有する蛇腹タイプの可撓性パイプ15を備え、第1の端部15’は、第1の穴13によって第3の膜30に液圧で接続され、第2の端部15’’は、第2の膜20に設けられた第2の穴14によって、外側に接続される。
【0069】
穴13、14は、両方ともそれぞれの膜30、20の頂部に設けられる。
【0070】
可撓性パイプ15の第2の端部15’’は、第2の膜20に固定するためのフランジ17を備える。
【0071】
外部から雨または他の物体が入るのを防止するために、第2の膜20は、第2の穴14においてダクト5のための防護キャップ18を備える。
【0072】
可撓性パイプ15は、閉鎖された連続チャネルを作り出し、それは空洞2を外部環境に接続し、水素の通過のために加圧チャンバC2を通過する。
【0073】
例えばゴムで作られた、変形可能な蛇腹を用いて可撓性パイプ15を生成することによって、膜30、20間における任意の互いの動きを補うことが可能である。
【0074】
水素の自然な流れが大気の中へ出るのを最適にするよう、可撓性パイプ15が、連続したチャネルを、主に垂直位置に維持するのを可能にするために、弾性手段16は、このパイプの中に挿入され、それは実際、第3の膜30に対して張力がかけられたままにする。
【0075】
コイルバネタイプの弾性手段16は、可撓性パイプ15の第1の端部15’と第2の端部15’’との間に配置される。
【0076】
さらに、蛇腹タイプの可撓性パイプ15は、好ましくはこの蛇腹の折り目に横断方向に配置された、補強リング(図示せず)を含む。
【0077】
その機能性を向上させるために、空圧ガス貯蔵器1は、様々な安全手段及びデバイスを備える。
【0078】
可撓性パイプ15を固定するためのフランジ17の近傍で、第2の膜20に帯電する危険を軽減させるために、第2の膜は、帯電防止材料で作られる。同様に、第3の膜30も帯電防止材料から構成される。
【0079】
ガス貯蔵器1は、加圧空気を調節及び排出するために、弁25を備え、それは、加圧チャンバC2に存在する空気を流出させるよう、第2の膜20の頂部に設置され、第3の膜30における切れ目または損傷によって生じる、いかなる潜在的な水素漏洩分も、大気の中に希釈して排除する。
【0080】
さらに、このガス貯蔵器は、周辺に雷防護アンテナ22を備え、それは空中放電による発火の危険をさらに排除する。
【0081】
最後に、ガス貯蔵器1は、外側の第2の膜20における頂部近くに設置された水素漏洩センサ19を備える。重大な損傷の場合、空気中における水素の爆発混合物の存在を、使用者に通知することができ、その結果警報を発して、プラントのオペレータが直ちにガス貯蔵器への水素の流れを遮断することを可能にし、ガスラインに特別に設けられた換気弁(図示せず)によって残りの内容物を空にする。
【0082】
図5及び図6を詳細に参照すると、膜10、20、30の、空圧ガス貯蔵器1のベース面Sへの機械式定着手段4が、例示される。
【0083】
空圧ガス貯蔵器1の動作に関して、3つ全ての膜10、20、30が、不透過で互いに固定されることが重要であり、機械式定着手段4も気密タイプである。
【0084】
第1の膜10被覆膜10bは、対応した底部膜10aに一旦溶接されると、自由端部11を生成するよう伸びる。
【0085】
図5の変形において、機械式定着手段4は:
-ベース面Sに配置され、空圧ガス貯蔵器1を取り囲むよう適合された、ガスケット8;
-ガスケット8の上に設置され、やはり空圧ガス貯蔵器1を取り囲むよう適合された、フランジ9;
-フランジ9をガスケット8の所定の位置に保持するよう適合された、複数の定着ボルト12または鋼製タイロッド;
を備え、
膜10、20、30の縁部11、21、31は、互いに重ね合わされて、ガスケット8とフランジ9との間に締付けられる。
【0086】
定着ボルト12は、フランジ9のベース面Sへの機械式スポット固定を保証し、その一方でガスケット8は、ベース面Sとの均一な接触を保証する。
【0087】
図6を詳細に参照すると、空圧ガス貯蔵器1は第4の膜40を備え、それはベース面Sの上方、かつ第1の膜10における底面10aの下方に配置される。
【0088】
第4の膜40は、第3の膜30に不透過で固定され、空洞2の延長部を生成し、それによって空洞2は貯蔵チャンバC1を全体的に取り囲む。
【0089】
このように空洞2は、ガス貯蔵器1の下方で、ベース面Sに向けて導かれた、いかなる水素損失分も集積して、それらを自然の受動的換気スステム5に向けて送る。
【0090】
第4の膜40は、第3の膜30と同じ特徴を有し、したがってPVCでコーティングされた帯電防止織物で作られ、底面膜10aに面した側のみシリコーンで覆われる。
【0091】
ガス貯蔵器1は、第1の膜10の底部膜10aと、第4の膜40との間に挿置された、TNTで作られたベルト23を備え、それは、空洞2の上記の延長部を占有するよう、かつ2つの膜10、40間のスペーサとして、及び水素損失分の分散器として作用するよう、適合される。
【0092】
ガス貯蔵器の重量のため、チャネルが空洞2の延長部で抵抗して、水素を集積して送ることが困難となるので、TNTベルト23に存在する微小チャネルを使用して、これを克服する。
【0093】
貯蔵チャンバC1全周について、空洞2の連続性を保証するために、第3の膜30及び第4の膜40は、互いに気密の方法で封止しなければならない。
【0094】
上述の機械式定着手段4を利用して、第4の膜40の自由縁部41も、既に互いに不透過で固定された2つの膜20、30の、事前に連結された縁部21、31の下に設置して、やはりガスケット8とフランジ9との間に配置される。
【0095】
この場合、袋形状の第1の膜10は、バンドの形状で径方向に配置された、不連続の定着部(図示せず)を備え、それらは、貯蔵チャンバC1の袋を所定の位置に保持する唯一の機能を有する、ガスケット8とフランジ9との間の定着手段4で、同様に締付けられる。
【0096】
代替として、第1の膜10が自由縁部11を備えた場合、自由端部11には開口部が設けられることになり、この開口部は、チャンバC1の近傍に設置され、空洞の下部を上部に接続して、水素がダクト5に向けて上昇するのを助けるよう適合されることになる。
【0097】
図4及び図6を詳細に参照すると、本発明による空圧膜ガス貯蔵器1の動作が例示される。
【0098】
空圧ガス貯蔵器1の動作中、貯蔵チャンバC1は、水素で充填されるか、またはそれ自体は空にされ、その形状及びボリュームを変化させる。その一方で、ボリュームの変化に追随する加圧チャンバC2は、上記の加圧手段によって特定の圧力レベルに維持される。
【0099】
隣接したチャンバC1で、チャンバC2によって加えられた押圧力は、ガスが所望の圧力で送られるのを可能にし、かつ貯蔵チャンバC1を空にするのを容易にする。
【0100】
貯蔵チャンバC1から、第1の膜10と第3の膜30との間、及び適用できる場合は第4の膜40との間における、空間の中に逃げるいかなる水素も、それらによって作り出された空洞2に集積され、受動的な自然の換気システムすなわちダクト5を通して大気の中に直接開放され、水素が加圧チャンバC2に浸透すること、及びそれによる火災または爆発の危険を防止する。
【0101】
詳細には、いかなる水素損失分も、可撓性蛇腹パイプ15を通して外側に開放される。可撓性蛇腹パイプ15は、上方に押し進んだ水素が実際に蓄積する傾向がある第3の膜30の頂部を、加圧チャンバC2の上方の外部環境に接続する。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
【国際調査報告】