(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ヨーレートオフセット値を確認するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20240305BHJP
B60W 40/114 20120101ALI20240305BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
B62D6/00 ZYW
B60W40/114
B62D101:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558547
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022057580
(87)【国際公開番号】W WO2022200403
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107520.3
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】アクラム、ガーディエ
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232CC30
3D232DA24
3D232DA25
3D232DA33
3D232DA76
3D232DA81
3D232DC33
3D232DC34
3D232GG01
3D241BA50
3D241BA62
3D241DB04Z
3D241DB12Z
(57)【要約】
本発明は、自動車両(1)のヨーレートセンサ(2)のヨーレート測定値のオフセットを表すヨーレートオフセット値(ωoffset)を確認するための方法に関する。方法は、時間(t)にわたってヨーレートセンサ(2)から複数のヨーレート測定値(ω1、…、ωx)を受信するステップ(100)であって、前記測定値は、ヨーレート測定信号(Sω)を構成するステップと、自動車両(1)が停止しているかどうかをチェックするステップ(200)と、自動車両(1)が静止している場合、ヨーレート測定信号(Sω)に基づいてヨーレートオフセット値(ωoffset)を確認するステップ(500)とを有する。方法は、ヨーレート測定信号(Sω)に勾配(St)を形成するヨーレート測定値(Gst)を確認するステップ(300)と、ヨーレートオフセット値(ωoffset)を確認する(500)ために、勾配(St)を形成する確認されたヨーレート測定値(Gst)を無視するステップ(400)とを特徴とする。(
図5b)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(1)のヨーレートセンサ(4)のヨーレート測定値のオフセットを構成するヨーレートオフセット値(ω
offset)を確認するための方法であって、
時間(t)にわたって前記ヨーレートセンサ(2)から複数のヨーレート測定値(ω
1、…、ω
x)を受信するステップ(100)であって、前記測定値は、ヨーレート測定信号(S
ω)を構成するステップと、
前記自動車両(1)が静止しているかどうかをチェックするステップ(200)と、
前記自動車両(1)が静止している場合、前記ヨーレート測定信号(S
ω)に基づいて前記ヨーレートオフセット値(ω
offset)を確認するステップ(500)と
を備え、
前記ヨーレート測定信号(S
ω)に勾配(St)を形成するヨーレート測定値(G
st)を確認するステップ(300)と、
前記ヨーレートオフセット値(ω
offset)を確認する(500)ために、勾配(St)を形成する前記確認されたヨーレート測定値(G
st)を無視するステップ(400)と
を特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記自動車両が静止しているかどうかをチェックするステップ(100)は、前記自動車両(1)の速度(v
Ego)が0に等しいかもしくは約0であるかどうか、および/または前記自動車両(1)の車輪パルスが0に等しいかもしくは約0であるかどうかをチェックするステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヨーレート測定信号(S
ω)を閾値(ω
th)と比較するステップ(210)を備える、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記閾値(ω
th)は、約または最大3°/s、特に約または最大2.5°/s、特に約1°/sの値を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値(ω
th)を下回る前記ヨーレート測定信号(S
ω)の関連ヨーレート測定値(G
rel)を確認するステップ(220)を備える、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヨーレート測定信号に勾配(St)を形成するヨーレート測定値(G
st)を確認する前記ステップ(300)は、前記閾値(ω
th)を下回る前記確認された関連ヨーレート測定値(G
rel)に基づいて実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
勾配(St)を形成する前記確認されたヨーレート測定値(G
st)を無視する前記ステップ(400)は、前記閾値(ω
th)を下回るこれらの値を前記関連ヨーレート測定値(G
rel)から除去するステップを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ヨーレートオフセット値(ω
offset)を確認する前記ステップ(500)は、前記残りのヨーレート測定値の平均値を確認するステップを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記確認されたヨーレートオフセット値(ω
offset)の妥当性をチェックするステップ(510)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記妥当性をチェックするステップ(510)は、前記確認されたヨーレートオフセット値(ω
offset)が規定範囲内にあるかどうかをチェックするステップを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヨーレート値を確認するための方法であって、前記ヨーレート測定信号(S
ω)および前記確認されたヨーレートオフセット値(ω
offset)に基づいてヨーレート値を確認するステップ(700)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のヨーレートオフセット値(ω
offset)を確認するための方法の前記ステップを備える、方法。
【請求項12】
ヨーレートオフセット値(ω
offset)および/またはヨーレート値(ω)を確認するための制御装置(3)であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計される、制御装置(3)。
【請求項13】
少なくとも1つのヨーレートセンサ(4)を有し、かつ請求項12に記載の制御装置(3)を有する、自動車両(1)用のセンサ装置(2)。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するためにコンピュータ可読媒体に記憶されるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が電子制御ユニット(3)のプロセッサ上で実行されるときに前記方法を実行する、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
請求項13に記載のセンサ装置(2)を有する、自動車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両のヨーレートセンサのヨーレート測定値のオフセットを表すヨーレートオフセット値を確認する(ascertain)ための方法に関する。本発明はまた、ヨーレート値を確認するための方法に関する。ヨーレートオフセット値またはヨーレート値を確認することは、それらの値を推定することを意味すると理解することもできる。本発明はまた、ヨーレートオフセット値および/またはヨーレート値を確認するための対応する制御装置、自動車両用の対応するセンサ装置、対応するコンピュータプログラム製品、ならびに対応する自動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両システムまたは運転者支援システムは、例えば、自動車両の位置特定、自動車両の向きの決定、自動車両の自己運動の推定など、それらの計算のための入力変数または入力値として信頼できるヨーレート(またはヨーレート値)を必要とする。ヨーレートセンサ、特にジャイロスコープのヨーレートの精度は、主に2つの要因、すなわち経時的なバイアスおよびドリフト(または測定歪み)ならびに/または温度によって影響される。
【0003】
この不正確さを補償する一般的に使用される方法は、車両が第1のシナリオで直線的に移動しているとき、または第2のシナリオで静止しているときのヨーレートオフセット値を確認または推定することである。そのような方法は、例えば、独国特許出願公開第10 2018 115 28号明細書に開示されている。第1および第2のシナリオの両方において、車両が0°/sの理論ヨーレートを有すると仮定する。次いで、一般的に使用される方法は、ヨーレートを確認するときにオフセット値を考慮に入れ、それに応じて最後のヨーレート値を補正する。
【0004】
欧州特許第1264749号明細書は、自動車両のヨーレートを測定するためのシステムを補償するための方法を開示しており、システムは、ヨーレートセンサを備え、信号の低周波成分は、ヨーレートセンサ信号からフィルタリングされる。フィルタリングされた信号が所定の時間間隔内に所定の大きさを超えない場合、システムは、時間間隔の終わりの瞬間にセンサ出力に存在する信号と照合される。
【0005】
独国特許出願公開第19736199号明細書は、自動車の回転移動が実行されているという事実を検出する第1の検出ユニットを備える、中性点についての推定装置を開示している。第2の検出ユニットが、ヨーレートセンサの出力信号から得られるヨー速度の微分値の収束を検出する。中性点についての検出ユニットは、第1の検出ユニットにより回転移動が実行されていることが検出された後にヨーレート微分値の収束が第2の検出ユニットによって検出された場合、ヨーレートセンサの出力信号によってヨーレートセンサの中性点を決定する。独国特許出願公開第19736199号明細書では、ヨーレートセンサの出力信号に基づいて車両の直線移動が確認される。
【0006】
米国特許第9,193,382号明細書は、駆動輪角度、車輪速度、およびヨーレートを表す信号に少なくとも部分的に基づき得るヨーレート信号のオフセットを計算するための方法を記載している。これらの信号を決定することができ、閾値比較を実行することができ、ヨーレート信号の決定は、閾値比較の結果に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0007】
独国特許出願公開第10 2018 115 28号明細書は、慣性測定ユニットについてのオフセット値を確認するための方法に関し、オフセット値は、自動車両の静止運動状態を指す。第1の組の測定値は、慣性測定ユニットを使用して第1の瞬間に取得される。第1の組の測定値は、自動車両の1つの軸の操舵角についての測定値と、自動車両の1つまたは複数の車輪の回転速度についての複数の測定値とを含む。次いで、第1の組の測定値は、自動車両の静止運動状態が存在するかどうかをチェックするために使用される。第2の瞬間において、第1の瞬間と同じ方法で第2の組の測定値が取得される。第2の組の測定値は、自動車両の静止運動状態が存在するかどうかを再びチェックするために使用される。オフセット値が、第1および第2の組の測定値の関数として、かつ自動車両の静止運動状態の関数として慣性測定ユニットについて確認される。独国特許出願公開第10 2018 115 28号明細書では、自動車両の静止運動状態は、自動車両の停止、または一定の速度における直線状の自動車両の移動を特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、自動車両が静止しているが、それ自体の軸を中心に回転している場合に問題が発生することが分かった。この場合、ヨーレートは、0°/sよりも大きい。このシナリオは、例えば、車両がターンテーブル上にあるときに発生する可能性がある。この場合、測定されたヨーレート値はオフセットではなく、実際の測定値である。
【0009】
そのようなターンテーブルは、例として、例えば主に日本の公共の駐車場で、または例えば米国の家屋もしくはそれらの車道のために私的に現在使用されている。そのようなターンテーブルは、特に、操縦空間がほとんどないとき、または空間的に限定された条件で使用することができる。したがって、ターンテーブルは、最小限の操縦空間で車両を回転させる。
【0010】
従来技術の現在のシステムまたは方法は、車両が静止しているときにヨーレートオフセット値を推定または決定する。従来技術のシステムまたは方法は、車両が回転ターンテーブル上にあるかどうかを考慮または検出しない。これは、車両が回転ターンテーブル上に位置決めされているような場合のヨーレートオフセット値の不正確な推定をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、ヨーレートオフセット値またはヨーレート値をより確実に決定するために使用することができる方法、制御装置、センサ装置、コンピュータプログラム製品、および自動車両を提供することである。
【0012】
この目的は、独立請求項による方法、制御装置、コンピュータプログラム製品、および自動車両によって達成される。
【0013】
本発明は、自動車両のヨーレートセンサのヨーレート測定値のオフセットを構成するヨーレートオフセット値を確認(または推定)するための方法に関する。方法は、ある時間にわたって、ヨーレートセンサからヨーレート測定信号を構成する複数のヨーレート測定値を受信するステップと、自動車両が静止しているかどうかをチェックするステップと、自動車両が静止している場合、ヨーレート測定信号に基づいてヨーレートオフセット値を確認するステップとを備える。
【0014】
本発明によれば、ここで方法は、ヨーレート測定信号に勾配を形成するヨーレート測定値を確認するステップと、ヨーレートオフセット値を確認するために、勾配を形成するヨーレート測定値を無視するステップとを備える。これらのステップは、特にヨーレートオフセット値を確認するステップ内またはその前に実行することができる。無視するステップは、勾配を形成するヨーレート測定値を除去および/またはフィルタリングすることとして理解することもできる。したがって、これらの値は、ヨーレートオフセット値を確認または推定するために使用されない。
【0015】
ヨーレート測定信号に勾配を形成するかまたは有するヨーレート値を確認することによって、自動車両が回転ターンテーブル上にあるかどうかをいわば検出することが可能である。ヨーレート測定値が勾配を形成するかまたは有する場合、その瞬間(自動車両が停止しているとき)に自動車両が回転ターンテーブル上にあると結論付けることができる。これらのヨーレート測定値は、ヨーレートオフセットを構成するものではなく、実際に測定されたヨーレート値である。したがって、ヨーレートオフセット値を確認する場合、これらは無視または除去されるべきである。
【0016】
ヨーレート測定信号に勾配を形成するヨーレート測定値を確認することによって、自動車両が静止しているがターンテーブル上に位置しているかどうかを検出することができる。自動車両がターンテーブル上に位置していることが検出された場合、ヨーレートオフセット値を決定するために、勾配を形成するかまたは有する確認されたヨーレート測定値を無視または除去するステップが実行される。したがって、ヨーレートオフセット値を確認するために、ヨーレート測定信号の一部のヨーレート測定値のみが使用され、自動車両は、静止しており回転していない。これは、ヨーレートオフセット値のより正確な決定または推定をもたらす。
【0017】
勾配を形成するヨーレート測定値は、例えば、統計的手順を用いて確認することができる。特に、勾配を形成するヨーレート測定値は、ヨーレート測定値またはそのサブセットと共に、またはそれらにわたって(単純な)線形回帰を形成することによって確認することができる。このようにして確認された直線の勾配は(例えば、十分に急勾配であるかどうかを)チェックされ、特にこの勾配が勾配閾値を超えるかどうか(例えば、勾配>5%)をチェックすることができる。次いで、どのヨーレート測定値(例えば、サブセットから)がこの勾配に属するかをチェックすることが可能である。次に、勾配に属するこれらのヨーレート測定値は無視される。次いで、勾配に属さない他のヨーレート測定値は、ヨーレートオフセット値を確認する際に使用することができる。このタイプの勾配決定はまた、限られた記憶空間および/または算出時間で実施することができ、したがって過剰なリソースを必要としない。しかし、他の既知のタイプの勾配決定ももちろん可能である。
【0018】
本発明のさらなる態様は、特に本明細書の一態様または実施形態による、ヨーレートオフセット値を確認するための方法のステップを備える、ヨーレート値を確認(または推定)するための方法に関する。方法はまた、ヨーレート測定信号(または経時的なヨーレート測定値)および確認されたヨーレートオフセット値に基づいてヨーレート値またはヨーレートを確認するステップを備える。
【0019】
したがって、方法は、確認されたヨーレートオフセット値を使用して、ヨーレート値またはヨーレートを決定する。次いでヨーレート値または最後もしくは現在の実際に測定されたヨーレート値ωrealは、ヨーレートオフセット値ωoffsetを使用して調整することができる。これにより、ヨーレート値またはヨーレートωを確認することが可能である。これは、以下の式に従って実行することができる。
ω(t)=ωreal+ωoffset(t)[1]
ここで、ωoffset(t)=Bias+Drift(t)[2]。
【0020】
ヨーレートオフセット値が確認された時点で、すなわち、ここでは式[2]において、車両が停止しているが、それ自体の軸(または(垂直)車両軸)を中心に回転している場合に問題が発生することが分かっている。この場合、ヨーレートは、0°/sよりも大きい。このシナリオは、例えば、車両がターンテーブル上にあるときに発生する可能性がある。この問題は、ヨーレートオフセット値を確認するための本発明による方法によって改善される。
【0021】
例えば、ターンテーブルは、車両ターンテーブルまたは車道ターンテーブルとすることができる。そのようなターンテーブルは、その上に位置する車両を、特にそれ自体の(垂直)軸を中心に回転させるように設計された回転式(または回転可能な)ディスク(またはプレート)である。該ターンテーブルは、特に自動車両がそれ自体の(垂直)軸を中心に移動することができる円形のディスクまたはプレートであってもよい。したがって、ターンテーブルは、自動車両がその上に静止しているときにその軸を中心に回転する。該ターンテーブルは、通常、地面に取り付けられるか、または地面に凹設される。該ターンテーブルは、車道もしくはガレージに位置してもよく、または車道もしくはガレージの地面に取り付けられてもよく、または地面に凹設されてもよい。ターンテーブルは、手動でまたは電動手段によって回転または旋回させることができる。該ターンテーブルの目的または利益は、通常、自動車両の車道またはガレージからの自動車両の単純化されたおよび/またはより安全な退出または操縦である。
【0022】
一実施形態では、自動車両が静止しているかどうかをチェックするステップは、自動車両の速度が0に等しいかもしくは約0であるかどうか、および/または自動車両の車輪パルスが0に等しいかもしくは約0であるかどうかをチェックするステップを備える。特に、ここで、所定のデバウンシング時間(例えば、少なくともまたは約400ms)の間、自動車両のすべての車輪からのデルタパルスが0に等しいかまたは約0であるかどうかをチェックすることができる。
【0023】
一実施形態では、方法は、特に、ヨーレート測定信号(または複数のヨーレート測定値)を閾値と比較するステップを備えることができる。特に、各ヨーレート測定値は、閾値と個別に比較することができる。閾値は、特に、約または最大3°/s、特に約または最大2.5°/s、特に約1°/sの値を有することができる。特に、閾値を下回るヨーレート測定値は、ターンテーブルが回転し始めるかまたは回転を停止するときのヨーレート測定値を含むことができる。
【0024】
したがって、許容ヨーレート測定値のセットまたはグループのみが分析される。これらは、関連ヨーレート測定値と呼ぶこともできる。ヨーレート測定値を有効または関連とするためには、所定の範囲内でなければならない。これは、閾値によって、特に値が閾値を下回っていることをチェックすることによってチェックされる。この範囲または閾値は、特に特定のヨーレートセンサに応じて、所定の値または構成された値とすることができる。しかし、ヨーレート測定値が閾値以下の範囲内に収まるだけでは不十分である。ヨーレート測定値は閾値を下回る可能性があるが、(特にターンテーブルが旋回を開始するかまたは旋回を停止する場合)ターンテーブルの旋回または回転運動の一部である場合があり、したがってヨーレートオフセット値を確認するために有効ではない可能性がある。したがって、本発明によれば、ヨーレート測定信号に勾配を形成するヨーレート測定値が確認され、ヨーレートオフセット値を確認するために無視またはフィルタリングされる。特に、十分な(フィルタリングされた)値が利用可能であるかまたはメモリに記憶されている場合、ヨーレートオフセット値を確認することができる。
【0025】
一実施形態では、方法は、閾値を下回るヨーレート測定信号の関連ヨーレート測定値を確認するステップを備えることができる。特に、各ヨーレート測定値について、ヨーレート測定値が閾値を下回っているかどうかを個別に確認することができる。この場合、このヨーレート測定値は、関連ヨーレート測定値として分類または記憶することができる。したがって、ヨーレートオフセット値を確認するために、可能な有効または関連ヨーレート測定値のみが考慮される。
【0026】
方法は、特に、メモリ、特にリングバッファ(例えば、最大バッファ長20)に閾値を下回る確認されたヨーレート測定値を記憶するステップを備えることができる。方法は、特に、十分な数の確認されたヨーレート測定値がメモリに記憶されているかどうか(例えば、10~20個の値、または正確に20もしくは10個の値)をチェックするステップを備えることができる。十分な数の確認されたヨーレート測定値がメモリに記憶されているかどうかは、特に、ヨーレート測定値もしくはヨーレート測定信号の更新レート、またはヨーレートオフセット値もしくはヨーレート値を確認するための対応するソフトウェアルーチンもしくはソフトウェアモジュールに依存する。例えば、約40msの更新レートでは、メモリにおいて10個の値が十分な数であり得る。約20msの更新レートでは、例えば、メモリにおいて20個の値が十分な数であり得る。
【0027】
一実施形態では、ヨーレート測定信号における勾配を形成するヨーレート測定値を確認するステップは、閾値を下回る確認された関連ヨーレート測定値に基づいて実行することができる。勾配を測定するために(例えば、メモリ内に)利用可能な十分なヨーレート測定値があるかどうかをチェックすることもまた、可能である。
【0028】
1つの例示的な実施形態では、ヨーレート測定信号に勾配を形成するヨーレート測定値を確認するステップは、ヨーレート測定値、特にメモリ内のヨーレート測定値またはメモリ内の最新のヨーレート測定値(例えば、メモリ内の最後の3~4つのヨーレート測定値)と共に、またはそれらにわたって(単純な)線形回帰を形成するステップを備えることができる。特に、閾値を下回る確認された関連ヨーレート測定値は、この目的のために使用することが可能である。このようにして確認された直線の勾配は(例えば、十分に急勾配であるかどうかを)チェックされ、特にこの勾配が勾配閾値を超えるかどうか(例えば、勾配>5%)をチェックすることができる。次いで、どのヨーレート測定値、特にメモリ内のどのヨーレート測定値がこの勾配に属するかをチェックすることが可能である。次に、勾配に属するこれらのヨーレート測定値は無視される。次いで、勾配に属さない他のヨーレート測定値は、ヨーレートオフセット値を確認する際に使用することができる。
【0029】
一実施形態では、勾配を形成する確認されたヨーレート測定値を無視するステップは、閾値を下回るこれらの値を関連ヨーレート測定値から除去する(またはフィルタリングする)ステップを備えることができる。次いで、ヨーレートオフセット値を決定するために、残りのヨーレート測定値のみを使用することができる。言い換えれば、勾配を形成するヨーレート測定値は、ヨーレートオフセット値を確認するために使用されない。
【0030】
特に、勾配を形成する確認されたヨーレート測定値を無視するステップは、メモリから値を除去するステップを備えることができる。特に、十分な数の確認されたヨーレート測定値がメモリに記憶されているかどうか(例えば、10~20個の値、または正確に20もしくは10個の値)をチェックすることができる。したがって、その後ヨーレートオフセット値を計算するために、十分なヨーレート測定値がメモリに存在するか、または残っているかどうかをチェックすることが可能である。
【0031】
特に、ヨーレートオフセット値は、(メモリに)残っているヨーレート測定値によって確認することができる。特に、残りのヨーレート測定値は、勾配を形成する確認されたヨーレート測定値を差し引くか、無視するか、または除去した後の関連ヨーレート測定値から生じる(メモリ内の)ヨーレート測定値とすることができる。残りのヨーレート測定値は、特にGver=Grel-GStで表すことができ、Grelは、関連ヨーレート測定値(閾値未満)を示し、GStは、勾配を形成するヨーレート測定値を示す。
【0032】
一実施形態では、ヨーレートオフセット値を確認するステップは、残りのヨーレート測定値の平均値を確認するステップを含むことができる。平均値は、特に、残りのヨーレート測定値の合計と残りのヨーレート測定値の数の商として計算することができる。これは、特に以下の式に基づいて実行することができる。
ωoffset=SUM(Gver)/N [3]
ここで、Gver=Grel-GSt:残りのヨーレート測定値
N:残りのヨーレート測定値の数
【0033】
一実施形態では、方法は、確認されたヨーレートオフセット値の妥当性をチェックするステップを備える。一実施形態では、妥当性チェックは、確認された(弾性率または絶対)ヨーレートオフセット値が規定範囲内にあるかどうかをチェックするステップを備えることができる。範囲は、特に約(プラス/マイナス)0.6°/s以下、特に約(プラス/マイナス)0.3°/s以内とすることができる。例えば、典型的な(絶対)ヨーレートオフセット値は、0.2~0.3°/sの規定範囲内とすることができる。
【0034】
本発明の別の態様は、本明細書の態様または実施形態のうちの1つによるヨーレートオフセット値を確認するための方法を実行するように設計された、ヨーレートオフセット値を確認するための制御装置に関する。本発明のさらなる態様は、本明細書の態様または実施形態のうちの1つによるヨーレート値(またはヨーレート)を確認するための方法を実行するように設計された、ヨーレート値を確認するための制御装置に関する。
【0035】
本発明の別の態様は、少なくとも1つのヨーレートセンサ、特にジャイロスコープを有し、かつ本明細書の態様または実施形態のうちの1つによる制御装置を有する、自動車両用のセンサ装置に関する。
【0036】
制御装置および/もしくはセンサ装置は、特に自動車両の運転者を支援するための、ならびに/または自動車両の半自律もしくは完全自律動作のための、特に運転者支援システムの形態もしくはその一部であってもよい。制御装置および/もしくはセンサ装置(または運転者支援システム)は、特にとりわけ、自動車両の位置を特定し、自動車両の向きを決定し、かつ/または自動車両の自己移動を推定するように設計されてもよい。制御装置および/またはセンサ装置(または運転者支援システム)は、例えば、自動車両の半自律または完全自律運転のために、より高速で動作するように設計されてもよい。代替的または累積的に、制御装置および/またはセンサ装置(または運転者支援システム)はまた、例えば、駐車および/または操縦のために、低速で動作するように設計することもできる。
【0037】
さらなる態様は、本明細書の一態様または実施形態による方法を実行するためにコンピュータ可読媒体に記憶されるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラム製品が電子制御ユニットのプロセッサ上で実行されるときに方法を実行する、コンピュータプログラム製品に関する。特に、コンピュータプログラム製品は、制御ユニットのプロセッサ上に実装され、そこで処理され得る。
【0038】
さらなる態様は、本明細書の一態様または実施形態によるセンサ装置を有する自動車両に関する。自動車両は、自動車または商用車両の形態であり得る。
【0039】
方法の実施形態の有利な形態は、制御装置、センサ装置、コンピュータプログラム製品、および自動車両の実施形態の有利な形態と見なされるべきである。この目的のために、制御装置、センサ装置、コンピュータプログラム製品、および自動車両は、方法およびその有利な実施形態を実行することを可能にする特定の特徴を有する。
【0040】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図、および図の説明から収集することができる、上記の説明で引用されている特徴および特徴の組み合わせ、ならびに以下の図の説明で引用されている、および/または図のみに示されている特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ示されている組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせもしくは単独でも使用することができる。したがって、本発明のそのような実施形態はまた、図に明示的に示されていないかまたは説明されていないが、別々の特徴の組み合わせによって記載された実施形態から出現し、そこから生成することができるように構成および開示されていると見なされるべきである。したがって、最初に策定された独立請求項のすべての特徴を有さない実施形態および特徴の組み合わせも開示されていると見なされるべきである。さらに、特許請求の範囲の相互参照に記載された特徴の組み合わせを超えるかまたはそれとは異なる、特徴の設計および組み合わせ、特に上述の設計のものもまた、開示されていると見なされるものとする。
【0041】
本発明の例示的な実施形態は、概略図に基づいて以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】センサ装置の一実施形態を有する自動車両の例示的な実施形態の概略平面図である。
【
図2】ガレージの前のターンテーブルの概略図である。
【
図3a】経時的な例示的なターンテーブル速度信号の図である。
【
図3b】
図3aの例示的なターンテーブル速度に対応する例示的なヨーレート測定信号の図である。
【
図4】ヨーレートオフセット値を確認するための方法の例示的な実施形態の概略フロー図である。
【
図5】ヨーレートオフセット値またはヨーレート値を確認するための方法の別の例示的な実施形態の概略フロー図である。
【
図6】別の例示的なヨーレート測定信号の図である。
【
図7】さらなる例示的な実施形態の例示的なヨーレート測定信号の図である。
【
図8】さらなる例示的な実施形態の実際に測定されたヨーレート測定信号の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
同一であり、同じ機能を有する要素を識別するために、同じ参照符号が図に与えられている。
【0044】
図1は、検知装置2の一実施形態を有する自動車両1の例示的な実施形態の概略平面図を示す。自動車両1は、乗用車として本発明の例示的な実施形態において設計される。自動車両1は、例えば、運転者支援システムの形態または一部のセンサ装置2を含む。センサ装置2または運転者支援システムは、特に自動車両1の運転者を支援するように設計される。さらに、センサ装置2または運転者支援システムはまた、自動車両1の半自律または完全自律動作のために設計されてもよい。特に、センサ装置2または運転者支援システムは、その後、部分自律または完全自律動作がセンサ装置2のコントローラまたは運転者支援システムによって実行され得るように、自動車両1の対応する構成要素を制御することができる。センサ装置2または運転者支援システムは、例えば、自動車両1の半自律または完全自律運転のために、より高速で動作するように設計されてもよい。代替的または累積的に、センサ装置2および/または運転者支援システムはまた、例えば、駐車および/または操縦のために、低速で動作するように設計することもできる。
【0045】
センサ装置2は、ヨーレートセンサ4、特にジャイロスコープと、制御装置3とを備える。制御装置3は、ヨーレートオフセット値またはヨーレート値を確認するために以下に説明する方法を実行するように設計される。ヨーレートセンサ4は、ライン9(例えば、車両バス)を介して制御装置3に接続される。制御装置3は、ライン9を介してヨーレートセンサ2からヨーレート測定信号Sωまたは複数のヨーレート測定値を受信することができる。したがって、ヨーレートセンサ4のヨーレート測定信号Sωは、ライン9を介して制御装置3に送信される。ライン9を介した送信は、無線および/または有線とすることができる。
【0046】
この例示的な実施形態における制御装置3は、自動車両1の車輪に取り付けられ、車輪の回転を特徴付けるいわゆる車輪パルスを提供する車輪センサ8にさらに結合される。1回転当たり、複数のパルスを生成することができる。この例示的な実施形態では、車輪センサ8はまた、ライン9(例えば、車両バス)を介して制御装置3に接続される。あるいは、それらは異なるラインを介して接続することもできる。
図1の制御装置3はまた、ライン9を介して車輪パルスを受信することができる。したがって、車輪センサ8の車輪パルスは、ライン9を介して制御装置3に送信される。
【0047】
図1に示すこの例示的な実施形態では、制御装置3は、操舵および/または駆動装置7にさらに結合される。ここで、制御装置3は、ライン5を介して操舵および/または駆動装置7に接続される。制御装置3は、ライン5を介して制御信号を操舵および/もしくは駆動装置7に送信し、例えば、操舵装置によって自動車両1の操舵角および/もしくは前後案内を制御し、かつ/または駆動装置によって自動で自動車両1を加速および/もしくは減速することができる。
【0048】
図1のこの例示的な実施形態では、制御装置3は、環境センサ10からセンサデータをさらに受信する。環境センサ10は、例えば、自動車両10の周囲の物体および/または障害物を検出するために、例えば超音波センサおよび/またはレーダセンサおよび/または光学距離センサおよび/またはカメラとして設計されてもよい。
【0049】
センサ装置2はまた、自動車両1の前後加速度を検出するための前後加速度センサ(図示せず)などのさらなるセンサを備えてもよい。
【0050】
さらに、制御装置3は、ヨーレートオフセット値またはヨーレート値を確認するための以下に説明する方法を実行することができるようにコンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を有する。特に、コンピュータプログラム製品は、電子制御ユニット3のプロセッサ上に実装され、そこで処理される。
【0051】
センサ装置2および/または運転者支援システムは、例えば、自動車両1の位置特定、自動車両1の向きの決定、および/または自動車両1の自己運動の推定のために、制御装置3において実行される計算のための入力変数として信頼できるヨーレートを必要とする。したがって、特に制御装置3において、(制御装置3における後続の計算のための入力変数としての)ヨーレートまたはヨーレート値を確認するための信頼できる方法を有することが重要である。ヨーレートωを確認するための従来の方法では、ヨーレートセンサ4の実際のヨーレート値ωreal(または最新のもしくは現在の実際に測定されたヨーレート値)は、確認されたヨーレートオフセット値ωoffsetによって調整される。
【0052】
ヨーレートオフセット値が確認された時点で、自動車両1が停止しているが、それ自体の軸、すなわち垂直車両軸(したがって
図1では、軸は、図面の平面から外れているか、または図面の平面に垂直である)を中心に回転している場合に問題が発生することが分かっている。この場合、ヨーレートは、0°/sよりも大きい。このシナリオは、例えば、自動車両1がターンテーブル上にあるときに発生する可能性がある。この問題は、以下に説明するヨーレートオフセット値を確認するための方法によって改善される。
【0053】
そのような状況の例示的な例として、
図2は、ガレージGの前のターンテーブルDの概略図を示す。ここでのターンテーブルDは、ガレージGの前の車両ターンテーブルまたは車道ターンテーブルである。ターンテーブルDは、例えば
図1の例示的な実施形態からの自動車両1が、特にそれ自体の軸または垂直軸を中心として旋回することを可能にするように設計された回転可能な(または旋回する)ディスクまたはプレートとして実装される。ターンテーブルDは、ここでは、自動車両1がそれ自体の軸または垂直軸の周りを旋回することができる円形のディスクまたはプレートである。したがって、ターンテーブルDは、自動車両1がその上に静止しているときにその軸を中心に回転する。ここで、ターンテーブルDは、地面Bに取り付けられるか凹設される。したがって、この例示的な実施形態では、ターンテーブルは、ガレージGの前もしくは車道に配置されるか、または車道の地面Bに取り付けられるか凹設される。ターンテーブルDは、手動でまたは電動手段によって回転または旋回させることができる。該ターンテーブルDの目的または利益は、通常、車道またはガレージからの自動車両1の単純化されたおよび/またはより安全な退出または操縦である。
図2の例示的な実施形態では、ターンテーブルDは、家屋の車道、すなわち、私有地、または公共駐車場、すなわち、公共空間に配置されてもよい。そのようなターンテーブルDは、特に、操縦空間がほとんどないとき、または空間的に限定された条件で使用することができる。したがって、ターンテーブルDは、必要最小限の操縦空間で自動車両1を回転させる。
【0054】
図3aは、時間tに対する例示的なターンテーブル速度信号S
vの図を示す。自動車両1が、ターンテーブルD上に位置していると仮定する。ターンテーブルDの速度v
Dがy軸に示され、時間tがx軸に示される。時点t
0~t
1の期間では、ターンテーブルは静止しており、すなわち、ターンテーブル速度v
Dは0である。時点t
1~t
2の期間では、ターンテーブル速度v
Dは線形にまたは一定の速度で増加し、すなわち、ターンテーブルDはそれ自体の軸を中心に回転または加速し始める。同様に、ターンテーブルD上の車両1は、その後、車両垂直軸を中心に加速される。期間t
2~t
3では、ターンテーブルDは、一定のターンテーブル速度v
konstで回転する。時点t
3~t
4の期間では、ターンテーブル速度v
Dは線形にまたは一定の速度で減少し、すなわち、ターンテーブルDは回転を停止するか減速する。同様に、ターンテーブルD上の車両1は、その後、車両の垂直軸を中心としたその移動が減速される。時間t
4の後(測定期間t
5の終了時間まで)、ターンテーブルD、したがってそれに位置する車両1も再び静止する。
【0055】
ここで、
図3bは、自動車両1のセンサ装置2のヨーレートセンサ4の例示的なヨーレート測定信号S
ωの対応する図を示す。したがって、
図3bの例示的なヨーレート測定信号S
ωは、
図3aの例示的なターンテーブル速度v
Dについて、またはそれに対応して示される。ヨーレート測定信号S
ωもまた、時間tに対してプロットされている。ヨーレートまたはヨーレート測定値ωが単位°/sでy軸に示され、時間tがx軸に示される。時間tにわたってヨーレートセンサ2から受信または取得される複数のヨーレート測定値ω
1、…、ω
xは、ヨーレート測定信号S
ωを形成するか、またはそれを構成する。時間t
0~t
1の期間では、ターンテーブル、したがって車両1も静止している。したがって、ここで測定されるヨーレート値は、ヨーレートオフセット値ω
offsetにほぼ対応する。したがって、これは、自動車両1のヨーレートセンサ4のヨーレート測定値のオフセットを表す。時間t
1~t
2の期間では、次にターンテーブル速度v
Dは線形にまたは一定の速度で増加し、すなわち、ターンテーブルDはそれ自体の軸を中心に回転または加速し始める。同様に、ターンテーブルD上の車両1は、その後、車両垂直軸を中心に加速される。したがって、時間t
1~t
2の期間では、ヨーレート測定値もそれらの値が増加し、すなわち、正の勾配を形成する。期間t
2~t
3では、ターンテーブルD、したがって車両1も一定のターンテーブル速度で回転する。また、期間t
2~t
3では、ヨーレート測定値もほぼ一定の値ω
konstを有するが、ヨーレートセンサ4のヨーレートオフセット値ω
offsetを大きく上回っている。時間t
3~t
4の期間では、ターンテーブル速度v
Dは線形にまたは一定の速度で減少し、すなわち、ターンテーブルDは回転を停止するか減速する。同様に、ターンテーブルD上の車両1は、その後、車両の垂直軸を中心としたその移動が減速される。したがって、時間t
3~t
4の期間では、ヨーレート測定値も値が減少し、すなわち、負の勾配を形成する。時間t
4の後(測定期間t
5の終了時間まで)、ターンテーブルD、したがってそれに位置する車両1も再び静止する。ヨーレート測定値は、ここではヨーレートオフセット値ω
offsetにほぼ対応する。ヨーレートオフセット値を確認するための従来の方法が、例えば平均化することによって、すなわち、時間t
0~時間t
5のヨーレート測定信号S
ω全体の平均値を確認することによって
図3bのヨーレート測定信号S
ω全体に適用された場合、これは誤ったヨーレートオフセット値をもたらす。これは、時間t
1~t
4の期間のヨーレート測定値がヨーレートオフセットを構成するものではなく、実際に測定されたヨーレート値であるためである。したがって、これらはヨーレートオフセット値を確認するときに使用されるべきではない。ヨーレートオフセット値ω
offsetを確認するための対応する信頼できる方法について、以下に説明する。
【0056】
図4は、自動車両1のヨーレートセンサ4のヨーレート測定値のオフセットを表すヨーレートオフセット値ω
offsetを確認するための方法の例示的な実施形態の概略フロー図を示す。方法は、時間tにわたってヨーレートセンサ2から複数のヨーレート測定値ω
1、…、ω
xを受信する第1のステップ100を備え、前記測定値は、ヨーレート測定信号S
ωを構成する。次いで、第1のステップ100の後に、自動車両1が静止しているかどうかをチェックするステップ200が続く。ステップ100におけるチェックは、自動車両1の速度v
Egoが0に等しいかまたは約0であるかどうかをチェックするステップを備えてもよい。代替的または累積的に、これは、例えば車輪センサ8のような自動車両1の車輪パルスが0に等しいかまたは約0であるかどうかをチェックするステップを備えてもよい。
【0057】
ここで、
図4でステップ200において自動車両1が静止していないと決定された場合(
図4の「いいえ」に対する分岐N)、ヨーレートオフセット値を確認するための方法はこの時点で終了する。しかし、例えば、直線運動についてのヨーレートオフセット値を確認するための方法を使用することもできる。
【0058】
ここで、
図4でステップ200において自動車両1が静止していると決定された場合(
図4の「はい」に対する分岐Y)、方法は継続し、ヨーレート測定信号S
ωに基づいてヨーレートオフセット値ω
offsetを確認する500ステップ500が続いて実行される。しかし、ヨーレートオフセット値を確認するステップ500の前または間、以下のステップが実行されなければならない:ヨーレートオフセット値ω
offsetを確認するステップ500のためにまたはその間、第1に、ヨーレート測定信号S
ωに勾配Stを形成するヨーレート測定値G
stを確認するステップ300、および第2に、勾配Stを形成する確認されたヨーレート測定値G
stを無視するステップ400。この無視するステップ400は、勾配Stを形成するヨーレート測定値G
stを除去および/またはフィルタリングすることとして理解することもできる。したがって、これらの値G
stは、ヨーレートオフセット値ω
offsetを決定または推定するために使用されない。
【0059】
ヨーレート測定信号Sωに勾配Stを形成するヨーレート測定値Gstを確認するステップ500によって、したがって、自動車両1が回転ターンテーブルD上に位置しているかどうかを擬似的に検出することができる。ヨーレート測定値が勾配Stを形成するかまたは有する場合、その瞬間(自動車両1が静止している間)に自動車両1が回転ターンテーブル上にあると結論付けることができる。これらのヨーレート測定値Gstは、ヨーレートオフセットを構成するものではなく、実際に測定されたヨーレート値である。したがって、ヨーレートオフセット値を確認する場合、これらは無視または除去されるべきである。
【0060】
ヨーレート測定信号Sωに勾配Stを形成するヨーレート測定値Gstを確認するステップ400によって、したがって、静止しているが、自動車両1がターンテーブルD上に位置しているかどうかを検出することができる。自動車両1がターンテーブルD上に位置していることが検出された場合、ヨーレートオフセット値ωoffsetを確認するために、勾配Stを形成するかまたは有する確認されたヨーレート測定値Gstを無視または除去するステップ500が実行される。ヨーレートオフセット値ωoffsetを確認するステップ500では、すなわち、ヨーレート測定信号Sωの一部の(残りの)ヨーレート測定値Gverのみが使用され、自動車両1は、静止しており回転していない。これは、ヨーレートオフセット値ωoffsetのより正確な決定または推定をもたらす。
【0061】
図4の例示的な実施形態の概略フロー図には、ヨーレート値を確認するさらなる任意選択の(破線で表される)ステップ600が示される。ステップ600における確認するステップは、ヨーレート測定信号S
ω、またはステップ500で確認されたヨーレート測定値およびヨーレートオフセット値ω
offsetに基づく。したがって、ヨーレートオフセット値ω
offsetを確認するための方法の前述のステップを備える、ヨーレート値ωを確認するための方法もここで任意選択で示される。ヨーレート値またはヨーレートを確認するステップ600は、ヨーレート測定信号S
ω(または経時的なヨーレート測定値)および確認されたヨーレートオフセット値ω
offsetに基づく。特に、これは、確認されたヨーレートオフセット値ω
offsetによって、ヨーレートセンサ4の実際のヨーレート測定値ω
real(または最新の、もしくは現在実際に測定されたヨーレート値)を調整することによって実行することができる。言い換えれば、ヨーレートセンサ4の実際のヨーレート測定値ω
real(または最新の、もしくは現在実際に測定されたヨーレート値)から、確認されたヨーレートオフセット値ω
offsetを減算するかまたは差し引くことができる。
【0062】
図5は、ヨーレートオフセット値またはヨーレート値を確認するための方法のさらなる例示的な実施形態の概略フロー図を示す。これは、
図4に記載された例示的な実施形態に基づく。加えて、方法は、ここではステップ210、220、230、ならびに410および510のうちの1つまたは複数を含む。次いで、
図5でステップ200において自動車両1が静止していると決定された場合(
図5のステップ200における「はい」に対する分岐Y)、方法はステップ210に進み、ヨーレート測定信号S
ω(または複数のヨーレート測定値ω
1、…、ω
x)を閾値ω
thと比較する。特に、各ヨーレート測定値ω
1、…、ω
xは、閾値ω
thと個別に比較することができる。閾値ω
thは、特に、約または最大3°/s、特に約または最大2.5°/s、特に約1°/sの値を有することができる。閾値ω
thは、一定のヨーレート測定値ω
konstを下回ることができるか、または下回るべきである。閾値ω
thは、特にそれぞれのヨーレートセンサ4に応じて、特に所定の値または構成された値とすることができる。
【0063】
ステップ210は、特に閾値ωthを下回るヨーレート測定信号Sωの関連ヨーレート測定値Grelを確認するステップを備えることができる。特に、各ヨーレート測定値ω1、…、ωxについて、ヨーレート測定値が閾値ωthを下回っているかどうかを個別に確認することができる。特に、関連ヨーレート測定値Grel(閾値ωth未満)は、勾配Stを形成するかまたは有する、すなわち、ターンテーブルが回転を開始するかまたは回転を停止するときのヨーレート測定値GStを備えることができる。
【0064】
図6を参照すると、さらなる例示的なヨーレート測定信号S
ωの図が示されている。これは、
図3bに記載された例示的な実施形態に本質的に基づく。加えて、ここでは閾値ω
thおよび勾配Stが示されている。また、勾配Stを形成する一組のまたは確認されたヨーレート測定値G
st、ならびに閾値ω
thを下回るヨーレート測定信号S
ωの一組のまたは関連ヨーレート測定値G
relも示されている。時間t
1~t
2の期間では、ターンテーブルDが回転し始めると、正の勾配Stを形成する一組の(増加する)ヨーレート測定値G
Stが示される。時間t
3~t
4の期間では、ターンテーブルDが回転を停止すると、負の勾配Stを形成する一組の(減少する)ヨーレート測定値G
Stが示される。閾値ω
thを下回るヨーレート測定信号S
ωの一組の関連ヨーレート測定値G
relもまた、示されている。この一組の関連ヨーレート測定値G
relは、ターンテーブルDが一定のターンテーブル速度で回転する期間t
2~t
3、すなわち、ヨーレート測定値が閾値ω
thを上回り、かつヨーレートセンサ4のヨーレートオフセット値ω
offsetをも上回るほぼ一定の値ω
konstを有するときのヨーレート測定値を含まない。したがって、一組の残りのヨーレート測定値G
verは、勾配Stを形成する一組の確認されたヨーレート測定値G
Stを差し引くか、無視するか、または除去した後の一組の関連ヨーレート測定値G
relから生じる組として定義または参照することができる。したがって、残りのヨーレート測定値またはその組G
verは、特にG
ver=G
rel-G
Stで表すことができ、G
relは、関連ヨーレート測定値(閾値未満)を示し、G
Stは、勾配Stを形成するヨーレート測定値を示す。
【0065】
ここで
図5に戻ると、ステップ210において、ヨーレート測定信号S
ωのどの関連ヨーレート測定値G
relが閾値ω
thを下回っているかが確認された場合(
図5のステップ210における「はい」に対する分岐Y)、方法は、関連ヨーレート測定値G
relとしてこれらの確認されたヨーレート測定値を記憶するステップ220に進む。例えば、メモリは、リングバッファ(例えば、最大バッファ長20)として実装することができる。メモリは、特に制御装置3の一部であるか、または制御装置3に直接接続される。ヨーレートオフセット値を確認するために可能な有効または関連ヨーレート測定値G
relのみが、メモリに記憶される。したがって、一組の有効または関連ヨーレート測定値G
relのみが分析される。しかし、一組のヨーレート測定値が閾値ω
thを下回るだけでは十分ではない。ヨーレート測定値ω
1、…、ω
xは閾値ω
thを下回る可能性があるが、特にターンテーブルDが回転を開始するかまたは回転を停止する場合、ターンテーブルDの旋回または回転運動の一部である場合があり、したがってヨーレートオフセット値ω
offsetを確認するために許容されない。したがって、ステップ300で既に説明したように、ヨーレート測定信号S
ωに勾配Stを形成する一組のヨーレート測定値G
Stが確認される。次に、ステップ400において、ヨーレートオフセット値ω
offsetを確認すると、勾配Stを形成するこの一組のヨーレート測定値G
Stが無視されるか、またはフィルタリングされる。ヨーレート測定信号に勾配Stを形成するヨーレート測定値G
Stを確認するステップ300は、閾値ω
thを下回る確認された関連ヨーレート測定値G
relに基づいて、またはこれらの値によって実行される。次いで、勾配Stを形成する確認されたヨーレート測定値G
Stを無視する後続のステップ400は、これらの値を関連ヨーレート測定値G
relから、最も重要なことにはメモリから除去する(またはフィルタリングする)ステップを備える。次いで、残りのヨーレート測定値G
Verのみを使用して、ステップ500でヨーレートオフセット値ω
thを確認することができる。
【0066】
しかし、
図5の例示的な実施形態に見られるように、ステップ300および400の前、すなわち、ステップ220の後に、十分な数の関連する確認されたヨーレート測定値G
relがメモリに記憶されているかどうか(例えば、10~20個の値、または正確に20もしくは10個の値)をチェックするためにステップ230も実行される。したがって、勾配Stの決定を実行するのに十分な関連ヨーレート測定値がメモリで利用可能であるかどうかがチェックされる。ステップ220の後、上述したように、ステップ300、次いでステップ400が実行される。
【0067】
ヨーレート測定信号に勾配Stを形成するヨーレート測定値GStを確認するステップ300において、特に、確認された関連ヨーレート測定値Grel、例えば、メモリ内の最後のいくつかのヨーレート測定値Grel(例えば、メモリ内の最後の3つまたは4つのヨーレート測定値Grel)と共に(単純な)線形回帰を形成することができる。次いで、このようにして決定された直線の勾配Stが十分に急勾配であるかどうか、例えば、この勾配が勾配閾値を超えるかどうか(例えば、勾配>5%)をチェックすることができる。次に、(メモリ内の)どのヨーレート測定値Grelがこの勾配に属するかをチェックすることが可能である。次いで、これらは、勾配Stを形成するヨーレート測定値GStである。次に、勾配Stに属するか、または勾配Stを形成するこれらのヨーレート測定値GStは、ステップ400で無視される。次いで、勾配Stに属さない他の(残りの)ヨーレート測定値GVerを使用して、ステップ500でヨーレートオフセット値ωthを確認することができる。
【0068】
加えて、
図5の例示的な実施形態では、ステップ400の後に、十分な数の確認およびフィルタリングされたヨーレート測定値がメモリに記憶されているかどうか(例えば、10~20個の値、または正確に20もしくは10個の値)をチェックするためにステップ410が実行される。その後にのみ、ステップ500でヨーレートオフセット値ω
offsetを確認することができる。したがって、ステップ410において、その後のステップ500でヨーレートオフセット値ω
offsetを計算するために、十分なヨーレート測定値がメモリに記憶されているか、または残っているかどうかをチェックすることが可能である。
【0069】
次いで、ステップ500において、ヨーレートオフセット値ω
offsetが、メモリに残っているヨーレート測定値G
Verによって、またはそれに基づいて確認される。特に、これらの残りのヨーレート測定値G
Verは、勾配を形成する確認されたヨーレート測定値G
Stを差し引くか、無視するか、または除去した後の関連ヨーレート測定値G
relから生じるメモリ内のヨーレート測定値とすることができる。ここでヨーレートオフセット値ω
offsetを確認するステップは、特に残りのヨーレート測定値G
Verの平均値を確認するステップを備えることができる。平均値は、特に、残りのヨーレート測定値G
Verの合計と残りのヨーレート測定値G
Verの数Nの商として計算することができる。ステップ500によれば、
図3に関連して説明したように、ヨーレート値を確認するステップ600も実行することができる。
【0070】
しかし、
図5の例示的な実施形態に見られるように、ここではステップ500の後に、ステップ500で確認されたヨーレートオフセット値ω
offsetの妥当性をチェックするさらなるステップ510が実行される。妥当性チェックは、特に、弾性率または絶対ヨーレートオフセット値|ω
offset|が規定範囲B内にあるかどうかをチェックするステップを備えることができる。規定範囲Bは、特に0.2~0.3°/sの範囲内とすることができる。
【0071】
図7は、さらなる例示的な実施形態の例示的なヨーレート測定信号S
ωの図を示す。これは、
図6に記載された例示的な実施形態に実質的に基づく。加えて、妥当性チェックのステップ510に使用される範囲Bがここで識別される。ここでの範囲Bは、0ラインと最大値との間に位置して示されている。しかし、範囲Bは、特にプラス/マイナスの規定値の範囲、例えば、プラス/マイナス0.3°/s、すなわち、合計0.6°/sを備える。
【0072】
図8は、さらなる例示的な実施形態の実際に測定されたヨーレート測定信号S
ωの図を示す。
図8の上部には、静止信号(停止)S
standstillが時間に対して記録されている。最初、車両は移動しており、すなわち、車両の速度v
Egoは0ではなく、したがって、停止信号S
standstillは、最初は値0を有する(すなわち、静止していない)。しかし、ある時間の後、
図8に見られるように、停止信号S
standstillは値1を有するか、または値1にジャンプし、すなわち、車両はそのとき停止しているか、または車両の速度v
Egoは0である。
図8の下部には、実際に測定されたヨーレート信号S
ω、すなわち、時間tにわたる測定されたヨーレート測定値がプロットされている。本明細書に記載の方法を使用して、ヨーレートオフセット値ω
offsetはまた、
図8に見られるように、回転ターンテーブルを有する状況において正確に確認される。
【国際調査報告】