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特表2024-511130植物を育てるためのライト、装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】植物を育てるためのライト、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A01G7/00 601Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558566
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022052174
(87)【国際公開番号】W WO2022199910
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021202877.2
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515028838
【氏名又は名称】ウルト エレクトロニク アイソス ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーエフ ジェリオ
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル ハルン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター クラウス
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022DA03
(57)【要約】
植物を育てるためのライト(2)が、少なくとも1つの生育される植物(4)を育てるための光を生成する少なくとも1つの光源(16)、前記植物(4)の少なくとも1つの状態パラメータを検出する少なくとも1つの検出装置(22)、及び前記少なくとも1つの状態パラメータに応じて、前記少なくとも1つの光源(16)を前記植物(4)に対して移動させる少なくとも1つの調節装置(7)を含む。さらに、本発明は植物を育てるための装置(1)及び方法を記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも1つの生育される植物(4)を育てるための光を生成する少なくとも1つの光源(16)、
-前記少なくとも1つの生育される植物(4)の少なくとも1つの状態パラメータを検出する少なくとも1つの検出装置(22)、及び
-前記少なくとも1つの検出装置(22)により検出される前記少なくとも1つの状態パラメータに応じて、前記少なくとも1つの光源(16)を前記少なくとも1つの生育される植物(4)に対して移動させる少なくとも1つの調節装置(7)、
を含む植物を育てるためのライト。
【請求項2】
前記少なくとも1つの調節装置(7)はリニアドライブ、特にスピンドルドライブ(9)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のライト。
【請求項3】
前記少なくとも1つの調節装置(7)は、ライト基体(6)に対して回動可能に設置された少なくとも1つのブーム(8)を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のライト。
【請求項4】
前記少なくとも1つのブーム(8)は、結合要素(14)を介して前記少なくとも1つの調節装置(7)のリニアドライブに、特にスピンドルドライブ(9)のスピンドルナット(11)に結合されている、ことを特徴とする請求項3に記載のライト。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光源(16)は、前記少なくとも1つのブーム(8)に沿って移動可能、特にガイドされて移動可能である、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のライト。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光源(16)は、前記少なくとも1つの調節装置(7)のリニアドライブに、特にスピンドルドライブ(9)のスピンドルナット(11)に結合されている、ことを特徴とする請求項5に記載のライト。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源(16)は少なくとも1つのフレキシブルサブストレート(17)に配置されている、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のライト。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフレキシブルサブストレート(17)は、前記少なくとも1つの調節装置(7)の少なくとも1つのブーム(8)に沿って移動可能、特にガイドされて移動可能である、ことを特徴とする請求項7に記載のライト。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフレキシブルサブストレート(17)は、前記少なくとも1つの調節装置(7)のリニアドライブに、特にスピンドルドライブ(9)のスピンドルナット(11)に結合されている、ことを特徴とする請求項7又は8に記載のライト。
【請求項10】
少なくとも2つの光源(16)を有し、
光が前記少なくとも2つの光源(16)によって前記少なくとも1つの生育される植物(4)に少なくとも2つの側から照射可能であるように、前記少なくとも2つの光源(16)は配置されている、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のライト。
【請求項11】
前記少なくとも1つの検出装置(22)は、少なくとも1つの分光計、特に少なくとも1つの近赤外分光計(24)、少なくとも1つの距離センサー及び/又は少なくとも1つの3Dスキャナーを含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のライト。
【請求項12】
前記少なくとも1つの生育される植物(4)の少なくとも1つのさらなる状態パラメータを検出する少なくとも1つの第二検出装置(25)を有する、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のライト。
【請求項13】
-請求項1~12の少なくとも1つに記載の少なくとも1つのライト(2)、及び
-少なくとも1つの植物基体(5)を収容する少なくとも1つの容器(3)
を含む植物を育てるための装置。
【請求項14】
特に前記少なくとも1つの生育される植物(4)の少なくとも1つの検出される状態パラメータに依存して、前記少なくとも1つの生育される植物(4)に液体及び/又は肥料を供給する少なくとも1つの液体タンク(30)及び/又は1つの肥料タンク(35)を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
-少なくとも1つの生育される植物(4)を提供し、
-請求項1~12の少なくとも1つに記載のライト(2)を提供し、
-前記少なくとも1つの光源(16)によって前記少なくとも1つの生育される植物(4)に光を照射し、
-前記少なくとも1つの検出装置(22)によって前記少なくとも1つの生育される植物(4)の少なくとも1つの状態パラメータを検出し、及び
-前記少なくとも1つの調節装置(7)によって、前記少なくとも1つの状態パラメータに応じて前記少なくとも1つの光源(16)を前記少なくとも1つの生育される植物(4)に対して移動させる、
ステップを含む植物を育てるための方法。
【請求項16】
葉面積指数及び/又は前記少なくとも1つの生育される植物(4)の大きさが、前記少なくとも1つの検出装置(22)によって検出される、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの光源(16)の放射特性が、検出される前記少なくとも1つの状態パラメータに依存して変えられる、特に適合される、ことを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの生育される植物(4)の少なくとも1つの付加的な状態パラメータ、特にその含水量及び/又は栄養含量が確認される、ことを特徴とする請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
植物の生育の初めに、前記ライト(2)の開始構成、特に前記少なくとも1つの光源(16)の位置及び/又は放射特性を決定するための較正ステップ(42)を有する、ことを特徴とする請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光源(16)の移動が少なくとも2つの自由度で、特に少なくとも3つの自由度で生じる、ことを特徴とする請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
様々な自由度の移動が結合により、特に単一のドライブによって、生じる、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独国特許出願DE102021202877.2の内容は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、植物を育てるためのライト(光源)及び装置に関する。さらに本発明は植物を育てるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
植物を育てるためのライトは従来技術から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE102019102176A1
【特許文献2】DE102018101974A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、植物を育てるためのライトを改良すること、特に生育される植物の効率的な照明を可能するライトを特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載のライトに依って達成される。ライトは、少なくとも1つの生育される植物を育てるための光を生成する少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの生育される植物の少なくとも1つの状態パラメータを検出する少なくとも1つの検出装置を含む。さらにライトは、少なくとも1つの検出装置により検出される少なくとも1つの状態パラメータに応じて、少なくとも1つの光源を少なくとも1つの生育される植物に対して移動させる少なくとも1つの調節装置を含む。特に、少なくとも1つの調節装置は、少なくとも1つの状態パラメータに応じて少なくとも1つの光源を少なくとも1つの生育される植物に対して自動的に移動させるように構成される。少なくとも1つの光源の移動のために、少なくとも1つの生育される植物に対するその相対位置、特にその距離が少なくとも1つの状態パラメータに依存して設定され得る、特に最適化され得る。植物ライト、特にその形状は、少なくとも1つの生育される植物の要件に適合可能である。これは植物の成長を健康的且つ効率的に促進する。
【0007】
少なくとも1つの光源の少なくとも1つの生育される植物に対する移動のため、植物に入射しないさらに不必要な散乱光が減少される。特に回避される。このようにして、ライトのエネルギー効率が改善される。ライトは植物の効率的で安価な生育を可能とする。
【0008】
少なくとも1つの光源の少なくとも1つの生育される植物に対する移動は、特に、少なくとも1つの状態パラメータの変化に依存して、好ましくは少なくとも1つの生育される植物の成長に依存して、連続的に又は段階的に行われ得る。少なくとも1つの光源の相対位置は好ましくは、少なくとも1つの生育される植物の成長に連続的に又は段階的に適合可能である。例えば、少なくとも1つの光源の光円錐による、少なくとも1つの生育される植物の最良の可能性があるカバー(覆い)が保証されるように、少なくとも1つの光源の移動は行われ得る。少なくとも1つの生育される植物はいつでも光を最適に供給され得る。
【0009】
ライトは少なくとも1つの生育される植物を育てるために使用される。植物成長は、少なくとも1つの生育される植物の1又は複数の生育段階(vegetation phase)に、特に芽生え段階、成長段階(growth phase)、開花段階、繁殖段階、及び/又は収穫段階に及び得る。少なくとも1つの生育される植物は、少なくとも植物成長の初めに、特に植物種子、発芽した植物種子、芽生え及び/又は成長しきった植物として提供され得る。少なくとも1つの光源の相対位置は、少なくとも1つの調節装置を介して少なくとも1つの生育される植物の様々な生育段階に適合可能である。
【0010】
少なくとも1つの状態パラメータは特に、少なくとも1つの生育される植物の大きさ、葉面積指数(LAI)、含水量、栄養含量(栄養分)、特に糖含量、生育段階、特に成長段階及び/又は温度であり得る。加えて又はそれに代えて、植物基体及び/又は周囲大気の水分含量及び/又は周囲大気及び/又は植物基体の温度もまた状態パラメータとして考慮される。少なくとも1つの状態パラメータは好ましくは、少なくとも1つの生育される植物の成長パラメータである。成長パラメータはここで及び以下では、少なくとも1つの生育される植物の植物成長についての結論を可能とする状態パラメータとして理解される。例示の成長パラメータは特に、少なくとも1つの生育される植物の大きさ、生育段階、特に成長段階、及び/又は葉面積指数である。少なくとも1つの光源の移動は好ましくは、植物の大きさ及び/又は生育段階、特に成長段階に依存して行われ得る。少なくとも1つの光源の移動は特に、少なくとも1つの生育される植物の大きさ及び/又は生育段階に依存して連続的に又は段階的に行われ得る。
【0011】
特に、少なくとも1つの調節装置は、検出される少なくとも1つの状態パラメータに依存して、少なくとも1つの光源を少なくとも1つの生育される植物に対して、自動的に、特に完全に自動的に移動させるように構成される。例えば、少なくとも1つの調節装置は、少なくとも1つの状態パラメータを評価する及び/又は少なくとも1つの状態パラメータに依存して少なくとも1つの光源の移動を制御する評価装置を含む。
【0012】
特に、少なくとも1つの光源の移動は、電動式で、油圧式で及び/又は空気圧式で実行され得る。少なくとも1つの光源の移動は好ましくは、少なくとも1つの調節装置のドライブ(駆動装置)によって実行される。少なくとも1つの調節装置は好ましくは、電動ドライブ、特に電動ドライブ、油圧式ドライブ及び/又は空気圧ドライブを含む。ドライブは、例えば、少なくとも1つの状態パラメータに依存して少なくとも1つの調節装置の評価装置によって起動され得る。
【0013】
ライトは、少なくとも1つの生育される植物を成長させる光を生成する少なくとも1つの光源を含む。少なくとも1つの光源を用いて生成される光は、少なくとも1つの生育される植物に照射される。ライトは好ましくは、複数の光源を含む。複数の光源が、照射光による少なくとも1つの生育される植物のより良いカバーを可能にする。
【0014】
少なくとも1つの光源は好ましくは、少なくとも1つのLEDを含む。LEDは、堅牢でありエネルギー効率が優れている。特に、少なくとも1つの光源は少なくとも1つの多色LEDを含む。
【0015】
少なくとも1つの光源の放射特性が特に好ましくは可変である。例えば、少なくとも1つの光源で生成される光の光スペクトル及び/又は強度が可変であり得る。特に、少なくとも1つの光源の放射特性は少なくとも1つの生育される植物の少なくとも1つの状態パラメータに依存して適合可能であり得る。例えば、少なくとも1つの光源の光スペクトルが、少なくとも1つの生育される植物のそれぞれの生育段階、特に成長段階に適合可能であり得る。適合可能な放射特性、特に適合可能な光スペクトルを有するLEDが特にふさわしいことが判明した。
【0016】
請求項2に記載のライトは堅牢であり、少なくとも1つの光源の正確な運動を可能にする。特に、スピンドルドライブが少なくとも1つの光源の連続的移動を可能にする。ライト、特にその形状は、植物の少なくとも1つの状態パラメータに連続的に適合可能である。リニアドライブ、特にスピンドルドライブは、少なくともライトの部品の直線運動を可能にする。特に、ライト、特に少なくとも1つの光源の高さ調節がこのようにして実行され得る。ライトは特に少なくとも1つの生育される植物の変化する大きさに上手く適合可能である。
【0017】
リニアドライブ、特にスピンドルドライブは、例えばモーター、特に電動機を含み得る。トルクモーターが特にふさわしいことが判明した。モーターの回転運動は特にスピンドルドライブによって直線運動に変換され得る。
【0018】
請求項3に記載のライトは、特にフレキシブルに設定可能であり、安定的である。回動可能に設置されたブームが、ライト基体に対する少なくとも1つの光源の移動を可能にする。ライト基体の移動が必要とされない。少なくとも1つのライト基体は特に適所に固定され得る。ランプの安定性はこのようにして増大され得る。ライト基体は例えばライトのスタンドであり得る。
【0019】
回動可能に設置されたブームは、少なくとも1つの光源の簡単で狙い通りの移動を可能にする。特に、少なくとも1つのブームは水平軸の周りに回動可能である。
【0020】
ライトは好ましくは、ライト基体に回動可能に設置された複数のブームを含む。例えば、ブームはスタンドとして設計されるライト基体から星形に出てもよい。ブームは特にライト基体に関して対称的に配置され得る。例えば、ライトは互いにそれぞれ90°ずれた4つのブームを含む。
【0021】
複数のブームはライト基体に傘のように配置され得る。よって、ブームの回動はブームで形成される傘の開閉を生じさせる。高さ及び幅におけるランプ形状の調節がこのようにして簡単に可能である。
【0022】
請求項4に記載のライトは安定的で、正確に調節可能である。少なくとも1つのブームは、結合要素によって簡単かつ正確に回動可能である。回動は特にガイド式に行われる。リニアドライブ、特にスピンドルドライブを用いて生成される直線運動が、結合要素によって少なくとも1つのブームの回動運動に変換可能である。好ましくは、1つの結合要素がブーム毎に設置される。
【0023】
結合要素は特に結合ロッドの形式で具体化される。特に結合ロッドはそれぞれのブームとリニアドライブ、特にスピンドルナットに操作的に(動作的に)接続している。特に、結合ロッドは、それぞれのブーム及び/又はリニアドライブ、特にスピンドルナットに固定、例えば回動可能に固定され得る。
【0024】
結合ロッドは好ましくは、少なくとも1つのブームのための案内歯車装置を形成する。例えば、結合ロッドはリニアドライブに、特にスピンドルドライブのスピンドルナットに固定的に接続され得る。結合ロッドは例えば変位可能に、特にガイドに沿って変位可能に及び/又はそれぞれのブームに回動可能に配置され得る。例えば、結合ロッドは捩れ補償要素を介してそれぞれのブームに配置される、特に固定される。案内歯車装置は簡単に設計され、安定的で、信頼できる。
【0025】
請求項5に記載のライトは特にフレキシブルである。少なくとも1つの光源を調節装置の少なくとも1つのブームに沿って移動させる能力は、さらなる自由度の運動を可能にする。特に、さらなる自由度の運動は基体の高さ調節と少なくとも1つのブームの回動性に加えて生じ得る。これは少なくとも1つの光源の移動の柔軟性を増加させる。少なくとも1つの光源の位置は、少なくとも1つの生育される植物の少なくとも1つの状態パラメータ、特に大きさに特に正確に適合可能である。少なくとも1つのブームに沿う少なくとも1つの光源の移動は好ましくは、ブームの回動位置に応じて生じる。
【0026】
少なくとも1つの光源は好ましくは、少なくとも1つのサブストレートに、特に少なくとも1つのフレキシブルサブストレートに配置される。少なくとも1つのサブストレートは特に好ましくは、少なくとも1つのブームに沿って移動可能、特にガイドされて移動可能である。少なくとも1つの光源を有する少なくとも1つのサブストレートは例えば、少なくとも1つのライトバンドを形成し得る。
【0027】
特に、少なくとも1つの光源は、ブームに沿ってガイドされて移動可能、特にガイドされて変位可能である。例えば、少なくとも1つのブームは、少なくとも1つの光源が配置される少なくとも1つのサブストレートのための、特にライトバンドのためのガイドレールを含み得る。
【0028】
請求項6に記載のライトは簡単に設計され、信頼できる。少なくとも1つの光源とリニアドライブ、特にスピンドルドライブのスピンドルナットの結合のため、リニアドライブによる少なくとも1つの光源の移動が保証される。少なくとも1つのブームに沿う少なくとも1つの光源の移動用の別個のドライブは必要でない。
【0029】
特に、少なくとも1つの光源が好ましくは配置され得る少なくとも1つのサブストレート、特に少なくとも1つのフレキシブルサブストレートは、リニアドライブに、特にスピンドルドライブのスピンドルナットに結合される。少なくとも1つのサブストレートは、例えば端部で、特に前端で、リニアドライブに、特にスピンドルナットに固定され得る。
【0030】
少なくとも1つのブーム及び少なくとも1つの光源、特にその少なくとも1つのサブストレートは、好ましくは、リニアドライブに、特にスピンドルナットに結合される。これは、少なくとも1つのブーム及び少なくとも1つの光源の互いに調和した同時の移動を保証する。特に、その回動位置に依存する少なくとも1つのブームに沿う少なくとも1つの光源の移動が保証される。
【0031】
請求項7に記載のライトは、フレキシブルで、寿命が長い。フレキシブルサブストレートは、調節装置によって生じる移動に簡単且つ確実に適合可能である。その移動中の少なくとも1つの光源の確実な固定がこのようにして保証される。不要な摩耗が回避される。
【0032】
少なくとも1つのフレキシブルサブストレートは特にフレキシブル回路基板を含む。フレキシブル回路基板が、少なくとも1つの光源の確実な電力供給と起動を可能にする。好ましくは、複数の光源、特に複数のLEDが少なくとも1つのフレキシブルサブストレートに配置される。フレキシブルサブストレートは、ライトバンド、特にLEDバンドであってもよい。ライトは好ましくは、ブーム毎に1つのフレキシブルサブストレート、特に1つのライトバンドを含む。
【0033】
請求項8に記載のライトは特にフレキシブルである。調節装置の少なくとも1つのブームに沿う少なくとも1つのフレキシブルサブストレートの可動性は、少なくとも1つの光源の移動の柔軟性を高める。少なくとも1つの光源の位置は、少なくとも1つの生育される植物の少なくとも1つの状態パラメータ、特に大きさに特に正確に適合可能である。少なくとも1つのブームに沿う少なくとも1つのフレキシブルサブストレートの移動は好ましくは、ブームの回動位置に応じて行われる。
【0034】
少なくとも1つのフレキシブルサブストレートは、特にブームに沿ってガイドされて移動可能、特にガイドされて変位可能である。例えば、少なくとも1つのブームは、少なくとも1つのフレキシブルサブストレート用の、特にライトバンド用のガイドレールを含み得る。好ましくは、1つのフレキシブルサブストレート、特に1つのライトバンドは、ブーム毎にそれぞれのガイドレール内をガイドされて変位可能である。
【0035】
請求項9に記載のライトは簡単に設計され、信頼できる。少なくとも1つのフレキシブルサブストレートとリニアドライブ、特にスピンドルドライブのスピンドルナットとの結合のために、リニアドライブによる少なくとも1つのフレキシブルサブストレートの移動が保証される。少なくとも1つのフレキシブルサブストレートの移動用の別個のドライブが必要でない。少なくとも1つのフレキシブルサブストレートは例えば端部で、特に前端で、リニアドライブに、特にスピンドルナットに固定され得る。
【0036】
少なくとも1つのブームと少なくとも1つのフレキシブルサブストレートは好ましくは、リニアドライブに、特にスピンドルナットに連結される。これは、少なくとも1つのブームと少なくとも1つのフレキシブルサブストレートの互いに調和した同時の移動を保証する。特に、少なくとも1つのブームに沿う少なくとも1つのフレキシブルサブストレートの移動がその回動位置に応じて保証される。
【0037】
請求項10に記載のライトは、少なくとも1つの生育される植物への特に効率的な光照射を保証する。少なくとも2つのサイドからの少なくとも1つの生育される植物への光の照射が、植物の光収率を改善する。特に、末端・縁だけでなく、例えば植物の上側の葉が光で照らされる。特に少なくとも1つの光源が光を横に少なくとも1つの植物へ照射するように、少なくとも2つの光源は配置される。光の照射は好ましくは、多数の光源を用いて上から及び少なくとも2つのサイドから行われる。
【0038】
ライトは特に好ましくは、フレキシブルサブストレート毎に、特にライトバンド毎に、少なくとも2つの光源を含む。特に、光がフレキシブルサブストレートの少なくとも2つの光源によって少なくとも1つの生育される植物に少なくとも2つのサイドから照射可能であるように、少なくとも1つのフレキシブルサブストレートは配置され得る。例えば、ライトバンドは植物の外側輪郭に沿って湾曲し得る。特に、フレキシブルサブストレートの配置によって光源の少なくとも1つが光を植物に上から照射し、少なくとも1つのさらなる光源が光を少なくとも1つの植物に横から照射することが保証される。
【0039】
請求項11に記載のライトは、少なくとも1つの生育される植物に特に良好に適合可能である。距離センサーが少なくとも1つの生育される植物に対する少なくとも1つの光源の位置決めを簡単かつ効率的に可能にする。3Dスキャナー、特にレーザースキャナーによって、植物の大きさを測定できる。適切な3Dスキャナーは、例えばライダーシステム、レーダーシステム及び/又はToFカメラである。ライダー(lidar)は、英用語「light detection and ranging」(光検知測距)又は「light imaging, detection and ranging」の略語である。レーダー(ladar)は、英用語「light amplification by stimulated emission of radiation detection and ranging」の略語である。ToFは、英用語「time-of-flight」(飛行時間)の略語である。特に、植物の成長進行は3Dスキャナーを用いて特に正確に追跡され得る。ライトは植物サイズに特に正確に適合可能である。
【0040】
分光計、特に近赤外(NIR)用の分光計(近赤外分光計とも呼ばれる)は、少なくとも1つの生育される植物から生じる放射のスペクトル分析を可能にする。スペクトル分析は、少なくとも1つの生育される植物の様々な状態パラメータ、例えば、栄養含量、含水量、大きさ及び/又は葉面積指数についての結論を可能にする。特に、植物のそれぞれの生育段階、特にそれぞれの成長段階が決定され得る。
【0041】
少なくとも1つの検出装置は好ましくは、少なくとも1つの分光計、特に赤外分光計、特に近赤外分光計を含む。植物の部分の、特に葉の反射率は赤外領域で特に高い。ゆえに、植物の大きさ、特に枝葉によるカバー、特に葉面積指数が特に正確に決定され得る。このようにして、植物サイズ及び/又は生育段階、特に成長段階についての簡単かつ信頼できる結論が可能である。少なくとも1つの光源の位置及び/又は放射特性が、少なくとも1つの生育される植物のそれぞれの状態に特に正確に適合可能である。近赤外分光法は、少なくとも1つの生育される植物の含水量及び/又は栄養含量を測定するのに特に適していると判明した。含水量及び/又は栄養含量を介して植物のそれぞれの生育段階、特に成長段階についての結論が導かれ得る。さらに、この情報は、少なくとも1つの生育される植物を制御するために、特に調整し、自動的な灌水及び/又は施肥を行うために使用され得る。例えば、植物中の栄養素の量及び/又は質が、特に少なくとも1つの生育される植物の近赤外線吸収スペクトルに基づいて、決定可能である。少なくとも1つの光源の照明パラメータ、特に放射特性、好ましくは少なくとも1つの光源の光スペクトルが、植物中の栄養素の量及び/又は質に適合可能であり、それにより植物は必要な栄養素を生産するように刺激される。
【0042】
特に、700nm~10000nmの波長、特に760nm~2500nmの波長、特に850nm~2500nmの波長が赤外分光法に適している。赤外分光計、特に近赤外分光計は、700nm~10000nm、特に850nm~2500nmの波長の広帯域スペクトル分析を特に好ましく可能にする。
【0043】
赤外分光法のために、近赤外分光計は、少なくとも1つの生育される植物から反射される近赤外線を記録する。近赤外分光計は例えば近赤外センサーであり得る。例示の適切な近赤外センサーは、例えば特許文献1に記載されている。
【0044】
少なくとも1つの生育される植物、特にその葉から生じる赤外線放射は特に、反射した赤外線放射である。この目的のため、赤外線放射、特に近赤外放射が少なくとも1つの生育される植物に照射可能である。例えば、少なくとも1つの光源によって生成され、植物に照射される光は、赤外線放射を含み得る。例えば、少なくとも1つの光源の光スペクトルは近赤外放射を含む。それに代えて又は加えて、検出装置が少なくとも1つの近赤外放射線源、例えば近赤外LED及び/又は近赤外レーザーを含み得る。近赤外放射線源は好ましくは、近赤外広帯域エミッターを含む。例示の適切な赤外線放射線源が特許文献2に記載されている。700nm~10000nm、特に760nm~2500nm、特に850nm~2500nmの波長を有する近赤外放射は好ましくは、近赤外放射線源によって生成され得る。近赤外放射線源を用いて、近赤外分光法のために必要となる近赤外放射は特に狙い通りに照射可能である。これは、分光計の効率及び測定精度を増加させる。
【0045】
少なくとも1つの検出装置は好ましくは、少なくとも1つの調節装置によって少なくとも1つの光源の移動時に移動される。検出装置は少なくとも1つの光源の変位を考慮する。少なくとも1つの検出装置、特に少なくとも1つの分光計、少なくとも1つの距離センサー及び/又は少なくとも1つの3Dスキャナーは、例えば、調節装置のブームの1又は複数に配置され得る。例えば、少なくとも1つの検出装置は少なくとも1つのブームに直接配置され得る。さらに又はそれに代えて、少なくとも1つの検出装置は少なくとも1つの光源のフレキシブルサブストレートに配置され得る。
【0046】
少なくとも1つの検出装置、特に少なくとも1つの近赤外分光計の可動性はさらに、少なくとも1つの生育される植物に対する少なくとも1つのセンサーの位置が変えられ得るという利点を有する。例えば、測定は様々な相対位置で実行され得る。これは特に正確な測定を可能にする。例えばそれぞれの植物成長の初めに、繰り返しの測定が可能である。このようにして、植物の正確な開始状態が決定され得る。植物成長のためのさらなるパラメータはこの決定から出発して確定され得る。例えば、どの植物サイズから少なくとも1つの光源の放射特性が変えられるかが確定され得る。
【0047】
ライトは、データを受信及び/又は送信するためのデータインターフェースを含み得る。データインターフェースは有線及び/又は無線であり得る。特に、データインターフェースは、ブルーツゥース(登録商標)、WLAN及び/又は移動無線、特に3G,4G及び/又は5Gを介するデータ交換のために設計され得る。特に、植物ライトのユーザーの装置、特にスマートフォンのアプリケーションへの接続が、データインターフェースを介して創出され得る。データインターフェースを用いて、例えば、操作パラメータ及び/又は成長データがライトに伝送され得る。例えば、生育される植物について、特にその植物属及び/又は種についての情報が、ライトに伝送され得る。ライトは、成長データに基づいて関連する植物の成長に最適に適合され得る。例えば、特にライトの調節に及び/又は放射特性のバリエーションに関連する特別な操作パラメータが伝送され得る。それに代えて、このような操作パラメータは、様々な植物属及び/又は種のためのライトのメモリーに既に記憶され得る。データはさらにデータインターフェースを介して出力され得る。例えば、少なくとも1つの検出される状態パラメータについてのデータが出力され得る。例えば、メッセージが新たな生育段階に達したときにユーザーに出力され得る。
【0048】
請求項12に記載のライトは、特にフレキシブルで、使い勝手が良い。特に、植物は完全に自動的に成長され得る。例えば、少なくとも1つの第二検出装置は湿度センサー及び/又は温度センサーを含む。湿度センサーを用いて、例えば、植物基体、空気及び/又は少なくとも1つの生育される植物の含水量が決定され得る。灌水が、決定された含水量に応じて、特に完全に自動的に、制御され得る。植物成長のために必要となる温度が温度センサーを用いて監視され得る。特に制御され得る。
【0049】
本発明のさらなる目的は植物を育てるための装置を改良することである。
【0050】
この目的は、請求項13に記載の特徴を有する装置によって達成される。装置は、上述した少なくとも1つの植物を育てるためのライト、及び少なくとも1つの植物基体を収容する少なくとも1つの容器を含む。装置は上述したライトの利点を有する。容器は、特にハイドロカルチャー用の植物基体を収容するように設計され得る。装置は、特に植物を水耕栽培するのに適している。
【0051】
装置は特にモジュール式組立品として設計され得る。例えば、様々なライト及び様々な容器が組み合わされ得、植物を育てる様々な方法に、特に生育される植物の様々な植物サイズ及び/又は様々な数に適合可能である。様々な容器は例えば、ハイドロカルチャー及び/又は鉢植え用土壌の植物基体としての使用に適している。さらに、様々な植物サイズが様々な容器及び/又は植物ライトを介して考慮され得る。
【0052】
請求項14に記載の装置は特に多用途である。特に、植物は装置を用いて完全に自動的に成長され得る。液体タンク及び/又は肥料タンクを用いて、それぞれの状態パラメータに適合する植物の灌水及び/又は施肥が行われ得る。例えば、湿度センサーを用いて植物に水をかける必要があるかどうか測定され得る。含水量及び/又は栄養含量もまた近赤外分光計を用いて簡単かつ正確に決定され得る。灌水及び/又は施肥が少なくとも1つの生育される植物のそれぞれの状態に最適に適合され得る。これは、植物成長及び成長方法の効率を改善する。
【0053】
水タンク及び/又は肥料タンクは特にライトの一部であってもよい。例えば、ライト基体におけるライトは、水タンク及び/又は肥料タンクを充填するための充填開口を含み得る。
【0054】
装置、特に容器はさらに、自動灌水のための灌水装置を含み得る。特に、潅水装置は点滴灌漑用に設計され得る。
【0055】
装置、特に容器はさらに、温度調節装置、特にヒーターを含み得る。植物を育てるための最適な温度は、温度調節装置によって保証され得る。
【0056】
本発明のさらなる目的は、植物を育てるための方法を改良することである。
【0057】
この目的は、請求項15に記載のステップを有する方法によって達成される。まず、上述した少なくとも1つの生育される植物及びライトが提供される。上述した植物を育てるための装置が好ましくは提供される。ライトの少なくとも1つの光源を用いて、ライトが少なくとも1つの生育される植物に照射される。少なくとも1つの検出装置を用いて、少なくとも1つの生育される植物の少なくとも1つの状態パラメータが検出される。少なくとも1つの調節装置を用いて、少なくとも1つの光源が、少なくとも1つの状態パラメータに依存して少なくとも1つの生育される植物に対して移動される。本方法は、ライトに関して記載した利点を有する。植物成長はこの方法を用いて特に有利に促進され得る。植物の生育が効率的で、省エネルギーになる。
【0058】
少なくとも1つの生育される植物は、特に植物種子、発芽した植物種子、芽生え及び/又は成長しきった植物として提供され得る。植物を育てるための方法は、少なくとも1つの生育される植物の1又は複数の生育段階に、特に芽生え段階、成長段階、開花段階、繁殖段階及び/又は収穫段階に及び得る。
【0059】
請求項16に記載の方法は植物の様々な成長段階に特に正確に適合可能である。測定は、特に少なくとも1つの分光計、好ましくは近赤外分光計、少なくとも1つの距離センサー及び/又は少なくとも1つの3Dセンサーを用いて実行され得る。
【0060】
請求項17に記載の方法は植物のそれぞれの要件に特に上手く適合可能である。特に、少なくとも1つの生育される植物の様々な成長段階が考慮され得る。少なくとも1つの光源の放射特性、特にスペクトル及び/又は強度が、少なくとも1つの生育される植物のそれぞれの状態、特に生育段階に適合され得る。
【0061】
請求項18に記載の方法は特にフレキシブルに且つ多用途で使用可能である。少なくとも1つの付加的な状態パラメータがそれぞれの植物状態の正確な考慮さえ可能にする。特に、少なくとも1つの生育される植物の含水量及び/又は栄養含量の決定が植物の完全に自動的な灌水及び/又は施肥を可能にする。照明だけでなく、植物の水及び/又は栄養素の供給も、植物の種及び/又はそのそれぞれの状態に最適に適合可能である。
【0062】
請求項19に記載の方法は特に多用途で、正確である。較正ステップは例えば開始パラメータの入力を含み得る。例えば、生育される植物の種又は属及び/又は植物を育てるための具体的な要件がデータインターフェースを介して伝送され得る。さらなる成長方法がこれら開始パラメータに応じて実行され得る。
【0063】
好ましくは、開始状態、特に生育される植物の種又は属及び/又は初期サイズの自動的検出が較正ステップで行われる。よって、少なくとも1つの光源の最適な開始構成、特に位置及び/又は距離特性が自動的に選択され得る。較正ステップでは、少なくとも1つの状態パラメータが好ましくは、少なくとも1つの検出装置を用いて、特に好ましくは少なくとも1つの生育される植物に対する少なくとも1つの検出装置の様々な位置を用いて、何度も測定され得る。
【0064】
較正ステップは、植物を育てるモジュール装置のために特に有利である。ライトと容器の組み合わせとは無関係に、ライトの生育される植物への最適な適合がこのようにして保証される。
【0065】
請求項20に記載の方法は特にフレキシブルである。多数の自由度が、植物に対する少なくとも1つの光源の位置の特に良好な適合を可能にする。可能な自由度は特に、ライトの、特にライト基体の垂直な調節性能、少なくとも1つのブームの回動性及び/又はブーム、特に回動可能なブームに沿う少なくとも1つの光源の移動性、特に変位性である。
【0066】
請求項21に記載の方法は特に正確でフェイルセーフである。様々な自由度での、特に少なくとも3の異なる自由度での移動の結合によって、少なくとも1つの光源の正確で調和した移動が可能となる。単一のドライブの使用によって、ライトが構造的に簡単になり、フェイルセーフとなる。
【0067】
本発明のさらなる詳細、利点及び詳細は、図面に基づく好ましい例示の実施形態の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】ライトによって植物を育てるための装置の透視図であり、ライトの形状が生育される植物の小さいサイズに適合されている。
図2図1のライトのブームとスピンドルドライブを示す図である。
図3図1の装置の透視図であり、ライトの形状が生育される植物の大きめのサイズに適合されている。
図4図3の装置の側面図である。
図5図3の装置の下から斜めに見た透視図である。
図6】植物を育てる方法の図式の方法シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
植物を育てる装置1の例示の実施形態を図1~5に基づいて説明する。装置1は、植物を育てるためのライト2と容器3を含む。ライト2はその形状(幾何学形状)を、図式的に示された生育される植物4の成長に適合可能である。図1では、植物4は植物の成長の初めを示されている。ライト2の形状は、植物4の大きさに適合され、小さいだけである。図2は、植物の成長の初めにおけるライト2の個々の構成部品を示す。図3~5では、ライトは、そのうちに生じた植物4の植物成長に適合され、従って植物4の大きめのサイズに適合されている。明瞭性のために、成長した植物4は図4では図式的にのみ示されている。
【0070】
容器3は、図1及び3に図式的に示された植物基体5のための容器を形成する。植物基体5は例えば、鉢植え用の土やハイドロカルチャー用のサブストレートであり得る。1つの生育される植物だけが図面に図式的に示されている。しかしながら、容器3のサイズのために、複数の植物もそこに含まれる植物基体に植えられ得る。例えば、複数の植物はライト2の周りにグループ化され得る(寄せ集められ得る)。
【0071】
容器3はライト2と一体に具体化されている。ライト2はライト基体6を含む。ライト基体は、容器3の中央に配置されたスタンドの形態で設計されている。
【0072】
ライト2は調節装置7を含む。調節装置7は、4つのブーム8とスピンドルドライブ9を含む。スピンドルドライブ9はねじ式スピンドル10とスピンドルナット11を含む。ねじ式スピンドル10は植物基体6に一体化されている。スピンドルナット11の回転の際、それはねじ式スピンドルに沿って垂直方向vに進む(図2参照)。
【0073】
ブーム8はライト基体6の周りに星形に配置されている。ブーム8はフレキシブルジョイント12を介してカラー13に回動可能に設置されている(図2参照)。カラー13はライト基体6に回転可能に配置されている。フレキシブルジョイント12の援助により、ブーム8はカラー13に対して、従ってライト基体6に関して回動できる。回動は、図示の例示の実施形態において水平回動軸の周りに生じる。回動はスピンドルドライブ9の援助により生じる。
【0074】
ブーム8は傘のようにライト基体6に配置されている。ライト形状の適合の間、ブーム8により形成される傘は開閉する。
【0075】
ブーム8は各々、結合ロッド14として設計された結合要素を介してスピンドルナット11に結合されている。結合ロッド14は各々、スピンドルナット11に固定的に配置されている。結合ロッド14がブーム8の回動中に案内歯車装置として使用されるように、結合ロッド14はそれぞれのブーム8に配置されている。結合ロッド14は、捩れ補償要素36を介してそれぞれのブーム8に配置されている。
【0076】
調節装置13は、トルクモーター(不図示)の形態の電気モーターを含む。トルクモーターは、カラー13の高さにライト基体6の領域に配置されている。カラー13は、トルクモーターの回転駆動によって基体6に対して回転され得る。ブーム8はカラー13と共に回転し始める。回転は、結合ロッド14を介してスピンドルナット11に伝達される。回転は矢印Rによって図2に図式的に示される。回転はねじ式スピンドル11に伝達され、それから逸れは垂直方向vに進行する。スピンドルナットは、回転方向に依存してねじ式スピンドル10上を上下に移動する。結合ロッド14も、ねじ式スピンドルの垂直運動によって上方へ移動される。結合ロッド14はこの場合案内歯車装置として作用し、それらはカラー13に対する、従ってライト基体6に対するブーム8の回動を引き起こす。回動は、フレキシブルジョイント12によって定義される水平回動軸の周りに生じる。回動は、ライト基体6から離反するブーム8の端部15の運動をもたらす。
【0077】
スピンドルナット11の上方運動の間、ブーム8のブーム端部15は上方へ及びライト基体6から離れて横に移動される。ブーム8によって形成される傘は開く。スピンドルナット11の反対の運動の際、従ってねじ式スピンドル10に沿う下方への運動の際、ブーム端部は下方へ及びライト基体6に向かって横に移動される。ブーム8により形成される傘は閉じる。
【0078】
図面に示される例示の実施形態では、ブーム8と、これを介してスピンドルナット11とは、運動を引き起こすために回転される。他の例示の実施形態(不図示)では、ライト基体6又は少なくともねじ式スピンドル10は回転可能に設置されている。ねじ式スピンドル10はモーターにより回転され、それでブーム8の回動が生じるが、その回転は生じない。さらに他の例示の実施形態では、他の線形駆動部を用いて直線移動が実行される。スピンドルドライブに代えて、例えば、空気圧及び/又は油圧ドライブが使用され得る。植物に対するライトの移動の一般的なコンセプトは、ここで具体的に記載される調節装置7とは無関係である。このような移動を可能にする他の任意の調節装置が設置され得る。
【0079】
ライト2は、LED16の形態の複数の光源を含む。明瞭性のために、LED16のうちの個々のものだけが図面において参照番号を付されている。LED16は、フレキシブルサブストレート17に沿って配置されている。フレキシブルサブストレート17はフレキシブル回路基板によって形成される。フレキシブルサブストレート17は、ライトバンドの形態で具体化される。複数のLED16を有する1つのライトバンド17がブーム8につき設けられている。ライトバンド17は各々、ブーム8のリニアガイド18内をガイドされる。ライトバンド17はブーム18に沿ってガイドされて変位可能である。
【0080】
ライトバンド17の一端19はスピンドルナット11に固定されている。ねじ式スピンドル10に沿うスピンドルナット11の移動中、ライトバンド17の端部19は帯同される。ライトバンド17の端部19の帯同は、それぞれのブーム8に対するライトバンド17の相対移動を引き起こす。ゆえに、ブーム8の回動と、ブーム8に対するライトバンド17の相対直線運動が、回転ドライブの援助により生じる。回転運動は、ライト基体6に対する及びそれゆえ生育される植物4に対するLED16の移動を生じさせる。
【0081】
調節装置7は、生育される植物4に対するLED16の位置を適合させるために使用される。ライト2のライト形状は調節装置7によって偏向可能である。ライト2の様々なライト形状が図1又は3~5に例として示されている。調節装置7はライト形状の連続的変化を可能とする。様々なライト形状は以下では調節状態としても指定される。植物4に対するライト2の連続的な調節及び適合がスピンドルドライブ9の援助により可能である。
【0082】
ブーム8ができるだけ下方に回動されている調節状態が図1に示される。スピンドルナット11は、ねじ式スピンドル10の下側端部の領域にある。ライトバンド17は、ねじ式スピンドル10に沿ってスピンドルナット11の上に延びている。ゆえに、ライトバンド17は、スタンドとして設計されるライト基体6の一部の上に延びる。ライトバンド17はさらに、それぞれのブーム8のリニアガイド18の内部をガイドされる。LED16はゆえに、ライト基体6のサイドから及びブーム8の方向から上から植物4に光を照射する。下方に折り畳まれた状態のために、光はライト基体に向かい合う側から植物4に照射される。折り畳まれた調節状態のために、LED16の援助により生成される光は実質的に植物4に集束される。散乱光が減少する。ゆえに、光はエネルギー効率が良い。LED16の援助により生成される光は植物4の照明のために最適に使用され得る。
【0083】
図3~5に示される調節状態では、スピンドルナット11は、ねじ式スピンドル10の上側端部の方向に移動されている。ブーム8はこのようにして上方へ回動されている。ブーム8はこの調節状態ではライト基体6から水平方向に実質的に外側に延びる。ゆえに、ブーム8はより背が高くてより幅広い植物4の覆いを可能とする。同時に、ライトバンド17の端部19はねじ式スピンドル10の上側端部の領域に配置されている。ゆえに、ライトバンド17はブーム8に対して移動される。端部19の反対側のライトバンド17の端部20は、ブーム8の自由ブーム端部15を越えてリニアガイド18から突出する。フレキシブルジョイント21がブーム端部15に配置されている。フレキシブルジョイント21によってブーム端部15が重力に従って下方に垂れ下がることが保証される。従って、ライトバンド17は横に下方に垂れ下がる。このライトバンド17の配置のために、植物4は上から及びライト基体6から離れる側から照明される。
【0084】
ライト2の様々な調節状態の各々において、植物4は少なくとも2つの側から照明される。これは、植物を生育するときの光収率を増加させる。低い位置に有る葉は高い位置に有る葉によって影を作られない。むしろ、光は様々なサイド(側)から導入される。
【0085】
植物4に対するLED16の移動は調節装置7によって実行される。ゆえに、LED16の位置は植物4のそれぞれの状態、特に植物4の大きさに最適に適合可能である。移動はライト2において完全に自動的に行われる。
【0086】
ライト2は、植物4の状態パラメータを検出する検出装置22を含む(図5参照)。検出装置22は近赤外分光計24及び近赤外広帯域エミッター23を含む。近赤外広帯域エミッター23は、広帯域赤外線照射を植物4に発する。植物4、特にその葉から反射した赤外線照射が近赤外分光計24の援助により検出される。反射した赤外線照射のスペクトルは葉についての、従って植物4の大きさについての結論を可能にする。さらに、葉面積指数がこれを介して確定され得る。植物4の含水量及び/又は栄養含量がさらに近赤外スペクトル(NIRスペクトル)から決定され得る。植物4のこれら状態パラメータによって、成長状態、特に大きさと、様々な生育段階、特に成長段階(growth phase)が決定され得る。植物サイズ及び/又は生育段階、特に成長段階に依存して、ライト2の形状がLED16の援助による植物4の最適な照明を保証するために適合される。
【0087】
LED16はそれらの放射特性を適合可能である。これは、LED16により生成される光の強度とスペクトルが検出装置22の援助により決定されるそれぞれの状態パラメータに適合されることを意味する。最適な植物成長がこのようにして保証される。
【0088】
調節装置7は、近赤外スペクトルから植物4の少なくとも1つの状態パラメータ、特に大きさ、葉面積指数、含水量及び/又は栄養含量を決定する評価装置(不図示)を含む。調節装置は、この状態パラメータに依存して植物4に対してLED16を移動させるために作動される。
【0089】
図面に示される例示の実施形態では、近赤外広帯域エミッター23は、結合ロッド14とそれぞれのブーム8の接続部の高さに4つのブーム8のうちの2つに配置されている。近赤外分光計24が、対応する位置に2つの他のブーム9の各々に配置されている。他の例示の実施形態(不図示)では、1つの近赤外広帯域エミッター23と1つの近赤外分光計24がブーム8毎に配置されてもよい。
【0090】
他の例示の実施形態(不図示)では、近赤外分光計に加えて又は代えて、他の複数のセンサーが設置され得る。例えば、LED16と植物4の間の距離を決定する距離センサーが使用され得る。植物の大きさは、例えば確認された距離及び調節状態から結論付けられ得る。さらに他の例示の実施形態では、植物4の形状及び大きさが3Dスキャナー、特にレーザースキャナー、例えば近赤外レーザースキャナーの援助により検出され得る。検出装置は特に好ましくは、少なくとも1つの近赤外分光計と少なくとも1つの3Dスキャナーを含む。好ましい例示の実施形態では、3Dスキャナー、特にレーザースキャナーと、近赤外分光計がブームに交互に配置され得る。
【0091】
ライト2は、植物4の少なくとも1つのさらなる状態パラメータを検出する第二検出装置25を含む。第二検出装置25はスピンドルナット11の裏側に配置されている(図5参照)。第二検出装置25は温度センサー26と湿度センサー27を含む。植物4の温度及び/又はその環境が温度センサー26の援助により測定され得る。植物を育てるために望まれる温度が温度センサー26により監視され得る。幾つかの例示の実施形態では、温度はやはり制御可能である。容器3はこの目的のためにヒーター(不図示)を含んでもよい。
【0092】
湿度センサー27を用いて、周囲湿度、土壌水分及び/又は植物4の含水量が決定され得る。植物4の灌水が確認された水分値に基づいて適合され得る。
【0093】
容器3は、複数のスプリンクラー29を有する自動灌水装置28を含む。装置1は、植物4の狙い通りの灌水、特に点滴灌漑を可能にする。灌水は、湿度センサー27を用いて決定される水分値及び/又は近赤外分光計24を用いて決定される植物4の含水量に基づいて自動的に行われる。灌水装置28は液体タンク30を含む。液体タンク30はライト基体6の内部に形成されている。液体タンク30は、フラップ31により閉鎖可能な充填開口32を介して充填可能である。
【0094】
装置1はさらに肥料タンク35を含む。肥料タンクは図4に図式的に示されている。肥料タンク35は、特に近赤外分光計24を用いて確認される植物4の栄養含量に基づいて、植物の自動施肥を可能にする。他の例示の実施形態(不図示)では、肥料は水タンク及び灌水装置を介して供給されてもよい。
【0095】
装置1は、容器3内に形成される電源コネクタ33を含む。装置1は、電源コネクタ33を介して電力を供給され得る。ライトバンド17は、LED16に電力を供給するためにそれらの端部19でワイヤループ34に接続されている。ワイヤループ34は、スピンドルドライブ10に沿うライトバンド17の端部19の移動とは独立した電源接続を可能とする。カラー13の領域では、電力端子が、特に接地及び/又は陽極のために、滑り接触(すり接点)を介して作られる。さらなるオプションの滑り接触がデータ伝送のために、特に検出装置22及び/又は第二検出装置25により検出されるデータを伝送するために使用される。
【0096】
ライト2は、データを交換するためのデータインターフェース(明示的に図示せず)を含む。データインターフェースは無線データ接続部として設計される。他の例示の実施形態(不図示)では、ケーブル支持されたデータインターフェースが、例えば電源コネクタ33を介して、作られてもよい。データインターフェースを用いて、操作パラメータ及び/又は植物4に関する成長データがライト2に伝送され得る。それに代えて又は加えて、ライト2の操作状態が出力され得る。特に、検出装置22及び/又は第2検出装置25を用いて確認される植物4の状態パラメータが出力され得る。例えば、植物4が新たな成長段階に達したとき、出力が行われる。データ入力及び出力が、例えばユーザーの端末を介して、特にスマートフォン及び/又はタブレットを介して行われ得る。例えば、特別なアプリケーションがこの目的のために提供され得る。
【0097】
植物を育てるための方法40を図6を参照して以下に記載する。
【0098】
準備ステップ41では、少なくとも1つの生育される植物及び植物を育てるためのライトが提供される。提供されるライトは上述したライト2であり得る。ライトは好ましくは装置1の一部として備えられる。
【0099】
較正ステップ42では、提供されたライトが較正される。例えば、操作パラメータ及び/又は成長データ、特に生育される植物の種又は属がライトに伝送され得る。ライトはさらに、関連する操作パラメータ及び/又は成長データの自動識別を実行できる。特に生育される植物の状態パラメータが繰り返しの測定によって決定され得る。
【0100】
植物成長ステップ43では、光が、光の少なくとも1つの光源を用いて少なくとも1つの生育される植物に照射される。植物成長ステップ43では、少なくとも1つの植物パラメータが検出ステップ44にて検出される。検出された状態パラメータに依存して、調節ステップ45にて、少なくとも1つの光源が、ライトの調節装置を用いて生育される植物に対して移動される。ライトの形状の状態依存する適合がこのようにして生じる。
【0101】
検出ステップ44及び調節ステップ45は、反復ループ46によって示されるように、繰り返し実行される。特に、ライト形状の連続的な及び/又は段階的な適合が行われ得る。
【0102】
検出ステップ44で検出される生育される植物の少なくとも1つの状態パラメータに依存して、少なくとも1つの光源の放射特性、特にスペクトル及び/又は強度もまた適合される。特に、放射特性は、植物の生育段階、特に成長段階に適合される。適合は調節ステップ45で行われ得る。
【0103】
第二検出ステップ47では、生育される植物の少なくとも1つのさらなる状態パラメータが検出される。対応する適合が、さらなる状態パラメータに応じて適合ステップ48において実行される。例えば、生育される植物の含水量及び/又は栄養含量が第二検出ステップ47で確認され得る。次いで、植物の自動的な灌水及び/又は施肥が適合ステップ48で行われる。第二検出ステップ47及び適合ステップ48は、反復ループ49で示されるように、周期的に繰り返される。特に、少なくとも1つの生育される植物の水分バランス及び/又は栄養バランスの連続的な及び/又は段階的な監視及び/又は調節が行われ得る。
【0104】
さらなる状態パラメータ、例えば周囲温度もまた、第二検出ステップ47で検出され得る。さらなる適合、例えば温度の適合が、さらなる状態パラメータに応じて適合ステップ48で行われ得る。
【符号の説明】
【0105】
2 ライト
4 生育される植物
7 調節装置
16 光源
22 検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】