(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】装薬および装薬を備えた砲弾
(51)【国際特許分類】
F42B 1/028 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F42B1/028
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558582
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 IL2021050331
(87)【国際公開番号】W WO2022201137
(87)【国際公開日】2022-09-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517299397
【氏名又は名称】ダビデ、コーエン
【氏名又は名称原語表記】DAVID COHEN
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ、コーエン
(57)【要約】
射出物を発射するための推進機構が、起爆点を有する推進薬であって、推進薬は起爆点で起爆され、起爆点が前進方向の、射出物に最も近い一端部にあることにより、射出物から離れる向きの後退方向に推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬を有する。射出物を向いた前進方向に爆轟を反射するために、射出物の反対側に反射面が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出物を発射するための推進機構であって、
前記射出物を向いた前進方向および第1の端部と、前記射出物から離れる向きの後退方向および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記前進方向の、前記射出物に最も近い前記第1の端部にあることにより、前記射出物から離れる向きの前記後退方向に前記推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬と、
前記射出物から離れる向きの前記第2の端部における、前記射出物を向いた前記前進方向に前記爆轟を反射する反射面と、
を備えた推進機構。
【請求項2】
前記反射面は、前記射出物に向けて前記爆轟を集束させるように成形されている、
請求項1に記載の推進機構。
【請求項3】
前記反射面は、所定の幾何学的形状のキャビティを含む、
請求項2に記載の推進機構。
【請求項4】
前記キャビティは、前記起爆点を向いている、
請求項3に記載の推進機構。
【請求項5】
前記キャビティは、円錐であり、前記円錐の各々は、頂点および前記頂点を通る長手方向軸を有し、前記長手方向軸は、前記円錐のそれぞれの頂点を通り、前記起爆点で交わっている、
請求項4に記載の推進機構。
【請求項6】
中空部は、構造材料で裏打ちされている、
請求項3~5のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項7】
中空部は、充填材で充填されている、
請求項3~6のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項8】
前記前進方向に優先的な圧力放出を引き起こすように構成されたケーシングを備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項9】
前記ケーシングは、前記射出物を向いた側にプレートを備える、
請求項8に記載の推進機構。
【請求項10】
前記ケーシングは、前記射出物に取り付けられている、
請求項8または9に記載の推進機構。
【請求項11】
前記ケーシングは、関連付けられた射出物から取り外される、
請求項8または9に記載の推進機構。
【請求項12】
射出物を発射するための推進機構を備えた射出物であって、
発射方向における前進方向および第1の端部と、前記発射方向とは反対向きの後退方向および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記射出物を向いた前記第1の端部にあることにより、前記射出物から離れる向きの前記後退方向に前記推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬と、
前記射出物から離れる向きの前記第2の端部における、前記射出物を向いた前記前進方向に前記爆轟を反射する反射面と、
を備えた射出物。
【請求項13】
前記反射面は、前記射出物に向けて前記爆轟を集束させるように成形されている、
請求項12に記載の射出物。
【請求項14】
前記反射面は、所定の幾何学的形状のキャビティを含む、
請求項13に記載の射出物。
【請求項15】
前記キャビティは、前記起爆点を向いている、
請求項14に記載の射出物。
【請求項16】
前記キャビティは、円錐であり、前記円錐の各々は、頂点および前記頂点を通る長手方向軸を有し、前記長手方向軸は、前記円錐のそれぞれの頂点を通り、前記起爆点で交わっている、
請求項15に記載の射出物。
【請求項17】
中空部は、構造材料で裏打ちされている、
請求項14~16のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項18】
中空部は、充填材で充填されている、
請求項14~17のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項19】
前記前進方向に優先的な圧力放出を引き起こすように構成されたケーシングを備える、
請求項12~18のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項20】
前記ケーシングは、前記推進機構の、前記射出物を向いた側にプレートを備える、
請求項19に記載の射出物。
【請求項21】
射出物ケーシング内に複数の分離可能な射出物部品を備える、
請求項13~20のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項22】
前記キャビティは、不均一である、
請求項12~21のいずれか一項に記載の射出物または請求項1~11のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項23】
前記キャビティの少なくともいくつかは、頂点に向かう長手方向軸を有し、前記頂点に向かう前記長手方向軸は、前記起爆点を向いていない、
請求項22に記載の射出物または推進機構。
【請求項24】
射出物を発射するための推進機構を製造する方法であって、
炸薬を用意するステップと、
前記炸薬を、丸みのある第1の表面および平坦な第2の表面を有する半球形状に成形するステップと、
前記丸みのある第1の表面に中空部インサートを成形するステップと、
前記平坦な第2の表面に起爆部を設けるステップと、
成形した前記炸薬をケーシング内に配置するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
前記炸薬を成形するステップおよび前記中空部インサートを成形するステップの少なくとも一方が鋳造を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記炸薬を成形するステップおよび前記中空部インサートを成形するステップの少なくとも一方が機械加工を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記炸薬を成形するステップおよび前記中空部インサートを成形するステップの少なくとも一方が、付加製造(additive manufacture)を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項28】
成形装薬を製造する方法であって、
前記成形装薬の所望の形状を定義するステップと、
付加製造(additive manufacture)を用いて一層ずつ前記成形装薬を構築するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
第1の端部および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記第1の端部にあることにより、前記推進薬を通って前記第2の端部に向かって爆轟が進行する、推進薬と、
前記爆轟を反射して前記第1の端部に戻すための、前記第2の端部における反射面と、
前記反射面から前記第1の端部の反対側に延在して弾体を形成するケーシングと、
を備えた推進機構および射出物。
【請求項30】
前記弾体は、前記第1の端部とは反対方向への発射用に構成されている、
請求項29に記載の推進機構および射出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、射出物などを射出するための装薬に関し、また、オプションとして、そのような装薬が組み込まれた砲弾に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、推進薬の有効性は、推進薬が特定の速度で爆轟してチャンバ内に圧力を付与することにより、装薬に関連付けられた射出物を射出することができる能力に基づいている。
【0003】
現在の爆速により、当技術分野で明確に定義された制限速度で射出物を射出することが可能となっている。
【0004】
これらの制限速度を超えることができても何ら成果につながらないことが証明されており、軍事エンジニアは、爆薬により可能な速度を射出物が超えることを可能にするために、レールに沿って整列された磁界を介した加速を使用するレールガンの使用に移っている。
【0005】
爆薬をベースとした推進薬は、約2.3km/s以下の砲口速度を達成することができるが、レールガンでは、現在、3km/sを超え、3.5km/sもの速度を達成することができ、したがって、射出物に大きな運動エネルギーを提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態は、1つまたは複数の成形装薬を使用して集中爆発を提供する推進機構を提供しうる。代替的な態様では、本実施形態は、逆行してから反射されて射出物に集束する爆轟を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様によれば、
射出物を発射するための推進機構であって、
前記射出物を向いた前進方向および第1の端部と、前記射出物から離れる向きの後退方向および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記前進方向の、前記射出物に最も近い前記第1の端部にあることにより、前記射出物から離れる向きの前記後退方向に前記推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬と、
前記射出物から離れる向きの前記第2の端部における、前記射出物を向いた前記前進方向に前記爆轟を反射する反射面と、
を備えた推進機構が提供される。
【0008】
本実施形態の第2の態様によれば、
射出物を発射するための推進機構を備えた射出物であって、
発射方向における前進方向および第1の端部と、前記発射方向とは反対向きの後退方向および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記射出物を向いた前記第1の端部にあることにより、前記射出物から離れる向きの前記後退方向に前記推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬と、
前記射出物から離れる向きの前記第2の端部における、前記射出物を向いた前記前進方向に前記爆轟を反射する反射面と、
を備えた射出物が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、射出物を発射するための推進機構を製造する方法であって、
炸薬を用意するステップと、
前記炸薬を、丸みのある第1の表面および平坦な第2の表面を有する半球形状に成形するステップと、
前記丸みのある第1の表面に中空部インサートを成形するステップと、
前記平坦な第2の表面に起爆部を設けるステップと、
成形した前記炸薬をケーシング内に配置するステップと、
を含む方法が提供される。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、成形装薬を製造する方法であって、
成形装薬の所望の形状を定義するステップと、
付加製造(additive manufacture)を用いて一層ずつ前記成形装薬を構築するステップと、
を含む方法が提供される。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、
第1の端部および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記第1の端部にあることにより、前記推進薬を通って前記第2の端部に向かって爆轟が進行する、推進薬と、
前記爆轟を反射して前記第1の端部に戻すための、前記第2の端部における反射面と、
前記反射面から前記第1の端部の反対側に延在して弾体を形成するケーシングと、
を備えた推進機構および射出物が提供される。
【0012】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様のまたは等価な方法および材料を、本発明の実施形態の実践または試験に使用することができるが、例示的な方法および/または材料を下記に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のいくつかの実施形態について、その例示のみを目的として添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下、特に図面を詳細に参照して示す細部は、例示を目的とし、また本発明の実施形態の詳細な説明を目的とすることを強調する。同様に、図面と共に説明を見ることで、本発明の実施形態をどのように実践し得るかが当業者には明らかとなる。
【
図1】銃砲の砲身内の弾殻と共に、本発明の実施形態による成形された推進薬を示す簡略化された概略断面図
【
図2】
図1の成形された推進薬をより詳細に示す簡略化された模式図
【
図3】
図1の成形された推進薬およびケーシングを別々の部品として示す分解図
【
図4】一緒に取り付けられた
図3の成形された推進薬およびケーシングを示す簡略図
【
図6】本発明のさらなる実施形態による、推進機構およびケーシングが射出物自体を形成する変形例を示す簡略図
【
図7】本発明の一実施形態による、銃砲の砲身に組み込まれた推進機構を有する射出物を示す簡略図
【
図8】本実施形態による推進機構を有する複合射出物(combined projectiles)であって、推進薬と射出物との間に前側プレートを有する形態を示す簡略図
【
図9】本実施形態による推進機構を有する複合射出物であって、推進薬と射出物との間に前側プレートを有しない形態を示す簡略図
【
図10】本発明の実施形態による、成形装薬の推進薬を製造するための方法を示す簡略化されたフローチャート
【
図11】本発明の実施形態による、付随的要素として推進機構を射出物に追加しうる方法を示す図
【
図12A】本発明の実施形態による、付随的要素として推進機構を射出物に追加しうる方法を示す図
【
図12B】本発明の実施形態による、付随的要素として推進機構を射出物に追加しうる方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、射出物などを射出するための装薬に関する。
【0015】
射出物用の推進薬は、射出物の後方に爆轟し、次いで、反射されて射出物に戻る。キャビティの所定の幾何学的形状は、爆轟波を加速してよい。キャビティは、爆轟の発生源を向いている。例えば、キャビティは、円錐であってもよく、その長手方向軸は、円錐の頂点を通り、爆轟の起点において交わる。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその用途が、以下の記載に示す、および/または図面および/または実施例で例示する、構成の詳細および要素の配置および/または方法に限定されるものではないことを理解するべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、さまざまな手段で実施または実行することが可能である。
【0017】
ここで図面を参照する。
図1は、推進機構10と、銃砲14の砲身の内側の射出物と、を示す簡略化された断面図である。
【0018】
推進機構10は爆轟することにより射出物の方向の圧力波を引き起こし、射出物を銃砲等の砲身から発射させる。
【0019】
推進機構10には、起爆点16から爆轟される爆薬が充填されている。起爆点は射出物を向いた側にあり、推進薬は射出物端部から起爆される。爆轟は、射出物とは反対側の遠端における反射面18に衝突するまで、射出物12から離れる後退方向に推進薬を通って進行する。そして、反射面は、爆轟波を射出物に向かう前進方向に反射して戻す。
【0020】
反射面18は、射出物に向かってより正確に爆轟を集束させるように成形されうる。一実施形態では、反射面は、所定の幾何学的形状キャビティ20を備えてもよい。キャビティは、一実施形態では、起爆点16を向いていてもよい。キャビティは、任意の適切な形状であってもよく、一例では、円錐である。円錐はそれぞれ、頂点22と、頂点を通る長手方向軸とを有していてもよい。一実施形態では、様々な円錐の長手方向軸が起爆点16で交わる。
【0021】
中空部の半径および全体の形状、ならびに頂点に向かう深さはすべて、圧力波の特定のレベルの出力を達成するように変更され得る変数であることに留意されたい。様々な中空部が、互いに異なる形状であってもよいし、互いに異なる方向を向いていてもよく、また、様々な中空部の互いに異なる形状により、不均一なプロファイルの推進薬が製造されうる。
【0022】
ここで、本発明の実施形態による
図1の推進機構10の構造をより詳細に示す
図2を参照する。
図2に示されるように、反射面18は、キャビティ20が延在する放物面状の基部30で構成されうる。中空部は、単に、推進薬を製造するために使用される炸薬体へのインサートであってもよいが、実施形態では、構造材料で裏打ちされていてもよい。この使用に適した構造材料としては、プラスチック、金属、特に金属箔、ならびに紙および厚紙が挙げられうる。成形装薬の多くの用途では、ライニングに金属を使用して破片を提供する。しかし、推進薬のために、破片は必須ではない。
【0023】
実施形態では、中空部は、充填材で充填されうる。充填材は、任意の不活性材料でありうる。上述のように、キャビティの可能な形状は、円錐形状であってもよく、実施形態では、頂点を通る円錐の長手方向軸は、すべて起爆点を向いている。
【0024】
爆轟の際、爆轟波は、起爆点から放物面に戻り、そこから集束したビームとして反射される。その結果、射出物を銃砲から射出するための、反射および集束された押圧力が得られる。中空部は、ビームをさらに集束させ、方向付けし、加速させる働きをしてもよい。ビームをより集束させることにより、側面に失われるエネルギー量が減少する。
【0025】
ここで、
図1および
図2の推進薬10をケーシング40とともに示す2つの簡略図である
図3および
図4を参照する。ケーシング40は、推進薬10に適合する中空部44を有する本体部42を有する。射出物を向いたケーシングの前部のプレート46はオプションである。一般に、前側プレートは、圧力がケーシングを破壊しかつ、その後、より劇的な効果を伴って逃れ出る十分な強さになるまで、圧力を増大させるように機能してもよい。射出物の反対側のケーシングの背面は、前進方向に優先的な圧力放出を引き起こす十分な質量を有してもよい。すなわち、圧力は前進方向に解放されて射出物を発射し、後方方向では反動を受ける。
図3に示すように、ケーシングは射出物から取り外される。したがって、推進薬および射出物は、別々に選択することができる。したがって、様々な範囲または様々な侵徹力(penetrating power)を与えるように様々な力の推進薬が選択されうる。爆轟信号が、ワイヤ48によって、プレート46の穴50を通って、推進薬の前部の起爆点に送られる。ワイヤは、52において、ケーシングの背面からトリガ信号を受信する。
【0026】
図1には、銃砲内に推進薬および射出物を有する完全なケーシング40が示されている。
【0027】
次に、
図5を参照する。
図5は、上記と同様にケーシング40を示す簡略図である。前側プレート46において、穴50の周りの中央領域では、プレートの厚さが小さくされている。より薄い部分が爆轟時にプレートの残りの部分よりも優先的に破断し、射出物の中心軸に向かって爆風をさらに集束させる。
【0028】
ここで、
図6を参照する。
図6は本実施形態の変形例の簡略図であり、変形例では、推進薬とケーシング構造が射出物自体を形成しており、別個の射出物が存在しない。
【0029】
図6には、射出物を発射するための推進機構が内蔵された射出物が70として示されている。前述のように、構造は、成形炸薬の推進機構10およびケーシング40を含む。この場合、砲身14は、複合射出物(combined projectile)70の推進薬側に固定質量体72を含む。推進薬の爆轟は、前述のように、推進薬の平坦な側から起こされ、爆轟波は放物面44に向かって進み、放物面で反射され、質量体72の表面に当たるまで戻る。その結果、ケーシング40が銃砲から高速で射出される。ケーシングは、弾頭(図示せず)などのペイロードをオプションとして含むことができる。
図6の実施形態では、トリガ機構52は、図示のように配置されてもよく、または複合射出物70の前部または側面にあってもよい。
【0030】
【0031】
図7は、銃砲の砲身14内における、発射準備の整った、
図1~
図7のいずれかによる射出物80の半透明図である。銃砲は、使い捨ての銃砲であってもよく、ケーシング40は、砲身に組み込まれていてもよい。このような銃砲は、射出物80を発射して軌道に乗せるために使用することができる。
【0032】
ここで、
図8および
図9を参照する。
図8および
図9は、
図1の射出物の変形例を示す。この変形例では、弾殻ケーシング102とは区別される推進薬ケーシング40が射出物100の弾体に組み込まれている。
図8では、前側プレート46が含まれ、
図9では、前側プレートは存在しない。
【0033】
上述のように、射出物は、弾頭(図示せず)を含んでもよく、変形例は、複数の弾頭、または射出物部品、破片、または子弾を含むことができる。
【0034】
次に、
図10を参照する。
図10は、射出物を発射するための本実施形態による推進機構の製造方法を示す簡略化したフローチャートである。ボックス110において、炸薬を取得する。ボックス112において、丸みのある第1の表面と平坦な第2の表面とを有する半球形状に炸薬を成形する。ボックス114において、丸みのある第1の表面に中空部インサートを成形する。
【0035】
次に、起爆部(detonator)を平坦な表面に配置してもよい(ボックス115)。ボックス116において、ケーシング内に成形炸薬を配置して起爆機構を設ける。爆轟は、直接的であってもよいし、二次爆薬を介してもよいことに留意されたい。
【0036】
炸薬を成形すること、および次いで中空部インサートを成形することは、単一の鋳造または成形プロセスで行われるのであってもよいし、半球を鋳造または成形してからインサートを機械加工によって製造してもよい。あるいは、半球を機械加工によって製造し、かつインサートも機械加工によって製造してもよい。
【0037】
製造プロセスの変形例では、3D印刷または付加製造を使用して、成形装薬の層ごとの製造を提供してもよい。この場合、インクジェット法を用いるのであれば、インクジェットノズル内の温度が爆薬の起爆温度に達しないように制御してもよい。爆轟性の小滴が噴射を凝固および凝結させないようにノズル自体の温度を制御してもよい。加えて、予め設定された時間に、または所定量の印刷の後に、例えば空気の噴流によってノズルを清浄することにより、爆薬の残渣がノズルの内側を覆うことがなくなる。また、爆薬の残渣が印刷領域内に収まるように、印刷領域をシールドによって囲んでもよい。
【0038】
本実施形態の3D印刷は、本実施形態の成形装薬を作るためだけでなく、爆薬の特定の幾何学的形状が必要とされる任意の場合に使用されうる。
【0039】
ここで、
図11および
図12を参照する。
図11および
図12は、側面の周りに固定された本実施形態による推進機構202を有する射出物200を示す。推進機構は、ヒンジ204を介して射出物に固定されうる。推進機構を傾斜させることができることにより、2つの目的が達せられうる。第1に、推進機構のいくつかを傾斜させ、他の推進機構を傾斜させないことにより、指向性を提供することができる。第2に、全ての推進機構を同じように傾斜させることにより、総出力を変化させ、したがって、変形を低減させることができる。
【0040】
付加製造の技術分野で知られているように、ワックス支持構造を使用して、複雑な幾何学的形状を可能にすることができる。
【0041】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびその活用形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味する。
【0042】
「からなる」という用語は、「含み、限定される」ことを意味する。
【0043】
「から実質的になる」という用語は、組成物、方法または構造が追加の成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。但しこれは、追加の成分、工程および/または部分が、請求項に記載の組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限られる。
【0044】
本明細書において、単数形を表す「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数をも対象とする。
【0045】
明確さのために別個の実施形態に関連して記載した本発明の所定の特徴はまた、1つの実施形態において、これら特徴を組み合わせて提供され得ること、また、そのような実施形態が本明細書に明示的に記載されているかのように本明細書の記載が解釈されるべきであることを理解されたい。逆に、簡潔さのために1つの実施形態に関連して記載した本発明の複数の特徴はまた、別々に、または任意の好適な部分的な組み合わせ、または適当な他の記載された実施形態に対しても提供され得る。本明細書の記載は、そのような個別の実施形態、部分的な組み合わせ、および修正を加えた実施形態が本明細書に明示的に記載されているかのように解釈されるべきである。さまざまな実施形態に関連して記載される所定の特徴は、その要素なしでは特定の実施形態が動作不能でない限り、その実施形態の必須要件であると捉えてはならない。
【0046】
本発明をその特定の実施形態との関連で説明したが、多数の代替、修正および変種が当業者には明らかであろう。したがって、そのような代替、修正および変種の全ては、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に含まれることを意図するものである。
【0047】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許および特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別の参照により本明細書に組み込む場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本願におけるいかなる参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として使用できることの容認として解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。加えて、本出願の優先権書類がある場合は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出物を発射するための推進機構であって、
前記射出物を向いた前進方向および第1の端部と、前記射出物から離れる向きの後退方向および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記前進方向の、前記射出物に最も近い前記第1の端部にあることにより、前記射出物から離れる向きの前記後退方向に前記推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬と、
前記射出物から離れる向きの前記第2の端部における、前記射出物を向いた前記前進方向に前記爆轟を反射する反射面と、
を備えた推進機構。
【請求項2】
前記反射面は、前記射出物に向けて前記爆轟を集束させるように成形されている、
請求項1に記載の推進機構。
【請求項3】
前記反射面は、所定の幾何学的形状のキャビティを含む、
請求項2に記載の推進機構。
【請求項4】
前記キャビティは、前記起爆点を向いている、
請求項3に記載の推進機構。
【請求項5】
前記キャビティは、円錐であり、前記円錐の各々は、頂点および前記頂点を通る長手方向軸を有し、前記長手方向軸は、前記円錐のそれぞれの頂点を通り、前記起爆点で交わっている、
請求項4に記載の推進機構。
【請求項6】
前記キャビティの中空部は、構造材料で裏打ちされている、
請求項3~5のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項7】
前記キャビティの中空部は、充填材で充填されている、
請求項3~6のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項8】
前記前進方向に優先的な圧力放出を引き起こすように構成されたケーシングを備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項9】
前記ケーシングは、前記射出物を向いた側にプレートを備える、
請求項8に記載の推進機構。
【請求項10】
前記ケーシングは、前記射出物に取り付けられている、
請求項8または9に記載の推進機構。
【請求項11】
前記ケーシングは、関連付けられた射出物から取り外される、
請求項8または9に記載の推進機構。
【請求項12】
射出物を発射するための推進機構を備えた射出物であって、
発射方向における前進方向および第1の端部と、前記発射方向とは反対向きの後退方向および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記射出物を向いた前記第1の端部にあることにより、前記射出物から離れる向きの前記後退方向に前記推進薬を通って爆轟が進行する、推進薬と、
前記射出物から離れる向きの前記第2の端部における、前記射出物を向いた前記前進方向に前記爆轟を反射する反射面と、
を備えた射出物。
【請求項13】
前記反射面は、前記射出物に向けて前記爆轟を集束させるように成形されている、
請求項12に記載の射出物。
【請求項14】
前記反射面は、所定の幾何学的形状のキャビティを含む、
請求項13に記載の射出物。
【請求項15】
前記キャビティは、前記起爆点を向いている、
請求項14に記載の射出物。
【請求項16】
前記キャビティは、円錐であり、前記円錐の各々は、頂点および前記頂点を通る長手方向軸を有し、前記長手方向軸は、前記円錐のそれぞれの頂点を通り、前記起爆点で交わっている、
請求項15に記載の射出物。
【請求項17】
前記キャビティの中空部は、構造材料で裏打ちされている、
請求項14~16のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項18】
前記キャビティの中空部は、充填材で充填されている、
請求項14~17のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項19】
前記前進方向に優先的な圧力放出を引き起こすように構成されたケーシングを備える、
請求項12~18のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項20】
前記ケーシングは、前記推進機構の、前記射出物を向いた側にプレートを備える、
請求項19に記載の射出物。
【請求項21】
射出物ケーシング内に複数の分離可能な射出物部品を備える、
請求項13~20のいずれか一項に記載の射出物。
【請求項22】
前記キャビティは、不均一である、
請求項
14~
18のいずれか一項に記載の射出物または請求項
3~
7のいずれか一項に記載の推進機構。
【請求項23】
前記キャビティの少なくともいくつかは、頂点に向かう長手方向軸を有し、前記頂点に向かう前記長手方向軸は、前記起爆点を向いていない、
請求項22に記載の射出物または推進機構。
【請求項24】
射出物を発射するための推進機構を製造する方法であって、
炸薬を用意するステップと、
前記炸薬を、丸みのある第1の表面および平坦な第2の表面を有する半球形状に成形するステップと、
前記丸みのある第1の表面に中空部インサートを成形するステップと、
前記平坦な第2の表面に起爆部を設けるステップと、
成形した前記炸薬をケーシング内に配置するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
前記炸薬を成形するステップおよび前記中空部インサートを成形するステップの少なくとも一方が鋳造を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記炸薬を成形するステップおよび前記中空部インサートを成形するステップの少なくとも一方が機械加工を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記炸薬を成形するステップおよび前記中空部インサートを成形するステップの少なくとも一方が、付加製造(additive manufacture)を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項28】
成形装薬を製造する方法であって、
前記成形装薬の所望の形状を定義するステップと、
付加製造(additive manufacture)を用いて一層ずつ前記成形装薬を構築するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
第1の端部および第2の端部と、
起爆点を有する推進薬であって、前記推進薬は前記起爆点で起爆され、前記起爆点が前記第1の端部にあることにより、前記推進薬を通って前記第2の端部に向かって爆轟が進行する、推進薬と、
前記爆轟を反射して前記第1の端部に戻すための、前記第2の端部における反射面と、
前記反射面から前記第1の端部の反対側に延在して弾体を形成するケーシングと、
を備えた推進機構および射出物。
【請求項30】
前記弾体は、前記第1の端部とは反対方向への発射用に構成されている、
請求項29に記載の推進機構および射出物。
【国際調査報告】