(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】手動器具に一体化されるRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
A61B 90/98 20160101AFI20240305BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61B90/98
G06K19/077 220
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558654
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022057650
(87)【国際公開番号】W WO2022200441
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021107440.1
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローランド-アロイス ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク レンツェンヒューバー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ プフィステル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ バーク
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのエフェクタ部(2)と、少なくとも1つの把持部(3)と、好ましくは、サブサーフェス原理に従って、器具本体にガラス/セラミックタグの形態で収容されるRFIDタグ(4)とを備える器具本体を有する医療用の手動器具(1)に関し、切欠き(5)または開口部(6)が、手術で手持ち器具(1)を操作中に実質的に力がかからない器具本体の領域に形成されており、別体のサブサーフェスタグホルダ(7)が、切欠き(5)または開口部(6)に収容され、ホルダは、手動器具(1)の形状に適合するように切欠き(5)または開口部(6)を充填する。本発明は、医療用の手動器具(1)と、信号伝送のためにRFIDタグ(4)に連結可能なリーダ(15)とを有するシステムにも関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの把持部(3)と、少なくとも1つのエフェクタ部(2)と、好ましくはサブサーフェス原理に従ってガラス/セラミックタグとして器具本体に挿入されるRFIDタグ(4)とを有する器具本体を備える、好ましくは鉗子または鋏タイプの医療用の手持ち器具(1)であって、
切欠き(5)または開口部(6)が、前記手持ち器具(1)の係合動作中に実質的に力がかからない前記器具本体の領域に形成されており、
別体のサブサーフェスタグホルダ(7)が、好ましくは力嵌合および/または形状嵌合で前記切欠き(5)または前記開口部(6)に挿入され、前記手持ち器具(1)に対して形状適合的に前記切欠き(5)または前記開口部(6)を充填することを特徴とする、医療用の手持ち器具(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエフェクタ部(2)が2つの分岐部(8)を有し、
前記少なくとも1つの把持部(3)が2つの環状に先細ったハンドル(9)を有し、
前記切欠き(5)または前記開口部(6)が、前記手持ち器具(1)の前記少なくとも1つの環状に先細ったハンドル(9)の、他方の環状に先細ったハンドル(9)とは反対方向を向く側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項3】
前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、前記RFIDタグ(4)が前記少なくとも1つの環状に先細ったハンドル(9)の表面に対して前記サブサーフェスタグホルダ(7)の内部へ奥まったところに配置されるように、前記RFIDタグ(4)を位置固定的に受容するように設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項4】
前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、前記RFIDタグ(4)が前記少なくとも1つのハンドル(9)の内部で器具環境に露出するように、設けられ構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項5】
前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、その短面(17)上のラッチ後半球部(11)を介して、及び/又は前記短面(17)それぞれの近傍の上面にあるアンカーポイント(12)を介して、前記少なくとも1つのハンドル(9)に形状嵌合されるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項6】
前記サブサーフェスタグホルダ(7)の短面(17)の各々が、突出するラッチ後半球部(11)を有し、
前記短面(17)は、好ましくは前記少なくとも1つのハンドル(9)の内側から外側へ向かう方向で前記サブサーフェスタグホルダ(7)を前記切欠き(5)へ挿入するおよび/または押し込むために、互いに対して鋭角(α)で構成されており、前記突出するラッチ後半球部(11)がそれぞれ、この目的のために対応して設けられ適合された前記少なくとも1つのハンドル(9)のフライス加工凹部のそれぞれと係合することを特徴とする、請求項2に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項7】
前記サブサーフェスタグホルダ(7)の上面は、前記少なくとも1つのハンドル(9)の下側から前記上面の方向へ前記サブサーフェスタグホルダ(7)を前記開口部(6)へ挿入するおよび/または押し込むために設けられ構成された突出するアンカーポイント(12)を有しており、前記突出するアンカーポイント(12)がそれぞれ、対応して設けられ適合された前記少なくとも1つのハンドル(9)の凹部(13)に押し込まれるおよび/または挿入されることを特徴とする、請求項2に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのハンドル(9)に挿入された前記サブサーフェスタグホルダ(7)のための取り付け可能なカバー(14)が設けられて構成され、
好ましくは、接着接合又は超音波溶接で前記カバー(14)を前記サブサーフェスタグホルダ(7)に接続することができることを特徴とする、請求項7に記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項9】
前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、前記少なくとも1つのハンドル(9)の環状形状の内側、及び好ましくは外側に適合するように設けられ構成されたプラスチック射出成形部品であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の医療用の手持ち器具(1)。
【請求項10】
請求項1に記載の医療用の手持ち器具(1)と、読み取り装置(15)であって、
前記RFIDタグ(4)と信号連結可能であり、読み取り装置(15)に対して前記医療用の手持ち器具(1)を所定の位置及び/又は向きに保持又は一時的に固定するように設けられ適合された器具ホルダ(16)を有する又は器具ホルダ(16)として構成された読み取り装置(15)とを備えるシステムであって、
前記RFIDタグ(4)と前記読み取り装置(15)との間の信号伝送が可能であり、
好ましくは複数のRFIDタグ(4)が同時に且つ確実に読み取り可能である、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの把持部、少なくとも1つのエフェクタ部、およびRFIDタグを有する器具本体を備える医療用の手持ち器具に関し、RFIDタグは、好ましくは、サブサーフェス(subsurface、表面下)原理に従ってガラス/セラミックタグとして器具本体に挿入されている。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグを用いた医療(マーキング)装置はすでに知られている。例えば、US7898,420 B2は、金属製外科用器具などの外科用器具をマーキングするためのトランスポンダ装置および/またはハウジングを開示している。トランスポンダ装置は、外科用器具の一部に取り付け可能な、非弾性の、好ましくは非金属の、剛性を有するトランスポンダハウジングを有するよう設けられている。ハウジングは、ハウジングが外科用器具に取り付けられた状態で、外科用器具の任意の部分から少なくとも1ミリメートル、好ましくは2ミリメートル距離が離れたトランスポンダ受容キャビティを有する。ハウジングは、外科用器具に着脱可能に取り付けられてもよいし、恒久的に取り付けられてもよい。トランスポンダ受容キャビティにトランスポンダが設置されて、使用される。
【0003】
EP3 146 479 A1には、金属上のパッシブ型RFIDタグと取付け要素とを有するRFIDタグアセンブリが記載されている。金属に取り付けられたパッシブ型RFIDタグは、RF信号が送信可能なように配置される。取付け要素は、導電性材料で作られており、ベース部と、ベース部の第1表面に対して外側へ延びる少なくとも1つの壁部とを含む。少なくとも1つの壁部は、RFIDタグが少なくとも1つの壁部まで接続される切り欠きを少なくとも部分的に画定するように構成されている。RFIDタグアセンブリが取り付けられた外科用器具も提供されている。
【0004】
このようなRFIDタグは比較的小さな部品ではあるが、従来技術において後付けされるRFIDタグアセンブリ/装置は、新たな汚染攻撃面を形成し、外科用器具または医療用器具を取り扱う際の障害ともなる。また、RFIDタグを取り付けると、隙間や亀裂(ウイルスや細菌の巣)ができて、そこに細菌などが付着する可能性があり、これが医療において非常に不利であることは言うまでもない。さらに、後付けされたRFIDタグは、人間工学的に形成された外科用器具の取り扱いを制限してしまう可能性があり、最悪の場合、外科医の手袋が接触して損傷したり、穴が開いたり裂けたりするような角や縁を形成してしまう可能性がある。
【0005】
原理的には、RFIDタグまたは対応する(マーキング)装置を、対応する医療器具の、器具の取り扱いへの悪影響が最も少ないと予想される位置に配置することが可能である。しかし、この場合、器具の種類によって配置の選択肢が大幅に制限されてしまい、例えばデータ伝送能力などの低下を受け入れざるを得ない場合がある。
【0006】
先行技術の別の欠点は、パッシブ型RFIDタグの伝送距離が短い場合があるので、パッシブ型RFIDタグを読み取り装置から近い距離に配置しなければならないことである。このため、先行技術では、RFIDチップと読み取り装置との間の距離をできるだけ短くするために、RFIDタグを外科用器具の外面に後から適用することしかできないことが多い。上記の理由から、この目的のために設けられた外面が、器具の取り扱いにわずかな影響しか及ぼさず、かつ十分な読み取り品質を可能にする器具部位に位置するように注意しなければならない。
【0007】
この点で、製品に関連する処理サイクルを数え、この情報を記録および文書化し、関連する知見の処理に利用することへの関心が高まっている。このような処理サイクルには、手作業による前洗浄(ブラシを使用)、必要であれば超音波洗浄、WS(洗浄消毒器)での洗浄、必要であれば注油、および滅菌が含まれる。今後ますます重要になるトラッキング、トレース、ライフサイクル管理、およびクレーム発生時の証拠提供の問題から、医療製品に関する以下の情報が重要である。
【0008】
一般的な状態;耐用年数/その終了;メンテナンス間隔;フォローアップ手術の実績および適合性(目的声明に記載されている通り);製品メンテナンス低減と起こり得る製品破損;温度のオーバーシュート/アンダーシュートと起こり得る製品破損
【0009】
冒頭で述べたデメリットを避けようとするならば、顧客/ユーザのニーズに合ったサービスや個別にカスタマイズされたビジネスモデルを提供することはこれまでできなかった。そのため、製品が(正しく)再処理された頻度や、工程に不備がないかどうか、メンテナンス/修理が必要かどうかを即座に確認できることが望まれる。現在、製品は定められた(定期的な)メンテナンス間隔に従わなければならないが、その必要はないかもしれない。従って、デジタル化の時代には、顧客や器具に対して個別に、場合によっては様々に合わせたサービス、および個別に合わせたビジネスモデルを顧客に提供することが望まれる。
【0010】
例えば、特に、鋏、鉗子、および同様の手持ち器具などのリング器具は、RFIDタグを製品に後付けするのに時間がかかるという問題がある。先行技術では、RFIDチップ/タグは、ハンドピース/手持ち器具に封入または押し込まれるか、超音波溶接によって取り付けられなければならない。あるいは、UHFタグが先行技術にしばしば記載されているが、これらは読み込み/読み出しをより困難にする。なぜなら、読み取り距離のせいで隣接する製品のタグも検出されてしまう可能性があるからであり、単一の器具の個別で確実な追跡という基本的な考え方には役立たない。さらに問題なのは、ふるい/ふるいかごの内容物だけが検出されるべき時に、隣接するふるい/ふるいかご上の製品も検出されてしまうことである。
【0011】
しかし、要するに、一体型アセンブリは当初、手持ち器具の材料の弱化を意味し、付加的なアセンブリは手持ち器具の外側形状の変化を意味する。材料の弱化は、基本的に、弱化した領域に追加の材料補強を行うか、一体型インサート自体が材料の弱化を引き受ける(ブリッジング)か、または提供される器具インサートにおいて材料の弱化が影響しないように材料の弱化の位置を選択することによって低減することができる。これは、選択された位置がすでに大きな材料厚を有しており、タグの一体化によって受ける影響が小さいことで達成される。
【発明の概要】
【0012】
しかし、本出願では、すべての医療用の手持ち器具が、現在の慣行によるRFIDタグの後付けに適しているわけではないことが明らかになった。とはいえ、原則として、すべての製品の処理サイクルを個別保管と組み合わせてカウントし、この情報を製品自体に保存すること、特に、すべての個々の工程ステップが(正しく)守られ、実施されたかどうかを検討することが可能であるべきである。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の課題は、器具の特性およびRFIDタグのデータ伝送特性の両方に関して良好で安全な取り扱いを保証するRFIDタグを備えた医療装置または医療/外科用器具、特にリング器具を提供することである。本発明のさらなる課題は、好ましくは、本発明による装置/それを備えた医療器具の良好な洗浄および/または滅菌を保証することである。本発明のさらなる課題は、さらに好ましくは、挿入/取り付けられた1つまたは複数のRFIDタグの受信性の向上を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、請求項1の特徴を有する医療装置または医療/外科用器具によって解決される。
【0015】
本発明の核心は、本質的に、手持ち器具の係合動作(例えば、鉗子の閉動作/鋏の切断動作など)の最中に実質的に力がかからない器具本体の領域に切欠き又は開口部が形成され、手持ち器具に対して形状適合的に切欠き又は開口部を充填する別体のサブサーフェスタグホルダ(材料ブリッジ)が切欠き又は開口部に挿入されることである。従って、材料弱化の位置が、係合動作力の力の流れに組み込まれないように選択されている。
【0016】
換言すると、医療用の手持ち器具が(外科用)鋏、鉗子などのリング器具であると好ましい。従って、必要に応じて請求項1に代えて、器具本体を備える医療用のリング器具であって、器具本体は、少なくとも1つの把持部と、少なくとも1つのエフェクタ部と、好ましくはサブサーフェス原理に従って器具本体(一体型アセンブリ)にガラス/セラミックタグとして挿入されるRFIDタグとを有する、リング器具が特許請求され、手持ち器具の係合動作中に実質的に力がかからない器具本体の領域に、切欠きまたは開口部(窪みまたは材料中断部)が形成されており、手持ち器具に対して形状適合的に切欠きまたは開口部を充填する別体のサブサーフェスタグホルダ(材料ブリッジ)が切欠きまたは開口部に挿入される。このような幾何学的な変更と周囲部品のマッチングにより、RFIDタグの受信性が良くなる、特に読み書き装置までの距離が長くなる。医療用の手持ち器具、特にリング器具に関しては、操作中に力を吸収することができ、スロットアンテナの原理を実現することも可能である。
【0017】
ここで有利なのは、RFIDタグ/チップの受信性と信頼性、特に読み書き装置までの距離が、この幾何学的な設置状況だけでなく、周囲部品によっても大きく影響され得ることである。RFIDタグは、開口部の下に配置されて開口部を超えて突出しないように、常に表面の下に(すなわち、器具表面に対して奥まって)設置されることが好ましい。
【0018】
RFIDタグは、RFID技術のサブフォームであるNFCタグとして理解することもできる。したがって、本発明によれば、RFIDタグの代わりにNFCタグを使用することもできる。RFIDタグが、特定のもの(本件では医療器具)に関連する情報を記憶するRFIDトランスポンダであることがさらに好ましい。このいわゆる「識別子」は、特定の工程の要件に応じて個別化することができる。好ましくは、RFIDタグは以下のものを含む。
【0019】
[1]好ましくは直径数ミリ程度の大きさの、少なくとも1つのマイクロチップ
[2]好ましくはコイル形態の少なくとも1つのアンテナ
[3]好ましくは水密および/または気密であり、好ましくはトランスポンダ電子機器を環境から保護する、少なくとも1つのキャリアまたはハウジング
[4]アクティブ型RFIDタグの場合は、さらに、少なくとも1つのエネルギー源、好ましくは、バッテリ/アキュムレータまたはコンデンサ
【0020】
パッシブ型トランスポンダの場合、エネルギーの供給はアンテナを介して外部から行われる。本発明のRFIDタグはパッシブ型RFIDタグであることが好ましい。RFIDタグはコイルが巻かれた(棒状の)フェライトコアも有することが好ましい。
【0021】
RFIDタグは、以下の情報の少なくとも1つを記憶するように適合されるように提供されるか、または以下の記憶データによって特徴付けられる。
【0022】
[1]製品(医療用手持ち機器/リング機器)への情報記録
[2]サービス提供時の透明性(RFIDタグが情報を伝える)
[3]使用用途の決定
[4]新たなビジネスモデル(使用ごとの支払いなど)
[5]耐用年数の表示(MDR要件、標準要件)
[6]製品のRFIDタグの受信性の向上
[7]操作者が使い慣れたものを維持するために、製品に人間工学的な改造はほとんどしない
【0023】
言い換えれば、使用されるRFIDタグ/チップは、様々なサイズで調達可能なガラスタグであることが好ましい。アセンブリを囲むのには他の材料も考えられる。周囲部品を最適化することにより、読み書き距離が大きく影響され、距離を伸ばすことができる。
【0024】
RFIDタグ/RFIDピル/ガラスタグを取り囲む/包み込む形状は、どのような材料で作られていてもよい。ただし、製品の外面には必ずガラスタグと平行な隙間が必要である。コイルは溝(サブサーフェス)に直接配置される。この開口は、自由であっても、信号透過性材料で作られていてもよい。そのサイズは、読み書き距離を最適化するために、長さと幅とが異なる。
【0025】
少なくとも1つのエフェクタ部が2つの分岐部を有し、少なくとも1つの把持部が環状に先細った2つのハンドルを有し、切欠きまたは開口部が、少なくとも1つの環状に先細ったハンドルの、手持ち器具の他方の環状に先細ったハンドルとは反対側の面に配置されていると有利である。医療用リング器具を閉じるときに、より大きな力がかかる。リング器具を開くときには、医療用手持ち器具の環状に先細ったハンドルにかかる力ははるかに小さい。これにより、信頼性と信号増幅/受信性を達成するのに最適化された設置方法が提供される。サブサーフェスタグホルダが、第2のハンドルから離れる方向の環状に先細ったハンドルの外部に配置されているので、サブサーフェスタグホルダは、その配置のおかげで、開かれる際に受ける力が小さい。以下に説明するサブサーフェスタグホルダの形状は、大きな力が加えられた場合でも、サブサーフェスタグホルダが押し出されるのを防止する。サブサーフェスタグホルダ(プラスチック部)の形状を最適化することにより、力をよりよく吸収することができ、プラスチックのキャリア/サブサーフェスタグホルダの脱落を防止することができる。
【0026】
サブサーフェスタグホルダは、大きな力が加えられたときに、その力の流れによって曲がる/へこむが、外れてしまわないように設けられている。ここでは、材料の選択、好ましくはプラスチック、が大きく関係する。
【0027】
換言すれば、医療装置は、医療用手持ち器具に一体化されるか、または医療用手持ち器具に挿入される少なくとも1つのRFIDタグのためのサブサーフェスタグホルダを有する。つまり、本発明によるサブサーフェスタグホルダは、RFIDタグの後付けによって医療用手持ち器具の通常の(外側)形状に影響を与えず、RFIDタグのサブサーフェスタグホルダが、医療用手持ち器具の外側表面の下で一体化されるかまたは配置されるということである。
【0028】
さらに別の言い方をすれば、サブサーフェスタグホルダは、医療用手持ち器具のハウジング/形状/構造/本体(以下、「本体」と呼ぶ)に一体化/設置/構成/形成される(以下、「一体化される」と言う)か、または医療用手持ち器具の本体に一体化/挿入される。サブサーフェスタグホルダは、好ましくはブリッジまたはストリップの形態の個別/別体の部品(タグキャリア)として、医療用手持ち器具の本体に(例えば、切欠き/ノッチまたは開口部/材料中断部に)一体化される。この場合、別体のサブサーフェスタグホルダがすでにタグを装備しており、医療用手持ち器具のキャビティ(切欠き又は開口部)に実装/挿入されるため、器具本体の表面に形成される(信号通過)開口の形状は本質的に普遍的であってよい。
【0029】
RFIDタグが少なくとも1つの環状に先細ったハンドルの表面に対してサブサーフェスタグホルダの内部に向かって奥まったところに配置されるように、サブサーフェスタグホルダがRFIDタグを位置固定的に受け入れるように提供されていると好ましい。本医療用手持ち器具では、少なくとも1つのRFIDタグがサブサーフェスタグホルダに挿入されることが好ましく、RFIDタグが、丸みを帯びた端部を有する円筒形状を有することがさらに好ましい。RFIDタグの形状は、錠剤状であることがさらに好ましい。
【0030】
RFIDタグが少なくとも1つのハンドルの内部で器具環境に向かって露出するように、サブサーフェスタグホルダが設けられ構成されていると有利である。サブサーフェスタグホルダが、好ましくは円筒形状/錠剤状のRFIDタグを「寝かせて」、すなわち(平坦な)電池収納部のように受容するように適合された細長いスロットまたは溝の形状を有することがさらに好ましい。
【0031】
RFIDタグは、無線周波数に対して透過性であり、さらに好ましくは防水性および/または気密性の材料で作られた外面/ハウジングを有することが好ましい。言い換えれば、RFIDタグのハウジングは、ガラス、セラミック、プラスチック、熱可塑性プラスチック、デュロプラスト、プラスチック全般、および/またはシリコンなどの無線周波数/信号透過性材料、特に好ましくは非金属材料で作られており、これでフェライトコアがその周囲に巻かれたコイルおよびチップとともに包まれている。
【0032】
原則として、医療用手持ち器具およびRFIDタグ、またはその本体の形状および材質、ならびに対応する器具表面に対するサブサーフェスタグホルダの向きは、自由に選択可能である。しかし、サブサーフェスタグホルダのRFIDタグを受容するための受容ポケットは、RFIDタグの長手方向が医療用手持ち器具の本体の外面と平行になるように(すなわち、「寝かされる」)ように、RFIDタグ、特にRFIDタグのコイルと平行に形成されていることが好ましい。受容ポケットは、任意で、自由なまま/外部に開放されたままであってもよいし、信号透過性材料で充填/閉鎖されてもよい。
【0033】
換言すれば、受容ポケットには、信号透過性材料で作られたカバーが設けられてもよいし、設けらなくてもよい。最後に、RFIDタグを受容ポケットに挿入したときに、受容ポケットまたはその開口がRFIDタグ自体によって外部に対して密閉(水密/気密)されるように、RFIDタグ自体がすでに密閉キャップのような形状をしていてもよい。
【0034】
RFIDタグ/ガラスタグ(例えば、熱可塑性プラスチック、デュロプラスト、プラスチック全般、シリコン等)のサブサーフェスタグホルダとして信号透過性コア及び/又はソケットが選択された場合、読み書き距離は、少なくとも部分的にキャリアを取り囲み、別体のサブサーフェスタグホルダの受容ポケットの領域において幾何学的に画定された開口を有する読み取り/読み出し/書き込み装置(以下、単に読み取り装置と呼ぶ)に対して間隔をあけてRFIDタグを配置する金属スクリーン/反射板によって最適化される。換言すれば、一実施形態では、サブサーフェスタグホルダは、医療用手持ち器具に配置される信号透過性コア(例えば、プラスチック)として構成されてよい。このように、サブサーフェスタグホルダの受容ポケットが設けられ、少なくとも1つのRFIDタグを受容するように適合される。
【0035】
サブサーフェスタグホルダが、その短面上にあるラッチビハインド(latch-behind)半球部(ラッチ後半球部)または突起部を介して、および/または短面それぞれに近い上面にあるアンカーポイントを介して、少なくとも1つのハンドルと形状嵌合するように構成されていると好ましい。
【0036】
サブサーフェスタグホルダの短面は、サブサーフェスタグホルダがハンドルに挿入されたときのサブサーフェスタグホルダと医療用手持ち器具の(環状の)ハンドルの間の接触面に対応する。
【0037】
ラッチ後半球部または突起部は、サブサーフェスタグホルダが医療用手持ち器具のハンドルに挿入されたときに、サブサーフェスタグホルダの短面上で長手方向に、すなわち医療用手持ち器具の(環状の)ハンドルに向かって突出する半球状に形成された突起部であることが好ましい。
【0038】
言い換えると、サブサーフェスタグホルダのラッチ後半球部は、サブサーフェスタグホルダを医療用リング器具/手持ち器具のハンドルに挿入する際に、対応する突出部/くぼみとスライド/係合するように設けられていることが好ましい。突出部は、サブサーフェスタグホルダのラッチ後半球部を受容するように形成されている。
【0039】
サブサーフェスタグホルダの短面の各々が突出するラッチ後半球部または突起部を有し、サブサーフェスタグホルダを少なくとも1つのハンドルの内側から外側に向かう方向で切欠きへ挿入するおよび/または押し込むために、短面が互いに円錐角αをなして構成されており、突出するラッチ後半球部がそれぞれ、この目的のために設けられ適合された少なくとも1つのハンドルのフライス加工された凹部/突出部とそれぞれ係合すると有利である。
【0040】
アンカーポイントは、サブサーフェスタグホルダに挿入されたRFIDタグと直交する上方向に突出する突起部であり、医療用手持ち器具のハンドルの環状受容部に受容されるように上述の短面の近傍に形成されている。環状受容部は、医療用手持ち器具のハンドルの開口部の短面に設けられている。環状受容部は、医療用手持ち器具のハンドルの接触面または短面のほぼ半分の高さ又は中央で垂直に形成されている。環状受容部は、医療用手持ち器具のハンドルの接触面または短面の全高にわたって延びておらず、接触面に平行な方向に連続する孔を有しており、この孔は、サブサーフェスタグホルダのアンカーポイントを受容するように設けられている。
【0041】
サブサーフェスタグホルダの上面(RFIDタグを挿入可能な面)が、少なくとも1つのハンドルの下側から上方向に向けてサブサーフェスタグホルダを開口部へ挿入するおよび/または押し込むために設けられ形成された突出するアンカーポイントを有し、突出するアンカーポイントをそれぞれ、少なくとも1つのハンドルに対応して設けられ適合された環状受容部/フライス加工された凹部へ押し込むおよび/または挿入できると有利である。
【0042】
少なくとも1つのハンドルに挿入されたサブサーフェスタグホルダのために、取り付け可能なカバーが設けられ構成されていると好ましく、このカバーは、接着接合または超音波溶接でサブサーフェスタグホルダに接続されることが好ましい。カバーは、サブサーフェスタグホルダの挿入方向とは反対の方向でサブサーフェスタグホルダに取り付けられるので、サブサーフェスタグホルダとカバーは、環状に先細ったハンドルの形状を元の形状でほぼ継続する。
【0043】
サブサーフェスタグホルダが、少なくとも1つのハンドルの環状形状の内側、好ましくは外側に適合するように設けられ形成されたプラスチック射出成形部品であると有利である。
【0044】
換言すれば、環状に先細ったハンドルの形状がサブサーフェスタグホルダまたはカバー付きのサブサーフェスタグホルダによってほぼ連続するように、開口部または切欠きが、サブサーフェスタグホルダまたはサブサーフェスタグホルダとカバーとの組み合わせによって充填されることが意図される。
【0045】
アンカーポイントを有するサブサーフェスタグホルダは、ラッチ後半球部を有するサブサーフェスタグホルダと比較して、より大きなRFIDタグを収容できるように構成されていることが好ましい。より大きなRFIDタグを使用することで、医療用手持ち器具/リング器具の外形を大きく変えることなく、最大読み取り/書き込み距離を得られるという利点がある。
【0046】
さらに、本発明は、前述の請求項の1つによる医療用手持ち器具、特にリング器具と、読み取り装置であって、RFIDタグと信号連結可能であり、読み取り装置に対して医療用手持ち器具を所定の位置及び/又は向きで保持又は一時的に固定するように設けられ適合された器具ホルダを有する又は器具ホルダとして構成された読み取り装置とを備えるシステムであって、RFIDタグと読み取り装置の間の信号伝送が可能であり、好ましくは複数のRFIDタグが同時に且つ確実に読み取り可能であるシステムに関する。
【0047】
言い換えれば、RFIDタグの位置は、対応するホルダに器具を垂直に挿入し、読み取りアンテナのすぐ近くを確保し、同時に且つ確実に多数の(手持ち)器具を読み取ることができる(ヒット率100%)のに最適である。例えば、ふるいかごの中の50個の器具を同時に読み出すことができる。本発明は50個の器具に限定されるものではない。
【0048】
この解決策により、RFIDタグが機械的影響から最適に保護される。RFIDタグの非常に高い耐薬品性と耐熱性との組み合わせにより、この解決策は非常に多くの処理サイクル(好ましくは500サイクル以上)に適している。さらに、スマートフォンで個々の器具を迅速かつ安全に読み取ることが簡単にできる(サービス目的など)。
【0049】
つまり、上述の態様は、個別保管と組み合わせてすべての製品の処理サイクルをカウントし、この情報を製品自体に確保できるという利点がある。特に、個々の処理ステップがすべて遵守され、実施されたかどうかを確認することができる。処理サイクル数は、以下のものに比例する指標である。
【0050】
(1)一般的な状態
(2)耐用年数/終了
(3)メンテナンス間隔
(4)フォローアップ手術の実績と適性(目的声明に記載されている通り)
(5)製品メンテナンスの軽減と起こり得る製品破損
(6)温度のオーバーシュート/アンダーシュートと起こり得る製品破損
【0051】
さらに、複数のRFIDタグを同時に読み取ることもできるように、RFIDチップの位置はスマートトレイと連動した解決策に関連している。したがって、本発明は、医療用手持ち器具に挿入されるRFIDタグの受信性を強化することを含む。さらに、本発明は、偶発的な脱落を避けるために、RFIDタグを力吸収能力の高い医療用リング器具に装着するというアイデアを含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
以下、添付の図を参照しながら、好ましい実施形態によって、本発明をより詳細に説明する。
【0053】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る、本発明に従って使用可能なRFIDタグを示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る、本発明によるリング器具を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るリング器具のハンドルを示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダが挿入されたリング器具のハンドルの断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ及びRFIDタグを示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るリング器具のハンドル、サブサーフェスタグホルダ及びRFIDタグを示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る、本発明によるリング器具を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係るリング器具のハンドルを示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ及びRFIDタグを示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ及びRFIDタグへの力の印加を示す図である。
【
図11】
図11は、第1及び第2の実施形態に係る、本発明に係るリング器具1のサブサーフェスタグホルダ7への力の印加を示す図である。
【
図12】
図12は、サブサーフェスタグホルダへの力の印加を示す例である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本開示の構成例を、添付する図面に基づいて説明する。
【0055】
図1は、本発明に従って使用可能なRFIDタグ4を示す図である。様々なサイズのRFIDタグ4、特にいわゆるガラスRFIDタグが、市販のマッチの隣に示されている。したがって、RFIDタグ4は、棒または錠剤の形状に似た丸みを帯びた端部を有する円筒形状をしている。このようなRFIDタグ4は、基本的に従来技術であるため、これ以上の説明は必要ない。このようなRFIDタグ4は、棒状のフェライトコアを中心に巻きつけられ、RFIDチップと接触するコイルを有する。RFIDチップは通常、フェライトコアの軸方向の一端に配置されている。フェライトコアと、フェライトコアを部分的に取り囲むコイル4と、軸方向端部に配置されたRFIDチップとからなるこの構造は、電波透過性材料、例えばガラス材料によって包み込まれており、この材料がRFIDタグ4のハウジングを形成している。アセンブリが内部に封入されていることが好ましい。
【0056】
(第1実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る、本発明によるリング器具1を示す図である。医療用手持ち器具、特にリング器具1は、少なくとも1つのエフェクタ部2と少なくとも1つの把持部/操作部3とを備える器具本体を有する。少なくとも1つの把持部3には、切欠き5が設けられている。
【0057】
切欠き5は、手持ち器具/リング器具1の係合動作中に本質的に力がかからない把持部/リング部3の領域に位置している。本実施例では、RFIDタグ4を有する、別体のブリッジ状のサブサーフェスタグホルダ7が、サブサーフェス原理に従って切欠き5に挿入される。サブサーフェスタグホルダ7は、手持ち器具/リング器具1の形状に適合するように(スムースで/隙間のないハンドル表面が形成されるように)切欠き5を充填する。
【0058】
少なくとも1つのエフェクタ部2は2つのエフェクタ分岐部8を有し、少なくとも1つの把持部3は2つの環状に先細ったハンドル9を有する。この点で、分岐部とハンドルは従来構造の鋏を形成している。切欠き5は、手持ち器具/リング器具1の少なくとも1つの環状に先細ったハンドル9の、他方の環状に先細ったハンドル9とは反対側の側面に配置されている。
【0059】
図3は、第1の実施形態に係る手持ち器具/リング器具1の(環状の)ハンドル9を示す図である。
図3では、
図2の手持ち器具/リング器具1のハンドル9のうちの一方を拡大して示している。切欠き5は、環状に先細ったハンドル9の円周方向に形成されている。さらに、切欠き5は、環状に先細ったハンドル9の内側から環状に先細ったハンドル9の外側まで連続するスリットとして構成されている。切欠き5は、厚さ方向で中央に配置されており、好ましくは、環状に先細ったハンドル9全体の4分の1未満、8分の1以上にわたって円周方向に延びている。
【0060】
図4は、第1の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ7が挿入された状態の手持ち器具/リング器具1のハンドル9の断面図である。
図5は、第1の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ7及びRFIDタグ4を示す図であり、
図6は、第1の実施形態に係る手持ち器具/リング器具1のハンドル9、サブサーフェスタグホルダ7及びRFIDタグ4を示す図である。
【0061】
サブサーフェスタグホルダ7は、RFIDタグ4を位置固定的に保持するように設けられている。RFIDタグ4は、少なくとも1つの環状に先細ったハンドル9の表面に対してサブサーフェスタグホルダ7の内部へ奥まったところに配置されている。サブサーフェスタグホルダ7は、
図5と
図6の両方に示されているように、RFIDタグ4が少なくとも1つのハンドル9の内部で器具環境に露出するように構成されている。
【0062】
図4は、サブサーフェスタグホルダ7が、環状に先細ったハンドル9に適合した形状を有することを示している。特に、環状のハンドル9は、その環状部に器具とは反対方向を向いた切欠き5を有し、切欠き5はハンドルの厚さ方向に連続していないので、残留するリングウェブが残り、これがホルダ7によってタイルのように充填される。さらに、サブサーフェスタグホルダ7は、その短面17(タイル端部/端)がタイルの長手方向に突出するラッチ後半球部/突起部11を介して少なくとも1つのハンドル9に(取り外し不可能に)固定されるように構成されており、この目的のために、切欠きの結果として生じるハンドルリングの端面それぞれに、対応する凹部/孔が構成されている。あるいは、サブサーフェスタグホルダ7が取り外し可能に挿入されることも考えられる。
【0063】
さらに、サブサーフェスタグホルダ7とハンドル9との接触面に対応するホルダ7の短面(端辺)17の各々が、突出するラッチ後半球部11を有することが好ましい。さらに、少なくとも1つのハンドル9の内側から外側に向かってサブサーフェスタグホルダ7を切欠き/中断部5内へ挿入する及び/又は押す/押し込むために、短面17が互いに対して(円錐角/鋭角)αの角度で構成されている。このように、突出するラッチ後半球部11はそれぞれ、対応して設けられ適合された少なくとも1つのハンドル9のフライス加工凹部/中空部/孔と係合する。
【0064】
2つの短面17の間の円錐角/鋭角αと、ラッチ後半球部11の係合のおかげで、手持ち器具/リング器具1を開く際に手で加えられる力によって、サブサーフェスタグホルダ7がハンドル9の外側に押し出されることはない。
【0065】
さらに、
図4から分かるように、サブサーフェスタグホルダ7は、切欠き/長手方向ノッチ5にぴったり挿入されて、切欠き5を完全に充填する。従って、環状に先細ったハンドル9の切欠き5も、挿入されたサブサーフェスタグホルダ7が押されて抜けないように円錐角αを有して構成されている。
【0066】
第1の実施形態によれば、環状に先細ったハンドル9の元の形状は変わらない。
【0067】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る、本発明による手持ち器具/リング器具1を示す図である。医療用手持ち器具、特にリング器具1は、少なくとも1つのエフェクタ部2と少なくとも1つの把持部3とを備える器具本体を有する。少なくとも1つの把持部3には、開口部、本例では連続したくぼみ6の形態の開口部が設けられている。特に、環状ハンドル9は、その環状部に器具とは反対方向を向いた(完全な)中断部6を有し、この中断部は、ブリッジのようにホルダ7によって充填される。
【0068】
したがって、開口部6は、手持ち器具/リング器具1の係合動作中に本質的に力がかからない把持部3の領域に位置している。RFIDタグ4を有する別体のサブサーフェスタグホルダ7が、サブサーフェス原理に従って開口部6に挿入される。サブサーフェスタグホルダ7は、手持ち器具/リング器具1に対してブリッジのように、かつ形状適合するように開口部6を充填する。
【0069】
少なくとも1つのエフェクタ部2は2つの分岐部8を有し、少なくとも1つの把持部3は2つの環状に先細ったハンドル9を有する。このように、器具は従来構造の鋏(または鉗子)を形成することが好ましい。開口部6は、手持ち器具/リング器具1の少なくとも1つの環状に先細ったハンドル9の、他方の環状に先細ったハンドル9とは反対の側面に配置されている。
【0070】
図8は、第2の実施形態に係る手持ち器具/リング器具1のハンドル9を示す図である。
図8では、
図7の手持ち器具/リング器具1のハンドル9のうちの一方が、挿入されたサブサーフェスタグホルダ7とともに拡大して示されている。
【0071】
開口部6は、環状に先細ったハンドル9の円周方向で、肉厚高さ全体にわたって形成されている。開口部6は、環状に先細ったハンドル9全体の4分の1にわたって円周方向に延びていることが好ましい。
【0072】
図8では、開口部6は、
図9のサブサーフェスタグホルダ7とカバー14とによってブリッジのように充填されている。
図9によると、サブサーフェスタグホルダ7は、RFIDタグ4を位置固定的にその中に受容するように設けられている。RFIDタグ4は、少なくとも1つの環状に先細ったハンドル9の表面に対してサブサーフェスタグホルダ7の内部へ奥まったところに配置されている。サブサーフェスタグホルダ7は、
図9と
図10の両方に示されているように、RFIDタグ4が少なくとも1つのハンドル9の内部で器具環境に露出するように構成されている。
【0073】
図9は、第2の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ7及びRFIDタグ4の図である。サブサーフェスタグホルダ7は、短面17それぞれの近傍の上面で、アンカーポイント12を介して少なくとも1つのハンドル9に着脱可能に取り付けられるように構成されている。サブサーフェスタグホルダ7の上面は、突出するアンカーポイント12を有しており、この突出するアンカーポイント12は、少なくとも1つのハンドル9の(肉厚高さ方向の)下側から上側に向かって(周方向に対して垂直に)サブサーフェスタグホルダ7を開口部6に挿入するおよび/または押し込むように構成されており、突出するアンカーポイント12の各々は、この目的のために設けられ適合された少なくとも1つのハンドル9のフライス加工凹部/受容部に押し込まれる/差し込まれる/または挿入される。
【0074】
取り付け可能なカバー14は、少なくとも1つのハンドル9に挿入されたサブサーフェスタグホルダ7のために設けられ、好ましくは接着接合または超音波溶接でサブサーフェスタグホルダ7に接続可能である。カバー14は環状のハンドル9の形状に適合されており、サブサーフェスタグホルダ7はハンドル9に挿入される。カバー14は、サブサーフェスタグホルダ7に挿入されているRFIDタグ4を保護し、サブサーフェスタグホルダ7の挿入後に残る開口部を充填する。
【0075】
すなわち、アンカーポイント12は、サブサーフェスタグホルダ7に挿入されたRFIDタグ4に垂直な上方向に突出する突起部であり、上述の短面17の近傍において医療用手持ち器具1のハンドル9の環状受容部に受容されるように構成されている。アンカーポイント12の各々は2つの突起部を有し、下側の突起部は上側の突起部よりも大きな直径を有する。下側の突起部は環状受容部に受容され、上側の突起部は環状受容部から突出する。上側の突起部はカバー14に挿入されるように設けられている。
【0076】
2つの環状受容部は、医療用手持ち器具1のハンドル9において開口部6の短面17に対して設けられている。環状受容部は、医療用手持ち器具1のハンドル9の接触面または短面17のほぼ半分の高さまたは中央で垂直に形成されている。環状受容部は、全高にわたって延びていないが、医療用手持ち器具1のハンドル9の接触面または短面17の全幅にわたって延びており、各々が接触面または短面に平行な方向に連続した孔を有しており、これらの孔は、サブサーフェスタグホルダ7のアンカーポイント12、少なくとも下側の突起部を受容するように設けられている。
【0077】
図10は、第2の実施形態によるサブサーフェスタグホルダ7の挿入を示している。サブサーフェスタグホルダ7の上面(RFIDタグ4が挿入可能な面)は、突出するアンカーポイント12を有しており、アンカーポイント12は、少なくとも1つのハンドル9の下側から上面の方向にサブサーフェスタグホルダ7を開口部6へ挿入するおよび/または押し込むように構成されており、突出するアンカーポイント12は、対応して設けられ適合された少なくとも1つのハンドル9の環状受容部/フライス加工凹部に押し込まれるおよび/または挿入される。
【0078】
取り付け可能なカバー14は、少なくとも1つのハンドル9に挿入されたサブサーフェスタグホルダ7のために設けられており、好ましくは接着接合または超音波溶接でサブサーフェスタグホルダに接続される。カバー14は、サブサーフェスタグホルダの挿入方向とは反対の方向でサブサーフェスタグホルダ7に取り付けられるので、サブサーフェスタグホルダ7とカバー14によって、環状に先細ったハンドル9の元の形状をほぼ継続することができる。
【0079】
図11は、第1及び第2の実施形態に係る本発明によるリング器具1のサブサーフェスタグホルダ7への力の印加を示す図である。
図11によれば、第1のハンドル9(
図11において上側のハンドル)に第1の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ7が設けられており、第2のハンドル9(
図11において下側のハンドル)に第2の実施形態に係るサブサーフェスタグホルダ7が設けられている。2つのサブサーフェスタグホルダ7のこの組み合わせは単なる例示に過ぎない。手持ち器具1では、一方のハンドル9のみに第1の実施形態による地サブサーフェスタグホルダ7が設けられていてもよいし、両方のハンドル9に第1の実施形態によるサブサーフェスタグホルダ7をそれぞれ1つずつ設けてもよい。また、手持ち器具1では、一方のハンドル9のみに第2の実施形態によるサブサーフェスタグホルダ7を設けてもよいし、両方のハンドル9に第2の実施形態によるサブサーフェスタグホルダ7をそれぞれ1つずつ設けてもよい。
【0080】
図11の矢印によると、手持ち器具/リング器具1を開くときにのみ、サブサーフェスタグホルダ7に対して他方のハンドル9から離れる外側方向に力が作用することが示されている。手持ち器具/リング器具1を閉じるときには、サブサーフェスタグホルダ7には力は作用せず、他方のハンドル9に対向するハンドル9の面のみに力が作用する。
【0081】
さらに、第1の実施形態のサブサーフェスタグホルダ7は円錐形の開口および半球形のラッチ11によって、第2の実施形態のサブサーフェスタグホルダ7はアンカーポイント12によって手持ち器具1の環状ハンドル9にしっかりと保持されるため、RFIDタグ4を有するサブサーフェスタグホルダ7(好ましくはガラスまたはセラミック製の射出成形部品)は、ユーザ/操作者によって大きな力が加えられても、押し出されることはない。
【0082】
図10は、アンカーポイント12を有しない場合の、第2の実施形態のサブサーフェスタグホルダ7に作用する力を例示的に示す。第2の実施形態によれば、サブサーフェスタグホルダ7は、力が加えられると、大きな力である場合には、ハンドル9から押し出される傾向がある。上述したサブサーフェスタグホルダ7の最適化された形状によって、力をはるかに良好に吸収することができ、サブサーフェスタグホルダ7が抜け出るのを防止することができる。
【0083】
サブサーフェスタグホルダ7に大きな力が加えられる場合、図示される矢印によるこの力の流れによって、サブサーフェスタグホルダ7が曲がってしまうかもしれないが、アンカーポイント12から外れることはない。大きな力がかかれば、このようなことも起こり得るが、例えばプラスチックなどの材料の選択が重要である。
【0084】
図12は、有利なアンカーポイント12がない場合の力の流れを示す図である。これは、本発明の意味における解決策を示すものではない。大きな力が加えられると、(図示の矢印に従った)力の流れによって、サブサーフェスタグホルダ7が曲がって、アンカーポイント12から外れてしまい、場合によってはアンカーポイント12が剪断され、サブサーフェスタグホルダ7がハンドル9から外れてしまう。この場合、RFIDタグ4も破損してしまう可能性が高い。
【0085】
図13は、医療用手持ち器具1と、RFIDタグ4と信号連結可能であり、器具ホルダ16を有する又は器具ホルダ16として構成された読み取り装置15とを備える例示的なシステムを示す図である。器具ホルダ16は、読み取り装置15に対して医療用手持ち器具1を所定の位置及び/又は向きに保持又は一時的に固定するために設けられており、RFIDタグ4と読み取り装置15との間で信号伝送が可能であり、好ましくは、複数のRFIDタグ4が同時にかつ確実に読取可能である。
【0086】
すなわち、把持部3およびエフェクタ部2として構成された器具本体を有する医療用ハンドヘルド器具1と、少なくとも1つの器具ホルダ16と、読み取り装置15とからなるシステムが示されている。医療用手持ち器具1、少なくとも1つの器具ホルダ16、および読み取り装置15は、ふるいかご/スマートトレイ18に配置されている/取り付けられている。読み取り装置15は、制御モジュールであり、少なくとも1つのアンテナ19と接続されている/接触している。
【0087】
医療用手持ち器具1に配置されたRFIDタグ4の位置が読み取り装置15に可能な限り近づけられることで、RFIDタグ4を読み取ることができる。読み取り装置15は少なくとも1つのアンテナ19に接続されており、これらのアンテナ19は器具ホルダ16に一体化されている。したがって、この好ましい実施例による読み取り装置15は、ふるいかご18によるフレームを有し、このフレームには、少なくとも1つの器具ホルダ16が好ましくはクランプまたはクリップの形態で固定され、このクランプまたはクリップに医療用手持ち器具1またはその器具本体が留められる/一時的に固定される。さらに、
図13には、医療用手持ち器具1が器具ホルダ16に挿入されたときに医療用手持ち器具1の下方に位置する読み取り装置15を示している。ここでの決定的な要因は、本発明による医療器具に配置されることによって、RFIDタグ4を、手持ち器具1が器具ホルダ16に挿入されたときに読み取り装置15の真上にくるように(所望のように)配置することができ、RFIDタグ4と読み取り装置15との間の伝送距離を最小化できる。
【0088】
RFIDタグ/ガラスタグ4の位置は、少なくとも1つの(手持ち)器具1を対応する器具ホルダ16に垂直に挿入するのに最適である。これにより、アンテナ19が確実にRFIDタグ4に直接近接し、多数の手持ち器具1や他の器具を同時に且つ確実に読み取ることができる(ヒット率100%)。
【符号の説明】
【0089】
1 手/リング器具
2 エフェクタ部
3 把持部
4 RFIDタグ
5 切欠き/ノッチ/薄肉部
6 開口部/中断部
7 サブサーフェスタグホルダ
8 分岐部
9 ハンドル
10短面
11 ラッチ後半球部/突起部
12 アンカーポイント
13 フライス加工凹部
14 カバー
15 読み取り装置
16 器具ホルダ
17 短面
18 ふるいかご
19 アンテナ
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
RFIDタグ/ガラスタグ4の位置は、少なくとも1つの(手持ち)器具1を対応する器具ホルダ16に垂直に挿入するのに最適である。これにより、アンテナ19が確実にRFIDタグ4に直接近接し、多数の手持ち器具1や他の器具を同時に且つ確実に読み取ることができる(ヒット率100%)。
国際出願時の明細書は、以下の構成を含んでいる。
[1]少なくとも1つの把持部(3)と、少なくとも1つのエフェクタ部(2)と、好ましくはサブサーフェス原理に従ってガラス/セラミックタグとして器具本体に挿入されるRFIDタグ(4)とを有する器具本体を備える、好ましくは鉗子または鋏タイプの医療用の手持ち器具(1)であって、
切欠き(5)または開口部(6)が、前記手持ち器具(1)の係合動作中に実質的に力がかからない前記器具本体の領域に形成されており、
別体のサブサーフェスタグホルダ(7)が、好ましくは力嵌合および/または形状嵌合で前記切欠き(5)または前記開口部(6)に挿入され、前記手持ち器具(1)に対して形状適合的に前記切欠き(5)または前記開口部(6)を充填することを特徴とする、医療用の手持ち器具(1)。
[2]前記少なくとも1つのエフェクタ部(2)が2つの分岐部(8)を有し、
前記少なくとも1つの把持部(3)が2つの環状に先細ったハンドル(9)を有し、
前記切欠き(5)または前記開口部(6)が、前記手持ち器具(1)の前記少なくとも1つの環状に先細ったハンドル(9)の、他方の環状に先細ったハンドル(9)とは反対方向を向く側に配置されていることを特徴とする、[1]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[3]前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、前記RFIDタグ(4)が前記少なくとも1つの環状に先細ったハンドル(9)の表面に対して前記サブサーフェスタグホルダ(7)の内部へ奥まったところに配置されるように、前記RFIDタグ(4)を位置固定的に受容するように設けられていることを特徴とする、[2]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[4]前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、前記RFIDタグ(4)が前記少なくとも1つのハンドル(9)の内部で器具環境に露出するように、設けられ構成されていることを特徴とする、[2]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[5]前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、その短面(17)上のラッチ後半球部(11)を介して、及び/又は前記短面(17)それぞれの近傍の上面にあるアンカーポイント(12)を介して、前記少なくとも1つのハンドル(9)に形状嵌合されるように構成されていることを特徴とする、[2]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[6]前記サブサーフェスタグホルダ(7)の短面(17)の各々が、突出するラッチ後半球部(11)を有し、
前記短面(17)は、好ましくは前記少なくとも1つのハンドル(9)の内側から外側へ向かう方向で前記サブサーフェスタグホルダ(7)を前記切欠き(5)へ挿入するおよび/または押し込むために、互いに対して鋭角(α)で構成されており、前記突出するラッチ後半球部(11)がそれぞれ、この目的のために対応して設けられ適合された前記少なくとも1つのハンドル(9)のフライス加工凹部のそれぞれと係合することを特徴とする、[2]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[7]前記サブサーフェスタグホルダ(7)の上面は、前記少なくとも1つのハンドル(9)の下側から前記上面の方向へ前記サブサーフェスタグホルダ(7)を前記開口部(6)へ挿入するおよび/または押し込むために設けられ構成された突出するアンカーポイント(12)を有しており、前記突出するアンカーポイント(12)がそれぞれ、対応して設けられ適合された前記少なくとも1つのハンドル(9)の凹部(13)に押し込まれるおよび/または挿入されることを特徴とする、[2]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[8]前記少なくとも1つのハンドル(9)に挿入された前記サブサーフェスタグホルダ(7)のための取り付け可能なカバー(14)が設けられて構成され、
好ましくは、接着接合又は超音波溶接で前記カバー(14)を前記サブサーフェスタグホルダ(7)に接続することができることを特徴とする、[7]に記載の医療用の手持ち器具(1)。
[9]前記サブサーフェスタグホルダ(7)は、前記少なくとも1つのハンドル(9)の環状形状の内側、及び好ましくは外側に適合するように設けられ構成されたプラスチック射出成形部品であることを特徴とする、[1]~[8]のいずれかに記載の医療用の手持ち器具(1)。
[10][1]に記載の医療用の手持ち器具(1)と、読み取り装置(15)であって、
前記RFIDタグ(4)と信号連結可能であり、読み取り装置(15)に対して前記医療用の手持ち器具(1)を所定の位置及び/又は向きに保持又は一時的に固定するように設けられ適合された器具ホルダ(16)を有する又は器具ホルダ(16)として構成された読み取り装置(15)とを備えるシステムであって、
前記RFIDタグ(4)と前記読み取り装置(15)との間の信号伝送が可能であり、
好ましくは複数のRFIDタグ(4)が同時に且つ確実に読み取り可能である、システム。
【国際調査報告】