(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】自動車のバーナーを作動させる方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20240305BHJP
F01N 3/36 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F01N3/20 L
F01N3/36 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558678
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022057002
(87)【国際公開番号】W WO2022200171
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021001587.8
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ゾーラー,ハーバート
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA13
3G091AB02
3G091AB04
3G091AB13
3G091CA02
3G091FC04
(57)【要約】
【課題】バーナーの特別に好ましい動作を具体化することができるように、自動車のバーナーを作動させる方法を提供する。
【解決手段】本発明はバーナー(42)を作動させる方法に関し、バーナー(42)は、空気と液体燃料とを含む混合気が中で点火される燃焼チャンバ(58)と、空気の第1の部分により貫流されて空気の第1の部分の渦状の流動を惹起する内側の渦流室(62)とを含み、内側の渦流室は、内側の渦流室(62)を貫流する空気の第1の部分により貫流可能な第1の流出開口部(64)を有し、これを介して空気の第1の部分を内側の渦流室(62)から排出可能であり、及び、液体燃料により貫流可能な、内側の渦流室(62)に配置された少なくとも1つの流出開口部(70)を有する注入部材(66)を有し、これによって流出開口部(70)を介して、燃料を内側の渦流室(62)に注入可能であり、その第1の流出開口部(64)は、流出開口部(70)を介して注入部材(66)から外に出て、それにより内側の渦流室(62)に注入される、燃料によっても貫流可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(12)の排ガスにより貫流可能な排気管(26)を有する自動車のバーナー(42)を作動させる方法において、
前記バーナー(42)は、
燃焼チャンバ(58)を有し、この燃焼チャンバの中で空気と液体燃料とを含む混合気が点火され、それによって燃焼され、
空気の第1の部分により貫流可能な、空気の第1の部分の渦状の流動を惹起する内側の渦流室(62)を有し、この内側の渦流室は、前記内側の渦流室(62)を貫流する空気の第1の部分により貫流可能な第1の流出開口部(64)を有し、この第1の流出開口部を介して空気の第1の部分を前記内側の渦流室(62)から排出可能であり、
液体燃料により貫流可能な、前記内側の渦流室(62)に配置された流出開口部(70)を有する少なくとも1つの注入部材(66)を有し、この注入部材を用いて、前記流出開口部(70)を介して、燃料を前記内側の渦流室(62)へ注入可能であり、前記第1の流出開口部(64)は、前記流出開口部(70)を介して前記注入部材(66)から外に出て、それにより前記内側の渦流室(62)に注入される燃料によっても貫流可能であり、及び、
前記内側の渦流室(62)の少なくとも1つの長さ領域を前記内側の渦流室(62)の円周方向で取り囲む、空気の第2の部分により貫流可能な、空気の第2の部分の渦状の流動を惹起する外側の渦流室(76)を有し、この外側の渦流室は、前記外側の渦流室(76)を貫流する空気の第2の部分と、前記第1の流出開口部(64)を貫流する燃料と、前記内側の渦流室(62)及び前記第1の流出開口部(64)を貫流する空気の第1の部分とによって貫流可能な第2の流出開口部(80)を有し、この第2の流出開口部を介して空気の各部分と燃料とを前記燃焼チャンバ(58)に導入可能であり、
前記バーナー(42)を始動させるために、
所定の時間帯の間に前記注入部材(66)により燃料が前記内側の渦流室(62)に注入され、
前記時間帯の間には前記渦流室への空気の能動的な供給及び前記燃焼チャンバでの点火は起こらず、
前記時間帯の後に前記渦流室に空気が能動的に供給され、燃料が前記注入部材によって前記内側の渦流室に注入されて、前記燃焼チャンバの中で混合気が点火されて燃焼される
方法。
【請求項2】
前記時間帯は少なくとも0.3秒続く
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記時間帯は長くとも6秒、特に長くとも4秒続く
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも前記時間帯の後に電子計算装置(52)により、
空気の第1の量及び燃料の第2の量が判定され、
前記第1の量及び前記第2の量に基づいて混合気の燃焼空気比の少なくとも1つの実際値が判定され、
判定された前記実際値に基づいて前記バーナー(42)が作動する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記電子計算装置(52)は判定された前記実際値に基づいて前記注入部材(66)を制御し、それにより、判定された前記実際値に基づいて前記バーナー(42)を作動させる
ことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
空気ポンプ(56)を有し、これを用いて空気が能動的に前記渦流室(62,76)に向かって、及びそれによって前記バーナー(42)に向かって、及びその中へ送出され、及び/又は、
燃料ポンプ(136)を有し、これを用いて燃料が能動的に前記注入部材(66)に向かって、及びこれを通るように、及びそれによって前記注入部材(66)を介して前記内側の渦流室(62)の中へ送出される
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記燃料ポンプ(136)としてピストンポンプ(136)が利用される
ことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記電子計算装置(52)は判定された前記実際値に基づいて前記空気ポンプ(56)及び/又は前記燃料ポンプ(136)を制御し、それにより、判定された前記実際値に基づいて前記バーナー(42)を作動させる
ことを特徴とする請求項4または請求項5を引用する請求項6に記載、または、該請求項6を引用する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電子計算装置(52)により前記実際値が目標値と比較され、前記比較に基づいて前記バーナー(42)が作動する
ことを特徴とする、請求項4に記載、請求項5に記載、請求項4または請求項5を引用する請求項6に記載、該請求項6を引用する請求項7に記載、または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
内燃機関(12)の排ガスにより貫流可能な排気管(26)を有する自動車のバーナー(42)を作動させる方法において、
前記バーナー(42)は、
燃焼チャンバ(58)を有し、この燃焼チャンバの中で空気と液体燃料とを含む混合気が中で点火され、それによって燃焼され、
空気の第1の部分により貫流可能な、空気の第1の部分の渦状の流動を惹起する内側の渦流室(62)を有し、この内側の渦流室は、前記内側の渦流室(62)を貫流する空気の第1の部分により貫流される第1の流出開口部(64)を有し、前記第1の流出開口部を介して空気の第1の部分が前記内側の渦流室(62)から排出され、
液体燃料により貫流可能な、前記内側の渦流室(62)に配置された流出開口部(70)を有する少なくとも1つの注入部材(66)を有し、この注入部材を用いて燃料が前記流出開口部(70)を介して前記内側の渦流室(62)へ注入され、前記第1の流出開口部(64)は、前記流出開口部(70)を介して前記注入部材(66)から外に出て、それにより前記内側の渦流室(62)に注入される燃料によっても貫流され、及び、
前記内側の渦流室(62)の少なくとも1つの長さ領域を前記内側の渦流室(62)の円周方向で取り囲む、空気の第2の部分により貫流される、空気の第2の部分の渦状の流動を惹起する外側の渦流室(76)を有し、この外側の渦流室は、前記外側の渦流室(76)を貫流する空気の第2の部分と、前記第1の流出開口部(64)を貫流する燃料と、前記内側の渦流室(62)及び前記第1の流出開口部(64)を貫流する空気の第1の部分とによって貫流される第2の流出開口部(80)を有し、この第2の流出開口部を介して空気の各部分と燃料とが前記燃焼チャンバ(58)に導入され、
電子計算装置(52)によって、
空気の第1の量及び燃料の第2の量が判定され、
前記第1の量及び前記第2の量に基づいて混合気の燃焼空気比の少なくとも1つの実際値が判定され、
判定された前記実際値に基づいて前記バーナー(42)が作動する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガスにより貫流可能な排気管を有する自動車のバーナーを作動させる方法に関する。
【0002】
全般的な従来技術から、及び特に量産車の製造から、内燃機関と、排気管とも呼ばれる排ガス設備とを有する自動車が知られている。それぞれの排気管には、内燃エンジンとも呼ばれる内燃機関の排ガスが貫流可能である。それぞれの内燃機関のいくつかの動作状態や動作状況では排ガスの高い温度が望ましい場合があり、それは、たとえば排気管に配置された排ガス後処理装置を迅速に加熱するため、及び/又は高温に保てるようにするためであるが、そのような動作状態や動作状況では排ガスの温度は不十分にしか高くない。
【0003】
下記特許文献1は、内燃機関の排ガスにより貫流可能な排気管を有する自動車のバーナーを開示している。このバーナーは燃焼チャンバを有していて、その中で空気と液体燃料とを含む混合気を点火し、それによって燃焼させることができる。このとき空気の第1の部分により貫流可能な、空気の第1の部分の渦状の流動を惹起する、内側の渦流室が設けられる。内側の渦流室には流出開口部を有する注入部材が設けられていて、これを用いて、流出開口部を介して、内側の渦流室に燃料を注入可能である。内側の渦流室は、空気の第2の部分により貫流可能な、空気の第2の部分の渦状の流動を惹起する、外側の渦流室によって取り囲まれる。内側の渦流室は第1の流出開口部を有し、外側の渦流室は第2の流出開口部を有し、これらを介して、空気の各部分と燃料とを燃焼チャンバの中へ導入可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第10 2006 015 841 B3号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、バーナーの特別に好ましい動作を具体化することができるように、自動車のバーナーを作動させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決され、並びに、請求項10の特徴を有する方法によって解決される。本発明の合目的的な発展形態による有利な実施形態はその他の請求項に記載されている。
【0007】
本発明の第1の態様は、内燃エンジンとも呼ばれる自動車の内燃機関の排ガスにより貫流可能な排気管を有する自動車のバーナーを作動させる方法に関する。このことは、好ましくは動力車として、特に好ましくは乗用車として構成されていてよい自動車が、完全に製造された状態にあるときに内燃機関と排気管とを有しており、内燃機関によって駆動可能であることを意味する。内燃機関の燃焼動作中、内燃機関では、特に内燃機関の少なくとも1つ又は複数の燃焼室では、燃焼プロセスが進行し、その結果として内燃機関の排ガスが生じる。この排ガスはそれぞれの燃焼室から流出して排気管に流れ込み、これに続いて、排ガス設備とも呼ばれる排気管を貫流することができる。排気管には、たとえば排ガスを後処理するための排ガス後処理部材などの少なくとも1つのコンポーネントが配置されていてよい。排ガス後処理部材はたとえば触媒装置、特にSCR触媒装置であり、この場合、たとえばSCR触媒装置によって、選択的触媒還元(SCR)を触媒によりサポート可能及び/又は惹起可能である。選択的触媒還元では、排ガスに含まれることがある窒素酸化物が少なくとも部分的に排ガスから取り除かれ、それは、選択的触媒還元のときに窒素酸化物がアンモニアと反応して窒素と水になることによる。アンモニアは、たとえば特に液体の還元剤によって提供される。更に、排ガス後処理部材は粒子フィルタ、特にディーゼル粒子フィルタであってよく、又はこれを含み、これを用いて排ガスに含まれる粒子を、特にスス粒子を、排ガスからろ過することができる。
【0008】
バーナーは燃焼チャンバを有し、その中で、空気と液体燃料とを含む混合気に点火し、それによって燃焼させることができる。特に燃焼チャンバの混合気が燃焼することでバーナーの排ガスが生成され、その排ガスはバーナー排ガスとも呼ばれる。バーナー排ガスはたとえば燃焼チャンバから流出して、特に、たとえば排気管を貫流する内燃機関の排ガスの流動方向に見て各コンポーネントの上流側に配置される導入個所で、排気管に流入することができる。その結果、バーナー排ガスがたとえば各コンポーネントを貫流することができ、それによって各コンポーネントを熱することができ、すなわち加熱することができる。更に、バーナー排ガスが燃焼チャンバから流出して排気管に流入し、それにより、排気管を貫流する内燃機関の排ガスと、及び/又は排気管を貫流するガスと混合されることが考えられ、それによって内燃機関の排ガスないしガスが加熱される。換言すると、それによって特別に高い、排ガス温度とも呼ばれる内燃機関の排ガスの温度を、ないしはガスの温度を具体化することができる。排ガスないしガスが、各コンポーネントを通過して流れることから、高い排ガス温度によって各コンポーネントを加熱することができる。このように、たとえば燃焼チャンバからの排ガスが上に挙げた導入個所のところで排気管に導入され、その結果、排気管を貫流している排ガスないしガスの中に導入される。たとえば燃焼チャンバには、特に電気式に作動可能な点火装置が配置されていて、これを用いて、たとえば特に燃焼チャンバで、及び/又は電気エネルギーないし電流を利用した上で、少なくとも1つの点火火花を混合気の点火のために提供可能であり、すなわち生成可能である。点火装置は、たとえばグロープラグあるいはスパークプラグである。
【0009】
バーナーは、混合気を形成する空気の第1の部分により貫流可能な、空気の第1の部分の渦状の流動を惹起する内側の渦流室を有し、したがってこれは、内側の渦流室を貫流する空気の第1の部分の流動方向から見て燃焼チャンバの上流側に配置されるのが好ましい。内側の渦流室は、内側の渦流室を貫流する空気の第1の部分により貫流可能な、特にちょうど1つの第1の流出開口部を有し、これを介して、第1の流出開口部を貫流する空気の第1の部分を内側の渦流室から排出可能であり、たとえば燃焼チャンバの中に導入可能である。内側の渦流室が、内側の渦流室を貫流する空気の第1の部分の渦状の流動を惹起する、ないしは惹起することができる、という特徴は、特に、空気の第1の部分が渦流室で渦状に貫流し、すなわち渦流室の少なくとも1つの長さ領域を渦状に貫流し、及び/又は空気の第1の部分が少なくとも、たとえば燃焼チャンバに配置された、内側の渦流室の下流側で内側の渦流室の外部に配置される第1の流動領域で初めて渦状の流動を有することとして理解される。特に、空気の第1の部分が第1の流出開口部を介して内側の渦流室から渦状に流出し、及び/又は燃焼チャンバへ渦状に流入することが考えられ、その結果、空気の第1の部分が少なくとも燃焼チャンバの中でその渦状の流動を有することが意図されるのが特に好ましい。
【0010】
更にバーナーは、液体燃料により貫流可能な少なくとも1つの、又はちょうど1つの、流出開口部を有する注入部材、特に噴射部材を有する。流出開口部は内側の渦流室の中に配置され、それにより注入部材は、特に噴射部材は、ないしは液体燃料により貫通可能である注入部材の通路は、流出開口部を介して内側の渦流室へと連通する。注入部材により、流出開口部を貫流する燃料を、流出開口部を介して特に直接的に、内側の渦流室へと注入可能であり、特に噴射可能であり、それにより第1の流出開口部は、流出開口部を介して噴射部材から外に出る、特に噴出される、それによって特に直接的に内側の渦流室へと注入される、特に噴射される、液体燃料によっても貫流可能である。このことは特に、空気の第1の部分と燃料とが共通の第1の流動方向に沿って第1の流出開口部を貫流し、それによって内側の渦流室から流出できることを意味する。
【0011】
更にバーナーは、内側の渦流室の少なくとも1つの長さ領域を、及びその際に好ましくは第1の流出開口部も、内側の渦流室の円周方向で特に全面的に周回するように取り囲む、外側の渦流室を含む。このときたとえば内側の渦流室の円周方向は、たとえば内側の渦流室の、及びこれに伴って第1の流出開口部の、軸方向と一致する上に挙げた第1の流動方向の周りを延びる。好ましくは、内側の渦流室は、第1の流出開口部を貫流する第1の部分の流動方向で、及びこれに伴って第1の流出開口部を貫流する燃料の流動方向で、したがって内側の渦流室の、及びこれに伴って第1の流出開口部の、軸方向で、第1の流出開口部ないしその端部のところで終わることが意図される。外側の渦流室は空気の第2の部分により貫流可能であり、空気の第2の部分の渦状の流動を惹起するために構成される。このことは特に、空気の第2の部分が外側の渦流室の中で流れ、すなわち外側の渦流室の少なくとも1つの部分領域又は長さ領域を渦状に貫流することであると理解され、及び/又は空気の第2の部分が、たとえば上に挙げた第1の流動領域と一致する、外側の渦流室を貫流する空気の第2の部分の流動方向から見て外側の渦流室の下流側に配置された第2の流動領域で、渦状の流動を有することであると理解され、第2の流動領域はたとえば外側の渦流室の外部に、かつたとえば燃焼チャンバの内部に、配置されていてよい。更に、上に挙げた第1の流動領域が外側の渦流室の外部に配置されることが考えられる。換言すると、空気の第2の部分は外側の渦流室から渦状に流出し、及び/又は燃焼チャンバへ渦状に流入することが考えられ、好ましくは、したがって、空気の第2の部分は少なくとも燃焼チャンバの中で渦状の流動を有することが意図される。
【0012】
外側の渦流室は、外側の渦流室を貫流する空気の第2の部分と、第1の流出開口部を貫流する燃料と、内側の渦流室及び第1の流出開口部を貫流する空気の第1の部分とによって貫流可能な、たとえば各部分と燃料の流動方向から見て第1の流出開口部の下流側に配置される、たとえば特にちょうど1つの第2の流出開口部を有し、これを介して、空気の第2の部分を外側の渦流室から排出可能であり、空気の各部分と燃料とを燃焼チャンバの中に導入可能である。特に、空気の各部分と燃料とは第2の流動方向に沿って第2の流出開口部を通過するように流れ、そのようにして第2の流出開口部を介して燃焼チャンバに流入することができ、たとえば第2の流動方向は第1の流動方向に対して平行に延び、又は第1の流動方向と一致する。更に、好ましくは、第2の流動方向が外側の渦流室の軸方向に延び、したがって外側の渦流室の軸方向と一致することが意図されるのが好ましく、そのようにして、内側の渦流室の軸方向が外側の渦流室の軸方向に相当する、ないしはその逆であることが意図される。換言すれば、好ましくは、内側の渦流室の軸方向が外側の渦流室の軸方向と一致する、ないしはその逆であることが意図される。それぞれの渦流室のそれぞれの径方向は、それぞれの渦巻室のそれぞれの軸方向に対して垂直に延びる。たとえば第2の流出開口部はそれぞれの流動方向に沿って、すなわち、空気のそれぞれの部分の流動方向及び燃料の流動方向から見て第1の流出開口部の下流側に配置され、好ましくは外側の渦流室は第1の流出開口部を取り囲むので、たとえば第1の流出開口部は外側の渦流室に配置される。特に、外側の渦流室は、特に第2の流出開口部を貫流する空気の第2の部分の流動方向で、第2の流出開口部で、特にその端部で、終わっていることが考えられる。
【0013】
たとえばそれぞれの渦状の流動を生成するために、それぞれの渦流室は少なくとも1つの、又は複数の渦流生成器を有することができ、これを用いてそれぞれの渦状の流動を生成可能である、ないしは生成される。特に、それぞれの渦流生成器はそれぞれの渦流室の中に配置される。特に、渦流生成器はたとえば案内羽根であり、これを用いてたとえばそれぞれの部分が、すなわちそれぞれの部分を形成するそれぞれの空気が、少なくとも1回又はちょうど1回だけ方向転換され、特に少なくとも、又はちょうど70度だけ、特に約90度だけ、すなわちたとえば70度から90度だけ、方向転換される。特に渦状の流動とは、それぞれの渦流室の、ないしはそれぞれの流出開口部の、それぞれの軸方向の周りで渦状に、ないしは少なくとも実質的に渦巻状又は螺旋状に延びる流動であると理解される。特に、それぞれの流出開口部のそれぞれの軸方向は、それぞれの流出開口部が延びる平面に対して垂直に延びる。このとき、たとえばそれぞれの流出開口部のそれぞれの軸方向は、それぞれの渦流室のそれぞれの軸方向と一致する。それぞれの流出開口部はたとえばそれぞれのノズルとも呼ばれるが、空気のそれぞれの部分により貫流可能なその断面は、必ずしもそれぞれの流動方向に沿って先細になっていなくてもよい。このように、たとえば第2の流出開口部は外側のノズル又は第2のノズルとも呼ばれ、たとえば第1の流出開口部は内側のノズル又は第1のノズルとも呼ばれる。
【0014】
それぞれの渦状の流動が惹起されることで、空気を特別に好ましく、特にごく短い混合経路を通じてでも、特に燃焼チャンバで液体燃料と混合することができ、それにより、特に好ましい混合気前処理が具体化され、すなわち、混合気を特に好ましく形成することができる。特に、まず燃料を特に内側の渦流室の中で、特に内側の渦流室での第1の部分の渦状の流動に基づき、特に良好に空気の第1の部分と混合することができる。更には燃料を、及びたとえばすでに燃料と混合されている第1の部分を、特に外側の渦流室及び/又は燃焼チャンバの中で、空気の第2の部分と特に好ましく混合することができる。というのも、空気の第2の部分も好ましい渦状の流動を有しているからである。全体として、渦状の流動に基づいて空気の各部分と燃料とを特別に好ましく混合することができ、それにより好ましい混合気前処理を実現可能である。
【0015】
たとえば排ガス後処理装置ないし排ガス後処理設備として構成されるコンポーネントを、特に内燃機関の排ガスが低い温度しか有していない場合にも、特別に迅速かつ効果的に加熱できるようにするために、第1の流出開口部(第1ないし内側のノズル)は、第1の流出開口部を貫流する空気の第1の部分の流動方向で、及びこれに伴って第1の流出開口部を貫流する燃料の流動方向で、的確に加工され、それによって鋭利な、ないしはナイフのように鋭利な端部エッジで終わることが意図されていてよいことが好ましく、この端部エッジは、第1の流出開口部を貫流する空気の第1の部分の流動方向で、及びこれに伴って第1の流動開口部を貫流する燃料の流動方向で、端部エッジに向かって先細になるように端部エッジのところで終わる、特に固体として構成される噴霧化リップによって形成される。このことは、第1の流動方向に向かって、従って特に燃焼チャンバに向かって先細になっていく、特に端部エッジのところで初めて終わる先細部を噴霧化リップが有することを意味する。それによって、及び、特に端部エッジの的確な加工によって、先細部ないし噴霧化リップが鋭利なエッジとなる。換言すれば、噴霧化リップは鋭利なエッジで終わっており、それにより特別に好ましい混合気前処理を実現することができる。
【0016】
たとえば混合気が燃焼チャンバの中で炎の形成のもとで燃焼され、特に、渦状の流動によって燃料を空気と好ましく混合することができ、特に、渦状の流動に基づいて燃焼チャンバの炎を好ましく安定化することができる。そのために特に渦状の流動により、燃焼で誘起される渦崩壊を生起することができる。そのために、たとえば燃焼チャンバに流入する空気がそれぞれの渦流室の中で、さしあたり約70度又は約90度だけ、特に70度から90度の範囲内で、方向転換され、このことは、たとえばそれぞれの渦流生成器によって具体化することができる。内側の渦流室と外側の渦流室は、たとえば全体渦流室とも呼ばれる1つの渦流室を形成するが、これが本発明では内側の渦流室と外側の渦流室とに分割される。内側の渦流室と外側の渦流室は、特に固体として形成される分離壁によって、特にそれぞれの渦流室の径方向で互いに分離されるのが好ましい。このとき、分離壁は少なくとも内側の渦流室の前述した長さ領域を、内側の渦流室の軸方向を中心として延びる内側の渦流室の円周方向で、特に全面的に包囲するように取り囲むことが考えられ、それにより、たとえば少なくとも内側の渦流室の長さ領域が内側の渦流室の径方向で外方に向かって特に直接的に分離壁によって形成される、ないしは画成される。更に、外側の渦流室の少なくとも1つの第2の長さ領域が、外側の渦流室の径方向で内方に向かって特に直接的に分離壁によって形成される、ないしは画成されることが考えられる。このとき特に、各渦流室の長さ領域はそれぞれの渦流室の軸方向で同じ高さに配置されることが考えられる。バーナーの作動中、外側の渦流室は空気のみによって、すなわち空気の第2の部分のみによって、貫流され、それに対して、又はその際に、内側の渦流室は空気によって、すなわち第1の部分によって、及び液体燃料によって、貫流される。このように、内側の渦流室の中ですでに空気の第1の部分と燃料との好ましい混合を行うことができる。注入部材は、特に噴射部材は、噴射ノズルであってよく、その流出開口部はたとえば噴射部材の正面又は端面の内部又は表面に配置され、噴射部材の正面ないし端面は、それぞれの渦流室の軸方向に対して垂直に延びる正面平面ないし端面平面に延びる。更に注入部材は、たとえばそれぞれの渦流室ないしそれぞれの流出開口部のそれぞれの軸方向と一致する長手延在を有するランスとして構成されることが考えられる。このときランスは、たとえば少なくとも1つ又はちょうど1つの、特に少なくとも2つ又はちょうど2つの穴として、特に横穴として、構成されていてよい流出開口部を有する。流出開口部は貫通方向を有し、これに沿って流出開口部を燃料によって貫流可能である。特に注入部材が噴射ノズルとして構成される場合、流出開口部の貫通方向は、それぞれの渦流室のそれぞれの軸方向に対して平行に延び、ないし貫通方向は、それぞれの渦流室ないしそれぞれの流出開口部のそれぞれの軸方向と一致する。特に注入部材がランスとして構成される場合、貫通方向は、それぞれの渦流室ないしそれぞれの流出開口部の軸方向に対して斜めに、又は好ましくは垂直に延びる。
【0017】
特に、少なくとも内側の渦流室は、噴霧化リップ及びこれに伴って端部エッジをも形成する、特に固体として形成される構成部品によって構成されることが考えられる。特に、この構成部品の内周側の外套面が、内側の渦流室の径方向で内側の渦流を外方に向かって画成する。このとき、たとえばこの構成部品は、特にその内周側の外套面は、各渦流室の間の、及びこれに伴って空気流とも呼ばれる渦状の、及びこれに伴って渦流化されたそれぞれの流動の間の、膜付着部であり、又は膜付着部として機能する。特に、内周側の外套面ないし膜付着部は、上に挙げた分離壁によって形成されることが考えられ、ないしは、構成部品が上に挙げた分離壁を形成し、ないしはこれを有することが考えられる。このとき注入部材によって、流出開口部を貫流し、それに伴って注入部材から外に出る、特に噴出される燃料が、特に燃料膜とも呼ばれる膜として膜付着部に、特に内周側の外套面に、塗布される、ないしは渦流化された2つの空気流の間で膜付着部に噴霧される。空気の第1の部分の渦状の流動から生じる遠心力により、注入部材から外に出て、特に噴出されて、それにより内側の渦流室に特に直接的に注入される、特に噴射される、すなわちノズル注入される燃料が、特に上に挙げた膜として膜付着部に、特に内周側の外套面に付着し、下流側へと、ノズル開口部とも呼ばれる第1の流出開口部に向かって、及びそれに伴って端部エッジに向かって流れ、又は流動する。すなわち、それによって燃料が噴霧化リップに塗布されて端部エッジへと運ばれ、又は移送される。たとえば第1の流出開口部はナイフのように鋭利な端部エッジで終わっており、この端部エッジは上で説明した先細部によってわずかな面積しか有さず、又は提供せず、それにより、端部エッジのところで燃料の過度に大きい液滴が形成されることがない。噴霧化リップ及び特に端部エッジの構成により、端部エッジでは燃料の微小に小さな液滴が剥離するにすぎない。換言すると、上に挙げた燃料膜から端部エッジのところで特別に小さな、すなわち微小な液滴しか生じることがなく、これが端部エッジで、特に噴霧化リップないし構成部品から剥離して、相応の大きさの表面積を有する。このような効果は、燃焼チャンバの中の混合気の特別にススの少ない燃焼につながる。それにより、高いコストをかけて生成される燃料の高い噴射圧がなくても、及び、コスト集中的な噴射部材がなくても、燃料の微小な液滴を生成することができ、それにより、一方ではバーナーのコストを特別に低く抑えることができる。他方では、燃料の特別に小さい液滴を生成することができるので、バーナーの非常に低い出力を具現することもできる。このとき本発明が特に依拠する知見は、従来式のバーナーは過度に大きい圧力損失を有していて低い出力には不向きであり、したがって、燃料消費量という観点からは欠点があるということにある。上に挙げた問題と欠点は本発明によってしか回避することができず、それによって、特に燃料消費量を特別に少なく抑えることができる。以下において噴射部材について言及しているとき、これは注入部材であると理解される。
【0018】
以下において排気管を貫流するガスについて言及しているとき、別段の記載がない限り、これは上に挙げた内燃機関の排ガス又は上に挙げたガスであると理解される。このとき、バーナー排ガスを排気管ないしガスの中へ導入可能である上に挙げた導入個所は、排気管を貫流するガスの流動方向から見て、排気管のたとえばディーゼル酸化触媒として構成される酸化触媒装置の下流側又は上流側に配置されることが考えられる。酸化触媒装置は、特に、排ガスに含まれる場合がある未燃焼の炭化水素(HC)を酸化させる、及び/又は排ガスに含まれる場合がある一酸化炭素(CO)を酸化させる、特に二酸化炭素にするために構成される。
【0019】
そしてバーナーを特別に好ましく作動させ、それに伴って各コンポーネントを特別に迅速かつ効果的に加熱し、及び/又は高温に保てるようにするために、本発明の第1の態様では、当初は不作動化しているバーナーを始動させるために、特に設定可能な、又は設定される時間帯の間注入部材によって、特に噴射部材によって、動力燃料が内側の渦流室へ特に直接的に注入され、特に噴射されることが意図される。第1の時間帯がたとえば設定可能であり、又は設定されるという構成要件は、特に、第1の時間帯の長さが設定され、又は設定可能であることとして理解される。バーナーが始動するという特徴は、及び、バーナーが当初は不作動化しているという特徴は、特に、第1の時間帯に特に直接的ないしダイレクトに先行する第2の時間帯の間にバーナーが一貫して不作動化しており、それにより第2の時間帯の間には特に一貫して、内側の渦流室への動力燃料の注入、特に噴射と、渦流室への空気の能動的な供給と、燃焼チャンバ内での点火とが起こらない、すなわち行われないこととして理解される。第2の時間帯が第1の時間帯に直接的ないしダイレクトに先行するという特徴は、特に、第1の時間帯と第2の時間帯の間にそれ以外の別の時間帯がなく、それにより、好ましくは第2の時間帯が第1の時間帯の開始をもって終了する、ないしはその逆に、第1の時間帯が第2の時間帯の終了をもって開始されることとして理解される。特に第1の時間帯は、注入部材によって動力燃料が内側の渦流室に注入され、特に噴射されることをもって開始される。特に、第1の時間帯の間には動力燃料が注入部材により一貫して、すなわち中断なしに、内側の渦流室へ特にダイレクトに注入され、特に噴射されることが意図される。更に本発明によると、第1の時間帯の間には一貫して、渦流室への空気の能動的な供給と、燃焼チャンバでの点火とが起こらないことが意図される。渦流室への能動的な供給とは、空気ポンプとも呼ばれる、又は空気ポンプとして構成される送出装置によって能動的に、すなわち空気ポンプの能動的な作動によって、空気が渦流室へ、及びこれに伴ってバーナーへ送出され、したがって渦流室が空気及びこれに伴って空気の各部分の供給を受けることとして理解されるが、第1の時間帯の間に、及び好ましくは第2の時間帯の間にも、渦流室へのそのような能動的な空気の供給及びこれに伴って各部分の供給が起こらない。第1の時間帯の間に、及び好ましくは第2の時間帯の間にも、1回又は複数回の点火が渦流室で起こらないという特徴は、特に、混合気が渦流室の中にあれば渦流室内の混合気を点火できるはずの能動的な点火プロセスが渦流室内で行われず、ないしは実行されず、それにより特に第1の時間帯の間に、及び好ましくは第2の時間帯の間にも、たとえば点火火花やその他の点火事象が渦流室で実行されないこととして理解される。
【0020】
更に本発明によると、第1の時間帯の後に、すなわち第1の時間帯の経過後に、特に送出装置によって渦流室に空気が能動的に供給され、注入装置によって動力燃料が内側の渦流室へ注入され、特に噴射され、そのようにして燃焼チャンバで混合気が生成され、特に点火装置ないし前述の点火装置によって特に能動的に点火されて、たとえば点火装置が少なくとも1つの点火火花を生成する、ないしは特に燃焼チャンバに提供されることが意図される。換言すると、第1の時間帯には特に直接的ないしダイレクトに第3の時間帯が後続し、これが好ましくは少なくとも10秒続く。このように、好ましくは、第1の時間帯は第3の時間帯の開始をもって終了する、ないしはその逆に、第3の時間帯は第1の時間帯の終了をもって開始されることが意図される。特に第3の時間帯は、渦流室に空気が能動的に供給されることをもって開始され、特にたとえば当初は不作動化している送出装置の作動化をもって開始され、送出装置はたとえば第1の時間帯の間、及び第2の時間帯の間には、特に一貫して不作動化しており、すなわち作動していない。更に、たとえば第3の時間帯は、当初は不作動化しているたとえばグローランプ、グローピン、又はスパークプラグとして構成される点火装置が作動化することをもって開始される。たとえば点火装置は第1の時間帯の間、及び第2の時間帯の間には、特に一貫して不作動化している。
【0021】
第3の時間帯の間に渦流室は能動的に空気の供給を受け、それは特に、送出装置によって空気が渦流室に向けて、及び渦流室の中へ、能動的に送出されることによる。たとえば送出装置は電気式に作動可能であり、ないしは作動する。更に第3の時間帯の間には、動力燃料が注入部材によって内側の渦流室に注入され、特に噴射される。このとき、第3の時間帯の間には一貫して、すなわち中断なく、動力燃料が注入部材によって内側の渦流室に注入されるか、又は第3の時間帯の間に、ないしは第3の時間帯内で、注入部材によって時間的に連続して互いに間隔をおく複数回の注入が、特に噴射が実行され、その際にそれぞれ注入部材によって動力燃料が内側の渦流室へ特に直接的に注入されることが考えられる。渦流室へ空気が能動的に供給されることで、空気及びこれに伴って各部分が渦流室を通って流動し、渦流室への空気の能動的な供給によって、及び内側の渦流室への動力燃料の注入によって、特に噴射によって、混合気が形成され、これが第3の時間帯の間に、ないしは第3の時間帯内で、点火されて燃焼される。このことは特に、第3の時間帯の間に燃焼チャンバの中で混合気の点火が行われ、それにより第3の時間帯内で、ないしはその間に、特に中断なく、燃焼室の中の混合気が燃焼されることを意味する。このように第1の時間帯の間、及び第2の時間帯の間には、バーナーが炎ないしバーナー排ガスを提供しないことが意図される。しかし第3の時間帯の間にはバーナーが特に一貫して、ないしは中断なしに、混合気の点火と燃焼から生じるバーナー排ガスを、ないしは混合気の点火と燃焼から生じる炎を提供し、それによって各コンポーネントを加熱する、及び/又は高温に保つことができる。第1の時間帯の間には動力燃料が内側の渦流室に注入されるものの、渦流室への空気の能動的な供給、及び燃焼チャンバでの点火は起こらないことによって、内側の渦流室での動力燃料のいわば事前投与が実現ないし実行される。このとき本発明の根底には、次のような知見と考察がある。すなわち、特にコールドスタートとして行われる、当初は不作動化しているバーナーの始動の際には、それぞれの渦流室でまだ高い温度も大きな空気運動も生じていない。この状態は燃焼チャンバでの混合気の点火を可能にしないか、又は、そのような点火を少なくとも困難にする。そこで本発明による方法は、当初は不作動化しているバーナーを迅速かつ効率的に、かつ特に内燃機関の運転時にも、及び/又は低温の環境条件のもとでも、始動させることを可能にする。そのためには燃焼チャンバの中の点火能力のある混合気が有利であり、このことは、本発明に基づく動力燃料の事前投与によって実現することができる。
【0022】
このとき第1の時間帯が少なくとも0.3秒続くと、特別に好ましいことが示されている。それによって燃焼チャンバの中の点火能力のある混合気を具体化することができ、それにより、バーナーを迅速かつ効率的に始動させることができる。
【0023】
バーナーを迅速、効率的、かつ効果的に、すなわち少ない燃料消費量で、始動させるために、本発明の別の実施形態では、第1の時間帯が最長で6秒、特に最長で4秒続くことが意図される。換言すると、好ましくは、第1の時間帯は0.3から6秒、特に0.3から4秒、特に一貫して、ないしは中断なしに続くことが意図される。
【0024】
本発明に基づく燃料の事前投与により、特に燃焼チャンバの特別にリッチ(濃厚)な混合気が形成され、特別にリッチな混合気は大きな液滴にもかかわらず、及び高い質量にもかかわらず、点火するのに適した広い燃料表面を提供する。
【0025】
バーナーの特別に効果的な動作を具体化するために、本発明の別の実施形態では、少なくとも時間帯の後に、すなわちたとえば第3の時間帯の間に、制御機器とも呼ばれる電子計算装置によって空気の第1の量と燃料の第2の量とが判定されることが意図される。換言すると、第3の時間帯内で、ないしはその間に、ないしは第1の時間帯の後に、渦流室に能動的に供給された空気の第1の量が電子計算装置によって時間帯の後に判定される。換言すれば、第1の時間帯の後に、すなわちたとえば第3の時間帯の間に、渦流室に特に能動的に、すなわちたとえば空気ポンプの作動によって、供給された空気の第1の量が電子計算装置によって判定される。更に第1の時間帯の後に、すなわちたとえば第3の時間帯の間に、注入部材によって第1の時間帯の後に、すなわち第3の時間帯の間にその内部で内側の渦流室に注入された燃料の第2の量が電子計算装置によって判定される。第1の量は、空気量又は空気質量とも呼ばれ、第2の量は、燃料量又は燃料質量とも呼ばれる。たとえば空気量は特に電子計算装置によって計算され、それによって判定される。更に、空気量が特に第1のセンサによって測定されることが考えられる。たとえば第1のセンサは、少なくとも第1のセンサによって測定された空気量を特徴づける、特に電気的な第1の信号を提供する。電子計算装置は第1の信号を受信し、それによって、特に測定された空気量を判定することができる。更に、たとえば電子計算装置によって燃料量が計算され、それによって判定されることが考えられる。更に、たとえば燃料量が第2のセンサによって測定されることが考えられる。第2のセンサは、第2のセンサによって測定された燃料量を特徴づける、たとえば特に電気的な第2の信号を提供する。電子計算装置はたとえば第2の信号を受信し、それによって特に測定された燃料量を判定することができる。更に、好ましくは、第1の時間帯の後に、すなわちたとえば第3の時間帯の間に、電子計算装置によって第1の量に基づいて、及び第2の量に基づいて、ラムダ(ギリシャ語の小文字ラムダ)とも呼ばれる混合気の燃焼空気比の少なくとも1つの実際値が判定され、特に計算されることが意図される。更に、好ましくは、電子計算装置によって第1の時間帯の後に、及びこれに伴って第3の時間帯の間に、判定された実際値に基づいてバーナーが作動することが意図される。このように、ラムダ制御がバーナーのラムダ制御された動作を意図するのが好ましく、それにより、特別に効率的かつ効果的なバーナーの動作を保証することができる。
【0026】
このとき電子計算装置が、特に第1の時間帯の後に、及びこれに伴って第3の時間帯の内部ないしその間に、判定された実際値に基づいて注入部材を特に電気式に制御し、それによってバーナーを判定された実際値に基づいて作動させると、特に好ましいことが示されている。注入部材が制御されることで、たとえば燃料量が電子計算装置により注入部材を通じて調整され、特に制御され、それにより、特に効率的かつ効果的なバーナーの動作を実現することができる。
【0027】
更に別の実施形態は、上で説明した空気ポンプが設けられ、これを用いて空気が渦流室へと能動的に、及びそれによってバーナーに向かって、及びその中へ能動的に送出され、ないしは特に第3の時間帯の間に送出されることを特徴とする。その代替又は追加として燃料ポンプが設けられ、これを用いて燃料が能動的に注入部材に向かって、及びこれを通るように、及びそれにより注入部材を通じて、及びそれにより注入部材を介して内側の渦流室に、送出される。特に、燃料ポンプは電気式に作動可能であり、ないしは作動することが意図されていてよい。換言すると、燃料ポンプが第3の時間帯の間に能動的に作動し、それにより燃料ポンプによって液体燃料が能動的に注入部材に向かって、及び特にこれを通るように送出され、それにより、注入部材を介して燃料が内側の渦流室に注入される。このとき燃料ポンプは、たとえば第3の時間帯の間に電気式に作動する。このように第1の時間帯と第2の時間帯に関して、好ましくは、第2の時間帯の間には空気ポンプと燃料ポンプが不作動化し、すなわち動作しておらず、それにより第2の時間帯の間には空気が空気ポンプによって渦流室へと送出されないことが意図される。更に、第2の時間帯の間には、燃料が燃料ポンプによって注入部材に向かって、及びこれを通るように送出されないのが好ましい。たとえば第1の時間帯の間に燃料を事前投与するために、すなわち注入部材によって燃料を内側の渦流室に注入するために、燃料ポンプは第1の時間帯の間に、ないしその内部で、特に能動的に作動し、それによりたとえば第1の時間帯は、当初は不作動化していた燃料ポンプが作動化されることをもって開始され、特に、その間に空気ポンプは不作動化されたままに保たれる。更に、第3の時間帯の間に燃料ポンプと空気ポンプが両方とも作動化され、そのようにして特に電気式に作動することが考えられ、それにより、たとえば第3の時間帯は、当初は不作動化されていた空気ポンプが作動化することをもって、すなわち作動を始めることをもって、開始される。
【0028】
バーナーの特別に正確なラムダ制御を具体化するために、本発明の別の実施形態では、燃料ポンプとして、特に周波数制御式のピストンポンプが利用されることが意図される。このような特に周波数制御式のピストンポンプによって、燃料を特別に正確に送出ないし調量することができ、それにより、燃料量及びこれに伴って燃料消費量も特別に正確に判定することができ、特に計算することができる。
【0029】
ピストンポンプは、たとえば燃料により貫流可能なポンプハウジングと、送出ピストンとも呼ばれるピストンとを有し、該ピストンは少なくとも部分的に、特に少なくとも大半で、又は全面的に、ポンプハウジングの中に収容される。ピストンは、ピストン方向に沿ってポンプハウジングに対して相対的に、特に並進的に、可動であり、それによって燃料を送出する。ピストンポンプは、特にポンプハウジングは吐出部を有していて、これを介して、ポンプハウジングを貫流してピストンにより送出される燃料をポンプハウジングから排出可能であり、そのようにして、燃料ポンプから出ていくように送出可能であり、たとえば注入部材まで送出可能であるか、ないしは送出される。このとき、好ましくは、たとえば逆止め弁として構成される、又は機能する、ばね付勢される弁が吐出部に配置されることが意図される。したがってこの弁は、たとえば弁体と、特に機械的なばねとを含む。特に弁体がボールとして構成されている場合、この弁はボール弁として構成される。弁体はたとえばポンプハウジングに対して相対的に、特に並進的に、少なくとも1つの閉止位置と少なくとも1つの開放位置との間で可動である。閉止位置では弁体によって吐出部が完全に遮断され、開放位置では弁体が解放をする。このとき、好ましくは、弁体ないし弁は注入部材の方向に開き、すなわち吐出部を解放し、これと反対方向では、それに伴ってたとえばピストンの方向では、ないしピストンハウジングの内部の方向では、遮断をし、すなわち吐出部を閉鎖することが意図される。それによってピストンにより、燃料を吐出部を通過するように、及びそれに伴ってピストンハウジングから出るように、注入部材に向けて送出することができるが、燃料又はたとえば排ガスなどのその他の流体のこれと反対向きの燃焼チャンバからの流動は弁体によって、ないし弁によって、回避することができる。弁ないし弁体は、注入部材から来てポンプハウジングの中へと向かう、たとえば排ガスなどの流体の燃焼チャンバからの流動に対しては、吐出部を遮断するからである。このようにして、弁によって燃料や排ガスの逆流を回避することができる。
【0030】
特に効率的かつ効果的なバーナーの動作を具体化するために、本発明の別の実施形態では、電子計算装置は判定された実際値に基づいて空気ポンプ及び/又は燃料ポンプを特に電気式に制御し、それに伴って空気ポンプ及び/又は燃料ポンプを判定された実際値に基づいて作動させ、それによって電子計算装置は判定された実際値に基づいてバーナーを作動させることが意図される。それにより、燃焼空気比を特に正確かつ迅速に、特に所望の目標値に合わせて調整することができ、目標値は、好ましくは0.95以上1.05以下の範囲内にあり、好ましくは1.03である。
【0031】
更に別の実施形態は、電子計算装置によって実際値が特に設定可能な、又は設定される目標値と比較され、実際値と目標値との比較に基づいてバーナーが作動することを特徴とする。このとき特に、電子計算装置は注入部材及び/又は燃料ポンプ及び/又は空気ポンプを目標値と実際値との間の比較に基づいて、及びこのとき特に差異に基づいて、特に電気式に制御し、それによって作動させることが考えられ、それにより、バーナーが比較に基づいて作動し、特に制御される。それにより、特別に正確なラムダ制御を達成することができる。
【0032】
特に好ましい、特に効果的かつ効率的なバーナーの動作を具体化するために、本発明の第2の態様では、制御機器とも呼ばれる電子計算装置によって、空気量とも呼ばれる空気の第1の量と、燃料量とも呼ばれる燃料の第2の量とが判定されることが意図される。第1の量に基づいて、及び第2の量に基づいて、電子計算装置によって混合気の燃焼空気比の少なくとも1つの実際値が判定され、特に計算される。更に電子計算装置により、判定された実際値に基づいてバーナーが作動する。それによってバーナーの特に好ましいラムダ制御を具体化することができ、それにより、特に効果的で効率的な、特に燃料消費量の少ない、効果的で効率的な、特に燃料消費量とエミッションの少ない、バーナーの動作を具体化することができる。本発明の第1の様態の利点及び有利な実施形態は、本発明の第2の様態の利点及び有利な実施形態として見なすことができ、その逆もまた同様である。
【0033】
本発明の更なる利点、特徴、及び詳細は、好適な実施例並びに図面に基づく以下の説明より明らかになる。上記の説明において挙げた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下の各図に関する説明において挙げられる特徴及び特徴の組み合わせ、並びに/又は各図においてのみ示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ提示した組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせで使用することもできるし、単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】内燃機関と、排気管と、本発明に係るバーナーとを有する、自動車の駆動装置を示す模式図である。
【
図2】第1の実施形態に係るバーナーを示す模式的な縦断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るバーナーを部分的に示す模式的な縦断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係るバーナーの構成部品を示す模式的な縦断面図である。
【
図5】第2の実施形態に係るバーナーを示す模式的な縦断面図である。
【
図6】第3の実施形態に係るバーナーを部分的に示す模式的な背面斜視図である。
【
図7】第3の実施形態に係るバーナーを示す模式的な縦断面図である。
【
図8】バーナーの渦流生成装置を部分的に示す模式的な部分切断斜視図である。
【
図11】第4の実施形態に係るバーナーを部分的に示す模式的な縦断面図である。
【
図12】第5の実施形態に係るバーナーを部分的に示す模式的な縦断面図である。
【
図13】第6の実施形態に係るバーナーを部分的に示す模式的な縦断面図である。
【
図14】第7の実施形態に係るバーナーを部分的に示す模式的な縦断面図である。
【
図15】バーナーの噴射部材を示す模式的な部分切断側面図である。
【
図16】バーナー42の動作を示すブロック図である。
【
図17】バーナーへ燃料を送出するための燃料ポンプを示す模式的な断面図である。
【
図18】バーナーを作動させる方法を示すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図中、同一の要素又は機能的に同一の要素には、同一の参照符号を付している。
【0036】
図1は、好ましくは動力車、特に乗用車として構成される自動車の駆動装置10を模式図で示している。このことは、陸上車として構成される自動車が完全に製造された状態において駆動装置10を有しており、駆動装置10によって駆動可能であることを意味する。駆動装置10は、エンジンハウジングとも呼ばれるエンジンブロック14を有する、内燃エンジンとも呼ばれる内燃機関12を有している。更に内燃機関12は、エンジンブロック14によって特に直接的に形成される、ないしは画成されるシリンダ16を有している。内燃機関12の燃焼動作中に、シリンダ16の中でその都度の燃焼プロセスが進行し、そこから内燃機関12の排ガスが生じる。そのために内燃機関12のそれぞれの作業行程の内部で、特に液体動力燃料がそれぞれのシリンダ16に注入され、特に直接噴射される。内燃機関12はディーゼルエンジンとして構成されていてよく、したがって、動力燃料は好ましくはディーゼル燃料である。ここでは動力燃料タンクとも呼ばれるタンク18が設けられていて、その中に動力燃料を収容可能であるか、又は収容されている。それぞれのシリンダ16に、たとえばそれぞれのインジェクタが割り当てられていて、これを用いて動力燃料をそれぞれのシリンダ16へ注入可能であり、特に直接噴射可能である。低圧ポンプ20により、動力燃料がタンク18から高圧ポンプ22へと送出され、これを用いて動力燃料がインジェクタへ、又は各インジェクタに共通する、レール又はコモンレールとも呼ばれる動力燃料分配部材へ、送出される。インジェクタは動力燃料分配部材により、各インジェクタに共通の動力燃料分配部材から動力燃料の供給を受けることが可能であり、動力燃料分配部材からの動力燃料をそれぞれのシリンダ16へ注入することができ、特に直接噴射することができる。
【0037】
ここでは駆動装置10は外気により貫流可能な吸気管24を含んでいて、これを用いて、吸気管24を貫流する外気がシリンダ16に向かって、及びその中へ、案内される。外気は動力燃料と動力燃料を含む空気との混合気を形成し、これは外気と動力燃料とを含んでおり、それぞれの作業行程の内部でそれぞれのシリンダ16の中で点火され、それによって燃焼される。特に、動力燃料と空気との混合気は自己着火によって点火される。動力燃料と空気との混合気の点火と燃焼から内燃機関12の排ガスが生じ、この排ガスは機関排ガスとも呼ばれる。
【0038】
ここでは駆動装置10は、シリンダ16からの排ガスにより貫流可能な排気管26を有している。更に駆動装置10は、吸気管24に配置された圧縮機30及び排気管26に配置されたタービン32を有する排ガスターボチャージャ28を含んでいる。排ガスはシリンダ16から流出し、排気管26に流入し、引き続いて排気管26を貫流することができる。このときタービン32を、排気管26を貫流する排ガスによって駆動可能である。圧縮機30は、特に排ガスターボチャージャ28のシャフト34を介して、タービン32により駆動可能である。圧縮機30が駆動されることで、吸気管24を貫流する外気が圧縮機30により圧縮される。排気管26には複数のコンポーネント36a-36dが配置されていて、これらはそれぞれ排ガス後処理装置として、すなわち排ガスを後処理するための排ガス後処理コンポーネントとして、構成される。排気管26を貫流する内燃機関12の排ガスの流動方向で、コンポーネント36a-36dは連続するように配置されており、そのようにして互いに直列又はシリアルにつながれている。コンポーネント36aはたとえば酸化触媒、特にディーゼル酸化触媒(DOC)である。更に、コンポーネント36は窒素酸化物蓄積触媒(NSK)であってよい。コンポーネント36bは、単にSCRとも呼ばれるSCR触媒であってよい。コンポーネント36cは粒子フィルタ、特にディーゼル粒子フィルタ(DPF)であってよい。コンポーネント36dは、たとえば第2のSCR触媒及び/又はアンモニアスリップ触媒(ASC)を有することができる。
【0039】
自動車は、たとえばパッセンジャーセル又はセーフティセルとも呼ばれる自動車の内部空間を形成する、又はこれを画成する、単体構造ボディとして構成された構造を有する。自動車のその都度の走行時に、人が内部空間にいることができる。たとえばこの構造は、エンジンルームを形成又は画成し、その中に内燃機関12が配置されている。たとえば排ガスターボチャージャ28もエンジンルームに配置される。更に、この構造はメインフロアとも呼ばれるフロアを有していて、これにより内部空間が車両高さ方向に見て下方に向かって少なくとも部分的に、特に少なくとも大半で、又は全面的に、画成される。このとき、たとえばコンポーネント36a、36b、36cはエンジンルームに配置され、それにより、たとえばコンポーネント36a、36b及び36cはいわゆるホットエンドを形成するか、又はいわゆるホットエンド(高温部)の構成要素を形成する。特に、ホットエンドはタービン32に直接的にフランジ接合されていてよい。コンポーネント36dは、たとえばエンジンルームの外部に、かつ車両高さ方向に見てフロアの下方に配置され、それにより、たとえばコンポーネント36dがいわゆるコールドエンド(低温部)を形成するか、又はいわゆるコールドエンドの構成要素である。
【0040】
駆動装置10は調量装置38を含んでいて、これを用いて導入個所E1で、特に液体の還元剤を排気管26に、かつその際にたとえば排気管26を貫流する排ガスに、注入可能である。還元剤は、排ガスに含まれる場合がある窒素酸化物と反応し、選択的触媒還元で水と窒素にするアンモニアを提供することができる尿素水溶液であるのが好ましい。このとき選択的触媒還元はSCR触媒によって触媒で惹起可能であり、及び/又はサポート可能である。
図1から明らかなように、排気管26を貫流する排ガスの流動方向から見て、導入個所E1はコンポーネント36bの上流側かつコンポーネント36aの下流側に配置されている。このとき排気管26は、導入個所E1で排ガスに注入される還元剤を排ガスと好ましく混合することができる混合室40を有するのが好ましい。
【0041】
更に駆動装置10は、及びこれに伴って自動車は、バーナー42を含んでいて、これを用いて、以下において更に詳細に説明するとおり、排気管26を貫流する排ガスの流動方向から見てバーナー42の下流側に配置されたコンポーネント36b、36c、36dの少なくとも1つを迅速かつ効果的に加熱することができ、及び/又は高温に保つことができる。バーナー42は、特に炎44を形成しながら、及び特にバーナー排ガスを提供しながら、混合気を燃焼させ、バーナー排ガスないし炎44を導入個所E2で排気管26に導入可能であるか、ないしは導入される。このことは、いわばバーナー42が導入個所E2に配置されることを意味する。
図1に示す実施形態では、導入個所E2はコンポーネント36b、36c及び36dの上流側、かつコンポーネント36aの下流側に配置されている。換言すると、
図1に示す実施形態ではバーナー42はコンポーネント36b、36c、36dの上流側、かつコンポーネント36aの下流側に配置されている。その代替として、バーナー42ないし導入個所E2がコンポーネント36aの上流側、かつ特にタービン32の下流側に配置されることも考えられる。バーナー42の中で、ないしバーナー42によって、燃焼されるべき上で挙げた混合気は、空気と液体燃料とを含む。
図1に示す実施形態ではこの燃料として動力燃料が使用され、及び/又は、バーナー42に供給されて混合気の形成のために利用される、たとえば吸気管24に由来することができる、空気の少なくとも1つの部分量が使用される。そのために、一方ではバーナー42と流体接続され、他方では動力燃料配管48と流体接続された、又は接続可能である、動力燃料供給経路46が設けられている。動力燃料配管48は、タンク18からインジェクタへ、ないしは動力燃料分配部材へと流れる動力燃料によって貫流可能である。特に、動力燃料供給経路46は第1の接続個所V1で動力燃料配管48と流体接続され、接続個所V1は、タンク18から動力燃料分配部材ないしそれぞれのインジェクタへと流れる動力燃料の流動方向から見て低圧ポンプ20の下流側、かつ高圧ポンプ22の上流側に配置される。接続個所V1では、動力燃料配管48を貫流する液体動力燃料の少なくとも一部を動力燃料配管48から分岐させて、動力燃料供給経路46へと導入することができる。動力燃料供給経路46に導入された動力燃料は動力燃料供給経路46を貫流することができ、燃料として動力燃料供給経路46からバーナー42に向かって、及び特にその中へ、導入される。ここでは動力燃料供給経路46に第1の弁部材50が配置されていて、これを用いて、動力燃料供給経路46を貫流し、そのようにしてバーナー42に供給されるべき燃料の量を調整することができる。ここでは制御機器とも呼ばれる電子計算装置52が設けられていて、これを用いて弁部材50が制御され、それにより制御機器によって弁部材50を介して、動力燃料供給経路46を貫流してバーナー42に供給されるべき燃料の量を調整可能であり、特に制御される。
【0042】
更に空気供給経路54が設けられていて、これを介して、ないしはこれを用いて、混合気を形成するための空気をバーナーに供給可能であるか、ないしは供給される。このことは、混合気を形成する空気によって空気供給経路54を貫流可能であることを意味する。ここでは空気供給経路54に空気ポンプとも呼ばれるポンプ56が配置されていて、これを用いて、空気供給経路54を通過するように空気を送出可能であり、そのようにしてバーナー42へと送出可能である。たとえば低圧動力燃料ポンプとも呼ばれる低圧ポンプ20は燃料ポンプとも呼ばれ、これを用いて、動力燃料供給経路46を通過するように燃料を送出可能であり、そのようにしてバーナー42へと送出される。
【0043】
空気供給経路54が第2の接続個所V2で吸気管24と流体接続されていることが明らかである。このように、たとえば接続個所V2で、吸気管24を貫流する外気の少なくとも一部を吸気管24から分岐させて、空気供給経路54へと導入することができる。空気供給経路54に導入された外気は、空気として空気供給経路54を貫流することができ、空気供給経路54によりバーナー42に向かって、及び特にその中に、導入することができる。ここでは空気供給経路54に第2の弁部材55が配置されていて、これを用いて、混合気の形成のために利用される、空気供給経路54を貫流する、及びそれに伴ってバーナー42を貫流する、空気の量を調整可能である。このとき制御機器は、たとえば弁部材55を制御して、たとえば混合気の形成のために利用される、空気供給経路54を貫流する、及びそれに伴ってバーナー42に供給される空気の量を、制御機器により弁部材55を通じて調整可能であり、特に制御できるようにするために構成される。
【0044】
図2は、バーナー42の第1の実施形態を模式的な断面図で示している。バーナー42は燃焼チャンバ58を有していて、その中で、バーナー42に供給される空気と、バーナー42に供給される液体燃料とを含む混合気が点火され、それによって燃焼され、すなわち、バーナー42の作動中に点火され、それによって燃焼される。そのために、たとえばスパークプラグ又はグロープラグ又はグローピンとして構成される点火装置60が設けられていて、これを用いて、特に電気エネルギーないし電流を利用した上で、燃焼チャンバ58の中で、少なくとも点火火花を生成可能である。点火火花によって、特にバーナー排ガスを提供しながら、及び/又は炎44を提供しながら、燃焼チャンバ58の中の混合気が点火されて燃焼される。バーナー排ガスによって、ないし炎44によって、たとえば排気管26を貫流する排ガスを迅速かつ効果的に加熱することができ、及び/又は高温に保つことができ、それにより、コンポーネント36b、36c及び36dを貫流する加熱された、及び/又は高温に保たれた排ガスによって、たとえば少なくともコンポーネント36bを迅速かつ効果的に加熱することができ、及び/又は高温に保つことができる。
【0045】
バーナー42は、バーナー42に供給される空気の第1の部分により貫流可能である、空気の第1の部分の渦状の第1の流動を惹起する、内側の渦流室62を有している。このことは特に、空気の第1の部分が渦流室62の少なくとも1つの第1の部分領域を渦状に通過して流れ、及び/又は渦流室62から渦状に流出し、及び/又は燃焼チャンバ58の中で渦状に流れることとして理解される。内側の渦流室62は、特にちょうど1つの第1の流出開口部64を有していて、これは流出開口部64の第1の貫通方向に沿って、及びそれに伴って第1の貫通方向と一致する第1の流動方向に沿って、空気の第1の部分が貫流可能である。第1の流出開口部64を介して、空気の第1の部分は内側の渦流室62から排出可能である。このことは、空気の第1の部分が第1の流出開口部64を介して内側の渦流室62から流れ出ることができることを意味する。更にバーナー42は、バーナー42に供給される液体燃料により貫流可能な通路68を有する、噴射部材66の形態の注入部材を含んでいる。
【0046】
第1の実施形態では、噴射部材66は、動力燃料ランスとも呼ばれるランスとして構成されている。通路68及びこれに伴って噴射部材66は、通路68を貫流する液体燃料によって貫流可能な少なくとも1つの流出開口部70を有している。
図2から明らかなように、第1の実施形態では通路68及びこれに伴って噴射部材66は、少なくとも2つの、又はちょうど2つの、たとえばボアとして構成される流出開口部70を有している。流出開口部70はそれぞれの第2の貫通方向に沿って燃料により貫流可能であり、それにより、それぞれの流出開口部70を介して、噴射部材66を貫流する燃料を噴射部材66から噴出可能であるか、ないしは外に出すことができ、特に直接的に内側の渦流室62へ噴射可能であり、それによって注入可能である。換言すると、噴射部材66ないし通路68はそれぞれの流出開口部70を介して内側の渦流室62に連通し、それにより噴射部材66によって液体燃料をそれぞれの流出開口部70を介して、内側の渦流室62へ特に直接的に噴射可能である。それぞれの流出開口部70のそれぞれの第2の貫通方向は、燃料がそれぞれの流出開口部70を通過して流れることができる、それぞれの第2の流動方向と一致する。それぞれの流出開口部70を介して燃料を、それぞれの燃料ジェット72を形成しながら噴射部材66から噴出可能であり、それによって特に直接的に内側の渦流室62へ噴射可能であることが明らかである。たとえば、長手中心軸がそれぞれの第2の貫通方向ないしそれぞれの第2の流動方向と一致するそれぞれの燃料ジェット72は、少なくとも実質的に円錐状に形成される。更に、たとえば噴射部材66及びこれに伴って本例における通路68は、第1の貫通方向に対して平行に延びる、及びこれに伴って第1の流動方向に対して平行に延びる、特に第1の貫通方向及びこれに伴って第1の流動方向と一致する、長手方向又は長手延在又は長手延在方向を有している。更に
図2から明らかなように、第1の貫通方向及びこれに伴って第1の流動方向は、流出開口部64の軸方向と、及び内側の渦流室62の軸方向と、一致する。このときそれぞれの第2の貫通方向ないしそれぞれの第2の流動方向は、第1の貫通方向及びこれに伴って第1の流動方向に対して、及び渦流室62と流出開口部64の軸方向に対して、垂直に延び、又は本例のように斜めに延びる。
【0047】
渦流室62は少なくとも部分的に、特に少なくとも大半で、及びそれに伴って半分を超えて、あるいは全面的に、バーナー42の好ましくは一体的に構成される構成部品74によって形成されるか、又は画成され、それにより構成部品74は流出開口部64も形成する、ないしはこれを画成する。
【0048】
更にバーナー42は、少なくとも1つの長さ領域を取り囲み、及び本例では第1の流出開口部64をも、渦流室62の軸方向を中心として延びる渦流室62の円周方向(軸方向)で特に全面的に周回するように取り囲む、外側の渦流室76を有している。ここでは構成部品74は、径方向が渦流室62の軸方向に対して垂直に延びる渦流室62の径方向で、渦流室62及び76の間に配置された分離壁78を有している。それにより渦流室62及び76は、渦流室65の径方向で分離壁78により互いに分離されている。渦流室62の軸方向は渦流室76の軸方向と一致し、それにより、渦流室62の径方向は渦流室76の径方向と一致する。外側の渦流室76は、バーナー42に供給される空気の第2の部分により貫流可能であり、空気の第2の部分の渦状の第2の流動を惹起するために構成される。このことは、空気の第2の部分が渦流室76を渦状に貫流し、及び/又は渦流室76から渦状に流出し、及び/又は燃焼チャンバ58の中で渦状に流れることを意味する。特に、好ましくは、空気の各部分は燃焼チャンバ58の中で渦状の流動を有し、すなわち燃焼チャンバ58の中で渦状に進行することが意図される。外側の渦流室76は、外側の渦流室76を貫流する空気の第2の部分により特に第3の流動方向に沿って貫流可能な、特にちょうど1つの第2の流出開口部80を有していて、渦流室76を貫流する空気の第2の部分により流出開口部80を貫流可能であるその第3の貫通方向は、本例では渦流室76の軸方向と一致し、及びそれに伴って渦流室62の軸方向と一致する。第3の貫通方向は、外側の渦流室76を貫流する空気の第2の部分が流出開口部80を貫流する、ないしは貫流することができる、第3の流動方向と一致する。このことは特に、第1の貫通方向が第3の貫通方向と一致し、第1の流動方向が第3の流動方向と一致することを意味し、それにより、本例では第1の流動方向、第3の流動方向、第1の貫通方向、及び第3の貫通方向が渦流室62の軸方向と、及び渦流室76の軸方向と、一致する。空気の各部分の流動方向から見て、第2の流出開口部80は流出開口部64の下流側に配置されており、ここでは特に流出開口部64に対して直列ないしシリアルに配置されており、それにより、流出開口部80は空気の第2の部分と、空気の第1の部分と、燃料とによって貫流可能である。特に空気の第1の部分は、特に渦状の第1の流動に基づき、すでに渦流室62の中で、特に部分混合気を形成しながら燃料と混合される。この部分混合気が流出開口部64を貫流し、それに伴って渦流室62から流出し、引き続いて流出開口部80を貫流することができ、特に、好ましい渦状の第2の流動に基づいて空気の第2の部分と混合され、それによって混合気が特別に好ましく前処理され、すなわち部分混合気が特別に好ましく第2の部分と混合される。
【0049】
渦流室76は少なくとも部分的に、特に少なくとも大半で、及びそれに伴って少なくとも半分を超えて、あるいは全面的に、それぞれの渦流室62ないし76の径方向で内方に向かって構成部品74によって、特に分離壁78によって、画成されることが明らかである。それぞれの渦流室62ないし76の径方向で外方に向かって、渦流室76は少なくとも部分的に、特に少なくとも大半で、又は全面的に、本例では構成部品74と別個に構成される構成要素82によって画成される。ここでは構成部品74は少なくとも部分的に、特に少なくとも大半で、構成要素82の中に配置されている。流出開口部80は、特に、空気の第2の部分により貫流可能な流出開口部80の最低ないし最小の流動断面積という観点から、たとえば構成要素82によって、及び部分的に構成部品74によって画成される、ないしは形成される。
【0050】
そして少なくともコンポーネント36bを特別に効果的に加熱し、及び/又は高温に保てるようにするために、
図3から特別に明らかなように、第1の流出開口部64は、第1の流出開口部64を貫流する空気の第1の部分の流動方向で、及びこれに伴って第1の流出開口部64を貫流する燃料の流動方向で、的確に、特に機械的に、加工されて、それによってナイフのように鋭利な端部エッジKで終わることが意図され、この端部エッジは、たとえば流出開口部64の軸方向を中心として延びる、軸方向がそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向と一致する流出開口部64の円周方向で、流出開口部64の周囲に全面的に延びる。ナイフのように鋭利な端部エッジKは、本例では構成部品74により形成される噴霧化リップ84によって形成される。噴霧化リップ84は、第1の流出開口部64を貫流する空気の第1の部分の流動方向で、及びこれに伴って第1の流出開口部64を貫流する燃料の流動方向で、端部エッジKのところまで先細になっており、端部エッジKで終わっている。たとえば端部エッジKは研削及び/又は施削され、それによって的確に機械加工される。たとえば燃料は、特に燃料ジェット72を形成しながら構成部品74に向かって、特に構成部品74の内周側の外套面86に向かって噴射され、特に、構成部品74に、特に内周側の外套面86に、単に膜とも呼ばれる燃料膜が燃料で形成されるようになっている。ここでは特に、内側の渦流室62は内側の渦流室62の径方向で外方に向かって、特に直接的に、内周側の外套面86によって形成されることが明らかである。第1の渦状の流動によって、特に第1の渦状の流動から生じる遠心力によって、燃料膜は内周側の外套面86に沿って端部エッジKのところまで運ばれ、そこで燃料が端部エッジKから剥離し、それにより、燃料ないし燃料膜から燃料の特別に微小な液滴が生じる。このように構成部品74はそれぞれの渦状の流動の間のいわば膜付着部であり、又は膜付着部として機能する。それぞれの液滴が燃料の特別に広い表面積を共同で形成し、それにより、バーナーの出力が低くても特別に効果的なバーナーの動作を具体化することができ、燃料の小さな、及びそれに伴って細かい液滴を生成するために、高コストなポンプないし高コストな高圧生成が必要ない。このとき第2の流出開口部80の、第2の部分空気により貫流可能な最小の流動断面は、それぞれの流出開口部64ないし80の径方向で内方に向かって全面的に端部エッジKによって画成される、ないしは形成される。
【0051】
更にバーナー42は、第1の実施形態では流出開口部80を貫流する各部分の流動方向で、及び流出開口部80を貫流する燃料の流動方向で、流出開口部80の下流側かつその際に構成要素82の下流側に配置された、再循環防止プレート88を有している。ここでの再循環防止プレート88は、相応に流出開口部80の下流側に配置された、及びそれに伴って渦流室62及び76からの空気の各部分及び燃料により貫流可能である、貫流開口部90を有している。貫流開口部90を起点として、及び特に流出開口部80を起点として、かつその際に構成要素82を起点として、特にその端部を起点として、再循環防止プレート88はそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向で外方に向かって離れていくように延びている。それにより、再循環防止プレート88はそれぞれの渦流室62ないし76の径方向で、構成要素82の少なくとも1つの部分領域Tから外方に向かって突き出す。それにより、たとえば燃焼チャンバ58の第1の部分T1が燃焼チャンバ58の第2の部分T2から、再循環防止プレート88によって少なくとも部分的に分離される。再循環防止プレート88を用いて、貫流開口部90を貫流して燃焼チャンバ58へ、特に部分T2へ流入する混合気の過剰な流動が構成要素82の方向に戻ることが、ないしは部分T1に戻ることが回避され、それにより好ましい混合気前処理を実現可能である。
【0052】
更に
図2から明らかなとおり、たとえば渦流室62及び76は、渦流室62及び76に共通する供給室92を介して、空気ないし空気の各部分の供給を受ける。ここでは供給室92は、渦流室62及び76を貫流する各部分の流動方向に見て、渦流室62及び76の上流側に配置されている。このことは、空気が空気供給経路54を介してまず供給室92へと導入されることを意味する。供給室92に導入された空気は、渦流室62及び76へと向かう、及びこれに入る経路で供給室92を貫流することができ、特に、構成部品74によって第1の部分と第2の部分とに分割される。空気供給経路54を貫流する空気は、たとえば供給方向に沿って空気供給経路54から流出して供給室92に流入することができ、この供給方向はたとえばそれぞれの渦流室62及び76の軸方向に対して、及びこれに伴ってこれらのそれぞれの長軸に対して斜めに、及び/又は接線方向に延びる。
【0053】
図4は、膜付着部とも呼ばれる構成部品74を模式的な縦断面図で示している。外側の渦流室76の少なくとも1つの部分TBが構成部品74によって形成されることが明らかである。ここでは構成部品74は、内側の渦流室62の第1の渦流生成器94と、外側の渦流室76の第2の渦流生成器96とを有している。渦流生成器94によって空気の第1の部分の第1の渦状の流動が生成され、渦流生成器96によって空気の第2の部分の第2の渦状の流動が生成される。特に内側の渦流室62の内側の円環面が
図4に符号K1で表されており、特に外側の渦流室76の外側の円環面が
図4に符号K2で表されている。渦流生成器94は渦流室62の空気通路LK1に配置されており、その空気通路LK1は特に全面的に構成部品74によって画成される。特に、空気通路LK1は、それぞれの渦流室62ないし76の径方向で外方及び内方に向かって構成部品74によって画成される。渦流生成器96は渦流室76の第2の空気通路LK2に配置され、その空気通路LK2は全面的に、かつその際に特にそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向で、外方及び内方に向かって構成部品74によって画成される。たとえば渦流生成器94及び96は構成部品74によっても形成される。このとき空気通路LK1は空気の第1の部分により貫流可能であり、空気通路LK2は空気の第2の部分により貫流可能であり、それにより、渦流生成器94は第1の渦状の流動を、及び渦流生成器96は第2の渦状の流動を、生成ないし惹起する。
図4においては、空気案内部とも呼ばれる空気通路LK1の外径が符号Diで表されており、空気案内部とも呼ばれる空気通路LK2の外径が符号Daで表されている。
【0054】
図2から4で明らかなように、ノズルとも呼ばれる流出開口部64及び80は両方とも軸方向に向いている。このことは、内側の渦流室62からの部分混合気が少なくとも実質的に軸方向へ燃焼チャンバ58に流入することを意味する。更に、外側の渦流室76からの空気の第2の部分も同じく少なくとも実質的に軸方向へ燃焼チャンバ58に流入し、その際に端部エッジKで、特にその剥離点で、膜付着部の細かく分散された燃料を小さな液滴として一緒に燃焼チャンバ58へと流入する。外側のノズルの、すなわち流出開口部80の、最小ないし最狭の流動断面は、内側のノズルの、すなわち流出開口部64の、剥離点にあり、すなわち端部エッジKにある。
【0055】
好ましくは、ノズルすなわち流出開口部64及び80は、次のようなサイズ比率又は面比率を有することが意図される。すなわち、好ましくは、流出開口部64(内側のノズル)は、Diの10パーセントから20パーセントを有する直径を、特に内径を、有する。更に、好ましくは、外側のノズル、すなわち流出開口部80は、たとえばDaの10パーセントから35パーセントである直径を、特に内径を、有することが意図される。内側と外側の円環面は同じ面積であるのがよく、すなわち、両者は円環面全体の50パーセントである。換言すると、好ましくは、空気通路LK1は第1の円環面を有し、空気通路LK2は第2の円環面を有し、これらの円環面が好ましくは等しい大きさであることが意図される。
【0056】
図5は、バーナー42の第2の実施形態を模式的な断面図で示している。第1の実施形態では、たとえば構成要素82と再循環防止プレート88は、互いに別個に構成されていて、少なくとも間接的に、特に直接的に、互いに結合されるコンポーネントとして構成されることが意図される。第2の実施形態では、再循環防止プレート88は構成要素82と一体的に構成されることが意図される。第2の実施形態では再循環防止プレート88により、混合気が外側のノズル、すなわち流出開口部80から外に出て燃焼チャンバ58に入った後、後方へ構成要素82に向かって戻るように流れて渦巻を形成し得るようになるのを回避できるという利点がある。単にプレートとも呼ばれる再循環防止プレート88は、好ましくはDiと少なくとも等しい直径、特に外径を有するのが好ましい。
【0057】
図6は、バーナー42の第3の実施形態を模式的な斜視図で部分的に示している。第3の実施形態では、燃焼チャンバ58は、互いに間隔をおき、特にそれぞれ固体として形成されるそれぞれの壁部領域Wによって特にそれぞれの渦流室62ないし76の特に径方向で互いに分離された、複数の貫流開口部98を有している。貫流開口部98を介して、バーナー排ガスないし炎44を燃焼チャンバ58から排出可能であり、排気管26に導入可能である本例では、各壁部領域Wは互いに一体的に構成されており、たとえば固体として構成された一体的な穴付き板100として構成される。本例では、ちょうど8つの貫流開口部98が設けられている。
図2に明らかなとおり、燃焼チャンバ58は下位区分(細分化)されていないちょうど1つの大きな排出開口部102を有することが原則として考えられ、これを介してバーナー排ガスないし炎44を燃焼チャンバ58から排出可能であり、排気管26へ導入可能である。それとは異なり第3の実施形態では、互いに間隔をおいて互いに分離された複数の貫流開口部98が設けられ、それにより、いわば排出開口部102が壁部領域Wによって複数の貫流開口部98へと下位区分される、ないしは分割される。各貫流開口部98は、それぞれの渦流室62ないし76の軸方向を中心として延びる円周方向で均等に配分されており、その際に特に、それぞれの渦流室62ないし76の軸方向に中心が配置される円に沿って配置されることが明らかである。このように第3の実施形態では、燃焼チャンバ58の中での好ましい再循環を可能にするために、大きな排出開口部102の形態の1つの大きな流出開口部に代えて、貫流開口部98の形態の複数の流出開口部が、特にそれぞれの個別の個所に設けられる。このとき縮小された流出開口部ではなく、たとえば貫流開口部98の形態の複数の比較的小さい開口部を有する、穴付き板100などの穴付きプレートを使用するのが好ましい。貫流開口部98の個数は、たとえば3以上9以下の範囲内にある。貫流開口部98は、バーナー排ガスないし炎44により貫流可能な、類似する、又は少なくとも実質的に等しい、貫流面又は吐出面を有する。これらの貫流開口部98の、ないしは全部の貫流開口部の、貫流面は、総吐出面とも呼ばれる、たとえば排出開口部102のように中央に配置された単一の開口部のたとえば0.8倍から1.8倍の大きさの総貫流面を合計でもたらす。たとえば25ミリメートルの直径を有する、それに伴って491平方ミリメートルの面積を有する、中央の流出開口部に代えて、排気管26での流動条件に応じて、それぞれ10.5ミリメートルの直径を有する6つの小さな開口部を具体化するのが好ましい場合があり、それにより520平方ミリメートルの総吐出面が具現される。
【0058】
図7は、バーナー42の第3の実施形態を模式的な縦断面図で示しており、穴付きプレートとも呼ばれる穴付き板100が設けられている。燃焼チャンバ58の中での上に挙げた好ましい再循環は、
図7では矢印104によって図示されている。更に、
図7には混合気の渦状の流動が図示されて符号106で表されており、燃焼チャンバ58の中での混合気の渦状の流動106は、空気の各部分のそれぞれの渦状の流動から生じている。空気の各部分の渦状の流動は、及びそれに伴う混合気の渦状の流動106は、特に渦流生成器94及び96によって、並びに特に空気供給経路54を介しての接線上での空気供給によって、具体化される。それぞれの渦流生成器94ないし96は、たとえば四分球状の薄板構造などとしてではなく、空気案内羽根として構成されるのが好ましく、それにより、それぞれの渦状の流動を特別に好ましく生成ないし惹起することができる。空気の各部分の渦状の流動は、及びこれから生じる燃焼チャンバ58の中での混合気の渦状の流動106は、燃焼チャンバ58の中で炎44が消えるのを防止し、燃焼チャンバ58の中での燃料と空気の混合を最適化し、炎44を安定化するための渦崩壊を生起する。矢印104で図示されている燃焼チャンバ58の中での再循環は、特に穴付きプレートの使用によって、及びそこから生じる吐出断面の縮小によって、具体化することができ、これを通じて炎44ないしバーナー排ガスを燃焼チャンバ58から排出可能であり、排気管26に導入可能である。吐出断面の縮小とは、たとえば個々の貫流開口部98の総吐出面が、連続する大きな排出開口部102の面積よりも小さいこととして理解される。矢印104で図示している燃焼チャンバ58の中での好ましい再循環から、燃焼チャンバ58の中で空気と動力燃料の改善された混合が生じ、及び、燃焼チャンバ58の中で燃焼する混合気のいっそう長い滞留時間が生じ、それにより、炎44ないしバーナー排ガスが燃焼チャンバ58から排気管26に出るときに、未燃焼の炭化水素(HC)の過剰なエミッションを回避することができ、炎44ないしバーナー排ガスの吐出部における特別に高い温度を具体化することができる。特に、再循環は再循環領域と渦崩壊とをもたらし、それにより、燃焼チャンバ58の中での炎44の特別に長い滞留時間を具体化することができる。
【0059】
図8は、たとえば構成部品74の構成要素によって、ないしは構成部品74によって、形成されていてよい渦流生成装置107を、部分切断した模式的な斜視図で示している。この渦流生成装置107は、内側の渦流室62の渦流生成器94と、外側の渦流室76の渦流生成器96とを含んでいる。
図8から特に良好に明らかなように、渦流生成器96は、及び好ましくは渦流生成器94も、流動に好都合なように構成されていてよい、特に成形されていてよい、空気案内羽根として構成される。それにより、特に球形の渦流生成器と比較して、過度の圧力損失を回避することができる。外側の渦流生成器94の個数は、たとえば6以上11以下の範囲内にある。その代替又は追加として外側の渦流生成器96の個数は、たとえば8以上14以下の範囲内にある。渦流生成器94ないし96が配置されるそれぞれの空気通路LK1ないしLK2は、たとえばそれ自体として、空気通路LK1ないしLK2に配置されるそれぞれの渦流生成器によってたとえば少なくとも20パーセントかつ多くとも70パーセントが覆われる、それぞれの面積を有する。このようにして、それぞれの面積の少なくとも20パーセントかつ多くとも70パーセントの特に好ましい軸方向の遮蔽が意図される。それぞれの空気案内羽根のそれぞれの半径は、Diの少なくとも40パーセントから無限まで延びることができ、それにより、それぞれの空気案内羽根が直線状に構成されていてよい。特に、それぞれの空気案内羽根はそれぞれの渦流室62及び76のそれぞれの径方向とともに、たとえば10度以上45度以下の範囲内のそれぞれの角度αを形成することが考えられる。単に羽根とも呼ばれるそれぞれの空気案内羽根の上に挙げた半径は、
図8では符号Rで表されている。渦流生成器94ないし96は、それぞれの空気通路LK1ないしLK2を貫流する空気の部分を、すなわちそれぞれの空気通路LK1ないしLK2を貫流し、そのようにしてそれぞれの部分を形成する空気を、特にそれぞれの渦流室62ないし76の厳密又は純粋な軸方向に対して70度から90度だけ方向転換させるために構成されるのが好ましい。特別に好ましい混合気前処理を具体化するために、内側と外側の渦流室62及び76の空気案内羽根が反対向きに構成されていてよい。換言すると、外側の渦流室76の外側の渦流生成器96と内側の渦流室62の内側の渦流生成器94は、空気の各部分の渦状の流動を反対向きの、ないしは逆向きの、渦状の流動として形成又は惹起するために構成されることが考えられ、それにより、たとえば第1の流動は左回りであり、第2の流動は右回りであり、ないしはその逆である。
【0060】
渦流生成装置107は、噴射部材66によって貫通される、特に中央の貫通開口部108を有している。換言すると噴射部材66は、貫通開口部108を通過して内側の渦流室62に突入する。
【0061】
図10は、本例では虹彩絞りとして、ないしは虹彩絞りの方式で構成される、閉鎖装置110を模式的な正面図で示している。バーナー42が作動していないときには、空気配管と動力燃料配管を、すなわちたとえば空気供給経路54及び/又は動力燃料供給経路46及び/又は渦流室62及び76を、及びその際にたとえば流出開口部64及び/又は流出開口部80を、遮蔽して、空気供給経路54、動力燃料供給経路46、供給室92、渦流室62、及び/又は渦流室76への内燃機関12の排ガスの侵入を回避するのが有利であり得る。更に、燃焼チャンバ58ないし燃焼チャンバ58の少なくとも1つの長さ領域を遮蔽して、排気管26から燃焼チャンバ58へ、ないしはその部分領域又は長さ領域へ、内燃機関12の排ガスが侵入するのを回避することが考えられる。そのために、たとえば燃焼チャンバ58の中に、又は燃焼チャンバ58の下流側に、配置されていてよい閉鎖装置110を利用することができる。虹彩絞りの方式で可動である閉鎖装置110の閉鎖部材112は、たとえば炎44ないしバーナー排ガスにより貫流可能な、閉鎖部材112によって特に直接的に画成される開口断面114を変更することができ、すなわち可変に調整することができ、それにより、たとえば開口断面114を負荷依存的に調整することができ、特に制御又はコントロールすることができる。このように、閉鎖装置110によって燃焼チャンバ58の少なくとも1つの部分領域を閉鎖することが考えられる。その代替又は追加として、たとえば第1の閉鎖装置110によって流出開口部80を閉鎖することができる。その代替又は追加として、たとえば第2の閉鎖装置110によって流出開口部80を閉鎖することができる。このことは特に、空気供給と動力燃料供給を小型の栓によって同時に閉鎖することができるという利点を有する。その場合、ポンプ56の下流側の空気弁も必要ない。これがポンプ56への排ガスの侵入を妨げるからである。燃焼チャンバ58の後の、ないしはその吐出部の後の、高温の排ガスが当たるはるかに大型の排ガスフラップも省略することができる。
【0062】
特に開口断面114は、特に燃焼チャンバ58の開口断面又は吐出断面であることが考えられ、吐出断面を通じて炎44ないしバーナー排ガスを燃焼チャンバ58から排出して、排気管26に導入することができる。特に虹彩絞りの方式で行われる閉鎖部材112の相応の運動による、燃焼チャンバ58からの炎44ないしバーナー排ガスの流速を高めるために不可欠な、又は必要な、又は実行される、開口断面の先細化は、流動に好都合なように具現されるのがよい。したがって平坦な閉鎖プレートのボアに代えて、たとえば航空機の駆動装置でセグメント及び/又はテーパにより具体化されているような、水平線に対して30度から70度の角度を有するテーパ状の張出しを実施することができる。このことは固定ジオメトリーによって実施することができ、又は、たとえば推進ノズルの場合のように開閉可能である個々のセグメントを有する航空機の駆動装置と同じように可変的に実施することができ、又は、たとえばそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向へスライド可能である、スライド可能に配置された吐出テーパ部によって実施することができる。
【0063】
図11は、第4の実施形態に基づくバーナー42を模式的な断面図で部分的に示している。
図11から特に良好に、あるいは
図2及び
図7からも明らかなように、燃焼チャンバ58は特に固体として構成されたチャンバ部材116によって形成されている、ないしは画成されている。特に、それぞれの渦流室62ないし76の軸方向と軸方向が一致する燃焼チャンバ58は、それぞれの渦流室62ないし76のそれぞれの径方向に対して平行に延びる径方向に沿って、特に直接的に、チャンバ部材116の内周側の外套面118によって画成される。チャンバ部材116は一体的に構成されていてよい。第4の実施形態では、チャンバ部材116は、たとえば互いに一体的に構成される2つのチャンバ部分120及び122を有するように構成されているか、又は、チャンバ部分120及び122が互いに別々に構成されて互いに結合されたコンポーネントである。ここでは、内周側の外套面118はチャンバ部分122によって形成されている。チャンバ部分120及び122は入れ子に配置されていて、チャンバ部分120の少なくとも1つの長さ領域がチャンバ部分122の少なくとも1つの長さ領域を、燃焼チャンバ58の軸方向に延びる燃焼チャンバ58の円周方向で、特に全面的に周回するように取り囲むようになっており、チャンバ部分120の少なくとも1つの当該長さ領域は、燃焼チャンバ58の径方向で外方に向かって、特に中間スペース124を形成しながら、チャンバ部分122の当該長さ領域から理解している。この中間スペース124は、燃焼チャンバ58の径方向でチャンバ部分120及び122の間に配置され、たとえばエアギャップとしてチャンバ部分120及び122の間に形成される。更に、連続する、ないしは中断のない排出開口部102が、特に燃焼チャンバ58の円周方向で全面的に周回するようにチャンバ部分122により形成される、ないしは画成されることが明らかである。
図2に示す第1の実施形態では、排出開口部102は下位区分(細分化)されておらず、すなわち、互いに分離されて互いに離間した複数の貫流開口部へと排出開口部102を細分化する構成要素は存在しない。一方、
図7に示す第3の実施形態では排出開口部102に、穴付きプレートとも呼ばれる穴付き板100が配置され、これによって、それ自体としては中断のない、すなわち連続した排出開口部102が、穴付き板100に形成される、互いに離間する互いに分離された複数の貫流開口部98へと細分化ないし分割される。炎44ないしバーナー排ガスは、燃焼チャンバ58の軸方向に延びる、すなわち燃焼チャンバ58の軸方向に対して平行に延びる、又は燃焼チャンバ58の軸方向と一致する、第4の流動方向に沿って燃焼チャンバ58から流出することができ、その際に、排出開口部102ないしそれぞれの貫流開口部98を通過して流れることができ、第4の流動方向は第1、第2、及び第3の流動方向と一致する。排出開口部102は、排出開口部102を貫流するバーナー排ガスの流動方向で、すなわち第4の流動方向に沿って、先細になっていることが明らかである。そのためにチャンバ部材116は、特にチャンバ部分120は、排出開口部102を燃焼チャンバ58の円周方向で特に全面的に周回するように画成される、排出開口部102を貫流するバーナー排ガスの流動方向で先細になる長さ領域L1を有している。換言すると長さ領域L1は、及びこれに伴って排出開口部102は、排出開口部102を貫流するバーナー排ガスの流動方向でテーパ状に、すなわち円錐状又は円錐台状に、構成される。バーナー排ガスないし炎44は排出開口部102を介して燃焼チャンバ58から流出するので、排出開口部102は燃焼チャンバ58の吐出部に構成され、又は燃焼チャンバ58の吐出部を形成し、第4の実施形態では、燃焼チャンバ58はその吐出部のところでテーパ状に構成され、すなわち長さ領域L1により形成されるテーパ部を有する。排出開口部102は34mmの内径を有するのが好ましい。換言すると、好ましくは、バーナー排ガスにより貫流可能な排出開口部102の最小ないし最狭の内径は43mmであることが意図される。
【0064】
少なくともチャンバ部分120及び122の長さ領域が入れ子に配置され、燃焼チャンバ58の径方向で中間スペース124を形成しながら互いに離間しており、この中間スペース124がたとえば空気で充填され、そのようにしてエアギャップとして構成されることで、燃焼チャンバ58ないしチャンバ部材116の二重壁が創出され、それにより燃焼チャンバ58が中間スペース124によって、すなわちエアギャップによって絶縁(断熱)される。このようにして燃焼チャンバ58がエアギャップ絶縁される。以下において、特に外側の渦流室76の外側の空気通路LK2の膜付着部の
図4に示す外径Daを援用し、外側の渦流室96が中に配置される空気通路LK2は、及びこれに伴って外径Daは、特に全面的に膜付着部によって、すなわち構成部品74によって、形成される。
図11及び外径Daを援用すると、燃焼チャンバ58は、特にテーパ部の上流側で、ないしは長さ領域L1の上流側で、好ましくはDaの1.0倍から3.0である内径d1を有するのが好ましい。更に、好ましくは、排出開口部102の最小の内径d2はDaの0.7倍から2.3倍であることが意図され、ここで排出開口部102の最小の内径d2は吐出直径とも呼ばれる。排出開口部102の比較的小さい吐出直径はバーナー排ガスの吐出速度を維持し、エンジン排ガスとも呼ばれる内燃機関12の排ガスによる、バーナー炎とも呼ばれる炎44への影響を低減する。燃焼チャンバ58の軸方向に延びる燃焼チャンバ58の長さl1は、特に二次空気吹込み部を含まずに、Daの1.5倍から4.0倍であるのが好ましい。二次空気吹込み部によって、好ましくは、燃焼チャンバの長さl1がDaの2.0倍から5.5倍となることが意図される。
【0065】
連続する排出開口部102に代えて、互いに分離されて互いに離間する複数の貫流開口部98を利用することが考えられる。換言すると、連続する、及びそれに伴って中断のない排出開口部102を、互いに離間し互いに分離された複数の貫流開口部98に分割することが考えられ、その個数は3以上9以下の範囲内にあるのが好ましい。それぞれの貫流開口部98は、吐出面又は貫流面とも呼ばれる面積を有しており、すべての貫流開口部98の面積の合計は、連続する排出開口部102の吐出面に類似するのが好ましく、すなわち排出開口部102の面積に類似する。各貫流開口部98の面積の合計は総吐出面とも呼ばれる。貫流開口部98はたとえばボアとして構成される。すべての貫流開口部98の面積の合計は、すなわち総吐出面は、燃焼チャンバ58の排出開口部102の中断のない連続する排出開口部の面積の0.8倍から1.8倍であることが考えられる。特に、穴付き板100は排出開口部102ないし長さ領域L1に配置されることが考えられる。エンジン排ガスとも呼ばれる内燃機関12の排ガスの観点からすると、偏向部材、特に偏向部材及び/又は穴付き部材、特に穴付き板を利用するのが好ましい場合があり、ここで穴付き部材とは、特に固体として構成される部材であって、互いに離間する、特にそれぞれの壁部によって互いに分離された複数の穴を有し、これらの穴がたとえばバーナー排ガスやエンジン排ガスなどのガスにより貫流可能であるものとして理解することができる。たとえば、エンジン排ガスが燃焼チャンバ58の中の炎44に過度に不都合な影響を及ぼして不安定化させないようにするために、たとえば偏向板などの偏向部材を燃焼チャンバ58の前に、すなわち燃焼チャンバ58の上流側に設けるのが好ましく、それは、特に炎44ないしバーナー排ガスが燃焼チャンバ58から排気管26に流入していく流動方向と反対向きにエンジン排ガスが燃焼チャンバ58の中へ入ることができない、又は、ごくわずかしか入ることができないようにするためである。このように、好ましくは、偏向部材はエンジン排ガスの流動方向で見て燃焼チャンバ58の上流側で、すなわち導入個所E2の上流側で、排気管26に配置されることが意図される。偏向部材のジオメトリーは、燃焼チャンバ58が排気管26に対して、すなわち排気管26の排ガス通路に対して、どのように配置されているかに依存して決めることができる。排ガス通路とは、バーナー排ガスないし炎44が燃焼チャンバ58から特に第4の流動方向に沿って、特に導入個所E2で排ガス通路に流入することとして理解することができる。偏向部材のジオメトリーが個別に適合化されるのが好ましい。
【0066】
更に、上で説明したとおり、燃焼チャンバ58の吐出部に閉鎖装置110又はその他の種類の閉鎖装置が配置されるのが好ましい。このことは、特に次のように理解することができる。すなわち、閉鎖装置110はたとえば長さ領域L1ないし排出開口部102に配置されていてよく、それにより、バーナー排ガスないし炎44を特に導入個所E2で燃焼チャンバ58から排出可能であり、排気管26へ、特に排ガス通路へ、導入可能である、バーナー排ガスないし炎44により貫流可能な流動断面が、閉鎖装置110によって、特に閉鎖部材112によって画成され、それに応じて閉鎖装置110により変更可能であり、すなわち調整可能である。このような調整可能な流動断面は、特に開口断面114である。
【0067】
このとき閉鎖装置110はチャンバ部分122に、かつその際に排出開口部102に配置されていてよく、又は、閉鎖装置110もしくはその他の閉鎖装置は燃焼チャンバ58の下流側に、すなわちチャンバ部分122の下流側に、かつその際に燃焼チャンバ58のないしチャンバ部分122に直接的に後続するように配置され、すなわち排出開口部102それ自体の下流側に配置される。第4の実施形態においては長さ領域L1によって、すなわち上述したテーパ部によって、具体化される排出開口部102の先細部は、バーナー排ガスの流速の増大につながり、燃焼チャンバ58の吐出部の先細部は流動に好都合なように具現されるのがよい。本例では長さ領域L1によって形成されるテーパ部は、特に
図11に鎖線126で図示する燃焼チャンバ58の軸方向に対して、テーパ角とも呼ばれる30°から70°の角度を有するのが好ましい。第4の実施形態では、テーパ部は固定ジオメトリーとして構成され、それによりテーパ部は、すなわちテーパ角は固定的であり、すなわち変更可能ではない。しかしながらテーパ部を、たとえば航空機の駆動装置のように、特にそのテーパ角に関して可変に構成することも考えられ、それは特に、たとえば航空機の駆動装置における推進ノズルのように開閉可能である、すなわち特にチャンバ部分122に対して相対的に旋回可能である個々のセグメントによってであり、それによってテーパ部ないしテーパ角を調整可能であり、すなわち可変である。その代替又は追加として、テーパ部ないしそのテーパ角はスライド可能に配置された吐出テーパ部によって可変であり、及び/又は長手中心軸がたとえば燃焼チャンバ58の軸方向と一致する、及び/又は燃焼チャンバ58の軸方向へ特にチャンバ部材116に対して相対的にスライド可能である、吐出テーパ部が設けられることが意図されていてよく、好ましくは燃焼チャンバ58に対して同軸に配置される吐出テーパ部は、排出開口部102を貫流するバーナー排ガスの流動方向で先細になっているのが好ましい。吐出テーパ部が燃焼チャンバ58に対して同軸に配置されるという特徴は、特に、吐出テーパ部の軸方向が、すなわちその長手中心軸が、燃焼チャンバ58の軸方向と一致することとして理解される。チャンバ部材116に対して相対的に燃焼チャンバ58の軸方向へ吐出テーパ部がスライドすることで、たとえばバーナー排ガスを燃焼チャンバ58から排出可能であり排ガス通路へと導入可能である、バーナー排ガスにより貫流可能な流動断面を変更することができる。吐出テーパ部は
図11に特別に模式的に示されており、符号128で表されている。燃焼チャンバ58の軸方向に対して平行に延びる、ないしは燃焼チャンバ58の軸方向と一致する、運動方向であって、これに沿って吐出テーパ部128がチャンバ部材116に対して相対的に並進運動可能である、特にスライド可能である運動方向が、
図11に二重矢印130によって図示されている。バーナー排ガスにより貫流可能な流動断面は、燃焼チャンバ58の径方向で外方に向かってチャンバ部材116によっても、及び内方に向かっては吐出テーパ部128によっても、特にそれぞれ直接的に画成されることが明らかであり、流動断面は環状ないし環状面状に構成される。吐出テーパ部128は、排出開口部102ないし流動断面を貫流するバーナー排ガスの流動方向で先細になっているので、運動方向に沿ってチャンバ部材116に対して相対的に行われる吐出テーパ部128のスライドによって流動断面が変更される。
【0068】
図12は、バーナー42の第5の実施形態を模式的な断面図で部分的に示している。特に
図12では、部分的に構成部品74が、及び部分的に構成要素82が、特に
図3と同じように明らかである。バーナー42が作動していないとき、空気配管及び動力燃料配管を、すなわち好ましくは流出開口部64及び68を、閉鎖して、渦流室62及び76へのエンジン排ガスの侵入を防止するのが好ましい。そのために、流出開口部64及び/又は流出開口部80にそれぞれ閉鎖装置110が配置されることが考えられ、又は、閉鎖装置110が流出開口部80の下流側かつその際に流出開口部80に直接的に後続するように配置され、それにより、たとえば空気の第1の部分及び燃料により貫流可能な第1の流動断面が、特に流出開口部64が、及び/又は空気の各部分及び燃料により貫流可能な第2の流動断面が、特に流出開口部80が、又は空気の各部分及び燃料により貫流可能かつ流出開口部80の下流側に配置されて直接的ないしダイレクトに流出開口部80に後続する第3の流動断面が、閉鎖装置110によって可変である、ないしは調整可能である。第1、第2、ないし第3の流動断面はたとえば開口断面114であり、すなわち、特に開口断面114を有する開口部の開口断面114であり、その流動断面(開口断面114)及びこれに伴って面積を、特に虹彩絞りの方式で閉鎖部材112によって調整可能である。このように第1、第2、ないし第3の流動断面を特に負荷依存的に調整することができ、特に制御又はコントロールすることができる。たとえば、吐出ノズルとも呼ばれる両方の流出開口部64及び80だけを閉鎖装置110によって、又はその他の別の閉鎖装置によって閉鎖し、すなわち第1、第2、ないし第3の流動断面をゼロまで縮小することが考えられる。
【0069】
別の閉鎖装置は、たとえば
図12に特別に模式的に示す、閉鎖栓とも呼ばれる符号132で表された閉鎖部材であってよい。閉鎖部材132は、たとえば特にそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向で構成要素82に対して相対的に、かつ構成部品74に対して相対的に、特に少なくとも1つの閉止位置と
図12に示す少なくとも1つの開放位置との間で、特に並進的に可動である。閉止位置では、流出開口部64及び80が閉鎖部材132によって閉鎖され、それに伴って流体的に遮蔽され、これは特にバーナー42が不作動化している間である。それにより、排気管26からのエンジン排ガスが流出開口部64及び80を貫流することができない。開放位置では閉鎖部材132が流出開口部64及び80を解放し、これは特にバーナー42が作動している間である。特に閉鎖部材132が閉止位置にあるとき、たとえば小さな栓として構成される閉鎖部材132によって、流出開口部64及び80を同時に閉鎖することができる、ないしは閉鎖されることが明らかである。その場合、たとえば弁部材55などの空気弁はポンプ56の下流側に必要ない。というのも、閉鎖部材132によって、エンジン排ガスが排気管26から空気供給経路54を通過して流れることを回避できるからである。換言すると閉鎖部材132によって、ないしは閉鎖装置110によって、エンジン排ガスが排気管26からポンプ56に侵入するのを回避することができる。燃焼チャンバ58の下流側の、すなわち吐出部の後の、高温の排ガスで負荷されるはるかに大型の排ガスフラップも省略することができる。
【0070】
以下において、上に述べた燃焼チャンバ58のエアギャップ絶縁について詳しく説明する。燃焼チャンバ58は特に全負荷動作のときに外壁が非常に高温となり、場合により白熱するので、エアギャップ絶縁が特別に安全な動作を保証することができる。更に、エアギャップ絶縁によって熱損失を特別に少なく抑えることができる。このとき、好ましくは、特に熱絶縁部は燃焼チャンバ58を、燃焼チャンバ58の軸方向を中心として延びる円周方向で、特に全面的に周回するように取り囲むことが意図される。このような絶縁部として、本例ではエアギャップ絶縁すなわちエアギャップが設けられる。本例ではエアギャップとして形成される中間スペース124は、燃焼チャンバ58の径方向に延びる幅、特に間隙幅を有するのが好ましく、この幅は、特に間隙幅は、好ましくはDaの6%から25%である。特に、この幅は1.5mm以上6mm以下の範囲内にあることが考えられる。特にチャンバ部材116は、二重壁であることよってエアギャップ絶縁された、管であることが明らかである。換言するとチャンバ部分120及び122は、二重壁であることによってエアギャップ絶縁された管を形成する。このとき、好ましくは、チャンバ部材116(エアギャップ絶縁された管)とは別個に構成された絶縁部材が、エアギャップ絶縁された管(チャンバ部材116)を、すなわち燃焼チャンバ58の軸方向に延びるチャンバ部材116の少なくとも1つの長さ領域を、燃焼チャンバ58の円周方向で特に全面的に周回するように取り囲むことが意図される。この絶縁部材は絶縁マットであるのが好ましい。絶縁部材は少なくともミネラルウール及び/又は薄板(金属薄板)で形成されるのが好ましく、それによって燃焼チャンバ58を特別に好ましく絶縁することができる。
【0071】
以下において、燃焼チャンバ58ないしバーナー42の考えられる取付位置について説明する。上で説明したとおり、燃焼チャンバ58の中の混合気は、熱ないし熱エネルギーの放出のもとでは燃焼するのに希薄すぎる。熱エネルギーにより、たとえば少なくともコンポーネント36bを効率的かつ効果的に加熱し、及び/又は高温に保つことができる。その代替又は追加として、たとえば粒子フィルタとして構成されるコンポーネント36cを加熱することができる。粒子フィルタが加熱されることで、たとえば粒子フィルタの再生を惹起ないし実行することができる。そしてバーナー42の熱エネルギーを好ましく活用できるようにするために、導入個所E2は、たとえばコンポーネント36b及び/又は36cなどの加熱されるべき、ないし高温に保たれるべきコンポーネントのできる限り近傍に配置されるのがよい。それにより、熱損失も少なく抑えることができる。ただし、バーナー排ガスとエンジン排ガスとの好ましい混合を保証するために、エンジン排ガスとバーナー排ガスとを混合するための最低区間が設けられるのがよく、この最低区間は、特に排気管26を貫流するエンジン排ガスの流動方向で、バーナー42ないし導入個所E2から、たとえばコンポーネント36bなどの加熱されるべき、ないし高温に保たれるべきコンポーネントまで、特にその入口まで、特に一貫して延びる。特に、この最低区間は混合室40の最低区間である。したがって導入個所E2を、コンポーネント36bの入口の直前まで近づけることはできない。特に、導入個所E2と、特に排気管26の流動方向で導入個所E2に直接的に後続するコンポーネント36bとの間の、排気管26を貫流する排ガスの流動方向に延びる間隔が、Daの少なくとも5倍から8倍、かつ多くともDaの30倍であると、特に好ましいことが示されている。排気管26を貫流する排ガス(エンジン排ガス)の流動方向で直接的ないしダイレクトに導入個所E2にコンポーネント36bが後続するという特徴は、排気管26を貫流する排ガスの流動方向で、導入個所E2とコンポーネント36bとの間にその他の別の排ガス後処理コンポーネントが配置されていないこととして理解される。その代替又は追加として、導入個所E2が配置される排ガス通路の直径は、特に内径は、特に排ガスがコンポーネント36bに入る前に、特に燃焼チャンバ58からの吐出部の後でDaの少なくとも6倍まで円錐状に拡張するのがよい。特にコンポーネント36bが触媒である場合、特に上に挙げたSCR触媒である場合、コンポーネント36bは基体を有する。それに伴って、好ましくは、上に挙げた間隔は、特に排気管26を貫流する排ガスの流動方向で、導入個所E2と、触媒の基体との間に延びる間隔であることが意図される。それに伴い、排ガス(エンジン排ガスないしバーナー排ガス)が基体に当たる前に、排ガス通路の内径が燃焼チャンバ58からの吐出部の後で、すなわち導入個所E2を起点として、Daの少なくとも6倍まで拡張していると好ましい。
【0072】
図2から明らかなとおり、たとえばスパークプラグ、グロープラグ、又はグローピンとして構成される点火装置60は、特に雄ねじとして構成されるねじ山134を有していて、これを用いて、点火装置60がチャンバ部材116と少なくとも間接的にねじ止めされ、それによってチャンバ部材116で保持される。点火装置60の十分な冷却、すなわち点火装置60からの好ましい熱排出を具体化するために、スパークプラグねじ山とも呼ばれる点火装置60のねじ山134に、冷却リブが装着されていると好ましい。冷却リブの個数は1以上7以下の範囲内にあるのが好ましい。たとえば冷却リブは、2以上4mm以下の範囲内にある厚みを有する。更に、それぞれの冷却リブは20から80mmの直径、特に外径を有することが考えられる。これに加えて、好ましい熱排出を具体化するために、個々の冷却リブは点火装置60の周囲に、すなわち周囲空気に、特にボアとして構成された開口部を、特に貫通開口部を、有していると好ましく、その個数は3以上8以下の範囲内にある。それぞれの冷却リブのそれぞれの貫通開口部は、たとえば少なくとも5mmかつ多くとも15mmである直径を、特に内径を、有する。点火装置60の各電極の間の電極間隔は、少なくとも0.7mmかつ多くとも10mmである。電極は
図2から明らかであり、そこでは符号136及び138で表されており、電極136及び138により、特に電極136及び138の間で、混合気に点火するための点火火花が燃焼チャンバ58で生成される。
【0073】
渦流室62及び76の中での空気の各部分の渦状の流動の惹起ないし生成をサポートするために、空気はそれぞれの渦流室62ないし76へ厳密に径方向に、すなわちそれぞれの渦流室62ないし76の径方向に、導入されるのではなく、それぞれの渦流室62ないし76のそれぞれの軸方向に対して接線方向に、ないしはこれに対して斜めに、導入されるのがよく、その様子は
図2に図示されている。換言すると、空気ないし空気のそれぞれの部分が、それぞれの渦流室62ないし76へ接線方向で流入すると好ましい。それにより、中に入る空気の衝撃をすでに渦方向へと誘導することができ、このことは渦流生成の特別に高い効率につながる。
【0074】
バーナー42に燃料を供給するために燃料ポンプが利用され、特に、タンク18から動力燃料を送出するための動力燃料ポンプが利用される。このように、燃料ポンプはたとえば低圧ポンプ20であってよい。バーナー42をラムダ制御で作動させるのが好ましく、それにより、たとえば混合気が少なくとも実質的に1.0の燃焼空気比(γ)を有するようにされる。換言すると、好ましくは、バーナーが理論空燃比で作動し、すなわち、混合気が理論空燃比の混合気であることが意図される。再び別の言葉で表現すると、好ましくは、混合気に占める空気の第1の割合と、混合気に占める燃料の第2の割合とが、できる限り正確に調整ないし制御されることが意図される。したがって、燃焼空気とも呼ばれる、混合気の第1の空気の量と、混合気の燃料の第2の量とが少なくとも実質的に正確に調整及び/又は計算されて、それぞれ相応の渦流室62ないし76に導入されると好ましい。したがって、バーナー42に向かって、ないしその中へ燃料を送出するための燃料ポンプとして、周波数制御式のピストンポンプを使用するのが好ましい。このようなピストンポンプは、特に燃料ポンプへの動力燃料又は排ガスの逆流を防止するために、吐出部にたとえばボール弁などのばね付勢される弁を備えているのがよい。
【0075】
このような燃料ポンプが
図17に模式的な縦断面図で示されており、符号137で表されている。ここでは燃料ポンプ137はピストンポンプとして構成されていて、燃料を送出するためのピストンが符号138で表されている。
図17に示す実施形態ではばね付勢されるボール弁として構成される、ばね付勢される弁は、
図17では符号140で表されており、特に、機械式のばねユニット142とボール144とを含んでいる。特に、ばね付勢される弁140は逆止め弁として構成されるか、又は逆止め弁として機能し、それにより、燃料ポンプ137によって燃料をバーナー42へと送出することができ、それにより、弁140がバーナーの方向に開くが、これと反対の方向へは遮蔽し、それにより、排ガスや空気がバーナー42から燃料ポンプ137へ戻るように流れることはできない。
【0076】
図13は、バーナー42の第6の実施形態を模式的な縦断面図で部分的に示しており、特に
図6及び
図12と同じく、流出開口部64及び80及びこれに伴って構成要素82及び構成部品74が明らかとなる。
図13からは噴射部材66も明らかであるが、ただし
図13に示す実施形態では、これは
図2及び
図7に示すようにランスとして構成されている。ここでは流出開口部は、渦流室62ないし76の軸方向に向く噴射部材66の軸方向の端面146に配置又は構成されるのではなく、流出開口部70は渦流室62ないし76の径方向に向いており、その際に噴射部材66の外周側の外套面148に形成されていて、この外周側の外套面148は、それぞれの渦流室62ないし76の軸方向を中心として延びる円周方向の周りに延びている。換言すると、それぞれの燃料ジェット72は端面146のところでそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向に、ないしはこれと平行に、噴射部材66から出ていくのではなく、燃料ジェット72は、
図13に鎖線150で図示するそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向に対して垂直に、又は本例のように斜めに、噴射部材66から出ていく。
【0077】
構成部品74の内側円周側の外套面86は膜壁とも呼ばれる。というのも、流出開口部70を介して噴射部材66から噴出されて膜壁へと移される、ないしは噴射される燃料が、膜壁(内周側の外套面86)で、上に挙げた膜ないし燃料膜を形成するからである。燃料を特別に好ましく膜壁へと移すために、ないしはこれに向けるために、たとえば噴霧化ノズルに代えて単純なランスを、たとえば
図13に示すような噴射部材66を、使用することができる。ランスは小管152を含んでいて、その端部領域に少なくとも2つの、たとえば横穴として構成される流出開口部70が設けられている。ここでは燃料はそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向にランスから、ないしは小管152から出ていくのではなく、それぞれの渦流室62ないし76の径方向に、ないしは径方向に対して斜めに出ていく。流出開口部70から出ていく燃料を特別に効率的に膜付着部へ、及びその際に特に膜壁へと移すために、ないしはこれに向けることができるようにするために、燃料が噴霧化されると好ましい。そのために、膜付着壁とも呼ばれる膜壁の表面に、又はその上にベンチュリノズル154が配置されることが意図されるのが好ましく、該ベンチュリノズルは特に噴射部材66の、特に小管152の、軸方向及び長手延在方向とそれぞれの軸方向が一致するそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向で、好ましくは軸方向でそれぞれ同じ高さに配置される流出開口部70の高さに配置される。換言すると、流出開口部70も配置されている渦流室62にベンチュリノズル154が設けられるのが好ましく、該ベンチュリノズルの、空気の第1の部分により貫流可能なもっとも狭い流動断面は、それぞれの渦流室62ないし76の、及びこれに伴って噴射部材66の軸方向で、ベンチュリノズル154のもっとも狭い、ないしはもっとも小さい、又は最小の流動断面と、それぞれの流出開口部70とが、それぞれの渦流室62ないし76の軸方向で、及びこれに伴って噴射部材66の軸方向で、同じ高さに配置されるように、配置されるのが好ましい。それにより、流出開口部70を貫流する燃料の特別に好ましい噴霧化を具体化することができる。特に、ベンチュリノズル154と噴射部材66とはジェットポンプの方式で機能する。空気の第1の部分がベンチュリノズル154を通って流れ、すなわち、そのもっとも狭い流動断面を通過して流れる。ここでは流出開口部70がそれぞれ少なくとも部分的にベンチュリノズル154のもっとも狭い流動断面に配置されているので、すなわち、ベンチュリノズル154のもっとも狭い流動断面と流出開口部70とが噴射部材66の軸方向で、及びこれに伴ってベンチュリノズル154を貫流する空気の第1の部分の流動方向で、同じ高さに配置されているので、空気の第1の部分が駆動媒体として作用又は機能し、これが吸込媒体としての燃料を特に流出開口部70を通していわば吸い込み、それにより、いわば駆動媒体が吸込媒体(燃料)を、流出開口部70を通過するように吸い込む。それにより、燃料が渦流室62の中で特別に好ましく噴霧化される。
【0078】
図14は、バーナーの第7の実施形態を模式的な縦断面図で部分的に示している。第7の実施形態では、噴射部材66が例示としてランスとして構成されている。それぞれの燃料ジェット72は、特にその長軸又は長手中心軸は、それぞれの渦流室62ないし76の軸方向に対して垂直に延びる、及びこれに伴ってそれぞれの渦流室62ないし76を貫流する空気のそれぞれの部分のそれぞれの流動方向に対して垂直に延びる、仮想的な平面EBとともに、ジェット角とも呼ばれる角度βを形成することが明らかである。このときそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向は、噴射部材66の長手延在方向ないし長手延在と、及びこれに伴ってその軸方向と、一致する。流出開口部70は、噴射部材66の軸方向を中心として延びる円周方向で、特に均等に配分されて配置されて互いに離間している。できる限り薄くて均等な燃料膜を膜付着部の上に、すなわち内周側の外套面86で、生成するために、流出開口部70の個数は少なくとも2、かつ多くとも10であるのが好ましい。換言すると、たとえば流出開口部70の個数は2以上10以下の範囲内にあることが意図される。たとえば、好ましくは、角度βは、燃料の衝撃をすでに流動方向へ誘導するために、10°以上60°以下の範囲内にあることが意図される。更に、たとえばボアとして構成される、好ましくは円形のそれぞれの流出開口部70は、3mm以上50mm以下の範囲内にある直径、特に内径を有することが意図される。
【0079】
図15は、噴射部材66の考えられる別の実施形態を、部分的に切断した模式的な側面図で示している。
図15に示す実施形態では、噴射部材66は暖房用石油バーナーで使用されるような噴射ノズルとして構成されている。
図15に示す実施形態では、噴射部材66は頭部155と、渦流スリット156と、渦巻体158と、二次フィルタ160と、一次フィルタ162とを有している。
図15の噴射部材66は、少なくとも1つの、又はちょうど1つの、流出開口部70を有しており、噴射部材66の流出開口部70は、軸方向端面とも呼ばれるその軸方向の端面146に配置又は形成されている。このことは、流出開口部70を貫流する燃料ジェット72が噴射部材66の、及びこれに伴ってそれぞれの渦流室62ないし76の、軸方向に流出開口部70から、及びこれに伴って噴射部材66から、外に出ることを意味する。換言すると
図15では、噴射ジェット72ないしその長軸ないし長手中心軸は、少なくとも実質的に軸方向に、すなわちそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向に対して平行に、延びている。
【0080】
図16は、バーナー42の動作を、特に制御を、図示するためのブロック図を示している。ここでは導入個所E2での、又は導入個所E2の下流側での、かつ特にコンポーネント36bの上流側での、排ガスの温度が符号T5で表されている。たとえば温度T5は特に温度センサによって測定され、それにより、たとえば温度T5を特徴づける、T5値とも呼ばれる値が測定される。T5値は、
図16ではブロック164によって図示されている。T5値は、特に入力量として、ブロック166に伝送される。ブロック166は、たとえばバーナー42での空気供給が閉じられ、燃料ポンプが不作動化しており、それによりバーナー42での燃料供給も不作動化しており、点火装置60が不作動化している初期状態を示している。矢印168は、いわゆるバーナーリリースすなわちバーナーのリリースを示している。バーナーリリースの結果として、ブロック170で点火装置60がスイッチオンされ、すなわち作動化される。ブロック172で、たとえば混合気の0.9の燃焼空気比が調整され、そのようにしてバーナー42のスタート動作を具体化する。更に、たとえばブロック172で空気ポンプが作動化され、燃料ポンプが作動化される。引き続き、たとえばブロック174で混合気の燃焼空気比が1.03に調整され、燃料ポンプが低い周波数で作動する。ブロック176では、たとえば点火装置60が不作動化される。ブロック178は、バーナー42の動作状態を示している。この動作状態のとき、バーナー42へと向かう、ないしその中への、空気供給部が開かれ、燃料ポンプがスイッチオンされ、点火装置60が不作動化され、それにより、バーナー42が空気と燃料の供給を受ける。矢印180により、特に温度T5がたとえば400℃である限界値よりも高くなった場合に、バーナーリリースが撤回されることが示されている。
【0081】
ブロック182で、温度T5の実際値が温度T5の目標値と比較される比較が行われる。温度T5の実際値はたとえば上に挙げたT5値であり、及び/又はたとえば温度T5の実際値は、特に上に挙げた温度センサによって特に導入個所E2で、又は導入個所E2の下流側で、特にコンポーネント36bの上流側に配置された排気管26の個所で、測定される。たとえば比較により、実際値が目標値よりも低いか、又はこれに等しいことが判明した場合、特にブロック174で、特に燃料ポンプと空気ポンプの動作に関して調整されている状態が維持され、
図16では燃料ポンプはブロック184によって示され、空気ポンプはブロック186によって示されている。たとえば実際値が目標値よりも高い場合には、ブロック188で、特に制御機器とも呼ばれる電子計算装置によって燃料ポンプの制御が行われ、及び/又はブロック190で特に制御機器によって空気ポンプの制御が行われて、特に、燃料ポンプないし空気ポンプがそれぞれの動作に関して変更され、特に、たとえば実際値が目標値に相当するまで、又は目標値よりも低くなるまで、実際値が引き下げられる。
【0082】
ブロック192で混合気の空気の量が判定され、特に、特に空気流測定によって測定される。更に矢印194によって、燃料の量が判定され、特に測定されることが図示されている。ブロック196で、判定された、特に測定された、空気の量に依存して、及び判定された、特に測定された、あるいは計算された燃料の量に依存して、燃焼空気比(γ)が判定され、特に計算される。特にブロック196で混合気の燃焼空気比の実際値が判定され、特に計算される。ブロック198で、燃焼空気比の実際値が燃焼空気比の第2の目標値と比較され、第2の目標値はたとえば1.03である。燃焼空気比の実際値が燃焼空気比の目標値に相当している場合、又は燃焼空気比の実際値が燃焼空気比の目標値とわずかしか相違しておらず、燃焼空気比の実際値と燃焼空気比の目標値の間の差異が特に数値的に限界値よりも大きいか、又はこれに等しい場合、バーナー42の、特に燃料ポンプ及び空気ポンプの、現在の動作が維持される。しかし、燃焼空気比の実際値が燃焼空気比の目標値から過度に相違している場合には、特に矢印200で示されているように、たとえば空気ポンプ及び/又は燃料ポンプがそれぞれの動作に関して、特に燃料ポンプないし空気ポンプの制御によって変更されて、特に、燃焼空気比の実際値と燃焼空気比の目標値との差異が少なくとも低減され、あるいは解消されるようにされる。
【0083】
最後にブロック202は、温度T5の目標値が制御機器から、又は制御機器により、特にブロック182に設定されることを示している。その代替又は追加として制御機器は、燃焼空気比の目標値を特にブロック198に設定ないし出力することができる。
【0084】
低圧ポンプ20は燃料ポンプとして利用されることが明らかであり、これを用いて燃料が特に能動的に噴射部材66に向かって、及び特にこれを通るように、送出され、それにより噴射部材66を通じて動力燃料を特に直接的に、内側の渦流室62へ噴射する。ここでは低圧ポンプ20に二重機能が与えられ、たとえば一方では動力燃料を燃料として噴射部材66へ送出するために利用され、他方では、動力燃料をタンク18から高圧ポンプ22へ送出するために利用される。その代替として、バーナー42だけのために設けられる燃料ポンプを利用し、すなわち、特に能動的に特に動力燃料としての燃料をタンク18からバーナー42へ送出することができる、又は送出される、燃料ポンプを利用することも考えられるが、この独自の燃料ポンプによって、動力燃料をタンク18から高圧ポンプ22へ送出することはできない。このように、たとえばピストンポンプとして構成される燃料ポンプ137を利用することができ、これを用いて、更に、燃料を特に噴射部材66を通るように送出することができる。
【0085】
図18は、バーナー42を図解するための、及び特にバーナー42を作動させる方法を図解するための、システム図を示している。
図18では矢印204により、電子計算装置52、空気ポンプ56、噴射部材66、及び点火装置60を特に電気制御できることが図示されている。その代替又は追加として、電子計算装置52は燃料ポンプを特に電気制御することができる。矢印206により、上に挙げた空気配管すなわち空気供給経路54が示されている。換言すると、空気供給経路54は少なくとも1つの空気配管であり、又はこれを含み、これを用いて空気をそれぞれの渦流室62ないし76の軸方向に対して特に接線方向で、ないしはこれに対して斜めに、それぞれの渦流室62ないし76ないし空気室92へ導入可能である。更に矢印208は、燃料配管とも呼ばれる動力燃料配管ないし上に挙げた動力燃料配管を示しており、これを介して噴射部材66に燃料を供給可能である。このように矢印208は、特に動力燃料供給経路46及び/又は通路68を示している。
【0086】
噴射部材66の弁部材の制御とは、たとえば噴射部材66の弁部材が噴射部材66の制御によって、少なくとも1つの閉止位置と少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能であり、ないしは位置調節されることであると理解される。閉止位置では、弁部材がたとえば流出開口部70を遮蔽し、開放位置では弁部材がたとえば流出開口部70を解放する。その代替又は追加として噴射部材66の制御とは、たとえば特に電気駆動可能なピストンポンプ136などの燃料ポンプの制御、ないしは上に説明した制御であると理解することができる。
【0087】
バーナー42の特別に効果的かつ効率的な動作を具体化するために、すでに
図16との関連で示唆したように、電子計算装置52(制御機器)により、渦流室62及び76へ特に能動的に供給される、ないしは渦流室62及び76が特に能動的に供給を受ける、空気量とも呼ばれる空気の第1の量が判定される。渦流室62及び76へと向かう、ないしはその中への、空気の能動的な供給とは、空気が空気ポンプ56によって能動的に、特に空気ポンプ56の電気式の動作によって送出され、それにより渦流室62及び76に向けて、及びその中へ、送出されることとして理解される。更に電子計算装置52によって、噴射部材66へ特に能動的に供給される、ないしは噴射部材66が特に能動的に供給を受ける、燃料量とも呼ばれる燃料の第2の量が判定される。噴射部材66への燃料の能動的な供給とは、特に、燃料が燃料ポンプによって、特に燃料ポンプの電気式の動作によって送出され、その際に更に噴射部材66を通るように送出されて、特に噴射部材66を通じて内側の渦流室62に噴射されることとして理解される。
【0088】
空気量に依存して、及び燃料量に依存して、燃焼空気比の少なくとも1つの実際値が電子計算装置52によって判定され、特に計算される。更に電子計算装置52により、判定された実際値に依存してバーナー42が作動し、特に、電子計算装置52が空気ポンプ56及び/又は噴射部材66及び/又は燃料ポンプ及び/又は点火装置60を特に電気式に、及び/又は判定された実際値に依存して、制御するようになっている。このことは特に、特に電子計算装置52によって実際値が目標値と比較されるように行われる。電子計算装置52は、燃焼空気比の目標値と実際値の比較に依存してバーナー42を作動させ、それにより、バーナー42の特別に好ましいラムダ制御を具現可能である。
【0089】
その代替又は追加として、当初は不作動化しているバーナー42を始動させるために、第1の時間帯の間に噴射部材66によって動力燃料が内側の渦流室62へ特に直接的に噴射されることが意図されていてよく、第1の時間帯の間には、渦流室62及び76への空気の、すなわち空気の各行(各ライン)の、能動的な供給と、燃焼チャンバ58での点火は一貫して行われない。第1の時間帯の後に、すなわちたとえば第1の時間帯に直接的ないしダイレクトに後続する第2の時間帯の間に、渦流室62及び76に空気が能動的に供給され、燃料は第2の時間帯の間ないし内部で噴射部材66によって内側の渦流室62へ噴射され、第2の時間帯の間ないし内部で燃焼チャンバ58の中で混合気が点火されて燃焼される。それにより、特にコールドスタートの枠内で、及び/又は低温の環境条件のもとで、当初は不作動化しているバーナー42を特別に迅速かつ効果的に始動させることができる。
【国際調査報告】