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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】高吸水性ハイドロゲル
(51)【国際特許分類】
   C08B 13/00 20060101AFI20240305BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 31/717 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 31/77 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240305BHJP
   C08B 31/16 20060101ALN20240305BHJP
   C08B 37/04 20060101ALN20240305BHJP
   C08B 37/00 20060101ALN20240305BHJP
   A61K 31/718 20060101ALN20240305BHJP
   A61K 31/736 20060101ALN20240305BHJP
   A61K 31/734 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
C08B13/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P1/16
A61P3/06
A61P1/10
A61K31/717
A61K31/77
A61K9/06
A61K9/48
C08B31/16
C08B37/04
C08B37/00 J
A61K31/718
A61K31/736
A61K31/734
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558692
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 SG2022050161
(87)【国際公開番号】W WO2022203606
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10202102990S
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523362238
【氏名又は名称】ジュニオン ラブス プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ルォ,ジンナン
(72)【発明者】
【氏名】バォ,ホンキァン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ボ ファイ モセス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086EA21
4C086EA25
4C086FA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZA72
4C086ZA75
4C086ZC33
4C086ZC35
4C090AA02
4C090AA05
4C090AA09
4C090BA15
4C090BA31
4C090BA41
4C090BA73
4C090BB65
4C090BB72
4C090BB97
4C090BD37
4C090CA04
4C090CA18
4C090CA19
4C090CA38
4C090CA47
4C090DA09
4C090DA23
(57)【要約】
本発明は、スペーサー架橋剤で架橋された多糖を含むポリマーに関する。前記スペーサー架橋剤は、2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分によって、各末端が任意に末端化置換された第1の脂肪族部分を含む。本発明はまた、ハイドロゲル、ポリマーまたはハイドロゲルの形成方法、ポリマーもしくはハイドロゲルを含む組成物およびカプセル、ならびに、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患もしくは慢性特発性便秘を治療する方法、または、ポリマーもしくはハイドロゲルを用いてカロリー摂取を減少させる方法もしくは血糖のコントロールを改善する方法、ならびに、健康な対象における体重を減少する、もしくは、身体の外観を改善する方法に関する。好ましい一実施形態において、ポリエチレングリコールと、クエン酸とのエステル化により形成される空間架橋剤(PEG-CA)が、架橋カルボキシメチルセルロース(CMC)を調製するために、使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサー架橋剤で架橋された多糖を含むポリマーであって、前記スペーサー架橋剤が、2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分により、両末端が任意に末端化置換された第1の脂肪族部分を含む、ポリマー。
【請求項2】
前記スペーサー架橋剤が下記式(I)を有する、請求項1に記載のポリマー:
A-L-Z-L-A (I)
ここで、
Zは前記任意に置換された第1の脂肪族部分であり;
Aは、前記2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分であり;かつ
Lは連結基である。
【請求項3】
前記任意に置換された第1の脂肪族部分が、2つ以上のヒドロキシ基を含む、任意に置換された第1の脂肪族分子に由来する、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子が、約0.1kDa~約100kDaの範囲の分子量を有する、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子が、親水性ポリマー、好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシ基をさらに含む、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される、請求項3または4に記載のポリマー。
【請求項6】
前記任意に置換された第1の脂肪族部分が以下の構造を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー:
【化1】

ここで、
Qは-CH-、-O-または-NH-であり、
Rは、水素、-OH、任意に置換されたC-Cアルキル、-C(O)OM、-C(O)NR、または任意に置換されたヘテロシクロアルキルであり、
およびRは、それぞれ独立に水素または任意に置換されたC-Cアルキルであり、
MはR、NaまたはKであり、pは1~6の範囲の整数であり、
nは2~2000の範囲の整数であり、
*は、スペーサー架橋剤の残部と結合する部分を表す。
【請求項7】
前記2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分が、3つ以上のカルボン酸基を有する第2の分子から誘導される、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記3つ以上のカルボン酸基を有する第2の分子が、クエン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、およびベンゾキノンテトラカルボン酸からなる群から選択される、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
前記2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分が、以下の群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマー:
【化2】

ここで、*は、スペーサー架橋剤の残部と結合する部分を表す。
【請求項10】
Lが、アミド、エステル、酸無水物およびチオエステルからなる群から選択される、請求項2~9のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項11】
前記多糖が、デンプン、セルロース、ガラクトマンナンおよびアルギン酸からなる群から選択されるか、または、カルボキシメチルセルロースである、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項12】
前記ポリマーが、約0.05mm~約5mmの範囲の粒子径を有する粉末の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマーと、液体と、を含むハイドロゲル。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマーを形成する方法であって、以下の工程を含む方法:
a)2つ以上のヒドロキシル基を含む任意に置換された第1の脂肪族分子を、3つ以上のカルボン酸基を含む第2の分子と反応させて、スペーサー架橋剤を形成する;および
b)前記スペーサー架橋剤を多糖と架橋させて請求項1のポリマーを形成する。
【請求項15】
前記反応工程(a)がポリマー添加剤をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記反応工程(a)および架橋工程(b)が、それぞれ独立して、80℃~180℃の範囲の温度で行われる、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応工程(a)と前記架橋工程(b)との間に、以下の工程(a1)、(a2)および(a3)をさらに含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法:
a1)前記スペーサー架橋剤と前記多糖とを溶媒中で混合し、均質化された混合物を形成する、
a2)前記均質化された混合物を40℃~90℃の範囲の温度で乾燥させて前記溶媒を除去する、および
a3)乾燥した前記均質化された混合物を粉砕して、約0.05mm~約5mmの範囲の粒子径を有する粉末を形成する。
【請求項18】
前記混合工程(a1)が前記ポリマー添加剤をさらに含む、請求項15に従属する場合の請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記ポリマーに液体を添加する工程を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマーまたは請求項13に記載のハイドロゲルと、薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物。
【請求項21】
ポリマー添加剤をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー、請求項13に記載のハイドロゲル、または請求項20もしくは21に記載の組成物を含むカプセル。
【請求項23】
肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘を治療する方法、または、それを必要とする対象において、カロリー摂取を減少させるか、もしくは血糖のコントロールを改善する方法であって、治療有効量の、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー、請求項13に記載のハイドロゲル、または請求項20もしくは21に記載の組成物を対象に経口投与する工程を含む、方法。
【請求項24】
肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘の治療に使用するための、またはカロリー摂取の低減もしくは血糖のコントロールの改善のための、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー、請求項13に記載のハイドロゲル、または請求項20に記載の組成物の使用。
【請求項25】
肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘の治療、または、カロリー摂取の低減もしくは血糖のコントロールの改善のための医薬の製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリマー、請求項13に記載のハイドロゲル、または請求項20もしくは21に記載の組成物の使用。
【請求項26】
前記ポリマーまたは前記ハイドロゲルが投与されるか、または経口投与される、請求項23の方法、請求項24の組成物、または請求項25の使用。
【請求項27】
前記ポリマーまたは前記ハイドロゲルの投与単位形態が、1g~6gの前記ポリマーまたは前記ハイドロゲルを含む、請求項23の方法、請求項24の組成物または請求項25の使用。
【請求項28】
請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー、請求項13に記載のハイドロゲルまたは請求項20もしくは21に記載の組成物を対象に経口投与する工程を含む、健康な対象の体重を減少する、または、身体の外観を改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、スペーサー架橋剤で架橋された多糖を含むポリマーに関する。本発明はまた、ハイドロゲル、ポリマーまたはハイドロゲルの形成方法、ポリマーまたはハイドロゲルを含む組成物およびカプセル、ならびにポリマーまたはハイドロゲルを用いて肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患、慢性特発性便秘を治療する、カロリー摂取を減少させる、または血糖のコントロールを改善する方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
ハイドロゲルは、親水性で、水分子と水素結合して水溶液を吸収できる架橋ポリマー鎖のネットワークである。水分子はハイドロゲル内に保持され、その過程でハイドロゲルは元の体積の何倍にも膨潤する。親水性ポリマー鎖を一体的に保持する架橋により、ハイドロゲルネットワークの構造的完全性が水中で維持され、三次元の固体を形成する。高吸水性ポリマーハイドロゲル(SAP)は、その質量に対して極めて多量の液体を吸収および保持できるハイドロゲルである。脱イオン水および蒸留水中において、SAPは、自身の重量の300倍(自身の体積の30倍~60倍)を吸収し、99.9%まで液体になることができる。
【0003】
ハイドロゲルの総吸収能および膨潤能は、当該ゲルを製造するために使用される架橋剤の種類および程度によって制御される。例えば、低密度の架橋SAPは、一般に、より高い吸収能力を有し、より大きく膨潤し、その結果、より柔らかく粘着性のあるハイドロゲルの形成をもたらす。対照的に、架橋密度の高いSAPは、吸収能と膨潤は低いものの、当該ゲルの強度が高く、適度な圧力下でも粒子形状を維持できる。
【0004】
しかしながら、いずれの場合においても、公知のSAPは、ポリマー鎖が、得られるポリマーネットワークの構造をほとんど制御することなくランダムに架橋されるため、当該ポリマーの特性は容易には予測できない。さらに、従来のSAPは、短い架橋剤が使用されているため、ポリマーネットワークが圧縮され、柔軟性が低下し、その結果、ポリマーおよびハイドロゲルの機械的強度および吸水性が低下していた。さらに、市販されている従来のSAPは、ほぼ全てが、生分解性に欠けるアクリルベースの製品である。
【0005】
そこで、上記の欠点の1つ以上を克服するか、または少なくとも改善するポリマーまたはハイドロゲルを提供する必要がある。
【0006】
〔概要〕
一態様において、スペーサー架橋剤で架橋された多糖を含むポリマーであって、前記スペーサー架橋剤が、2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分により、両末端が任意に末端化置換された第1の脂肪族部分を含む、ポリマーが提供される。
【0007】
別の態様において、上記のように定義されるポリマーと液体とを含むハイドロゲルが提供される。
【0008】
上記のように定義されるポリマーまたはハイドロゲルは、非化学的な、物理的相互作用のみによって会合するポリマーまたはハイドロゲルと比較して、通常、より安定で強固なネットワークを形成する、スペーサー架橋剤により架橋されるとの利点を有する。さらに、スペーサー基が多糖とランダムに架橋している既知のポリマーまたはハイドロゲルとは異なり、上記の本出願に係るポリマーは、あらかじめ上記のように形成および定義されたスペーサー架橋剤を使用している。したがって、スペーサー架橋剤の鎖長および分子量を含む構造が、前記多糖と架橋する以前に十分に定義されているために、得られるポリマーは、より予測可能に形成され、容易に特性決定される。上記のように定義されるポリマーおよびハイドロゲルは、当該ポリマーおよびハイドロゲルの吸水率をより制御された形で調節することが容易であり、その結果、ランダムに架橋された従来公知のハイドロゲルと比較して、機械的強度および媒体の取り込み比率の観点からより優れた性能を発揮するとの利点を有する。
【0009】
別の例において、任意に置換された第1の脂肪族分子は、約0.1kDa~約100kDaの範囲の分子量を有する。
【0010】
長いスペーサー架橋剤を使用することにより、前記多糖鎖を、より汎用的で柔軟な様式で架橋し得る。その結果、高いレベルの強度を依然として有しながら、より柔軟なポリマーネットワークを有するポリマーが得られる。さらに、より柔軟なポリマーネットワークは、ネットワーク内の多糖鎖が、互いにさらに離れることを可能にし、当該ポリマーネットワークがより大きく膨潤することを可能にするために、上記のハイドロゲルの膨潤比をより大きくすることを可能にするとの利点も有する。
【0011】
別の態様において、上記のように定義されるポリマーを形成する方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:
a)2つ以上のヒドロキシル基を含む任意に置換された第1の脂肪族分子を、3つ以上のカルボン酸基を含む第2の分子と反応させて、スペーサー架橋剤を形成する;および
b)前記スペーサー架橋剤を多糖と架橋させて上記のように定義されるポリマーを形成する。
【0012】
前記方法は、上記のポリマーと同様に、触媒の使用の有無にかかわらず、スペーサー架橋剤の形成が可能となるとの利点を有する。この反応は触媒の非存在下で進行し得うる。そのために、残留触媒の存在による収率の低下または残留触媒の除去の必要性の問題を解消できるとの利点を有する。さらに、当該架橋剤の構造が既知となるために、上記の反応に使用する架橋剤の量をよりよく制御することが可能となるとの利点も有する。
【0013】
また、前記スペーサー架橋剤が長いために、架橋が同じ前記多糖鎖内で起こる可能性、または架橋が同じ2つの前記多糖鎖間で複数回起こる可能性が低いとの利点も有する。これにより、強固なポリマーネットワークを保持しつつも、上記の反応に使用する前記架橋剤の量を減らすことができ、経済的に有利である。
【0014】
別の態様において、上記のように定義されるポリマーまたは上記のように定義されるハイドロゲルと、薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0015】
別の態様において、上記のように定義されるポリマーまたは上記のように定義されるハイドロゲルを含むカプセルが提供される。
【0016】
別の態様において、それを必要とする対象において、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘を治療する方法、カロリー摂取を低減する方法、または血糖のコントロールを改善する方法であって、上記のように定義されるポリマー、上記のように定義されるハイドロゲル、または上記のように定義される組成物の治療有効量を対象に経口投与する工程を含む、方法が提供される。
【0017】
別の態様において、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、または慢性特発性便秘の治療における使用、またはカロリー摂取の低減もしくは血糖コントロールの改善のための、上記のように定義されるポリマーもしくは上記のように定義されるハイドロゲル、または、上記のように定義される組成物が提供される。
【0018】
別の態様において、肥満、糖尿病前症、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、または慢性特発性便秘の処置のための、またはカロリー摂取の低減もしくは血糖コントロールの改善のための医薬の製造における、上記のように定義されるポリマーもしくは上記のように定義されるハイドロゲル、または、上記のように定義される組成物の使用が提供される。
【0019】
上記のように定義されるポリマーまたはハイドロゲルは、優れた機械的強度および媒体取り込み比を有する。当該ハイドロゲルは、胃内で膨潤し、肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、または慢性特発性便秘を治療するために、カロリー摂取を減少させる、血糖のコントロールを改善する、または便通を改善するが故に、対象に投与する際に有用であり得るとの利点を有する。
【0020】
別の態様において、上記のように定義されるポリマー、上記のように定義されるハイドロゲル又は上記のように定義される組成物を対象に経口投与する工程を含む、健康な対象における体重を減少する、または、身体外観を改善する方法が提供される。
【0021】
上記のように定義されるポリマーもしくはハイドロゲルまたは組成物は、健康な対象の身体外観を改善するための、非医学的な、美容的減量を促進することもできるとの利点を有する。
【0022】
〔定義〕
本明細書で使用される以下の単語および用語は、示された意味を持つ:
基または基の一部としての「アルキル」は、特に断りのない限り、直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基、好ましくはC-Cアルキルを指す。好適な直鎖状および分岐上のC-Cアルキル置換基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。これらの基は末端基であってもよいし、架橋基であってもよい。
【0023】
「アルキルオキシ」とは、本明細書で定義されるような、酸素に単結合しているアルキル基を指す。これらの基は末端基であってもよいし、架橋基であってもよい。これらの基が末端基である場合、当該基はアルキル基を介して分子の残りの部分に結合する。
【0024】
「ヘテロアルキル」は、好ましくは鎖中に2~6個の炭素を有し、そのうちの1個以上がS、O、PおよびNから選択されるヘテロ原子で置換されている、直鎖または分枝鎖のアルキル基を指す。例示的なヘテロアルキルには、アルキルエーテル、2級および3級アルキルアミン、アミド、アルキルスルフィドなどが含まれる。ヘテロアルキルの例には、ヒドロキシC-Cアルキル、C-CアルキルオキシC-Cアルキル、アミC-Cアルキル、C-CアルキルアミノC-Cアルキル、およびジ(C-Cアルキル)アミノC-Cアルキルも含まれる。これらの基は、末端基であってもよいし、架橋基であってもよい。
【0025】
「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、硫黄、酸素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む飽和単環式、二環式、または多環式の環を指し、好ましくは1つ以上の環に1~3個のヘテロ原子を含む。各環は、好ましくは3~10員、より好ましくは4~7員である。好適なヘテロシクロアルキル置換基の例としては、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルフィリノ、1,3-ジアザパン、1,4-ジアザパン、1,4-オキサゼパン、および1,4-オキサチアパンが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、典型的には、C-C12ヘテロシクロアルキル基である。ヘテロシクロアルキル基は、3~8個の環原子を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、N、OおよびSからなる群から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含んでいてもよい。これらの基は末端基であってもよいし、架橋基であってもよい。
【0026】
本明細書で使用する「任意に置換された」という用語は、この用語が参照する基が、非置換であるか、またはアシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、チオアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルヘテロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアミノ、ハロ、カルボキシル、ハロアルキル、ハロアルキニル、アルキニルオキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキルオキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアルケニルオキシ、ニトロ、アミノ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロヘテロシクリル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミン、アミノアルキル、アルキニルアミノ、アシル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシシクロアルキル、アルキルオキシヘテロアリール、アルキルオキシヘテロシクロアルキル、アルケノイル、アルキノイル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアミノ、ハロヘテロシクロアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフェニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アシルチオ、アミノスルホニル、ホスホノおよびホスフィニルなどのリン含有基、スルフィニル、スルフィニルアミノ、スルホニル、スルホニルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアミノ、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルケニル、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールオキシ、アリールスルホニル、シアノ、シアネート、イソシアネート、-C(O)NH(アルキル)、および-C(O)N(アルキル)から独立して選択される1つ以上の基で置換されることを意味する。
【0027】
「実質的に」という単語は、「完全に」を除外するものではない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない可能性がある。この「実質的に」という単語は、必要に応じて、発明の定義から除外されてもよい。
【0028】
別段の指定がない限り、用語「含有している」及び「含む」、並びにそれらの文法的変位形は、明示された要素に加え、明示されていない要素を包含することをも可能とするような、「オープンな」又は「包含的」な表現を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、製剤の成分の濃度の文脈において、「約」という用語は、典型的には、記載値の±5%、より典型的には、記載値の±4%、より典型的には、記載値の±3%、より典型的には、記載値の±2%、さらに典型的には、記載値の±1%、さらに典型的には、記載値の±0.5%を意味する.
本開示を通じて、特定の実施形態は、範囲形式で開示されることがある。範囲形式での説明は、単に便宜上および簡潔さのためであり、開示される範囲の不変の限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、このような範囲の記述は、その範囲内の個々の数値と同様に、すべての考え得る下位的範囲を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記述は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までのような部分範囲、およびその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したとみなされるべきである。これは範囲の広さに関係なく適用される。
【0030】
特定の実施形態はまた、本明細書において広範かつ一般的に記載され得る。一般的な開示に含まれる狭義の種および亜属の各グループもまた、本開示の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、属から任意の材料を除去する但し書きまたは否定的限定を伴う実施形態の一般的な記載を含む。
【0031】
〔任意の実施形態の詳細な説明〕
本発明においては、スペーサー架橋剤で架橋された多糖を含むポリマーであって、前記スペーサー架橋剤は、2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分により、両末端が任意に末端化置換された第1の脂肪族部分を含む、ポリマーが提供される。
【0032】
ハイドロゲルは、ポリマー繊維の水溶液を物理的または化学的に安定化することによって得られる。物理的安定化は、水素結合、疎水性相互作用、および鎖の絡み合いを介して達成されうる。これらの相互作用は一般に可逆的であるため、主に物理的相互作用からなるポリマーから得られるハイドロゲルは、容易に流動または分解し得る。対照的に、化学的架橋は化学的な共有結合からなり、このような化学的架橋からなるポリマーを用いて形成されるハイドロゲルは、通常、より安定で剛性の高いネットワークを形成する。架橋の程度と使用される架橋剤の種類とは、保水性、機械的強度、分解速度など、得られるハイドロゲルの物理的性質に影響を与える。
【0033】
前記スペーサー架橋剤は、以下の式(I)を有し得る:
A-L-Z-L-A (I)
ここで、
Zは前記任意に置換された第1の脂肪族部分であり;
Aは、前記2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分であり;そして
Lは連結基である。
【0034】
前記任意に置換された第1の脂肪族部分またはZは、2つ以上のヒドロキシ基を含む、任意に置換された第1の脂肪族分子から誘導されてもよい。この文脈において、「誘導される」とは、前記任意に置換された第1の脂肪族分子の少なくとも2つのヒドロキシル基が、以下にさらに定義される第2の分子と、式(I)の前記リンカーLの部分を形成するために反応した結果として、前記任意に置換された第1の脂肪族部分が形成されることを意味する。
【0035】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、直鎖状分子であってもよく、各末端がヒドロキシル基で末端化されていてもよい。
【0036】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、約0.1kDa~約100kDa、約0.1kDa~約0.2kDa、約0.1kDa~約0.5kDa、約0.1kDa~約1kDa、約0.1kDa~約2kDa、約0.1kDa~約5kDa、約0.1kDa~約10kDa、約0.1kDa~約20kDa、約0.1kDa~約50kDa、約0.2kDa~約0.5kDa、約0.2kDa~約1kDa、約0.2kDa~約2kDa、約0.2kDa~約5kDa、約0.2kDa~約10kDa、約0.2kDa~約20kDa、約0.2kDa~約50kDa、約0.2kDa~約100kDa、約0.5kDa~約1kDa、約0.5kDa~約2kDa、約0.5kDa~約5kDa、約0.5kDa~約10kDa、約0.5kDa~約20kDa、約0.5kDa~約50kDa、約0.5kDa~約100kDa、約1kDa~約2kDa、約1kDa~約5kDa、約1kDa~約10kDa、約1kDa~約20kDa、約1kDa~約50kDa、約1kDa~約100kDa、約2kDa~約5kDa、約2kDa~約10kDa、約2kDa~約20kDa、約2kDa~約50kDa、約2kDa~約100kDa、約5kDa~約10kDa、約5kDa~約20kDa、約5kDa~約50kDa、約5kDa~約100kDa、約10kDa~約20kDa、約10kDa~約50kDa、約10kDa~約100kDa、約20kDa~約50kDa、約20kDa~約100kDa、または約50kDa~約100kDaの範囲の分子量を有し得る。
【0037】
長い親水性スペーサー架橋剤(上記にて定義される分子量を有するものなど)を使用することにより、膨潤状態の引張弾性率により測定される、高いレベルの強度を達成しながら、より柔軟なポリマーネットワークを有するポリマーの形成が可能になる。より柔軟なポリマーネットワークは、ネットワーク内の多糖鎖が互いからさらに離れることを可能にし、ポリマーネットワークがより大きく膨潤することを可能にするために、ハイドロゲルの膨潤比をより大きくすることに繋がる。
【0038】
クエン酸のような短い架橋剤が使用される場合、2つの多糖鎖は、2つの鎖を連結する第3の多糖鎖を介した距離をおいて連結することができる。しかし、連結の長さはランダムである。したがって、一般に、リンカーの長さが、連結した多糖鎖の近接性を決定する。複数の架橋剤が、1本の鎖にランダムな点で結合しうるため、短い架橋剤を用いると、多糖鎖が近接して結合したポリマーネットワークとなり、コンパクトなネットワークとなる。一方、長い親水性架橋剤を用いると、2つの多糖鎖間の距離は、当該長い親水性架橋剤の長さによって決定される。前記多糖鎖は、前記の長い親水性架橋剤の長さに対応する一定の鎖長を介して互いに連結されるので、長い親水性架橋剤を用いることが、柔軟なポリマーネットワークに繋がる。
【0039】
ハイドロゲルの強度は、ポリマー鎖間の相互作用の程度に依存する。クエン酸のような短い架橋剤が使用される場合、一度当該架橋剤の一つの末端が多糖鎖と反応すると、その長さが短いため、他の末端は同じ多糖鎖内、または最初の多糖鎖と近接している別の多糖鎖としか反応できない。このため、形成可能な架橋ネットワークが著しく制限される。多糖鎖それ自体が長く、比較的動き難いために、多糖鎖とその一末端が反応した短い架橋剤の移動性は低い。この移動性の制限により、前記架橋剤の他の末端は動き回ることができず、その結果、同じ多糖鎖内、あるいは最初の多糖鎖とすでに架橋している第二の多糖鎖との間で架橋が形成されることになる。これは、これらの多糖鎖がすでに互いに近接しているためである。分子内架橋は、引張弾性率を著しく増加させることなく、膨潤率を低下させるため、望ましくない。
【0040】
対照的に、長い親水性架橋剤が使用される場合、架橋剤の一端が多糖鎖と反応すると、長い架橋剤の柔軟な性質により、他の末端が移動でき、最初の多糖鎖から著しく離れた多糖鎖と反応することができる。したがって、長い親水性架橋剤が使用される場合、第二の多糖鎖は、最初の多糖鎖に架橋されていない別の鎖になる可能性が高い。これにより、短い架橋剤を使用した場合に観察される、低い移動性の制限を克服する。さらに、架橋が同じ多糖鎖内で起こる、あるいは、2つの多糖鎖間で複数回起こる可能性が低いため、使用する架橋剤の量を減らすことができ、なおかつ強固なポリマーネットワーク構造を維持することができる。
【0041】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状であってよい。
【0042】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、任意に置換されたアルキルまたは任意に置換されたヘテロアルキルを含んでもよい。前記任意に置換されたアルキルは、ヒドロキシル、アルキルオキシ、カルボキシル、チオアルコキシおよびカルボキシアミドからなる群から選択される置換基で任意に置換されていてもよい。前記任意に置換されたヘテロアルキルは、エーテルまたはアミンであってもよい。
【0043】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、親水性ポリマーであってもよい。
【0044】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、それぞれが少なくとも2つのヒドロキシ基をさらに含む、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群より選択され得る。
【0045】
前記任意に置換された第1の脂肪族部分またはZは、以下の構造を有し得る:
【0046】
【化1】
【0047】
ここで、
Qは-CH-、-O-または-NH-であり、
Rは、水素、-OH、任意に置換されたC-Cアルキル、-C(O)OM、-C(O)NR、または任意に置換されたヘテロシクロアルキルであり、
およびRは、それぞれ独立に水素または任意に置換されたC-Cアルキルであり、
MはR、NaまたはKであり、
pは1~6の範囲の整数であり、
nは2~2000の範囲の整数であり、
*は、スペーサー架橋剤の残部と結合する部分を表す。
【0048】
Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであってよい。Rは水素またはメチルであってもよい。
【0049】
Rは、-C(O)OH、-C(O)ONaまたは-C(O)OKであってもよい。
【0050】
前記任意に置換されたヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、Nであってもよい。
【0051】
前記任意に置換されたヘテロシクロアルキルは、ヘテロ原子Nを含んでいてもよく、当該N原子を介して、前記任意に置換された脂肪族部分の残りの部分と結合していてもよい。
【0052】
Rは、2-ピロリドン、3-ピロリドン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、モルホリンおよびジアジンからなる群から選択され得る。
【0053】
Rは、C(O)NRであってもよく、RがC(O)NRである場合、RおよびRは両方とも水素であってもよい。
【0054】
pは、1、2、3、4、5または6の整数であってよい。
【0055】
nは、2~5、2~10、2~20、2~50、20~100、2~200、2~500、2~1000、2~2000、5~10、5~20、5~50、5~100、5~200、5~500、5~1000、5~2000、10~20、10~50、10~100、10~200、10~500、10~1000、10~2000、20~50、20~100、20~200、20~500、20~1000、20~2000、50~100、50~200、50~500、50~1000、50~2000、100~200、100~500、100~1000、100~2000、200~500、200~1000、200~2000、500~1000、500~2000または1000~2000の範囲の整数であってよい、
前記任意に置換された第1の脂肪族部分またはZは、以下の構造を有し得る:
【0056】
【化2】
【0057】
ここで、
Rは、水素、または、任意に置換されたC-Cアルキルであり、
nは2~2000の範囲の整数であり、
*は、スペーサー架橋剤の残部と結合する部分を表す。
【0058】
前記任意に置換された第1の脂肪族分子は、それぞれが2つ以上のヒドロキシ基をさらに含む、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであってもよい。
【0059】
ポリエチレングリコール(PEG)は、両親媒性で、水にも、多様な有機溶媒にも溶解するポリエーテルである。広範囲の分子量のPEGが容易に入手可能である。PEGは無毒であることが判明しており、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。低分散性で両末端に反応性基を有する変性PEGは、使用するPEGの鎖長に応じて、異なる物性を備えるハイドロゲルを調製するための、長い親水性架橋剤として使用することができる。
【0060】
前記2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分またはAは、3つ以上のカルボン酸基を含む第2の分子から誘導されてもよい。この文脈において、「誘導される」とは、前記3つ以上のカルボン酸基を有する第2の分子のカルボン酸基の1つが、式(I)の前記リンカーLの部分を形成するために反応する場合に、前記2つ以上のカルボン酸基を含む第2の部分が形成されることを意味する。
【0061】
前記第2の部分またはAにおける2つ以上のカルボン酸基のうちの2つは、2~6個の原子、2~3個の原子、2~4個の原子、2~5個の原子、3~4個の原子、3~5個の原子、3~6個の原子、4~5個の原子、4~6個の原子または5~6個の原子によって分離されていてもよい。前記2つ以上のカルボン酸基のうちの2つが2~6個の原子で分離されていることにより、前記第2の部分またはAは、スペーサー架橋剤と多糖との間の架橋プロセス中に分子内触媒として作用することができる、環状無水物中間体を形成することができるとの利点を有する。
【0062】
前記3つ以上のカルボン酸基を有する第2の分子は、クエン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、およびベンゾキノンテトラカルボン酸からなる群から選択され得る。
【0063】
前記2つ以上のカルボン酸基からなる第2の部分またはAは、以下からなる群から選択され得る:
【0064】
【化3】
【0065】
ここで、*は、スペーサー架橋剤の残部と結合する部分を表す。
【0066】
Lは、アミド、エステル、酸無水物およびチオエステルからなる群から独立して選択され得る。
【0067】
前記多糖は、デンプン、セルロース、ガラクトマンナン及びアルギン酸からなる群から選択され得る。
【0068】
環境保護の重要性が高まっていることから、最近の関心は、従来の非生分解性高吸水性ポリアクリレートに類似した特性を有する、生分解性材料をベースとする高吸水性ハイドロゲルの開発に集中している。適切な生分解性ポリマーには、アルギン酸、デンプン、セルロース誘導体などの多糖が含まれる。
【0069】
前記多糖は、1つ以上のカルボキシメチル基を含んでいてもよい。
【0070】
前記多糖は、カルボキシルメチルセルロースであってもよい。
【0071】
カルボキシメチルセルロース(CMC)またはセルロースガムは、セルロース骨格を構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシル基の一部に、カルボキシメチル基(-CH-COOH)が結合したセルロース誘導体である。CMCは、セルロースとクロロ酢酸とのアルカリ触媒反応によって合成することができる。この反応後に精製工程を経て、食品、医薬品、歯磨剤(歯磨き粉)などに使用される純粋なCMCが製造される。
【0072】
CMCは、粘度調整剤または増粘剤として食品に使用することができ、アイスクリームを含む様々な製品のエマルジョンを安定化させる。また、歯磨き粉、下剤、ダイエットピル、水性塗料、洗剤、繊維のサイジング、再利用可能なヒートパック、および様々な紙製品など、多くの非食品製品の成分でもある。繊維の主原料が針葉樹パルプかコットンリンターのいずれかであるため、粘度が高く、無毒で、一般的に低刺激性であると考えられている。
【0073】
カルボキシメチルセルロースは、約0.6~約1.0、約0.6~約0.8または約0.8~約1.0の範囲の置換度を有し得る。
【0074】
CMCの機能的特性は、セルロース骨格構造の鎖長およびカルボキシメチル置換基のクラスター化の程度に加えて、セルロース構造の置換度に左右されうる。置換度が約0.6~約1.0の範囲にあると、乳化特性が向上し、酸および塩に対する耐性が向上する。
【0075】
前記多糖は、25℃の1%(wt/wt)水溶液として、約1000cpsより大きい、約2000cpsより大きい、約3000cpsより大きい、約5000cpsより大きい、約7000cpsより大きい、または約10000cpsより大きい粘度を有してもよい。前記多糖は、25℃の1%(wt/wt)水溶液として、約1000cps~約12000cps、約1000cps~約5000cps、約1000cps~約10000cps、約5000cps~約10000cps、約5000cps~約12000cps、または約10000cps~約12000cpsの範囲の粘度を有してもよい。
【0076】
前記多糖の分子量は、10未満、5未満、または2未満の多分散性指数を有してもよい。前記多糖は、約1~約10の範囲の多分散性指数を有してもよい。
【0077】
前記ポリマーは、約0.05mm~約5mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約2mm、約0.1mm~約0.2mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約5mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約1mm、約0.2mm~約2mm、約0.2mm~約5mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約2mm、約0.5mm~約5mm、約1mm~約2mm、約1mm~約5mmまたは約2mm~約5mmの範囲の粒子径を有する粉体の形態であってもよい。
【0078】
上記のように定義されるポリマーは、生分解性であってもよい。上記のように定義されるポリマーは、前記多糖としてのカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシル基で各末端が末端化されたポリエチレングリコール由来の任意に置換された第1の脂肪族部分、およびクエン酸由来の第2の部分を含んでもよい。カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびクエン酸のそれぞれは、独立して生分解性であってもよく、それと同様に、得られるポリマーも生分解性であってよい。
【0079】
本発明においては、上記のように定義されるポリマーと、液体と、を含むハイドロゲルも提供される。
【0080】
前記液体は、水性液体であってもよい。前記液体は、水、緩衝液、胃液、模擬胃液、またはそれらの混合物であってもよい。
【0081】
前記ハイドロゲルは、約500Pa~約10,000Pa、約500Pa~約1000Pa、約500Pa~約2000Pa、約500Pa~約5000Pa、約1000Pa~約2000Pa、約1000Pa~約5000Pa、約1000Pa~約10,000Pa、約2000Pa~約5000Pa、約2000Pa~約10,000Paまたは約5000Pa~約10,000Paの範囲のG’値によって測定されるレオロジー特性を有していてもよい。
【0082】
前記ハイドロゲルは、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも90、または少なくとも100の媒体取り込み比(MUR)を有し得る。前記ハイドロゲルは、約50~約200の範囲の媒体取り込み比を有し得る。
【0083】
前記ハイドロゲルの約70質量%以上、約80質量%以上、または約90質量%以上、または100質量%は、約0.1mm~約2mmのサイズ範囲の粒子の形態の前記ポリマーを含んでもよい。
【0084】
前記ハイドロゲルは、約0.2g/mL~約2.0g/mL、約0.2g/mL~約0.5g/mL、約0.2g/mL~約1.0g/mL、約0.5g/mL~約1.0g/mL、約0.5g/mL~約2.0g/mLまたは約1.0g/mL~約2.0g/mLの範囲のテープ密度(tape density)を有してもよい。
【0085】
前記ハイドロゲルは、約20%(wt/wt)以下、約10%(wt/wt)以下、約5%(wt/wt)以下、約2%(wt/wt)以下または約1%(wt/wt)以下の乾燥減量を有してもよい。前記ハイドロゲルは、約0.1%(wt/wt)から約20%(wt/wt)の範囲の乾燥減量を有してもよい。
【0086】
前記ハイドロゲルは、約500Pa~10000Paの範囲のG’値及び50以上の媒体取り込み比を有してもよく、粒子の形態の前記ポリマーのサンプルについて決定された場合、それによって、当該粒子の80質量%以上が0.1mm~2mmのサイズ範囲にあり、当該粒子が0.5g/mL~1.0g/mLの範囲のテープ密度及び10%(wt/wt)以下の乾燥減量を有する。
【0087】
本発明においては、以下の工程を含む、上記のように定義されるポリマーを形成する方法も提供される:
a)2つ以上のヒドロキシル基を含む任意に置換された第1の脂肪族分子を、3つ以上のカルボン酸基を含む第2の分子と反応させて、スペーサー架橋剤を形成する;および
b)前記スペーサー架橋剤を多糖と架橋させて上記のように定義されるポリマーを形成する。
【0088】
前記反応工程(a)は、ポリマー添加剤をさらに含んでもよい。
【0089】
前記ポリマー添加剤は、前記2つ以上のヒドロキシル基を含む任意に置換された第1の脂肪族分子と、前記3個以上のカルボン酸基を含む第2の分子との混合物に添加して、架橋工程の前にスペーサー架橋剤を形成し、得られるポリマーまたはハイドロゲルが膨潤する速度を増加させるなど、ポリマーまたはハイドロゲルに付加的な特性を付与する親水性分子であってもよい。前記ポリマー添加剤は、少なくとも部分的に前記ポリマーと架橋していてもよい。前記ポリマー添加剤は、前記ポリマーと実質的に架橋していなくてもよい。前記ポリマー添加剤は前記ポリマーと架橋していなくてもよい。
【0090】
前記ポリマーは、上記のように定義されるスペーサー架橋剤で架橋され、上記のように定義されるポリマー添加剤で少なくとも部分的に架橋された、上記のように定義される多糖を含み得る。
【0091】
前記ポリマーは、上記のように定義されるスペーサー架橋剤で架橋された、上記のように定義される多糖を含んでもよい。一方で、上記のように定義される添加剤は、前記ポリマーと架橋されていなくてもよい。
【0092】
前記ポリマー添加剤は可塑剤であってもよい。前記ポリマー添加剤は、ポリエチレングリコール(PEG)のような親水性オリゴマーであってもよい。PEGは親水性が高い傾向があり得る、前記スペーサー架橋剤の絡み合いを妨害し得る、および、単位質量当たりの反応性水酸基の数に影響を与えることなく、前記ポリマー中に容易に添加できるとの利点を有する。
【0093】
上記のように定義される架橋剤を前記ポリマーの架橋反応に使用すると、前記架橋剤同士が絡み合い、前記ポリマーの次元的ネットワークの移動性が制限されることがある。可塑剤のようなポリマー添加剤は、架橋プロセス中での前記架橋剤の絡み合いを防止し、それによって前記ポリマーの次元的ネットワークの高い移動性を確保し、しかして、より良好な膨潤比率を確保することができる。
【0094】
前記親水性オリゴマーは、PEG-100、PEG-200、PEG-400、PEG-1000およびそれらの任意の混合物からなる群から選択され得る。
【0095】
前記反応工程(a)は、触媒をさらに含んでもよい。当該触媒は、アンモニア、硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛およびそれらの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。また、前記触媒はリンを含んでもよい。前記触媒は、リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、または、炭酸水素ナトリウムとリン酸二ナトリウムとの重量比1:1の混合物であってもよい。
【0096】
前記反応工程(a)は、触媒の非存在下で行われてもよい。
【0097】
前記反応工程(a)および架橋工程(b)は、個別に、約80℃~約180℃、約80℃~約100℃、約80℃~約130℃、約80℃~約150℃、約100℃~約130℃、約100℃~約150℃、約100℃~約180℃、約130℃~約150℃、約130℃~約180℃、または約150℃~約180℃の範囲の温度で実施されてもよい。
【0098】
前記架橋工程(b)中の、前記3つ以上のカルボン酸基を含む第2の分子の、前記多糖に対する重量比は、約1:30未満、約1:50未満、約1:100未満、約1:500未満であってもよい。前記3つ以上のカルボン酸基を含む第2の分子の、前記多糖に対する重量比は、約1:30~約1:50、1:30~約1:100、約1:30~約1:500、約1:30~約1:1000、約1:50~約1:100、約1:50~約1:500、約1:50~約1:1000、約1:100~約1:500、約1:100~約1:500、または約1:500~約1:1000であってもよい。
【0099】
前記方法は、前記反応工程(a)と架橋工程(b)との間に、以下の工程(a1)、(a2)および(a3)をさらに含むものであってもよい:
a1)前記スペーサー架橋剤と多糖類とを溶媒中で混合し、均質化された混合物を形成する、
a2)前記均質化された混合物を約40℃~約90℃の範囲の温度で乾燥させて前記溶媒を除去する、および
a3)前記乾燥した均質化された混合物を粉砕して、約0.05mm~約5mmの範囲の粒子径を有する粉末を形成する。
【0100】
前記混合工程a1)は、上記のように定義されるポリマー添加剤をさらに含んでもよい。
【0101】
前記均質化された混合物の乾燥工程は、約40℃~約90℃、約40℃~約60℃又は約60℃~約90℃の範囲の温度で実施されてもよい。
【0102】
乾燥した前記均質化された混合物の粉末は、約0.05mm~約5mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約2mm、約0.1mm~約0.2mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約5mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約1mm、約0.2mm~約2mm、約0.2mm~約5mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約2mm、約0.5mm~約5mm、約1mm~約2mm、約1mm~約5mmまたは約2mm~約5mmの範囲の粒子径を有するものであってもよい。
【0103】
前記方法は、架橋工程(b)の後に、脱イオン水で前記ポリマーを洗浄するステップをさらに含んでもよい。前記ポリマーの洗浄工程は、約2時間~約36時間、約2時間~約6時間、約2時間~約12時間、約2時間~約18時間、約2時間~約24時間、約6時間~約12時間、約6時間~約18時間、約6時間~約24時間、約12時間~約18時間、約12時間~約24時間、約12時間~約36時間、約18時間~約24時間、約18時間~約36時間、または約24時間~約36時間の範囲の継続時間で実施されてもよい。
【0104】
前記洗浄工程中、前記洗浄液(脱イオン水)は、不純物を除去するために、1回、2回、3回、4回または5回交換されてもよい。
【0105】
前記方法は、前記洗浄工程の後に、前記ポリマーを乾燥させる工程をさらに含んでもよい。前記ポリマーの乾燥は、約40℃~約90℃、約40℃~約60℃又は約60℃~約90℃の範囲の温度で実施されてもよい。前記ポリマーの乾燥は、約6時間~約36時間、約6時間~約12時間、約6時間~約18時間、約6時間~約24時間、約12時間~約18時間、約12時間~約24時間、約12時間~約36時間、約18時間~約24時間、約18時間~約36時間、または約24時間~約36時間の範囲の持続時間で実施されてもよい。
【0106】
前記方法は、前記ポリマーの乾燥工程の後に、前記ポリマーを粉砕して、約0.05mm~約5mmの範囲の粒子径を有する粉末を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0107】
前記方法は、前記ポリマーに液体を添加する工程をさらに含んでもよい。
【0108】
前記架橋ポリマーは、液体の存在下ではハイドロゲルであるとみなされ得る。
【0109】
本発明においては、上記のように定義される方法によって得られるポリマーも提供される。
【0110】
本発明においては、ポリマーが液体と接触している場合に、上記のように定義される方法によって得られるハイドロゲルも提供される。
【0111】
本発明においては、上記のように定義されるポリマーまたは上記のように定義されるハイドロゲルと、薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物も提供される。
【0112】
前記ポリマー組成物は、上記のように定義されるポリマー添加剤をさらに含んでもよい。
【0113】
前記ポリマーまたはハイドロゲルは単独で投与することができる。あるいは、前記ポリマーまたはハイドロゲルは、医薬製剤、獣医用製剤、または工業用製剤として投与することができる。前記ポリマーまたはハイドロゲルはまた、薬学的に許容される塩を含む適切な塩として存在し得る。
【0114】
「薬学的に許容される賦形剤」という文言は、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むものを意図するが、これらに限定されない。薬学的な活性物質に対するこれらの媒体および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。従来の媒体または薬剤が、前記ポリマーまたはハイドロゲルと不適合である場合を除き、前記治療組成物並びに治療方法および予防方法におけるそれらの使用が検討される。補助的な活性化合物もまた、組み込まれうる。
【0115】
投与の容易さ及び投与量の均一性のために、非経口組成物を、投与単位形態で処方することが特に有利である。本明細書で使用される「投与単位形態」とは、治療される対象に対する単位投与量として適した、物理的に独立した単位を意味し;所定量のポリマーまたはハイドロゲルを含む各単位は、必要な医薬賦形剤と共同して所望の治療効果を生じるように計算される。有効量の前記ポリマーまたはハイドロゲルが、適切な製薬上許容される賦形剤とともに、許容される投与単位で、便利かつ効果的に投与できるように製剤化され得る。補助活性成分を含有する組成物の場合、前記投与量は、前記成分の通常の投与量および投与方法を参照して決定される。
【0116】
前記賦形剤は、グラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの薬剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびスクロース、ラクトースもしくはサッカリンなどの甘味剤、またはペパーミント、ウインターグリーン油、もしくはチェリー香料などの香料から選択することができるが、これらに限定されない。前記投与単位形態がカプセルである場合、上記の種類の材料に加えて、前記賦形剤は液体の担体を含んでもよい。コーティングとして、あるいは投与単位の物理的形態を改変するために、他の様々な材料が存在してもよい。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルは、シェラック、砂糖、またはその両方でコーティングされてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、類似体、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、染料、ならびにチェリーまたはオレンジ風味などの香料を含むことができる。当然ながら、任意の投与単位形態の調製に使用される材料は、薬学的に純粋であり、使用される量において実質的に無毒であるべきである。さらに、前記アナログは徐放性の調剤薬(preparations)および製剤に組み込まれてもよい。
【0117】
一例において、前記賦形剤は経口投与可能な賦形剤である。
【0118】
本発明においては、上記のように定義されるポリマーまたは上記のように定義されるハイドロゲルを含むカプセルも提供される。
【0119】
各カプセルは、約0.5g~約1g、約0.5g~約0.75g、または約0.75g~約1gの範囲の量で、上記のように定義されるポリマーを含んでもよい。
【0120】
前記カプセルはゼラチン製であってよく、対象への前記ポリマーまたはハイドロゲルの経口投与に使用されてもよい。
【0121】
一例において、前記ポリマーまたはハイドロゲルは経口投与される。前記ポリマーまたはハイドロゲルは、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体とともに経口投与することができる。前記ポリマーまたはハイドロゲルならびに他の成分はまた、硬質または軟質のゼラチンカプセルに封入することもでき、錠剤に圧縮することもでき、または、個人の食事に直接組み入れることもできる。経口治療投与の場合、前記ポリマーまたはハイドロゲルは賦形剤とともに組み込まれることができ、摂取可能な錠剤、頬錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で使用することができる。
【0122】
本発明においては、それを必要とする対象において、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、または慢性特発性便秘を治療する方法、カロリーの摂取を減少させる方法、または血糖コントロールを改善する方法であって、治療有効量の上記のように定義されるポリマー、上記のように定義されるハイドロゲル、または上記のように定義される組成物を被験体に経口投与する工程を含む方法もまた、提供される。
【0123】
本明細書で使用される「治療」という用語は、疾患の状態もしくは症状を改善する、疾患の確立を予防する、または、何らかの方法で疾患もしくは他の望ましくない症状の進行を予防する、妨げる、遅らせる、もしくは逆転させるといった、あらゆる使用を意味する。
【0124】
当業者であれば、前記ポリマーまたはハイドロゲルの、有効かつ無毒な投与量の度合い、および前記ポリマーまたはハイドロゲルが適用される疾患または状態の治療に適した投与パターンを決定することができるであろう。
【0125】
さらに、前記ポリマーまたはハイドロゲルの1日あたりの投与量、規定された日数などの最適な治療方法を、慣例的な治療方針決定試験を使用して確認できることは、当業者には明らかであろう。
【0126】
前記ポリマーまたはハイドロゲルは単独で投与することができる。あるいは、前記ポリマーまたはハイドロゲルは、医薬製剤、獣医用製剤、または工業用製剤として投与され得る。ポリマーまたはハイドロゲルはまた、薬学的に許容される塩を含む適切な塩として存在し得る。
【0127】
一例において、前記ポリマーまたはハイドロゲルは経口投与される。前記ポリマーまたはハイドロゲルは、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体とともに経口投与することができる。前記ポリマーまたはハイドロゲルならびに他の成分はまた、硬質または軟質のゼラチンカプセルに封入することもでき、錠剤に圧縮することもでき、または、個人の食事に直接組み入れることもできる。経口治療投与の場合、前記ポリマーまたはハイドロゲルは賦形剤とともに組み込まれることができ、摂取可能な錠剤、頬錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で使用することができる。
【0128】
投与の容易さ及び投与量の均一性のために、非経口組成物を、投与単位形態で処方することが特に有利である。本明細書で使用される「投与単位形態」とは、治療される対象に対する単位投与量として適した、物理的に独立した単位を意味し;所定量の前記ポリマーまたはハイドロゲルを含む各単位は、必要な医薬賦形剤と共同して所望の治療効果を生じるように計算される。有効量の前記ポリマーまたはハイドロゲルが、適切な製薬上許容される賦形剤とともに、許容される投与単位で、便利かつ効果的に投与できるように製剤化され得る。前記ポリマーまたはハイドロゲルが補助活性成分を含有する場合、前記投与量は、前記成分の通常の投与量および投与方法を参照して決定される。
【0129】
前記投与単位形態は、例えば、ペレット、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ウエハース剤、またはクラッカー剤などの固体形態であってもよく、例えば、溶液、または乳剤などの液体形態であってもよい。
【0130】
固体形態の前記投与単位形態は、薬学的に許容される賦形剤でさらにコーティングされてもよい。前記投与単位形態のコーティングは、流動床装置により、備え付けられたボトムスプレー、トップスプレー、または接線スプレーを使用して実施することができる。前記投与単位形態の流動性、加工性、および他の特性は、前記投与単位形態をコーティングする適切な薬学的に許容される賦形剤の選択;ならびに、スプレー速度および流動化の程度などのプロセス変数を変化させることにより、容易に制御され得る。
【0131】
一例において、前記ポリマーまたはハイドロゲルは、1回用量または複数回用量で投与される。一例において、前記ポリマーまたはハイドロゲルは、1回、2回、3回または4回の用量で投与される。別の例において、前記ポリマーまたはハイドロゲルは、1時間ごと、毎日、1日2回、1日3回、1日4回、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、毎週、隔週、隔月、毎月、またはそれらの組み合わせの間隔で投与され得るか、または投与されるべきであるが、これらに限定されない。
【0132】
通常、効果的な24時間あたりの投与量は、体重1kgあたり約0.001mg~約500mg、体重1kgあたり約0.001mg~約0.01mg、体重1kgあたり約0.001mg~約0.1mg、体重1kgあたり約0.001mg~約1mg、体重1kgあたり約0.001mg~約10mg、体重1kgあたり約0.001mg~約100mg、体重1kgあたり約0.01mg~約500mg;体重1kgあたり約0.01mg~約0.1mg、体重1kgあたり約0.01mg~約1mg、体重1kgあたり約0.01mg~約10mg、体重1kgあたり約0.01mg~約100mg、体重1kgあたり約0.1mg~約500mg;体重1kgあたり約0.1mg~約1mg、体重1kgあたり約0.1mg~約10mg、体重1kgあたり約0.1mg~約100mg/kg体重、約1mg~約500mg/kg体重;約1mg~約10mg/kg体重、約1mg~約100mg/kg体重、約10mg~約500mg/kg体重;約10mg~約100mg/kg体重。より好適には、24時間あたりの有効量は、体重1kgあたり約10mg~約500mg;体重1kgあたり約10mg~約250mg;体重1kgあたり約50mg~約500mg;体重1kgあたり約50mg~約200mg;または体重1kgあたり約50mg~約100mgの範囲である。
【0133】
有効な投与ルーチンは、週1回、週2回、週3回、毎日、1日2回又は1日3回でありえる。
【0134】
有効な投与ルーチンは、1日2回または3回であってもよく、各投与量は、上記のように定義されるように、1、2、3、4または5つの投与単位形態を含んでもよい。
【0135】
各投与量は、約1g~約6g、約1g~約2g、約1g~約3g、約1g~約4g、約1g~約5g、約2g~約3g、約2g~約3g、約2g~約4g、約2g~約5g、約2g~約5g、約2g~約6g、約3g~約4g、約3g~約5g、約3g~約6g、約4g~約5g、約4g~約6g、または約5g~約6gの上記のように定義されるポリマーまたはハイドロゲルを含んでもよい。
【0136】
各投与量は、上記のように定義されるポリマーまたはハイドロゲルを含む、2~8個の投与単位形態、2~3個の投与単位形態、2~4個の投与単位形態、2~5個の投与単位形態、2~6個の投与単位形態、2~7個の投与単位形態、3~4個の投与単位形態、3~5個の投与単位形態、3~6個の投与単位形態、3~7個の投与単位形態、3~8個の投与単位形態、4~5個の投与単位形態、4~6個の投与単位形態、4~7個の投与単位形態、4~8個の投与単位形態、5~6個の投与単位形態、5~7個の投与単位形態、5~8個の投与単位形態、6~7個の投与単位形態、6~8個の投与単位形態、または7~8個の投与単位形態を含み得る。
【0137】
各投与量は、4つの投与単位形態として投与される、約2.24gの上記のように定義されるポリマーまたはハイドロゲルを含んでもよい。カプセルの形態の各投与単位形態は、約0.56gの上記のように定義されるポリマーまたはハイドロゲルを含んでもよい。
【0138】
前記ポリマーまたはハイドロゲルは食事前に投与されてもよい。前記ポリマーまたはハイドロゲルは、食事の約10分~約1時間前、約10分~約20分前、約10分~約30分前、約10分~約45分前、約20分~約30分前、約20分~約45分前、約20分~約1時間前、約30分~約45分前、約30分~約1時間前、または約45分~約1時間前に投与されてもよい。
【0139】
前記ポリマーまたはハイドロゲルは、水とともに投与されてもよい。前記ポリマーまたはハイドロゲルは、約100mL~約700mL、約100mL~約250mL、約100mL~約500mL、約250mL~約500mL、約250mL~約700mLまたは約500mL~約700mLの水とともに投与されてもよい。
【0140】
本発明のポリマーまたはハイドロゲルは、疾患または状態に対する他の既知の治療法と組み合わせて使用することができる。前記ポリマーまたはハイドロゲルを含む活性薬剤の組み合わせは、相乗効果を奏し得る。
【0141】
前記対象は、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘の危険性があるか、またはそれに罹患している動物であり得るが、これらに限定されない。前記対象はさらに、カロリー摂取を減少させるか、または血糖のコントロールを改善する必要があってもよい。一例において、前記動物はヒトである。
【0142】
本発明においては、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘の治療、またはカロリー摂取の低減もしくは血糖のコントロールの改善に使用するための、上記のように定義されるポリマー、上記のように定義されるハイドロゲル、もしくは、上記のように定義される組成物も提供される。
【0143】
本発明においては、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、もしくは慢性特発性便秘の治療、または、カロリー摂取の低減もしくは血糖のコントロールの改善のための医薬の製造における、上記のように定義されるポリマー、上記のように定義されるハイドロゲル、もしくは、上記のように定義される組成物の使用も提供される。
【0144】
本発明においては、上記のように定義されるポリマー、上記のように定義されるハイドロゲル又は上記のように定義される組成物を対象に経口投与する工程を含む、健康な対象の体重を減少させる、または、身体の外観を改善する方法も提供される。
【0145】
前記体重を減少させる方法、または、身体の外観を改善する方法は、純粋に美容的なものであってもよい。
【0146】
前記体重を減少させる方法、または、身体の外観を改善する方法において投与されるポリマー、ハイドロゲルまたは組成物の量は、上記のように定義される肥満を治療する方法において投与されるポリマー、ハイドロゲルまたは組成物の量と同じであってよい。
【0147】
〔図面の簡単な説明〕
添付の図面は、開示された実施形態を図解し、開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、これらの図面は例示のみを目的としたものであり、本発明の限界を定義するものではないことを理解されたい。
【0148】
図1
図1〕は、スペーサー架橋剤および架橋CMCハイドロゲルの調製の合成フローを示す模式図である。(101)はスペーサー架橋剤を調製する反応を示し、(102)は架橋カルボキシメチルセルロースのハイドロゲルを調製する反応を示す。
【0149】
図2
図2〕は、皮膚感作性試験における皮内注射部位の位置を示す模式図である。(202)は頭側端部を示し、(204)は尾側端部を示し、(206)は0.1mL皮内注射部位を示し、(208)は刈り込まれた肩甲骨内の領域を示す。
【0150】
図3
図3〕は、CMCハイドロゲルの実施例と対照例の架橋メカニズムを比較した模式図である。(302)は対照のC-1を形成する反応を示し、(304)は実施例7-13を形成する反応を示し、(306)は対照のC-2を形成する反応を示す。(310)はCMCを示し、(312)はCAを示し、(314)はPEG-CAを示し、(316)はPEGを示す。
【0151】
〔実施例〕
本発明の非限定的な実施例について、具体的な実施例を参照してさらに詳細に説明するが、これらはいかなる意味においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0152】
(材料)
25℃で、1%(wt/wt)の水中での溶液として1,000~2,800cpsの粘度を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩は、AQUALON(登録商標)7H3SF(Ashland Inc.)から入手した。ポリエチレングリコール(PEG、平均分子量200以下、400、1K、2K、4K、8K)はSigma-Aldrich社から購入し、追加の改変を行うことなく使用した。クエン酸(CA)は東京化成工業(TCI)から入手し、追加の改変を行うことなく使用した。次亜リン酸ナトリウム(SHP)、炭酸水素ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム(NaCl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩酸(HCl)などの化学薬品はシグマアルドリッチ社から購入し追加の改変を行うことなく使用した。炭酸水素ナトリウムと、リン酸二ナトリウムとを組み合わせて(重量比1:1)、エステル化のための二重触媒(CAT2)を形成した。特に指定のない限り、すべての実験には抵抗率18.2M ohm-cmの脱イオン(DI)水を使用し、操作は室温(23±2℃)で行った。
【0153】
(特性評価方法)
PEGとCAとのエステル化(計算法A)
スペーサー架橋剤の合成の成功判定には塩基滴定を用いた。工程1の反応後(図1、(101))、得られた溶液3mL(CA100mgに相当)をDI水で50mLに希釈した。フェノールフタレインエタノール(1:100)溶液をこの架橋剤溶液に数滴加えた後、0.1NのNaOHで、当該溶液全体の色が透明からピンク色に変わるまで滴定した。NaOHの消費量を記録し、同量のPEGとCAとを直接混合した対照と比較した。例えば:
・CAの初期投入量は1gに固定され、ここで、COOHの相対濃度は1000/192*3=15.6mmolである;
・PEG200の投入量は0.5gに固定され、ここで、OHの相対濃度は500/200*2=5mmolである;
・PEG400、1000、2000および4000の初期投入量を、それぞれ1g、2.5g、5gおよび10gに固定する;
・理論的には、100%のエステル化は、COOH還元濃度(%)=5/15.6=32%に相当する;
・実際のエステル化度は、実際のCOOH還元濃度を32%で割ることで推定できる。
【0154】
膨潤平衡
媒体取り込みの測定は、乾燥した架橋CMCの粉末状の試料(粒度分布100-1000ミクロン)をさまざまな媒体に30分間浸漬して行った。標準模擬胃液(SGF)は、37%塩酸7mL、NaCl2gおよびペプシン3.2gをDI水に混合することによって調製した。固形分の溶解後、さらに水を追加して、容積を1Lとした。希釈SGF(Di-SGF)は、1部のSGFを8部のDI水と混合することによって調製され、続いて、前記乾燥架橋CMCを含む錠剤/カプセルを用いて、水分を摂取した後の胃液をシミュレートした。
【0155】
Di-SGF中の架橋ハイドロゲルの媒体取り込み比(MUR)を以下のようにして測定した:乾燥したガラス漏斗を支持体上に置き、40gの精製水を当該漏斗に注いだ。前記漏斗の頸部にさらなる液滴が見られなくなったら(約5分)、前記漏斗を空の乾燥したガラスビーカー(ビーカー#1)に入れ、空の装置の重量(W1)を記録するためにこれらを秤の上に置いた。40gのDI-SGF溶液を上記のように調製し、ビーカー#2に入れた。架橋カルボキシメチルセルロースの粉末0.25gを、秤量紙を用いて正確に秤量した。前記のカルボキシメチルセルロース粉末をビーカー#2に加え、マグネチックスターラーで、30分間、渦を発生させないように穏やかに撹拌した。得られた懸濁液から撹拌棒を取り除き、上記の漏斗を支持体の上に置き、当該懸濁液を前記漏斗に注いで、10±1分間、物質を流出させた。流出された物質を含む漏斗を、ビーカー#1内に置き、重量を測定した(W2)。媒体取り込み比(MUR)を、次式に従って算出した:MUR=(W2-W1)/0.25。この測定は3回行われた。
【0156】
機械的強度
ポリマーハイドロゲルの粘弾特性は、以下に示す手順に従って測定した。ハイドロゲルを、上記の膨潤平衡に関するMUR試験の方法に従って新たに調製した。簡潔に述べると、0.25gの架橋カルボキシメチルセルロース粉末を40gのDI-SGF溶液に浸し、30分間撹拌した。膨潤した懸濁液を濾過漏斗に注ぎ、10分間流出させ、得られたハイドロゲルをレオロジー試験のために回収した。
【0157】
小変形振動測定は、直径40mmのペルチェプレート、下部および上部平板(クロスハッチング様式)を備えるレオメーター(TA Discovery HR-30)を用いて実施した。すべての測定は、25℃で、ペルチェセンサーを用い、4mmのギャップで行った。弾性率G’は0.1-50rad/secの周波数範囲で求め、ひずみは0.1%に固定した。ハイドロゲルについて、レオメーターで掃引周波数試験を行い、角周波数10rad/sでの値を測定した。この測定は3回行われた。記録されたG’値は3回の測定値の平均である。
【0158】
(非臨床安全性試験)
調製された時点の高吸水性ポリマー(表2のEx.16)を秤量し、ゼラチンカプセルに注入して、1回使用の、摂取可能な、一時的に空間を占有する医療器具(transiently space-occupying medical device)を形成した。ISO 10993「医療機器の生物学的評価」を参照し、以下の生体適合性および安全性試験がヒト試験前に認定試験所によって評価され、クリアされた:
in vitro細胞毒性試験
L929マウス線維芽細胞は、ATCC(American Type Culture Collection、米国)から入手した。
【0159】
4カプセルのSAP(合計で2.24g含有)を500mLのMEMに溶解し、10mm×10mmのフィルター膜上に広げて、SAP試験試料とした。陰性対照には米国薬局方(USP)の高密度ポリエチレンを用いた。陽性対照には天然ラテックス手袋を用いた。各対照試料は、10mm×10mmの試料として用意した。
【0160】
細胞培養の取り扱いには無菌的手順を用いた。L929細胞を、最小必須培地(MEM)培地(90%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン100U/mL、硫酸ストレプトマイシン100μg/mL)中で、5%COの加湿雰囲気下、37℃で培養した。その後、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む0.25%トリプシンにより消化し、1.0×10cells/mLの懸濁液を得た。この懸濁細胞を、1容器あたり2mLずつ分注した。5%CO、37℃で24時間培養した後、前記の細胞の形態を評価し、単層が十分であったことを確認した。
【0161】
上記の細胞が増殖して単層を形成した後、元の細胞培養培地を廃棄した。次に、2mLの新鮮な培養液を各容器に添加した。上記のSAP試験試料が、前記細胞の表面層の約10分の1を覆うように、当該SAP試験試料を各複製容器の中央の前記細胞層上に配置した。陰性対照と陽性対照の材料についても、同様の方法で複製容器を用意した。各群について、3個の複製を試験した。
【0162】
48時間の培養後、培養皿の底に、前記試験試料の輪郭を永久マーカーでマークし、前記試験試料を除去した。培養液を吸引し、500μLのニュートラルレッド溶液を各プレートに添加し、1時間培養した。ニュートラルレッド溶液を流し出し、2mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた後、各培養液を顕微鏡で観察した。一般的な形態、空胞化、剥離、細胞溶解、および膜の完全性などの変化を、表Aの基準を用いて評価した。
【0163】
【表1】
【0164】
表Aに基づき、数値の程度が2より大きいものを、細胞毒性があるとみなした。
【0165】
(皮膚感作性試験)
上記のSAP試料を、0.9%塩化ナトリウムまたはゴマ油に抽出し、その抽出液について、ISO 10993-10:2010「第10部:刺激性および皮膚感作性に関する試験」に準拠したモルモット最大化試験において、当該SAP試料から抽出された成分が、刺激および皮膚感作を引き起こすかどうかを評価した。
【0166】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物
陰性対照は広西玉源薬業有限公司から入手した0.9%塩化ナトリウム注射液であり、陽性対象は成都愛科達化学試薬有限公司から入手した2,4-ジニトロクロロベンゼン(DNCB)であった。0.9%塩化ナトリウム注射液は、塩化ナトリウムの0.9%水溶液である。
【0167】
無菌条件下で、全体サンプリング法を用いて試料を抽出した。この抽出を行う際に、前記試験試料が吸収する量の抽出ビヒクルを追加した。この抽出は、表Bに示す抽出比(試料:抽出ビヒクル)に従って、密閉不活性容器中で撹拌しながら行われた。前記抽出ビヒクルは、0.9%塩化ナトリウム注射液とした。
【0168】
【表2】
【0169】
前記ビヒクル(前記SAP試料なし)を同様に調製し、対照とした。
【0170】
ゴマ油抽出物
陰性対照は、Ji’an Qingyuan District luyuanxiangliao. Co. Ltdから入手したゴマ油(SO)であり、陽性対照は、成都愛科達化学試薬有限公司から入手した2,4-ジニトロクロロベンゼン(DNCB)であった。
【0171】
無菌条件下で、全体サンプリング法を用いて試料を採取した。抽出は、表Cに示す抽出比(試料:抽出ビヒクル)に従って、密閉不活性容器中で撹拌しながら行った。前記抽出ビヒクルはゴマ油(SO)であった。
【0172】
【表3】
【0173】
前記ビヒクル(前記SAP試料なし)を同様に調製し、対照とした。
【0174】
試験
蘇州実験動物科技有限公司から入手した健康な雄のハートレーモルモット(Cavia Porcellus)を、皮膚感作性の評価に使用した(許可コード:SCXK (SU) 2020-0007)。各動物の初期体重は300~500gであった。これらの動物は健康であり、過去に実験に使用したことはなく、トウモロコシ穂軸の敷料(Suzhou shuangshi laboratory animal feed science Co. Ltd.)で、温度18~26℃、湿度30%~70%、フルスペクトル照明による12時間明暗サイクル下で飼育され、モルモット飼料(蘇州実験動物科技有限公司)を給餌されていた。
【0175】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物またはゴマ油抽出物に基づく各実験にあたり、処置の初日に、15匹のモルモットの体重を測定し、識別した。これらの動物の肩甲背部の毛皮を電気バリカンで除去した。これらの動物は、10匹の動物がSAP試料の抽出物に曝露され、5匹の動物が陰性対照に曝露されるように、グループ分けされた。
【0176】
I.皮内導入第Iフェーズ
図2に示すように、各動物の刈り込まれた肩甲骨内の領域の各注射部位(A、B、およびC)に、0.1mLの皮内注射を、1対ずつ行った。
【0177】
部位A:選択された溶媒と混合したフロイント完全アジュバントの50:50(V/V)安定エマルジョン。
【0178】
部位B:試験試料(原液抽出物):対照動物には溶媒のみを注射した。
【0179】
部位C:フロイント完全アジュバントと、前記の溶媒との50:50(V/V)安定エマルジョン中で乳化された、部位Bで使用した濃度の試験試料;対照動物には、アジュバント入りブランク溶液のエマルジョンを注射した。
【0180】
II.皮内導入第IIフェーズ試験
皮内導入第Iフェーズで達成可能な最大濃度において、刺激は生じなかった。動物たちに、10%ドデシル硫酸塩(溶媒:蒸留水)を局所的導入塗布の24±2時間前に投与した。
【0181】
皮内誘導段階終了後7±1日目に、SAP試料抽出物0.5mLを、皮内注射部位を覆うように、約8cmの面積のパッチ(吸収性ガーゼ中の)を用いて、各動物の肩甲骨内の領域に局所的塗布により投与した。当該パッチを、閉塞性包帯で固定した。これらの包帯およびパッチを、48±2時間後に除去した。対照動物は、ブランク溶液のみを用いて同様に処置された。
【0182】
III.負荷フェーズ
局所的導入フェーズ終了後14±1日目に、すべての試験動物および対照動物にSAP試料が負荷された。SAP試料抽出物および対照試料を染み込ませた吸収性ガーゼ(8cm)を用い、上記導入段階で処置されなかった部位に、0.5mLの試験試料抽出物および対照試料を、局所的塗布により投与した。24±2時間後に包帯およびパッチを除去した。
【0183】
上気の包帯を除去してから24±2時間後および48±2時間後に、試験動物および対照動物の負荷された皮膚部位の外観を観察した。皮膚反応を可視化するためにフルスペクトル照明を使用した。皮膚反応に関する紅斑および浮腫を記載し、MagnussonとKligmanの等級付けに従って等級付けた。
【0184】
(経口感作性試験)
上記のSAP試料を0.9%塩化ナトリウムまたはゴマ油に抽出し、その抽出液について、ISO 10993-10:2010「第10部:刺激性および皮膚感作性に関する試験」に従い、上記SAP試料から抽出された成分が、ハムスターに、刺激および経口感作を引き起こすかどうかを評価した。
【0185】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物
陰性対照は、広西玉源薬業有限公司から入手した0.9%塩化ナトリウム注射液であった。
【0186】
無菌条件下で、全体サンプリング法を用いて試料を抽出した。この抽出を行う際に、前記試験試料が吸収する量の抽出ビヒクルを追加した。この抽出は、表Dに示す抽出比(試料:抽出ビヒクル)に従って、密閉不活性容器中で撹拌しながら行われた。前記抽出ビヒクルは、0.9%塩化ナトリウム注射液とした。
【0187】
【表4】
【0188】
前記ビヒクル(前記SAP試料なし)を同様に調製し、対照とした。
【0189】
ゴマ油抽出物
陰性対照は、Ji’an Qingyuan District luyuanxiangliao. Co. Ltdから入手したゴマ油(SO)であった。
【0190】
無菌条件下で、全体サンプリング法を用いて試料を採取した。この抽出は、表Eに示す抽出比(試料:抽出ビヒクル)に従って、密閉不活性容器中で撹拌しながら行われた。前記抽出ビヒクルはゴマ油(SO)であった。
【0191】
【表5】
【0192】
前記ビヒクル(前記SAP試料なし)を同様に調製し、対照とした。
【0193】
試験
Beijing Vital River Laboratory Animal Technologies Co. Ltd(許可コード:SCXK(JING)2016-0011)から入手した健康な雄のハムスターを、経口感作性の評価に用いた。各動物の初期体重は109~129gであり、健康であり、過去に実験に使用したことはなく、トウモロコシ穂軸(蘇州双石実験動物飼料科学有限公司)の敷料で、温度18~26℃、湿度30%~70%、フルスペクトル照明による12時間明暗サイクル下で飼育され、照射殺菌飼料(蘇州双石実験動物飼料科学有限公司)を給餌されていた。
【0194】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物またはゴマ油抽出物に基づく各実験にあたり、処置の初日に、6匹の動物の体重を測定し、識別した。動物の頬袋を反転させ、0.9%塩化ナトリウム注射液で洗浄し、異常がないか調べた。上記のSAP試料に浸した綿毛ペレットを各動物の片方の頬袋に入れた。もう一方の頬袋には当該試料を入れず、対照とした。暴露時間は5分間であった。曝露後、綿毛ペレットを取り除き、もう一方の頬袋を汚染しないように注意しながら、0.9%塩化ナトリウム注射液で頬袋を洗浄した。この操作を1時間ごとに4時間繰り返した。対照動物については、陰性対照試料のみを用いて同様に処理した。各動物の頬袋の外観を記載し、当該頬袋表面の反応を、紅斑に基づいて等級付けした。
【0195】
最終処置の24±2時間後に、頬袋を巨視的に検査し、ハムスターを、頬袋の代表的な領域から組織サンプルを除去するために、人道的に犠牲にした。組織学的検査用に処理する前に、組織標本を4%ホルムアルデヒドに入れた。固定後、当該標本は切り取られ、包埋、切片化され、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色された。染色された口腔組織に対する刺激作用を微視的に評価した。
【0196】
(急性全身毒性試験)
上記のSAP試料を0.9%塩化ナトリウムまたはゴマ油に抽出し、この抽出液について、ISO 10993-11:2017「第11部:全身毒性試験」に従って、当該SAP試料から抽出された成分がマウスへの注射後に急性全身毒性を引き起こすかどうかを評価した。
【0197】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物
陰性対照は、広西玉源薬業有限公司から入手した0.9%塩化ナトリウム注射液であった。
【0198】
無菌条件下で、全体サンプリング法を用いて試料を採取した。抽出の際には、試験サンプルが吸収する量のビヒクルを追加した。この抽出は、表Fに示す抽出比(試料:抽出ビヒクル)に従って、密閉不活性容器中で撹拌しながら行われた。前記抽出ビヒクルは0.9%塩化ナトリウム注射液であった。
【0199】
【表6】
【0200】
前記ビヒクル(前記SAP試料なし)を同様に調製し、対照とした。
【0201】
ゴマ油抽出物
陰性対照は、Ji’an Qingyuan District luyuanxiangliao. Co. Ltdから入手したゴマ油(SO)であった。
【0202】
無菌条件下で、全体サンプリング法を用いて試料を採取した。この抽出は、表Gに示す抽出比(試料:抽出ビヒクル)に従って、密閉不活性容器中で撹拌しながら行われた。前記抽出ビヒクルはゴマ油(SO)であった。
【0203】
【表7】
【0204】
前記ビヒクル(前記SAP試料なし)を同様に調製し、対照とした。
【0205】
試験
Zhejiang Vital River Laboratory Animal Technology Co. Ltd(許可コード:SCXK(Zhe)2019-0001)から入手した健康な雄のICRマウスを用いて、急性全身毒性を評価した。各動物の初期体重は18~22gであった。これらの動物は健康であり、過去に実験に使用したことはなく、トウモロコシ穂軸の敷料(Suzhou shuangshi laboratory animal feed science Co. Ltd.)で、温度20~26℃、湿度30%~70%、フルスペクトル照明による12時間明暗サイクル下で飼育され、モルモット飼料(蘇州実験動物科技有限公司)を給餌されていた。
【0206】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物またはゴマ油抽出物に基づく各実験にあたり、処置の初日に、10匹のマウスの体重を測定し、識別した。これらの動物は、5匹の動物がSAP試料の抽出物に曝露され、5匹の動物を陰性対照に曝露されるように、グループ分けされた。指定されたマウス群に、試験試料抽出物を50mL/kgの用量で、単回経口投与した。陰性対照を、対照群に同様に投与した。試料の投与後、さらに3時間から4時間は、追加の餌を控えた。
【0207】
注射直後直ちに、これらのマウスについて臨床的副作用が観察され、それから、これらの動物はケージに戻された。これらの動物は、投与後4、24、48および72時間に全身反応の徴候について観察され、投与後3日間毎日体重を測定された。死亡または異常徴候が認められた動物については、肉眼的剖検が行われた。
【0208】
急性全身毒性試験の観察期間中に、試験物抽出物で処置したマウスのいずれもが、対照マウスよりも有意に大きな生物学的反応性を示さなかった場合、SAP試験試料は、急性全身毒性がないという要件を満たしたとみなされた。2匹以上の動物が死亡した場合、2匹以上の動物で痙攣や衰弱などの異常行動が発生した場合、または3匹以上の動物で10%より多い体重減少が発生した場合、SAP試料は、上記の要件を満たしていないとみなされ、急性全身毒性があるとみなされた。
【0209】
(実施例1:合成)
触媒を用いたスペーサー架橋剤の合成(工程1、図1(101))
クエン酸(CA、1g)および触媒(SHPまたはCAT2、0.5g)を10mLのDI水に溶解した。異なる長さのPEGを秤量し、このCA溶液に徐々に加えた。完全に溶解した溶液を、シリコンオイルバスを備えたロータリーエバポレーター(IKA)のフラスコに装入した。前記のロータリーフラスコ内の溶液を100℃で0.5時間加熱した後、前記オイルバスの温度を、ゆっくりと、120℃まで上昇させた。2時間後に、フラスコ内の水分が凝縮することなくすべて蒸発し、フラスコ内に粘性のある黄色いペーストが生じた。室温(RT)まで冷却した後、得られたペーストをDI水でさらに希釈して30mLの試料とし、そこから1.5mLまたは3mL(それぞれ50mgまたは100mgのCAに相当)を、さらなる架橋反応または滴定に使用した。
【0210】
触媒を使用しないスペーサー架橋剤の合成(工程1、図1(101))
クエン酸(CA、1g)を10mLのDI水に溶解し、長さの異なるPEGを秤量してこのCA溶液と混合した。完全に溶解した溶液を、シリコンオイルバスを備えたロータリーエバポレーター(IKA)のフラスコに注入した。前記のロータリーフラスコ内の溶液を100℃で0.5時間加熱した後、前記オイルバスの温度を、ゆっくりと、120℃まで上昇させた。凝縮することなく、2時間後に前記フラスコ内の水分がすべて蒸発し、当該フラスコ内に粘性のある黄色いペーストが生じた。室温まで冷却した後、得られた粘性のペーストをDI水に溶かし、30mLの溶液とし、そこから1.5mLまたは3mL(それぞれ50mgまたは100mgのCAに相当)を、さらなる架橋反応と滴定に使用した。
【0211】
ポリマーを添加しない架橋カルボキシメチルセルロースハイドロゲルの調製(工程2、図1(102))
DI水(400~700mL)を1Lのビーカーに加え、ANGNI電動ミキサーにより60rpmで攪拌した。等量のクエン酸を含むスペーサー架橋剤の溶液(50mgまたは25mgのCAに相当)を前記の水に加えた。次いで、CMC(10g)をこの溶液に添加し、得られた混合物を室温で120rpmで2時間、次いで60rpmで24時間撹拌した。最終的に、ホモジナイズされた溶液を、当該溶液の厚さが2cm未満になるようにステンレストレイに注いだ。このトレイを50℃の対流式オーブン(Lantian)に24時間入れた。当該トレイをオーブンから取り出し、乾燥したCMCシートを反転させ、当該トレイを再びオーブンに入れ、重量変化が観察されなくなるまで、12~24時間、50℃に維持した。
【0212】
このCMCシートを、完全に乾燥させた後、カッティングブレンダー(Philips)を用いて粉砕した。この粒状化された材料を0.1mm~2mmの粒子径にふるい分け、次いでトレイ上に広げ、対流オーブン(Binder)中で、120℃で2時間から4時間架橋した。このようにして得られた架橋ポリマーハイドロゲルについて、未反応の試薬を除去するために、洗浄液を3回交換しながら、4時間から12時間かけてDI水で洗浄した。この洗浄段階により、ハイドロゲルのネットワークの弛緩の増加により、ハイドロゲルの媒体取り込み能力が増加した。洗浄後、このハイドロゲルをトレイに載せ、50℃のオーブン(Lantian)に12~24時間、重量の変化が観察されなくなるまで入れた。乾燥したハイドロゲル凝集体を粉砕し、0.1mmから1mmの粒子径にふるい分けた。以下に記載する実験は、特に断りのない限り、本発明のポリマーをそのまま(さらに加工せずに)使用して行った。一方で、本発明のポリマーをゼラチンカプセルに注入して密封し、さらに生物医学的な研究を行うことも可能である。
【0213】
ポリマー添加剤を用いた架橋カルボキシメチルセルロースハイドロゲルの調製
ポリマー添加剤を用いた架橋カルボキシメチルセルロースハイドロゲルの調製には、ポリマー添加剤を用いない架橋カルボキシメチルセルロースハイドロゲルの調製と同様の手順を用いたが、CMCを添加する前に、PEGオリゴマー(100~300mg)をスペーサー架橋剤およびクエン酸とともに水に添加した。その後の手順については、すべて同様に繰り返した。
【0214】
架橋カルボキシメチルセルロースハイドロゲルの大規模調製
ポリマー添加剤を用いた架橋カルボキシルメチルセルロースハイドロゲルの大規模調製を、以下のように行った:
クエン酸(CA、5g)を50mLのDI水に溶解した。次に、PEG4000(50g)をこのCA溶液に添加した。完全に溶解した溶液をロータリーエバポレーターのフラスコに装入し、98℃で8時間加熱し、得られたペーストをDI水に完全に溶解して200mLのスペーサー架橋剤溶液とした。
【0215】
DI水(6L)を10L容器に加え、60rpmで撹拌した。前記のスペーサー架橋剤溶液(20mL)、CMC(100g)およびPEG200(1g)を添加し、得られた混合物を室温、100rpmで24時間撹拌して均質化された溶液を得た。この均質化された溶液を、ステンレス鋼トレイに注ぎ、当該トレイを80℃の対流式オーブンに24時間入れて、乾燥複合シートを得た。この乾燥複合シートを機械的に粉砕し、約1.0mmのふるいにかけた。ふるい分けられた粒子を100℃で8時間加熱し、架橋ハイドロゲルを得た。
【0216】
(実施例2:スペーサー架橋剤の分析)
表1は、工程1の反応(図1の(101))後のスペーサー架橋剤と、当量の成分を共有結合させずに単に混合してなる、対応する混合対照との滴定の概略を示す。具体的には、PEG-CAは、PEGとCAとが共有結合したスペーサー架橋剤を表し、PEG+CAは、PEGとCAとが単に混合された混合対照を表す。PEGの後に示された数字(200、400、1000、2000)は、当該PEGの分子量を示す。
【0217】
PEGのヒドロキシル基と、CAのカルボン酸基との間でのエステル化が成功したことは、PEGとCAとが単に混合された混合対照と比較して、滴定の間に必要とされた塩基の体積が著しく減少したことによって示された。触媒を含まないPEG200-CAとPEG200+CA(混合対照)を例に上げると、混合対照は、17.2mLの0.1N NaOHを消費しており、これはPEG200を含まない純粋なCA対照とほぼ同じであった。一方、工程1の反応後(図1の(101))、滴定に必要な0.1N NaOHの量は12.0mLに減少した。計算法A(上記のPEGとCAとのエステル化の特性評価法の項に示した)を用いると、PEG200-CAの推定エステル化度は約94%であることがわかった。
【0218】
同様の比較を、触媒を使用した工程1の反応(図1の(101))でも行うことができる。“SHP”または“CAT2”は、スペーサー架橋剤がそれぞれの触媒の存在下で形成されたことを示す。SHPを触媒として使用したPEG200-CA(PEG200-CA:SHP)およびSHPを触媒として使用したPEG400-CA(PEG400-CA:SHP)の場合、エステル化度は、それぞれ約84%および87%であることがわかった。
【0219】
エステル化工程に触媒を使用することが、触媒を使用しない場合よりも効率的であることを証明する明白な証拠は存在しなかった。例えば、SHPを使用したPEG400-CAのエステル化度は86.3%であり、SHPを使用しなかったPEG400-CAのエステル化度は98.7%である。SHPはCAのカルボン酸基間の水素結合を弱め、低温での無水物形成を促進することが知られている。SHPはまた、アモルファス状態のポリカルボン酸による無水物中間体の形成を促進する。二重触媒であるCAT2は、これまでセルロースまたはPEGのエステル化に関与してきたが、CAT2に含まれる炭酸水素ナトリウムが直ちにCAと反応して二酸化炭素の泡を発生させるため、工程1の反応(図1の(101))の定量が困難であった。PEG200+CA+CAT2の混合対照では、13.2mLのNaOHしか消費しなかった。CAT2中のもう1つの成分であるリン酸二ナトリウムは、CAとMcIlvaine緩衝液を形成し、塩基滴定の際に実質的な中和点を著しく乱す可能性がある。従って、計算法A(上記のPEGとCAとのエステル化の特性評価法の項に示した)にPEG200-CA:CAT2を適用すると、表1の(*)で示したように、100%を超えるエステル化の人為的な程度が観察される。
【0220】
【表8】
【0221】
(実施例3:スペーサー架橋剤を用いたCMCハイドロゲルの分析)
得られたPEG-CAスペーサー溶液を、触媒の有無にかかわらず、工程2のCMC架橋工程(図1の(102))に直接使用した。少量の未反応のCAとPEGとは、高温での次の架橋工程に参加することができ、未反応の触媒はハイドロゲルの洗浄工程中に除去することができるため、それ以上の精製は行われなかった。表2は、相対CA/CMCwt%、異なるPEG鎖長のPEG-CA架橋剤、架橋剤の触媒の有無、架橋の温度およびタイミングなど、様々な条件下でのスペーサー架橋剤を用いた架橋CMC(X-CMC)ハイドロゲルの特性をまとめたものである。最も重要な2つのパラメータである吸水率(MUR)と機械的強度(G’)とが、ハイドロゲルの性能を評価するために測定された。表2から、ハイドロゲルの設計と製造に関するいくつかの重要な結論を導き出すことができた。
【0222】
ハイドロゲルMURに対する等価CA/CMC wt%の効果
工程2の反応(図1の(102))では、一定量のCMC(10g)の溶液に、異なる容量のスペーサー架橋剤溶液(例えば、50mgのCAに相当する1.5mLのPEG-CA)を添加することにより、CA/CMCのwt%比を調整し、その後、乾燥および架橋工程を進め、ハイドロゲルを得た。スペーサー架橋剤溶液中の相対CAwt%を1%から0.25%に減少させると、有意な傾向が観察され、ハイドロゲルのMURが<30から>90に増加することがわかった。同様の傾向は、以前に架橋剤として未変性のCAを用いた場合にも観察されていた。CAwt%が低いほど、CAのカルボン酸基とCMCのヒドロキシル基との間で起こる架橋反応が少なくなり、架橋の程度が低くなり、ポリマーネットワークが緩くなる。ハイドロゲルの場合、高分子ネットワークが緩いほど吸水率または膨潤率が高くなる。本発明のPEG-CA架橋剤の分子サイズは、CA分子よりもはるかに大きいが、上記の架橋反応はPEG-CAのカルボン酸末端基とCMC骨格のヒドロキシル基との間でなお進行する。CMC架橋の程度は、PEG-CA架橋体の末端に存在する遊離カルボン酸基から、より正確に推定することができる。CAのカルボン酸基の約3分の1が、工程1のエステル化の過程で消費されるからである(図1の(101))。例えば、1分子の元のCAは3つのCOOH基を持ち、2分子のCAは6つのCOOH基を持つ。エステル化後、1つのPEG-CA架橋剤は、各末端で2つのCAに共有結合したPEGを含み、各PEG-CA架橋剤は、各CA分子上の第3のCOOH基がPEGと共有結合を形成するために反応することから、4つの遊離COOH基のみを有し得る。この点に関して、表1では、架橋プロセスに利用可能な遊離COOH基の量を示す、それぞれの混合物のNaOH滴定量も示している。
【0223】
ハイドロゲルのMURに対する触媒の効果
工程1のエステル化(図1の(101))の結果と同様に、架橋剤溶液に組み込まれた触媒が、ハイドロゲルの有利な特性に寄与したことを示す明確な証拠はなかった。表2の実施例4と7とを比較すると、PEG200-CA(50mgのCAに相当)架橋CMCのMURは、SHPの有無にかかわらず同程度である。同じことがPEG400-CA架橋CMCハイドロゲルにも言える(表2の例6と例8)。これは、経済的および商業的な観点からは、ハイドロゲルの大規模製造に触媒が必要ないことを示している。
【0224】
表2に示されるSHP触媒およびCAT2触媒の実施例の比較、例えば、実施例2と3、または実施例4と5、には、言及する価値がある。これらの実施例で使用された最初のPEG-CA架橋剤が、同じ相対CA wt%を有していたとしても、得られたハイドロゲルの吸光度能力はかなり異なっていた。具体的には、SHPを用いた表2の実施例2のMURは約24であったが、CAT2を用いた表2の実施例3のMURは約52であった。これは、架橋剤溶液中のNaOHの滴定量によって説明できる。上述の炭酸水素ナトリウムとリン酸緩衝液との効果により、PEG-CA架橋剤反応に使用した場合、CAT2に残存するCOOH基が少なくなり、得られるハイドロゲルの架橋密度が低くなるためである。
【0225】
ハイドロゲルのMURおよびG’に対するPEGの効果
PEGのような長い親水性架橋剤を使用すると、架橋剤の一端がCMC鎖と反応し、架橋剤のポリマー鎖の柔軟な性質により、もう一端は動き回ることができ、より遠くに位置する別のCMC鎖と反応する可能性が高くなる。これは、CAのような短い架橋剤を使用した場合の移動性の低さという問題を克服している。したがって、長い親水性架橋剤を用いて達成される、強固でありながら緩いハイドロゲルネットワークにより、高い弾性率と連動した高い吸水率とを持つ傾向がある。
【0226】
この特徴は、表2の実施例によってよく検証されている。同じ相対CA/CMC比のスペーサー架橋剤を使用した実施例11~14は、CAで架橋したC-1対照ハイドロゲルと比較して有意に高いMURおよびG’を示した。
【0227】
さらに、より高い分子量またはより長い鎖長を有するスペーサー架橋剤は、より高いMURを有するハイドロゲルをもたらすことが観察された:PEG2000を用いた表2の実施例14は、約140のMURを有することが示され、一方、PEG200を用いた表2の実施例11は、約90のMURを有することが示された。上述したように、より長い親水性架橋剤を使用すると、ポリマーネットワークが緩くなり、吸水率が高くなる。しかし、架橋剤のPEGの長さとハイドロゲルの弾性率G’との相関は直線的ではない:PEG400を用いた表2の実施例12はG’が約2300であるのに対し、PEG2000を用いた表2の実施例14はG’が約1600であった。表2の実施例11~14のMUR値の比較から、ハイドロゲルの機械的強度は、より敏感で、吸水率とは反対の相関があることがわかる。
【0228】
また、PEG2000+CMC+CAの単純混合物(対照C-2)では、MURは約80であり、G’は約1300であったことに留意すべきである。図3に示すような架橋機構の概略図もまた、特性の違いを明らかにする。対照C-2では、CMC/PEGの水酸基とCA分子のカルボン酸基との間でランダムなエステル化が起こった。CMCポリマー骨格がPEGの末端水酸基に比べてかなり多量のペンダント水酸基を含むことを考慮すると、対照C-2のエステル化反応のほとんどは、CMCとCAとの間で起こり、結果、対照C-1と同様の架橋効果をもたらした。対照C-2では、CMCネットワークに架橋されたPEGはわずかであり、このことによりハイドロゲルのレオロジー特性が変化したと考えられる。
【0229】
【表9】
【0230】
(実施例4:非臨床安全性試験)
調製した高吸水性ポリマー(表2の実施例16)を秤量し、ゼラチンカプセルに注入して、1回使用の、摂取可能な、一時的に空間を占有する医療器具(transiently space-occupying medical device)を形成した。これは、使用中(24時間超、30日未満)に繰り返し長時間接触することから、粘膜接触型医療機器に分類された。ヒト試験前に、以下の生体適合性および安全性試験が認定試験機関により評価され、クリアされた。
【0231】
(試験管内細胞毒性)
in vitroでの細胞毒性は、ISO 10993-5:2009「第5部:in vitro細胞毒性試験」に準拠し、哺乳類細胞培養(L929)直接接触法を用いて評価された。
【0232】
結果を表3および表4に示す。
【0233】
【表10】
【0234】
【表11】
【0235】
試験した条件下では、SAP試料はL929細胞に対して潜在的な毒性を示さなかった。
【0236】
(皮膚感作性)
皮膚感作性試験(0.9%NaClおよびゴマ油抽出物)は、ISO 10993-10:2010「第10部:刺激性および皮膚感作性の試験」に準拠し、モルモット最大化試験を用いて実施した。
【0237】
0.9%塩化ナトリウム注射液抽出物
SAP試料の抽出物を用いたモルモットの皮膚では、皮膚感作反応は認められず、感作陽性率は0%であった。陽性対照群の感作陽性率は100%であった。
【0238】
ゴマ油抽出物
SAP試料の抽出物を用いたモルモットの皮膚では、皮膚感作反応は認められず、感作陽性率は0%であった。陽性対照群の感作陽性率は100%であった。
【0239】
口腔粘膜刺激性
ISO10993-10:2010「第10部:刺激性及び皮膚感作性試験」に準拠し、ハムスターを用いた口腔粘膜刺激性試験(0.9%NaClおよびゴマ油抽出物)を実施した。
【0240】
0.9%塩化ナトリウム注射液エキス
実験の条件下では、SAP試料はハムスターの口腔粘膜に刺激を与える有意な証拠を示さなかった。
【0241】
顕微鏡による病理組織学的評価では、試験群および対照群の口腔粘膜構造において、層状扁平上皮および固有層は正常な状態であった。層状扁平上皮では、各層の細胞は正常で無傷であり、白血球浸潤、血管うっ血および水腫は観察されなかった。試験群および対照群の固有層は正常で無傷であり、白血球浸潤、血管うっ血および浮腫は観察されなかった。試験群および対照群の固有層では、小血管壁の浮腫は認められず、僅かな赤血球による一部の血管の凝固が認められ、周囲の血管に白血球浸潤は認められなかった。唾液腺は試験群、対照群ともに固有層内に確認でき、唾液腺の構造は正常で無傷であり、先端部の肥大は認められず、先端部周囲に白血球浸潤や浮腫は認められなかった。試験群および対照群の口腔粘膜下の骨格筋線維には変形、白血球浸潤および浮腫は観察されなかった。
【0242】
ゴマ油抽出物
実験の条件下では、SAP試料はハムスターの口腔粘膜に刺激を与える有意な証拠を示さなかった。
【0243】
顕微鏡による病理組織学的評価では、試験群および対照群の口腔粘膜構造において、層状扁平上皮および固有層は正常な状態であった。層状扁平上皮では、各層の細胞は正常で無傷であり、白血球浸潤、血管うっ血および水腫は観察されなかった。試験群および対照群の固有層は正常で無傷であり、白血球浸潤、血管うっ血および浮腫は観察されなかった。試験群および対照群の固有層では、小血管壁の浮腫は認められず、僅かな赤血球による一部の血管の凝固が認められ、周囲の血管に白血球浸潤は認められなかった。唾液腺は試験群、対照群ともに固有層内に確認でき、唾液腺の構造は正常で無傷であり、先端部の肥大は認められず、先端部周囲に白血球浸潤や浮腫は認められなかった。試験群および対照群の口腔粘膜下の骨格筋線維には変形、白血球浸潤および浮腫は観察されなかった。
【0244】
急性全身毒性
急性全身毒性試験(0.9%NaClおよびゴマ油抽出物)は、ISO 10993-11:2017「第11部:全身毒性試験」に準拠し、マウスに経口投与する/経口摂取させることにより実施した。
【0245】
0.9%塩化ナトリウム注射液エキス
試験期間中、すべての動物は臨床的に正常であった。体重のデータは許容範囲内であり、試験群と対照群間で同等であった。
【0246】
ゴマ油抽出物
試験期間中、すべての動物は臨床的に正常であった。体重のデータは許容範囲内であり、試験群と対照群間で同等であった。
【0247】
(実施例5:ヒトボランティア試験)
高吸水性ポリマーハイドロゲル(SAP)の、過度の体重および肥満の治療における効率を検証するために、表2の実施例16のSAPを含むカプセル装置を、BMIが約28の、健康だが過体重の中年女性ボランティア2名を用いて試験し、一方にはSAPを、他方にはプラセボを投与した。ボランティアは通常の平均的な混合食を与えられ、12週間にわたって観察された。
【0248】
投与については、ボランティアIは、各食事の少なくとも30分前に、4カプセル(表2の実施例16のSAPを合計2.24g含む)を入れた水500mLを摂取し、ボランティアIIは、4カプセル(食品等級の糖を合計2.24g含む)を入れた水500mLを摂取した。両ボランティアとも、計算上のエネルギー必要量を1日300kcal下回る低カロリー食を処方され、試験期間中は1日30分のウォーキングなど中強度の運動を毎日行うよう指示された。
【0249】
表5に示すように、ボランティアIは、初期体格指数(BMI)が28と同程度であったにもかかわらず、12週間後に、ボランティアIIと比較して有意な体重変化が観察された(それぞれ6.3%及び2.0%)。ボランティアIの体重減少が有意に増加したのは、SAPハイドロゲルが胃空間占有装置として機能し、ボランティアIが容易に食物摂取をコントロールできるようにしたためである。ボランティアIIによって証明されたように、食事コントロールおよび運動のような健康的なライフスタイルはいくらかの助けにはなったが、よりよく認められた-5%の応答率を達成するためには、体重減少効果を高めるための追加の措置が必要であった。
【0250】
研究期間中、機能性便秘に対するSAPの効果を調べるために、ボランティアの排便頻度と生活の質のスコアとを記録した。慢性便秘は、排便回数が少なく、便が硬く、便が出にくいことを特徴とする一般的な疾患である。便秘は従来、サイリウム、ポリエチレングリコール、ビサコジルなどの繊維、浸透圧剤、刺激剤で治療されてきた。
【0251】
表5に示すように、ボランティアIは、SAPカプセルを投与された後、より頻繁で規則的な排便を経験した。生活の質は、修正SF-36健康調査およびImpact of Weight on Quality of Life-Liteを参照して測定した。修正SF-36は8つの領域(身体機能、身体的役割、身体的痛み、一般的健康、活力、社会的機能、感情的役割、精神的健康)を評価し、スコアは0(最も健康状態が悪い)から10(最も健康状態が良い)までであった。調査の結果、調査期間中、ボランティアIはボランティアIIに比べ便秘症状が非常に少なく、これはライフクオリティースコアと一致していた。便秘におけるSAPの機能についての科学的な説明は、その貯水および保水能力によるものである。SAPハイドロゲルは大腸内細菌によって部分的に分解されるため、便秘を改善するのに役立つ水分とセルロース繊維を放出し得る。
【0252】
【表12】
【0253】
(産業への応用)
本発明は、幼児用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用ナプキンなどの個人用の使い捨て衛生用品、地下の電力ケーブルまたは通信ケーブルへの浸透水の遮断、自己修復コンクリート、園芸用保水剤、漏出水または廃液の制御、映画や舞台制作用の人工雪などに利用し得る。
【0254】
本発明はまた、肥満、前糖尿病、糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患、慢性特発性便秘の治療、およびカロリー摂取の低減もしくは血糖のコントロールの改善に使用することができる。また、本発明は、対象の体重を減少する方法、または、身体の外観を改善する方法にも使用することができる。
【0255】
本発明の精神および範囲から逸脱することのない、本発明の様々な他の改変および適合が、前述の開示を読んだ後に当業者に明らかとなることは明らかであり、そのような改変および適合の全てが、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0256】
添付の図面は、開示された実施形態を図解し、開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、これらの図面は例示のみを目的としたものであり、本発明の限界を定義するものではないことを理解されたい。
図1】〔図1〕は、スペーサー架橋剤および架橋CMCハイドロゲルの調製の合成フローを示す模式図である。(101)はスペーサー架橋剤を調製する反応を示し、(102)は架橋カルボキシメチルセルロースのハイドロゲルを調製する反応を示す。
図2】〔図2〕は、皮膚感作性試験における皮内注射部位の位置を示す模式図である。(202)は頭側端部を示し、(204)は尾側端部を示し、(206)は0.1mL皮内注射部位を示し、(208)は刈り込まれた肩甲骨内の領域を示す。
図3】〔図3〕は、CMCハイドロゲルの実施例と対照例の架橋メカニズムを比較した模式図である。(302)は対照のC-1を形成する反応を示し、(304)は実施例7-13を形成する反応を示し、(306)は対照のC-2を形成する反応を示す。(310)はCMCを示し、(312)はCAを示し、(314)はPEG-CAを示し、(316)はPEGを示す。
図1
図2
図3
【国際調査報告】