IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-511161埋め込み型可膨張装置のためのポンプアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】埋め込み型可膨張装置のためのポンプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20240305BHJP
   F04B 43/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F04B43/02 D
F04B43/02 F
F04B43/04 B
A61F2/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558763
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022071294
(87)【国際公開番号】W WO2022204698
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/200,737
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/655,937
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】スミス ノエル
(72)【発明者】
【氏名】マイレ キース アール
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト トーマス アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン ダラー
(72)【発明者】
【氏名】ワチュケ ブライアン ピー
(72)【発明者】
【氏名】シノット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】パーシー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン ブライアン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ノリス ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ギルデア ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マルコス ラランジェイラ エドゥアルド
【テーマコード(参考)】
3H077
4C097
【Fターム(参考)】
3H077AA08
3H077BB03
3H077CC02
3H077CC09
3H077DD06
3H077DD13
3H077EE11
3H077FF04
3H077FF14
3H077FF22
3H077FF23
3H077FF34
3H077FF36
3H077FF57
4C097AA20
4C097BB01
4C097DD09
4C097EE13
(57)【要約】
埋め込み型流体作動式装置が、流体を保持するように構成された流体リザーバと、可膨張部材と、流体リザーバと可膨張部材との間で流体を移送するように構成されたポンプアセンブリとを含むことができる。ポンプアセンブリは、1又は2以上の流体ポンプ及び1又は2以上のバルブを含む。流体作動式装置の流体通路内には、1又は2以上の検知装置を配置することができる。電子制御システムは、1又は2以上の検知装置から受け取られた流体圧測定値及び/又は流体流測定値に基づいてポンプアセンブリの動作を制御することができる。ポンプアセンブリは、圧電ポンプを含むことができる。1又は2以上の検知装置は、流体通路内に配置された1又は2以上の圧力トランスデューサ、圧電素子の撓みを測定する1又は2以上の歪みゲージ、1又は2以上の圧電素子における電圧入力/出力、及び他のタイプの検知装置を含むことができる。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型流体作動式可膨張装置であって、
流体リザーバと、
可膨張部材と、
前記流体リザーバと前記可膨張部材との間で流体を移送するように構成されたポンプアセンブリと、
前記ポンプアセンブリの動作を制御するように構成された電子制御システムと、
前記電子制御システムと通信するように構成された少なくとも1つの圧力検知装置と、
を備え、前記ポンプアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に形成された流体通路内に配置された少なくとも1つのバルブ及び少なくとも1つのポンプと、
前記流体リザーバと流体連通する第1の流体ポートと、
前記可膨張部材と流体連通する第2の流体ポートと、
を含むマニホールドを含む、
ことを特徴とする埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバルブ及び前記少なくとも1つのポンプは、
第1の流体通路内に配置されて前記第1の流体ポートと流体連通する第1のポンプ及び第1のバルブと、
第2の流体通路内に配置されて前記第2の流体ポートと流体連通する第2のポンプ及び第2のバルブと、
を含む、請求項1に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの圧力検知装置は、
前記第1の流体通路内に配置されて、前記第1の流体ポートを通って流れる流体の圧力を測定し、測定された前記圧力を前記電子制御システムに送信するように構成された第1の圧力検知装置と、
前記第2の流体通路内に配置されて、前記第2の流体ポートを通って流れる流体の圧力を測定し、測定された前記圧力を前記電子制御システムに送信するように構成された第2の圧力検知装置と、
を含む、請求項1又は2に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバルブ及び前記少なくとも1つのポンプは二重圧電ポンプを含み、該二重圧電ポンプは、
第1の圧電ポンプと、
第2の圧電ポンプと、
前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプとの間の流体連通を可能にする流体チャネルと、
を含む、請求項1又は3に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項5】
前記第1の圧電ポンプは、
第1のチャンバと、
前記第1のチャンバのエッジ部分に沿って配置されて、前記第1の圧力検知装置又は前記第2の圧力検知装置の少なくとも一方によって検出された流体圧に応答して選択的に電圧を付与されるように構成された第1の圧電ダイアフラムと、
前記第1のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、
前記第1のチャンバと前記流体チャネルとの間の流体連通を選択的に提供する、前記第1のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、
を含み、前記第2の圧電ポンプは、
第2のチャンバと、
前記第2のチャンバのエッジ部分に沿って配置されて、前記第1の圧力検知装置又は前記第2の圧力検知装置の少なくとも一方によって検出された流体圧に応答して選択的に電圧を付与されるように構成された第2の圧電ダイアフラムと、
前記流体チャネルと前記第2のチャンバとの間の流体連通を選択的に提供する、前記第2のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、
前記第2のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、
を含む、請求項4に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項6】
前記二重圧電ポンプのポンピングサイクルは、
前記第2の圧電ダイアフラムの圧力ストロークと協調する前記第1の圧電ダイアフラムの供給ストロークを含む第1段階と、
前記第2の圧電ダイアフラムの供給ストロークと協調する前記第1の圧電ダイアフラムの圧力ストロークを含む第2段階と、
を含む、請求項5に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項7】
前記第1段階において、前記第1の圧電ポンプの前記第1のチェックバルブを通じて前記第1のチャンバに流体が引き込まれ、前記第2の圧電ポンプの前記第2のチェックバルブを通じて前記第2のチャンバから流体が排出され、
前記第2段階において、前記第1の圧電ポンプの前記第2のチェックバルブを通じて前記第1のチャンバから前記流体チャネル内に流体が排出され、前記第2の圧電ポンプの前記第1のチェックバルブを通じて前記流体チャネルから前記第2のチャンバに流体が引き込まれる、請求項6に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項8】
前記マニホールドの前記ハウジングは、射出成形された金属材料で形成され、前記少なくとも1つのポンプ及び前記少なくとも1つのバルブは、前記マニホールドが密閉型マニホールドであるように、前記射出成形された金属材料に定められる密閉流体通路内に配置される、請求項1~7のいずれかに記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項9】
前記ポンプアセンブリはポンプアセンブリハウジングを含み、前記マニホールド及び前記電子制御システムは前記ポンプアセンブリハウジング内に受け入れられている、請求項1~7のいずれかに記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項10】
前記マニホールドは密閉型マニホールドであり、前記ポンプアセンブリハウジング内の前記電子制御システムのコンポーネントは、前記密閉型マニホールドを通って流れる流体から隔離される、請求項9に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの圧力検知装置は、
前記リザーバの流体ポートに近接して配置された第1の圧力検知装置と、
前記可膨張部材の流体ポートに近接して配置された第2の圧力検知装置と、
を含む、請求項1に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項12】
前記第1の圧力検知装置は、
前記リザーバに近接する流体通路内に前記リザーバに面して配置された第1のダイアフラムと、
前記第1のダイアフラムに取り付けられて、前記第1のダイアフラムの撓みを測定し、測定された前記撓みを前記電子制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの第1の歪みゲージと、
を含み、前記第2の圧力検知装置は、
前記可膨張部材の前記流体ポートに近接する流体通路内に前記可膨張部材に面して配置された第2のダイアフラムと、
前記第2のダイアフラムに取り付けられて、前記第2のダイアフラムの撓みを測定し、測定された前記撓みを前記電子制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの第2の歪みゲージと、
を含む、請求項11に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの検知装置は、前記埋め込み型流体作動式可膨張装置の流体通路内に配置された少なくとも1つの圧電素子であって、前記圧電素子に付与された入力電圧レベル及び前記圧電素子において測定された出力電圧レベルに基づいて前記流体通路内の流体圧レベルを検知するように構成された、前記少なくとも1つの圧電素子を含む、請求項1~11のいずれかに記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項14】
前記電子制御システムは、
前記少なくとも1つの検知装置から圧力レベル測定値を受け取り、
受け取られた前記圧力レベル測定値に基づいて制御アルゴリズムを適用し、
適用された前記制御アルゴリズムに従って前記少なくとも1つのバルブ及び前記少なくとも1つのポンプの動作を制御する、
ように構成されたプロセッサを含むプリント基板を含む、請求項1~14のいずれかに記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項15】
前記埋め込み型流体作動式可膨張装置は人工尿道括約筋又は可膨張陰茎プロテーゼである、請求項1~14のいずれかに記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項16】
埋め込み型流体作動式可膨張装置であって、
流体リザーバと、
可膨張部材と、
前記流体リザーバと前記可膨張部材との間で流体を移送するように構成されたポンプアセンブリと、
前記ポンプアセンブリの動作を制御する電子制御システムと、
前記電子制御システムと通信する少なくとも1つの圧力検知装置と、
を備え、前記ポンプアセンブリは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に形成された流体通路内に配置された少なくとも1つのバルブ及び少なくとも1つのポンプと、
前記流体リザーバと流体連通する第1の流体ポートと、
前記可膨張部材と流体連通する第2の流体ポートと、
を含むマニホールドを含む、
ことを特徴とする埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのバルブ及び前記少なくとも1つのポンプは、
第1の流体通路内に配置されて前記第1の流体ポートと流体連通する第1のポンプ及び第1のバルブと、
第2の流体通路内に配置されて前記第2の流体ポートと流体連通する第2のポンプ及び第2のバルブと、
を含む、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの圧力検知装置は、
前記第1の流体通路内に配置されて、前記第1の流体ポートを通って流れる流体の圧力を測定し、測定された前記圧力を前記電子制御システムに送信するように構成された第1の圧力検知装置と、
前記第2の流体通路内に配置されて、前記第2の流体ポートを通って流れる流体の圧力を測定し、測定された前記圧力を前記電子制御システムに送信するように構成された第2の圧力検知装置と、
を含む、請求項17に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバルブ及び前記少なくとも1つのポンプは、二重圧電ポンプ及びバルブマニホールドを形成し、該二重圧電ポンプ及びバルブマニホールドは、
第1の圧電ポンプと、
第2の圧電ポンプと、
前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプとの間の流体連通を可能にする流体チャネルと、
を含む、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項20】
前記第1の圧電ポンプは、
第1のチャンバと、
前記第1のチャンバのエッジ部分に沿って配置されて、前記第1の圧力検知装置又は前記第2の圧力検知装置の少なくとも一方によって検出された流体圧に応答して選択的に電圧を付与されるように構成された第1の圧電ダイアフラムと、
前記第1のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、
前記第1のチャンバと前記流体チャネルとの間の流体連通を選択的に提供する、前記第1のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、
を含み、前記第2の圧電ポンプは、
第2のチャンバと、
前記第2のチャンバのエッジ部分に沿って配置されて、前記第1の圧力検知装置又は前記第2の圧力検知装置の少なくとも一方によって検出された流体圧に応答して選択的に電圧を付与されるように構成された第2の圧電ダイアフラムと、
前記流体チャネルと前記第2のチャンバとの間の流体連通を選択的に提供する、前記第2のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、
前記第2のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、
を含む、請求項19に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項21】
前記二重圧電ポンプのポンピングサイクルは、
前記第2の圧電ダイアフラムの圧力ストロークと協調する前記第1の圧電ダイアフラムの供給ストロークを含む第1段階と、
前記第2の圧電ダイアフラムの供給ストロークと協調する前記第1の圧電ダイアフラムの圧力ストロークを含む第2段階と、
を含む、請求項20に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項22】
前記第1段階において、前記第1の圧電ポンプの前記第1のチェックバルブを通じて前記第1のチャンバに流体が引き込まれ、前記第2の圧電ポンプの前記第2のチェックバルブを通じて前記第2のチャンバから流体が排出され、
前記第2段階において、前記第1の圧電ポンプの前記第2のチェックバルブを通じて前記第1のチャンバから前記流体チャネル内に流体が排出され、前記第2の圧電ポンプの前記第1のチェックバルブを通じて前記流体チャネルから前記第2のチャンバに流体が引き込まれる、請求項21に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項23】
前記マニホールドの前記ハウジングは、射出成形された金属材料で形成され、前記少なくとも1つのポンプ及び前記少なくとも1つのバルブは、前記マニホールドが密閉型マニホールドであるように、前記射出成形された金属材料に定められる密閉流体通路内に配置される、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項24】
前記ポンプアセンブリはポンプアセンブリハウジングを含み、前記マニホールド及び前記電子制御システムは前記ポンプアセンブリハウジング内に受け入れられている、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項25】
前記マニホールドは密閉型マニホールドであり、前記ポンプアセンブリハウジング内の前記電子制御システムのコンポーネントは、前記密閉型マニホールドを通って流れる流体から隔離される、請求項24に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの圧力検知装置は、
前記リザーバの流体ポートに近接して配置された第1の圧力検知装置と、
前記可膨張部材の流体ポートに近接して配置された第2の圧力検知装置と、
を含む、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項27】
前記第1の圧力検知装置は、
前記リザーバに近接する流体通路内に前記リザーバに面して配置された第1のダイアフラムと、
前記第1のダイアフラムに取り付けられて、前記第1のダイアフラムの撓みを測定し、前記測定された撓みを前記電子制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの第1の歪みゲージと、
を含み、前記第2の圧力検知装置は、
前記可膨張部材の前記流体ポートに近接する流体通路内に前記可膨張部材に面して配置された第2のダイアフラムと、
前記第2のダイアフラムに取り付けられて、前記第2のダイアフラムの撓みを測定し、前記測定された撓みを前記電子制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの第2の歪みゲージと、
を含む、請求項26に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの検知装置は、前記埋め込み型流体作動式可膨張装置の流体通路内に配置された少なくとも1つの圧電素子であって、前記圧電素子に付与された入力電圧レベル及び前記圧電素子において測定された出力電圧レベルに基づいて前記流体通路内の流体圧レベルを検知するように構成された、前記少なくとも1つの圧電素子を含む、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項29】
前記電子制御システムは、
前記少なくとも1つの検知装置から圧力レベル測定値を受け取り、
受け取られた前記圧力レベル測定値に基づいて制御アルゴリズムを適用し、
適用された前記制御アルゴリズムに従って前記少なくとも1つのバルブ及び前記少なくとも1つのポンプの動作を制御する、
ように構成されたプロセッサを含むプリント基板を含む、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項30】
前記埋め込み型流体作動式可膨張装置は人工尿道括約筋又は可膨張陰茎プロテーゼである、請求項16に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項31】
埋め込み型流体作動式可膨張装置であって、
流体リザーバと、
可膨張部材と、
ハウジング内に受け入れられて、前記流体リザーバと前記可膨張部材との間で流体を移送するように構成されたポンプアセンブリであって、マニホールドと、前記マニホールド内に受け取られるポンプ及びバルブ装置と、を含む、前記ポンプアセンブリと、
前記ポンプ及びバルブ装置の動作を制御するように構成された電子制御システムと、を備える、ことを特徴とする埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項32】
前記マニホールドは密閉型マニホールドであり、前記電子制御システムは、前記マニホールドを通って流れる流体から隔離された、前記ハウジングの電子部品コンパートメント内に受け入れられている第1の部分を含む、請求項31に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項33】
前記電子制御システムは、前記埋め込み型流体作動式可膨張装置の外部に存在して前記電子制御システムの前記第1の部分と通信するように構成された第2の部分を含み、該第2の部分は、ユーザ入力を受け取り、且つユーザに情報を出力するように構成されている、請求項32に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項34】
前記ポンプ及びバルブ装置は、流体チャネルを介して第2の圧電ポンプと流体連通する第1の圧電ポンプを含む二重圧電ポンプ及びバルブ装置であり、
前記第1の圧電ポンプは、
第1のチャンバと、
前記第1のチャンバのエッジ部分に沿って配置された第1の圧電素子及びダイアフラムと、
前記第1のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、
前記第1のチャンバと前記流体チャネルとの間の流体連通を選択的に提供する、前記第1のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、
を含み、前記第2の圧電ポンプは、
第2のチャンバと、
前記第2のチャンバのエッジ部分に沿って配置された第2の圧電素子及びダイアフラムと、
前記流体チャネルと前記第2のチャンバとの間の流体連通を選択的に提供する、前記第2のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、
前記第2のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、
を含む、請求項31に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【請求項35】
前記電子制御システムは、膨張モードにおいて、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子に交互に電圧入力を付与して、前記二重圧電ポンプを通じて前記流体リザーバから前記可膨張部材に向かう第1の方向に流体が流れるようにするよう構成され、
前記電子制御システムは、収縮モードにおいて、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子に交互に電圧入力を付与して、前記二重圧電ポンプを通じて前記可膨張部材から前記リザーバに向かう第2の方向に流体が流れるようにするよう構成されている、請求項34に記載の埋め込み型流体作動式可膨張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年3月25日に出願された「埋め込み型可膨張装置のためのポンプアセンブリ(PUMP ASSEMBLY FOR AN IMPLANTABLE INFLATABLE DEVICE)」という名称の米国仮特許出願第63/200,737号に対する優先権を主張する2022年3月22日に出願された「埋め込み型可膨張装置のためのポンプアセンブリ」という名称の米国本特許出願第17/655,937号の継続出願であるとともに該本特許出願に対する優先権を主張するものであり、これらの文献の開示はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、2021年3月25日に出願された米国仮特許出願第63/200,737号に対する優先権を主張するものでもあり、この文献の開示はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0003】
本開示は、一般に身体インプラントに関し、具体的にはポンプを含む身体インプラントに関する。
【背景技術】
【0004】
多くの場合、能動的埋め込み型流体作動式可膨張装置は、埋め込み型装置の1又は2以上の流体充填式インプラントコンポーネントの膨張及び収縮を可能にするように埋め込み型装置の異なる部分間の流体流を調整する1又は2以上のポンプを含む。装置の流体通路内に1又は2以上のバルブを配置して、装置の異なる流体充填式インプラントコンポーネントの膨張、収縮、加圧、減圧、作動、非作動などを達成するように流体流を導いて制御することができる。一部の埋め込み型流体作動式可膨張装置では、センサを使用して装置の流体通路内の流体圧及び/又は流体量及び/又は流体流速をモニタすることができる。圧力モニタリング及び流量モニタリングを含む装置内の状態の正確なモニタリングは、装置動作の制御の改善、診断の改善、及び装置の有効性の改善を可能にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある態様によれば、埋め込み型流体作動式可膨張装置が、流体リザーバと、可膨張部材と、流体リザーバと可膨張部材との間で流体を移送するように構成されたポンプ及びバルブアセンブリとを含む。ポンプアセンブリは、ハウジングと、ハウジング内に形成された流体通路内に配置された少なくとも1つのバルブ及び少なくとも1つのポンプと、流体リザーバと流体連通する第1の流体ポートと、可膨張部材と流体連通する第2の流体ポートと、を含むマニホールドを含む。装置は、ポンプ及びバルブアセンブリの動作を制御する電子制御システムと、電子制御システムと通信する少なくとも1つの圧力検知装置とをさらに含む。
【0006】
いくつかの実装では、少なくとも1つのバルブ及び少なくとも1つのポンプが、第1の流体通路内に配置されて第1の流体ポートと流体連通する第1のポンプ及び第1のバルブと、第2の流体通路内に配置されて第2の流体ポートと流体連通する第2のポンプ及び第2のバルブと、を含む。少なくとも1つの圧力検知装置は、第1の流体通路内に配置されて、第1の流体ポートを通って流れる流体の圧力を測定し、測定された圧力を電子制御システムに送信するように構成された第1の圧力検知装置と、第2の流体通路内に配置されて、第2の流体ポートを通って流れる流体の圧力を測定し、測定された圧力を電子制御システムに送信するように構成された第2の圧力検知装置と、を含むことができる。
【0007】
いくつかの実装では、少なくとも1つのバルブ及び少なくとも1つのポンプが、第1の圧電ポンプと、第2の圧電ポンプと、第1の圧電ポンプと第2の圧電ポンプとの間の流体連通を可能にする流体チャネルと、を含む二重圧電ポンプマニホールド構成を含む。第1の圧電ポンプは、第1のチャンバと、第1のチャンバのエッジ部分に沿って配置された第1の圧電ダイアフラムと、第1のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、第1のチャンバと流体チャネルとの間の流体連通を選択的に可能にする、第1のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、を含むことができる。第2の圧電ポンプは、第2のチャンバと、第2のチャンバのエッジ部分に沿って配置された第2の圧電ダイアフラムと、流体チャネルと第2のチャンバとの間の流体連通を選択的に可能にする、第2のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、第2のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、を含むことができる。いくつかの実装では、二重圧電ポンプマニホールド構成のポンピングサイクルが、第2の圧電ダイアフラムの圧力ストロークと協調する第1の圧電ダイアフラムの供給ストロークを含む第1段階と、第2の圧電ダイアフラムの供給ストロークと協調する第1の圧電ダイアフラムの圧力ストロークを含む第2段階と、を含む。いくつかの実装では、第1段階において、第1の圧電ポンプの第1のチェックバルブを通じて第1のチャンバに流体が引き込まれ、第2の圧電ポンプの第2のチェックバルブを通じて第2のチャンバから流体が排出され、第2段階において、第1の圧電ポンプの第2のチェックバルブを通じて第1のチャンバから流体チャネル内に流体が排出され、第2の圧電ポンプの第1のチェックバルブを通じて流体チャネルから第2のチャンバに流体が引き込まれる。
【0008】
いくつかの実装では、マニホールドのハウジングが、射出成形された金属材料及び機械加工された金属材料などで形成され、少なくとも1つのポンプ及び少なくとも1つのバルブは、マニホールドが密閉型マニホールドであるように、射出成形された金属材料に定められる密閉流体通路内に配置される。
【0009】
いくつかの実装では、ポンプアセンブリがポンプアセンブリハウジングを含み、マニホールド及び電子制御システムがポンプアセンブリハウジング内に収容される。マニホールドは密閉型マニホールドであることができ、ポンプアセンブリハウジング内の電子制御システムのコンポーネントは、密閉型マニホールドを通って流れる流体から隔離される。
【0010】
いくつかの実装では、少なくとも1つの圧力検知装置が、リザーバの流体ポートに近接して配置された第1の圧力検知装置と、可膨張部材の流体ポートに近接して配置された第2の圧力検知装置と、を含む。第1の圧力検知装置は、リザーバに近接する流体通路内にリザーバに面して配置された第1のダイアフラムと、第1のダイアフラムに取り付けられて、第1のダイアフラムの撓みを測定し、測定された撓みを電子制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの第1の歪みゲージと、を含むことができる。第2の圧力検知装置は、可膨張部材の流体ポートに近接する流体通路内に可膨張部材に面して配置された第2のダイアフラムと、第2のダイアフラムに取り付けられて、第2のダイアフラムの撓みを測定し、測定された撓みを電子制御システムに送信するように構成された少なくとも1つの第2の歪みゲージと、を含むことができる。
【0011】
いくつかの実装では、少なくとも1つの検知装置が、埋め込み型流体作動式装置の流体通路内に配置されて、圧電素子に付与された入力電圧レベル及び圧電素子において測定された出力電圧レベルに基づいて流体通路内の流体圧レベルを検知するように構成された少なくとも1つの圧電素子を含む。
【0012】
いくつかの実装では、電子制御システムが、少なくとも1つの検知装置から圧力レベル測定値を受け取り、受け取られた圧力レベル測定値に基づいて制御アルゴリズムを適用し、適用された制御アルゴリズムに従って少なくとも1つのバルブ及び少なくとも1つのポンプの動作を制御する、ように構成されたプロセッサを含むプリント基板を含む。
【0013】
いくつかの実装では、埋め込み型流体作動式装置が人工尿道括約筋又は可膨張陰茎プロテーゼである。
【0014】
別の一般的態様では、埋め込み型流体作動式可膨張装置が、流体リザーバと、可膨張部材と、ハウジング内に受け取られて、流体リザーバと可膨張部材との間で流体を移送するように構成されたポンプアセンブリと、電子制御システムとを含む。ポンプアセンブリは、マニホールドと、マニホールド内に収容されるポンプ及びバルブ装置と、を含むことができる。電子制御システムは、ポンプ及びバルブ装置の動作を制御するように構成することができる。
【0015】
いくつかの実装では、マニホールドが密閉型マニホールドであり、電子制御システムが、マニホールドを通って流れる流体から隔離された、ハウジングの電子部品コンパートメント内に受け取られる第1の部分を含む。いくつかの実装では、電子制御システムが、埋め込み型流体作動式可膨張装置の外部に存在して電子制御システムの第1の部分と通信するように構成された第2の部分を含み、第2の部分は、ユーザ入力を受け取ってユーザに情報を出力するように構成される。
【0016】
いくつかの実装では、ポンプ及びバルブ装置が、マニホールド又はハウジング内の流体チャネルを介して第2の圧電ポンプと流体連通する第1の圧電ポンプを含む二重圧電ポンプ及びバルブ構成装置である。第1の圧電ポンプは、第1のチャンバと、第1のチャンバのエッジ部分に沿って配置された第1の圧電素子及びダイアフラムと、第1のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、第1のチャンバと流体チャネルとの間の流体連通を選択的に可能にする、第1のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、を含むことができる。第2の圧電ポンプは、第2のチャンバと、第2のチャンバのエッジ部分に沿って配置された第2の圧電素子及びダイアフラムと、流体チャネルと第2のチャンバとの間の流体連通を選択的に可能にする、第2のチャンバの入口端における第1のチェックバルブと、第2のチャンバの出口端における第2のチェックバルブと、を含むことができる。いくつかの実装では、膨張モードにおいて、電子制御システムが、第1の圧電素子及び第2の圧電素子に交互に電圧入力を付与して、二重圧電ポンプマニホールド構成を通じて流体リザーバから可膨張部材に向かう第1の方向に流体が流れるようにするよう構成され、収縮モードにおいて、電子制御システムが、第1の圧電素子及び第2の圧電素子に交互に電圧入力を付与して、二重圧電ポンプマニホールド構成を通じて可膨張部材からリザーバに向かう第2の方向に流体が流れるようにするよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ある態様による埋め込み型流体作動式可膨張装置のブロック図である。
図2A】ある態様による埋め込み型流体作動式可膨張装置例を示す図である。
図2B】ある態様による埋め込み型流体作動式可膨張装置例を示す図である。
図3】ある態様による埋め込み型流体作動式可膨張装置のポンプアセンブリの流体アーキテクチャの概略図である。
図4A】ある態様によるポンプアセンブリ例のマニホールド例の斜視図である。
図4B】ある態様によるポンプアセンブリ例のマニホールド例の斜視図である。
図5A】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置のポンプアセンブリ例内に取り付けられたマニホールド例の斜視図である。
図5B】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置のポンプアセンブリ例内に取り付けられたマニホールド例の斜視図である。
図6A】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の圧電ポンプ例の動作を概略的に示す図である。
図6B】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の圧電ポンプ例の動作を概略的に示す図である。
図6C】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の圧電ポンプ例の動作を概略的に示す図である。
図7A】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の二重圧電ポンプ及びバルブマニホールド構成例の動作を概略的に示す図である。
図7B】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の二重圧電ポンプ及びバルブマニホールド構成例の動作を概略的に示す図である。
図7C】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の二重圧電ポンプ及びバルブマニホールド構成例の動作を概略的に示す図である。
図8】ある態様による、埋め込み型流体作動式可膨張装置の二重圧電ポンプ及びバルブマニホールド構成例の動作のブロック図である。
図9A】ある態様による、インライン圧力検知装置を含む埋め込み型流体作動式可膨張装置の概略図である。
図9B】ある態様による、インライン圧力検知装置を含む埋め込み型流体作動式可膨張装置の概略図である。
図10A】大気圧の変化が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図10B】大気圧の変化が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図10C】大気圧の変化が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図11A】可膨張部材における衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図11B】可膨張部材における衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図11C】可膨張部材における衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図11D】可膨張部材における衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図12A】リザーバにおける衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図12B】リザーバにおける衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図12C】リザーバにおける衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図12D】リザーバにおける衝動が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図13A】流体通路内の部品故障又は閉塞が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図13B】流体通路内の部品故障又は閉塞が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図13C】流体通路内の部品故障又は閉塞が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図13D】流体通路内の部品故障又は閉塞が埋め込み型流体作動式可膨張装置内の測定圧に及ぼす影響を示すグラフである。
図14A】ダイアフラムの撓みを測定する歪みゲージが取り付けられたダイアフラム例の上面図である。
図14B】ダイアフラムの撓みを測定する歪みゲージが取り付けられたダイアフラム例の側面図である。
図14C】ダイアフラムの撓みを測定する歪みゲージが取り付けられたダイアフラム例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では詳細な実装を開示する。しかしながら、開示する実装は一例にすぎず、様々な形態で具体化することができると理解されたい。従って、本明細書に開示する特定の構造的及び機能的詳細は、限定としてではなく、単に特許請求の範囲の根拠として、またこれらの実装を実質的にあらゆる適切な詳細構造で様々に採用できることを当業者に教示するための代表的根拠として解釈されたい。さらに、本明細書で使用する用語及び表現は限定を意図するものではなく、本開示の理解可能な説明を提供するためのものである。
【0019】
本明細書で使用する「1つの(英文不定冠詞)」という用語は、1又は1よりも多くの、と定義される。本明細書で使用する「別の」という用語は、少なくとも第2の又はそれ以上の、と定義される。本明細書で使用する「含む(including)」及び/又は「有する(having)」という用語は、備える(comprising)(すなわち、オープンな遷移(open transition))、と定義される。本明細書で使用する「結合された(coupled)」又は「移動可能に結合された(moveably coupled)」という用語は、接続された、と定義されるが、必ずしも直接かつ機械的なものである必要はない。
【0020】
一般に、実装は身体インプラントに関する。以下、患者又はユーザという用語は、本開示において開示する医療装置又は方法の恩恵を受ける人物に使用することができる。例えば、患者は、医療装置又は本開示によって医療装置を動作させるための開示する方法が身体に埋め込まれる人物であることができる。
【0021】
図1は、埋め込み型流体作動式可膨張装置例100のブロック図である。図1に示す装置例100は、流体リザーバ102と、可膨張部材104と、流体リザーバ102と可膨張部材104との間で流体を移送するように構成されたポンプアセンブリ106とを含む。いくつかの実装では、装置例100が制御システム108を含む。いくつかの実装では、制御システム108が電子制御システム108である。制御システム108は、ポンプアセンブリ106の様々なコンポーネントの動作のモニタリング及び/又は制御、及び/又は埋め込み型流体作動式可膨張装置100内の1又は2以上の検知装置との通信、及び/又は1又は2以上の外部装置との通信を可能にすることができる。流体リザーバ102、可膨張部材104及びポンプアセンブリ106は、患者の体内に埋め込むことができる。いくつかの実装では、制御システム108がポンプアセンブリ106に結合され、又はポンプアセンブリ106に組み込まれる。いくつかの実装では、制御システム108の少なくとも一部がポンプアセンブリ106から分離又は離間される。いくつかの実装では、制御システム108のいくつかのモジュールがポンプアセンブリ106に結合され、又はポンプアセンブリ106に組み込まれ、制御システム108のいくつかのモジュールがポンプアセンブリ106から分離される。例えば、いくつかの実装では、制御システム108のいくつかのモジュールが、埋め込み型装置100内に含まれる制御システム108の他のモジュールと通信する外部装置に含まれる。いくつかの実装では、ポンプアセンブリ106が電子的に制御される。いくつかの実装では、ポンプアセンブリ106が手動で制御される。
【0022】
いくつかの例では、流体作動式装置100の電子モニタリング及び制御が、患者による装置の制御の改善、患者の快適性の改善、及び患者の安全性の改善を可能にすることができる。いくつかの例では、流体作動式装置100の電子モニタリング及び制御が、医師がさらなる外科的介入を伴わずに装置100の動作を調整する機会を提供することができる。
【0023】
埋め込み型流体作動式装置例100は、複数の異なるタイプの埋め込み型流体作動式装置を表すことができる。例えば、図1に示す装置100は、図2Aに示すような人工尿道括約筋100Aを表すことができる。人工尿道括約筋100Aはポンプアセンブリ106Aを含む。図2A(1)に示す例では、例えば制御システム108Aがポンプアセンブリ106Aの動作を電子的に制御して、リザーバ102Aと可膨張カフ104Aとの間の流体の移送を可能にする。図2Bに示す例では、ポンプアセンブリ106Aを手動で制御することができる。第1の導管103Aは、ポンプアセンブリ106A/制御システム108Aをリザーバ102Aに接続する。第2の導管105Aは、ポンプアセンブリ106A/制御システム108Aを可膨張カフ104Aに接続する。いくつかの例では、図1に示す装置100が、図2Bに示すような可膨張陰茎プロテーゼ100Bを表すことができる。陰茎プロテーゼ例100Bはポンプアセンブリ106Bを含む。図2B(1)に示す例では、例えば制御システム108Bがポンプアセンブリ106Aの動作を電子的に制御して、流体リザーバ102Bと可膨張シリンダ104Bとの間の流体の移送を可能にする。図2B(2)に示す例では、ポンプアセンブリ106Bを手動で制御することができる。第1の導管103Bは、ポンプアセンブリ106B/制御システム108Bをリザーバ102Bに接続する。1又は2以上の第2の導管105Bは、ポンプアセンブリ106A/制御システム108Aを可膨張シリンダ104Bに接続する。本明細書で説明する原理は、効果的な動作のためにポンプアセンブリに依拠して異なる流体充填式インプラントコンポーネント間の流体の移送を可能にして膨張、収縮、加圧、減圧及び非作動などを達成するこれらの及びその他のタイプの埋め込み型流体装置に適用することができる。装置例100A、100Bは、それぞれの装置100A、100Bを通る圧力及び/又は流体流のモニタリング及び制御を可能にする電子制御システム108A、108Bを含むことができる。本明細書で説明する原理は、手動で制御される埋め込み型流体作動式装置にも適用することができる。
【0024】
図1に関して上述したように、ポンプアセンブリは、流体リザーバと可膨張部材との間の移送流体を制御する、ポンプアセンブリの流体回路内に配置された1又は2以上のポンプ及び1又は2以上のバルブを含むことができる。いくつかの例では、(単複の)ポンプ及び/又は(単複の)バルブが電子的に制御される。いくつかの例では、(単複の)ポンプ及び/又は(単複の)バルブが手動で制御される。いくつかの例では、ポンプアセンブリが、流体回路を定める流体チャネルが内部に形成された流体マニホールドを含む。ポンプアセンブリが電子的に駆動及び/又は制御される例では、マニホールドが、漏れ及び/又はガス交換を防ぐように流体流を封じ込めてポンプアセンブリの電子部品から区分化できる密閉型マニホールドであることができる。いくつかの例では、ポンプアセンブリが、流体回路及び/又は可膨張部材内の流体流及び/又は流体圧の比較的正確なモニタリング及び制御を可能にする1又は2以上の圧力検知装置を流体回路内に含む。このように構成された流体回路は、埋め込み型流体作動式装置のコンポーネントの正しい膨張、収縮、加圧、減圧、作動及び非作動を容易にして、患者の安全性及び装置の有効性をもたらすことができる。
【0025】
図3は、ある態様による埋め込み型流体作動式装置の流体アーキテクチャ例の概略図である。図3に示す概略図は1つの配置例にすぎない。埋め込み型流体作動式装置の流体アーキテクチャは、他の配向の流体チャネル、(単複の)バルブ、(単複の)圧力センサ及びその他のコンポーネントを含むこともできる。背圧及び圧力急増などに対応できる流体アーキテクチャは、流体作動式装置100の性能、有効性及び効率を高める。
【0026】
図3に示す流体アーキテクチャ例は、リザーバ102と可膨張部材104との間で流体流を導くチャネルを含む。図3に示す例では、第1の流体チャネルの第1のバルブV1が、第1のポンプ装置P1によって生成された流体の可膨張部材104からリザーバ102への流れを制御する。第2の流体チャネルの第2のバルブV2は、第2のポンプ装置P2によって生成された流体のリザーバ102から可膨張部材104への流れを制御する。図3に示す例では、第1の圧力検知装置S1がリザーバ102の流体圧を検知し、第2の圧力検知装置S2が可膨張部材104の流体圧を検知する。第1及び第2の圧力検知装置S1、S2は、流体チャネル内の流体流及び/又は流体圧のモニタリングを可能にすることができる。図3Aに示す配置では、第1のポンプP1又は第2のポンプP2の一方が作動する一方で第1のポンプP1又は第2のポンプP2の他方は待機モードにあり、通常、第1及び第2のポンプは同時に動作しない。例えば、(第2のポンプP2が待機モードにある状態での)第1のポンプP1の動作は可膨張部材104の収縮を可能にすることができ、(第1のポンプP1が待機モードにある状態での)第2のポンプP2の動作は可膨張部材104の膨張を可能にすることができる。バルブV1、V2は、流体作動式装置の設定状態を維持するように、それぞれの流体チャネルの選択的密閉を可能にすることができる。いくつかの実装では、バルブV1、V2が、流体作動式装置の状態(すなわち、膨張状態と収縮状態との)間の移行を容易にすることができる。例えば、バルブV1、V2によるそれぞれの流体チャネルの選択的密閉は、可膨張部材104の膨張状態又は収縮状態を維持することができる。バルブV1、V2との相互作用(及び装置の流体アーキテクチャを通る流体流の対応する変化)は、流体作動式装置の設定状態を変化させることができる。患者が装置の設定状態の変更を必要として装置の設定状態の必要な変更を開始するまで装置の設定状態を維持するバルブV1、V2は、患者の安全性の強化及び装置の有効性の改善をもたらす。
【0027】
図4A及び図4Bは、埋め込み型流体作動式装置のポンプアセンブリと共に使用されるマニホールド例400の斜視図である。図4Bでは、マニホールド400の内部流体コンポーネント((単複の)バルブ、(単複の)ポンプ及び(単複の)センサなど)の配置が見えるように、マニホールド例400のハウジング410が透明である。図5A及び図5Bは、マニホールド400及び電子制御システム550を含むポンプアセンブリ例500の斜視図である。図5Bでは、ポンプアセンブリ500の内部部品が見えるように、ポンプアセンブリ500のハウジング510の一部を取り外している。
【0028】
マニホールド例400は、図3に示す概略図によって定められる流体回路などの流体アーキテクチャ、又はその他の流体アーキテクチャを採用することができる。マニホールド400の流体アーキテクチャは、(図2A及び図2Bに示す装置例100などの)埋め込み型流体作動式装置内の流体リザーバ102と可膨張部材104との間の制御された流体の移送及びモニタリングを可能にすることができる。
【0029】
マニホールド400は、ハウジング410を含むことができる。ハウジング410内には流体通路を定めることができ、流体通路内には流体コンポーネントが配置される。いくつかの例では、ハウジング410が固体材料片から製造される。いくつかの例では、ハウジング410を射出成形などによって成形することができる。いくつかの例では、ハウジング410が、例えばチタン、鋼鉄又はその他の生体適合性材料などの金属材料で形成される。この結果、ハウジング410内に定められる流体通路内に流体コンポーネントを取り付けて流体通路を密閉することができる。このようにして製造されたマニホールド400/ハウジング410は、マニホールド400を流れる流体及びマニホールド400内に受け取られたコンポーネントがマニホールド400内に収容されるように密閉することができる。流体コンポーネントのうちの1つ又は2つ以上が非生体適合性材料を含む状況では、これらの材料が患者の体内に浸出するのをマニホールド400の密閉性によって防ぐことができ、従って患者の安全性考察を改善することができる。
【0030】
図4Bに示す配置例では、マニホールド400が、第1の流体通路490Aを介して第1のバルブ460Aと流体連通する第1のポンプ450Aと、第2の流体通路490Bを介して第2のバルブ460Bと流体連通する第2のポンプ450Bとを含む。第1のポンプ450A及び第1のバルブ460Aは、マニホールド400から第1の出口ポート430Aを通じて流体作動式装置100のリザーバ102に流体を導くことができる。第2のポンプ450B及び第2のバルブ460Bは、マニホールド400から第2の出口ポート430Bを通じて流体作動式装置100の可膨張部材104に流体を導くことができる。第1の圧力検知装置420Aは、マニホールド400とリザーバ102との間を流れる流体の圧力を検知する。第2の圧力検知装置420Bは、マニホールド400と可膨張部材104との間を流れる流体の圧力を検知する。
【0031】
いくつかの例では、第1のバルブ460A及び/又は第2のバルブ460Bが常開バルブである。第1及び第2のバルブ460A、460Bが常開バルブである配置では、第1のポンプ450Aが動作してマニホールド400からリザーバ102に流体が流れている間、第2のバルブ460Bは閉じるように作動することができる。同様に、第2のポンプ450Bが動作してマニホールド400から可膨張部材104に流体が流れている間、第1のバルブ460Aは閉じるように作動することができる。常開バルブは、例えば流体アーキテクチャ内の欠陥、故障及び閉塞などの場合に可膨張部材104における圧力の緩和を可能にすることなどによって患者の安全性考察を強化することができる。
【0032】
上述したように、いくつかの例では、ポンプアセンブリ500の動作の制御及びモニタリングを行い、及び/又は(単複の)外部装置との通信を可能にするために、ポンプアセンブリ500に制御システムコンポーネントが組み込まれる。例えば、図5A及び図5Bに示すように、ポンプアセンブリ500には、マニホールド400内の流体アーキテクチャ及びコンポーネントと共に電子制御システム550を組み込むことができる。図5Aには、マニホールド400内のコンポーネントの積層配置(stacked arrangement)を示す。図5Bには、マニホールド400内のコンポーネントの垂直配置を示す。電子制御システム550は、例えばプリント基板(PCB)520、電力貯蔵装置530、バッテリ530、及びその他のこのような電子部品を含むことができる。いくつかの例では、PCB520が、処理能力を提供するプロセッサ、メモリ、その他の電子部品及びセンサなどとの通信並びに外部装置との通信を可能にする通信モジュール、及び装置の動作の制御を可能にする制御機能などを含むことができる。いくつかの例では、PCB520が、装置のセンサから受け取られた圧力及び/又は流体流の測定値などの入力の処理、受け取られた入力に対する制御アルゴリズムの適用、及びアルゴリズムの適用に基づく制御機能の出力を可能にする。電子部品は、ポンプアセンブリ500の電子部品コンパートメント540内に受け取ることができる。電子部品は、上述したようなマニホールド400内の流体通路内に受け取られた流体コンポーネントの動作を制御することができ、マニホールド400を通る流れの様々な部分における流体流量及び流体圧などを第1及び第2の圧力検知装置420A、420Bから受け取られた情報に基づいてモニタすることができ、外部装置と通信して流体作動式装置のユーザ制御及びモニタリングなどを可能にすることができる。この種の配置では、密閉型マニホールド400/ハウジング410が、マニホールド400を通って流れる流体を電子部品コンパートメント540内に受け取られた電子部品から隔離することができる。マニホールド400の密閉性は、電子部品コンパートメント内への流体の漏れを防ぐとともに、マニホールド400と電子部品コンパートメントとの間のガス交換を防ぐことができ、従って装置の信頼性、耐久性及び機能性を向上させて患者の安全性考察をさらに改善することができる。
【0033】
上述したように、例えば図2A及び図2Bに関して上述した装置100などの埋め込み型流体作動式装置のポンプアセンブリには1又は2以上の圧力センサを含めることができる。電子的に制御される装置の場合、1又は2以上の圧力センサは、可膨張部材の状態及び可膨張部材に供給される流体の自動調整を可能にすることができる。1又は2以上の圧力センサを含めることで、とりわけ流体通路内の、リザーバに出入りする、及び可膨張部材に出入りする流体流などの流体流の隔離問題及び漏れの問題などに関連する診断能力も改善される。これらのタイプの流れに関連する問題の識別は早期の介入及び是正を可能にする。いくつかの例では、1又は2以上の圧力センサを含めることで、特に身体活動による変動を考慮した可膨張部材内の流体圧の動的制御が可能になる。いくつかの例では、1又は2以上の圧力センサを含めることで、流体流速のモニタリング及び制御が可能になる。いくつかの例では、例えば図2A及び図2Bに関して上述した装置100などの埋め込み型流体作動式装置のポンプアセンブリに含まれる(単複の)圧力センサが、装置サイズ及び電力消費量への影響を最小限に抑えて患者の安全性を保つために、装置を通る流体圧及び/又は流体流のモニタリング及び制御を可能にするように生体適合性材料で形成され、比較的コンパクトで電力効率が高い。
【0034】
いくつかの例では、ポンプアセンブリが、例えば2つの例示的な圧力センサを含む図3に示す流体アーキテクチャのように複数の圧力センサを含む。いくつかの例では、ポンプアセンブリが1つの圧力センサしか含まない。1つの圧力センサしか含まない例では、圧力センサを可膨張部材又はその付近の圧力を測定するように配置することができる。例えば、圧力センサは、可膨張部材内の流体圧、及び/又は可膨張部材に出入りする流体圧及び/又は流体流を測定するように配置することができる。
【0035】
いくつかの例では、電子制御式ポンプアセンブリが、ポンプアセンブリ内の1又は2以上の位置における電流の測定を通じたポンプアセンブリ内の1又は2以上の位置における圧力の測定を可能にすることができる。いくつかの例では、圧電ダイアフラムなどの圧電素子を受動チェックバルブと組み合わせて所望の位置に配置することを通じてこれを達成することができる。圧力の増加又は減少は、圧電素子の変形に影響を与える。圧電ポンプが作動していない間に圧電素子の変形(及び対応する電圧の変化)が検出された場合には電圧の変化が圧力の変化を示し、従って圧電ポンプは圧力センサとして機能することもできる。
【0036】
図6Aに、流体のポンピング及び圧力の検知を可能にすることができる圧電ダイアフラムポンプ装置の流体チャンバ620内に配置された圧電ダイアフラム610を示す。この例では、圧電ダイアフラム610がチャンバ620のエッジ部分に沿って配置され、絶縁性ダイアフラム635に取り付けられたプレート625又は膜625に取り付けられた圧電材料(例えば、圧電セラミックディスク)で形成された単層ディスク615を含む。圧電ダイアフラム610の第1の末端部分に対応する、例えばチャンバ620の入口端などのチャンバ620の第1の側には、チャンバ620を通じた第1の方向への流れを規制する第1のチェックバルブ631が配置される。圧電ダイアフラム610の第2の末端部分に対応する、例えばチャンバ620の出口端などのチャンバ620の第2の側には、チャンバ620を通じた第2の方向への流れを規制する第2のチェックバルブ632が配置される。図6Bに示すように、電圧が付与され又は電圧が増加すると圧電セラミックディスク615が変形し、これに対応して膜625及びダイアフラム635のアップストロークが生じる。この供給ストローク(supply stroke)に対応するディスク615のアップストロークにより、第1のチェックバルブ631を通じて流体がチャンバ620内に引き込まれてチャンバ620を満たす。図6Cに示すように、電圧が解放され又は電圧が減少すると、ディスク615が変形して対応するダウンストロークが生じる。この圧力ストロークに対応するディスク615のダウンストロークにより、第2のチェックバルブ632を通じてチャンバ620から流体が排出される。このポンピングサイクルを繰り返して、チャンバ620の内外に又はチャンバ620を通じて流体をポンピングし続けることができる。
【0037】
図7A図7Cに、二重圧電ポンプ及びバルブマニホールド装置の動作を概略的に示す。具体的には、図7A図7Cには、二重圧電ポンプ及びバルブ装置を通る流体のポンピングサイクルの第1、第2及び第3段階を通じた二重圧電ポンプ及びバルブ装置の動作を示す。
【0038】
図7Aに示す第1段階では、第1のチェックバルブ631A及び第2のチェックバルブ632Aが閉位置にあり、従って流体は第1の圧電ダイアフラム610Aに対応する第1のチャンバ620Aに対して流入又は流出しない。同様に、第1のチェックバルブ631B及び第2のチェックバルブ632Bも閉位置にあり、従って流体は第2の圧電ダイアフラム610Bに対応する第2のチャンバ620Bに対して流入又は流出しない。
【0039】
電圧の付与に応答して、第1の圧電ダイアフラム610Aの圧電セラミックディスク615A及び膜635Aはアップストローク、すなわち供給ストロークを実行し、第2の圧電ダイアフラム610Bの圧電セラミックディスク615B及び膜635Bは、図7Aに示すそれぞれの第1段階の位置から図7Bに示すそれぞれの第2段階の位置へとダウンストローク、すなわち圧力ストロークを実行する。電圧は、例えば上述した流体アーキテクチャに含まれる圧力センサのうちのいずれかによって測定された流体圧及び/又は流体流速に基づいて圧電セラミックディスク615Aに付与することができる。第1の圧電ダイアフラム610Aのアップストロークが実行されると、第1のチャンバ620A内の圧力が減少し、第1のチェックバルブ631Aが開いて流体が第1のチェックバルブ631Aを通じて第1のチャンバ620A内に流入できるようになる一方で、第2のチェックバルブ632Aは閉じた状態を保つ。第2の圧電ダイアフラム610Bのダウンストロークが実行されると、第2のチャンバ620B内の圧力が増加し、第2のチェックバルブ632Bが開いて流体が第2のチャンバ620Bから第2のチェックバルブ632Bを通じて流出できるようになる一方で、第1のチェックバルブ631Bは閉じた状態を保つ。
【0040】
電圧の除去に応答して、第1の圧電ダイアフラム610Aの圧電セラミックディスク615A及び膜635Aはダウンストローク、すなわち圧力ストロークを実行し、第2の圧電ダイアフラム610Bの圧電セラミックディスク615B及び膜635Bは、図7Bに示すそれぞれの第2段階の位置から図7Cに示すそれぞれの第3段階の位置へとアップストローク、すなわち供給ストロークを実行する。圧電セラミックディスク615Aに付与された電圧の除去は、例えば上述した流体アーキテクチャに含まれる圧力センサのうちの1つによって測定された流体圧及び/又は流体流速に基づくことができる。第1の圧電ダイアフラム610Aのダウンストロークが実行されると、第1のチャンバ620A内の圧力が増加し、第1のチェックバルブ631Aが閉じて第2のチェックバルブ632Aが開き、流体が第2のチェックバルブ632Aを通じて第2のチャンバ620Bに向かって流体チャネル内に流入できるようになる。第2の圧電ダイアフラム610Bのアップストロークが実行されると、第2のチャンバ620B内の圧力が減少し、第1のチェックバルブ631Bが開いて流体が第2のチャンバ620B内に流入できるようになる一方で、第2のチェックバルブ632Bは閉じた状態を保つ。
【0041】
従って、図7A図7Cに示す二重圧電ポンプ及びバルブ装置のポンピングサイクルの第1、第2及び第3段階は、第1段階(図7A)から第2段階(図7B)に進む際の第1のチャンバ620A内の流体の再充填及び第2のチャンバ620B内に蓄積した流体の排出、並びに第2段階(図7B)から第3段階(図7C)に進む際の第1のチャンバ620A内の流体の排出及び第2のチャンバ620B内の流体の再充填を示す。
【0042】
図7A図7Cに関して上述した例では、二重圧電ポンプ及びバルブ装置が、各チャンバ620A、620Bを通る流れにそれぞれ関連する第1のチェックバルブ631A、631B及び第2のチェックバルブ632A、632Bを含む。いくつかの実装では、第1のチャンバ620Aの第2のチェックバルブ632A及び第2のチャンバ620Bの第1のチェックバルブ631Bの動作を、図7A図7Cに関して上述した方法と同様の方法で第1のチャンバ620Aと第2のチャンバ620Bとの間の流れを制御できる単一のバルブ(図7A図7Cには図示せず)に置き換えることもできる。
【0043】
いくつかの例では、圧電ダイアフラムポンプの圧力を決定するために電流モード検知法を適用することができる。電流と圧力は線形的に相関するので、ダイアフラムを動かすのに必要な電流の量から圧力を推測することができる。この種の電流モード検知では、上述したような各ポンピングサイクルにおいて、ダイアフラムを動かしてそれぞれのチャンバを満たす/空にするのに必要な電流の量に基づいて圧力を検知することができる。
【0044】
いくつかの例では、圧力を決定するために誘導応答法(induced-response method)を適用することができる。誘導応答法は、(上述したように電気的刺激の付与に応答して動くことに加えて)動きを電圧に変換する圧電材料の能力を利用することができる。圧電材料の電気機械的作動及び応答は交流(AC)信号に関連するため、(例えば、上述したような圧電ダイアフラムポンプにおいて)上述したようにポンプをセンサとして使用すると圧力の変化しか測定することができない。いくつかの例では、1つの流体チャンバへの入力を制御して別の流体チャンバにおける出力を測定することによってこれを克服することができる。図8は、直列に配置された複数のチャンバを有する、図7A図7Cに示す二重圧電ポンプ及びバルブ装置などの二重圧電ポンプマニホールド構成例の概略図である。この配置例では、流体通路によって第1のチャンバ(例えば、第1のチャンバ620A)を第2のチャンバ(例えば、第2のチャンバ620B)に接続することができる。既知の刺激(すなわち、既知の電圧レベル又は既知のパルスレベル)を第1のチャンバに入力して、第2のチャンバにおける出力(電圧レベル又はパルス振幅)を検出する。いくつかの例では、第1のチャンバに付与された既知のパルス入力と、第2のチャンバにおいて測定された結果として得られるパルス出力とに基づいて静圧を決定することができる。
【0045】
上記で確立されるように、本明細書で説明する埋め込み型流体作動式装置の圧力を正確に測定してモニタする能力は、装置の正しい動作と装置の有効性、及び患者の安全の確保に不可欠である。いくつかの状況では、大気圧を特定し、これに応じて装置の動作時及び制御時における校正された大気圧レベルの相違を考慮するように装置の動作を調整できることが必要な場合もある。例えば、上述した装置例100は差圧の原理に基づいて動作する。リザーバ102内の圧力が比較的高い場合には、可膨張部材104内に比較的低い圧力が存在する。同様に、リザーバ102内の圧力が比較的低い場合には、可膨張部材104内に比較的高い圧力が存在する。例えば装置100を海水面で校正した場合には、大気圧の変動(すなわち、海水面の上方又は下方の)が装置100の流体チャネル内の圧力測定及びモニタリングに影響を与え、装置100の動作に影響を与えることがある。装置100内の流体圧、特に装置100内の様々な異なる位置における流体圧を制御することで、大気圧とは無関係に装置100内の圧力をモニタし、装置動作を制御することができる。
【0046】
例えば、大気圧の変化及びスパイクなどを考慮する機構が存在しなければ、大気圧が(校正圧から)増加又は減少した時に、装置100が大気圧のオフセットを考慮するために可膨張部材104に又は逆にリザーバ102に誤って流体をポンピングしてしまうことがある。図9A及び図9Bに、人工尿道括約筋100A及び可膨張陰茎プロテーゼ例100Bの形態の上述した装置例100を示す。装置例100の各々はインライン圧力センサを含む。例えば、リザーバ102の近くに第1のインライン圧力センサ191(191A、191B)が配置され、各装置100の可膨張部材104の近くに第2のインライン圧力センサ192(192A、192B)が配置される。
【0047】
例えば海水面で校正された場合には、第1の圧力センサ191及び第2の圧力センサ192によって提供される圧力測定値に基づいてリザーバ102と可膨張部材104との間のあらゆる圧力差が考慮され、オフセットされ、又は認識される。第1及び第2の圧力センサ191、192は、正しく機能している時には、急激な高度の上昇又は急激な高度の低下に応答して同じ圧力の減少又は増加を受け、従って図10Aのグラフに示すように実質的に一定の圧力レベルを維持するはずである。説明するようなインライン圧力センサを使用すると、第1及び第2の圧力センサ191、192によって採取された測定値が電子制御システム108に送信されてモニタされ、圧力が増加又は減少した場合には、(例えば、装置100の制御システム108のコンポーネントによって適用又は実行される)内部アルゴリズムがこの圧力測定値を使用して差分を考慮し、装置を通じた流体のポンピングを可膨張部材104の正しい膨張/収縮状態が維持されるように適合させることができる。
【0048】
具体的には、図10Bに示すグラフは、高度の上昇に応答してシステム圧力の減少が見られることを示す。上述したような第1及び第2のインライン圧力センサ191、192、及び高度の変化を考慮して圧力レベルを補正する制御アルゴリズムが存在しなければ、圧力の減少が観察されたことによって、装置100が可膨張部材104への流体のポンピングを(誤って)増加させてしまう恐れがある。これによってカフ104Aの過加圧、尿道の損傷、及び/又は装置の故障、或いは意図せぬ可膨張シリンダ104Bの膨張が生じる恐れがある。同様に、図10Cに示すグラフは、高度の低下に応答してシステム圧力の増加が見られることを示す。上述したような第1及び第2のインライン圧力センサ191、192、及び高度の変化を考慮して圧力レベルを補正する制御アルゴリズムが存在しなければ、圧力の増加が観察されたことによって、装置100が可膨張部材104への流体のポンピングを(誤って)減少させ/可膨張部材104を膨張させ、流体を可膨張部材104からリザーバ102に戻してしまう恐れがある。これによって尿道に対するカフ104Aの加圧不足及び患者の漏れ、又は意図せぬ可膨張シリンダ104Bの収縮が生じる恐れがある。
【0049】
図11A図11Dに示すグラフは、例えば運動などの、一時的に可膨張部材104に影響して断続的な圧力のスパイクを引き起こす可能性がある様々な物理的動作に起因して可膨張部材104において見られる単一の突然の衝動又は衝撃の影響を示す。通常の校正された(そして、上述したような衝動が存在しない)条件下では、上述したように、また図11A及び図11Cに示すように、第1及び第2の圧力センサ191、192によって提供される圧力測定値に基づいてリザーバ102と可膨張部材104との間のあらゆる圧力差が考慮され、オフセットされ、又は認識される。さらに、システムは、第1及び第2の圧力センサ191、192のインライン配置に基づいて、このシナリオでは図11Dに示すような突然の圧力スパイクが(可膨張部材104又はその付近の)第2の圧力センサ192のみによって検出され、図11Bに示すように(リザーバ102又はその付近の)第1の圧力センサ191には検出されていないことを検出することができる。この結果、システムは、確立された決定アルゴリズムに基づいて、ポンピング作用を増加又は減少させるアクションを行い、又は何のアクションも行わないことができる。例えば、継続的な圧力モニタリングによって、圧力増加が一定期間にわたって持続せず、図11Dに示すように圧力が予想校正範囲内に戻ることが検出された場合には何のアクションも行われない。これにより、装置100を特定の使用シナリオに比較的素早く適応させると同時に、患者の安全性及び快適性を高めることもできる。
【0050】
図12A図12Dに示すグラフは、例えば転倒などの、一時的にリザーバ102に影響して断続的な圧力のスパイクを引き起こす可能性がある様々な物理的動作に起因してリザーバ102において見られる単一の突然の衝動又は衝撃の影響を示す。通常の校正された(そして、上述したような衝動が存在しない)条件下では、上述したように、また図12A及び図12Cに示すように、第1及び第2の圧力センサ191、192によって提供される圧力測定値に基づいてリザーバ102と可膨張部材104との間のあらゆる圧力差が考慮され、オフセットされ、又は認識される。さらに、システムは、第1及び第2の圧力センサ191、192のインライン配置に基づいて、このシナリオでは図12Bに示すような突然の圧力スパイクが(リザーバ102又はその付近の)第1の圧力センサ191のみによって検出され、図12Bに示すように(可膨張部材104又はその付近の)第2の圧力センサ192には検出されていないことを検出することができる。この結果、システムは、確立された決定アルゴリズムに基づいて、ポンピング作用を増加又は減少させるアクションを行い、又は何のアクションも行わないことができる。例えば、継続的な圧力モニタリングによって、圧力増加が一定期間にわたって持続せず、図12Bに示すように圧力が予想校正範囲内に戻ることが検出された場合には何のアクションも行われない。これにより、装置100を特定の使用シナリオに比較的素早く適応させると同時に、患者の安全性及び快適性を高めることもできる。
【0051】
図13A図13Dに示すグラフは、リザーバ102と可膨張部材104との間で設定圧力値が比較的長期間にわたって異なる又はドリフトする、或いは設定圧力値に到達するまでの時間が顕著に増加する影響を示す。これらの事象は、装置100の流体通路のうちの1つの閉塞、又は装置100の他のタイプの損傷又は誤作動を示すことができ、患者及び/又は医師に是正のための通知を提供することができる。通常動作では、図13A及び図13Cに示すように、第1及び第2のインライン圧力センサ191、192によって測定される圧力レベル間のオフセットは基本的に一定の状態を保つはずである。コンポーネントに故障、漏れ、閉塞又はその他のこのような障害があると、図13B及び図13Dに示すように、装置100内の故障のタイプ及び故障の位置に基づいて圧力の急増又は圧力の減少が発生する。持続的な圧力の減少又は急増が検出された時には、患者及び/又は医師にアラートを発して是正することができ、従って患者の安全性及び快適性を高めることができる。
【0052】
上述したように、図9A及び図9Bに示す例示的なインライン圧力センサ191、192は、埋め込み型流体作動式装置100の流体通路内に配置することができる。いくつかの例では、インライン圧力センサ191、192が、流体通路内に配置されたダイアフラムを含むことができる。例えば、第1の圧力センサ191は、流体通路内に配置されてリザーバ102に面したダイアフラムを含むことができ、第2の圧力センサ192は、流体通路内に配置されて可膨張部材104に面したダイアフラムを含むことができる。ダイアフラムの撓みを検出/測定し、(例えば、電子制御システム108によって実行される)アルゴリズムがダイアフラムの検出された動き又は撓みを圧力に変換することができる。いくつかの例では、ダイアフラム上に配置された歪みゲージがダイアフラムの撓みを測定することができる。図14Aに、ポンプアセンブリ106の流体通路内のダイアフラムに取り付けられた歪みゲージ950の一例を示す。いくつかの例では、ダイアフラムが、例えばチタンなどの生体適合性材料で形成される。いくつかの例では、ダイアフラムが、例えばシリコーン材料及びセラミック材料などの、ダイアフラム上に防湿層を提供すると同時に歪みゲージからの信号の伝達も可能にする弾性材料でコーティングされる。いくつかの例では、装置100が(例えば、電子制御システム108の通信モジュールを介して)外部装置と通信することができる。外部装置との通信は、例えば(必要に応じて内部装置100による圧力の調整を可能にする)大気圧測定値、内部圧力測定値及びアラートなどの情報の交換を可能にすることができる。
【0053】
上述したように、装置100内の(単複の)正常以外の圧力レベルを検出し、(単複の)正常以外の圧力レベルの検出に応答して装置100の動作を適合させる能力は、患者の安全性及び装置の有効性を高める。例えば、図11A図11Dに関して上述したように、圧力のスパイク又は増加が検出されると、装置100はポンピング作用を調整することができる。いくつかの状況では、ポンピング作用を調整する決定が、増加した圧力が観察される持続時間に基づくことができる。例えば、人工尿道括約筋100Aの場合には、カテーテルが挿入されると、特にカテーテルの挿入前にカフ104Aが収縮していない場合には圧力が比較的急速に増加する場合がある。例えば、いくつかの状況では、患者が無能力状態であり、及び/又は埋め込まれた人工尿道括約筋の存在を伝えることができない場合がある。カフ104Aが膨張した状態でカテーテルを挿入すると、装置100A内の圧力が急速に増加し、この圧力はカテーテルが挿入されるにつれて持続し及び/又は増加し続ける。この例では、この種の持続的圧力スパイクが検出されることで、電子制御システム108Aがポンプアセンブリ106Aを作動させてカフ104Aを収縮させ、従ってカフ104Aを開いてカフ104A及び/又は尿道を損なうことなくカテーテルの挿入を可能にすることができる。
【0054】
いくつかの例では、圧力のスパイクが、例えば上述した圧電素子及び圧力トランスデューサなどを含む、装置の流体通路内の圧力センサによって検出される。いくつかの例では、圧力のスパイクが圧電素子内の動的圧力変化に基づいて検出される。上述したように、リザーバ102A及びカフ104Aに面して流体通路に配置されるダイアフラムは、流体圧が変化するにつれて撓む。図14B及び図14Cに、ダイアフラム615の通常状態及び撓んだ状態を示す。上述したようなカテーテルの挿入に応答する動的圧力は、(単複の)歪みゲージ950によって測定可能な電圧変化を発生させる。電圧変化は、カテーテルの挿入に起因する圧力の変化を示す。電子制御システム108は、検出された圧力の変化を処理し、ポンプアセンブリ106を制御して、カフ104Aの収縮/開放を可能にすることができる。
【0055】
本明細書では、説明した実装のいくつかの特徴について説明したが、当業者には多くの修正、置換、変更及び同等物が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本実施形態の範囲に含まれるこのような全ての修正及び変更をカバーするように意図するものであると理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
100B 可膨張陰茎プロテーゼ
102B 流体リザーバ
103B 第1の導管
104B 可膨張シリンダ
105B 第2の導管
106B ポンプアセンブリ
108B 制御システム
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
【国際調査報告】