(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】運動誘発性精神疲労を低減するためのパラキサンチンの使用
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240305BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240305BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20240305BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20240305BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/175
A23L33/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558795
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022022200
(87)【国際公開番号】W WO2022204598
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523360256
【氏名又は名称】ピーエックス・アイエヌジー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ジャガー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】パーピュラ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,カイリン
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB03
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE02
4B018MD07
4B018MD18
4B018MD19
4B018MD45
4B018MD48
4B018MD52
4B018MD66
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
(57)【要約】
約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することによって、ストレス誘発性精神疲労の軽減を必要とする被験体においてストレス誘発性精神疲労を軽減するための組成物および方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、パラキサンチンは、約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する。さらなる態様において、パラキサンチンは、約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する。特定の態様によれば、本開示の方法によって軽減される疲労は、被験体に対する身体的ストレスの結果である。精神疲労をもたらし得る身体的ストレスとしては、限定されるものではないが、激しい運動の期間が挙げられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレス誘発性精神疲労の軽減を必要とする被験体においてストレス誘発性精神疲労を軽減するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ストレスが身体的ストレスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ストレスが心理的ストレスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ストレスが急性ストレスである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ストレスが慢性ストレスである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
組成物がさらに1以上の追加的活性薬剤を含み、該1以上の活性薬剤が、L-テアニン、血流増強剤、酸化窒素刺激剤、L-アルギニン、L-シトルリン、イチョウ葉、コリン、ホスファチジルセリン、クレアチン、オメガ-3脂肪酸、β-アラニン;L-チロシン;N-アセチル-L-チロシン;L-オルニチン;L-オルニチン-L-アスパラギン酸塩;メリッサ・オフィシナリス(レモンバーム);ピロロキノリンキノン;L-タウリン;アルギニンα-ケトグルタル酸塩、およびブルーベリーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
組成物が抗コルチゾール剤をさらに含み、1以上の抗コルチゾール剤が、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物が被験体におけるストレス開始前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組成物がカフェインを包含せず、被験体が、該方法の段階の間はカフェインの消費を控える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ストレッサーによって誘発される精神疲労を予防するための栄養サプリメントであって、約2mg~約800mgのパラキサンチンおよびニュートラシューティカル的に許容しうるその担体を含む、前記栄養サプリメント。
【請求項12】
パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で存在する、請求項11に記載の栄養サプリメント。
【請求項13】
さらに1以上の追加的活性薬剤を含み、該1以上の活性薬剤が、L-テアニン、血流増強剤、酸化窒素刺激剤、L-アルギニン、L-シトルリン、イチョウ葉、コリン、ホスファチジルセリン、クレアチン、オメガ-3脂肪酸、β-アラニン;L-チロシン;N-アセチル-L-チロシン;L-オルニチン;L-オルニチン-L-アスパラギン酸塩;メリッサ・オフィシナリス(レモンバーム);ピロロキノリンキノン;L-タウリン;アルギニンα-ケトグルタル酸塩、およびブルーベリーから選択される、請求項12に記載の栄養サプリメント。
【請求項14】
さらに抗コルチゾール剤を含み、該抗コルチゾール剤が、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンのうちの1以上である、請求項11に記載の栄養サプリメント。
【請求項15】
ストレス回復力の増強を必要とする被験体においてストレス回復力を増強する方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
【請求項16】
被験体への組成物の投与が運動誘発性ストレスの回復力を増大させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
被験体への組成物の投与が、心理学的に誘発されるストレスの回復力を増大させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被験体への組成物の投与が被験体におけるBDNFレベルを上昇させる、請求項15に記載の方法であって、BDNFレベルが約5%~約40%上昇する、前記方法。
【請求項19】
被験体への組成物の投与が、被験体におけるカタラーゼおよび/またはグルタチオンのレベルを上昇させる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ストレスに対する回復力の増大が、うつ病、大うつ病性障害(MDD)、不安障害、パニック障害(挿間性発作性不安)、パニック発作、強迫性障害、社会不安障害、恐怖症性不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、強迫性障害、高血圧、および炎症性腸症候群から選択されるストレス関連障害に対する被験体の感受性を低下させる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(1以上)の相互参照
[001]本出願は、2021年3月26日に出願された「THE USE OF PARAXANTHINE TO REDUCE EXERCISE-INDUCED MENTAL FATIGUE,」と題する米国仮出願第63/166494号の優先権を主張するものであり、該仮出願を、35 U.S.C. §119(e)の下で全体として参照により本明細書に援用する。
技術分野
[002]開示する技術は一般に、ストレス誘発性精神疲労を軽減するためにパラキサンチンを単独および組み合わせで使用するための組成物、方法およびシステムに関する。より詳細には、本開示は、合成的に生成されるか天然源に由来するかにかかわらず、パラキサンチンおよび他の化合物、ならびに、生理学的利益を提供するためのこれらの化合物の使用に関し、該生理学的利益は、パラキサンチン濃度ならびに相乗剤およびアンタゴニストの存在に応じて変動する可能性がある。
【背景技術】
【0002】
[003]カフェインは、コーヒー、茶、栄養ドリンクおよびコーラを含む多くの飲料のほか、ココアまたはチョコレートを含有する製品中に見出される。それはまた、疲労を低減することを目的としたサプリメントを含む、医薬品および食物サプリメント(dietary supplement)にも見出される。しかしながら、望ましくない副作用、身体的許容度、および高用量毒性によって、より長期間の身体的労作または精神的ストレスの精神疲労に対する影響に対抗する点でのカフェインの有用性は制限される。
【0003】
[004]したがって、疲労の軽減において利益を提供し得る代替的な化合物およびその混合物を識別することが、当技術分野において必要とされている。また、さまざまな利益を提供するために使用することができる化合物およびその混合物であって、該利益が濃度によって変動し、したがって製造が必要な材料がより少ない、前記化合物およびその混合物を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【0004】
[005]約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することによって、ストレス誘発性精神疲労の軽減を必要とする被験体においてストレス誘発性精神疲労を軽減するための組成物および方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、パラキサンチンは、約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する。さらなる態様において、パラキサンチンは、約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する。
【0005】
[006]特定の態様によれば、本開示の方法によって軽減される疲労は、被験体に対する身体的ストレスの結果である。精神疲労をもたらし得る身体的ストレスとしては、限定されるものではないが、激しい運動の期間が挙げられる。
【0006】
[007]さらなる態様によれば、本開示の方法によって軽減される疲労は、心理的ストレスの結果である。特定の実施形態において、心理的ストレスは、時間が限定されている試験など、激しく認知的要求の厳しい任務の期間の結果である。さらなる態様において、心理的ストレスは、激しい感情(例えば、心的外傷)の期間の結果である。
【0007】
[008]さらに、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することによって、ストレス回復力の増強を必要とする被験体においてストレス回復力を増強する方法を、本明細書に開示する。特定の態様において、被験体への組成物の投与は、運動誘発性ストレスの回復力を増大させる。さらなる態様において、被験体への組成物は、心理学的に誘発されるストレスの回復力を増大させる。特定の態様において、被験体への組成物の投与は、被験体におけるBDNFレベルを上昇させ、BDNFレベルは約5%~約40%上昇する。
【0008】
[009]複数の態様を開示するが、本開示のさらに他の態様は、開示する組成物、システムおよび方法の例示的態様を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。理解されるように、開示する組成物、システムおよび方法は、すべて本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な観点で修正することができる。したがって、図面および詳細な説明は、事実上の例示であって、それらに限定されると見なすべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[010]
図1は、特定の態様による実験設計の略図を示す。
【
図2】[011]
図2は、特定の態様による、開示する組成物の投与によるBCSTパフォーマンスの変化を表すデータを示す。
【
図3】[012]
図3は、特定の態様による、開示する組成物の投与によるPVTTパフォーマンスの変化を表すデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[013] 本発明の少なくとも1つの態様について説明する前に、本発明が、その出願において、構成の詳細、および以下の説明に記載するかまたは図面に例示する構成要素の配列に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の形態が可能であり、さまざまな方法で実施および実行することができる。また、本明細書で採用される表現および専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定とみなすべきではないことを理解されたい。
【0011】
[014]本明細書では、範囲を、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値までとして表すことができる。そのような範囲が表される場合、さらなる観点は、1つの特定値から、および/または他の特定値までを包含する。同様に、先行詞「約」の使用によって値が近似値として表される場合、特定の値はさらなる観点を形成することが理解されよう。さらに、範囲のそれぞれの端点は、もう一方の端点との関連において重要な意味があり、且つ、もう一方の点とは独立した意味を有していることが理解されよう。また、本明細書にはいくつかの値が開示されており、各値は、その値自体に加えて、「約」その特定値として本明細書に開示されていることも理解される。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」も開示されている。また、2つの特定構成単位の間の各構成単位も開示されていると理解される。例えば、「10」と「15」が開示されている場合、11、12、13および14もすべて開示されている。
【0012】
[015]本明細書で使用される場合、「被験体」という用語は、投与の標的、例えば、動物をさす。したがって、本明細書に開示される方法の被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であることができる。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、成体および新生児の被験体、ならびに胎児は、雄性であるか雌性であるかにかかわらず、包含されることが意図される。一観点において、被験体は哺乳類である。患者は、疾患または障害に罹患している被験体をさす。
【0013】
[016]本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、疾患、病理学的状態または障害を治癒、改善、安定化または予防する意図での患者の医学的管理をさす。この用語は、積極的治療、すなわち、特に疾患、病理学的状態または障害の改善を目的とする治療を包含するほか、原因療法、すなわち、関連する疾患、病理学的状態または障害の原因の除去を目的とする治療も包含する。これに加えて、この用語は、待期的療法、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の治癒ではなく症状の緩和のために設計された治療;予防的治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態または障害の発症を最小限にするか、部分的もしくは完全に阻害することを目的とする治療;および、支持療法、すなわち、関連する疾患、病理学的状態または障害の改善を目的とする他の特異的治療を補うために用いられる治療を包含する。さまざまな観点において、この用語は、哺乳類(例えば、ヒト)を含む被験体の任意の治療を包含し、(i)疾患に罹りやすいが、まだ罹患したと診断されていない被験体において疾患が生じるのを予防すること;(ii)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を抑えること;または(iii)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行をもたらすことを含む。一観点において、被験体は霊長類などの哺乳類であり、さらなる観点において、被験体はヒトである。「被験体」という用語はまた、飼い慣らされた動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、および実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエなど)を包含する。
【0014】
[017]本明細書で使用される場合、「有効量(effective amount)」および「有効な量(amount effective)」という用語は、望ましい結果を達成するのに十分な量、または望ましくない状態に対し効果を有するのに十分な量をさす。例えば、「治療的有効量」は、望ましい治療結果を達成するのに十分な量、または望ましくない症状に対して効果を有するのに十分であるが、一般に許容できない有害な副作用を引き起こすのには不十分な量をさす。任意の特定の患者のための特定の治療的に有効な用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;採用される特定の組成物;被験体の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事;投与時間;投与経路;採用される特定の化合物の排泄率;治療期間;採用される特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物、および医学分野で周知の同様の因子を含む、さまざまな因子に依存する。例えば、望ましい効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、望ましい効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当技術分野の範囲内である。必要に応じて、有効1日用量を、投与の目的のために複数の用量に分割することができる。したがって、単回用量組成物は、1日用量を構成するための量またはその約数を含有することができる。投与量は、あらゆる禁忌の場合には個々の医師よって調節可能である。投与量は変動することができ、1日または数日間、1日あたり1回または複数回用量投与で投与することができる。所定のクラスの医薬製品に関する適切な投与量についての文献に、ガイダンスを見出すことができる。他のさまざまな観点では、調製物を「予防的有効量」、すなわち、疾患または状態の予防に有効な量で、投与することができる。
【0015】
[018]本明細書で使用される場合、「認知機能」は、学習および/または記憶にそれぞれ関与する任意の高次知的脳プロセスまたは脳状態、例えば、限定されるものではないが、注意、情報取得、情報処理、作業記憶、短期記憶、長期記憶、前向性記憶、逆行性記憶、記憶想起、弁別学習、意思決定、抑制応答制御、注意のセットシフティング(set-shifting)、遅延強化学習、逆転学習、自発的行動の時間的統合のほか、自分の周囲およびセルフケアへの関心の表現、処理速度、推論および問題解決および社会的認知をさす。
【0016】
[019]本明細書で使用される場合、「ストレス誘発性精神疲労の軽減」は、精神疲労に関連する少なくとも1つの欠損の測定可能な改善を意味する。特定の態様において、1以上の欠損は、1以上の認知機能である。当業者なら、認知機能の改善を測定する公知の方法を選択するであろう。
【0017】
[020]本明細書で使用される場合、「精神疲労」は、激しい労作の期間に伴う認知機能および/または身体能力の一時的な低下をさす。特定の態様において、激しい労作の期間は、認知的に負担をかける任務(例えば、時間が限定されている試験の受験)を行うことを包含する。さらなる態様において、激しい労作の期間は、身体的に負担をかける任務を行うことを包含する。
【0018】
[021]「ストレス関連障害」は、集合的に、過剰警戒および過少警戒を伴う過覚醒または低覚醒の状態を特徴とする疾病をさすことができる。ストレス関連障害としては、限定なしで、以下が挙げられる:うつ病、大うつ病性障害(MDD)、不安障害、パニック障害(挿間性発作性不安)、パニック発作、強迫性障害、社会不安障害、恐怖症性不安障害(例えば、高所恐怖症、閉所恐怖症、広場恐怖症、社会恐怖症、および他の恐怖症)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、および強迫性障害。ストレス関連障害として、高血圧、炎症性腸症候群などのような非精神障害を挙げることもできる。ストレス関連障害は、低い精神的アロスタティック能力および過大なアロスタティック負荷、精神的回復力の欠如、ならびに低レベルのBDNF、NGFおよびmTORを特徴とすることができる。ストレス関連障害はまた、異常なノルアドレナリン作動性、セロトニン作動性、コリン作動性、ドーパミン作動性、および/またはグルタミン作動性緊張を特徴とすることができる。さらなる態様において、ストレス関連障害は、ミトコンドリア機能不全、結果として耐糖能障害を伴う不十分な細胞エネルギー状態(ICE)のエネルギー機能不全を特徴とし、これは、他の神経伝達物質系ならびにATPのコリン作動性枯渇および調節不全を引き起こす。
【0019】
[022]本明細書で使用される場合、「ストレッサー」は、被験体にストレス反応を引き起こす任意の刺激をさす。ストレッサーは外部刺激であることができる。ストレッサーの例としては、限定なしで、感覚入力(例えば、疼痛、明るい光、雑音など)、心的外傷、葛藤、社会的、対人的、認知的などが挙げられる。特定の態様において、ストレッサーは、激しく頭脳を酷使する期間であることができる。さらなる態様において、ストレッサーは、激しい身体運動を伴うような激しい身体的労作の期間であることができる。
【0020】
[023]本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目(item)または結果の範囲または程度が、完全またはほぼ完全であることをさす。例えば、「実質的に」包囲された物体は、物体が完全に包囲されているか、ほぼ完全に包囲されていることを意味する。絶対的完全性からの正確な許容可能な逸脱度は、場合によっては特定の状況に依存し得る。しかしながら、一般的に言えば、完了に近いと、絶対的で完全な完了が得られた場合と同様の全体的な結果を有するようになるであろう。「実質的に」の使用は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目または結果の完全またはほぼ完全な欠如をさすために否定的な意味合いで使用される場合に、同等に適用可能である。例えば、粒子を実質的に含まない組成物は、完全に粒子を欠いているか、または、ほぼ完全に粒子を欠いていて、その影響は、完全に粒子を欠いている場合と同じである。言い換えれば、ある成分または要素を実質的に含まない組成物は、測定可能な影響がない限り、そのような項目を依然として実際に含有し得る。
【0021】
[024]本開示は、パラキサンチンを含む化学組成物使用に関する。特定の態様において、パラキサンチンは天然に生じる。さらなる態様において、パラキサンチンは、合成的に生成される。特定の態様において、組成物は、複数の望ましい効果を提供するために、パラキサンチン同族体(congener)または類似体などの他の化学物質を含む。パラキサンチン類似体としては、限定されるものではないが、カフェイン、メチルカフェイン、テオブロミン、テオフィリン、リベリンおよびメチルリベリン、ならびにそれらの変形体(variant)を挙げることができる。他の適した活性物質としては、L-テアニン、窒素含有刺激性栄養分を含む血流増強成分、例えば、L-アルギニン、L-シトルリン、イチョウ葉、神経伝達物質増強成分、例えば、コリン、ホスファチジルセリン、または、酸化ストレスおよび/もしくは炎症から脳を保護することが知られている成分、例えば、クレアチン、オメガ-3脂肪酸、β-アラニン;L-チロシン;N-アセチル-L-チロシン;L-オルニチン;L-オルニチン-L-アスパラギン酸塩;メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)(レモンバーム);ピロロキノリンキノン;L-タウリン;アルギニンα-ケトグルタル酸塩およびブルーベリーなど、1以上の疲労低減化合物を挙げることができる。
【0022】
[025]特定のさらなる態様によれば、組成物は、抗コルチゾール剤をさらに含む。代表的な実施形態において、抗コルチゾール剤は、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属(rhodiola)、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンのうちの1以上である。
【0023】
[026]特定の態様によれば、組成物はカフェインを包含しない。特定の実施形態において、被験体は、開示する方法の段階の間はカフェインの消費を控える。
[027]特定の態様によれば、本開示の方法によって軽減される疲労は、被験体に対する身体的ストレスの結果である。精神疲労をもたらし得る身体的ストレスとしては、限定されるものではないが、激しい運動の期間が挙げられる。
【0024】
[028]さらなる態様によれば、本開示の方法によって軽減される疲労は、心理的ストレスの結果である。特定の実施形態において、心理的ストレスは、時間が限定された試験など、激しく認知的要求の厳しい任務の期間の結果である。
【0025】
[029]さらなる態様において、心理的ストレスは、激しい感情(例えば、心的外傷)の期間の結果である。さらなる態様において、心理的ストレスは、認知活動の低下/障害をもたらし得るネグレクトの形態に起因する可能性がある。これらの態様における心理的ストレスは、低レベルのBDNFおよび神経可塑性の低下によって特徴付けられる(多くの場合、うつ病被験体において)。そのような被験体は、自己虐待/自己加害心的外傷の一形態と見なすことができる、同じ事柄を繰り返し再生する破壊的な精神ループを経験することがある。
【0026】
[030]特定の態様において、精神疲労をもたらすストレスは急性ストレスである。これらの態様は、有限期間にわたる非常に強いストレスによって特徴付けることができる。特定の態様において、急性ストレスは5~60分間持続する。さらなる態様において、急性ストレスは、約1~約8時間持続する。
【0027】
[031]特定のさらなる態様に従って、精神疲労をもたらすストレスは慢性ストレスである。これらの態様において、ストレスは数日間、数週間、数ヶ月間、またはそれより長く持続する可能性がある。
【0028】
[032]特定の態様において、組成物は、被験体がストレッサーを経験している間に被験体に投与される。特定のさらなる実施形態において、組成物は、被験体におけるストレス発生前に(例えば、次のストレッサーを予測して)投与される。さらに他の実施形態において、組成物は、ストレッサーの終結後に投与される。さらに他の実施形態において、組成物は、前記のいくつかの組み合わせで投与される。
【0029】
[033]さらに、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することによって、ストレス回復力の増強を必要とする被験体においてストレス回復力を増強する方法を、本明細書に開示する。特定の実施形態において、被験体への組成物の投与は、運動誘発ストレスの回復力を増大させる。さらなる実施形態において、被験体への組成物の投与は、心理学的に誘発されるストレスの回復力を増大させる。
【0030】
[034]特定の態様によれば、被験体への組成物の投与は、被験体における脳由来神経栄養因子(BDNF)レベルを上昇させる。代表的な実施形態において、BDNFレベルは約5%~約40%上昇する。さらなる態様において、BDNFレベルは少なくとも約15%上昇する。さらなる態様において、被験体への組成物の投与は、神経細胞成長因子(NGF)など他の神経栄養因子を増加させる。さらに他の態様において、被験体への組成物の投与は、CNSにおけるmTORのレベルを上昇させる。
【0031】
[035]特定のさらなる態様によれば、被験体への組成物の投与は、被験体におけるカタラーゼおよび/またはグルタチオンのレベルを上昇させる。
[036]さらに、ストレス関連障害の予防または治療を必要とする被験体においてストレス関連障害を予防または治療する方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む方法を、本明細書に開示する。特定の実施形態において、ストレス関連障害は、うつ病、大うつ病性障害(MDD)、不安障害、パニック障害(挿間性発作性不安)、パニック発作、強迫性障害、社会不安障害、恐怖症性不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、強迫性障害、高血圧、および炎症性腸症候群から選択される。特定の態様において、被験体は、上記障害の組み合わせに罹患しているか、または罹患するリスクがある可能性がある。
【0032】
[037]さらに、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することによって、疲労関連酸化ストレスの軽減を必要とする被験体において疲労関連酸化ストレスを軽減する方法を、本明細書に開示する。これらの態様の特定の実施形態において、被験体への組成物の投与は、被験体におけるカタラーゼのレベルを上昇させる。代表的な実施形態において、カタラーゼレベルは、被験体において約5%~約70%上昇する。さらなる実施形態において、被験体への組成物の投与は、被験体におけるグルタチオンを増加させる。代表的な実施形態において、グルタチオンレベルは、被験体において約3%~約30%上昇する。
【0033】
[038]さらに、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することによって、被験体に対する慢性ストレスの影響を軽減する方法を、本明細書に開示する。特定の実施形態において、組成物は抗コルチゾール剤をさらに含む。特定の態様によれば、抗コルチゾール剤は、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンのうちの1以上である。
【0034】
[039]特定の態様において、開示する組成物はニュートラシューティカル(nutraceutical)組成物である。本開示の代表的なニュートラシューティカル組成物は、独立した組成物として、あるいは食品、機能性食品、飲料、バー、食用香味料、医療食、食物サプリメントまたは薬草製品中の栄養成分または生物活性成分として、製剤化または使用することができる。当技術分野において一般に許容されている媒体としては、それに関し医薬的またはニュートラシューティカル的に許容しうるすべての担体、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
【0035】
[040]さらに、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に提供することによって、被験体におけるストレス誘発性精神疲労を軽減するための方法を、本明細書に開示する。用量は被験体ごとに異なるが、適した1日用量は、単回または複数回用量で投与して、被験体1人あたり約1~約1000mgの範囲(例えば、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約75mg、100、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、または約1000mgなど、またはこの中の任意の範囲もしくは値)である。特定の観点において、パラキサンチンは、組成物中に約20mg~約600mgの量で存在する。さらなる観点において、パラキサンチンは、組成物中に約50mg~約400mgの量で存在する。
【0036】
[041]開示する方法の特定の態様によれば、組成物は、治療的有効量で投与される。さらなる態様において、組成物は予防的有効量で投与される。
[042]本発明を使用する利点は、人が、本発明の原理に従った化学組成物に対する耐性を生じる可能性が低いことであり得る。すなわち、人は、誘発された効果に対して感受性を低下させない可能性がある。
【0037】
[043]被験体への開示された組成物の投与は、被験体に医薬調製物を提供する任意の方法を包含することができる。このような方法は当業者に周知であり、限定されるものではないが、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、皮内投与、口腔投与のほか、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与および皮下投与などの注射可能な投与を含む非経口投与を包含する。投与は、連続的または間欠的であることができる。さまざまな観点において、調製物は治療的に投与することができる;すなわち、既存の疾患または状態を治療するために投与することができる。他のさまざまな観点において、調製物は予防的に投与することができる;すなわち、疾患または状態の予防のために投与することができる。
栄養サプリメント(Nutritional Supplement)
[044]本開示の組成物は、食物サプリメントの形態をとることができ、またはそれ自体を、本明細書では食品サプリメント(food supplement)ともよぶ食物サプリメントと組み合わせて用いることができる。
【0038】
[045]栄養サプリメントは、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルカプセル、液体または粉末など多くの形態で見出すことができる。食物サプリメントの中には、必須栄養素の適切な食事摂取を確保するのに役立ち得るものもあれば、疾患のリスクを低減するのに役立ち得るものもある。
食品製品
[046]本開示の組成物は、食品製品の形態をとることができる。ここで、「食品」という用語は広い意味で使用され、ヒトのための食品および飲料、ならびに動物のための食品および飲料(すなわち、飼料)を包含する。好ましくは、食品製品はヒトの消費に適しており、ヒトの消費のために設計されている。
【0039】
[047]食品は、使用および/または適用方法および/または投与方法に応じて、液体、固体または懸濁液の形態であることができる。
[048]食品製品の形態である場合、組成物は、栄養的に許容しうる担体、栄養的に許容しうる希釈剤、栄養的に許容しうる賦形剤、栄養的に許容しうるアジュバント、栄養的に活性成分のうちの1以上を含むか、またはそれらの1以上と併せて用いることができる。
【0040】
[049]例として、本開示の組成物は、以下のうちの1つの形態をとることができる:果汁;乳清タンパク質を含む飲料:健康茶または薬草茶、ココア飲料、コーヒー飲料、ヨーグルトおよび/またはドリンクヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、デザート、菓子類、ビスケット、ケーキ、ケーキミックスまたはケーキ用フィリング、スナック食品、フルールフィリング、ケーキまたはドーナツ用アイシング、インスタントのベーカリー用フィリングクリーム、クッキー用フィリング、すぐに使用できるベーカリー用フィリング、低カロリーのフィリング、成人用栄養飲料、酸性化ダイズ/ジュース飲料、栄養バーまたは健康バー、飲料粉末、カルシウム強化豆乳、またはカルシウム強化コーヒー飲料。
食品成分
[050]本開示の組成物は、食品成分および/または飼料成分の形態をとることができる。
【0041】
[051]本明細書で使用される場合、「食品成分」または「飼料成分」という用語は、ヒトおよび動物のための栄養サプリメントおよび/または健康サプリメントとして機能性の食品または食料に添加されるか添加することができる組成物を包含する。
【0042】
[052]食品成分は、使用および/または適用方法および/または投与方法に応じて、液体、懸濁液または固体の形態であることができる。
機能性食品
[053]本開示の組成物は、機能性食品の形態をとることができる。
【0043】
[054]本明細書で使用される場合、「機能性食品」という用語は、栄養効果を提供することができるだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を送達することもできる食品を意味する。
【0044】
[055]したがって、機能性食品は、純粋な栄養効果以外の特定の機能-例えば、医学的または生理学的利益-を食品に付与する構成要素または成分(本明細書に記載されるものなど)が組み込まれた通常の食品である。
【0045】
[056]機能性食品の法的定義はないが、この分野に関心を有する関係者のほとんどは、それらが基本的な栄養効果を超える特定の健康効果を有するとして市販されている食品であると了解している。
【0046】
[057]一部の機能性食品はニュートラシューティカルである。ここで、「ニュートラシューティカル」という用語は、栄養効果および/または味覚の満足感を提供することができるだけでなく、消費者に治療的(または他の有益な)効果を送達することもできる食品を意味する。ニュートラシューティカルは、食品と医薬の伝統的な境界線を横断するものである。
医療食
[058]本開示の組成物は、医療食の形態をとることができる。
【0047】
[059]「医療食」とは、医師の監督の有無にかかわらず消費または投与されるように配合されていて、そして、認められている科学的原則に基づき特有の栄養所要量が医学的評価によって確立されている特定の食事管理または状態を目的とする、食品を意味する。
【0048】
[060]本発明のさまざまな観点および態様を、以下の番号付けされた条項によって定義する:
1.ストレス誘発性精神疲労の軽減を必要とする被験体においてストレス誘発性精神疲労を軽減するための方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
2.パラキサンチンが約20mg~約600mgの量で組成物中に存在する、条項1に記載の方法。
3.パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で組成物中に存在する、条項2に記載の方法。
4.ストレスが身体的ストレスである、条項1~3のいずれかに記載の方法。
5.ストレスが心理的ストレスである、条項1~3のいずれかに記載の方法。
6.ストレスが急性ストレスである、条項5に記載の方法。
7.ストレスが慢性ストレスである、条項5に記載の方法。
8.組成物が、1以上の追加的な活性薬剤をさらに含む、条項1~5のいずれかに記載の方法。
9.1以上の活性薬剤が、L-テアニン、窒素含有刺激性栄養分を含む血流増強成分、例えば、L-アルギニン、L-シトルリン、イチョウ葉、神経伝達物質増強成分、例えば、コリン、ホスファチジルセリン、または、酸化ストレスおよび/もしくは炎症から脳を保護することが知られている成分、例えば、クレアチン、オメガ-3脂肪酸、β-アラニン;L-チロシン;N-アセチル-L-チロシン;L-オルニチン;L-オルニチン-L-アスパラギン酸塩;メリッサ・オフィシナリス(レモンバーム);ピロロキノリンキノン;L-タウリン;アルギニンα-ケトグルタル酸塩、およびブルーベリーから選択される、条項8に記載の方法。
10.組成物が被験体におけるストレス開始前に投与される、条項1~9のいずれかに記載の方法。
11.組成物が抗コルチゾール剤をさらに含む、条項10に記載の方法。
12.抗コルチゾール剤が、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンのうちの1以上である、条項11に記載の方法。
13.組成物が被験体におけるストレス発生中に投与される、条項1~12のいずれかに記載の方法。
14.組成物がカフェインを包含しない、条項1~13のいずれかに記載の方法。
15.被験体がカフェインの消費を控える、条項14に記載の方法。
16.組成物が被験体におけるストレス発生後に投与される、条項1~15のいずれかに記載の方法。
17.パラキサンチンが合成されている、条項1~16のいずれかに記載の方法。
18.パラキサンチンが天然限に由来する、条項1~17のいずれかに記載の方法。
19.組成物が食物サプリメントである、条項1~18のいずれかに記載の方法。
20.食物サプリメントが粉末またはカプセルである、条項19に記載の方法。
21.組成物が機能性食品である、条項1~20のいずれかに記載の方法。
22.機能性食品が、飲料、栄養バー、ヨーグルトまたはシリアルである、条項21に記載の方法。
23.ストレッサーによって誘発される精神疲労を予防するための栄養サプリメントであって、約2mg~約800mgのパラキサンチンおよびニュートラシューティカル的に許容しうるその担体を含む、前記栄養サプリメント。
24.パラキサンチンが約20mg~約600mgの量で存在する、条項23に記載の栄養サプリメント。
25.パラキサンチンが約50mg~約400mgの量で存在する、条項23に記載の栄養サプリメント。
26.栄養サプリメントが食物サプリメントである、条項23~25のいずれかに記載の栄養サプリメント。
27.食物サプリメントが粉末またはカプセルである、条項26に記載の栄養サプリメント。
28.栄養サプリメントが機能性食品である、条項23~25のいずれかに記載の栄養サプリメント。
29.機能性食品が、飲料、栄養バー、ヨーグルトまたはシリアルである、条項28に記載の栄養サプリメント。
30.さらに、L-テアニン、窒素含有刺激性栄養分を含む血流増強成分、例えば、L-アルギニン、L-シトルリン、イチョウ葉、神経伝達物質増強成分、例えば、コリン、ホスファチジルセリン、または、酸化ストレスおよび/もしくは炎症から脳を保護することが知られている成分、例えば、クレアチン、オメガ-3脂肪酸、β-アラニン;L-チロシン;N-アセチル-L-チロシン;L-オルニチン;L-オルニチン-L-アスパラギン酸塩;メリッサ・オフィシナリス(レモンバーム);ピロロキノリンキノン;L-タウリン;アルギニンα-ケトグルタル酸塩およびブルーベリーからなるリストから選択される1以上の化合物を含む、条項23~25のいずれかに記載の栄養サプリメント。
31.さらに抗コルチゾール剤を含む、条項30に記載の栄養サプリメント。
32.抗コルチゾール剤が、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンのうちの1以上である、条項31に記載の栄養サプリメント。
33.パラキサンチンが天然限に由来する、条項23~30のいずれかに記載の栄養サプリメント。
34.パラキサンチンが合成されている、条項23~30のいずれかに記載の栄養サプリメント。
35.ストレッサーが身体的である、条項23~34のいずれかに記載の栄養サプリメント。
36.ストレッサーが精神的である、条項23~34のいずれかに記載の栄養サプリメント。
37.ストレス回復力の増強を必要とする被験体においてストレス回復力を増強する方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
38.被験体への組成物の投与が運動誘発性ストレスの回復力を増大させる、条項37に記載の方法。
39.被験体への組成物の投与が、心理学的に誘発されるストレスの回復力を増大させる、条項38に記載の方法。
40.被験体への組成物の投与が被験体におけるBDNFレベルを上昇させる、条項37~39のいずれかに記載の方法。
41.BDNFレベルが約5%~約40%上昇する、条項40に記載の方法。
42.BDNFレベルが少なくとも約15%上昇する、条項41に記載の方法。
43.被験体への組成物の投与が、被験体におけるカタラーゼおよび/またはグルタチオンのレベルを上昇させる、条項37~40のいずれかに記載の方法。
44.ストレス関連障害の予防または治療を必要とする被験体においてストレス関連障害を予防または治療する方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
45.ストレス関連障害が、うつ病、大うつ病性障害(MDD)、不安障害、パニック障害(挿間性発作性不安)、パニック発作、強迫性障害、社会不安障害、恐怖症性不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、強迫性障害、高血圧、および炎症性腸症候群から選択される、条項44に記載の方法。
46.疲労関連酸化ストレスの軽減を必要とする被験体において疲労関連酸化ストレスを軽減する方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
47.パラキサンチンが組成物中に約20mg~約600mgの量で存在する、条項46に記載の方法。
48.パラキサンチンが組成物中に約50mg~約400mgの量で存在する、条項47に記載の方法。
49.被験体への組成物の投与が、被験体におけるカタラーゼのレベルを上昇させる、条項46に記載の方法。
50.カタラーゼレベルが、被験体において約5%~約70%上昇する、条項49に記載の方法。
51.被験体への組成物の投与が、被験体におけるグルタチオンを増加させる、条項46に記載の方法。
52.グルタチオンレベルが、被験体において約3%~約30%上昇する、条項51に記載の方法。
53.被験体に対する慢性ストレスの影響を軽減する方法であって、約2mg~約800mgのパラキサンチンを含む組成物を被験体に投与することを含む、前記方法。
54.パラキサンチンが組成物中に約20mg~約600mgの量で存在する、条項53に記載の方法。
55.パラキサンチンが組成物中に約50mg~約400mgの量で存在する、条項53に記載の方法。
56.組成物が抗コルチゾール剤をさらに含む、条項53に記載の方法。
57.抗コルチゾール剤が、ホスファチジルセリン、イワベンケイ属、アシュワガンダ、マグノリア、ホーリーバジル、オメガ3類、および/またはL-テアニンのうちの1以上である、条項56に記載の方法。
58.被験体への組成物の投与が被験体におけるBDNFレベルを上昇させる、条項53~57のいずれかに記載の方法。
59.BDNFレベルが約5%~約40%上昇する、条項58に記載の方法。
60.BDNFレベルが少なくとも約15%上昇する、条項59に記載の方法。
61.被験体への組成物の投与が、被験体におけるカタラーゼおよび/またはグルタチオンのレベルを上昇させる、条項53~60のいずれかに記載の方法。
【0049】
[061]複数の態様を開示するが、本開示のさらに他の態様は、開示する組成物、システムおよび方法の例示的態様を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。理解されるように、開示する組成物、システムおよび方法は、すべて本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な観点で修正することができる。したがって、図面および詳細な説明は、事実上の例示であって、それらに限定されると見なすべきでない。
【実施例】
【0050】
[062]以下の実施例は、本明細書で特許請求される化合物、組成物、物品、機器および/または方法の作製および評価方法の特定の例の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、本発明の純粋な例示であることを意図しており、発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。しかしながら、当業者であれば、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお同様の結果を得られることを、理解するであろう。
実施例1
身体的ストレスにより誘発される精神疲労
[063]本研究に参加してもらうために、地元のランニングおよびトライアスロンのクラブおよびレースから訓練されたランナーを募集した。精神的に疲労させる持久走の前後に認知パフォーマンスを評価した。適格基準として、18~40歳の健康な訓練されたランナーまたはトライアスロン選手、最新(≧6ヶ月)の走行訓練歴、および最近の競技(例えば、5kmのロードレースまたはマラソンの完走)中の走行ペースが平均8分/マイル以下であったという証拠を示す書類を挙げた。資格要件を満たしたランナーを、研究の概要を提供する習熟セッションに出席するよう招待し、参加者から研究に参加するためのインフォームドコンセントを得た。合計32人が研究の広告に反応し、適格性を評価され、28人が習熟セッションを完了し、13人が適格性要件を満たし、研究に参加することに同意し、無作為に分けられて処置を受けた。1人の被験者は、研究プロトコルを遵守しなかったため研究から脱落した。12人の被験者(男性11人、女性1人)が最終的にトライアルを終了した。ボランティアは、1回の習熟セッションと4回の実験セッションを含む合計5回、実験室を訪れた。習熟セッションの間、参加者は研究プロトコルを説明され、インフォームドコンセントを行い、医学的質問票に回答し、身長、体重、安静時心拍数および安静時血圧を有した。その後、男性は二重エネルギーX線吸収測定(DXA)を用いて体組成を決定したが、女性はDXAスキャンの前に尿妊娠検査を受けて、妊娠していないことを確認した。その後、参加者は、試験に慣れ、試験の信頼性を確立するために、各認知機能試験を3回受けた。ボランティアは、研究に用いられるトレッドミルをレースのペースで走って練習した。終了後、参加者は、続いて段階的最大心肺(VO2ピーク)トレッドミル試験を実施して、ピーク心拍数および有酸素容量を決定した。参加者はまた、研究期間中、通常の食習慣を維持し、新しい食物サプリメントを避けるよう求められた。参加者はまた、10kmのロードレースを行う各試験セッションの準備をし、研究室に報告する前に24時間にわたり激しい身体活動、アルコール摂取および市販薬を控え、8~12時間にわたり絶食するように求められた。
図1は、各実験試験セッション中に実施された試験のタイムラインを示す。実験室到着時に、参加者は体重、安静時心拍数、および血圧を決定した。その後、参加者は副作用質問票に記入し、2つの認知機能試験、すなわち覚醒度における疲労関連変化を客観的に評価する試験である精神運動覚醒検査(Psychomotor Vigilance Task Test)(PVTT)、およびBerg-Wisconsinカードソーティングテスト(BCST)を実施し、空腹時血液試料を提供し、次いで、無作為に割り当てられた4つの経口サプリメントのうちの1つを摂取した(PRE)。処置投与の順序を相殺するために、均衡(balanced)ラテン方格法を使用して、二重盲検、無作為化およびクロスオーバー法でサプリメントを投与した。処置は、(1)400mgのプラセボ(PL、小麦粉、Shandong Bailong Chuangyuan Bio-tec Co., Ltd., Dezhou,中国);(2)200mgのPL+200mgのカフェイン(CSPC Innovation Pharmaceutical Co., Ltd., Shi Jiazhuang,中国);(3)200mgのPL+200mgのPX(ENFINITY
TM、Ingenious Ingredients, L.P. Lewisville, TX,米国)または(4)200mgのCA+200mgのPX(CA+PX)を包含していた。サプリメントは、製造および品質管理基準(good manufacturing practice)を用いて調製され、内容について認証されていた。サプリメントは同じサイズおよび外観であり、二重盲検法で投与するために、一般的に標識されたボトルに包装した。参加者は、割り当てられた処置のカプセル1つを8オンスの水と一緒に摂取した。その後、参加者は15分間休憩し、これらの試験を繰り返した。その後、ボランティアは自ら決めたペースで10kmの走行を行った。走行中に、心拍数を1キロメートル毎に得た。終了後、参加者は静脈血液試料を提供した。その後、参加者は認知機能試験および副作用質問票を完了した。各試験セッション後、参加者は7~14日間のウォッシュアウト期間を順守し、次いで、無作為化法で残りの処置を摂取しながら、同じ方法でプロトコルを繰り返した。
結果:
BCST(Berg-Wisconsinカードソーティングテスト)
[064]パラキサンチンの補給は、消耗運動前と比較してBCSTにおける正しい応答の数を5.7%増加させ、誤りの数を1.5%減少させ、保続性誤り(preservative error)の数を4.6%減少させ、保続性誤り(PAR規定)の数を10.6%減少させた。対照的に、カフェインは正答数を変化させなかったが、誤りの数を19.4%増加させ、保続性誤りの数を15.9%増加させ、保続性誤り(PAR規定)の数を23.3%増加させた。パラキサンチンをカフェインと組み合わせると、カフェイン単独と比較して、正しい応答が改善し、誤りが減少した。
PVTT(精神運動覚醒検査)
[065]パラキサンチンは、PVT試験における反応時間を、消耗運動前と比較して、初期トライアル(トライアル2)で7.3%、中期トライアル(トライアル10)で10.9%、後期トライアル(トライアル20)で10.9%改善した。対照的に、プラセボ群は、トライアル10で31.7%、トライアル20で8.3%の反応時間の悪化により、精神疲労を示した。パラキサンチンをカフェインと組み合わせると、プラセボと比較して、中期および後期トライアルにおいて反応時間が改善した。カフェインと比較して、パラキサンチンは、トライアル2において25%、トライアル10において44%、およびトライアル20において12%という、反応時間のより大きな改善を示した。
実施例2
精神的ストレスにより誘発される精神疲労
[066]51歳の男性に、200mgのパラキサンチンまたは200ngのカフェインまたはプラセボを1週間のウォッシュアウトによって分離して摂取してもらった後、精神疲労を測定するために設計された連続計算試験であるUchida-Kraepelin試験(UKT)を実施した。この試験は標準化されており、臨床心理学、精神医学および職業的精神保健診療において広く使用されている。この試験では、紙に印刷された乱数の連続計算を15分間行うように被験者に指示する。5分間の休憩後、さらに15分間の計算を行う。被験者は、可能な限り多くの計算を算出するように指示される。パフォーマンスを1分間隔で評価する。
【0051】
[067]結果:プラセボの消費後、パフォーマンスは最初の15分間は一定であった。5分間の休憩後、初期パフォーマンスは最初の15分間の平均パフォーマンスより高くなったが、後者の15分間では徐々に直線的に低下し、精神的疲労を示した。パラキサンチンの消費後、最初の15分間の平均パフォーマンスは15%上昇し、2回目の15分間の平均パフォーマンスは21%上昇し、パラキサンチンは、プラセボ群における2回目の15分間のパフォーマンスで漸減によって測定されたような精神疲労を防止した。対照的に、カフェインは、最初の15分間のパフォーマンスを有意に低い量、7%しか上昇させず、連続計算の2回目の15分間の精神疲労を防ぐことができなかった。
実施例3
パラキサンチンは若齢および高齢ラットにおけるBDNFレベルを上昇させる
[068]脳由来神経栄養因子(BDNF)は脳および脊髄に見出されるタンパク質であり、これらの細胞の成長、成熟および維持において役割を果たすことによって神経細胞の生存を促進する。パラキサンチン補給は、若齢ラットにおけるBDNFレベルを、対照群での775.04±29.59pg/mLから、低用量パラキサンチン群での828.05±35.03pg/mLおよび高用量パラキサンチン群での939.15±42.34pg/mLに、有意に上昇させた。加齢によりBDNFレベルは低下し(775.04±29.59pg/mLから732.16±16.51pg/mLへ)、老齢ラットへのパラキサンチンの補給は、BDNFレベルを低用量パラキサンチン群で776.40±18.54pg/mL、高用量パラキサンチン群で863.40±35.21pg/mLへと有意に上昇させた。
パラキサンチンは若齢および高齢ラットにおけるカタラーゼおよびグルタチオンレベルを上昇させる
[069]身体的および心理的ストレスは、酸化体産生の増加および酸化的損傷に関連する。カタラーゼは、ほぼすべての好気性細胞のペルオキシソーム中に存在するヘム酵素である。カタラーゼは活性酸素種の過酸化水素を水と酸素に変換し、それによって、過酸化水素の毒性作用を緩和する。グルタチオンは抗酸化物質である。
【0052】
[070]パラキサンチン補給は、若齢ラットにおけるカタラーゼレベルを、対照群での27.76±1.21U/mLから、低用量パラキサンチン群での30.24±1.58U/mLおよび高用量パラキサンチン群での38.91±2.65U/mLに有意に上昇させた。加齢によりカタラーゼレベルは低下し(21.85±1.35μg/mLから26.15±1.03U/mLへ)、老齢ラットへのパラキサンチンの補給は、カタラーゼレベルを低用量パラキサンチン群で29.34±1.50U/mL、高用量パラキサンチン群で36.84±1.68U/mLへと有意に上昇させた。
【0053】
[071]パラキサンチン補給は、若齢ラットにおけるグルタチオンレベルを、対照群での21.85±1.35μg/mLから、低用量パラキサンチン群での24.04±1.74μg/mLおよび高用量パラキサンチン群での34.41±1.97μg/mLに有意に上昇させた。加齢によりグルタチオンレベルは低下し(21.85±1.35μg/mLから19.74±1.14μg/mLへ)、老齢ラットへのパラキサンチンの補給は、グルタチオンレベルを低用量パラキサンチン群で22.27±1.00μg/mL、高用量パラキサンチン群で27.49±0.84μg/mLへと有意に上昇させた。
【国際調査報告】