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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】材料のためのポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20240305BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20240305BHJP
   C08G 69/00 20060101ALI20240305BHJP
   H01F 1/08 20060101ALI20240305BHJP
   H01F 1/113 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K3/00
C08G69/00
H01F1/08 130
H01F1/113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558973
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 FR2022050547
(87)【国際公開番号】W WO2022200738
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2103065
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, クエンタン
(72)【発明者】
【氏名】カッシアーノ ガスパー, ステファニア
【テーマコード(参考)】
4J001
4J002
5E040
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DA02
4J001DB01
4J001DB02
4J001EA06
4J001EA08
4J001EA16
4J001EB08
4J001EB09
4J001EC08
4J001EC77
4J001EE16D
4J001EE82F
4J001FA03
4J001FA05
4J001FA06
4J001FB03
4J001FB05
4J001FB06
4J001FC03
4J001FC05
4J001FC06
4J001GA12
4J001GB02
4J001GB03
4J001GB05
4J001JA05
4J001JA07
4J002CL011
4J002CL031
4J002CL051
4J002CL071
4J002DC006
4J002DE116
4J002FD016
4J002GN00
4J002GQ00
5E040AA01
5E040AA03
5E040AA06
5E040AA09
5E040BB03
5E040BB04
5E040CA01
(57)【要約】
本発明は、磁性複合材料であって、
4重量%~30重量%の共重合体、
70重量%~96重量%の磁性粉末、
0重量%~5重量%の少なくとも1つのカップリング剤、
0重量%~5重量%の少なくとも1つの添加剤
を含むことを特徴とし、
共重合体、磁性粉末、カップリング剤および添加剤の合計が、100重量%であり、前記共重合体が、
- ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)、
- 必要に応じて、少なくとも1つのポリエーテルアミド単位(E)
からなり、
構成成分A、B、C、DおよびEの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である、磁性複合材料に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性複合材料であって、
4重量%~30重量%の共重合体、
70重量%~96重量%の磁性粉末、
0重量%~5重量%の少なくとも1つのカップリング剤、
0重量%~5重量%の少なくとも1つの添加剤
を含むことを特徴とし、
共重合体、磁性粉末、カップリング剤および添加剤の合計が、100重量%であり、
前記共重合体が、
- 窒素原子に対する平均炭素原子数が6以上であるポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)、
- 必要に応じて、少なくとも1つのポリエーテルアミド単位(E)
からなり、
構成成分A、B、C、DおよびEの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である、磁性複合材料。
【請求項2】
コポリアミドが、10μeq/g未満の酸鎖末端含有量を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁性複合材料。
【請求項3】
コポリアミドが、80μeq/g未満のアミン鎖末端含有量を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項4】
ポリアミド単位が、少なくとも1つのジカルボン酸の、少なくとも1つのラクタム、または少なくとも1つのアミノカルボン酸、または少なくとも1つのジアミンとの縮合重合に由来することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項5】
ポリアミド単位が、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸の、少なくとも1つのラクタム、または少なくとも1つのアミノカルボン酸、または少なくとも1つの脂肪族ジアミンとの縮合重合に由来することを特徴とする、請求項4に記載の磁性複合材料。
【請求項6】
ポリアミドが、半結晶性の脂肪族ポリアミドであり、より詳細には、PA410、PA510、PA512、PA514、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA1014、PA6、PA66、PA11およびPA12、より詳細には、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、PA12から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項7】
半結晶性の脂肪族ポリアミドが、PA6、PA66、PA11およびPA12もしくはそれらの混合物、またはそれらのコポリアミドから選択されることを特徴とする、請求項6に記載の磁性複合材料。
【請求項8】
ポリアミドが、PA11およびPA12、特にPA11から選択されることを特徴とする、請求項6および7のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項9】
ポリアミドが、非結晶性のポリアミドであり、より詳細には、11/B10、12/B10、11/P10、12/P10、11/BI/BT、12/BI/BT、11/PI/BT、12/PI/BT、11/PI/PT、12/PI/PT、11/BI、12/BI、11/PIおよび12/PI、特に、11/B10から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項10】
ポリエーテルアミド単位が、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸の、少なくとも1つのポリエーテルジアミンとの縮合重合に由来することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項11】
前記モノ酸が、脂肪族モノカルボン酸、例えば、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバル酸およびイソ酪酸から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項12】
前記モノ酸が、モノ不飽和脂肪酸から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項13】
モノ不飽和脂肪酸がウンデシレン酸であることを特徴とする、請求項12に記載の磁性複合材料。
【請求項14】
前記ジアミンが、脂肪族ジアミンであり、より詳細には、ヘキサメチレンジアミンであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項15】
前記トリアミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンまたはポリエーテルトリアミンから選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項16】
磁性粉末が、鉄-ニッケル-アルミニウム合金、フェライト、サマリウム-コバルト合金、ネオジム-鉄-ホウ素合金、マンガン-アルミニウム-炭素合金およびサマリウム-鉄-窒素合金から選択されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の磁性複合材料。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の磁性複合材料を製造するための方法であって、請求項1から16のいずれか一項に定義された共重合体を、ペレットの形態で、磁性粉末、より詳細には請求項16に定義された磁性粉末、ならびに任意選択的に少なくとも1つのカップリング剤および少なくとも1つの添加剤と混合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
磁性粉末の、ペレットの形態の前記共重合体と、任意選択的にカップリング剤および/または添加剤との混合物を、押し出してペレット化する工程を含むことを特徴とする、請求項17に記載の磁性複合材料を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性複合材料のための組成物および複合材料それ自体に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性複合材料は、特に、自動車車両においてセンサ、自動車用オルタネータ、ダイナモまたはマグネトとして、電気および電子系においてスピーカまたはマイクとして、ならびに電話技術において電話の充電器として、使用されることがますます増えている。
【0003】
磁性材料のための組成物はすでに公知であり、磁性フィラーがほぼ大部分を占める、ポリアミドと粉末形態の磁性フィラーの混合物を含む。
【0004】
そのため、大量の磁性粉末とポリアミド樹脂を含む組成物を製造するには、大量の磁性粉末を、溶融ポリアミド樹脂を含む組成物と混合することが必要である。非常に急激な粘度増加が観察され、それによってやはり加工が不可能になる場合があり、さらに、ポリアミドと磁性粉末の混合物は不安定であるという欠点を有する。
【0005】
この変わりやすさはポリアミドの酸および/またはアミン鎖末端に関連付けられ、したがって、ステアリン酸などの単官能性連鎖移動剤を使用することによってポリアミドの含有量を減少させる戦略がとられてきた。
【0006】
この戦略には2つのデメリットがあり、ポリアミドは、流体の状態を保つために分子量が限定的でなければならず、磁性フィラーを有する材料は、脆弱である。
【0007】
国際特許出願WO2014050631は、2つのタイプの連鎖移動剤を使用することによってこの課題を解決することを試み、混合物をより安定させて、ポリアミド樹脂中の末端アミノ基の濃度および末端カルボキシル基の濃度が10μeq/g~40μeq/gである、ポリアミド樹脂を含む組成物を得た。
【0008】
この第2の戦略によって、分子量の増加は小さくなるが、一方で、最終混合物の延性を改善させなければならない。
【0009】
そのため、これらの種々の課題を克服することが可能な、磁性材料のための新規組成物を見出す必要があり、したがって、本発明の目的は、磁性複合材料であって、
4重量%~30重量%の共重合体、
70重量%~96重量%の磁性粉末、
0重量%~5重量%の少なくとも1つのカップリング剤、
0重量%~5重量%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
ここで、共重合体、磁性粉末、カップリング剤および添加剤の合計が、100重量%であり、
前記共重合体が、
- ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)、
- 必要に応じて、少なくとも1つのポリエーテルアミド単位(E)
からなり、
ここで、構成成分A、B、C、DおよびEの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である
ことを特徴とする磁性複合材料に関する。
【0010】
このようにして、驚くべきことに、本発明者らは、磁性粉末と、特に、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、少なくとも1つのジアミン単位(C)および少なくとも1つのトリアミン単位(D)を含む、特定の共重合体の混合物が、磁性材料を提供し、その磁性材料が、混合の際、安定することだけでなく、さらに、混合の際、粘度の急激な増加を呈さないことによって利益をもたらし、そうして効果的な加工を可能にすることを見出した。
【0011】
さらには、ポリアミドの分子量は限定されず、得られる磁性フィラーを有する材料は、延性である。
【0012】
共重合体に関して
共重合体は、少なくとも1つの単位(A)、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、少なくとも1つのジアミン単位(C)、少なくとも1つのトリアミン単位(D)および必要に応じて、少なくとも1つのポリエーテルアミド単位(E)からなる。
【0013】
共重合体は、有利には、10μeq/g未満の酸鎖末端含有量を有する。
【0014】
共重合体は、有利には、80μeq/g未満のアミン鎖末端含有量を有する。
【0015】
共重合体は、より有利には、10μeq/g未満の酸鎖末端含有量および80μeq/g未満のアミン鎖末端含有量を有する。
【0016】
酸およびアミン鎖末端は、ポテンショメータまたはNMRによりアッセイすることができる。
【0017】
総酸度のアッセイによる酸鎖末端のアッセイ
酸度は、以下の方法により測定される。
1gのポリアミドを、高温で80mlのベンジルアルコールに溶解させる。次いで、試料を冷却する。次に、試料を、複合pH電極を備えたMetrohm滴定装置(888または716)を使用するポテンショメータにより、0.02Nのテトラブチルアンモニウム水酸化物溶液で、アッセイする。容量の関数としての電位のグラフは、酸鎖末端が、以下の式:
[式中、
Veqは、ポテンショメータのアッセイにより得られた等価容量を表し、
[TBAOH]は、テトラブチルアンモニウム水酸化物溶液の濃度、すなわち、0.02Nを表し、
mは、試料の質量、すなわち、1gを表す]
により計算される等価容量による跳ね上がりを示す。
【0018】
この方法により、組成物内に導入された、酸鎖末端およびH3PO4をアッセイする。組成物内に導入されたH3PO4の量が分かれば、酸鎖末端の割合が、そこから推定される。
【0019】
アミン鎖末端のアッセイ
アミン鎖末端を、ポテンショメータによりアッセイする。
【0020】
単位A
単位Aは、半結晶性または非結晶性のポリアミドである。
【0021】
本発明の目的のために、半結晶性ポリアミドは、ISO規格11357-2:2013に基づくDSCにおけるガラス転移温度、およびISO規格11357-3:2013に基づくDSCにおける融点(Tm)を有する、ポリアミドを表す。
【0022】
本発明の目的のために、非結晶性のポリアミドは、ガラス転移温度(融点(Tm)無し)または非常に低結晶化度のポリアミドのみを有する透明な非結晶性のポリアミドを表し、ISO規格11357-3:2013に基づき測定される、示差走査熱量測定(DSC)において20K/分の速度で冷却工程中の結晶化のエンタルピーが、30J/g未満、特には、20J/g未満、好ましくは、15J/g未満となるような、ガラス転移温度および融点を有する。これらのポリアミドに関して、ISO規格11357-1:2009およびISO規格11357-2:2013に基づき、20K/分の加熱速度で、DSCにより測定されるガラス転移温度(Tg)は、有利には、75℃より高い。
【0023】
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO規格1874-1:2011"Plastics-Polyamide (PA) moulding and extrusion materials - Part 1: Designation"、特には、3ページ(表1および2)に記載されており、当業者には周知である。
【0024】
「ポリアミド」という表現は、ホモポリアミドまたはコポリアミドを意味する。ポリアミドは、脂肪族ポリアミドの混合物であってもよいことが明確に理解される。
【0025】
窒素原子に対する平均炭素原子数は、6以上である。
【0026】
有利には、窒素原子に対する平均炭素原子数は、8以上である。
【0027】
PAXY型のホモポリアミドの場合、1窒素原子当たりの炭素原子数は、X単位とY単位の平均値である。
【0028】
コポリアミドの場合、1窒素当たりの炭素の数は、同じ原理に基づいて計算される。計算は、種々のアミド単位の分子の比例配分に基づき行われる。
【0029】
ポリアミド単位は、少なくとも1つのジカルボン酸と、少なくとも1つのラクタム、または少なくとも1つのアミノカルボン酸、または少なくとも1つのジアミンとの縮合重合に由来する。
【0030】
第1の実施形態において:
この第1の実施形態の第1の変形形態において、半結晶性のポリアミドは、6~18個の炭素原子、優先的には、8~12個の炭素原子、より優先的には、10~12個の炭素原子を含む、少なくとも1つのアミノカルボン酸の縮合重合から得られる。そのため、少なくとも1つのアミノカルボン酸は、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸、13-アミノトリデカン酸、14-アミノテトラデカン酸、15-アミノペンタデカン酸、16-アミノヘキサデカン酸、17-アミノヘプタデカン酸および18-アミノオクタデカン酸から選択することができる。
【0031】
優先的には、半結晶性のポリアミドは、単一のアミノカルボン酸の縮合重合から得られる。
【0032】
この第1の実施形態の第2の変形形態において、半結晶性のポリアミドは、6~18個の炭素原子、優先的には、8~12個の炭素原子、より優先的には、10~12個の炭素原子を含む、少なくとも1つのラクタムの縮合重合から得られる。
【0033】
優先的には、半結晶性のポリアミドは、単一のラクタムの縮合重合から得られる。
【0034】
この第1の実施形態の第3の変形形態において、半結晶性のポリアミドは、4~36個の炭素原子、有利には、6~18個の炭素原子、有利には、6~12個の炭素原子、有利には、10~12個の炭素原子を含む、少なくとも1つのジアミンの縮合重合、および4~36個の炭素原子、有利には、6~18個の炭素原子、有利には、6~12個の炭素原子、有利には、8~12個の炭素原子を含む、少なくとも1つのジカルボン酸から得られる。
【0035】
この反復単位XYを得るために使用されるジアミンは、脂肪族またはアルキル芳香族ジアミンであってよい。
【0036】
脂肪族ジアミンは、少なくとも4つの炭素原子を含む、線状主鎖を有する。
【0037】
この線状主鎖は、必要に応じて1つまたは複数のメチルおよび/またはエチル置換基を含み、前記構成において「分枝状脂肪族ジアミン」という用語が使用される。主鎖が置換基を含まない場合、脂肪族ジアミンは「線状脂肪族ジアミン」と称される。
【0038】
メチルおよび/またはエチル置換基を主鎖に含むか否かにかかわらず、この反復単位XYを得るのに使用される脂肪族ジアミンは、4~36個の炭素原子、有利には、4~18個の炭素原子、有利には、6~18個の炭素原子、有利には、6~14個の炭素原子を含む。
【0039】
このジアミンは、線状脂肪族ジアミンのとき、式H2N-(CH2)x-NH2に相当し、例えば、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミンおよびオクタデセンジアミンから選択することができる。上述したばかりの線状脂肪族ジアミンは全て、ASTM規格D6866の意味の範囲内のバイオベースであってもよい。
【0040】
このジアミンは、分枝状脂肪族ジアミンのとき、特に、2-メチルペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミンまたは(2,2,4-もしくは2,4,4-)トリメチレンヘキサンジアミンであってもよい。
【0041】
アルキル芳香族ジアミンは、1,3-キシリレンジアミンおよび1,4-キシリレンジアミンから選択することができる。
【0042】
ジカルボン酸は、線状または分枝状脂肪族ジカルボン酸から選択してよい。
【0043】
ジカルボン酸は、脂肪族、シクロ脂肪族または芳香族であってもよい。
【0044】
ジカルボン酸は、脂肪族であり線状のとき、コハク酸(4)、ペンタン二酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカン二酸(11)、ドデカン二酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(16)、オクタデカン二酸(18)、オクタデセン二酸(18)、エイコサン二酸(20)およびドコサン二酸(22)から選択することができる。
【0045】
ジカルボン酸は、シクロ脂肪族のとき、以下の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパンを含んでいてもよい。
【0046】
ジカルボン酸は、芳香族のとき、テレフタル酸(Tと表す)、イソフタル酸(Iと表す)およびナフタレン酸(naphthalenic acid)(Nと表す)から選択することができる。
【0047】
この第1の実施形態の第4の変形形態において、半結晶性の脂肪族ポリアミドは、これら3つの変形形態の混合物から得られる。
【0048】
ポリアミド単位は、有利には、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸と、少なくとも1つのラクタム、または少なくとも1つのアミノカルボン酸、または少なくとも1つの脂肪族ジアミンとの縮合重合に由来する。
【0049】
前記ポリアミドは、有利には、半結晶性の脂肪族ポリアミドである。
【0050】
前記半結晶性の脂肪族ポリアミドは、有利には、PA410、PA510、PA512、PA514、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA1014、PA11ならびにPA12、より詳細には、PA1010、PA1012、PA1212、PA11およびPA12から選択される。
【0051】
半結晶性の脂肪族ポリアミドは、有利には、PA6、PA66、PA11およびPA12もしくはそれらの混合物、またはそれらのコポリアミドから選択される。
【0052】
有利には、前記半結晶性の脂肪族ポリアミドは、PA11およびPA12、より詳細には、PA11から選択される。
【0053】
有利には、単一の半結晶性のポリアミドが、組成物中に存在する。
【0054】
非結晶性のポリアミド
非結晶性のポリアミドは、式X1Y1またはW/XYのポリアミドであり、式中、
- Wは、少なくとも1つのアミノ酸の縮合重合から得られる単位、少なくとも1つのラクタムの縮合重合から得られる単位、および少なくとも1つの脂肪族ジアミンと少なくとも1つの脂肪族二酸の縮合重合から得られる単位から選択される、脂肪族反復単位である。
- X1は、少なくとも1つのシクロ脂肪族ジアミンであり、
- Y1は、少なくとも1つのジカルボン酸であり、前記二酸は、脂肪族二酸、線状または分枝状、シクロ脂肪族二酸および芳香族二酸から選択され、
前記ジアミンX1および前記二酸Y1は、4~36個の炭素原子、有利には、4~18個の炭素原子、有利には、6~18個の炭素原子、有利には、6~14個の炭素原子を含む。
【0055】
非結晶性のポリアミドは、有利には、式W/XYのポリアミドである。単位Wの構成成分のアミノ酸、ラクタム、ジアミンおよびジカルボン酸は、上記に定義される半結晶性の脂肪族ポリアミドについて定義するとおりである。
【0056】
非結晶性のポリアミドは、ホモポリアミドまたはコポリアミドであってよい。
【0057】
ジアミンX1およびジカルボン酸Y1のモル比は、優先的には、化学量論的である。
【0058】
シクロ脂肪族ジアミンX1は、例えば、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンまたは「BMACM」もしくは「MACM」(以下、Bと表す)と一般に呼ばれる、3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、「PACM」(以下、Pと表す)と一般に呼ばれる、p-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、「PACP」と一般に呼ばれる、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン(以下、IPDと表す)および「BAMN」と一般に呼ばれる、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナンから選択することができる。
【0059】
これらのシクロ脂肪族ジアミンの非網羅的な一覧は、刊行物"Cycloaliphatic Amines" (Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Edition (1992), pages 386-405)に示される。
【0060】
ジカルボン酸Y1は、線状または分枝状脂肪族ジカルボン酸、シクロ脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸から選択することができる。
【0061】
ジカルボン酸Y1は、脂肪族であり線状のとき、二酸Yについて上記に定義されるとおりである。
【0062】
ジカルボン酸Y1は、シクロ脂肪族のとき、以下の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパンを含んでいてもよい。
【0063】
ジカルボン酸Y1は、芳香族のとき、テレフタル酸(Tと表す)、イソフタル酸(Iと表す)およびナフタレン酸(naphthalenic acid)から選択することができる。
【0064】
有利には、ジカルボン酸Y1は芳香族であり、テレフタル酸(Tと表す)およびイソフタル酸(Iと表す)から選択することができる。
【0065】
有利には、非結晶性のポリアミドは、部分的または全体的にバイオベースである。
【0066】
有利には、非結晶性のポリアミドは、11/B10、12/B10、11/P10、12/P10、11/BI/BT、12/BI/BT、11/PI/BT、12/PI/BT、11/PI/PT、12/PI/PT、11/BI、12/BI、11/PIおよび12/PI、特に、11/B10から選択される。
【0067】
モノカルボン酸単位B
モノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸、脂環式酸、モノ不飽和脂肪酸または芳香族モノカルボン酸であってよい。
【0068】
脂肪族モノカルボン酸は、2~18個の炭素原子を含む酸である。
【0069】
脂肪族モノカルボン酸の例は酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびピバル酸である。
【0070】
脂環式モノカルボン酸は、例えば、シクロヘキサンカルボン酸である。
【0071】
芳香族モノカルボン酸は、例えば、安息香酸、トルイル酸、α-/β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸ならびにそれらの誘導体である。
【0072】
モノ不飽和脂肪酸は、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸およびウンデシレン酸である。
【0073】
一実施形態において、モノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸であり、より詳細には、イソ酪酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびピバル酸から選択される。
【0074】
別の実施形態において、モノカルボン酸は、モノ不飽和脂肪酸であり、より詳細には、ウンデシレン酸である。
【0075】
ジアミン単位C
ジアミンCは、上記Xについて定義される脂肪族ジアミンであってよく、より詳細には、ノナメチレンジアミ、デカメチレンジアミンおよびドデカメチレンジアミンであってもよく、シクロ脂肪族ジアミンは、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、もしくは上記X1について定義されるシクロ脂肪族ジアミン、または上記Xについて定義される芳香族ジアミンであってもよい。
【0076】
一実施形態において、前記ジアミンは、脂肪族ジアミンであり、より詳細には、ヘキサメチレンジアミンである。
【0077】
トリアミン単位D
トリアミンDは脂肪族トリアミン、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンまたはポリエーテルトリアミンであってもよい。
【0078】
ポリエーテルトリアミンは、例えば、下の式(I):
であり、
式中、R=HまたはC
x+y+zは、4~100、n=0または1である。
【0079】
これらの生成物は、特に、Jeffamine(登録商標)の名称で販売されている。
【0080】
トリアミンは、有利には、ジエチレントリアミン(DETA)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンまたはポリエーテルトリアミンから選択される。
【0081】
有利には、脂肪族トリアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)である。
【0082】
必要に応じたポリエーテルアミド単位E
ポリエーテルアミド単位は、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸と少なくとも1つのポリエーテルジアミンの縮合重合に由来する。
【0083】
第1の実施形態において、共重合体は、
- 半結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0084】
この第1の実施形態において:
第1の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、C、DおよびEの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0085】
第2の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- ウンデシレン酸である、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0086】
第3の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- ヘキサメチレンジアミンである、少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0087】
第4の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- ジエチレントリアミンである、少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0088】
第5の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- ウンデシレン酸である、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0089】
第6の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- ヘキサメチレンジアミンである、少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0090】
第7の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- ジエチレントリアミンである、少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0091】
第8の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- ウンデシレン酸である、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- ヘキサメチレンジアミンである、少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0092】
第9の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- ウンデシレン酸である、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- ジエチレントリアミンである、少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0093】
第10の変形形態において、共重合体は、
- 半結晶性の脂肪族ポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- ウンデシレン酸である、少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- ヘキサメチレンジアミンである、少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- ジエチレントリアミンである、少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0094】
有利には、これらの10個の変形形態において、単位Aのモル比は、単位Bおよび単位Cの合計のモル比の2倍である。
【0095】
有利には、これらの10個の変形形態において、半結晶性のポリアミドは、PA11である。
【0096】
有利には、これらの10個の変形形態において、単位Aのモル比は、単位Bおよび単位Cの合計のモル比の2倍であり、半結晶性のポリアミドは、PA11である。
【0097】
第2の実施形態において、共重合体は、
- 半結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)、
- 少なくとも1つのポリエーテルアミド単位(E)
からなり、
ここで、構成成分A、B、C、DおよびEの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0098】
この第2の実施形態において、上記に定義される10個の変形形態がさらに可能である。
【0099】
これら第1および第2の実施形態において、同一の10個の変形形態がそれぞれに対してさらに存在するが、ただし、ポリアミドが半結晶性の半芳香族ポリアミドであることを除く。
【0100】
有利には、これらの後者の変形形態において、単位Aのモル比は、単位Bおよび単位Cの合計のモル比の2倍である。
【0101】
有利には、半結晶性の半芳香族ポリアミドは、PA6I/6T、PA11/10T、PA BACT/6TおよびPA11/BACT/6T、PA BACT/10T、PA11/BACT/10TおよびPA MXD10から選択される。
【0102】
第3の実施形態において、共重合体は、
- 非結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)
からなり、
ここで、構成成分A、B、CおよびDの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0103】
第4の実施形態において、共重合体は、
- 非結晶性のポリアミド単位から選択される、少なくとも1つの単位(A)、
- 少なくとも1つのモノカルボン酸単位(B)、
- 少なくとも1つのジアミン単位(C)、
- 少なくとも1つのトリアミン単位(D)、
- 少なくとも1つのポリエーテルアミド単位(E)
からなり、
ここで、構成成分A、B、C、DおよびEの合計が、共重合体の全重量に対して100重量%である。
【0104】
これら第3および第4の実施形態において、第1および第2の実施形態について定義される10個の変形形態がさらに存在するが、ただし、ポリアミドが非結晶性のポリアミドであることを除く。
【0105】
有利には、これら第3および第4の実施形態の変形形態において、単位Aのモル比は、単位Bおよび単位Cの合計のモル比の2倍である。
【0106】
有利には、非結晶性のポリアミドは、B10、P10、B12、P12、B14、P14、11/B10およびコポリアミド、例えば、6/66/12から選択される。
【0107】
有利には、非結晶性のポリアミドは、B10、P10、B12、P12、B14、P14および11/B10から選択される。
【0108】
Pは、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンを表し、本明細書において、さらに、PACMまたはPと呼称される。
【0109】
Bは、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタンを表し、本明細書において、さらに、MACMもしくはBMACMまたはBと呼称される。
【0110】
10は、デカン二酸を表し、12は、ドデカン二酸を表し、14は、テトラデカン二酸を表す。
【0111】
11は、アミノウンデカン二酸を表す。
【0112】
有利には、
磁性複合材料に関して
磁性複合材料は、
上記に定義される4重量%~30重量%の共重合体、
70重量%~96重量%の磁性粉末、
0重量%~5重量%の少なくとも1つのカップリング剤、
0重量%~5重量%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
ここで、共重合体、磁性粉末、カップリング剤および添加剤の合計が、100重量%であり、
一実施形態において、磁性複合材料は、
上記に定義される4重量%~30重量%の共重合体、
70重量%~96重量%の磁性粉末、
0重量%~5重量%の少なくとも1つのカップリング剤、
0重量%~5重量%の少なくとも1つの添加剤
からなり、
ここで、共重合体、磁性粉末、カップリング剤および添加剤の合計が、100重量%である。
【0113】
磁性粉末
上記に定義される磁性複合材料の磁性粉末は、鉄-ニッケル-アルミニウム合金、フェライト、サマリウム-コバルト合金、ネオジム-鉄-ホウ素合金、マンガン-アルミニウム-炭素合金およびサマリウム-鉄-窒素合金から選択される。
【0114】
上記に定義される磁性複合材料の磁性粉末は、有利には、鉄-ニッケル-アルミニウム合金、フェライト、サマリウム-コバルト合金、ネオジム-鉄-ホウ素合金およびマンガン-アルミニウム-炭素合金から選択される。
【0115】
カップリング剤
磁性金属粉末は、粉末とポリアミド樹脂との接着力を改善するために、事前にカップリング剤で処理してもよい。
【0116】
カップリング剤の例は、シラン化合物、チタン酸塩化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物、メタクリレート化合物および有機リン化合物、例えば、リン酸エステルである。
【0117】
一実施形態において、カップリング剤は、0.1重量%~5重量%にて存在する。
【0118】
添加剤
添加剤は、当業者に周知の任意の添加剤であってよく、より詳細には、触媒、特にH3PO4およびH3PO2、抗酸化剤であってよく、より詳細には、フェノール系もしくはリン系抗酸化剤、またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV安定剤および消泡剤であってもよい。
【0119】
一実施形態において、タルク、グラファイトおよび酸化マグネシウムは、磁性複合材料から除外される。
【0120】
別の実施形態において、Sm-Fe-Nは、磁性粉末から、したがって磁性複合材料から除外される。
【0121】
さらに別の実施形態において、樹枝状のシラン-ポリアミド-アミンポリマーは、磁性複合材料から除外される。
【0122】
最終の他の実施形態において、潤滑剤は、添加剤から除外され、その結果、磁性複合材料から除外される。
【0123】
上記に定義される4つの実施形態は、さらに、2つずつ組み合わせてよく、または他に、4つの実施形態のうち3つを組み合わせてよく、または他に、上記に定義される4つの実施形態のうち4つ全てを組み合わせる。
【0124】
一実施形態において、カップリング剤は、0.1重量%~5重量%にて存在する。
【0125】
別の実施形態では、本発明は、上記に記載の磁性複合材料を製造するための方法であって、ペレットの形態の上記に記載のとおりの共重合体を、磁性粉末、より詳細には上記に記載のとおりの磁性粉末、ならびに必要に応じて少なくとも1つのカップリング剤および少なくとも1つの添加剤と混合する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0126】
一実施形態において、磁性複合材料を製造するための前記方法は、磁性粉末と、ペレットの形態の前記共重合体と、必要に応じてカップリング剤および/または添加剤との混合物を、押し出してペレット化する工程を含む。
【実施例
【0127】
実施例1:本発明の共重合体および比較共重合体の調製
本発明の実施例I1
撹拌機を備えたオートクレーブに、5000gの11-アミノウンデカン酸、11.5gのジエチレントリアミン(DETA)、66gのヘキサメチレンジアミン(HMDA)、209gのウンデシレン酸、5gのIrganox(登録商標)1098、6gの85%オルトリン酸、0.2gのシリコノール1000および150gの水を投入する。反応器を、撹拌しながら自発生圧力下にて250℃まで加熱する(材料温度)。条件を1時間維持し、次いで、反応器を大気圧まで減圧し、温度を240℃まで低下させる。窒素下でのパージ段階を30分間行った後、50mbarの減圧を90分間設定し、その後、反応器を空にする。
【0128】
本発明の実施例I2
撹拌機を備えたオートクレーブに、2000gのカプロラクタム、11.5gのジエチレントリアミン(DETA)、508.96gのヘキサメチレンジアミン(HMDA)、557.04gのアジピン酸、2000gのラウリルラクタム、209gのウンデシレン酸、5gのIrganox(登録商標)1098、6gの85%オルトリン酸、0.2gのシリコノール1000および200gの水を投入する。反応器を、撹拌しながら自発生圧力下にて260℃まで加熱する(材料温度)。条件を4時間維持し、次いで、反応器を大気圧まで減圧し、温度を240℃まで低下させる。窒素下でのパージ段階を30分間行った後、50mbarの減圧を90分間設定し、その後、反応器を空にする。
【0129】
反例C1
撹拌機を備えたオートクレーブに、5000gの11-アミノウンデカン酸、70gのラウリン酸、0.2gのシリコノール1000および150gの水を投入する。反応器を、撹拌しながら自発生圧力下にて250℃まで加熱する(材料温度)。条件を1時間維持し、次いで、反応器を大気圧まで減圧し、温度を240℃まで低下させる。窒素下でのパージ段階を30分間行った後、50mbarの減圧を90分間設定し、その後、反応器を空にする。
【0130】
反例C2
撹拌機を備えたオートクレーブに、1000gの11-アミノウンデカン酸、1894gのデカメチレンジアミン、2160gのセバシン酸、90gのステアリン酸、0.2gのシリコノール1000および150gの水を投入する。反応器を、撹拌しながら自発生圧力下にて250℃まで加熱する(材料温度)。条件を1時間維持し、次いで、反応器を大気圧まで減圧し、温度を240℃まで低下させる。窒素下でのパージ段階を30分間行った後、50mbarの減圧を90分間設定し、その後、反応器を空にする。
【0131】
反例C3
撹拌機を備えたオートクレーブに、1100gのカプロラクタム、398.7gのヘキサメチレンジアミン(HMDA)、581.3gのアジピン酸、3000gのラウリルラクタム、5gのIrganox(登録商標)1098、0.2gのシリコノール1000および200gの水を投入する。反応器を、撹拌しながら自発生圧力下にて260℃まで加熱する(材料温度)。条件を4時間維持し、次いで、反応器を大気圧まで減圧し、温度を240℃まで低下させる。窒素下でのパージ段階を30分間行った後、50mbarの減圧を90分間設定し、その後、反応器を空にする。
【0132】
反例C4
撹拌機を備えたオートクレーブに、1100gのカプロラクタム、710.1gのヘキサメチレンジアミン(HMDA)、779.9gのアジピン酸、2500gのラウリルラクタム、5gのIrganox(登録商標)1098、0.2gのシリコノール1000および200gの水を投入する。反応器を、撹拌しながら自発生圧力下にて260℃まで加熱する(材料温度)。条件を4時間維持し、次いで、反応器を大気圧まで減圧し、温度を240℃まで低下させる。窒素下でのパージ段階を30分間行った後、50mbarの減圧を90分間設定し、その後、反応器を空にする。
【0133】
実施例2:実施例1の共重合体の酸性度および塩基性度の分析
塩基性度および酸性度は、テキストに記載されるように、および表1に示されるように決定する。
[表1]
【0134】
実施例3:比較共重合体および本発明の共重合体を、NdFeB(5/95重量/重量)フェライト粉末と混合することにより得られた磁性複合材料のレオロジー的分析
実施例I1、I2およびC1~C4のポリマーを液体窒素中で磨砕し、磁性フィラーと混合する。
【0135】
90℃にて、減圧下、12時間乾燥させた後、溶融粘度の測定のために試料をレオメータ(MCR301)内に置いた。30分の一時的なスイープを、窒素下、1Hz、210℃にて、直径25mmの2枚のパラレルプレートの間で実施した。
【0136】
初期粘度は、測定値を記録するため、レオメータ起動後の測定値:t0+10sに対応する。
【0137】
30分後の粘度は、レオメータにおける、30分のスイープ後の測定値に対応する。
【0138】
表2は、本発明の共重合体が、比較例とは対照的に、粘度の安定性を呈することを示す。
[表2]
【国際調査報告】