(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電気機械
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20240305BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20240305BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K6/36
H02K7/18 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559136
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 DE2022100121
(87)【国際公開番号】W WO2022207029
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021108127.0
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン シュトーバー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ライツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン レーマン
【テーマコード(参考)】
3D202
5H607
【Fターム(参考)】
3D202EE22
3D202EE23
5H607CC09
5H607EE22
5H607FF22
(57)【要約】
電気機械であって、機械ハウジング(2)と、機械ハウジング(2)に収容されている、回転子キャリア(6)を備える回転子(5)と、回転子キャリア(6)を内燃機関のシャフト、特にクランクシャフト(16)に結合するための結合手段と、を含む、電気機械において、回転子キャリア(6)は、一方の側が機械ハウジング(2)に回転可能に支持されており、他方の側に設けられた結合手段は、回転子キャリア(6)に解離可能に連結可能な少なくとも1つの第1の環状ディスク(18、28)を含み、第1の環状ディスク(18、28)を介して回転子キャリア(6)は、クランクシャフト(16)に結合可能である、電気機械。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動可能な自動車のドライブトレイン用の電気機械であって、機械ハウジング(2)と、前記機械ハウジング(2)に収容された、回転子キャリア(6)を備える回転子(5)と、前記回転子キャリア(6)を内燃機関のクランクシャフト(16)に結合するための結合手段と、を含む、電気機械において、前記回転子キャリア(6)は、前記回転子(5)のトランスミッション側から内燃機関側へ軸方向に延在しており、
前記回転子キャリア(6)は、前記回転子(5)のトランスミッション側の軸方向端部で前記機械ハウジング(2)に回転可能に支持されており、
前記回転子キャリア(6)を前記クランクシャフト(16)に結合するための前記結合手段は、前記回転子(5)の内燃機関側の軸方向端部に設けられており、
前記回転子(5)の前記内燃機関側の軸方向端部に設けられた前記結合手段は、前記回転子キャリア(6)に解離可能に連結可能な少なくとも1つの第1の環状ディスク(18、28)を含み、前記第1の環状ディスク(18、28)を介して、前記回転子キャリア(6)は、前記クランクシャフト(16)に結合可能であることを特徴とする、電気機械。
【請求項2】
前記環状ディスク(18)は、軸方向でより柔性があり、径方向でより剛性があり、前記回転子キャリア(6)に解離可能に配置されており、前記クランクシャフト(16)に直接結合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
軸方向でより柔性があり、径方向でより剛性がある第2の環状ディスク(26)は、前記回転子キャリア(6)に固定結合されており、前記回転子キャリア(6)に前記第1の環状ディスク(28)が解離可能に配置されており、前記第1の環状ディスク(28)は、前記クランクシャフト(16)に結合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械。
【請求項4】
前記解離可能な第1の環状ディスク(18)は、複数のねじ結合部(20)を介して前記回転子キャリア(6)に解離可能に固定されているか、または固定された前記第2の環状ディスク(26)は、複数のリベット結合部(27)を介して前記回転子キャリア(6)に固定結合されており、前記第1の環状ディスク(28)は、複数のねじ結合部(30)を介して前記第2の環状ディスク(26)に解離可能に結合されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の電気機械。
【請求項5】
前記回転子キャリア(6)は、第1の円筒形軸方向フランジ(8)を有し、前記円筒形の軸方向フランジ(8)に、前記回転子キャリア(6)を前記機械ハウジング(2)に対して支持する転がり軸受け(9)が収容されており、前記転がり軸受け(9)に、径方向外側に向かって延びる第1の径方向フランジ(12)が接続しており、前記径方向フランジ(12)に、回転子積層コア(7)が着座する円筒形の第2の軸方向フランジ(14)が接続しており、前記第2の軸方向フランジ(14)に、前記第2の環状ディスク(26)が固定されている、径方向外側に向かって延びる第2の第2の径方向フランジ(15)が接続しているか、または前記環状ディスク(26)は、前記第1の径方向フランジ(12)に固定されているかのいずれかであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項6】
前記転がり軸受け(9)と前記第1の径方向フランジ(12)との間にシール要素(11)が軸方向に配置されており、前記シール要素(11)は、前記第1の軸方向フランジ(8)と前記機械ハウジング(2)との間の隙間をシールするか、または前記転がり軸受け(9)は、前記第1の径方向フランジ(12)に隣り合って配置されており、前記シール要素(11)は、前記転がり軸受け(9)に隣り合って配置されており、前記第1の軸方向フランジ(8)と前記機械ハウジング(2)との間の隙間をシールすることを特徴とする、請求項5に記載の電気機械。
【請求項7】
位置的に固定された、特に前記機械ハウジング(2)に配置された回転子位置センサ(24)が設けられており、前記回転子位置センサ(24)に、前記回転子キャリア(6)に配置されたトランスミッタ環状ディスク(25)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項8】
前記トランスミッタ環状ディスク(25)は、前記第1の径方向フランジ(12)に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の電気機械。
【請求項9】
電気機械装置であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の第1の電気機械(1)と、第2の電気機械と、を含み、前記第2の電気機械は、前記第2の電気機械に駆動連結されたトランスミッションを備える、電気機械装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気機械(1)、または請求項9に記載の電気機械装置の前記第1の電気機械(1)を内燃機関のクランクシャフト(16)に取り付けるための方法であって、
第1の環状ディスク(18、28)を、回転子キャリア(6)または第2の環状ディスク(26)から解離させ、
前記第1の環状ディスク(18、28)を前記クランクシャフト(16)に結合し、この結合後、前記電気機械(1)を、前記第2の径方向フランジ15が前記環状ディスク18に当接するように位置決めするか、または
前記第2の環状ディスク26の径方向外縁領域が前記第1の環状ディスク28と重なるように位置決めし、
前記回転子キャリア(6)を前記第1の環状ディスク(18)に結合するか、または
前記第2の環状ディスク(26)を前記第1の環状ディスク(28)に結合することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械ハウジングと、機械ハウジングに収容された、回転子キャリアを備える回転子と、回転子キャリアをシャフト、特に内燃機関のクランクシャフトに結合するための結合手段と、を含む、電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用途では、電気機械をシャフト、例えば、内燃機関のクランクシャフトに結合する必要がある場合がある。これは特に直列駆動のハイブリッド車両において当てはまり、この場合、同軸上に配置された2つの電気機械、または互いに結合もしくは連結されていないことから、互いにオフセットされた2つの電気機械がコンパクトなドライブユニットとして提供され、その2つの電気機械うちの一方の電気機械は、内燃機関のクランクシャフトに結合され、かつ発電機として機能して、第2の電気機械の動作に必要な電力を生成し、この場合、第2の電気機械は、モータとして機能し、駆動される車輪または駆動されるシャフトもしくはアクスルに連結されたトランスミッションに連結され、電力は、駆動機械に直接与えられるか、またはアキュムレータに一時的に貯蔵されるかのいずれかであり、必要に応じて取り出される。そのような装置は、例えば、国際公開第2019/101 264(A1)号に記載されている。例えば、そのような構成では、この場合は第1の電気機械の回転子をクランクシャフトに直接結合する必要がある。この結合は、回転子キャリアが機械ハウジングの入口で多少なりとも露出し、内向きの径方向フランジを介してクランクシャフトにねじ止めできるような形状にすることで行われる。電気機械の組み立て、または直列駆動の場合における2つの電気機械およびトランスミッションを含むパッケージの組み立ては、最終組み立ての過程で製造者側で行われる。(第1の)電気機械の回転子を機械ハウジングから取り出し、クランクシャフトに個別に組み立てる、つまり、ねじ止めする必要があるのは、それ以外の方法で設置された回転子では、ねじ止め可能な方法ではアクセスできないであろうからである。更なる組み立ての過程で、電気機械を取り付け、クランクシャフト側に固定された回転子上に固定子を押し込む必要がある。これは手間がかかり、互いに相対的に動く機械部品が損傷しないように正確かつ慎重に組み立てる必要がある。更に、固定子が回転子の中心に位置決めされるように、正確な位置決めに留意しなければならない。この組み立て後、製造者側で電気機械を「ティーチング」する必要がある。というのも、通常、機械には回転子位置センサが装備されており、回転子位置センサを介して、回転子の回転位置を正確かつ高分解能で検出することができるからである。この回転子位置センサは、回転子積層コアが着座する回転子キャリアに結合されているトランスミッタ部品、通常は環状ディスクと、機械ハウジングなどに位置固定的に配置され、トランスミッタディスク位置を検出するセンサと、を含む。トランスミッタ環状ディスクと一緒に回転子を取り外し、個別に取り付けるため、最終組み立て後は、最初の取り付け時と比較して、センサに対するトランスミッタ環状ディスクの位置が変化している可能性があり、このことからティーチングが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、従来の電気機械と比べて改善された電気機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本課題を解決するために、本発明によれば、冒頭で述べた種類の電気機械において、回転子キャリアが機械ハウジングの一方の側に回転可能に支持されており、他方の側に設けられた結合手段は、回転子キャリアに解離可能に連結可能な少なくとも1つの第1の環状ディスクを含み、第1の環状ディスクを介して回転子キャリアは、クランクシャフトに結合可能であることが提供される。
【0005】
本発明によれば、回転子キャリアは、対応する軸受け装置、通常は転がり軸受けを介して機械ハウジングに回転可能に支持されている。この軸受け面は、回転子キャリアの一方の側では機械ハウジングの更に内側に位置するが、他方の側ではクランクシャフトに対する回転子キャリアの固定面が設けられている。この固定を実現するために、対応する結合手段が設けられており、この対応する結合手段は、本発明によれば、回転子キャリアに解離可能に連結可能な少なくとも1つの第1の環状ディスクを含み、第1の環状ディスクを介して回転子キャリアは、クランクシャフトに結合可能である。これは、この結合面が解離可能な結合、つまり、必要な場合にのみ閉じることができる結合であり、この結合を介して回転子キャリアがクランクシャフトに結合されることを意味する。これにより、特に有利には、組み立ての過程で、この解離可能な環状ディスクをクランクシャフトに最初に結合することが可能になり、この結合は通常、環状ディスクをクランクシャフトに軸方向にねじ止めすることにより行われる。環状ディスクは、クランクシャフトから径方向に延在している。組み立ての過程で、電気機械が取り付けられ、この電気機械には、しっかりと組み立てられて支持された回転子が含まれ、最終組み立て位置において、回転子キャリアは、クランクシャフト側に固定された環状ディスクに直接的または間接的に結合される。ここでも軸方向のねじ止めを介して問題なく行うことができるが、クランクシャフト側の軸方向のねじ止めと比較して反対側から行うことができるのは、クランクシャフト側に固定された環状ディスクは、回転子キャリアに割り当てられた、または回転子キャリアに結合された対応する固定部と軸方向に重なるため、対応するねじ結合部をそこでセットすることができるようになるからである。
【0006】
本発明による電気機械は、単一の機械として、または2つの電気機械を含むコンパクトな機械装置の一部として、組み立てがはるかに容易であるのは、回転子を引き出して、個別に組み立てる必要がなく、その後、最終組み立ての過程で、固定子を回転子に対して再度位置決めする必要がないからである。また、製造者側で回転子位置センサ装置をティーチングする必要がなくなる。というのも、電気機械の製造の過程で、固定子-回転子装置がもはや変更されなくなった後は、この状態が変化しなくなるため、完成後にこのティーチングを行うことができるからである。
【0007】
回転子キャリアと、クランクシャフト側に固定可能な第1の環状ディスクとの結合に関しては、2つの変形形態が考えられる。本発明の第1の代替形態によれば、環状ディスクは、軸方向でより柔性があり、径方向でより剛性があってもよく、回転子キャリアに解離可能に配置することができ、クランクシャフトに直接結合可能であり得る。環状ディスク自体は、軸方向ではいくらか柔性があるが、それに比べて径方向ではより剛性があるディスクであり、このディスクは、フレックスプレートまたはフレックスディスクとも呼ばれることがある。この環状ディスクは、回転子キャリアに解離可能に配置されている。電気機械の組み立ての過程で、環状ディスクは、まず回転子キャリアから取り外され、クランクシャフトに固定される。電気機械の組み立ての過程で、対応する結合部を備える回転子キャリアは、環状ディスクに対して軸方向に移動され、これらは互いに面合わせした状態になるため、例えば、対応するねじ結合部を介して互いに解離可能に固定されるようになる。したがって、この構成では、回転子キャリアは、このより柔性がある環状ディスクまたはフレックスプレートを介してクランクシャフトに直接結合されている。
【0008】
代替的な構成では、軸方向でより柔性があり、径方向でより剛性がある第2の環状ディスクが、回転子キャリアに固定結合されており、回転子キャリアに第1の環状ディスクが解離可能に配置されており、第1の環状ディスクが、クランクシャフトに結合可能であることが提供され得る。つまり、本発明のこの構成では、回転子キャリアとクランクシャフトとの2ディスク結合が使用される。回転子キャリアに固定配置された、つまり組み立ての過程で解離することができない第2の環状ディスクは、この場合も、軸方向でより柔性があり、径方向でより剛性がある環状ディスク、つまりフレックスプレートまたはフレックスディスクであり、この環状ディスクは、その側で更に、第1の環状ディスクに解離可能に結合されている。組み立ての過程で、この第1の環状ディスクは、この第2の環状ディスクから再び解離することができ、クランクシャフトに個別に固定することができる、つまり再び軸方向にねじ止めすることができる。電気機械の組み立ての過程で、回転子キャリア側に固定配置された第2の環状ディスクは、クランクシャフト側に固定された第1の環状ディスクに案内されるため、これらの2つの環状ディスクを反対側から軸方向にねじ止めすることができるようになる。
【0009】
2つの変形形態は、それぞれの場合において、軸方向でより柔性があり、径方向でより剛性がある環状ディスク、つまりフレックスプレートを含む。動作中、クランクシャフトは回転運動に加えて軸方向にもわずかに動くことがあり、それがクランクシャフト上の環状ディスクのねじ止め面のぐらつきとなって現れる。これらの動きは、回転子への連結によって補正される必要がある。これにより、特に有利には、より柔性がある環状ディスクまたはフレックスプレートは、特に回転子キャリアが機械ハウジングの他方の端部で回転可能に支持されている、遊びがわずかに設けられている軸受けと組み合わせることが可能になる。これにより、この装置がクランクシャフトの動きを補正し得るかまたは追従し得ることが可能である。軸受けの遊びは、クランクシャフトの軸方向の動きに応じて回転子がわずかに動くことができるように設計されている必要があり、この場合、回転子と固定子とは接触してはならない。この場合、クランクシャフトまたはそこの結合面と、回転子キャリアの転がり軸受けとの間の軸方向距離が可能な限り大きい場合、軸受け内の軸方向の動きが小さくなり、軸受けの遊びを不必要に大きくする必要がなくなるので好都合である。
【0010】
解離可能な第1の環状ディスクは、複数のねじ結合部を介して回転子キャリアに解離可能に適切に結合されている。このために、対応するねじ穴を回転子キャリアに形成してもよい、ねじ山ブッシュが挿入されている穴を形成してもよい。2ディスクの解決策が使用される場合、固定された第2の環状ディスクは、複数のリベット結合を介して回転子キャリアに適切に固定結合され、一方、第1の環状ディスクは、複数のねじ結合部を介して第2の環状ディスクに解離可能に結合される。この場合も第2の環状ディスク、つまりフレックスディスクに、ねじ穴、またはねじ山ブッシュが設けられる穴のいずれかを設けてもよい。リベット結合を行うために、リベットを受け入れるための単純な穴が回転子キャリアおよび第2の環状ディスクに設けられている。
【0011】
前述のように、回転子キャリアは、両側で結合されている。ハウジング内にある側では、転がり軸受け、例えば、単列もしくは多列の玉軸受け、または2つのアンギュラ玉軸受けを介してハウジング側に固定または支持されている。クランクシャフトへの結合は、他方の開放した側に設けられている。回転子キャリアにこれらの2つの特定の接合点を形成するために、本発明によれば、回転子キャリアは、第1の円筒形軸方向フランジを有し、円筒形の軸方向フランジに、回転子キャリアを機械ハウジングに対して支持する転がり軸受けが収容されており、転がり軸受けに、径方向外側に向かって延びる第1の径方向フランジが接続しており、径方向フランジに、回転子積層コアが着座する第2の円筒形の軸方向フランジが接続しており、第2の軸方向フランジに、径方向外側に向かって延びる第2の径方向フランジが接続しており、第2の径方向フランジに、解離可能な環状ディスクであれ、固定された環状ディスクであれ、環状ディスクが固定されていることが提供されている。したがって、対応する段差形状が設けられており、この段差形状は、転がり軸受けおよび積層コアのための軸受け座、ならびに環状ディスクへの結合接合点を提供するために、対応するフランジを形成する。あるいは、環状ディスクが第1の径方向フランジに固定されていてもよい、すなわち、この実施形態では、第2の径方向フランジは設けられていない。
【0012】
この場合、転がり軸受けと第1の径方向フランジとの間に、第1の軸方向フランジと機械ハウジングとの間の隙間をシールするシール要素が配置されていてもよい。この場合、第2の電気機械にトランスミッションが連結された2つの電気機械の直列配置では、転がり軸受けは、トランスミッションの湿式室に配置されていてもよい、つまり、トランスミッションを介して潤滑され、他方、シール要素は、この湿式室を第1の電気機械の機械室に対してシールする。あるいは、転がり軸受けが第1の径方向フランジに隣り合って配置され、シール要素が転がり軸受けに隣り合って配置されて、第1の軸方向フランジと機械ハウジングとの間の隙間をシールすることが考えられる。したがって、この場合、転がり軸受けは、第1の電気機械の機械室、つまり、乾式室に配置され、この乾式室は、シール要素を介してトランスミッションの湿式室に対して更にシールされている。この場合、転がり軸受けにはグリースが充填されていることが必要であろう。シール要素は、例えば、径方向シャフトシールリングなどである。
【0013】
更に、位置的に固定された、特に機械ハウジングに配置された回転子位置センサが設けられていてもよく、回転子位置センサには、回転子キャリアに、特に第1の径方向フランジに配置されたトランスミッタ環状ディスクが割り当てられている。回転子位置センサおよびトランスミッタディスクは、回転子位置センサ装置を形成する。
【0014】
電気機械自体に加えて、本発明は更に、上述した種類の第1の電気機械と、第2の電気機械と、を含み、第2の電気機械は、第2の電気機械に駆動連結されたトランスミッションを備える、電気機械装置に関する。この機械装置は、2つの直列電気機械を含む直列配置であり、そのうちの第1の電気機械は、本発明により設計された機械であり、解離可能な環状ディスクとの対応する接合点装置を介して内燃機関のクランクシャフトに配置される。この電気機械は、燃焼力を介して発電機として機械的に駆動されて、第2の電気機械の動作に必要な電力を供給し、この電力は、もちろん、対応するアキュムレータ装置に貯蔵またはバッファリングすることもできる。第2の電気機械は、トランスミッションに結合され、トランスミッションを介して駆動される車輪または駆動されるアクスルなどに結合される。この機械装置は、1つの部品として組み立てることができるコンパクトに作られたユニットであり、本発明により提供される第1の機械の構成の結果として、内燃機関のクランクシャフトに簡単に結合することができる。したがって、機械装置は、電気駆動可能な自動車のドライブトレイン用のドライブユニットである。そのような機械装置またはドライブユニットは、2電気機械トランスミッションまたはハイブリッドトランスミッションとも呼ばれることがあり、ハイブリッド車用ドライブトレインの特にコンパクトな設計を可能にする。
【0015】
更に、本発明は、内燃機関のクランクシャフトに上述の電気機械、または上述の電気機械装置の第1の電気機械を組み立てる方法に関する。この場合、本発明によれば、第1の環状ディスクが回転子キャリアから解離されるか、または第2の環状ディスクが第1の環状ディスクから解離され、クランクシャフトに結合され、その後、電気機械が位置決めされ、回転子キャリアが第1の環状ディスクに結合されるか、または第1の環状ディスクが第2の環状ディスクに結合される。
【0016】
以下、図面を参照しながら実施例を用いて本発明を説明する。図面は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態の電気機械、特に更なる電気機械およびトランスミッションを備える機械装置の一部としての電気機械の概略図である。
【
図2】第2の実施形態の電気機械、特に更なる電気機械およびトランスミッションを備える機械装置の一部としての電気機械の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、固定子-回転子装置3が設けられている機械ハウジング2を含む、本発明による電気機械1の部分図を示す。電気機械1は、機械ハウジング2に位置固定的に配置された固定子4を含み、この固定子4は、冷却することができ、その冷却のために、冷却流体は、冷却チャネル33を循環することができる。更に、回転子5が設けられており、回転子5は、回転子キャリア6と、回転子キャリア6の上に配置された回転子積層コア7と、を含む。回転子キャリア6は、転がり軸受け9の軸受け座として機能する第1の円筒形軸方向フランジ8を含み、このフランジ8を介して、回転子キャリア6と、回転子キャリア6と共に回転子5全体とが、機械ハウジング2の対応する軸受け座10に回転可能に支持されている。転がり軸受け9と、第1の軸方向フランジ8に接続する第1の径方向フランジ12との間に配置されたシール要素11を介して、回転子-固定子装置3が設けられている機械室は、湿式室13に対してシールされ、湿式室13には、トランスミッション(ここでは詳細には図示せず)が第2の電気機械(同様にここでは詳細には図示せず)に連結されている。したがって、電気機械1は、電気駆動可能な自動車のドライブトレイン用の機械装置またはドライブユニットの一部であり、発電機として動作し、一方で、第2の電気機械は、電気モータとして動作し、トランスミッションを介して駆動する。
【0019】
径方向に延びる第1の径方向フランジは、軸方向に延びる第2の軸方向フランジ14に移行し、第2の軸方向フランジ14に回転子積層コア7が着座する。径方向外側に向かって突出する第2の径方向フランジ15が、この第2の軸方向フランジに接続する。この径方向フランジ15は、回転子キャリア6と内燃機関のクランクシャフト16とを結合するための接合点の機能を有する。このために、第2の径方向フランジ15は、円周上に等間隔に分布させて配置されている複数のねじ穴17を有する。対応する穴19を有する(第1の)環状ディスク18は、第2の径方向フランジ15に当接し、対応する穴19を介して、環状ディスク18は、第2の径方向フランジ15に解離可能に固定される。この固定は、ねじ穴17にねじ込まれる、対応するねじ結合部20によって行われる。したがって、環状ディスク18を回転子キャリア6から解離することができる解離可能な接合点が与えられる。
【0020】
環状ディスク18は、軸方向ではある程度の弾性を有するが、それに対して径方向ではより剛性があるフレックスプレートまたはフレックスディスクである。この準軸方向にわずかに弾性のある環状ディスク18を介して、動作中に発生する可能性のあるクランクシャフト16の軸方向の動きを吸収することが可能である。これらの軸方向の動きは、場合によっては転がり軸受け9の遊びによっても吸収することができ、また、クランクシャフトの動きまたは環状ディスク18のぐらつきによる動きからも生じる可能性のあるわずかな径方向の動きによっても吸収される。
【0021】
環状ディスク18自体は、対応するねじ結合部21を介してクランクシャフト16に軸方向に解離可能にねじ止めされており、この場合、カバーディスク22を介在させることもできる。これは、環状ディスク18の第2の解離可能な接合点がここに設けられていることを意味する。
【0022】
電気機械1またはその一部となり得る機械装置の組み立ての過程で、環状ディスク18は、自動車製造者により電気機械1または機械装置が完成された後、ねじ結合部20を緩めることによって回転子キャリア6から解離される。続けて、環状ディスク18は、ねじ結合部21を介してクランクシャフト16に軸方向にねじ止めされる。その後、電気機械1または機械装置は、第2の径方向フランジ15が環状ディスク18に当接し、穴19がねじ穴17と揃えられるように位置決めされる。このために、回転子キャリア6に、例えば、芯出しポイントなどの芯出し要素が設けられていてもよく、これらの芯出し要素は、互いに押し付けられたときに芯出し調整するために環状ディスク18の芯出し穴に係合する。このとき、ねじ結合部20は、ねじ止めされ、これは、ねじ結合部20がクランクシャフト固定部のねじ結合部21の反対側でセットされるため、問題なく行うことができる。ここでは軸方向に配置されたねじ結合部20が示されているが、ねじは、内燃機関の設置スペース条件に応じて、角度を付けて配置することもでき、または回転子キャリアの対応する構成において径方向に配置することもできる。
【0023】
電気機械1はさらに、回転子位置センサ装置23を有し、回転子位置センサ装置23は、位置的に固定された、例えば、機械ハウジングに配置された回転子位置センサ24と、ここでは第1の径方向フランジ12に配置されているトランスミッタリング25と、を含む。電気機械1の製造の過程で、すべての機械コンポーネント、つまり、特に回転子-固定子装置3および回転子位置センサ装置23が組み立てられる。その後の組み立て全体において、この装置は変化しない。これにより、回転子位置センサ装置23を電気機械の製造者側でティーチングし得ることが可能になる。電気機械を設置する自動車製造者側では、クランクシャフトへの結合を行うだけで、それ以外の追加の作業は必要ない。
【0024】
図2は、本発明による電気機械1の第2の構成を示しており、その基本構造は、
図1のものと同様である。ここでは、回転子キャリア6と、クランクシャフト16へのその結合のみが少し異なって構成されている。
【0025】
回転子キャリア6は、ここでも、第1の軸方向フランジ8、第1の径方向フランジ12、および第2の軸方向フランジ14を有する。図示の例では、第2の環状ディスク26は、回転子キャリア6に解離不能に取り付けられており、このために、径方向フランジ12および第2の環状ディスク26の対応する穴28、29を貫通する対応するリベット結合部27が設けられている。この第2の環状ディスク26はまた、フレックスディスクとして構成されている、つまり、径方向よりも軸方向でわずかに柔性があるため、場合によって起こるクランクシャフトの軸方向の動きを問題なく吸収できるようになっている。
【0026】
回転子キャリア6をクランクシャフト16に結合するために、第1の環状ディスク28が用いられ、第1の環状ディスク28は、一方では、ねじ結合部34を介してクランクシャフト16に軸方向にねじ込まれ、他方では、ねじ結合部30を介して第2の環状ディスク26に軸方向に結合される。このために、第2の環状ディスク26は、更に、ねじ結合部30がねじ込まれる、対応するねじ穴31を有する。このリベット面は、径方向フランジ12への環状ディスク26のねじ込み面よりも径方向外側にある。
【0027】
組み立ての過程で、ここでは、第1の環状ディスク28は、ねじ結合部30を緩めることによって第2の環状ディスク26から解離され、第2の環状ディスク26は、前述のように固定して、この場合は組み立ての過程で解離不能に回転子キャリア6に結合されている。別個の部品として、第1の環状ディスク28は更に、ねじ結合部34を介してクランクシャフト16に軸方向にねじ止めされる。続けて、電気機械1は、第2の環状ディスク26の径方向外縁領域が第1の環状ディスク28と重なり、対応する穴32が第2の環状ディスク26のそれぞれのねじ穴31と重なるように位置決めされる。続けて、ねじ結合部30がセットされ、ここでもねじ結合部29と比較して反対側から軸方向にねじ込まれる。
【0028】
したがって、この構成では非常に簡単な組み立ても可能であり、特に、前述のように、回転子5自体はもはや分解することができない。
【符号の説明】
【0029】
1 機械
2 機械ハウジング
3 回転子-固定子装置
4 固定子
5 回転子
6 回転子キャリア
7 回転子積層コア
8 軸方向フランジ
9 転がり軸受け
10 軸受け座
11 シール要素
12 径方向フランジ
13 湿式室
14 軸方向フランジ
15 径方向フランジ
16 クランクシャフト
17 ねじ穴
18 環状ディスク
19 穴
20 ねじ結合部
21 ねじ結合部
22 カバーディスク
23 回転子位置センサ装置
24 回転子位置センサ
25 トランスミッタ環状ディスク
26 環状ディスク
27 リベット結合部
28 環状ディスク
29 ねじ結合部
30 ねじ結合部
31 ねじ穴
32 穴
33 冷却剤チャネル
34 ねじ結合部
【国際調査報告】