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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】免疫原性組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/44 20060101AFI20240305BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240305BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240305BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240305BHJP
   C07K 14/11 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
C12N15/44 ZNA
A61K39/145
A61P31/16
A61P37/04
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K9/16
A61K47/34
A61K47/28
A61K47/42
A61K47/14
C07K14/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559678
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022057934
(87)【国際公開番号】W WO2022200575
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/166,539
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(71)【出願人】
【識別番号】509014386
【氏名又は名称】キュアバック エスイー
【氏名又は名称原語表記】CureVac SE
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Miescher-Strasse 15,72076 Tuebingen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロース,ハンス ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ジャスニー,エディス
(72)【発明者】
【氏名】ミューエ,ジャニーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッシレフ,ヴェンチスラフ ボジダロフ
(72)【発明者】
【氏名】ロリン,クラリーゼ
(72)【発明者】
【氏名】オークド,ナディア
(72)【発明者】
【氏名】マレット,コリー
(72)【発明者】
【氏名】ルーセル,ロナン
(72)【発明者】
【氏名】ブレーズ,ノルマン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076CC35
4C076DD44
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE41
4C084AA13
4C084MA41
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB211
4C084ZB331
4C085AA03
4C085BA55
4C085CC08
4C085EE01
4C085EE05
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA31
(57)【要約】
本発明は、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも1つのコード配列を含む、担体製剤化mRNA及び関連する態様に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも1つのコード配列を含む、担体製剤化mRNA。
【請求項2】
担体が、脂質ナノ粒子(LNP)である、請求項1に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項3】
LNPが、PEG修飾された脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びイオン化可能カチオン性脂質を含む、請求項2に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項4】
イオン化可能カチオン性脂質が、式III:
【化1】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレン又はC1~C12アルケニレンであり、
G3は、C1~C24アルキレン、C1~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、又はC3~C8シクロアルケニレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキル又はC6~C24アルケニルであり、
R3は、H、OR5、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4、又は-NR5C(=O)R4であり、
R4は、C1~C12アルキルであり、
R5は、H又はC1~C6アルキルである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する、請求項3に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項5】
イオン化可能カチオン性脂質が、式III:
【化2】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレンであり、
G3は、C1~C24アルキレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキルであり、
R3は、OR5であり、
R5は、Hである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する、請求項4に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項6】
イオン化可能カチオン性脂質が、式:
【化3】
を有する、請求項3に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項7】
イオン化可能カチオン性脂質が、式III-3:
【化4】
を有する、請求項6に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項8】
少なくとも1つのPEG-脂質が、PEG-DMG又はPEG-cDMAを含む、請求項4に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項9】
少なくとも1つのPEG-脂質が、式IVa:
【化5】
(式中、
nは、30~60の範囲にある平均値を有し、好ましくは、nは、約45、46、47、48、49、50、51、52、53、54の平均値を有し、最も好ましくは、nは、49若しくは45の平均値を有するか、又は
nは、PEG脂質の平均分子量が約2500g/molであるように選択される整数である)
によるものを含む、請求項4に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項10】
イオン化可能カチオン性脂質が、式III-3:
【化6】
を有する、請求項9に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項11】
非カチオン性脂質が、中性脂質、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、又はスフィンゴミエリン(SM)であり、好ましくは、中性脂質が、DSPCである、請求項3から10のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項12】
ステロールが、コレステロールである、請求項3から11のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項13】
LNPが、およそ0.5~15モル%のPEG修飾された脂質、およそ5~25モル%の非カチオン性脂質、およそ25~55モル%のステロール、及びおよそ20~60モル%のイオン化可能カチオン性脂質を含む、請求項2から12のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項14】
LNPが、直径50~200nmである、請求項2から13のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項15】
LNPが、0.4以下、例えば、0.3以下の多分散性を有する、請求項2から14のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項16】
ヌクレオチド(N)とリン脂質(P)との比が、1N:1P~20N:1P、1N:1P~10N:1P、2N:1P~8N:1P、2N:1P~6N:1P、又は3N:1P~5N:1Pの範囲にある、請求項2から15のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項17】
mRNAの少なくとも半分、好適には少なくとも85%、とりわけ少なくとも95%、例えば、そのすべてが、LNPに封入されている、請求項2から16のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項18】
mRNAが、シグナルペプチド、リンカー、ヘルパーエピトープ、抗原クラスター形成エレメント、三量体化エレメント、膜貫通型エレメント、タンパク質ナノ粒子、及び/又はVLP形成配列から選択される1つ以上の異種ペプチド又はタンパク質エレメントをコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項19】
mRNAが、タンパク質ナノ粒子をコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項20】
タンパク質ナノ粒子が、フェリチンである、請求項19に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項21】
フェリチンが、細菌及び昆虫フェリチンから選択される、請求項20に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項22】
フェリチンが、細菌フェリチンである、請求項20又は21に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項23】
細菌フェリチンが、H.ピロリフェリチンである、請求項22に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項24】
タンパク質ナノ粒子及びインフルエンザHAステムポリペプチドが、リンカーによって接続されており、リンカーが、1~10個の残基、好ましくは、2~5個の残基、例えば、2個、3個、4個、又は5個の残基からなる、請求項18から23のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項25】
リンカーが、ポリペプチド配列SGGを含むか、又はそれからなる、請求項18から24のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項26】
膜貫通型エレメントが、天然のインフルエンザHA膜貫通型エレメントである、請求項18から25のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項27】
シグナルペプチドが、天然のリーダー又はHLA-Drαリーダーである、請求項18から26のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項28】
mRNAが、シグナルペプチド、好ましくは天然のリーダー、前記少なくとも1つのコード配列、リンカー、及び膜貫通型エレメントをコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、請求項1から27のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項29】
mRNAが、シグナルペプチド、好ましくは天然のリーダー、前記少なくとも1つのコード配列、リンカー、及びタンパク質ナノ粒子、好ましくは細菌フェリチン、より好ましくはH.ピロリフェリチンをコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、請求項1から28のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項30】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、全長インフルエンザHAステム領域を含むか又はそれからなるポリペプチドである、請求項1から29のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項31】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントを含むか又はそれからなるポリペプチドである、請求項1から30のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項32】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントを含むか又はそれからなるポリペプチドである、請求項1から31のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項33】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群又は2群から誘導される、請求項1から32のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項34】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ1群、好ましくはA型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、又はH18、より好ましくはH1から誘導される、請求項33に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項35】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項34に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項36】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項34又は35に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項37】
mRNAが、配列番号6又は配列番号7のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号7に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、請求項34から36のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項38】
mRNAが、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、請求項34から36のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項39】
mRNAが、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項35又は36に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項40】
mRNAが、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項35又は36に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項41】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ2群、好ましくはA型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及びH15、より好ましくはH3、H7、又はH10から誘導される、請求項33に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項42】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、好ましくは、mRNAが、配列番号19、配列番号20、又は配列番号28の核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するHAステムコード配列を含む、請求項41に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項43】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、好ましくは、mRNAが、配列番号19、配列番号20、又は配列番号28の核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するHAステムコード配列を含む、請求項41又は42に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項44】
mRNAが、配列番号8、配列番号9、又は配列番号11のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、請求項41から43のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項45】
mRNAが、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、請求項41から43のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項46】
mRNAが、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項42又は43に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項47】
mRNAが、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項42又は43に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項48】
コード配列が、コドン修飾されたコード配列であり、コドン修飾されたコード配列によりコードされるアミノ酸配列が、好ましくは、対応する野生型又は参照コード配列によりコードされるアミノ酸配列と比較して修飾されていない、請求項1から47のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項49】
コドン修飾されたコード配列が、C最大化コード配列、CAI最大化コード配列、ヒトコドン使用適合コード配列、G/C含有量が修飾されたコード配列、及びG/Cが最適化されたコード配列、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項48に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項50】
コドン修飾されたコード配列が、少なくとも約45%、50%、55%、又は60%のG/C含有量を有する、請求項48又は49に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項51】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、長さが400残基以下、とりわけ300残基以下、特に250残基以下、例えば、220残基以下である、請求項1から50のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項52】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、長さが130残基以上、とりわけ160残基以上、特に180残基以上、例えば、190残基以上である、請求項1から51のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項53】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、長さが130~400残基、とりわけ160~300、特に180~250、例えば、190~220である、請求項1から52のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項54】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列が、別個のmRNA分子上にコードされる、請求項1から53のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項55】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列が、同じmRNA分子上にコードされる、請求項1から53のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項56】
前記2つ以上のコード配列が、異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項54又は55に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項57】
2つ以上のコード配列が、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ又は4つのコード配列を含む、請求項54から56のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項58】
前記2つ以上のコード配列が、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項54から57のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項59】
前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ1群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18、より好ましくはH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ2群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15、より好ましくはH3、H7、及び/又はH10、なおより好ましくはH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項58に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項60】
前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項59に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項61】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ以上のコード配列を含み、前記3つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、好ましくは、担体製剤化mRNAが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない、請求項60に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項62】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも3つのコード配列を含むが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まず、好ましくは、担体製剤化mRNAが、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない、請求項60又は61に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項63】
A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項59から62のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項64】
A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項63に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項65】
mRNAが、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項63又は64に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項66】
mRNAが、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項63又は64のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項67】
A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項58から66のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項68】
A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号5のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項67に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項69】
mRNAが、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項67又は68に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項70】
mRNAが、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項67又は68に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項71】
mRNAが、5'キャップ、好ましくは、m7G、キャップ0、キャップ1、キャップ2、修飾されたキャップ0、又は修飾されたキャップ1構造、好ましくは、5'キャップ1構造を含む、請求項1から70のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項72】
mRNAが、好ましくは30~200個のアデノシンヌクレオチドを含む、ポリ(A)テール配列、及び/又は好ましくは10~40個のシトシンヌクレオチドを含む、少なくとも1つのポリ(C)配列を含む、請求項1から71のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項73】
mRNAが、少なくとも1つのヒストンステムループを含む、請求項1から72のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項74】
mRNAが、30~200個のアデノシンヌクレオチド、好ましくは、100個のアデノシンヌクレオチドを含む、少なくとも1つのポリ(A)テール配列を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドがアデノシンである、請求項1から73のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項75】
mRNAが、5'非翻訳領域(UTR)を含む、請求項1から74のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項76】
5'-UTRが、HSD17B4、RPL32、ASAH1、ATP5A1、MP68、NDUFA4、NOSIP、RPL31、SLC7A3、TUBB4B、及びUBQLN2から選択される遺伝子の5'-UTR、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項75に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項77】
mRNAが、3' UTRを含む、請求項1から76のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項78】
3' UTRが、PSMB3、ALB7、CASP1、COX6B1、GNAS、NDUFA1、及びRPS9から選択される遺伝子の3'-UTR、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項77に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項79】
mRNAが、HSD17B4由来の5'-UTRから誘導される核酸配列を含むか又はそれからなる異種5'-UTR、及びPSMB3の3'-UTRから誘導される核酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1つの異種3'-UTRを含む、請求項1から78のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項80】
mRNAが、5'から3'に:
i)5'キャップ1構造、
ii)HSD17B4遺伝子の5'-UTRから誘導される、5'-UTR、
iii)コード配列、
iv)PSMB3遺伝子の3'-UTRから誘導される、3'-UTR、
v)場合により、ヒストンステムループ配列、及び
vi)約100個のAヌクレオチドを含むポリ(A)配列
を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドがアデノシンである、請求項1から79のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項81】
mRNAが、化学的に修飾されたヌクレオチドを含まない、請求項1から80のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項82】
mRNAが、少なくとも1つの化学的修飾を含む、請求項1から80のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項83】
化学的修飾が、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、N1-エチルシュードウリジン、2-チオウリジン、4'-チオウリジン、5-メチルシトシン、5-メチルウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5-メトキシウリジン、及び2'-O-メチルウリジンから選択される、請求項82に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項84】
化学的修飾が、N1-メチルシュードウリジン及び/又はシュードウリジン、好ましくは、N1-メチルシュードウリジンである、請求項82又は83に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項85】
化学的修飾を含むmRNAが、ウリジン修飾であり、好ましくは、mRNAにおけるウリジン位置の100%が、修飾されている、請求項82又は84に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項86】
mRNAが、非複製性である、請求項1から85のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項87】
mRNAが、自己複製性である、請求項1から85のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項88】
自己複製性RNA分子が、(i)自己複製性RNA分子からRNAを転写することができるRNA依存性RNAポリメラーゼ、及び(ii)インフルエンザHAステムポリペプチド、をコードする、請求項87に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項89】
RNA分子が、2つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものが、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものが、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項87又は88のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項90】
RNA分子が、3つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものが、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものが、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、その第三のものが、タンパク質ナノ粒子をコードする、請求項87又は88に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項91】
mRNAが、5'キャップ-5'UTR-非構造タンパク質(NSP)1~4-サブゲノムプロモーター-インフルエンザHAステムポリペプチド-リンカー-タンパク質ナノ粒子-3'UTR-ポリAの構成を有する、請求項88から90のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項92】
請求項1から91のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNAを含む、免疫原性組成物であって、場合により、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、免疫原性組成物。
【請求項93】
請求項1から91のいずれか一項に記載のmRNAに加えて、複数又は少なくとも1つのさらなるmRNAを含む多価組成物である、請求項92に記載の免疫原性組成物。
【請求項94】
多価組成物が、請求項1から91のいずれか一項に記載の2つ以上のmRNA、好ましくは、請求項1~91のいずれか一項に記載の2つ、3つ、又は4つのmRNA、より好ましくは、それぞれが異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするものを含む、請求項93に記載の免疫原性組成物。
【請求項95】
前記2つ以上のmRNAが、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項94に記載の免疫原性組成物。
【請求項96】
前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ1群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18、より好ましくはH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ2群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15、より好ましくはH3、H7、及び/又はH10、なおより好ましくはH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項95に記載の免疫原性組成物。
【請求項97】
前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つ、好ましくはそれぞれが、非複製性である、請求項94から96のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項98】
請求項1から91のいずれか一項に記載のmRNA、及び/又は請求項92から97のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を含む、ワクチン。
【請求項99】
請求項1から91のいずれか一項に記載のRNAの複数若しくは少なくとも1つより多く、又は請求項92から97のいずれか一項に記載の組成物の複数若しくは少なくとも1つより多くを含む多価ワクチンである、請求項98に記載のワクチン。
【請求項100】
請求項1から91のいずれか一項に記載のRNA、及び/又は請求項92から97のいずれか一項に記載の組成物、及び/又は請求項98若しくは99に記載のワクチンを含み、場合により、溶解のための液体ビヒクルを含み、場合により、成分の投与及び投薬量についての情報を提供する技術指示書を含む、キット又はパーツのキット(kit of parts)。
【請求項101】
医薬としての使用のための、請求項1から91のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA、請求項92から97のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、請求項98又は99に記載のワクチン、請求項100に記載のキット又はパーツのキット。
【請求項102】
インフルエンザウイルス、好ましくは、A型インフルエンザウイルスの感染の治療又は予防における使用のための、請求項1から91のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA、請求項92から97のいずれか一項に記載の組成物、請求項98又は99に記載のワクチン、請求項100に記載のキット又はパーツのキット。
【請求項103】
担体製剤化mRNAの単回用量が、0.01~1000μg、とりわけ1~500μg、特に10~250μgの総mRNAである、請求項102に記載の使用のための担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
【請求項104】
筋肉内投与のための、請求項102又は103に記載の使用のための担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
【請求項105】
免疫応答、好ましくは適応免疫応答、より好ましくはインフルエンザウイルス、好ましくはA型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が誘発される、請求項102から104のいずれか一項に記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
【請求項106】
誘発される免疫応答が、1つ以上の症状の重症度及び/又は対象がインフルエンザウイルス感染の1つ以上の症状を経験する期間を部分的又は完全に低減する、請求項102から105のいずれか一項に記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
【請求項107】
誘発される免疫応答が、チャレンジ後に確立されたインフルエンザウイルス感染を発症する可能性を低減する、請求項102から106のいずれか一項に記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
【請求項108】
誘発される免疫応答が、インフルエンザの進行を減速させる、請求項102から107のいずれか一項に記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
【請求項109】
障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から91のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA、請求項92から97のいずれか一項に記載の組成物、請求項98若しくは99に記載のワクチン、又は請求項100に記載のキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む、方法。
【請求項110】
障害が、インフルエンザウイルス、好ましくは、A型インフルエンザウイルスの感染である、請求項109に記載の障害を治療又は予防する方法。
【請求項111】
必要とする対象が、哺乳類対象、好ましくは、ヒト対象である、請求項109又は110に記載の障害を治療又は予防する方法。
【請求項112】
免疫応答を誘発する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から91のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA、請求項92から97のいずれか一項に記載の組成物、請求項98若しくは99に記載のワクチン、又は請求項100に記載のキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む、方法。
【請求項113】
免疫応答が、適応免疫応答、好ましくは、インフルエンザウイルス、好ましくはA型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答である、請求項112に記載の免疫応答を誘発する方法。
【請求項114】
適応免疫応答が、担体製剤化mRNAによってコードされないHAタンパク質に結合する抗体の産生を含む、請求項113に記載の免疫応答を誘発する方法。
【請求項115】
免疫応答が、インフルエンザウイルスに対する、好ましくは、A型インフルエンザウイルスに対する、より好ましくは、A型インフルエンザウイルスの1群及び/又は2群のサブタイプに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を含む、請求項112から114のいずれか一項に記載の免疫応答を誘発する方法。
【請求項116】
必要とする対象が、哺乳類対象、好ましくは、ヒト対象である、請求項112から115のいずれか一項に記載の免疫応答を誘発する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月26日に出願された米国仮出願第63/166539号に基づく優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書中に取り込まれる。
【0002】
本発明は、保健福祉省の機関である国立衛生研究所との共同研究開発契約のもとに作成された。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、担体製剤化mRNAの形態で送達されるヘマグルチニン(HA)ステムポリペプチドを使用したインフルエンザ免疫及び関連する態様に関する。
【背景技術】
【0004】
インフルエンザウイルスは、世界的な公衆衛生に対して著しい影響を有し、毎年数百万件の重度の疾病、数千件の死亡、及び相当な経済損失を引き起こす。現在の三価又は四価のインフルエンザワクチンは、ワクチン株及び緊密に関連する分離株に対する抗体応答を誘発するが、サブタイプ内のより多様な株又は他のサブタイプにまで及ぶことは稀である。加えて、適切なワクチン株の選択は、多くの課題を提示し、最適とは言えない防御をもたらすことが頻繁にある。
【0005】
インフルエンザウイルスに対するワクチン接種によって誘導される防御免疫応答は、主として、ウイルスと宿主細胞受容体との相互作用を担うウイルスの表面上の糖タンパク質であるウイルスHAタンパク質を対象としている。ウイルス表面上のHAタンパク質は、HAタンパク質モノマーの三量体であり、これが、酵素的に切断されてアミノ末端のHA1及びカルボキシ末端のHA2ポリペプチドが生じる。球状のヘッドは、HA1ポリペプチドの主要な部分から排他的になり、一方で、HAタンパク質をウイルス脂質エンベロープ内に固定するステムは、HA2及びHA1の一部から構成される。HAタンパク質の球状のヘッドは、シアル酸結合部位を含むドメインである受容体結合ドメイン(RBD)、及びRBDのすぐ下のより小さな領域である痕跡エステラーゼドメインという2つのドメインを含む。球状のヘッドは、免疫優性エピトープを含むいくつかの抗原性部位を含む。
【0006】
したがって、インフルエンザに対する抗体は、HAの球状のヘッドにおける種々の抗原性部位を標的とすることが多く、そのため、抗原的に緊密に関連するウイルスのみを中和する。HAヘッドの多様性は、インフルエンザウイルスの一定の抗原ドリフト(すなわち、タンパク質配列の変化)に起因し、インフルエンザの季節性流行に関与する。HAの配列及び他の表面糖タンパク質であるノイラミニダーゼ(NA)の配列(これも抗原ドリフトによって影響を受ける)に基づいて、インフルエンザウイルス株は、異なるサブタイプに分類されている。合計で18個のHA及び11個のNAが、現時点で単離されており、さらに、それぞれ、2つの群に分割され、例えば、HA群1は、例えば、H1、H2、H5、及びH9を含み、群2は、例えば、H3、H7、及びH10を含む。
【0007】
HAヘッドとは対照的に、HAステムは、高度に保存されており、抗原ドリフトをほとんど経験しない。
【0008】
実際に、高度に保存されたHAステムを認識する、完全に新しいクラスのインフルエンザウイルスに対する広範囲中和抗体が、単離されている(Corti, 2011)。株特異的抗体とは異なり、この新しいクラスの抗体は、複数の抗原的に異なるウイルスを中和することができる。しかしながら、ヘッドドメインが欠如したHAステムでのワクチン接種により対象においてこれらの抗体を強固に誘発することは、困難である(Steel, 2010)。HAの免疫優性ヘッド領域(競合的エピトープを含む)の除去及び結果として得られるステム領域の遺伝子操作による安定化は、これらの広範囲中和ステム抗体の誘発を改善するための可能性のある手段の1つである。
【0009】
過去数十年間におけるバイオテクノロジーの進化により、新規なワクチンプラットフォームの生成に利用される生物材料の操作が可能となっている。ほぼすべての生きた生物において見出される鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンが、いくつかの可能性のある生物化学/生物医学目的で広く研究及び操作されている例である。安定化されたステム三量体を提示するためのフェリチン自己集合ナノ粒子の使用は、Corbett, 2019に記載されている。
【0010】
メッセンジャーRNA(mRNA)は、遺伝子の遺伝子配列に対応する一本鎖RNA分子であり、タンパク質を産生するプロセスにおいてリボソームによって読み取られる。mRNAベースのワクチンは、生減弱化/不活性化病原体又はサブユニットワクチンを含む従来的な戦略に対する代替的なワクチン接種アプローチを提供する(Zhang, 2019)。mRNAワクチンは、非複製性mRNA又は自己複製性RNA(自己増幅性mRNA若しくはSAMとも称される)を利用し得る。非複製性mRNAベースのワクチンは、典型的に、目的の抗原をコードし、5'及び3'非翻訳領域(UTR)、5'キャップ、並びにポリ(A)テールを含み、一方で、自己増幅性RNAはまた、細胞内RNA増幅を可能にするウイルス複製機構をコードする(Pardi, 2018)。
【0011】
インフルエンザウイルスに対する広範且つ強固な免疫応答を提供するインフルエンザワクチンに対する必要性が残っている。特に、今後発生する季節性及びパンデミックインフルエンザウイルス株を含む、インフルエンザウイルスの異種株から個体を保護するインフルエンザワクチン(すなわち、「ユニバーサルワクチン」)に対する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0012】
インフルエンザHAステム領域の免疫原性が、担体製剤化mRNAの形態で送達した場合に強化されることが、見出されている。
【0013】
特に、又は加えて、担体製剤化mRNAによってコードされるインフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザウイルスに対する、好適にはA型インフルエンザウイルスに対する、より好適にはA型インフルエンザウイルスの1群及び/又は2群のサブタイプに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を誘導することが、見出されている。
【0014】
本発明は、したがって、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも1つのコード配列を含む、担体製剤化mRNAを提供する。mRNAは、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードするため、ステムポリペプチドをコードするがインフルエンザHAヘッド領域はコードしない、担体製剤化mRNAが提供される。したがって、mRNAは、全長インフルエンザHAタンパク質をコードしない。
【0015】
一部の実施形態では、担体は、脂質ナノ粒子(LNP)である。
【0016】
一部の実施形態では、LNPは、PEG修飾された脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びイオン化可能カチオン性脂質を含む。
【0017】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式III:
【0018】
【化1】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレン又はC1~C12アルケニレンであり、
G3は、C1~C24アルキレン、C1~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、又はC3~C8シクロアルケニレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキル又はC6~C24アルケニルであり、
R3は、H、OR5、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4、又は-NR5C(=O)R4であり、
R4は、C1~C12アルキルであり、
R5は、H又はC1~C6アルキルである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する。
【0019】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式III:
【0020】
【化2】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレンであり、
G3は、C1~C24アルキレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキルであり、
R3は、OR5であり、
R5は、Hである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する。
【0021】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式:
【0022】
【化3】
を有する。
【0023】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式III-3:
【0024】
【化4】
を有する。
【0025】
一部の実施形態では、少なくとも1つのPEG-脂質は、PEG-DMG又はPEG-cDMAを含む。
【0026】
一部の実施形態では、少なくとも1つのPEG-脂質は、式IVa:
【0027】
【化5】
(式中、
nは、30~60の範囲にある平均値を有し、好適には、nは、約45、46、47、48、49、50、51、52、53、54の平均値を有し、最も好適には、nは、49若しくは45の平均値を有するか、又は
nは、PEG脂質の平均分子量が約2500g/molであるように選択される整数である)
によるものを含む。
【0028】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式III-3:
【0029】
【化6】
を有する。
【0030】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、中性脂質、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、又はスフィンゴミエリン(SM)であり、好適には、中性脂質は、DSPCである。
【0031】
一部の実施形態では、ステロールは、コレステロールである。
【0032】
一部の実施形態では、LNPは、およそ0.5~15モル%のPEG修飾された脂質、およそ5~25モル%の非カチオン性脂質、およそ25~55モル%のステロール、及びおよそ20~60モル%のイオン化可能カチオン性脂質を含む。
【0033】
一部の実施形態では、LNPは、直径が50~200nmである。
【0034】
一部の実施形態では、LNPは、0.4以下、例えば、0.3以下の多分散性を有する。
【0035】
一部の実施形態では、ヌクレオチド(N)とリン脂質(P)との比は、1N:1P~20N:1P、1N:1P~10N:1P、2N:1P~8N:1P、2N:1P~6N:1P、又は3N:1P~5N:1Pの範囲にある。
【0036】
一部の実施形態では、mRNAの少なくとも半分、好適には少なくとも85%、とりわけ少なくとも95%、例えば、そのすべてが、LNPに封入されている。
【0037】
一部の実施形態では、mRNAは、シグナルペプチド、リンカー、ヘルパーエピトープ、抗原クラスター形成エレメント、三量体化エレメント、膜貫通型エレメント、タンパク質ナノ粒子、及び/又はVLP形成配列から選択される1つ以上の異種ペプチド又はタンパク質エレメントをコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む。
【0038】
一部の実施形態では、mRNAは、タンパク質ナノ粒子をコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む。
【0039】
一部の実施形態では、タンパク質ナノ粒子は、フェリチンである。
【0040】
一部の実施形態では、フェリチンは、細菌及び昆虫フェリチンから選択される。
【0041】
一部の実施形態では、フェリチンは、細菌フェリチンである。
【0042】
一部の実施形態では、細菌フェリチンは、H.ピロリ(H. pylori)フェリチンである。
【0043】
一部の実施形態では、タンパク質ナノ粒子及びインフルエンザHAステムポリペプチドは、リンカーによって接続されており、リンカーは、1~10個の残基、好適には、2~5個の残基、例えば、2個、3個、4個、又は5個の残基からなる。
【0044】
一部の実施形態では、リンカーは、ポリペプチド配列SGGを含むか、又はそれからなる。
【0045】
一部の実施形態では、膜貫通型エレメントは、天然のインフルエンザHA膜貫通型エレメントである。
【0046】
一部の実施形態では、シグナルペプチドは、天然のリーダー又はHLA-Drαリーダーである。
【0047】
一部の実施形態では、mRNAは、シグナルペプチド、好適には天然のリーダー、前記少なくとも1つのコード配列、リンカー、及び膜貫通型エレメントをコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。
【0048】
一部の実施形態では、mRNAは、シグナルペプチド、好適には天然のリーダー、前記少なくとも1つのコード配列、リンカー、及びタンパク質ナノ粒子、好適には細菌フェリチン、より好適にはH.ピロリフェリチンをコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。
【0049】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、全長インフルエンザHAステム領域を含むか又はそれからなるポリペプチドである。
【0050】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントを含むか又はそれからなるポリペプチドである。
【0051】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントを含むか又はそれからなるポリペプチドである。
【0052】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群又は2群から誘導される。
【0053】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザ1群、好適には、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、又はH18から誘導される。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導される。
【0054】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0055】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0056】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号6又は配列番号7のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号7に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。
【0057】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。
【0058】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0059】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0060】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザ2群、好適には、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及びH15から誘導される。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザサブタイプH3、H7、又はH10から誘導される。
【0061】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0062】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0063】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19、配列番号20、又は配列番号28の核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するHAステムコード配列を含む。
【0064】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号8、配列番号9、又は配列番号11のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。
【0065】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる。
【0066】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0067】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0068】
一部の実施形態では、コード配列は、コドン修飾されたコード配列であり、ここで、コドン修飾されたコード配列によってコードされるアミノ酸配列は、好適には、対応する野生型又は参照コード配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して、修飾されていない。
【0069】
一部の実施形態では、コドン修飾されたコード配列は、C最大化コード配列、CAI最大化コード配列、ヒトコドン使用適合コード配列、G/C含有量が修飾されたコード配列、及びG/Cが最適化されたコード配列、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0070】
一部の実施形態では、コドン修飾されたコード配列は、少なくとも約45%、50%、55%、又は60%のG/C含有量を有する。
【0071】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、長さが400残基以下、とりわけ300残基以下、特に250残基以下、例えば、220残基以下である。
【0072】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、長さが130残基以上、とりわけ160残基以上、特に、180残基以上、例えば、190残基以上である。
【0073】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、長さが130~400残基、とりわけ160~300、特に180~250、例えば、190~220である。
【0074】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列は、別個のmRNA分子上にコードされる。
【0075】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列は、同じmRNA分子上にコードされる。
【0076】
一部の実施形態では、前記2つ以上のコード配列は、異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0077】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列は、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ又は4つのコード配列を含む。
【0078】
一部の実施形態では、前記2つ以上のコード配列は、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0079】
一部の実施形態では、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザ1群、好適には、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザ2群、好適には、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0080】
一部の実施形態では、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3、H7、及び/又はH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0081】
一部の実施形態では、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0082】
一部の実施形態では、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0083】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ以上のコード配列を含み、前記3つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0084】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも3つのコード配列を含むが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない。
【0085】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0086】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0087】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0088】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0089】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0090】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0091】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号19、配列番号20、又は配列番号28の核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するHAステムコード配列を含む。
【0092】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0093】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0094】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0095】
一部の実施形態では、mRNAは、5'キャップ、好適には、m7G、キャップ0、キャップ1、キャップ2、修飾されたキャップ0、又は修飾されたキャップ1構造、好適には、5'-キャップ1構造を含む。
【0096】
一部の実施形態では、mRNAは、好適には30~200個のアデノシンヌクレオチドを含むポリ(A)テール配列、及び/又は好適には10~40個のシトシンヌクレオチドを含む少なくとも1つのポリ(C)配列を含む。
【0097】
一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのヒストンステムループを含む。
【0098】
一部の実施形態では、mRNAは、30~200個のアデノシンヌクレオチドを含む少なくとも1つのポリ(A)テール配列を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドは、アデノシンである。一部の実施形態では、mRNAは、100個のアデノシンヌクレオチドを含む少なくとも1つのポリ(A)テール配列を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドは、アデノシンである。
【0099】
一部の実施形態では、mRNAは、5'非翻訳領域(UTR)を含む。
【0100】
一部の実施形態では、5' UTRは、HSD17B4、RPL32、ASAH1、ATP5A1、MP68、NDUFA4、NOSIP、RPL31、SLC7A3、TUBB4B、及びUBQLN2から選択される遺伝子、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントの5'-UTRから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0101】
一部の実施形態では、mRNAは、3' UTRを含む。
【0102】
一部の実施形態では、3' UTRは、PSMB3、ALB7、CASP1、COX6B1、GNAS、NDUFA1及びRPS9から選択される遺伝子、又はこれらの遺伝子のいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントの3'UTRから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0103】
一部の実施形態では、mRNAは、HSD17B4由来の5'-UTRから誘導される核酸配列を含むか又はそれからなる異種5'-UTR、及びPSMB3の3'-UTRから誘導される核酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1つの異種3'-UTRを含む。
【0104】
一部の実施形態では、mRNAは、5'から3'に:
i)5'キャップ1構造、
ii)HSD17B4遺伝子の5'-UTRから誘導される、5'-UTR、
iii)コード配列、
iv)PSMB3遺伝子の3'-UTRから誘導される、3'-UTR、
v)場合により、ヒストンステムループ配列、及び
vi)約100個のAヌクレオチドを含むポリ(A)配列
を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドはアデノシンである。
【0105】
一部の実施形態では、mRNAは、化学的に修飾されたヌクレオチドを含まない。
【0106】
一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの化学的修飾を含む。
【0107】
一部の実施形態では、化学的修飾は、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、N1-エチルシュードウリジン、2-チオウリジン、4'-チオウリジン、5-メチルシトシン、5-メチルウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5-メトキシウリジン、及び2'-O-メチルウリジンから選択される。
【0108】
一部の実施形態では、化学的修飾は、N1-メチルシュードウリジン及び/又はシュードウリジンである。一部の実施形態では、化学的修飾は、N1-メチルシュードウリジンである。
【0109】
一部の実施形態では、mRNAは、ウリジン修飾である化学的修飾を含み、好ましくは、mRNAにおけるウリジン位置の100%が、修飾されている。
【0110】
一部の実施形態では、mRNAは、非複製性である。
【0111】
一部の実施形態では、mRNAは、自己複製性である。
【0112】
一部の実施形態では、自己複製性RNA分子は、(i)自己複製性RNA分子からRNAを転写することができるRNA依存性RNAポリメラーゼ、及び(ii)インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0113】
一部の実施形態では、RNA分子は、2つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものは、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものは、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0114】
一部の実施形態では、RNA分子は、3つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものは、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものは、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、その第三のものは、タンパク質ナノ粒子をコードする。
【0115】
一部の実施形態では、mRNAは、5'キャップ-5'UTR-非構造タンパク質(NSP)1~4-サブゲノムプロモーター-インフルエンザHAステムポリペプチド-リンカー-タンパク質ナノ粒子-3'UTR-ポリAの構成を有する。
【0116】
本明細書において定義される担体製剤化mRNAを含む免疫原性組成物であって、場合により、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、免疫原性組成物もまた、提供される。
【0117】
一部の実施形態では、組成物は、本明細書において定義されるmRNAに加えて、複数又は少なくとも1つのさらなるmRNAを含む、多価組成物である。
【0118】
一部の実施形態では、多価組成物は、本明細書において定義される2つ以上のmRNAを含む。一部の実施形態では、多価組成物は、それぞれが異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする本明細書において定義される2つ、3つ、又は4つのmRNAを含む。
【0119】
一部の実施形態では、前記2つ以上のmRNAは、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0120】
一部の実施形態では、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザ1群、好適には、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザ2群、好適には、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0121】
一部の実施形態では、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3、H7、及び/又はH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0122】
一部の実施形態では、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、非複製性である。一部の実施形態では、前記2つ以上のmRNAのそれぞれは、非複製性である。
【0123】
本明細書において定義されるmRNA及び/又は本明細書において定義される免疫原性組成物を含む、ワクチンもまた、提供される。
【0124】
一部の実施形態では、ワクチンは、複数若しくは少なくとも1つよりも多くの本明細書において定義されるRNA、又は複数若しくは少なくとも1つよりも多くの本明細書において定義される組成物を含む、多価ワクチンである。
【0125】
本明細書において定義されるRNA、及び/又は本明細書において定義される組成物、及び/又は本明細書において定義されるワクチンを含み、場合により、溶解のための液体ビヒクルを含み、場合により、成分の投与及び投薬量についての情報を提供する技術指示書を含む、キット又はパーツのキット(kit of parts)もまた、提供される。
【0126】
医薬としての使用のための、本明細書において定義される担体製剤化mRNA、本明細書において定義される免疫原性組成物、本明細書において定義されるワクチン、本明細書において定義されるキット又はパーツのキットもまた、提供される。
【0127】
インフルエンザウイルス、好適には、A型インフルエンザウイルスの感染の治療又は予防における使用のための、本明細書において定義されるRNA、本明細書において定義される組成物、本明細書において定義されるワクチン、本明細書において定義されるキット又はパーツのキットもまた、提供される。
【0128】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAの単回用量は、0.001~1000μg、とりわけ1~500μg、特に10~250μgの総mRNAである。
【0129】
一部の実施形態では、使用は、筋肉内投与のためのものである。
【0130】
一部の実施形態では、免疫応答が誘発される。一部の実施形態では、適応免疫応答が誘発される。一部の実施形態では、インフルエンザウイルスに対する、好適には、A型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0131】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、1つ以上の症状の重症度及び/又は対象がインフルエンザウイルス感染の1つ以上の症状を経験する期間を、部分的又は完全に低減する。
【0132】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、チャレンジ後に確立されたインフルエンザウイルス感染を発症する可能性を低減する。
【0133】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、インフルエンザの進行を減速させる。
【0134】
障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において定義される担体製剤化mRNA、本明細書において定義される組成物、本明細書において定義されるワクチン、又は本明細書において定義されるキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む方法もまた、提供される。
【0135】
一部の実施形態では、障害は、インフルエンザウイルスの感染である。一部の実施形態では、障害は、A型インフルエンザウイルスの感染である。
【0136】
一部の実施形態では、必要とする対象は、哺乳類対象である。一部の実施形態では、必要とする対象は、ヒト対象である。
【0137】
免疫応答を誘発する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において定義される担体製剤化mRNA、本明細書において定義される組成物、本明細書において定義されるワクチン、又は本明細書において定義されるキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む方法もまた、提供される。
【0138】
一部の実施形態では、免疫応答は、適応免疫応答である。一部の実施形態では、免疫応答は、インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答である。一部の実施形態では、免疫応答は、A型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答である。
【0139】
一部の実施形態では、適応免疫応答は、担体製剤化mRNAによってコードされないHAタンパク質に結合する抗体の産生を含む。
【0140】
一部の実施形態では、免疫応答は、インフルエンザウイルスに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、A型インフルエンザウイルスに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、A型インフルエンザウイルスの1群及び/又は2群のサブタイプに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を含む。
【0141】
一部の実施形態では、必要とする対象は、哺乳類対象である。一部の実施形態では、必要とする対象は、ヒト対象である。
【0142】
本発明のさらなる実施形態を、以下に提供する。
配列の簡単な説明
配列番号1:A/New Caledonia/20/1999(H1N1)由来の安定化されたHAステムのポリペプチド配列
配列番号2:A/Michigan/45/2015(H1N1)由来の安定化されたHAステムのポリペプチド配列
配列番号3:A/Finland/486/2004(H3N2)由来の安定化されたHAステムのポリペプチド配列
配列番号4:A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)(「A/Jiangxi-Donghu/346/2013」とも称される)由来の安定化されたHAステムのポリペプチド配列
配列番号5:H.ピロリフェリチンのポリペプチド配列
配列番号6:H1ssF_pylori(シグナルペプチド-A/New Caledonia/20/1999(H1N1)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)のポリペプチド配列
配列番号7:H1ssF_pylori(シグナルペプチド-A/Michigan/45/2015(H1N1)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)のポリペプチド配列
配列番号8:H3ssF_pylori(シグナルペプチド-A/Finland/486/2004(H3N2)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)のポリペプチド配列
配列番号9:H10ssF_pylori(シグナルペプチド-A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)のポリペプチド配列
配列番号10:A/Anhui/1/2013(H7N9)由来の安定化されたHAステムのポリペプチド配列
配列番号11:H7ssF_pylori(シグナルペプチド-A/Anhui/1/2013(H7N9)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)のポリペプチド配列
配列番号12:H1ssF_TM(シグナルペプチド-A/Michigan/45/2015(H1N1)由来の安定化されたHAステム-SGG-膜貫通型エレメント)のポリペプチド配列
配列番号13:H3ssF_TM(シグナルペプチド-A/Finland/486/2004(H3N2)由来の安定化されたHAステム-SGG-膜貫通型エレメント)のポリペプチド配列
配列番号14:H10ssF_TM(シグナルペプチド-A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)由来の安定化されたHAステム-SGG-膜貫通型エレメント)のポリペプチド配列
配列番号15:H7ssF_TM(シグナルペプチド-A/Anhui/1/2013(H7N9)由来の安定化されたHAステム-SGG-膜貫通型エレメント)のポリペプチド配列
配列番号16:A/Michigan/45/2015(H1N1)由来の未修飾nativeSP_H1ss_pyloriの核酸配列
配列番号17:A/Michigan/45/2015(H1N1)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H1ss_pyloriの核酸配列
配列番号18:A/Finland/486/2004(H3N2)由来の未修飾nativeSP_H3ss_pyloriの核酸配列
配列番号19:A/Finland/486/2004(H3N2)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H3ss_pyloriの核酸配列
配列番号20:A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H10ss_pyloriの核酸配列
配列番号21:A/Anhui/1/2013(H7N9)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H7ss_pyloriの核酸配列
配列番号22:A/Michigan/45/2015(H1N1)由来の未修飾nativeSP_H1ss_TMの核酸配列
配列番号23:A/Michigan/45/2015(H1N1)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H1ss_TMの核酸配列
配列番号24:A/Finland/486/2004(H3N2)由来の未修飾nativeSP_H3ss_TMの核酸配列
配列番号25:A/Finland/486/2004(H3N2)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H3ss_TMの核酸配列
配列番号26:A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)由来の未修飾nativeSP_H10ss_TMの核酸配列
配列番号27:A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H10ss_TMの核酸配列
配列番号28:A/Anhui/1/2013(H7N9)由来の未修飾nativeSP_H7ss_TMの核酸配列
配列番号29:A/Anhui/1/2013(H7N9)由来のN1-メチルシュードウリジン修飾されたnativeSP_H7ss_TMの核酸配列
【図面の簡単な説明】
【0143】
図1】研究A:用量2の14日後におけるELISAによる抗H1ステムIgG抗体力価を示す。
図2】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H1ステムIgG抗体力価を示す。
図3】研究A:用量2の14日後におけるELISAによる抗H1/NC/99 IgG抗体力価を示す。
図4】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H1/NC/99 IgG抗体力価を示す。
図5】研究A:用量2の14日後におけるELISAによる抗H1/Mich/15 IgG抗体力価を示す。
図6】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H1/Mich/15 IgG抗体力価を示す。
図7】研究A:用量2の14日後におけるELISAによる抗H2/Neth/99 IgG抗体力価を示す。
図8】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H2/Neth/99 IgG抗体力価を示す。
図9】研究A:用量2の14日後におけるELISAによる抗H9 IgG抗体力価を示す。
図10】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H9 IgG抗体力価を示す。
図11】研究A:用量2の14日後におけるELISAによる抗H18 IgG抗体力価を示す。
図12】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H18 IgG抗体力価を示す。
図13】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H3 IgG抗体力価を示す。
図14】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H7 IgG抗体力価を示す。
図15】研究B:用量2の14日後におけるELISAによる抗H10 IgG抗体力価を示す。
図16】研究A:用量2の14日後におけるステムH1/Mich/2015特異的CD4+ T細胞のパーセンテージを示す。
図17】研究B:用量2の14日後におけるステムH1/Mich/2015特異的CD4+ T細胞のパーセンテージを示す。
図18】研究A:用量2の14日後におけるステムH1/Mich/2015特異的CD8+ T細胞のパーセンテージを示す。
図19】研究B:用量2の14日後におけるステムH1/Mich/2015特異的CD8+ T細胞のパーセンテージを示す。
図20】研究B:用量2の14日後におけるステムH10/Jiangxi-Donghu特異的CD4+ T細胞のパーセンテージを示す。
図21】研究B:用量2の14日後におけるステムH10/Jiangxi-Donghu特異的CD8+ T細胞のパーセンテージを示す。
図22】用量2の14日後におけるH1/Mich/15、H1/NC/99、及びH5/Vn/04に対するマイクロ中和力価を示す。
図23】HAステム構築物のin vitro翻訳を示す。
図24】組織培養物におけるin vitro HA-ステム三量体発現を示す。
図25】H1-及びH3-ステムmRNAのコトランスフェクション後のin vitro H1-ステム発現を示す。
図26】H3-TM/H3-Fをトランスフェクトした細胞におけるH3のin vitro検出を示す。
図27】H1/H3-LNPのin vitro免疫刺激を示す。
図28】一次免疫の18時間後のin vivo血清IFNαレベルを示す。
図29】35日目におけるin vivo T細胞応答CD4+IFNγ+TNF+を示す。
図30】35日目におけるin vivo T細胞応答CD8+IFNγ+TNF+を示す。
図31】35日目におけるin vivo T細胞応答CD8+IFNγ+CD107+を示す。
図32】21日目におけるin vivo抗H1結合抗体を示す。
図33】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Michigan/45/2015)。
図34】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Hawaii/70/2019)。
図35】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Christchurch/16/2010)。
図36】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/California/6/09)。
図37】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Singapore/1/57)。
図38】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Vietnam/1203/2004)。
図39】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Finland/486/2004)。
図40】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Hong Kong/45/2019)。
図41】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Perth/16/2009)。
図42】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Beijing/47/1992)。
図43】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Philippines/2/1982)。
図44】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Hong Kong/1/68)。
図45】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Shanghai/2/2013)。
図46】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Jiangxi-Donghu/346/2013)。
図47】用量2の14日後におけるADCC Reporter Bioassayによるin vivo抗H1 A/Michigan/45/2015ステム抗体を示す。
図48】ADCC Reporter Bioassayによるin vitro抗H3ステム抗体を示す。
図49】in vitro及びin vivoにおける自然免疫刺激を示す。
図50】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Michigan/45/2015)(修飾されたヌクレオシド)。
図51】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Hawaii/70/2019)(修飾されたヌクレオシド)。
図52】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Christchurch/16/2010)(修飾されたヌクレオシド)。
図53】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/California/6/09)(修飾されたヌクレオシド)。
図54】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Singapore/1/57)(修飾されたヌクレオシド)。
図55】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Vietnam/1203/2004)(修飾されたヌクレオシド)。
図56】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Finland/486/2004)(修飾されたヌクレオシド)。
図57】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Hong Kong/45/2019)(修飾されたヌクレオシド)。
図58】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Perth/16/2009)(修飾されたヌクレオシド)。
図59】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Beijing/47/1992)(修飾されたヌクレオシド)。
図60】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Philippines/2/1982)(修飾されたヌクレオシド)。
図61】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Hong Kong/1/68)(修飾されたヌクレオシド)。
図62】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Shanghai/2/2013)(修飾されたヌクレオシド)。
図63】用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体を示す(A/Jiangxi-Donghu/346/2013)(修飾されたヌクレオシド)。
図64】用量2の14日後におけるADCC Reporter Bioassayによるin vivo抗H1 A/Michigan/45/2015ステム抗体を示す(修飾されたヌクレオシド)。
図65】用量2の14日後におけるADCC Reporter Bioassayによるin vitro抗H3 A/Finland/486/2004(H3N2)ステム抗体を示す。
図66】35日目におけるin vivo T細胞応答CD4+IFNγ+TNF+を示す(修飾されたヌクレオシド)。
図67】35日目におけるin vivo T細胞応答CD8+IFNγ+TNF+を示す(修飾されたヌクレオシド)。
図68】35日目におけるin vivo T細胞応答CD8+IFNγ+CD107+を示す(修飾されたヌクレオシド)。
図69】HAステム-H.ピロリフェリチン挿入物の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0144】
インフルエンザHAステムポリペプチド
インフルエンザヘマグルチニン(HA)は、ビリオンの主要な表面抗原であり、ウイルス中和抗体の主要な標的である。HAは、ホモ三量体表面糖タンパク質であり、それぞれのモノマーが、単一のHA前駆体タンパク質のタンパク質分解切断産物から生じる2つのジスルフィド結合サブユニット(HA1、HA2)からなる。HA1鎖は、膜遠位の球状のヘッド及び膜近位のステム(又は「ストーク」)領域の一部を形成する。HA2鎖は、ステム領域の主要な成分を表す。HAのヘッドは、受容体結合を介在し、一方で膜に固定されたステムは、膜融合機構の主要な部分である。本明細書に開示される発明は、インフルエンザHAヘッド領域から単離された場合のインフルエンザHAステム領域に関する。本明細書に開示される発明は、インフルエンザHAポリペプチド全体内に含まれる場合のインフルエンザHAステム領域に関連しない。
【0145】
本明細書で使用される場合、「インフルエンザHAステムポリペプチド」は、全長インフルエンザHAステム領域又はインフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメント若しくはバリアントを含むポリペプチドを指す。一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、全長インフルエンザHAステム領域又はインフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメント若しくはバリアントを含むか、又はそれからなるポリペプチドである。
【0146】
一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、望ましくは、長さが400残基以下、とりわけ300残基以下、特に250残基以下、例えば、220残基以下である。一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、望ましくは、長さが130残基以上、とりわけ160残基以上、特に180残基以上、例えば、190残基以上である。一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、望ましくは、長さが130~400残基、とりわけ160~300、特に180~250、例えば、190~220である。
【0147】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0148】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0149】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0150】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0151】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0152】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2又は配列番号4のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0153】
好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型又はB型インフルエンザウイルスから誘導される。より好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザウイルスから誘導される。
【0154】
一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群又は2群から誘導される。
【0155】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザ1群、例えば、サブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、又はH18、より好適にはH1又はH10、より好適にはH1から誘導される。
【0156】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0157】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0158】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザ2群、例えば、サブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及びH15から誘導される。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザH3、H7、又はH10から誘導される。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザH10から誘導される。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザH3から誘導される。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザH7から誘導される。
【0159】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、又は配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0160】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、又は配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0161】
代替的な実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、B型インフルエンザから誘導される。一実施形態では、単離されたインフルエンザHAステムポリペプチドは、A型インフルエンザHAサブタイプH8から誘導されず、例えば、A型インフルエンザHA H9クレード(H8、H9、及びH12)から誘導されない。
【0162】
インフルエンザHAステムポリペプチドは、全長インフルエンザHAタンパク質ではない。インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAヘッド領域を含まず、より好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHA由来の追加の領域を含まない。
【0163】
インフルエンザHAステムポリペプチドは、本明細書において、「抗原」又は「インフルエンザステムポリペプチド」又は「抗原性ペプチド若しくはタンパク質」とも称される。
【0164】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、コード配列は、別個のmRNA分子上にコードされる。
【0165】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、コード配列は、同じmRNA分子上にコードされる。
【0166】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列は、異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0167】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列は、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ又は4つのコード配列を含む。
【0168】
一部の実施形態によると、2つ以上のコード配列は、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0169】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザ1群、例えば、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザ2群、例えば、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0170】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザH3、H7、又はH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0171】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0172】
一部の実施形態では、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0173】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ以上のコード配列を含み、3つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0174】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも3つのコード配列を含むが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない。
【0175】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0176】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0177】
一部の実施形態によると、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態によると、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態によると、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号4に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態によると、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号10に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0178】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0179】
インフルエンザHAステムポリペプチドは、さらなるポリペプチド配列を含む構築物内に含まれ得る。さらなるポリペプチド配列は、例えば、1つ以上のシグナルペプチド及び/又は1つ以上のリンカー及び/又は1つ以上のタンパク質ナノ粒子を含み得る。したがって、一部の実施形態では、本発明のmRNAは、1つ以上の異種ペプチド又はタンパク質エレメントをコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む。
【0180】
一部の実施形態では、1つ以上の異種ペプチド又はタンパク質エレメントは、コードされるステムHA抗原性ペプチド若しくはタンパク質の分泌(例えば、分泌型シグナル配列を介した)を促進するか若しくは改善し、形質膜におけるコードされる本発明の抗原性ペプチド若しくはタンパク質の固定(例えば、膜貫通型エレメントを介した)を促進するか若しくは改善し、抗原複合体の形成(例えば、多量体化ドメイン若しくは抗原クラスター形成エレメントを介した)を促進するか若しくは改善し、又はウイルス様粒子形成(VLP形成配列)を促進するか若しくは改善し得る。さらに、ステムHAの核酸は、ペプチドリンカーエレメント、自己切断ペプチド、免疫性アジュバント配列又は樹状細胞標的化配列をさらにコードしてもよい。
【0181】
一部の実施形態では、1つ以上の異種ペプチド又はタンパク質エレメントは、シグナルペプチド、リンカー、ヘルパーエピトープ、抗原クラスター形成エレメント(多量体化エレメント)、三量体化エレメント、膜貫通型エレメント、タンパク質ナノ粒子、及び/又はVLP形成配列から選択される。
【0182】
実施形態では、抗原性ペプチド又はタンパク質は、異種シグナルペプチドを含む。異種シグナルペプチドは、コードされるステムHA抗原の分泌を改善するために使用され得る。
【0183】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、タンパク質ナノ粒子をコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質ナノ粒子は、フェリチンである。一部の実施形態では、フェリチンは、細菌及び昆虫フェリチンから選択される。一部の実施形態では、フェリチンは、細菌フェリチン、例えば、H.ピロリフェリチンである。
【0184】
一部の例において使用されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、場合により非構造タンパク質1~4(nsP1~4)、シグナルペプチド(SP)、安定化されたHAステム、セリン-グリシン-グリシン(SGG)リンカー、及びH.ピロリフェリチンを含む、構築物内に含まれる。構築物は、nsP1~4(場合により)-SP-安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチンの形式を有する(図69)。
【0185】
例のうちの一部において使用される特定の構築物のポリペプチド配列は、配列番号7(シグナルペプチド-A/Michigan/45/2015(H1N1)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)、配列番号6(シグナルペプチド-A/New Caledonia/20/1999(H1N1)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)、配列番号8(シグナルペプチド-A/Finland/486/2004(H3N2)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)、及び配列番号9(シグナルペプチド-A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)である。代替的なHAステムポリペプチドを含むさらなる類似の構築物は、配列番号11(シグナルペプチド-A/Anhui/1/2013(H7N9)由来の安定化されたHAステム-SGG-H.ピロリフェリチン)に示されるポリペプチド配列を有する。
【0186】
したがって、一実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号6~9又は11のうちのいずれか1つに対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。好適には、構築物は、配列番号6~9又は11のうちのいずれか1つを含むか、又はそれからなる。
【0187】
一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号6に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号7に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号8に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号9に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号11に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。
【0188】
一部の他の実施形態では、本発明のmRNAは、膜貫通型エレメントをコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む。一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、シグナルペプチド、安定化されたHAステム、セリン-グリシン-グリシンリンカー、及び膜貫通型エレメントを含む構築物内に含まれ得る。
【0189】
したがって、一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号12~15のうちのいずれか1つ、より好適には、配列番号12又は13に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号12又は13のうちのいずれか1つに対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号12に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号13に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。
【0190】
一部の実施形態では、構築物は、配列番号12~15のうちのいずれか1つを含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、構築物は、配列番号12又は13のうちのいずれか1つを含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、構築物は、配列番号12を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、構築物は、配列番号13を含むか、又はそれからなる。
【0191】
好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドによって誘発される免疫応答は、インフルエンザウイルスに対する抗体を産生する。より好適には、誘発される免疫応答は、抗ステム領域抗体を産生する。
【0192】
インフルエンザウイルスの型は、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、又はC型インフルエンザを指す。特定の型としてのウイルスの呼称は、それぞれ、M1(マトリックス)タンパク質、M2(イオンチャネル)タンパク質、又はNP(核タンパク質)における配列の差に関連する。A型インフルエンザウイルスは、さらに1群及び2群に分割される。これらの群は、さらにサブタイプに分割され、サブタイプは、そのHAタンパク質の配列に基づくウイルスの分類を指す。現在一般的に認識されているサブタイプの例は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18である。1群のインフルエンザサブタイプは、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及びH18である。2群のインフルエンザサブタイプは、H3、H4、H7、H10、H14、及びH15である。最後に、株という用語は、ゲノムに小さな遺伝子変動を有するという点で互いに異なる、サブタイプ内のウイルスを指す。
【0193】
一実施形態では、誘発される免疫応答は、抗1群A型インフルエンザステム領域抗体、好適には、抗H1、H2、H5、H9、及び/又はH18ステム領域抗体を産生する。一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、抗2群A型インフルエンザステム領域抗体を産生する。一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、抗H3、H7、及び/又はH10を産生する。一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、抗H7及び/又はH10ステム領域抗体を産生する。好適には、誘発される免疫応答は、抗1群、好適には、抗H1、H2、H5、H9、及び/又はH18ステム領域抗体、並びに抗2群、好適には、抗H3、H7、及び/又はH10 A型インフルエンザステム領域抗体の両方を産生する。
【0194】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、抗H1、H2、H3、H5、H7、H9、H10、及び/又はH18ステム領域抗体のうちの1つ以上を産生する。より好適には、誘発される免疫応答は、抗H1、H2、H5、H7、H9、H10、及び/又はH18ステム領域抗体のうちの1つ以上を産生する。
【0195】
好適には、誘発される免疫応答は、抗H1、H2、H3、H5、H7、H9、H10、及び/又はH18ステム領域抗体のすべてを産生する。より好適には、誘発される免疫応答は、抗H1、H2、H5、H7、H9、H10、及び/又はH18ステム領域抗体のすべてを産生する。
【0196】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、同種(同じ株に対する)、異種(サブタイプ内の異なる株に対する)、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性(1つ以上の異なるサブタイプ内、例えば、1群及び/又は2群サブタイプからの異なる株に対する)である。
【0197】
誘発される免疫応答の文脈での用語「同種」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、同じ株、例えば、同じA型インフルエンザ株に対して誘発される免疫応答である。例えば、担体製剤化mRNAは、A/Michigan/45/2015(H1N1)株に対する免疫応答を誘発し得るA/Michigan/45/2015(H1N1)から誘導されるステムHAポリペプチドをコードするコード配列を含み得る。
【0198】
誘発される免疫応答の文脈での用語「異種」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、サブタイプ内の異なる株、例えば、サブタイプ、例えば、H1又はH10サブタイプ内の異なるA型インフルエンザ株に対して誘発される免疫応答である。例えば、担体製剤化mRNAは、A/New Caledonia/20/1999(H1N1)株に対する免疫応答を誘発し得るA/Michigan/45/2015(H1N1)から誘導されるステムHAポリペプチドをコードするコード配列を含み得る。
【0199】
誘発される免疫応答の文脈での用語「ヘテロサブタイプ」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、1つ以上の異なるサブタイプ内、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又は2群サブタイプからの異なる株に対して誘発される免疫応答である。例えば、担体製剤化mRNAは、A/Jiangxi/IPB13/2013(H10N8)に対する免疫応答を誘発し得るA/Michigan/45/2015(H1N1)から誘導されるステムHAポリペプチドをコードするコード配列を含み得る。
【0200】
全長インフルエンザHAステム領域
一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、全長インフルエンザHAステム領域を含むポリペプチドである。好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドは、全長インフルエンザHAステム領域からなるポリペプチドである。
【0201】
全長インフルエンザHAステム領域は、望ましくは、長さが400残基以下、とりわけ300残基以下、特に250残基以下、例えば、220残基以下である。全長インフルエンザHAステム領域は、望ましくは、長さが130残基以上、とりわけ160残基以上、特に180残基以上、例えば、190残基以上である。
【0202】
好適には、全長インフルエンザHAステム領域は、配列番号1~4及び10から選択されるポリペプチド配列を含むか、又はより好適には、それからなる。より好適には、全長インフルエンザHAステム領域は、配列番号1又は2を含むか、より好適には、それからなる。より好適には、全長インフルエンザHAステム領域は、配列番号2を含むか、又はより好適には、それからなる。一部の実施形態では、全長インフルエンザHAステム領域は、配列番号3、4、又は10を含むか、又はより好適には、それからなる。
【0203】
さらに好適な全長インフルエンザHAステム領域は、WO2013/044203、WO2015/183969、及び特にWO2018/045308の表2に開示されているものである。
【0204】
免疫原性フラグメント 一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントを含むポリペプチドである。好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントからなるポリペプチドである。
【0205】
一部の実施形態では、本発明における使用のインフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントは、インフルエンザウイルス、例えば、A型インフルエンザウイルスに対する中和抗体及び/又はT細胞応答(例えば、CD4若しくはCD8 T細胞応答)、好適には、防御的免疫応答(例えば、感染後の1つ以上の症状の重症度及び/若しくは対象が1つ以上の症状を経験する期間を部分的若しくは完全に低減し、チャレンジ後に確立された感染を発症する可能性を低減し、並びに/又は疾病の進行を減速させる(例えば、生存期間を延長する))を誘発することができる、全長(例えば、天然の)インフルエンザHAステム領域のフラグメントを含み、例えば、それからなる。
【0206】
好適には、インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントは、全長インフルエンザHAステム領域由来の1つ以上のエピトープ、例えば、1つ、2つ、又は3つ以上のエピトープを含む。
【0207】
インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントの配列は、全長インフルエンザHAステム領域内に含まれる対応する配列、例えば、配列番号1~4又は10、例えば配列番号1又は2~4、最も好適には配列番号2~4に提供される配列と、80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上、例えば最も好適には100%の同一性を共有し得る。
【0208】
核酸配列又はアミノ酸配列の文脈で本明細書全体で使用される場合、用語「フラグメント」は、典型的には、例えば、核酸配列又はアミノ酸配列の全長配列のより短い部分であってもよい。したがって、フラグメントは、典型的には、全長配列内の対応する区画と同一である配列からなる。本発明の文脈で配列の好適なフラグメントは、実体の連続する区画、例えば、フラグメントが誘導される分子中の実体の連続する区画に対応するヌクレオチド又はアミノ酸からなり、これは、フラグメントが誘導される総(すなわち、全長)分子(例えば、インフルエンザウイルスのHAステム領域)の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%に相当する。タンパク質又はペプチドの文脈で本明細書全体で使用される場合、用語「フラグメント」は、典型的には、本明細書において定義されるタンパク質又はペプチドの配列を含んでもよく、そのアミノ酸配列に関して、オリジナルのタンパク質のアミノ酸配列と比較して、N末端及び/又はC末端で切断されている。したがって、このようなトランケーションは、アミノ酸レベル又は対応して核酸レベルのいずれかで生じ得る。したがって、本明細書において定義されるこのようなフラグメントに関する配列同一性は、好適には、本明細書において定義されるタンパク質若しくはペプチド全体、又はこのようなタンパク質若しくはペプチドの(コード)核酸分子全体を指し得る。タンパク質又はペプチドのフラグメントは、これらのタンパク質又はペプチドの少なくとも1つのエピトープを含んでもよい。
【0209】
免疫原性バリアント
一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントを含むポリペプチドである。好適には、インフルエンザHAステムポリペプチドは、インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントからなるポリペプチドである。
【0210】
一部の実施形態では、本発明における使用のインフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントは、インフルエンザウイルス、例えば、A型インフルエンザウイルスに対する中和抗体及び/又はT細胞応答(例えば、CD4若しくはCD8 T細胞応答)、好適には、防御的免疫応答(例えば、感染後の1つ以上の症状の重症度及び/若しくは対象が1つ以上の症状を経験する期間を部分的若しくは完全に低減し、チャレンジ後に確立された感染を発症する可能性を低減し、並びに/又は疾病の進行を減速させる(例えば、生存期間を延長する))を誘発することができる、全長(例えば、天然の)インフルエンザHAステム領域のバリアントを含み、例えば、それからなる。
【0211】
インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントは、配列番号1~4又は10、例えば、配列番号1又は2~4、最も好適には、配列番号2~4に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、例えば、少なくとも99%、例えば、100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得、例えば、それからなり得る。
【0212】
好適には、インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントは、全長インフルエンザHAステム領域由来の1つ以上のエピトープ、例えば、1つ、2つ、又は3つ以上のエピトープを含む。
【0213】
核酸配列の文脈で本明細書全体で使用される場合、用語「バリアント」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、別の核酸配列から誘導される核酸配列のバリアントを指すことが意図される。例えば、核酸配列のバリアントは、バリアントが誘導される核酸配列と比較して、1つ以上のヌクレオチド欠失、挿入、付加及び/又は置換を示し得る。核酸配列のバリアントは、バリアントが誘導される核酸配列に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%同一であり得る。バリアントは、それが誘導される配列の機能の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%以上を保持しているという意味で、機能的バリアントである。核酸配列の「バリアント」は、このような核酸配列の少なくとも10、20、30、50、75、又は100個のヌクレオチドの区画にわたり、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%のヌクレオチド同一性を有し得る。
【0214】
タンパク質又はペプチドの文脈での本明細書全体で使用される場合、用語「バリアント」は、例えば、1つ以上の変異/置換、例えば、1つ以上の置換、挿入、及び/又は欠失されたアミノ酸でオリジナルの配列と異なるアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドバリアントを指すことが意図される。一部の実施形態では、これらのフラグメント及び/又はバリアントは、同じ、又は同等の特異的な抗原特性(免疫原性バリアント、抗原性バリアント)を有する。挿入及び置換は、特に、3次元構造に修飾を引き起こさないか、又は結合領域に影響しないその配列位置で可能である。挿入又は欠失による3次元構造への修飾は、例えば、CDスペクトル(円二色性スペクトル)を使用して容易に決定することができる。タンパク質又はペプチドの「バリアント」は、このようなタンパク質又はペプチドの少なくとも10、20、30、50、75、又は100個のアミノ酸の区画にわたり、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%のアミノ酸同一性を有し得る。一部の実施形態では、タンパク質のバリアントは、タンパク質の機能的バリアントを含み、それは、本発明の文脈で、バリアントが、それが誘導されるタンパク質と本質的に同じ、又は少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%の免疫原性を発揮することを意味する。
【0215】
配列整列
配列に関する同一性又は相同性は、配列を整列させ、最大の配列同一性パーセントが達成されるように必要に応じてギャップを導入した後に、参照アミノ酸配列と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして、本明細書に定義され、いずれの保存的置換も、配列同一性の一部とは考えない。
【0216】
配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置における類似性を比較するために一般的に使用される標準的な方法によって決定することができる。コンピュータプログラム、例えば、BLAST又はFASTAを使用して、2つのポリペプチドを、それらのそれぞれのアミノ酸の最適な一致に関して(一方若しくは両方の配列の全長に沿って、又は一方若しくは両方の配列の所定部分に沿ってのいずれかで)整列させる。プログラムは、デフォルトの開始ペナルティ及びデフォルトのギャップペナルティを提供し、スコア付けマトリックス、例えば、PAM 250(標準的なスコア付けマトリックス、Dayhoff, 1978を参照)を、コンピュータプログラムとともに使用することができる。例えば、同一性パーセントは、次いで、以下のように計算することができる:同一な一致の総数に100を乗じ、次いで、一致スパン内の長い方の配列の長さと、2つの配列を整列させるために短い方の配列に導入したギャップの数の合計で除す。
【0217】
安定性及びナノ粒子
安定なホモ三量体の、その天然の環境での集合のために、インフルエンザHAステム領域は、ヘッド領域及び膜貫通型ドメインを必要とする。ホモ三量体形成時の配設により、抗原性立体構造エピトープの提示を確実にする。したがって、一実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、安定なインフルエンザHAステムポリペプチドであり、すなわち、ポリペプチドは、対象において発現された場合に天然の立体構造を実質的に保持する。
【0218】
インフルエンザHAステムポリペプチドは、合成的に安定化されてもよい(ヘッド及び膜貫通型ドメインの非存在下で)。安定化は、ヘリックス安定化、ループ最適化、ジスルフィド結合付加、及び側鎖再パッキングによって達成してもよい(Corbett, 2019に開示されている)。代わりに、又は加えて、安定化は、ステム領域を、多量体、例えば、ホモ三量体又はヘテロ三量体の形態で提供することによって達成してもよい。
【0219】
インフルエンザHAステムポリペプチドは、担体製剤化mRNA内に「ネイキッド」で、すなわち、他の安定化タンパク質又は成分に結合していない状態で、提供されてもよい。或いは、インフルエンザHAステムポリペプチドは、1つ以上の他の安定化タンパク質とともに、宿主において共発現されてもよい。特定の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、フェリチン、ルマジン、及びエンカプスリンを含む、ナノ粒子、例えば、タンパク質ナノ粒子、例えば、Diaz et al 2018に開示されるものの表面上に提示される。
【0220】
ホモ三量体又はヘテロ三量体の形態で提供される場合、インフルエンザHAステムポリペプチドは、最も好適には自己集合するタンパク質ナノ粒子、例えば、最も好適にはフェリチンナノ粒子、例えば、より好適には昆虫又は細菌フェリチンナノ粒子上に提示される。
【0221】
フェリチンは、主要な機能が細胞内鉄貯蔵である、タンパク質である。ほぼすべての生物は、フェリチンを産生し、フェリチンは、それぞれが4つのアルファヘリックスの束から構成される24個のサブユニットから作製され、これが八面体対称を有する四次構造に自己集合する。ナノ粒子へと自己集合するその特性は、抗原を担持し露出させるのに十分に好適である。
【0222】
一部の実施形態では、フェリチンは、抗原クラスター形成を促進するために使用され、したがって、コードされるステムHA抗原の免疫応答を促進し得る。
【0223】
一部の実施形態によると、タンパク質ナノ粒子は、細菌フェリチンナノ粒子である。一部の実施形態では、タンパク質ナノ粒子は、H.ピロリフェリチンナノ粒子(例えば、Corbett, 2019、WO2013/044203、WO2015/183969、及びWO2018/045308に開示されるもの)である。宿主において共発現されると、インフルエンザHAステムポリペプチドに連結されたH.ピロリフェリチンは、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドに連結された他のH.ピロリフェリチンと自己集合して、複数のインフルエンザHAステムポリペプチドを提示するナノ粒子を形成し、それらの1つ以上のホモ三量体及び/又は1つ以上のヘテロ三量体への集合を可能にする。
【0224】
好適には、フェリチン、より好適には細菌フェリチン、なおより好適にはH.ピロリフェリチン、及びインフルエンザHAステムポリペプチドは、リンカー、好適には、1~10個の残基、より好適には2~5個の残基からなるリンカー、例えば、ポリペプチド配列SGGを含むリンカー、例えば、ポリペプチド配列SGGからなるリンカーによって接続される。
【0225】
一部の実施形態では、インフルエンザHAステムポリペプチドは、膜貫通型エレメントとともに、宿主において共発現され得る。
【0226】
一部の実施形態では、膜貫通型エレメントは、天然のインフルエンザHA膜貫通型エレメントである。
【0227】
追加の抗原
本発明は、例えば、インフルエンザウイルスに対して広範な免疫応答を誘発することを目的として、複数の抗原性成分を含み得る。結果として、1つより多くの抗原が存在してもよく、抗原をコードする1つより多くのポリヌクレオチドが存在してもよく、1つより多くの抗原をコードする1つのポリヌクレオチドが存在してもよく、又は抗原及び抗原をコードするポリヌクレオチドの混合物が存在してもよい。多糖、例えば、多糖コンジュゲートもまた、存在してもよい。
【0228】
一部の実施形態では、抗原という用語は、免疫応答を誘発することができるペプチド、タンパク質、又はポリペプチドを意味する。好適には、抗原は、少なくとも1つのB又はT細胞エピトープを含む。誘発される免疫応答は、抗原特異的B細胞応答であり得、これは、中和抗体を産生する。誘発される免疫応答は、抗原特異的T細胞応答であり得、これは、全身及び/又は局所応答であり得る。抗原特異的T細胞応答は、CD4+ T細胞応答、例えば、複数のサイトカイン、例えば、IFNガンマ、TNFアルファ、及び/又はIL2を発現するCD4+ T細胞が関与する応答を含み得る。代わりに、又は追加として、抗原特異的T細胞応答は、CD8+ T細胞応答、例えば、複数のサイトカイン、例えば、IFNガンマ、TNFアルファ、及び/又はIL2を発現するCD8+ T細胞が関与する応答を含む。
【0229】
mRNA
メッセンジャーRNA(mRNA)は、タンパク質を産生するように対象の細胞機構を誘導し得る。mRNAは、環状であっても分岐状であってもよいが、一般的には、線状である。mRNAは、環状であっても線状であってもよい。
【0230】
用語「RNA」及び「mRNA」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、リボ核酸分子、すなわち、ヌクレオチドからなるポリマーであることが意図される。これらのヌクレオチドは、通常、いわゆる骨格に沿って互いに接続されている、アデノシン-一リン酸、ウリジン-一リン酸、グアノシン-一リン酸、及びシチジン-一リン酸モノマーである。骨格は、隣接する第一のモノマーの糖、すなわちリボースと、第二のモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。モノマーの特定の連続は、RNA配列と呼ばれる。mRNAは、特定のペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列に翻訳され得るヌクレオチドコード配列をもたらす。
【0231】
本発明の文脈では、mRNAは、投与後(例えば、対象、例えば、ヒト対象への投与後)に(機能的)抗原に翻訳される、本明細書において定義される抗原性タンパク質をコードする少なくとも1つのコード配列をもたらし得る。
【0232】
したがって、mRNAは、本発明のワクチンに好適である。
【0233】
本明細書に使用されるmRNAは、好ましくは、精製又は実質的に精製された形態で提供される、すなわち、タンパク質(例えば、酵素)、他の核酸(例えば、DNA及びヌクレオシドリン酸モノマー)などを実質的に含まず、一般的に、少なくとも約50%純粋(重量基準)、通常、少なくとも90%純粋、例えば、少なくとも95%又は少なくとも98%純粋である(以下でさらに詳細に記載される)。
【0234】
mRNAは、多数の手段、例えば、全体的又は部分的な化学合成によって、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用して長い核酸を消化することによって、短い核酸又はヌクレオチドを(例えば、リガーゼ又はポリメラーゼを使用して)接続することによって、ゲノム又はcDNAライブラリーなどから調製され得る。特に、mRNAは、DNA鋳型を使用して酵素的に調製され得る(以下でさらに詳細に記載される)。
【0235】
本明細書で使用される場合、用語mRNAは、従来的なmRNA又はmRNAアナログ、例えば、修飾された骨格又は修飾された塩基(例えば、シュードウリジンなど)を含有するものを含む。mRNAは、5'キャップを有してもよく、又は有さなくてもよい(以下でさらに詳細に記載される)。
【0236】
mRNAは、少なくとも1つの抗原をコードする配列を含む。典型的には、本発明の核酸は、組換え形態、すなわち、天然で生じない形態である。例えば、mRNAは、抗原をコードする配列に加えて、1つ以上の異種核酸配列(例えば、別の抗原をコードする配列及び/又は制御配列、例えば、プロモーター若しくは内部リボソーム進入部位)を含み得る。
【0237】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、人工核酸である。
【0238】
本明細書で使用される場合、用語「人工核酸」は、天然で生じない核酸を指すことが意図される。言い換えると、人工核酸は、非天然の核酸分子として理解され得る。このような核酸分子は、その個々の配列(例えば、G/C含有量が修飾されたコード配列、UTR)に起因して、及び/又はヌクレオチドの他の修飾、例えば、構造修飾に起因して、非天然であり得る。典型的には、人工核酸は、ヌクレオチドの所望される人工配列に対応させるための遺伝子操作によって、設計され、及び/又は生成され得る。この文脈では、人工核酸は、天然で生じ得ない配列、すなわち、野生型又は参照配列/天然に存在する配列とは少なくとも1つのヌクレオチドが異なる配列である(例えば、以下でさらに指定されるコドン修飾を介して)。用語「人工核酸」は、「1つの単一分子」を意味するよう限定されず、本質的に同一の核酸分子のアンサンブルを含むと理解される。したがって、それは、複数の本質的に同一の核酸分子に関し得る。
【0239】
代わりに、又は加えて、核酸の配列又は化学構造は、抗原をコードする天然に存在する配列と比較して、修飾され得る。核酸分子の配列は、例えば、核酸の発現若しくは複製の効率を増加させるように、又はさらなる安定性若しくは分解に対する抵抗性をもたらすように、修飾され得る。
【0240】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、修飾及び/又は安定化された核酸、好適には、修飾及び/又は安定化された人工核酸である。
【0241】
一部の実施形態によると、mRNAは、したがって、「安定化された人工核酸」又は「安定化されたコード核酸」、すなわち、in vivo分解に対する改善された抵抗性を示す核酸、及び/又はin vivoでの改善された安定性を示す核酸、及び/又はin vivoでの改善された翻訳可能性を示す核酸として提供され得る。以下で、核酸を「安定化する」のに好適である、この文脈での特定の好適な修飾/適合が記載される。
【0242】
以下で、mRNAを「安定化する」ことができる、好適な修飾が記載される。
【0243】
mRNAはまた、コドン最適化されてもよい。一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのコドン修飾されたコード配列を含む。一部の実施形態では、mRNAの少なくとも1つのコード配列は、コドン修飾されたコード配列である。好適には、少なくとも1つのコドン修飾されたコード配列によってコードされるアミノ酸配列は、対応する野生型又は参照コード配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して、修飾されていない。
【0244】
一部の実施形態では、mRNAは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得る。「コドン最適化される」とは、核酸の翻訳効率及び/又は半減期を増加させ得る、コドン使用に関する修飾が意図される。用語「コドン修飾されたコード配列」は、対応する野生型又は参照コード配列と比較して、少なくとも1つのコドン(1つのアミノ酸をコードするヌクレオチドのトリプレット)が異なるコード配列に関する。好適には、本発明の文脈で、コドン修飾されたコード配列は、in vivoでの分解に対して改善された抵抗性及び/又はin vivoでの改善された安定性、及び/又はin vivoでの改善された翻訳可能性を示し得る。最も広義でのコドン修飾は、遺伝子コードの縮重を使用し、ここで、複数のコドンは、本明細書において概説する通り、同じアミノ酸をコードし得、互換的に使用されて(WO2020002525の表1を参照)、in vivoでの適用のためコード配列が最適化/修飾され得る。
【0245】
一部の実施形態では、mRNAの少なくとも1つのコード配列は、コドン修飾されたコード配列であり、ここで、コドン修飾されたコード配列は、C最大化コード配列、CAI最大化コード配列、ヒトコドン使用適合コード配列、G/C含有量が修飾されたコード配列、及びG/Cが最適化されたコード配列、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0246】
一部の実施形態では、mRNAの少なくとも1つのコード配列は、少なくとも約45%、50%、55%、又は60%のG/C含有量を有する。特定の実施形態では、mRNAの少なくとも1つのコード配列は、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%のG/C含有量を有する。
【0247】
哺乳類宿主細胞にトランスフェクトされる場合、コドン修飾されたコード配列を含むmRNAは、12~18時間、又は18時間より長く、例えば、24、36、48、60、72、若しくは72時間より長い安定性を有し、哺乳類宿主細胞(例えば、筋肉細胞)によって発現される能力がある。
【0248】
哺乳類宿主細胞にトランスフェクトされる場合、コドン修飾されたコード配列を含むmRNAは、タンパク質に翻訳され、ここで、タンパク質の量は、哺乳類宿主細胞にトランスフェクトされた天然に存在する又は野生型又は参照コード配列によって得られるタンパク質の量と少なくとも同等であるか、又は好適には、それよりも少なくとも10%多い、若しくは少なくとも20%多い、若しくは少なくとも30%多い、若しくは少なくとも40%多い、若しくは少なくとも50%多い、若しくは少なくとも100%多い、若しくは少なくとも200%以上多い。
【0249】
実施形態では、mRNAは、修飾されていてもよく、ここで、少なくとも1つのコード配列のC含有量は、対応する野生型又は参照コード配列のC含有量と比較して、増加し、好適には、最大化され得る(本明細書において、「C最大化コード配列」と称される)。mRNAのC最大化コード配列によってコードされるアミノ酸配列は、好適には、それぞれの野生型又は参照コード配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して、修飾されていない。C最大化核酸配列の生成は、好適には、WO2015/062738に記載の修飾方法を使用して行われ得る。この文脈で、WO2015/062738の開示は、参照により本明細書に含まれる。
【0250】
一部の実施形態では、mRNAは、修飾されていてもよく、ここで、少なくとも1つのコード配列のG/C含有量は、対応する野生型又は参照コード配列のG/C含有量と比較して、最適化され得る(本明細書において、「G/C含有量が最適化されたコード配列」と称される)。その文脈における「最適化」は、コード配列を指し、ここで、G/C含有量は、好適には、可能性のある本質的に最大のG/C含有量まで増加する。mRNAのG/C含有量が最適化されたコード配列によってコードされるアミノ酸配列は、好適には、それぞれの野生型又は参照コード配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して、修飾されていない。G/C含有量が最適化されたmRNA配列の生成は、WO2002/098443に記載の方法を使用して行われ得る。この文脈で、WO2002/098443の開示は、本発明においてその全範囲で含まれる。
【0251】
一部の実施形態では、mRNAは、修飾されていてもよく、ここで、少なくとも1つのコード配列中のコドンは、ヒトコドン使用に適合され得る(本明細書において、「ヒトコドン使用適合コード配列」と称される)。同じアミノ酸をコードするコドンは、ヒトにおいて異なる頻度で生じる。したがって、mRNAのコード配列は、好適には、同じアミノ酸をコードするコドンの頻度がヒトコドン使用によるそのコドンの天然に存在する頻度に対応するように、修飾される。例えば、アミノ酸Alaの場合、野生型又は参照コード配列は、好適には、コドン「GCC」が、0.40の頻度で使用され、コドン「GCT」が、0.28の頻度で使用され、コドン「GCA」が、0.22の頻度で使用され、コドン「GCG」が、0.10の頻度で使用されるなどの方法で、適合される(例えば、WO2020002525の表1を参照)。したがって、このような手法(Alaについて例示される)を、RNAのコード配列がコードするそれぞれのアミノ酸に適合して、ヒトコドン使用に適合した配列を得る。
【0252】
実施形態では、mRNAは、修飾されていてもよく、ここで、少なくとも1つのコード配列のG/C含有量は、対応する野生型又は参照コード配列のG/C含有量と比較して修飾され得る(本明細書において、「G/C含有量が修飾されたコード配列」と称される)。この文脈では、用語「G/C最適化」又は「G/C含有量修飾」は、対応する野生型又は参照コード配列と比較して、修飾された、好適には、増加した数のグアノシン及び/又はシトシンヌクレオチドを含む核酸に関する。このような増加した数は、アデノシン又はチミジンヌクレオチドを含有するコドンの、グアノシン又はシトシンヌクレオチドを含有するコドンによる置換によって生成されてもよい。好適には、増加したG/C含有量を有する核酸配列は、増加したA/Uを有する配列よりも安定であるか、又は良好な発現を示す。mRNAのG/C含有量が修飾されたコード配列によってコードされるアミノ酸配列は、好適には、それぞれの野生型又は参照配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して、修飾されていない。一部の実施形態では、核酸のコード配列のG/C含有量は、対応する野生型又は参照核酸配列のコード配列のG/C含有量と比較して、少なくとも10%、20%、30%、好適には、少なくとも40%増加する。
【0253】
実施形態では、mRNAは、修飾されていてもよく、ここで、コドン適合指標(CAI)は、少なくとも1つのコード配列で増加されるか、又は好適には最大化され得る(本明細書において、「CAI最大化コード配列」と称される)。一部の実施形態では、例えば、ヒトにおいて比較的稀である野生型又は参照核酸配列のすべてのコドンは、例えば、ヒトにおいて頻繁であるそれぞれのコドンに交換され、ここで、頻繁なコドンは、比較的稀なコドンと同じアミノ酸をコードする。好適には、最も頻繁なコドンは、コードされるタンパク質のそれぞれのアミノ酸に使用される(WO2020002525の表1を参照、最も頻繁なヒトコドンは、アスタリスクでマークされている)。好適には、mRNAは、少なくとも1つのコード配列を含み、ここで、少なくとも1つのコード配列のコドン適合指標(CAI)は、少なくとも0.5、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも0.95である。一部の実施形態では、少なくとも1つのコード配列のコドン適合指標(CAI)は、1(CAI=1)である。例えば、アミノ酸Alaの場合、野生型又は参照コード配列は、最も頻繁なヒトコドン「GCC」が、常に、アミノ酸に使用される方法で適合されてもよい。したがって、このような手法(Alaについて例示される)を、mRNAのコード配列によってコードされるそれぞれのアミノ酸に適合して、CAI最大化コード配列を得てもよい。
【0254】
実施形態では、mRNAは、核酸配列におけるA及び/又はUヌクレオチドの数を、オリジナルの核酸配列(例えば、野生型又は参照配列)におけるA及び/又はUヌクレオチドの数に対して変更することによって、修飾され得る。一部の実施形態では、このようなAU変更は、(i)HPLC方法を使用した同時精製を可能にし、及び/又は得られる核酸組成物の分析を可能にするために、組成物における個々の核酸の保持時間を修飾するために行われる。このような方法は、公開されているPCT出願WO2019092153A1に詳細に記載されている。WO2019092153A1の請求項1から70は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0255】
一部の実施形態では、mRNAの少なくとも1つのコード配列は、コドン修飾されたコード配列であり、ここで、コドン修飾されたコード配列は、G/Cが最適化されたコード配列、ヒトコドン使用適合コード配列、又はG/Cが修飾されたコード配列から選択される。
【0256】
ポリAテール(例えば、約30個以上のアデノシン残基)は、その半減期を増加させるためにRNAの3'末端に結合され得る。
【0257】
一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのポリ(N)配列、例えば、少なくとも1つのポリ(A)配列、少なくとも1つのポリ(U)配列、少なくとも1つのポリ(C)配列、又はそれらの組み合わせを含む。
【0258】
一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのポリ(A)配列を含む。
【0259】
本明細書で使用される場合、用語「ポリ(A)配列」、「ポリ(A)テール」又は「3'ポリ(A)テール」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、典型的には、最大約1000個のアデノシンヌクレオチドの直鎖RNA(又は環状RNA中)の3'末端に位置する、アデノシンヌクレオチドの配列であることが意図される。一部の実施形態では、ポリ(A)配列は、本質的にホモポリマー性であり、例えば、例えば100個のアデノシンヌクレオチドのポリ(A)配列は、本質的に100ヌクレオチド長を有する。他の実施形態では、ポリ(A)配列は、アデノシンヌクレオチドと異なる少なくとも1つのヌクレオチドによって中断され得、例えば、例えば100個のアデノシンヌクレオチドのポリ(A)配列は、100より長いヌクレオチド長を有し得る(100個のアデノシンヌクレオチド、及びさらにはアデノシンヌクレオチドとは異なる少なくとも1つのヌクレオチド又はヌクレオチドの区画を含む)。
【0260】
ポリ(A)配列は、約10~約500個のアデノシンヌクレオチド、約10~約200個のアデノシンヌクレオチド、約40~約200個のアデノシンヌクレオチド、又は約40~約150個のアデノシンヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態では、ポリ(A)配列の長さは、少なくとも約10、50、64、75、100、200、300、400、若しくは500個のアデノシンヌクレオチド又はさらに約10、50、64、75、100、200、300、400、若しくは500個のアデノシンヌクレオチドより長くてもよい。
【0261】
一部の実施形態では、mRNAは、約30~約200個のアデノシンヌクレオチドを含む少なくとも1つのポリ(A)配列を含む。一部の実施形態では、ポリ(A)配列は、約64個のアデノシンヌクレオチド(A64)を含む。他の一部の実施形態では、ポリ(A)配列は、約100個のアデノシンヌクレオチド(A100)を含む。他の実施形態では、ポリ(A)配列は、約150個のアデノシンヌクレオチドを含む。
【0262】
さらなる実施形態では、mRNAは、約100個のアデノシンヌクレオチドを含む少なくとも1つのポリ(A)配列を含み、ポリ(A)配列は、非アデノシンヌクレオチドによって、好適には、10個の非アデノシンヌクレオチドによって中断される(A30-N10-A70)。
【0263】
本明細書において定義されるポリ(A)配列は、mRNAの3'末端に直接位置してもよい。一部の実施形態では、3'末端のヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖中の最後の3'末端のヌクレオチドである)は、少なくとも1つのポリ(A)配列の3'末端のAヌクレオチドである。用語「3'末端に直接位置する」は、3'末端に正確に位置すると理解されなければならず、言い換えると、核酸の3'末端は、ポリ(A)配列からなり、Aヌクレオチドで終結する。
【0264】
一実施形態では、mRNAは、少なくとも70個のアデノシンヌクレオチド、好適には、連続する少なくとも70個のアデノシンヌクレオチドのポリ(A)配列を含み、ここで、3'末端のヌクレオチドは、アデノシンヌクレオチドである。
【0265】
実施形態では、核酸のポリ(A)配列は、RNA in vitro転写中にDNA鋳型から得られる。他の実施形態では、ポリ(A)配列は、必ずしもDNA鋳型から転写されるわけではなく、一般的な化学合成方法によってin vitroで得られる。他の実施形態では、ポリ(A)配列は、市販のポリアデニル化キット及び当該技術分野で公知の対応するプロトコールを使用した、RNAの酵素ポリアデニル化(RNA in vitro転写後)によって、又は代わりに、例えば、WO2016174271に記載される方法及び手段を使用した、固定化ポリ(A)ポリメラーゼを使用することによって生成される。
【0266】
mRNAは、酵素ポリアデニル化によって得られるポリ(A)配列を含み得、核酸分子の大部分は、約100(+/-20)~約500(+/-50)、好適には、約250(+/-20)個のアデノシンヌクレオチドを含む。
【0267】
実施形態では、mRNAは、鋳型DNAから誘導されるポリ(A)配列を含み、場合により、例えば、WO2016091391に記載されるように、酵素ポリアデニル化によって生成される少なくとも1つの追加のポリ(A)配列をさらに含む。
【0268】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのポリアデニル化シグナルを含む。
【0269】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのポリ(C)配列を含む。
【0270】
本明細書で使用される場合、用語「ポリ(C)配列」は、最大約200個のシトシンヌクレオチドのシトシンヌクレオチドの配列であることが意図される。実施形態では、ポリ(C)配列は、約10~約200個のシトシンヌクレオチド、約10~約100個のシトシンヌクレオチド、約20~約70個のシトシンヌクレオチド、約20~約60個のシトシンヌクレオチド、又は約10~約40個のシトシンヌクレオチドを含む。一実施形態では、ポリ(C)配列は、約30個のシトシンヌクレオチドを含む。
【0271】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つのヒストンステムループ(hSL)又はヒストンステムループ構造を含む。
【0272】
用語「ヒストンステムループ」(例えば、配列表において「hSL」と略される)は、ヒストンmRNAで主に見られるステムループ二次構造を形成する核酸配列を指すことが意図される。
【0273】
ヒストンステムループ配列/構造は、好適には、WO2012019780に開示されるヒストンステムループ配列から選択され得、ヒストンステムループ配列/ヒストンステムループ構造に関する開示が、参照により本明細書中に取り込まれる。使用され得るヒストンステムループ配列は、WO2012019780の式(I)又は(II)から誘導され得る。さらなる実施形態によると、mRNAは、特許出願WO2012019780の特定の式(Ia)又は(IIa)の少なくとも1つから誘導される少なくとも1つのヒストンステムループ配列を含む。
【0274】
他の実施形態では、mRNAは、本明細書において定義されるhsLを含まない。
【0275】
実施形態では、mRNAは、3'末端の配列エレメントを含む。3'末端の配列エレメントは、ポリ(A)配列、及び場合によりヒストンステムループ配列を含む。
【0276】
RNAの5'末端は、キャッピングされてもよい。mRNAは、5'キャップ構造の付加によって修飾されてもよく、これにより、好適には、RNAを安定化し、及び/又はコードされる抗原の発現を強化し、及び/又は(対象への投与後に)自然免疫系の刺激を低減する。
【0277】
例えば、RNAの5'末端は、構造m7G(5')ppp(5') N(キャップ0構造)又はその誘導体を有する修飾されたリボヌクレオチドでキャッピングされてもよく、これは、RNA合成中に取り込まれ得るか、又はRNA転写後に酵素的に作出されてもよい(例えば、N7-モノメチル化キャップ0構造の構築を触媒する、mRNAトリホスファターゼ、グアニリル-トランスフェラーゼ、及びグアニン-7-メチルトランスフェラーゼからなるワクシニアウイルスキャッピング酵素(VCE)を使用することによって)。キャップ0構造は、RNA分子の安定性及び翻訳有効性を維持するのに重要な役割を果たす。mRNA分子の5'キャップは、翻訳有効性をさらに増加させ得るキャップ1構造(m7Gppp[m2'-Ο]N)の生成をもたらす、2'-O-メチルトランスフェラーゼによってさらに修飾されてもよい。
【0278】
実施形態では、mRNAは、5'キャップ構造、好適には、m7G、キャップ0、キャップ1、キャップ2、修飾されたキャップ0、又は修飾されたキャップ1構造を含む。
【0279】
本明細書で使用される場合、用語「5'キャップ構造」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、RNA、例えば、mRNAの5'末端に位置する、5'修飾されたヌクレオチド、特に、グアニンヌクレオチドを指すことが意図される。一部の実施形態では、5'キャップ構造は、5'-5'-三リン酸結合を介してRNAに接続される。
【0280】
好適であり得る5'キャップ構造は、キャップ0(第一の核酸塩基のメチル化、例えば、m7GpppN)、キャップ1(m7GpppNの隣接するヌクレオチドのリボースのさらなるメチル化)、キャップ2(m7GpppNの下流の2番目のヌクレオチドのリボースのさらなるメチル化)、キャップ3(m7GpppNの下流の3番目のヌクレオチドのリボースのさらなるメチル化)、キャップ4(m7GpppNの下流の4番目のヌクレオチドのリボースのさらなるメチル化)、ARCA(抗リバースキャップアナログ)、修飾されたARCA(例えば、ホスホチオエート修飾されたARCA)、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2'-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、及び2-アジド-グアノシンである。
【0281】
5'キャップ(キャップ0又はキャップ1)構造は、化学的RNA合成で、又はキャップアナログを使用したRNA in vitro転写(同時転写キャッピング)で形成することができる。
【0282】
本明細書で使用される場合、用語「キャップアナログ」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、それが、翻訳若しくは局在性を促進し、及び/又は核酸分子の5'末端で取り込まれた場合、核酸分子、特に、RNA分子の分解を予防するという点で、キャップ機能性を有する重合不可能なジ-ヌクレオチド又はトリ-ヌクレオチドを指すことが意図される。重合不可能とは、キャップアナログが、5'三リン酸を有さず、したがって、鋳型依存性ポリメラーゼによって、特に、鋳型依存性RNAポリメラーゼによって、3'方向に伸長することができないため、5'末端でのみ取り込まれることを意味する。キャップアナログの例は、限定するものではないが、m7GpppG、m7GpppA、m7GpppC;非メチル化キャップアナログ(例えば、GpppG);ジメチル化キャップアナログ(例えば、m2,7GpppG)、トリメチル化キャップアナログ(例えば、m2,2,7GpppG)、ジメチル化対称キャップアナログ(例えば、m7Gpppm7G)、又は抗リバースキャップアナログ(例えば、ARCA;m7,2'OmeGpppG、m7,2'dGpppG、m7,3'OmeGpppG、m7,3'dGpppG及びそれらのテトラリン酸誘導体)からなる群から選択される化学構造を含む。さらなるキャップアナログは、以前に記載されている(WO2008016473、WO2008157688、WO2009149253、WO2011015347、及びWO2013059475)。その文脈でのさらなる好適なキャップアナログは、WO2017066793、WO2017066781、WO2017066791、WO2017066789、WO2017/053297、WO2017066782、WO2018075827、及びWO2017066797に記載され、キャップアナログに関する開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0283】
実施形態では、修飾されたキャップ1構造は、WO2017053297、WO2017066793、WO2017066781、WO2017066791、WO2017066789、WO2017066782、WO2018075827、及びWO2017066797に開示されるトリ-ヌクレオチドキャップアナログを使用して生成される。特に、WO2017053297の請求項1~5に開示される構造から誘導可能な任意のキャップ構造を好適に使用して、修飾されたキャップ構造1を同時転写的に生成してもよい。さらに、WO2018075827の請求項1又は請求項21に定義される構造から誘導可能な任意のキャップ構造を好適に使用して、修飾されたキャップ構造1を同時転写的に生成してもよい。
【0284】
実施形態では、mRNAは、キャップ1構造を含む。
【0285】
実施形態では、5'キャップ構造は、好適には本明細書において定義されるRNA in vitro転写反応において、本明細書において定義されるトリ-ヌクレオチドキャップアナログを使用して同時転写的に付加されてもよい。
【0286】
実施形態では、mRNAのキャップ1構造は、トリ-ヌクレオチドキャップアナログm7G(5')ppp(5')(2'OMeA)pG又はm7G(5')ppp(5')(2'OMeG)pGを使用した同時転写キャッピングを使用して形成される。その文脈での好適なキャップ1アナログは、m7G(5')ppp(5')(2'OMeA)pGである。
【0287】
他の実施形態では、mRNAのキャップ1構造は、トリ-ヌクレオチドキャップアナログ3'OMe-m7G(5')ppp(5')(2'OMeA)pGを使用した同時転写キャッピングを使用して形成される。
【0288】
他の実施形態では、mRNAのキャップ0構造は、キャップアナログ3'OMe-m7G(5')ppp(5')Gを使用した同時転写キャッピングを使用して形成される。
【0289】
他の実施形態では、5'キャップ構造を、キャッピング酵素(例えば、ワクシニアウイルスキャッピング酵素及び/又はキャップ依存性2'-Oメチルトランスフェラーゼ)を使用した酵素キャッピングを介して形成して、キャップ0又はキャップ1又はキャップ2構造を生成する。5'キャップ構造(キャップ0又はキャップ1)は、WO2016193226に開示される方法及び手段を使用した固定化キャッピング酵素及び/又はキャップ依存性2'-Oメチルトランスフェラーゼを使用して付加されてもよい。
【0290】
キャップ0又はキャップ1構造の存在/非存在を決定するため、公開されたPCT出願WO2015101416に記載される、特に、公開されたPCT出願WO2015101416の請求項27~46に記載されるキャッピングアッセイを使用することができる。RNAのキャップ0又はキャップ1構造の存在/非存在を決定するために使用され得る他のキャッピングアッセイは、PCT/EP2018/08667、又は公開されたPCT出願WO2014152673及びWO2014152659に記載されている。
【0291】
実施形態では、mRNAは、m7G(5')ppp(5')(2'OMeA)キャップ構造を含む。このような実施形態では、mRNAは、5'末端のm7Gキャップ、及びm7GpppNの隣接するヌクレオチドのリボースのさらなるメチル化、その場合では、2'Oメチル化されたアデノシンを含む。一部の実施形態では、RNA(種)の約70%、75%、80%、85%、90%、95%は、キャッピングアッセイを使用して決定されるそのようなキャップ1構造を含む。
【0292】
他の実施形態では、mRNAは、m7G(5')ppp(5')(2'OMeG)キャップ構造を含む。このような実施形態では、mRNAは、5'末端のm7Gキャップ、及び隣接するヌクレオチドのリボースのさらなるメチル化、その場合では、2'Oメチル化されたグアノシンを含む。一部の実施形態では、コードRNA(種)の約70%、75%、80%、85%、90%、95%は、キャッピングアッセイを使用して決定されるそのようなキャップ1構造を含む。
【0293】
したがって、mRNA配列の第一のヌクレオチド、すなわち、m7G(5')ppp構造の下流のヌクレオチドは、2'Oメチル化グアノシン又は2'Oメチル化アデノシンであってもよい。
【0294】
実施形態では、mRNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U(A/T)含有量は、そのそれぞれの野生型又は参照核酸のリボソーム結合部位の環境におけるA/U(A/T)含有量と比較して、増加してもよい。この修飾(リボソーム結合部位周囲の増加したA/U(A/T)含有量)は、mRNAへのリボソーム結合の効率を増加させる。リボソームのリボソーム結合部位への有効な結合は、次に、mRNAの効率的な翻訳の効果を有する。
【0295】
したがって、一部の実施形態では、mRNAは、「コザック配列」としても称される、リボソーム結合部位を含む。
【0296】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、少なくとも1つの異種非翻訳領域(UTR)、例えば、5' UTR及び/又は3' UTRを含み得る。
【0297】
用語「非翻訳領域」又は「UTR」又は「UTRエレメント」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、典型的には、コード配列の5'に位置するか、又は3'に位置する核酸分子の一部を指すことが意図される。UTRは、タンパク質に翻訳されない。UTRは、核酸、例えば、DNA又はRNAの一部であってもよい。UTRは、調節エレメントとも呼ばれる、遺伝子発現を制御するためのエレメントを含んでもよい。このような調節エレメントは、例えば、リボソーム結合部位、miRNA結合部位、プロモーターエレメントなどであってもよい。
【0298】
実施形態では、mRNAは、タンパク質コード領域(「コード配列」又は「cds」)、並びに5'UTR及び/又は3'UTRを含む。特に、UTRは、核酸、例えば、RNAターンオーバー、安定性、及び局在性を決定する調節配列エレメントを有し得る。さらに、UTRは、翻訳を強化する配列エレメントを有し得る。核酸配列(DNA及びRNAを含む)の医薬適用では、核酸の少なくとも1つのペプチド又はタンパク質への翻訳は、治療有効性に最も重要なものである。3'UTR及び/又は5'UTRのある特定の組み合わせは、本発明のペプチド又はタンパク質をコードする作動可能に連結されたコード配列の発現を強化し得る。UTRの組み合わせを有する核酸分子は、有利には、対象への投与後、好適には、筋肉内投与後に、抗原性ペプチド又はタンパク質の迅速且つ一過性の発現を可能にする。したがって、本明細書において提供される3'UTR及び/又は5'UTRのある特定の組み合わせを含むmRNAは、ワクチンとしての投与に特に好適であり、特に、対象の筋肉、真皮、又は表皮への投与に好適である。
【0299】
一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの異種5'UTR及び/又は少なくとも1つの異種3'UTRを含む。異種5'UTR又は3'UTRは、天然に存在する遺伝子から誘導されてもよいか、又は合成的に作出されてもよい。実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの(異種)3'UTR及び/又は少なくとも1つの(異種)5'UTRに作動可能に連結された本明細書において定義される少なくとも1つのコード配列を含む。
【0300】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの異種3'UTRを含む。
【0301】
用語「3'非翻訳領域」又は「3'UTR」又は「3'UTRエレメント」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、コード配列の3'(すなわち、下流)に位置し、タンパク質に翻訳されない核酸分子の一部を指すことが意図される。3'UTRは、コード配列と(任意の)末端ポリ(A)配列の間に位置する核酸、例えば、DNA又はRNAの一部であってもよい。3'UTRは、調節エレメントとも呼ばれる、遺伝子発現を制御するためのエレメントを含んでもよい。このような調節エレメントは、例えば、リボソーム結合部位、miRNA結合部位などであってもよい。
【0302】
一部の実施形態では、mRNAは、強化された半減期を有するRNAに関する(すなわち、安定なRNAをもたらす)遺伝子から誘導可能であり得る、3'UTRを含む。
【0303】
一部の実施形態では、3'UTRは、ポリアデニル化シグナル、細胞における位置の核酸安定性に影響するタンパク質の結合部位、又は1つ以上のmiRNA若しくはmiRNAの結合部位のうちの1つ以上を含む。
【0304】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの異種3'UTRを含み、少なくとも1つの異種3'UTRは、PSMB3、ALB7、アルファ-グロビン(「muag」と称される)、CASP1、COX6B1、GNAS、NDUFA1、及びRPS9から選択される遺伝子、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントの3'UTRから誘導されるか又は選択される、核酸配列を含む。
【0305】
その文脈での核酸配列は、公開されたPCT出願WO2019077001A1、特に、WO2019077001A1の請求項9から誘導され得る。WO2019077001A1の請求項9の対応する3'-UTR配列は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0306】
一部の実施形態では、mRNAは、WO2016107877に記載される3'UTRを含んでもよく、3'UTR配列に関するWO2016107877の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。好適な3'UTRは、WO2016107877の配列番号1~24及び配列番号49~318、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントである。他の実施形態では、核酸は、WO2017036580に記載される3'UTRを含み、3'UTR配列に関するWO2017036580の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。好適な3'UTRは、WO2017036580の配列番号152~204、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントである。他の実施形態では、核酸は、WO2016022914に記載される3'UTRを含み、3'UTR配列に関するWO2016022914の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。特に好適な3'UTRは、WO2016022914の配列番号20~36に記載の核酸配列、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントである。
【0307】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの異種5'UTRを含む。
【0308】
用語「5'非翻訳領域」又は「5'UTR」又は「5'UTRエレメント」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、コード配列の5'(すなわち、上流)に位置し、タンパク質に翻訳されない核酸分子の一部を指すことが意図される。5'UTRは、コード配列の5'に位置する核酸の一部であってもよい。典型的には、5'UTRは、転写開始部位で始まり、コード配列の開始コドン前で終わる。5'UTRは、調節エレメントとも呼ばれる、遺伝子発現を制御するためのエレメントを含んでもよい。このような調節エレメントは、例えば、リボソーム結合部位、miRNA結合部位などであってもよい。5'UTRは、例えば、5'キャップ構造(例えば、本明細書において定義されるmRNAのため)の酵素又は転写後付加によって、転写後修飾されてもよい。
【0309】
一部の実施形態では、mRNAは、強化された半減期を有するRNAに関する(すなわち、安定なRNAをもたらす)遺伝子から誘導可能であり得る、5'UTRを含む。
【0310】
一部の実施形態では、5'UTRは、細胞におけるRNA安定性若しくはRNA位置に影響するタンパク質の結合部位、又は1つ以上のmiRNA若しくはmiRNAの結合部位のうちの1つ以上を含む。
【0311】
実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの異種5'UTRを含み、少なくとも1つの異種5'UTRは、HSD17B4、RPL32、ASAH1、ATP5A1、MP68、NDUFA4、NOSIP、RPL31、SLC7A3、TUBB4B、及びUBQLN2から選択される遺伝子、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントの5'UTRから誘導されるか又は選択される、核酸配列を含む。
【0312】
その文脈での核酸配列は、公開されたPCT出願WO2019077001A1、特に、WO2019077001A1の請求項9から選択され得る。WO2019077001A1の請求項9の対応する5'UTR配列は、参照により本明細書中に取り込まれる(例えば、WO2019077001A1の配列番号1~20、又はそのフラグメント若しくはバリアント)。
【0313】
一部の実施形態では、成分A及び/又は成分Bの核酸は、WO2013143700に記載される5'UTRを含み得、5'UTR配列に関するWO2013143700の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。特に好適な5'UTRは、WO2013143700の配列番号1~1363、配列番号1395、配列番号1421、及び配列番号1422、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントから誘導される核酸配列である。他の実施形態では、核酸は、WO2016107877に記載される5'UTRを含み、5'UTR配列に関するWO2016107877の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。特に好適な5'UTRは、WO2016107877の配列番号25~30及び配列番号319~382に記載の核酸配列、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントである。他の実施形態では、核酸は、WO2017036580に記載される5'UTRを含み、5'UTR配列に関するWO2017036580の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。特に好適な5'UTRは、WO2017036580の配列番号1~151に記載の核酸配列、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントである。他の実施形態では、核酸は、WO2016022914に記載される5'UTRを含み、5'UTR配列に関するWO2016022914の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。特に好適な5'UTRは、WO2016022914の配列番号3~19に記載の核酸配列、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントである。
【0314】
実施形態では、mRNAは、本明細書において定義される少なくとも1つのステムHA抗原性タンパク質をコードする、以下の5'UTR/3'UTRの組み合わせ(「UTR設計」とも呼ばれる):
a-1(HSD17B4/PSMB3)、a-2(NDUFA4/PSMB3)、a-3(SLC7A3/PSMB3)、a-4(NOSIP/PSMB3)、a-5(MP68/PSMB3)、b-1(UBQLN2/RPS9)、b-2(ASAH1/RPS9)、b-3(HSD17B4/RPS9)、b-4(HSD17B4/CASP1)、b-5(NOSIP/COX6B1)、c-1(NDUFA4/RPS9)、c-2(NOSIP/NDUFA1)、c-3(NDUFA4/COX6B1)、c-4(NDUFA4 /NDUFA1)、c-5(ATP5A1/PSMB3)、d-1(Rpl31/PSMB3)、d-2(ATP5A1/CASP1)、d-3(SLC7A3/GNAS)、d-4(HSD17B4/NDUFA1)、d-5(Slc7a3/Ndufa1)、e-1(TUBB4B/RPS9)、e-2(RPL31/RPS9)、e-3(MP68/RPS9)、e-4(NOSIP/RPS9)、e-5(ATP5A1/RPS9)、e-6(ATP5A1/COX6B1)、f-1(ATP5A1/GNAS)、f-2(ATP5A1/NDUFA1)、f-3(HSD17B4/COX6B1)、f-4(HSD17B4/GNAS)、f-5(MP68/COX6B1)、g-1(MP68/NDUFA1)、g-2(NDUFA4/CASP1)、g-3(NDUFA4/GNAS)、g-4(NOSIP/CASP1)、g-5(RPL31/CASP1)、h-1(RPL31/COX6B1)、h-2(RPL31/GNAS)、h-3(RPL31/NDUFA1)、h-4(Slc7a3/CASP1)、h-5(SLC7A3/COX6B1)、i-1(SLC7A3/RPS9)、i-2(RPL32/ALB7)、i-2(RPL32/ALB7)、又はi-3(アルファ-グロビン遺伝子)から選択される3'-UTR及び/又は5'-UTRに作動可能に連結された、本明細書において特定される少なくとも1つのコード配列を含む。
【0315】
実施形態では、mRNAは、本明細書において定義される少なくとも1つのステムHA抗原性タンパク質をコードする、本明細書において定義される少なくとも1つのコード配列を含み、コード配列は、HSD17B4 5'-UTR及びPSMB3 3'-UTR(HSD17B4/PSMB3(UTR設計a-1))に作動可能に連結されている。
【0316】
さらなる実施形態では、mRNAは、本明細書において定義される少なくとも1つのステムHA抗原性タンパク質をコードする、本明細書において特定される少なくとも1つのコード配列を含み、コード配列は、SLC7A3 5'-UTR及びPSMB3 3'-UTR(SLC7A3/PSMB3(UTR設計a-3))に作動可能に連結されている。
【0317】
さらなる実施形態では、mRNAは、本明細書において定義される少なくとも1つのステムHA抗原性タンパク質をコードする、本明細書において特定される少なくとも1つのコード配列を含み、コード配列は、RPL31 5'-UTR及びRPS9 3'-UTR(RPL31/RPS9(UTR設計e-2))に作動可能に連結されている。
【0318】
一部の実施形態では、mRNAは、本明細書において定義される少なくとも1つのステムHA抗原性タンパク質をコードする、本明細書において定義される少なくとも1つのコード配列を含み、コード配列は、アルファ-グロビン(「muag」)3'-UTRに作動可能に連結されている。
【0319】
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、5'から3'に:
i)5'キャップ1構造;
ii)HSD17B4遺伝子の5'-UTRから誘導される、5'-UTR、
iii)コード配列、
iv)PSMB3遺伝子の3'-UTRから誘導される、3'-UTR、
v)場合により、ヒストンステムループ配列、及び
vi)約100個のAヌクレオチドを含むポリ(A)配列
を含み、RNAの3'末端のヌクレオチドがアデノシンである。
【0320】
実施形態によると、mRNAは、修飾されたRNAであり、修飾は、骨格修飾並びに糖修飾又は塩基修飾を含む化学的修飾を指す。
【0321】
修飾されたmRNAは、1つ以上のヌクレオチドアナログ又は修飾されたヌクレオチド(ヌクレオチドアナログ/修飾、例えば、骨格修飾、糖修飾、又は塩基修飾)を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ヌクレオチドアナログ」又は「修飾されたヌクレオチド」は、ヌクレオシドの窒素塩基(例えば、シトシン(C)、チミン(T)、又はウラシル(U))、アデニン(A)若しくはグアニン(G))内若しくは上における1つ以上の化学的修飾(例えば、置換)、及び/又は骨格のリン酸内若しくは上における1つ以上の化学的修飾を含むヌクレオチドを指す。ヌクレオチドアナログは、ヌクレオシドの糖部分(例えば、リボース、修飾されたリボース、六員糖アナログ、若しくは開鎖糖アナログ)、又はリン酸内又は上におけるさらなる化学的修飾を含み得る。ヌクレオチド及び修飾されたヌクレオチド及びヌクレオシドの調製は、当該技術分野において周知であり、以下の参考文献を参照されたい:米国特許第4,373,071号、第4,458,066号、第4,500,707号、第4,668,777号、第4,973,679号、第5,047,524号、第5,132,418号、第5,153,319号、第5,262,530号、第5,700,642号。多数の修飾されたヌクレオシド及び修飾されたヌクレオチドが、市販されている。
【0322】
本発明の文脈での骨格修飾は、RNAのヌクレオチドの骨格のリン酸が化学的に修飾される修飾である。本発明の文脈での糖修飾は、RNAのヌクレオチドの糖の化学的修飾である。さらに、本発明の文脈での塩基修飾は、RNAのヌクレオチドの塩基部分の化学的修飾である。この文脈では、ヌクレオチドアナログ又は修飾は、好適には、転写及び/又は翻訳に適用可能であるヌクレオチドアナログから選択される。
【0323】
修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドに取り込むことができ、mRNA分子に存在し得る、修飾された核酸塩基(化学的修飾)としては、m5C(5-メチルシチジン)、m5U(5-メチルウリジン)、m6A(N6-メチルアデノシン)、s2U(2-チオウリジン)、Um(2'-O-メチルウリジン)、m1A(1-メチルアデノシン);m2A(2-メチルアデノシン);Am(2-1-O-メチルアデノシン);ms2m6A(2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン);i6A(N6-イソペンテニルアデノシン);ms2i6A(2-メチルチオ-N6イソペンテニルアデノシン);io6A(N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);ms2io6A(2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);g6A(N6-グリシニルカルバモイルアデノシン);t6A(N6-スレオニルカルバモイルアデノシン);ms2t6A(2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン);m6t6A(N6-メチル-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン);hn6A(N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);ms2hn6A(2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);Ar(p)(2'-O-リボシルアデノシン(リン酸));I(イノシン);mil(1-メチルイノシン);m'lm(l ,2'-O-ジメチルイノシン);m3C(3-メチルシチジン);Cm(2'-O-メチルシチジン);s2C(2-チオシチジン);ac4C(N4-アセチルシチジン);f5C(5-ホルミルシチジン);m5Cm(5,2-O-ジメチルシチジン);ac4Cm(N4-アセチル-2-O-メチルシチジン);k2C(リシジン);m1G(1-メチルグアノシン);m2G(N2-メチルグアノシン);m7G(7-メチルグアノシン);Gm(2'-O-メチルグアノシン);m22G(N2,N2-ジメチルグアノシン);m2Gm(N2,2'-O-ジメチルグアノシン);m22Gm(N2,N2,2'-O-トリメチルグアノシン);Gr(p)(2'-O-リボシルグアノシン(ホスフェート));yW(ワイブトシン);o2yW(ペルオキシワイブトシン);OHyW(ヒドロキシワイブトシン);OHyW*(非修飾(undermodified)ヒドロキシワイブトシン);imG(ワイオシン);mimG(メチルグアノシン);Q(キューオシン);oQ(エポキシキューオシン);galQ(ガラクトシル-キューオシン);manQ(マンノシル-キューオシン);preQo(7-シアノ-7-デアザグアノシン);preQi(7-アミノメチル-7-デアザグアノシン);G*(アルカエオシン);D(ジヒドロウリジン);m5Um(5,2'-O-ジメチルウリジン);s4U(4-チオウリジン);m5s2U(5-メチル-2-チオウリジン);s2Um(2-チオ-2'-O-メチルウリジン);acp3U(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン);ho5U(5-ヒドロキシウリジン);mo5U(5-メトキシウリジン);cmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸);mcmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル);chm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン));mchm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル);mcm5U(5-メトキシカルボニルメチルウリジン);mcm5Um(S-メトキシカルボニルメチル-2-O-メチルウリジン);mcm5s2U(5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン);nm5s2U(5-アミノメチル-2-チオウリジン);mnm5U(5-メチルアミノメチルウリジン);mnm5s2U(5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン);mnm5se2U(5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン);ncm5U(5-カルバモイルメチルウリジン);ncm5Um(5-カルバモイルメチル-2'-0-メチルウリジン);cmnm5U(5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン);cnmm5Um(5-カルボキシメチル1アミノメチル-2-L-O-メチルウリジン);cmnm5s2U(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン);m62A(N6,N6-ジメチルアデノシン);Tm(2'-O-メチルイノシン);m4C(N4-メチルシチジン);m4Cm(N4,2-O-ジメチルシチジン);hm5C(5-ヒドロキシメチルシチジン);m3U(3-メチルウリジン);cm5U(5-カルボキシメチルウリジン);m6Am(N6,2'-O-ジメチルアデノシン);rn62Am(N6,N6,0-2-トリメチルアデノシン);m2'7G(N2,7-ジメチルグアノシン);m2'2'7G(N2,N2,7-トリメチルグアノシン);m3Um(3,2'-O-ジメチルウリジン);m5D(5-メチルジヒドロウリジン);f5Cm(5-ホルミル-2'-O-メチルシチジン);mlGm(l ,2'-0-ジメチルグアノシン);m'Am(1,2-O-ジメチルアデノシン)イリノメチルウリジン);tm5s2U(S-タウリノメチル-2-チオウリジン));iniG-14(4-デメチルグアノシン);imG2(イソグアノシン);ac6A(N6-アセチルアデノシン)、ヒポキサンチン、イノシン、8-オキソ-アデニン、その7-置換誘導体、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-アミノウラシル、5-(C1~C6)-アルキルウラシル、5-メチルウラシル、5-(C2~C6)-アルケニルウラシル、5-(C2~C6)-アルキニルウラシル、5-(ヒドロキシメチル)ウラシル、5-クロロウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-ヒドロキシシトシン、5-(C1~C6)-アルキルシトシン、5-メチルシトシン、5-(C2~C6)-アルケニルシトシン、5-(C2~C6)-アルキニルシトシン、5-クロロシトシン、5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン、N2-ジメチルグアニン、7-デアザグアニン、8-アザグアニン、7-デアザ-7置換グアニン、7-デアザ-7-(C2~C6)アルキニルグアニン、7-デアザ-8-置換グアニン、8-ヒドロキシグアニン、6-チオグアニン、8-オキソグアニン、2-アミノプリン、2-アミノ-6-クロロプリン、2,4-ジアミノプリン、2,6-ジアミノプリン、8-アザプリン、置換7-デアザプリン、7-デアザ-7-置換プリン、7-デアザ-8-置換プリン、水素(非塩基性残基)、m5C、m5U、m6A、s2U、W、又は2'-O-メチル-Uが挙げられる。これらの修飾された核酸塩基及びそれらの対応するリボヌクレオシドの多くは、市販供給業者から入手可能である。
【0324】
一部の実施形態によると、本発明のmRNAは、少なくとも1つの化学的修飾を含む。
【0325】
一部の実施形態では、修飾されたmRNAに取り込まれ得るヌクレオチドアナログ/修飾は、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド-5'-三リン酸、2-アミノプリン-リボシド-5'-三リン酸;2-アミノアデノシン-5'-三リン酸、2'-アミノ-2'-デオキシシチジン-三リン酸、2-チオシチジン-5'-三リン酸、2-チオウリジン-5'-三リン酸、2'-フルオロチミジン-5'-三リン酸、2'-O-メチル-イノシン-5'-三リン酸 4-チオウリジン-5'-三リン酸、5-アミノアリルシチジン-5'-三リン酸、5-アミノアリルウリジン-5'-三リン酸、5-ブロモシチジン-5'-三リン酸、5-ブロモウリジン-5'-三リン酸、5-ブロモ-2'-デオキシシチジン-5'-三リン酸、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン-5'-三リン酸、5-ヨードシチジン-5'-三リン酸、5-ヨード-2'-デオキシシチジン-5'-三リン酸、5-ヨードウリジン-5'-三リン酸、5-ヨード-2'-デオキシウリジン-5'-三リン酸、5-メチルシチジン-5'-三リン酸、5-メチルウリジン-5'-三リン酸、5-プロピニル-2'-デオキシシチジン-5'-三リン酸、5-プロピニル-2'-デオキシウリジン-5'-三リン酸、6-アザシチジン-5'-三リン酸、6-アザウリジン-5'-三リン酸、6-クロロプリンリボシド-5'-三リン酸、7-デアザアデノシン-5'-三リン酸、7-デアザグアノシン-5'-三リン酸、8-アザアデノシン-5'-三リン酸、8-アジドアデノシン-5'-三リン酸、ベンズイミダゾール-リボシド-5'-三リン酸、N1-メチルアデノシン-5'-三リン酸、N1-メチルグアノシン-5'-三リン酸、N6-メチルアデノシン-5'-三リン酸、O6-メチルグアノシン-5'-三リン酸、シュードウリジン-5'-三リン酸、又はピューロマイシン-5'-三リン酸、キサントシン-5'-三リン酸から選択される。5-メチルシチジン-5'-三リン酸、7-デアザグアノシン-5'-三リン酸、5-ブロモシチジン-5'-三リン酸、及びシュードウリジン-5'-三リン酸、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオウリジン、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチルウリジン、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、及び4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、5-アザ-シチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、及び4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、及び2-メトキシ-アデニン、イノシン、1-メチル-イノシン、ワイオシン、ワイブトシン、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、及びN2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、5'-O-(1-チオホスフェート)-アデノシン、5'-O-(1-チオホスフェート)-シチジン、5'-O-(1-チオホスフェート)-グアノシン、5'-O-(1-チオホスフェート)-ウリジン、5'-O-(1-チオホスフェート)-シュードウリジン、6-アザ-シチジン、2-チオ-シチジン、アルファ-チオ-シチジン、シュード-イソ-シチジン、5-アミノアリル-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、アルファ-チオ-ウリジン、4-チオ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン、デオキシ-チミジン、5-メチル-ウリジン、ピロロ-シチジン、イノシン、アルファ-チオ-グアノシン、6-メチル-グアノシン、5-メチル-シチジン、8-オキソ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、N1-メチル-アデノシン、2-アミノ-6-クロロ-プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、シュード-イソ-シチジン、6-クロロ-プリン、N6-メチル-アデノシン、アルファ-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデノシンからなる塩基修飾されたヌクレオチドの群から選択される塩基修飾のためのヌクレオチドが、特に好ましい。
【0326】
一部の実施形態では、化学的修飾は、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、N1-エチルシュードウリジン、2-チオウリジン、4'-チオウリジン、5-メチルシトシン、5-メチルウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5-メトキシウリジン、及び2'-O-メチルウリジンから選択される。
【0327】
その文脈で、特に好適なものは、シュードウリジン(Ψ)、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)、5-メチルシトシン、及び5-メトキシウリジンであり、より好適には、シュードウリジン(Ψ)及びN1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)であり、なおより好適には、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)である。
【0328】
一部の実施形態では、mRNAのコード配列におけるウラシルの本質的にすべて、例えば、本質的に100%は、化学的修飾を有し、好適には、化学的修飾は、ウラシルの5'位置にある。
【0329】
一部の実施形態では、mRNAは、ウリジン修飾である化学的修飾を含み、好ましくは、mRNAにおけるウリジン位置の100%が、修飾されている。
【0330】
修飾されたヌクレオチド、例えば、例としてシュードウリジン(Ψ)、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)、5-メチルシトシン、及び/又は5-メトキシウリジンのmRNAのコード配列への取り込みは、不要な自然免疫応答(コードmRNA又はワクチンの投与の際の)が調整されるか又は低減され得る(必要に応じて)ため、有利であり得る。
【0331】
実施形態では、mRNAは、本明細書において定義される少なくとも1つの抗原性タンパク質をコードする少なくとも1つのコード配列を含み、ここで、コード配列は、シュードウリジン(Ψ)及びN1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)から選択される少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含み、好適には、すべてのウラシルヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)ヌクレオチド及び/又はN1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)ヌクレオチドによって置き換えられており、場合により、すべてのウラシルヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)ヌクレオチド及び/又はN1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)ヌクレオチドによって置き換えられている。
【0332】
一部の実施形態では、mRNAは、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)置換された位置を含まない。さらなる実施形態では、mRNAは、シュードウリジン(Ψ)、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)、5-メチルシトシン、及び5-メトキシウリジン置換された位置を含まない。
【0333】
一部の実施形態では、化学的修飾は、N1-メチルシュードウリジン及び/又はシュードウリジンである。一部の実施形態では、化学的修飾は、N1-メチルシュードウリジンである。
【0334】
実施形態では、本発明のmRNAは、G、C、A及びUヌクレオチドのみからなるコード配列を含み、したがって、修飾されたヌクレオチド(5'末端のキャップ構造(キャップ0、キャップ1、キャップ2)を除く)を含まない。
【0335】
mRNAは、1つより多くの抗原をコードし得る。例えば、抗原タンパク質をコードするmRNAは、抗原のみをコードしてもよく、又は追加のタンパク質をコードしてもよい。
【0336】
実施形態では、mRNAは、モノシストロニック、バイシストロニック、又はマルチシストロニックであってもよい。
【0337】
用語「モノシストロニック」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、1つのコード配列のみを含む核酸を指すことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「バイシストロニック」又は「マルチシストロニック」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、2つ(バイシストロニック)又はそれ以上(マルチシストロニック)のコード配列を含み得る核酸を指すことが意図される。
【0338】
実施形態では、mRNAは、モノシストロニックである。
【0339】
実施形態では、mRNAは、モノシストロニックであり、mRNAのコード配列は、少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする。したがって、コード配列は、アミノ酸リンカー配列で結合されるか、又はなしで結合される、少なくとも2、3、4、5、6、7、8つ以上の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードしてもよく、リンカー配列は、強固なリンカー、可動性リンカー、切断可能なリンカー、又はそれらの組み合わせを含むことができる。このような構築物は、本明細書において「複数の抗原の構築物」と称される。
【0340】
実施形態では、mRNAは、バイシストロニック又はマルチシストロニックであってもよく、少なくとも2つのコード配列を含み、少なくとも2つのコード配列は、本明細書において特定される2つ以上の異なる抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする。したがって、バイシストロニック又はマルチシストロニック核酸中のコード配列は、好適には、本明細書において定義される別個の抗原性タンパク質若しくはペプチド又はその免疫原性フラグメント若しくは免疫原性バリアントをコードする。一部の実施形態では、バイシストロニック又はマルチシストロニック構築物中のコード配列は、少なくとも1つのIRES(内部リボソーム進入部位)配列によって分けられ得る。したがって、用語「2つ以上の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする」は、限定するものではないが、バイシストロニック又はマルチシストロニック核酸が、例えば、ウイルス分離株の少なくとも2、3、4、5、6つ以上の(好適には、異なる)抗原性ペプチド又はタンパク質をコードすることを意味し得る。或いは、バイシストロニック又はマルチシストロニック核酸は、例えば、同じウイルスから誘導される少なくとも2、3、4、5、6つ以上の(好適には、異なる)抗原性ペプチド又はタンパク質をコードしてもよい。その文脈では、好適なIRES配列は、特許出願WO2017081082の配列番号1566~1662に記載の核酸配列、又はこれらの配列のフラグメント若しくはバリアントのリストから選択され得る。この文脈では、IRES配列に関するWO2017081082の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0341】
本発明の文脈で、コード配列のある特定の組み合わせは、本明細書において定義される複数の抗原性ペプチド又はタンパク質をコードするmRNAセットを得るための、モノシストロニック、バイシストロニック、及びマルチシストロニックRNA構築物並びに/又は複数の抗原の構築物の任意の組み合わせによって生成され得ることが、理解されなければならない。
【0342】
実施形態では、mRNAは、化学合成、例えば、例として固相RNA合成、並びにin vitro方法、例えば、RNA in vitro転写反応を含む当該技術分野において公知の任意の方法を使用して調製されてもよい。したがって、一実施形態では、RNAは、RNA in vitro転写によって得られる。
【0343】
したがって、実施形態では、mRNAは、in vitroで転写されたRNAである。
【0344】
用語「RNA in vitro転写」又は「in vitro転写」は、RNAが細胞を含まない系(in vitro)で合成されるプロセスに関する。RNAは、直鎖状プラスミドDNA鋳型又はPCR増幅されたDNA鋳型であり得る適切なDNA鋳型のDNA依存性in vitro転写によって得られてもよい。RNA in vitro転写を制御するためのプロモーターは、任意のDNA依存性RNAポリメラーゼのための任意のプロモーターであり得る。DNA依存性RNAポリメラーゼの具体例は、T7、T3、SP6、又はSyn5 RNAポリメラーゼである。本発明の一実施形態では、DNA鋳型は、好適な制限酵素で直鎖状にされ、その後、それは、RNA in vitro転写に供される。
【0345】
RNA in vitro転写で使用される試薬は、典型的には、そのそれぞれのRNAポリメラーゼ、例えば、バクテリオファージにコードされるRNAポリメラーゼ(T7、T3、SP6、若しくはSyn5)に対して高い結合親和性を有するプロモーター配列を有するDNA鋳型(直鎖状プラスミドDNA若しくはPCR産物);4種の塩基(アデニン、シトシン、グアニン、及びウラシル)のためのリボヌクレオチド三リン酸(NTP);場合により、本明細書において定義されるキャップアナログ;場合により、本明細書において定義されるさらに修飾されたヌクレオチド;DNA鋳型内のプロモーター配列に結合する能力があるDNA依存性RNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、SP6、若しくはSyn5 RNAポリメラーゼ);場合により、任意の可能性のある混入RNaseを不活性化するためのリボヌクレアーゼ (RNase)阻害剤;場合により、RNA in vitro転写を阻害し得る、ピロリン酸を分解するためのピロホスファターゼ;ポリメラーゼのための補助因子としてMg2+イオンを供給する、MgCl2;酸化防止剤(例えば、DTT)、及び/又はポリアミン、例えば、最適な濃度でのスペルミジン、例えば、WO2017109161に開示されるTRISクエン酸塩を含む緩衝液系も含有し得る、好適なpH値を維持するための緩衝液(TRIS若しくはHEPES)を含む。
【0346】
実施形態では、mRNAのキャップ1構造は、トリ-ヌクレオチドキャップアナログm7G(5')ppp(5')(2'OMeA)pG又はm7G(5')ppp(5')(2'OMeG)pGを使用した同時転写キャッピングを使用して形成される。本発明のコードRNAの製造に使用され得る好適なキャップ1アナログは、m7G(5')ppp(5')(2'OMeA)pGである。
【0347】
他の実施形態では、mRNAのキャップ1構造は、トリ-ヌクレオチドキャップアナログ3'OMe-m7G(5')ppp(5')(2'OMeA)pGを使用した同時転写キャッピングを使用して形成される。
【0348】
他の実施形態では、mRNAのキャップ0構造は、キャップアナログ3'OMe-m7G(5')ppp(5')Gを使用した同時転写キャッピングを使用して形成される。
【0349】
実施形態では、RNA in vitro転写に使用されるヌクレオチド混合物は、さらに、本明細書において定義される修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。その文脈では、好適な修飾されたヌクレオチドは、シュードウリジン(Ψ)、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)、5-メチルシトシン、及び5-メトキシウリジンから選択され得る。実施形態では、ヌクレオチド混合物中のウラシルヌクレオチドをシュードウリジン(Ψ)及び/又はN1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)によって置き換えて(部分的又は完全のいずれか)、修飾されたRNAを得る。
【0350】
一部の他の実施形態では、RNA in vitro転写に使用されるヌクレオチド混合物は、本明細書において定義される修飾されたヌクレオチドを含まない。実施形態では、RNA in vitro転写に使用されるヌクレオチド混合物は、G、C、A、及びUヌクレオチド、並びに場合により、本明細書において定義されるキャップアナログのみを含む。
【0351】
実施形態では、RNA in vitro転写反応に使用されるヌクレオチド混合物(すなわち、混合物中のそれぞれのヌクレオチドの画分)は、好適には、WO2015188933に記載されるように、所与のRNA配列に最適化され得る。
【0352】
この文脈で、in vitro転写は、配列が最適化されたヌクレオチド混合物、及び場合によりキャップアナログの存在下において行われている。
【0353】
この文脈では、配列が最適化されたヌクレオシド三リン酸(NTP)ミックスは、4種のヌクレオシド三リン酸(NTP)GTP、ATP、CTP、及びUTPを含む所与の配列のRNA分子のin vitro転写反応における使用のためのヌクレオシド三リン酸(NTP)の混合物であり、ここで、配列が最適化されたヌクレオシド三リン酸(NTP)ミックス中の4種のヌクレオシド三リン酸(NTP)のそれぞれの画分は、RNA分子中のそれぞれのヌクレオチドの画分に対応する。リボヌクレオチドがRNA分子に存在しない場合、対応するヌクレオシド三リン酸も、配列が最適化されたヌクレオシド三リン酸(NTP)ミックスに存在しない。
【0354】
本明細書において定義される1つより多くの異なるRNAが生産されなければならない、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はさらに多くの異なるRNAが生産されなければならない実施形態では、WO2017109134に記載される手法が、好適に使用され得る。
【0355】
核酸ベースのワクチン産生の文脈では、GMPグレードの核酸、例えば、GMPグレードのRNA又はDNAを用意することが要求され得る。GMPグレードのRNA又はDNAは、規制当局によって承認された製造プロセスを使用して産生され得る。したがって、一部の実施形態では、RNA産生は、好適には、WO2016180430に記載の、DNA及びRNAレベルでの様々な品質管理工程を行う現行の優良医薬品製造基準(GMP)下において行われる。実施形態では、本発明のmRNAは、GMPグレードのmRNAである。したがって、ワクチンのためのRNAは、好適には、GMPグレードのRNAである。
【0356】
得られたRNA産物は、PureMessenger(登録商標)(CureVac、テュービンゲン、ドイツ;WO2008077592に記載のRP-HPLC)及び/又はタンジェント流濾過(WO2016193206に記載される)及び/又はオリゴd(T)精製(WO2016180430を参照)を使用して精製され得る。
【0357】
一部の実施形態では、mRNAは、RP-HPLCを使用して、好適には、マクロ多孔性スチレン/ジビニルベンゼンカラム(例えば、粒子サイズ30μm、孔サイズ4000Å)を用いた逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して、さらに、約100kDaの分子量カットオフを有するセルロースベースの膜を備えたフィルターカセットを使用して精製される。
【0358】
さらなる実施形態では、mRNAを、凍結乾燥して(例えば、WO2016165831又はWO2011069586に記載)、温度安定な乾燥されたmRNA(粉末)を得る。本発明のmRNAはまた、スプレー乾燥又はスプレー凍結乾燥を使用して乾燥させて(例えば、WO2016184575又はWO2016184576に記載)、本明細書において定義される温度安定なmRNA(粉末)を得てもよい。したがって、RNAの製造及び精製の文脈で、WO2017109161、WO2015188933、WO2016180430、WO2008077592、WO2016193206、WO2016165831、WO2011069586、WO2016184575、及びWO2016184576の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0359】
したがって、実施形態では、mRNAは、乾燥されたmRNAである。
【0360】
本明細書で使用される場合、用語「乾燥されたmRNA」は、温度安定な乾燥されたmRNA(粉末)を得るために、上で定義された通り、凍結乾燥された、又はスプレー乾燥された、又はスプレー凍結乾燥されたmRNAと理解されなければならない。
【0361】
実施形態では、本発明のmRNAは、精製されたmRNAである。
【0362】
本明細書で使用される場合、用語「精製されたmRNA」は、ある特定の精製工程(例えば、HPLC、TFF、オリゴd(T)精製、沈殿工程)後に出発材料(例えば、in vitroで転写されたRNA)よりも高い純度を有するRNAと理解されるべきである。本質的に精製されたRNAに存在しない典型的な不純物は、ペプチド又はタンパク質(例えば、DNA依存性RNA in vitro転写から誘導される酵素、例えば、RNAポリメラーゼ、RNase、ピロホスファターゼ、制限エンドヌクレアーゼ、DNase)、スペルミジン、BSA、不全RNA配列、RNAフラグメント(短い二本鎖RNAフラグメント、不全配列など)、遊離ヌクレオチド(修飾されたヌクレオチド、従来のNTP、キャップアナログ)、鋳型DNAフラグメント、緩衝液成分(HEPES、TRIS、MgCl2)などを含む。例えば、発酵手法から誘導され得る他の可能性のある不純物は、細菌不純物(バイオバーデン、細菌DNA)又は精製手法から誘導される不純物(有機溶媒など)を含む。したがって、これに関して、「RNA純度の程度」が可能な限り100%に近いことが望ましい。RNA純度の程度に関しても、全長RNA転写物の量が可能な限り100%に近いことが望ましい。したがって、本明細書で使用される場合、「精製されたRNA」は、75%、80%、85%より高い、非常に具体的には、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%より高い、最も好ましくは、99%以上の純度の程度を有する。純度の程度は、例えば、分析HPLCによって決定されてもよく、ここで、上に提供されるパーセンテージは、標的RNAのピークの面積と副産物を表すすべてのピークの合計面積との比に対応する。或いは、純度の程度は、例えば、分析アガロースゲル電気泳動又はキャピラリーゲル電気泳動によって決定されてもよい。
【0363】
本明細書において定義される「乾燥されたmRNA」及び本明細書において定義される「精製されたmRNA」、又は本明細書において定義される「GMPグレードのRNA」は、優れた安定性特徴(in vitro、in vivo)及び改善された有効性(例えば、in vivoでのmRNAのより良好な翻訳可能性)を有し得、したがって、医療目的、例えば、ワクチンに特に好適であることが理解されなければならない。
【0364】
実施形態では、mRNAは、RP-HPLC及び/又はTFFによって精製されて、二本鎖RNA、キャッピングされていないRNA、及び/又はRNAフラグメントが除去されている。
【0365】
例えば、RNA in vitro転写中の副産物としての二本鎖RNAの形成は、自然免疫応答、特に、ワクチン接種された対象において発熱を誘導する主要な因子であるIFNアルファの誘導を導き得、これは、当然ながら望ましくない副作用である。dsRNAの免疫ブロッティングの現行の技術(ドットブロット、血清学的特異的電子顕微鏡(SSEM)、又はELISAなどによる)は、核酸の混合物からdsRNA種を検出し、サイズ分類するため使用される。
【0366】
一部の実施形態では、mRNAは、本明細書に記載されるRP-HPLC及び/又はTFFによって精製されて、dsRNAの量が低減されている。
【0367】
実施形態では、mRNAは、RP-HPLC及び/又はTFFで精製されていないmRNA中の副産物より約5%、10%、又は20%少ない二本鎖RNA副産物を含む。
【0368】
一部の実施形態では、RP-HPLC及び/又はTFFで精製されたmRNAは、オリゴdT精製、沈殿、濾過、及び/又はAEXを用いて精製されたRNA中の副産物より約5%、10%、又は20%少ない二本鎖RNA副産物を含む。
【0369】
実施形態では、組成物のmRNAは、約40%~約100%の範囲のRNA完全性を有する。
【0370】
用語「RNA完全性」は、一般的に、完全なRNA配列が組成物に存在するかどうかを記載する。低いRNA完全性は、とりわけ、RNA分解、RNA切断、RNAの不正確若しくは不完全な化学合成、不正確な塩基対形成、修飾されたヌクレオチドの組み込み若しくは既に組み込まれたヌクレオチドの修飾、キャッピングの欠如若しくは不完全なキャッピング、ポリアデニル化の欠如若しくは不完全なポリアデニル化、又は不完全なRNA in vitro転写に起因し得る。RNAは、容易に分解し得る脆弱な分子であり、それは、例えば、温度、リボヌクレアーゼ、pH、又は他の要因(例えば、求核性攻撃、加水分解など)によって引き起こされ得、これが、RNA完全性及び結果としてRNAの機能性を低減し得る。
【0371】
当業者であれば、RNA完全性を決定するための様々な異なるクロマトグラフィー法又は電気泳動法から選択することができる。クロマトグラフィー法及び電気泳動法は、当該技術分野において周知である。クロマトグラフィーが使用される(例えば、RP-HPLC)場合、RNAの完全性の分析は、対応するクロマトグラムにおける全長RNAのピーク面積(又は「ピーク下面積」)の決定に基づいてもよい。ピーク面積は、検出器システムのシグナルを評価する任意の好適なソフトウエアによって決定されてもよい。ピーク面積を決定するプロセスはまた、統合とも呼ばれる。全長RNAを表すピーク面積は、典型的には、それぞれの試料中の総RNAのピーク面積に関連して設定される。RNA完全性は、%RNA完全性で表されてもよい。
【0372】
本発明の態様の文脈では、RNA完全性は、分析(RP)HPLCを使用して決定されてもよい。典型的には、RNAを封入する脂質ベースの担体を含む組成物の試験試料を、界面活性剤(例えば、約2%Triton X100)で処理して、脂質ベースの担体が解離され、封入されたRNAが放出されてもよい。放出されたRNAは、本質的には製造元の指示に従い、好適な結合化合物、例えば、Agencourt AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、Brea、CA、USA)を使用して捕捉してもよい。RNA試料の調製後、分析(RP)HPLCを行って、RNAの完全性を決定してもよい。典型的には、RNA完全性を決定するために、RNA試料は、例えば、注射用水(WFI)を使用して、0.1g/lの濃度に希釈され得る。約10μlの希釈されたRNA試料は、HPLCカラム(例えば、一体化ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリックス)に注入され得る。分析(RP)HPLCは、標準的な条件、例えば、勾配1:緩衝液A(0.1M TEAA(pH7.0));緩衝液B(0.1M TEAA(pH7.0)、25%アセトニトリルを含有)を使用して行われてもよい。30%緩衝液Bで開始し、勾配を、2分で32%緩衝液Bに拡大し、続いて流速1ml/分で15分かけて55%緩衝液Bに拡大する。HPLCクロマトグラムは、典型的には、波長260nmで記録される。得られたクロマトグラムは、ソフトウエアを使用して評価することができ、相対的ピーク面積は、当該技術分野において一般的に知られているパーセント(%)で決定され得る。相対的ピーク面積は、100%のRNA完全性を有するRNAの量を示す。HPLCに注入されるRNAの量は、典型的に知られているため、相対的ピーク面積の分析により、RNAの完全性についての情報が得られる。したがって、例えば、100ngのRNAが合計で注入され、100ngが相対的ピーク面積として決定される場合、RNA完全性は100%となる。例えば、相対的ピーク面積が80ngに対応する場合、RNA完全性は80%となる。したがって、RNA完全性は、本発明の文脈で、分析HPLC、好適には、分析RP-HPLCを使用して決定される。
【0373】
実施形態では、組成物のmRNAは、約40%~約100%の範囲のRNA完全性を有する。実施形態では、mRNAは、約50%~約100%の範囲のRNA完全性を有する。実施形態では、mRNAは、約60%~約100%の範囲のRNA完全性を有する。実施形態では、mRNAは、約70%~約100%の範囲のRNA完全性を有する。実施形態では、mRNA完全性は、例えば、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%である。RNA完全性は、好適には、分析HPLC、好適には、分析RP-HPLCを使用して決定される。
【0374】
実施形態では、組成物のRNAは、少なくとも約50%、好適には少なくとも約60%、より好適には少なくとも約70%、最も好適には少なくとも約80%又は約90%のRNA完全性を有する。RNA完全性は、好適には、分析HPLC、より好適には、分析RP-HPLCを使用して決定される。
【0375】
本明細書において定義される同時転写キャッピングの後、及び本明細書において定義される精製の後に、得られたRNAのキャッピング度を、公開されているPCT出願WO2015101416に記載される、特に、公開されているPCT出願WO2015101416の請求項27~46に記載されるキャッピングアッセイを使用して、決定してもよい。或いは、PCT/EP2018/08667に記載されるキャッピングアッセイを使用してもよい。
【0376】
実施形態では、RNA in vitro転写を行うための自動装置を使用して、本発明のmRNAを産生し、精製してもよい。このような装置はまた、組成物又はワクチンを産生するために使用してもよい(以下でさらに詳細に記載される)。一部の実施形態では、WO2020002598に記載される装置、特に、WO2020002598の請求項1~59並びに/又は68~76(及び図1~18)に記載される装置が、好適には、使用され得る。
【0377】
本明細書に記載される方法は、以下でさらに詳細に記載される免疫原性組成物又はワクチンを産生する方法に適用され得る。
【0378】
様々な実施形態では、mRNAは、好適には、5'から3'の方向に、以下のエレメント:
A)5'キャップ構造、好適には、本明細書において特定される5'キャップ構造、
B)5'末端の開始エレメント、好適には、本明細書において特定される5'末端の開始エレメント、
C)場合により、5'UTR、好適には、本明細書において特定される5'UTR、
D)リボソーム結合部位、好適には、本明細書において特定されるリボソーム結合部位、
E)少なくとも1つのコード配列、好適には、本明細書において特定される少なくとも1つのコード配列、
F)3'UTR、好適には、本明細書において特定される3'UTR、
G)場合により、ポリ(A)配列、好適には、本明細書において特定されるポリ(A)配列、
H)場合により、ポリ(C)配列、好適には、本明細書において特定されるポリ(C)配列、
I)場合により、ヒストンステムループ、好適には、本明細書において特定されるヒストンステムループ、
J)場合により、3'末端の配列エレメント、好適には、本明細書において特定される3'末端の配列エレメント
を含む。
【0379】
一部の実施形態によると、mRNAは、非複製性であり得る。
【0380】
一部の実施形態では、mRNAは、レプリカーゼエレメント(例えば、レプリカーゼをコードする核酸)を含まない。
【0381】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0382】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0383】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0384】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0385】
一部の他の実施形態によると、mRNAは、複製性であり、自己増幅性(SAM)としても知られる。自己増幅性mRNA分子は、アルファウイルスに誘導されるmRNAレプリコンであり得る。mRNA増幅は、抗原をコードする非複製性mRNAを、複製機構をコードする別個のmRNAとともに提供することによっても達成することができる。
【0386】
自己複製性RNA分子は、当該技術分野において周知であり、例えば、アルファウイルスから誘導される複製エレメントを使用し、構造ウイルスタンパク質を目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列と置換することによって、産生することができる。自己複製性RNA分子は、典型的には、細胞への送達後に直接的に翻訳され得る+鎖分子であり、この翻訳により、RNA依存性RNAポリメラーゼが提供され、次いで、送達されたRNAからアンチセンス及びセンス両方の転写物が産生される。したがって、送達されたRNAは、複数の娘RNAの産生をもたらす。これらの娘RNA、並びに同一線上のサブゲノム転写物は、それら自体が翻訳されて、コードされる抗原のin situ発現をもたらし得るか、又は転写されて、送達されたRNAと同じセンスを有するさらなる転写物をもたらし得、これが翻訳されて、抗原のin situ発現をもたらす。転写のこの流れの全体的な結果は、導入されたレプリコンRNA数の巨大な増幅であり、そのため、コードされる抗原は、細胞の主要なポリペプチド産物となる。
【0387】
好適なアルファウイルスレプリコンは、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスなど由来のレプリカーゼを使用し得る。変異体又は野生型ウイルス配列を使用することができ、例えば、VEEVの減弱化TC83変異体が、レプリコンにおいて使用されており、以下の参考文献:WO2005/113782を参照されたい。
【0388】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される自己複製性RNA分子は、(i)自己複製性RNA分子からRNAを転写することができるRNA依存性RNAポリメラーゼ、及び(ii)抗原、例えば、インフルエンザHAステムポリペプチド、をコードする。ポリメラーゼは、例えば、1つ以上のアルファウイルスタンパク質nsPl、nsP2、nsP3、及びnsP4(nsPは、非構造タンパク質を表す)を含む、アルファウイルスレプリカーゼであり得る。
【0389】
天然のアルファウイルスゲノムは、非構造レプリカーゼポリタンパク質に加えて、構造ビリオンタンパク質をコードするが、自己複製性RNA分子は、アルファウイルス構造タンパク質をコードしない。したがって、自己複製性RNAは、細胞におけるそれ自体のゲノムRNAコピーの産生を引き起こし得るが、RNAを含むビリオンの産生を引き起こさない。これらのビリオンを産生できないことは、野生型アルファウイルスとは異なり、自己複製性RNA分子が、それ自体を感染能力のある形態で永続させることができないことを意味する。野生型ウイルスにおいて永続化に必要とされるアルファウイルス構造タンパク質は本開示の自己複製性RNAには不在であり、それらの位置には、目的の免疫原をコードする遺伝子があり、その結果、サブゲノム転写物は、構造アルファウイルスビリオンタンパク質ではなく、免疫原をコードすることになる。
【0390】
したがって、本発明において有用な自己複製性RNAを分子は、2つのオープンリーディングフレームを有し得る。第一の(5')オープンリーディングフレームは、レプリカーゼ、好適には、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、第二の(3')オープンリーディングフレームは、抗原、例えば、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、RNAは、例えば、さらなる抗原をコードするか、又は補助ポリペプチドをコードするために、追加の(例えば、下流の)オープンリーディングフレームを有し得る。一部の実施形態では、RNA分子は、3つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものは、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものは、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、その第三のものは、タンパク質ナノ粒子をコードする。
【0391】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される自己複製性RNA分子は、5'キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有する。このキャップは、RNAのin vivo翻訳を強化し得る。一部の実施形態では、自己複製性RNA分子の5'配列は、コードされるレプリカーゼとの適合性を確実にするように選択されなければならない。
【0392】
自己複製性RNA分子は、3'ポリ-Aテールを有し得る。それは、その3'末端の近傍に、ポリ-Aポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)も含み得る。
【0393】
自己複製性RNA分子は、様々な長さを有し得るが、典型的には、5000~25000ヌクレオチド長である。自己複製性RNA分子は、典型的には、一本鎖であろう。一本鎖RNAは、一般的に、TLR7、TLR8、RNAヘリカーゼ、及び/又はPKRに結合することによって、アジュバント効果を開始し得る。二本鎖形態で送達されるRNA(dsRNA)は、TLR3に結合し得、この受容体は、一本鎖RNAの複製中又は一本鎖RNAの二次構造内のいずれかで形成されるdsRNAによっても誘発され得る。
【0394】
別の実施形態では、自己複製性RNAは、それぞれがアルファウイルスから誘導されるヌクレオチド配列を含む、2つの別個のRNA分子を含み得る:1つのRNA分子が、アルファウイルスレプリカーゼを発現するためのRNA構築物を含み、1つのRNA分子が、レプリカーゼによってトランスで複製され得るRNAレプリコンを含む。アルファウイルスレプリカーゼを発現するためのRNA構築物は、5'-キャップを含む。WO2017/162265を参照されたい。
【0395】
自己複製性RNAは、in vitro転写(IVT)によって便宜的に調製され得る。IVTは、細菌においてプラスミド形態で作成し増やしたか、又は合成的に作成された(例えば、遺伝子合成及び/若しくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)操作方法によって)、(cDNA)鋳型を使用し得る。例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼ(例えば、バクテリオファージT7、T3、又はSP6 RNAポリメラーゼ)を使用して、DNA鋳型から自己複製性RNAを転写することができる。適切なキャッピング及びポリ-A付加反応を、必要に応じて使用することができる(レプリコンのポリ-Aが、DNA鋳型内に通常コードされるが)。これらのRNAポリメラーゼは、転写される5'ヌクレオチドに関してストリンジェントな要件を有し得、一部の実施形態では、これらの要件は、IVT転写されるRNAが、その自己コードされるレプリカーゼの基質として効率的に機能し得るのを確実にするように、コードされるレプリカーゼの要件と一致していなければならない。
【0396】
自己複製性RNAは、修飾された核酸塩基を有する1つ以上のヌクレオチドを(任意の5'キャップ構造に加えて)含み得る。本発明で使用されるRNAは、理想的には、ヌクレオシド間にホスホジエステル結合のみを含むが、一部の実施形態では、ホスホロアミデート及び/又はメチルホスホネート結合を含んでもよい。
【0397】
自己複製性RNA分子は、単一の異種ポリペプチド抗原(すなわち、抗原)、又は場合により、アミノ酸配列として発現された場合に配列のそれぞれがその同一性を保持する様式で一緒に連結された(例えば、直列に連結された)、2つ以上の異種ポリペプチド抗原をコードし得る。自己複製性RNAから生成される異種ポリペプチドは、次いで、融合ポリペプチドとして産生され得るか、又は別個のポリペプチド若しくはペプチド配列をもたらすような様式で操作されてもよい。
【0398】
本明細書に記載される自己複製性RNA分子は、2つ以上のオープンリーディングフレームから、複数のヌクレオチド配列を発現するように操作され、これにより、サイトカイン又は他の免疫モジュレーターと一緒に、タンパク質、例えば、1つ、2つ、又はそれ以上の抗原(例えば、1つ、2つ、又はそれ以上のステムタンパク質)の共発現を可能にすることができ、これによって、免疫応答の生成が強化され得る。このような自己複製性RNA分子は、例えば、様々な遺伝子産物(例えば、タンパク質)を、同時に、例えば、二価又は多価ワクチンとして産生させるのに、有用であり得る。
【0399】
所望される場合、自己複製性RNA分子は、それらの治療的及び予防的特性を確認するために、当業者に公知の様々なin vitro又はin vivo試験方法を使用して、スクリーニング又は分析することができる。例えば、自己複製性RNA分子を含むワクチンは、目的の特定のリンパ球型、例えば、B細胞、T細胞、T細胞株、及びT細胞クローンの増殖又はエフェクター機能の誘導に対するそれらの効果に関して、試験することができる。例えば、免疫したマウスから脾臓細胞を単離することができ、抗原をコードする自己複製性RNA分子を含む自家標的細胞を溶解させる細胞傷害性Tリンパ球の能力。加えて、Tヘルパー細胞の分化を、TH1(IL-2及びIFN-γ)並びに/又はTH2(IL-4及びIL-5)サイトカインの増殖又は産生をELISAによって測定するか、又は細胞質サイトカイン染色及びフローサイトメトリーによりCD4+ T細胞において直接的に測定することによって、分析することができる。
【0400】
抗原をコードする自己複製性RNA分子はまた、例えば、目的の抗原に特異的な抗体のB細胞産生の誘導によって明らかな、液性免疫応答を誘導する能力に関して試験することができる。これらのアッセイは、例えば、免疫した個体に由来する末梢Bリンパ球を使用して行うことができる。このようなアッセイ方法は、当業者に公知である。自己複製性RNA分子を特徴付けるために使用することができる他のアッセイは、標的細胞によるコードされる抗原の発現を検出することを含み得る。例えば、FACSを使用して、細胞表面又は細胞内における抗原の発現を検出することができる。FACS選択の別の利点は、異なるレベルの発現を分取することができることであり、低い発現が所望され得る場合がある。特定の抗原を発現する細胞を特定するための他の好適な方法には、プレート上でのモノクローナル抗体を使用したパンニング又はモノクローナル抗体をコーティングした磁気ビーズを使用した捕捉が含まれる。
【0401】
一実施形態では、mRNAは、5'キャップ-5'UTR-非構造タンパク質(NSP)1~4-シグナルペプチド-インフルエンザHAステムポリペプチド-リンカー-タンパク質ナノ粒子-3'UTR-ポリAの構成を有する。
【0402】
非複製性mRNAは、典型的には、10000個以下の塩基、とりわけ8000個以下の塩基、特に5000個以下の塩基、とりわけ2500個以下の塩基を含む。複製性mRNAは、典型的には、25000個以下の塩基、とりわけ20000個以下の塩基、特に15000個以下の塩基を含む。
【0403】
mRNAの単回用量は、0.001~1000ug、0.01~1000ug、とりわけ1~500ug、特に10~250ugの総mRNAであり得る。mRNAの単回用量は、0.01~1ug、とりわけ0.05~0.5ug、特に約0.1ugであり得る。mRNAの単回用量は、0.1~10ug、とりわけ0.5~5ug、特に約1ugであり得る。mRNAの単回用量は、1~20ug、とりわけ5~15ug、特に約10ugであり得る。
【0404】
一実施形態では、mRNAは、非複製性mRNAである。第二の実施形態では、mRNAは、複製性mRNAである。
【0405】
担体
mRNAの送達及びその後のコードされる抗原の発現を、封入も複合体化もされていないmRNAと比較して、促進するために、mRNAを封入又は複合体化する、ある範囲の担体システムが、記載されている。本発明は、任意の好適な担体システムを利用し得る。注目すべき具体的な担体システムを、以下でさらに説明する。
【0406】
実施形態では、本発明のmRNAは、1つ以上の脂質(例えば、カチオン性脂質及び/又は中性脂質)と複合体化されるか、そこに封入されるか、部分的に封入されるか、又はそれと会合され、これにより、脂質ベースの担体、例えば、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソーム、好適には、脂質ナノ粒子が形成される。
【0407】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAは、別個に製剤化され(本明細書において定義される任意の製剤化又は複合体化剤において)、好適には、ここで、2つ以上のmRNAは、別個のリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソームに製剤化される。
【0408】
実施形態では、2つ以上のmRNAは、共製剤化され(本明細書において定義される任意の製剤化又は複合体化剤において)、好適には、ここで、2つ以上のmRNAは、別個のリポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソームに製剤化される。
【0409】
LNP
「LNP」とも称される、用語「脂質ナノ粒子」は、任意の特定の形態に限定されず、カチオン性脂質及び場合により1つ以上のさらなる脂質が、例えば、水性環境中及び/又は核酸、例えば、RNAの存在下で合わされた場合に生成される任意の形態を含む。例えば、リポソーム、脂質複合体、リポプレックスなどは、脂質ナノ粒子(LNP)の範囲内にある。
【0410】
脂質ナノ粒子(LNP)は、mRNAを封入することができる非ビリオンリポソーム粒子である。核酸のLNPへの取り込みは、本明細書において、「封入」とも称され、ここで、核酸、例えば、RNAは、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソームの内部空間に完全に含有される。
【0411】
LNP送達システム及びそれらの調製のための方法は、当該技術分野において公知である。
【0412】
粒子は、一部の外部mRNA(例えば、粒子の表面上)を含み得るが、望ましくは、RNAの少なくとも半分(及び好適には、その少なくとも85%、とりわけ少なくとも95%、例えばすべて)が、封入される。
【0413】
LNPは、好適には、1つ以上の二重層の膜によって外側の媒体から隔離された内部の水空間を有する顕微鏡レベルの小胞として特徴付けられる。LNPの二重層の膜は、典型的には、両親媒性分子、例えば、空間的に分けられた親水性及び疎水性ドメインを含む合成又は天然起源の脂質によって形成される。リポソームの二重層の膜はまた、両親媒性ポリマー及び界面活性剤(例えば、ポリマーソーム、ニオソームなど)によって形成することができる。本発明の文脈では、LNPは、典型的には、標的組織へmRNAを輸送するように機能する。
【0414】
したがって、実施形態では、本発明のmRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス、好適には、LNPが形成される。一部の実施形態では、LNPは、筋肉内及び/又は皮内投与に好適である。
【0415】
実施形態では、脂質ベースの担体、好適には、LNPの少なくとも約80%、85%、90%、95%が、好適には固体のコア又は部分的に固体のコアを含む、球状形態を有する。
【0416】
LNPは、典型的には、カチオン性脂質、並びに中性脂質、荷電された脂質、ステロイド、及びポリマーコンジュゲートされた脂質(例えば、ペグ化脂質)から選択される1つ以上の賦形剤を含む。mRNAは、LNPの脂質部分又はLNPの一部若しくは完全な脂質部分によって包膜された水性空間に封入されてもよい。mRNA又はその部分はまた、LNPと会合し、複合体化されてもよい。LNPは、核酸が結合されるか、又は1つ以上の核酸が封入される粒子を形成する能力がある任意の脂質を含み得る。一部の実施形態では、核酸を含むLNPは、1つ以上のカチオン性脂質、及び1つ以上の安定化脂質を含む。安定化脂質は、中性脂質及びペグ化脂質を含む。
【0417】
LNPは、例えば、(i)PEG修飾された脂質、(ii)非カチオン性脂質、(iii)ステロール、(iv)イオン化可能カチオン性脂質、の混合物から形成され得る。或いは、LNPは、例えば、(i)PEG修飾された脂質、(ii)非カチオン性脂質、(iii)ステロール、(iv)非イオン化可能カチオン性脂質、の混合物から形成され得る。
【0418】
一部の実施形態では、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、
(i)少なくとも1つのカチオン性脂質、
(ii)少なくとも1つの中性脂質、
(iii)少なくとも1つのステロイド又はステロイドアナログ、好適には、コレステロール、及び
(iv)少なくとも1つのポリマーコンジュゲートされた脂質、好適には、PEG-脂質
を含み、
ここで、(i)~(iv)は、約20~60%カチオン性脂質、5~25%中性脂質、25~55%ステロール、及び0.5~15%ポリマーコンジュゲートされた脂質のモル比である。
【0419】
LNPのin vivo特徴及び挙動を、親水性ポリマーコーティング、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)のLNP表面への付加によって、立体的な安定化を付与するように修飾することができる。さらに、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、リガンド(例えば、抗体、ペプチド、及び炭水化物)をその表面又は結合されたPEG鎖の末端に結合させること(例えば、ペグ化脂質若しくはペグ化コレステロールを介して)によって、特異的な標的化のために使用することができる。
【0420】
一部の実施形態では、LNPは、ポリマーコンジュゲートされた脂質を含む。用語「ポリマーコンジュゲートされた脂質」は、脂質部分とポリマー部分の両方を含む分子を指す。ポリマーコンジュゲートされた脂質の例は、ペグ化脂質である。用語「ペグ化脂質」は、脂質部分及びポリエチレングリコール部分の両方を含む分子を指す。ペグ化脂質は、当該技術分野において公知であり、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-s-DMG)などを含む。
【0421】
本明細書において定義されるポリマーコンジュゲートされた脂質、例えば、PEG-脂質は、凝集を低減する脂質として機能し得る。
【0422】
ある特定の実施形態では、LNPは、ポリエチレングリコール-脂質(ペグ化脂質)である安定化脂質を含む。好適なポリエチレングリコール-脂質は、PEG修飾されたホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾されたホスファチジン酸、PEG修飾されたセラミド(例えば、PEG-CerC14又はPEG-CerC20)、PEG修飾されたジアルキルアミン、PEG修飾されたジアシルグリセロール、PEG修飾されたジアルキルグリセロールを含む。代表的なポリエチレングリコール-脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-c-DMA、及びPEG-s-DMGを含む。一実施形態では、ポリエチレングリコール-脂質は、N-[(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバミル]-1,2-ジミリスチルオキシルプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)である。一部の実施形態では、ポリエチレングリコール-脂質は、PEG-2000-DMGである。一実施形態では、ポリエチレングリコール-脂質は、PEG-c-DOMGである。他の実施形態では、LNPは、ペグ化ジアシルグリセロール(PEG-DAG)、例えば、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEG-S-DAG)、例えば、4-O-(2',3'-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-1-O-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)、ペグ化セラミド(PEG-cer)、又はPEGジアルコキシプロピルカルバメート、例えば、ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル-N-(2,3ジ(テトラデカノキシ)プロピル)カルバメート、又は2,3-ジ(テトラデカノキシ)プロピル-N-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)カルバメートを含む。
【0423】
実施形態では、ペグ化脂質は、好適には、公開されたPCT特許出願WO2018078053A1の式(IV)から誘導される。したがって、公開されたPCT特許出願WO2018078053A1の式(IV)から誘導されるペグ化脂質及びそれと関連するそれぞれの開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0424】
一部の実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、LNPが形成され、ここで、LNPは、ポリマーコンジュゲートされた脂質、好適には、ペグ化脂質を含み、ここで、PEG脂質は、好適には、公開されたPCT特許出願WO2018078053A1の式(IVa)から誘導される。したがって、公開されたPCT特許出願WO2018078053A1の式(IVa)から誘導されるペグ化脂質及びそれと関連するそれぞれの開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0425】
一実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、脂質ナノ粒子が形成され、ここで、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、ポリマーコンジュゲートされた脂質、好適には、ペグ化脂質/PEG脂質を含む。
【0426】
一部の実施形態では、PEG脂質又はペグ化脂質は、式(IVa):
【0427】
【化7】
(式中、
nは、30~60の範囲、例えば、約30±2、32±2、34±2、36±2、38±2、40±2、42±2、44±2、46±2、48±2、50±2、52±2、54±2、56±2、58±2、又は60±2の平均値を有する。一実施形態では、nは、約49である)
のものである。別の実施形態では、nは、約45である。さらなる実施形態では、PEG脂質は、式(IVa)のものであり、nは、PEG脂質の平均分子量が、約2000g/mol~約3000 g/mol又は約2300g/mol~約2700g/mol、好適には約2500g/molであるように選択される整数である。
【0428】
本明細書において好適に使用される式IVaの脂質は、化学用語2[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミドを有し、ALC-0159とも称される。
【0429】
その文脈で好適なPEG-脂質のさらなる例は、US20150376115A1及びWO2015199952において提供され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が取り込まれる。
【0430】
PEG修飾された脂質は、10000Da以下、とりわけ5000Da以下、特に3000Da、例えば、2000Da以下の分子量を有するPEG分子を含み得る。PEG修飾された脂質の例としては、PEG-ジステアロイルグリセロール、PEG-ジパルミトイルグリセロール、及びPEG-ジミリストイルグリセロールが挙げられる。PEG修飾された脂質は、典型的には、およそ0.5~15モル%で存在する。
【0431】
一部の実施形態では、LNPは、LNP中の脂質の総モルに基づき、約3、2、又は1モルパーセント未満のPEG又はPEG修飾された脂質を含む。さらなる実施形態では、LNPは、モルベースで約0.1%~約20%、例えば、モルベースで(LNP中の脂質の100%総モルに基づく)約0.5~約10%、約0.5~約5%、約10%、約5%、約3.5%、約3%、約2.5%、約2%、約1.5%、約1%、約0.5%、又は約0.3%のPEG修飾された脂質を含む。実施形態では、LNPは、モルベースで約1.0%~約2.0%、例えば、約1.2~約1.9%、約1.2~約1.8%、約1.3~約1.8%、約1.4~約1.8%、約1.5~約1.8%、約1.6~約1.8%、特に、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、最も好適には、1.7%(LNP中の脂質の100%総モルに基づく)のPEG修飾された脂質を含む。様々な実施形態では、カチオン性脂質とペグ化脂質とのモル比は、約100:1~約25:1の範囲にある。
【0432】
実施形態では、LNPは、1つ以上のさらなる脂質を含み、それが、それらの製剤化中又は製造プロセス中に粒子の形成を安定化する(例えば、中性脂質及び/又は1つ以上のステロイド若しくはステロイドアナログ)。
【0433】
実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、脂質ナノ粒子が形成され、ここで、LNPは、1つ以上の中性脂質及び/又は1つ以上のステロイド若しくはステロイドアナログを含む。
【0434】
好適な安定化脂質は、中性脂質及びアニオン性脂質を含む。用語「中性脂質」は、生理学的pHで荷電されていない又は中性双性イオン形態のいずれかで存在するいくつかの脂質種のいずれか1つを指す。代表的な中性脂質は、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドを含む。
【0435】
非カチオン性脂質は、中性脂質、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、及びスフィンゴミエリン(SM)であり得る。非カチオン性脂質は、典型的には、およそ5~25モル%で存在する。
【0436】
実施形態では、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、1つ以上の中性脂質を含み、ここで、中性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアリオイル-2-オレオイルホスファチジエタノールアミン(SOPE)、及び1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(トランスDOPE)、又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0437】
一部の実施形態では、LNPは、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE、及びSMから選択される中性脂質を含む。様々な実施形態では、カチオン性脂質と中性脂質とのモル比は、約2:1~約8:1の範囲にある。
【0438】
実施形態では、中性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)である。好適には、カチオン性脂質とDSPCとのモル比は、約2:1~約8:1の範囲にあり得る。
【0439】
実施形態では、ステロイドは、コレステロールである。好適には、カチオン性脂質とコレステロールとのモル比は、約2:1~約1:1の範囲にあり得る。一部の実施形態では、コレステロールは、ペグ化されていてもよい。
【0440】
ステロールは、コレステロールであり得る。ステロールは、典型的には、およそ25~55モル%で存在する。
【0441】
ステロールは、脂質粒子の約10mol%~約60mol%又は約25mol%~約40mol%であり得る。一実施形態では、ステロールは、脂質粒子に存在する総脂質の約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は約60mol%である。別の実施形態では、LNPは、モルベースで約5%~約50%、例えば、モルベースで(脂質ナノ粒子中の脂質の100%総モルに基づく)約15%~約45%、約20%~約40%、約48%、約40%、約38.5%、約35%、約34.4%、約31.5%又は約31%のステロールを含む。
【0442】
LNPのカチオン性脂質は、カチオン化可能であってもよく、すなわち、pHが脂質のイオン化可能な基のpK未満に下がるとプロトン化されるが、より高いpH値では漸進的により中性になる。次いで、pK未満のpH値で、脂質は、負に荷電された核酸と会合することができる。ある特定の実施形態では、カチオン性脂質は、pH減少時に正電荷を帯びる双性イオン脂質を含む。好適なイオン化可能カチオン性脂質の範囲は、当該技術分野において公知であり、これは、典型的には、およそ20~60モル%で存在する。
【0443】
このような脂質(リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソームの場合)は、限定するものではないが、DSDMA、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、1,2-ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパンクロリド(DOTAP)(N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド及び1,2-ジオレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩としても知られる)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、ckk-E12、ckk、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジ-y-リノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(γ-DLenDMA)、98N12-5、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、ICE(イミダゾールベース)、HGT5000、HGT5001、DMDMA、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、KLin-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、XTC(2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン)HGT4003、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、若しくは3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DM A)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)若しくはそのアナログ、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、ALNY-100((3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン))、1,1'-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチルアザネジイル)ジドデカン-2-オール(C12-200)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、NC98-5(4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-l,16-ジアミド)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-M-C3-DMA)、3-((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(MC3エーテル)、4-((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イルオキシ)-N,N-ジメチルブタン-1-アミン(MC4エーテル)、LIPOFECTIN(登録商標)(GIBCO/BRL、Grand Island、N.Y.からのDOTMA及び1,2-ジオレオイル-sn-3ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む市販のカチオン性リポソーム);LIPOFECTAMINE(登録商標)(GIBCO/BRLからのN-(1-(2,3ジオレイルオキシ)プロピル)-N-(2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)及び(DOPE)を含む市販のカチオン性リポソーム);並びにTRANSFECTAM(登録商標)(Promega Corp.、Madison、Wis.からのエタノール中のジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)を含む市販のカチオン性脂質)又は前述のいずれかの任意の組み合わせを含む。本発明の組成物及び方法において使用するためのさらなる好適なカチオン性脂質は、いずれも参照により本明細書中に取り込まれる国際特許出願公開のWO2010053572(及び特に、段落[00225]に記載されるCI 2-200)及びWO2012170930に記載されるもの、HGT4003、HGT5000、HGTS001、HGT5001、HGT5002(US20150140070A1を参照)を含む。
【0444】
実施形態では、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソームのカチオン性脂質は、アミノ脂質であり得る。
【0445】
代表的なアミノ脂質は、限定するものではないが、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,Nジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、及び2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA);ジリノレイル-メチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA);MC3(US20100324120)を含む。
【0446】
実施形態では、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソームのカチオン性脂質は、アミノアルコールリピドイドであり得る。
【0447】
アミノアルコールリピドイドは、参照によりその全体が本明細書中に取り込まれる米国特許第8,450,298号に記載されている方法によって調製することができる。好適な(イオン化可能な)脂質はまた、参照により本明細書中に取り込まれるWO2017075531A1の表1、2及び3に開示され、請求項1~24において定義されている化合物であり得る。
【0448】
別の実施形態では、好適な脂質はまた、参照によりその全体が本明細書中に取り込まれる、WO2015074085A1(すなわち、ATX-001~ATX-032又は請求項1~26において特定される化合物)、米国特許出願第61/905,724号及び第15/614,499号、又は米国特許第9,593,077号及び第9,567,296号に開示される化合物であり得る。
【0449】
他の実施形態では、好適なカチオン性脂質はまた、参照によりその全体が本明細書中に取り込まれる、WO2017117530A1(すなわち、脂質13、14、15、16、17、18、19、20、又は請求項において特定される化合物)において開示される化合物であり得る。
【0450】
一部の実施形態では、イオン化可能又はカチオン性脂質はまた、WO2018078053A1に開示される脂質(すなわち、WO2018078053A1の式I、II、及びIIIから誘導される脂質、又はWO2018078053A1の請求項1~12において特定される脂質)から選択されてもよく、WO2018078053A1の開示は、参照によりその全体が本明細書中に取り込まれる。その文脈で、WO2018078053A1の表7において開示される脂質(例えば、式I-1~I-41から誘導される脂質)及びWO2018078053A1の表8において開示される脂質(例えば、式II-1~II-36から誘導される脂質)は、本発明の文脈で好適に使用されてもよい。したがって、WO2018078053A1の式I-1~式I-41及び式II-1~式II-36、並びにそれと関連する特定の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0451】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、公開されたPCT特許出願WO2018078053A1の式IIIから誘導されてもよい。したがって、WO2018078053A1の式III、及びそれと関連する特定の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0452】
一部の実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)が形成され、ここで、LNPのカチオン性脂質は、公開されたPCT特許出願WO2018078053A1の表9の構造III-1~III-36から選択される。したがって、WO2018078053A1の式III-1~III-36、及びそれと関連する特定の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0453】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式III:
【0454】
【化8】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレン又はC1~C12アルケニレンであり、
G3は、C1~C24アルキレン、C1~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、又はC3~C8シクロアルケニレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキル又はC6~C24アルケニルであり、
R3は、H、OR5、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4、又は-NR5C(=O)R4であり、
R4は、C1~C12アルキルであり、
R5は、H又はC1~C6アルキルである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する。
【0455】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式III:
【0456】
【化9】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレンであり、
G3は、C1~C24アルキレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキルであり、
R3は、OR5であり、
R5は、Hである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する。
【0457】
一部の実施形態では、イオン化可能カチオン性脂質は、式:
【0458】
【化10】
を有する。
【0459】
一部の実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソーム、好適には、LNPを形成し、ここで、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、及び/又はナノリポソーム、好適にはLNPは、式III-3:
【0460】
【化11】
によるカチオン性脂質を含む。
【0461】
本明細書で好適に使用される式III-3の脂質は、化学用語((4-ヒドロキシブチル)アザネジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)を有し、ALC-0315、すなわち、CAS番号2036272-55-4とも称される。
【0462】
ある特定の実施形態では、本明細書において定義されるカチオン性脂質、より好適には、カチオン性脂質化合物III-3((4-ヒドロキシブチル)アザネジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート))は、LNPの総脂質含有量に対して、約30mol%~約80mol%、好適には約30mol%~約60mol%、より好適には約40mol%~約55mol%、より好適には約47.4mol%の量で、LNP中に存在する。1つより多くのカチオン性脂質がLNP内に取り込まれる場合、このようなパーセンテージは、合わせたカチオン性脂質に適用される。
【0463】
一部の実施形態では、LNPは、以下の構造:
【0464】
【化12】
を有するカチオン性脂質を含む。
【0465】
実施形態では、カチオン性脂質は、約30mol%~約70mol%の量でLNP中に存在する。一実施形態では、カチオン性脂質は、約40mol%~約60mol%、例えば、それぞれ、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60mol%の量でLNP中に存在する。実施形態では、カチオン性脂質は、約47mol%~約48mol%、例えば、それぞれ、約47.0、47.1、47.2、47.3、47.4、47.5、47.6、47.7、47.8、47.9、50.0mol%の量でLNP中に存在し、ここで、47.4mol%が、特に好適である。
【0466】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、LNPに存在する総脂質の約20mol%~約70mol%若しくは75mol%、又は約45mol%~約65mol%、又は約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、若しくは約70mol%の比で存在する。さらなる実施形態では、LNPは、モルベースで約25%~約75%、例えば、モルベースで(脂質ナノ粒子中の脂質の100%総モルに基づく)約20~約70%、約35~約65%、約45~約65%、約60%、約57.5%、約57.1%、約50%、又は約40%のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、カチオン性脂質と核酸(例えば、コードRNA又はDNA)との比は、約3~約15、例えば、約5~約13又は約7~約11である。
【0467】
他の好適な(カチオン性又はイオン化可能)脂質は、WO2009086558、WO2009127060、WO2010048536、WO2010054406、WO2010088537、WO2010129709、WO2011153493、WO2013063468、US20110256175、US20120128760、US20120027803、US8158601、WO2016118724、WO2016118725、WO2017070613、WO2017070620、WO2017099823、WO2012040184、WO2011153120、WO2011149733、WO2011090965、WO2011043913、WO2011022460、WO2012061259、WO2012054365、WO2012044638、WO2010080724、WO201021865、WO2008103276、WO2013086373、WO2013086354、米国特許第7,893,302号、第7,404,969号、第8,283,333号、第8,466,122号、及び第8,569,256号、並びに米国特許公開第US20100036115、US20120202871、US20130064894、US20130129785、US20130150625、US20130178541、US20130225836、US20140039032、及びWO2017112865に開示されている。その文脈では、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)に好適な(カチオン性)脂質に具体的に関する、WO2009086558、WO2009127060、WO2010048536、WO2010054406、WO2010088537、WO2010129709、WO2011153493、WO2013063468、US20110256175、US20120128760、US20120027803、US8158601、WO2016118724、WO2016118725、WO2017070613、WO2017070620、WO2017099823、WO2012040184、WO2011153120、WO2011149733、WO2011090965、WO2011043913、WO2011022460、WO2012
061259、WO2012054365、WO2012044638、WO2010080724、WO201021865、WO2008103276、WO2013086373、WO2013086354、米国特許第7,893,302号、第7,404,969号、第8,283,333号、第8,466,122号、及び第8,569,256号、並びに米国特許公開第US20100036115、US20120202871、US20130064894、US20130129785、US20130150625、US20130178541、US20130225836、及びUS20140039032、並びにWO2017112865の開示は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0468】
他の実施形態では、カチオン性又はイオン化可能脂質は、
【0469】
【化13】
である。
【0470】
実施形態では、本明細書において定義されるアミノ又はカチオン性脂質は、脂質が生理学的pH(例えば、pH7.4)以下のpHで正に荷電され、第二のpH、好適には生理学的pH以上では中性となるように、少なくとも1つのプロトン化可能又は脱プロトン化可能な基を有する。当然ながら、pHの機能としてのプロトンの付加又は除去は、平衡化プロセスであること、及び荷電された又は中性脂質への言及は、優勢な種の性質を指し、脂質のすべてが、荷電された又は中性の形態で存在しなければならないことを必要としないことは理解されるだろう。1つより多くのプロトン化可能若しくは脱プロトン化可能な基を有するか、又は双性イオンである脂質は、除外されず、本発明の文脈で同様に好適であり得る。一部の実施形態では、プロトン化可能な脂質は、約4~約11の範囲のプロトン化可能な基のpKa、例えば、約5~約7のpKaを有する。
【0471】
LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、本明細書において定義される2つ以上の(異なる)カチオン性脂質を含むことができる。カチオン性脂質は、異なる有利な特性に寄与するように選択されてもよい。例えば、特性、例えば、アミンpKa、化学的安定性、循環中の半減期、組織での半減期、組織での正味の蓄積、又は毒性が異なるカチオン性脂質を、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)において使用することができる。特に、混合されたLNPの特性が、個々の脂質の単一のLNPの特性よりも望ましくあるように、カチオン性脂質を選択することができる。
【0472】
恒常的カチオン性脂質又はリピドイドの量は、核酸カーゴの量を考慮して選択されてもよい。一実施形態では、これらの量は、例えば、約0.1~約20の範囲のナノ粒子又は組成物のN/P比をもたらすように、又は
(i)約1~約20の範囲、好適には約2~約15、より好適には約3~約10、なおより好適には約4~約9、最も好適には約6のN/P比を達成するような量で、
(ii)約5~約20の範囲、より好適には約10~約18、なおより好適には約12~約16、最も好適には約14のN/P比を達成するような量で、
(iii)20~60の範囲、好適には約3~約15、5~約13、約4~約8、若しくは約7~約11の脂質:mRNAの重量比を達成するような量で、又は
(iv)本発明による脂質ナノ粒子、とりわけ、カチオン性脂質III-3を含む脂質ナノ粒子について、約6の範囲のN/P比を達成するような量で、
選択される。
【0473】
この文脈では、N/P比は、脂質又はリピドイドの塩基性窒素含有基の窒素原子(「N」)とカーゴとして使用される核酸のリン酸基(「P」)とのモル比として定義される。N/P比は、例えば、1μgのRNAが、典型的には約3nmolのリン酸残基を含有することに基づき計算され得るが、但し、RNAは、塩基の統計学的分布を示す。カチオン性脂質又はリピドイドの「N」値は、その分子量、並びに恒常的カチオン性及び存在する場合にはカチオン化可能な基の相対的含有量に基づいて、計算され得る。1つより多くのカチオン性脂質が存在する場合、N値は、脂質ナノ粒子中に含まれるすべてのカチオン性脂質に基づいて計算されるべきである。
【0474】
一実施形態では、脂質ナノ粒子は、約40%のカチオン性脂質LKY750、約10%の双性イオン脂質DSPC、約48%のコレステロール、及び約2%のペグ化脂質DMG(w/w)を含む。
【0475】
一部の実施形態では、脂質LNPは、
(a)本発明のmRNA、(b)カチオン性脂質、(c)凝集低減剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)脂質又はPEG修飾された脂質)、(d)場合により、非カチオン性脂質(例えば、中性脂質)、及び(e)場合によりステロール
を含む。
【0476】
一部の実施形態では、カチオン性脂質(上に定義される)、非カチオン性脂質(上に定義される)、コレステロール(上に定義される)、及び/又はPEG修飾された脂質(上に定義される)は、様々な相対的モル比で組み合わされ得る。例えば、カチオン性脂質と、非カチオン性脂質と、コレステロールベースの脂質と、ペグ化脂質との比は、それぞれ、約30~60:20~35:20~30:1~15の間、又は約40:30:25:5、50:25:20:5、50:27:20:3、40:30:20:10、40:32:20:8、40:32:25:3若しくは40:33:25:2の比、又は約50:25:20:5、50:20:25:5、50:27:20:3 40:30:20:10、40:30:25:5、若しくは40:32:20:8、40:32:25:3、若しくは40:33:25:2の比であってもよい。
【0477】
一部の実施形態では、LNP(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、脂質化合物II(ALC-0315)、本発明のmRNA、DSPCである中性脂質、コレステロールであるステロイド、及び式(I ALC-0159)の化合物であるペグ化脂質を含む。
【0478】
一実施形態では、LNPは、約20~60%のカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、0.5~15%のPEG-脂質のモル比で、(i)少なくとも1つのカチオン性脂質、(ii)中性脂質、(iii)ステロール、例えば、コレステロール、及び(iv)PEG-脂質、例えば、PEG-DMG又はPEG-cDMAから本質的になる。
【0479】
一部の実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、脂質ナノ粒子(LNP)が形成され、ここで、LNPは、
(i)本明細書において定義される少なくとも1つのカチオン性脂質、好適には、式III-3の脂質(ALC-0315)、
(ii)本明細書において定義される少なくとも1つの中性脂質、好適には、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、
(iii)本明細書において定義される少なくとも1つのステロイド又はステロイドアナログ、好適には、コレステロール、及び
(iv)本明細書において定義される少なくとも1つのポリマーコンジュゲートされた脂質、好適には、PEG-脂質、例えば、PEG-DMG又はPEG-cDMA、好適には、式(I ALC-0159)であるか、又はそれから誘導されるペグ化脂質
を含む。
【0480】
一部の実施形態では、mRNAは、1つ以上の脂質と複合体化され、これにより、脂質ナノ粒子(LNP)が形成され、ここで、LNPは、約20~60%のカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、0.5~15%のポリマーコンジュゲートされた脂質、好適には、PEG-脂質のモル比で、(i)~(iv)を含む。
【0481】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子(又はリポソーム、ナノリポソーム、リポプレックス)は、式(III-3)を有するカチオン性脂質及び/又は式(IVa)を有するPEG脂質、場合により中性脂質、好適には1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、並びに場合によりステロイド、好適には、コレステロールを含み、ここで、カチオン性脂質とDSPCとのモル比は、場合により約2:1~8:1の範囲にあり、ここで、カチオン性脂質とコレステロールとのモル比は、場合により約2:1~1:1の範囲にある。
【0482】
一実施形態では、組成物は、mRNA、約50:10:38.5:1.5、好適には47.5:10:40.8:1.7以上、より好適には47.4:10:40.9:1.7(すなわち、カチオン性脂質(好適には、式III-3(ALC-0315)の脂質)、DSPC、コレステロール、及びポリマーコンジュゲートされた脂質、好適にはPEG-脂質(好適には、n=49を有する式(I)のPEG-脂質、なおより好適には、n=45を有する式(I)のPEG-脂質、ALC-0159)の割合(mol%);エタノール中に溶解)のモル比を有する脂質ナノ粒子(LNP)を含む。
【0483】
RNAと脂質との比は、変動し得る(例えば、WO2013/006825を参照)。一部の実施形態では、「N:P比」は、カチオン性脂質(典型的には、単純に脂質の頭部基)中のプロトン化可能な窒素原子と、RNA中のリン酸とのモル比を指す。ヌクレオチド(N)とリン脂質(P)との比は、例えば、1N:1P~20N:1P、1N:1P~10N:1P、2N:1P~8N:1P、2N:1P~6N:1P、又は3N:1P~5N:1Pの範囲であり得る。ヌクレオチド(N)とリン脂質(P)との比は、例えば、1N:1P、2N:1P、3N:1P、4N:1P、5N:1P、6N:1P、7N:1P、8N:1P、9N:1P、又は10N:1Pの範囲であり得る。或いは、又は加えて、ヌクレオチド(N)とリン脂質(P)との比は、4N:1Pである。
【0484】
WO2017/070620は、LNP組成物に関する一般的な情報を提供し、参照により本明細書中に取り込まれる。他の有用なLNPは、以下の参考文献:WO2012/006376、WO2012/030901、WO2012/031046、WO2012/031043、WO2012/006378、WO2011/076807、WO2013/033563、WO2013/006825、WO2014/136086、WO2015/095340、WO2015/095346、WO2016/037053に記載されており、これらもまた、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0485】
様々な実施形態では、本発明のmRNAを好適に封入するLNPは、約50nm~約200nm、約60nm~約200nm、約70nm~約200nm、約80nm~約200nm、約90nm~約200nm、約90nm~約190nm、約90nm~約180nm、約90nm~約170nm、約90nm~約160nm、約90nm~約150nm、約90nm~約140nm、約90nm~約130nm、約90nm~約120nm、約90nm~約100nm、約70nm~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、又は約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、若しくは200nmの平均直径を有し、実質的に無毒性である。本明細書で使用される場合、平均直径は、当該技術分野で一般的に知られている動的光散乱によって決定されるz平均サイズによって表されてもよい。
【0486】
LNPは、典型的には、直径が50~200nmである(Z-平均)。好適には、LNPは、0.4以下、例えば、0.3以下の多分散性を有する。典型的には、PDIは、動的光散乱によって決定される。
【0487】
一部の実施形態では、組成物は、約0.4未満、好適には約0.3未満、より好適には約0.2未満、最も好適には約0.1未満の多分散指数(PDI)値を有する。
【0488】
一実施形態では、担体は、脂質ナノ粒子(LNP)である。
【0489】
CNE
担体は、カチオン性ナノエマルション(CNE)送達システムであり得る。このようなカチオン性水中油型エマルションは、mRNAを細胞の内部に送達するために使用することができる。エマルション粒子は、疎水性油のコア及びカチオン性脂質を含み、後者は、mRNAと相互作用することができ、これにより、それがエマルション粒子に固定される。CNE送達システムにおいて、抗原をコードするmRNAは、カチオン性水中油型エマルションの粒子と複合体化される。CNE担体及びそれらの調製のための方法は、WO2012/006380、WO2013/006837、及びWO2013/006834に記載されており、これらは、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0490】
したがって、mRNAは、カチオン性水中油型エマルションの粒子と複合体化され得る。粒子は、典型的には、25℃において液相である油のコア(例えば、植物油又はスクアレン)、カチオン性脂質(例えば、リン脂質)、及び場合により界面活性剤(例えば、トリオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80)を含み、ポリエチレングリコールもまた含まれてもよい。或いは、又は加えて、CNEは、スクアレン及びカチオン性脂質、例えば、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)を含む(例えば、Brito, 2014を参照)。一実施形態では、CNEは、ポリソルベート80及び/又はトリオレイン酸ソルビタンで安定化されたDOTAP及びスクアレンの水中油型エマルションである。
【0491】
望ましくは、RNAの少なくとも半分(及び好適には少なくとも85%、例えば、そのすべて)が、カチオン性水中油型エマルション担体と複合体化される。
【0492】
CNEは、典型的には、直径が50~200umである(Z-平均)。好適には、CNEは、0.4以下、例えば、0.3以下の多分散性を有する。
【0493】
一実施形態では、担体は、カチオン性ナノエマルション(CNE)である。
【0494】
LION
リピドイドコーティング酸化鉄ナノ粒子(LION)は、mRNAを細胞内に送達することができ、対象への投与後に、外部磁場の適用によって補助され得る。LIONは、脂質及び/又はリピドイドを含む1つ以上のコーティングを有する酸化鉄粒子であり、ここで、抗原をコードするmRNAは、静電相互作用を通じて脂質及び/又はリピドイドコーティングに取り込まれるか、又はそれと会合する。mRNAがコーティング内に埋め込まれていることで、酵素分解からの保護を提供し得る。LION内に含まれる脂質及び/又はリピドイドとしては、例えば、Jiang, 2013の図S1に含まれるもの、とりわけ、長さが12~14個の炭素のアルキルテールを含むリピドイド、特に、Jiang, 2013に開示されるリピドイドC14-200を挙げることができる。LIONは、典型的には、200~5000、例えば500~2000、特に約1000、約1000個の脂質及び/又はリピドイド分子を含み得る。典型的には、LIONは、直径が20~200nm、とりわけ、直径が50~100nmである。脂質/リピドイドとmRNAとの重量比は、約1:1~10:1、とりわけ、約5:1であり得る。特に好適なLION、及びLIONの調製のための方法は、Jiang, 2013に開示されている。
【0495】
一実施形態では、担体は、リピドイドコーティング酸化鉄ナノ粒子(LION)である。
【0496】
アッセイ
ヘッド領域を標的とするワクチンのin vitroでの有効性は、ワクチンが、インフルエンザウイルスの標的細胞への結合を予防するかどうかを調査するアッセイによって確立することができる。このようなアッセイの例は、赤血球凝集阻害(HAI)アッセイであり、これは、当該技術分野において至適基準であると考えられており、in vivoでの保護の相関を提供する。しかしながら、ステム領域を標的とするワクチンは、潜在的には防御的であるが、インフルエンザウイルスの標的細胞への結合を予防しない場合がある。上記のアッセイは、したがって、ステム領域を標的とするワクチンの有効性を調査するには不適切である。
【0497】
マウスに投与されたステム領域を標的とするワクチンの有効性を調査するための好適なアッセイは、以下の通りである。これらのアッセイの実装形態が、本明細書に提供される例で使用される。
【0498】
ELISAによる抗HA IgG抗体
マウス抗HA IgG抗体の定量を、HA抗原(全長又はステムのみ)をコーティングとして使用して、ELISAによって行う。次いで、プレートをインキュベートする。希釈した血清を、コーティングしたプレートに添加し、インキュベートする。プレートを洗浄した後に、希釈したペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgGを添加する。H2SO4で反応を停止させ、光学密度を読み取る。力価を、ELISA単位力価として表す。
【0499】
ステム特異的T細胞頻度
脾臓を採取し、細胞懸濁液を調製する。脾臓細胞懸濁液を濾過し、回収し、遠心分離する。次いで、新しい脾細胞を、ステムタンパク質の配列をカバーするオーバーラップするペプチドプールの存在下でプレーティングする。刺激の後に、細胞を洗浄し、抗CD16/32抗体、抗CD4-V450抗体、及び抗CD8-PerCp-Cy5.5抗体で染色する。生/死細胞染色を追加する。細胞を透過処理し、抗IL2-FITC抗体、抗IFNγ-APC抗体、及び抗TNFα-PE抗体で染色する。染色した細胞を、フローサイトメトリーによって分析する。
【0500】
中和抗体力価
マウス血清を、希釈し、レポーターインフルエンザウイルスの存在下においてインキュベートする。インキュベーションの後に、血清-ウイルスミックスを、細胞培養物に添加する。インフルエンザ陽性細胞を、フローサイトメトリーによって分析及び定量する。力価を、対照ウェル(ウイルスのみ、血清なし)と比較して50%の細胞感染低減をもたらす血清の逆希釈の回帰分析によって計算した低減力価に対応する50%中和力価(IC50)として表す。
【0501】
上記のアッセイのより具体的な実装形態は、実施例において詳述されている。これらのより具体的なアッセイはまた、ステム領域を標的とするワクチンの有効性を調査するためにも使用され得る。
【0502】
対象
本発明は、概して、哺乳類対象、特に、ヒト対象が意図されている。対象は、野生又は飼育動物であり得る。哺乳類対象としては、例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウマ、又はウシが挙げられる。本発明の一実施形態では、対象は、ヒトである。
【0503】
本発明の方法を使用して処置しようとする対象は、任意の年齢のものであり得る。
【0504】
一実施形態では、対象は、ヒト乳児(12カ月齢まで)である。一実施形態では、対象は、ヒト子供(18歳未満)である。一実施形態では、対象は、成人のヒト(18歳~59歳)である。一実施形態では、対象は、高齢のヒト(60歳以上)である。
【0505】
より若齢、例えば、12歳未満の子供に投与される用量は、相当成人用量と比べて、例えば、50%、低減され得る。
【0506】
本発明の方法は、好適には、予防、すなわち、インフルエンザウイルスに感染していない対象への投与が意図される。
【0507】
製剤化及び投与
担体製剤化mRNAは、非経口、例えば、筋肉内又は皮下投与を含む、様々な好適な経路を介して投与され得る。好適には、担体製剤化mRNAは、筋肉内及び/又は皮内投与される。
【0508】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAの筋肉内投与は、対象におけるコードされる抗原構築物の発現をもたらす。担体製剤化mRNAの投与は、mRNAの翻訳及び対象におけるコードされるステムHA抗原の産生をもたらす。
【0509】
担体製剤化mRNAは、液体又は乾燥(例えば、凍結乾燥)形態で提供され得る。好ましい形態は、因子、例えば、担体製剤化mRNAの正確な性質、例えば、担体製剤化mRNAが、乾燥に適しているどうか、又は存在し得る他の成分に依存するであろう。
【0510】
担体製剤化mRNAは、典型的には、液体形態で提供される。
【0511】
実施形態では、本明細書に記載されるmRNA製剤は、製剤及び/又はmRNAの保存安定性を改善するために凍結乾燥されてもよい。実施形態では、本明細書に記載されるmRNA製剤は、製剤及び/又はmRNAの保存安定性を改善するためにスプレー乾燥されてもよい。凍結乾燥及び又はスプレー乾燥のためのリオプロテクタントは、トレハロース、スクロース、マンノース、デキストラン、及びイヌリンから選択され得る。
【0512】
好適には、免疫原性組成物、例えば、LNPを含む組成物は、凍結乾燥させて(例えば、WO2016165831又はWO2011069586に記載)、本明細書において定義される温度安定な乾燥されたmRNA(粉末)組成物を得る。組成物、例えば、LNPを含む組成物はまた、スプレー乾燥又はスプレー凍結乾燥(例えば、WO2016184575又はWO2016184576に記載)を使用して乾燥させて、本明細書において定義される温度安定な組成物(粉末)を得てもよい。
【0513】
したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は、乾燥された組成物である。
【0514】
本明細書で使用される場合、用語「乾燥された組成物」は、例えば、LNP複合体化RNA(上に定義される)を含む温度安定な乾燥された組成物(粉末)を得るために、上に定義される通り、凍結乾燥された、又はスプレー乾燥された、又はスプレー凍結乾燥された組成物と理解されなければならない。
【0515】
実施形態では、凍結乾燥又はスプレー乾燥された組成物は、約10%未満の水含有量を有する。
【0516】
一部の実施形態では、凍結乾燥又はスプレー乾燥された組成物は、約0.5%~5%の水含有量を有する。
【0517】
一部の実施形態では、凍結乾燥又はスプレー乾燥された組成物は、約5℃での保存後、少なくとも2カ月間、好適には、少なくとも3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、安定である。
【0518】
他の組成物との組み合わせが意図される担体製剤化mRNAを含む組成物は、投与の前には、それ自体が、生理学的に許容されるpH又は生理学的に許容される張度を有する必要はないが、投与が意図される製剤は、生理学的に許容されるpHを有するべきであり、生理学的に許容される浸透圧を有するべきである。
【0519】
液体調製物のpHは、組成物の成分及びヒト対象への投与に必要な好適さを考慮して調整される。製剤のpHは、一般的に、少なくとも4、とりわけ少なくとも5、特に少なくとも5.5、例えば、少なくとも6である。製剤のpHは、一般的に、9以下、とりわけ8.5以下、特に8以下、例えば、7.5以下である。製剤のpHは、4~9、とりわけ5~8.5、特に5.5~8、例えば、6.5~7.4(例えば、6.5~7.1)であり得る。
【0520】
非経口投与に関して、溶液は、過剰な細胞のゆがみ又は溶解を回避するために、生理学的に許容される浸透圧を有するべきである。生理学的に許容される浸透圧は、一般的に、溶液が、ほぼ等張性又は軽度に高張性である浸透圧を有することを意味する。好適には、投与のための製剤は、250~750mOsm/kg、とりわけ250~550mOsm/kg、特に270~500mOsm/kg、例えば、270~400mOsm/kgの浸透圧を有する。浸透圧は、当該技術分野において公知の技術に従って、例えば、市販の浸透圧計、例えば、Advanced Instruments Inc.(USA)から入手可能なAdvanced(登録商標)Model 2020の使用によって、測定され得る。
【0521】
再構成に使用される液体は、実質的に水性、例えば、注射用水、リン酸緩衝食塩水などである。上述のように、緩衝液及び/又は張度調整剤の要件は、再構成される容器の内容物及びそれに続く再構成された内容物の使用の両方に依存するであろう。緩衝液は、酢酸、クエン酸、ヒスチジン、マレイン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、及びTRISから選択され得る。緩衝液は、リン酸緩衝液、例えば、Na/Na2PO4、Na/K2PO4、又はK/K2PO4であり得る。
【0522】
好適には、本発明において使用される製剤は、0.05ml~1ml、例えば、0.1~0.6mlの用量体積、特に0.45~0.55ml、例えば、0.5mlの用量体積を有する。使用される組成物の体積は、対象、送達経路、及び位置に依存し得、より小さな用量は、皮内経路で提供される。筋肉内等の経路を通じた投与のための典型的なヒト用量は、200ul~750ml、例えば400~600ulの範囲、特に約500ul、例えば500ulである。
【0523】
担体製剤化mRNAは、様々な物理的容器、例えば、バイアル又は事前充填されたシリンジで提供され得る。
【0524】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAは、単回用量の形態で提供される。他の実施形態では、担体製剤化mRNAは、2、5、又は10回の用量を含む複数用量の形態で提供される。
【0525】
液体を容器間で、例えば、バイアルからシリンジに移す場合、必要とされる全体積が便宜的に移され得ることを確実にする「余剰分」を提供することは一般的である。必要とされる余剰分のレベルは、状況に依存するが、過剰な余剰分は、廃棄分を低減するために回避されるべきであり、不十分な余剰分は、実質的な問題を引き起こし得る。余剰分は、用量当たり20~100ul、例えば、30ul又は50ulの程度であり得る。
【0526】
安定化剤が存在してもよい。最終製剤の用量がある期間にわたって対象に投与され得るため、複数回用量の容器が提供される場合に、安定化剤は特に関連し得る。
【0527】
製剤は、好ましくは、無菌である。
【0528】
強力で持続する免疫を確立するためのアプローチは、免疫の繰り返し、すなわち、1つ以上のさらなる用量の投与によって免疫応答をブーストすることを含むことが多い。このようなさらなる投与は、同じ免疫原性組成物(同種ブースト)又は異なる免疫原性組成物(異種ブースト)で行われ得る。本発明は、プライム又はブースト免疫のいずれかとして、同種又は異種プライム/ブーストレジメンの一部として適用されてもよい。
【0529】
担体製剤化mRNAの投与は、したがって、複数回用量投与レジームの一部であり得る。例えば、担体製剤化mRNAは、複数回用量レジーム、とりわけ2回又は3回用量レジーム、特に2回用量レジームにおいて、プライム用量として提供され得る。担体製剤化mRNAは、複数回用量レジーム、とりわけ2回又は3回用量レジーム、例えば2回用量レジームにおいて、ブースト用量として提供され得る。
【0530】
プライム及びブースト用量は、同種であっても異種であってもよい。結果として、担体製剤化mRNAは、同種複数回用量レジーム、とりわけ2回又は3回用量レジーム、特に2回用量レジームにおいて、プライム用量及びブースト用量として提供され得る。或いは、担体製剤化mRNAは、異種複数回用量レジーム、とりわけ2回又は3回用量レジーム、特に2回用量レジームにおいて、プライム用量又はブースト用量として提供され得、ブースト用量は、異なってもよい(例えば、担体製剤化mRNA;又は代替的な抗原提示、例えば、タンパク質若しくはウイルスベクター抗原-アジュバント、例えば、スクアレンエマルションアジュバントあり若しくはなし)。
【0531】
用量間の時間は、2週間~6カ月間、例えば、3週間~3カ月間であり得る。周期的な長期ブースター用量もまた、例えば、2~10年ごとに提供され得る。
【0532】
したがって、本発明による担体製剤化mRNAを含む免疫原性組成物であって、場合により、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、免疫原性組成物もまた、提供される。
【0533】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、好適には、投与のための組成物の液体又は非液体主成分を含む。組成物が液体形態で提供される場合、担体は、水、例えば、パイロジェンを含まない水;等張食塩水又は緩衝(水)溶液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩などの緩衝溶液であってもよい。ナトリウム塩、好適には、少なくとも50mMのナトリウム塩、カルシウム塩、好適には少なくとも0.01mMのカルシウム塩、及び場合によりカリウム塩、好適には少なくとも3mMのカリウム塩を含有する、水又は好適には緩衝液、より好適には水性緩衝液が使用されてもよい。一部の実施形態によると、ナトリウム、カルシウム、及び場合によりカリウム塩は、それらのハロゲン化物、例えば、塩化物、ヨウ化物、又は臭化物の形態、それらの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素、若しくは硫酸塩の形態などで生じてもよい。ナトリウム塩の例としては、NaCl、NaI、NaBr、Na2CO3、NaHCO3、Na2SO4が挙げられ、場合によるカリウム塩の例としては、KCl、KI、KBr、K2CO3、KHCO3、K2SO4が挙げられ、カルシウム塩の例としては、CaCl2、CaI2、CaBr2、CaCO3、CaSO4、Ca(OH)2が挙げられる。
【0534】
さらに、前述のカチオンの有機アニオンは、緩衝液中にあってもよい。したがって、実施形態では、医薬組成物は、例えば、in vivoでの安定性を増加させ、細胞トランスフェクションを増加させ、持続性若しくは遅延性を可能にし、コードされる抗原性ペプチド若しくはタンパク質の翻訳を増加させ、及び/又はin vivoでのコードされる抗原性ペプチド若しくはタンパク質の放出プロファイルを変更させるための、1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤を使用した、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含んでもよい。伝統的な賦形剤、例えば、ありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散若しくは懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘若しくは乳化剤、保存剤に加えて、賦形剤は、限定することなく、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドがトランスフェクトされた細胞、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣物、及びそれらの組み合わせを含み得る。実施形態では、1つ以上の適合性のある固体又は液体充填剤又は希釈剤又は封入化合物が、同様に使用されてもよく、それらは、対象への投与に好適である。本明細書で使用される場合、用語「適合性のある」とは、組成物の構成要素が、典型的な使用条件(例えば、筋肉内又は皮内投与)下において組成物の生物学的活性又は医薬有効性を実質的に低減する相互作用が生じない様式で、成分A及び/又は成分Bの少なくとも1つの核酸、並びに場合により組成物の複数の核酸と混合することができることを意味する。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、処置しようとする対象への投与に好適となるように十分に高い純度及び十分に低い毒性を有していなければならない。薬学的に許容される担体又は賦形剤として使用され得る化合物は、糖、例えば、例としてラクトース、グルコース、トレハロース、マンノース、及びスクロース;デンプン、例えば、例としてトウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン;デキストロース;セルロース及びその誘導体、例えば、例としてカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;獣脂;固体滑剤、例えば、例としてステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えば、例として落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びカカオ属由来の油;ポリオール、例えば、例としてポリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;アルギン酸であり得る。
【0535】
免疫原性組成物の少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤は、免疫原性組成物の筋肉内又は皮内送達/投与に好適となるよう選択されてもよい。免疫原性組成物は、好適には、対象への筋肉内投与に好適な組成物である。
【0536】
免疫原性組成物の投与が企図される対象としては、ヒト及び/若しくは他の霊長類、商業的に関連する哺乳類、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/若しくはラットを含む哺乳類、並びに/又は商業的に関連する鳥類、例えば、家禽、ニワトリ、カモ、ガチョウ、及び/若しくは七面鳥を含む鳥類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0537】
様々な実施形態では、免疫原性組成物は、遊離mRNAに関してある特定の割合を超過しない。
【0538】
この文脈では、「遊離mRNA」又は「複合体化されていないmRNA」又は「封入されていないmRNA」は、本明細書において定義される脂質ベースの担体に封入されていないRNA分子を含む。組成物の製剤化中(例えば、脂質ベースの担体へのRNAの封入中)、遊離RNAは、混入又は不純物を表し得る。
【0539】
実施形態では、免疫原性組成物は、約30%~約0%の範囲の遊離mRNAを含む。実施形態では、組成物は、約20%の遊離mRNA(及び約80%の封入されたmRNA)、約15%の遊離mRNA(及び約85%の封入されたmRNA)、約10%の遊離mRNA(及び約90%の封入されたmRNA)、又は約5%の遊離mRNA(及び約95%の封入されたmRNA)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約20%未満の遊離mRNA、好適には約15%未満の遊離mRNA、より好適には約10%未満の遊離mRNA、最も好適には約5%未満の遊離mRNAを含む。
【0540】
用語「封入されたmRNA」は、本明細書において定義される脂質ベースの担体に封入されたmRNA分子を含む。本発明の文脈での封入されたmRNAの割合は、典型的には、RiboGreenアッセイを使用して決定される。
【0541】
一部の実施形態では、組成物は、本発明のmRNAに加えて、複数又は少なくとも1つのさらなるmRNAを含む、多価組成物である。
【0542】
一部の実施形態では、多価組成物は、好適にはそれぞれが異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする本発明の2つ以上のmRNAを含む。一部の実施形態では、多価組成物は、2つ、3つ、又は4つのmRNAを含む。一部の実施形態では、多価組成物は、それぞれが異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ、3つ、又は4つのmRNAを含む。
【0543】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAは、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0544】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ1群、好適にはA型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18、より好適にはH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ2群、好適にはA型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15、より好適にはH3、H7、及び/又はH10、なおより好適にはH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0545】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3、H7、及び/又はH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0546】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0547】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする。
【0548】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好適には、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0549】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好適には、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ1群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0550】
一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号6又は配列番号7に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。
【0551】
一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号12に対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。
【0552】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0553】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0554】
一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、A型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0555】
一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号8、9、又は11のうちのいずれか1つに対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。
【0556】
一部の実施形態では、インフルエンザステムポリペプチドは、配列番号13、14、又は15のうちのいずれか1つに対して80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば98%以上、例えば99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する構築物内に含まれる。
【0557】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0558】
一部の実施形態では、mRNAは、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0559】
一部の実施形態では、2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つは、非複製性である。一部の実施形態では、2つ以上のmRNAのそれぞれは、非複製性である。
【0560】
mRNA及び/又は免疫原性組成物を含む、ワクチンもまた、提供される。
【0561】
一部の実施形態では、ワクチンは、複数若しくは少なくとも1つよりも多くの本発明のRNA、又は複数若しくは少なくとも1つよりも多くの組成物を含む、多価ワクチンである。
【0562】
mRNA、及び/又は組成物、及び/又はワクチンを含み、場合により溶解のための液体ビヒクルを含み、場合により成分の投与及び投薬量についての情報を提供する技術指示書を含む、キット又はパーツのキットがさらに提供される。
【0563】
キットの技術指示書は、投与及び投薬量並びに患者群についての情報を含み得る。このようなキット、好適には、パーツのキットは、例えば、本明細書に言及される適用又は使用のうちのいずれかのため、好適には免疫原性組成物又はワクチンの使用のため、インフルエンザウイルス、好適にはA型インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染又は疾患の治療又は予防のために、適用され得る。
【0564】
一部の実施形態では、免疫原性組成物又はワクチンは、キットの別個の部分に提供され、ここで、免疫原性組成物又はワクチンは、好適には、凍結乾燥又はスプレー乾燥又はスプレー凍結乾燥されている。
【0565】
キットは、乾燥又は凍結乾燥された核酸組成物又はワクチンを溶解するためのビヒクル(例えば、緩衝液)を一部としてさらに含んでもよい。
【0566】
一部の実施形態では、本明細書において定義されるキット又はパーツのキットは、組成物/ワクチンの投与のための複数回用量容器、及び/又は投与装置(例えば、筋肉内及び/又は皮内注射のための注射器)を含む。
【0567】
上記のキットのいずれかは、本明細書において定義される治療又は予防において使用されてもよい。
【0568】
医薬としての使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、又はキット若しくはパーツのキットもまた、提供される。
【0569】
担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、又はキットのいくつかの適用及び使用が、さらに提供される。
【0570】
したがって、インフルエンザウイルス、好適には、A型インフルエンザウイルスの感染の治療又は予防における使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、又はキット若しくはパーツのキットが、さらに提供される。
【0571】
一部の実施形態では、それぞれの担体製剤化mRNAについての担体製剤化mRNAの量は、本質的には質量が等しい。他の実施形態では、それぞれの核酸種についての核酸の量は、等モルであるよう選択される。
【0572】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNAの単回用量は、0.001~1000μg、0.01~1000μg、とりわけ1~500μg、特に10~250μgの総mRNAである。さらなる実施形態では、担体製剤化mRNAの単回用量は、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の異なるmRNAの混合物を含み、0.01~100μg、とりわけ0.25~250μg、特に0.5~25μgのそれぞれのmRNAである。
【0573】
一部の実施形態では、使用のための担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキットは、筋肉内及び/又は皮内投与、好適には、筋肉内投与のためのものである。
【0574】
一部の実施形態では、免疫応答が誘発される。
【0575】
一部の実施形態では、適応免疫応答が誘発される。
【0576】
一部の実施形態では、インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0577】
一部の実施形態では、A型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0578】
一部の実施形態では、1群及び/又は2群由来の1つ以上のA型インフルエンザウイルスサブタイプに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0579】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、インフルエンザウイルス、好適にはA型インフルエンザウイルス、より好適には1群及び/又は2群由来の1つ以上のA型インフルエンザウイルスサブタイプに対する中和抗体力価を含む。
【0580】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、それぞれのウイルスを有効に中和することができる機能的抗体を含む。
【0581】
さらなる実施形態では、誘発される免疫応答は、それぞれのウイルスに対する広範な機能的細胞T細胞応答を含む。特に、誘発される免疫応答は、CD4+T細胞免疫応答及び/又はCD8+T細胞免疫応答を含む。
【0582】
さらなる実施形態では、誘発される免疫応答は、それぞれのウイルスに対する良好にバランスのとれたB細胞及びT細胞応答を含む。
【0583】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、抗原特異的免疫応答を含む。
【0584】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、1つ以上の症状の重症度及び/又は対象がインフルエンザウイルス感染の1つ以上の症状を経験する期間を、部分的又は完全に低減する。
【0585】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、チャレンジ後に確立されたインフルエンザウイルス感染を発症する可能性を低減する。
【0586】
一部の特定の実施形態では、誘発される免疫応答は、インフルエンザの進行を減速させる。
【0587】
障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、担体製剤化mRNA、組成物、ワクチン、又はキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む、方法もまた、提供される。
【0588】
疾患、特に、ウイルス感染の予防(阻害)又は治療は、例えば、疾患、例えば、ウイルス感染のリスクのある対象における疾患又は状態の完全な発症の阻害に関する。「治療」は、疾患又は病態が発症し始めた後、その徴候又は症状を軽減させる治療的介入を指す。疾患又は病態に関して、用語「軽減させること」は、治療の任意の観察可能な有益な効果を指す。疾患の阻害は、疾患のリスクの予防又は低減、例えば、ウイルス感染のリスクの予防又は低減を含み得る。有益な効果は、例えば、感受性の対象における疾患の臨床症状の発症の遅延、疾患の一部若しくはすべての臨床症状の重症度の低減、疾患の進行をゆっくりにすること、ウイルス量の低減、対象の全体的な健康若しくは幸福の改善によって、又は特定の疾患に特異的である他のパラメーターによって証明することができる。「予防的」治療は、病状を発症するリスクを減少させる目的のため、疾患の徴候を示さないか、又は早期の徴候のみを示す対象に投与される処置である。
【0589】
一部の実施形態では、担体製剤化mRNA、組成物、ワクチン、又はキット若しくはパーツのキットは、治療有効量で投与される。
【0590】
一部の実施形態では、障害は、インフルエンザウイルス、好適には、A型インフルエンザウイルスの感染である。
【0591】
一部の実施形態では、必要とする対象は、哺乳類対象、好適には、ヒト対象である。
【0592】
免疫応答を誘発する方法であって、それを必要とする対象に、担体製剤化mRNA、組成物、ワクチン、又はキット若しくはキットを適用するか、又は投与することを含む、方法もまた、提供される。
【0593】
一部の実施形態では、免疫応答が誘発される。
【0594】
一部の実施形態では、適応免疫応答が誘発される。
【0595】
一部の実施形態では、インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0596】
一部の実施形態では、A型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0597】
一部の実施形態では、1群及び/又は2群由来の1つ以上のA型インフルエンザウイルスサブタイプに対する防御的適応免疫応答が、誘発される。
【0598】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、インフルエンザウイルス、好適にはA型インフルエンザウイルス、より好適には1群及び/又は2群由来の1つ以上のA型インフルエンザウイルスサブタイプに対する中和抗体力価を含む。
【0599】
一部の実施形態では、適応免疫応答は、担体製剤化mRNAによってコードされないHAタンパク質に結合する抗体の産生を含む。
【0600】
一部の実施形態では、誘発される免疫応答は、それぞれのウイルスを有効に中和することができる機能的抗体を含む。
【0601】
さらなる実施形態では、誘発される免疫応答は、それぞれのウイルスに対する広範な機能的細胞T細胞応答を含む。
【0602】
さらなる実施形態では、誘発される免疫応答は、それぞれのウイルスに対する良好にバランスのとれたB細胞及びT細胞応答を含む。
【0603】
一部の実施形態では、免疫応答は、インフルエンザウイルスに対する、好適にはA型インフルエンザウイルスに対する、より好適にはA型インフルエンザウイルスの1群及び/又は2群のサブタイプに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を含む。
【0604】
一部の実施形態では、必要とする対象は、哺乳類対象、好適には、ヒト対象である。
【0605】
実施形態では、担体製剤化mRNA、組成物、ワクチン、又はキット若しくはキットの対象への投与は、中和抗体を誘発し、疾患を亢進させる抗体を誘発しない。特に、担体製剤化mRNA、組成物、ワクチン、又はキット若しくはキットの対象への投与は、例えば、亢進疾患及び/又は抗体依存性増強(ADE)のような、免疫病理学的効果を誘発しない。
【0606】
本発明の担体製剤化mRNA及び/又は本発明の免疫原性組成物の文脈で記載される特定の特徴及び実施形態が、本発明のワクチン、キット若しくはパーツのキット、又は例えば医学的使用(第一及び第二の医学的使用)及び例えば治療の方法を含むさらなる態様に、同様に適用可能であることは、留意すべきである。
【0607】
さらなる定義
明確且つ読みやすくするために、以下の定義が提供される。これらの定義について述べられている任意の技術的特色は、本発明のあらゆる実施形態で読み取ることができる。追加の定義及び説明は、これらの実施形態の文脈で具体的に提供され得る。
【0608】
特許請求の範囲を含め、本明細書全体を通じて、文脈により許容される場合、用語「含む(comprising)」及びその変化形、例えば「含む(comprises)」は、必ずしも任意の他の要素(例えば、整数)を排除することなく、言及された1つの要素(例えば、整数)又は複数の要素(例えば、複数の整数)を含むとして解釈されるものとする。したがって、Xを「含む」組成物は、Xから排他的になってもよく、又はなんらかの追加、例えば、X+Yを含んでもよい。
【0609】
「実質的に」という言葉は、「完全に」を排除するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、「実質的に」という言葉は、本発明の定義から省略されてもよい。
【0610】
数値xに関連する用語「約」又は「およそ」は、場合によるものであり、例えば、所与の数値のx±10%、例えば、所与の数値のx±5%を意味する。
【0611】
本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容により別途明確に示されない限り、複数形の参照物を含む。
【0612】
別途示されない限り、2つ以上の成分を混合する工程を含むプロセスは、任意の特定の混合順序を必要とするものではない。したがって、成分は、任意の順序で混合され得る。3つの成分が存在する場合には、2つの成分を互いに組み合わせてもよく、次いで、その組み合わせを、第三の成分などと組み合わせてもよい。
【0613】
数字の文脈でのパーセンテージは、それぞれの項目の総数に対する相対であると理解されるべきである。他の場合、文脈が別段示さない限り、パーセンテージは、重量パーセンテージ(wt.-%)と理解されるべきである。
【0614】
用語「免疫原性フラグメント」又は「免疫原性バリアント」は、対象において免疫応答を生じさせる能力がある対応するインフルエンザ抗原の任意のフラグメント/バリアントとして理解されなければならない。
【0615】
適応免疫応答:本明細書で使用される場合、用語「適応免疫応答」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、免疫系(適応免疫系)の抗原特異的応答を指すことが意図される。抗原特異性により、特定の病原体又は病原体が感染した細胞に合わせた応答が生じる。これらの合わせた応答を開始する能力は、通常、「メモリー細胞」(B細胞)によって体内で維持される。本発明の文脈では、抗原は、インフルエンザウイルスから誘導される少なくとも1つの抗原性ペプチド又はタンパク質をコードするmRNAによって提供される。
【0616】
抗原:本明細書で使用される場合、用語「抗原」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、免疫系によって、好適には、適応免疫系によって認識され得、例えば、適応免疫応答の一部として抗体及び/又は抗原特異的T細胞の形成によって、抗原特異的免疫応答を誘発する能力がある物質を指すことが意図される。典型的には、抗原は、MHCによってT細胞に提示され得る、ペプチド又はタンパク質であってもよく、それを含んでいてもよい。また、少なくとも1つのエピトープを含むペプチド又はタンパク質のフラグメント、バリアント、及び誘導体は、本発明の文脈において抗原として理解される。本発明の文脈では、抗原は、本明細書で特定される提供されるmRNAの翻訳の産物であってもよい。
【0617】
抗原性ペプチド又はタンパク質:用語「抗原性ペプチド又はタンパク質」又は「免疫原性ペプチド又はタンパク質」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、体の適応免疫系を刺激して、適応免疫応答をもたらす、(抗原性又は免疫原性)タンパク質から誘導されるペプチド、タンパク質を指すことが意図される。したがって、抗原性/免疫原性ペプチド又はタンパク質は、それが誘導されるタンパク質(例えば、インフルエンザウイルスのHA)の少なくとも1つのエピトープ(本明細書において定義される)又は抗原(本明細書において定義される)を含む。
【0618】
カチオン性:異なる意味が、特定の文脈から明らかでない限り、用語「カチオン性」は、それぞれの構造が、恒常的又は非恒常的のいずれかで、しかし、ある特定の条件、例えば、pHに応答して、正電荷を帯びることを意味する。したがって、用語「カチオン性」は、「恒常的なカチオン性」と「カチオン化可能」の両方をカバーする。
【0619】
カチオン化可能:本明細書で使用される場合、用語「カチオン化可能」は、化合物、又は基若しくは原子が、より低いpHで正に荷電され、その環境のより高いpHで荷電されないことを意味する。また、pH値を決定することができない非水性環境では、カチオン化可能な化合物、基、又は原子は、高い水素イオン濃度で正に荷電され、低い濃度又は活性の水素イオンで荷電されない。それは、荷電されるか又は荷電されていない、pH又は水素イオン濃度での、カチオン化可能又はポリカチオン化可能な化合物の個々の特性、特に、それぞれのカチオン化可能な基又は原子のpKaに依存する。希釈水性環境において、正電荷を帯びたカチオン化可能な化合物、基、又は原子の割合は、当業者に周知である、いわゆる、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式を使用して推定され得る。例えば、一部の実施形態では、化合物又は部分が、カチオン化可能である場合、それは、約1~9、好適には4~9、5~8又はさらには6~8のpH値で、より好ましくは9以下、8以下、7以下のpH値で、最も好適には生理学的pH値、例えば、約7.3~7.4、すなわち、生理学的条件下、特に、in vivoでの細胞の生理学的塩条件下で、正に荷電されることが好適である。他の実施形態では、カチオン化可能な化合物又は部分は、生理学的pH値、例えば、約7.0~7.4で主に中性であるが、より低いpH値で正に荷電されることが好適である。一部の実施形態では、カチオン化可能な化合物又は部分のpKaの好適な範囲は、約5~約7である。
【0620】
コード配列/コード領域:本明細書で使用される場合、用語「コード配列」又は「コード領域」及び対応する略語「cds」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、ペプチド又はタンパク質に翻訳され得る、いくつかのヌクレオチドトリプレットの配列を指すことが意図される。本発明の文脈でのコード配列は、3で割ることができる数のヌクレオチドからなるDNA配列、好適には、RNA配列であってもよく、これは、開始コドンで始まり、好適には、終始コドンで終わる。
【0621】
から誘導される:核酸の文脈、すなわち、(別の)核酸「から誘導される」核酸について、本明細書全体で使用される場合、用語「から誘導される」は、(別の)核酸から誘導される核酸が、例えば、それが由来する核酸と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を共有することを意味する。当業者は、配列同一性が、典型的には、同じタイプの核酸、すなわち、DNA配列又はRNA配列について計算されることを理解している。したがって、RNAが、DNA「から誘導される」場合、第一の工程で、DNA配列は、対応するRNA配列に変換される(特に、配列全体でTをUで置き換えることによって)と理解される。その後、RNA配列の配列同一性が決定される。好適には、核酸「から誘導される」核酸はまた、それが由来する核酸と比較して、例えば、RNA安定性をなおもさらに増加させるため、並びに/又はタンパク質産生を延長及び/若しくは増加させるために修飾されている、核酸を指す。アミノ酸配列(例えば、抗原性ペプチド又はタンパク質)の文脈では、用語「から誘導される」は、(別の)アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列が、例えば、それが誘導されるアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を共有することを意味する。
【0622】
エピトープ:本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」(当該技術分野で「抗原決定基」とも呼ばれる)は、当業者によって認識され、理解され、例えば、T細胞エピトープ及びB細胞エピトープを指すことが意図される。抗原性ペプチド又はタンパク質のT細胞エピトープ又は部分は、好適には、約6~約20以上のアミノ酸長を有するフラグメント、例えば、好適には、約8~約10アミノ酸長、例えば、8、9、又は10(又はさらには11若しくは12アミノ酸)長を有する、MHCクラスI分子によって処理され、提示されるフラグメント、或いは好適には、約13~約20以上のアミノ酸長を有する、MHCクラスII分子によって処理され、提示されるフラグメントを含み得る。これらのフラグメントは、典型的には、ペプチドフラグメント及びMHC分子からなる複合体の形態で、T細胞によって認識され、すなわち、フラグメントは、典型的には、それらの天然の形態では認識されない。B細胞エピトープは、典型的には、好適には5~15個のアミノ酸を有する、より好適には5~12個のアミノ酸を有する、なおより好適には6~9個のアミノ酸を有する、(天然の)タンパク質又はペプチド抗原の外表面に位置するフラグメントであり、抗体によって、すなわち、その天然の形態で、認識され得る。タンパク質又はペプチドのこのようなエピトープは、さらに、このようなタンパク質又はペプチドの本明細書で述べられるバリアントのうちのいずれかから選択されてもよい。この文脈では、エピトープは、本明細書において定義されるタンパク質若しくはペプチドのアミノ酸配列において不連続であるが、3次元構造で一緒になる、本明細書において定義されるタンパク質若しくはペプチドのセグメントから構成される立体構造若しくは不連続のエピトープ、又は単一のポリペプチド鎖から構成される連続若しくは直鎖のエピトープであってもよい。
【0623】
液性免疫応答:用語「液性免疫」又は「液性免疫応答」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、B細胞介在性抗体産生、及び場合により抗体産生に伴う副次的プロセスを指すことが意図される。液性免疫応答は、典型的には、例えば、Th2活性化及びサイトカイン産生、胚中心形成及びアイソタイプスイッチング、親和性成熟並びにメモリー細胞生成によって特徴付けられ得る。液性免疫はまた、抗体のエフェクター機能を指してもよく、病原体及び毒素中和、古典的補体活性化、並びに食作用及び病原体除去のオプソニン促進を含む。
【0624】
免疫原、免疫原性:用語「免疫原」又は「免疫原性」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、免疫応答を刺激/誘導することができる化合物を指すことが意図される。一部の実施形態では、免疫原は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質である。本発明の意味における免疫原は、例えば、本明細書において定義されるインフルエンザHAステム(好適には、A型インフルエンザHAステム)から誘導される少なくとも1つの抗原性ペプチド、タンパク質をコードする少なくとも1つのコード配列を含む、提供される核酸の翻訳の産物である。典型的には、免疫原は、適応免疫応答を誘発する。
【0625】
免疫応答:用語「免疫応答」は、当業者によって認識され、理解され、例えば、特定の抗原に対する適応免疫系の特異的な反応(いわゆる、特異的若しくは適応免疫応答)又は自然免疫系の非特異的反応(いわゆる、非特異的若しくは自然免疫応答)、或いはその組み合わせを指すことが意図される。
【0626】
自然免疫系:用語「自然免疫系」(特異的でない、又は非特異的免疫系としても知られている)は、当業者によって認識され、理解され、例えば、典型的には、特異的でない様式で他の生物による感染から宿主を防御する細胞及び機構を含む系を指すことが意図される。これは、自然系の細胞が、一般的な方法で、病原体を認識し、応答し得るが、適応免疫系と異なり、それは、宿主に持続性又は防御的免疫を付与しないことを意味する。自然免疫系は、パターン認識受容体、例えば、Toll様受容体、NOD様受容体、又はRIG-I様受容体などのリガンドによって活性化され得る。
【0627】
多価ワクチン/組成物:本発明の多価ワクチン又は組み合わせは、1つより多くのウイルス(例えば、本明細書において定義される少なくとも1つのインフルエンザウイルス及び本明細書において定義される少なくとも1つのさらなるインフルエンザウイルス)から誘導される一価より多くの力価(例えば、抗原)を提供する。
【実施例
【0628】
セクション1-SAM構築物を用いた実施例
[実施例1]
LNPの詳細及びマウス免疫
本明細書において実施例で使用されるLNPは、「RV39」脂質ナノ粒子(40%のカチオン性脂質LKY750、10%の双性イオン脂質DSPC、48%のコレステロール、及び2%のペグ化脂質DMG(w/w)から構成される)であった。これらのLNPを使用して、H.ピロリ由来の細菌フェリチン上で安定化させた様々なインフルエンザ株由来のHAステムをコードするLNP製剤化組換え自己増幅性mRNA(SAM)レプリコンを産生させた(モノディスプレイ)。Ser-Gly-Glyリンカーを用いてHAの外部ドメインをH.ピロリフェリチンに融合することによって、HAステム-フェリチン融合遺伝子を生成した。
【0629】
研究A
ステムHA H1候補ワクチンの免疫原性を、CB6F1マウスにおいて評価した。10匹の雌CB6F1マウスを、0日目及び28日目に、
(a)LNP内に含まれるSAM-ステムH1 A/Michigan/45/2015(ステムHA H1 A/Michigan/45/2015ポリペプチド及びH.ピロリフェリチンをコードするSAM(配列番号7))、
(b)アジュバントなしのQIV(株A/Brisbane/02/2018 H1N1pdm09、A/Kansas/14/2017 H3N2、B/Colorado/06/2017(B/Victoria)、及びB/Phuket/3073/2013(B/Yamagata)の不活性化スプリットインフルエンザビリオンを含む市販の四価インフルエンザワクチン)、
(c)AS03で製剤化されたQIV、又は
(d)NaCl溶液
で免疫した。
【0630】
血清試料を、実施例2に記載されるアッセイプロトコールを使用して、以下の実施例3~7に記載されるように採取し、分析した。
【0631】
非劣性は、比較群間でのGMTの比(GMR)について90% CIの下限(LL)が0.5以上である場合に結論付けることができる。生物学的/臨床的有意性(非劣性マージン)は、GMR+90% CIが0.5を超える場合に結論付けることができる。統計学的優越性は、GMR+90% CIが2以上である場合に結論付けることができる。
【0632】
研究B
上述の研究Aに類似するさらなる後続の研究を行って、異なる用量のSAMコードステムHA及びインフルエンザの異なる株から誘導されるSAMコードステムHAポリペプチドの投与の影響を調査した。雌CB6F1マウスを、
(a)LNP内に含まれるSAM-ステムH1 A/Michigan/45/2015(ステムHA H1 A/Michigan/45/2015ポリペプチド及びH.ピロリフェリチンをコードするSAM(配列番号7))、
(b)LNP内に含まれるSAM-ステムH1 A/New Caledonia/20/99(ステムHA H1 A/New Caledonia/20/99ポリペプチド及びH.ピロリフェリチンをコードするSAM(配列番号6))、
(c)LNP内に含まれるSAM-ステムH10 A/Jiangxi-Donghu/346/2013(ステムHA H10 A/Jiangxi-Donghu/346/2013ポリペプチド及びH.ピロリフェリチンをコードするSAM(配列番号9))、
(d)アジュバントなしのQIV、
(e)25uLのAS03で製剤化されたQIV、又は
(f)NaCl溶液
で免疫した。
【0633】
14匹のマウスを群(a)~(e)に含め、4匹のマウスを群(f)に含めた。
【0634】
血清試料を、実施例2に記載されるアッセイプロトコールを使用して、以下の実施例3~7に記載されるように採取し、分析した。
【0635】
非劣性は、比較群間でのGMTの比(GMR)について90% CIの下限(LL)が0.5以上である場合に結論付けることができる。生物学的/臨床的有意性(非劣性マージン)は、GMR+90% CIが0.5を超える場合に結論付けることができる。統計学的優越性は、GMR+90% CIが2以上である場合に結論付けることができる。
【0636】
[実施例2]
アッセイプロトコール
ELISAによる抗HA IgG抗体
マウス抗HA IgG抗体の定量を、HA抗原(全長又はステムのみ)をPBS(50μl/ウェル)中4μg/mlの濃度で希釈したコーティングとして使用して、ELISAによって行った。次いで、プレートを、飽和緩衝液において37℃で1時間インキュベートした。希釈した血清を、コーティングしたプレートに添加し(50μl/ウェル)、37℃で90分間インキュベートした。プレートを洗浄した後に、希釈したペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgGを添加した。反応を、H2SO4 2Nで停止させ、光学密度を、490~620nmで読み取った。力価を、ELISA単位力価(EU/ml)として表した。
【0637】
ステム特異的T細胞頻度
脾臓を採取し、補完したRPMIに入れ、細胞懸濁液を、組織グラインダーを使用してそれぞれの脾臓から調製した。脾臓細胞懸濁液を濾過し、回収し、遠心分離し、完全培地に再懸濁した。次いで、新しい脾細胞を、H1 Mich 15ステムの配列をカバーするオーバーラップするペプチドプールの存在下で96ウェルプレートにプレーティングした。刺激後に、細胞を染色し、5色ICSアッセイを使用して分析した。細胞を洗浄し、抗CD16/32抗体、抗CD4-V450抗体、及び抗CD8-PerCp-Cy5.5抗体で染色した。生/死-POを、4℃で30分間添加した。細胞を透過処理し、抗IL2-FITC抗体、抗IFNγ-APC抗体、及び抗TNFα-PE抗体で染色した。染色した細胞を、LSRII及びFlowJoソフトウエアを使用してフローサイトメトリーによって分析した。
【0638】
中和抗体力価
マウス中和抗体力価の定量を、マイクロ中和アッセイによって評価した。簡単に述べると、マウス血清を、希釈し、レポーターインフルエンザウイルスの存在下においてインキュベートした。インキュベーションの後に、血清-ウイルスミックスを、細胞培養物に添加した。インフルエンザ陽性細胞を、フローサイトメトリーによって分析及び定量した。力価を、対照ウェル(ウイルスのみ、血清なし)と比較して50%の細胞感染低減をもたらした血清の逆希釈の回帰分析によって計算した低減力価に対応する50%中和力価(IC50)として表す。
【0639】
[実施例3]
用量2の14日後におけるELISAによる抗H1ステムIgG抗体力価
H1-ステムに対するIgG抗体力価を、2回目の免疫の14日後(42日目)にELISAアッセイによって測定した。
【0640】
研究Aから得られた結果を、図1に示す。高抗H1ステムIgG抗体が、SAM H1ステムによって誘導され、これはQIV/AS03免疫によって誘導される力価と同等であり、さらには、それと比較して改善されていた(1μg)(SAMステムH1 1μg /QIV:GMR 54.83及びLL 21.94、SAMステムH1 1μg /QIV+AS03:GMR 8.60及びLL 3.08)。ELISA力価は、中間値(幾何平均、95% CIを含む)として表す。
【0641】
研究Bから得られた結果を、図2に示す。高抗H1ステムIgG抗体が、SAMステムH1/NC/99によって誘導され、これはQIV/AS03免疫によって誘導された力価と同等であり、さらには、それと比較して改善されていた(SAMステムH1/NC/99/QIV:GMR 235.88及びLL 100.78、SAMステムH1/NC/99/QIV+AS03:GMR 16.86及びLL 12.34)。高抗H1ステムIgG抗体が、SAMステムH1/Mich/15によって誘導され、これはQIV/AS03免疫によって誘導された力価と同等であり、さらには、それと比較して改善されていた(0.2μg、1μg、及び5μg)(SAMステムH1/Mich/15 0.2μg /QIV:GMR 90.17及びLL 38.79、SAMステムH1/Mich/15 0.2μg/QIV+AS03:GMR 6.45及びLL 4.83)。ELISA力価は、50%エンドポイント力価(個々の動物、GMT及びIC95を含む)として表す。
【0642】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0643】
[実施例4]
用量2の14日後におけるELISAによる抗H1/NC/99及び抗H1/Mich/15 IgG抗体力価
H1に対するIgG抗体の力価を、全長(foldonあり及び膜貫通型ドメインなしの三量体タンパク質)A/H1N1/New Caledonia/20/1999ポリペプチド(研究Aは図3、及び研究Bは図4A)又は全長A/H1N1/Michigan/2015ポリペプチド(研究Aは図5A(プールで分析したQIV群)及び5B(個々の血清で分析したQIV群)並びに研究Bは図6)を使用して、2回目の免疫の14日後(42日目)にELISAアッセイによって測定した。
【0644】
研究Aは、高抗H1 NC99 IgG抗体が、SAM H1ステムによって誘導され、QIV/AS03免疫によって誘導される力価と比較して改善されていた(1μg)ことを示した(SAMステムH1 1μg /QIV:GMR 46.10及びLL 21.00、SAMステムH1 1μg /QIV+AS03:GMR 5.94及びLL 2.30)。高抗H1 Mich15 IgG抗体が、SAM H1ステムによって誘導され、QIV免疫によって誘導される力価と比較して改善されていた(1μg)(SAMステムH1/QIV:GMR 3.58及びLL 1.19)。
【0645】
研究Bは、高抗H1/NC/99 IgG抗体が、SAMステムH1/NC/99及びH1/Mich/15(0.2μg、1μg、及び5μg)によって誘導され、さらには、QIV/AS03免疫によって誘導される力価と比較して改善されていたことを示した(SAM H1/NC/99/QIV:GMR 80.64及びLL 42.74、SAM H1/NC/99/QIV+AS03:GMR 5.37及びLL 3.19、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 34.20及びLL 17.60、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV+AS03:GMR 2.28及びLL 1.30)。高抗H1/Mich/15 IgG抗体が、SAMステムH1/NC/99及びH1/Mich/15(1μg及び5μg)によって誘導され、QIV免疫によって誘導される力価と比較して改善されていた(SAM H1/NC/99/QIV:GMR 2.05及びLL 1.12、SAM H1/Mich/15 1μg/QIV:GMR 2.08及びLL 1.19)。
【0646】
研究Bにおいてのみ、ステムのみのA/H1N1/New Caledonia/20/1999ポリペプチドをコーティング抗原として使用して、実験を繰り返した。結果を、図4Bに示す。
【0647】
図3並びに図5A及び5Bについて、ELISA力価は、中間値(幾何平均、95% CIを含む)として表す。図4A及び4B並びに図6について、ELISA力価は、50%エンドポイント力価(個々の動物、GMT及びIC95を含む)として表す。
【0648】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0649】
[実施例5]
用量2の14日後におけるELISAによる抗A1群(H2、H9、H18)IgG抗体力価
A1群HAに対するIgG抗体の力価を、全長H2(研究Aは図7及び研究Bは図8)、全長H9(研究Aは図9及び研究Bは図10)、又は全長H18(研究Aは図11及び研究Bは図12)を使用して、2回目の免疫の14日後(42日目)に、ELISAアッセイによって測定した。
【0650】
研究Aは、抗H2、抗H9、及び抗H18 IgG抗体がSAM-ステムH1によって誘導されることを示した。
【0651】
研究Bは、抗H2 IgG抗体が、SAM-ステムH1/NC/99及びH1/Mich/15(0.2μg、1μg、及び5μg)によって誘導され、さらにはQIV免疫によって誘導される力価と比較して改善されることを示した(SAM H1/NC/99/QIV:GMR 10.07及びLL 4.09、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 4.38及びLL 2.25)。
【0652】
研究Bは、さらに、抗H9 IgG抗体が、SAM-ステムH1/NC/99及びH1/Mich/15(0.2μg、1μg、及び5μg)によって誘導され、さらにはQIV/AS03免疫によって誘導される力価と比較して改善されることを示した(SAM H1/NC/99/QIV:GMR 6.66及びLL 3.11、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 7.63及びLL 3.74、SAM H1/NC/99/QIV+AS03:GMR 2.23及びLL 0.89、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV+AS03:GMR 2.55及びLL 1.06)。
【0653】
研究Bは、さらに、抗H18 IgG抗体が、SAM-ステムH1/NC/99及びH1/Mich/15(0.2μg、1μg、及び5μg)によって誘導され、さらにはQIV免疫によって誘導される力価と比較して改善されることを示した(SAM H1/NC/99/QIV:GMR 6.17及びLL 2.62、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 2.96及びLL 1.26)。
【0654】
図7図9、及び図11について、ELISA力価は、中間値(幾何平均、95% CIを含む)として表す。図8図10、及び図12について、ELISA力価は、50%エンドポイント力価(個々の動物、GMT及びIC95を含む)として表す。
【0655】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0656】
[実施例6]
用量2の14日後におけるELISAによる抗A2群(H3、H7、H10)IgG抗体力価
この実験は、研究Bについて実行した。A2群HAに対するIgG抗体の力価を、全長H3タンパク質(図13)、全長H7タンパク質(図14)、又は全長H10タンパク質(図15A)を使用して、2回目の免疫の14日後(42日目)に、ELISAアッセイによって測定した。
【0657】
研究Bは、抗H3及び抗H10 IgG抗体がSAM-ステムH10/Ji/13によって誘導されることを示した。
【0658】
研究Bは、さらに、抗H7 IgG抗体が、SAM-ステムH10/Ji/13によって誘導され、さらにはQIV/AS03免疫によって誘導される力価と比較して改善されることを示した(SAM H10/Ji/13/QIV+AS03:GMR 2.46及びLL 1.16)。
【0659】
ステムのみのポリペプチドをコーティング抗原として使用して、H10 ELISA実験を繰り返した。結果を、図15Bに示す。
【0660】
ELISA力価は、50%エンドポイント力価(個々の動物、GMT及びIC95を含む)として表す。
【0661】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0662】
[実施例7]
用量2の14日後におけるH1/mich/15ステム特異的CD4+及びCD8 + T細胞頻度
ステムH1候補ワクチンによって誘導されるT細胞応答を、評価した。H1ステム特異的CD4+T細胞(研究Aは図16及び研究Bは図17)並びにCD8+ T細胞(研究Aは図18及び研究Bは図19)のパーセンテージを、2回目の免疫の14日後に測定した。H1ステム(A/Michigan/45/2015)の配列をカバーするペプチドプールでの再刺激の6時間後に、脾細胞について細胞内染色を行った。
【0663】
すべての研究について、AS03あり及びなしのQIVと比較して、高い頻度のH1/mich/15ステム特異的CD4+ T細胞が、SAM-ステムH1抗原で観察された(例えば、研究B-SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 10.58及びLL 6.52、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV+AS03:GMR 9.85及びLL 6.39)。
【0664】
図16について、結果を、IFNγ及び/又はIL2及び/又はTNFα及び/又はIL13及び/又はIL17を発現するH1 A/Michigan/45/2015ステム特異的CD4+ T細胞のパーセンテージとして表す(個々の動物、中央値を含む)。
【0665】
図17について、結果を、IFNγ及び/又はIL2及び/又はTNFαを発現するペプチド特異的CD4+ T細胞のステムH1 FLUプールのパーセンテージとして表す(個々の動物、中央値を含む)。
【0666】
すべての研究について、AS03あり及びなしのQIVと比較して、高い頻度のH1/Mich/15ステム特異的CD8+ T細胞が、SAM-ステムH1抗原で観察された(例えば、研究B-SAM H1/NC/99/QIV:GMR 59.82及びLL 19.56、SAM H1/NC/99/QIV+AS03:GMR 106.61及びLL 32.30、H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 158.44及びLL 110.40、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV+AS03:GMR 282.38及びLL 134.11)。
【0667】
図18について、結果を、IFNγ及び/又はIL2及び/又はTNFα及び/又はIL13及び/又はIL17を発現するH1 A/Michigan/45/2015ステム特異的CD8+ T細胞のパーセンテージとして表す(個々の動物、中央値を含む)。
【0668】
図19について、結果を、IFNγ及び/又はIL2及び/又はTNFαを発現するペプチド特異的CD8+ T細胞のステムH1 FLUプールのパーセンテージとして表す(個々の動物、中央値を含む)。
【0669】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0670】
[実施例8]
用量2の14日後におけるH10/Jiangxi-Donghuステム特異的CD4+及びCD8 + T細胞頻度
この実験は、研究Bのみについて実行した。H10ステム特異的CD4+T細胞(図20)及びCD8+ T細胞(図21)のパーセンテージを、2回目の免疫の14日後に測定した。H10ステム(H10/Jiangxi-Donghu)の配列をカバーするペプチドプールでの再刺激の6時間後に、脾細胞について細胞内染色を行った。
【0671】
AS03ありのQIV と比較して、高い頻度のH1/NC/99、H1/mich/15(1μg)及びH10/Ji/13ステム特異的CD4+ T細胞が、SAM-ステムH10抗原で観察された(SAM H1/NC/99/QIV+AS03:GMR 2.32及びLL 1.19、SAM H1/Mich/15 1μg/QIV+AS03:GMR 4.65及びLL 2.23、SAM H10/Ji/13/QIV+AS03:GMR 63.69及びLL 35.53)。
【0672】
AS03あり及びなしのQIVと比較して、高い頻度のH1/Mich/15及びH10/Ji/13ステム特異的CD8+ T細胞が、SAM-ステムH10抗原で観察された(SAM H10/Ji/13/QIV:GMR 112.08及びLL 23.70、SAM H10/Ji13/QIV+AS03:GMR 101.58及びLL 47.44、H1/Mich/15 0.2μg/QIV:GMR 9.63及びLL 1.91、SAM H1/Mich/15 0.2μg/QIV+AS03:GMR 8.72及びLL 3.23)。
【0673】
図20について、結果を、IFNγ及び/又はIL2及び/又はTNFαを発現するペプチド特異的CD4+ T細胞のステムH10 FLUプールのパーセンテージとして表す(個々の動物、中央値を含む)。
【0674】
図21について、結果を、IFNγ及び/又はIL2及び/又はTNFαを発現するペプチド特異的CD8+ T細胞のステムH10 FLUプールのパーセンテージとして表す(個々の動物、中央値を含む)。
【0675】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0676】
[実施例9]
用量2の14日後におけるA1群H1/MIch/15、H1/NC/99、及びH5/Vn/04マイクロ中和力価
A1群インフルエンザウイルスに対するマイクロ中和力価を、H1/Mich/15(パネルA)、H1/NC/99(パネルB)、又はH5/Vn/04(パネルC)レポーターウイルスを使用してマイクロ中和アッセイによって測定した(図22)。結果を、IC50(log10希釈)として表す。
【0677】
図内の水平方向の点線は、検出の閾値に対応する。
【0678】
セクション2-非複製性mRNA構築物を用いた実施例
セクション2のすべての実験について、H1構築物は、A/Michigan/45/2015(H1N1)株(例えば、配列番号7及び/又は配列番号12)に基づき、H3構築物は、A/Finland/486/2004(H3N2)株(例えば、配列番号8及び/又は配列番号13)に基づいていた。
【0679】
HA-ステム構築物は、H.ピロリ由来のフェリチン(F又はFe)又は膜貫通型ドメイン(TM)のいずれかとともに提供された。
【0680】
HA-ステム構築物は、さらに、天然のリーダー/シグナルペプチド(フェリチン若しくはTM構築物)又はHLA-DRαリーダー(TM構築物)とともに提供された。
【0681】
セクション2.1-未修飾ヌクレオシドを用いた実施例
[実施例10]
HA-ステム構築物のin vitro翻訳
mRNA構築物のin vitro翻訳を、Promega Rabbit Reticulocyte Lysate System及びイヌ膵臓ミクロソーム膜を使用して行った。RNAを、65℃で3分間直鎖状にし、即座に氷上に置く。次いで、0.2μgのmRNA(又は水=疑似)を、25μlの反応において、ウサギ網状赤血球ライセート、アミノ酸、RNase阻害剤、及びビオチン化リシル-tRNAとともに、製造元の指示に従ってインキュベートする。1つの反応は、翻訳成分に加えてイヌミクロソーム膜を含有する。反応を、30℃で90分間インキュベートする。タンパク質試料緩衝液を、反応に添加する。試料を、4~20%の勾配のゲルにおいて、SDS-PAGEによって分離させ、ウエスタンブロットによってPVDF-FL膜に移す。膜を、TBS中のIntercept Blocking Bufferでブロッキングする。抗体希釈のために、ブロッキング緩衝液を、TBS中に希釈し、0.2% Tween-20+0.01% SDSを添加する。in vitro翻訳産物を、IRDye 800CWコンジュゲートしたストレプトアビジン抗体を使用して視覚化する(0.5×Intercept/TBS/0.2% Tween-20/0.01% SDS中、1:2000)。膜を、室温で1時間、抗体溶液とともにインキュベートし、TBS/0.2% Tween-20/0.01%で3回洗浄する。バンドを、Odyssey CLxイメージシステムで検出する。
【0682】
結果を、図23A(膜ありのin vitro翻訳-膜ありのivt)及び23B(膜なしのin vitro翻訳-膜なしのivt)に示す。フェリチン構築物は、膜貫通型(TM)構築物よりも効率的に翻訳される。TM設計間で差は観察されなかった。すべてのタンパク質は、膜が存在する場合にグリコシル化される(図23Aにおける高い分子量)。
【0683】
[実施例11]
組織培養物におけるin vitro HA-ステム三量体発現
HeLa細胞を、4×105個の細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレートにおいて2mlの培地に播種した。翌日、mRNAを、製造元の指示に従って、Lipofectamine 2000を用いて二連にトランスフェクトした。それぞれのウェルについて、0.5、1、又は2μgのmRNAを、合計500μlのOpti-MEM培地において、0.75、1.5、又は3μlのLipofectamine 2000(1:1.5の比)と混合して、細胞に添加した。18~24時間後に、細胞を回収し、染色に使用した。
【0684】
トランスフェクトしたHeLa細胞を、PBSで洗浄し、分離緩衝液(40mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、1mM EDTA)とともにインキュベートした後、エッペンドルフチューブに移した。細胞をPBSで洗浄し、300μlのPBS中に再懸濁し、96-V底プレートの3つのウェルに分割し、そうして、1つのウェルの細胞を3つの異なる染色に使用した。すべての試料を、4℃で30分間、暗所において200μlのAqua色素(PBS中1:1000)とともにインキュベートして、生細胞及び死細胞を分け、200μlのPBS/0.5 % BSAで2回洗浄し、表面又は細胞内染色に使用した。
【0685】
表面染色については、細胞を、100μlのそれぞれのモノクローナル抗体(PBS/0.5 % BSA中、10μg/mlの濃度)又は緩衝液のみとともにインキュベートした。試料を、4℃で30分間、暗所においてインキュベートし、200μlのPBS/0.5 % BSAで2回洗浄し、同じ条件下において、PBS/0.5 % BSA中1:200のPE標識した抗ヒトIgG抗体100μlとともに、インキュベートした。抗体インキュベーションの後に、細胞を、PBS/0.5 % BSAで2回洗浄し、PBS中1%ホルムアルデヒドで固定し、さらに2回洗浄した。細胞を、PBEA(PBS+0.5% BSA+2mM EDTA+0.01% NaN3)中に再懸濁し、ZE5フローサイトメーターを使用してフローサイトメトリーによって分析した。
【0686】
細胞内染色については、4℃で30分間、200μlのCytofix/Cytopermで処置することによって、細胞を固定し、透過処理した。細胞を、Permwashで2回洗浄し、100μlのそれぞれのモノクローナル抗体(Permwash中、10μg/mlの濃度)又はPermwashのみとともにインキュベートした。試料を、4℃で30分間、暗所においてインキュベートし、200μlのPermwashで2回洗浄し、同じ条件下において、Permwash中1:200のPE標識した抗ヒトIgG抗体100μlとともに、インキュベートした。抗体インキュベーションの後に、細胞を、Permwashで2回洗浄し、PBEA中に再懸濁し、ZE5フローサイトメーターを使用してフローサイトメトリーによって分析した。
【0687】
幾何平均蛍光強度(GMFI)を、それぞれの複製物についてプロットする。線は、平均+/-標準偏差を示す。
【0688】
結果を、図24A(細胞三量体)及び24B(表面三量体)に示し、これは、CT149抗体を使用することによって得た。CT149は、1群及び2群HAのHA-ステムを認識するヒト由来モノクローナル抗体である。それは、同じ三量体の2つのプロモーターに結合し、したがって、HAステムの四次構造に感受性である(Wu, 2015)。
【0689】
フェリチン設計は、TMバージョンよりもはるかに発現されない。いずれのTM構築物についてもシグナルペプチド間で差はない。
【0690】
[実施例12]
H1-及びH3-ステムmRNAのコトランスフェクション後のin vitro H1-ステム発現
HeLa細胞を、4×105個の細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレートにおいて2mlの培地に播種した。翌日、mRNAを、製造元の指示に従って、Lipofectamine 2000を用いて二連にトランスフェクトした。それぞれのウェルについて、合計2μgのmRNAを、合計500μlのOpti-MEM培地において、3μlのLipofectamine 2000(1:1.5の比)と混合し、細胞に添加した。18~24時間後に、細胞を回収し、染色に使用した。mRNAは次のように等モルで混合したことに留意されたい。mRNAは、最も重いmRNA(すなわち、H3_フェリチン)に対して重量調整した。軽いmRNAを、同じモル数でトランスフェクトし、合計mRNA重量の差は、無関係のmRNA(すなわち、狂犬病ウイルスGタンパク質をコードするR1803)の付加によって補った。HA構築物をコードするそれぞれのmRNAを、1μgのH3_フェリチンmRNAの等モル数に重量調整し、R1803を、合計量2μgのmRNAまで添加した。細胞染色及びフローサイトメトリーを、実施例11に記載されるように行った。
【0691】
幾何平均蛍光強度(GMFI)を、それぞれの複製物についてプロットする。線は、平均+/-標準偏差を示す。
【0692】
結果を、図25A(細胞発現、抗1群)及び25B(表面発現、抗1群)に示し、これは、CR6261抗体を使用することによって得た。CR6261は、1群HAのHA-ステムを認識するヒト由来モノクローナル抗体である。それは、立体構造エピトープに結合し、したがって、HAステムの正しいフォールディングに感受性である(Friesen, 2010)。
【0693】
高いレベルは、単一発現及びH3共発現の試料において、同等である。H3の設計は、細胞膜へのH1転位に対する効果を有さない。
【0694】
[実施例13]
H3-TM/H3-Fをトランスフェクトした細胞におけるH3のin vitro検出
293T細胞を、2×105個の細胞/ウェルの密度で、24ウェルプレートにおいて1mlの培地に播種した。翌日、細胞に、Lipofectamine製剤化mRNA(「RNA」)又はLNP製剤化mRNA(「LNP」)をトランスフェクトした。Lipofectamineトランスフェクションについては、1μgのmRNA(又は水=疑似)を、合計250μlのOpti-MEM培地において、1.5μlのLipofectamine 2000(1:1.5の比)と混合し、細胞に添加した。LNPトランスフェクションについては、1μgのLNP(又は水=疑似)を、50μlの成長培地(DMEM+10% FCS+1% L-Glu+1 % Pen/Strep)中に希釈し、細胞に添加した。
【0695】
翌日、細胞を、PBS中で洗浄し、1ウェル当たり200μlのRIPA緩衝液を使用して、プレート内で溶解させた。プレートを、穏やかに撹拌しながら30分間氷上でインキュベートした。ライセートを、エッペンドルフチューブに移し、4℃で10分間遠心分離した。ライセートを、タンパク質試料緩衝液と混合し、5分間煮沸し、Mini Protean TGX 4~20%勾配ゲルを使用して、SDS-PAGEによって分離した。試料を、ウエスタンブロットによってPVDF膜に移し、室温で1時間、TBS中のInterceptブロッキング緩衝液を使用してブロッキングした。
【0696】
検出のための一次抗体は、TBS+0.2% Tween-20中のInterceptブロッキング緩衝液中に1:500で希釈した、研究59-36-149(H1及びH3タンパク質設計の評価)の4群(H3_フェリチンで免疫)由来のプールしたマウス血清であった。膜を、4℃で回転させながら一晩、一次抗体溶液とともにインキュベートした。翌日、膜を、3×10分間、TBS+0.1% Tween-20中で洗浄し、室温で1時間、TBS+0.2% Tween-20中、Interceptブロッキング緩衝液中に1:10,000で希釈した二次抗体IRDye(登録商標)680RDコンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体とともにインキュベートした。膜を、3×10分間、TBS+0.1 % Tween-20中で洗浄し、バンドを、Odyssey CLxイメージシステムを使用して視覚化した。
【0697】
結果を、図26に示す。H3-ステムの免疫ブロット検出により、フローサイトメトリーによって見られたものと同様に、TMと比較してフェリチン構築物の低い全体的な発現を確認する。H3-フェリチンワクチン接種後のマウス血清を、検出に使用した(H1/H3免疫原性研究、実施例19と同じ血清)。
【0698】
[実施例14]
H1/H3-LNPのin vitro免疫刺激
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll paque密度勾配遠心分離によって匿名のドナーの全血から単離し、PBSで洗浄し、RPMI 1640+1% L-Glu+1% Pen/Strep+10% FCSにおいて培養した。LNPでの刺激のために、4人の独立したドナーに由来するPBMCを、LNP試料とともに三連にインキュベートした。4×105個の細胞/ウェルを、96ウェルプレートに播種し、10μg/mlのmRNA/LNPとともに合計0.2mlでインキュベートした。両方のmRNAが1:1のモル比で一緒に製剤化された2つのmRNAを表す試料を、LNPで処置した。
【0699】
24時間後に、上清を回収し、製造元の指示に従ってヒトIFN-α ELISA(PBLからのヒト汎IFN-α ELISAキット)によって分析した。細胞上清を、ヒトドナーに応じて1:20又は1:40で希釈した後、ELISAプレートに添加した。アッセイは、サンドイッチELISAとして設計されており、抗IFNα抗体がプレートにコーティングされている。次いで、組織培養上清をプレートに添加し、IFNαが、コーティングされた抗体によって結合される。上清を除去し、プレートを洗浄し、ビオチンコンジュゲート抗IFNa抗体、続いて、HRPコンジュゲートストレプトアビジンとともにインキュベートする。ELISAは、TMB基質を使用して顕色させ、停止させ、吸光度を、Synergy HTXプレートリーダーを使用して450nmで読み取る。IFNa標準物が、キットによって提供されており、これを試料と並行して流すことで、希釈した標準試料の範囲内でタンパク質濃度の定量が可能となる。
【0700】
このアッセイの技術的対照は、狂犬病ウイルス糖タンパク質をコードする2つのLNP製剤化mRNA(CV7202及びR1803)、TLR7/8アゴニスト(ssRNA40)、及び陰性対照としての培地から構成される。CV7202及びR1803は、異なる産生ラインで産生されており、異なるレベルのIFNαをヒトPBMCから誘導することが知られている。
【0701】
異なるドナーからのデータをより良好に比較するために、結果を、以下のように正規化する。まず、それぞれの試料の平均IFNα濃度を、三連の定量から計算する。次いで、試料「CV7202 GMP」のIFNα値を、100%に設定し、同じドナー由来のすべての他の試料の結果を、この試料に対して正規化する、すなわち、[試料の平均IFNα濃度]/[CV7202の平均IFNα濃度]*100=[CV7202に対する%]。グラフは、平均+/- SDを示す。
【0702】
結果は、図27に示され、hPBMCからのin vitro IFNα刺激を表す(4人のドナー由来、CV7202に対して正規化)。等量のそれぞれのLNPを、ヒトPMBCにおけるIFNα誘導に関して試験した。すべての一価/二価ワクチン候補が、このアッセイにおいて高いレベルのIFNαを誘導することが知られている比較物であるLNP製剤化mRNAによって誘導されるものを下回る、同様のレベルのIFNαを誘導した。
【0703】
[実施例15]
プライム免疫の18時間後のin vivo血清IFNαレベル
マウス免疫
H1及びH3ステムmRNA構築物の免疫原性を、BALB/cマウスにおいて評価した。mRNAの組み合わせを、等モル比で混合し、単一のLNPに共製剤化した。10匹の雌BALB/cマウスを、0日目及び21日目に、
(a)H1-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(b)H1-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(c)H3-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(d)H3-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(e)H1-ステムフェリチン及びH3-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(f)H1-ステムフェリチン及びH3-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(g)H1-ステムTM及びH3-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(h)H1-ステムTM及びH3-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(i)アジュバントなしのQIV(株A/Guangdong-Maonan/SWL1536/2019(H1N1) pdm09、A/Hong Kong/2671/2019(H3N2)、B/Washington/02/2019(B/Victoria)、及びB/Phuket/3073/2013(B/Yamagata)の不活性化スプリットインフルエンザビリオンを含む市販の四価インフルエンザワクチン(この群については6匹のマウスのみ)、
(j)NaCl(この群については6匹のマウスのみ)
で免疫した。
【0704】
マウス免疫プロトコールは、実施例16~21にさらに適用可能である。
【0705】
アッセイ、分析、及び結果
血液試料を、眼球後出血によって、1回目の免疫の18時間後に採取した。140μlの血液を、Z-凝固活性化因子の200μlのマイクロチューブ(Sarstedt、カタログ番号20.1291)に採取し、室温(RT)で30分間インキュベートして、凝固させた。試料を、室温で5分間、10 000rcfで遠心分離し、血清を、新しいエッペンドルフチューブに移し、-20℃で保管した。
【0706】
マウスIFN-αを、製造元の指示に従って、マウスIFN-α ELISAを使用して定量した(PBLからのVeriKine-HS Mouse Interferon Alpha All Subtypes)。血清を、1:20で希釈し、100μlの希釈物を試験した。アッセイは、抗マウスIFNα抗体をコーティングした96ウェルプレートを使用する。血清をプレートに添加し、mIFNαが、プレート上の抗体によって結合される。血清を除去し、プレートを簡単に洗浄し、ビオチンにコンジュゲートされておりコーティングされた抗体とは異なるIFNα上のエピトープに結合する、抗マウスIFNα検出抗体とともにインキュベートする。次いで、このサンドイッチを、HRPコンジュゲートストレプトアビジンによって検出し、TMB(比色ELISA基質)を使用して視覚化する。プレートを、H2SO4停止溶液で停止させ、吸光度を、Synergy HTXリーダーを使用して450nmで読み取る。IFNα標準物が、キットによって提供されており、これを試料と並行して流すことで、希釈した標準試料の範囲内でタンパク質濃度の定量が可能となる。グラフは、平均+/- SDを示す。
【0707】
結果を、図28に示す。結果を、pg/ml単位のIFNαとして表す。マウスにおいて、フェリチン構築物は、より免疫刺激性である。
【0708】
[実施例16]
35日目におけるin vivo T細胞応答CD4 + IFNγ + TNF +
脾細胞の単離のために、脾臓を、PBS+1%FCSで処理し、無菌の5~10mlのシリンジのプランジャーを使用して破砕する。細胞を、0.45μmの孔サイズを有する細胞ストレーナーに2回通過させ、遠心分離によってペレットにする。赤血球を除去するために、細胞を、室温で最大10分間、赤血球溶解緩衝液(144mM NH4Cl、17mM Tris)とともにインキュベートする。試料を遠心分離し、即座にPBS+1% FCSで2回洗浄し、さらなる使用まで凍結させたか、細胞内サイトカイン染色に直接使用する。
【0709】
細胞内サイトカイン染色のために、細胞を、αMEM完全培地(aMEM+10%FCS+1%グルタミン+1%Pen/Strep+10mM Hepes)中に再懸濁し、96ウェルの丸底プレートにおいて、1ウェル当たり2×106個の細胞を使用して刺激した。播種した後、細胞を、プレートの遠心分離によってペレットにし、上清を、逆転によって除去した。細胞を、以下の刺激:
- 1μg/mlのペプチドライブラリー(グラフに示されるH1ステム又はH3ステムのいずれかをカバー)
- 2.5μg/mlの抗CD28抗体
- PE-Cy7コンジュゲート抗CD107a抗体(1:100希釈)
を含有する培地に再懸濁する。
【0710】
細胞を、37℃で1時間インキュベートした後に、GolgiPlugを添加した。さらに5~6時間後に、培地を、新しいαMEM完全培地と置き換え、プレートを、4℃で一晩保管した。
【0711】
翌日、細胞を、PBSで2回洗浄し、生細胞及び死細胞の区別のためにAqua-Dyeで染色した(PBS中1:1000、4℃で30分間)。細胞を、PBS+0.5% BSAで2回洗浄し、次いで、4℃で30分間、抗表面マーカー抗体で染色した。染色溶液は、100μlのPBS/0.5%BSA中、α-CD8-APC-Cy7(1:200)、α-CD4-BD-Horizon V450(1:200)、α-Thy1.2-FITC(1:200)+FcγR-block(1:100)を含有していた。細胞を、PBS+0.5% BSAで再度洗浄し、細胞内染色のために、Cytofix/Cytopermで処置した(室温で20分間)。細胞を、Permwashで2回洗浄し、100μlのPermWash中のα-TNF-PE(1:100)+α-IFNγ-APC(1:100)を使用して、サイトカインについて染色した(4℃で30分間)。細胞を、Permwash中でさらに2回洗浄し、PBEA中に再懸濁し、ZE5フローサイトメーターで測定した。結果を、FlowJoを使用して分析する。
【0712】
グラフは、H1ステム(H1N1 A/Michigan/45/2015)又はH3ステム(H3N2 A/Finland/486/2004)に特異的なIFNγ/TNF二重陽性CD4+ T細胞(CD4+細胞に対する%)を示す。線は、平均+/- SDを示す。
【0713】
結果を、図29A及び29Bに示す。いずれの抗原も、両方のタンパク質設計において、特異的CD4+ T細胞を誘導する。TMによって誘導されるレベルは、フェリチン設計によって誘導されるものよりも高い傾向にある。
【0714】
[実施例17]
35日目におけるin vivo T細胞応答CD8 + IFNγ + TNF +
アッセイプロトコールは、実施例16に記載されるものと同じである。グラフは、IFNγ/TNF二重陽性CD8+ T細胞(CD8+細胞に対する%)を示し、線は、平均+/- SDを示す。
【0715】
結果を、図30に示す。H1ステム設計は、CD8+を効率的に誘導する。タンパク質設計間に明らかな差を観察することはできない。
【0716】
[実施例18]
35日目におけるin vivo T細胞応答CD8 + IFNγ + CD107 +
アッセイプロトコールは、実施例16に記載されるものと同じである。グラフは、IFNγ/CD107二重陽性CD8+ T細胞を示し、線は、平均+/- SDを示す。
【0717】
結果を、図31に示す。CD8+ T細胞は、多機能性でありIFNγ、TNF、及び/又はCD107を発現する。
【0718】
[実施例19]
21日目におけるin vivo抗H1結合抗体
血清試料を、1回目の免疫の21日後に眼球後出血によって採取した。血清を、実施例15に記載されるように調製した。
【0719】
黒色底の96ウェルELISAプレートを、重炭酸緩衝液中1μg/mlの希釈物100μlを使用して、37℃で4~5時間、組換えHA(A/Hawaii/70/2019(H1N1))でコーティングした。プレートを、PBS/0.05% Tween 20で洗浄し、4℃で一晩、ブロッキング緩衝液(PBS/0.05% Tween 20中、5%ミルク)でブロッキングした。翌日、ELISAプレートを洗浄し、血清希釈物(ブロッキング緩衝液中10倍希釈、1:50で開始、100μl/ウェルを使用)とともにインキュベートし、室温で2~4時間インキュベートした。プレートを、PBS/0.05% Tween 20で3回洗浄した。HRPコンジュゲート抗マウス全IgGを、ブロッキング緩衝液中に1:5,000で希釈し、室温で1時間インキュベートした。プレートを、4回洗浄し、Amplex UltraRedで顕色させた。エンドポイント力価は、カットオフを超えるシグナルを有する最終血清希釈物の逆数値を表す。正のシグナルのカットオフは、バックグラウンドウェル(血清の添加なし)の平均+5x標準偏差として定義した。
【0720】
線は、GMT+95%信頼区間を表す。
【0721】
結果を、図32に示す。単回用量のmRNA/LNPワクチンは、異種抗体応答を誘導するのに十分である。フェリチン設計は、TMよりも高い力価を誘導する。
【0722】
[実施例20]
用量2の14日後におけるMultiplexing Serology Luminexによるin vivo抗HA IgG抗体
Luminexによる抗HA IgG Multiplexing Serology
14個の異なる蛍光磁気ビーズ集団(抗原特異的レベルのAPC/APC-Cy7蛍光を有する)を、以下の方法を使用して社内でコーティングした。100万個のそれぞれのビーズ集団を、チューブに添加し、洗浄し、NaH2PO4 100mM緩衝液に再懸濁した後、Sulfo-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド/ThermoFischerScientific、カタログ番号A39269、50mg/ml)及びEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩/ThermoFischerScientific、カタログ番号A35391、50mg/ml)の添加によってカルボキシルフラグメントを活性化し、回転式撹拌装置において室温で20分間インキュベートした。それぞれの工程の後に、ビーズを、激しくボルテックスし、超音波処理した。ビーズをPBSで洗浄し、固定量の14個の組換えヘマグルチニン(HA)抗原(最適なシグナルを有するように抗原に応じて10又は20μg)でコーティングした。抗原の説明については表1を参照されたい。ビーズを、回転式撹拌装置において室温で2時間インキュベートした。ビーズをPBS-TBN緩衝液(PBS-0.1% BSA-0.02%Tween 20-0.05%アジド、pH7.4)で洗浄し、回転式撹拌装置において室温で30分間、この緩衝液とともにインキュベートした。次いで、ビーズを、再度洗浄し、PBS-TBN緩衝液に再懸濁した。ビーズを、TC20 Bioradカウンターを使用して計数し、4℃で保管した。
【0723】
アッセイは、以下のように行った。PBS-Tween 0.05%緩衝液中の血清の連続希釈物を、96ウェルプレートにおいて調製した(50μl/ウェルの体積)。次いで、50μlのビーズミックス(それぞれのビーズ集団の500個のビーズを含有する)を、それぞれのウェルに添加し、穏やかに振盪させながら室温で60分間インキュベートした。ビーズを、磁気プレート洗浄器においてPBS-Tween 0.05%で洗浄し、PBS-Tween 0.05%中に1:50で希釈した50μlの抗マウスIgG PE標識抗体(Southern Biotech、カタログ番号1030-09S)を、それぞれのウェルに添加し、穏やかに振盪させながら室温で60分間インキュベートした。ビーズを、磁気プレート洗浄器においてPBS-Tween 0.05%で洗浄し、100μlのPBS-Tween 0.05%中に再懸濁した後、Luminex Bioplex 200リーダー(Biorad)で取得した。抗体力価を、Softmaxpro(Molecular Devices)ソフトウエアを使用して計算した。
【0724】
【表1】
【0725】
分析及び結果
A群由来の14個の異なるHAに結合するIgG抗体における力価を、2回目の免疫の14日後(35日目)に、Multiplexing Luminexアッセイによって測定した。結果を、図33~46に示す。個々の力価の値は、幾何平均(GM)及び群ごとの試料サイズ(N)とともにプロットされている。
【0726】
H1-ステムフェリチン及びTM抗原は、免疫原性であり、同種応答(A/Michigan/45/2015に対する)、異種応答(他のH1抗原に対する)、並びにヘテロサブタイプ交差反応性応答(H2及びH5抗原に対する)のいずれも誘導した。
【0727】
H3-ステムフェリチン及びTMは、免疫原性であり、同種応答(A/Finland/486/2004に対する)、異種応答(他のH3抗原に対する)の両方を誘導した。H3-ステムフェリチン及びTM抗原は、ヘテロサブタイプ交差反応性応答(H10 A/Jiangxi-Dongu/346/2013に対する)を誘導した。H1-ステムフェリチン及びTM抗原は、A2群HA抗原(すなわち、H7 A/Shanghai/2/2013)に対する交差反応性応答を誘導し、より高い応答が、H1ステムフェリチンについて観察された。
【0728】
H1及びH3の両方の抗原の組み合わせは、A1及びA2群にまたがる広範な交差反応性を誘導した。まとめると、4つの組み合わせの群を比較する異なる分析により、H1フェリチン+H3フェリチンが、試験した14個のHAにまたがって最も広範な抗体応答を誘導したことが示された。
【0729】
[実施例21]
用量2の14日後におけるADCCレポーターバイオアッセイによるin vivo抗H1 A/Michigan/45/2015ステム抗体
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)レポーターバイオアッセイ(Promega)
ADCC機能性を決定するために、PromegaからのマウスFcγRIVキットを、以下のプロトコールで使用した。血清の連続希釈物を、96ウェルプレートにおいて調製した。標的細胞(H1 A/Michigan/45/2015由来のヘマグルチニンステム抗原をその表面に発現するように社内でトランスフェクトしたExpi293細胞)を、それぞれのウェルに添加した(24000個の細胞/ウェル)。エフェクター細胞(キットからのJurkat細胞、抗原-抗体-FcγRIII複合体によって活性化されると生体発光を誘導する酵素経路がトランスフェクトされている)もまた、それぞれのウェルに添加し(60000個の細胞/ウェル)、37℃で6時間インキュベートした。次いで、発光プレートリーダーを使用して、Bio-Glow基質(キットに提供されている)を適用した後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。結果を、曲線下面積(AUC)として表した。
【0730】
分析及び結果
A/Michigan/45/2015 H1ステムに対するADCC機能的抗体を、2回目の免疫の14日後(35日目)に、ADCC Reporter Bioassay Promegaによって測定した。結果を、図47に示す。個々のAUC(曲線下面積)値は、幾何平均(GMT)及び95%信頼区間とともにプロットされている。H3-フェリチン及びH3-TMD群については、群の1つのプールした試料のみを試験した。
【0731】
H1ステム抗原を含有するすべての試験した構築物によって誘発された抗体は、ADCCによって機能性であった。
【0732】
[実施例22]
ADCCレポーターバイオアッセイによるin vitro抗H3ステム抗体
H3特異的ADCCアッセイのために、標的細胞を、トランスフェクションによって調製した。HeLa細胞を、白色の平底96ウェルプレートに、1ウェル当たり200μlの培地中10,000個の細胞の密度で播種した。翌日、細胞に、製造元の指示に従って、Lipofectamine 2000を使用してそれぞれの標的タンパク質をコードするmRNAをトランスフェクトした。それぞれのウェルについて、0.05μgのmRNAを、合計50μlのOpti-MEM培地において、0.075μlのLipofectamine 2000(1:1.5の比)と混合し、細胞に添加した。mRNAは、H3N2 A/Finland/486/2004の膜結合型H3ステム部分(すなわち、H3_TMワクチン、図48A)又はH3N2 A/HongKong/45/2019の全長/野生型H3(2020/2021の組換えHAワクチンに含まれる、図48B)のいずれかをコードした。
【0733】
18~24時間後に、細胞を、製造元の指示に従って、mFcγRIV ADCC Reporter Bioassay(Promega)において使用した。まず、培地を、25μlのアッセイ緩衝液/ウェルで置き換える。血清試料を、1:33.3で開始してアッセイ緩衝液中に3倍(10回)希釈し(ウェルにおける最終希釈1:100)、25μlのそれぞれの希釈物を、標的細胞を含有するウェルに添加する。ADCC活性が予測されない群からの血清試料をプールした(H1_F及びH1_TM群についてはそれぞれ5匹の動物の2つのプール、NaClについては6匹の動物の1つのプール)。
【0734】
マウスFcγRIVエフェクター細胞(すなわち、mFcγRIV及びNFAT-応答エレメント依存性ルシフェラーゼ発現カセットを安定に発現するJurkat細胞)を、3×106個の細胞/mlの濃度でアッセイ緩衝液中で解凍し、25μlのエフェクター細胞懸濁液(75,000個の細胞/ウェル)を、アッセイウェルに添加した。プレートを、37℃で6時間、5% CO2でインキュベートして、シグナル伝達及びルシフェラーゼ発現が生じることを可能にした。
【0735】
検出のために、アッセイウェルを、室温で15分間、75μlのBio-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイ基質とともにインキュベートし、BioTek Synergy HTXプレートリーダーを使用して読み取った。相対光単位を、血清希釈に対してプロットし、曲線下面積(AUC)を、GraphPad Prism 9を使用して計算した。血清なしでインキュベートしたウェルの平均値+3標準偏差を、AUC計算のベースライン値として使用した。グラフは、GMT+95% CIを示す。シグナルなしの試料については、AUCを1に設定した。
【0736】
結果を、図48A及び48Bに示す。H3-ステムワクチンは、同種H3-ステムを標的とするADCC抗体を誘導した(図48A)。抗体はまた、異なるH3N2株由来の異種全長HAにも結合することができる(図48B)。
【0737】
セクション2.2-修飾されたヌクレオシドを用いた実施例
[実施例23]
in vitro及びin vivoの自然免疫刺激
in vivo研究-マウス免疫
さらなる研究を行って、ヌクレオシド修飾(シュードウリジン及び1-メチル-シュードウリジン)の免疫原性に対する影響を調査した。同じヌクレオシドを用いて産生されたH1-ステム及びH3-ステムをコードするmRNAを、等モル比で混合し、一緒に1つのLNPに共製剤化した。10匹の雌BALB/cマウスを、0日目及び21日目に、
(a)未修飾ヌクレオシドに基づくH1-ステムフェリチン及びH3-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(b)シュードウリジンヌクレオシドに基づくH1-ステムフェリチン及びH3-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(c)1-メチル-シュードウリジンヌクレオシドに基づくH1-ステムフェリチン及びH3-ステムフェリチンをコードするmRNA構築物、
(d)未修飾ヌクレオシドに基づくH1-ステムTM及びH3-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(e)シュードウリジンヌクレオシドに基づくH1-ステムTM及びH3-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(f)1-メチル-シュードウリジンヌクレオシドに基づくH1-ステムTM及びH3-ステムTMをコードするmRNA構築物、
(g)NaCl(この群については5匹のマウスのみ)
で免疫した。
【0738】
マウス免疫プロトコールは、実施例24、25、及び27~29にさらに適用可能である。
【0739】
in vivo研究のアッセイ、分析、及び結果
マウスIFNαを、実施例15に記載されるように血清において検出した。線は、平均+/- SDを示す。
【0740】
結果を、図49Aに示す。ヌクレオシド修飾は、免疫に応答して血清IFNαレベルを低減する。
【0741】
in vitro研究
PBMC刺激を、実施例14に記載されるように行った。線は、平均+/- SDを示す。
【0742】
結果を、図49Bに示す。ヌクレオシド修飾は、刺激に応答して血清IFNαレベルを低減する。
【0743】
[実施例24]
用量2の14日後におけるMultiplexing Serologyによるin vivo抗HA IgG抗体(修飾されたヌクレオシドによる)
Luminexによる抗HA IgG Multiplexing Serology
multiplexing Luminexアッセイを、実施例20に記載されるように行った。
【0744】
分析及び結果
A群由来の14個の異なるHAに結合するIgG抗体における力価を、2回目の免疫の14日後(35日目)に、Multiplexing Luminexアッセイによって測定した。結果を、図50~63に示す。個々の力価の値は、幾何平均(GM)、95%信頼区間、及び群ごとの試料サイズ(N)とともにプロットされている。
【0745】
すべてのH1-ステムフェリチン及びTM抗原(未修飾及び修飾されたヌクレオシドに基づく)は、免疫原性であり、同種応答(A/Michigan/45/2015に対する)、異種応答(他のH1抗原に対する)、並びにヘテロサブタイプ交差反応性応答(H2及びH5抗原に対する)を誘導した。
【0746】
すべてのH3-ステムフェリチン及びTM抗原(未修飾及び修飾されたヌクレオシドに基づく)は、免疫原性であり、同種応答(A/Finland/486/2004に対する)、異種応答(他のH3抗原に対する)を誘導した。すべての抗原は、ヘテロサブタイプ交差反応性応答(H10 A/Jiangxi-Dongu/346/2013に対する)を誘導した。
【0747】
H1及びH3の両方の抗原の組み合わせは、A1及びA2群にまたがる広範な交差反応性を誘導した。まとめると、異なる組み合わせの群を比較する異なる分析により、H1フェリチン+H3フェリチンが、試験した14個のHAにまたがって最も広範な抗体応答を誘導したことが示された。
【0748】
[実施例25]
用量2の14日後におけるADCCレポーターバイオアッセイによるin vivo抗H1 A/Michigan/45/2015ステム抗体(修飾されたヌクレオシドによる)
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)レポーターバイオアッセイ(Promega)
ADCCレポーターバイオアッセイを、実施例21に記載されるように行った。
【0749】
分析及び結果
A/Michigan/45/2015 H1ステムに対するADCC機能的抗体を、2回目の免疫の14日後(35日目)に、ADCC Reporter Bioassay Promegaによって測定した。結果を、図64に示す。個々のAUC(曲線下面積)値が、幾何平均(GMT)及び95%信頼区間とともにプロットされている。
【0750】
H1ステム抗原を含有するすべての試験した構築物によって誘発された抗体は、ADCCによって機能性であった。
【0751】
[実施例26]
用量2の14日後におけるADCCレポーターバイオアッセイによるin vitro抗H3 A/Finland/486/2004 (H3N2)ステム抗体
H3特異的ADCCレポーターバイオアッセイを、H3N2 A/Finland/486/2004の膜結合型H3-ステム部分(すなわち、H3_TMワクチン、図65)を発現する標的細胞を使用して、実施例22に記載されるように行った。
【0752】
グラフは、個々の曲線下面積データ(AUC)を示し、GMT+95% CIが線で示される。
【0753】
結果を、図65に示す。すべてのワクチン候補は、H3に対するADCC誘導性抗体を誘導した。
【0754】
[実施例27]
35日目におけるin vivo T細胞応答CD4 + IFNγ + TNF + (修飾されたヌクレオシド)
脾細胞単離及び細胞内サイトカイン染色を、実施例16に記載されるように行った。グラフは、IFNγ/TNF二重陽性CD4+ T細胞を示し、線は、平均+/- SDを示す。
【0755】
結果を、図66A及び66Bに示す。TM設計は、より高いレベルのHA-ステム特異的抗体を誘導する。
【0756】
[実施例28]
35日目におけるin vivo T細胞応答CD8 + IFNγ + TNF + (修飾されたヌクレオシド)
アッセイプロトコールは、実施例16に記載されるものと同じである。
【0757】
グラフは、IFNγ/TNF二重陽性CD8+ T細胞を示し、線は、平均+/- SDを示す。結果を、図67に示す。TM設計は、より高いレベルのHA-ステム特異的CD8+ T細胞を誘導する。
【0758】
[実施例29]
35日目におけるin vivo T細胞応答CD8 + IFNγ + CD107 +
アッセイプロトコールは、実施例16に記載されるものと同じである。グラフは、IFNγ/CD107二重陽性CD8+ T細胞を示し、線は、平均+/- SDを示す。結果を、図68に示す。TM設計は、より高いレベルのHA-ステム特異的抗体を誘導する。すべての設計は、IFNγ、TNF、及び/又はCD107を発現する多機能性H1-特異的CD8+ T細胞を誘導する。
【0759】
参考文献
Corbett, et al. Design of Nanoparticulate Group 2 Influenza Virus Hemagglutinin Stem Antigens That Activate Unmutated Ancestor B Cell Receptors of Broadly Neutralizing Antibody, Lineages, mBio. 2019 10(1):e02810-18;
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Zhang, C et al. Advances in mRNA vaccines for infectious diseases, Front. Immunol. 2019, 10:594.
図1
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【配列表】
2024511206000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも1つのコード配列を含む、担体製剤化mRNA。
【請求項2】
担体が、脂質ナノ粒子(LNP)である、請求項1に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項3】
LNPが、好適にはおよそ0.5~15モル%のPEG修飾された脂質、好適にはおよそ5~25モル%の非カチオン性脂質、好適にはおよそ25~55モル%のステロール、及び好適にはおよそ20~60モル%のイオン化可能カチオン性脂質を含み、場合によりイオン化可能カチオン性脂質が、式III:
【化1】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレン又はC1~C12アルケニレンであり、
G3は、C1~C24アルキレン、C1~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、又はC3~C8シクロアルケニレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキル又はC6~C24アルケニルであり、
R3は、H、OR5、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4、又は-NR5C(=O)R4であり、
R4は、C1~C12アルキルであり、
R5は、H又はC1~C6アルキルである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する、請求項2に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項4】
mRNAが、タンパク質ナノ粒子をコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含み、好適にはタンパク質ナノ粒子がフェリチン、場合により細菌フェリチンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項5】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群又は2群から誘導される、請求項1から4のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項6】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ1群、好ましくはA型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、又はH18、より好ましくはH1から誘導される、請求項5に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項7】
インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ2群、好ましくはA型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及びH15、より好ましくはH3、H7、又はH10から誘導される、請求項5に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項8】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列が、別個のmRNA分子上にコードされ、場合により前記2つ以上のコード配列が、異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項1から7のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項9】
前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ1群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18、より好ましくはH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ2群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15、より好ましくはH3、H7、及び/又はH10、なおより好ましくはH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、請求項8に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項10】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ以上のコード配列を含み、前記3つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、好ましくは、担体製剤化mRNAが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない、請求項9に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項11】
それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも3つのコード配列を含むが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まず、好ましくは、担体製剤化mRNAが、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない、請求項9又は10に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項12】
mRNAが、5'-非翻訳領域(UTR)を含み、好ましくは5'-UTRが、HSD17B4、RPL32、ASAH1、ATP5A1、MP68、NDUFA4、NOSIP、RPL31、SLC7A3、TUBB4B、及びUBQLN2から選択される遺伝子の5'-UTR、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項13】
mRNAが、3'-UTRを含み、好ましくは3'-UTRが、PSMB3、ALB7、CASP1、COX6B1、GNAS、NDUFA1、及びRPS9から選択される遺伝子の3'-UTR、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる、請求項1から12のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項14】
mRNAが、少なくとも1つの化学的修飾を含み、場合により、化学的修飾がN1-メチルシュードウリジン及び/又はシュードウリジン、好ましくはN1-メチルシュードウリジンである、請求項1から13のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNAを含む、免疫原性組成物であって、場合により、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、免疫原性組成物。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載のmRNA、及び/又は請求項15に記載の免疫原性組成物を含む、ワクチン。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載のRNA、及び/又は請求項15に記載の組成物、及び/又は請求項16に記載のワクチンを含み、場合により、溶解のための液体ビヒクルを含み、場合により、成分の投与及び投薬量についての情報を提供する技術指示書を含む、キット又はパーツのキット(kit of parts)。
【請求項18】
医薬としての使用のための、請求項1から14のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA、請求項15に記載の免疫原性組成物、請求項16に記載のワクチン、請求項17に記載のキット又はパーツのキット。
【請求項19】
インフルエンザウイルス、好ましくはA型インフルエンザウイルスの感染の治療又は予防における使用のための、請求項1から14のいずれか一項に記載の担体製剤化mRNA、請求項15に記載の組成物、請求項16に記載のワクチン、請求項17に記載のキット又はパーツのキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0759
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0759】
参考文献
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Zhang, C et al. Advances in mRNA vaccines for infectious diseases, Front. Immunol. 2019, 10:594.

本出願は、以下を提供する。
1. インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも1つのコード配列を含む、担体製剤化mRNA。
2. 担体が、脂質ナノ粒子(LNP)である、上記1に記載の担体製剤化mRNA。
3. LNPが、PEG修飾された脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びイオン化可能カチオン性脂質を含む、上記2に記載の担体製剤化mRNA。
4. イオン化可能カチオン性脂質が、式III:
【化14】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレン又はC1~C12アルケニレンであり、
G3は、C1~C24アルキレン、C1~C24アルケニレン、C3~C8シクロアルキレン、又はC3~C8シクロアルケニレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキル又はC6~C24アルケニルであり、
R3は、H、OR5、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4、又は-NR5C(=O)R4であり、
R4は、C1~C12アルキルであり、
R5は、H又はC1~C6アルキルである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する、上記3に記載の担体製剤化mRNA。
5. イオン化可能カチオン性脂質が、式III:
【化15】
(式中、
L1又はL2は、それぞれ独立して、-O(C=O)-又は-(C=O)O-であり、
G1及びG2は、それぞれ独立して、非置換C1~C12アルキレンであり、
G3は、C1~C24アルキレンであり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C6~C24アルキルであり、
R3は、OR5であり、
R5は、Hである)
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体を有する、上記4に記載の担体製剤化mRNA。
6. イオン化可能カチオン性脂質が、式:
【化16】
を有する、上記3に記載の担体製剤化mRNA。
7. イオン化可能カチオン性脂質が、式III-3:
【化17】
を有する、上記6に記載の担体製剤化mRNA。
8. 少なくとも1つのPEG-脂質が、PEG-DMG又はPEG-cDMAを含む、上記4に記載の担体製剤化mRNA。
9. 少なくとも1つのPEG-脂質が、式IVa:
【化18】
(式中、
nは、30~60の範囲にある平均値を有し、好ましくは、nは、約45、46、47、48、49、50、51、52、53、54の平均値を有し、最も好ましくは、nは、49若しくは45の平均値を有するか、又は
nは、PEG脂質の平均分子量が約2500g/molであるように選択される整数である)
によるものを含む、上記4に記載の担体製剤化mRNA。
10. イオン化可能カチオン性脂質が、式III-3:
【化19】
を有する、上記9に記載の担体製剤化mRNA。
11. 非カチオン性脂質が、中性脂質、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、又はスフィンゴミエリン(SM)であり、好ましくは、中性脂質が、DSPCである、上記3から10のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
12. ステロールが、コレステロールである、上記3から11のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
13. LNPが、およそ0.5~15モル%のPEG修飾された脂質、およそ5~25モル%の非カチオン性脂質、およそ25~55モル%のステロール、及びおよそ20~60モル%のイオン化可能カチオン性脂質を含む、上記2から12のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
14. LNPが、直径50~200nmである、上記2から13のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
15. LNPが、0.4以下、例えば、0.3以下の多分散性を有する、上記2から14のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
16. ヌクレオチド(N)とリン脂質(P)との比が、1N:1P~20N:1P、1N:1P~10N:1P、2N:1P~8N:1P、2N:1P~6N:1P、又は3N:1P~5N:1Pの範囲にある、上記2から15のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
17. mRNAの少なくとも半分、好適には少なくとも85%、とりわけ少なくとも95%、例えば、そのすべてが、LNPに封入されている、上記2から16のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
18. mRNAが、シグナルペプチド、リンカー、ヘルパーエピトープ、抗原クラスター形成エレメント、三量体化エレメント、膜貫通型エレメント、タンパク質ナノ粒子、及び/又はVLP形成配列から選択される1つ以上の異種ペプチド又はタンパク質エレメントをコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む、上記1から17のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
19. mRNAが、タンパク質ナノ粒子をコードする少なくとも1つの追加のコード配列を含む、上記1から18のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
20. タンパク質ナノ粒子が、フェリチンである、上記19に記載の担体製剤化mRNA。
21. フェリチンが、細菌及び昆虫フェリチンから選択される、上記20に記載の担体製剤化mRNA。
22. フェリチンが、細菌フェリチンである、上記20又は21に記載の担体製剤化mRNA。
23. 細菌フェリチンが、H.ピロリフェリチンである、上記22に記載の担体製剤化mRNA。
24. タンパク質ナノ粒子及びインフルエンザHAステムポリペプチドが、リンカーによって接続されており、リンカーが、1~10個の残基、好ましくは、2~5個の残基、例えば、2個、3個、4個、又は5個の残基からなる、上記18から23のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
25. リンカーが、ポリペプチド配列SGGを含むか、又はそれからなる、上記18から24のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
26. 膜貫通型エレメントが、天然のインフルエンザHA膜貫通型エレメントである、上記18から25のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
27. シグナルペプチドが、天然のリーダー又はHLA-Drαリーダーである、上記18から26のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
28. mRNAが、シグナルペプチド、好ましくは天然のリーダー、前記少なくとも1つのコード配列、リンカー、及び膜貫通型エレメントをコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、上記1から27のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
29. mRNAが、シグナルペプチド、好ましくは天然のリーダー、前記少なくとも1つのコード配列、リンカー、及びタンパク質ナノ粒子、好ましくは細菌フェリチン、より好ましくはH.ピロリフェリチンをコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、上記1から28のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
30. インフルエンザHAステムポリペプチドが、全長インフルエンザHAステム領域を含むか又はそれからなるポリペプチドである、上記1から29のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
31. インフルエンザHAステムポリペプチドが、インフルエンザHAステム領域の免疫原性フラグメントを含むか又はそれからなるポリペプチドである、上記1から30のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
32. インフルエンザHAステムポリペプチドが、インフルエンザHAステム領域の免疫原性バリアントを含むか又はそれからなるポリペプチドである、上記1から31のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
33. インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群又は2群から誘導される、上記1から32のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
34. インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ1群、好ましくはA型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、又はH18、より好ましくはH1から誘導される、上記33に記載の担体製剤化mRNA。
35. インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、上記34に記載の担体製剤化mRNA。
36. インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、上記34又は35に記載の担体製剤化mRNA。
37. mRNAが、配列番号6又は配列番号7のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号7に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、上記34から36のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
38. mRNAが、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、上記34から36のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
39. mRNAが、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記35又は36に記載の担体製剤化mRNA。
40. mRNAが、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記35又は36に記載の担体製剤化mRNA。
41. インフルエンザHAステムポリペプチドが、A型インフルエンザ2群、好ましくはA型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及びH15、より好ましくはH3、H7、又はH10から誘導される、上記33に記載の担体製剤化mRNA。
42. インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、好ましくは、mRNAが、配列番号19、配列番号20、又は配列番号28の核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するHAステムコード配列を含む、上記41に記載の担体製剤化mRNA。
43. インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなり、好ましくは、mRNAが、配列番号19、配列番号20、又は配列番号28の核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するHAステムコード配列を含む、上記41又は42に記載の担体製剤化mRNA。
44. mRNAが、配列番号8、配列番号9、又は配列番号11のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、上記41から43のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
45. mRNAが、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコード配列を含むか、又はそれからなる、上記41から43のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
46. mRNAが、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記42又は43に記載の担体製剤化mRNA。
47. mRNAが、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記42又は43に記載の担体製剤化mRNA。
48. コード配列が、コドン修飾されたコード配列であり、コドン修飾されたコード配列によりコードされるアミノ酸配列が、好ましくは、対応する野生型又は参照コード配列によりコードされるアミノ酸配列と比較して修飾されていない、上記1から47のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
49. コドン修飾されたコード配列が、C最大化コード配列、CAI最大化コード配列、ヒトコドン使用適合コード配列、G/C含有量が修飾されたコード配列、及びG/Cが最適化されたコード配列、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、上記48に記載の担体製剤化mRNA。
50. コドン修飾されたコード配列が、少なくとも約45%、50%、55%、又は60%のG/C含有量を有する、上記48又は49に記載の担体製剤化mRNA。
51. インフルエンザHAステムポリペプチドが、長さが400残基以下、とりわけ300残基以下、特に250残基以下、例えば、220残基以下である、上記1から50のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
52. インフルエンザHAステムポリペプチドが、長さが130残基以上、とりわけ160残基以上、特に180残基以上、例えば、190残基以上である、上記1から51のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
53. インフルエンザHAステムポリペプチドが、長さが130~400残基、とりわけ160~300、特に180~250、例えば、190~220である、上記1から52のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
54. それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列が、別個のmRNA分子上にコードされる、上記1から53のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
55. それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする2つ以上のコード配列を含み、前記コード配列が、同じmRNA分子上にコードされる、上記1から53のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
56. 前記2つ以上のコード配列が、異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記54又は55に記載の担体製剤化mRNA。
57. 2つ以上のコード配列が、それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ又は4つのコード配列を含む、上記54から56のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
58. 前記2つ以上のコード配列が、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記54から57のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
59. 前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ1群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18、より好ましくはH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ2群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15、より好ましくはH3、H7、及び/又はH10、なおより好ましくはH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記58に記載の担体製剤化mRNA。
60. 前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記59に記載の担体製剤化mRNA。
61. それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする3つ以上のコード配列を含み、前記3つ以上のコード配列のうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、好ましくは、担体製剤化mRNAが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない、上記60に記載の担体製剤化mRNA。
62. それぞれがインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする少なくとも3つのコード配列を含むが、A型インフルエンザサブタイプH10から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まず、好ましくは、担体製剤化mRNAが、A型インフルエンザサブタイプH7から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするコード配列を含まない、上記60又は61に記載の担体製剤化mRNA。
63. A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、上記59から62のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
64. A型インフルエンザ1群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、上記63に記載の担体製剤化mRNA。
65. mRNAが、配列番号16又は配列番号17のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記63又は64に記載の担体製剤化mRNA。
66. mRNAが、配列番号22又は配列番号23のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記63又は64のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
67. A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号10のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、上記58から66のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
68. A型インフルエンザ2群から誘導される前記インフルエンザHAステムポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、又は配列番号5のうちのいずれか1つ、好ましくは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる、上記67に記載の担体製剤化mRNA。
69. mRNAが、配列番号18~21のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記67又は68に記載の担体製剤化mRNA。
70. mRNAが、配列番号24~29のうちのいずれか1つに記載される核酸配列に対して少なくとも90%、95%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記67又は68に記載の担体製剤化mRNA。
71. mRNAが、5'キャップ、好ましくは、m7G、キャップ0、キャップ1、キャップ2、修飾されたキャップ0、又は修飾されたキャップ1構造、好ましくは、5'キャップ1構造を含む、上記1から70のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
72. mRNAが、好ましくは30~200個のアデノシンヌクレオチドを含む、ポリ(A)テール配列、及び/又は好ましくは10~40個のシトシンヌクレオチドを含む、少なくとも1つのポリ(C)配列を含む、上記1から71のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
73. mRNAが、少なくとも1つのヒストンステムループを含む、上記1から72のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
74. mRNAが、30~200個のアデノシンヌクレオチド、好ましくは、100個のアデノシンヌクレオチドを含む、少なくとも1つのポリ(A)テール配列を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドがアデノシンである、上記1から73のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
75. mRNAが、5'非翻訳領域(UTR)を含む、上記1から74のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
76. 5'-UTRが、HSD17B4、RPL32、ASAH1、ATP5A1、MP68、NDUFA4、NOSIP、RPL31、SLC7A3、TUBB4B、及びUBQLN2から選択される遺伝子の5'-UTR、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記75に記載の担体製剤化mRNA。
77. mRNAが、3' UTRを含む、上記1から76のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
78. 3' UTRが、PSMB3、ALB7、CASP1、COX6B1、GNAS、NDUFA1、及びRPS9から選択される遺伝子の3'-UTR、又はこれらの遺伝子のうちのいずれか1つの相同体、フラグメント、若しくはバリアントから誘導される核酸配列を含むか、又はそれからなる、上記77に記載の担体製剤化mRNA。
79. mRNAが、HSD17B4由来の5'-UTRから誘導される核酸配列を含むか又はそれからなる異種5'-UTR、及びPSMB3の3'-UTRから誘導される核酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1つの異種3'-UTRを含む、上記1から78のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
80. mRNAが、5'から3'に:
i)5'キャップ1構造、
ii)HSD17B4遺伝子の5'-UTRから誘導される、5'-UTR、
iii)コード配列、
iv)PSMB3遺伝子の3'-UTRから誘導される、3'-UTR、
v)場合により、ヒストンステムループ配列、及び
vi)約100個のAヌクレオチドを含むポリ(A)配列
を含み、前記RNAの3'末端のヌクレオチドがアデノシンである、上記1から79のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
81. mRNAが、化学的に修飾されたヌクレオチドを含まない、上記1から80のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
82. mRNAが、少なくとも1つの化学的修飾を含む、上記1から80のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
83. 化学的修飾が、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、N1-エチルシュードウリジン、2-チオウリジン、4'-チオウリジン、5-メチルシトシン、5-メチルウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5-メトキシウリジン、及び2'-O-メチルウリジンから選択される、上記82に記載の担体製剤化mRNA。
84. 化学的修飾が、N1-メチルシュードウリジン及び/又はシュードウリジン、好ましくは、N1-メチルシュードウリジンである、上記82又は83に記載の担体製剤化mRNA。
85. 化学的修飾を含むmRNAが、ウリジン修飾であり、好ましくは、mRNAにおけるウリジン位置の100%が、修飾されている、上記82又は84に記載の担体製剤化mRNA。
86. mRNAが、非複製性である、上記1から85のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
87. mRNAが、自己複製性である、上記1から85のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
88. 自己複製性RNA分子が、(i)自己複製性RNA分子からRNAを転写することができるRNA依存性RNAポリメラーゼ、及び(ii)インフルエンザHAステムポリペプチド、をコードする、上記87に記載の担体製剤化mRNA。
89. RNA分子が、2つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものが、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものが、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記87又は88のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
90. RNA分子が、3つのオープンリーディングフレームを含み、その第一のものが、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、その第二のものが、インフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、その第三のものが、タンパク質ナノ粒子をコードする、上記87又は88に記載の担体製剤化mRNA。
91. mRNAが、5'キャップ-5'UTR-非構造タンパク質(NSP)1~4-サブゲノムプロモーター-インフルエンザHAステムポリペプチド-リンカー-タンパク質ナノ粒子-3'UTR-ポリAの構成を有する、上記88から90のいずれかに記載の担体製剤化mRNA。
92. 上記1から91のいずれかに記載の担体製剤化mRNAを含む、免疫原性組成物であって、場合により、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、免疫原性組成物。
93. 上記1から91のいずれかに記載のmRNAに加えて、複数又は少なくとも1つのさらなるmRNAを含む多価組成物である、上記92に記載の免疫原性組成物。
94. 多価組成物が、上記1から91のいずれかに記載の2つ以上のmRNA、好ましくは、上記1~91のいずれかに記載の2つ、3つ、又は4つのmRNA、より好ましくは、それぞれが異なるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードするものを含む、上記93に記載の免疫原性組成物。
95. 前記2つ以上のmRNAが、A型インフルエンザ、例えば、A型インフルエンザ1群及び/又はA型インフルエンザ2群から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記94に記載の免疫原性組成物。
96. 前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ1群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、及び/又はH18、より好ましくはH1から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードし、前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つが、A型インフルエンザ2群、好ましくは、A型インフルエンザサブタイプH3、H4、H7、H10、H14、及び/又はH15、より好ましくはH3、H7、及び/又はH10、なおより好ましくはH3から誘導されるインフルエンザHAステムポリペプチドをコードする、上記95に記載の免疫原性組成物。
97. 前記2つ以上のmRNAのうちの少なくとも1つ、好ましくはそれぞれが、非複製性である、上記94から96のいずれかに記載の免疫原性組成物。
98. 上記1から91のいずれかに記載のmRNA、及び/又は上記92から97のいずれかに記載の免疫原性組成物を含む、ワクチン。
99. 上記1から91のいずれかに記載のRNAの複数若しくは少なくとも1つより多く、又は上記92から97のいずれかに記載の組成物の複数若しくは少なくとも1つより多くを含む多価ワクチンである、上記98に記載のワクチン。
100. 上記1から91のいずれかに記載のRNA、及び/又は上記92から97のいずれかに記載の組成物、及び/又は上記98若しくは99に記載のワクチンを含み、場合により、溶解のための液体ビヒクルを含み、場合により、成分の投与及び投薬量についての情報を提供する技術指示書を含む、キット又はパーツのキット(kit of parts)。
101. 医薬としての使用のための、上記1から91のいずれかに記載の担体製剤化mRNA、上記92から97のいずれかに記載の免疫原性組成物、上記98又は99に記載のワクチン、上記100に記載のキット又はパーツのキット。
102. インフルエンザウイルス、好ましくは、A型インフルエンザウイルスの感染の治療又は予防における使用のための、上記1から91のいずれかに記載の担体製剤化mRNA、上記92から97のいずれかに記載の組成物、上記98又は99に記載のワクチン、上記100に記載のキット又はパーツのキット。
103. 担体製剤化mRNAの単回用量が、0.01~1000μg、とりわけ1~500μg、特に10~250μgの総mRNAである、上記102に記載の使用のための担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
104. 筋肉内投与のための、上記102又は103に記載の使用のための担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
105. 免疫応答、好ましくは適応免疫応答、より好ましくはインフルエンザウイルス、好ましくはA型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答が誘発される、上記102から104のいずれかに記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
106. 誘発される免疫応答が、1つ以上の症状の重症度及び/又は対象がインフルエンザウイルス感染の1つ以上の症状を経験する期間を部分的又は完全に低減する、上記102から105のいずれかに記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
107. 誘発される免疫応答が、チャレンジ後に確立されたインフルエンザウイルス感染を発症する可能性を低減する、上記102から106のいずれかに記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
108. 誘発される免疫応答が、インフルエンザの進行を減速させる、上記102から107のいずれかに記載の使用のための、担体製剤化mRNA、免疫原性組成物、ワクチン、キット又はパーツのキット。
109. 障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、上記1から91のいずれかに記載の担体製剤化mRNA、上記92から97のいずれかに記載の組成物、上記98若しくは99に記載のワクチン、又は上記100に記載のキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む、方法。
110. 障害が、インフルエンザウイルス、好ましくは、A型インフルエンザウイルスの感染である、上記109に記載の障害を治療又は予防する方法。
111. 必要とする対象が、哺乳類対象、好ましくは、ヒト対象である、上記109又は110に記載の障害を治療又は予防する方法。
112. 免疫応答を誘発する方法であって、それを必要とする対象に、上記1から91のいずれかに記載の担体製剤化mRNA、上記92から97のいずれかに記載の組成物、上記98若しくは99に記載のワクチン、又は上記100に記載のキット若しくはパーツのキットを適用するか、又は投与することを含む、方法。
113. 免疫応答が、適応免疫応答、好ましくは、インフルエンザウイルス、好ましくはA型インフルエンザウイルスに対する防御的適応免疫応答である、上記112に記載の免疫応答を誘発する方法。
114. 適応免疫応答が、担体製剤化mRNAによってコードされないHAタンパク質に結合する抗体の産生を含む、上記113に記載の免疫応答を誘発する方法。
115. 免疫応答が、インフルエンザウイルスに対する、好ましくは、A型インフルエンザウイルスに対する、より好ましくは、A型インフルエンザウイルスの1群及び/又は2群のサブタイプに対する同種、異種、及び/又はヘテロサブタイプ交差反応性免疫原性応答を含む、上記112から114のいずれかに記載の免疫応答を誘発する方法。
116. 必要とする対象が、哺乳類対象、好ましくは、ヒト対象である、上記112から115のいずれかに記載の免疫応答を誘発する方法。
【国際調査報告】