(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】流体制御アセンブリ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F16K27/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559780
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2022083239
(87)【国際公開番号】W WO2022206647
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110345642.5
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511102675
【氏名又は名称】浙江三花汽車零部件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 リーシン
(72)【発明者】
【氏名】リン、 ロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ユン
(72)【発明者】
【氏名】チ、 ジャンファ
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051BB01
3H051BB02
3H051CC14
3H051DD07
3H051EE04
(57)【要約】
流体制御アセンブリ及びその製造方法を開示している。流体制御アセンブリは、ハウジング(10)と密封部材(20)とを含み、ハウジング(10)は、取り付け面(111)を有する第1の取り付け本体(11)を含み、ハウジング(10)は、少なくとも2つの通路(12)及び通路を取り囲む収容溝(13)を有し、収容溝(13)は、取り付け面(111)から第1の取り付け本体(11)の内部へ延び、密封部材(20)は、通路と同数の第1の通孔(21)を有し、第1の通孔(21)は、ハウジング(10)の通路に対応しかつ連通し、密封部材(20)は、互いに接続された本体部(22)と第1の延出部(23)とを含み、本体部(22)の高さ方向に沿って、第1の延出部(23)は、本体部(22)から突出し、かつ、第1の延出部(23)は、第1の通孔(21)の一端に第1の通孔(21)を取り囲んで閉環状の突起構造を形成し、本体部(22)の少なくとも一部は、収容溝(13)内に充填され、第1の延出部(23)は、収容溝(13)の外側に位置しかつ取り付け面(111)から突出し、密封部材(20)とハウジング(10)とは、一体構造である。このような流体制御アセンブリの構成は、流体制御アセンブリの密封性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと密封部材を含む流体制御アセンブリであって、
前記ハウジングは、取り付け面を有する第1の取り付け本体を含み、
前記ハウジングは、少なくとも2つの通路及び前記通路を取り囲む収容溝を有し、
前記通路は、前記取り付け面を貫通し、
前記収容溝は、前記取り付け面から前記第1の取り付け本体の内部へ延び、
前記密封部材は、前記ハウジングの通路に対応しかつ連通している第1の通孔を有し、
前記密封部材は、互いに接続された本体部と第1の延出部とを含み、
前記第1の延出部は、前記本体部の高さ方向に沿って前記本体部から突出し、
前記第1の延出部は、前記第1の通孔の一端に前記第1の通孔を取り囲んで閉環状の突起構造を形成し、
前記本体部の少なくとも一部は、前記収容溝内に充填され、
前記第1の延出部の少なくとも一部は、前記収容溝の外側に位置して前記取り付け面から突出し、
前記密封部材と前記ハウジングとは、一体構造であることを特徴とする流体制御アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の延出部は、前記本体部から前記第1の通孔の中心線の方向に向かって延び、
前記密封部材は、前記第1の延出部と間隔をおいて設けられた第2の延出部を含み、
前記第1の延出部と前記第2の延出部は、それぞれ前記本体部の横方向の両側に配置され、
前記第1の延出部と第2の延出部との間の距離は、前記本体部の横方向における幅以上であり、
前記第1の延出部と前記第2の延出部との間には、前記本体部に向かって凹んだ第1の凹溝を有することを特徴とする請求項1に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項3】
前記密封部材は、前記第1の通孔に対応する第1の内壁を有し、
前記第1の延出部は、第1の内側面と、第1の外側面と、前記第1の内側面と前記第1の外側面との間に接続された第1の接続面とを有し、
前記第1の内側面と前記第1の外側面とは、それぞれ前記第1の延出部の横向きの両側に配置され、
前記第1の接続面は、前記第1の内側面の前記本体部から離れる一端に位置し、
前記第1の延出部の第1の内側面は、第1の内壁の一部であり、
前記第1の接続面は、円弧状曲面であることを特徴とする請求項2に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の延出部における前記本体部から離れる遠位端の厚さは、前記本体部に近い近位端の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の延出部と前記第1の延出部とは、縦方向に延びる対称軸に対して対称に設けられ、
前記第1の凹溝の縦断面は、逆台形又は逆三角形であることを特徴とする請求項3に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングは、プラスチック材料で射出成型され、
前記密封部材は、加硫可能な材料で加硫プロセスにより前記ハウジングと一体構造として固定接続され、又は、前記ハウジングは、プラスチック材料で製造され、
前記密封部材は、熱可塑性エラストマーで製造され、
前記ハウジングと前記密封部材とは、2色射出プロセスにより射出成型され、前記密封部材と前記ハウジングを一体構造として固定接続させることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の延出部と前記本体部との接続部位において、前記第1の延出部の断面形状は、前記本体部の断面形状と同じであり、
前記収容溝から離れる方向に沿って、前記第1の延出部の横断面の面積は、次第に減少していることを特徴とする請求項1に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジングは、プラスチック又は金属で製造され、
前記密封部材は、弾性接着液を前記収容溝に注入して硬化成形させてなり、
前記密封部材と前記ハウジングとは、一体構造として接着固定され、
前記密封部材は、シリカゲル又は紫外線硬化型接着剤で製造されることを特徴とする請求項7に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項9】
少なくとも2つの連通孔と嵌合平面とを有する接続部を含み、
前記接続部の嵌合平面は、前記第1の取り付け本体の取り付け面に対向設置され、
前記第1の取り付け本体と前記接続部とは接続され、
前記接続部の連通孔は、前記第1の取り付け本体の通路に連通し、
前記密封部材は、前記第1の取り付け本体と前記接続部との間に介設されることを特徴とする請求項1~請求項5、請求項7、請求項8のいずれか1項に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項10】
前記密封部材が縦方向に圧縮されていない状態にある場合、前記第1の延出部の縦方向における高さをmと定義し、前記密封部材の縦方向における全体の高さをaと定義し、
前記密封部材が前記第1の取り付け本体と接続部を固定した状態にある場合、前記密封部材の縦方向における全体の高さをbと定義し、
m≧a-b、0.12≦(a-b)/a≦0.25とすることを特徴とする請求項9に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項11】
前記接続部は、前記嵌合平面から前記接続部の方向へ延びる位置制限溝を含み、
前記位置制限溝の前記嵌合平面での正投影は、前記連通孔の前記嵌合平面での正投影を取り囲み、
前記第1の延出部は、前記位置制限溝に位置制限され、
前記位置制限溝の高さは、前記第1の延出部の前記取り付け面から突出する高さよりも小さく、
前記位置制限溝の幅は、前記密封部材の幅方向に沿って前記密封部材の全体の幅よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の流体制御アセンブリ。
【請求項12】
ハウジングを成形することであって、成形後の前記ハウジングは、取り付け面を有する第1の取り付け本体を含み、
前記ハウジングは、少なくとも2つの通路及び前記通路を取り囲む収容溝を有し、
前記収容溝は、前記取り付け面から前記第1の取り付け本体の内部へ延びること、
成型後の前記ハウジングを密封部材の成型位置に置くこと、
前記密封部材の成型位置で前記密封部材を成形することであって、前記密封部材の材料の一部を前記収容溝内に充填して本体部の少なくとも一部を形成し、前記密封部材の材料の他の一部を前記本体部から前記取り付け面に突出させて第1の延出部を形成し、成形後の前記密封部材と前記ハウジングとは一体構造として固定接続されかつ前記通路を取り囲むことを含むことを特徴とする流体制御アセンブリの製造方法。
【請求項13】
前記ハウジングは、プラスチック材料で射出成型され、
前記密封部材は、加硫可能な材料で加硫プロセスにより前記ハウジングと一体構造として固定接続され、
前記密封部材の材料は、エチレンプロピレンジエンモノマー、ニトリルゴムのいずれの一方又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の流体制御アセンブリの製造方法。
【請求項14】
前記ハウジングは、プラスチック又は金属で製造され、
前記密封部材は、弾性接着液を前記収容溝に注入して硬化成形させてなり、
前記密封部材と前記ハウジングとは、一体構造として接着固定され、
前記密封部材は、シリカゲル又は紫外線硬化型接着剤で形成されることを特徴とする請求項12に記載の流体制御アセンブリの製造方法。
【請求項15】
2色射出プロセスにより、ハウジングと密封部材とを射出成型し前記密封部材と前記ハウジングとを一体構造として固定接続させることを含み、
成形後の前記ハウジングは、取り付け面を有する第1の取り付け本体を含み、
前記ハウジングは、少なくとも2つの通路及び前記通路を取り囲む収容溝を有し、
前記収容溝は、前記取り付け面から前記第1の取り付け本体の内部へ延び、成形後の前記密封部材の一部を前記収容溝内に位置させて本体部の少なくとも一部を形成し、前記密封部材の一部を前記本体部から前記取り付け面に突出させて第1の延出部を形成することを特徴とする流体制御アセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願は、2021年03月31日にて中国特許庁に提出されて出願番号が202110345642.5であり、発明の名称が「流体制御アセンブリ及びその製造方法」である発明特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は、流体制御という技術分野に関わり、特に、流体制御アセンブリ及びその製造方法に関わる。
【背景技術】
【0003】
通常、流体制御システムの流通路の接続において、流体が2つの取り付け面の間から漏れることを防ぐために2つの取り付け面の間に密封部材が設けられ、従って、密封部材の取り付け形態は、流体制御システムの密封性能に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、流体制御アセンブリの密封性能を向上させることができる流体制御アセンブリ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ハウジングと密封部材を含む流体制御アセンブリを提供し、前記ハウジングは、取り付け面を有する第1の取り付け本体を含み、前記ハウジングは、少なくとも2つの通路及び前記通路を取り囲む収容溝を有し、前記通路は、前記取り付け面を貫通し、前記収容溝は、前記取り付け面から前記第1の取り付け本体の内部へ延び、
前記密封部材は、前記ハウジングの通路に対応しかつ連通している第1の通孔を有し、、前記密封部材は、互いに接続された本体部と第1の延出部とを含み、前記本体部の高さ方向に沿って、前記第1の延出部は、前記本体部から突出し、かつ、前記第1の延出部は、前記第1の通孔の一端に前記第1の通孔を取り囲んで閉環状の突起構造を形成し、
前記本体部の少なくとも一部は、前記収容溝内に充填され、前記第1の延出部の少なくとも一部は、前記収容溝の外側に位置しかつ前記取り付け面から突出し、前記密封部材と前記ハウジングとは、一体構造である。
【0006】
さらに、他の態様において、本発明は、流体制御アセンブリの製造方法を提供し、
ハウジングを成形することであって、成形後の前記ハウジングは、取り付け面を有する第1の取り付け本体を含み、前記ハウジングは、少なくとも2つの通路及び前記通路を取り囲む収容溝を有し、前記収容溝は、前記取り付け面から前記第1の取り付け本体の内部へ延びること、
成型後の前記ハウジングを密封部材の成型位置に置くこと、
密封部材の成型位置で密封部材を成形することであって、密封部材の材料の一部を前記収容溝内に充填して本体部の少なくとも一部を形成し、密封部材の材料の他の一部を前記本体部から前記取り付け面に突出させて第1の延出部を形成することを含み、成形後の前記密封部材と前記ハウジングとは、一体構造として固定接続され、かつ、前記通路を取り囲むことを含む。
【0007】
更なる他の態様において、本発明は、流体制御アセンブリの製造方法を提供し、2色射出プロセスにより、ハウジングと密封部材とを射出成型し、前記密封部材と前記ハウジングとを一体構造として固定接続させることを含み、成形後の前記ハウジングは、取り付け面を有する第1の取り付け本体を含み、前記ハウジングは、少なくとも2つの通路及び前記通路を取り囲む収容溝を有し、前記収容溝は、前記取り付け面から前記第1の取り付け本体の内部へ延び、成形後の前記密封部材の一部を前記収容溝内に位置させ本体部の少なくとも一部を形成し、前記密封部材の一部を前記本体部から前記取り付け面に突出させて第1の延出部を形成する。
【0008】
本発明である流体制御アセンブリ及び流体制御アセンブリの製造方法によれば、流体制御アセンブリは、少なくとも2つの通路を含むハウジングと、通路に対応しかつ連通している第1の通孔を含む密封部材とを含むことにより、流体は、通路と第1の通孔内を流通可能となり、密封部材は、本体部と本体部から突出する第1の延出部とを含み、かつ、第1の延出部は、第1の通孔の一端に第1の通孔を取り囲んで閉環状の突起構造を形成し、第1の延出部の少なくとも一部は、取り付け面から突出し、他の部材は、第1の延出部を押圧して密封部材を押圧変形させることができるため、流体制御アセンブリと他の部材との密封を実現し、密封部材とハウジングとは、一体構造として固定接続されるので、密封部材の取り付け忘れ、又は、流体制御アセンブリの輸送、積み替え過程中の密封部材の脱落リスクを防止し、密封部材をハウジングと別体で組み付ける場合に比べて、本発明の実施例は、密封部材とハウジングとを一体構造として設けることで、部品点数を削減し、流体制御アセンブリの組立手順を簡略化し、密封部材の脱落又は位置ずれによる密封不良のリスクを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例である流体制御アセンブリの一実施方式の分解図である。
【
図2】本発明の一実施例である流体制御アセンブリの他の実施方式の分解図である。
【
図3】
図2におけるハウジングの構成の断面図である。
【
図4】
図2における流体制御アセンブリの正面図である。
【
図5】
図4におけるA-A方向に沿った断面図である。
【
図7】第1の取り付け本体、接続部及び密封部材の組み合わせた後の部分構成を拡大した断面図である。
【
図8】
図4におけるB-B方向に沿った断面図である。
【
図10】本発明の他の実施例における密封部材とハウジングの部分構成の断面図である。
【
図11】本発明の一実施例である流体制御アセンブリの製造方法の流れの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施例を明確にするために、図面によりさらに詳細に説明する。
本文において、例えば、「第1の」と「第2の」といった用語は、単に、同じ名称を有する一方と他方の部材を区別するために使用され、これらの部材の間に実際の関係又は順序を要求または暗示するものではない。
【0011】
流体制御システムにおいて、互いに接続されかつ密封して設けられている複数の構成要素を含み、流体は、複数の構成要素の間を流通可能であり、例えば、構成要素は、互いに接続されかつ密封して設けられている制御弁と流路プレートであればよく、流体は、制御弁と流路プレートとの間を流通可能であり、流体が2つの構成要素の接続面での漏れを防止するために、通常、互いに接続された2つの構成要素の間に密封部材が設けられることで、両者の密封を実現する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施例は、互いに接続されかつ密封して設けられている本体部1と接続部2を含む流体制御アセンブリ1000を提供し、流体は、本体部1と接続部2との間を流通可能である。
本体部1は、第1の取り付け孔14を含むことができ、接続部2は、第1の取り付け孔14に対応する第2の取り付け孔204を含むことができ、第1の取り付け孔14と第2の取り付け孔204を位置合わせして締め具により本体部1と接続部2を固定接続する。
【0013】
図1から
図3に示すように、本体部1と接続部2との間の密封を実現するために、本発明の実施例は、さらに、ハウジング10と密封部材20を含む本体部1を提供する。
ハウジング10は、取り付け面111を有する第1の取り付け本体11を含む。
そして、このハウジング10は、少なくとも2つの通路12及びこれらの通路12を取り囲む収容溝13を有し、この通路12の一端がハウジング10の端口121であり、流体は、取り付け面111に位置する端口121から本体部1に流入可能であり、又は、本体部1から流出可能である。
この場合に、本体部1の全ての端口121は、いずれも取り付け面111に配列され、本体部1と接続部2との間の取り付けステップを相対的に簡略化すること及び接続部位の漏れ箇所を減少することを可能にし、密封の信頼性を増加させる。
【0014】
図2に示すように、第1の取り付け本体11は、その厚さ方向に沿って自体を貫通する少なくとも2つの第1の取り付け孔14を有し、少なくとも2つの第1の取り付け孔14は、ともに第1の取り付け本体11のエッジに位置する。
本実施例では、第1の取り付け本体11は、この第1の取り付け本体11の4隅位置に位置する4つの第1の取り付け孔14を有し、第1の取り付け本体11の他の領域(例えば、中間領域)には、第1の取り付け孔14を設けなくてもよい。
【0015】
図1に示すように、接続部2は、第1の取り付け本体11に対応し、この接続部2は、少なくとも2つの連通孔201と嵌合平面202とを有し、連通孔201は、通路12に1対1で対応しかつ互いに連通可能であり、接続部2の嵌合平面202は、第1の取り付け本体11の取り付け面111に対向設置されることが可能であり、かつ、第1の取り付け本体11と接続部2とは、固定接続され、密封部材20は、第1の取り付け本体11と接続部2との間に介設される。
このときの第1の取り付け本体11と接続部2は、密封部材20を圧着することで、本体部1に位置する各端口と連通孔201との間を密封設置することができ、流体の漏れを低減するのに便利である。
【0016】
本発明の実施例における本体部1は、制御弁であり、接続部2は、制御弁と接続する流路プレートであってもよく、又は、本体部1は、流路プレートであり、接続部2は、流路プレートと接続する制御弁であってもよい。
本発明の実施例における本体部1は、制御弁、流路プレートに限定されるものではなく、ポンプ、熱交換器等、流体制御システムに適用される他の装置であってもよく、例えば、熱交換器と弁との集積部材、弁とポンプのと集積部材、ポンプと熱交換器との集積部材のような多様な機能を持つアセンブリの集積部材であってもよく、接続部2は、本体部1に接続されかつ密封して設けられている流体流通のための他の構成であってもよい。
本体部1の第1の取り付け本体11は、例えば、プラスチック材料のような有機ポリマー材料であってもよく、金属材料であってもよい。
本文は、制御弁として本体部1を例に説明する。
【0017】
具体的に実施する際に、第1の取り付け本体11に含まれた通路12の数は、ユーザーの必要に応じて設定すればよく、例えば、第1の取り付け本体11に含まれた通路12の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ等のように、少なくとも2つであってもよい。
各通路12に対応する密封部材20の連通孔201の数も、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ等のように、複数である。
本実施例では、通路12の数と連通孔201の数とは、同じであってもよい。
又は、他の実施方式では、通路12の数と連通孔201の数は、異なってもよい。
【0018】
図2に示すように、本体部1が制御弁である場合に、制御弁は、さらに、弁体31、弁体軸32、上蓋33及び駆動装置(図示せず)を有し、ハウジング10は、収納室を有し、弁体31の少なくとも一部は、収納室内に位置し、駆動装置は、例えば、モータ、又はモータとギア等の伝達アセンブリとの組み合わせとすることができる駆動部材を含み、この駆動部材は、弁体軸32を回動駆動し、さらに、弁体31を回動させることで、弁体31の連通室を対応する通路12に連通させ、制御弁による流体の制御機能を実現する。
【0019】
図2から
図5に示すように、ハウジング10の収容溝13は、取り付け面111から第1の取り付け本体11の内部へ延び、密封部材20の少なくとも一部は、収容溝13内に位置しかつハウジング10と一体構造として固定接続され、上記の設置により、密封部材20の取り付け忘れ、又は、流体制御アセンブリ1000の輸送、積み替え中の密封部材20の脱落リスクを防止し、密封部材20をハウジング10と別体で組み付ける場合に比べて、部品点数を削減し、流体制御アセンブリの組立手順を簡略化し、密封部材20の脱落又は位置ずれによる密封不良を防止することができ、密封面積範囲の全体にわたって密封部材20の圧縮量の差が大きいこと又は圧縮量が不一致となることを改善できる。
2つの部材は、一体構造であるとは、2つの部材が1つの全体構造として固定され、かつ、この全体構造が一体で着脱不可な構造であることを意味する。
【0020】
Hを縦方向又は縦向きとし、Yを横方向又は横向きとし、縦方向と横方向とは交差し、好ましくは、縦方向と横方向とは、垂直関係又はほぼ垂直関係にある。
図4から
図6に示すように、密封部材20は、少なくとも3つの第1の通孔21を有し、第1の通孔21は、ハウジング10の通路12と同数であり対応して連通している。
また、密封部材20は、互いに接続された本体部22と第1の延出部23とを含む。
そして、本体部22の高さ方向に沿って、即ち、
図6に示す縦方向Hに沿って、第1の延出部23は、本体部22から突出し、かつ、第1の延出部23は、第1の通孔21の高さ方向における一端に第1の通孔21を取り囲んで閉環状の突起構造を形成し、本体部22の少なくとも一部は、収容溝13内に充填され、第1の延出部23の少なくとも一部は、収容溝13の外側に位置しかつ取り付け面111から突出している。
上記の設置により、第1の取り付け本体11と接続部2とを接続する際に、第1の延出部23を押圧して密封部材20を圧縮変形させることで、密封機能を実現することができる。
【0021】
図5と
図6に示す密封部材20の断面図のように、密封部材20の第1の延出部23は、本体部22から第1の通孔21の中心線211の方向に向かって延びる。
この場合に、第1の延出部23の少なくとも一部は、本体部22に対して傾斜して設けられ、密封部材20は、第1の延出部23と間隔をおいて設けられた第2の延出部24を含む。
そして、第1の延出部23と第2の延出部24とは、それぞれ本体部22の横方向Yの両側に配置され、第1の延出部23と第2の延出部24との間の距離は、本体部22の横方向における幅以上であり、第1の延出部23と第2の延出部24との間には、本体部22に向かって凹んだ第1の凹溝25を有する。
【0022】
本実施例では、本体部22の縦方向Hに平行な断面は、略矩形状であり、第1の延出部23と第2の延出部24は、本体部22における収容溝13の切り欠き近傍に位置する2つの角部に対応して外方に延出している。
【0023】
図1、
図4から
図6のように、密封部材20は、さらに、第1の通孔21に対応する第1の内壁212と第1の外壁213とを有している。
そして、第1の内壁212は、第1の通孔21を囲み、第1の外壁213は、第1の内壁212の外周側に位置し、第1の延出部23は、第1の内側面231と、第1の外側面232と、第1の内側面231と第1の外側面232との間に接続された第1の接続面233とを有している。
また、第1の内側面231と第1の外側面232とは、それぞれ第1の延出部23の横方向Yの両側に配置され、第1の接続面233は、第1の内側面231の本体部22から離れる一端に位置し、第1の延出部23の第1の内側面231は、第1の内壁212の一部である。
即ち、第1の延出部23の第1の内側面231は、第1の通孔21の一部として形成され、第1の接続面233は、円弧状曲面であり、第1の延出部23の本体部22から離れる遠位端の厚さは、本体部22に近い近位端の厚さよりも小さく、第2の延出部24と第1の延出部23とは、縦方向に延びる対称軸に対して対称に設けられ、第1の凹溝25の縦断面は、逆台形又は逆三角形である。
第1の延出部23と第2の延出部24との間の距離は、本体部22の幅W以上であり、第1の延出部23の収容溝13から突出する溝底壁の間の距離は、本体部22の高さhよりも大きい。
図6に示すように、第1の延出部23と第2の延出部24との間の距離が本体部22の幅Wと等しくなるように、第1の外側面232は、本体部22の外面に対して傾斜して設けられ、第1の内側面231は、本体部22の外面に対して平行に設けられている。
そして、第1の内側面231と第1の外側面232とは、密封部材の断面が「Y」字状となるように、いずれも本体部22の外面に対して傾斜して設けられる。
この場合に、第1の延出部23と第2の延出部24との間の距離は、本体部22の幅Wよりも大きい。
各延出部は、本体部22に相対的に近い部分が近位端であり、本体部22から相対的に離れる部分が遠位端である。
【0024】
本発明の実施例では、第1の延出部23の第1の接続面233は、円弧状曲面であり、即ち、第1の延出部23は、本体部22から離れる遠位端が円弧状であり、かつ、第1の延出部23は、第1の通孔の中心線方向へ延びることで、第1の延出部23が接続部2による圧力を受けた直後の両者の間の接触面積は、小さく、第1の延出部23の遠位端は、横方向Yにおいて第1の通孔に近い中心線方向へ摺動しやすくなり、取り付け後の第1の延出部23の少なくとも一部が第1の外壁213に屈曲するリスクを低減することができ、密封不良のリスクを低減することができる。
【0025】
図6、
図8と
図9に示すように、第2の延出部24は、第1の延出部23の構成に類似している。
具体的には、第2の延出部24は、第2の内側面241と、第2の外側面242と、第2の内側面241と第2の外側面242との間に接続された第2の接続面243とを有し、第2の内側面241と第2の外側面242とは、それぞれ第2の延出部24の横方向Yの両側に配置され、第2の接続面243は、第2の内側面241の本体部22から離れる一端に位置し、第2の接続面243は、円弧状曲面である。
この場合に、第2の延出部24は、本体部22から離れる遠位端が円弧状であるため、第2の延出部24が接続部2による圧力を受けた直後に両者の間の接触面積は小さく、第2の延出部24の遠位端は、横方向において摺動しやすくなり、密封部材20の密封不良のリスクを低減する。
密封部材20の横方向の両側に位置する2つの第2の延出部24との間に第2の凹溝26を形成し、第2の凹溝26の断面は、逆台形又は逆三角形であってもよい。
【0026】
図5から
図9に示すように、第1の延出部23と第2の延出部24とは、横断面が略ストリップ状となりかつ一端がともに本体部22に接続される。
説明すべきは、「ストリップ状」とは、その横断面の長さが横断面の平均厚さよりも大きいことを指し、特に、両辺が平行な細長い形状を指すものではなく、定義を満たすテーパ状、楕円形又は他の形状が含まれてもよく、ストリップ状の延出部を設けることで、延出部がより屈曲しやすくなる。
これにより、密封部材20は、小さい圧力を受ける場合も良好な密封作用を発揮することができる。
【0027】
ハウジング10は、プラスチック材料で射出成型され、密封部材20は、加硫可能な材料で加硫プロセスによりハウジング10と一体構造として固定接続され、又は、ハウジング10は、プラスチック材料で製造され、密封部材20は、熱可塑性エラストマーで製造される。
そして、ハウジング10と密封部材20とは、2色射出プロセスにより射出成型され、密封部材20とハウジング10とを一体構造として固定接続させる。
上記の設置により、密封部材20とハウジング10との接続との安定した接続が可能となり、かつ、ハウジング10と密封部材20との間に密封面が形成され、密封部材20とハウジングとの間の密封を実現する。
【0028】
図6と
図7に示す実施形態では、密封部材20が縦方向に圧縮されていない状態にある場合に、第1の延出部23の縦方向における高さをmと定義し、密封部材20の縦方向における全体の高さをaと定義し、密封部材20が第1の取り付け本体11と接続部2を固定した状態にある場合に、本体部1の第1の取り付け本体11と接続部2とは、密封部材20を圧縮し、この場合に、密封部材20の縦方向における全体の高さをbと定義し、ここで、m≧a-bとし、上記の設置により、第1の取り付け本体11と接続部2との取り付け後に、密封部材20の主な歪みが各延出部に集中し、本体部22の縦方向における歪みの程度が小さく、各延出部が本体部22に対してより変形しやすくなる。
そのため、所定の圧縮量の場合に、密封部材20の全体による第1の取り付け本体11と接続部2との間の予圧力を相対的に低減することができる。
密封部材20の圧縮率を(a-b)/aと定義し、かつ、0.12≦(a-b)/a≦0.25とすることで、密封部材20は、良好な密封性能を実現する。
【0029】
密封部材20が大きな膨張空間を有するように、
図7に示す実施形態では、接続部2は、嵌合平面202から接続部2の内部へ延びる位置制限溝203を含む。
この位置制限溝203の嵌合平面202での正投影は、連通孔201の嵌合平面202での正投影を取り囲み、第1の取り付け本体11と接続部2とは固定接続された後、第1の延出部23は、位置制限溝203に位置制限され、かつ、位置制限溝203の高さは、第1の延出部23の取り付け面111から突出する高さよりも小さく、密封部材20の幅方向に沿って、即ち、
図7における横方向Yに沿って、位置制限溝203の幅は、密封部材20の全体の幅よりも大きい。
【0030】
図10に示すように、本発明の他の実施例である密封部材20の断面図を示し、第1の延出部23と本体部22との接続部位において、第1の延出部23の断面形状は、本体部22の断面形状と同じであり、収容溝13から離れる方向に沿って、第1の延出部23の横断面の面積は、次第に減少している。
これに応じて、ハウジング10は、プラスチック又は金属で製造されることが可能であり、密封部材20は、弾性接着液を収容溝13に注入して硬化成形させてなり、密封部材20とハウジング10とは、一体構造として接着固定され、好ましくは、密封部材20は、シリカゲル又は紫外線硬化型接着剤で製造される。
上記の設置により、密封部材20をハウジング10の収容溝13内に容易に成型することが可能である。
これにより、密封部材20とハウジング10とが一体構造として安定して固定接続されかつ、密封部材20とハウジング10との間に密封面が形成され、良好な密封性能を有する。
【0031】
以上のように、本発明の実施例である流体制御アセンブリ1000によれば、流体制御アセンブリ1000の本体部1は、少なくとも2つの通路12を含むハウジング10と、通路12に対応しかつ連通している少なくとも2つの第1の通孔21を含む密封部材20とを含む。
これにより、流体は、通路12と第1の通孔21内を流通可能となり、密封部材20は、本体部22と本体部22から突出する第1の延出部23とを含み、かつ、第1の延出部23は、前記第1の通孔21の高さ方向の一端に第1の通孔32を取り囲んで閉環状の突起構造を形成し、第1の延出部23の少なくとも一部は、取り付け面111から突出し、取り付け面111は、他の部材との接触実装を容易にし、他の部材は、第1の延出部23を押圧して密封部材20を押圧変形させることができる。
このため、本体部1と他の部材の密封を実現し、密封部材20とハウジング10とは、一体構造として固定接続されるので、密封部材20の取り付け忘れ、本体部1又は流体制御アセンブリ1000の輸送、積み替え過程中の密封部材20の脱落リスクを防止しており、密封部材をハウジングと別体で組み付ける場合に比べて、本発明の実施例における本体部1は、部品点数を削減し、流体制御アセンブリの組立手順を簡略化し、密封部材20の脱落又は位置ずれによる密封不良のリスクを防止することができる。
【0032】
図1から
図11を結合して、本発明の実施例は、さらに、以下のステップを含む流体制御アセンブリの製造方法を提供し、即ち、S110、ハウジング10を成形する。
【0033】
成形後のハウジング10は、取り付け面111を有する第1の取り付け本体11を含む。
ハウジング10は、少なくとも2つの通路12及びこれらの通路12を取り囲む収容溝13を有し、収容溝13は、取り付け面111から第1の取り付け本体11の内部へ延びる。
【0034】
S120、成型後のハウジング10を密封部材の成型位置に置く。
【0035】
S130、密封部材の成型位置で密封部材20を成形する。
【0036】
本実施例では、密封部材20を成形する場合には、密封部材の材料の一部をハウジング10の収容溝13内に充填して本体部22を形成し、密封部材20の材料の他の一部を本体部22から取り付け面111外に突出させて第1の延出部23を形成することを含み、成形後の密封部材20とハウジング10とは、一体構造として固定接続され、かつ、密封部材20は、通路12を取り囲む。
【0037】
ハウジング10は、プラスチック材料で射出成型され、密封部材20は、加硫可能な材料で加硫プロセスによりハウジング10と一体構造として固定接続される。
具体的に実施する際に、ハウジング10をハウジングの成型金型で射出成形し、そして、成形後のハウジング10を密封部材の成型金型に置き、その後、密封部材の成型金型で加硫プロセスにより密封部材20とハウジング10とを一体構造として加硫する。
具体的には、射出成型されたハウジング10の収容溝13の表面に接着剤を塗布してから、密封部材を収容溝13内に設置し、両者をともに高温高圧環境に置いて密封部材20を加硫処理することで、成形後の密封部材20がハウジング10の収容溝13内に安定して接着され、ハウジング10と密封接続される。
このときの密封部材20は、ゴム材料で製造されることが可能である。
例えば、密封部材20は、エチレンプロピレンジエンモノマー(Ethylene Propylene Diene Monomer、EPDM)で製造され、又はニトリルゴム(Nitrile Butadiene Rubber)で製造される。
上記の方法により作成された密封部材20の構成は、
図6から9に示すため、ここで説明しない。
【0038】
また、ハウジング10は、プラスチック材料で製造され、密封部材20は、熱可塑性エラストマーで製造され、例えば、密封部材20は、ポリウレタンで製造される。
そして、このハウジング10と密封部材20とは、2色射出プロセスにより射出成型され、密封部材20とハウジング10とを一体構造として固定接続させる。
上記の設置により、ハウジング10と密封部材20とを同一の射出成形機で成形することができ、製作プロセスを簡略化し、かつ、ハウジング10と密封部材20の製作精度を高くする。
上記の方法により作成された密封部材20の構成は、
図6から
図9に示すため、ここで説明しない。
【0039】
いくつかの実施形態では、ハウジング10は、プラスチック又は金属で製造され、キュアインプレイスガスケット(Cured In Place Gasket、CIPG)プロセスによりハウジング10の収容溝13内に密封部材20を成型する。
具体的に実施する際に、成形後のハウジング10を密封部材成型台に置き、そして、弾性接着液をハウジングの収容溝13に注入して硬化成形させて、密封部材20を形成し、密封部材20とハウジング10とを一体構造として接着固定させ、密封部材20は、シリカゲル又は紫外線硬化型接着剤で形成することができる。
上記の方法により作成された密封部材20の構成は、
図10に示すため、ここで説明しない。
【0040】
本発明の実施例である流体制御アセンブリの製造方法によれば、密封部材20とハウジング10とを一体構造として安定して接続することができ、密封部材20の取り付け忘れ、又は、流体制御アセンブリの輸送、積み替え過程中の密封部材20の脱落リスクを防止し、同時に密封部材20に良好な密封性能を持たせる。
【0041】
以上の実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するためのものであり、本発明に対して補正又は均等な置換を行うことが可能であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しない全ての改良は、いずれも本発明の範囲に該当している。
【国際調査報告】