IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソーラーラボ アイコ ヨーロッパ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-511224選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造
<>
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図1
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図2
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図3
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図4
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図5
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図6
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図7
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図8
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図9
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図10
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図11
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図12
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図13
  • 特表-選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0747 20120101AFI20240305BHJP
【FI】
H01L31/06 455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560633
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021000085
(87)【国際公開番号】W WO2022069068
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202110626889.4
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523369271
【氏名又は名称】ソーラーラボ アイコ ヨーロッパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー カイフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヨンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シンチャン
(72)【発明者】
【氏名】チン ガン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA03
5F251CB11
5F251CB27
5F251DA10
5F251FA02
5F251FA06
5F251GA04
(57)【要約】
本発明は、太陽電池の技術分野に適用され、選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造を提供し、該裏面接触構造は、シリコン基板の裏面に設けられた凹部と、交互に設けられた第1導電領域と第2導電領域であって、第1導電領域と第2導電領域のうちの一方が凹部内に配置され、他方が凹部外に配置され、第1導電領域が順次に設けられた第1誘電体層及び第1ドープ領域を含み、第2導電領域が第2ドープ領域を含む第1導電領域及び第2導電領域と、第1導電領域と第2導電領域との間に設けられた少なくとも1つの第2誘電体層と、第1導電領域と第2導電領域に設けられた導電層と、を含む。本発明により提供される裏面接触構造は、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高い問題、及びパッシベーション効果が劣る問題を解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を置いて配置された複数の凹部を含む裏面を含むシリコン基板と、
前記シリコン基板の前記裏面に交互に配置された複数の第1導電領域及び複数の第2導電領域であって、前記複数の第1導電領域及び前記複数の第2導電領域のうちの一方がそれぞれ前記複数の凹部内に配置され、他方がそれぞれ前記複数の凹部外に配置され、前記第1導電領域のそれぞれが、順次配置された第1誘電体層及び第1ドープ領域を含み、前記第2導電領域のそれぞれが、第2ドープ領域を含む、複数の第1導電領域及び複数の第2導電領域と、
前記複数の第1導電領域と前記複数の第2導電領域との間に配置された少なくとも1つの第2誘電体層と、
前記複数の第1導電領域及び前記複数の第2導電領域に配置された導電層と、を含む
太陽電池の裏面接触構造。
【請求項2】
前記第1ドープ領域はP型ドープ領域であり、前記第2ドープ領域はN型ドープ層であるか、又は、前記第1ドープ領域はN型ドープ領域であり、前記第2ドープ領域はP型ドープ層である、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項3】
前記第1ドープ領域は、ドープト多結晶シリコン、ドープト炭化シリコン、又はドープト非結晶シリコンを含む、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項4】
前記第1誘電体層は、トンネリング酸化層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項5】
前記第2誘電体層は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、酸化シリコン層、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項6】
前記複数の第1導電領域と前記複数の第2導電領域との間の前記シリコン基板の前記裏面の一部はラフテクスチャー構造を含む、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項7】
前記P型ドープ領域の幅は300~600μmであり、前記N型ドープ領域の幅は100~500μmである、請求項2に記載の裏面接触構造。
【請求項8】
前記複数の凹部のそれぞれの深さは0.01~10μmであり、前記複数の第1導電領域と前記複数の第2導電領域との間の水平距離は0~500μmである、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項9】
前記複数の凹部は、円弧形状、台形形状、又は四角形状を有する、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項10】
前記第2ドープ領域は、0.01~1μmのジャンクション深さ、10~500ohm/sqrのシート抵抗、及び1E18~1E21cm-3の表面濃度を有する、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項11】
前記第1誘電体層の厚さは1~20nmであり、前記複数の第1導電領域の厚さの合計は20nmより大きい、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項12】
前記第1誘電体層は、前記トンネリング酸化層と前記真性炭化シリコン層を含む、請求項4に記載の裏面接触構造。
【請求項13】
前記トンネリング酸化層は、酸化シリコン層及び酸化アルミニウム層のうちの1つ以上を含む、請求項4又は請求項12に記載の裏面接触構造。
【請求項14】
前記第2誘電体層は、前記酸化アルミニウム層と前記真性炭化シリコン層とを含むか、又は、前記酸化シリコン層と前記真性炭化シリコン層とを含み、前記第2誘電体層の厚さは、25nmより大きい、請求項5に記載の裏面接触構造。
【請求項15】
前記第2誘電体層中の前記酸化アルミニウム層又は前記酸化シリコン層の厚さは、25nmより小さく、前記第2誘電体層中の前記真性炭化シリコン層の厚さは10nmより大きい、請求項14に記載の裏面接触構造。
【請求項16】
前記第2誘電体層の外層には、フッ化マグネシウム層が配置されている、請求項5に記載の裏面接触構造。
【請求項17】
前記導電層は、透明導電酸化物(TCO)及び/又は金属電極である、請求項1に記載の裏面接触構造。
【請求項18】
前記金属電極は、銀電極、銅電極、アルミニウム電極、スズクラッド銅電極、又は銀クラッド銅電極を含む、請求項17に記載の裏面接触構造。
【請求項19】
前記銅電極は、電気めっきプロセスによって製造された電気めっき銅、又は物理気相堆積によって製造された銅電極である、請求項18に記載の裏面接触構造。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の裏面接触構造と、
前記シリコン基板の表面に配置された第3誘電体層と、を含む
選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項21】
前記第3誘電体層は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、酸化シリコン層、又はそれらの組み合わせのうちの1つである、請求項20に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項22】
前記第3誘電体層は、前記酸化シリコン層と前記炭化シリコン層であるか、又は、前記酸化アルミニウム層と前記炭化シリコン層とを含み、前記第3誘電体層の厚さは50nmより大きい、請求項21に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項23】
前記第3誘電体層中の前記酸化アルミニウム層又は前記酸化シリコン層の厚さは40nmより小さく、前記第3誘電体層中の前記炭化シリコン層の厚さは10nmより大きい、請求項22に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項24】
前記第3誘電体層中の前記炭化シリコン層は、少なくとも1つの炭化シリコン膜を含み、異なる炭化シリコン膜の屈折率は、前記シリコン基板の前記表面から外に向かって低下する、請求項21又は22に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項25】
前記第3誘電体層の外層には、フッ化マグネシウム層が配置されている、請求項21に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項26】
前記シリコン基板の前記表面と前記第3誘電体層との間には、電界層又はフローティングジャンクションがさらに配置されている、請求項20に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池。
【請求項27】
請求項20から請求項26のいずれか1項に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池を含む電池アセンブリ。
【請求項28】
請求項27に記載の電池アセンブリを含む太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に属し、特に、選択的接触領域埋込型太陽電池及びその裏面接触構造に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコン太陽電池において、電池の効率損失は、電気損失と光学損失の2つに分けられることができる。電気損失の重要な構成部分は、金属と半導体の接触により引き起こされる複合損失と抵抗損失であり、光学損失の重要な構成部分は、受光面の金属グリッド線による遮蔽である。
【0003】
ここで、パッシベーション金属接触構造は、電気性能が著しく、また、低接触抵抗率と低表面複合が両立できる。この構造は、1層の極薄のトンネリング酸化層とN型ドープ又はP型ドープト多結晶シリコン層から構成される。ドープト多結晶シリコン層による光吸収は、「寄生」吸収であり、即ち、光生成電流に寄与しないため、パッシベーション金属接触構造は、電池の裏面に用いられることが多く、これによって、前表面での金属グリッド線による遮蔽が完全に回避される。太陽電池が受ける太陽放射により、電子と正孔が生成され、これらの電子と正孔がドープト多結晶シリコン層に移動することにより、ドープト多結晶シリコン層の間に電圧差が発生する。従来では、太陽電池は、上記のパッシベーション金属接触構造及びパッシベーション金属接触構造によって構成され、又は、上記のパッシベーション金属接触構造及び拡散構造から構成されてもよい。
【0004】
従来のパッシベーション金属接触構造と拡散構造は、シリコンウェハ裏面に直接堆積するが、隔離されずに互いに接続された場合、漏電等の不具合が生じる。そこで、上記の無隔離による問題を解決するために、パッシベーション金属接触構造と拡散構造との間に、極狭いトレンチを形成することによって、パッシベーション金属接触構造と拡散構造を分離させることで、漏電の発生を回避し、電池の開路電圧を低下させる。しかし、従来のトレンチは、レーザ開孔又はウェットエッチングにより製造される。この場合、従来のトレンチ幅が数十μm程度であり、幅制御に対する要求が高いため、製造の難易度が高く、パッシベーションに単一の誘電体層のみが用いられる。しかし、単一の誘電体層によるパッシベーションは、パッシベーション効果が劣り、それによって得られる内部裏面反射効果も劣る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施例は、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高く、パッシベーション効果が劣る問題を解決するための、太陽電池の裏面接触構造を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の実施例は、
シリコン基板の裏面に設けられた凹部と、
交互に設けられた第1導電領域及び第2導電領域であって、第1導電領域及び第2導電領域のうちの一方が凹部内に設けられ、他方が凹部外に設けられ、前記第1導電領域が順次に設けられた第1誘電体層と第1ドープ領域を含み、前記第2導電領域が第2ドープ領域を含む第1導電領域及び第2導電領域と、
前記第1導電領域と前記第2導電領域との間に設けられた少なくとも1つの第2誘電体層と、
前記第1導電領域と前記第2導電領域に設けられた導電層と、を含む、太陽電池の裏面接触構造により実現される。
【0007】
さらに、前記第1ドープ領域はP型ドープ領域であり、前記第2ドープ領域はN型ドープ層であり、又は、
前記第1ドープ領域はN型ドープ領域であり、前記第2ドープ領域はP型ドープ層である。
【0008】
さらに、前記第1ドープ領域は、ドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコン又はドープト非結晶シリコンを含む。
【0009】
さらに、前記第1誘電体層は、トンネリング酸化層、真性炭化シリコン層、及び真性非結晶シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせである。
【0010】
さらに、前記第2誘電体層は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、及び酸化シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせである。
【0011】
さらに、前記第2誘電体層は、前記第1導電領域と前記第2導電領域との間の領域を覆うか、或いは、前記第1導電領域及び/又は前記第2導電領域を覆うように延伸する。
【0012】
さらに、前記第1導電領域と前記第2導電領域との間の領域に位置するシリコン基板の裏面は、ラフテクスチャー構造を有する。
【0013】
さらに、前記P型導電領域の幅は、300~600μmであり、又は、前記N型導電領域の幅は、100~500μmである。
【0014】
さらに、各前記凹部の深さは、0.01~10μmであり、前記第1導電領域と前記第2導電領域との間の水平距離は、0~500μmである。
【0015】
さらに、前記第1誘電体層は、前記第1ドープ領域を覆うか、又は、前記第1ドープ領域と前記第2ドープ領域との間の領域を覆うように延伸する。
【0016】
さらに、前記凹部は、円弧形状、台形形状、又は四角形状である。
【0017】
さらに、前記第2ドープ領域は、ジャンクション深さが0.01~1μmであり、シート抵抗が10~500ohm/sqrであり、表面濃度が1E18~1E21cm-3である。
【0018】
さらに、前記第1誘電体層の厚さは1~20nm、前記第1導電領域の厚さの合計は、20nmより大きい。
【0019】
さらに、前記ドープト炭化シリコンは、ドープト水素化炭化シリコンである。
【0020】
さらに、前記第1誘電体層は、トンネリング酸化層及び真性炭化シリコン層である。
【0021】
さらに、前記トンネリング酸化層は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層のうちの1つ又は複数からなる。
【0022】
さらに、前記第1誘電体層内の真性炭化シリコン層は、真性水素化炭化シリコン層を含む。
【0023】
さらに、前記第2誘電体層は、酸化アルミニウム層と真性炭化シリコン層、又は酸化シリコン層と真性炭化シリコン層であり、前記第2誘電体層の厚さは25nmより大きい。
【0024】
さらに、前記第2誘電体層内の酸化アルミニウム層又は酸化シリコン層の厚さは、25nmより小さく、前記第2誘電体層内の真性炭化シリコン層の厚さは、10nmより大きい。
【0025】
さらに、前記第2誘電体層内の真性炭化シリコン層は、屈折率の異なる少なくとも1層の第1真性炭化シリコン膜からなる。
【0026】
さらに、各層の前記第1真性炭化シリコン膜の屈折率は、シリコン基板の裏面から外に向かって順次に低下する。
【0027】
さらに、前記第2誘電体層の外層には、フッ化マグネシウム層がさらに設けられている。
【0028】
さらに、前記導電層は、TCO透明導電膜及び/又は金属電極である。
【0029】
さらに、前記金属電極は、銀電極、銅電極、アルミニウム電極、スズクラッド銅電極又は銀クラッド銅電極を含む。
【0030】
さらに、前記銅電極は電気めっきプロセスによって製造された電気めっき銅又は物理気相堆積によって製造された銅電極である。
【0031】
本発明の別の実施例は、さらに、
シリコン基板と、
シリコン基板の裏面に設けられた上記の裏面接触構造と、
シリコン基板の表面に設けられた第3誘電体層と、を含む、選択的接触領域埋込型太陽電池を提供することを目的とする。
【0032】
さらに、前記第3誘電体層は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、及び酸化シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせである。
【0033】
さらに、前記第3誘電体層は、酸化シリコン層と真性炭化シリコン層、又は酸化アルミニウム層と真性炭化シリコン層であり、前記第3誘電体層の厚さは、50nmより大きい。
【0034】
さらに、前記第3誘電体層内の酸化アルミニウム層又は酸化シリコン層の厚さは、40nmより小さく、前記第3誘電体層内の真性炭化シリコン層の厚さは、10nmより大きい。
【0035】
さらに、前記第3誘電体層内の真性炭化シリコン層は、屈折率の異なる少なくとも1層の第2真性炭化シリコン膜からなる。
【0036】
さらに、各層の前記第2真性炭化シリコン膜の屈折率は、シリコン基板の表面から外に向かって順次に低下する。
【0037】
さらに、前記第3誘電体層の外層には、フッ化マグネシウム層がさらに設けられている。
【0038】
さらに、前記シリコン基板の表面と前記第3誘電体層との間には、電界層又はフローティングジャンクションがさらに設けられている。
【0039】
本発明の別の実施例は、さらに、上記の選択的接触領域埋込型太陽電池を含む電池アセンブリを提供することを目的とする。
【0040】
本発明の別の実施例は、さらに、上記の電池アセンブリを含む太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0041】
本発明の別の実施例は、
シリコン基板の裏面に、複数の凹部を間隔を置いて設けるステップと、
シリコン基板に第1導電領域及び第2導電領域を交互に製造するステップであって、前記第1導電領域と前記第2導電領域のうちの一方が凹部内に設けられ、他方が凹部外に設けられ、前記第1導電領域が順次に設けられた第1誘電体層と第1ドープ領域を含み、前記第2導電領域が第2ドープ領域を含むステップと、
シリコン基板の表裏面に、それぞれ第2誘電体層と第3誘電体層を製造するステップと、
前記第1導電領域と前記第2導電領域に導電層を製造するを含むステップと、を含むことを特徴とする、選択的接触領域埋込型太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0042】
さらに、シリコン基板に第1導電領域及び第2導電領域を交互に製造する前記ステップは、
前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層及び第1導電タイプを有する第1ドープ領域を順次に製造するステップと、
対応する前記凹部外又は前記凹部内に、前記第1導電タイプとは反対の第2導電タイプを有する第2ドープ領域を製造するステップと、を含む。
【0043】
さらに、前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層及び第1導電タイプを有する第1ドープ領域を順次に製造する前記ステップは、
前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層を製造するステップと、
前記第1誘電体層に、真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンを堆積させるステップと、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに対して、第1導電タイプのドープを行うステップと、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになるように高温結晶化処理を行うことによって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を得るステップと、を含む。
【0044】
さらに、前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層及び第1導電タイプを有する第1ドープ領域を順次に製造する前記ステップは、
前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層を製造するステップと、
前記第1誘電体層に、真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンを堆積させるステップと、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになるように、真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに対して、第1導電タイプの拡散を行うことによって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を得るステップと、を含む。
【0045】
さらに、前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層及び第1導電タイプを有する第1ドープ領域を順次に製造する前記ステップは、
前記凹部内又は前記凹部外に、第1誘電体層を製造するステップと、
前記第1誘電体層に、第1導電タイプのドープト非結晶シリコン又はドープト非結晶炭化シリコンを堆積させるステップと、
ドープト非結晶シリコン又はドープト非結晶炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになるように、高温結晶化処理を行うことによって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を得るステップと、を含む。
【0046】
さらに、対応する前記凹部外又は前記凹部内に、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を製造する前記ステップは、
対応する前記凹部外又は前記凹部内に、第2導電タイプに対応する原料ガスを導入して熱拡散を行い、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を形成するステップ、又は、
対応する前記凹部外又は前記凹部内に、第2導電タイプに対応するドープ源を堆積させ、又はスピン塗布して熱拡散を行い、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を形成するステップ、又は、
対応する前記凹部外又は前記凹部内に、第2導電タイプに対応するイオンを注入して熱拡散を行い、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を形成するステップ、を含む。
【0047】
さらに、真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに対して、第1導電タイプのドープを行う前記ステップは、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプのイオンを注入してドープを行うステップ、又は、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプのドープ源を堆積させてドープを行うステップ、又は、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプの原料ガスを導入してドープを行うステップ、を含む。
【0048】
本発明の実施例により提供される裏面接触構造によれば、シリコン基板の裏面に間隔を置いて凹部を設けることによって、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。また、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、この凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1ドープ領域に分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層により複数層のパッシベーションを実現し、これによって、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射の向上がもたらされ、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射効果が得られ、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高い問題、及びパッシベーション効果が劣る問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図2】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図3】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図4】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図5】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図6】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図7】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図8】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図9】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図10】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図11】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図12】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図13】本発明の一実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の実施時の構造模式図である。
図14】本発明の別の実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明白にするために、次に、図面及び実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。
【0051】
本発明において、特に明確に規定及び限定しない限り、「取付」、「繋がる」、「接続」、「固定」等の用語は、広義的に理解すべきであり、例えば、固定接続であっても、取り外し可能な接続であっても、一体的な接続であってもよい。また、機械的接続であっても、電気的接続であってもよい。また、直接的な繋がりであっても、中間媒体を介した間接的な繋がりであっても、2つの要素の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。本明細書に用いられる用語「及び/又は」は、挙げられる1又は複数の関連する項目の任意のあらゆる組合せを含む。
【0052】
本発明では、シリコン基板の裏面に間隔を置いて凹部を設けることによって、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。また、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、この凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1ドープ領域に分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層により複数層のパッシベーションを実現し、これによって、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射の向上がもたらされ、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射効果が得られ、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高い問題、及びパッシベーション効果が劣る問題を解決した。
【実施例1】
【0053】
本発明の第1実施例提供一種太陽電池の裏面接触構造、説明の便宜上、本発明の実施例に関連する部分のみを示す。図1図13に示すように、本発明の実施例により提供される太陽電池の裏面接触構造は、
間隔を置いてシリコン基板10の裏面に設けられた凹部と、
交互に設けられた第1導電領域20及び第2導電領域30であって、そのうちの一方が凹部内に設けられ、他方が凹部外に設けられ、第1導電領域20が順次に設けられた第1誘電体層21及び第1ドープ領域22を含み、第2導電領域30が第2ドープ領域を含む第1導電領域20及び第2導電領域30と、
第1導電領域20及び第2導電領域30との間に設けられ、屈折率がシリコン基板10の裏面から外に向かって順次に低下する少なくとも1つの第2誘電体層40と、
第1導電領域20及び第2導電領域30に設けられた導電層50と、を含む。
【0054】
本発明の一実施例において、シリコン基板10は、通常作動時に太陽に面する表面と、表面とは反対の裏面を有する。表面は受光面となり、裏面は、表面に対してシリコン基板10の他方側に設けられ、つまり、上記表面と裏面は、シリコン基板10の異なる側であって反対側に位置する。本実施例において、シリコン基板10は、N型シリコンウェハであるが、当然ながら、他の実施例において、シリコン基板10は他のシリコンウェハであってもよい。該シリコン基板10の裏面に、間隔を置いて凹部が形成されている。凹部は、レーザーアブレーション又はマスク(例えば、ハードマスクや酸化シリコンマスク、窒化シリコンマスク、フォトレジストマスク等)とウェット/ドライエッチングの組み合わせにより製造される。この場合、シリコン基板10の裏面に間隔を置いて凹部が形成されることにより、シリコン基板10の隣接する2つの凹部間に位置する領域は、ほぼ凸部になる。これによって、シリコン基板10の裏面パターンは、ほぼ凹部と凸部が交互に配置されて形成されたパターンとなる。
【0055】
さらに、本発明の一実施例において、図1に示すように、第1導電領域20が凹部内に設けられるようにしてもよい。この場合、第2導電領域30が凹部外に設けられる。又は、図2に示すように、第1導電領域20が凹部外に設けられた場合、第2導電領域30が凹部内に設けられる。さらに、第1ドープ領域22と第2ドープ領域は、反対の導電タイプを有し、第1ドープ領域22がP型ドープ領域であれば、第2ドープ領域がN型ドープ層であり、又は、第1ドープ領域22がN型ドープ領域であれば、第2ドープ領域がP型ドープ層である。
【0056】
さらに、本発明の一実施例において、第1誘電体層21は、第1ドープ領域22を覆うか、又は、第1ドープ領域22及び第2ドープ領域との間の領域を覆うように延伸する。第1導電領域20が凹部内に設けられ、第1誘電体層21が第1ドープ領域22のみを覆う場合、図1に示すように、第1誘電体層21が凹部の底壁及び側壁に接続される。第1誘電体層21がさらに第1ドープ領域22及び第2ドープ領域との間の領域を覆うように延伸する場合は、図3を参照する。第1導電領域20が凹部外に設けられ、第1誘電体層21が第1ドープ領域22のみを覆う場合は、図2を参照する。第1誘電体層21がさらに第1ドープ領域22及び第2ドープ領域との間の領域を覆うように延伸する場合、図4を参照する。
【0057】
該第1誘電体層21は、シリコン基板10と第1ドープ領域22との間に位置し、トンネリング構造として用いられる。第1誘電体層21と、それに接続されて覆われた第1ドープ領域22とによって、パッシベーション接触構造が形成される。該パッシベーション接触構造は、シリコン基板10の裏面に良好な表面パッシベーションを提供する。また、一般的に、該第1誘電体層21は十分に薄い厚さを有し、あるタイプのキャリアは、トンネリング原理により選択的に輸送され、別のタイプのキャリアは、バリア及び導電領域場効果の存在により該第1誘電体層21をトンネリングすることができないので、第1誘電体層21は、あるタイプのキャリアがトンネリングして第1ドープ領域22に進入することを可能にするとともに、別のタイプのキャリアの通過による複合を阻止することができ、これによって、界面での複合を顕著に低下させることができ、太陽電池は、高い開路電圧と短絡電流を有するようになり、光電変換効率が向上する。同時図1図13に示すように、シリコン基板10の第1誘電体層21と接触する表面に、第1ドープ領域22に対応する複数の内部拡散領域が形成される。なお、本発明の好ましい実施例において、第1導電領域20が凹部内に設けられることが好ましい。この場合、第1誘電体層21は、凹部の底壁及び側壁のいずれとも接触できるので、シリコン基板10に発生するキャリアも、この凹部の側壁の第1誘電体層21によって分離され、対応する第1ドープ領域22に選択的に収集されやすくなり、これにより、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。
【0058】
さらに、本発明の一実施例において、第1誘電体層21は、トンネリング酸化層、真性炭化シリコン層、及び真性非結晶シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。本発明の例として、例えば、第1誘電体層21は、単一材料のトンネリング酸化層であっても、複数の材料のトンネリング酸化層と真性非結晶シリコン層の組み合わせであっても、単一材料の複数の屈折率の異なる真性非結晶シリコンの組み合わせであってもよい。当然ながら、第1誘電体層21の具体的な構造の配置は、上記に挙げられた幾つかを含むが、これらに限定されない。実際の使用の要求に応じて、第1誘電体層21を設定すればよいが、ここで具体的に限定しない。
【0059】
本発明の好ましい実施例において、具体的に、第1誘電体層21は、トンネリング酸化層及び真性炭化シリコン層であることが好ましい。この場合、トンネリング酸化層及び真性炭化シリコン層は、シリコン基板10から外に向かって順次に配列され、トンネリング酸化層は、シリコン基板10の裏面に接触し、真性炭化シリコン層は、第1ドープ領域22に接触する。さらに、トンネリング酸化層は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層のうちの1つ又は複数からなることが好ましい。したがって、第1誘電体層21は、トンネリング酸化層内の酸化シリコン層と酸化アルミニウム層の組み合わせであってもよい。第1誘電体層21中の真性炭化シリコン層は、真性水素化炭化シリコン層を含む。この場合、トンネリング酸化層及び真性炭化シリコン層は、化学パッシベーションによってシリコン基板10と第1ドープ領域22及び第2導電領域との間の界面準位密度が低下される。例えば、真性水素化炭化シリコン層内の水素は、拡散メカニズム及び熱効果によりシリコン基板10に入ることで、シリコン基板10の裏面のダングリングボンドを中和し、シリコン基板10の裏面の欠陥をパッシベートする。これにより、禁制帯におけるエネルギー帯を価電子帯又は伝導帯に移動させ、キャリアが該第1誘電体層21を通過して第1ドープ領域22に入る確率を向上させる。
【0060】
一般的に、本発明の具体例として、具体的な使用時、第1誘電体層21として、1~2nmの酸化シリコン層と2~5nmの真性炭化シリコン層を用いることが好ましい。酸化シリコン層をトンネリング構造として用いることに比べ、真性炭化シリコン層は、追加の水素パッシベーション効果をさらに提供することができ、トンネリング効果に影響せずに、トンネリング構造の製造プロセスウインドウを拡大させる。もちろん、1~2nmの酸化シリコン層、又は、1nmの酸化シリコン層と1nmの酸化アルミニウム層、又は、2層以上の屈折率の異なる真性非結晶シリコン層を直接に利用してもよい。当然ながら、第1誘電体層21の具体的な構造の配置は、上記に挙げられた幾つかの例を含むが、これらに限定されない。そのほか、第1誘電体層21は、真性微結晶シリコン層、真性微結晶酸化シリコン層、真性非結晶酸化シリコン層等であってもよい。図1図13に示すように、1層構造の第1誘電体層21のみが示されるが、当然ながら、第1誘電体層21の具体的な構造は、図示に制限されず実際の要求に応じて設定すればよい。
【0061】
さらに、本発明の一実施例において、第1ドープ領域22は、ドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコン又はドープト非結晶シリコンを含むことが好ましい。ドープト炭化シリコンは、ドープト水素化炭化シリコン、ドープト水素化炭化シリコンを含んでもよい。具体的に、炭化シリコンの堆積時に水素ガスを加える。なお、第1誘電体層21が上記の酸化シリコン層及び真性炭化シリコン層である場合、第1ドープ領域22は、具体的に、ドープト炭化シリコンである。第1誘電体層21が上記の酸化シリコン層又は他の組み合わせである場合、第1ドープ領域22はドープト多結晶シリコン等であってもよい。第1誘電体層21が上記の真性非結晶シリコン層である場合、第1ドープ領域22は、具体的に、ドープト非結晶シリコンである。
【0062】
さらに、本発明の一実施例において、第1誘電体層21及び第1ドープ領域22によって構成される第1導電領域20は、堆積等の方法により、凹部内又は凹部外に設けられ、この場合、第1誘電体層21の厚さは1~20nmであり、第1導電領域20の厚さは20nmより大きく、即ち、第1誘電体層21と第1ドープ領域22の厚さの合計は20nmより大きい。
【0063】
さらに、本発明の一実施例において、第2導電領域30は第2ドープ領域を含み、第2ドープ領域はドープ層である。なお、ドープ層は、上記の凹部内への堆積等の方法によって成長した第1導電領域20とは異なり、シリコン基板10へ異なるタイプの拡散源をドープすることによって形成された拡散構造であるため、ドープ層は成長せずにシリコン基板10の局所的な拡散によって得られたものである。該第2ドープ領域は、ジャンクション深さが0.01~1μmであり、シート抵抗が10~500ohm/sqrであり、表面濃度が1E18~1E21cm-3である。また、第2ドープ領域は、P型ドープ層であってもN型ドープ層であってもよく、第1ドープ領域22の具体的な導電タイプに応じて、反対の導電タイプの第2ドープ領域とすればよい。P型ドープ層は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等をドープして拡散することによって形成され、N型ドープ層は、窒素、リン、ヒ素等をドープして拡散することによって形成される。この場合、該N型ドープ層相は、特にN型シリコンウェハであるシリコン基板10に対してN+層であり、即ち、ドープ層は、局所的な高拡散により形成される。
【0064】
さらに、本発明の一実施例において、第1導電領域20と第2導電領域30との間の距離は0~500μmであり、即ち、第1導電領域20と第2導電領域30は、水平方向において隣接しても所定の距離で離間してもよい。つまり、凹部外に設けられた凸部における第1導電領域20又は第2導電領域30は、凸部における領域の一部又は全体に設けられてもよい。
【0065】
第1導電領域20が凹部外の凸部に設けられ、第2導電領域30が凹部内に設けられた場合、第1導電領域20が凸部での堆積により成長したものであり、凹部内に設けられた第2導電領域30が凹部の底部のシリコン基板10へのドープにより形成されたものであるため、凹部及び凸部の高さの差によって、第1導電領域20と第2導電領域30を隔離させることができる。この場合、第1導電領域20は、凸部における領域の一部又は全体に設けられてもよい。図2図4及び図5に示すように、実際の使用の要求に応じて設定すればよい。
【0066】
第1導電領域20が凹部内に設けられ、第2導電領域30凹部外の凸部に設けられた場合、第2導電領域30は、図1に示すように、凹部内の第1導電領域20に接続されないように、凸部における領域の一部に設けられてもよい。第2導電領域30が凸部における領域全体に設けられた場合、第1導電領域20と第2導電領域30が接続されないように、凹部の深さが第1導電領域20の厚さ及び第2導電領域30のジャンクション深さよりも大きくされる。
【0067】
さらに、本発明の一実施例において、各凹部の深さが0.01~10μmとされるので、第1導電領域20が凹部内に設けられた場合、第1導電領域20の厚さの合計が凹部の深さ以上であっても以下であってもよい。即ち、第1導電領域20は、凹部内に設けられても、凹部から延出して設けられてもよい。なお、本発明の一実施例において、図6に示すように、該第2導電領域30は凸部における領域の一部に設けられ、第1誘電体層21は第1ドープ領域22及び第2ドープ領域との間の領域を覆うように延伸し、第1導電領域20の厚さは凹部の深さより大きい。この場合、第1ドープ領域22は、さらに凸部における領域の一部まで延伸し、第2ドープ領域に接続しなくてもよい。この場合、凸部領域に設けられた第1誘電体層21と第1ドープ領域22も、凹部内の第1誘電体層21及び第1ドープ領域22に連通するパッシベーション接触構造を形成する。これによって、キャリアが選択的に通過する第1誘電体層21の接触面積は大きくなる。
【0068】
なお、本発明の一実施例において、図7に示すように、該第2導電領域30が凹部内に設けられ、凹部内のシリコン基板10に拡散源をドープして拡散により該第2ドープ領域を形成する時に、凹部の側壁にも、第2ドープ領域が拡散により形成され、第2ドープ領域が各凹部の間の一部の領域まで延伸する可能性があるので、本発明の一実施例において、第1ドープ領域22及び/又は第2ドープ領域は、各凹部の間の一部の領域まで延伸してもよい。即ち、第1ドープ領域22は、凹部から延出して各凹部の間の一部の領域まで延伸してもよい。又は、第2ドープ領域は、凹部の側壁から各凹部の間の一部の領域まで延伸してもよい。又は、第1ドープ領域22は、凹部から延出して各凹部の間の一部の領域まで延伸するとともに、第2ドープ領域は、凹部の側壁から各凹部の間の一部の領域まで延伸してもよい。
【0069】
なお、第1ドープ領域22がP型ドープ領域である場合、P型ドープ領域の幅は300~600μmである。第1ドープ領域22がN型ドープ領域時、N型ドープ領域の幅は100~500μmである。即ち、該第1導電領域20が凹部内に設けられた場合、凹部の幅は、上記の幅とされるが、該第1導電領域20が凸部に設けられた場合、凸部の幅は、凸部における一部又は全体に該第1導電領域20が設けられるように、少なくとも上記の幅より大きくされる。上記から分かるように、設けられた凹部は、従来の数十μmのトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。本発明の好ましい実施例として、P型ドープ領域の幅は、500μmとされることが好ましく、N型ドープ領域の幅は、300μmとされることが好ましく、第1導電領域20と第2導電領域30との間の距離は、100μmであることが好ましい。
【0070】
さらに、本発明の一実施例において、第2誘電体層40は、第1導電領域20と第2導電領域30との間の領域を覆うか、或いは、第1導電領域20及び/又は第2導電領域30を覆うように延伸する。つまり、図8及び図9に示すように、第2誘電体層40は、第1ドープ領域22と第2ドープ領域との間の領域のみを覆ってもよい。それに応じて、この場合、導電層50は、第1ドープ領域22及び第1ドープ領域22の裏面全体を覆って電気的接続を形成する。図1及び図2に示すように、第2誘電体層40は、第1ドープ領域22及び/又は第2ドープ領域を覆うように延伸してもよい。この場合、導電層50は、第1ドープ領域22及び第2ドープ領域における、第2誘電体層40によって覆われていない残りの裏面部分を覆い、それぞれ第1ドープ領域22及び第2ドープ領域との電気的接続を形成する。もちろん、第2誘電体層40は、製造過程において該裏面接触構造の裏面全体を覆ってもよい。この場合、導電層50の製造時に、導電層50をパンチ等の方法によって該第2誘電体層40に貫設することで、それぞれ第1ドープ領域22及び第2ドープ領域との電気的接続を形成する。
【0071】
さらに、本発明の一実施例において、第2誘電体層40は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層及び酸化シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。該第2誘電体層40は、パッシベーションの機能を果たす。第2誘電体層40は、少なくとも1層構造とされ、各層は、屈折率がシリコン基板10から外に向かって順次に低下するように配列され、これによって、シリコン基板10に近い膜層は、パッシベーションの機能を果たし、シリコン基板10から離れた膜層は、反射低減機能を果たし、反射低減効果を増強させることによって、シリコン基板10による光の吸収と利用を増加させ、短絡電流密度を高める。そのほか、第2誘電体層40は、ドープシリコン層(例えば、ドープ微結晶シリコン層、ドープト非結晶シリコン層、ドープト多結晶シリコン層)、ドープト炭化シリコン層(例えば、ドープト多結晶炭化シリコン層)、ドープ酸化シリコン層(例えば、ドープト多結晶酸化シリコン、ドープト非結晶酸化シリコン)等であってもよい。そのほか、第2誘電体層40における構造の異なる各膜層は、屈折率の異なる複数層の膜から構成されてもよい。また、上記のように、各層膜層は、屈折率がシリコン基板10から外に向かって順次に低下するように配列される。例えば、第2誘電体層40における酸化シリコン層は、屈折率がシリコン基板10から外に向かって順次に低下する複数層の酸化シリコン膜から構成されてもよい。
【0072】
上記のように、本発明の具体例として、例えば、第2誘電体層40は、酸化シリコン層/酸化アルミニウム層、真性炭化シリコン層、窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造であってもい。この場合、内側の1層目に位置する酸化シリコン層/酸化アルミニウム層の厚さは0.5nmより大きく、2層目に位置する真性炭化シリコン層の厚さは1nmより大きく、外側の3層目に位置する窒化シリコン層/酸窒化シリコン層の厚さは50nmより大きい。
【0073】
本発明の具体例として、例えば、第2誘電体層40は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる2層構造であってもよい。この場合、内側の1層目に位置する酸化アルミニウム層の厚さは1nmより大きい。外側の2層目に位置する窒化シリコン層/酸窒化シリコン層の厚さは50nmより大きい。
【0074】
本発明の具体例として、例えば、第2誘電体層40は、酸化シリコン層/酸化アルミニウム層、ドープト多結晶シリコン層/ドープト多結晶炭化シリコン層/ドープト多結晶酸化シリコン層、窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造であってもよい。この場合、内側の1層目に位置する酸化シリコン層/酸化アルミニウム層の厚さは0.5~3nmであり、2層目に位置するドープト多結晶シリコン層/ドープト多結晶炭化シリコン層/ドープト多結晶酸化シリコン層の厚さは20~100nmであり、外側の3層目に位置する窒化シリコン層/酸窒化シリコン層の厚さは50nmより大きい。
【0075】
本発明の具体例として、例えば、第2誘電体層40は、真性非結晶シリコン層、ドープト非結晶シリコン層/ドープト非結晶酸化シリコン層、窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造であってもよい。この場合、内側の1層目に位置する真性非結晶シリコン層の厚さは2~10nmであり、2層目に位置するドープト非結晶シリコン層/ドープト非結晶酸化シリコン層の厚さは2~50nmであり、外側の3層目に位置する窒化シリコン層/酸窒化シリコン層の厚さは50nmより大きい。
【0076】
本発明の具体例として、例えば、第2誘電体層40は、酸化シリコン層/酸化アルミニウム層、真性炭化シリコン層/ドープト非結晶酸化シリコン層、窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造であってもよい。この場合、内側の1層目に位置する酸化シリコン層/酸化アルミニウム層の厚さは0.5~3nmであり、2層目に位置する真性炭化シリコン層/ドープト非結晶酸化シリコン層の厚さは10~50nmであり、外側の3層目に位置する窒化シリコン層/酸窒化シリコン層の厚さは50nmより大きい。
【0077】
当然ながら、第2誘電体層40の具体的な構造の配置は、上記に挙げられた幾つかの例を含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施例において、図1及び図2に示すように、第2誘電体層40は、酸化アルミニウム層及び真性炭化シリコン層の2層構造、又は、酸化シリコン層及び真性炭化シリコン層の2層構造であることが好ましい。この場合、第2誘電体層40の全体厚さは25nmより大きく、通常の生産製造時、一般的に、70~80nmである。この場合、真性炭化シリコン層は、水素パッシベーション効果を提供するだけでなく、真性非結晶シリコン層、ドープト多結晶シリコン層等よりも、光学バンドギャップが大きく、吸収係数が小さく、寄生光吸収を低減させることができる。さらに、第2誘電体層40における酸化アルミニウム層又は酸化シリコン層の厚さは25nmより小さく、第2誘電体層40における真性炭化シリコン層の厚さは10nmより大きい。なお、本発明の実施例で提出される複数層構造では、いずれもシリコン基板10から外に向かって順次に配列され、例えば、上記の第2誘電体層40が酸化アルミニウム層及び真性炭化シリコン層である場合、酸化アルミニウム層がシリコン基板10に近く、真性炭化シリコン層が外側に近い。また、図面において、図1図13に示すように、2層構造の第2誘電体層40のみが示されたが、当然ながら、第2誘電体層40が他の層数であってもよい。具体的な構造は、図示に制限されず実際の要求に応じて設定すればよい。また、本発明の各図は、単に裏面接触構造における各構造の具体的な分布を説明するためのものであり、各構造の実際のサイズに対応しているわけではない。例えば、前記の第1誘電体層21の厚さが1~20nmであり、第2誘電体層40の厚さが25nmよりも大きいが、図面において、本実施例の具体的な実際のサイズに対応しておらず、本実施例で提供される具体的なパラメータを基準とすべきである。
【0078】
さらに、第2誘電体層40における真性炭化シリコン層は、屈折率の異なる少なくとも1層の第1真性炭化シリコン膜からなる。各層の第1真性炭化シリコン膜の屈折率は、シリコン基板10の裏面から外に向かって順次に低下する。選択的に、上記各材料の屈折率について、一般的、単結晶シリコンの屈折率が3.88とされ、非結晶シリコンの屈折率が3.5~4.2とされ、多結晶シリコンの屈折率が3.93とされ、炭化シリコンの屈折率が2~3.88とされ、窒化シリコンの屈折率が1.9~3.88とされ、酸窒化シリコンの屈折率が1.45~3.88とされ、酸化シリコンの屈折率が1.45とされ、酸化アルミニウムの屈折率が1.63とされる。当然ながら、上記各種材料の屈折率は、実際の使用の要求に応じて他に設定してもよく、ここで具体的に限定しない。
【0079】
さらに、本発明の一実施例において、第2誘電体層40の外層には、フッ化マグネシウム層がさらに設けられている。即ち、上記第2誘電体層40として選択された酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層及び酸化シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせのほかに、第2誘電体層40の外層には、フッ化マグネシウム層がさらに設けられてもよい。フッ化マグネシウム層は、屈折率が最も低い必要があり、一般的に、反射低減の光学作用を高めるために、その屈折率が1.4に設定される。
【0080】
さらに、本発明の一実施例において、導電層50は、TCO透明導電膜及び/又は金属電極である。金属電極は、銀電極、銅電極、アルミニウム電極、スズクラッド銅電極、又は銀クラッド銅電極を含む。さらに、銅電極は、電気めっきプロセスによって製造された電気めっき銅、又は、物理気相堆積によって製造された銅電極である。該電気めっき銅は、ニッケル、クロム、チタン、タングステン電極をシード層又は保護層とする。
【0081】
さらに、本発明の一実施例において、凹部は円弧形状、台形形状、又は四角形状である。図1及び図2に示すように、具体的な実施例において、凹部は四角形状である。図10に示すように、別の具体的な実施例において、第1導電領域20が設けられる凹部は円弧形状である。図11に示すように、別の具体的な実施例において、第1導電領域20が設けられる凹部は台形形状である。なお、円弧形状の凹部又は台形形状の凹部内に、第2導電領域30が設けられてもよい。凹部は、円弧形状又は台形形状とされることが好ましい。それは、凹部が円弧形状又は台形形状とされる場合、凹部内壁による光反射の効果がよくなり、また、第1導電領域20が凹部内に設けられた場合、特にトンネリング構造としての第1誘電体層21とシリコン基板10の接触の表面積も大きくなるためである。もちろん、凹部が四角形状とされる場合、実際の生産プロセスが簡単になるため、実際の使用上の要求に応じて凹部の形状を設定すればよく、ここで具体的に限定しない。
【0082】
なお、本発明の他の実施例において、第1導電領域20が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層21が凹部の底壁に接続され、さらに、第2誘電体層40が凹部の側壁に接続される可能性がある。その理由として、主に次のように考えられる。マスクによって凹部領域を被覆した後、マスクを除去する時に第1ドープ領域22に近いシリコン基板10の一部におけるシリコンが腐食され、該凹部の幅が大きくなり、その後の第2誘電体層40の堆積時、第2誘電体層40は該空白領域まで堆積することにより、凹部の側壁に接続されるようになる。或いは、円弧形状の凹部(例えば、楕円形状の凹部)の製造時、第1誘電体層21及び第1ドープ領域22を円弧形状の凹部の長半径方向の内壁まで堆積させることができず、これにより、第2誘電体層40は、堆積時に空白領域まで充填され、円弧形状の凹部の側壁に接続されるようになる。或いは、第2誘電体層40は堆積時に該空白領域まで堆積することができないことにより、該円弧形状の凹部の側壁と第1誘電体層21及び第1ドープ領域22との間に隙間が形成される。もちろん、本発明の実施例において、裏面接触構造は、凹部の側壁に設けられた第1誘電体層21がキャリアの選択的通過を可能にし、多次元の収集を実現するために、第1誘電体層21が凹部の側壁に直接接続されることが好ましい。
【0083】
さらに、本発明の一実施例において、図12及び図13に示すように、凹部外の凸部に設けられた第1導電領域20又は第2導電領域30が凸部における領域の一部に設けられた場合、第1導電領域20と第2導電領域30との間の領域に位置するシリコン基板10の裏面は、ラフテクスチャー構造60を有する。該ラフテクスチャー構造60は、通常、テクスチャー化により形成され、酸によるテクスチャー化で形成されるランダムな半球状のテクスチャー、塩基によるテクスチャー化で形成されるピラミッド状のテクスチャー、又は、塩基によるテクスチャー化で形成されたピラミッド状のテクスチャーに対して、酸によるテクスチャー化でピラミッド先端を面取り処理したものであってもよい。
【0084】
テストの結果、本発明の実施例により提供される裏面接触構造に基づいて製造された実験群の電池は、従来のトレンチ方法により製造された対照群の電池よりも、電池変換効率は、約25.6%まで有効的に向上し、信頼性が大幅に改善した。電気性能の結果を以下の表1に示す。
【0085】
【表1】
本発明の実施例は、従来技術に比べ、次の有益な効果が得られる。
【0086】
1、シリコン基板の裏面に間隔を置いて凹部が設けられ、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。
【0087】
2、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1導電領域分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。
【0088】
3、第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層及び第1誘電体層によってパッシベーションを行い、パッシベーション効果がより良くなる。また、各層の屈折率がシリコン基板から外に向かって順次に低下するように制御することによって、長波長域の光のシリコン基板における内部裏面反射が増加し、短絡電流密度が高くなる。
【0089】
4、凹部のある程度の深さにより、ハードマスクは、2つの凹部の間の凸起部分のみに直接接触するが、凹部の底部に直接接触せず、不純物による汚染が低減され、そのため、凹部の底壁のシリコン基板をハードマスクによる損傷から保護することができる。また、シリコン基板の凸部の表面のハードマスクとの接触による損傷も、後続のテクスチャー化プロセスにより除去することができる。
【0090】
5、ハードマスクによる第1導電領域の選択的堆積プロセスにおいて、各凹部の間に、隔離するための特定幅のシリコン基板の凸部構造が存在するので、ハードマスクによって遮蔽して凹部領域の堆積を行う場合、ハードマスクの位置合わせに対して、高度な正確性が求められず、適度なずれが存在してもよい。これにより、ハードマスクの位置合わせが簡単になり、プロセスの難易度が低下する。
【0091】
6、従来技術では、トレンチ領域は、幅と深さに制限され、薬液が水とシリコンウェハの疎水性によりトレンチの底部まで完全に浸入して化学ウェットテクスチャー化が不可能である。それに対して、本実施例において、凹部が設けられることによって、隣接する凹部の間のシリコン基板の裏面が凸部に対向し、従来のトレンチ構造よりも、テクスチャー化によりラフテクスチャー構造を得ることが容易になる。シリコン基板の裏面の凸部におけるテクスチャー化により、光のシリコン基板における内部裏面反射が増加し、シリコン基板の光吸収率が向上する。
【実施例2】
【0092】
本発明の第2実施例は、選択的接触領域埋込型太陽電池を提供し、説明の便宜上、本発明の実施例に関連する部分のみを示す。図1図13に示すように、本発明の実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池は、
シリコン基板10と、
シリコン基板10の裏面に設けられた上記実施例に記載の裏面接触構造と、
シリコン基板10の表面に設けられた第3誘電体層70と、を含む。
【0093】
さらに、本発明の一実施例において、第2誘電体層40及び第3誘電体層70は、同一のプロセスによってシリコン基板10の表裏面にそれぞれ製造されてもよい。この場合、該第3誘電体層70は、上記実施例における第2誘電体層40の構造と同じであってもよい。したがって、上記実施例の記載を参照し、第3誘電体層70も、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、及び酸化シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。
【0094】
本発明の例として、第3誘電体層70は、酸化シリコン層/酸化アルミニウム層及びドープト多結晶シリコン層/ドープト多結晶炭化シリコン層/ドープト多結晶酸化シリコン層及び窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造、又は、真性非結晶シリコン層及びドープト非結晶シリコン層/ドープト非結晶酸化シリコン層及び窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造、又は、酸化シリコン層/酸化アルミニウム層及び真性炭化シリコン層/ドープト非結晶酸化シリコン層及び窒化シリコン層/酸窒化シリコン層からなる3層構造であってもよい。
【0095】
さらに、本発明の好ましい実施例において、図1に示すように、第3誘電体層70も、対応的に、酸化シリコン層及び真性炭化シリコン層の2層構造、又は、酸化アルミニウム層及び真性炭化シリコン層2層構造であることが好ましい。第3誘電体層70の厚さは50nmより大きい。第3誘電体層70における酸化アルミニウム層又は酸化シリコン層の厚さは40nmより小さく、第3誘電体層70における真性炭化シリコン層の厚さは10nmより大きい。この場合、真性炭化シリコン層は、水素パッシベーション効果を提供するだけでなく、真性非結晶シリコン層、ドープト多結晶シリコン層等よりも、光学バンドギャップが大きく、吸収係数が小さいため、寄生光吸収を低減させることができる。さらに、第3誘電体層70における真性炭化シリコン層は、屈折率の異なる少なくとも1層第2真性炭化シリコン膜からなる。各層の第2真性炭化シリコン膜の屈折率は、シリコン基板10の表面から外に向かって順次に低下する。さらに、本発明の一実施例において、第3誘電体層70の外層には、フッ化マグネシウム層がさらに設けられている。フッ化マグネシウム層は、屈折率が最も低い必要があり、一般的に、反射低減の光学作用を高めるために、その屈折率が1.4に設定される。
【0096】
もちろん、該第3誘電体層70は、上記実施例における第2誘電体層40とは構造の配置が異なっていてもよい。実際の使用の要求に応じて、第2誘電体層40及び第3誘電体層70に対して各膜層構造を設定すればよく、ここで具体的に限定しない。
【0097】
さらに、本発明の一実施例において、シリコン基板10の表面及び第3誘電体層70との間には、電界層又はフローティングジャンクションがさらに設けられている。具体的に、シリコン基板10に対してリン拡散を行うことによって電界層を製造し、又は、ホウ素拡散を行うことによってフローティングジャンクションを製造する。この場合、この電界層又はフローティングジャンクションは、該選択的接触領域埋込型太陽電池の前表面電界(FSF)とされる。
【0098】
本実施例において、シリコン基板の裏面に間隔を置いて凹部を設けることによって、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。また、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、この凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1ドープ領域に分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層により複数層のパッシベーションを実現し、これによって、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射の向上がもたらされ、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射効果が得られ、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高い問題、及びパッシベーション効果が劣る問題を解決した。
【実施例3】
【0099】
本発明の第3実施例は、選択的接触領域埋込型太陽電池の製造方法を提供し、説明の便宜上、本発明の実施例に関連する部分のみを示す。図14に示すように、本発明の実施例により提供される選択的接触領域埋込型太陽電池の製造方法は、上記実施例に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池を製造するための方法であり、具体的に、該方法は、次のステップを含む。
【0100】
ステップS11において、シリコン基板の裏面に、複数の凹部を間隔を置いて設ける。
【0101】
ステップS11の前に、シリコン基板に対して前処理を行うステップをさらに含む。
【0102】
上記前処理は、シリコン基板を洗浄することによって、損傷層を除去するステップを含む。具体的に、
(1)RCA標準洗浄によって、シリコン基板の表面の粒子及び有機物等を除去するステップと、
(2)シリコン基板洗浄後、さらに2~5%のKOHアルカリ溶液(水酸化カリウム)又はTMAH溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、即ち現像液)に入れ、処理温度50~80℃、処理時間1~5minで、スライスプロセスによる表面損傷層を除去するステップと、
(3)HClを用いてシリコン基板の表面を酸洗浄することによって、シリコン基板の表面に残ったアルカリ液を中和し、シリコンウェハ表面に残った金属不純物を除去するステップと、
(4)HF溶液を用いてシリコン基板を洗浄することによって、シリコンウェハ表面のシリカ層を除去し、シリコン基板の表面のダングリングボンドとSi-Hパッシベーション結合を形成し、最後に、窒素ガスによって乾燥させておくステップと、を含む。
【0103】
さらに、シリコン基板に対する前処理の完成後、次の方法によって凹部を形成することができる。
【0104】
方法1は、間隔を置いて凹部を設ける必要のある箇所に、レーザによって直接溝加工し、シリコン基板の裏面のシリコン結晶を局所的に除去し、所望の凹部を形成する方法である。方法2は、シリコン基板に対して熱酸化処理を行うことによって、シリコン基板の表面全体に酸化シリコンを形成し、レーザによる溝加工を用いてシリコン基板の表面及び裏面の酸化シリコンを局所的に除去し、さらに、ウェットエッチング及び酸(例えば、HF)によって酸化シリコンを除去し、所望の凹部を形成する方法である。方法3は、PECVD法によって窒化シリコンをシリコン基板の裏面に堆積させ、レーザによる溝加工を用いて裏面の窒化シリコンを局所的に除去し、さらに、ウェットエッチングによって窒化シリコンを除去し、所望の凹部を形成する方法である。方法4は、窒化シリコンをシリコン基板の裏面に堆積させ、又は、シリコン基板に対して熱酸化処理を行うことによって酸化シリコンを形成し、そして、フォトレジストマスクを裏面に堆積させ、パターン化されたスクリーン及び露光によって現像領域において現像を行い、現像剤によって現像領域をウェット法で除去し、酸(例えば、HF)によって現像領域内の窒化シリコン/酸化シリコンを除去し、さらに、ウェットエッチングによってフォトレジストマスク及び窒化シリコン/酸化シリコンを除去し、所望の凹部を形成する方法である。方法5は、パターン化されたペーストをマスクとしてシリコン基板の裏面に印刷し、ウェットエッチングによってペーストを除去し、所望の凹部を形成する。
【0105】
本発明の実施例において、上記方法2によって凹部を形成することが好ましい。上記方法2において、熱酸化処理のステップとして、具体的に、石英チューブにおいてドライ酸素酸化/水蒸気酸化/ウェット酸素酸化(即ち、ドライ酸素+水蒸気)を行い、具体的な反応物を酸素ガス及び/又は高純度水蒸気とし、反応圧力を50~1000mbar、反応温度を900~1200℃とし、反応によって厚さが10nmより大きい酸化シリコンを製造することを含む。レーザによる溝加工を用いて酸化シリコンを除去するステップは、具体的に、レーザ波長が532nm、レーザパワーが10~60W、レーザ周波数が250~1500KHz以下、レーザパルス幅が3~50nsのレーザによって溝加工を行い、除去が必要な酸化シリコンを除去することを含む。ウェットエッチングステップに、アルカリ溶液及びイソアセトンが用いられ、アルカリ溶液として、KOH又はTMAHが用いられ、アルカリ溶液濃度を1~5%とし、イソアセトン含有量を1~10%とし、反応温度を60~85℃とし、反応時間を10~30minとする。酸によって酸化シリコンを除去するステップの酸溶液として、HFが用いられ、酸溶液濃度を1~5%とし、反応温度を室温とし、反応時間を3~10minとする。
【0106】
具体的に、上記方法2によって凹部を形成した場合、形成された各凹部の深さが0.01~10μmである。形成された凹部は円弧形状、台形形状又は四角形状であってもよい。従来技術に用いられるトレンチは、レーザ開孔又はウェットエッチングによって製造されるので、トレンチの幅制御に対する要求が厳しく、製造が困難であるが、本実施例における凹部は、従来のトレンチよりも製造が簡単であり、従来のトレンチの幅制御に対する厳しい要求はない。
【0107】
ステップS21において、順次に設けられた第1誘電体層及び第1ドープ領域を含む第1導電領域と、第2ドープ領域を含む第2導電領域とをシリコン基板において交互に製造し、第1導電領域及び第2導電領域のうちの一方を凹部内に設け、他方を凹部外に設ける。
【0108】
ステップS21の前に、具体的な生産プロセスにシリコン基板の表面に対してテクスチャー化を行うステップが含まれてもよい。本実施例において、表面テクスチャー化に、主にアルカリ液による腐食が用いられる。アルカリ液とシリコン基板の反応によって、水可溶性の化合物が生成されると同時に、ピラミッド状のテクスチャー構造が表面に形成される。この場合、テクスチャー構造の存在により、入射光は、テクスチャーによって1回反射されると、反射光が空気に直接入射せずに近くのテクスチャーに当たり、テクスチャーによって2回目ひいては3回目反射されてから空気に入射することになる。このように、入射光を何回も利用することで、表面反射率を低減させる。シリコン基板の裏面にもラフテクスチャー構造が必要になる場合、シリコン基板の表裏面を同時にテクスチャー化してもよい。シリコン基板の裏面にラフテクスチャー構造が必要ではない場合、先ず窒化シリコン保護層をシリコン基板の裏面に堆積させてから、表面のテクスチャー化を行い、そして、レーザによって該裏面の窒化シリコン保護層を除去することで、シリコン基板の裏面のテクスチャー化を回避することができる。
【0109】
第1導電領域と第2導電領域をシリコン基板において交互に製造する上記ステップは、
凹部内又は凹部外に、第1誘電体層及び第1導電タイプを有する第1ドープ領域を順次に製造するステップと、
対応する凹部外又は凹部内に、第1導電タイプとは反対の第2導電タイプを有する第2ドープ領域を製造するステップと、によって実現される。
【0110】
なお、第1導電領域及び第2導電領域は、それぞれ凹部の内外の異なる位置に設けられる。具体的に、第1誘電体層と第1ドープ領域の第1導電領域が凹部内に設けられた場合、具体的に、第2ドープ領域の第2導電領域が凹部外に設けられる。対応的に、第1誘電体層と第1ドープ領域が凹部外に設けられた場合、第2ドープ領域が凹部内に設けられる。また、第1ドープ領域の導電タイプと第2ドープ領域の導電タイプとは反対し、第1ドープ領域がP型ドープ領域である場合、第2ドープ領域がそれに応じてN型ドープ層であり、第1ドープ領域がN型ドープ領域である場合、第2ドープ領域がそれに応じてP型ドープ層である。
【0111】
交互に設けられた第1導電領域及び第2導電領域を製造するステップは、プロセスによる同時製造が不可能であるため、先ず第1導電領域を製造してから第2導電領域を製造するか、又は、先ず第2導電領域を製造してから第1導電領域を製造するしかない。それに応じて、第1導電領域及び第2導電領域を製造する順番は実際のプロセスの利便性に基づいて設定すればよく、ここで具体的に限定しない。本実施例において、先ず凹部内又は凹部外に第1導電領域を製造し、そして、対応する凹部外又は凹部内に第2導電領域を製造することが好ましい。
【0112】
さらに、凹部内又は凹部外に第1誘電体層及び第1導電タイプを有する第1ドープ領域を順次に製造する上記ステップは、具体的に、先ず凹部内又は凹部外に第1誘電体層を製造し、そして、第1誘電体層に、インサイチュ堆積又はエクスサイチュ堆積の2つの堆積方法によって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を製造する。
【0113】
上記ステップにおいて、具体的に、高温酸化プロセス又は堆積プロセス等の方法によって、シリコン基板の裏面に、第1誘電体層を製造するステップは、具体的に堆積させる第1誘電体層のタイプに応じて設定され、ここで具体的に限定しない。この場合、第1誘電体層は、トンネリング酸化層、真性炭化シリコン層、及び真性非結晶シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせであり、第1誘電体層の厚さは1~20nmである。
【0114】
具体的に、本発明の一実施例において、第1ドープ領域の製造にインサイチュ堆積が用いられる場合、第1誘電体層に第1ドープ領域を製造する上記ステップは、
第1導電タイプのドープト非結晶シリコン又はドープト非結晶炭化シリコンを第1誘電体層に堆積させるステップと、
ドープト非結晶シリコン又はドープト非結晶炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになるように、高温結晶化処理を行うことによって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を得るステップと、を含む。
【0115】
可能な実施形態において、第1導電領域が凹部内/凹部外に設けられ、且つ該第1導電領域における第1ドープ領域がP型ドープ領域である場合、P型ドープ領域に対するインサイチュ堆積時に、マスク方法によって堆積の必要のない凹部外の凸部/凹部を遮蔽する。このとき、凹部内/凹部外にP型非結晶シリコン/P型非結晶炭化シリコンのインサイチュ堆積を行い、そして、直接高温又はレーザ加熱方法によって温度を700~1000℃とし、高温結晶化処理によって、凹部内/凹部外のP型非結晶シリコン/P型非結晶炭化シリコンがP型多結晶シリコン/P型炭化シリコンになり、P型ドープ領域、即ち、第1導電タイプを有する第1ドープ領域が得られる。マスクは、ハードマスクや、窒化シリコンマスク、酸化シリコンマスク、フォトレジストマスクであってもよい。
【0116】
具体的に、本発明の一実施例において、第1ドープ領域の製造にエクスサイチュ堆積が用いられる場合、第1誘電体層に第1ドープ領域を製造する上記ステップは、
第1誘電体層に真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンを堆積させるステップと、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに対して、第1導電タイプのドープを行うステップと、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになるように高温結晶化処理を行うことによって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を得るステップと、を含む。
【0117】
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに対して、第1導電タイプのドープを行う上記ステップは、具体的に、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプのイオンを注入してドープを行うステップ、又は
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプのドープ源を堆積させてドープを行うステップ、又は
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプの原料ガスを導入してドープを行うステップ、を含む。
【0118】
可能な実施形態において、具体的に、先ず第1誘電体層に真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンを堆積させ、そして、真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに第1導電タイプのイオンを注入してドープを行う(第1ドープ領域がP型ドープ領域である場合、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の元素を含有するP型イオンを注入する。第1ドープ領域がN型ドープ領域である場合、窒素、リン、ヒ素等の元素を含有するN型イオンを注入する)。或いは、マスク方法によって真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプのドープ源を堆積させてドープを行う(第1ドープ領域がP型ドープ領域である場合、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等を含有するのP型ドープ源(例えば、ホウケイ酸ガラス)を堆積させてドープを行うことによって、P型非結晶シリコン/P型炭化シリコンを形成する。第1ドープ領域がN型ドープ領域である場合、窒素、リン、ヒ素等を含有するのN型ドープ源(例えば、リンケイ酸ガラス)を堆積させてドープを行うことによって、N型非結晶シリコン/N型炭化シリコンを形成する)。或いは、マスク方法によって真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに、第1導電タイプの原料ガスを導入してドープを行い(例えば、第1ドープ領域がP型ドープ領域である場合、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の元素を含有するP型原料ガス(例えば、ボランガス又は三塩化ホウ素若しくは三臭化ホウ素を搭載したキャリアガス)を導入してドープを行うことによって、P型非結晶シリコン/P型炭化シリコンを形成する。第1ドープ領域がN型ドープ領域である場合、窒素、リン、ヒ素等の元素を含有するN型原料ガス(例えば、ホスホランガス又はトリクロレトキシホスを搭載したキャリアガス)を導入してドープを行うことによって、N型非結晶シリコン/N型炭化シリコンを形成する)、さらに、ドープ完成後に、高温結晶化処理によって、元の真性非結晶シリコン又は元の真性炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになり、第1導電タイプを有する第1ドープ領域が得られる。真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンは、堆積時にシリコン基板の側面及び表面まで堆積する可能性があるので、高温結晶化の後に、回り込んだめっきを除去するためのウェットエッチング処理を追加する必要がある。また、第1導電タイプのドープ源を堆積させてドープを行った後に及び高温結晶化処理を行った後に、該ドープ源を除去するためのレーザ等の方法がさらに必要である。
【0119】
具体的に、本発明の別の実施例において、第1ドープ領域の製造にエクスサイチュ堆積が用いられる場合、第1誘電体層に第1ドープ領域を製造する上記ステップは、
第1誘電体層に真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンを堆積させるステップと、
真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンがドープト多結晶シリコン又はドープト炭化シリコンになるように、真性非結晶シリコン又は真性炭化シリコンに対して、第1導電タイプの拡散を行うことによって、第1導電タイプを有する第1ドープ領域を得るステップと、をさらに含む。
【0120】
なお、第1ドープ領域の製造中に、高温結晶化プロセスが必要であるため、薄い第1誘電体層に破断する部分があり、この場合、高温拡散過程において、第1誘電体層の破断箇所及びシリコン基板の裏面に付着し、これによって、シリコン基板と第1誘電体層との接触表面に、複数の第1導電領域に対応する内部拡散領域が形成される。
【0121】
さらに、対応する凹部外又は凹部内に第2導電タイプを有する第2ドープ領域を製造する上記ステップは、
対応する凹部外又は凹部内に第2導電タイプに対応する原料ガスを導入して熱拡散を行い、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を形成するステップ、又は、
対応する凹部外又は凹部内に第2導電タイプに対応するドープ源を堆積させ、或いは、スピン塗布して熱拡散を行い、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を形成するステップ、又は、
対応する凹部外又は凹部内に第2導電タイプに対応するイオンを注入して熱拡散を行い、第2導電タイプを有する第2ドープ領域を形成するステップ、を含む。
【0122】
具体的に、該第2ドープ領域がP型ドープ層である場合、具体的に、製造プロセスは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の元素を含有する原料ガス(例えば、ボランガス、又は、三塩化ホウ素若しくは三臭化ホウ素を搭載したキャリアガス)を導入して熱拡散を行い、P型ドープ層を形成する方法1と、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等を含有するドープ源(例えば、ホウケイ酸ガラス)を堆積させて熱拡散を行い、P型ドープ層を形成する方法2と、ドープ層の上方にアルミニウム電極を製造し、高温プロセスを経てアルミニウムがドープされたP型ドープ層を形成する方法3と、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等を含有するドープ源(例えば、三臭化ホウ素)をスピン塗布して熱拡散を行い、P型ドープ層を形成する方法4と、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の元素を含有するイオンを注入し、高温拡散を経てP型ドープ層を形成する方法5と、を含む。
【0123】
該第2ドープ領域がN型ドープ層である場合、具体的に、製造プロセスは、窒素、リン、ヒ素等の元素を含有する原料ガス(例えば、ホスホランガス又はトリクロレトキシホスを搭載したキャリアガス)を導入して熱拡散を行い、N型ドープ層を形成する方法1と、窒素、リン、ヒ素等を含有するドープ源(例えば、リンケイ酸ガラス)を堆積して熱拡散を行い、N型ドープ層を形成する方法2と、窒素、リン、ヒ素等を含有するドープ源(例えば、トリクロレトキシホス)をスピン塗布して熱拡散を行い、N型ドープ層を形成する方法3と、窒素、リン、ヒ素等の元素を含有するイオンを注入し、高温拡散を経てN型ドープ層を形成する方法4と、を含む。なお、ドープ源を堆積させて熱拡散を行った後に、該ドープ源を除去するためのレーザ等の方法がさらに必要である。
【0124】
ステップS31において、シリコン基板の表裏面に、それぞれ第2誘電体層と第3誘電体層を製造する。
【0125】
該ステップS31の前に、シリコン基板の裏面の、第1導電領域と第2導電領域との間の位置でテクスチャー化を行い、ラフテクスチャー構造を得るステップをさらに含んでもよい。具体的なテクスチャー化プロセスは上記の説明を参照する。
【0126】
具体的に、シリコン基板の表裏面に、それぞれ第2誘電体層と第3誘電体層を製造する過程において、第2誘電体層と第3誘電体層の具体的な組成に応じて製造し、ここで具体的に限定しない。それに応じて、第2誘電体層と第3誘電体層は、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、真性炭化シリコン層、真性非結晶シリコン層、及び酸化シリコン層のうちの1つ又は複数の組み合わせであってもよい。また、第2誘電体層と第3誘電体層は、複数層構造とされる場合、各層の屈折率がシリコン基板から外に向かって順次に低下するように配列され、最外層に、屈折率が最も低い必要のあるフッ化マグネシウム層が製造されてもよい。
【0127】
また、シリコン基板の表面に第3誘電体層を製造する前に、先ず電界層又はフローティングジャンクションを製造してもよい。具体的に、シリコン基板に対してリン拡散を行うことによって電界層を製造し、又は、ホウ素拡散を行うことによってフローティングジャンクションを製造する。この場合、この電界層又はフローティングジャンクションは、該選択的接触領域埋込型太陽電池の前表面電界(FSF)とされる。
【0128】
ステップS41において、第1導電領域及び第2導電領域に導電層を製造する。
【0129】
具体的に、第2誘電体層がシリコン基板における第1導電領域と第2導電領域との間の領域のみを覆う場合、該導電層は、第1導電領域及び第2導電領域の裏面全体を覆って電気的接続を形成する。第2誘電体層が第1導電領域及び第2導電領域を覆うように延伸する場合、該導電層は、第1導電領域及び第2導電領域における、第2誘電体層によって覆われていない残りの部分の裏面を覆って電気的接続を形成する。第2誘電体層がシリコン基板裏面全体を覆う場合、導電層がパンチ等の方法によって該第2誘電体層と第1導電領域及び第2導電領域に貫設されて電気的接続を形成する。これによって、第1導電領域に第1電極が形成され、第2導電領域に第2電極が形成される。
【0130】
本発明の実施例は、従来技術に比べ、次の有益な効果が得られる。
【0131】
1、シリコン基板の裏面に間隔を置いて凹部が設けられ、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。
【0132】
2、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1導電領域分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。
【0133】
3、第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層及び第1誘電体層によってパッシベーションを行い、パッシベーション効果がより良くなる。また、各層の屈折率がシリコン基板から外に向かって順次に低下するように制御することによって、長波長域の光のシリコン基板における内部裏面反射が増加し、短絡電流密度が高くなる。
【0134】
4、凹部のある程度の深さにより、ハードマスクは、2つの凹部の間の凸起部分のみに直接接触するが、凹部の底部に直接接触せず、不純物による汚染が低減され、そのため、凹部の底壁のシリコン基板をハードマスクによる損傷から保護することができる。また、シリコン基板の凸部の表面のハードマスクとの接触による損傷も、後続のテクスチャー化プロセスにより除去することができる。
【0135】
5、ハードマスクによる第1導電領域の選択的堆積プロセスにおいて、各凹部の間に、隔離するための特定幅のシリコン基板の凸部構造が存在するので、ハードマスクによって遮蔽して凹部領域の堆積を行う場合、ハードマスクの位置合わせに対して、高度な正確性が求められず、適度なずれが存在してもよい。これにより、ハードマスクの位置合わせが簡単になり、プロセスの難易度が低下する。
【0136】
6、従来技術では、トレンチ領域は、幅と深さに制限され、薬液が水とシリコンウェハの疎水性によりトレンチの底部まで完全に浸入して化学ウェットテクスチャー化が不可能である。それに対して、本実施例において、凹部が設けられることによって、隣接する凹部の間のシリコン基板の裏面が凸部に対向し、従来のトレンチ構造よりも、テクスチャー化によりラフテクスチャー構造を得ることが容易になる。シリコン基板の裏面の凸部におけるテクスチャー化により、光のシリコン基板における内部裏面反射が増加し、シリコン基板の光吸収率が向上する。
【実施例4】
【0137】
本発明の第4実施例は、上記実施例に記載の選択的接触領域埋込型太陽電池を含む電池アセンブリをさらに提供する。
【0138】
本実施例における電池アセンブリは、設けられた選択的接触領域埋込型太陽電池により、シリコン基板の裏面に間隔を置いて凹部が設けられ、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。また、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、この凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1ドープ領域に分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層により複数層のパッシベーションを実現し、これによって、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射の向上がもたらされ、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射効果が得られ、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高い問題、及びパッシベーション効果が劣る問題を解決した。
【実施例5】
【0139】
本発明の第5実施例は、上記実施例に記載の電池アセンブリを含む太陽光発電システムを提供する。
【0140】
本実施例における太陽光発電システムにおいて、電池アセンブリに設けられた選択的接触領域埋込型太陽電池により、シリコン基板の裏面に凹部が間隔を置いて設けられ、凹部の内外の一方に第1導電領域が、他方に第2導電領域が交互に設けられ、これによって、一部の凹部又は凹部外の一部の凸部により、第1導電領域と第2導電領域を隔離させる。設けられた凹部は、従来のトレンチよりも、幅制御の要求が緩くなり、また、従来のトレンチよりも、製造が容易になる。また、凹部が設けられることによって、第1導電領域が凹部内に設けられた場合、第1誘電体層は、凹部の底壁及び側壁のいずれにも接触するので、シリコン基板に発生するキャリアも、この凹部の側壁における第1誘電体層を通過して、対応する第1ドープ領域に分離されて選択的に収集されることが容易になる。これによって、リーク電流の低減のみならず、キャリアの縦方向と横方向における選択的輸送を実現することもでき、キャリアの凹部の底壁及び側壁における多次元の収集に有利である。第2誘電体層が少なくとも1層設けられることによって、シリコン基板の裏面は、少なくとも1層の第2誘電体層により複数層のパッシベーションを実現し、これによって、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射の向上がもたらされ、より良いパッシベーション効果及び内部裏面反射効果が得られ、従来のトレンチの幅制御に対する要求が高い問題、及びパッシベーション効果が劣る問題を解決した。
【0141】
以上の説明は、単に本発明の好ましい実施例であり、本発明を制限するためのものではない。本発明の精神及び主旨から逸脱しない限り、あらゆる変更、置換、及び改善等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】