(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】プレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器、システムならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20240305BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20240305BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61M5/20 572
A61M5/28
A61M5/32 510K
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562248
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022023878
(87)【国際公開番号】W WO2022216959
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523381767
【氏名又は名称】ラブ ライフサイエンシズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】LOVE LIFESCIENCES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラブ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ホッパー、ブラッドリー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE06
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH03
4C066HH12
4C066NN08
(57)【要約】
注射器と共に用いられる、プレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器。プレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器は、カートリッジ、ケーシング、チューブ、付勢部材、リング、プランジャスライダを含む。カートリッジは、ケーシング内に支持されている。チューブは、チューブ遠位端を含む。チューブは、カートリッジと摺動可能に係合し、かつ延伸状態および後退状態になるように構成されている。後退状態で、シリンジの針がチューブ遠位端とケーシング遠位開口部とを超えて延びる。付勢部材は、カートリッジとチューブとに係合し、かつチューブを延伸状態に付勢する。リングは突出部を含み、かつチューブと付勢部材とに係合される。突出部はトラック内に位置する。プランジャスライダは、シリンジのプランジャと係合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ、バレルおよび針を有するシリンジとともに使用する注射器であって、
内部に前記シリンジを支持するように構成されたカートリッジと、
管状体、ケーシング遠位開口部、内面、内容積、前記管状体を貫通するスライダスロット、および前記内面に画定されたトラックを含むケーシングであって、前記カートリッジが前記ケーシング内に支持される、ケーシングと、
チューブ遠位端を含み、前記カートリッジと摺動可能に係合し、延伸状態および後退状態になるように構成されたチューブであって、前記後退状態では前記シリンジの針が前記チューブ遠位端と前記ケーシング遠位開口部とを超えて延びる、チューブと、
前記カートリッジと前記チューブとに係合し、前記チューブを前記延伸状態に付勢する、付勢部材と、
突出部を含み、前記チューブと前記付勢部材とに係合したリングであって、前記突出部が少なくとも部分的に前記トラック内に位置する、リングと、
前記ケーシングの内容積内で前記シリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有するプランジャスライダであって、前記第1部分から延びると共に前記スライダスロットによってガイドされて前記シリンジの前記プランジャを押し下げるように構成された第2部分を有する、プランジャスライダと
を備える、注射器。
【請求項2】
請求項1に記載の注射器において、
前記延伸状態では、前記チューブが前記針の先端を超えて遠位に延びている、注射器。
【請求項3】
請求項1に記載の注射器は、更に、
前記チューブの前記チューブ遠位端に連結するように構成された遠位キャップを含む、注射器。
【請求項4】
請求項3に記載の注射器において、
前記遠位キャップは、管状延長部を含み、
前記管状延長部は、前記チューブの前記チューブ遠位端から前記遠位キャップを取り外すことによって前記シリンジから針キャップも取り外されるように前記シリンジの前記針キャップを内部に収容し固定する大きさの開口部を有する、注射器。
【請求項5】
請求項1に記載の注射器において、
前記チューブは、前記リングの前記突出部と前記トラックとの相互作用によって、前記延伸状態から前記後退状態に移行した後にロックされた延伸状態に移行するように構成されている、注射器。
【請求項6】
請求項1に記載の注射器において、
前記チューブ、更に、前記チューブの遠位端に複数のナブを含む、注射器。
【請求項7】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングは、更に、長手方向軸を含み、
前記スライダスロットは、前記長手方向軸に対して横方向である第1断面および前記長手方向軸に対して平行である第2断面を含む、注射器。
【請求項8】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングは、更に、前記管状体を貫通する少なくとも1つの覗き窓を含む、注射器。
【請求項9】
請求項1に記載の注射器は、更に、
1回量の物質が充填済みの前記シリンジを含む、注射器。
【請求項10】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングの内面は、内部に前記シリンジのフランジを収容し固定するように構成された凹部を含む、注射器。
【請求項11】
プランジャ、フランジを有するバレル、および針を有するシリンジとともに使用する注射器であって、
内部に前記シリンジを支持するように構成されたカートリッジと、
本体、ケーシング遠位開口部、内容積、および前記本体を貫通するスライダスロットを含むケーシングであって、前記カートリッジが前記ケーシング内に支持される、ケーシングと、
チューブ遠位端を含み、前記カートリッジと摺動可能に係合し、前記チューブ遠位端が前記針の先端を超えて遠位にかつ前記ケーシング遠位開口部を超えて遠位に延びるように付勢されているチューブであって、前記シリンジの針が前記チューブ遠位端および前記ケーシング遠位開口部を超えて延びるように付勢力に打ち勝つことによって近位に後退させられるように構成された、チューブと、
前記ケーシングの内容積内で前記シリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有するプランジャスライダであって、前記第1部分から延びると共に前記シリンジの前記プランジャを押し下げるために前記スライダスロットに沿うように構成された第2部分を有する、プランジャスライダと
を備える、注射器。
【請求項12】
請求項11に記載の注射器は、更に、
1回量の薬物が充填されたプレフィルドシリンジを含む、注射器。
【請求項13】
請求項11に記載の注射器において、
外側のチューブは、更に、外側のチューブの内面上に形成された溝状のガイドを含み、
プランジャスライダは、更に、突起を含み、
突起は、プランジャスライダがプランジャの押し下げをガイドするときに溝状のガイド内を摺動するように構成されている、注射器。
【請求項14】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングは、前記シリンジの前記バレルの前記フランジを支持するように構成された凹部を含む、注射器。
【請求項15】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングは、前記シリンジの前記バレルの視界を提供するように構成されかつ内部に画定された少なくとも1つの窓を含む、注射器。
【請求項16】
請求項11に記載の注射器において、
前記チューブは、前記カートリッジと摺動関係にあり、
付勢部材は、前記チューブと前記カートリッジとの間に作動可能に連結されている、注射器。
【請求項17】
請求項16に記載の注射器において、
前記ケーシングがその内面に画定されたトラックを含み、
前記チューブが前記トラックと係合し、
前記チューブが延伸状態でロックされるように構成されている、注射器。
【請求項18】
請求項17に記載の注射器において、
前記チューブが前記ケーシングに対して後退させられた後にのみ、前記チューブが延伸状態でロックされるように構成されている、注射器。
【請求項19】
請求項11に記載の注射器は、更に、
前記付勢力を提供するように構成されたばねを含む、注射器。
【請求項20】
請求項19に記載の注射器において、
前記ばねが、前記チューブに連結されたロックリングに回転付勢を与え、
前記回転付勢が、前記チューブを延伸状態でロックするように構成されている、注射器。
【請求項21】
患者の注射部位に物質を注射する方法であって、
前記患者の前記注射部位に隣接して注射器の遠位チューブを位置決めすることであって、前記注射は、その遠位端に開口部を有するケーシングと、前記ケーシング内に収容され、内部にシリンジを支持するカートリッジであって、前記シリンジが内部に前記物質を封入し、バレル、針およびプランジャを含むカートリッジと、前記シリンジの前記プランジャと係合しているプランジャスライダとを含み、前記遠位チューブは、前記針を超えてかつ前記ケーシングの前記遠位端で前記開口部から少なくとも部分的に外側に延びるように、摺動自在に前記カートリッジと連結されかつ延伸位置に付勢される、ことと、
前記患者の前記注射部位に対して前記遠位チューブを押し下げることであって、それによって前記遠位チューブを後退位置にし、前記針が前記遠位チューブを超えて前記患者の前記注射部位に突出する、ことと、
前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させることであって、前記シリンジの前記バレル内に前記プランジャを押し下げることで、前記針を通して前記患者の前記注射部位に前記バレルから前記物質を分注する、ことと、
前記患者の前記注射部位から前記遠位チューブを後退させることであって、それによって前記遠位チューブを前記延伸位置にロックさせる、ことと
を備える、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法は、更に、
前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させる前に、前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを回転させること
を備える、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記プランジャスライダが回転している間は、前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させることが規制されている、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法において、
前記注射器は、更に、前記遠位チューブに連結されたロックリングを含み、
前記ロックリングは、前記ケーシング上の対応する機構によってガイドされて前記遠位チューブが前記延伸位置にロックされることを容易にする機構を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記機構がポストであり、前記対応する機構が前記ケーシングの内側に形成されたトラックである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器、システム、ならびに使用方法に関する。より詳細には、本開示は、薬物の1回量を送達するために手動で作動させるプレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器、システム、ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射器は、封入されたばね付きシリンジによって薬物の1回量を送達するための医療機器である。従来、自動注射器は自己投与するように設計されているが、他人が投与することも可能である。薬物を注入する必要があるシリンジおよび針と比較して、自動注射器は投与が比較的容易である。自動注射器は、露出した針を見ることに伴う不安感を軽減することができる。しかし、患者によっては、自動注射器による針の不意の穿刺を不安に思う場合もある。
【0003】
自動注射器であれ従来のシリンジおよび針であれ、多くの患者は、いまだに針注射への不安を感じている。その不安はとても大きく、患者によっては、自動注射器や他の注射方法で直面する問題が原因で薬の投与をやめてしまいことさえある。このことは、注射療法で患者を維持しようとしている医師、注射療法を必用とする患者を補償する保険会社、自社の薬で患者を維持しようとしている製薬会社にとって問題となる。
【0004】
プレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器の態様は、特にこれらの考えを考慮に入れて考案された。本明細書に記載のプレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器を利用することによって、患者が薬を止める理由が少なくなるため、患者が薬の使用を維持する可能性が高くなる。薬の維持の促進によって、患者の健康成果が改善され、注射市場に関与するすべての組織の経験も改善される。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、プランジャ、バレルおよび針を有するシリンジとともに使用する注射器を含む。注射器は、カートリッジと、ケーシングと、チューブと、付勢部材と、リングと、プランジャスライダと、を含む。カートリッジは、内部にシリンジを支持するように構成されている。ケーシングは、管状体、ケーシング遠位開口部、内面、内容積、前記管状体を貫通するスライダスロット、および内面に画定されたトラックを含む。カートリッジは、ケーシング内に支持されている。チューブはチューブ遠位端を含み、カートリッジと摺動可能に係合し、延伸状態および後退状態になるように構成されている。後退状態では、シリンジの針が、チューブ遠位端とケーシング遠位開口部とを超えて延びる。付勢部材は、カートリッジとチューブとに係合し、チューブを延伸状態に付勢する。リングは、突出部を含み、チューブと付勢部材とに係合する。突出部は、少なくとも部分的にトラック内に位置する。プランジャスライダは、ケーシングの内容積内でシリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有する。プランジャスライダは、第1部分から延びると共にスライダスロットによってガイドされてシリンジのプランジャを押し下げるように構成された第2部分を有する。
場合によっては、延伸状態では、チューブが針の先端を超えて遠位に延びる。
場合によっては、注射器は、更に、チューブのチューブ遠位端に連結するように構成された遠位キャップを含む。
【0006】
場合によっては、遠位キャップは、チューブのチューブ遠位端から遠位キャップを取り外すことによってシリンジから針キャップも取り外されるように、シリンジの針キャップを内部に収容し固定する大きさの開口部を有する管状延長部を含む。
【0007】
場合によっては、チューブは、リングの突出部とトラックとの相互作用によって延伸状態から後退状態に移行し、さらにロックされた延伸状態に移行するように構成されている。
【0008】
場合によっては、チューブは、更に、遠位チューブ端に複数のナブを含む。
場合によっては、ケーシングは、更に、長手方向軸を含み、スライダスロットは、長手方向軸に対して横方向である第1断面、および長手方向軸に対して平行である第2断面を含む。
【0009】
場合によっては、ケーシングは、更に、管状体を貫通する少なくとも1つの覗き窓を含む。
場合によっては、注射器は、更に、1回量の物質が充填済みのシリンジを含む。
【0010】
場合によっては、ケーシングの内面は、内部にシリンジのフランジを収容し固定するように構成された凹部を含む。
本開示の態様は、プランジャ、フランジを有するバレル、および針を有するシリンジとともに使用する注射器を含む。注射器は、カートリッジと、ケーシングと、チューブと、プランジャスライダと、を含む。カートリッジは、内部にシリンジを支持するように構成されている。ケーシングは、本体、ケーシング遠位開口部、内容積、および本体を貫通するスライダスロットを含み、カートリッジがケーシング内に支持されている。チューブはチューブ遠位端を含み、カートリッジと摺動可能に係合し、チューブ遠位端が針の先端を超えて遠位に延びかつケーシング遠位開口部を超えて遠位に延びるように付勢されている。チューブは、シリンジの針がチューブ遠位端およびケーシング遠位開口部を超えて延びるように、付勢力に打ち勝つことによって、近位に後退させられるように構成されている。プランジャスライダは、ケーシングの内容積内でシリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有する。プランジャスライダは、第1部分から延びると共にシリンジのプランジャを押し下げるためにスライダスロットに沿うように構成された第2部分を有する。
【0011】
場合によっては、注射器は、更に、1回量の薬物が充填されたプレフィルドシリンジを含む。
場合によっては、外側のチューブは、更に、外側のチューブの内面上に形成された溝状のガイドを含み、プランジャスライダは、更に、突起を含み、突起は、プランジャスライダがプランジャの押し下げをガイドするときに溝状のガイド内を摺動するように構成されている。
【0012】
場合によっては、ケーシングは、シリンジのバレルのフランジを支持するように構成された凹部を含む。
場合によっては、ケーシングは、シリンジのバレルの視界を提供するように構成されている、内部に画定された少なくとも1つの窓を含む。
【0013】
場合によっては、チューブは、カートリッジと摺動関係にあり、付勢部材は、チューブとカートリッジとの間に作動可能に連結されている。
場合によっては、ケーシングがその内面に画定されたトラックを含み、チューブがトラックと係合し、チューブが延伸状態でロックされるように構成されている。
【0014】
場合によっては、チューブは、ケーシングに対して後退させられた後にのみ、延伸状態でロックされるように構成されている。
場合によっては、注射器は、更に、付勢力を提供するように構成されたばねを含む。
【0015】
場合によっては、ばねが、チューブに連結されたロックリングに回転付勢を与え、回転付勢が、チューブを延伸状態でロックするように構成されている。
本開示の態様は、患者の注射部位に物質を注射する方法を含む。その方法は、患者の注射部位に隣接して注射器の遠位チューブを位置決めすることを含み、注射は、その遠位端に開口部を有するケーシングと、ケーシング内に収容されかつ内部にシリンジを支持するカートリッジであって、シリンジが内部に物質を封入し、バレル、針およびプランジャを含むカートリッジと、シリンジのプランジャと係合しているプランジャスライダとを含み、遠位チューブは、針を超えてケーシングの遠位端で開口部から少なくとも部分的に外側に延びるように、摺動自在にカートリッジと連結されかつ延伸位置に付勢される。その方法は、患者の注射部位に対して遠位チューブを押し下げることを含み、それによって遠位チューブを後退位置にし、針が遠位チューブを超えて患者の注射部位に突出する。その方法は、ケーシングに対してプランジャスライダを遠位に前進させることで、シリンジのバレル内にプランジャを押し下げ、針を通して患者の注射部位にバレルから物質を分注することを含む。その方法は、患者の注射部位から遠位チューブを後退させることを含み、それによって遠位チューブを延伸位置にロックさせる。
【0016】
場合によっては、その方法は、更に、ケーシングに対してプランジャスライダを遠位に前進させる前に、ケーシングに対してプランジャスライダを回転させることを備える。
場合によっては、プランジャスライダが回転している間は、ケーシングに対してプランジャスライダを遠位に前進させることが規制される。
【0017】
場合によっては、注射器は、更に、遠位チューブに連結されたロックリングを含み、ロックリングが、ケーシング上の対応する機構によってガイドされて遠位チューブが延伸位置にロックされることを容易にする機構を含む。
【0018】
場合によっては、機構がポストであり、対応する機構がケーシングの内側に形成されたトラックである。
本明細書に記載の本開示の上記および他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示されるような、それらの発明の概念の特定の実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意すべきである。しかしながら、代わりに、本発明の概念の原理を例示することに重点が置かれている。また、図面において、同じ参照文字は、異なる図面を通じて同じ構成要素または類似物を指す場合がある。本明細書に開示されている実施形態および図は、例示であって限定するものではないとみなされることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】組み立てられた状態のプレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器(以下、「注射器」と呼ぶ)の等角図である。
【
図1B】それぞれ組み立てられた状態の4つの異なる回転方向の注射器の側面図である。
【
図1C】それぞれ組み立てられた状態の4つの異なる回転方向の注射器の側面図である。
【
図1D】それぞれ組み立てられた状態の4つの異なる回転方向の注射器の側面図である。
【
図1E】それぞれ組み立てられた状態の4つの異なる回転方向の注射器の側面図である。
【
図1F】それぞれ組み立てられた状態の注射器の上面図および底面図である。
【
図1G】それぞれ組み立てられた状態の注射器の上面図および底面図である。
【
図2A】それぞれ注射器の等角分解図および側面図である。
【
図2B】それぞれ注射器の等角分解図および側面図である。
【
図3B】それぞれ第1ケーシングの内側を示す正面図および第1ケーシングの外側を示す背面図である。
【
図3C】それぞれ第1ケーシングの内側を示す正面図および第1ケーシングの外側を示す背面図である。
【
図3D】それぞれ第1ケーシングの反対側からの側面図である。
【
図3E】それぞれ第1ケーシングの反対側からの側面図である。
【
図3F】それぞれ第1ケーシングの上面図および底面図である。
【
図3G】それぞれ第1ケーシングの上面図および底面図である。
【
図4B】それぞれ第2ケーシングの内側を示す正面図および第2ケーシングの外側を示す背面図である。
【
図4C】それぞれ第2ケーシングの内側を示す正面図および第2ケーシングの外側を示す背面図である。
【
図4D】それぞれ第2ケーシングの反対側からの側面図である。
【
図4E】それぞれ第2ケーシングの反対側からの側面図である。
【
図4F】それぞれ第2ケーシングの上面図および底面図である。
【
図4G】それぞれ第2ケーシングの上面図および底面図である。
【
図5A】注射器内にシリンジを支持するカートリッジの等角図である。
【
図5B】それぞれ2つの異なる回転方向からのカートリッジの側面図である。
【
図5C】それぞれ2つの異なる回転方向からのカートリッジの側面図である。
【
図5D】それぞれカートリッジの上面図および底面図である。
【
図5E】それぞれカートリッジの上面図および底面図である。
【
図6A】それぞれ注射器の遠位チューブの等角図および側面図である。
【
図6B】それぞれ注射器の遠位チューブの等角図および側面図である。
【
図6C】それぞれ遠位チューブの上面図および底面図である。
【
図6D】それぞれ遠位チューブの上面図および底面図である。
【
図7A】それぞれプランジャスライダの等角図、2つの側面図、上面図、および底面図である。
【
図7B】それぞれプランジャスライダの等角図、2つの側面図、上面図、および底面図である。
【
図7C】それぞれプランジャスライダの等角図、2つの側面図、上面図、および底面図である。
【
図7D】それぞれプランジャスライダの等角図、2つの側面図、上面図、および底面図である。
【
図7E】それぞれプランジャスライダの等角図、2つの側面図、上面図、および底面図である。
【
図8A】それぞれロックリングの等角図、底面図、および側面図である。
【
図8B】それぞれロックリングの等角図、底面図、および側面図である。
【
図8C】それぞれロックリングの等角図、底面図、および側面図である。
【
図11A】注射器キャップおよびそれに連結されたシリンジキャップが遠位チューブから取り外された状態の注射器の側面図である。
【
図11C】プランジャスライダが遠位に押し下げ可能なように回転された状態の、
図11Bの注射器の側面図である。
【
図11D】プランジャスライダが遠位に押し下げられた状態の、
図11Cの注射器の側面図である。
【
図11E】注射器キャップおよびシリンジキャップが、それぞれ遠位チューブおよびシリンジに戻って連結された状態の、
図11Dの注射器の側面図である。
【
図12A】使用前の注射器の縦断側面図であり、注射器の内部構成要素を見るためにプランジャスライダが回転されている。
【
図12B】注射器キャップおよび(それに連結された)シリンジキャップが遠位チューブから取り外された状態の、
図12Aの注射器の縦断側面図である。
【
図12C】たとえば患者の皮膚への遠位チューブの適用から遠位チューブを後退させた状態の、
図12Bの注射器の縦断側面図である。
【
図12D】シリンジから薬物を分注するようにプランジャスライダが遠位に押し下げられた状態の、
図12Cの注射器の縦断側面図である。
【
図12E】たとえば患者の皮膚から遠位チューブが取り外された状態から遠位チューブが前進した状態の、
図12Dの注射器の縦断側面図である。
【
図12F】注射器キャップおよびシリンジキャップが遠位チューブに戻された状態の、
図12Eの注射器の縦断側面図である。
【
図13A】注射器の残りの部分から第1ケーシングを離して回転させてその内部構成要素を露出させた状態の注射器の側面図である。
【
図13B】トラック内に位置したロックリングのポストの画像を含む、第1ケーシング内に画定されたトラックのクローズアップおよび垂直反転図である。ロックリングのポストは、トラックの始点に位置している。
【
図13C】第1ケーシングを注射器の残りの部分から離して回転させてその内部構成要素を露出させた状態の注射器の側面図である。
【
図13D】トラック内に位置したロックリングのポストの画像を含む、第1ケーシング内に画定されたトラックのクローズアップおよび垂直反転図である。ロックリングのポストは、トラックの始点とロック端との間のほぼ中間点に位置している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aは、組み立てられた状態のプレフィルドシリンジ安全デバイスおよび注射器100(以下、「注射器」または「デバイス」と呼ぶ)の等角図である。本明細書でいう注射器100は、1回量の物質(たとえば薬物)を含むプレフィルドシリンジを含んでもよい。あるいは、注射器100は、プレフィルドシリンジを含まなくてもよい。注射器100は、プレフィルドシリンジを含む注射器システムの一構成要素であってもよい。注射器100は、プレフィルドシリンジ、包装および使用説明書を含むキットの一構成要素であってもよい。
【0021】
本明細書に記載の注射器100は、1回量の物質を注射するために、デバイスにプレフィルドシリンジを装填することを可能にする。本明細書で説明され示される注射器は、使用者が自分のペースで注射部位に針を挿入し、次いで手動で薬を注入することを可能にする。これは、単一ステップで挿入し薬を分注する従来の自動注射器とは異なる。本明細書に記載の注射器100では、使用前および使用後に、針をデバイスの一部で遮蔽してもよい。また、使用後は、針は、デバイスの外側にさらに露出しないようにロックしてもよい。このように、物質の注射は、針が注射部位に露出された(かつ挿入された)後、使用者によって手動で行われる。また、デバイスは、針が露出されるまで、プレフィルドシリンジから物質を分注することを妨げることが可能である。
【0022】
プレフィルドシリンジは、物質(たとえば薬物)を保持するバレルと、バレルと摺動自在に係合したプランジャと、プランジャの反対側でバレルに連結された針とを含む。また、バレルは、その近位端にフランジまたは突起を含んでもよい。
【0023】
図1Aを参照すると、注射器100は、近位端102と、近位端102の反対側の遠位端104と、近位端102および遠位端104を通して長手方向に延びている長手方向軸106とを含む。注射器100はケーシング108を含み、ケーシング108は、スナップ、クリップなどによって互いに固定されるように設計された第1ケーシング110および第2ケーシング112をそれぞれ含む。注射器100は2構成要素ケーシングに限定されない。特定の例では、ケーシング108は単一ピースであってもよい。特定の例では、ケーシング108は2ピースを超えてもよい。
図1Aをさらに参照すると、注射器100は遠位端104にチューブ114をさらに含む。チューブ114はケーシング108に対して移動可能である。より詳細には、チューブ114は、
図1Aに示される延伸位置に付勢されており、その付勢に打ち勝つ力をチューブ114に適用することによって、ケーシング108に対して後退させることが可能である。
【0024】
注射器100は、チューブ112に連結されたキャップ116をさらに含む。キャップ116は、針を覆うシリンジの針キャップ(図示せず)にも連結する大きさであってもよい。従来、プレフィルドシリンジは、針を保護するために針キャップを所定の位置に備えて製造されている。このようにして、注射器100は、針キャップを所定の位置に備え、かつ針キャップに連結する大きさのキャップ116を備えて、無菌環境で注射器システムに組み立てることができる。次いで、チューブ114からキャップ116を取り外すことによって、キャップ116は針キャップも取り外す。
【0025】
注射器100は、その近位端102の近くにプランジャスライダ118をさらに含む。プランジャスライダ118は、注射器100内に収容または封入されたシリンジのプランジャと係合する。後続の図を参照して本願で説明されるように、プランジャスライダ118は、長手方向軸106に対して横方向に回転可能であり、次いで、シリンジ内の物質を分注するように遠位に押し下げ可能である。
【0026】
図1B~
図1Eは、それぞれ組み立てられた状態の4つの異なる回転方向の注射器100の側面図である。図に見られるように、窓120がケーシング110、ケーシング112のそれぞれに画定されている。窓120は、シリンジおよびシリンジのバレル内またはシリンジもしくはシリンジのバレル内の物質が見えるように、両ケーシング110、112を貫通する通路である。それによって、使用者は、注射器100にプレフィルドシリンジが装填されているかどうかを目視することができる。
【0027】
図1Fおよび
図1Gは、それぞれ組み立てられた状態の注射器100の上面図および底面図である。ケーシング108は、大略的に円形の周囲を画定し、プランジャスライダ118は周囲から突き出ている。このように、使用者は、手の残りの部分でケーシング108の周囲を把持しながら、プランジャスライダ118を簡単かつ便利に回転させ、押し下げることができる。
【0028】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ注射器100の等角分解図および側面図である。すでに説明され、図に表示されている構成要素に加えて、注射器100は、さらに、ケーシング108内でシリンジを収容し固定するためのカートリッジ122と、ケーシング108およびカートリッジ122に対してチューブ114を延伸位置に付勢する付勢部材124(たとえば、ばね)と、付勢部材124およびチューブ114とインターフェースまたは係合するロックリング126とを含む。
【0029】
図3Aは、第2ケーシング112(図示せず)と連結して全ケーシング108(図示せず)を形成する第1ケーシング110の内側の等角図である。
図3Bおよび
図3Cは、それぞれ第1ケーシング110の内側を示す正面図および第1ケーシング110の外側を示す背面図である。
図3Dおよび
図3Eは、それぞれ第1ケーシング110の反対側からの側面図である。
図3Fおよび
図3Gは、それぞれ第1ケーシング110の上面図および底面図である。
【0030】
図3Aおよび
図3Bで最もよく見られるように、近位端(画像の上部)において、第1ケーシング110は、第1ケーシング110の長手方向軸130に対して大略的に垂直に延びている横断面128(水平断面とも呼ぶ)によって形成されたスライダスロットまたは開口部140を含む。横断面128は、第1ケーシング110および第2ケーシングの両方によって共同で画定される縦断面132(垂直断面とも呼ぶ)と連続している。横断面128および縦断面132はいずれも、ケーシング110を貫通して画定された貫通孔であり、プランジャスライダ118のステム(図示せず)がそれを貫通することを可能にする。より詳細には、スライダスロット140の横断面128は、プランジャスライダ118の横方向または水平方向の回転を許容し、次いで縦断面132はプランジャスライダ118の遠位への前進または押し下げを許容し、それによってシリンジから物質の分注が行われる。
【0031】
また、第1ケーシング110の近位端には、第1ケーシング110の内面142に画定されたプランジャガイド凹部134がある。凹部134は、第1ケーシング110の全体を貫通しない。しかしながら、別の実施形態では、凹部134は、第1ケーシング110の全体を貫通してもよい。凹部134は、(特に
図4Aおよび
図4Bに示すように)第2ケーシング112にも部分的に画定された横断面136(水平断面とも呼ぶ)を含む。凹部134の横断面136は、第1ケーシング110の長手方向軸130に沿って延びている縦断面138(垂直断面とも呼ぶ)と連続している。凹部134は、プランジャスライダ118の突出部(
図3A~
図3Fには図示せず)を収容しガイドする大きさである。プランジャスライダ118は、突出部とプランジャスライダ118のステムとの両方がいずれもスライダスロット140および凹部134によって同時にガイドされ、操作中のプランジャスライダ118を安定させるように設計されている。
【0032】
図3Aおよび
図3Bに見られるように、第1ケーシング110の中央部は、窓120を取り囲み、中央部に沿って長手方向に延びている突起144を含む。突起144は、内部にシリンジ(図示せず)の一部に当接するような大きさおよび形状の近位側肩部146を含む。図に見られるように、第1ケーシング110は、第2ケーシング112のタブとの連結を容易にするための凹部を含む。
【0033】
遠位端において、第1ケーシング110は、内面142内に画定されたトラックまたはガイド148を含む。トラック148は、カートリッジ122と第1ケーシング110とに対するチューブ114の後退時および延長時にロックリング126の突出部を収容しガイドするような大きさおよび形状の、内面142内に画定された凹部である。トラック148は始点158および終端160を含む。トラック148は、さらに、横断面152と連続する第1縦断面150を含む。横断面152は、アーチ状の経路を含む第2縦断面154と連続している。第2縦断面154は、横ロック部156と連続している。
【0034】
ばねとして描かれている付勢部材124(
図3Aおよび
図3Bには図示せず)は、少なくとも2つの機能を提供する。1つは、シリンジの針を遮蔽するように、チューブ114を延伸位置に付勢する。すなわち、付勢部材124は、チューブ114の遠位に長手方向の力を及ぼす。第2に、付勢部材124は、
図3Aにおいて右から左に回転力を及ぼすように、ロックリング126を回転付勢する。すなわち、付勢部材124は、トラック148の横方向に進むように付勢される。たとえば、付勢部材124の回転付勢によって、ロックリング126は、使用者による付加的な力の提供なしに、横断面152および横ロック部156を通って移行する。付勢部材124の長手方向の力に打ち勝つために、使用者は、チューブ114に近位方向の力を加える。これによって、ロックリング126の突出部が第1縦断面150に沿って移動する。突出部が第1縦断面150の終端に達すると、ロックリング126は、付勢部材124の回転付勢力によって横断面152を通って自動的に回転する。次いで、使用者がチューブ114に対する近位指向力を解除するとき、チューブ114は延び、それによって付勢部材124が延びる。これによって、ロックリング126の突出部は第2縦断面154に沿ってその終端まで移動する。その終端において、ロックリング126は自動的に回転して横ロック部156に入り、横ロック部156を通ってその終端まで移動する。トラック148の終端160において、付勢部材124はロックリング126の突出部を端壁に回転付勢する。端壁がロックリング126の突出部よりわずかに大きいだけなので、ロックリング126の長軸方向移動も規制される。したがって、ロックリング126の突出部が始点158から終端160まで移動すると、ロックリング126はトラック148の終端126でロックされる。ロックリング126はチューブ114に連結されているので、このことは、ロックリング126がトラックの終端126でロックされると、チューブ114は延伸位置にロックされ、後退位置への復帰を防止されることを意味する。遠位端において、第1ケーシング110は、第1ケーシング110と第2ケーシング112との篏合によって形成される遠位開口部162を含む。
【0035】
図4Aは、第2ケーシング112の内側の等角図である。
図4Bおよび
図4Cは、それぞれ第2ケーシング112の内側を示す正面図および第2ケーシング112の外側を示す背面図である。
図4Dおよび
図4Eは、それぞれ第2ケーシング112の反対側からの側面図である。
図4Fおよび
図4Gは、それぞれ第2ケーシング112の上面図および底面図である。
【0036】
図4Aおよび
図4Bで最もよく見られるように、第2ケーシング112の近位端(画像の上部)において、スライダスロット140の縦断面132は、第2ケーシング112に部分的に形成されている。
図3A~
図3Gを参照して説明したように、スライダスロット140は、第1ケーシング110の長手方向軸130に対して大略的に垂直に延びている横断面128によって形成される。横断面128は、第1ケーシング110および第2ケーシング112の両方によって共同で画定される縦断面132と連続している。同様に、プランジャガイド凹部134の横断面136の一部は、第2ケーシング112の内面164に画定されているが、別の部分は、第1ケーシング110の内面142に画定されている。凹部134は、第2ケーシング112の全体を貫通しない。しかしながら、別の実施形態では、凹部134は、第2ケーシング112の全体を貫通してもよい。凹部134は、第1ケーシング110および第2ケーシング112のそれぞれにも部分的に画定される横断面136を含む。凹部134の横断面136は、第1ケーシング110の長手方向軸130に沿って延びている縦断面138と連続している。凹部134は、プランジャスライダ118の突出部(
図4A~
図4Gには図示せず)を収容しガイドする大きさである。
【0037】
第2ケーシング112の近位端には、第2ケーシング112を貫通するプランジャガイドスロットまたは開口部166がある。プランジャガイドスロット166は、第2ケーシング112の長手方向軸130に対して大略的に垂直に延びている(水平に延びているとも記載される)横断面168を含む。横断面168は、第2ケーシング112に沿って長手方向に延びている(垂直方向に延びているとも記載される)縦断面170と連続している。プランジャガイドスロット166は、プランジャスライダ118の突出部を収容しガイドする大きさおよび形状である。プランジャガイド凹部134とは異なり、プランジャガイドスロット166は、第2ケーシング112の側壁全体を貫通している。これによって、プランジャスライダ118の強力なガイド位置合わせが行われるだけでなく、ケーシング108に対するプランジャスライダ118の位置の視覚的な表示または確認も得られる。
【0038】
第2ケーシング112の中央部には、ケーシング108の中心に向かって内側に延びている突出部144がある。突出部144は、後に説明するように、カートリッジを支持し、中央に配置する。第2ケーシング112は、シリンジのバレルのフランジを収容し固定するために突出部144内に画定された凹部172も含み、この凹部172はカートリッジ122内に支持される。シリンジバレルが凹部172によって所定の位置に保持された状態で(かつケーシング108に対して大略的に固定位置に保持された状態で)、プランジャスライダ118は、シリンジのプランジャをバレル内に遠位に押し下げ、それによってシリンジのバレルから物質(たとえば薬物)を分注するように操作する。
【0039】
突出部144の遠位側には、近位側肩部146に対向配置された遠位側肩部174がある。遠位側肩部174は、カートリッジ122の一部と当接し、ケーシング108内のカートリッジ122の近位移動を規制する大きさおよび形状である。
【0040】
近位端に戻って参照すると、第2ケーシング112は、第1ケーシング110と第2ケーシング112とが連結されたときにケーシング108の近位端を封止する近位キャップ178を含む。中央部および遠位端において、第2ケーシング112は、外側に突出し、第1ケーシング110の対応する凹部に連結するような大きさおよび形状のタブ176を含む。
【0041】
図5Aは、注射器100(図示せず)のケーシング108(図示せず)内でシリンジを支持するカートリッジ122の等角図である。
図5Bおよび
図5Cは、それぞれ2つの異なる回転方向からのカートリッジ122の側面図である。
図5Dおよび
図5Eは、それぞれカートリッジ122の上面図および底面図である。図に見られるように、カートリッジ122は、近位端の近位開口部182(
図5Aの画像の上部)から遠位端の遠位開口部184(
図5Aの画像の下部)まで延びている通路180を有する管状体である。カートリッジ122は、カートリッジ122の外面188から外側に延びている1対の位置合わせフィン186を含む。位置合わせフィン186は、遠位前進を防止するためにケーシング108の近位側表面に当接する遠位面190を含む。特定の例において、位置合わせフィン186は、単一のフィンであってもよく、1対以上のフィンであってもよい。ケーシング108に挿入されたとき、位置合わせフィット186は、第1ケーシング110の突出部144内に収容される大きさおよび形状である。また、遠位面190は、窓120のケーシングの一部を画定する突出部144の上壁192(
図3Aに見られるような)に当接する。
【0042】
カートリッジ122の中央部には、カートリッジ122の長手方向軸に対して大略的に垂直な近位側表面194を有する円錐台形リング形状の環状フランジ192がある。近位側表面194は、近位に角度を付けるように角度をなすかまたは面取りされた遠位対向面196に結合されている。カートリッジ122がケーシング108内に位置するとき、環状フランジ192は突出部144の遠位側肩部174に当接する。この当接によって、ケーシング108内のカートリッジ122の近位移動を防止する。したがって、カートリッジは、一度ケーシング108に挿入されると、突出部144の遠位側肩部174と環状フランジ192との相互作用(近位移動)と、窓120のケーシングの一部を画定する突出部の上壁192と位置合わせフィン186の相互作用とによって、その中での近位移動および遠位移動の両方から防止される。
【0043】
図5Dおよび
図5Eに見られるように、環状フランジ192は、遠位面196から近位面194まで延びている貫通孔198を含む。貫通孔198は、付勢部材124(たとえば、ばね)(
図5Dおよび
図5Eには図示せず)の端部を収容する大きさである。前述のように、付勢部材124は、外側の位置または延伸位置におけるロックリング126およびチューブ114にかかる長手方向の力と、ロックリング126に対する回転力との両方を及ぼす。付勢部材124は、貫通孔198を介してカートリッジ122に連結され、カートリッジ122は、前述のように、ケーシング108内のその位置に固定されている。
【0044】
図6Aおよび
図6Bは、それぞれ注射器100のチューブ114の等角図および側面図である。
図6Cおよび
図6Dは、それぞれチューブ114の上面図および底面図である。図に見られるように、チューブ114は、近位開口部202から遠位開口部204まで延びている通路200を含む。チューブ114は、近位端に管状表面206および連結構造208を含む。連結構造208は、環状リム210および近位突起212を含む。連結構造208は、その上にロックリング126を収容する大きさである。すなわち、ロックリング126は、摩擦嵌合配置で近位突起212の上に取り付けられてもよく、または、これらは貼り合わされてもよい(たとえば機械式ファスナまたは化学ファスナ)。チューブの遠位端は、チューブ114の遠位リムから遠位に突出したナブ214を含む。ナブ214は、注射器100が患者に適用されるとき、使用者の皮膚に当接する。ナブ214は、使用者に感覚刺激として作用するため、針刺しに対する恐怖が軽減される。
【0045】
図7A~
図7Eは、それぞれプランジャスライダ118の等角図、2つの側面図、上面図、および底面図である。図に見られるように、プランジャスライダ118は、上面218を有するキャップ216と、上面218に連結された円筒形側壁220とを含む。
図7Eに見られるように、内部にシリンジのプランジャの端部を収容するために、側壁220と上面218との間に空洞222が画定されている。
図7Eに続けて、側壁220の内面224からキャップ216の下側226まで、内側に延びている一連の突起228が延びている。一連の突起228は、シリンジのプランジャが中心から外れないように、シリンジのプランジャを中央に配置する。
【0046】
キャップ216の側壁220に連結され、そこから外側に延びている第1突起230および第2突起232がある。第1突起230は、第1ケーシング110および第2ケーシング112に部分的に画定された凹部134内に嵌合し摺動する大きさおよび形状の4つの側面突起の形態である。第2突起232は、第2ケーシング112内に画定されたプランジャガイドスロット166内に嵌合し摺動する大きさおよび形状のポストの形態である。
【0047】
図7Dおよび
図7Eに最もよく見られるように、プランジャスライダ118は、ステム234によってキャップ216に連結された係合構造236(親指スライダ)を含む。係合構造236は、把持のための隆起部と、同様に把持のための半径方向に突出した部分とを含む。係合構造236は、代替の形状および大きさを含んでもよい。図面に示す実施形態は、係合構造236の例示に過ぎない。キャップ216は、ステム234が、ケーシング108内に画定されたプランジャスライダスロット140を通って延び、第1突起が、ケーシング108のプランジャスライダ凹部134内に延び、第2突起が、ケーシング108のプランジャガイドスロット166内に延びるように、ケーシング108内に嵌合する大きさおよび形状である。このようにして、使用者がプランジャスライダ118を回転させ、次いで係合構造236に遠位圧力をかけると、プランジャスライダ118は、3つのガイドによってガイドされる。この3つのガイドによって、大略的に、プランジャスライダ118の正確な位置合わせと、注射器100の一貫した適用とが確実となる。
【0048】
図8A~
図8Cは、それぞれロックリング126の等角図、底面図、および側面図である。ロックリング126は、近位端(
図8Aおよび
図8Cにおけるロックリング126の上部)から遠位端まで延びている貫通孔240を有する円筒形側壁238を含む。側壁238からロックリング126の長手方向軸に対して垂直な方向に外側に延びているのは、円筒形の突出部またはポスト242である。突出部242は、前述のように、第1ケーシング110の内面142のトラック148内に収容され、トラック148によってガイドされる大きさおよび形状である。ロックリング126の近位端には、付勢部材またはばね124の端部を収容するための、内部に画定された取付穴246を有する切り込み部244がある。ロックリング126は、遠位チューブ114と一体に形成されてもよいことに留意されたい。すなわち、ロックリング126と遠位チューブ114は、単一ピース構造であってもよい。
【0049】
図9は、注射器100の遠位キャップ116の等角図である。キャップ116は、チューブ114内に嵌合され内部に保持される大きさの外側円筒面250を有するチューブ248を含む。チューブ248の基部には、チューブ114がキャップ116と嵌合するとき、チューブ114の遠位端に形成されたナブを収容するための一連のディボット254を有するフランジ252がある。フランジ252から遠位に延びているのは、使用者が把持するための隆起部256を有する両面構造である。チューブ248の内面は、従来のシリンジキャップに密接に当接し連結する表面を含む。したがって、チューブ114との連結からキャップ116を取り外すことによって、シリンジからシリンジキャップも取り外される。
【0050】
図10は、注射器100の付勢部材124の等角図である。図に見られるように、付勢部材124はばねであり、より具体的には圧縮ばねである。付勢部材124は、1対の端部258を含む。端部258の対の一方は、カートリッジ122の環状フランジ192の貫通孔198内に収容され、付勢部材124の反対端258はロックリング126の貫通孔246内に収容される。前述のように、使用時に、付勢部材124は、チューブ114の近位端に取り付けられたロックリング126に付勢力を及ぼす。この付勢力によって、チューブ114は、シリンジの針を覆う延伸位置に付勢される。また、付勢部材124は、回転力によってロックリング126が第1ケーシング110に画定されたトラック148を通って移動するような回転付勢が組み込まれている。ロックリング126の回転付勢は、ケーシング108に対するチューブ114の1回の後退とその後の延長時に、ロックリング126と連結されたチューブ114とをロックする。言い換えれば、注射器100は、シリンジの針を露出させるためにチューブ114の1回の後退を可能にするように設計されている。また、後退後のチューブ114の再延長時に、付勢部材124の回転付勢によって、針を遮蔽する延伸位置にチューブ114がロックされる。
【0051】
図11A~
図11Eは、様々な使用段階にある注射器100を示している。
図11Aは、注射器キャップ116とそれに連結されたシリンジキャップ260とが遠位チューブ114から取り外された状態の注射器100の側面図である。この図では、針は注射器100のチューブ114で遮蔽されているが、注射器100は使用者に適用される準備ができている。
【0052】
図11Bは、遠位チューブ114を後退させた状態の
図11Aの注射器100の側面図である。この図では、使用者は、注射のために身体の一部に遠位チューブ114を適用している。遠位チューブ114に適用される力は、近位方向(画像の上部に向かう)であり、付勢部材124(図示せず)の付勢力に打ち勝つのに十分である。それによって、遠位チューブ114がケーシング108内に後退するとき、針262が露出される。針262は、ケーシング108に対して固定位置に留まることに留意されたい。すなわち、針262は、遠位チューブ114の後退によって露出される。そして、針262は、続いて、針262の上への遠位チューブ114の延長によって遮蔽される。
図11Bに戻って参照すると、この図で、針262は患者の皮膚に挿入される。
【0053】
図11Cは、プランジャスライダ118が遠位に押し下げ可能なように回転された状態の、
図11Bの注射器100の側面図である。針262が皮膚に挿入された状態で、次に使用者は、プランジャスライダのステム(図示せず)をスライダスロット140の縦断面132と位置合わせするように、スライダスロット140内でプランジャスライダ118を横方向に回転させる。
【0054】
図11Dは、プランジャスライダ118が遠位に押し下げられた状態の、
図11Cの注射器100の側面図である。プランジャスライダ118がスライダスロット140の縦断面132と位置合わせされると、プランジャスライダ118はシリンジから物質を分注するように遠位に前進可能である。この図は、使用者が組織内に物質を分注したところである。
【0055】
図11Eは、注射器キャップ116およびシリンジキャップ260が、それぞれ遠位チューブ114およびシリンジに戻って連結された状態の、
図11Dの注射器100の側面図である。プランジャスライダ118が遠位に前進した後、使用者は、注射部位から注射器100を近位に後退させてもよい。これによって、遠位チューブ114が遠位に延びてロック位置になる。この時点で、シリンジキャップ260および注射器キャップ116は遠位チューブ114に再び挿入されてもよい。この画像は、シリンジキャップ260が再び挿入されていることを示しているが、単に注射器キャップ116を再挿入するだけでも十分であろう。
【0056】
図12A~
図12Fは、様々な構成要素の相互作用が見えるように、注射器100の様々な画像を断面で示している。これらの画像は、フランジ266を有するバレル264、プランジャ268、および針262を含むシリンジ270を示す。
図12Aは、使用前の注射器100の縦断側面図であり、注射器100の内部構成要素を見るために、プランジャスライダ118が、プランジャスライダスロット140の縦断面132と位置合わせされるように回転されている。図に見られるように、プランジャ268の近位端は、プランジャスライダ118の空洞222内に位置する。また、バレル264のフランジ266は、突出部144内に画定された凹部172内に位置している。それによって、バレル264は、ケーシング108内での遠位から近位への移動を拘束され、プランジャ268は、プランジャスライダ118によって遠位に移動可能である。また、図に見られるように、シリンジ270のバレル264は、バレル264のフランジ266がカートリッジ122の近位端に当接するようにカートリッジ122内に位置している。環状フランジ192は、突出部144の遠位対向面174に当接する。このようにして、カートリッジ122は、ケーシング108内の所定の位置にロックされる。画像に見られるように、シリンジキャップ260は注射器キャップ116内に取り付けられ、針262の周りにも取り付けられる。また、シリンジキャップ260および注射器キャップ116は、使用前に針262を遮蔽するために遠位チューブ114に取り付けられる。画像に見られるように、付勢部材124はカートリッジ122の周りに位置し、カートリッジ122とロックリング126との間に連結されている。
【0057】
図12Bは、注射器キャップ116および(それに連結された)シリンジキャップ260が遠位チューブ114から取り外された状態の、
図12Aの注射器100の縦断側面図である。この状態では、針262は遠位チューブ114の側壁206によって側面が遮蔽されている。また、遠位チューブ114が針262の先端を超えて延びているため、使用者は、使用前に針262の偶発的な突き刺しからなお遮蔽されている。
図12Cは、使用者または患者の注射部位への遠位チューブ114の適用時に生じるような、遠位チューブ114をケーシング108内に後退させた状態の、
図12Bの注射器100の縦断側面図である。
図12Cに見られるように、遠位チューブ114がケーシング108内に後退させられると、付勢部材124は、ロックリング126とカートリッジ122の環状フランジ192との間で圧縮される。前述のように、カートリッジ122はケーシング108内の所定の位置に固定され、シリンジはケーシング108内に固定される(バレル264および針262をカートリッジ122に対して固定位置にして)。
図12Cに見られるように、遠位チューブ114は後退位置にある。この位置では、付勢部材124はほぼ完全に圧縮されている(さらなる後退は可能ではない)。この状態では、遠位チューブ114の遠位端204は、ケーシング108の遠位端とほぼ面一である。
【0058】
図12Dは、シリンジ270のバレル264内から物質を分注するようにプランジャスライダ118が遠位に押し下げられた状態の、
図12Cの注射器100の縦断側面図である。
図12Eは、遠位チューブ114が延伸位置に延ばされ、延伸位置にロックされた状態の
図12Dの注射器100の縦断側面図である。最後に、
図12Fは、注射器キャップ116およびシリンジキャップ260が遠位チューブ114に戻された状態の、
図12Eの注射器100の縦断側面図である。
【0059】
使用者が遠位タブ114を注射部位に適用すると、チューブ114が延伸状態から後退状態に移行するときに、針262が注射部位に入ることに留意されたい。後退状態では、針262は注射部位で患者内に位置している。シリンジから薬物を分注した後、使用者は注射器100を注射部位から引き離し、それによって遠位チューブ114は延ばされてロックされた位置に延ばされる。
【0060】
図13A~
図13Dは、どのようにして注射器100が単回使用の操作を容易にするかを例示している。すなわち、この注射器は、遠位チューブ114の1回の後退と、その後の遠位チューブ114の延伸位置でのロックを可能にする。言い換えれば、注射器100は、最初の使用後に針262の露出を規制する単回使用デバイスである。
図13Aおよび
図13Cの画像において、シリンジ270が分注されていることに留意されたい。図の目的は、遠位チューブ114、ケーシング108、ロックリング126、および付勢部材124に関連するロック機構を明示することである。したがって、プランジャスライダ118およびプランジャ268の位置決めは、この特定の議論には重要でない。
【0061】
図13Aは、第1ケーシング110を、その内部構成要素を露出するように、注射器100の残りの部分から離して回転させた状態の注射器100の側面図である。より詳細には、シリンジ270のバレル264はカートリッジ122内に位置し、フランジ266はケーシング108の凹部172内に位置している。カートリッジ122はケーシング108内に固定され、環状フランジ192および1対の突起186によって所定の位置に固定されている。付勢部材124は、遠位チューブ114を延伸位置に付勢するように、ロックリング126および環状フランジ192に連結されている。遠位チューブ114の環状リム210は、ケーシング108に対する遠位チューブ114のさらなる遠位移動を防止する。すなわち、環状リム210は、ケーシング108からの遠位チューブ114のはずれを防止する。
【0062】
図13Bは、トラック148内に位置したロックリング126のポスト242の画像を含む、第1ケーシング110内に画定されたトラック148のクローズアップおよび垂直反転図である。
図13Bの画像は、第1ケーシング110および第2ケーシング112が連結されたときのトラック148に対するポスト242の移動をシミュレートするために反転されている。
図13Aおよび
図13Bに見られるように、ロックリング126のポスト242は、トラック148の始点158に位置している。
【0063】
プレフィルドシリンジ270を内部に備えて使用者に提供されるとき、ロックリング126のポスト242は、
図13Aおよび
図13Bに示すように、トラック148の始点158に位置している。遠位チューブ114が患者の注射部位に適用されると、遠位チューブ114はケーシング108内に後退する。これによって、ロックリング126のポスト242は、トラック148の第1縦断面150に沿って近位に移動する。
図13Cおよび
図13Dに見られるように、ポスト242は近位に後退し、トラック148の横断面152に沿ってガイドされる。
【0064】
図13Cは、第1ケーシング110を、第2ケーシング112および注射器100の内部構成要素の残りの部分から離して回転させた注射器100の側面図である。
図13Dは、トラック148内に位置しているロックリング126のポスト242の画像を含む、第1ケーシング110内に画定されたトラック148のクローズアップおよび垂直反転図である。ロックリング126のポスト242は、トラック148の始点158とロック端160との間のほぼ中間点である横断面152に位置している。前述のように、ポスト242が横断面152に入ると、付勢部材124の回転付勢によって、ロックリング126は第2縦断面154の方向に回転する。
図13Cは、横断面152を通る移行プロセスにあるポスト242を示す。
【0065】
この位置で、針262は露出しており、患者の注射部位にある。この位置で、使用者は、
図13Cに示すプランジャスライダ118を押し下げることによって、シリンジ270から薬物を分注する。ケーシング108に対して遠位チューブ114を最も近位に後退させた位置では、ポスト242はトラック148の頂部272に位置している。この位置で、使用者が注射部位から注射器100を引き抜くと、遠位チューブ114が延び始める。この延長の間、ポスト242は第2縦断面154に沿って下に移動する。遠位チューブ114が完全に延びることが許容される場合、ポスト242は第2縦断面154の端部に触れ、付勢部材124の回転付勢によってポスト242は回転してトラック148の横ロック部156に入る。付勢部材124は、ポスト242をトラック148の端部160に付勢する。端部160は、ポスト242の移動を許容しない3つの壁によって画定される。それによって、遠位チューブ114は延伸位置にロックされる。
【0066】
このようにして、注射器100は、ロックされる前に1回だけ薬物を分注するために使用することができる。すなわち、注射器100は、針による単回注射と、その後の注射器100のロックとを可能にする使用のために提供される。
【0067】
上記は、単に本発明の原理を例示したに過ぎない。本明細書における教示を考慮すれば、当業者には、記載された実施形態に対する様々な修正および変更が明らかになるであろう。したがって、当業者は、本明細書に明示的に図示または記載されてはいないものの、本発明の原理を具現化し、したがって本発明の精神および範囲内にある多数のシステム、配置および方法を考案することができることが理解されるであろう。上記の説明および図面から、図示および記載された特定の実施形態は、例示のみを目的とするものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことは、当業者には理解されるであろう。特定の実施形態の詳細への言及は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ、バレルおよび針を有するシリンジとともに使用する注射器であって、
内部に前記シリンジを支持するように構成されたカートリッジと、
管状体、ケーシング遠位開口部、内面、内容積、前記管状体を貫通するスライダスロット、および前記内面に画定されたトラックを含むケーシングであって、前記カートリッジが前記ケーシング内に支持される、ケーシングと、
チューブ遠位端を含み、前記カートリッジと摺動可能に係合し、延伸状態および後退状態になるように構成されたチューブであって、前記後退状態では前記シリンジの針が前記チューブ遠位端と前記ケーシング遠位開口部とを超えて延びる、チューブと、
前記カートリッジと前記チューブとに係合し、前記チューブを前記延伸状態に付勢する、付勢部材と、
突出部を含み、前記チューブと前記付勢部材とに係合したリングであって、前記突出部が少なくとも部分的に前記トラック内に位置する、リングと、
前記ケーシングの内容積内で前記シリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有するプランジャスライダであって、前記第1部分から延びると共に前記スライダスロットによってガイドされて前記シリンジの前記プランジャを押し下げるように構成された第2部分を有する、プランジャスライダと
を備える、注射器。
【請求項2】
請求項1に記載の注射器において、
前記延伸状態では、前記チューブが前記針の先端を超えて遠位に延びている、注射器。
【請求項3】
請求項1に記載の注射器は、更に、
前記チューブの前記チューブ遠位端に連結するように構成された遠位キャップを含む、注射器。
【請求項4】
請求項3に記載の注射器において、
前記遠位キャップは、管状延長部を含み、
前記管状延長部は、前記チューブの前記チューブ遠位端から前記遠位キャップを取り外すことによって前記シリンジから針キャップも取り外されるように前記シリンジの前記針キャップを内部に収容し固定する大きさの開口部を有する、注射器。
【請求項5】
請求項1に記載の注射器において、
前記チューブは、前記リングの前記突出部と前記トラックとの相互作用によって、前記延伸状態から前記後退状態に移行した後にロックされた延伸状態に移行するように構成されている、注射器。
【請求項6】
請求項1に記載の注射器において、
前記チューブ、更に、前記チューブの遠位端に複数のナブを含む、注射器。
【請求項7】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングは、更に、長手方向軸を含み、
前記スライダスロットは、前記長手方向軸に対して横方向である第1断面および前記長手方向軸に対して平行である第2断面を含む、注射器。
【請求項8】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングは、更に、前記管状体を貫通する少なくとも1つの覗き窓を含む、注射器。
【請求項9】
請求項1に記載の注射器は、更に、
1回量の物質が充填済みの前記シリンジを含む、注射器。
【請求項10】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングの内面は、内部に前記シリンジのフランジを収容し固定するように構成された凹部を含む、注射器。
【請求項11】
プランジャ、フランジを有するバレル、および針を有するシリンジとともに使用する注射器であって、
内部に前記シリンジを支持するように構成されたカートリッジと、
本体、ケーシング遠位開口部、内容積、および前記本体を貫通するスライダスロットを含むケーシングであって、前記カートリッジが前記ケーシング内に支持される、ケーシングと、
チューブ遠位端を含み、前記カートリッジと摺動可能に係合し、チューブが延伸状態のときに前記チューブ遠位端が前記針の先端を超えて遠位にかつ前記ケーシング遠位開口部を超えて遠位に延びるように付勢されているチューブであって、
前記チューブが後退状態のときに前記シリンジの針が前記チューブ遠位端および前記ケーシング遠位開口部を超えて延びるように
、付勢力に打ち勝つことによって近位に後退させられるように構成され
、前記後退状態の後に前記チューブが再び伸びるように付勢されて前記延伸状態でロックされる、チューブと、
前記ケーシングの内容積内で前記シリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有するプランジャスライダであって、前記第1部分から延びると共に前記シリンジの前記プランジャを押し下げるために前記スライダスロットに沿うように構成された第2部分を有する、プランジャスライダと、
を含む、注射器。
【請求項12】
請求項11に記載の注射器は、更に、
1回量の薬物が充填されたプレフィルドシリンジを含む、注射器。
【請求項13】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングの内面は、更に、
その内側に形成された溝状のガイドを含み、
プランジャスライダは、更に、突起を含み、
突起は、プランジャスライダがプランジャの押し下げをガイドするときに溝状のガイド内を摺動するように構成されている、注射器。
【請求項14】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングは、前記シリンジの前記バレルの前記フランジを支持するように構成された凹部を含む、注射器。
【請求項15】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングは、前記シリンジの前記バレルの視界を提供するように構成されかつ内部に画定された少なくとも1つの窓を含む、注射器。
【請求項16】
請求項11に記載の注射器において、
前記チューブは、前記カートリッジと摺動関係にあり、
付勢部材は、前記チューブと前記カートリッジとの間に作動可能に連結されている、注射器。
【請求項17】
請求項16に記載の注射器において、
前記ケーシングがその内面に画定されたトラックを含み、
前記チューブが前記トラックと係合し、
前記チューブが延伸状態でロックされるように構成されている、注射器。
【請求項18】
請求項17に記載の注射器において、
前記チューブが前記ケーシングに対して後退させられた後にのみ、前記チューブが延伸状態でロックされるように構成されている、注射器。
【請求項19】
請求項11に記載の注射器は、更に、
前記付勢力を提供するように構成されたばねを含む、注射器。
【請求項20】
請求項19に記載の注射器において、
前記ばねが、前記チューブに連結されたロックリングに回転付勢を与え、
前記回転付勢が、前記チューブを延伸状態でロックするように構成されている、注射器。
【請求項21】
患者の注射部位に物質を注射する方法であって、
前記患者の前記注射部位に隣接して注射器の遠位チューブを位置決めすることであって、前記注射は、その遠位端に開口部を有するケーシングと、前記ケーシング内に収容され、内部にシリンジを支持するカートリッジであって、前記シリンジが内部に前記物質を封入し、バレル、針およびプランジャを含むカートリッジと、前記シリンジの前記プランジャと係合しているプランジャスライダとを含み、前記遠位チューブは、前記針を超えてかつ前記ケーシングの前記遠位端で前記開口部から少なくとも部分的に外側に延びるように、摺動自在に前記カートリッジと連結されかつ延伸位置に付勢される、ことと、
前記患者の前記注射部位に対して前記遠位チューブを押し下げることであって、それによって前記遠位チューブを後退位置にし、前記針が前記遠位チューブを超えて前記患者の前記注射部位に突出する、ことと、
前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させることであって、前記シリンジの前記バレル内に前記プランジャを押し下げることで、前記針を通して前記患者の前記注射部位に前記バレルから前記物質を分注する、ことと、
前記患者の前記注射部位から前記遠位チューブを後退させることであって、それによって前記遠位チューブを前記延伸位置にロックさせる、ことと
を備える、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法は、更に、
前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させる前に、前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを回転させること
を備える、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記プランジャスライダが回転している間は、前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させることが規制されている、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法において、
前記注射器は、更に、前記遠位チューブに連結されたロックリングを含み、
前記ロックリングは、前記ケーシング上の対応する機構によってガイドされて前記遠位チューブが前記延伸位置にロックされることを容易にする機構を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記機構がポストであり、前記対応する機構が前記ケーシングの内側に形成されたトラックである、方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ、バレルおよび針を有するシリンジとともに使用する注射器であって、
内部に前記シリンジを支持するように構成されたカートリッジと、
管状体、ケーシング遠位開口部、内面、内容積、前記管状体を貫通するスライダスロット、および前記内面に画定されたトラックを含むケーシングであって、前記カートリッジが前記ケーシング内に支持される、ケーシングと、
チューブ遠位端を含み、前記カートリッジと摺動可能に係合し、延伸状態および後退状態になるように構成されたチューブであって、前記後退状態では前記シリンジの針が前記チューブ遠位端と前記ケーシング遠位開口部とを超えて延びる、チューブと、
前記カートリッジと前記チューブとに係合し、前記チューブを前記延伸状態に付勢する、付勢部材と、
突出部を含み、前記チューブと前記付勢部材とに係合したリングであって、前記突出部が少なくとも部分的に前記トラック内に位置する、リングと、
前記ケーシングの内容積内で前記シリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有するプランジャスライダであって、前記第1部分から延びると共に前記スライダスロットによってガイドされて前記シリンジの前記プランジャを押し下げるように構成された第2部分を有する、プランジャスライダと
を備える、注射器。
【請求項2】
請求項1に記載の注射器において、
前記延伸状態では、前記チューブが前記針の先端を超えて遠位に延びている、注射器。
【請求項3】
請求項1に記載の注射器は、更に、
前記チューブの前記チューブ遠位端に連結するように構成された遠位キャップを含む、注射器。
【請求項4】
請求項3に記載の注射器において、
前記遠位キャップは、管状延長部を含み、
前記管状延長部は、前記チューブの前記チューブ遠位端から前記遠位キャップを取り外すことによって前記シリンジから針キャップも取り外されるように前記シリンジの前記針キャップを内部に収容し固定する大きさの開口部を有する、注射器。
【請求項5】
請求項1に記載の注射器において、
前記チューブは、前記リングの前記突出部と前記トラックとの相互作用によって、前記延伸状態から前記後退状態に移行した後にロックされた延伸状態に移行するように構成されている、注射器。
【請求項6】
請求項1に記載の注射器において、
前記チューブ
は、更に、前記チューブの遠位端に複数のナブを含む、注射器。
【請求項7】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングは、更に、長手方向軸を含み、
前記スライダスロットは、前記長手方向軸に対し
て平行であ
る断面を含む、注射器。
【請求項8】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングは、更に、前記管状体を貫通する少なくとも1つの覗き窓を含む、注射器。
【請求項9】
請求項1に記載の注射器は、更に、
1回量の物質が充填済みの前記シリンジを含む、注射器。
【請求項10】
請求項1に記載の注射器において、
前記ケーシングの内面は、内部に前記シリンジのフランジを収容し固定するように構成された凹部を含む、注射器。
【請求項11】
プランジャ、フランジを有するバレル、および針を有するシリンジとともに使用する注射器であって、
内部に前記シリンジを支持するように構成されたカートリッジと、
本体、ケーシング遠位開口部、内容積、および前記本体を貫通するスライダスロットを含むケーシングであって、前記カートリッジが前記ケーシング内に支持される、ケーシングと、
チューブ遠位端を含み、前記カートリッジと摺動可能に係合し、チューブが延伸状態のときに前記チューブ遠位端が前記針の先端を超えて遠位にかつ前記ケーシング遠位開口部を超えて遠位に延びるように付勢されているチューブであって、前記チューブが後退状態のときに前記シリンジの針が前記チューブ遠位端および前記ケーシング遠位開口部を超えて延びるように、付勢力に打ち勝つことによって近位に後退させられるように構成され、前記後退状態の後に前記チューブが再び伸びるように付勢されて前記延伸状態でロックされる、チューブと、
前記ケーシングの内容積内で前記シリンジのプランジャと係合するように構成された第1部分を有するプランジャスライダであって、前記第1部分から延びると共に前記シリンジの前記プランジャを押し下げるために前記スライダスロットに沿
ってガイドされるように構成された第2部分を有する、プランジャスライダと、
を含む、注射器。
【請求項12】
請求項11に記載の注射器は、更に、
1回量の薬物が充填されたプレフィルドシリンジを含む、注射器。
【請求項13】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングは、前記シリンジの前記バレルの前記フランジを支持するように構成された凹部を含む、注射器。
【請求項14】
請求項11に記載の注射器において、
前記ケーシングは、前記シリンジの前記バレルの視界を提供するように構成されかつ内部に画定された少なくとも1つの窓を含む、注射器。
【請求項15】
請求項11に記載の注射器において、
前記チューブは、前記カートリッジと摺動関係にあり、
付勢部材は、前記チューブと前記カートリッジとの間に作動可能に連結されている、注射器。
【請求項16】
請求項1
5に記載の注射器において、
前記ケーシングがその内面に画定されたトラックを含み、
前記チューブが前記トラックと係合し、
前記チューブが延伸状態でロックされるように構成されている、注射器。
【請求項17】
請求項1
6に記載の注射器において、
前記チューブが前記ケーシングに対して後退させられた後にのみ、前記チューブが延伸状態でロックされるように構成されている、注射器。
【請求項18】
請求項11に記載の注射器は、更に、
前記付勢力を提供するように構成されたばねを含む、注射器。
【請求項19】
請求項1
8に記載の注射器において、
前記ばねが、前記チューブに連結されたロックリングに回転付勢を与え、
前記回転付勢が、前記チューブを延伸状態でロックするように構成されている、注射器。
【請求項20】
患者の注射部位に物質を注射する方法であって、
前記患者の前記注射部位に隣接して注射器の遠位チューブを位置決めすることであって、前記注射は、その遠位端に開口部を有するケーシングと、前記ケーシング内に収容され、内部にシリンジを支持するカートリッジであって、前記シリンジが内部に前記物質を封入し、バレル、針およびプランジャを含むカートリッジと、前記シリンジの前記プランジャと係合しているプランジャスライダとを含み、前記遠位チューブは、前記針を超えてかつ前記ケーシングの前記遠位端で前記開口部から少なくとも部分的に外側に延びるように、摺動自在に前記カートリッジと連結されかつ延伸位置に付勢される、ことと、
前記患者の前記注射部位に対して前記遠位チューブを押し下げることであって、それによって前記遠位チューブを後退位置にし、前記針が前記遠位チューブを超えて前記患者の前記注射部位に突出する、ことと、
前記ケーシングに対して前記プランジャスライダを遠位に前進させることであって、前記シリンジの前記バレル内に前記プランジャを押し下げることで、前記針を通して前記患者の前記注射部位に前記バレルから前記物質を分注する、ことと、
前記患者の前記注射部位から前記遠位チューブを後退させることであって、それによって前記遠位チューブを前記延伸位置にロックさせる、ことと
を備える、方法。
【請求項21】
請求項2
0に記載の方法において、
前記注射器は、更に、前記遠位チューブに連結されたロックリングを含み、
前記ロックリングは、前記ケーシング上の対応する機構によってガイドされて前記遠位チューブが前記延伸位置にロックされることを容易にする機構を含む、方法。
【請求項22】
請求項2
1に記載の方法において、
前記機構がポストであり、前記対応する機構が前記ケーシングの内側に形成されたトラックである、方法。
【国際調査報告】