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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】保護コロイド及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CEY
C08J9/04 CFC
C08J9/04 CFF
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576242
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2022081421
(87)【国際公開番号】W WO2022194241
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110296133.8
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523327994
【氏名又は名称】立鎧精密科技(塩城)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LUXCASE PRECISION TECHNOLOGY (YANCHENG) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Yancai Road, Tinghu District Yancheng, Jiangsu 224000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 鴻
(72)【発明者】
【氏名】張 恒
(72)【発明者】
【氏名】晏 金宝
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA48
4F074AA64
4F074AA81
4F074AC09
4F074AC17
4F074AD13
4F074AD16
4F074AD19
4F074AG02
4F074AG09
4F074AG20
4F074AH04
4F074BA31
4F074BA91
4F074CC04Y
4F074CC06W
4F074CC10X
4F074CC22X
4F074DA33
4F074DA47
4F074DA59
(57)【要約】
本発明は保護コロイド及びその使用方法を開示し、加工及び製造の技術分野に属し、保護コロイドを構成する原材料はUVエポキシ変性アクリレートポリマー、熱膨脹粒子、可塑剤、活性モノマー及びカチオン光開始剤を含み、UVエポキシ変性アクリレートポリマーの重量パーセントは40~65%であり、熱膨脹粒子の重量パーセントは2~10%であり、可塑剤の重量パーセントは10~15%であり、活性モノマーの重量パーセントは10~30%であり、カチオン光開始剤の重量パーセントは1~3%である。本発明が提供する保護コロイド及びその使用方法は、加工工程において保護コロイドとアッタチメントとが分離する状況が発生しにくく、保護コロイドがアッタチメントを効果的に保護できるようにし、且つ保護コロイドが変質しにくく、アッタチメントに残留コロイドを形成する確率を低減し、保護コロイドの剥離を容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護コロイドであって、
前記保護コロイドを構成する原材料はUVエポキシ変性アクリレートポリマー、熱膨脹粒子、可塑剤、活性モノマー及びカチオン光開始剤を含み、
前記UVエポキシ変性アクリレートポリマーの重量パーセントは40~65%であり、前記熱膨脹粒子の重量パーセントは2~10%であり、前記可塑剤の重量パーセントは10~15%であり、前記活性モノマーの重量パーセントは10~30%であり、前記カチオン光開始剤の重量パーセントは1~3%であることを特徴とする保護コロイド。
【請求項2】
前記熱膨脹粒子の熱安定温度は100℃であり、且つ前記熱膨脹粒子は前記保護コロイド中に均一に分布している請求項1に記載の保護コロイド。
【請求項3】
前記熱膨脹粒子はシェルと、前記シェル内にある発泡剤とを含む請求項1に記載の保護コロイド。
【請求項4】
前記発泡剤は物理発泡剤である請求項3に記載の保護コロイド。
【請求項5】
前記保護コロイドを構成する原材料は更に磁性粒子を含み、前記磁性粒子の重量パーセントは2~5%である請求項1に記載の保護コロイド。
【請求項6】
前記磁性粒子は、炭化鉄、酸化第二鉄、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライトのうちの1つ又はそれらの組合せを含み、且つ前記磁性粒子の粒径は10~200ナノメートルである請求項5に記載の保護コロイド。
【請求項7】
前記保護コロイドを構成する原材料は更に蛍光剤を含み、前記蛍光剤の重量パーセントは0.1~0.5%である請求項1に記載の保護コロイド。
【請求項8】
前記蛍光剤は、スチルベン型蛍光剤、クマリン型蛍光剤、ピラゾリン型蛍光剤、ベンゾオキサゾール型蛍光剤、ジカルボニルイミド型蛍光剤のうちの1つ又はそれらの組合せを含む請求項7に記載の保護コロイド。
【請求項9】
前記可塑剤及び前記活性モノマーは水溶性を有し、且つ前記可塑剤はポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000のうちの1つ又はそれらの組合せを含み、前記活性モノマーはポリエチレングリコールアクリレートを含む請求項1に記載の保護コロイド。
【請求項10】
前記カチオン光開始剤は、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、混合型液状トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルチオヘキサフルオロホスフェート、ビス(4,4′-チオエーテルトリフェニルスルホニウム)ヘキサフルオロホスフェート、4-イソブチルフェニル-4′-メチルフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートのうちの1つ又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の保護コロイド。
【請求項11】
保護コロイドの使用方法であって、硬化ステップ及び分離ステップを含み、
前記硬化ステップは、
アッタチメントにディスペンス、スプレー又はハケ塗りの方式で請求項1~10のいずれか1項に記載の保護コロイドを塗布し、前記保護コロイドが液状を呈するS1と、
UV硬化プロセスにより液状の前記保護コロイドを硬化処理することで、前記保護コロイドを硬化させて前記アッタチメントとの間に付着力を形成させ、前記UV硬化プロセス過程における紫外線の波長を365ナノメートル、395ナノメートル又は405ナノメートルとするS2と、を含み、
前記分離ステップは、
前記保護コロイドの温度を110℃よりも高く制御し、前記保護コロイド内の熱膨脹粒子が膨脹して内圧が発生することにより、一部又は全部の前記保護コロイドを膨脹させて前記アッタチメントから分離させるS3と、
前記アッタチメント及び前記アッタチメントに付着して残った一部の前記保護コロイドを60~95℃の水中に所定時間置くことにより、前記アッタチメント上の残った一部の前記保護コロイドを溶解し、前記所定時間を2~20分間とするS4と、を含むことを特徴とする保護コロイドの使用方法。
【請求項12】
前記保護コロイドを構成する原材料は更に磁性粒子を含み、そして、ステップS3において、固体状態の前記保護コロイドが交番磁界を通過するように制御することにより、前記磁性粒子が前記交番磁界のエネルギーを吸収して熱に変換するようにし、前記交番磁界の磁界発生器の電力は200ワット以上であり、前記磁界発生器の周波数は300キロヘルツ以上である請求項11に記載の保護コロイドの使用方法。
【請求項13】
ステップS2において、固体状態の前記保護コロイドの厚さは100~200ナノメートルであり、且つ固体状態の前記保護コロイドは75ショアーD以上の材料硬度を有する請求項11に記載の保護コロイドの使用方法。
【請求項14】
ステップS3において、前記保護コロイドの温度を110℃よりも高く且つ150℃よりも低く制御する請求項11に記載の保護コロイドの使用方法。
【請求項15】
ステップS3において、前記熱膨脹粒子の膨脹体積と初期体積との比が300%よりも小さい請求項11に記載の保護コロイドの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本願は、2021年03月19日に提出した中国特許出願第202110296133.8号、発明の名称「保護コロイド及びその使用方法」の優先権を主張し、該出願の全ての内容が援用により本願に取り込まれる。
【0002】
本発明は製品の加工及び製造の技術分野に関し、特に保護コロイド及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子製品の加工工程では、一般的にコンピュータ数値制御工作機械を用いてワークの切削、加工などの操作を行う。
【0004】
ワークの加工工程においては、ワークの表面を保護するために、一般的にワークの表面に保護フィルムを貼り付ける必要がある。従来技術では、保護フィルムを接着剤でワークの表面に貼り付けていたるが、接着剤は温度に比較的敏感であり、温度がより高いと接着剤の粘度を低下させることとなり、更に保護フィルムが加工工程においてワークから分離し易くなってしまう。また、加工工程の温度変化、切削液の衝撃、切削液の化学腐食などに起因して接着剤が変質し易くなって、保護フィルムの剥離が困難になり、更にワークの表面に大量の残留コロイドを形成して効果的に除去できなくなってしまう。以上から分かるように、従来技術においてワークを保護する保護フィルムはワークを効果的に保護できず、また、剥離がより困難であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アッタチメントを効果的に保護でき、且つアッタチメントからの分離がより容易である保護コロイド及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これに鑑みて、本発明が用いる技術的解決策は以下のとおりである。
保護コロイドであって、組成の原材料はUVエポキシ変性アクリレートポリマー、熱膨脹粒子、可塑剤、活性モノマー及びカチオン光開始剤を含み、
前記UVエポキシ変性アクリレートポリマーの重量パーセントは40~65%であり、前記熱膨脹粒子の重量パーセントは2~10%であり、前記可塑剤の重量パーセントは10~15%であり、前記活性モノマーの重量パーセントは10~30%であり、前記カチオン光開始剤の重量パーセントは1~3%である。
【0007】
選択肢として、前記熱膨脹粒子はシェルと、前記シェル内にある発泡剤とを含み、硬化後の前記保護コロイドの温度が110℃~150℃の間にある場合、前記発泡剤は熱を受けて気化して内圧が発生し、且つ前記シェルが熱を受けて軟化して膨脹し、それにより前記保護コロイドを膨脹させる。
【0008】
選択肢として、前記保護コロイドを構成する原材料は更に磁性粒子を含み、前記磁性粒子の重量パーセントは2~5%である。
【0009】
選択肢として、前記磁性粒子は、炭化鉄、酸化第二鉄、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライトのうちの1つ又はそれらの組合せを含み、且つ前記磁性粒子の粒径は10~200ナノメートルである。
【0010】
選択肢として、前記保護コロイドを構成する原材料は更に蛍光剤を含み、前記蛍光剤の重量パーセントは0.1~0.5%であり、且つ前記蛍光剤は、スチルベン型蛍光剤、クマリン型蛍光剤、ピラゾリン型蛍光剤、ベンゾオキサゾール型蛍光剤、ジカルボニルイミド型蛍光剤のうちの1つ又はそれらの組合せを含む。
【0011】
選択肢として、前記可塑剤及び前記活性モノマーは水溶性を有し、且つ前記可塑剤はポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000のうちの1つ又はそれらの組合せを含み、前記活性モノマーはポリエチレングリコールアクリレートを含む。
【0012】
選択肢として、前記カチオン光開始剤は、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、混合型液状トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルチオヘキサフルオロホスフェート、ビス(4,4′-チオエーテルトリフェニルスルホニウム)ヘキサフルオロホスフェート、4-イソブチルフェニル-4′-メチルフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートのうちの1つ又はそれらの組合せを含む。
【0013】
保護コロイドの使用方法であって、硬化ステップ及び分離ステップを含み、
前記硬化ステップは、
アッタチメントにディスペンス、スプレー又はハケ塗りの方式で上記の保護コロイドを塗布し、前記保護コロイドが液状を呈するS1と、
UV硬化プロセスにより液状の前記保護コロイドを硬化処理することで、前記保護コロイドを硬化させて前記アッタチメントとの間に付着力を形成させ、前記UV硬化プロセス過程における紫外線の波長を365ナノメートル、395ナノメートル又は405ナノメートルとするS2と、を含み、
前記分離ステップは、
前記保護コロイドの温度を110℃よりも高く制御し、前記保護コロイド内の熱膨脹粒子が膨脹して内圧が発生することにより、一部又は全部の前記保護コロイドを膨脹させて前記アッタチメントから分離させるS3と、
アッタチメント及び前記アッタチメントに付着して残った一部の前記保護コロイドを60~95℃の水中に所定時間置くことにより、前記アッタチメント上の残った一部の前記保護コロイドを溶解し、前記所定時間を2~20分間とするS4と、を含む。
【0014】
選択肢として、前記保護コロイドを構成する原材料は更に磁性粒子を含み、そして、ステップS3において、固体状態の前記保護コロイドが交番磁界を通過するように制御することにより、前記磁性粒子が前記交番磁界のエネルギーを吸収して熱に変換するようにし、前記交番磁界の磁界発生器の電力は200ワット以上であり、磁界発生器の周波数は300キロヘルツ以上である。
【0015】
選択肢として、ステップS2において、固体状態の前記保護コロイドの厚さは100~200ナノメートルであり、且つ固体状態の前記保護コロイドは75ショアーD以上の材料硬度を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
本発明が提供する保護コロイド及び保護コロイドの使用方法において、保護コロイドは熱膨脹粒子を有し、且つ、保護コロイドの温度が110℃よりも高い場合、熱膨脹粒子は膨脹し、保護コロイドとそのアッタチメントとの分離を容易にするが、保護コロイドの温度が110℃よりも低い場合、熱膨脹粒子は膨脹しないため、硬化後の保護コロイドとアッタチメントとの間の付着力に影響することがなく、更に加工工程において保護コロイドとアッタチメントとが分離する状況が発生しにくく、保護コロイドがアッタチメントを効果的に保護できるようにし、且つ、UVエポキシ変性アクリレートポリマーはUV硬化プロセスにより硬化した後、切削液の衝撃、切削液の化学腐食などに抵抗することができ、保護コロイドが変質しにくくなるようにし、アッタチメントに残留コロイドを形成する確率を低減し、保護コロイドの剥離を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の実施例に係る硬化ステップのフローチャートである。
図2図2は本発明の実施例に係る分離ステップのフローチャートである。
図3図3は本発明の実施例に係る保護コロイド及び保護コロイドの使用方法がCNC加工プロセスに応用されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的問題、用いる技術的解決策及び実現する技術的効果をより明確にするために、以下に図面を参照しながら具体的な実施形態によって本発明の技術的解決策を更に説明する。理解されるように、ここで説明される具体的な実施例は単に本発明を解釈するためのものであり、本発明を制限するものではない。なお、説明の都合上、図面には本発明に関わる部分のみを示しており、その全部を示している訳ではない。
【0019】
本実施例は保護コロイドを提供し、ワーク(即ち、アッタチメント)の表面に付着することによりワークの加工工程においてアッタチメントを保護することに用いることができ、本実施例が提供する保護コロイドはアッタチメントの加工工程においてアッタチメントから分離することがより困難であり、且つアッタチメントの加工が完了した後、アッタチメントから剥離することがより容易である。
【0020】
保護コロイドを構成する原材料は、UVエポキシ変性アクリレートポリマー、熱膨脹粒子、可塑剤、活性モノマー及びカチオン光開始剤を含む。
【0021】
UVエポキシ変性アクリレートポリマーとはUVエポキシ処理を経た後のアクリレートポリマーを指し、UV硬化プロセス過程において変性する特徴を有する。具体的には、UVエポキシ変性アクリレートポリマーは、UV硬化プロセスによる処理を経た後、元の液体状態から固体状態に変化することができる。本実施例では、UVエポキシ変性アクリレートポリマーの重量パーセントは50~75%の間にあり、本実施例では40~65%を例とするが、本発明の実施を制限するものではない。保護コロイドの主な成分であり、保護コロイドがUVエポキシ変性アクリレートポリマーの特性を有することができるようにし、即ち、保護コロイドは、UV硬化プロセスにより硬化することでアッタチメントに貼り付けることができる。
【0022】
上記熱膨脹粒子の重量パーセントは2~20%の間にあり、本実施例では2~10%を例とするが、本発明の実施を制限するものではない。熱膨脹粒子は熱を受けて膨脹する特性を有し、具体的には、保護コロイドの温度が110℃よりも高い場合、熱膨脹粒子が膨脹して内圧が発生することにより、保護コロイドが熱膨脹粒子の作用によって膨脹するようにし、アッタチメントとの分離を容易にする。選択肢として、熱膨脹粒子の熱安定温度が100℃である、即ち、保護コロイドの温度が100℃よりも低い場合、熱膨脹粒子はいかなる異常も生じることなく、安定を維持することができ、更に加工工程における温度変化に抵抗することができる。保護コロイドの温度が100℃よりも高く且つ110℃よりも低い場合、熱膨脹粒子は不安定状態にあり、熱膨脹粒子中の分子は運動するが、熱膨脹粒子の体積は変化せず、即ち、熱膨脹粒子は膨脹しない。
【0023】
上記可塑剤の重量パーセントは3~25%の間にあり、本実施例では10~15%を例とするが、本発明の実施を制限するものではなく、且つ可塑剤は保護コロイド中の各原材料間の相溶性を向上させ、保護コロイドの柔軟性を向上させ、保護コロイドの引張強度を低下させ、保護コロイドの耐衝撃性及び低温性能を改善するなどの役割を有する。
【0024】
上記活性モノマーの重量パーセントは5~40%の間にあり、本実施例では10~30%を例とするが、本発明の実施を制限するものではなく、且つ液状の保護コロイドのレオロジー特性を調節する役割を有する。
【0025】
上記カチオン光開始剤の重量パーセントは0.5~5%の間にあり、本実施例では1~3%を例とするが、本発明の実施を制限するものではなく、且つカチオン光開始剤は保護コロイドの分子を励起状態に光活性化させ、更に分子に一連の反応を生じさせ、最終的に超強プロトン酸を生成する。超強プロトン酸はカチオン重合の活性種としてエポキシ化合物、ビニルエーテル、ラクトン、アセタール、環状エーテルなどの重合を開始することができる。
【0026】
本実施例が提供する保護コロイドは熱膨脹粒子を有し、且つ、保護コロイドの温度が110℃よりも高い場合、熱膨脹粒子は膨脹し、保護コロイドとそのアッタチメントとの分離を容易にするが、保護コロイドの温度が110℃よりも低い場合、熱膨脹粒子は膨脹しないため、硬化後の保護コロイドとアッタチメントとの間の付着力に影響することがなく、更に加工工程において保護コロイドとアッタチメントとが分離する状況が発生しにくく、保護コロイドがアッタチメントを効果的に保護できるようにし、且つ、UVエポキシ変性アクリレートポリマーはUV硬化プロセスにより硬化した後、切削液の衝撃、切削液の化学腐食などに抵抗することができ、保護コロイドが変質しにくくなるようにし、アッタチメントに残留コロイドを形成する確率を低減し、保護コロイドの剥離を容易にする。
【0027】
選択肢として、本実施例における熱膨脹粒子はコアシェル構造の熱破裂性マイクロスフェアであり、例示的に、熱膨脹粒子はシェルと、シェル内にある発泡剤とを含み、シェルは球状を呈し発泡剤で包まれている。硬化後の保護コロイドの温度が110℃~150℃の間にあり、即ち、保護コロイドの温度が110℃よりも高く且つ150℃よりも低く、例えば、120℃である場合、シェル内の発泡剤は熱を受けて気化して内圧が発生し、即ち、本実施における発泡剤は物理発泡剤であってもよいとともに、シェルが熱を受けて軟化して発泡剤と共に膨脹することにより熱膨脹粒子が急激に膨脹して引っ張られて薄くなるようにし、熱膨脹粒子の内圧及び外部張力の作用によって保護コロイドを膨脹させ、コロイドが膨脹した後にアッタチメントでの粘着力を低減することができ、更に保護コロイドの剥離を容易にする。以上から分かるように、保護コロイドの温度を150℃よりも低く制御することにより、熱膨脹粒子が変質することを防止することができる。
【0028】
なお、保護コロイドの温度が110℃~150℃の間にある場合、熱膨脹粒子は膨脹し始め、膨脹時間を5秒間よりも短くすることにより保護コロイドの分離効率を向上させることができる。熱膨脹粒子の膨脹体積と初期体積との比を300%よりも小さくすることにより、熱膨脹粒子が膨脹してから体積が大きすぎることになることを防止する。且つ、熱膨脹粒子が保護コロイド中に均一に分布することにより、保護コロイドとアッタチメントとの分離を更に容易にする。
【0029】
本実施例では、保護コロイドの温度を110℃よりも高くする方式は様々あってもよく、具体的には、保護コロイドを構成する原材料は更に磁性粒子を含み、磁性粒子の重量パーセントは2~5%であり、交番磁界のエネルギーを吸収して熱に変換するためのものであり、保護コロイド自体の温度を上昇させる。具体的には、アッタチメントは加工工程を経た後、アッタチメント及び固体状態の保護コロイドに1つの外部の交番磁界を通過させることができ、保護コロイド内の磁性粒子の磁気熱量効果を利用して渦電流損、ヒステリシス損失、残留損失などにより交番磁界の大量エネルギーを吸収して熱エネルギーに急激に変換し、それにより保護コロイドの温度を110℃以上まで急激に上昇させる。外部の交番磁界のアッタチメント(特に金属材質のアッタチメント)の熱効果への影響が極めて低く、熱源のアッタチメントへの影響を回避し、アッタチメントの加熱膨張/冷却収縮による形状及び寸法上の変形を低減し、アッタチメントの品質が保証される。理解されるように、更に加熱装置により保護コロイド及びアッタチメントを直接加熱することで保護コロイドの温度を110℃よりも高くすることができるが、本実施例はこれに限定されない。
【0030】
更に、本実施例における磁性粒子は、炭化鉄、酸化第二鉄、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライトのうちの1つ又はそれらの組合せを含み、材質の特性によって磁性粒子が磁気熱量効果を効果的に生じることができるようにし、且つ、磁性粒子の粒径が10~200ナノメートルである場合、磁性粒子が保護コロイド中に均一に分布しており、それにより保護コロイドの各位置での温度を同期して上昇させることができるようにする。
【0031】
選択肢として、本実施例では、保護コロイドを構成する原材料は更に蛍光剤を含み、蛍光剤の重量パーセントは0.1~0.5%である。例示的に、蛍光剤は外添加型蛍光剤であり、且つ外添加型蛍光剤は、スチルベン型蛍光剤、クマリン型蛍光剤、ピラゾリン型蛍光剤、ベンゾオキサゾール型蛍光剤、ジカルボニルイミド型蛍光剤のうちの1つ又はそれらの組合せを含み、保護コロイドは、入射光を吸収して蛍光を発生するようにするためのものであり、加工工程において保護コロイド及びアッタチメントの具体的な位置を決定することを容易にし、更に保護コロイドが加工工程においてアッタチメントから分離するかどうかを判断することに用いることができる。
【0032】
本実施例では、可塑剤及び活性モノマーはいずれも水溶性を有し、即ち、可塑剤及び活性モノマーはいずれも水に溶解又は膨潤することができる。例示的に、可塑剤は、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000のうちの1つ又はそれらの組合せを含む。活性モノマーはポリエチレングリコールアクリレートを含む。
【0033】
選択肢として、本実施例におけるカチオン光開始剤は、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、混合型液状トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルチオヘキサフルオロホスフェート、ビス(4,4′-チオエーテルトリフェニルスルホニウム)ヘキサフルオロホスフェート、4-イソブチルフェニル-4′-メチルフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートのうちの1つ又はそれらの組合せを含む。
【0034】
本実施例が提供する保護コロイドは液体状態と固体状態があり、液体状態から固体状態に変化させる場合にはUV硬化プロセスを実行する必要があり、且つ保護コロイドの温度が110℃よりも高い場合、膨脹してアッタチメントから分離することができる。アッタチメントの表面を効果的に保護することができるとともに、従来技術における保護フィルムはプロセス加工工程において耐化学品の強付着力を有する必要があることと、加工後の剥離工程における低付着力・分離容易性とを両立しにくいという矛盾を回避する。保護コロイドは組成が簡単で、大規模な工業的量産に適し、且つアッタチメントに影響せず、安定性が高く、再現性がより高く且つコストが低い。
【0035】
本実施例は上記保護コロイドに用いられる保護コロイドの使用方法を更に提供し、保護コロイドの使用方法は硬化ステップ及び分離ステップを含む。
【0036】
図1に示すように、硬化ステップは下記S1及びS2を含む。
S1 アッタチメントにディスペンス、スプレー又はハケ塗りの方式で液状の保護コロイドを塗布する。
【0037】
アッタチメントの保護を要する位置に保護コロイドを塗布し、且つコロイドの塗布方式は更にディッピングなどを含んでもよい。保護コロイドが液状を呈するため、従来技術における保護フィルムの方式と比較して、特殊な形状の曲面、複雑な特徴位置又は微細構造に保護コロイドを塗布することを容易にすることができ、死角なしの塗布を実現し、保護コロイドの保護効果を向上させる。
【0038】
選択肢として、ステップS1を実行した後、ディスペンス状態の検査を行うことにより、保護コロイドが保護すべき位置を完全に覆うかどうか、及び保護コロイドが均一に分布しているかどうかを決定することができ、YESであればステップS2を実行し、NOであればアッタチメント上の保護コロイドを拭き取って改めてディスペンス、スプレー又はハケ塗りする必要がある。
【0039】
S2 UV硬化プロセスにより液状の保護コロイドを硬化処理することで、保護コロイドを硬化させてアッタチメントとの間に付着力を形成させ、UV硬化プロセス過程における紫外線の波長を365ナノメートル、395ナノメートル又は405ナノメートルとする。
【0040】
保護コロイドにはUVエポキシ変性アクリレートポリマーが含まれているため、保護コロイドはUV照射する際に急激に硬化することができ、UV硬化プロセスは保護コロイドとアッタチメントの表面との間に堅固な化学的付着力を形成させることができ、該化学的付着力は後続の工程における運搬、加工工程における切削液の衝撃及び腐食、陽極酸化の温度及び化学薬液の腐食などに抵抗して、アッタチメントの表面が変形せずに腐食・衝撃されないように保護することができる。
【0041】
選択肢として、ステップS2において、固体状態の保護コロイドの厚さを100~200ナノメートルとすることにより、より高い保護能力を有する。且つ、固体状態の保護コロイドは75ショアーD以上の材料硬度を有することにより、保護コロイドがより高い耐擦傷性及び耐引掻性を有するようにし、更にアッタチメントのすり傷、引掻傷又は打撲傷を効果的に防止することができる。
【0042】
図2に示すように、上記分離ステップは下記S3及びS4を含む。
S3 保護コロイドの温度を110℃よりも高く制御し、保護コロイド内の熱膨脹粒子が膨脹して内圧が発生することにより、一部又は全部の保護コロイドを膨脹させてアッタチメントから分離させる。
【0043】
ステップS3において、一部又は全部の保護コロイドはアッタチメントから分離することができ、このとき、アッタチメント上の保護コロイドを手動で除去してもよく、又はアッタチメントを水中に入れて保護コロイドを大部分又は全部のアッタチメントから分離させてもよい。
【0044】
S4 アッタチメント及びアッタチメントに付着して残った一部の保護コロイドを60~95℃の水中に所定時間置くことにより、アッタチメント上の残った一部の保護コロイドを溶解する。所定時間を2~20分間とする。
【0045】
アッタチメントに保護コロイドの残留物が残らないことを保証するために、アッタチメントを60~95℃の水中に置くことにより、膨脹する保護コロイドがアッタチメントから溢れ出るとともに、アッタチメントの表面の些細な残留物を熱湯で膨潤又は溶解することによりアッタチメントの表面をきれいに保つ必要がある。例示的に、アッタチメントを水中に浸して洗うことにより、残留物を取り出す効果を向上させることができる。
【0046】
本実施例が提供する保護コロイドの使用方法は簡単で操作しやすく、複数の加工工程に応用され得る。
【0047】
選択肢として、保護コロイドを構成する原材料が更に磁性粒子を含む場合、ステップS3は、
固体状態の保護コロイドが交番磁界を通過するように制御し、磁性粒子が交番磁界のエネルギーを吸収して熱に変換するようにし、保護コロイドの温度を110℃よりも高くすることにより、保護コロイド内の熱膨脹粒子が膨脹して内圧が発生するようにし、一部又は全部の保護コロイドを膨脹させてアッタチメントから分離させるS31を含む。
【0048】
交番磁界の磁界発生器の電力を200ワット以上、磁界発生器の周波数を300キロヘルツ以上にすることにより、保護コロイドが十分な熱を発生できるようにする。
【0049】
本実施例が提供する保護コロイド及び保護コロイドの使用方法をコンピュータ数値制御工作機械(CNC、Computer Numerical Control)の加工プロセスに応用する場合、図3に示すように、具体的な工程は以下のとおりである。
S01 イメージセンサによりアッタチメント及び位置特定状況を検査する。
【0050】
アッタチメントの位置特定状況を検査することにより、後続のディスペンスを容易にすることができる。
【0051】
S1 アッタチメントにディスペンス、スプレー又はハケ塗りの方式で液状の保護コロイドを塗布する。
【0052】
S02 ディスペンス状態が合格するかどうかを検査し、YESであればステップS2を実行し、NOであればステップS03を実行し、
S03 アッタチメント上の全ての保護コロイドを拭き取って、ステップS01を実行する。
【0053】
ディスペンスに合格しない場合には、アッタチメントの位置特定が正確ではないため、保護すべき箇所に保護コロイドが配置されていないことになるため、アッタチメントの位置特定状況を検査してアッタチメントの位置を調節する必要がある。
【0054】
S2 UV硬化プロセスにより液状の保護コロイドを硬化処理することで、保護コロイドを硬化させてアッタチメントとの間に付着力を形成させ、UV硬化プロセス過程における紫外線の波長を365ナノメートル、395ナノメートル又は405ナノメートルとする。
【0055】
S04 CNCクランピング及び加工工程を実行し、
S31 固体状態の保護コロイドが交番磁界を通過するように制御し、磁性粒子が交番磁界のエネルギーを吸収して熱に変換するようにし、保護コロイドの温度を110℃よりも高くすることにより、保護コロイド内の熱膨脹粒子が膨脹して内圧が発生するようにし、一部又は全部の保護コロイドを膨脹させてアッタチメントから分離させる。
【0056】
S4 アッタチメント及びアッタチメントに付着して残った一部の保護コロイドを60~95℃の水中に所定時間置くことにより、アッタチメント上の残った一部の保護コロイドを溶解する。所定時間を2~20分間とする。
【0057】
S05 アッタチメントに対して表面検査を行って、表面検査に合格した場合にアッタチメントに対して入庫処理を行う。
【0058】
なお、表面検査に合格しない場合、アッタチメント及び製品の品質を保証するように、手動でフィルムを除去し又は関連する機械器具によりフィルムを除去して、フィルムを除去した後に表面検査を再び行うことができる。
【0059】
以上の実施形態は単に本発明の基本的な原理及び特性を説明するものであり、本発明は上記実施形態により制限されるものではなく、本発明の主旨及び範囲を逸脱しない限り、本発明は更に種々の変化及び変更を行うことができ、これらの変化及び変更はいずれも保護を求める本発明の範囲内に含まれる。本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】