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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】コヒーレント光受信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/61 20130101AFI20240305BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20240305BHJP
【FI】
H04B10/61
H04B10/272
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502582
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2021048073
(87)【国際公開番号】W WO2023281770
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21305933.0
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】フロック、グウィレルム
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA52
5K102AD01
5K102AH11
5K102AH14
5K102AH26
5K102AL08
5K102MB01
5K102MC03
5K102MC07
5K102MD01
5K102MD03
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102PB14
5K102PH21
5K102PH50
5K102RB01
(57)【要約】
コヒーレント光受信機が、局部発振器と、局部発振器によって出力された光信号を変更するように構成された偏波ダイバーシティアクチュエータと、偏波ダイバーシティアクチュエータによって出力された光信号、及びコヒーレント光送信機から受信した、変調された光信号を結合する2×2カプラとを備える。それゆえ、局部発振器は、振幅シフトキーイング変調された光信号にブースト効果を提供する。コヒーレント光受信機は、偏波ダイバーシティアクチュエータの粗い制御のために楕円主軸配向及び/又は楕円位相シフトに作用するドメインスイッチング手順と、偏波ダイバーシティアクチュエータの精密な制御のために偏波ダイバーシティアクチュエータによって出力された光信号の位相において入射した、制御された誤差信号に作用する位相精密化手順とを実行する制御ユニットを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光送信機から振幅シフトキーイング変調された光信号を受信するように意図されたコヒーレント光受信機であって、
局部発振器と、
楕円主軸配向φ及び楕円位相シフトψの楕円偏波を有する光信号を形成するように、前記局部発振器によって出力された光信号を変更するように構成された偏波ダイバーシティアクチュエータと、
前記局部発振器が前記コヒーレント光送信機から受信される前記振幅シフトキーイング変調された光信号にブースト効果を提供することを可能にするように、一方の入力が前記コヒーレント光送信機から受信される前記振幅シフトキーイング変調された光信号を受信し、他方の入力が前記局部発振器及び前記偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力される別の光信号を受信する、2×2カプラであって、前記2×2カプラは、フォトダイオードと、前記フォトダイオードに後置された、前記フォトダイオードによって出力されたアナログ電気信号の連続成分を除去する直流電流フィルタとによって形成されたセットに接続された1つの出力を更に有する、2×2カプラと、
前記直流電流フィルタによって出力された電流電気信号を電圧電気信号に変換するトランスインピーダンス増幅器と、
ドメインスイッチング手順を実行し、前記トランスインピーダンス増幅器によって出力される前記電圧電気信号が前記ブースト効果によって達成可能な理論最大値の所定のパーセンテージに対応する所定の第1の閾値THdsp以下である場合、前記楕円主軸配向φ及び/又は前記楕円位相シフトψを変更することによって前記偏波ダイバーシティアクチュエータの構成変更を命令するように構成された電子回路部の形態の制御ユニットと、
を備え、
前記電子回路部は、位相精密化手順を実行して、前記局部発振器及び前記偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力された前記光信号の位相に制御された誤差信号を挿入し、前記制御された誤差信号の静的成分を、前記トランスインピーダンス増幅器によって出力される最大電圧電気信号に向けて調整するように更に構成される、コヒーレント光受信機。
【請求項2】
前記ドメインスイッチング手順中、前記楕円主軸配向φの変更は、事前定義されたπ/4のシフトを適用することによって実行され、前記楕円位相シフトψの変更は事前定義されたπ/2のシフトを適用することによって実行される、請求項1に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項3】
前記偏波ダイバーシティアクチュエータは、前記楕円主軸配向φの変更を可能にするとともに、前記楕円位相シフトψの変更を可能にする可変ウェーブプレートを備える、請求項1又は2に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項4】
前記電子回路部は、前記ドメインスイッチング手順の連続実行間のスタンバイ期間の自動構成を実施するように構成され、前記自動構成は、
前記トランスインピーダンス増幅器によって出力された前記電圧電気信号の展開のモニタリングが、前記ドメインスイッチング手順の範囲においてまず連続して行われ、
偏波状態に関連する変動の履歴が前記モニタリングによって追跡され、楕円パラメータにおける命令された連続変更間の期間がモニタリングされ、
偏波状態変動の展開が安定すると、前記ドメインスイッチング手順の連続実行間の前記スタンバイ期間が、前記所定の第1の閾値THdspの連続交差間の安定化期間よりも短くなるように定義される、
ことを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項5】
前記電子回路部は、前記位相精密化手順の連続実行間のスタンバイ期間の自動構成を実施するように構成され、前記自動構成は、
前記トランスインピーダンス増幅器によって出力された前記電圧電気信号の展開のモニタリングが、前記位相精密化手順の範囲においてまず連続して行われ、
所定の第2の閾値THprpの連続交差間の期間の履歴がモニタリングされ、
前記位相精密化手順の連続実行間の前記スタンバイ期間が、前記所定の第2の閾値THprpの連続交差間の安定化期間よりも短くなるように定義される、
ことを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項6】
前記制御された誤差信号は、変調された信号である、請求項1~5のいずれか1項に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項7】
前記制御された誤差信号は、前記局部発振器及び前記偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力された前記光信号の位相に対する変調であり、以下の形態、
φ+Δφ cos(Ωt+φ)
において表すことができ、ここで、φは前記制御された誤差信号の静的成分である、請求項6に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項8】
前記位相精密化手順中、前記電子回路部は、Ωによって定義された周波数においてトランスインピーダンス増幅器の出力変動をモニタリングし、前記トランスインピーダンス増幅器によって出力される前記最大電圧電気信号に達する方にφを調整するように構成され、ここで、φはφmaxに等しい、請求項7に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項9】
前記電子回路部は、φmaxを補償するように前記楕円位相シフトψを変更し、更にφをリセットすることによって、前記静的成分φの軽減を転送するように構成される、請求項7又は8に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項10】
前記電子回路部は、前記トランスインピーダンス増幅器の出力における前記最大電圧電気信号が、前記楕円主軸配向φの変更を可能にし、前記楕円位相シフトψの変更を可能にするために前記偏波ダイバーシティアクチュエータにおいて用いられる可変ウェーブプレートの帯域幅に対応する期間にわたって、所定の第3の閾値THmaxを超えて変動しない場合、前記静的成分φの軽減を転送するように構成される、請求項9に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項11】
前記電子回路部は、位相離調の連続した単調の展開を検出するために、位相離調の展開をモニタリングするように構成され、検出された位相離調の連続した単調の展開を補償するために前記局部発振器の波長構成を調整する、請求項1~10のいずれか1項に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項12】
波長調節が実行されると、前記電子回路部は、前記位相精密化手順を再始動するように構成される、請求項11に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項13】
前記電子回路部は、前記局部発振器の再構成過渡期間中、時間間隔をおいて前記位相精密化手順を再始動するように構成される、請求項12に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項14】
前記局部発振器の温度を捕捉する温度センサと、温度ドリフトと波長ドリフトとの関係を確立するルックアップテーブルとを更に備え、前記電子回路部は、前記温度センサによって捕捉された温度の展開をモニタリングし、前記温度の展開によって示される温度ドリフトに対応する波長ドリフトを前記ルックアップテーブルから索出し、前記制御された誤差信号に、前記波長ドリフトによって生じる位相展開の反対の寄与量を重ね合わせるように構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載のコヒーレント光受信機。
【請求項15】
受動光ネットワークにおいて使用されるように意図された光ネットワークユニットであって、前記光ネットワークユニットは、前記受動光ネットワークの光回線終端装置内に含まれるコヒーレント光送信機によって送信された振幅シフトキーイング変調された光信号を受信する、請求項1~14のいずれか1項に記載のコヒーレント光受信機を備える、光ネットワークユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、光通信に関し、より詳細には、光通信のためのコヒーレント光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
受動光ネットワーク(PON)等の光通信は、FTTH(Fiber To The Home)技術展開の範囲において、住宅やオフィスのゲートウェイ又はデータセンターにネットワークアクセス(典型的には、インターネットアクセス)を提供するためにますます使用されている。光通信は、例えば、典型的にはポイントツーポイント機構を使用する3G(第3世代)又は4G(第4世代)モバイル技術の導入範囲において、モバイルインフラストラクチャのバックホールを確保するためにも使用される。
【0003】
5G(第5世代)モバイル技術の台頭とともに、フロントホールが登場し、データレート能力の観点での需要が大幅に増加している。非特許文献1を参照されたい。そのようなフレームワークにおいて、3G又は4Gモバイル技術における基地局又はその近隣で実行されていた処理機能をモバイルインフラストラクチャの上流に移すことによって、フロントホールは達成される。このことは、非特許文献2では分割オプションと呼ばれる(より詳細には、非特許文献2の第11節及び表A-1を参照されたい)。
【0004】
したがって、5Gモバイル技術は、今日までの光アクセス技術の展開の原動力になっていたFTTH要件と比較して、より広範な要件を備えている。それゆえ、5Gモバイル技術は、とりわけ、公称データレートの向上、レイテンシーの削減及び展開の高密度化につながる。このことは、光アクセスのための公称データレートが高くなることを意味するだけでなく、現行のPONシステムでは、典型的にはFTTH分割比が1:64であるのに対し、1:128よりも高い期待分割比も期待される。
【0005】
この傾向に対処するために、コヒーレント光通信が想定されている。コヒーレント光通信は、光の振幅及び位相の変調を使用して、光ファイバ上で大容量のデータ伝送を可能にする技法である。その場合、光ファイバ上でのコヒーレント通信のロバストな性能を達成するために、通常、デジタル信号処理(DSP)が使用される。
【0006】
コヒーレント光通信は既知である。なぜならば、これは、メトロ及びコアネットワーク分野に革命を起こしたためである。すなわち、チャネルのダイバーシティ全体を捕捉する能力及び高いスペクトル効率を得る能力以外にも、良好な光受信機の感度及び良好な波長選択性を挙げることができる。
【0007】
メトロ及びコアネットワーク分野において使用されるコヒーレント光通信の原理については、非特許文献3を参照されたい。この文献では、位相及び偏波のダイバーシティを利用するコヒーレント光受信機を示している。入射したコヒーレント光信号の同相成分及び直交成分を取り出すために90度光ハイブリッドパワースプリッタに基づく2つの位相ダイバーシティホモダイン受信機が、一般的な局部発振器とともに、偏波ダイバーシティ構成に配置される(より詳細には非特許文献3の図9を参照されたい)。搬送波の位相及び偏波の信号状態の変動にもかかわらず、安定して複雑な信号振幅を復元するように位相ダイバーシティ及び偏波ダイバーシティの出力をデジタル処理することによって被変調シンボルを取り出すためにDSP機構が補足的に使用される必要がある。これを行うために、DSP機構は、アンチエイリアシングフィルタ、4チャネルアナログ/デジタル変換器(ADC)、ADCを逆に駆動するためにシンボルレート抽出を可能にする周波数領域等化器(FDE)、クロック位相回復を可能にする適応的有限インパルス応答(FIR)等化器、及びキャリア位相推定器を備える(より詳細には、非特許文献3の図18を参照されたい)。
【0008】
コヒーレント光通信に関する1つの主要な問題は、長距離光ファイバ上での送信では、コヒーレント光受信機において検知できるほどに十分大きい偏波状態の変化が遅くても大きいことを意味することである。伝送連続性を確保するために、光ファイバを介して受信された信号の偏波の状態と、局部発振器の偏波の状態との間の不整合に起因した信号フェージングを回避するために、2つの代替的な手法が使用される。一つの手法は、フルダイバーシティ偏波受信機を用いた複雑なデジタル信号処理を使用して長距離光ファイバによって誘発される偏波の状態の変化を補償することである。もう一つの手法は、例えばフル偏波ダイバーシティを回復することができない事例では、光位相ロックループ(OPLL)を使用して偏波の状態を追跡することである。これらの手法はいずれも、少なくとも2つのアナログ分岐を有する複雑なアナログ及び/又はデジタル機構につながる。例えば、非特許文献4を参照することができる。非特許文献4において開示されているように、偏波の状態を追跡することは、通常、適応的制御ループに結合された無限偏波変成器を想定するものであり、これは、かなり複雑でかつコストが掛かる機構である。
【0009】
前述の説明から、メトロ及びコアネットワーク分野に適用される内在的な理論上のハードウェア実施態様は、ネットワークアクセス分野において必須の要件である、設計複雑度の低さ、電力消費の低さ、製造コスト及び複雑度の低さ、設置コスト及び複雑度の低さ、並びに小サイズには適合していないことが明らかである。実際、ネットワークアクセス分野において設置される機器の数は、特に5Gモバイル技術における基地局の地理的密度期待値を満たすために、メトロ及びコアネットワーク分野において設置する機器の数よりもはるかに多く、さらに、そのような機器を設置する場所は、多くの場合、空間の観点(ホームデバイス、基地局設置場所等)で特に限られている。さらに、メトロ及びコアネットワーク分野における光送信は、ポイントツーポイント長距離をカバーするのに使用される信号増幅に起因する雑音に煩わされる。反対に、ネットワークアクセス分野における光送信は、相対的に短距離で動作するが、分割比を考慮すると信号強度(光受信機によって受信される光子の量)が低くなるため、それゆえ、光受信機の感度が主な懸念事項である。したがって、メトロ及びコアネットワーク分野において使用されるようなコヒーレント光通信技術は、5Gモバイル技術に適していない。
【0010】
5Gモバイル技術の範囲に加えて、コヒーレント光通信は、FTTH展開に適している場合がある。実際、高速インターネットに対する需要の高まりにより、データレートの高速化に加えて現行のPONシステムの分割比を高めている。しかしながら、5Gモバイル技術における基地局の配置に関しては、そのようなPONシステムにおいて使用されるような光ネットワークユニット(ONU)は、ユーザの施設内又はその付近に配置されるので、設計複雑度が低く、電力消費が小さく、製造コスト及び複雑度が低く、設置コスト及び複雑度が低く、並びに小サイズであることが必要となる。さらに、5Gモバイル技術コンテキストに関しては、メトロ及びコアネットワーク分野における光通信は、ポイントツーポイント長距離をカバーするのに使用される信号増幅に起因した雑音に煩わされる。反対に、ネットワークアクセス分野における光通信は、相対的に短距離で動作するが、分割比を考慮すると信号強度(光受信機によって受信される光子の量)が低くなるため、それゆえ、光受信機の感度が主な懸念事項である。したがって、メトロ及びコアネットワーク分野において使用されるようなコヒーレント光通信技術は、FTTH展開にも適していない。
【0011】
したがって、アクセスネットワークの検討事項に適したコヒーレント光受信機のコスト効果的な解決策を提供することが望ましい。さらに、可能な限り簡単な解決策を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】the International Mobile Telecommunications (IMT) recommendations ITU-R M.2083 “IMT Vision: Framework and overall objectives of the future development of IMT for 2020 and beyond”, released in September 2015
【非特許文献2】the specifications 3GPP TR 38.801 V 14.0.0 “Study on new radio access technology: Radio access architecture and interfaces”, released in March 2017
【非特許文献3】“Fundamentals of Coherent Optical Fiber Communications”, K. Kikuchi, Journal of Lightwave Technology, vol. 34, no.1, released in January 2016
【非特許文献4】“Endless Polarization Control Systems for Coherent Optics”, Noe et al, IEEE Journal of Lightwave Technology, vol. 6, no.7, pp. 1199-1207, released in July 1988
【発明の概要】
【0013】
そのために、コヒーレント光送信機から振幅シフトキーイング変調された光信号を受信するように意図されたコヒーレント光受信機であって、局部発振器と、楕円主軸配向φ及び楕円位相シフトψの楕円偏波を有する光信号を形成するように、局部発振器によって出力された光信号を変更するように構成された偏波ダイバーシティアクチュエータと、局部発振器がコヒーレント光送信機から受信される振幅シフトキーイング変調された光信号にブースト効果を提供することを可能にするように、一方の入力がコヒーレント光送信機から受信される振幅シフトキーイング変調された光信号を受信することを目標とし、他方の入力が局部発振器及び偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力される別の光信号を受信する、2×2カプラであって、2×2カプラは、フォトダイオードと、フォトダイオードに後置された、フォトダイオードによって出力されたアナログ電気信号の連続成分を除去する直流電流フィルタとによって形成されたセットに接続された1つの出力を更に有する、2×2カプラと、直流電流フィルタによって出力された電流電気信号を電圧電気信号に変換するトランスインピーダンス増幅器と、ドメインスイッチング手順を実行し、トランスインピーダンス増幅器によって出力される電圧電気信号がブースト効果によって達成可能な理論最大値の所定のパーセンテージに対応する所定の第1の閾値THdsp以下である場合、楕円主軸配向φ及び/又は楕円位相シフトψを変更することによって偏波ダイバーシティアクチュエータの構成変更を命令するように構成された電子回路部の形態の制御ユニットとを備える、コヒーレント光受信機が提案される。さらに、電子回路部は、位相精密化手順を実行して、局部発振器及び偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力された光信号の位相に制御された誤差信号を挿入し、制御された誤差信号の静的成分を、トランスインピーダンス増幅器によって出力される最大電圧電気信号に向けて調整するように更に構成される。それゆえ、そのような単一分岐コヒーレント光受信機を用いることによって、複雑なデジタル信号処理も光位相ロックループも使用されず、したがって、アクセスネットワークの検討事項のためにコスト効果的な解決策が提供される。その上、位相精密化手順は、ドメインスイッチング手順によって提供される粗い構成を最適化することを可能にする。
【0014】
特定の実施の形態において、ドメインスイッチング手順中、楕円主軸配向φの変更は、事前定義されたπ/4のシフトを適用することによって実行され、楕円位相シフトψの変更は、事前定義されたπ/2のシフトを適用することによって実行される。それゆえ、有効なブースト効果の復元は(局部発振器によって提供されるブースト項に起因して)容易に達成される。
【0015】
特定の実施の形態において、偏波ダイバーシティアクチュエータは、楕円主軸配向φの変更を可能にするとともに、楕円位相シフトψの変更を可能にする可変ウェーブプレートを備える。それゆえ、低い複雑度及びコストで、構成変更が容易に実施される。
【0016】
特定の実施の形態において、電子回路部は、ドメインスイッチング手順の連続実行間のスタンバイ期間の自動構成を実施するように構成される。自動構成は、トランスインピーダンス増幅器によって出力された電気信号の展開のモニタリングが、ドメインスイッチング手順の範囲においてまず連続して行われ、偏波状態に関連する変動の履歴がモニタリングによって追跡され、楕円パラメータにおける命令された連続変更間の期間がモニタリングされ、偏波状態変動の展開が安定すると、ドメインスイッチング手順の連続実行間のスタンバイ期間が、所定の第1の閾値THdspの連続交差間の安定化期間よりも短くなるように定義されることを含む。それゆえ、コヒーレント光受信機のエネルギーは、ドメインスイッチング手順の連続実行間のスタンバイ期間中に保持することができ、スタンバイ期間は自動的に定義される。
【0017】
特定の実施の形態において、電子回路部は、位相精密化手順の連続実行間のスタンバイ期間の自動構成を実施するように構成される。自動構成は、トランスインピーダンス増幅器によって出力された電気信号の展開のモニタリングが、位相精密化手順の範囲においてまず連続して行われ、所定の第2の閾値THprpの連続交差間の期間の履歴がモニタリングされ、位相精密化手順の連続実行間のスタンバイ期間が、所定の第2の閾値THprpの連続交差間の安定化期間よりも短くなるように定義されることを含む。それゆえ、コヒーレント光受信機のエネルギーは、位相精密化手順の連続実行間のスタンバイ期間中に保持することができ、スタンバイ期間は自動的に定義される。
【0018】
特定の実施の形態において、制御された誤差信号は、変調された信号である。それゆえ、制御された誤差信号は、トランスインピーダンス増幅器によって出力される電圧電気信号において容易に追跡することができる。
【0019】
特定の実施の形態において、制御された誤差信号は、局部発振器及び偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力された光信号の位相に対する変調であり、以下の形態、
φ+Δφ cos(Ωt+φ)
において表すことができる。ここで、φは制御された誤差信号の上記静的成分である。それゆえ、制御された誤差信号は容易に生成することができる。
【0020】
特定の実施の形態において、位相精密化手順中、電子回路部は、Ωによって定義された周波数においてトランスインピーダンス増幅器の出力変動をモニタリングし、トランスインピーダンス増幅器によって出力される最大電圧電気信号に達する方にφを調整するように構成される。ここで、φはφmaxに等しい。
【0021】
特定の実施の形態において、電子回路部は、φmaxを補償するように楕円位相シフトψを変更し、更にφをリセットすることによって、静的成分φの軽減を転送するように構成される。それゆえ、制御された誤差信号を生成するために用いられる変調器の動力学が保持される。
【0022】
特定の実施の形態において、電子回路部は、トランスインピーダンス増幅器の出力における最大電圧電気信号が、楕円主軸配向φの変更を可能にし、楕円位相シフトψの変更を可能にするために偏波ダイバーシティアクチュエータにおいて用いられる可変ウェーブプレートの帯域幅に対応する期間にわたって、所定の第3の閾値THmaxを超えて変動しない場合、静的成分φの軽減を転送するように構成される。それゆえ、安定に達すると、静的成分φの軽減の転送が行われる。
【0023】
特定の実施の形態において、電子回路部は、位相離調の連続した単調の展開を検出するために、位相離調の展開をモニタリングするように構成され、検出された位相離調の連続した単調の展開を補償するために局部発振器の波長構成を調整する。それゆえ、局部発振器及び偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力される光信号の位相の精密化は、波長ドリフトに起因してタイミング悪くトリガーされない。
【0024】
特定の実施の形態において、波長調整が実行されると、電子回路部は、位相精密化手順を再始動するように構成される。それゆえ、新たな最適化は波長調整を容易に考慮に入れる。
【0025】
特定の実施の形態において、電子回路部は、局部発振器の再構成過渡期間中、時間間隔をおいて位相精密化手順を再始動するように構成される。それゆえ、位相精密化は、局部発振器の再構成過渡期間中に円滑に行われる。
【0026】
特定の実施の形態において、コヒーレント光受信機は、局部発振器の温度を捕捉する温度センサと、温度ドリフトと波長ドリフトとの間の関係を確立するルックアップテーブルとを更に備え、電子回路部は、温度センサによって捕捉された温度の展開をモニタリングし、温度の展開によって示される温度ドリフトに対応する波長ドリフトをルックアップテーブルから索出し、制御された誤差信号に、波長ドリフトによって生じる位相展開の反対の寄与量を重ね合わせるように構成される。それゆえ、光信号位相に対する波長ドリフト効果は容易に管理され、局部発振器及び偏波ダイバーシティアクチュエータによって形成されたセットによって出力される光信号の位相の精密化は、波長ドリフトに起因してタイミング悪くトリガーされない。
【0027】
受動光ネットワークにおいて使用されるように意図された光ネットワークユニットであって、光ネットワークユニットは、受動光ネットワークの光回線終端装置内に含まれるコヒーレント光送信機によって送信された振幅シフトキーイング変調された光信号を受信する、コヒーレント光受信機を備える、光ネットワークユニットが更に提案される。それゆえ、受動光ネットワークインフラストラクチャに低複雑度及びコストの光ネットワークユニット解決策が提供される。
【0028】
本発明の特徴は、実施形態の少なくとも1つの例の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本発明を実施することができる、受動光ネットワークタイプの光通信システムの機構の概略図である。
図1B】本発明を実施することができる、ポイントツーポイントタイプの光通信システムの機構の概略図である。
図2図1A又は図1Bの光通信システムにおいて使用することができるコヒーレント光受信機の機構の概略図である。
図3図2のコヒーレント光受信機の偏波ダイバーシティアクチュエータの機構の概略図である。
図4図2のコヒーレント光受信機の値判定ブロックの機構の概略図である。
図5】ドメインスイッチング手順におけるコヒーレント光受信機の構成を調整するために図2のコヒーレント光受信機の制御ユニットによって実行されるアルゴリズムの概略図である。
図6】位相精密化手順におけるコヒーレント光受信機の構成を調整するために制御ユニットによって実行されるアルゴリズムの概略図である。
図7図2のコヒーレント光受信機の局部発振器の波長を調整するために制御ユニットによって実行されるアルゴリズムの概略図である。
図8】コヒーレント光受信機の温度センサベースの特定の機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
波長及び周波数は直接反比例関係を通して互いに結び付けられ、これら2つの用語は同じ概念を指しているので、当業者によって区別することなく用いられることに留意しなければならない。
【0031】
本発明は、コヒーレント光送信機によって送信された光信号を受信及び検出するように意図された低複雑度のコヒーレント光受信機を実装するために適用することができる。より具体的には、コヒーレント光受信機は、振幅シフトキーイング(ASK)変調された光信号を受信するのに適している。例えば、振幅シフトキーイング(ASK)変調された光信号は、ノンリターンツーゼロオンオフキーイング(NRZ-OOK)変調された光信号である。以降で説明される図1A及び図1Bでは、本発明が有益であるコンテキストの例を導入する。
【0032】
図1Aは、本発明を実施することができる、受動光ネットワーク(PON)タイプの光通信システム100の機構を概略的に表している。
【0033】
図1Aにおける光通信システム100は、典型的にはOLT(光回線終端装置)デバイスであるマスターデバイス110と、典型的にはONU(光ネットワークユニット)デバイスである複数のスレーブデバイス141、142、143とを含む。
【0034】
図1Aにおける光通信システム100は、少なくとも1つのスペクトルスプリッタデバイス130及び/又は少なくとも1つのパワースプリッタを更に含んでもよい。
【0035】
各スペクトルスプリッタデバイス130は、それぞれの波長帯域をフィルタリングすることを目的とする、PONごとの一対の光帯域通過フィルタセットを含み、それゆえ当該スペクトルスプリッタデバイス130は波長分割多重(WDM)を実行可能にする。スペクトルスプリッタデバイス130を使用する代わりに受信ダイオードにフィルタリングフィルムを貼り付けることによって同等の機構を得ることができる。
【0036】
各パワースプリッタは、入力信号パワーを、マスターデバイス110に接続されたスレーブデバイスに向かう出力の数によって分割することによって、マスターデバイス110に接続できるスレーブデバイスの数を増加させることができる。それゆえ、パワースプリッタデバイスの各出力は、入力信号として受信されたものと同じ光情報を送信し、パワースプリッタデバイスは、信号パワーに対してのみ影響を与える。
【0037】
スレーブデバイス141、142、143は、光ファイバ120を使用して少なくとも1つのスペクトルスプリッタデバイス130及び/又は少なくとも1つのパワースプリッタを介してマスターデバイス110に相互接続されている。
【0038】
PONのコンテキストにおいて、ONUは、典型的には、FTTHサービスのためにエンドユーザ宅に配置されるように意図され、OLTは、ONUがメトロポリタン又はコアネットワーク(図示せず)にアクセスすることを可能にする。そのようなPONは、モバイルネットワークインフラストラクチャサービスにも使用される場合がある。
【0039】
図1Bは、本発明を実施することができる、ポイントツーポイントタイプの光通信システムの機構を概略的に表している。
【0040】
図1Bにおける光通信システム100は、マスターデバイス110と、スレーブデバイス140とを含む。マスターデバイス110及びスレーブデバイス140は、光ファイバ120を使用して相互接続されている。
【0041】
モバイルネットワークフロントホーリングインフラストラクチャにおいて、スレーブデバイス140は、典型的には、リモート無線ヘッドロケーションに配置され、マスターデバイス110は、ベースバンドユニット(BBU)ロケーションに配置される。そのような機構は、BBUと、コアネットワークアクセス端末との間のモバイルネットワークバックホーリングインフラストラクチャにも使用される場合がある。
【0042】
図1A及び図1Bの双方の機構において、マスターデバイス110から1つ以上のスレーブデバイスへの情報の光送信を、ダウンリンク送信と呼び、逆方向の光送信を、アップリンク送信と呼ぶ。
【0043】
図1A及び図1Bの双方の機構において、少なくともスレーブデバイス140、141、142、143内に、及び潜在的にはマスターデバイス110内に、低複雑度でかつコスト効果的な光受信機を設置することが望ましい。その上、潜在的な低い信号強度に対処するように、光受信機は高感度であることが望ましい。
【0044】
図2は、図1A又は図1Bの光通信システム100において用いることができるコヒーレント光受信機200の機構を概略的に表している。コヒーレント光受信機200は、復調のために処理すべき信号202を出力する。
【0045】
図2に示される機構によれば、コヒーレント光受信機200は、2×2カプラ220を備える。例えば、2×2カプラ220は、ファイバ溶融型カプラ又は方向性カプラである。
【0046】
2×2カプラ220の一方の入力221には、コヒーレント光送信機によって送信された光信号が入射する。2×2カプラ220の他方の入力222には、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された別の光信号が入射する。
【0047】
局部発振器LO 210は、レーザダイオード、又はレーザダイオードを備える機構である。局部発振器として垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)を使用してもよい。
【0048】
2×2カプラ220の一方の出力223には、フォトダイオード230と、それに後置された、コヒーレント光受信機200のDC(直流電流)フィルタ240とによって形成されたセットが接続される。DCフィルタ240は、フォトダイオード230によって出力されたアナログ電気信号の連続成分を除去する機構である。2×2カプラ220の他方の出力224は未使用のままである。2×2カプラ220の他の出力224は、検出改善又は他の目的のために用いることができる。これを行うことにより、単一のアナログ分岐コヒーレント光受信機がもたらされる。
【0049】
概して、偏波光信号E(t)は、以下のようなジョーンズ表現において記述することができる。
【数1】
これは、光信号の伝播方向に対する横断面における楕円を記述するベクトルに対応する。上記の定式において、Eは、光信号の振幅であり、ωは、光信号の波長であり、Φは、光信号の位相である。その上、上記の定式において、φ∈[0;π[は、偏波楕円の主軸の配向であり、ψは、楕円位相シフトである。直線偏波の場合ψ=0であり、及び円偏波の場合
【数2】
であるという特定の事例となる。
【0050】
それゆえ、2×2カプラ220の出力223において、2×2カプラ220は、以下の合成信号C(t)を提供する。
【数3】
インデックスsを有する光信号パラメータは、コヒーレント光送信機から受信された光信号に関するものである。ただし、信号振幅E0sは変調シンボル継続率において変調されており、インデックスlを有する光信号パラメータは、非変調信号振幅E0lを有する、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号に関するものである。最後に、インデックスloを有する光信号パラメータは、局部発振器LO 210によって出力される光信号(ここでは、位相φlo)に関するものである。
【0051】
局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号は、情報の送信に対して変調されておらず、光検出ダイナミクスの改善を助けるために振幅E0lを変更してもよい。それゆえ、これは、信号振幅E0lのばらつきが有意な情報をそれ自体含まないことを意味する。
【0052】
0l=E0s、ω=ω、φ=φ、及び
【数4】
である場合、合成信号C(t)は、任意の時点において消失してゼロになる。そのような状況は、位相シフトのみによって異なる(場がπだけシフトした偏波の同じ振幅、同じ周波数、同じ状態の)2つの場についてのみ生じる。
【0053】
それゆえ、振幅シフトキーイング光信号を検討し、フォトダイオード230の出力におけるDCフィルタ240の影響を更に検討すると、DCフィルタ240によって出力される電流i(t)は、以下のように表すことができる。
【数5】
ここで、E0s’=R.E0s及びE0l’=R.E0lであり、ただし、R<1は、フォトダイオード230による入射光子の電子への変換率であり、
Δφ=φ-φは、偏波楕円の主軸の配向の差であり、
Δν=ωs-ωは、波長離調であり、
ΔΦ=φ-φlo-ξは、2×2カプラ220によってその入力同士の間で導入される位相シフトξを更に考慮に入れた、コヒーレント光送信機から受信された光信号と、局部発振器LO 210によって出力された光信号(位相φlo)との間の位相シフトである。ただし、通常、
【数6】
であり、
Δψ=ψ-ψは、楕円位相シフトにおける差である。
【0054】
上記のi(t)の式において、以下の項、
【数7】
及び
【数8】
は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットに起因してブースト効果を提供するもので、ブースト項と呼ばれる。
【0055】
それゆえ、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211の制御は、ブースト効果の調整を可能にする。偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を制御するために、コヒーレント光受信機200は、電子回路部の形態の制御ユニット280を更に備え、制御ユニット280は、DCフィルタ240の出力において存在し、線261を介して偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211にループバックする。制御ユニット280は、さらに、局部発振器LO 210も制御し、したがって、少なくとも1つの線、例えば線271を介して局部発振器LO 210にループバックしてもよい。
【0056】
制御ユニット280を形成する電子回路部は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)等のチップ又はチップセットとしてもよい。一変形形態において、制御ユニット280を形成する電子回路部は、少なくとも1つのメモリが付随するプロセッサ(マイクロコントローラ、DSP(デジタル信号プロセッサ)等)としてもよい。電源が投入された後、プロセッサは、メモリから命令を読み出し、制御ユニット280の機能を実施するためにこれらの命令を実行することが可能である。この事例において、制御ユニット280の機能は、ソフトウェア形式であり、これらの機能は、SD(セキュアデジタル)カード等の非一時的記憶媒体上に記憶することができる。
【0057】
トランスインピーダンス増幅器TIA 245は、(DCフィルタ240によって出力される)入力電流を出力電圧に変換するために、DCフィルタ240と制御ユニット280との間に存在する。制御ユニット280は、電気的利得制御のために線251を介してトランスインピーダンス増幅器TIA 245にループバックすることが好ましい。
【0058】
制御ユニット280は、偏波の状態の追跡を実行しないことを理解しておく必要がある。本発明の事例において、コヒーレント光送信機から受信された光信号の偏波の状態も、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号の偏波の状態も正確に知得する必要はない。本発明の範囲において、制御ユニット280は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットの偏波の状態が作用可能なブースト項を得るのに適しているか否かを判断し、(いずれの偏波の関連状態がそのような状況をもたらしたのかを知得することなく)適していない場合、制御ユニット280は、これに応答して、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211の構成を調整する。光信号の偏波の厳密な状態を決定する必要がなく、これを行うには単一のアナログ分岐で十分であり、これによりアナログ複雑度が低減する。さらに、光位相ロックループは必要ではなく、複雑なデジタル信号処理も必要ではなく、これにより、設計複雑度が更に低減する。作用可能なブースト項は、それらの理論最大値の事前定義された閾値パーセンテージ(例えば、20%)以上であるブースト項であり、これは、局部発振器LO 210によって出力される光信号の強度の最大値である。
【0059】
上記の定式から、E0s’=E0l’である(E0s=E0lを意味する)とき、ただし、更なるΔφ=(2q+1)π、
【数9】
及びΔψ=2kπ、
【数10】
であるとき、i(t)は、φ及びφと無関係にゼロに等しい。
【0060】
上記の定式から、E0s’=E0l’である(E0s=E0lを意味する)とき、ただし、更なるΔφ=(2q+1)π、
【数11】
及びΔψ=(2k+1)π、
【数12】
であるときも、i(t)は、φ及びφと無関係にゼロに等しい。
【0061】
それゆえ、これは、これらの2つの事例において、コヒーレント光送信機によって受信された光信号と、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号とが、同じ偏波状態にあるが、πの位相シフトを有することを意味する。これらのケースに直面する条件を考慮すると、これらは、変調シンボルにおける連続サンプル間の1つのサンプルにおいて直面する場合があり、復調動作中に容易に復元することができるため、ほとんど生じないものと考えられる。それにもかかわらず、少なくとも1つの特定の実施形態において本明細書に詳述するように、これらの事例に直面する場合の解決策を提供することにより、コヒーレント光受信性能は改善する。
【0062】
より重要なことに、局部発振器LO 210は、以下の状況が満たされない限り、光ファイバから到来する光信号をブーストすることを可能にする。
【数13】
【0063】
これらの状況とは別に、局部発振器LO 210は、光受信機の感度を高めることを可能にし、とりわけ、PONにわたる分割比の改善とともに、伝送データレートを高めることを可能にする。シンボル粒度において有効なブースト信号を得るために、(アナログ又はデジタルのいずれかの方法で)包括的で体系的な偏波追跡及び偏波変換を提供する必要はないように見える。
【0064】
上記の状況を回避するために、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211は、局部発振器LO 210によって出力されたときに光信号を要求に応じて変更するように制御ユニット280によって制御される。換言すれば、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を制御することにより、上記の状況に直面したときにこれを回避することが可能になる。実際、2×2カプラ220の入力222に入射する信号の偏波の状態の小さい変化でさえ、ブースト項のうちの少なくとも1つがゼロに等しくならないような十分な差を生み出す。実際、これらのブースト項のうちの少なくとも1つがゼロに等しくならず、さらにこれらの項が互いを補償しない場合にブースト効果が得られる。
【0065】
それゆえ、制御ユニット280の主要な機能は、コヒーレント光送信機から受信される光信号が有用な情報を含む間には電気信号i(t)が消失してゼロにならないことを保証し、それゆえ、局部発振器LO 210によって提供されることが想定されるブースト効果が、上記で言及された事前定義された閾値パーセンテージを上回るように可能な限り維持されることを保証することである。
【0066】
トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電気信号が所定の閾値THdspを下回ることを制御ユニット280が検出すると、制御ユニット280は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の偏波の状態を変更するために、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を制御する。結果として、コヒーレント光送信機から受信された光信号が有用な情報を含む事例においてブースト効果が得られる。なぜならば、偏波の状態の敏感な変化により、コヒーレント光送信機から受信された光信号が有用な情報を含んでいても電気信号i(t)が消失してゼロになったという状況に直面することを回避することが可能になるためである。ワーストケースにおいて、2×2カプラ220に入射する双方の光信号の偏波の状態が偏波の隣接した光関連状態間の距離の小さいパーセンテージ(例えば、5%)である値だけシフトすると即座に、ブースト項に関係付けられた寄与量がコヒーレント光送信機から受信された光信号の寄与量よりも大きいことを実証することができる。
【0067】
光ファイバにおいて数キロメートルを経た後、コヒーレント光送信機によって当初送信された光信号の偏波の状態は、ポワンカレ球上でランダムに分布する。それゆえ、コヒーレント光受信機200によって受信されたときの光信号の偏波状態は、楕円形状である可能性が非常に高い。そのため、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号は、楕円偏波であるように制御される。それゆえ、有用な情報を含む光信号がコヒーレント光送信機から受信されていても、電気信号i(t)がゼロ領域に陥る場合には、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の偏波の状態を変更するために、制御ユニット280は、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211に、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の偏波楕円の主軸の配向の角度φ及び楕円位相シフトψの中から少なくとも1つの楕円パラメータを変更するように命令する。これにより、ブースト項を作用可能にすること、及び感度が高い光電流を回復することが可能になる。特定の実施形態において、制御ユニット280は、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211に、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の偏波楕円の主軸の配向の角度φ及び楕円位相シフトψの中から少なくとも1つの楕円パラメータを、事前定義されたシフトだけ、変更するように命令する。
【0068】
特定の実施形態において、事前定義されたシフトは、電気信号i(t)の定常極値を目標とする。この特定の実施形態において、事前定義されたシフトは、配向軸φ(及びしたがってΔφ)についてπ/4であり、楕円位相シフトψ(及びしたがってΔψ)についてπ/2である。
【0069】
それゆえ、DCフィルタ240によって出力される電流i(t)が消失してゼロになることが単純でコスト効率の良い方法で回避される。上記で開示した手順は、偏波の状態を追跡することなく偏波の状態の変化の粗い制御を行うもので、本明細書では「ドメインスイッチング手順」と呼ぶ。ドメインスイッチング手順は、時間の間隔をおいて、例えば定期的な時間間隔で連続して実行することができる。例えば、ドメインスイッチング手順は、時間サイクルベースで定期的に行われ、その持続時間は、偏波状態変動の時定数よりも低くなるように定義される。偏波状態変動の時定数の大きさは、通常、約1ミリ秒又は数ミリ秒であるが、フィールド上の光ファイバ展開に従って異なる場合がある。例えば、偏波状態の変動は、光送信によって生じる振動に依存し、フィールド上の光ファイバの配置が、空中であるか、地下深くであるか、地表面から短距離であるかによって異なる。
【0070】
特定の実施形態において、ドメインスイッチング手順の連続実行間のスタンバイ期間の自動構成が実施される。まず、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電気信号の展開のモニタリングが、ドメインスイッチング手順の範囲において連続して行われる。それゆえ、偏波状態に関連した変動の履歴が追跡され、制御ユニット280によって命令された、楕円パラメータにおける連続変更間の期間がモニタリングされる。偏波状態変動の展開が安定すると、制御ユニット280は、ドメインスイッチング手順の連続実行間のスタンバイ期間を、所定の閾値THdpsの連続交差間の安定化期間よりも短くなる(例えば、半分又は事前定義された時間マージンを有する)ように定義する(すなわち、制御ユニット280によって命令された少なくとも1つの楕円パラメータの変更をトリガーする)。それゆえ、ドメインスイッチング手順の連続実行間の時間間隔は、フィールド上の光ファイバの効果的な展開に関してオペレータによって特に構成される必要がない。
【0071】
ドメインスイッチング手順に関する更なる詳細を、図5に関して以下に開示する。
【0072】
偏波状態の変更の精密化された制御は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号の位相φの調整によって行われる。これを行うために、変調された信号が、「位相精密化手順」において制御ユニット280の制御下で偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって導入される。
【0073】
位相精密化手順は、ドメインスイッチング手順の実行中に少なくとも1つの楕円パラメータの変更の結果として行われることが好ましい。位相精密化手順は、ドメインスイッチング手順と独立して行うことができる。位相精密化手順は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力される電気信号の展開が所定の閾値THprpを上回っていることを検出すると実行することができる。一変形形態において、位相精密化手順は、間隔をおいて、例えば定期的な間隔で実行することができる。
【0074】
ドメインスイッチング手順について、位相精密化手順の連続実行間のスタンバイ期間は、自動的に定義することができる。まず、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電気信号の展開のモニタリングが、位相精密化手順の範囲において連続して行われる。制御ユニット280は、所定の閾値THprpの連続交差間の期間の履歴を追跡する。安定化すると、制御ユニット280は、位相精密化手順の連続実行間のスタンバイ期間を、所定の閾値THprpの連続交差間の安定化した期間よりも短くなる(例えば、半分、又は所定の時間マージンを有する)ように定義する。
【0075】
位相φをどのように調整しなくてはならないかの決定は、以下において、より具体的には図3及び図6に関して詳述するように、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211における位相変調器PM 301によって導入された制御された誤差信号により達成することができる。実際に、誤差信号を信号位相に対する刺激として導入することは、DCフィルタ240によって出力される電流i(t)に対する知覚可能な効果を暗示し、これにより最大信号強度をもたらす位相φの値を発見することが可能になる。
【0076】
特定の実施形態において、制御された誤差信号は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号の位相に対する変調であり、以下のように表すことができる。
φ+Δφ cos(Ωt+φ)
【0077】
これにより、φ=π/2及びψ=π/2の円偏波を有する局部発振器の場合を検討すると、DCフィルタ240によって出力される電流i(t)の以下の式が導かれる。
0s’Eol’sin(φ)cos(2πΔνt+Δφ+φ+Δφ cos(Ωt+φ)+ψ
【0078】
したがって、φは、位相φの一定成分を調整することを可能にし、Δφは、この一定の成分を中心とした振動を可能にし、これにより、DCフィルタ240によって出力される電流i(t)の知覚可能な変動が生じる。φは、制御された誤差信号の時間原点を固定し、以下に開示するように、同期検出についてのみ問題となる。
【0079】
図2に戻ると、制御ユニット280は、特定の実施形態において、値判定ブロックVDB 250、偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260、及び離調マネージャーDM 270を備える。
【0080】
値判定ブロックVDB 250は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電気信号を解析する。値判定ブロックVDB 250は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電圧を解析する。値判定ブロックVDB 250は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電圧の値を、ブースト効果によって達成可能な理論最大値、すなわち、ブースト項によって達成可能な理論最大値の事前定義された閾値パーセンテージ(例えば、20%)と比較する。理論最大値は、局部発振器LO 210の利得、フォトダイオード230による入射光子の電子への変換率R、及びトランスインピーダンス増幅器TIA 245の利得に従って定義される。トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力される電圧がブースト項によって達成可能な理論最大値の事前定義された閾値パーセンテージを下回る場合、値判定ブロックVDB 250は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の偏波楕円の主軸の配向の角度φ及び楕円位相シフトψの中から少なくとも1つの楕円パラメータを変更するために、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211の構成を変更するように機能する。
【0081】
偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260は、線261を介して偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を制御する。偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260は、線252を介して値判定ブロックVDB 250から受信される、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の偏波楕円の主軸の配向の角度φ及び楕円位相シフトψの中から少なくとも1つの楕円パラメータを変更するための命令を、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211に適した妥当なコマンド(例えば、駆動電圧変更)に変換する。偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260は、結果として、線261を介して偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を制御する。
【0082】
離調マネージャーDM 270は、線271を介して局部発振器LO 210を制御し、線272を介して偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を制御する。離調マネージャーDM 270は、線253を介して値判定ブロックVDB 250から受信される、局部発振器LO 210によって出力される光信号の波長を変更するための命令を、局部発振器LO 210に適した妥当なコマンドに変換する。離調マネージャーDM 270は、結果として、線271を介して局部発振器LO 210を制御する。例えば、離調マネージャーDM 270は、局部発振器LO 210がペルチェモジュールを備える場合にペルチェ電流を調整し、局部発振器LO 210が光リング共振器を備える場合に駆動電圧を調整する。離調マネージャーDM 270は、位相変調器PM 301によって導入された制御された誤差信号のパラメータ(上記の定式においてφ及びΔφ)を変更するために、線253(又はそれに専用の別の線)を介して値判定ブロックVDB 250から受信される命令を、位相変調器PM 301に適した適格なコマンドに変換する。
【0083】
さらに、値判定ブロックVDB 250は、線251を介してトランスインピーダンス増幅器TIA245に、トランスインピーダンス増幅器TIA245の電気的利得を変更するための命令を提供することができる。
【0084】
図3は、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211の特定の実施形態を概略的に表している。図3の特定の実施形態は、既製品において共通して見出されるように、直線偏波光信号を提供する局部発振器を使用するのに適しており、しかしながら、図3の特定の実施形態は、円偏波又は楕円偏波を提供する局部発振器を使用するのにも適している。
【0085】
ネットワークアクセス分野において現在使用される低コストレーザは、典型的には、直線偏波される半導体レーザである。そのようなレーザは、局部発振器LO 210として使用することができる。直線偏波を楕円偏波に変換する方法は、レーザの出力においてウェーブプレート(波長板とも称される)を配置することである。ウェーブプレートは、異なる速度の2つの直交する軸を有する複屈折材料に基づいており、これにより、複屈折材料の2つの軸上の所与の場の投影間で位相シフトが誘発される。内部に直線偏波光信号を入射することにより、楕円偏波光信号が出力される。しかしながら、ウェーブプレートが偏波楕円及び位相シフトの双方を結合することを考慮に入れることができ、これは、局部発振器LO 210によって出力される光信号と、コヒーレント光送信機から受信される光信号との間の位相シフトが、同様にウェーブプレートによって影響を受け得ることを意味する。それゆえ、楕円がウェーブプレートを用いて独立して制御されなければならない事例において、補償用の位相シフトを、局部発振器LO 210によって出力される光信号の双方の軸に対して適用して、このように導入されたウェーブプレート位相シフトに対抗することができる。
【0086】
局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の楕円を制御するために、可変ウェーブプレートを使用することができる。可変ウェーブプレートは、低速(例外的)軸と高速(通常)軸との間の自身の位相シフトを制御することができる特定のウェーブプレートである。液晶可変リターダー及びポケットセルが、可変ウェーブプレートの例である。調節可能高複屈折フォトニック液晶ファイバを代替的に使用することができる。位相差は、その場合、駆動電圧を変更することによって指定された範囲にわたって調節される。
【0087】
図3に示す実施形態によれば、局部発振器LO 210から発せられた光信号は、上述した位相変調器PM 301に入射し、それにより、制御された誤差信号が生成される。位相変調器PM301は、ポッケルスセルに基づく電気的に駆動された光変調器、又は液晶変調器、又は可変長導波路、又は可変光学指数を有する導波路とすることができる。
【0088】
位相変調器PM 301の出力において、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211は、可変ウェーブプレートVW 302を更に備える。可変ウェーブプレートVW 302は、ここではψを調整し、それゆえ、結果としてψとψとの間の差を軽減するのに使用される。
【0089】
偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211は、制御ユニット280から、より具体的には偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260又は離調マネージャーDM 270から受信した命令を解釈することと、これらの命令を、それぞれ可変ウェーブプレートVW 302及び位相変調器PM 301に対するコマンド(適切な駆動電圧等)に変換することとを行うように構成されたコントローラCTRL 303を更に備えることができる。
【0090】
一変形形態において、制御ユニット280、より具体的には偏波ダイバーシティマネージャーPDM260及び離調マネージャーDM 270は、コマンド(適切な駆動電圧等)を可変ウェーブプレートVW 302及び位相変調器PM 301に直接送信する。この場合、制御ユニット280、より具体的には偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260は、一方ではφの変化(及び結果としてΔφの変化)及び/又はψの変化(及び結果としてΔψの変化)の作動と、他方では偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211、より具体的には可変ウェーブプレートVW 302に適用すべきコマンドとをリンクするルックアップテーブルLUTを備えることができ、その上、制御ユニット280、より具体的には偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260は、一方では位相変調パラメータと、他方では偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211、より具体的には位相変調器PM 301に適用すべきコマンドとをリンクするルックアップテーブルLUTを備えることができる。
【0091】
図4は、値判定ブロックVDB 250の特定の実施形態を概略的に表している。
【0092】
値判定ブロックVDB 250は、レベル検出器LD 402を備える。レベル検出器LD 402は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電圧を検出し、更なる解析のためにより容易に取り扱われるデジタルデータへの変換を実行する。
【0093】
値判定ブロックVDB 250は、解析器AN 403を更に備える。解析器AN 403は、レベル検出器LD 402からデジタルデータを受信する。解析器AN 403は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電圧の値を、ブースト項によって達成可能な理論最大値の事前定義された閾値パーセンテージ(例えば、20%)と比較する。その後、解析器AN 403は、作用可能なブースト項が満たされることを保証するために少なくとも1つのアクションが選択されなければならないか否かに関して判断を行う。
【0094】
値判定ブロックVDB 250は、マネージャーMGR 404を更に備える。マネージャーMGR 404は、解析器AN 403から、選択すべきアクションに関する命令を受信する。マネージャーMGR 404は、結果として、線252を介して偏波ダイバーシティマネージャーPDM 260に偏波ダイバーシティ関連命令を、及び/又は線251を介してトランスインピーダンス増幅器TIA 245に電気利得制御命令を、及び/又は線253を介して離調マネージャーDM 270に位相同調関連命令を、及び/又は線253を介して離調マネージャーDM 270に波長同調関連命令を、提供する。
【0095】
好ましい実施形態において、値判定ブロックVDB 250は、平方演算モジュールSQ 401を更に備える。平方演算モジュールSQ 401は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245から受信された電気信号を平方する(すなわち、平方演算モジュールSQ 401は、入力電気信号をその信号自体によって乗算する)。平方演算モジュールSQ 401は、正の値のみが取り扱われること(これは、絶対値の電気信号を閾値と比較するためにより容易である)を保証することによって、解析器AN 403によって実行される解析を簡略化する。これを行うために、平方演算モジュールSQ 401は、例えば、双方の入力が値判定ブロックVDB 250の入力において受信される電気信号を受信するアナログ増幅器である。平方演算モジュールSQ 401の使用は、更に有利には、コヒーレント光送信機から受信された光信号に対するブースト項のコントラストを高める。
【0096】
それどころか、平方演算モジュールSQ 401を用いずに動作することにより、負の最小レベル及び正の最大レベルに基づいてNRZ-OOKのような復調を実施することが可能になる。
【0097】
値判定ブロックVDB 250は、復調のために処理すべき信号202を出力する。これらの信号は、平方演算モジュールSQ 401の出力であってもよい。これらの信号は、単に、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力であってもよい。
【0098】
図5は、ドメインスイッチング手順の範囲内でコヒーレント光受信機200を構成するために制御ユニット280によって実行されるアルゴリズムを概略的に表している。制御ユニット280は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からアナログ電気信号を連続的に受信する。
【0099】
ステップS501において、制御ユニット280は、上記で既に説明したように、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力された電気信号に対して信号レベル検出を実行する。ステップS501は、サンプリングレートに従って、トランスインピーダンス増幅器TIA 245によって出力されたアナログ電気信号(電圧)のデジタル表現を出力する。レベル検出は、所定の数のサンプルにわたる積分又は平均化を含むことが好ましい。
【0100】
ステップS502において、制御ユニット280は、ステップS501において検出されたレベルの、ブースト項によって達成可能である理論最大信号レベルの事前定義された閾値パーセンテージ(例えば、20%)との比較を実行する。既に言及したように、理論最大値は、局部発振器LO 210の利得、フォトダイオード230による入射光子の電子への変換率R、及びトランスインピーダンス増幅器TIA 245の利得に従って定義される。フォトダイオード230による入射光子の電子への変換率Rは、(例えば、工場における)事前構成によって制御ユニット280に既知である。局部発振器LO 210の利得が制御ユニット280によって定義(すなわち、制御)されていない場合、局部発振器LO 210の利得は、(例えば、工場における)事前構成によって制御ユニット280に既知である。トランスインピーダンス増幅器TIA 245の利得が制御ユニット280によって定義(すなわち、制御)されていない場合、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の利得は、(例えば、工場における)事前構成によって制御ユニット280に既知である。代替的には、ブースト項によって達成可能である理論最大信号レベルは、(例えば、工場における)事前構成によって制御ユニット280に既知である。更に代替的には、適用可能な閾値THdspは、事前構成(例えば、工場における)によって制御ユニット280に既知である。この後者の事例では、事前構成された適用可能な閾値THdspは、事前定義された閾値パーセンテージ(例えば、20%)の実効値が制御ユニット280によって動的に決定されないことを除いて、ブースト項によって達成可能である理論最大信号レベルの事前定義された閾値パーセンテージ(例えば、20%)を維持する。事前定義された閾値パーセンテージは、経時的に変化する場合がある。例えば、制御ユニット280は、コヒーレント光受信機200のアプリケーション層、又はコヒーレント光受信機200の復調器によって命令され、この経時的な変化は、電気信号の信号対雑音比が強化されるべきであり、そうでなければ、低下されるべきであることを意味する。
【0101】
ステップS503において、制御ユニット280は、ステップS501において検出されたレベルが当該閾値THdsp以上であることの比較をチェックする。ステップS501において検出されたレベルが当該閾値THdspよりも低い場合、ステップS504が実行される。ステップS501において検出されたレベルが当該閾値THdsp以上である場合、ステップS501が繰り返される。ステップS501を再び実行する前に待機又はスタンバイ時間を挿入することができる。待機又はスタンバイ時間の継続時間は、光ファイバに関して観測される、偏波空間における事前定義された割合の、搬送される光信号の偏波の変化に要する時間よりも短い。例えば、待機又はスタンバイ時間の継続時間は、100ミリ秒である。
【0102】
ステップS504において、制御ユニット280は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットの構成変化を命令し、構成変化は、楕円主軸配向φの変更及び/又は楕円位相シフトψの変更の中から選択される少なくとも1つの構成変更である。
【0103】
その後、ステップS501が繰り返される。局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力される光信号の別の楕円変更が実行されなければならないか否かを制御ユニット280が判断するために、その時点において待機時間は適用されないことが好ましい。
【0104】
既に述べたように、ドメインスイッチング手順は、偏波状態を効果的に追跡することなく偏波状態の変更の粗い制御を可能にする。精緻な制御は、以下に開示する位相精密化手順によって提供される。
【0105】
図6は、位相精密化手順の範囲内でコヒーレント光受信機200の構成を調整するために制御ユニット280によって実行されるアルゴリズムを概略的に表している。
【0106】
ステップS601において、制御ユニット280は、制御された誤差信号を定義する変調パラメータを設定するために偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211を構成する。より具体的には、制御ユニット280は、変調パラメータφ及びΔφに関して位相変調器PM 301を構成する。パラメータΩに関して、これは、偏波時定数(ミリ秒のオーダー)よりも長いが、一般的な波長チャープ又は高速位相雑音タイムスケール(ミリ秒からマイクロ秒のオーダー)よりも短い循環期間に対応するようにセットされる。このとき、数百kHzの変調を用いることができる。
【0107】
まず、φが0にセットされ、Δφが、ドメインスイッチング手順における楕円パラメータの変更をトリガーする閾値THprpの事前定義された割合(例えば、閾値の半分又は3分の1)に対応するΔφの変動にセットされ、それによって、DCフィルタ240の光電流出力が、位相精密化手順に起因して当該の閾値まで降下する確率を限定する。
【0108】
ステップS602において、制御ユニット280は、周波数Ω/2πにおいて光電流変動を追跡する。より厳密には、制御ユニット280は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力において電圧電気信号変動を追跡する。制御ユニット280は、事前定義された量のデータ通信サンプル(例えば、符号化及びインターリーブロバスト性に依存して、256又は512等の数百個のサンプル)にわたって統合を行うことが好ましく、これは、2π/Ωの期間内に数個の追跡サンプル(例えば、生じた雑音に依存して8個又は16個のサンプル、又は数10個、又は更には2つ若しくは56個のサンプル)が取得されることを意味する。データ通信サンプルは、コヒーレント光送信機によって送信された、変調された光信号から発せられたサンプルとして理解されなくてはならず、追跡サンプルは、位相変調器PM 301によって生成された変調光信号から発せられたサンプルとして理解されなくてはならない。
【0109】
同期検出に依拠する特定の実施形態によれば、制御ユニット280は、上記2π/Ω期間中の制御された誤差信号の形状に鑑みて、2π/Ω期間中に取得された追跡サンプルの展開をモニタリングする。Ωの定義に鑑みて、コヒーレント光受信機200における信号の伝播時間は無視することができ、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力における制御された誤差信号の変動及び暗示される変動は、同じ時間基準で生じると考えられる。それゆえ、制御ユニット280は、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号のcos(Ωt+φ)の寄与の形状と並行してトランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力を分析する。
【0110】
位相変調器PM 301及びその振幅によって生じる位相変調の開始位置に従って、DCフィルタ240の光電流出力、及び結果として、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からのアナログ電気信号は、制御された誤差信号振幅の形状に対して同期して増減するか又は最大値(頂点)を超える。換言すれば、制御ユニット280は、制御された誤差信号振幅が、φ-Δφとφ+Δφとの間の余弦波として変動することに鑑みて、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からのアナログ電気信号が同期して増減するか又は最大値(頂点)を超えるかを分析する。
【0111】
ステップS603において、制御ユニット280は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からのアナログ電気信号が最大値(頂点)を超えるか否かをチェックする。当てはまる場合、ステップS605が行われ、そうでない場合、ステップS604が行われる。
【0112】
ステップS604において、制御ユニット280は、少なくとも、上述した最大値のより近くで変調を開始するために、変調パラメータφを変更し、上述した最大値をもたらす値φmaxを得ることを試みる。制御ユニット280は、所定のステップ値、例えばΔφだけパラメータφを増減させ、それによって、変調された信号を上述した最大値(頂点)に向けて動かす。通常、同期検出において、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からのアナログ電気信号が減少し、同時に制御された誤差信号振幅の余弦波の形状が増大するか、又はその逆である場合、変調パラメータφを減少させなくてはならず、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からのアナログ電気信号が制御された誤差信号振幅の余弦波の形状と同時に増大(又は減少)する場合、変調パラメータφを増大させなくてはならない。次に、ステップS603が、周波数Ω/2πにおける更なるモニタリング変動について繰り返される。
【0113】
ステップS605において、制御ユニット280は、変調パラメータφをφmaxに固定する。それゆえ、位相は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力における信号強度が最適化されるように調整される。次に、位相精密化手順が終了し、変調パラメータφは変更されないままであり、Δφは、位相精密化手順が再び起動されるまで0にセットされる。位相精密化手順が再始動されると、制御ユニット280は、新たな位相精密化手順の開始点として、変調パラメータφをφmaxに維持することが好ましい。
【0114】
φmaxが得られ、偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211がそれに応じて構成されると、DCフィルタ240によって出力される光電流の最大値、及び結果として、トランスインピーダンス増幅器TIA 245からのアナログ信号の任意の変動が、光信号の偏波状態の軸の変化から生じる。それゆえ、この位相精密化手順を用いて、任意の位相離調が、その特性(波長離調であるか、偏波変更であるか、又は位相シフトであるか)と無関係に軽減され、いくつかの位相離調現象が同時に生じる場合、これらは同時に軽減される。それゆえ、最適信号強度は、光信号の偏波状態の軸の向きに鑑みて、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力において得られる。
【0115】
ステップS605の特定の実施形態において、制御ユニット280は、φmaxを補償し、変調パラメータφをリセットする(φを0に固定する)ために、楕円位相シフトψを変更する。実際に、局部発振器LO 210及び偏波ダイバーシティアクチュエータPDA 211によって形成されたセットによって出力された光信号と、コヒーレント光送信機から受信された光信号との間の楕円位相離調Δψは、DCフィルタ240の出力において偏波により生じる寄与量の双方において、波長離調Δν及び位相離調Δφと類似して作用する。それゆえ、上記離調現象のうちの任意のものを、他のもののうちの少なくとも1つの調整によって補償することができる。それゆえ、図3の機構において、位相離調の静的成分の軽減は、位相変調器PM 301から可変ウェーブプレートVW 302に転送される。これにより、位相変調器PM 301の動力学の保持が可能になる。より特定の実施形態において、位相離調の静的成分の軽減の転送は、トランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力における電圧の最大値が、可変ウェーブプレートVW 302の帯域幅に対応する期間にわたって所定の閾値THmaxを超えて変動しない場合に制御ユニット280によって始動される。
【0116】
特定の実施形態において、制御ユニット280は、波長離調を検出するために位相離調の展開をモニタリングし、それに応じて局部発振器LO 210の波長構成を調整する。そのようなモニタリングを実行するのに必要な処理リソース及び複雑度は、偏波状態を追跡する処理リソースと比較して限られている。この態様を、図7に関して以下に提示する。
【0117】
図7は、局部発振器LO 210の波長を調整するために制御ユニット280によって実行されるアルゴリズムを概略的に表している。
【0118】
ステップS701において、制御ユニット280は、波長離調を検出するために位相離調の展開をモニタリングする。それゆえ、ステップS702において、制御ユニット280は、位相離調の連続及び単調の展開がトランスインピーダンス増幅器TIA 245の出力において存在するか否かをチェックする。実際に、レーザの波長ドリフトは、レーザキャビティの断熱展開によって生じる。これは、自動変調利得、熱効果等によって引き起こすことができる。断熱展開は、多くの場合、数ミリ秒~数秒又は更なるオーダーの時定数を有する現象を指す。位相雑音及び周波数又は波長離調は、時間スケール、すなわちシンボル持続時間を参照して互いに区別される。このため、シンボル持続時間よりも長い任意の不安定性が、波長ドリフトとみなされるのに対し、シンボル持続時間よりも短いか又はシンボル持続時間程度の時定数を有する任意の不安定性は、位相雑音とみなされる。
【0119】
制御ユニット280が位相離調の連続及び単調展開を検出する場合、ステップS703が実行され、そうでない場合、ステップS701が繰り返される。待機期間は、ステップS701を繰り返す前に適用することができる。
【0120】
ステップS703において、制御ユニット280は、検出された位相離調の連続及び単調展開を補償するために、局部発振器LO 210の波長を調整する。次に、ステップS701が繰り返される。待機期間は、ステップS701を繰り返す前に適用することができる。
【0121】
波長調整が行われると、制御ユニット280は、位相精密化手順を再始動することが好ましい。より特定の実施形態において、制御ユニット280は、局部発振器LO 210の再構成過渡期間(低速反応)中の時間間隔(例えば、定期的時間間隔)において位相精密化手順を再始動することが好ましい。それゆえ、局部発振器LO 210が波長を効果的に適合させるのに必要な時間中、制御ユニット280は、制御された誤差信号の過変調を伴う過渡的波長展開を補償する。
【0122】
特定の実施形態において、ドメインスイッチング手順が始動されるとき、及び位相精密化手順が進行中のとき、制御ユニット280は位相精密化手順を停止し、リセットする。位相精密化手順は、楕円主軸配向φ及び/又は楕円位相シフトψに対する偏波ダイバーシティアクチュエータの構成の変更が達成されると再始動される。それゆえ、ドメインスイッチング手順は、特に、コヒーレント光受信機200の初期化中、位相精密化手順よりも高い優先度を有する。
【0123】
図8は、コヒーレント光受信機200の温度センサベースの特定の機構を概略的に表している。
【0124】
実際、波長離調の低速な展開の存在は、多くの場合、レーザチップの温度の展開に起因する。これは、レーザチップの温度を適切に調節するペルティエシステムがないときに生じる。それゆえ、特定の実施形態において、局部発振器LO 210は、局部発振器LO 210の、通常、局部発振器LO 210のレーザチップの温度を捕捉する温度センサTS 801と結合される。温度データは、例えば、リンク802を介して離調マネージャーDM 270に提供される。さらに、制御ユニット280は、温度ドリフトと波長ドリフトとの間の関係を確立するルックアップテーブルを含む。制御ユニット280は、温度センサによって捕捉された温度の展開をモニタリングする。温度センサTS 801によって捕捉された温度の展開によって示される温度ドリフトに従って、制御ユニット280は、ルックアップテーブルからの対応する波長ドリフトを索出し、制御された誤差信号に、例えば[0,2π]ドメインにわたって、波長ドリフトによって生じる位相展開の反対である寄与量、すなわち、2πrΔνtを重ね合わせることによって、位相に影響を与える他の効果に対し上記波長ドリフトの効果を取り去る(光電流に対する影響はモジュロ2πである)。これを行うことにより、位相変調器PM 301の動力学が保持される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】