(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520008
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 IB2022052867
(87)【国際公開番号】W WO2022208331
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202121014780
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523112747
【氏名又は名称】ジェイアイオー・プラットフォームズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アカンシャ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】アヌラーグ・ヴェドプラカシュ・パンデイ
(72)【発明者】
【氏名】アティラ・スレンドラン
(72)【発明者】
【氏名】アメヤ・ムナゲカール
(57)【要約】
本開示は、一般に、水素燃料の製造、輸送、分配、および貯蔵に関し、より詳細には、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムおよび方法に関する。集中型サーバは、気体/液体水素を製造するように製造施設をトリガする。集中型サーバは、化学物質の水素化に基づいて、製造された気体/液体水素を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設において、水素シリンダ内に貯蔵する。集中型サーバは、タンクローリーで水素化LOHC分子を製造施設からデポに輸送するための命令を送信し、デポにおいて、水素化LOHC分子を脱水素化して低圧で水素を放出する。集中型サーバは、デポにおいて放出された水素を圧縮し、圧縮された水素を高圧管トレーラ/フラットベッドシリンダカスケードに充填する。集中型サーバは、デポから小売店/消費地への輸送車両の最適ルートを決定し、小売店/消費地において、低圧タンク/高圧バッファシリンダに圧縮された水素を貯蔵する。集中型サーバは、小売店/消費地における低圧タンク/高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステム(100)であって、前記システム(100)が、
製造施設(102)と、
前記製造施設(102)に通信可能に結合された貯蔵施設(104)と、
前記貯蔵施設(104)に通信可能に結合された1つまたは複数のデポ(106)と、
前記1つもしくは複数のデポ(106)に通信可能に結合された1つもしくは複数の小売店または消費地(108)と、
プロセッサ(202)と、前記プロセッサ(202)に結合されたメモリ(204)とを備える集中型サーバ(110)とを備え、前記メモリ(204)が、実行されると、前記プロセッサ(202)に、
気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように前記製造施設(102)をトリガすることと、
化学物質の水素化に基づいて、前記製造された前記気体水素および前記液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、前記貯蔵施設(104)において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵することと、
1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信することと、
前記1つまたは複数のデポ(106)において前記1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で前記水素を放出するために、前記1つまたは複数のデポ(106)において前記水素化LOHC分子を脱水素化することと、
前記1つまたは複数のデポ(106)において、前記放出された水素を圧縮し、前記圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填することと、
前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定することと、
前記1つもしくは複数の輸送車両が前記1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に到着すると、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)から情報を受信することと、
前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に前記圧縮された水素を貯蔵することと、
前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)における前記1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力することと
を行わせるプロセッサ実行可能命令を備える、
システム(100)。
【請求項2】
化学物質の水素化は、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)を含み、前記水素化LOHCは、前記貯蔵場所において貯蔵することができる、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
1つまたは複数の輸送車両のための前記1つまたは複数の最適ルートを決定するために、前記プロセッサ(202)が、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の1日当たりの必要量について、距離最小化および車両容量の実現に基づいて、最適ルートについての車両ルーティング問題を反復的に確認するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記1つまたは複数のデポ(106)が、それぞれの前記デポ(106)の周りの地理的エリアに位置する前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の要求を満たすために地理的に配置され、前記製造施設(102)の前記貯蔵場所から前記1つまたは複数のデポ(106)に水素を輸送することを含む前記要求が、前記1つまたは複数のデポ(106)から前記消費地(108)へのものよりも非常に重要である、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項5】
出力するために、前記プロセッサ(202)が、前記1つもしくは複数の最適ルートを介して前記輸送車両によってサービス提供される1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されたグラフを提供するようにさらに構成されており、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が別の1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されるルートを有していないとき、そのような1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が独立して考慮される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項6】
1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信することが、LOHCサプライチェーン技法に基づき、前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配することが、圧縮水素サプライチェーン技法に基づく、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項7】
水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための方法であって、前記方法が、
集中型サーバ(110)に関連付けられたプロセッサ(202)によって、気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように製造施設(102)をトリガするステップと、
前記プロセッサ(202)によって、化学物質の水素化に基づいて、前記製造された前記気体水素および前記液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設(104)において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つまたは複数のデポ(106)において前記1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で前記水素を放出するために、前記1つまたは複数のデポ(106)において前記水素化LOHC分子を脱水素化するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つまたは複数のデポ(106)において、前記放出された水素を圧縮し、前記圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の輸送車両が前記1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に到着すると、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)から情報を受信するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に前記圧縮された水素を貯蔵するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)における前記1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力するステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記化学物質の水素化は、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)を含み、前記水素化LOHCは、前記貯蔵場所において貯蔵することができる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数の輸送車両のための前記1つまたは複数の最適ルートを決定するステップが、前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の1日当たりの必要量について、距離最小化および車両容量の実現に基づいて、最適ルートについての車両ルーティング問題を反復的に確認するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数のデポ(106)が、それぞれの前記デポ(106)の周りの地理的エリアに位置する前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の要求を満たすために地理的に配置され、前記製造施設(102)の前記貯蔵場所から前記1つまたは複数のデポ(106)に水素を輸送することを含む前記要求が、前記1つまたは複数のデポ(106)から前記消費地(108)へのものよりも非常に重要である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
出力するステップが、前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の最適ルートを介して前記輸送車両によってサービス提供される1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されたグラフを提供するステップをさらに含み、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が別の1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されるルートを有していないとき、そのような1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が独立して考慮される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信することが、LOHCサプライチェーン技法に基づき、前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配することが、圧縮水素サプライチェーン技法に基づく、請求項7に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
権利の留保
本特許文書の開示の一部は、限定はされないが、Jio Platforms Limited(JPL)またはその関連会社(以下、所有者という)に帰属する著作権、意匠、商標、ICレイアウト設計、および/またはトレードドレス保護などの知的財産権の対象となる資料を含む。所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記載されているように、特許文書または特許開示の誰かによるファクシミリ複製に対して異議を申し立てることはないが、それ以外の場合は、すべての権利を留保する。そのような知的財産に対するすべての権利は、所有者によって完全に留保される。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、水素燃料の製造、輸送、分配、および貯蔵に関する。より詳細には、本開示は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の以下の説明は、本開示の分野に関する背景情報を提供することを意図している。このセクションは、本開示の様々な特徴に関連し得る当技術分野のいくつかの態様を含み得る。しかしながら、このセクションは、従来技術の承認としてではなく、本開示に関する読者の理解を高めるためにのみ使用されることを諒解されたい。
【0004】
一般に、二酸化炭素(CO2)排出量の削減は、世界的な優先事項であり得る。さらに、CO2税の施行、厳しい規制、再生可能エネルギーへの投資は、緩和戦略の一部になり得る。再生可能エネルギーへの円滑な移行のために、エネルギー貯蔵の問題は、決断力を持って対処される必要があり得る。水素(H2)は、クリーンエネルギーキャリアと見なされ得る。しかしながら、H2は、周囲条件では密度が低く、貯蔵および輸送において課題を有し得る。現在、(i)水素を350バールを超える高圧に圧縮すること(圧縮気体水素(CGH2)と呼ばれる)、(ii)水素を-200~-250℃の温度で液化すること(液体水素または液体H2と呼ばれる)、および(iii)トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)などの化学物質の水素化によって、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に水素を貯蔵することを含む、サプライチェーンの選択肢として有望な、周囲温度でH2の密度を増加させるための3つの技法があり得る。圧縮気体水素(CGH2)の場合、製造施設で製造されたH2は、350~900バールのタンクに圧縮、貯蔵され、その後、200~700バールの圧力でトラック上の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに移され得る。トレーラ/トラックは、H2を水素燃料補給所(HRS)に運び、そこでH2が低圧(50バール)タンクに貯蔵され得る。あるいは、トラックからのシリンダカスケードは、現場で取り外され、貯蔵されてもよい。空のトラックは製造現場に戻る。HRSでは、H2は、50バールから500~900バールに加圧され、高圧バッファシリンダに貯蔵され得、大型車両の場合は350バール、乗用車/タクシーの場合は700バールで車両の車載シリンダに計量される。液体水素の場合、製造施設で製造されたH2が-200~-250℃で液化され、大型の極低温二重断熱タンクに局所的に貯蔵され得る。次いで、液体水素は、トラック上の極低温二重断熱タンクに移されて、燃料補給所に輸送され得、そこで、液体水素は、現地の極低温二重断熱タンクに移され得、空のトラックは、再充電のために戻る。燃料補給所では、液体水素は、圧縮気体水素(CGH2)の場合のように、車両に分配されるように、クライオポンプで500~900バールに圧縮されてバッファシリンダに入れられ得る。LOHCの場合、製造施設で製造されたH2は、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)などの化学物質の水素化によってLOHC分子中に貯蔵され得、水素化LOHCは、ディーゼル/ガソリンにすでに使用されている可能性がある同じインフラストラクチャを使用して消費地に貯蔵および輸送され得る。消費地では、LOHCは、脱水素化のために地下タンクに貯蔵されて、50バールの圧力タンクに貯蔵するために低圧で水素を放出することができ、そこから、500~900バールに圧縮されて、高圧バッファシリンダに貯蔵され、圧縮気体水素および液体水素の場合のように、車両に分配することができる。
【0005】
しかしながら、上述の技術の各々には、それぞれの利点および欠点があり得る。たとえば、圧縮気体水素(CGH2)は、圧縮のために2~4kWh/kgのH2を必要とする場合があり、この技術は、1~2の昇温脱離(TPD:Temperature-programmed desorption)までのH2の供給、および300~500km未満の距離(復路)では経済的になる。これは、700バールまでの高圧でサプライチェーンにおいて使用され得る。しかしながら、いくつかの場所では、H2の輸送は、現時点では200~250バールに制限され得る。LOHCに関しては、5~6重量パーセントのH2を貯蔵することができ、所与のトラックにおいて、LOHCによって、CGH2よりも4~5倍多いH2を輸送することが可能になる。さらに、LOHCは、周囲条件で液体であり、液体燃料と同じインフラストラクチャを使用して、取り扱い、輸送、および貯蔵が容易であり得る。H2を貯蔵するために使用される化学物質のうちの1つ、すなわちDBTは、不燃性かつ非爆発性であり得、輸送および貯蔵のために、他方の、すなわちトルエンよりも低リスクであり得るからである。しかしながら、LOHCの脱水素化は、9~10kWhの熱を必要とする可能性があり、LOHCサプライチェーンの全体的なコストおよび効率を低減するための主要な課題である。さらに、LOHCの技術は依然として初期段階であり、世界的な実証が限られている。液体水素(LH2)に関しては、液化には高エネルギー入力(H2のkgあたり10kWh)を必要とするが、これは同じ車両に搭載されるH2の増加(CGH2の2~7倍)によって補われる。一般に、LH2サプライチェーンは、H2の需要が30~50TPDを超え、長距離の輸送が必要な場合にのみ、経済的に実現可能であり得る。
【0006】
製造施設からデポまで、およびデポから消費地まで、各々異なる量を扱い、異なる距離にわたって輸送する必要性があるなど、異なる条件下でH2を輸送する必要性があることを考慮すると、使用事例シナリオに基づいて適切なサプライチェーンに到達する必要があり、さらに、流通ネットワークにおける水素の在庫、ルート、および貯蔵を最適化する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書の少なくとも1つの実施形態が満たす本開示の目的のいくつかは、以下に列挙される通りである。
【0008】
一般的な態様では、本開示は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムおよび方法を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、たとえば、限定はされないが、小売店、クリーン燃料として水素で走行する車両に燃料を供給するための燃料補給所、および水素をエネルギー源として使用している可能性がある他の消費者など、消費地での要求を満たすために、水素を輸送し、分配し、貯蔵することを可能にする。
【0010】
別の態様では、本開示は、液体有機水素キャリア分子(LOHC)技術に基づいて、水素を製造施設からデポに、およびデポから消費地に、圧縮気体水素(CGH2)として輸送するのに役立つ。LOHC技術は、所与のトラックでの圧縮気体水素(CGH2)よりも4~5倍多いH2の輸送を可能にし得る。さらに、LOHCは、周囲条件で液体であり、液体燃料と同じインフラストラクチャを使用して、取り扱い、輸送、および貯蔵が容易である。H2を貯蔵するために使用される化学物質のうちの1つ、すなわちジベンジルトルエン、DBTは、不燃性かつ非爆発性であり、輸送および貯蔵のために、他方の、すなわちトルエンよりも低リスクであるからである。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、距離最小化および車両容量の実現を目的として、すべての消費地の1日当たりの必要量をカバーする、デポから車両の燃料補給所などの消費地への最適ルートを見つけるのに役立ち、さらに、ルートおよび消費地ごとのH2の発送を最適化することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このセクションは、発明を実施するための形態において以下でさらに説明する本発明のいくつかの目的および態様を、簡略化された形式で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または範囲を特定することを意図するものではない。
【0013】
一態様では、本開示は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムを提供する。システムは、製造施設と、製造施設に通信可能に結合された貯蔵施設と、貯蔵施設に通信可能に結合された1つまたは複数のデポと、1つもしくは複数のデポに通信可能に結合された1つもしくは複数の小売店または消費地と、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む集中型サーバとを含み、メモリは、プロセッサ実行可能命令を含む。システムは、気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように製造施設をトリガする。さらに、システムは、化学物質の水素化に基づいて、製造された気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵する。さらに、システムは、1つまたは複数のタンクローリーで、水素化LOHC分子を、製造施設から1つまたは複数のデポに輸送するための命令を送信する。その後、システムは、1つまたは複数のデポにおいて1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で水素を放出するために、1つまたは複数のデポにおいて水素化LOHC分子を脱水素化する。さらに、システムは、1つまたは複数のデポにおいて、放出された水素を圧縮し、圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填する。さらに、システムは、1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを1つもしくは複数のデポから1つもしくは複数の小売店または消費地に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定する。さらに、システムは、1つもしくは複数の輸送車両が1つもしくは複数の小売店または消費地に到着すると、1つもしくは複数の小売店または消費地から情報を受信する。その後、システムは、1つもしくは複数の小売店または消費地において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に圧縮された水素を貯蔵する。さらに、システムは、1つもしくは複数の小売店または消費地における1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力する。
【0014】
別の態様では、本開示は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための方法をさらに提供する。方法は、気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように製造施設をトリガするステップを含む。さらに、方法は、化学物質の水素化に基づいて、製造された気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵するステップを含む。さらに、方法は、1つまたは複数のタンクローリーで、水素化LOHC分子を、製造施設から1つまたは複数のデポに輸送するための命令を送信するステップを含む。その後、方法は、1つまたは複数のデポにおいて1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で水素を放出するために、1つまたは複数のデポにおいて水素化LOHC分子を脱水素化するステップを含む。さらに、方法は、1つまたは複数のデポにおいて、放出された水素を圧縮し、圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填するステップを含む。さらに、方法は、1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを1つもしくは複数のデポから1つもしくは複数の小売店または消費地に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定するステップを含む。さらに、方法は、1つもしくは複数の輸送車両が1つもしくは複数の小売店または消費地に到着すると、1つもしくは複数の小売店または消費地から情報を受信するステップを含む。その後、方法は、1つもしくは複数の小売店または消費地において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に圧縮された水素を貯蔵するステップを含む。さらに、方法は、1つもしくは複数の小売店または消費地における1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力するステップを含む。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本発明の一部を構成する添付の図面は、開示された方法およびシステムの例示的な実施形態を示し、同様の参照番号は、異なる図面を通して同じ部分を指す。図面の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を明確に例示することに重点が置かれている。一部の図面は、ブロック図を使用して構成要素を示している場合があり、各構成要素の内部回路を表していない場合がある。そのような図面の発明は、そのような構成要素を実装するために一般に使用される電気構成要素、電子構成要素、または回路の発明を含むことが、当業者によって諒解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するために本開示のシステムが実装され得る、またはそれとともに実装され得る例示的なネットワークアーキテクチャを示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための集中型サーバの例示的な表現を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための例示的なフロー図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、デポから消費地への水素シリンダの分配のための例示的なルーティング図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、実現可能なルートのための接続グラフクラスタの例示的なグラフ図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、製造施設から消費地への水素の分配の方法の例示的なフロー図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、デポから消費地への水素の分布を最適化する方法の例示的なフロー図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための方法を示す例示的な方法フローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態による、本発明の実施形態が利用され得る、またはそれとともに利用され得る例示的なコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記は、以下の本発明のより詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0018】
以下の説明では、説明のために、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、様々な具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが明らかであろう。以下に記載されるいくつかの特徴は、各々互いに独立して、または他の特徴の任意の組合せで使用され得る。個々の特徴は、上述の問題のすべてに対処しない場合があるか、または上述の問題の一部のみに対処する場合がある。上述の問題の一部は、本明細書に記載の特徴のいずれによっても完全には対処されない場合がある。
【0019】
以下の説明は、例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用性、または構成を制限することを意図するものではない。むしろ、例示的な実施形態の以下の説明は、例示的な実施形態を実施するための可能な説明を当業者に提供する。記載された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることを理解されたい。
【0020】
以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が与えられる。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施されてもよいことが当業者によって理解されよう。たとえば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図の形態で構成要素として示されることがある。他の例では、よく知られている回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、不必要な詳細なしに示されることがある。
【0021】
また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として描かれるプロセスとして記述され得ることに留意されたい。フローチャートは、動作を逐次プロセスとして記述し得るが、動作の多くは、並列にまたは同時に実行され得る。加えて、動作の順序を配置しなおしてもよい。プロセスは、その動作が完了したときに終了するが、図に含まれない追加のステップを有する可能性がある。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応するとき、その終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の戻りに対応することができる。
【0022】
「例示的」および/または「例証的」という用語は、本明細書では例、事例、または例示としての役割を果たすことを意味するために使用される。疑義を避けるために、本明細書に開示される主題は、そのような例によって制限されない。加えて、「例示的」および/または「例証的」として本明細書で説明する任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されないものとし、当業者に知られている同等の例示的な構造および技法を除外することも意図されない。さらに、「含む(includes)」、「有する(has)」、「含有する(contains)」という用語、および他の同様の用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用されている限り、そのような用語は、いかなる追加または他の要素も排除することなく、オープンな遷移語としての「含む(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図される。
【0023】
本明細書全体にわたって、「1つの実施形態」または「一実施形態」または「一例」または「1つの例」は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における「1つの実施形態において」または「一実施形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つもしくは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0024】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において使用される際、別段の記載がない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形も含むものとする。「含む」および/または「含んでいる」という用語は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されよう。本明細書で使用されるとき、「および/または」という用語は、関連する列挙されたアイテムのうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0025】
本開示の様々な実施形態は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムおよび方法を提供する。本開示は、たとえば、限定はされないが、小売店、クリーン燃料として水素で走行する車両に燃料を供給するための燃料補給所、および水素をエネルギー源として使用している可能性がある他の消費者など、消費地での要求を満たすために、水素を輸送し、分配し、貯蔵することを可能にする。本開示は、液体有機水素キャリア分子(LOHC)技術に基づいて、水素を製造施設からデポに、およびデポから消費地に、圧縮気体水素(CGH2)として輸送するのに役立つ。LOHC技術は、所与のトラックでの圧縮気体水素(CGH2)よりも4~5倍多いH2の輸送を可能にし得る。さらに、LOHCは、周囲条件で液体であり、液体燃料と同じインフラストラクチャを使用して、取り扱い、輸送、および貯蔵が容易である。H2を貯蔵するために使用される化学物質のうちの1つ、すなわちジベンジルトルエン、DBTは、不燃性かつ非爆発性であり、輸送および貯蔵のために、他方の、すなわちトルエンよりも低リスクであるからである。本開示は、距離最小化および車両容量の実現を目的として、すべての消費地の1日当たりの必要量をカバーする、デポから車両の燃料補給所などの消費地への最適ルートを見つけるのに役立ち、さらに、ルートおよび消費地ごとのH2の発送を最適化することを含む。
【0026】
本開示の一実施形態による、本開示の集中型サーバ(110)が実装され得る、またはそれとともに実装され得る水素分配ネットワーク最適化システム(100)(ネットワークアーキテクチャ(100)とも呼ばれる)のための例示的なネットワークアーキテクチャを示す
図1を参照する。分配ネットワークは、製造施設(102)などの水素製造施設、デポ(106-1、106-2、…106-n)(個別にデポ(106)と呼ばれ、総称してデポ(106)と呼ばれる)などの貯蔵デポ、および消費地(108-1、108-2、…108-n)(個別に組成サイト(108)と呼ばれ、総称して消費地(108)と呼ばれる)を含む。製造施設(102)は、貯蔵場所(104)を含むことができる。貯蔵施設(104)は、製造施設(102)に通信可能に結合され得る。さらに、デポ(106)は、貯蔵施設(104)に通信可能に結合され得る。さらに、消費地(108)は、1つまたは複数の小売店であることもある。さらに、消費地(108)は、1つまたは複数のデポ(106)に通信可能に結合され得る。デポ(106)は、それぞれのデポ(106)の周りの地理的エリアに位置する消費地(108)の要求を満たすように地理的に位置し得る。したがって、製造施設(102)の貯蔵場所(104)からデポ(106)に水素を輸送する要求は、デポ(106)から消費地(108)へのものよりもかなり高くなり得る。しかしながら、消費地(108)での貯蔵を最小限に抑えるために、水素シリンダは、必要な頻度で顧客の所在地に供給される必要があり、この頻度は、場合によっては、1日当たりであり得る。各水素シリンダは、一定量の水素、たとえば、250キログラム(Kg)を貯蔵することができる。需要は、水素の重量の単位である。したがって、いくつかのシリンダにマッピングされて、輸送に使用される車両は、4つのシリンダの容量など、一定の積載量を有するものとする。これと比較して、デポ(106)は、比較的大きい貯蔵容量を有し得る。
【0027】
上記の要因を考慮すると、本開示のシステムおよび方法は、
図1に示されるように、LOHCサプライチェーン技術を使用して、製造施設(102)の貯蔵場所(104)からデポに、および圧縮水素サプライチェーン技術を使用して、デポ(106)から消費地(108)に、水素を分配することを提案する。したがって、製造施設(102)で製造されたH
2は、限定はされないが、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)などの化学物質の水素化によって、LOHC分子中に貯蔵され得る。さらに、水素化LOHCは、貯蔵場所(104)において貯蔵することができる。貯蔵場所(104)から、LOHCは、タンカーでデポ(106)に輸送することができる。デポ(106)において、LOHCは、H
2を放出するために脱水素化され得、放出されたH
2は、限定はされないが、高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを使用して、消費地(108)への前方への輸送のために圧縮され得る。
【0028】
デポ(106)から消費地(108)へのサプライチェーンを最適化するために、消費地(108)での貯蔵は1日当たりの供給によって最小化されるものとし、多くの消費地(108)の1日当たりの必要量は、1台の車両のフル負荷未満とすることを考慮する。最適化の目的は、所与の時間軸について、日ごとおよび消費地(108)ごとのシリンダ発送の最適量を見つけ、指定された時間軸におけるいくつかの車両を最小限に抑え、デポおよび消費地(108)で使用される貯蔵の資本コストを最小限に抑えることである。最適化は、車両が、たとえば4つのシリンダを運ぶ能力などの一定の容量を有すること、および車両が、1日に最大450キロメートルなど、1日に限られた距離しか走行できないことも考慮に入れなければならない。たとえば、距離が450Km未満である場合、それは、1日の移動として考えられる。
【0029】
集中型サーバ(110)は、エンティティ(
図1には図示せず)またはユーザに関連付けられた1つもしくは複数のコンピューティングデバイス(
図1には図示せず)にさらに動作可能に結合され得る。エンティティは、会社、組織、ネットワークオペレータ、ベンダー、小売店、ストレージファシリテータ、大学、研究施設、企業、防衛施設、または任意の他の安全な施設を含み得る。さらに、エンティティは、集中型サーバ(110)からのデータまたは出力を分析し得る。いくつかの実装形態では、システム(110)はまた、コンピューティングデバイスに関連付けられ得る。さらに、集中型サーバ(110)はまた、ネットワークアーキテクチャ(100)の通信ネットワークを介して、1つまたは複数の電子デバイス(
図1には図示せず)に通信可能に結合され得る。
【0030】
図1は、ネットワークアーキテクチャ(100)の例示的な構成要素を示すが、他の実装形態では、ネットワークアーキテクチャ(100)は、
図1に示されるよりも少ない構成要素、異なる構成要素、異なるように配置された構成要素、または追加の機能構成要素を含み得る。追加または代替として、ネットワークアーキテクチャ(100)の1つまたは複数の構成要素は、ネットワークアーキテクチャ(100)の1つまたは複数の他の構成要素によって実行されるものとして説明される機能を実行し得る。
【0031】
集中型サーバ(110)は、限定はされないが、電子デバイス、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤードデバイス、サーバなどで実装され得る。そのようなサーバは、限定はされないが、スタンドアロンサーバ、リモートサーバ、クラウドサーバ、専用サーバなどを含み得る。
【0032】
一実施形態では、集中型サーバ(110)は、メモリに結合された1つまたは複数のプロセッサを含み得、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、集中型サーバ(110)に、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化させ得る命令を記憶し得る。本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための集中型サーバ(110)の例示的な表現が、
図2に示されている。一態様では、集中型サーバ(110)は、1つまたは複数のプロセッサ(202)を含み得る。1つまたは複数のプロセッサ(202)は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、エッジまたはフォグマイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理ユニット、論理回路、および/または動作命令に基づいてデータを処理する任意のデバイスとして実装され得る。他の機能の中でも、1つまたは複数のプロセッサ(202)は、集中型サーバ(110)のメモリ(204)に記憶されたコンピュータ可読命令をフェッチし、実行するように構成され得る。メモリ(204)は、ネットワークサービスを介してデータパケットを作成または共有するためにフェッチおよび実行され得る、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に1つまたは複数のコンピュータ可読命令またはルーチンを記憶するように構成され得る。メモリ(204)は、たとえば、RAMなどの揮発性メモリ、またはEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを含む、任意の非一時的記憶デバイスを備え得る。
【0033】
一実施形態では、集中型サーバ(110)は、インターフェース(206)を含み得る。インターフェース(206)は、様々なインターフェース、たとえば、I/Oデバイス、記憶デバイスなどと呼ばれる、データ入力および出力デバイスのためのインターフェースを備え得る。インターフェース(206)は、集中型サーバ(110)の通信を容易にし得る。インターフェース(206)はまた、集中型サーバ(110)の1つまたは複数の構成要素のための通信経路を提供し得る。そのような構成要素の例には、限定はされないが、処理ユニット/エンジン(208)およびデータベース(210)がある。
【0034】
処理ユニット/エンジン(208)は、処理エンジン(208)の1つまたは複数の機能を実装するために、ハードウェアとプログラミング(たとえば、プログラマブル命令)との組合せとして実装され得る。本明細書で説明する例では、ハードウェアとプログラミングとのそのような組合せは、いくつかの異なる方法で実装され得る。たとえば、処理エンジン(208)のためのプログラミングは、非一時的機械可読記憶媒体上に記憶されたプロセッサ実行可能命令であり得、処理エンジン(208)のためのハードウェアは、そのような命令を実行するための処理リソース(たとえば、1つまたは複数のプロセッサ)を備え得る。本例では、機械可読記憶媒体は、処理リソースによって実行されると、処理エンジン(208)を実装する命令を記憶し得る。そのような例では、集中型サーバ(110)は、命令を記憶する機械可読記憶媒体と、命令を実行するための処理リソースとを含み得、または機械可読記憶媒体は、別個であるが、集中型サーバ(110)および処理リソースからアクセス可能であり得る。他の例では、処理エンジン(208)は、電子回路によって実装され得る。
【0035】
処理エンジン(208)は、トリガモジュール(212)、貯蔵モジュール(214)、送信モジュール(216)、脱水素化モジュール(218)、圧縮モジュール(220)、決定モジュール(222)、受信モジュール(224)、出力モジュール(226)、および他のモジュール(228)のいずれかから選択された1つまたは複数のモジュール/エンジンを含み得る。処理エンジン(208)は、限定はされないが、さらに、ベッジベースのマイクロサービスイベント処理であり得る。
【0036】
一実施形態では、トリガモジュール(212)は、気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように製造施設(102)をトリガし得る。さらに、貯蔵モジュール(214)は、化学物質の水素化に基づいて、製造された気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設(104)において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵し得る。化学物質の水素化は、限定はされないが、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)を含み、水素化LOHCは、貯蔵場所において貯蔵することができる。
【0037】
一実施形態では、送信モジュール(216)は、1つまたは複数のタンクローリーで、水素化LOHC分子を、製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信し得る。デポ(106)は、それぞれのデポ(106)の周りの地理的エリアに位置する1つもしくは複数の小売店または消費地(108)の要求を満たすように地理的に位置し得る。この要求には、製造施設(102)の貯蔵施設(104)から1つまたは複数のデポ(106)に水素を輸送することが、1つまたは複数のデポ(106)から消費地(108)へのものよりも非常に重要であることが含まれ得る。
【0038】
一実施形態では、脱水素化モジュール(218)は、1つまたは複数のデポ(106)において1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で水素を放出するために、1つまたは複数のデポ(106)において水素化LOHC分子を脱水素化し得る。さらに、圧縮モジュール(220)は、1つまたは複数のデポ(106)において、放出された水素を圧縮し、圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填し得る。
【0039】
一実施形態では、決定モジュール(222)は、1つまたは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定し得る。1つまたは複数の輸送車両のための1つまたは複数の最適ルートを決定することは、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)の1日当たりの必要量について、距離最小化および車両容量の実現に基づいて、最適ルートについての車両ルーティング問題を反復的に確認することをさらに含む。
【0040】
一実施形態では、受信モジュール(224)は、1つもしくは複数の輸送車両が1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に到着すると、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)から情報を受信し得る。さらに、貯蔵モジュール(214)は、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に圧縮された水素を貯蔵し得る。一実施形態では、出力モジュール(226)は、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)における1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力する。出力することは、1つまたは複数の最適ルートを介して輸送車両によってサービス提供される、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に接続されたグラフを提供することをさらに含む。1つもしくは複数の小売店または消費地(108)が、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)が別の1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に接続されるルートを有していないとき、そのような1つもしくは複数の小売店または消費地(108)は独立して考慮される。
【0041】
一実施形態では、電子デバイスまたはコンピューティングデバイス(
図1および
図2には図示せず)は、限定はされないが、Android(商標)、iOS(商標)、Kai OS(商標)などを含む、任意のオペレーティングシステム上に常駐する実行可能命令のセットを介して集中型サーバ(110)と通信し得る。一実施形態では、電子デバイスは、限定はされないが、モバイルフォン、スマートフォン、仮想現実(VR)デバイス、拡張現実(AR)デバイス、ラップトップ、汎用コンピュータ、デスクトップ、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットコンピュータ、メインフレームコンピュータ、または任意の他のコンピューティングデバイスなどの任意の電気、電子、電気機械もしくは機器、または上記のデバイスのうちの1つまたは複数の組合せを含み得、コンピューティングデバイスは、限定はされないが、カメラなどの視覚補助デバイス、音声補助、マイクロフォン、キーボード、タッチパッド、タッチ対応スクリーン、電子ペンなどのユーザからの入力を受信するための入力デバイスを含む、1つまたは複数の内蔵または外部結合アクセサリを含み得る。電子デバイスは、言及されたデバイスに限定されず、様々な他のデバイスが使用されてもよいことを諒解されよう。スマートコンピューティングデバイスは、データおよび他のプライベート/機密情報を記憶するための適切なシステムのうちの1つであり得る。
【0042】
図3は、本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための例示的なフロー図を示す。車両の最適ルートを見つけるために、入力は、限定はされないが、ルート最適化(RO)コード、ROコードおよびデポ(106)の調整、ROコードでの1日当たりの需要、車両容量(均一なフリート)、日数単位の計画期間などを含み得る。集中型サーバ(110)は、まず、車両ルーティング問題(VRP)技法を使用して、車両の最適ルートを見つけ得る。その後、VRP技法からの出力を使用して、集中型サーバ(110)は、混合整数計画(MIP)定式化を使用することによって、各日におけるルートおよび顧客ごとの水素シリンダの最適な流出/発送を見つけることができる。
【0043】
最適化のために使用され、
図3に示される概念は、LOHCの分布を参照して説明されているが、本明細書に開示される概念は、限定はされないが、液体水素、アンモニア、メタノール、および任意の他の類似の製品など他の製品にも同様に適用することができ、いかなる制限もないことを諒解されたい。
【0044】
車両ルーティング問題(VRP)技法を使用して、距離最小化および車両容量の実現を目的として、最適ルートを見つけることができる。VRPは、所与の1日当たりの需要についての消費地(108)を含む、
図4に示されるような、すべての可能な実現可能なルートを見つけるために使用され得る。一態様では、VRP技法は、次の4日間の需要を考慮することなどによって、所与の期間にわたる需要を考慮することによって反復的に実行することができる。使用されるフレームワークは、限定はされないが、Google(登録商標)、またはローカルサーチヒューリスティック、メタヒューリスティック方法、またはPython(登録商標)などを有するツールであり得る。VRP技法からの出力は、実現可能なルート、すなわち、ルートの距離(TAT)であり得る。
【0045】
図5は、本開示の一実施形態による、実現可能なルートのための接続グラフクラスタの例示的なグラフ図を示す。グラフクラスタは、VRP技法の出力として受信されるような、デポ(106)から小売店/消費地(108)への水素シリンダの分配のための車両ルート概略図を含み得る。グラフは、車両によってサービス提供される接続された消費地(108)、すなわち、車両のための実現可能なルートを含み得る。VRPの出力グラフにおいて、対応するデポ(106)は、それが各ルートの始点であり、終点でもあるように、ルート上のすべての消費地(108)に対して共通であり得る。場合によっては、消費地(108)は、消費地(108)が他の消費地(108)に接続されるルートを有さないことがあり得る。そのような消費地(108)は、独立して考慮され得る。
【0046】
一実施形態では、VRP技法の出力は、実現可能なルートの各々の距離も含み得る。VRPの出力、すなわち、実現可能なルート、および各実現可能なルートの距離、ならびに他の入力は、
図3に示されるように、混合整数計画(MIP)モデルにすることができる。具体的には、MIPモデルは、所与の日におけるルートおよび顧客ごとの水素シリンダの最適な流出/発送を見つけるように定式化され得る。MIPに使用されるフレームワークは、限定はされないが、Python、PuLP、およびCBCソルバなどのオープンソース、およびCPLEXなど、試験のために使用される商用ソルバのいずれかであり得る。さらに、MIPモデルの出力は、位置およびルートごとの最適な1日当たりの流出/発送、デポ(106)と顧客の所在地の両方における最適な貯蔵、ならびに各ルートにおいて1日当たり必要とされるいくつかの車両であり得る。
【0047】
例示的なシナリオ
あるステートにある200個のROコードからなるデータセットを含むシナリオについて考える。ROコードごとに、今後30日間、各日に一定の需要が存在し得る。集中型サーバ(110)は、ROコードで必要とされる総貯蔵量が64シリンダであり得、必要とされるいくつかの車両が516台であり得、デポにおいて必要とされる最小貯蔵量が65シリンダであり得ることを出力し得る。さらに、VRPモデルは、一度実行され、再利用のためにそれをオフラインで記憶し得る。一例では、決定変数は、以下に示すようなものであり得る。
・Oird=整数変数∀(i,r,d)
・顧客(i)について、日(d)に、ルート(r)におけるシリンダの流出量を示す流出変数である
・Iird=整数変数∀(i,r,d)
・顧客(i)について、日(d)に、ルート(r)からのシリンダの流入量を示す流入変数である
・Inventoryid=整数変数∀(i,d)
・日(d)の顧客(i)における余剰在庫である
・Sd=整数変数
・デポにおける貯蔵
・Vrd=整数変数
・日(d)のルート(r)におけるいくつかの車両である
・MaxInventoryi=整数変数
・顧客の所在地で必要とされる最低限の余剰在庫容量である
さらに、パラメータは、以下に示すようなものを含み得る。
・RouteDistancer=ルート「r」の距離
・StorageCosti=顧客の所在地「i」における貯蔵の固定費
・VehicleCost=車両の固定費
・VehicleCapacity=車両の容量
さらに、目的関数は、以下に示すようなものを含み得る。
・最小化(輸送費+余剰在庫費+車両費)
・輸送費=ΣrΣdVrd*RouteDistancer*60
・余剰在庫費=ΣiMaxInventoryi*StorageCost*日数+Sd*StorageCost*日数
・車両費=ΣrΣdVrd*VehicleFixedCost
さらに、1つまたは複数の制約は、以下に示すようなものを含み得る。
・流入、需要、および在庫制約
・Inventoryid=Demandid-ΣrIird+Inventoryi(d-1)∀(i∈消費地,d∈日数)
・消費地での最大在庫制約(在庫の最小値)
・ΣdInventoryid≦MaxInventoryi∀(i∈消費地
・車両容量の制約:車両は、その能力を超えて運ぶことができない
【0048】
【0049】
・流入量は流出量に等しい
・Oird=Iir(d+tatr)∀(i∈消費地,r∈<ルート
・デポストレージ制約
・ΣiΣrOird≦Sd∀(dは日数)
・非負制約
・Oird,Ird,Inventoryid,Sd,Vrd,MaxInventoryi≧0∀(i,r,d)
【0050】
図6は、本開示の一実施形態による、製造施設(102)から消費地(108)への水素の分配の方法(600)の例示的なフロー図を示す。
【0051】
ブロック(602)において、方法(600)は、製造施設(102)において、限定はされないが、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)など、指定された化学物質の水素化によって製造された水素をLOHC分子中に貯蔵するステップを含み得る。
【0052】
ブロック(604)において、方法(600)は、従来のタンカーで、水素化LOHCを製造施設(102)からデポ(106)に輸送するステップを含み得る。
【0053】
ブロック(606)において、方法(600)は、50バールなどの低圧で水素を放出するために、デポ(106)においてLOHCを脱水素化するステップを含み得る。
【0054】
ブロック(608)において、方法(600)は、デポ(106)において、放出された水素を200~700バールに圧縮し、圧縮された水素を高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填するステップを含み得る。
【0055】
ブロック(610)において、方法(600)は、高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケード内の圧縮されたH2をデポ(106)から消費地(108)などの消費地に輸送するステップを含み得る。
【0056】
ブロック(612)において、方法(600)は、消費地(108)でH2を50バールの低圧タンクに貯蔵するステップを含むことができ、そこから、500~900バールに圧縮されて、高圧バッファシリンダに貯蔵され、大型車両の場合は350バール、乗用車/タクシーの場合は700バールで、車両の車載シリンダに分配するようにすることができる。
【0057】
一態様では、方法はまた、車両ルーティング問題(VRP)を反復的に実行することによって、距離最小化および車両容量の実現の目的で、すべての消費地(108)の1日当たりの必要量をカバーする、デポから消費地への最適ルートを確認するステップを含むことができ、混合整数計画(MIP)定式化を使用して、ルートおよび消費地108ごとのH2の発送を最適化するステップをさらに含むことができる。
【0058】
図7は、本開示の一実施形態による、デポ(106)から消費地(108)への水素の分布を最適化する方法(700)の例示的なフロー図を示す。
【0059】
ブロック(702)において、方法(700)は、消費地(108)など複数の消費地の位置、消費地(108)の各々の1日当たりの需要、および車両の容量に関連する入力を提供するステップを含み得る。
【0060】
ブロック(704)において、方法(700)は、車両ルーティング問題(VRP)を反復的に実行することによって、距離最小化および車両容量の実現の目的で、すべての消費地(108)の1日当たりの必要量をカバーする、車両の最適ルートを確認するステップを含み得る。
【0061】
ブロック(706)において、方法(700)は、混合整数計画(MIP)定式化を使用して、ルートおよび消費地(108)ごとのH2の発送を最適化するステップを含み得る。
【0062】
デポから消費地(108)への水素の分配を最適化するための提案された方法(700)は、LOHCの分配を参照して説明されているが、本明細書に開示される概念は、限定はされないが、液体水素、アンモニア、メタノール、および任意の他の類似の製品など他の製品にも同様に適用することができ、いかなる制限もないことを諒解されたい。
【0063】
図8は、本開示の一実施形態による、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための方法(800)を示す例示的な方法フローチャートを示す。
【0064】
図8に示されるように、方法(800)は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化する方法を示す1つまたは複数のブロックを含む。方法(800)は、コンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明され得る。一般に、コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、プロシージャ、モジュール、および機能を含むことができ、これらは、機能を実行するか、または抽象データ型を実装する。
【0065】
方法(800)が記載される順序は、限定として解釈されるものではなく、任意の数の記載される方法ブロックは、方法(800)を実施するために任意の順序で組み合わせることができる。加えて、個々のブロックは、本明細書で説明される主題の範囲から逸脱することなく、方法から削除され得る。さらに、方法(800)は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せで実装することができる。
【0066】
ブロック(802)において、方法(800)は、集中型サーバ(110)に関連付けられたプロセッサ(202)によって、気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように製造施設(102)をトリガするステップを含み得る。
【0067】
ブロック(804)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、化学物質の水素化に基づいて、製造された気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設(104)において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵するステップを含み得る。
【0068】
ブロック(806)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つまたは複数のタンクローリーで、水素化LOHC分子を、製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信するステップを含み得る。
【0069】
ブロック(808)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つまたは複数のデポ(106)において1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で水素を放出するために、1つまたは複数のデポ(106)において水素化LOHC分子を脱水素化するステップを含み得る。
【0070】
ブロック(810)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つまたは複数のデポ(106)において、放出された水素を圧縮し、圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填するステップを含み得る。
【0071】
ブロック(812)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定するステップを含み得る。
【0072】
ブロック(814)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つもしくは複数の輸送車両が1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に到着すると、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)から情報を受信するステップを含み得る。
【0073】
ブロック(816)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に圧縮された水素を貯蔵するステップを含み得る。
【0074】
ブロック(818)において、方法(800)は、プロセッサ(202)によって、1つもしくは複数の小売店または消費地(108)における1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力するステップを含み得る。
【0075】
図9は、本開示の一実施形態による、本発明の実施形態が利用され得る、またはそれとともに利用され得る例示的なコンピュータシステム(900)を示す。
【0076】
図9に示されるように、コンピュータシステム(900)は、外部記憶デバイス(910)、バス(920)、メインメモリ(930)、読取り専用メモリ(940)、大容量記憶デバイス(950)、通信ポート(960)、およびプロセッサ(970)を含むことができる。当業者は、コンピュータシステムが2つ以上のプロセッサおよび通信ポートを含み得ることを諒解されよう。プロセッサ(970)の例には、限定はされないが、Intel(登録商標) Itanium(登録商標)もしくはItanium 2プロセッサ、またはAMD(登録商標) Opteron(登録商標)もしくはAthlon MP(登録商標)プロセッサ、Motorola(登録商標)ラインのプロセッサ、FortiSOC(商標)システムオンチッププロセッサ、または他の将来のプロセッサがある。プロセッサ(970)は、本発明の実施形態に関連付けられた様々なモジュールを含み得る。通信ポート(960)は、モデムベースのダイヤルアップ接続で使用するRS-232ポート、10/100イーサネットポート、ギガビット、または銅線もしくはファイバを使用する10ギガビットポート、シリアルポート、パラレルポート、または他の既存のもしくは将来のポートのいずれかとすることができる。通信ポート(960)は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはコンピュータシステムが接続する任意のネットワークなどのネットワークに応じて選択され得る。メモリ(930)は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または当技術分野で一般に知られている任意の他の動的記憶デバイスであり得る。読取り専用メモリ(940)は、プロセッサ(970)のためのスタティック情報、たとえば、起動命令またはBIOS命令など、静的な情報を記憶するための、たとえば、限定はされないが、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)チップなどの任意の静的な記憶デバイスとすることができる。大容量ストレージ(950)は、情報および/または命令を記憶するために使用され得る、任意の現在または将来の大容量ストレージソリューションであり得る。例示的な大容量ストレージソリューションには、限定はされないが、パラレルアドバンスドテクノロジアタッチメント(PATA)またはシリアルアドバンスドテクノロジアタッチメント(SATA)ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ(内部または外部、たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)および/またはファイアワイヤインターフェースを有する)、たとえば、Seagate(たとえば、Seagate Barracuda 782ファミリ)またはHitachi(たとえば、Hitachi Deskstar 13K800)から入手可能なもの、1つまたは複数の光ディスク、Redundant Array of Independent Disks(RAID)ストレージ、たとえば、様々なベンダーから入手可能なディスクのアレイ(たとえば、SATAアレイ)がある。
【0077】
バス(920)は、プロセッサ(970)を他のメモリ、ストレージ、および通信ブロックと通信可能に結合する。バス(920)は、たとえば、拡張カード、ドライブ、および他のサブシステムを接続するための、Peripheral Component Interconnect(PCI)/PCI Extended(PCI-X)バス、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)、USBなど、ならびにプロセッサ(970)をソフトウェアシステムに接続するフロントサイドバス(FSB)などの他のバスであり得る。
【0078】
任意選択で、オペレータおよび管理インターフェース、たとえば、ディスプレイ、キーボード、およびカーソル制御デバイスもまた、コンピュータシステムとのオペレータの直接対話をサポートするためにバス(920)に結合され得る。通信ポート(960)を介して接続されたネットワーク接続を介して、他のオペレータおよび管理インターフェースを提供することができる。外部記憶デバイス(910)は、任意の種類の外部ハードドライブ、フロッピードライブ、IOMEGA(登録商標) Zipドライブ、Compact-Read-Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Re-Writable(CD-RW)、Digital Video Disk-Read Only Memory(DVD-ROM)とすることができる。上述の構成要素は、様々な可能性を例示することのみを意図している。上述の例示的なコンピュータシステムは、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【0079】
本開示の様々な実施形態は、水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステムおよび方法を提供する。本開示は、たとえば、限定はされないが、小売店、クリーン燃料として水素で走行する車両に燃料を供給するための燃料補給所、および水素をエネルギー源として使用している可能性がある他の消費者など、消費地での要求を満たすために、水素を輸送し、分配し、貯蔵することを可能にする。本開示は、液体有機水素キャリア分子(LOHC)技術に基づいて、水素を製造施設からデポに、およびデポから消費地に、圧縮気体水素(CGH2)として輸送するのに役立つ。LOHC技術は、所与のトラックでの圧縮気体水素(CGH2)よりも4~5倍多いH2の輸送を可能にし得る。さらに、LOHCは、周囲条件で液体であり、液体燃料と同じインフラストラクチャを使用して、取り扱い、輸送、および貯蔵が容易である。H2を貯蔵するために使用される化学物質のうちの1つ、すなわちジベンジルトルエン、DBTは、不燃性かつ非爆発性であり、輸送および貯蔵のために、他方の、すなわちトルエンよりも低リスクであるからである。本開示は、距離最小化および車両容量の実現を目的として、すべての消費地の1日当たりの必要量をカバーする、デポから車両の燃料補給所などの消費地への最適ルートを見つけるのに役立ち、さらに、ルートおよび消費地ごとのH2の発送を最適化することを含む。
【0080】
本明細書では、好ましい実施形態にかなりの重点を置いてきたが、本発明の原理から逸脱することなく、多くの実施形態を作ることができ、好ましい実施形態に多くの変更を加えることができることが諒解されよう。本発明の好ましい実施形態におけるこれらのおよび他の変更は、本明細書の開示から当業者には明らかであり、それによって、前述の説明事項は、本発明の単なる例示として実施されるものとし、限定として実施されるべきではないことを明確に理解されたい。
【符号の説明】
【0081】
100 水素分配ネットワーク最適化システム、ネットワークアーキテクチャ
102 製造施設
104 貯蔵場所、貯蔵施設
106 デポ
108 消費地
110 集中型サーバ
202 プロセッサ
204 メモリ
206 インターフェース
208 処理ユニット/エンジン
210 データベース
212 トリガモジュール
214 貯蔵モジュール
216 送信モジュール
218 脱水素化モジュール
220 圧縮モジュール
222 決定モジュール
224 受信モジュール
226 出力モジュール
228 他のモジュール
900 コンピュータシステム
910 外部記憶デバイス
920 バス
930 メインメモリ
940 読取り専用メモリ
950 大容量記憶デバイス
960 通信ポート
970 プロセッサ
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するためのシステム(100)であって、前記システム(100)が、
製造施設(102)と、
前記製造施設(102)に通信可能に結合された貯蔵施設(104)と、
前記貯蔵施設(104)に通信可能に結合された1つまたは複数のデポ(106)と、
前記1つもしくは複数のデポ(106)に通信可能に結合された1つもしくは複数の小売店または消費地(108)と、
プロセッサ(202)と、前記プロセッサ(202)に結合されたメモリ(204)とを備える集中型サーバ(110)とを備え、前記メモリ(204)が、実行されると、前記プロセッサ(202)に、
気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように前記製造施設(102)をトリガすること
(802)と、
化学物質の水素化に基づいて、前記製造された前記気体水素および前記液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、前記貯蔵施設(104)において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵すること
(804)と、
1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信すること
(806)と、
前記1つまたは複数のデポ(106)において前記1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で前記水素を放出するために、前記1つまたは複数のデポ(106)において前記水素化LOHC分子を脱水素化する
(808)ことと、
前記1つまたは複数のデポ(106)において、前記放出された水素を圧縮し、前記圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填すること
(810)と、
前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定すること
(812)と、
前記1つもしくは複数の輸送車両が前記1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に到着すると、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)から情報を受信すること
(814)と、
前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に前記圧縮された水素を貯蔵すること
(816)と、
前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)における前記1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力すること
(818)と
を行わせるプロセッサ実行可能命令を備える、
システム(100)。
【請求項2】
化学物質の水素化は、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)を含み、前記水素化LOHCは、前記貯蔵場所において貯蔵することができる、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
1つまたは複数の輸送車両のための前記1つまたは複数の最適ルートを決定するために、前記プロセッサ(202)が、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の1日当たりの必要量について、距離最小化および車両容量の実現に基づいて、最適ルートについての車両ルーティング問題を反復的に確認する
(704)よう
に構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記1つまたは複数のデポ(106)が、それぞれの前記デポ(106)の周りの地理的エリアに位置する前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の要求を満たすために地理的に配置され、前記製造施設(102)の前記貯蔵場所から前記1つまたは複数のデポ(106)に水素を輸送することを含む前記要求が、前記1つまたは複数のデポ(106)から前記消費地(108)へのものよりも非常に重要である、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項5】
出力するために、前記プロセッサ(202)が、前記1つもしくは複数の最適ルートを介して前記輸送車両によってサービス提供される1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されたグラフを提供するよう
に構成されており、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が別の1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されるルートを有していないとき、そのような1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が独立して考慮される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項6】
1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信することが、LOHCサプライチェーン技法に基づき、前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配することが、圧縮水素サプライチェーン技法に基づく、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項7】
水素分配ネットワークのサプライチェーンを最適化するための方法であって、前記方法が、
集中型サーバ(110)に関連付けられたプロセッサ(202)によって、気体水素および液体水素のうちの少なくとも一方を製造するように製造施設(102)をトリガするステップと、
前記プロセッサ(202)によって、化学物質の水素化に基づいて、前記製造された前記気体水素および前記液体水素のうちの少なくとも一方を、液体有機水素キャリア(LOHC)分子中に、貯蔵施設(104)において、1つまたは複数の水素シリンダ内に貯蔵するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つまたは複数のデポ(106)において前記1つまたは複数のタンクローリーを受け取ると、低圧で前記水素を放出するために、前記1つまたは複数のデポ(106)において前記水素化LOHC分子を脱水素化するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つまたは複数のデポ(106)において、前記放出された水素を圧縮し、前記圧縮された水素を1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードに充填するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配するための1つもしくは複数の輸送車両のための1つもしくは複数の最適ルートを決定するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の輸送車両が前記1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に到着すると、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)から情報を受信するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)において、1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダ内に前記圧縮された水素を貯蔵するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)における前記1つもしくは複数の低圧タンクまたは1つもしくは複数の高圧バッファシリンダの在庫に対応する情報を出力するステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記化学物質の水素化は、トルエンまたはジベンジルトルエン(DBT)を含み、前記水素化LOHCは、前記貯蔵場所において貯蔵することができる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数の輸送車両のための前記1つまたは複数の最適ルートを決定するステップが、前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の1日当たりの必要量について、距離最小化および車両容量の実現に基づいて、最適ルートについての車両ルーティング問題を反復的に確認するステップ
(704)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数のデポ(106)が、それぞれの前記デポ(106)の周りの地理的エリアに位置する前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)の要求を満たすために地理的に配置され、前記製造施設(102)の前記貯蔵場所から前記1つまたは複数のデポ(106)に水素を輸送することを含む前記要求が、前記1つまたは複数のデポ(106)から前記消費地(108)へのものよりも非常に重要である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
出力するステップが、前記プロセッサ(202)によって、前記1つもしくは複数の最適ルートを介して前記輸送車両によってサービス提供される1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されたグラフを提供するステップ
を含み、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が、前記1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が別の1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)に接続されるルートを有していないとき、そのような1つもしくは複数の小売店または前記消費地(108)が独立して考慮される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数のタンクローリーで、前記水素化LOHC分子を、前記製造施設(102)から1つまたは複数のデポ(106)に輸送するための命令を送信することが、LOHCサプライチェーン技法に基づき、前記1つもしくは複数の高圧管トレーラまたはフラットベッドシリンダカスケードを前記1つもしくは複数のデポ(106)から1つもしくは複数の小売店または消費地(108)に分配することが、圧縮水素サプライチェーン技法に基づく、請求項7に記載
の方法。
【国際調査報告】