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特表2024-511254体外組織標本を撮像するための撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】体外組織標本を撮像するための撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20240306BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240306BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240306BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20240306BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20240306BHJP
   A61B 6/03 20060101ALN20240306BHJP
【FI】
G01N23/046
G01N33/48 M
G01N33/483 Z
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 Z
G01T1/161 A
A61B6/03 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544215
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022051340
(87)【国際公開番号】W WO2022157305
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21153099.3
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523273543
【氏名又は名称】ゼオス メディカル エンフェー
【氏名又は名称原語表記】XEOS Medical NV
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ホーレン,ロエル
(72)【発明者】
【氏名】キールマン,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ジャレッド ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
2G001
2G045
2G188
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA08
2G001AA10
2G001BA11
2G001CA01
2G001CA08
2G001DA06
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA14
2G001LA01
2G001PA12
2G001PA14
2G001QA02
2G045CB01
2G045FA29
2G188AA01
2G188AA02
2G188BB02
2G188CC22
2G188CC23
2G188DD02
2G188DD05
2G188DD10
2G188DD23
2G188DD24
2G188DD25
2G188DD26
2G188DD30
2G188DD47
2G188EE25
2G188EE29
2G188EE37
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA23
4C093EE16
4C093FF17
4C093FF35
4C188EE02
4C188FF02
4C188FF07
4C188GG17
4C188HH07
4C188JJ02
4C188JJ25
4C188KK24
(57)【要約】
体外組織標本を撮像するための撮像装置である。この撮像装置は、少なくとも一対のPET検出器を含む陽電子放出断層撮影(PET)撮像モジュールと、X線源およびX線検出器を含むコンピュータ断層撮影(CT)撮像モジュールと、撮像される組織標本を受け入れるように構成された組織標本受入要素とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外組織標本を撮像する撮像装置であって、
-少なくとも一対のPET検出器を含む陽電子放出断層撮影(PET)撮像モジュールと、
-X線源およびX線検出器を含むコンピュータ断層撮影(CT)撮像モジュールと、
-撮像される組織標本を受け入れるように構成された組織標本受入要素と、
-前記組織標本受入要素を前記CT撮像モジュールから前記PET撮像モジュールへ移動させるように構成された運動システムとを備え、
前記PET撮像モジュールが、前記CT撮像モジュールの上方または下方に位置することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
当該撮像装置の上面が、前記組織標本受入要素上に組織標本を装填できるように構成された開口部を含み、前記開口部が蓋によって閉鎖可能であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記蓋が、前記組織標本受入要素の上面画像を提供するように構成されたカメラを含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記組織標本受入要素を受け入れるように構成された実質的に垂直なボアを備え、前記実質的に垂直なボア内での前記組織標本受入要素の移動が可能となっていることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記運動システムが、実質的に垂直な運動、および/または前記組織標本受入要素の実質的に垂直な軸を中心とする回転運動を可能にするように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記運動システムが、キネマティックマウントを含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記運動システムが、前記組織標本受入要素に対して整定運動を行うように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記PET撮像モジュールが、3mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の空間分解能を有する高分解能PET撮像モジュールであることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記CT撮像モジュールが、0.2mm未満の空間分解能を有するマイクロCT撮像モジュールであることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記CT撮像モジュールのシールドが、鉛を含まないシールドであることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記PET撮像モジュールおよび/または前記CT撮像モジュールからのデータに基づいて画像再構成を実行するように構成された画像再構成モジュールをさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置において、
前記画像再構成モジュールが、3D画像再構成を実行するように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の撮像装置において、
ユーザインターフェースをさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の撮像装置において、
当該撮像装置が、移動式装置であることを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
体外組織標本撮像を実行する方法であって、
-請求項1~14の何れか一項に記載の撮像装置を提供するステップと、
-撮像される体外組織標本を前記組織標本受入要素に提供するステップと、
-任意選択的に、前記運動システムが、前記組織標本受入要素に対して加振運動を実行するステップと、
-前記CT撮像モジュールが、体外組織標本を撮像するステップと、
-前記PET撮像モジュールが、体外組織標本を撮像するステップとを備え、
前記運動システムが、前記組織標本受入要素を前記CT撮像モジュールから前記PET撮像モジュールへ上昇または下降運動で移動させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、陽電子放出断層撮影(PET)撮像モジュールおよびX線コンピュータ断層撮影(CT)撮像モジュールを含む、体外組織標本を撮像するための撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体外組織標本分析の分野では、切除正確性の評価が重要な課題となっている。例えば、腫瘍組織を切除した後、腫瘍組織は可能な限り完全に切除する必要があるため、さらに組織を切除する必要があるか否かを決定できるようにするために、切除された組織の外科的マージンを評価する必要がある。そのために、切除される組織には腫瘍のない十分なマージンが必要である。そのような切除正確性の評価は病理組織医が行うことができる。しかしながら、手術中に病理組織医を常駐させたり待機させたりすることは、比較的費用がかかり、また論理的にも比較的達成が困難である。同時に、病理組織学的評価は、比較的時間のかかるプロセスであり、術中に実現することが困難である場合がある。したがって、そのような病理組織学的評価が術中に実行されるのは稀であり、その結果、切除された組織において腫瘍マージンが術後に検出された場合に、追加の後続手術の望ましくないスケジューリングが必要になる。
【0003】
体外組織標本の切除正確性の評価において、1または複数の撮像技術を使用することが知られており、それらの撮像技術は腫瘍組織を可視化することができる。CT撮像モジュールは、例えば、組織標本中の組織密度の違いを検出し、撮像された組織標本の形態学的情報を提供して、腫瘍組織と健康な組織とを区別することができる。しかしながら、CT画像では腫瘍組織と健康な組織とのコントラストが制限されることが多い。PET撮像モジュールは、撮像前に患者に投与された、患者の体内の陽電子放出放射性トレーサの分布を検出することができる。一部の放射性トレーサは腫瘍組織に高い特異性で取り込まれるため、PET撮像モジュールは、例えば、腫瘍組織の画像を比較的高い精度で提供することができる。残念ながら、PET画像では、詳細な形態学的情報が得られないことがある。そのため、CT撮像モジュールにより生成された画像とPET撮像モジュールにより生成された画像とを組み合わせることは、臨床撮像、特に切除された組織標本のマージン評価において非常に有効である。
【0004】
しかしながら、CT撮像モジュールおよびPET撮像モジュールはともに、かなり嵩張る大きなデバイスであるため、手術室内での設置や操作が困難な場合がある。CT撮像装置とPET撮像装置を組み合わせると、そのデバイスはさらに大型化し得る。利用可能なPET撮像装置やCT撮像装置の空間分解能では、比較的小さな摘出標本の腫瘍組織を正確に可視化できない可能性がある。同時に、CT撮像装置とPET撮像装置とを組み合わせたデバイスは、CT撮像装置による制約とPET撮像装置による制約とを組み合わせる必要があるため、通常、機械的な観点から比較的複雑なシステムとなる。CT撮像装置は、通常、撮像される標本または対象の周りを回転するように構成されることがある。CTとPETを組み合わせた一部の撮像デバイスは、撮像を実行する前に病変マーカーを埋め込む必要もあり、これが、そのようなシステムの欠点となっている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述した問題の1または複数を解決するか、少なくとも軽減することである。特に、本発明は、組織標本の切除正確性を術中に評価することを可能にする、体外組織標本を撮像するための撮像装置を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、請求項1の特徴を有する体外組織標本を撮像するための撮像装置が提供される。具体的に、この装置は、少なくとも一対のPET検出器を含む陽電子放出断層撮影(PET)撮像モジュールと、X線源およびX線検出器を含むコンピュータ断層撮影(CT)撮像モジュールと、撮像される組織標本を受け入れるように構成された組織標本受入要素とを備える。本発明の態様では、この装置が、CT撮像モジュールからPET撮像モジュールに組織標本受入要素を移動させるように構成された運動システムをさらに備え、PET撮像モジュールが、CT撮像モジュールの上方または下方に配置される。CT撮像モジュールおよびPET撮像モジュールのこの垂直構成により、比較的コンパクトな撮像装置を提供することができる。本明細書において、「撮像装置」という語は、単一のデバイス、好ましくはモジュール式デバイスとして理解されるべきであり、別個のデバイスを含むシステムとして理解されるべきものではない。本発明に係る撮像装置は、比較的小型で比較的軽量に作ることができるため、この装置は、例えば術中、すなわち手術中に手術室で使用することができる。
【0007】
PET撮像モジュールは、CT撮像モジュールの上方に配置されることが好ましい。PET撮像モジュールをCT撮像モジュールの上方に配置することにより、前者はCT撮像モジュールから放出される潜在的に有害な放射線から環境を遮蔽するのに役立つ。その結果、遮蔽の一部がPET撮像モジュールによって行われるため、CT撮像モジュール自体は比較的軽い遮蔽を含むことができ、これは総重量の点で撮像装置にとって有利である。一例として、CT撮像モジュールは撮像装置の実質的に中央位置に配置されることが好ましく、PET撮像モジュールは撮像装置の上部に配置される。
【0008】
組織標本受入要素は、例えば、摘出された組織標本を保持するための透明なホルダ、または直立した側壁を有する他の公知の標本容器またはカセットであってもよい。そのような起立した側壁は、CT撮像モジュールおよびPET撮像モジュールの一方または各々の視野に適合する予め規定された境界内に組織標本を保持するのに役立つことがある。上面は開いていても、または閉鎖可能であってもよい。また、組織標本受入要素は、起立した境界を有するまたは有しない板状要素であってもよい。
【0009】
撮像装置の上面は、好ましくは、組織標本受入要素上への組織標本の装填を可能にするように構成された開口部を含むことができ、この開口部は蓋によって閉鎖可能である。開口部は、組織標本受入要素にガントリを提供することができる。組織標本受入要素は、組織標本を装填するために開口部を介して、装置から取り外し可能であってもよく、かつ/または組織標本受入要素が撮像装置内にある間に、開口部を介して組織標本を装填することができる。組織標本受入要素への上側からのアクセスは、特に、撮像装置の高さがテーブルの高さと実質的に同様である場合、特に、80cm程度~ほぼ120cmの間である場合に、組織標本の取り扱いを容易にすることができる。代替的には、組織標本受入要素へのアクセスは、例えば、装置の側面の開口部を介して、他の方法で提供されるようにしてもよい。この開口部は蓋で閉じることができる。この蓋は、撮像装置の撮像モジュールの一方によって放射される放射線から環境を遮蔽するのに役立つことができる。PET撮像モジュールはCT撮像モジュールの上方にあり、遮蔽を補助するため、蓋は比較的軽量の蓋とすることができる。蓋またはドアは、例えば、ヒンジ付き蓋またはスライド式ドアとすることができ、それらは、撮像される組織標本を組織標本受入要素に提供した後に、手動または自動で閉鎖することができる。他の公知の閉鎖可能な蓋を使用することもできる。
【0010】
蓋は、有利には、組織標本受入要素の上面画像を提供するように構成されたカメラを含むことができる。カメラは、好ましくは光学カメラとすることができる。組織標本受入要素上に配置された組織標本の画像は、組織標本受入要素上の組織標本の向きを判定するのを補助することができる。組織標本の向きは、他の方法、例えば、摘出後の組織標本に取り付けられたワイヤ、標本の染色、他の既知の技術、またはそれらの組合せによって、判定することもできる。
【0011】
撮像装置は、実質的に垂直なボアをさらに備えることができ、この実質的に垂直なボアは、組織標本受入要素を受け入れるように構成され、ボア内での組織標本受入要素の移動が可能となっている。垂直ボアにより、比較的コンパクトな撮像装置を構築することが可能になる。垂直ボアは、好ましくは、撮像装置の上面に含まれる開口部から、PET撮像モジュールを通って下方のCT撮像モジュールまで延びており、それにより、開口部からCT撮像モジュールおよびPET撮像モジュールへの実質的に垂直なボア内での組織標本受入要素の移動が比較的単純で緩やかな動きで可能になる。
【0012】
運動システムは、組織標本受入要素の実質的に垂直な運動および/または実質的に垂直な軸を中心とする回転運動を可能にするように構成することができる。特に、運動システムは、一次元の実質的に垂直な運動および/または同じ実質的に垂直な軸の周りの回転運動を可能にするように制限されることが好ましい。実質的に垂直な運動により、例えば、組織標本受入要素を、例えば装置の上側に位置する組織標本受入位置から、CT撮像モジュール内の撮像位置へ、さらにPET撮像モジュール内の撮像位置へ移動させることが可能になる。撮像位置、例えばCT撮像モジュール内の撮像位置において、運動システムは、組織標本受入要素を例えば約180°にわたって回転させるように構成することができ、それにより、様々な角度にわたって組織標本を撮像することができる。さらに、運動システムは、組織標本受入要素の実質的に垂直な軸周りの回転運動を、実質的に垂直な運動と組み合わせることができるように構成されるものであってもよく、それにより、組織標本受入要素の螺旋運動をもたらすことができ、これは、例えばCT撮像モジュールによるデータの螺旋状の取得に有益となり得る。このため、単一の移動軸のみを含む比較的単純なマウントを用いて、高品質の撮像を実行することができる。
【0013】
運動システムはキネマティックマウントを含むことができる。キネマティックマウントとは、3D物体のすべての自由度が、好ましくは過度の拘束なしに移動を制限されたマウントである。具体的に、組織標本受入要素のような可動フレームは、ボールベアリングによって支持することができる。そのような運動学的に決定されたマウントは、垂直ボア内の組織標本受入要素の位置合わせを簡素化することができ、装置の整備後の再較正の必要性を軽減または省略することができる。
【0014】
運動システムは、例えば組織標本受入要素に対して加振運動を行うことによって、組織標本受入要素内の組織標本の整定(settling)を実行するように構成することができる。加振運動は、例えば、比較的迅速な下向き運動とそれに続く比較的短い上向き運動、またはその逆の運動を、1回または反復的に含むことができる。他の多くの整定運動が可能である。そのような整定運動は、組織標本を受け入れた後、撮像モジュールの一方によるデータ取得の前に行うことができる。整定運動は、各撮像モジュールによって取得されたデータの結合および/または比較を妨げる、CT撮像モジュールによるデータ取得とPET撮像モジュールによるデータ取得との間における組織標本受入要素内の組織標本の移動を回避するために有益である。
【0015】
PET撮像モジュールは、3mm未満、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の空間分解能を有する高分解能PET撮像モジュールが好ましい。高分解能PET撮像モジュールは、好ましくはモノリシックシンチレータを含み、三次元でミリメートル未満の空間分解能を提供することができる。代替的には、PET撮像モジュールは、シンチレーション結晶のアレイを含むことができる。PET撮像モジュールは、好ましくは、複数のPET検出器のリングを含み、例えば5を超えるPET検出器、例えば9を超えるPET検出器、例えば11以上のPET検出器を含む。PET検出器は、好ましくはシリコン光電子増倍管を使用するPET検出器である。
【0016】
CT撮像モジュールは、0.2mm未満(200μm未満)、より好ましくは0.1mm未満(100μm未満)の空間分解能を有するマイクロCT撮像モジュールとすることができる。CT撮像モジュールは、例えば、マイクロフォーカスX線源と大面積フラットパネルX線検出器とを含むコーンビームCTスキャナとすることができる。X線検出器は、シンチレータと結合したCMOSイメージセンサを含むことができる。CT撮像モジュールの他の構成も可能である。
【0017】
CT撮像モジュールの遮蔽は、鉛を含まない遮蔽とすることができる。CT撮像装置は潜在的に有害な放射線を放出することが知られており、撮像装置の環境をこの放射線から遮蔽する必要がある。この遮蔽は一般にCT撮像モジュールの筐体を含み、この筐体には通常鉛が含まれている。鉛は密度が高いため、X線やガンマ線に対するシールド材として有用である。鉛の廃棄による環境リスクにより、鉛を含まないシールドを提供することが好ましいと考えられ、そのようなシールドは鋼または鋼合金を含むことができる。鋼製シールドは、鉛を含む対応するシールドよりも厚くなる可能性があるが、鋼製シールドは製造が比較的容易である。
【0018】
撮像装置は、PET撮像モジュールからのデータおよび/またはCT撮像モジュールからのデータに基づいて画像再構成を実行するように構成された画像再構成モジュールをさらに備えることができる。画像再構成モジュールは、CT撮像モジュールからのデータのみに基づいて、またはPET撮像モジュールからのデータのみに基づいて再構成画像を提供することができる。画像再構成モジュールは、CT撮像モジュールおよびPET撮像モジュールの両方からのデータに基づいて再構成画像を提供するようにも構成されることが好ましい。PET撮像モジュールおよびCT撮像モジュールの感度が比較的高いため、撮像モジュールによる取得時間を短縮することができ、画像再構成を比較的迅速に開始することができる。画像再構成モジュールは、好ましくは約15分以内、より好ましくは約10分以内に再構成された画像を提供するように構成される。代替的には、例えば遠隔コンピューティングモジュールまたはサーバ上の画像再構成モジュールによって、画像再構成をリモートで実行することができる。
【0019】
画像再構成モジュールは、3D画像再構成を実行するように構成することができる。3D画像再構成は、サンプリングバイアスを除去するのに有利な場合がある。さらに、CT撮像モジュールは、様々な視点からの複数の画像を提供するために、組織標本の円形スキャンまたは螺旋スキャンを実行するように構成することができる。
【0020】
撮像装置は、ユーザインターフェースをさらに備えることができる。ユーザインターフェースは、例えば、画像再構成モジュールによって提供される画像を表示するように構成されたスクリーンを含むことができる。スクリーンは、例えば、撮像装置の上側に配置されるようにしても、他の場所に配置されるようにしてもよい。スクリーンは、タッチスクリーンであっても、他のタイプのスクリーンであってもよい。ユーザインターフェースは、ユーザが実行すべき最小限の動作で比較的簡単な方法で撮像装置を操作できるように構成された複数のボタン、ハンドルまたはペダルをさらに含むことができ、起動ボタンまたはペダルは、例えば、組織標本受入要素へのアクセスを与える開口部を開くことができる。ユーザインターフェースは、例えば、CT撮像モジュールおよびPET撮像モジュールによる組織標本のスキャンプロセスの進行状況を示すように構成された、例えばLEDストリップまたは他の任意の既知の手段などの視覚的手段を含むこともできる。
【0021】
撮像装置は、有利には移動式装置とすることができる。撮像装置は、撮像装置の移動を容易にする車輪、特に回転車輪を含むことが好ましい。そのような移動式の撮像装置は、特に、手術室での使用に有利であり、その場合、撮像装置は、必要なときに比較的容易に手術台の近くに引き寄せて、その前後に脇に置くことができる。車輪以外の他の公知の移動手段も同様に考えられる。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、請求項15の特徴を有する体外組織標本撮像を実行する方法が提供される。そのような方法は、上述した利点のうち1または複数を提供することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、本方法は、放射性トレーサを組織に注入するステップを含むことができる。そのような放射性トレーサの例は、18F-フルオロデオキシグルコース、一般にFDGとして知られる、例えば腫瘍細胞などの代謝的に活性な細胞に取り込まれるグルコース類似体である。FDGの放射性崩壊時間は110分程度である。PET撮像に使用できる他の同位体としては、例えば、約20分の崩壊時間を有するC-11、約68分の崩壊時間を有する68-ガリウムなどが含まれる。それら同位体は、PSMAのような他の分子(その後、放射性トレーサとなる)に連結することができる。ナノボディのような他の分子もPET同位体と結合することができる。PET撮像を最適化するために、放射性崩壊時間とトレーサの体内吸収または取り込み時間を考慮して、放射性トレーサを投与する最適な時間枠を計算することができる。通常、放射性トレーサの投与から撮像までの間隔を60分~90分程度の範囲とすることが推奨されるが、約30分経過した後でも、すでに組織の標的細胞に放射性トレーサが比較的強く取り込まれている可能性がある。放射性トレーサの投与が早過ぎると、比較的重要な信号の喪失や画質の低下に繋がる可能性がある。早期投与を補うために、より高い投与量の放射性トレーサを投与すると、放射線負荷が増大する可能性がある。
【0024】
放射性トレーサを投与するステップは、患者から組織標本を切除する前に行うことが好ましい。このようにすれば、標本による放射性トレーサの取り込みを待つことなく、組織標本を摘出した直後に体外組織被検体の撮像を行うことができる。代替的には、放射性トレーサを体外組織標本に注入することもできる。
【0025】
放射性トレーサを投与するステップは、術中、すなわち患者の手術中、患者が好ましくは全身麻酔下にあるときに実施することが好ましい。より好ましくは、放射性トレーサを投与するステップは、患者の血管系を切開する前に行われる。これにより、放射性トレーサは体内を良好に循環し、標的組織に取り込まれることができる。そのような方法により、放射性トレーサの投与量を減少させながら、切除組織標本の撮像前に体内への取り込み時間を最適化することができ、その結果、画質を改善することができる。この方法は、特に、比較的時間のかかる手術に有利であり得る。そのような方法は、それ自体発明と考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1の態様に係る体外組織標本を撮像するための撮像装置の好ましい実施形態の斜視図を示している。
図2図2は、図1に示す撮像装置の内部の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の第1の態様に係る体外組織標本を撮像するための撮像装置1の好ましい実施形態の斜視図を示している。撮像装置1は、好ましくは移動式装置である。これは、少なくとも2つの車輪、好ましくは4つの車輪を含むことができ、それらの車輪は、回転車輪2aまたは非回転車輪2bであってもよい。これにより、撮像装置1は、手術室に容易に移動させることができ、また手術室内を移動させることができる。例えば、摘出した組織標本を術中に撮像およびマージン評価のために撮像装置1内に挿入することができるように、装置1を手術台の近くに接近させることができる。撮像装置1の上面3は、テーブルの高さ、例えば床から80cm程度~約120cmの高さに配置することができる。撮像装置1は、例えばディスプレイ4のようなユーザインターフェースを含むことができ、このディスプレイは、撮像装置1の上面3に取り外し可能にまたは固定的に取り付けることができ、または他の任意の方法で取り付けることができる。ディスプレイ4は、好ましくは、手術室の施術者がディスプレイ4の画面上に表示される結果を容易に可視化することができるように、様々な方向に回転させることができる。ユーザインターフェースは、撮像装置へのデータの入力を可能にするように構成された入力要素をさらに含むことができる。入力要素は、キーボード、マウス、タッチスクリーンまたは他の任意の入力要素のうちの1つとすることができる。タッチスクリーンは、例えば、患者データまたは他の情報の入力を可能にするために、装置1の上面3に含まれるものであってもよい。撮像装置1は、PET撮像モジュールからのデータおよび/またはCT撮像モジュールからのデータに基づいて画像再構成を実行するように構成された画像再構成モジュール30を備えることができる。画像再構成モジュールは、好ましくは、3D画像再構成を実行するように構成される。画像再構成モジュール30は、画像再構成の実行を可能にする適切なコンピューティングシステムを含むことができる。コンピュータシステムは、好ましくは撮像装置1に含まれる。コンピュータシステムは、遠隔コンピューティングシステム、例えば結果を記憶するための病院のコンピューティングシステムと通信するための有線または無線の通信インターフェースを含むことができる。代替的には、画像再構成は遠隔コンピューティングシステム上で実行されるものであってもよい。
【0028】
撮像装置1内の様々なモジュールの保守を比較的容易にするために、撮像装置1の少なくとも1の側面、好ましくは前側面5は、撮像装置1の内部へのアクセスを含むことができる。このアクセスは、蓋またはドア6によって閉鎖することができる。撮像装置1の側面は、好ましくは一列に延びる、好ましくは複数のLEDライトを含む、例えば照明ストリップ7などの進行インジケータをさらに含むことができ、これは、組織標本の撮像プロセスの進行を示すように構成することができる。照明ストリップ7などの1または複数の進行インジケータは、好ましくは、ユーザインターフェースから一定の距離の位置に、特にディスプレイ4から一定の距離の位置に配置することができる。撮像プロセスの進行は、光の色によって、光の強度によって、点灯時間によって、光の数によって、光の輝き、明滅、点滅によって、かつ/またはそれらの任意の組合せによって示すことができる。照明ストリップ7は、例えば、青色、緑色、赤色および/または黄色の光、またはそれより多いまたは少ない色を、ストリップの一部にわたって、かつ/またはストリップ全体にわたって、定常的に、点滅的に、または他の任意の方法で放出するように構成することができる。それら照明特性の各々またはそれら特性の任意の組合せは、例えば、撮像装置の蓋の開放、CT撮像モジュールによる撮像の開始および/または進行、または組織標本受入要素の移動、または撮像プロセスの他の任意のステップなど、撮像プロセスのステップおよび/またはステップの評価に対応することができる。照明ストリップ7の特定の色または点灯方法は、例えば、撮像装置の蓋6が開いているときおよび/またはX線が放射されているときの警告として使用することもできる。他の任意の進行インジケータを代替的に使用することもできる。照明ストリップ7などの1または複数の進行インジケータは、撮像装置1の異なる側面、例えば撮像装置1の各側面に1つずつ配置することもできる。これにより、外科医などのユーザは、撮像装置から一定の距離で患者の近くに留まりながら、撮像プロセスの進行状況を追跡することができ、自分の側からの介入が必要なときに警告を受けることができる。撮像装置1は、手術室の無菌環境における装置1の操作を容易にするための操作ペダル8をさらに含むことができる。ペダルは、例えば、車輪2a、2bのブレーキを操作することができる。撮像装置1の上面3は、組織標本を組織標本受入要素に装填できるように構成された開口部9を含むことができる。この開口部9は、好ましくは、蓋(図示せず)、または他の任意のタイプの閉鎖要素によって閉鎖可能である。撮像装置1の上面3は、例えば開口部9の周囲に、例えば実質的に円形状の更なる進行インジケータを含むことができる。この更なる進行インジケータは、好ましくは複数のLEDを含む照明ストリップとすることもでき、照明ストリップ7から独立してかつ/または照明ストリップ7と組み合わせて機能するように構成することができ、それにより、色、タイミングおよび他の照明特性の組合せによって、メッセージングの数および/または警告の可能性を増加させることができる。蓋、特に撮像装置1の内側を向く蓋の内側面は、組織標本受入要素の上面画像を提供するように構成されたカメラを含むことができる。操作ペダル8は、例えば、オペレータが何も触れることなく組織標本を組織標本受入要素内に入れることができるように、蓋を空けて開口部9を閉じるように構成することができる。同じまたは別のペダル8は、撮像手順を開始するように構成することができる。代替的には、蓋は、自動化されたワークフローにおいて自動的に開閉されるものであってもよい。また、撮像手順は、撮像装置1の上面3に含まれるタッチスクリーンによって開始されるようにしてもよい。
【0029】
図2は、図1に示す撮像装置1の内部の斜視図を示している。撮像装置1は、陽電子放出断層撮影(PET)撮像モジュール10と、コンピュータ断層撮影(CT)撮像モジュール11とを備える。PET撮像モジュール10は、CT撮像モジュール10の上方に配置されている。本実施形態では、PET撮像モジュール10は、例えばボルトまたは他の任意の適切な固定要素を含む専用のマウント12を介して、CT撮像モジュール10の上部に直接取り付けられる。マウント12は、有利には、すべてのモジュールを個々に交換可能なモジュール式システムを提供するために、取り外し可能な固定要素を含むことができる。CT撮像モジュール11の上方にPET撮像モジュール10を取り付けることにより、PET撮像モジュール10はCT撮像モジュール11の効率的な遮蔽に寄与することができ、それにより、CT撮像モジュール11を取り囲む比較的軽量の遮蔽材料の使用が可能になっている。PET撮像モジュール10は、PET検出器13のリング、好ましくはシリコン光電子増倍管ベースのPET検出器13を備えることができる。PET撮像モジュール10は、好ましくは、癌検出において一般的に使用され、特に体外組織のマージン評価に適合する18F-FDG放射性トレーサとともに使用されるように構成されている。PET撮像モジュール10は、好ましくは1mm未満の空間分解能を有する高分解能PET撮像モジュールである。CT撮像モジュール11は、好ましくは0.2mm未満の空間分解能を有するマイクロCT撮像モジュールである。CT撮像モジュール11は、X線源14、例えばマイクロフォーカスX線源と、X線検出器15、例えば大面積フラットパネルX線検出器とを含む。X線検出器15は、シンチレータと結合されたCMOSイメージセンサを含むことができる。CT撮像モジュール11は、一般に、CT撮像モジュール11の環境を潜在的に有害な放射線から保護するための保護シールド16に囲まれている。CT撮像モジュールのシールド16は、例えば、無鉛シールドとすることができる。
【0030】
撮像装置1は、好ましくは、組織標本受入要素を受け入れるように構成された実質的に垂直なボア17を備え、実質的に垂直なボア17内での組織標本受入要素の移動が可能となっている。垂直ボア17は、好ましくは、撮像装置1の上面3の開口部9と実質的に垂直に整列している。実質的に垂直なボア17は、好ましくは、開口部9、PET撮像モジュール10およびCT撮像モジュール11の間で組織標本受入要素を実質的に垂直に移動させることができるように、PET撮像モジュール10およびCT撮像モジュール11を横切っている。撮像装置1は、運動システム18をさらに備え、この運動システムは、組織標本受入要素を、CT撮像モジュール11からPET撮像モジュール10に移動させるように、好ましくは開口部9から実質的に垂直なボア17を通ってCT撮像モジュール11に、次いでPET撮像モジュール10に、そして開口部9へ戻るように移動させるように構成されている。そのために、運動システム18は、リニアモータ19、リニア運動ガイド20、およびケーブルを保護するためのケーブルキャリア21を含むことができる。リニアモータは、組織標本受入要素を直線的に移動させるように構成することができ、その移動はリニア運動ガイド20によって案内される。運動システム18は、例えば、キネマティックマウント(図示せず)を含むことができ、このマウントでは、3個セット、あるいは6個セットのボールベアリングが、対応する円錐形の凹部によって拘束され、それにより、装置の保守後の時間のかかる再調整を避けることができる確かな取付を提供している。キネマティックマウントは、例えば、運動システム18の上部に配置され、CT撮像モジュール11の下側と接続されることができる。組織標本を組織標本受入要素内または組織標本受入要素上に装填した後、運動システムは、整定運動、例えば、垂直ボア内の下降運動であって、例えば比較的重要な加速およびその後の運動の急停止を含む運動を行うように構成することができる。他の運動、例えば加振運動も可能である。組織標本に対する加速力および減速力によって、CT撮像モジュール11およびPET撮像モジュール10の両方による撮像中に、組織標本が組織標本受入要素内で動かないように、組織標本を整定させることができる。運動システム18はさらに、組織標本受入要素の実質的に垂直な軸を中心とする回転運動を可能にするように構成され得る。そのために、運動システム18は、中央垂直軸を中心に組織標本受入要素を回転させるように構成された回転モータ22を含むことができる。組織標本受入要素のそのような回転運動により、CT撮像モジュールは、CT撮像モジュール11の固定されたマウントにもかかわらず、様々な角度から、例えば、360°全体またはそれ以下にわたって分布する様々な角度から、組織標本の複数の画像を生成することを可能にすることができる。また、運動システム18は、直線運動と回転運動とを組み合わせて、特にCT撮像モジュール11を通る、組織標本受入要素の螺旋運動をもたらすように構成することもできる。本実施形態では、CT撮像モジュール11が、例えばボルトまたは他の適切な固定手段を含む専用のマウント23を介して、運動システム18、特に回転モータ22に取り付けられている。CT撮像モジュール11は、好ましくは、回転モータ22に取り外し可能に取り付けられている。
【0031】
手術中、例えば乳房手術中に、撮像装置1を使用して体外組織標本撮像を実行することができる。そのために、外科医、またはより好ましくは看護師が、撮像装置1を手術台の近くに移動させることができる。蓋は、開口部9から、好ましくはハンズフリーで、例えば自動ワークフローの開始後に自動的に、または手動で取り外すことができる。外科医または看護師は、切除された組織標本を組織標本受入要素の上または中に置くことができる。その後、開口部9を介して垂直ボア17に組織標本受入要素を提供することができる。垂直ボア17の上端は、組織標本受入要素を垂直ボア17内に正確に配置するような形状にすることができる。次に、運動システム18は、組織標本受入要素を、例えば下方に移動させることができ、それにより、開口部9上の蓋を再び閉じることができる。代替的には、開口部9を覆うように構成された蓋のすぐ下に組織標本受入要素を配置することができる。蓋の内側に取り付けられたカメラは、ここで組織標本の上面画像を作成することができる。代替的には、カメラは、撮像装置1における撮像手順の少なくとも一部を記録することができる。その後、運動システム18は、組織標本を組織標本受入要素内で落ち着かせるために、例えば速い下降運動に続く短い上昇運動、または例えば加振運動などの整定運動を実行することができる。その後、運動システム18は、組織標本受入要素をCT撮像モジュール11に移動させることができる。その後、CT撮像モジュールは、好ましくは螺旋スキャンによって、例えばCT撮像モジュール11を通る組織標本受入要素の螺旋運動によって、体外組織標本の撮像を実行する。画像再構成モジュール30は、好ましくは直ちに画像再構成を開始することができる。スキャン中でも、CT画像の一部を、画像再構成なしで、ディスプレイ4上に、例えば、第1の画像と、第1の画像に対して90°の角度から撮影された更なる画像とを、2Dプレビューモードで比較的迅速に表示することができる。これにより、外科医は、CT撮像モジュールによる撮像の開始から最初の10秒~30秒の間に、体外組織標本が更なる撮像のために適切に配置されているか否かを評価することができる。この段階で必要に応じて撮像を中断することができる。その後、運動システム18は、組織標本受入要素をCT撮像モジュール11からPET撮像モジュール10に上方移動させる。そして、PET撮像モジュールは、体外組織標本の撮像を実行する。その後、画像再構成モジュールは、PET画像の画像再構成を実行することができる。その後、再構成された3DのPET画像およびCT画像を、外科医および/または看護師もしくは他の医療従事者による評価のために、ディスプレイ4上に別個にかつ/または同時に表示することができる。体外組織標本を撮像装置1に挿入してからCT画像およびPET画像が表示されるまでの全手順は、好ましくは20分未満、より好ましくは15分未満であり、その結果、体外組織標本の高精度のマージン評価を術中に実行することができる。
【0032】
特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明が上述した例示的な実施形態の細部に限定されるものではなく、かつ本発明がその範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を伴って実施できることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的なものであって、限定的なものでなないとみなされるべきであり、本発明の範囲は、上述した説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、よって、特許請求の範囲の意味および均等の範囲内に入るすべての変更が、そこに包含されることが意図される。換言すれば、基礎となる基本原理の範囲内に入るあらゆる変更、変形または均等物を網羅し、その本質的な属性が本特許出願で特許請求されていると企図される。さらに、本特許出願の読み手には、「備えている」または「備える」という語が他の要素またはステップを排除しないこと、並びに、「a」または「an」という語が複数を排除しないこと、また、コンピュータシステム、プロセッサまたは別の統合ユニットなどの単一の要素が、特許請求の範囲に記載された複数の手段の機能を果たし得ることが理解されよう。特許請求の範囲におけるいかなる符号も、それぞれの請求項を限定するものと解釈してはならない。「第1」、「第2」、「第3」、「a」、「b」、「c」などの用語は、本明細書または特許請求の範囲において使用される場合、類似の要素またはステップを区別するために導入されたものであり、必ずしも連続的または時系列的な順序を説明するものではない。同様に、「上」、「下」、「上方」、「下方」などの用語は、説明目的で導入されたものであり、必ずしも相対的な位置を示すものではない。このように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、上記で説明または例示されたものとは異なる他の順序または向きで本発明に従って動作可能であることを理解されたい。
図1
図2
【国際調査報告】