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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】照明回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/48 20200101AFI20240306BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20240306BHJP
【FI】
H05B45/48
H05B45/345
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547190
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2022052994
(87)【国際公開番号】W WO2022175134
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21157302.7
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】テル ヴェーメ ベレント ヤン ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】ホンテレ ベルトラント ヨハン エドヴァルト
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA06
3K273CA02
3K273CA09
3K273CA12
3K273DA02
3K273DA03
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA27
3K273GA28
3K273GA29
(57)【要約】
照明回路は、電流源によって駆動される、異なる出力色の複数の照明チャンネルの直列接続を有する。前記照明チャンネルの幾つか又は全てが、LED装置、前記LED装置と並列のシャントスイッチ、及び前記LED装置と並列の電流リーク経路を有する。前記電流リーク経路は、前記LED装置を流れる電流を較正し、それによって、LEDの特性を考慮するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明チャンネルの直列接続又は並列接続を含む光源装置と、
前記光源装置に駆動電流を供給するための電流源とを有する照明回路であって、
各照明チャンネルが、LED装置、及び前記LED装置と並列の電流リーク経路を有し、
各電流リーク経路が、各LED装置が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、各LED装置の光出力がほぼ等しいように、対応するLED装置から電流をバイパスするよう構成される照明回路。
【請求項2】
コントローラを有し、前記光源装置が、前記直列接続を有し、各照明チャンネルが、前記LED装置と並列にシャントスイッチを有し、前記コントローラが、前記シャントスイッチを制御するよう構成される請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
各電流リーク経路が、抵抗回路を有する請求項1に記載の照明回路。
【請求項4】
各電流リーク経路が、線形電流調整回路を有する請求項1に記載の照明回路。
【請求項5】
前記コントローラが、前記光源装置の異なる光束設定に対して異なるシャントスイッチPWMデューティサイクルを適用するよう適合される請求項2に記載の照明回路。
【請求項6】
前記コントローラが、前記光源装置の異なる光束設定に対して異なる電流源駆動電流を適用するよう適合される請求項5に記載の照明回路。
【請求項7】
各LED装置に対して、前記電流リーク経路が、デフォルトの駆動電流に対して前記光出力の光束が所望の値に較正されるように、適合される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項8】
前記デフォルトの駆動電流が、前記光源装置の最も低い光束のビンのためのチャンネルの各々のための最低限必要な光束のための前記駆動電流である請求項7に記載の照明回路。
【請求項9】
前記光源装置が、各々が異なる出力色の複数の照明チャンネルのそれぞれの直列接続を有する複数の照明基板を含み、各シャントスイッチが、前記複数の照明基板の対応するチャンネルの前記LED装置の間で共有される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明回路。
【請求項10】
各照明基板が、各LED装置と並列のそれぞれの電流リーク経路を有する請求項9に記載の照明回路。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明回路を有する照明器具。
【請求項12】
スポットライトを有する請求項11に記載の照明器具。
【請求項13】
第1照明回路と第2照明回路とを有する照明システムであって、各照明回路が、
異なる出力色の複数の照明チャンネルの直列接続を含む光源装置と、
前記光源装置に駆動電流を供給するための電流源と、
コントローラとを有し、
各照明チャンネルが、
LED装置、及び
前記LED装置と並列のシャントスイッチを有し、
各照明チャンネルが、前記LED装置と並列の電流リーク経路を更に有し、
前記コントローラが、前記シャントスイッチを制御するよう構成され、
各電流リーク経路が、各照明回路が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、前記第1照明回路の光出力と前記第2照明回路の光出力とがほぼ等しいように、対応するLED装置から電流をバイパスするよう構成される照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明回路に関し、とりわけ、複数の照明チャンネルを備える照明回路に関する。
【背景技術】
【0002】
多チャンネル照明回路は、よく知られている。異なるチャンネルに異なる色(即ち、カラーポイント)を持つ光源を設けることによって、所望の全体的なカラーポイントが、照明回路の全体的な光出力のために達成され得る。
【0003】
例えば、パルス幅変調(PWM)スイッチング信号を使用して、多チャネル光源内のシャントスイッチングを使用することはよく知られている。照明負荷には駆動電流が印加される。複数のチャンネルからの光出力の所望の混合をもたらすために、異なるチャンネルは異なるデューティサイクルで動作される。この手法は、全てのチャンネルが同じ変動を経験することから、駆動電流の広がりが光出力全体の色の一貫性に影響を及ぼさないという利点を有する。その結果、混合色は本質的に同じままであり、光束だけが変動する。
【0004】
しかしながら、異なるチャンネルのLEDの光束(及び色)のばらつきは、コントローラのソフトウェアで補償される必要がある。この目的のために、(チャンネルにおいて使用される特定のLEDの特性を規定する)LEDのビン(LED bin)からの情報がコントローラに送られる必要がある、あるいは、較正測定(calibration measurement)が行われる必要がある。これらのビン特性は、とりわけ、異なるチャンネルの光束、カラーポイント及び順方向電圧である。
【0005】
コントローラへのこの通信を実施するために、LEDの特性は、記録され、管理される必要がある。(所謂L2基板上の)LED装置とコントローラとの間でデータを転送する必要があることは、コントローラとL2基板とがペアにされる必要があることを意味する。このことは、それらが独立して交換されることができないことを意味する。L2基板からコントローラへのデータ転送の必要性は、かなりの追加のデータの記憶、取り扱い、処理を必要とすることも意味する。較正測定という代替手段は、コストがかかる。
【0006】
このシャント駆動方式においては、色の一貫性は、PWM信号を適応させることによってソフトウェアで調整される。このことは、色補正が、各個別のチャンネル及びL2基板のスイッチのレベルにあることから、同じシャントスイッチを使用して幾つかのL2基板を並列に接続することは可能ではないことを意味する。
【0007】
多チャンネル光源を制御する別の既知のやり方は、全チャンネルを(複数のL2基板に対するものであっても)電圧バスに並列に接続させるものである。単一のスイッチが、同じ色の全てのチャンネルを作動させるために使用されることができる。共通電圧に応じて各チャンネルへ流れる電流は、各チャンネルのLEDストリングに直列抵抗器を加えることによって調整されることができる。適切な調整抵抗器を選択することは、チャンネルの光出力光束が、チャンネル内のLEDの光束のビンに関係なく、一定であることを意味する。結果として生じる光出力全体のカラーポイントに及ぼすチャンネルの光束の影響は、個々のチャンネルのカラーポイントのばらつきよりも大きく、故に、許容可能な総合的なカラーポイントのばらつきが達成される。
【0008】
この手法は、L2基板をコントローラから切り離すが、回路は、電流駆動方式よりも効率が悪く、バス電圧変動に影響されやすい。過度の損失を防止するために、全チャンネルがほぼ同じストリング電圧を持つ必要もあり、このことは、更なる設計制約を課す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エネルギ効率が良く、多大な較正プロセス及び関連する計算能力の必要性をなくす、改良された多チャンネル照明回路が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0011】
本発明の或る態様による例によれば、
異なる出力色の複数の照明チャンネルの直列接続又は並列接続を含む光源装置と、
前記光源装置に駆動電流を供給するための電流源とを有する照明回路であって、
各照明チャンネルが、
LED装置、及び
前記LED装置と並列の電流リーク経路(current leakage path)を有し、各電流リーク経路(Radd FW、Radd Lime、Radd CW)が、各LED装置(12、14、16)が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、各LED装置(12、14、16)の光出力がほぼ等しいように、対応するLED装置(12、14、16)から電流をバイパスする(bypass)よう構成される照明回路が提供される。
【0012】
複数のLED装置が直列又は並列構成で配置される場合、LEDの公差のため、同一の電流によって駆動される場合に、各LED装置間で前記光出力が異なることがある。これらの公差は、例えば、前記LEDの製造プロセスによってもたらされ得る。これらの公差は、約±10%の範囲内にあり得る。前記LED装置と並列に電流リーク経路を配置することによって、前記LED装置間で(前記LED装置に同一の電流が供給される場合の)前記光出力が近づけられることができる。それ故、±10%の光出力偏差を有するのではなく、光出力偏差は、大幅に低減されることができる。前記電流リーク経路は、各LED装置が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、各LED装置の光出力がほぼ等しいように、前記電流リーク経路が、対応するLED装置から電流をバイパスすることができるように、構成される必要がある。
【0013】
更なる例においては、前記照明システムは、コントローラを有し、前記光源装置は、前記直列接続を有し、各照明チャンネルは、前記LED装置と並列にシャントスイッチを有し、前記コントローラは、前記シャントスイッチを制御するよう構成される。
【0014】
この例においては、前記照明回路は、光束制御を実施するために、様々な輝度レベルにおいて同じカラーポイントが簡単なやり方で維持されるという利点を持つシャントスイッチを使用する。しかしながら、ビンのデータ(即ち、前記チャンネルにおいて使用される前記LEDの性能)を前記コントローラに提供する必要性をなくすために、及び較正フェーズの必要性をなくすために、それぞれの電流リーク経路が、供給される駆動電流に対する前記LED装置のうちの少なくとも幾つかの応答を適合させるために使用される。従って、これらの電流リーク経路は、異なるLEDが異なるビンからのものであるなどの、異なるLED特性を補償するための補償スキームのハードウェア実施をもたらす。前記電流リーク経路の設計は、前記コントローラに如何なる情報も中継する必要なしに、又は較正測定を行う必要なしに、関連するLED装置の特性に適合される。このやり方においては、(較正を必要としない)既知の電圧駆動システムの利点が、(より効率的であり、駆動電流又は電圧への依存性が低い)シャントスイッチングの利点と組み合わされる。
【0015】
前記照明チャンネルの1つ1つの前記LED装置が、電流リーク経路を有してもよい。しかしながら、前記リーク経路を必要としない(即ち、前記電流リーク経路が、事実上、無限抵抗である、即ち、開回路である)幾つかのLED装置があってもよい。これは、幾つかのLED装置は、前記デフォルト(最小光束のビン)であって、他の全てのLED装置に対する補償が前記デフォルトに対してなされる前記デフォルトを表すことがあるからである。
【0016】
「異なる色」は、異なるカラーポイントを意味するようにしか意図されていないことに留意されたい。例えば、ウォームホワイト(warm white)、クールホワイト(cool white)、フレームホワイト(flame white)は、異なる色であるとみなされ得る。
【0017】
各電流リーク経路は、例えば、抵抗回路を有する。これは、電流リーク経路を実施する単純なやり方を提供する。抵抗は、前記LED装置に到達する残りの電流が、所定の(即ち、較正された)光出力光束をもたらすように、選ばれる。
【0018】
前記電流リーク経路は、その代わりに、電流調整回路を有してもよい。これは、前記残りの電流が所望の光出力を生成するように前記LED装置から電流をそらす(divert)ための代替のやり方である。前記電流調整回路は、バイパス電流を、より独立させ、より一定にし、定電流バイパス回路として機能する。
【0019】
前記コントローラは、前記光源装置の異なる光束設定に対して異なるシャントスイッチPWMデューティサイクルを適用するよう適合されてもよい。これは、定電圧駆動方式よりも効率的である。
【0020】
前記コントローラは、更に、前記光源装置の異なる光束設定に対して異なる駆動電流を適用するよう適合されてもよい。従って、光束を設定するために、例えば深い調光のために、PWM制御だけでなく、振幅制御もあることがある。
【0021】
各LED装置に対して、前記電流リーク経路は、例えば、デフォルトの駆動電流に対して前記光出力の光束が所望の値に較正されるように、適合される。
【0022】
従って、前記光出力光束は、前記コントローラへのフィードバックを必要とすることなく、(所与の駆動電流に対して)既知のレベルにある。
【0023】
前記デフォルトの駆動電流は、例えば、チャンネルごとの期待カラーポイント及び光束であって、それによって、実際の光束が期待光束に一致する状態で前記光源装置の所望のカラーポイントを達成するための、チャンネルごとの期待カラーポイント及び光束に基づく。前記デフォルトの駆動電流は、前記光源装置の最も低い光束のビンのためのチャンネルの各々のための最低限必要な光束のための前記駆動電流、即ち、前記LEDチャンネルの各々の最も低い光束のビンが依然として最低限の照明要件を満たすことができる前記駆動電流である。
【0024】
最も低い光束のビンからのLED装置の場合、バイパスは、前記ドライバの全電流がこれらのLEDを流れるように、非常に高い抵抗で完全にブロックされ得る。従って、最も低い光束のビンを備えるLED装置の場合、全電流が前記LED装置を通過することになることから、電流リーク経路は必要とされない。
【0025】
従って、前記電流リーク経路は、最も低い光束のビン及び最低限の光要件(即ち、最低輝度レベル)に対して、様々なチャンネルが、所望の全体的なカラーポイント及び光束をもたらすよう、必要とされる光出力光束を提供することを確実にする。このことは、最低光出力(輝度)レベルまで所望のカラーポイント及び光束が生成されることを確実にする。
【0026】
前記光源装置は、各々が異なる出力色の複数の照明チャンネルのそれぞれの直列接続を有する複数の照明基板を有してもよく、各シャントスイッチは、前記複数の照明基板の対応するチャンネルの前記LED装置の間で共有される。
【0027】
従って、前記照明回路に照明基板(所謂L2基板)が加えられてもよい。前記シャントスイッチは、異なる基板に同じデューティサイクルが適用されることができることから、前記照明基板の全ての間で共有される。これは、前記L2基板における違いに対する補償が、前記電流リーク経路によって基板自体で実施されるからである。
【0028】
各照明基板は、例えば、各LED装置と並列のそれぞれの電流リーク経路を有する。
【0029】
各照明基板は、それ自身の電流リーク経路を有する一方で、前記シャントスイッチングは基板間で共有される。
【0030】
本発明は、上記で規定されているような照明回路を有する照明器具も提供する。前記照明器具は、例えば、スポットライトである。
【0031】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【0032】
別の例においては、照明システムは、
第1照明回路と第2照明回路とを有し、各照明回路は、
異なる出力色の複数の照明チャンネルの直列接続を含む光源装置と、
前記光源装置に駆動電流を供給するための電流源と、
コントローラとを有し、
各照明チャンネルは、
LED装置、及び
前記LED装置と並列のシャントスイッチを有し、
各照明チャンネルは、前記LED装置と並列の電流リーク経路を更に有し、
前記コントローラは、前記シャントスイッチを制御するよう構成され、
各電流リーク経路は、各照明回路が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、前記第1照明回路の光出力と前記第2照明回路の光出力とがほぼ等しいように、対応するLED装置から電流をバイパスするよう構成される。
【0033】
この例においては、第1照明回路と第2照明回路とが設けられ得る。それらは、単一の所与の設定点(setpoint)において同様の光出力を供給する必要もある、同じ照明回路、例えば、同様のランプであり得る。シャントスイッチを設けることによって、各照明回路の光出力は、所望の光に制御されることができる。対応するLED装置での前記シャントスイッチの較正の必要性を省くために、各LED装置にわたって電流リーク経路が設けられる。前記電流リーク経路は、各照明回路が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、前記第1照明回路の光出力と前記第2照明回路の光出力とがほぼ等しいように、構成される。このことは、較正ステップを必要とせずに、各照明回路の光出力を互いに近づけることを可能にする。較正の省略により、前記コントローラは簡素化されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】シャントスイッチを使用する既知の電流駆動照明回路を示す。
図2】バス電圧を供給する電圧源を備える電圧駆動装置を示す。
図3】本発明の例による照明回路を示す。
図4】電流リーク経路の動作を説明するために電流及び電圧を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図を参照して本発明について説明する。
【0036】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0037】
本発明は、電流源によって駆動される、異なる出力色の複数の照明チャンネルの直列接続を有する照明回路を提供する。各照明チャンネルは、LED装置、及びLED装置と並列のシャントスイッチを有する。幾つかの又は全ての照明チャンネルが、LED装置と並列の電流リーク経路を有する。電流リーク経路は、LED装置を流れる電流を較正し、それによって、LEDの特性を考慮するために使用される。
【0038】
図1は、シャントスイッチを使用する既知の電流駆動照明回路を示している。回路は、異なる出力色の複数の(この例においては3つの)照明チャンネルの直列接続に電流を供給する電流源10を有する。
【0039】
各照明チャンネルは、それぞれのLED装置12、14、16、及びLED装置と並列のシャントスイッチ22、24、26を有する。
【0040】
この例における異なる色は、クールホワイト(CW、6500K)、フレームホワイト(FW、2200K)、及び(550nm乃至590nmの範囲内に主波長を持つ)ライムである。各LED装置を通した順方向電圧降下Vfがあり、従って、Vf,FW、Vf,CW及びVf,Limeがある。
【0041】
任意の数の個々にアドレス指定可能なチャンネル、及び色の任意のセットがあり得る。
【0042】
シャントスイッチを制御するために、PWMスイッチング方式が使用される。所望の色及び光束の出力を作成するために複数のチャンネルからの光出力の所望の混合をもたらすよう、異なるチャンネルは異なるデューティサイクルで動作される。異なるチャンネルのLEDの光束(及び色)のばらつきは、システムコントローラ(図示せず)のソフトウェアで補償される。この目的のために、LEDのビンからの光束及びカラーポイントの情報が、例えば、システムコントローラに送られる。照明基板からコントローラへのデータ転送の必要性は、データの記憶、取り扱い、処理の要件を必要とする。
【0043】
図2は、バス電圧を供給する電圧源30を備える電圧駆動装置を示している。バス電圧は、複数の照明基板L2_1及びL2_2に供給され得る。
【0044】
この事例における各照明基板は、並列照明チャンネルを有する。各照明チャンネルは、較正抵抗器Radd FW、Radd Lime、Radd CWと直列にLED装置120、140、160を有する。
【0045】
各チャンネルはまた、直列スイッチ220、240、260と直列にある。従って、各直列スイッチが、電流がチャンネルに流れることを可能にする、あるいは、電流がチャンネルに流れるのを妨げる。直列スイッチは、複数の照明基板のチャンネルの間で共有される。このことは、異なるLED装置の特性に対する補償が追加の抵抗器によって行われることから、可能である。従って、同じ駆動電圧及び共有直列スイッチを用いても、異なるチャンネルには異なる電流が流れることができる。
【0046】
この手法は、L2基板をコントローラから切り離すが、回路は、電流駆動方式よりも効率が悪く、バス電圧変動に影響されやすい。過度の損失を防止するために、全チャンネルがほぼ同じストリング電圧を持つ必要もあり、このことは、更なる設計制約を課す。
【0047】
図3は、本発明の例による照明回路を示している。これは、図1の電流駆動回路を修正したものであるとみなされ得る。図1の回路と同じ参照符号が使用されている。
【0048】
この場合も先と同様に、照明回路は、異なる出力色の複数の照明チャンネルの直列接続を有する。
【0049】
各照明チャンネルは、LED装置12、14、16、及びLED装置のうちの1つと並列のそれぞれのシャントスイッチ22、24、26を有する。各LED装置は、単一のLEDであってもよく、又はLEDストリングであってもよく、分かりやすくするために、例においては、単一のLED記号として表されている。
【0050】
電流源10は、光源装置に駆動電流を供給する。これは、LED装置の実際の電圧レベルとは無関係に、測定及び調整によってLED駆動電流を準一定レベルに保つスイッチモード電流調整器(例えば、ヒステリシスバックコンバータ)などの、任意の適切な電流源であり得る。
【0051】
所望の色出力は、シャントスイッチのPWM設定の間の所望の関係によって達成される。輝度を制御するために、コントローラは、PWM設定だけを(互いに同期して)調節してもよい。しかしながら、他の例においては、このPWM制御は振幅変調と組み合わされてもよい。これは、非常に深い調光の輝度設定(<2%の輝度)におけるPWM分解能の問題に対処し得る。
【0052】
シャントスイッチは、任意の所望のタイミング装置(timing arrangement)で制御され得る。例えば、シャントスイッチは、駆動電流が同時に3つのチャンネル全てを流れるように、全て同時に開いていてもよい。スイッチは、次いで、異なる時間に、バイパス経路を実現し、それによって、チャンネルをオフにするよう、デューティサイクル制御の周期内の異なる時間に閉じられてもよい。例えば、デューティサイクル周期の開始時には、全てのスイッチが閉じられてもよく、それらは、チャンネルの各々について所望のデューティサイクルに達したときに開いてもよい。
【0053】
その代わりに、光出力がない期間を減らすために、幾つかのチャンネルは、デューティサイクルの初めに光を発するよう作成されてもよく、他のチャンネルは、デューティサイクル周期の最後に光を発するよう作成されてもよい。
【0054】
最も単純な実施例は、同時に全チャンネルを始動させるものである。しかしながら、光の連続性のためだけでなく、電圧ジャンプが大きいと、安定した電流を保つことがより難しいことから、回路において接続される異なるLED順方向電圧から生じる電圧変化を制限するためにも、オン期間をずらすことが好ましい。
【0055】
図3は、シャントスイッチ22、24、26を制御するためのコントローラ40も示している。デューティサイクルを互いに比例して調節することによって、カラーポイントは、維持されるが、光束は、制御される、即ち、調光を実施するよう制御される。コントローラ40は、上記で説明したように、例えば深い調光の間、駆動電流レベルも制御し得る。
【0056】
本発明によれば、チャンネルの幾つか又は全てが、LED装置と並列の電流リーク経路も有する。示されている例においては、各チャンネルが、電流リーク経路を有し、各電流リーク経路は、バイパス抵抗器Radd FW、Radd Lime、Radd CWである。電流リーク経路は、ビンのデータ(即ち、チャンネルにおいて使用されるLEDの性能)をコントローラに提供する必要性をなくし、及び較正フェーズの必要性をなくす。
【0057】
照明回路内で使用されるために照明基板において使用される一般的なタイプのLEDがある。コントローラのソフトウェアは、一般的なLEDのタイプに基づいて、チャンネルごとの期待カラーポイントに設定されると共に、最も低い期待光束のビンにおけるLEDのためのデフォルトの駆動電流に対応する光束に設定される。従って、LEDは、前記LEDの光束のビンによって規定される或る特定の範囲の可能な特性を持つと仮定され、最も低い光束のビンが、デフォルトとして使用される。
【0058】
それは、最も低い光束のビンの場合、(最も低い光束のビンは、所与の電流に対する最も低い光束に対応することから)デフォルトの光束に到達するために全ての電流がLED装置を通過する必要があり、無限並列抵抗(開回路)に対応することであり得る。
【0059】
最も低い光束のビンからのLED装置からの光出力は、駆動電流IにおいてΦminと定義されると仮定されることができる。より一般的には、これは、デフォルトの駆動電流であり、Φminは、デフォルトの光出力光束であって、他の光束のビンが前記デフォルトの光出力光束に較正されるデフォルトの光出力光束である。
【0060】
同じ電流Iにおいて光束Φbin(I)をもたらし、Vf,bin(I)の動作条件下で(そのチャンネルのためのストリング全体のための)順方向電圧をもたらすビンの値を持つLEDストリングを調整するために必要とされる並列抵抗が決定されることができる。
【0061】
LEDの光束と電流との間の特性関係を使用すると、必要とされる電流は、
【数1】
となるようなものである。
【0062】
従って、この特定のビンからのLED装置を流れる電流Ibinは、最小光束のビンからのLEDによって生成される光束に対応する出力光束を生成する。
【0063】
これは、必要とされるビン電流を与える。定義により、Ibinは、I以下である(最も低いビンの場合、I=Ibin)。最も単純な関係は、Ibinの線形関係であるが、より正確な推定が使用されてもよい。線形近似を使用すると、Ibinは、
【数2】
と定義される。
【0064】
必要とされる抵抗は、
【数3】
と算出されることができる。
【0065】
この場合には最も低い光束の設定に対応する、デフォルトの電流Iは、プリセット駆動電流のPWM制御及び/又は振幅変調によって設定される。必要とされる抵抗値は、照明回路の製造の一部として決定され、コントローラとは無関係である。
【0066】
図4においては、電流及び電圧が示されている。
【0067】
システムの効率は、最も低い光束のビンの効率によって規定される。バイパス経路に起因する全体のシステム効率損失は、チャンネルのPWM比及び全体のビンの幅に依存する。
【0068】
例えば、光束のビンの範囲は、例えば、供給業者によるLED装置に依存する。例えば、一般的なビンの値の場合、LED装置は、一般的な光束の値より10%低い最も低い光束のビンと、一般的な光束の値より10%高い最も高い光束のビンとの間に収まり得る。
【0069】
この20%の範囲は、最大光束のビンの場合、電流の約20%がバイパスされる必要があることを意味する。その場合、抵抗器の定格は、その色の消費電力の20%となる。
【0070】
本発明は、主経路から電流をリークする(leak)ことを含む。抵抗回路(例えば、単なる抵抗器)の使用は、リーク電流を生成する最も容易で最も安価なやり方である。しかしながら、例えばリーク経路に線形電流調整器を追加することによって、リーク電流を実現する他のやり方も可能である。
【0071】
図3は、単一のL2照明基板を示している。しかしながら、光源装置は、各々が異なる出力色の複数の照明チャンネルのそれぞれの直列接続を有する、複数の照明基板を有してもよい。しかしながら、シャントスイッチは、複数の照明基板の対応するチャンネルのLED装置の間で共有されてもよい。従って、複数の照明基板が、シャントスイッチの、同じ制御される、共有されるセットによって制御されてもよい。電流リーク経路は、個々の照明基板のレベルにおいて実施される。
【0072】
接続されるLED基板の数が、プリセット電流を決定する。このプリセット電流設定は、一般的に、動的に変更されない。従って、電流レベルは、取り付け手順の一部としてコンフィギュレーションされ、ソフトウェアにおいて設定値を変更することによって設定されてもよく、又はハードウェアにおいて、例えば、設定抵抗器で駆動電流を設定することによって設定されてもよい。
【0073】
上記の例においては、そのままのカラーポイントで、輝度を変更するために、PWM設定が使用されている。より高度な制御手法においては、PWM設定は、異なるカラーポイントを設定するためにも、又はカラーポイントが調光レベルの関数として動的に制御されるように、異なる光出力光束レベルにおいては異なるカラーポイントを設定するためにも、使用され得る。
【0074】
示されている例においては、LED装置は、直列構成で設けられている。LED装置12、14、16は、直列構成の代わりに、並列構成で配置されることができる。
【0075】
示されている例においては、各照明チャンネルにおいて、シャントスイッチが、LED装置12、14、16と並列に設けられている。しかしながら、LED装置が、各々、実質的に同様の電流によって駆動される場合に、各LED装置の光出力を一致させるという所望の効果を、本発明が提供するのに、シャントスイッチは必須ではないことは、理解されるべきである。
【0076】
例において示されている電流リーク経路は、複数の照明回路が、単一の設定点を与えられる場合に同様の光出力を供給することを望まれる場合にも、有益であり得る。電流リーク経路は、各照明回路が実質的に同様の電流によって駆動される場合に、例えば、単一の設定点を与えられる場合に、第1照明回路の光出力と第2照明回路の光出力とがほぼ等しいことを確実にすることによって、各照明回路によって生成される光出力の整合を提供し得る。
【0077】
照明システムは、例えば、スポットライトなどの照明器具の一部である。
【0078】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0079】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数のアイテムの機能を果たしてもよい。
【0080】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0081】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0082】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】