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特表2024-511278生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セル
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  • 特表-生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セル 図1
  • 特表-生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セル
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240306BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240306BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61B10/00 500
A61B1/00 650
A61B10/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023550267
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-26
(86)【国際出願番号】 IB2022051513
(87)【国際公開番号】W WO2022175909
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021000004034
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523315049
【氏名又は名称】ニーソ バイオメッド ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】NISO BIOMED S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール、ミュラー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161GG16
4C161HH05
(57)【要約】
内視鏡に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セルであって、前記分離セルが、内部チャンバー12を含み、該内部チャンバー12が、輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための前記内視鏡に液体で接続可能な上部入口、生体液滴の排出のための吸引ポンプ及び従って生体液滴の採取・分析手段に液体で接続可能な底部出口、及び空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための前記真空源に液体で接続可能な上部出口を有し、ここで、前記セルが、前記上部入口と前記上部出口との間に配置された凹部を形成し、該凹部が、前記内部チャンバーの中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口と該上部出口との間にV字形の経路を決める。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡(50)用の第1接続要素(42)、
真空源(54)用の第2接続要素(44)、
吸引ポンプ(56)、
前記吸引ポンプ(56)と機能的に関連付けられている生体液滴の採取・分析手段(52)、及び
前記内視鏡(50)に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル10を含む、装置(40)であって、
前記分離セルが、内部チャンバー(12)を含み、
前記内部チャンバー(12)が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、前記内視鏡(50)に液体で接続可能な上部入口(14)、
生体液滴の排出のための、前記吸引ポンプ(56)及び従って前記生体液滴の採取・分析手段(52)に液体で接続可能な底部出口(16)、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、前記真空源(54)に液体で接続可能な上部出口(20)を有し、
前記セル(10)が、前記上部入口(14)と前記上部出口(20)との間に配置された凹部(18)を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー(12)の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口(14)と該上部出口(20)との間にV字形の経路を決め、
前記分離セル(10)が、前記内視鏡(50)用の第1接続要素(42)、前記真空源(54)用の第2接続要素(44)、前記吸引ポンプ(56)、及び前記採取・分析手段(52)の間に配置され、これらに液体で接続される、
装置(40)。
【請求項2】
前記真空源(54)が、病院施設の集中真空システムであり、前記吸引ポンプ(56)が、蠕動ポンプである、請求項1に記載の装置(40)。
【請求項3】
内視鏡(50)用の第1接続要素(42)、
真空源(54)用の第2接続要素(44)、
内視鏡(50)、
真空源(54)、
吸引ポンプ(56)、
前記吸引ポンプ(56)と機能的に関連付けられている生体液滴の採取・分析手段(52)、及び
前記内視鏡(50)に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル(10)を含む、請求項1または2に記載の装置(40)であって、
前記分離セルが、内部チャンバー(12)を含み、
前記内部チャンバー(12)が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、前記内視鏡(50)に液体で接続可能な上部入口(14)、
生体液滴の排出のための、吸引ポンプ(56)及び従って前記生体液滴の採取・分析手段(52)に液体で接続可能な底部出口(16)、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、前記真空源(54)に液体で接続可能な上部出口(20)
を有し、
前記セル(10)が、前記上部入口(14)と前記上部出口(20)との間に配置された凹部(18)を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー(12)の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口(14)と該上部出口(20)との間にV字形の経路を決め、
前記分離セル(10)が、前記内視鏡(50)用の第1接続要素(42)及び従って該内視鏡(50)、前記真空源(54)用の第2接続要素(44)及び従って該真空源(54)、前記吸引ポンプ(56)、及び前記採取・分析手段(52)の間に配置され、これらに液体で接続される、
請求項1または2に記載の装置(40)。
【請求項4】
内視鏡(50)に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル(10)であって、
前記分離セルが、内部チャンバー(12)を含み、
前記内部チャンバー(12)が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、内視鏡(50)に液体で接続可能な上部入口(14)、
生体液滴の排出のための、吸引ポンプ(56)及び従って生体液滴の採取・分析手段(52)に液体で接続可能な底部出口(16)、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、真空源(54)に液体で接続可能な上部出口(20)
を含み、
前記セル(10)が、前記上部入口(14)と前記上部出口(20)との間に配置された凹部(18)を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー(12)の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口(14)と該上部出口(20)との間にV字形の経路を決め、
前記上部入口(14)及び前記底部出口(16)が、実質的に垂直方向に整列され、前記セル(10)が、さらに、該上部入口(14)と該底部出口(16)との間に延伸する実質的に垂直な側壁(26)を形成し、
前記セル(10)が、前記実質的に垂直な側壁(26)に面する凹面を有する湾曲壁部(30)を形成する、
分離セル(10)。
【請求項5】
前記湾曲壁部(30)の曲率半径が、20 mm~50 mmである、請求項4に記載のセル(10)。
【請求項6】
前記セル(10)が、前記上部入口(14)から離れて前記凹部(18)に向かっている幅広部(22)をさらに含む、請求項4または5に記載のセル(10)。
【請求項7】
前記セル(10)が、前記凹部(18)から離れて前記上部出口(20)に向かっている狭窄部(24)をさらに含む、請求項4または6のいずれか1項に記載のセル(10)。
【請求項8】
前記上部入口(14)が、実質的に水平方向に延伸している、請求項4~7のいずれか1項に記載のセル(10)。
【請求項9】
前記上部入口(14)及び前記上部出口(20)が、実質的に同じ方向、または互いに鋭角を形成するそれぞれの方向を向いている、請求項4~8のいずれか1項に記載のセル(10)。
【請求項10】
前記セル(10)が、前記内部チャンバー(12)の底部(28)を形成し、該底部が、前記底部出口(16)に向かって先細になっている、請求項4~9のいずれか1項に記載のセル(10)。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セルに関する。
【先行技術】
【0002】
内視鏡検査には、可能な限り侵襲性を軽減するための方法を使用して、人体内の検査及び手術を実行するための手順及び機器が含まれる。前記機器に適切なアクセス ルートを作成して、人体の内部にアクセスすることができる。これは、硬性の内視鏡を使用する胸腔鏡検査、腹腔鏡検査、または外膜鏡検査(外科内視鏡とも呼ばれる)の場合に当てはまる。人体に自然に存在する開口部、例えば口を介してアクセスすることもできる。この場合、通常は可撓性の内視鏡が使用され、オペレーターは、機器を曲げて、臓器の形状に合わせることでアクセス管を辿ることができる。これは、食道、胃及び十二指腸に影響を及ぼし得る疾患を特定するために、医療専門家(医師、看護師等)が患者の消化器系の内部を観察して調査できるようにする機器診断検査である食道胃十二指腸内視鏡検査の場合に当てはまる。
【0003】
食道胃十二指腸内視鏡検査では、食道、胃及び十二指腸を検査するために、患者の口から内視鏡が導入され、消化器系の様々な部分に沿ってゆっくりと押し下げられる。
【0004】
さらなる例として、潜在的な病変、潰瘍、閉塞または腫瘍を発見するために、結腸の内壁を検査することを目的とした診断検査である結腸内視鏡検査がある。
【0005】
内視鏡は、通常カメラと光源を備えた(硬性または可撓性の)チューブで構成される光学機器である。その機能は、通常では見えない空洞及び体液の吸引、臓器の洗浄、生検サンプルに機器の挿入または処置の実行を可能にする内部アクセス管を観察することである。
【0006】
可撓性の内視鏡は、機械的なタイロッドを使用して外側から内視鏡を扱う医療専門家によって誘導される。このチューブは、検査対象の体腔内部を照らす光源にも接続される。
【0007】
内視鏡を使用する必要がある上記の分析を実行するには、例えば、食道胃十二指腸内視鏡検査の場合、内視鏡は通常、可撓性のチューブ(通常はPVC製)を介して、医療施設(病院または救急車)内またはポータブル真空ポンプで真空(即ち、大気圧に対して負圧の状態)を生成するための集中システムに接続される。内視鏡を扱って分析を行う医療専門家は、検査するゾーンを綺麗にして、検査する空洞の内壁と粘膜をよりよく観察できるようにするために、この真空を生成するための集中システムのおかげで、例えば、胃酸、粘液、唾液、血液、間質液、消化性の食品残渣、及び糞便粒子の滴等、腔内に存在する液体を吸引することができる。
【0008】
EP1596722B1には、検査した腔内から胃酸滴を吸引する内視鏡の機能を利用して、食道胃十二指腸内視鏡検査中にリアルタイムで診断分析を実行する方法が記載されている。該方法により、感染症指標の存在及び/または胃十二指腸疾患に関連するリスク状況を特定することができる。
【0009】
EP1596722B1に記載の機械及び方法には、次のステップが含まれる。即ち、内視鏡検査中に所定量の胃酸滴を吸引するステップ、及び前記吸引された液滴の少なくとも一部を分析セルに搬送するステップである。該胃酸滴の分析を実行することにより、内視鏡検査が終了する前に、感染症指標の存在及び/または胃十二指腸疾患に関連するリスク状況に関する診断結果をリアルタイムで得ることができる。
【0010】
しかし、EP1596722B1に記載の機械及び方法では、装置内の蠕動ポンプによって胃酸滴を吸引する。実際には、真空を生成するための集中システムが、分析のために液体が吸引された後に過剰な胃酸滴を排出チャンバーに搬送し、また、分析後に胃酸滴と接触した機械の部品をすすぐために使用される水を吸引するためだけに使用される。分析用の胃酸滴を吸引する最初のステップでは、真空を生成するための集中システムは、実際には電磁弁によってブロックされる。従って、胃酸滴が、前記蠕動ポンプのみの力によって、胃からその分析が行われる分析セルに引き込まれる。
【0011】
従って、EP1596722B1に記載の機械及び方法は、全体の分析時間が長く、分析に必要な量の胃酸滴を採取するのにあまり効果的ではないという点で不利である。
【0012】
実際、生体液滴の唯一の原動力として蠕動ポンプを使用すると、液滴が分析セルに到達するまでの時間が遅くなり、従って、医療検査の全体的な時間が増加する。生体液滴を分析できるようにするには、一定量の液滴が分析セルに到達する必要もある。液滴がセルに到達するのにかかる時間が長いと、分析を実行できるようにするために正確な量の生体液滴がセル内に採取されるまでに必要な時間はさらに長くなる。
【0013】
蠕動ポンプの吸引力が低いと、吸引が遅くなるだけでなく、分析セルに輸送される生体液滴の量も大幅に減少する。その結果、前記液体を採取・分析手段に到達する生体液滴の量が不十分なために、医療専門家は、生体液滴の採取・分析が必要な医療分析のかなりの割合を完了することができない。
【0014】
従って、例えば、食道胃十二指腸内視鏡検査等の内視鏡検査によって行われる医療検査中に採取・分析が迅速に実行され、かつより多くの患者からより大量の生体液滴を吸引できるような生体液滴の採取・分析を行う機器を提供する可能性が市場で求められている。
【発明の概要】
【0015】
従って、本発明の目的は、食道胃十二指腸内視鏡検査等の内視鏡検査によって行われる医療検査中の生体液滴の採取・分析が迅速に実行され、かつより多くの患者からより大量の生体液滴を吸引できるような生体液滴の採取・分析を行う機器を提供することである。
【0016】
前記目的は、本発明の第1態様による請求項1に記載の装置によって、また、本発明の第2態様による請求項4に記載のセルによって達成される。本発明のさらなる態様は、従属請求項に記載の本発明による装置及びセルの好ましい実施形態によって定義される。
【0017】
従って、前記目的は、添付の請求項に概説されるように、生体液滴を輸送空気から分離するための装置及び分離セルによって達成され、その定義は、本明細書の不可欠な部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、非限定的な実施例とともに示される以下の好ましい実施形態の詳細な説明から、また、以下の添付図面を参照して、よりよく理解されるであろう。
- 図1は、本発明による分離セルを示す。
- 図2は、本発明による分離セルを含む装置の簡略図である。
【0019】
添付図面の中、同一または類似の要素は、同じ参照符号で示されている。
【発明の詳細な説明】
【0020】
図1及び図2に関して、本発明の第1主題、即ち、次の装置40が示される:
内視鏡50用の第1接続要素42、
真空源54用の第2接続要素44、
吸引ポンプ56、
前記吸引ポンプ56と機能的に関連付けられている生体液滴の採取・分析手段52、及び
前記内視鏡50に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル10
を含む、装置40であって、
前記分離セルが、内部チャンバー12を含み、
前記内部チャンバー12が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、前記内視鏡50に液体で接続可能な上部入口14、
生体液滴の排出のための、前記吸引ポンプ56及び従って前記生体液滴の採取・分析手段52に液体で接続可能な底部出口16、及び
輸送空気の排出のための、前記真空源54に液体で接続可能な上部出口20
を有し、
ここで、前記セル10が、前記上部入口14と前記上部出口20との間に配置された凹部18を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー12の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口14と該上部出口20との間にV字形の経路を決め、
ここで、前記分離セル10が、前記内視鏡50用の第1接続要素42、前記真空源54用の第2接続要素44、前記吸引ポンプ56、及び前記採取・分析手段52の間に配置され、これらに液体で接続される、
装置40。
【0021】
本発明のさらなる主題は、内視鏡50に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル10であり、
前記分離セルが、内部チャンバー12を含み、
前記内部チャンバー12が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、内視鏡50に液体で接続可能な上部入口14、
生体液滴の排出のための、吸引ポンプ56及び従って生体液滴の採取・分析手段52に液体で接続可能な底部出口16、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、前記真空源54に液体で接続可能な上部出口20
を有し、
ここで、前記セル10が、前記上部入口14と前記上部出口20との間に配置された凹部18を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー12の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口14と該上部出口20との間にV字形の経路を決め、
ここで、前記上部入口14及び前記底部出口16が、実質的に垂直方向に整列され、前記セル10が、さらに、該上部入口14と該底部出口16との間に延伸する実質的に垂直な側壁26を形成し、
ここで、前記セル10が、前記実質的に垂直な側壁26に面する凹面を有する湾曲壁部30を形成する。
【0022】
好ましい実施形態によれば、前記上部入口14に液体で接続可能な内視鏡50は、当業者に知られている種類の医療用内視鏡である。好ましくは、それは、食道胃十二指腸内視鏡検査用、結腸内視鏡検査もしくは気管支鏡検査用、あるいは外科内視鏡検査もしくは腹腔鏡検査用の内視鏡である。
【0023】
好ましい実施形態によれば、前記生体液滴は、好ましくは、胃酸滴である。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、前記生体液滴は、粘液、唾液、血液、間質液、または消化性の食物残渣から任意に選択してもよい。
【0025】
好ましい実施形態によれば、生体液滴の採取・分析手段52は、好ましくは、当業者に知られている手段、例えば、液体を採取するための容器、自動サンプリング システム、または生体液滴のパラメータ(pH等)を計測するための分析セルである。
【0026】
好ましい実施形態によれば、前記真空源は、好ましくは、当業者に知られている種類の真空ポンプ、または当業者に知られている種類の医療施設(病院、救急車等)用の集中真空システムである。
【0027】
本発明によるセル10は、好ましくは、上部入口14から離れて凹部18に向かっている幅広部22、及び、好ましくは、凹部18から離れて上部出口20に向かっている狭窄部24をさらに含む。
【0028】
好ましい実施形態によれば、上部入口14は、好ましくは、所定の直径を有する管状部分を形成し、一方、幅広部22は、好ましくは、上部入口14の管状部分と、上部入口14の管状部分の直径よりも大きな直径を有し、かつ凹部18で終端する円筒状部分との間に配置された円錐形の中間接続部分である。
【0029】
また好ましい実施形態によれば、上部出口20は、好ましくは、所定の直径を有する管状部分を形成し、一方、狭窄部24は、好ましくは、上部出口20の管状部分と、上部出口20の管状部分の直径よりも大きな直径を有し、かつ凹部18から開始する円筒状部分との間に配置された円錐形の中間接続部分である。
【0030】
本発明によるセル10の好ましい実施形態によれば、上部入口14の管状部分の内径は、好ましくは、凹部18で終端する円筒状部分の内径に対して1:3の比を有する。有利なことに、この比率により、凹部18で終端する円筒状部分の中に、内視鏡50に由来する流動の圧力が上部入口14の管状部分の中の圧力よりも低いゾーンを作り出すことが可能になる。この効果は、当業者には「ベンチュリ効果」として知られている。
【0031】
また、本発明によるセル10の好ましい実施形態によれば、上部出口20の管状部分の内径は、好ましくは、凹部18から開始する円筒状部分の内径に対して1:3の比を有する。
【0032】
有利なことに、この比率により、凹部18から開始する円筒状部分の中に、通過する流動の圧力が上部出口20の管状部分の中の圧力よりも低いゾーンを作り出すことが可能になる。
【0033】
この効果は、当業者には「ベンチュリ効果」として知られている。
【0034】
上述のように、本発明による上部入口14と底部出口16は、実質的に垂直方向に整列されており、また、セル10は、該上部入口14と該底部出口16との間に延伸する実質的に垂直な側壁26をさらに形成する。上部入口14と底部出口16が実質的に垂直方向に整列されているという特徴は、内視鏡50から到達する生体液滴が、上部入口14を介して入るときに、底部出口16に向かって可能な限り最も直線的かつ直接的な経路を有することができることを意味する。
【0035】
凹部18及び該凹部18で終端する円筒状部分の形状は、内視鏡50に由来する流動の圧力を、上部入口14の管状部分の中の流動の圧力に対して、有利に低減させる。
【0036】
好ましい実施形態によれば、上部入口14は、好ましくは、実質的に水平方向に延伸している。
【0037】
従って、上述のセルの好ましい実施形態によれば、輸送空気と混合された生体液滴を含み、内視鏡50に由来する流動は、上部入口14の管状部分に入り、該入口は、好ましくは実質的に水平方向に延伸し、また好ましくは垂直方向で底部出口16と実質的に整列することにより、前記流動に実質的にL字形の経路を生成する。これにより、前記流動が、上部入口14の壁の実質的にL字形の部分に衝突する。
【0038】
さらに、幅広部22及び凹部18で終端する後続の円筒状部分において、拡張された直径及び従って上部入口14の管状部分と比べてより低い圧力を提供するという特徴によって、好ましくは、上部入口14の管状部分の直径と実質的に等しい直径を有する生体液滴が、上部入口14の管状部分から幅広部22へ、またその後、凹部18で終端する円筒状部分に通過するときに、圧力降下により、輸送空気からより容易に分離でき、従って、生体液滴が、重力及び慣性によって底部出口16に向かって落下し、また、輸送空気が、真空源によって生成される力で上部出口20に向かって吸引されることが有利に可能になる。
【0039】
従って、前記の直径の増加(その後の圧力低下と共に)、前記衝突、及び上部入口14と底部出口16との間に延伸する実質的に垂直な側壁26を有するという特徴は、輸送空気と生体液滴との最初の分離を可能にする。実際、これらの生体液滴は、上部入口14の壁の実質的にL字形の部分に衝突し、幅広部22及びその後、液滴が圧力低下を経験し、凹部18で終端する円筒状部分に入ることによって、より容易に輸送空気から分離され、重力及び慣性によって、底部出口16に到達するまで、実質的に垂直な側壁26に沿って浸出し得る。しかし、凹部18によって設定されたV字形の経路を辿る輸送空気は、真空源によって生成された力の結果として、上部出口20に向かって吸引される。従って、上部入口14を離れるときの圧力低下は、生体液滴と輸送空気との間の分離を促進する。上部入口14の管状部分の内径と、凹部18で終端する円筒状部分の内径との比率により、該管状部分と該円筒状部分との間を通過するときの、生体液滴の流動の圧力と輸送空気の圧力が低減され、従って、該流動の流動速度が低下し、生体液滴と輸送空気が分離できるようになる。このようにして、真空源によって生成される吸引力は、側壁26に沿って重力及び慣性によって浸出する生体液滴の動きに影響を与えず、凹部18で終端する円筒状部分から運動方向を反転させ、上部出口20を通ってセル10から出るために、凹部18から開始する円筒状部分の中で、凹部18によって設定されたV字形の経路に辿って流動する輸送空気の動きのみに影響を与える。
【0040】
これらの特徴により、生体液滴が側壁26に沿って浸出し、従って底部出口16に到達し、そこを通って輸送空気から分離された液滴が、セル10から排出されることが可能になる。
【0041】
また、本発明によるセル10の好ましい実施形態によれば、上部入口14及び上部出口20は、好ましくは、実質的に同じ方向、または互いに鋭角を形成するそれぞれの方向を向いている。前記鋭角は、好ましくは、3°~25°である。
【0042】
本発明によるセル10は、好ましくは、内部チャンバー12の底部28も形成し、該底部が、底部出口16に向かって先細になっている。
【0043】
前記底部28は、好ましくは、側壁26に沿って浸出する生体液滴のために、底部出口16に接続するための経路を形成し、そこで、生体液滴が、セル10から排出され得る。
【0044】
底部出口16の内径は、好ましくは、底部28の内径よりも小さい。(当業者には既知されている)ベンチュリ効果の結果、該特徴は、生体液滴が底部出口16の中で流動するときに、底部28に到達する生体液滴からなる流動の圧力、従ってその速度を増大させる。
【0045】
上述のように、セル10は、実質的に垂直な側壁26に面する凹部を有する湾曲壁部30をさらに形成する。
【0046】
該湾曲壁部30の曲率半径は、20 mm~50 mmであり、湾曲壁部30と側壁26との距離は、好ましくは、10 mm~30 mmである。
【0047】
側壁26に面する凹部を有する湾曲壁部30を設けるという特徴は、セルをすすぐステップ中に有利である。セル10を使用した後は、これをすすぐことが得策である。該すすぎは、任意選択で1種以上の界面活性剤と混合された水を上部入口14から流して、上部出口20から流出させることによって行ってもよい。側壁26に面する凹部を有する湾曲壁部30を設けるという特徴は、有利には、その後に上部出口20から流出するために、洗浄水がセルの底部28をすすぐことを意味する。実際、上部入口14から流動する洗浄水は、主に、底部28に向かって下降するが、湾曲壁部30に衝突した結果、その後上部出口20から流出するために、内部チャンバー12の中央部分に対して求心渦運動を発生させる。これは、洗浄水によって排出されなかった液体が滞留するのを防ぐ。この渦は、生体液滴を輸送空気から分離するためのセル10の使用中ではなく、すすぎステップ中に有利に生成される。なぜなら、セル10の中で流動する生体液滴の量は、すすぎステップ中に使用される洗浄水の量よりもかなり少ないからである。実際、セル10の中で流動する生体液滴の量は、好ましくは、すすぎステップ中に使用される洗浄水の量よりも約400倍少ない。実際、セル10、特に湾曲壁部30の形状は、有利には、上部入口14からその中を流れる流動が湾曲壁部30に影響するような量にある場合のみに、渦流を生成し、従って、内部チャンバー12の中央部分に渦を発生させることを可能にする。
【0048】
本発明によるセル10の好ましい実施形態によれば、セル10は、好ましくは、ガラスまたは化学的に不活性かつ硬性の材料で製作され、好ましくは、-500 mmHg~-600 mmHgの陰圧を担持するような厚さを有する。該厚さは、さらにより好ましくは、1.5 mm~3 mmである。
【0049】
前記及び特に本発明の第1主題、即ち装置40に関して、第1及び第2接続要素42及び44は、好ましくは、チューブ、コネクタ、またはバルブである。さらに、装置40の真空源54は、好ましくは、病院施設の集中真空システムであり、また、吸引ポンプ56は、好ましくは、蠕動ポンプである。
【0050】
本発明による装置40は、好ましくは、
内視鏡50用の第1接続要素42、
真空源54用の第2接続要素44、
内視鏡50、
真空源54、
吸引ポンプ56、
前記吸引ポンプ56と機能的に関連付けられている生体液滴の採取・分析手段52、及び
前記内視鏡50に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル10
を含み、
前記分離セルが、内部チャンバー12を含み、
前記内部チャンバー12が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、前記内視鏡50に液体で接続可能な上部入口14、
生体液滴の排出のための、吸引ポンプ56及び従って前記生体液滴の採取・分析手段52に液体で接続可能な底部出口16、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、前記真空源54に液体で接続可能な上部出口20
を有し、
ここで、前記セル10が、前記上部入口14と前記上部出口20との間に配置された凹部18を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー12の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口14と該上部出口20との間にV字形の経路を決め、
ここで、前記分離セル10が、前記内視鏡50用の第1接続要素42及び従って該内視鏡50、前記真空源54用の第2接続要素44及び従って該真空源54、前記吸引ポンプ56、及び前記採取・分析手段52の間に配置され、これらに液体で接続される。
【0051】
本発明による装置40の好ましい実施形態によれば、生体液滴は、好ましくは、内視鏡50によって、被験者の体腔、例えば患者の胃から引き出される。輸送空気と混合されたこれらの生体液滴は、好ましくは、内視鏡50から、上部入口14を通過して、セル10内に輸送される。セル10の中では、上述のように、該生体液滴は、輸送空気から分離される。上部出口20を通過する輸送空気は、真空源54によって生成される力でセル10の外部に吸い出される。一方、底部出口16を通過する生体液滴は、好ましくは、底部出口16と生体液滴の採取・分析手段52との間に位置する蠕動ポンプ56によって、該採取・分析手段52に向かって押される。
【0052】
従って、本発明による、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル10及び前記セル10を含む装置40は、生体液滴が輸送空気から効果的に分離されることを保証するという利点を有する。この分離は、本発明によるセルの形状によって、また、真空源によって生成される原動力と吸引ポンプ(例えば、蠕動ポンプ)によって生成される原動力との組み合わせによって保証される。そうすることで、液滴を分析するための適量の生体液滴を採取するのに必要な時間が、既知の手段と比べて、大幅に短縮される。
【0053】
その結果、前記採取時間が大幅に最適化され、分析を行うために使用される生体液滴の最少レベルに迅速に到達する。従って、前記検査(例えば、食道胃十二指腸内視鏡検査)が迅速であり、より大量の生体液滴が採取される。
【0054】
さらに、吸引ポンプ56に液体で接続可能な分離セル10を含む本発明による装置40を提供する特徴により、有利には、以下のことが自動的になり、従って、同時に、オペレーターが手動で異なるステップを交互に実行する必要性が回避される。即ち、輸送空気からの、内視鏡50に由来する流動中の生体液滴をその後生体液滴の採取・分析手段52に搬送される生体液滴と分離するための分離ステップ、及び、セル10をすすぐステップである。従って、有利には、本発明の装置40によって、オペレーターが、採取・分析ステップからすすぎステップに手動で移行する必要性はなくなる。
【0055】
本発明による装置40の好ましい実施形態によれば、前記吸引ポンプ56、前記生体液滴の採取・分析手段52、及び前記分離セル10は、好ましくは、EP1596722B1に記載されている機械または自動サンプリングシステムに含まれる。
【0056】
従って、本発明のセル及び装置により、食道胃十二指腸内視鏡検査等の内視鏡検査で行われる医療検査中の生体液滴の採取・分析が迅速に行われ、かつより多くの患者からより大量の生体液滴を吸引されることが可能になる。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡(50)用の第1接続要素(42)、
真空源(54)用の第2接続要素(44)、
吸引ポンプ(56)、
前記吸引ポンプ(56)と機能的に関連付けられている生体液滴の採取・分析手段(52)、及び
前記内視鏡(50)に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル10を含む、装置(40)であって、
前記分離セルが、内部チャンバー(12)を含み、
前記内部チャンバー(12)が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、前記内視鏡(50)に液体で接続可能な上部入口(14)、
生体液滴の排出のための、前記吸引ポンプ(56)及び従って前記生体液滴の採取・分析手段(52)に液体で接続可能な底部出口(16)、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、前記真空源(54)に液体で接続可能な上部出口(20)
を有し、
前記セル(10)が、前記上部入口(14)と前記上部出口(20)との間に配置された凹部(18)を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー(12)の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口(14)と該上部出口(20)との間にV字形の経路を決め、
前記分離セル(10)が、前記内視鏡(50)用の第1接続要素(42)、前記真空源(54)用の第2接続要素(44)、前記吸引ポンプ(56)、及び前記採取・分析手段(52)の間に配置され、これらに液体で接続される、
装置(40)。
【請求項2】
前記真空源(54)が、病院施設の集中真空システムであり、前記吸引ポンプ(56)が、蠕動ポンプである、請求項1に記載の装置(40)。
【請求項3】
内視鏡(50)用の第1接続要素(42)、
真空源(54)用の第2接続要素(44)、
内視鏡(50)、
真空源(54)、
吸引ポンプ(56)、
前記吸引ポンプ(56)と機能的に関連付けられている生体液滴の採取・分析手段(52)、及び
前記内視鏡(50)に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル(10)を含む、請求項1または2に記載の装置(40)であって、
前記分離セルが、内部チャンバー(12)を含み、
前記内部チャンバー(12)が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、前記内視鏡(50)に液体で接続可能な上部入口(14)、
生体液滴の排出のための、吸引ポンプ(56)及び従って前記生体液滴の採取・分析手段(52)に液体で接続可能な底部出口(16)、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、前記真空源(54)に液体で接続可能な上部出口(20)
を有し、
前記セル(10)が、前記上部入口(14)と前記上部出口(20)との間に配置された凹部(18)を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー(12)の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口(14)と該上部出口(20)との間にV字形の経路を決め、
前記分離セル(10)が、前記内視鏡(50)用の第1接続要素(42)及び従って該内視鏡(50)、前記真空源(54)用の第2接続要素(44)及び従って該真空源(54)、前記吸引ポンプ(56)、及び前記採取・分析手段(52)の間に配置され、これらに液体で接続される、
請求項1または2に記載の装置(40)。
【請求項4】
内視鏡(50)に由来の流動において、生体液滴を輸送空気から分離するための分離セル(10)であって、
前記分離セルが、内部チャンバー(12)を含み、
前記内部チャンバー(12)が、
輸送空気と混合された生体液滴を含有する流動を受け取るための、内視鏡(50)に液体で接続可能な上部入口(14)、
生体液滴の排出のための、吸引ポンプ(56)及び従って生体液滴の採取・分析手段(52)に液体で接続可能な底部出口(16)、及び
輸送空気の排出、また任意選択で、生体液滴及び/または洗浄水の排出のための、真空源(54)に液体で接続可能な上部出口(20)
を含み、
前記セル(10)が、前記上部入口(14)と前記上部出口(20)との間に配置された凹部(18)を形成し、前記凹部が、前記内部チャンバー(12)の中へ下方に延伸し、流入する輸送空気のために、該上部入口(14)と該上部出口(20)との間にV字形の経路を決め、
前記上部入口(14)及び前記底部出口(16)が、実質的に垂直方向に整列され、前記セル(10)が、さらに、該上部入口(14)と該底部出口(16)との間に延伸する実質的に垂直な側壁(26)を形成し、
前記セル(10)が、前記実質的に垂直な側壁(26)に面する凹面を有する湾曲壁部(30)を形成し、
前記セル(10)は、前記内部チャンバー(12)の底部(28)を形成し、その底部は底部出口(16)に向かって先細になっており、
側壁(26)に面する凹面を有する湾曲壁部(30)を設けるという特徴により、セル(10)の底部(28)を洗浄する洗浄水が上部出口(20)から流出する、
分離セル(10)。
【請求項5】
前記湾曲壁部(30)の曲率半径が、20 mm~50 mmである、請求項4に記載のセル(10)。
【請求項6】
前記セル(10)が、前記上部入口(14)から離れて前記凹部(18)に向かっている幅広部(22)をさらに含む、請求項4または5に記載のセル(10)。
【請求項7】
前記セル(10)が、前記凹部(18)から離れて前記上部出口(20)に向かっている狭窄部(24)をさらに含む、請求項4または6のいずれか1項に記載のセル(10)。
【請求項8】
前記上部入口(14)が、実質的に水平方向に延伸している、請求項4~7のいずれか1項に記載のセル(10)。
【請求項9】
前記上部入口(14)及び前記上部出口(20)が、実質的に同じ方向、または互いに鋭角を形成するそれぞれの方向を向いている、請求項4~8のいずれか1項に記載のセル(10)。
【国際調査報告】