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特表2024-511294黒色スラグを処理するための改良された方法および設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】黒色スラグを処理するための改良された方法および設備
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
C21C7/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553444
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2022051800
(87)【国際公開番号】W WO2022185206
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102021000004892
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522499232
【氏名又は名称】トルヨインズ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルレッソ,フランコ
(72)【発明者】
【氏名】ピッツァート,エドアルド
【テーマコード(参考)】
4K013
【Fターム(参考)】
4K013CF01
(57)【要約】
石灰(CaO)または石灰系化合物を含有し、スクラップから出発して鋼を製造するための電気炉(2)で生成される黒色スラグ(1)の処理のための方法であって、上記黒色スラグが、上記電気炉(2)から出た直後または大釜(3)に収集された後、約10分~約45分の時間、好ましくは約10分~約30分の時間、間接的に冷却されるという事実を特徴とする、方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石灰(CaO)または石灰系化合物を含有し、かつスクラップから鋼を製造するために電気炉(2)で生成される黒色スラグ(1)の処理のための方法であって、前記黒色スラグが、前記電気炉(2)から出た直後または大釜(3)に収集された後、約10分~約45分の間、好ましくは約10分~約30分の間の時間にわたり、間接的に冷却されるという事実を特徴とする、方法。
【請求項2】
材料(1)が、前記電気炉(2)から出た直後または前記大釜(3)に収集された直後、その長手方向の展開軸(X)を中心に回転する管状炉を備える冷却装置(20)によって冷却されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記黒色スラグが、その後の前記黒色スラグ(1)の取扱いに適した最終温度Tに達するまで冷却装置(20)によって間接的に冷却され、好ましくは、前記最終温度Tが、約150~300℃以下であることを特徴とする、請求項1もしくは2の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却装置(20)が、可動式であり、好ましくは自走式または牽引式であることを特徴とする、請求項1~3の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項5】
前記電気炉(2)を出た前記黒色スラグ(1)が、前記冷却装置(20)に直接排出されることを特徴とする、請求項1~4の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項6】
前記電気炉(2)を出た前記黒色スラグ(1)が、前記大釜(3)上に排出され、次いで前記大釜(3)から前記冷却装置(20)へと直接排出されることを特徴とする、請求項1~5の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項7】
前記黒色スラグ(1)がさらに、前記電気炉(2)から出た直後または前記大釜(3)に収集された直後に、
霧状化された冷却流体との直接の熱交換、および/または
気体と、前記黒色スラグ(1)と直接接触する液滴との混合物、好ましくはエアロゾルの噴射/噴霧
によって冷却されることを特徴とする、請求項1~6の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項8】
前記黒色スラグ(1)の間接的な冷却が、前記電気炉(2)を出る前記黒色スラグ(1)を受容するように前記電気炉に配置されるか、または配置可能な冷却装置(20)において実行されることを特徴とする、請求項1~7の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項9】
前記黒色スラグ(1)の冷却が、冷却装置(20)、好ましくは回転炉において実行され、前記冷却装置(20)は、前記冷却装置(20)のチャンバ(16)に入る、かつ/またはそれを通過する前記黒色スラグを間接的に冷却するための手段を含み、該手段は、
冷却流体を壁の外表面に噴霧するための手段、および/または、
冷却流体を前記壁の外側表面に滴下するための手段、および/または、
前記壁に固定され、かつ冷却流体の循環のための導管を備える冷却版、および/または、
前記壁の外側周囲に画定され、冷却流体が浸透するチャンバを画定する少なくとも1つの空間
を含むことを特徴とする、請求項1~8の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項10】
前記電気炉(2)から出てきた、約1400~1800℃のTにある前記黒色スラグ(1)が、少なくともTより低い温度Tに至るまで冷却され、前記温度Tが、石灰(CaO)またはその化合物を含有する安定した鉱物学的構造の相変化が起こる温度に実質的に相当することを特徴とする、請求項1~9の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項11】
前記電気炉(2)から出てきた、約1400~1800℃のTにある前記黒色スラグ(1)が、Tより低く、かつその後の前記黒色スラグ(1)の取扱いに適した最終温度Tに至るまで冷却されることを特徴とする、請求項1~10の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項12】
前記電気炉(2)から出てきた、約1400~1800℃のTにある前記黒色スラグ(1)が、まずTより低い温度Tに至るまで冷却されて、その後Tより低い温度Tまで冷却され、前記温度Tが、石灰(CaO)またはその化合物を含有する安定した鉱物学的構造の相変化が起こる温度に実質的に相当し、前記温度Tが、その後の前記黒色スラグ(1)の取扱いに適した温度であることを特徴とする、請求項1~11の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却装置(20)内での前記黒色スラグの間接的な冷却が、前記電気炉内での前記鋼の溶融サイクルの時間よりも短い時間で行われ、具体的には、約30~45分未満で行われることを特徴とする、請求項1~12の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項14】
このようにして冷却された前記材料が、後に破砕され(9)、続いて篩にかけられ(10)、これにより2つ以上の集まりに分けられ(11)、片の大きさが、少なくとも1つの所定の大きさよりも小さいか、または大きいことを特徴とする、請求項1~13の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項15】
このようにして冷却された前記材料が、後に破砕モジュール(9)において/破砕モジュール(9)によって破砕され、続いて篩モジュール(10)において/篩モジュール(10)によって篩にかけられ、前記破砕モジュール(9)および前記篩モジュール(10)が、前記冷却装置(20)をさらに備える同一の設備/機械(21)内において連続的に画定されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電気炉を出た、またはポット(3)に収集された前記黒色スラグ(1)が、前記冷却装置(20)に不連続的に装填され、該冷却装置(20)が「バッチ式」で作動するように構成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16の1つまたは複数による方法によって黒色スラグを処理するための設備(15)であって、
電気炉(2)から出た前記黒色スラグ(1)を、冷却装置(20)に入る、および/または前記装置を通過する冷却流体との間接的な熱交換によって冷却するように構成された冷却装置(20)
を備えることを特徴とする、設備。
【請求項18】
霧状化された冷却流体を、前記電気炉(2)を出る前記黒色スラグ(1)上に直接送り込むためのユニット(15)をさらに備えることを特徴とする、請求項17に記載の設備。
【請求項19】
前記電気炉(2)から出てきた前記黒色スラグ(1)に対して、気体と液滴の混合物、具体的にはエアロゾルの噴射/噴霧を発生させ、前記噴射/噴霧を直接送るように構成されたモジュールをさらに備えることを特徴とする、請求項17または18に記載の設備。
【請求項20】
前記冷却装置(20)の下流に、冷却されたスラグを様々な大きさの片へと破砕する破砕モジュール(9)と、より大きな片からより細かい片を2つ以上の集まり(11)へと分ける篩モジュール(10)とを備えることを特徴とする、請求項17~19の1つまたは複数に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鋼スラグ(鋼製造時に生成されるスラグ)、具体的には、鋼の製造用の電気炉から出てきた、石灰または石灰系化合物、ケイ酸塩、アルミン酸塩、およびその他の酸化物を低い割合で含む、いわゆる「黒色スラグ」の処理方法に関する。本発明はまた、上記方法を実施するための設備に関する。
【0002】
したがって、本発明に係る、スラグを処理するための方法と設備は、鋼製造の技術部門において、より具体的には、電気炉の内部で生成される黒色スラグの処理において、有利に使用される。
【背景技術】
【0003】
既知のように、鉄スクラップから鋼を製造するために製鋼業界で使用される電気アーク炉は、スクラップの酸化、および電気炉の装入物(charge)に投入された添加剤によって生成された化合物の酸化の結果として、鋼の溶融プールの上方に形成される「製鋼スラグ」または「黒色スラグ」と称されるさらなる物質を生成する。
【0004】
現在、図1に示されるように、電気炉(2)で生成された黒色スラグ(1)は、(一般に炉の回転により)大釜(3)へ排出されるか、直接地面へと排出される。
【0005】
その後、このようにして大釜(3)または地面へと排出された黒色スラグは、第1の手段(4)によって積載され、一般的には穴の中にあり、時にはシュートの形で初期沈殿を伴う収集エリア(5)へと輸送される。
【0006】
収集エリア(5)において、黒色スラグは、スラグ自体に直接水の噴射を送り込むことによって冷却される。上記スラグの冷却に使用されたこの水は、スラグと直接接触することにより、環境を汚染する浸出液となり、適切なプラントによって収集および処理されなければならない。
【0007】
スラグは、一度冷却されると、その後適切な方法で(例えば、磁石を用いて)据え置かれ、最も大きく最も目立つ鉄片が除去される。
【0008】
その後、このようにして得られたスラグは、第2の手段(6)によって積載され、スラグ自体に存在する残留生破砕物(residual live crush)の完全な消滅を得るために、スラグが一般に3ヶ月から6ヶ月の期間滞留する貯蔵エリア(7)に輸送される。貯蔵エリア(7)は、少なくとも3~6ヶ月の間、スラグを貯蔵することができるように、極めて広い拡張部を有していなければならない。スラグは、1日24時間、かつすべての曜日において稼動する炉(2)のその後の作業サイクルの間に継続的に生成される。さらに、貯蔵エリア(7)は、少なくとも3~6ヶ月の間、貯蔵エリア(7)に滞留するスラグが必然的に受ける雨水から生じる浸出液を収集し、処理するためのプラントを備えていなければならない。貯蔵エリア(7)はまた、適切な床材で裏打ちされていなければならない。
【0009】
こうして得られたスラグは、貯蔵エリア(7)から第3の手段(8)によって積載され、破砕設備(9)およびこれに続く篩(10)(さらに鉄を除去することが可能になる)に向かって輸送され、最終生成物は、破砕によって得られた粒の大きさに基づいて様々な集まり(11)に分けられる。
【0010】
好都合には、こうして処理されたスラグから得られる最終生成物は、したがって、例えばアスファルトや様々なコンクリート製品を製造するための不活性骨材として、または道路床材や一般的な非構造道路の建設工事のための出発材料として、その後の用途のための二次原料として使用され得る。
【0011】
このプロセスでは、スラグ自体に存在する残留生石灰の完全な消滅を得るために、貯蔵エリア(7)における黒色スラグの安定化段階が不可欠であり、これにより、上記石灰がその後、水(例えば雨水)と接触したときに膨張することによって、アスファルト、または黒色スラグの上記処理から得られた生成物を含有する人工物に望ましくない損傷を与えることを回避する。
【0012】
他の用途、具体的には二次原料として再利用される生成物を得るための、従来の黒色スラグの処理方法がいかに長大で、かつ(必然的な消費とコストを伴う)さまざまな取扱い手段、浸出液の処理のためのプラント、および極めて大きな空間を必要とするかは、容易に理解できる。
【0013】
GB1534528には、約1300℃の高炉からの溶融スラグが、回転式の管状冷却炉に導入され、そこで2.5~6.5分間滞留し、これにより約1000~1100℃の温度の小片の形で上記炉を出て、管状冷却炉を出てなお特に高温にある上記小片の熱を回収するために、熱交換塔の内部を直接通過する解決策が記載されている。
【0014】
WO2009/116684には、冷却流体を、冷却される黒色スラグのみに直接噴霧する解決策が記載されている。
【0015】
WO2009/069794には、電気炉を出た高温の黒色スラグが、一次冷却が行われる穴にまず排出される解決策が記載されている。
【0016】
本発明の目的は、黒色スラグ、具体的には、鋼製造段階において電気炉で生成されるスラグを処理するための方法および/または設備を提案することであり、これにより、既知の解決策の欠点を少なくとも部分的に克服することができる。
【0017】
本発明の別の目的は、(特に安定性に関して)得られる物質の高品質基準、ならびに作業者および機材の安全性を維持しながら、エネルギー効率を高めることができる黒色スラグを処理するための方法および/または装置を提案することである。
【0018】
本発明の別の目的は、黒色スラグを処理するための方法および/または設備を提案することであり、これにより(特に安定性に関して)高品質の最終生成物を得ることができ、その後の様々な用途のための二次原料として使用することができる。
【0019】
本発明の別の目的は、黒色スラグの処理に必要な空間を大幅に削減できる方法を提案することである。
【0020】
本発明の別の目的は、様々なゾーンおよび/またはステーション間での黒色スラグの移動を低減するか、または回避する方法を提案することである。
【0021】
本発明の別の目的は、様々なエリアおよび/またはステーション間で黒色スラグを積載し、かつ移動させる手段を必要としない方法を提案することである。
【0022】
本発明の別の目的は、黒色スラグの処理コストを削減できる方法を提案することである。
【0023】
本発明の別の目的は、黒色スラグの処理時間を大幅に短縮することができる方法を提案することである。
【0024】
本発明の別の目的は、環境調和性の高い方法を提案することである。
【0025】
本発明の別の目的は、浸出液の処理のためのプラントの実装を必要としない方法および/または設備を提案することである。
【0026】
本発明の別の目的は、複雑で高価な構造面の建設工事、もしくは外装工事/床工事を必要としない方法および/または設備を提案することである。
【0027】
本発明の別の目的は、すべての製鋼所で十分に使用可能な方法および/または設備を提案することである。
【0028】
本発明の別の目的は、黒色スラグをはるかに小さな空間で処理することである。
【0029】
本発明の別の目的は、高いエネルギー効率を得ることが可能な、黒色スラグを処理するための方法および/または設備を提案することである。
【0030】
本発明の別の目的は、建設的に完全に信頼できる、黒色スラグの処理のための設備を提案することである。
【0031】
本発明の別の目的は、耐久性および頑丈さを有する黒色スラグ処理設備を提案することである。
【0032】
本発明の別の目的は、容易に実行可能で、かつ低コストである、黒色スラグを処理するための方法および/または設備を提案することである。
【0033】
本発明の別の目的は、手早く、かつ容易に維持することができ、同時に、黒色スラグの回収におけるエネルギー効率を向上させることができ、同時に、得られる材料の高品質基準を維持することができる設備を提案することである。
【0034】
本発明のもう1つの目的は、既知の解決策に対する代替的かつ改良された、黒色スラグを処理するための方法および/または設備を提案することである。
【発明の概要】
【0035】
個々およびその任意の組み合わせの両方で考慮される、これらのすべての目的、ならびに以下の記載からもたらされる他の目的は、本発明によれば、請求項1に示される特徴を有する黒色スラグの処理方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、純粋に例示的かつ非限定的な目的で報告されたその好ましい実施形態のいくつかにおいて、添付の図面表を参照して、以下でさらに明らかにされる。
図1】先行技術に係る、黒色スラグの処理方法の概略全体図を示す。
図2】本発明に係る、黒色スラグの処理のための設備の全体的な概略図を示す。
図3】本発明に係る、黒色スラグの処理のための設備の代替実施形態の全体的な概略図を示す。
図4】CaO-SiO-Alの相平衡状態図を示す。
図5】本発明に係る、黒色スラグの処理のための方法のさらなる実施形態の全体的な概略図を示す。
図6図5の方法の変形例の全体的な概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、石灰または石灰系化合物を含有し、鉄スクラップから鋼を製造するために製鋼業界で使用される電気炉(2)、好ましくはアーク炉(「EAF」としても知られる)において生成される黒色スラグ(1)または製鋼スラグを処理するための方法および設備に関し、全体として参照番号(15)で示される。
【0038】
具体的には、「黒色スラグ」(1)という用語は、以下では、スクラップの酸化、およびスクラップから鋼を製造するために電気炉の装入物に入れられた添加剤によって生成された化合物の酸化の結果として、鋼の溶融槽の上方に形成されるスラグを意味する。具体的には、黒色スラグ(1)は様々な成分を含有し、具体的には石灰(CaO)または石灰系化合物を含有する廃棄物質であり、したがって有利に回収可能である。好都合には、黒色スラグ(1)は、CaO(石灰)、FeO、SiOおよびAlの成分によって約70~95%、好ましくは約80~90%形成され、好適には、個々の成分の量は、黒色スラグの組成に応じて変化する。
【0039】
有利には、本発明に係る設備(15)は、鋼製造プラントおよび/またはその派生物もしくは変形物と動作可能に結合され得る。
【0040】
好都合には、本発明に係る設備(15)は、鋼製造段階において電気炉(2)の内部で生成される黒色スラグ(1)を回収するためのプラントで使用するのに好適である。
【0041】
本発明に係る方法は、電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)を冷却することを実現する。
【0042】
好ましくは、本発明に係る方法は、電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)を直ちに冷却するか、または大釜(3)に収集した後に冷却することを実現する。
【0043】
好ましくは、本発明に係る方法は、黒色スラグ(1)を電気炉(2)から出た直後、または大釜(3)に収集した直後に冷却することを実現する。好都合には、これは、電気炉(2)からの出口で黒色スラグ(1)を冷却装置(20)内部に直接排出することによって、または電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)をまず大釜(3)内に降ろし、次いで大釜(3)から冷却装置(20)内に直接降ろすことによって実現され得る。好都合には、黒色スラグ(1)は、液体または流体の状態にある限り、大釜(3)内に滞留することができる。
【0044】
好都合には、本方法は、電気炉(2)を出た、鋼の溶融温度に相当する温度またはそれに近い温度、すなわち約1400~1800℃の温度、好ましくは約1600℃の温度にある、黒色スラグ(1)を冷却することを実現する。
【0045】
好ましくは、可能な実行変形例において、本発明に係る方法は、黒色スラグ(1)を電気炉(2)からの出口において、大釜(3)へと排出された直後に冷却することを実現する。
【0046】
好都合には、電気炉(2)からの出口における黒色スラグ(1)は、間接的に、すなわち黒色スラグと冷却流体(例えば空気および/または水)の間接的な接触によって冷却される。
【0047】
好都合には、このために、黒色スラグ(1)は、黒色スラグを冷却するための装置(20)へと排出される。好ましくは、電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)は、黒色スラグを間接的に冷却するための装置(20)、すなわち、装置に入る、および/または装置を通過する黒色スラグ(1)と、上記装置(20)に入る、および/または上記装置(20)を通過する冷却流体との間の間接的な(すなわち非接触の)熱交換に面する黒色スラグを冷却するように構成された装置(20)へと排出される。
【0048】
好ましくは、冷却装置(20)は管状炉である。
【0049】
好ましくは、冷却装置(20)は回転式の管状炉である。可能な実施形態では、冷却装置(20)は揺動炉を備える。可能な実施形態では、冷却装置(20)は、振動炉を備える。可能な実施形態では、冷却装置(20)は浮遊炉を備える。
【0050】
電気炉(2)で生成された黒色スラグ(1)は、(一般に炉の回転により)冷却装置(20)の内部へと直接、かつ直ちに排出される。具体的には、冷却装置(20)は、黒色スラグの炉(2)からの出口に配置され、および/または配置可能である。
【0051】
好都合には、電気炉(2)で生成された黒色スラグ(1)は、まず大釜(3)へと排出され、次いで大釜(3)から冷却装置(20)の内部へと直接(すなわち穴内の通路を介さずに)降ろされる。
【0052】
好ましくは、冷却装置(20)は可動式である。好ましくは、冷却装置(20)は自走式または牽引式である。
【0053】
有利には、冷却装置(20)は、車輪や軌道(tracks)などの移動手段を備えた支持構造体に取り付け可能であり、これにより、冷却装置を炉(2)に向かって/炉(2)から離れて/炉へと、および/または炉(2)に対応して移動させることができる。
【0054】
好都合には、黒色スラグ処理設備(15)の冷却装置(20)は、冷却されるスラグのための入口開口部と冷却されたスラグのための出口開口部との間に延在する、冷却される黒色スラグを受容して、これを通過させるためのチャンバ(16)を内部に区画する壁を備え得る。
【0055】
好ましくは、冷却装置(20)の入口開口部は、電気炉(2)から直接出た黒色スラグ(1)を受容する。可能な代替実施形態では、冷却装置の入口開口部は、大釜(3)からの黒色スラグ(1)を受容することができ、この大釜(3)はまた、電気炉(2)の対応する出口から上記黒色スラグを直接受容する。
【0056】
好都合には、本発明に係る方法において、電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)は、穴の中へ排出されることはなく、具体的には、冷却装置(20)に入る前に穴の中へ排出されない。
【0057】
好都合には、本発明に係る方法において、冷却装置(20)を出た黒色スラグ(1)は、冷却塔熱交換器内へ排出されず、冷却塔熱交換器内で移動もしない。好ましくは、冷却装置(20)を出た黒色スラグ(1)は、いつでも破砕され、かつ篩にかけられる状態である。
【0058】
好都合には、冷却装置(20)は、黒色スラグ(1)を、電気炉(2)の出口から直接、および/または上記電気炉から出た直後、および/または大釜(3)への収集後、装置自体に運搬するためのローディングホッパー(図示せず)を備え得る。
【0059】
有利には、まだ溶融していないスクラップの片が炉に存在するのを回避するために、好ましくは、振動する保護グリッドを冷却装置(20)の入口開口部に対応して設けることができる。
【0060】
好ましい実施形態では、黒色スラグ処理設備(15)の冷却装置(20)は、実質的に管状(好ましくは円筒状)であって、冷却されるスラグ(1)のための入口開口部と冷却されたスラグのための出口開口部との間に延在する、冷却される黒色スラグを受容して、これを横断させるためのチャンバ(16)を内部に区画する少なくとも1つの壁を有する、少なくとも1つの回転炉(またはドラム)を備え得る。
【0061】
有利には、冷却装置(20)は、スラグを処理するための回転炉を備えることができ、この回転炉は、任意の従来の種類のものであり得、例えば、EP3247811またはEP3323898に記載されている種類のものであり得る。
【0062】
好ましくは、冷却装置(20)は、その内部にチャンバ(16)を区画する壁の冷却手段(図示せず)を備え、これにより、上記チャンバを通過する物質(黒色スラグ)を間接的に冷却する。
【0063】
好都合には、冷却装置(20)は、上記チャンバ(16)を通過する黒色スラグを間接的に冷却するための手段を含み、具体的には、これらの手段は、
冷却流体(好ましくは水)を上記壁の外表面に噴霧するための手段(例えばノズル)、
冷却流体(好ましくは水)を上記壁の外側表面に滴下するための手段、
上記壁に固定され、かつ冷媒流体の循環のための導管を備える冷却板、および/または
上記壁の外側周囲に画定され、冷却流体が浸透するチャンバを画定する、モジュールパネルで作られる場合のある、少なくとも1つの空間/外被
を含んでもよい。
【0064】
好ましくは、供給装置(20)の上記冷却手段は、少なくとも部分的に装置の周囲に配置され、供給手段から冷却流体(好ましくは水)を受容するように構成された、冷却流体のための少なくとも1つの分配回路を含み得る。
【0065】
操作上、冷却流体は、上記壁を冷却するようにチャンバ(16)の壁に作用し、その結果、上記チャンバに収容された黒色スラグも間接的に冷却する。
【0066】
有利には、本発明に係る設備(15)は、冷却装置(20)の冷却手段(図示せず)に少なくとも1つの冷却流体(好ましくは水)を送給するための手段をさらに含む。
【0067】
好都合には、冷却流体を送給するための手段は、入口において冷却手段と流体連結(fluidically connected)され、これにより冷却手段に冷却流体を供給する。
【0068】
好ましくは、冷却流体供給手段は、入口において冷却流体の外部供給部、具体的には給水本管と連結される一方、出口において装置の冷却手段と連結される、少なくとも1つの流体回路を含む。
【0069】
好都合には、本発明に係る方法は、電気炉(2)を出た、約1400~1800℃のTにある黒色スラグ(1)を、少なくとも中間温度または(T未満である)最終温度Tに達するまで、好ましくは間接的に冷却することを実現する。
【0070】
好都合には、中間温度または最終温度Tは、石灰(CaO)もしくは石灰系化合物を含有する安定した鉱物学的構造の相変化が起こる温度である。CaO-SiO-Alに関連する図4を参照されたい。
【0071】
温度Tは、黒色スラグ自体の組成に応じて変化し、例えば、約500~1200℃とすることができる。
【0072】
可能な実施形態では、黒色スラグ(1)は、カルシウム系化合物、具体的には(675℃~1420℃で安定したβ型を有する)ケイ酸二カルシウムを含むことができ、好適には、電気炉(2)からの出口において約1400~1800℃のTにある黒色スラグ(1)は、そのβ相でのケイ酸二カルシウムの安定した形成を得るように冷却される。
【0073】
好都合には、温度Tから温度Tへの遷移は、冷却されたスラグ中の遊離石灰の形成/生成を回避するため、またはそれにより減少させるために、特に急速である。
【0074】
好都合には、本発明に係る方法は、電気炉(2)を出た、約1400~1800℃のTにある黒色スラグ(1)を、まず上記中間温度Tに達するまで、次いでスラグ(1)のその後の取扱いに適した最終温度T3に達するまで、好ましくは間接的に冷却することを実現する。具体的には、例えば、最終温度T3は、約150~300℃以下であり、好ましくは、約70~100℃以下である。
【0075】
好都合には、黒色スラグの冷却器(20)における入口温度は温度Tに相当する一方、黒色スラグの冷却器(20)からの出口温度は温度TまたはTに相当し得る。
【0076】
好ましくは、黒色スラグの冷却装置(20)からの出口温度は、スラグ(1)のその後の取扱いに適した温度Tに相当し、好ましくは、最終温度Tは、約150~300℃以下であり、好ましくは、約70~100℃以下である。
【0077】
好都合には、T≧Tである。基本的には、温度Tは、冷却器の出口で黒色スラグが到達する最終冷却温度に相当するか、または冷却器の出口で黒色スラグが到達する温度Tよりも高い中間冷却温度に相当する場合がある。
【0078】
好都合には、本発明に係る方法において、黒色スラグの冷却速度は、相平衡CaO-SiO-Alに関連する図4の図から得られるように、高温(すなわちTより高い温度)で安定した鉱物学的構造が、より低い温度(すなわちTより低い温度)でも安定したままであるような速度である。好都合には、温度Tを下回る遊離石灰(CaO)またはその化合物の量は、冷却を実行する時間が長いほどに多く、したがって、有利には、本発明に係る方法は、冷却されたスラグ中に存在する遊離石灰またはその化合物の量をできるだけ減少させるために、冷却を特に高速で実行するように構成される。
【0079】
好都合には、本発明に係る方法において、電気炉を出た黒色スラグの間接的な冷却は、電気炉内での鋼の溶融サイクルの時間よりも短い時間で実行され、具体的には、約30~45分未満で行われ、具体的には、約10~約30分の時間で行われる。適切には、電気炉を出た黒色スラグの間接的な冷却は、最小約10分から最大約30~45分の範囲の時間間隔で実行される。
【0080】
好都合には、電気炉(2)を出た黒色スラグの間接的な冷却は、冷却装置(20)内部で、最小約10分から最大約30~45分の範囲の時間間隔、好ましくは約10分~約30分の範囲の時間間隔で実行される。
【0081】
好ましくは、冷却器は、黒色スラグの冷却速度、具体的には、黒色スラグの、温度T(黒色スラグの冷却器への入口温度に相当する)から温度TまたはT(黒色スラグの冷却器からの出口温度にも相当する)までの時間の経過が、電気炉内での鋼溶融サイクルの時間未満であり、具体的には、特に黒色スラグおよび/または鋼の化学組成に応じて、約30~45分未満、好ましくは約10~約30分の時間間隔で行われる。
【0082】
好都合には、冷却装置(20)内部での黒色スラグの冷却、具体的には、上記装置内部での黒色スラグの滞留時間は、電気炉内部での鋼の溶融サイクルの時間よりも短い時間で実行され、具体的には、特に黒色スラグおよび/または鋼の化学組成に応じて、約30~45分未満で実施され、好ましくは、約10分~約30分の時間間隔で行われる。有利には、これにより、その後の溶融サイクルで生成される黒色スラグを受容することができるように、冷却装置を冷却された黒色スラグから速やかに引き離すことができる。
【0083】
好都合には、本発明に係る方法では、電気炉を出た黒色スラグは、冷却装置(20)へと不連続的に装填され、上記冷却装置(20)は、したがって、「バッチ式」で作動するように構成されている。好ましくは、冷却される黒色スラグ(1)の冷却装置(20)内への装填時間は約5分以下であり、より好ましくは約2分以下である。
【0084】
次いで、本発明に係る方法は、冷却された黒色スラグが様々な大きさの片に破砕され、続いて篩にかけられ、こうしてより大きい片からより細かい片を2つ以上の集まりに分けること、すなわち、少なくとも1つの所定の大きさよりも小さいか、または大きい片を2つ以上の集まりに分けることを実現する。
【0085】
本発明に係る処理設備(15)は、冷却装置(20)の下流に、冷却されたスラグを様々な大きさの片にするための破砕モジュール(9)と、こうしてより大きい片からより細かい片を2つ以上の集まり(11)へと分ける、すなわち、少なくとも1つの所定の大きさよりも小さいか、または大きい片を2つ以上の集まりに分けるための篩モジュール(10)とを備える。
【0086】
好都合には、冷却設備(15)(図3参照)の可能な実施形態において、冷却装置(20)、破砕モジュール(9)、および篩モジュール(10)は、同一の設備/機械(21)内で連続して画定される。
【0087】
好都合には、冷却設備(15)(図2参照)の別の可能な実施形態において、冷却装置(20)、破砕モジュール(9)、および篩モジュール(10)は、連続して配置された別個の独立した機械/機器(21)によって画定され得る。
【0088】
有利には、可能な実施形態において、炉(2)を出た黒色スラグ(1)は、スラグ自体に存在する遊離石灰(CaO)またはその化合物を捕獲するために、既知の添加剤、例えば不活性物質(ケイ酸塩、アルミン酸塩など)と冷却装置内で混合される。
【0089】
有利には、可能な実施形態において、冷却装置(20)の送給手段は、鋼製造プラント、および/またはそれに類するものに送給する同一の給水網から冷却流体を受容する。
【0090】
冷却流体は、有利には、水を含み、具体的には、製鋼製造プラントで既に使用されているか、または使用可能である。
【0091】
より詳細には、冷却装置(20)の送給手段は、上流のプラント、具体的には鋼製造プラントから高圧冷却流体を取り込み、冷却装置(20)の冷却手段へと輸送する。
【0092】
有利には、冷却装置(20)のチャンバ(16)は、冷却される物質(すなわち、黒色スラグ)を第1の移動方向へと前進させるように構成される。好都合には、冷却手段は、冷却流体を入口セクションから上記出口セクションへと、上記第1の方向とは少なくとも部分的に反対の第2の方向へと移動させるように構成され得る。具体的には、冷却流体は、冷却される黒色スラグ(1)がチャンバ(16)内部を横断/前進する方向とは反対方向に、チャンバ(16)の長手方向の展開に沿ってチャンバ(16)を横断するようにチャンバ(16)の外部に作用する。
【0093】
好ましい実施形態によれば、冷却装置(20)の炉は、好ましくは、実質的に円筒形状を有し、入口開口部が設けられる第1の端部(図示せず)と、出口開口部(5)が形成される第2の端部との間で主軸Xに沿って延在する。好都合には、冷却装置(20)は、その長手方向の展開軸Xを中心に回転する管状炉を備える。好ましくは、冷却されるスラグの第1の移動方向は、主軸Xに対して実質的に平行であり、入口開口部から出口開口部へと向かっている。
【0094】
有利には、冷却装置(20)の炉は、熱伝導性材料で製造され、具体的には、例えば鋼などの金属性材料で製造される。
【0095】
好都合には、最適な方法で黒色スラグを冷却するために、炉(2)は支持構造体に回転可能に取り付けられ、動力化手段によって主軸Xを中心に回転させることができる。
【0096】
有利には、支持構造体は、地面に据えられることが意図されており、少なくとも1つの下部支持基部を備え、好ましくは金属材料で製造される。
【0097】
好ましくは、支持構造体は、その主軸Xが実質的に水平であるか、または入口開口部に相当するより高い位置から出口開口部に相当するより低い位置まで少なくとも部分的に傾斜するように炉を支持する。好都合には、水平位置に対して炉の傾きを変化させるために、さらなる動力化手段(図示せず)を設けることができる。
【0098】
好都合には、冷却装置(20)は、少なくとも1つの電子制御ユニット(図示せず)を備え、この電子制御ユニットは、動力化手段に電気的に接続されるとともに、これらを制御して炉の回転速度、および/または水平位置に対する炉の傾きを変化させるようにプログラムされる。好ましくは、電子制御ユニットは、第1の回転方向、例えば時計回りまたは反時計回りに、炉の回転を制御するようにプログラムされる。好都合には、電子制御ユニットは、チャンバ(16)内部の黒色スラグを混合し、装置(20)の冷却効率を高めるために、炉を複数の回転方向に交互に回転させるようにプログラム可能である。
【0099】
好都合には、冷却装置(20)は、少なくとも1つの温度センサを備えており、この温度センサは、炉に動作可能に結合され、電子制御ユニットに電気的に接続され、炉および/または冷却される黒色スラグの少なくとも1つの温度測定値を検出するように構成される。電子制御ユニットは、有利には、温度測定値を受け取り、それに対応して、炉の回転速度および/または炉の傾きを変化させるための動力化手段を制御するように構成される。
【0100】
有利には、電子制御ユニットは、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などの少なくとも1つのマイクロコントローラを備える。好ましくは、電子制御ユニットは、少なくとも1つの処理モジュールをさらに備え、この処理モジュールは、温度測定値および流量測定値を処理するとともに、駆動手段のための対応する第1の制御信号を生成するようにプログラムされている。
【0101】
好都合には、電子制御ユニットは、当業者に本来既知の任意の方法、したがって以下に詳述しない方法で、センサおよび動力化手段に接続可能である。例えば、電子制御ユニットは、本特許の保護範囲から逸脱することなく、ワイヤ接続またはワイヤレス接続を提供してもよい。
【0102】
有利には、可能な実施形態において、黒色スラグの処理設備(15)は、例えば圧縮空気によって、炉(2)、好ましくは電気炉から出た黒色スラグ(1)に直接、霧状化された冷却流体(好ましくは水)を送り込むためのユニットを備える。好都合には、可能な実施形態において、霧状化された冷却流体を送り込むためのユニットは、黒色スラグ(1)の炉(2)からの出口に設けられ得、かつ黒色スラグの間接的な冷却のための装置(20)に対して上流側かつ外側に配置され得る。好都合には、可能な実施形態において、霧状化された冷却流体を送り込むためのユニットは、黒色スラグの間接的な冷却のための装置(20)の内部に、好ましくは入口に設けられ得る。
【0103】
好都合には、本発明に係る方法は、電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)を、間接的に、および/または、例えば圧縮空気を用いた、霧状化された冷却流体、具体的には霧状化された水との直接的な接触により冷却することを実現する。好ましくは、本発明に係る方法は、電気炉(2)を出た黒色スラグ(1)を、まず霧状化された冷却流体によって、続いて間接的な冷却(すなわち、冷却流体と黒色スラグの間の間接的な熱交換)によって冷却することを実現する。好都合には、霧状化された冷却流体は、間接的な熱交換に使用される冷却流体と同じであるか、または異なったものであってもよい。
【0104】
好都合には、その可能な実施形態の1つにおいて、本発明に係る方法は、気体(好ましくは空気または他の不活性気体)と液滴(好ましくは水または他の冷却剤)の混合物(例えばエアロゾル)の噴射/噴霧によって、炉(2)を出た黒色スラグ(1)を冷却することを実現する。具体的には、この気体と液体の混合物は、黒色スラグ(1)に直接送り込まれる。好都合には、気体は、黒色スラグと直接接触することになる冷却材(好ましくは、水)の液滴が、黒色スラグを冷却し、同時に蒸発(すなわち状態が変化)するように、冷却材(好ましくは水)の液滴の主として輸送キャリア、または輸送キャリアとしてのみ作用し、これにより液体の浸出液を収集するためのプラントを設置する必要を回避する。さらに有利なことに、空気と水を混合して使用することで、空気のみを使用する既知の解決策と比較して、使用する空気の量を減らすことができ、また水の過剰な消費も回避することができる(むしろ、間接的な冷却の場合に必要な水の消費量よりも、少なくとも一桁少ない水の量、すなわち毎分数十リットル程度である)。
【0105】
好都合には、この目的ために、上記気体と液滴の混合物の噴射/噴霧を発生させて、これを、炉(2)を出た黒色スラグ(1)に向かって、直接送り込むように構成されたモジュール(図示せず)を設けることができる。有利には、上記モジュールは、気体と液滴の上記混合物の噴射/噴霧が、炉から出てきた黒色スラグをコンテナの壁に押し付けることで、続いて液滴により冷却された黒色スラグがベルトコンベヤー上に後退して、結果として黒色スラグを、モジュールもしくは後続の処理ステーション(破砕(9)および/または篩(10))に向かって前進させるように構成されている。
【0106】
好都合には、黒色スラグ(1)の間接冷却装置(20)の代わりに、および/または黒色スラグ(1)の間接冷却装置(20)に加えて、上記モジュールを設けることができる。好都合には、上記モジュールを、冷却装置(20)の外部に設けることができ、かつ黒色スラグの間接冷却の手段に対して、入口/上流に配置することができる。好都合には、上記モジュールを、冷却装置(20)の外部に設けることができ、かつ黒色スラグの間接冷却手段に対して、入口/上流に配置することができる。
【0107】
好都合には、本発明に係る方法は、したがって、特に急速な冷却、好ましくは約30~45分未満、より好ましくは黒色スラグおよび/もしくは鋼の化学組成に応じて約10分~約30分未満の時間での冷却を実現し、黒色スラグは、電気炉から直接出た直後、または上記黒色スラグを大釜(3)に収集した直後に冷却される。好都合には、冷却が迅速であるほど、冷却されたスラグ中に存在する遊離石灰またはその化合物の量は少なくなる。
【0108】
記載してきたことから明らかであるように、本発明に係る方法および/または設備は、
既知の解決策の欠点を克服することができ、具体的には、上記既知の解決策において提供される黒色スラグの多くの移動を回避することができ、より詳細には、これにより、様々なエリア間での取扱い手段および輸送手段の購入や使用を回避することができ、したがって、コストの相当な削減を得ることができるため、
様々な用途、具体的には二次原料として、その後好適に使用可能である、安定した高品質の物質をより迅速に得る目的で、黒色スラグを処理することができるため、
黒色スラグが水やその他の冷却流体と直接接触しないため、浸出液処理プラントを一切必要としないため、
収集エリアや貯蔵エリアに広大なスペースを取る必要がなく、また特別な、または専用の構造面の工事も床工事/外装工事もする必要ないため、
エネルギー効率を向上させることができ、作業者および装備の安全性を向上させることができ、また、建設工事および操作において高い信頼性を有するため、
黒色スラグを最適な方法で冷却できる、すなわち、前述の高いエネルギー効率を得ながら、黒色スラグの最適な冷却を得ることができるため、
実行が容易で、低コストであるため、
既知の解決策に対する代替策かつ改善策であるため
特に有利である。
【0109】
具体的には、本発明に係る方法は、約10分から約30~45分の間の時間、黒色スラグの間接的な冷却を提供する点で、GB1534528の解決策とは異なり、間接的な冷却を提供する点で、WO2009/116684の解決策とは異なり、また、電気炉から出した直後、または大釜に収集した直後に黒色スラグを冷却することを実現し、これにより穴での荷降ろし、および予備的な冷却を回避することができる点で、WO2009/069794の解決策とは異なる
【0110】
本発明は、その好ましい実施形態のいくつかにおいて図示され、記載されてきたが、実際には、工業上の発明に関する本特許の保護範囲から逸脱することなく、実行上の変形が適用され得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】