(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】4H-ピラン-4オンの構造を有するCYP11A1阻害薬の新規塩形態
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20240306BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20240306BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240306BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240306BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240306BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240306BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240306BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240306BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240306BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240306BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
A61K31/454
A61P13/08
A61P15/00
A61P35/00
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/04
A61K47/20
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553469
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 FI2022050130
(87)【国際公開番号】W WO2022184978
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523332172
【氏名又は名称】オリオン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カルジャライネン,オスカリ
(72)【発明者】
【氏名】メケレ,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ポップ,ミハエラ
(72)【発明者】
【氏名】ルンマッコ,ペテリ
(72)【発明者】
【氏名】シェフチェンコ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】シネルボ,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ティアイネン,エイジャ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB08
4C063CC78
4C063DD08
4C063EE01
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC17
4C076CC27
4C076DD22
4C076DD42
4C076DD57
4C076FF36
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC21
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、医薬組成物の製造において使用するのに特に適している、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の新規塩、特に、結晶質塩に関する。さらに、本発明は、そのような新規塩を含んでいる医薬組成物にも関する。化合物(I)は、CYP11A1酵素の選択的阻害薬であり、前立腺癌及び乳癌などのホルモンにより調節される癌の治療において有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の
・ p-トルエンスルホン酸、
・ 2-ナフタレンスルホン酸、
・ 1,5-ナフタレンジスルホン酸、
・ 臭化水素酸、
・ 硝酸、
・ ベンゼンスルホン酸、
・ 塩酸、
・ マレイン酸、
・ 1,2-エタンジスルホン酸、
・ シュウ酸、
・ エタンスルホン酸、
・ 硫酸、及び、
・ メタンスルホン酸
からなる群から選択される酸との塩。
【請求項2】
2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の
・ p-トルエンスルホン酸、
・ 2-ナフタレンスルホン酸、
・ 1,5-ナフタレンジスルホン酸、及び、
・ 臭化水素酸.
からなる群から選択される酸との塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
結晶質である、請求項1又は2に記載の塩。
【請求項4】
2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の結晶質p-トルエンスルホン酸塩である、請求項2又は3に記載の塩。
【請求項5】
4.4、15.2、18.4、19.1、20.8及び22.4の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する結晶形態1の塩である、請求項4に記載の塩。
【請求項6】
前記結晶形態1が、4.4、8.8、11.4、15.2、16.5、17.1、18.4、19.1、20.8及び22.4の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する、請求項5に記載の塩。
【請求項7】
前記結晶形態1が、T=293(2)Kにおいて、以下の単位格子パラメータ:
【表1】
を有する、請求項4~6のいずれか1項に記載の塩。
【請求項8】
2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の結晶質2-ナフタレンスルホン酸塩である、請求項2又は3に記載の塩。
【請求項9】
4.3、8.7、13.0、18.8及び27.1の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する結晶形態1の塩である、請求項8に記載の塩。.
【請求項10】
前記結晶形態1が、4.3、8.7、13.0、18.8、21.7、27.1及び35.8の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する、請求項9に記載の塩。
【請求項11】
2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の結晶質1,5-ナフタレンジスルホン酸塩である、請求項2又は3に記載の塩。
【請求項12】
10.6、17.6、20.2、20.4、22.8及び24.8の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する結晶形態1の塩である、請求項11に記載の塩。
【請求項13】
前記結晶形態1が、5.9、9.2、10.6、15.5、17.1、17.6、20.2、20.4、22.8及び24.8の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する、請求項12に記載の塩。
【請求項14】
2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の結晶質臭化水素酸塩である、請求項2又は3に記載の塩。
【請求項15】
5.3、10.5、13.6、18.3、21.4及び26.9の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する結晶形態1の塩である、請求項14に記載の塩。
【請求項16】
前記結晶形態1が、約5.3、10.5、13.6、16.9、18.3、18.8、21.4、22.6及び26.9の回折角度2θ(±0.2)のピークによって特徴づけられるX線粉末回折パターンを有する、請求項15に記載の塩。
【請求項17】
請求項4~7のいずれかに記載の結晶質塩を調製する方法であって、化合物(I)とp-トルエンスルホン酸をアセトニトリルと水の混合物に溶解させ、その混合物を冷却し、及び、結晶質生成物を単離することを含む、前記方法。
【請求項18】
請求項8~10のいずれかに記載の結晶質塩を調製する方法であって、化合物(I)と2-ナフタレンスルホン酸をエタノール又はエタノールと水の混合物に溶解させ、その混合物を冷却し、及び、結晶質生成物を単離することを含む、前記方法。
【請求項19】
請求項11~13のいずれかに記載の結晶質塩を調製する方法であって、化合物(I)と1,5-ナフタレンジスルホン酸をエタノール又はエタノールと水の混合物又はアセトニトリル及び水の混合物に溶解させ、その混合物を冷却し、及び、結晶質生成物を単離することを含む、前記方法。
【請求項20】
請求項14~16のいずれかに記載の結晶質塩を調製する方法であって、化合物(I)と臭化水素酸をエタノール又は水とエタノール若しくはイソプロパノールの混合物に溶解させ、その混合物を冷却し、及び、結晶質生成物を単離することを含む、前記方法。
【請求項21】
医薬組成物であって、1種類以上の賦形剤と一緒に活性成分として請求項1~16のいずれか1項に記載の塩を含んでいる、前記医薬組成物。
【請求項22】
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤又は懸濁液剤の形態にある、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
錠剤又はカプセル剤の形態にある、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
錠剤の形態にある、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前立腺癌及び乳癌などのホルモンにより調節される癌の治療において使用するための、請求項1~16のいずれかに記載の塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の新規塩及びその調製に関する。さらに、本発明は、そのような新規塩を含んでいる医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)で表される化合物2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン及びその誘導体は、WO2018/115591に開示されている。式(I)で表される化合物は、CYP11A1酵素の選択的阻害薬であり、前立腺癌及び乳癌などのホルモンにより調節される癌(hormonally regulated cancer)の治療において有用である。
【0003】
【0004】
典型的には、固形投与形態の効率的な開発を可能にするために、当該活性成分の形態は、満足のいく溶解性に加えて、結晶化度、多形の欠如、高い融点、固体状態の安定性、圧縮性及び吸湿性の欠如などの望ましい特性のバランスを有することが求められる。例えば、必要な生物学的利用能を有する活性成分の形態は、医薬組成物の製造中又は保存中に分解したり又は異なる特性を有する異なる形態に変換したりしないように、充分な安定性も有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、癌などの疾患の治療に適した市場性のある医薬品の大規模製造を可能にする特性及び安定性を有する化合物(I)の1以上の形態が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
化合物(I)は、錠剤又はカプセル剤などの医薬品の大規模製造において使用するのを可能にする必要な特性(これは、安定性及び加工性を包含する)を有する1以上の結晶質塩の形態で存在することが可能であることが見出された。
【0008】
一態様において、本開示は、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、臭化水素酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、塩酸、マレイン酸、1,2-エタンジスルホン酸、シュウ酸、エタンスルホン酸、硫酸及びメタンスルホン酸との塩を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、結晶形態にある上記塩を提供する。
【0010】
特に、本開示は、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、1,5-ナフタレンジスルホン酸塩及び臭化水素酸塩を提供する。これらの塩は、結晶質であり、そして、錠剤などの医薬投与形態において、特に高い融点、多形の欠如、加熱中の重量減少の少なさ及び優れた固体状態安定性を示す。
【0011】
別の態様において、本開示は、CYP11A1を阻害することが望ましい疾患を治療する方法、特に、前立腺癌及び乳癌などのホルモンにより調節される癌(hormonally regulated cancer)を治療する方法を提供し、ここで、該方法は、そのような治療を必要とする対象者にに治療有効量の化合物(I)の上記塩のいずれか又はその結晶形態を投与することを含む。
【0012】
さらに別の態様において、本開示は、化合物(I)の上記塩のいずれか又はその結晶を1以上の賦形剤と一緒に含んでいる医薬組成物、特に、錠剤又はカプセル剤の形態にある医薬組成物を提供する。さらに別の態様において、本開示は、前立腺癌及び乳癌などのホルモンにより調節される癌(hormonally regulated cancer)の治療において使用するための、そのような組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図2】
図2は、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図3】
図3は、化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図4】
図4は、化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図5】
図5は、化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図6】
図6は、化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図7】
図7は、化合物(I)の臭化水素酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図8】
図8は、化合物(I)の臭化水素酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図9】
図9は、化合物(I)の硝酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図10】
図10は、化合物(I)の硝酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図11】
図11は、化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図12】
図12は、化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図13】
図13は、化合物(I)の塩酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図14】
図14は、化合物(I)の塩酸塩の結晶形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図15】
図15は、化合物(I)の塩酸塩の結晶形態3のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図16】
図16は、化合物(I)の塩酸塩の結晶形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図17】
図17は、化合物(I)のマレイン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図18】
図18は、化合物(I)のマレイン酸塩の結晶形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図19】
図19は、化合物(I)のマレイン酸塩の結晶形態3のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図20】
図20は、化合物(I)のマレイン酸塩の結晶形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図21】
図21は、化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図22】
図22は、化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図23】
図23は、化合物(I)のシュウ酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図24】
図24は、化合物(I)のシュウ酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図25】
図25は、化合物(I)のシュウ酸塩の結晶形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図26】
図26は、化合物(I)のエタンスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図27】
図27は、化合物(I)の硫酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図28】
図28は、化合物(I)の硫酸塩の結晶形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図29】
図29は、化合物(I)の硫酸塩の結晶形態2の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【
図30】
図30は、化合物(I)のメタンスルホン酸塩の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示している。
【
図31】
図31は、化合物(I)のメタンスルホン酸塩の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語「可変水和物(variable hydrate)」は、本明細書中で使用されている場合、結晶格子を破壊することなくさまざまな数の水分子を組み込むことができる結晶形態を示している。従って、そのような結晶形態は、その格子構造内に化学量論的量又は非化学量論的量の水分子を組み込むことができる。
【0015】
p-トルエンスルホン酸との塩
【0016】
一態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)のp-トルエンスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0017】
p-トルエンスルホン酸との塩は、例えば、化合物(I)とp-トルエンスルホン酸一水和物を、例えば等モル量で、適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。適切な溶媒としては、例えば、アセトニトリルと水の混合物(例えば、約10:1の比率にある混合物)、又は、エタノールと水とアセトニトリルの混合物(ここで、当該溶媒の体積あたり、エタノールの量は、適切には、約50~60%であり、水の量は、約30~40%であり、及び、アセトニトリルの量は、約10~15%である)などがある。必要に応じて、その混合物に、活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば、約50~80℃の温度に、適切には、約70~80℃に、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、その混合物を、その後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば約2~5時間かけてゆっくりと、例えば約0℃まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0018】
化合物(I)のp-トルエンスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。p-トルエンスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0019】
化合物(I)のp-トルエンスルホン酸との塩の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0020】
従って、一態様において、本開示は、約4.4、15.2、18.4、19.1、20.8及び22.4の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0021】
さらに別の態様において、本開示は、約4.4、8.8、11.4、15.2、16.5、17.1、18.4、19.1、20.8及び22.4の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0022】
さらなる態様において、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸との塩の結晶形態1は、さらに、
図1に示されているX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。さらに別の態様において、前記結晶形態1は、可変水和物の形態にある。従って、
図1に示されているピーク位置には小さな変動が存在し得るが、これは、可変水和物の結晶構造中に埋め込まれた可変の非化学量論的な水分含有量に関連している。
【0023】
2-ナフタレンスルホン酸との塩
【0024】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の2-ナフタレンスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0025】
2-ナフタレンスルホン酸との塩は、例えば、化合物(I)と2-ナフタレンスルホン酸を、例えば等モル量で、エタノールなどの適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に、活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、その混合物を、その後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば約室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。必要に応じて、その生成物を、例えば還流温度でエタノールと水の混合物(例えば、30:7の比率の混合物)に適切に溶解させ、続いて、例えば室温まで冷却することによって、該生成物を再結晶化させることができる。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0026】
化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。2-ナフタレンスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0027】
化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸との塩の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0028】
従って、一態様において、本開示は、約4.3、8.7、13.0、18.8及び27.1の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0029】
さらに別の態様において、本開示は、約4.3、8.7、13.0、18.8、21.7、27.1及び35.8の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0030】
さらなる態様において、化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸との塩の結晶形態1は、
図3に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0031】
1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩
【0032】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0033】
1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩は、例えば、化合物(I)と1,5-ナフタレンジスルホン酸を、例えば等モル量で、適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。適切な溶媒としては、例えば、エタノール、エタノールと水の混合物、又は、アセトニトリルと水の混合物などがある。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、その混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0034】
化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。1,5-ナフタレンジスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0035】
化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0036】
従って、一態様において、本開示は、約10.6、17.6、20.2、20.4、22.8及び24.8の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0037】
さらに別の態様において、本開示は、約5.9、9.2、10.6、15.5、17.1、17.6、20.2、20.4、22.8及び24.8の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0038】
さらなる態様において、化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸との塩の結晶形態1は、
図5に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0039】
臭化水素酸との塩
【0040】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の臭化水素酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0041】
臭化水素酸との塩は、例えば、化合物(I)と臭化水素酸(例えば、エタノール中の発煙臭化水素酸)を適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。適切な溶媒としては、例えば、エタノール、又は、水とエタノール若しくはイソプロパノールとの混合物などがある。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0042】
化合物(I)の臭化水素酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。臭化水素酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0043】
化合物(I)の臭化水素酸との塩の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0044】
従って、一態様において、本開示は、約5.3、10.5、13.6、18.3、21.4及び26.9の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の臭化水素酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0045】
さらに別の態様において、本開示は、約5.3、10.5、13.6、16.9、18.3、18.8、21.4、22.6及び26.9の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の臭化水素酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0046】
さらなる態様において、化合物(I)の臭化水素酸との塩の結晶形態1は、
図7に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0047】
硝酸との塩
【0048】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の硝酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0049】
硝酸との塩は、例えば、化合物(I)と硝酸を適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。適切な溶媒としては、例えば、エタノール、又は、水とエタノール、メタノール若しくはイソプロパノールの混合物などがある。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0050】
化合物(I)の硝酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。硝酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0051】
化合物(I)の硝酸との塩の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0052】
従って、一態様において、本開示は、約10.7、17.3、17.9、20.3、20.8及び22.1の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の硝酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0053】
さらに別の態様において、本開示は、約10.7、17.3、17.6、17.9、18.4、20.3、20.8、21.4、22.1及び22.7の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の硝酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0054】
さらなる態様において、化合物(I)の硝酸との塩の結晶形態1は、
図9に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0055】
ベンゼンスルホン酸との塩
【0056】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)のベンゼンスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0057】
ベンゼンスルホン酸との塩は、例えば、化合物(I)とベンゼンスルホン酸を適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。適切な溶媒としては、例えば、2-プロパノール、又は、エタノールと水の混合物などがある。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0058】
化合物(I)のベンゼンスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。ベンゼンスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0059】
化合物(I)のベンゼンスルホン酸との塩の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0060】
従って、一態様において、本開示は、約4.6、9.1、13.7及び19.7の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のベンゼンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0061】
さらに別の態様において、本開示は、約4.6、9.1、13.7、15.5、19.7、22.9、24.0及び27.5の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のベンゼンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0062】
さらなる態様において、化合物(I)のベンゼンスルホン酸との塩の結晶形態1は、
図11に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0063】
塩酸との塩
【0064】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の塩酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0065】
塩酸との塩は、3種類の結晶形態で存在することが分かっており、ここでは、結晶形態1、結晶形態2及び結晶形態3と称する。これらの結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0066】
塩酸塩結晶形態1は、例えば、化合物(I)と塩酸(例えば、ジエチルエーテル中の塩酸)を2-プロパノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱する。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、塩酸塩の結晶形態1を得ることができる。
【0067】
従って、一態様において、本開示は、約4.7、9.3、13.9、16.0、16.6及び17.8の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0068】
さらに別の態様において、本開示は、約4.7、9.3、13.9、16.0、16.6、17.8、21.1、22.2、23.3、24.7及び26.8の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0069】
さらなる態様において、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態1は、
図13に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0070】
塩酸塩結晶形態2は、例えば、最初に化合物(I)と塩酸(例えば、シクロペンチルメチルエーテル又はジエチルエーテルの中の塩酸)をエタノール又は2-プロパノールなどの適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した塩を、例えば濾過によって単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。次いで、その生成物を、適切な溶媒(例えば、2-プロパノールと水の混合物、例えば、約5:4の比率の混合物)に溶解させることによって、再結晶させる。その混合物は、固体が溶解するまで、例えば還流温度まで、適切に加熱される。得られた溶液を撹拌し、例えば氷浴中で、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、塩酸塩の結晶形態2を得ることができる。
【0071】
従って、一態様において、本開示は、約4.9、7.3、9.7及び14.5の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0072】
さらに別の態様において、本開示は、約4.9、7.3、9.7、14.5、16.9及び24.3の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0073】
さらなる態様において、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態2は、
図14に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0074】
塩酸塩結晶形態3は、例えば、最初に化合物(I)と塩酸(例えば、水中の塩酸)をエタノールなどの適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。次いで、その生成物を適切な溶媒(例えば、エタノールと水の混合物、例えば、約5:1の比率の混合物)に溶解させることによって再結晶させる。その混合物は、固体が溶解するまで、例えば還流温度まで、適切に加熱される。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、塩酸塩の結晶形態3を得ることができる。
【0075】
従って、一態様において、本開示は、約15.8、19.1、21.0、22.5、29.8及び32.5の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態3を提供する。
【0076】
さらに別の態様において、本開示は、約15.8、19.1、20.2、21.0、22.5、23.9、29.8、32.5及び34.1の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態3を提供する。
【0077】
さらなる態様において、化合物(I)の塩酸との塩の結晶形態3は、
図15に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0078】
マレイン酸との塩
【0079】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)のマレイン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0080】
マレイン酸との塩は、3種類の結晶形態で存在することが分かっており、ここでは、結晶形態1、結晶形態2及び結晶形態3と称する。これらの結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0081】
マレイン酸塩結晶形態1は、例えば、化合物(I)とマレイン酸を2-プロパノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、マレイン酸塩の結晶形態1を得ることができる。
【0082】
従って、一態様において、本開示は、約5.5、10.9、13.7、16.4、21.3及び21.9の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0083】
さらに別の態様において、本開示は、約5.5、10.9、11.2、13.7、16.4、17.7、18.8、19.6、21.3及び21.9の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0084】
さらなる態様において、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態1は、17図に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0085】
マレイン酸塩結晶形態2は、例えば、化合物(I)とマレイン酸をエタノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、マレイン酸塩の結晶形態2を得ることができる。
【0086】
従って、一態様において、本開示は、約7.4、10.7、13.4、14.9及び22.4の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0087】
さらに別の態様において、本開示は、約7.4、10.7、13.4、14.9、18.3、19.4及び22.4の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0088】
さらなる態様において、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態2は、
図18に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0089】
マレイン酸塩結晶形態3は、例えば、最初に化合物(I)とマレイン酸をエタノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。次いで、その生成物を、適切な溶媒(例えば、エタノールと水の混合物、例えば、約33:5の比率の混合物)に溶解させることによって再結晶させる。その混合物は、固体が溶解するまで、例えば還流温度まで、適切に加熱される。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、マレイン酸塩の結晶形態3を得ることができる。
【0090】
従って、一態様において、本開示は、約5.9、11.4、14.5、16.2、23.0及び23.7の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態3を提供する。
【0091】
さらに別の態様において、本開示は、約5.9、11.4、11.8、14.5、16.2、17.7、22.7、23.0、23.7及び28.5の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態3を提供する。
【0092】
さらなる態様において、化合物(I)のマレイン酸との塩の結晶形態3は、
図19に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0093】
1,2-エタンジスルホン酸との塩
【0094】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の1,2-エタンジスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0095】
1,2-エタンジスルホン酸との塩は、例えば、化合物(I)と1,2-エタンジスルホン酸を適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。適切な溶媒としては、例えば、エタノール、又は、水とエタノール、メタノール、イソプロパノール若しくはアセトニトリルの混合物などがある。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、加熱することができる。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させることができる。
【0096】
化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。1,2-エタンジスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0097】
従って、一態様において、本開示は、約7.9、9.1、10.7、14.9、16.8及び23.7の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0098】
さらに別の態様において、本開示は、約7.9、9.1、10.7、14.9、15.2、16.8、20.5及び23.7の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0099】
さらなる態様において、化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸との塩の結晶形態1は、
図21に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0100】
シュウ酸との塩
【0101】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)のシュウ酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0102】
シュウ酸との塩は、2種類の結晶形態で存在することが分かっており、ここでは、結晶形態1及び結晶形態2と称する。これらの結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0103】
シュウ酸塩結晶形態1は、例えば、化合物(I)とシュウ酸をエタノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、シュウ酸塩の結晶形態1を得ることができる。
【0104】
従って、一態様において、本開示は、約6.1、11.7、17.0、18.7、19.3及び25.2の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のシュウ酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0105】
さらに別の態様において、本開示は、約6.1、6.6、11.7、13.2、17.0、18.7、19.3、22.2及び25.2の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のシュウ酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0106】
さらなる態様において、化合物(I)のシュウ酸との塩の結晶形態1は、
図23に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0107】
シュウ酸塩結晶形態2は、例えば、化合物(I)とシュウ酸をアセトニトリルに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、ゆっくり冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、シュウ酸塩の結晶形態2を得ることができる。
【0108】
従って、一態様において、本開示は、約4.2、5.4、6.4、11.1及び15.3の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のシュウ酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0109】
さらに別の態様において、本開示は、約4.2、5.4、6.4、11.1、15.3、19.5、18.9、20.2及び22.2の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のシュウ酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0110】
さらなる態様において、化合物(I)のシュウ酸との塩の結晶形態2は、
図25に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0111】
エタンスルホン酸との塩
【0112】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)のエタンスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0113】
エタンスルホン酸塩結晶形態1は、例えば、化合物(I)とエタンスルホン酸をエタノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、エタンスルホン酸塩の結晶形態1を得ることができる。
【0114】
化合物(I)のエタンスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。エタンスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0115】
従って、一態様において、本開示は、約10.4、12.3、15.6、18.7及び28.1の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のエタンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0116】
さらに別の態様において、本開示は、約5.2、10.4、12.3、15.6、18.7、21.4、26.0、26.9及び28.1の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のエタンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0117】
さらなる態様において、化合物(I)のエタンスルホン酸との塩の結晶形態1は、
図26に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0118】
硫酸との塩
【0119】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)の硫酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0120】
硫酸との塩は、2種類の結晶形態で存在することが分かっており、ここでは、結晶形態1及び結晶形態2と称する。これらの結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)研究によって特徴付けられている。
【0121】
硫酸塩結晶形態1は、例えば、化合物(I)と硫酸(例えば、エタノール中の硫酸)をアセトニトリルの混合物又はアセトニトリルと水の混合物(例えば、25:2の比率の混合物)に溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、硫酸塩の結晶形態1を得ることができる。
【0122】
従って、一態様において、本開示は、約5.5、11.1、17.5、20.8及び22.1の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の硫酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0123】
さらに別の態様において、本開示は、約5.5、11.1、17.5、17.8、20.8、21.3、22.1及び23.4の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の硫酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0124】
さらなる態様において、化合物(I)の硫酸との塩の結晶形態1は、
図27に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0125】
硫酸塩結晶形態2は、例えば、化合物(I)と硫酸(例えば、エタノール中の硫酸)をエタノールに溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、洗浄し、及び、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、硫酸塩の結晶形態2を得ることができる。
【0126】
従って、一態様において、本開示は、約5.1、15.9、19.1、20.7及び23.3の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の硫酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0127】
さらに別の態様において、本開示は、約5.1、15.9、19.1、20.7、23.3、24.5及び26.2の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の硫酸との塩の結晶形態2を提供する。
【0128】
さらなる態様において、化合物(I)の硫酸との塩の結晶形態2は、
図28に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0129】
メタンスルホン酸との塩
【0130】
別の態様において、本開示は、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)のメタンスルホン酸との塩、特に、結晶形態にある塩を提供する。
【0131】
メタンスルホン酸塩結晶形態1は、例えば、最初に化合物(I)とメタンスルホン酸(例えば、エタノール中のメタンスルホン酸)をエタノールなどの適切な溶媒に溶解させることによって、調製することができる。必要に応じて、その混合物に活性炭及び/又はアミン官能基化シリカを添加することができる。該混合物は、例えば還流温度まで、適切に加熱される。木炭及び/又はシリカが使用される場合、該混合物をその後濾過する。得られた溶液の溶媒は、真空中で除去することができる。次いで、残った生成物は、適切な溶媒(例えば、アセトニトリルと水の混合物、例えば、約125:6の比率の混合物)に溶解させることによって再結晶させることができる。該混合物は、固体が溶解するまで、例えば還流温度まで、適切に加熱される。得られた溶液を撹拌し、例えば室温まで、冷却する。次いで、沈澱した結晶質塩を、例えば濾過によって、単離し、減圧下(例えば、真空下)、約40~60℃で、例えば約10~20時間、乾燥させて、メタンスルホン酸塩の結晶形態1を得ることができる。
【0132】
化合物(I)のメタンスルホン酸との塩は、単結晶形態で沈澱するようであり、ここでは、結晶形態1と称する。メタンスルホン酸塩については、他の結晶形態は見いだされていない。
【0133】
従って、一態様において、本開示は、約5.2、10.3、19.3及び24.2の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のメタンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0134】
さらに別の態様において、本開示は、約5.2、10.3、17.2、18.1、19.3及び24.2の回折角度2θのピークを含んでいるX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)のメタンスルホン酸との塩の結晶形態1を提供する。
【0135】
さらなる態様において、化合物(I)のメタンスルホン酸との塩の結晶形態1は、
図30に示されているX線粉末回折パターンによってさらに特徴付けられる。
【0136】
上記XRPDのピーク位置は、CuKα放射線(λ=1.5418Å)を使用して測定したときの値を示している。本明細書で言及されているX線粉末回折パターンのピーク位置がさまざまな要因(例えば、温度、サンプルの取り扱い及び使用される機器など)に応じて±0.2度2θの変動を受け得ることは、当業者には認識される。
【0137】
化合物(I)の上記結晶質塩は、当技術分野で知られている賦形剤と一緒に、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤又は懸濁液剤などの医薬投与形態に製剤することができる。
【0138】
従って、一態様において、本開示は、化合物(I)の上記塩又はその結晶形態のいずれかを1種類以上の賦形剤と一緒に含んでいる医薬組成物、特に、錠剤又はカプセル剤の形態にある医薬組成物を提供する。
【0139】
別の態様において、本開示は、上記で開示した化合物(I)の塩の実質的に純粋な結晶形態を提供し、ここで、化合物(I)の該塩の重量当たり、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%は、前記結晶形態で存在している。
【0140】
本発明について、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0141】
分析方法
【0142】
XRPD測定は、X線源としての銅充填X線管(45kVx40mA)、CuKα(λ=1.5418Å)、固定1°散乱線除去スリット、照射長10mmのプログラム可能な発散スリット及びリアルタイムマルチストリップ検出器X’Celeratorを使用し、X線粉末回折計PANalytical X’Pert PROを室温で用いて実施した。データ収集は、3~40°2θの範囲内において、0.1°/sの走査速度で、0.017°ステップで実施した。
【0143】
示差走査熱量測定(DSC)は、TA Instruments Discovery DSC上で、窒素流(50mL/分)下、10℃/分の一定加熱速度で、高圧サンプルパン内で、実施した。
【0144】
融点は、オープンチャンバー内で、10℃/分の加熱速度で、ホットステージ顕微鏡検査中に相変化を観察することによって決定した。
【0145】
加熱中の当該塩の重量減少は、TGA装置(TA Instruments)で収集された熱重量分析(TGA)サーモグラムによって決定した。加熱速度10℃/分、25~300℃、オープンパン。
【0146】
単結晶回折データは、操作ミラー単色CuKα(λ=1.5418Å)又はMoKα放射モード(λ=0.7107Å)を使用して、Rigaku Oxford Diffraction SuperNova二波長回折計で収集した。X線データ収集をモニターし、そして、全てのデータは、CrysAlisProプログラムを使用して、ローレンツ効果、偏光効果及び吸収効果について補正した。結晶構造の解析と精密化には、Olex2プログラムを使用し、構造解析には、SHELXS97を使用し、及び、F2での全行列最小二乗精密化(full-matrix least-squares refinement)には、SHELXLを使用した。
【0147】
実施例1. p-トルエンスルホン酸塩結晶形態1
【0148】
反応器に、窒素下、エタノール(117mL)、水(74mL)、アセトニトリル(25mL)、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(20g)、p-トルエンスルホン酸一水和物(9.5g)、活性炭(Norit SX ultra、2g)及びアミン官能基化シリカ(SiliaMetS Triamine、1g)を添加した。その混合物を約75℃まで加熱し、1時間撹拌した。その混合物をデプスフィルターを通して濾過して、新たな反応器に入れた。その濾過ケーキを予め加熱しておいたMeCN/水(1:1)混合物(10mL)で洗浄した。その濾液の温度を55±5℃に調節し、種結晶を加えた。その混合物を約30分間撹拌し、3時間かけて0±5℃まで冷却した。その塊を1時間撹拌した後、濾過した。その生成物を無水エタノール(60mL)で洗浄し、減圧下、40-60℃で乾燥させて、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸塩の純白色の板状結晶23.9g(84.7%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった(表1)。形態1のX線粉末回折パターンは、
図1に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図2に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.38 (m, 2 H), 1.78 - 1.91 (m, 3 H), 2.28 (s, 3 H), 2.66 - 2.77 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.54 - 3.64 (m, 2 H), 3.71 - 3.77 (m, 2 H), 4.60 - 4.80 (m, 4 H), 6.65 (s, 1 H), 7.04 - 7.13 (m, 2 H), 7.34 - 7.43 (m, 4 H), 7.44 - 7.49 (m, 2 H), 8.24 (s, 1 H), 10.90 - 11.59 (m, 1 H).
【0149】
表1. p-トルエンスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0150】
【0151】
実施例2. p-トルエンスルホン酸塩結晶形態1(代替え法)
【0152】
p-トルエンスルホン酸一水和物(3.9mmol、1eq.)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(3.9mmol、1eq.)を33mLのアセトニトリル:水(10:1)に溶解させた溶液に添加した。そのスラリーを全ての固体が溶解するまで環流温度で撹拌した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却し、続いて、氷浴中で撹拌した。その沈澱した固体を濾過し、アセトニトリルで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のp-トルエンスルホン酸塩(1.5g、66%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった(表1)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.38 (m, 2 H), 1.78 - 1.91 (m, 3 H), 2.28 (s, 3 H), 2.66 - 2.77 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.54 - 3.64 (m, 2 H), 3.71 - 3.77 (m, 2 H), 4.60 - 4.80 (m, 4 H), 6.65 (s, 1 H), 7.04 - 7.13 (m, 2 H), 7.34 - 7.43 (m, 4 H), 7.44 - 7.49 (m, 2 H), 8.24 (s, 1 H), 10.90 - 11.59 (m, 1 H).
【0153】
実施例3. 2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形態1
【0154】
5mLのエタノールの中の2-ナフタレンスルホン酸(1.741g、5.85mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(2.45g、5.85mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させた。次いで、その生成物を60mLのエタノール:水(30:7)に環流温度で溶解させた。その混合物を室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過によって単離し、エタノール:水(30:7)で洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の2-ナフタレンスルホン酸塩(4.24g、116%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった(表2)。形態1のX線粉末回折パターンは、
図3に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図4に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.20 - 1.38 (m, 2 H), 1.77 - 1.91 (m, 3 H), 2.73 (td, 2.11 Hz, 3 H), 2.87 (s, 3 H), 3.59 (br d, 2 H), 3.74 (d, 2 H), 4.58 - 4.86 (m, 4 H), 6.64 (s, 1 H), 7.39 (br d, 4 H), 7.49 - 7.56 (m, 2 H), 7.70 (dd, 1 H), 7.86 (d, 1 H), 7.88 - 7.93 (m, 1 H), 7.94 - 7.99 (m, 1 H), 8.13 (d, 1 H), 8.24 (s, 1 H), 10.86 - 11.70 (m, 1 H).
【0155】
表2. 2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0156】
【0157】
実施例4. 1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形態1
【0158】
5mLのエタノールの中の1,5-ナフタレンジスルホン酸(0.723g、2.509mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(2g、4.78mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の1,5-ナフタレンジスルホン酸塩(2.13g、79%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった(表3)。形態1のX線粉末回折パターンは、
図5に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図6に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.37 (m, 2 H), 1.78 - 1.91 (m, 3 H), 2.66 - 2.76 (m, 2 H), 2.84 - 2.88 (m, 3 H), 3.53 - 3.63 (m, 2 H), 3.70 - 3.77 (m, 2 H), 4.55 - 4.75 (m, 4 H), 6.64 (s, 1 H), 7.28 - 7.40 (m, 4 H), 7.42 (s, 1 H), 7.91 (dd, 1 H), 8.23 (s, 1 H), 8.70 - 8.96 (m, 1 H), 10.88 - 11.54 (m, 1 H).
【0159】
表3. 1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0160】
【0161】
実施例5. 臭化水素酸塩結晶形態1
【0162】
5mLのエタノールの中の発煙臭化水素酸(0.690mL、5.97mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(2g、4.78mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の臭化水素酸塩(2.2g、93%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった(表4)。形態1のX線粉末回折パターンは、
図7に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図8に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.31 (br s, 2 H), 1.77 - 1.92 (m, 3 H), 2.67 - 2.77 (m, 2 H), 2.87 (s, 3 H), 3.59 (br d, 2 H), 3.75 (d, 2 H), 4.62 (br dd, 4 H), 6.64 (s, 1 H), 7.26 - 7.48 (m, 4 H), 8.24 (s, 1 H), 10.87 - 11.59 (m, 1 H).
【0163】
表4. 臭化水素酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0164】
【0165】
実施例6. 硝酸塩結晶形態1
【0166】
5mLのエタノールの中の硝酸(0.198mL、4.78mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(2g、4.78mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の硝酸塩(1.85g、80%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図9に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図10に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.37 (m, 2 H), 1.79 - 1.90 (m, 3 H), 2.68 - 2.77 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.54 - 3.68 (m, 2 H), 3.68 - 3.81 (m, 2 H), 4.46 - 4.70 (m, 4 H), 6.49 - 6.70 (m, 1 H), 7.38 (br d, 4 H), 8.24 (s, 1 H), 10.86 - 11.57 (m, 1 H).
【0167】
表5. 硝酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0168】
【0169】
実施例7. ベンゼンスルホン酸塩結晶形態1
【0170】
0.2mLの2-プロパノールの中のベンゼンスルホン酸(0.040g、0.260mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.1g、0.239mmol)を0.8mLの2-プロパノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、2-プロパノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩(0.090g、65%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図11に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図12に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.19 - 1.38 (m, 2 H), 1.68 - 1.95 (m, 3 H), 2.64 - 2.74 (m, 2 H), 2.78 - 2.88 (m, 3 H), 3.57 (br s, 2 H), 3.65 - 3.78 (m, 2 H), 4.57 - 4.81 (m, 4 H), 6.49 - 6.73 (m, 1 H), 7.22 - 7.43 (m, 7 H), 7.48 - 7.63 (m, 2 H), 8.08 - 8.33 (m, 1 H), 11.02 - 11.51 (m, 1 H).
【0171】
表6. ベンゼンスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0172】
【0173】
実施例8. 塩酸塩結晶形態1
【0174】
塩酸(ジエチルエーテル中1M、0.358mL、0.358mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.15g、0.358mmol)を7.5mLの2-プロパノールに溶解させた溶液に80℃で添加し、続いて、加熱した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の塩酸塩(0.14g、87%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図13に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.22 - 1.38 (m, 2 H), 1.78 - 1.93 (m, 3 H), 2.66 - 2.78 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.53 - 3.64 (m, 2 H), 3.71 - 3.80 (m, 2 H), 4.58 - 4.81 (m, 4 H), 6.72 (s, 1 H), 7.20 - 7.49 (m, 4 H), 8.23 (s, 1 H), 11.37 - 13.72 (m, 1 H).
【0175】
表7. 塩酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0176】
【0177】
実施例9. 塩酸塩結晶形態2
【0178】
塩酸(シクロペンチルメチルエーテル中3M、0.219mL、0.657mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.22g、0.526mmol)を4mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させた。次いで、その製品の再結晶は、該固体を0.9mLの2-プロパノール:水(5:4)に過熱下で溶解させ、続いて、氷浴中で冷却することによって実施した。得られた沈澱物を濾過によって単離し、イソプロパノールで洗浄し、及び、上記のようにして乾燥させて、化合物(I)の塩酸塩(0.11g、46%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態2であることが分かった。形態2のX線粉末回折パターンは、
図14に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.22 - 1.38 (m, 2 H), 1.78 - 1.93 (m, 3 H), 2.66 - 2.78 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.53 - 3.64 (m, 2 H), 3.71 - 3.80 (m, 2 H), 4.58 - 4.81 (m, 4 H), 6.72 (s, 1 H), 7.20 - 7.49 (m, 4 H), 8.23 (s, 1 H), 11.37 - 13.72 (m, 1 H).
【0179】
表8. 塩酸塩結晶形態2のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0180】
【0181】
実施例10. 塩酸塩結晶形態3
【0182】
塩酸(6M、1.374mL、8.24mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(3.0g、0.717mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、5分間環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させた。次いで、この生成物を、35mLのEtOH:水(5:1)に環流温度で10分間撹拌しながら、溶解させた。その混合物を冷却した。得られた固体を濾過によって単離し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の塩酸塩(2.0g、61%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態3であることが分かった。形態3のX線粉末回折パターンは、
図15に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図16に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.22 - 1.38 (m, 2 H), 1.78 - 1.93 (m, 3 H), 2.66 - 2.78 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.53 - 3.64 (m, 2 H), 3.71 - 3.80 (m, 2 H), 4.58 - 4.81 (m, 4 H), 6.72 (s, 1 H), 7.20 - 7.49 (m, 4 H), 8.23 (s, 1 H), 11.37 - 13.72 (m, 1 H).
【0183】
表9. 塩酸塩結晶形態3のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0184】
【0185】
実施例11. マレイン酸塩結晶形態1
【0186】
マレイン酸(0.014g、0.119mmol)と2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.050g、0.119mmol)の混合物を2.5mLの2-プロパノールの中で80℃で加熱した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、2-プロパノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のマレイン酸塩(0.049g、77%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図17に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.24 - 1.36 (m, 2 H), 1.79 - 1.90 (m, 3 H), 2.69 - 2.77 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.56 - 3.61 (m, 2 H), 3.71 - 3.81 (m, 2 H), 4.07 - 4.10 (m, 1 H), 4.15 - 4.32 (m, 4 H), 6.18 (s, 2 H), 6.41 - 6.54 (m, 1 H), 7.22 - 7.35 (m, 4 H), 8.14 - 8.24 (m, 1 H).
【0187】
表10. マレイン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0188】
【0189】
実施例12. マレイン酸塩結晶形態2
【0190】
マレイン酸(0.139g、1.195mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.5g、1.195mmol)をエタノール(8mL)に溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のマレイン酸塩(0.61g、95%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態2であることが分かった。形態2のX線粉末回折パターンは、
図18に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.24 - 1.36 (m, 2 H), 1.79 - 1.90 (m, 3 H), 2.69 - 2.77 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.56 - 3.61 (m, 2 H), 3.71 - 3.81 (m, 2 H), 4.07 - 4.10 (m, 1 H), 4.15 - 4.32 (m, 4 H), 6.18 (s, 2 H), 6.41 - 6.54 (m, 1 H), 7.22 - 7.35 (m, 4 H), 8.14 - 8.24 (m, 1 H).
【0191】
表11. マレイン酸塩結晶形態2のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0192】
【0193】
実施例13. マレイン酸塩結晶形態3
【0194】
15mLのエタノールの中のマレイン酸(0.832g、0.717mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(3g、0.717mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させた。この生成物を36mLのEtOH:水(33:5)の中で全ての固体が溶解するまで環流温度で撹拌した。その混合物を冷却した。得られた固体を濾過によって単離し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のマレイン酸塩(2.48g、65%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態3であることが分かった。形態3のX線粉末回折パターンは、
図19に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図20に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.24 - 1.36 (m, 2 H), 1.79 - 1.90 (m, 3 H), 2.69 - 2.77 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.56 - 3.61 (m, 2 H), 3.71 - 3.81 (m, 2 H), 4.07 - 4.10 (m, 1 H), 4.15 - 4.32 (m, 4 H), 6.18 (s, 2 H), 6.41 - 6.54 (m, 1 H), 7.22 - 7.35 (m, 4 H), 8.14 - 8.24 (m, 1 H).
【0195】
表12. マレイン酸塩結晶形態3のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0196】
【0197】
実施例14. 1,2-エタンジスルホン酸塩結晶形態1
【0198】
5mLのエタノールの中の1,2-エタンジスルホン酸(0.389g、2.044mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(2g、3.89mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の1,2-エタンジスルホン酸塩(2.07g、104%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図21に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図22に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.37 (m, 2 H), 1.85 (br d, 3 H), 2.63 (s, 2 H), 2.73 (td, 2 H), 2.87 (s, 3 H), 3.59 (br d, 2 H), 3.75 (d, 2 H), 4.59 - 4.86 (m, 4 H), 6.65 (s, 1 H), 7.18 - 7.49 (m, 4 H), 8.26 (s, 1 H), 10.90 - 11.63 (m, 1 H).
【0199】
表13. 1,2-エタンジスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0200】
【0201】
実施例15. シュウ酸塩結晶形態1
【0202】
シュウ酸(0.022g、0.239mmol)と2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.1g、0.239mmol)の混合物をエタノール(1mL)の中で全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のシュウ酸塩(0.063g、52%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図23に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図24に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.22 - 1.35 (m, 2 H), 1.70 - 1.96 (m, 3 H), 2.68 - 2.76 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.50 - 3.60 (m, 2 H), 3.63 - 3.74 (m, 2 H), 3.89 - 3.90 (m, 1 H), 4.05 (s, 4 H), 6.35 - 6.50 (m, 1 H), 7.08 - 7.34 (m, 4 H), 8.02 - 8.24 (m, 1 H).
【0203】
表14. シュウ酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0204】
【0205】
実施例16. シュウ酸塩結晶形態2
【0206】
シュウ酸(0.022g、0.239mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.1g、0.239mmol)を1mLのアセトニトリルに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、アセトニトリルで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)のシュウ酸塩(0.087g、72%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態2であることが分かった。形態2のX線粉末回折パターンは、
図25に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.22 - 1.35 (m, 2 H), 1.70 - 1.96 (m, 3 H), 2.68 - 2.76 (m, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.50 - 3.60 (m, 2 H), 3.63 - 3.74 (m, 2 H), 3.89 - 3.90 (m, 1 H), 4.05 (s, 4 H), 6.35 - 6.50 (m, 1 H), 7.08 - 7.34 (m, 4 H), 8.02 - 8.24 (m, 1 H).
【0207】
表15. シュウ酸塩結晶形態2のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0208】
【0209】
実施例17. エタンスルホン酸塩結晶形態1
【0210】
5mLのエタノールの中のエタンスルホン酸(0.585mL、7.17mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(3g、7.17mmol)を15mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加した。その溶媒を減圧下で除去し、続いて、96%エタノールの中で再結晶させて、化合物(I)のエタンスルホン酸塩(1.31g、34%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図26に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.04 (t, 3 H), 1.23 - 1.38 (m, 2 H), 1.76 - 1.92 (m, 3 H), 2.32 - 2.40 (m, 2 H), 2.70 - 2.80 (m, 2 H), 2.87 (s, 3 H), 3.54 - 3.61 (m, 2 H), 3.68 - 3.78 (m, 2 H), 4.59 - 4.83 (m, 4 H), 6.55 - 6.73 (m, 1 H), 7.31 - 7.46 (m, 4 H), 8.25 (s, 1 H), 11.00 - 11.64 (m, 1 H).
【0211】
表16. エタンスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0212】
【0213】
実施例18. 硫酸塩結晶形態1
【0214】
0.2mLのエタノールの中の硫酸(0.023g、0.239mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.1g、0.239mmol)を0.8mLのアセトニトリルに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、アセトニトリルで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の硫酸塩(0.070g、57%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図27に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.38 (m, 2 H), 1.86 (br s, 3 H), 2.73 (br d, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.59 (br d, 2 H), 3.75 (d, 2 H), 4.60 - 4.80 (m, 4 H), 6.65 (s, 1 H), 7.39 (br d, 4 H), 8.24 (s, 1 H), 10.70 - 11.78 (m, 1 H).
【0215】
表17. 硫酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0216】
【0217】
実施例19. 硫酸塩結晶形態2
【0218】
0.2mLのエタノールの中の硫酸(0.028g、0.239mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(0.1g、0.239mmol)を0.8mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加し、全ての固体が溶解するまで環流した。その混合物を撹拌し、室温まで冷却した。その沈澱した固体を濾過し、エタノールで2回洗浄し、及び、減圧下、40℃で16時間乾燥させて、化合物(I)の硫酸塩(0.016g、13%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態2であることが分かった。形態2のX線粉末回折パターンは、
図28に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図29に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.21 - 1.38 (m, 2 H), 1.86 (br s, 3 H), 2.73 (br d, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 3.59 (br d, 2 H), 3.75 (d, 2 H), 4.60 - 4.80 (m, 4 H), 6.65 (s, 1 H), 7.39 (br d, 4 H), 8.24 (s, 1 H), 10.70 - 11.78 (m, 1 H).
【0219】
表18. 硫酸塩結晶形態2のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0220】
【0221】
実施例20. メタンスルホン酸塩結晶形態1
【0222】
5mLのエタノールの中のメタンスルホン酸(0.919g、9.56mmol)を、2-(イソインドリン-2-イルメチル)-5-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-4H-ピラン-4-オン(I)(4g、9.56mmol)を20mLのエタノールに溶解させた溶液に環流温度で添加した。その溶媒を減圧下で除去し、続いて、再結晶させて(ACN:水 125:6、26.2mL)、化合物(I)のメタンスルホン酸塩(3.01g、61%)が得られた。その生成物をXRPDで分析して、結晶形態1であることが分かった。形態1のX線粉末回折パターンは、
図30に示されており、及び、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムは、
図31に示されている。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ ppm 1.25 - 1.36 (m, 2 H), 1.78 - 1.92 (m, 3 H), 2.30 (s, 3 H), 2.67 - 2.78 (m, 2 H), 2.87 (s, 3 H), 3.52 - 3.62 (m, 2 H), 3.68 - 3.78 (m, 2 H), 4.60 - 4.84 (m, 4 H), 6.55 - 6.72 (m, 1 H), 7.28 - 7.50 (m, 4 H), 8.14 - 8.28 (m, 1 H), 10.57 - 11.62 (m, 1 H).
【0223】
表19. メタンスルホン酸塩結晶形態1のX線粉末反射(最大で40°2θまで)及び強度(正規化)。値2θ[°]は、回折角(度)を表し、及び、値d[Å]は、格子面間の指定された距離(Å)を表す。
【0224】
【0225】
実施例21. p-トルエンスルホン酸塩の単結晶X線回折データ
【0226】
化合物(I)の結晶質p-トルエンスルホン酸塩の単位格子パラメータは、単結晶X線回折データから決定し、以下に要約されている:T=293(2)K、放射波長CuKα(λ=1.5418Å)、結晶サイズ0.3×0.3×0.05mm3、構造式C28H34N2O8S2。当該結晶形態は可変水和物であることが確認されたので、水が含まれている場合、最大約4%の単位格子体積の膨張が見られる。
【0227】
【0228】
実施例22. 化合物(I)の塩の融点
【0229】
化合物(I)の各塩の融点は、オープンチャンバー内でのホットステージ顕微鏡検査中に相変化を観察することによって決定した。加熱速度10℃/分。結果は、表20に示されている。融点が高い結晶質固体は、再結晶による精製が容易で、保存時に安定である傾向がある。
【0230】
【0231】
実施例23. 加熱中の化合物(I)の塩の重量減少
【0232】
加熱中の化合物(I)の各塩の重量減少は、TGA装置(TA Instruments)で収集した熱重量分析(TGA)サーモグラムによって決定した。加熱速度10℃/分、25~300℃、オープンパン。結果は、表21に示されている。
【0233】
【0234】
実施例24. 当該塩の化学的安定性
【0235】
化合物(I)のさまざまな塩の分解速度は、サンプルをさまざまな異なる温度及び相対湿度条件下で保存した加速安定性研究からの保存寿命を決定する分解生成物2-[(5-{[1-(メタンスルホニル)ピペリジン-4-イル]メトキシ}-4-オキソ-4H-ピラン-2-イル)メチル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン(分解生成物A)の量を測定することによって決定した。各サンプルは、一定量の試験塩を慣習的な賦形剤と一緒に含んでいる圧縮錠剤で構成された。5年後の分解生成物Aの予測される増加(Δ%)は、以下のパラメータを使用して、ASAPprime(登録商標)ソフトウェアで計算した。
【0236】
ボトルの容積及び材料: 100mL(HDPE HIS);
【0237】
乾燥剤: シリカ(1g);
【0238】
錠剤数: 60;
【0239】
条件: 25℃/60%RH。
【0240】
化合物(I)の試験された各塩についての5年後の分解生成物Aの予測される増加(Δ%)が、表22に示されている。
【0241】
【国際調査報告】