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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】静電気保護デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553653
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 IB2022051103
(87)【国際公開番号】W WO2022200872
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】17/208,090
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】モルフ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フランシス、ピアー アンドレア
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038BH04
5F038BH13
5F038CA06
5F038DF03
5F038DF04
5F038EZ10
(57)【要約】
電子回路の入力ポートを保護するための静電気保護デバイスに関する。静電気保護デバイスは、第1の積層式コイル、第2の積層式コイル、および入力端子を含み、第2の積層式コイルは第1の積層式コイルに誘導結合される。第1の積層式コイルは、入力端子に接続された第1のコイル入力、低周波数ESD保護回路に接続された第1のコイル出力ポート、および終端負荷に接続された第1のコイル終端ポートを備え、低周波数ESD保護回路は低周波数出力を含む。第2の積層式コイルは、高周波数ESD保護回路に接続された出力ポートを備え、高周波数ESD保護回路は高周波数出力を備える。静電気保護デバイスは、高周波数出力と低周波数出力の加算を出力するために構成される加算回路を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路の入力ポートを保護するための静電気保護デバイスであって、
第1の積層式コイル、第2の積層式コイル、および入力端子を備え、前記第2の積層式コイルは前記第1の積層式コイルに誘導結合され、
前記第1の積層式コイルは、前記入力端子に接続された第1のコイル入力、低周波数ESD保護回路に接続された第1のコイル出力ポート、および終端負荷に接続された第1のコイル終端ポートを備え、前記低周波数ESD保護回路は低周波数出力を備え、
前記第2の積層式コイルは、高周波数ESD保護回路に接続された出力ポートを備え、前記高周波数ESD保護回路は高周波数出力を備え、
前記静電気保護デバイスは、前記高周波数出力と前記低周波数出力の加算を前記電子回路の前記入力ポートに出力するために構成される加算回路を備える、
静電気保護デバイス。
【請求項2】
前記第1の積層式コイルおよび前記第2の積層式コイルは、前記入力端子内への信号入力を、高周波数成分および低周波数成分に分割するように構成されるクロスオーバ・ネットワークを形成し、前記高周波数成分は前記高周波数出力によって出力され、前記低周波数成分は前記低周波数出力によって出力される、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項3】
前記第1の積層式コイルは、単一コイル・タップを有するTコイルである、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項4】
前記単一コイル・タップは、前記第1の積層式コイルを第1のコイル部分および第2のコイル部分に分割し、前記単一コイル・タップは前記第1のコイル出力であり、前記第2のコイル部分は、前記単一コイル・タップと前記コイル終端ポートとの間に接続され、前記第1のコイル部分は、前記単一コイル・タップと前記第1のコイル入力との間に接続される、請求項3に記載の静電気保護デバイス。
【請求項5】
前記第1のコイル部分と前記第2の積層式コイルとの間の誘導結合は、前記第2のコイル部分と前記第2の積層式コイルとの間の誘導結合より大きい、請求項4に記載の静電気保護デバイス。
【請求項6】
前記第2の積層式コイルは、前記静電気保護デバイスのグラウンド・プレーンに接続された参照ポートを備える、請求項5に記載の静電気保護デバイス。
【請求項7】
前記低周波数ESD保護回路は、人間身体モデルESD保護回路を備える、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項8】
前記低周波数ESD保護回路は、さらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路を備える、請求項7に記載の静電気保護デバイス。
【請求項9】
前記第1の積層式コイルは、第1のコイル・タップおよび第2のコイル・タップを備え、前記低周波数ESD保護回路は、前記第1のコイル・タップおよび前記第2のコイル・タップに接続される、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項10】
前記第1の積層式コイルは、第1のコイル部分、中間コイル部分、および第2のコイル部分を備え、前記第1のコイル部分は前記第1のコイル入力と前記第1のコイル・タップとの間に接続され、前記中間コイル部分は前記第1のコイル・タップと前記第2のコイル・タップとの間に接続され、前記第2のコイル部分は前記第2のコイル・タップと前記第1のコイル終端ポートとの間に接続される、請求項9に記載の静電気保護デバイス。
【請求項11】
前記低周波数ESD保護回路は人間身体モデルESD保護回路を備え、前記低周波数ESD保護回路はさらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路を備え、前記さらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路は前記第1のコイル・タップに接続され、前記人間身体モデルESD保護回路は前記第2のコイル・タップに接続される、請求項10に記載の静電気保護デバイス。
【請求項12】
前記第2の積層式コイルは、前記静電気保護デバイスのグラウンド・プレーンに接続された参照ポートを備える、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項13】
参照ポートを備える前記第2の積層式コイルは、前記第2のコイル・タップに接続される、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項14】
前記第1の積層式コイルは、前記静電気保護デバイスの上部の2つの金属被覆層から少なくとも部分的に形成される、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項15】
前記高周波数ESD保護回路は、1次帯電デバイス・モデルESD保護回路を備える、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項16】
前記1次帯電デバイス・モデルESD保護回路は、主にリアクティブなインピーダンスを有する、請求項15に記載の静電気保護デバイス。
【請求項17】
前記加算回路は連続時間線形等化回路である、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項18】
前記電子回路の前記入力ポートは差動入力ポートであり、前記差動入力ポートは、前記連続時間線形等化回路によって共に接続された2つの静電気保護デバイスによって形成される、請求項17に記載の静電気保護デバイス。
【請求項19】
前記加算回路は加算増幅器から形成される、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項20】
前記終端負荷は抵抗性である、請求項1に記載の静電気保護デバイス。
【請求項21】
電子回路を備える集積回路であって、前記電子回路の入力ポートを保護するための静電気保護デバイスを備え、前記静電気保護デバイスは、
第1の積層式コイル、第2の積層式コイル、および入力端子を備え、前記第2の積層式コイルは前記第1の積層式コイルに誘導結合され、
前記第1の積層式コイルは、前記入力端子に接続された第1のコイル入力、低周波数ESD保護回路に接続された第1のコイル出力ポート、および終端負荷に接続された第1のコイル終端ポートを備え、前記低周波数ESD保護回路は低周波数出力を備え、
前記第2の積層式コイルは、高周波数ESD保護回路に接続された出力ポートを備え、前記高周波数ESD保護回路は高周波数出力を備え、
前記静電気保護デバイスは、前記高周波数出力と前記低周波数出力の加算を前記電子回路の前記入力ポートに出力するために構成される加算回路を備える、
集積回路。
【請求項22】
マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィカル処理ユニット、中央処理ユニット、広帯域増幅器、アナログ・デジタル変換器、デジタル・アナログ変換器、ワイヤライン送受信回路、および電気通信チップからなる群から選択される、請求項21に記載の集積回路。
【請求項23】
基板を備え、前記電子回路は前記基板上に形成され、前記静電気保護デバイスは前記基板上に形成され、前記第2の積層式コイルは、前記第1の積層式コイルと比べて前記基板の近くに形成される、請求項21に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路に関し、特に、集積回路用の入力ポートの静電気保護に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)は、集積回路の入力/出力(I/O)パッドにおける静電気放電(ESD)イベントに抗して集積回路を保護するために専用回路構成を組み込むことができる。このESD保護要件の達成は、広帯域高周波数信号が、ICのI/Oパッドにわたって送信または受信あるいはその両方がなされるときに難題である場合がある。
【0003】
集積回路内のESD保護デバイスは、インダクタおよびコイル等のデバイスをしばしば備える。集積回路の寸法が縮まり、クロック・レートが上がるにつれて、ESD保護デバイスの設計をスケーリングすることは難しい、または時としてさらに可能でない。既存のESD保護デバイス設計は、必要な帯域幅をしばしば提供しない。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本発明は、電子回路の入力ポートを保護するための静電気保護デバイスに関する。静電気保護デバイスは、第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルを備える。第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルは、互いの上に積層され得る。集積回路内に形成されて、第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルは、上下に物理的に形成され得る。
【0005】
静電気保護デバイスは入力端子を備える。第1の積層式コイルは入力端子に接続された第1のコイル入力を備える。第1の積層式コイルは低周波数ESD保護回路に接続された第1のコイル出力ポートを備える。第1の積層式コイルは終端負荷に接続された第1のコイル終端ポートを備える。第2の積層式コイルは第1の積層式コイルに誘導結合される。第2の積層式コイルは、高周波数ESD保護回路に接続された出力ポートを備える。高周波数ESD保護回路は高周波数出力を備える。低周波数ESD保護回路は低周波数出力を備える。静電気保護デバイスは、高周波数出力と低周波数出力の加算を電子回路の入力ポートに出力するために構成される加算回路を備える。
【0006】
本発明のさらなる態様によれば、本発明は、電子回路の入力ポートを保護するための静電気保護デバイスを組み込む集積回路をさらに提供する。
【0007】
以下において、本発明の実施形態は、図面に対する参照を行いながら、単に例としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】静電気保護デバイスの例を示す図である。
図2】第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルの例を示す図である。
図3図1に示される静電気保護デバイスの回路シミュレーションによる周波数伝達のプロットである。
図4】アイ・ダイアグラムで観察されたように図1の静電気保護デバイスによって提供される帯域幅を示す図である。
図5】集積回路の一例を示す図である。
図6】静電気保護デバイスのさらなる例を示す図である。
図7】静電気保護デバイスのさらなる例を示す図である。
図8】静電気保護デバイスのさらなる例を示す図である。
図9】静電気保護デバイスのさらなる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の種々の実施形態の説明は、例証のために提示されるが、網羅的である、または開示される実施形態に限定されることを意図されないであろう。多くの修正および変形は、説明される実施形態の範囲から逸脱することなく当業者に明らかになるであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な応用、または市場で見出される技術に勝る技術的改善を最もよく説明するために、または、他の当業者が本明細書で開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0010】
本発明の実施形態は、静電気保護デバイスの帯域幅を増加させる効果的な手段を提供するために有利である。信号は、低周波数成分および高周波数成分に分割され、それらは、その後、別々に処理され、その後、再結合される。用語、低周波数ESD保護回路および高周波数ESD保護回路は、2つの別個のESD保護回路を識別するために使用される名前である。用語、高周波数出力および低周波数出力は、回路において使用される2つの異なる周波数出力を識別するまたは名付けるために使用される。
【0011】
幾つかの実施形態において、人間身体モデル(HBM)静電気放電(ESD)保護回路および帯電デバイス・モデル(CDM)ESD保護回路は、電源レール(電源およびグラウンド)の両方に接続された、ダイオード等のクランピング回路を組みこむESD保護回路を指すことができる。HBMおよびCDM ESDデバイスは、実際には、CDMダイオードの場合のダイオードのダイオード接合容量および寄生配線容量、ダイオード接合の寄生容量およびRX入力容量によって引き起こされるグラウンドに対する容量を組み込む場合もある。帯電デバイスESD保護回路は、電流を制限する入力と直列の抵抗器またはインピーダンスあるいはその両方、ならびに分離されたHBMおよびCDM保護回路をさらに組み込むことができる。
【0012】
別の実施形態において、第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルは、入力端子内への信号入力を、高周波数成分および低周波数成分に分割するように構成されるクロスオーバ・ネットワークを形成する。誘導回路の使用は、入力信号をこれらの2つの成分に自然に分割するための手段を提供する。高周波数成分は高周波数出力によって出力され、低周波数成分は低周波数出力によって出力される。
【0013】
この実施形態の考えられる1つの利点は、ESDイベントの高周波数および低周波数成分が、異なる電流量を有する可能性があることである。例えば、ESDイベントの低周波数成分は、典型的に、ESDイベントの高周波数成分より高い電流を有する。この効果は、効果的な静電気保護デバイスを設計するときに使用され得る。第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルは、高周波数ESD保護回路をESDイベントの低周波数成分から切り離すクロスオーバ・ネットワークを効果的に形成することができる。これは、高周波数ESD保護回路および低周波数ESD保護回路が、それぞれの特定のタイプのESDイベントについて調節されたそれらの成分を有することを可能にすることができる。例えば、高周波数ESD保護回路は、低周波数ESD保護回路より低い電流定格を持つように設計され得る。
【0014】
別の実施形態において、第1の積層式コイルは、単一コイル・タップを有するtコイルである。この実施形態において、tコイル構造は、低周波数成分のために使用される。これは、高電流を扱うことができるように、単一コイル・タップを有するtコイルおよび低周波数ESD保護回路を構築することが比較的簡単であるため、有利とすることができる。しかしながら、これは、高周波数に応答するその能力に影響を及ぼす場合がある。したがって、帯域幅を増加させるために、tコイルを高周波数ESD保護回路と結合することが有利である。
【0015】
別の実施形態において、単一コイル・タップは、第1の積層式コイルを第1のコイル部分および第2のコイル部分に分割する。単一コイル・タップは第1のコイル出力である。第2のコイル部分は、単一コイル・タップとコイル終端ポートとの間に接続される。第1のコイル部分は、単一コイル・タップと第1のコイル入力との間に接続される。
【0016】
別の実施形態において、第1のコイル部分と第2の積層式コイルとの間の誘導結合は、第2のコイル部分と第2の積層式コイルとの間の誘導結合より大きい。この実施形態は、第1のコイル部分上で受信される信号がより正確であるとすることができるため、静電気保護回路の構築中に有利である場合がある。例えば、信号が、第1のコイル部分、その後、第2のコイル部分を通過する場合、第1のコイル部分のインダクタンスは、信号の高周波数成分の低下を引き起こすことができる。別の利点は、第1のコイル部分内の電流がより高いとすることができることである。したがって、それは、誘導結合が起こる能力を増加させることができる。
【0017】
別の実施形態において、第2の積層式コイルは、静電気保護デバイスのグラウンド・プレーンに接続された参照ポートを備える。この実施形態は、高周波数成分と低周波数成分の両方を参照する効果的な手段を提供することができるため、有利とすることができる。
【0018】
別の実施形態において、低周波数ESD保護回路は人間身体モデルESD保護回路を備える。これは、人間身体モデルESD保護回路が、ESDイベントの高電流および低周波数成分を扱うために特に構築され得るため有利とすることができる。
【0019】
別の実施形態において、低周波数ESD保護回路はさらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路を備える。種々の周波数成分は、上限部分、高部分、および低部分に分割され得るが、第1の積層式コイルを通過するESDパルスの高周波数成分の或る部分が依然として存在する場合がある。したがって、さらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路を組み込むことは、有利であり、ESD保護の効果を増加させることができる。
【0020】
別の実施形態において、第1の積層式コイルは、第1のコイル・タップおよび第2のコイル・タップを備える。低周波数ESD保護回路は、第1のコイル・タップおよび第2のコイル・タップに接続される。この実施形態は、tコイル配置構成に似ているが、第1の積層式コイルが2つの部分に分割される代わりに、第1の積層式コイルは3つの部分に分割される。これは、より精緻な低周波数ESD保護回路を可能にすることができる。
【0021】
別の実施形態において、第1の積層式コイルは、第1のコイル部分、中間コイル部分、および第2のコイル部分を備える。第1のコイル部分は第1のコイル入力と第1のコイル・タップとの間に接続される。中間コイル部分は第1のコイル・タップと第2のコイル・タップとの間に接続される。第2のコイル部分は第2のコイル・タップと第1のコイル終端ポートとの間に接続される。
【0022】
別の実施形態において、低周波数ESD保護回路は人間身体モデルESD保護回路を備える。低周波数ESD保護回路は、さらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路を備える。さらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路は、第1のコイル・タップに接続され、人間身体モデルESD保護回路は第2のコイル・タップに接続される。この実施形態は、低周波数について非常に効果的なESD保護を提供するため有利とすることができる。
【0023】
別の実施形態において、第2の積層式コイルは、静電気保護デバイスのグラウンド・プレーンに接続された参照ポートを備える。
【0024】
別の実施形態において、第2の積層式コイルは、第2のコイル・タップに接続された参照ポートを備える。
【0025】
別の実施形態において、第1の積層式コイルは、静電気保護デバイスの上部の2つの金属被覆層から少なくとも部分的に形成される。これは、第1の積層式コイルを通過する電流が第2の積層式コイルを通るよりも高いとすることができるため有益とすることができる。静電気保護デバイスの上部の2つの金属被覆層は、肉厚であり、ESDイベントによって破壊される可能性が小さい第1の積層式コイルを提供し、低抵抗を有することができる。
【0026】
別の実施形態において、高周波数ESD保護回路は、1次帯電デバイス・モデルESD保護回路を備える。用語、1次帯電デバイス・モデルESD保護回路およびさらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路の使用は、2つの別個の帯電デバイス・モデルESD保護回路が存在することを示すことを意図される。
【0027】
別の実施形態において、1次帯電デバイス・モデルESD保護回路は、主にリアクティブなインピーダンスを有する。ESDイベントからの信号は、低電流を有する高周波数成分を有する2つの信号に効果的に分割されたため、1次帯電デバイス・モデルESD保護回路は、より小さい電力損失が存在するように専門化され設計され得る。従来の静電気保護デバイスにおいて、1次帯電デバイス・モデルESD保護回路は、小信号の場合、事実上損失性のコンデンサであるダイオードを使用する。しかしながら、大電圧の場合、ダイオードは、伝導し始め、ESDエネルギーをグラウンドに消散させる抵抗を効果的に提供する。リアクティブ・インピーダンスは、代わりにESD保護回路のために使用され得る。なぜなら、高周波数および低周波数ESD保護回路についてのデータ信号が低電流であるからである。
【0028】
別の実施形態において、加算回路は連続時間線形等化回路とすることができる。例えば、これは、低周波数信号成分と高周波数信号成分を結合する特に効果的な方法とすることができる。
【0029】
別の実施形態において、電子回路の入力ポートは差動入力ポートである。差動入力ポートは、連続時間線形等化回路によって共に接続された2つの静電気保護デバイスによって形成される。連続時間線形等化回路は、2つの別個の静電気保護デバイスからの信号を結合するために使用される。これは、連続時間線形等化回路が、よりよいノイズ除去を提供することができるため有利とすることができる。
【0030】
別の実施形態において、終端負荷は抵抗性である。これは、例えば、回路を構築する効果的な手段を提供することができる。
【0031】
別の態様において、本発明は、電子回路を備える集積回路を提供する。集積回路は、電子回路の入力ポートを保護するための静電気保護デバイスを備える。静電気保護デバイスは、第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイルを備える。静電気保護デバイスは入力端子を備える。第1の積層式コイルは、入力端子に接続された第1のコイル入力を備える。第1の積層式コイルは、低周波数ESD保護回路に接続された第1のコイル出力ポートを備える。第1の積層式コイルは、終端負荷に接続された第1のコイル終端ポートを備える。第2の積層式コイルは、第1の積層式コイルに誘導結合される。第2の積層式コイルは、高周波数ESD保護回路に接続された出力ポートを備える。高周波数ESD保護回路は高周波数出力を有する。低周波数ESD保護回路は低周波数出力を有する。静電気保護デバイスは、高周波数出力と低周波数出力の加算を電子回路の入力ポートに出力するために構成される加算回路を備える。
【0032】
別の実施形態において、集積回路は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィカル処理ユニット、中央処理ユニット、広帯域増幅器、アナログ・デジタル変換器、デジタル・アナログ変換器、ワイヤライン送受信回路、および電気通信チップのうちの任意のものとすることができる。
【0033】
別の実施形態において、集積回路は基板を備える。電子回路は基板上に形成される。静電気保護デバイスは基板上にも形成される。第2の積層式コイルは、第1の積層式コイルと比べて基板の近くに形成される。これは、例えば、最終の少数の金属皮膜層等の肉厚金属層が第1の積層式コイルを形成するために使用され得るため有利とすることができる。これは、低周波数EDS保護回路について高電流定格および低抵抗を提供することができる。
【0034】
図1は、静電気保護デバイス100の例を示す。静電気保護デバイス100は入力ポート102を有する。入力ポート102は、静電気保護デバイス100が保護している電子回路用の入力ポートとすることができる。静電気保護デバイス100は、第1の積層式コイル104および第2の積層式コイル106を備える。この例において、第1の積層式コイル104は、第1のコイル部分110および第2のコイル部分112に分割される。第1のコイル部分110と第2のコイル部分112との間に単一コイル・タップ114が存在する。第1の積層式コイル104および第2の積層式コイル106は、誘導結合を有するように、互いの上に物理的に積層される。この特定の図において、第2の積層式コイル106が第1のコイル部分110に主に結合していることが示される。しかしながら、これは1オプションに過ぎない。第2の積層式コイル106は、第2のコイル部分112に主に結合する可能性もある。
【0035】
第1の積層式コイルおよび第2の積層式コイル104、106は、5ポート・デバイスを形成する。第1のポート120は第1のコイル入力である。第2のポート122は第1のコイル出力ポートであり、単一コイル・タップ114と同じである。第3のポート124は第2のコイル部分112の出力に接続され、終端負荷116に接続される。第4のポートは、第2の積層式コイル106の一端に接続される参照ポート126であり、第5のポートは、第2の積層式コイル106の他のポートである第2のコイル出力ポート128である。
【0036】
第2の積層式コイル106と第1の積層式コイル104との間の誘導結合は、誘導結合が、信号の高周波数成分を高周波数ESD保護回路140に優先的に結合するように構成される。信号の未結合部分は、低周波数ESD保護回路130内に留まる。したがって、これは、高周波数回路経路142および低周波数回路経路132を形成する。低周波数回路経路132は、人間身体モデルESD保護回路134およびさらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路136を有する。高周波数回路経路142は1次帯電デバイス・モデルESD保護回路144を有する。
【0037】
高周波数ESD保護回路140および低周波数ESD保護回路130は共に、増幅器を通して加算回路150に結合される。加算回路150は、低周波数出力154および高周波数出力156を加算して静電気保護デバイス出力152にし、静電気保護デバイス出力152は、低周波数出力154および高周波数出力156の両方の加算158を有する。これは、プロットに示されるように低周波数信号および高周波数信号のグラフによって示される。
【0038】
図2は、第1の積層式コイル104および第2の積層式コイル106の例を示す。この図は、斜視図200および上面図202を示す。図は、第2の積層式コイル106の上部に第1の積層式コイル104の第1のコイル部分110および第2のコイル部分112を示す。この例において、第2のコイル部分112は、第2の積層式コイル106に隣接する。誘導結合は、第2の積層式コイル106と第1のコイル部分110との間より第2の積層式コイル106と第2のコイル部分112との間でおそらくより強い。これは、図1に示される状況の逆であり、図1において、図面は、誘導結合が第1のコイル部分110と第2の積層式コイル106との間に主にあることを示す。図2の設計は、2つのコイル部分112および110の位置を機械的に切り換えることによって、図1に示されるものに一致するように容易に修正される可能性がある。図2に示すコイルは、例えば、標準的な半導体製造技術を使用して容易に製造される可能性がある。
【0039】
図3は、図1に示される回路のシミュレーションによる周波数伝達を示す。低周波数出力154および高周波数出力156がプロットされる。低周波数帯-3dB点300が示される。両方の信号の加算は、加算158によって示される。加算158についての-3dB点はライン302によって示される。低周波数帯-3dB点300と比較して、信号の加算158についての-3dB点は著しく上がる。
【0040】
図4は、図1の静電気保護デバイスによって提供される帯域幅を示す。図の2つの群が存在する。列400の図は実際の信号を示す。列402の図はアイ・ダイアグラムである。行1は高周波数帯404を含む。行2は低周波数帯406である。最も下の行408は、高周波数帯404と低周波数帯406の加算を含む。加算についての列402は、比較的大きい帯域幅を示す。
【0041】
図5は集積回路500の例を示す。集積回路500は基板502を備える。基板502上に入力パッド504が存在する。これは、その後、入力ポート102にワイヤ・ボンディングされる506である。図2に示される第1の積層式コイル104および第2の積層式コイル106は、集積回路500の一部を形成する。集積回路500は、静電気保護デバイス100を備え、電子回路508用の入力を形成する。第1のコイル部分110および第2のコイル部分112は、上部の2つの金属被覆層510から形成される。これは、これらの2つの部分110、112が、高電流定格を有し、ESDイベントによりよく耐えることを可能にする。
【0042】
図6は、静電気保護回路600のさらなる例を示す。図6の静電気保護回路600は、図1に示された回路と似ている。この例において、加算回路は、連続時間線形等化回路150’である。連続時間線形等化回路150’は、増幅器602、FETトランジスタ601、および数個の抵抗器604を備える。抵抗器604の抵抗は、HF経路142の減衰がLF経路132の振幅に一致するように調整され得る。LF経路132において、増幅器602およびFETトランジスタ601の構築されたフィードバック・ループによって、仮想グラウンド606が形成される。これは、トランスインピーダンス増幅器(電流・電圧増幅器)を形成する。LF信号154およびHF信号156は、FETトランジスタ601の下部で付加され、出力152は、アナログ・デジタル変換器(ADC)等の次段に接続する。
【0043】
図7は、差動静電気保護デバイス700のさらなる例を示す。第1の差動入力702および第2の差動入力704が存在する。第1の差動入力702は、図1に示される静電気保護デバイス100と似ている第1の静電気保護デバイス706に接続される。第2の差動入力704は、第2の静電気保護デバイス708用の入力として接続される。同様に、第2の静電気保護デバイス708は、図1に示される静電気保護デバイス100と似ている。
【0044】
第1の静電気保護デバイス706および第2の静電気保護デバイス708は、図1の静電気保護デバイス100に関して何らかの修正を有する。最初に、第2の積層式コイル106は、両方の場合に、第2のコイル部分112に主に結合するものとして示される。第1の静電気保護デバイス706および第2の静電気保護デバイス708は、連続時間線形アクチュエータ回路150’’を使用して接続され、差動加算を提供するものとして示される。
【0045】
連続時間線形アクチュエータ回路150’’は、この例では、差動増幅器であり、2つのFET710であって、そのドレインに抵抗器712を有する、2つのFET710を有する。VDD(DC電圧)は、インダクタL3を通して供給される。高周波数出力156はドレイン抵抗器712を介して(次段への)出力に達し、ドレイン抵抗器712において、高周波数出力156は、FET710によってわずかに増幅された低周波数出力154と結合される。電流源は差動増幅器に典型的である。調整可能抵抗器714は、高周波数および低周波数チャネルの信号振幅が一致するために回路を調節するように構成される。2つのVDD間のコンデンサ716は電源をブロックするためのものに過ぎない。
【0046】
図8は、静電気保護デバイス800のさらなる例を示す。この例において、第1の積層式コイル104は、図1に示される例に関して修正された。第1の積層式コイル104は、3つの部分、第1のコイル部分110、中間コイル部分802、および第2のコイル部分112に分割された。第1のコイル部分110と中間コイル部分802との間に第1のコイル出力部分122が存在する。第2のコイル・タップ804によって提供される第6のポート806が存在する。第2のコイル・タップ804は中間コイル部分802と第2のコイル部分112との間にある。したがって、第1の積層式コイル104および第2の積層式コイル106は、この例では、第6のポート・デバイスを形成する。図8の例は、さらなる帯電デバイス・モデルESD保護回路136が、第2のポートまたは第1のコイル出力ポート122に接続されるものとして示される点で、図1に示される例からさらに修正される。人間身体モデルESD保護回路134は、第6のポートまたは第2のコイル出力ポート806であるものに接続されるものとして示される。回路ダイアグラムにおいて、第2の積層式コイル106は、中間コイル部分802に主に結合するものとして示される。しかしながら、これは、修正される可能性があり、第2の積層式コイル106は、第1のコイル部分110または第2のコイル部分112に主に結合する可能性もある。
【0047】
図9は、静電気保護デバイス900のさらなる例を示す。図9に示される例は、修正を有する図8に示される例とよく似ている。図8において、第2の積層式コイル106の第4のポートまたは参照ポート126はグラウンドに接続された。図9の例において、第4のポートまたは参照ポート126は、代わりに第2のコイル・タップ804に接続される。これは、第2のコイル出力ポート806が第2の積層式コイル106の参照ポート126に接続されることと同等である。
【0048】
本発明の種々の実施形態の説明が、例証のために提示されたが、網羅的である、または開示される実施形態に限定されることを意図されない。多くの修正および変形は、説明される実施形態の範囲から逸脱することなく当業者に明らかになるであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な応用、または市場で見出される技術に勝る技術的改善を最もよく説明するために、または、他の当業者が本明細書で開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】