(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】熱への曝露時の毛髪損傷を低減するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240306BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q5/12
A61Q5/04
A61Q5/00
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553668
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022019468
(87)【国際公開番号】W WO2022203864
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティワンチャロン、ニサラポーン
(72)【発明者】
【氏名】シャーザー、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ、ビクトリア
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン、シャノン
(72)【発明者】
【氏名】パーテイン、エメット エム.
(72)【発明者】
【氏名】リール、リンジー エム.
(72)【発明者】
【氏名】トッド、ジェニファー ピー.
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC442
4C083AC692
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD282
4C083BB01
4C083BB34
4C083BB45
4C083BB48
4C083CC31
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC34
4C083DD27
4C083DD47
4C083EE21
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
熱への曝露時の毛髪損傷を低減するためのプロセスであって、化粧品として許容される水性担体を提供することと、熱保護剤を選択することであって、熱保護剤が、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、熱保護剤が、官能化デキストランポリマーであるように選択され、以下:(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、選択することと、選択された熱保護剤を提供することと、前記化粧品として許容される水性担体と前記熱保護剤とを組み合わせて、水性熱保護剤配合物を形成することであって、毛髪を提供することと、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布して、保護された毛髪を得ることと、熱発生ヘアケア器具を提供することと、熱発生ヘアケア器具を用いて、保護された毛髪を50~300℃の温度に1~30分間曝露することと、を含む、プロセスが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の熱への曝露時に前記毛髪の損傷を低減するためのプロセスであって、
化粧品として許容される水性担体を提供することと、
熱保護剤を選択することであって、前記熱保護剤が、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、前記熱保護剤が、官能化デキストランポリマーであるように選択され、以下:
(i)三級アミン基;
(ii)四級アンモニウム基;及び
(iii)それらの組合せ;
からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、選択することと、
選択された前記熱保護剤を提供することと、
前記化粧品として許容される水性担体と前記熱保護剤とを組み合わせて、水性熱保護剤配合物を形成することであって、
毛髪を提供することと、
前記水性熱保護剤配合物を前記毛髪に塗布して、保護された毛髪を得ることと、
熱発生ヘアケア器具を提供することと、
前記熱発生ヘアケア器具を用いて、前記保護された毛髪を50~300℃の温度に1~30分間曝露することと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
形成された前記水性熱保護剤配合物が、前記水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%の前記熱保護剤を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記水性保護剤配合物が塗布された前記保護された毛髪が、熱に同様に曝露されるが前記水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも、高い変性温度を呈する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水性保護剤配合物が塗布された前記保護された毛髪が、熱に同様に曝露されるが前記水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも、高い変性エンタルピーを呈する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記水性熱保護剤配合物を前記毛髪に塗布する前に、前記毛髪を水ですすぐことを更に含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水性熱保護剤配合物を前記毛髪に塗布する前に、毛髪をタオルで拭くこと及び押し付けることのうち少なくとも1つによって、前記すすいだ毛髪を乾燥させて、過剰な水を除去することを更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水性熱保護剤配合物の塗布後に、前記保護された毛髪をとかすこと及びブラッシングすることのうち少なくとも1つを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記部分が、
(a)式Aの三級アミン基
【化1】
(b)式Bの四級アンモニウム架橋基
【化2】
(c)式Cの四級アンモニウム基
【化3】
及び、それらの組合せ、
からなる群から選択され、
式中、
【化4】
が、デキストランポリマー上のペンダント酸素であり、Xが、前記ペンデント(pendent)酸素に前記三級アミン基を結合する二価連結基であり、zが、0又は1であり、各R
2及びR
3が、独立して、C
1~7アルキル基からなる群から選択され、各R
4が、独立して、置換又は非置換C
1~6アルキル基から選択され、各R
5が、独立して、C
1~6アルカンジイル基からなる群から選択され、Yが、二価の架橋基であり、Aが、前記第四級アンモニウム基を前記ペンデント(pendent)酸素に結合する二価連結基であり、各R
9が、独立して、C
1~22アルキル基からなる群から選択される、
請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記毛髪に塗布された前記水性保護剤配合物が、増粘剤を更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記水性保護剤配合物が、増粘剤、キレート剤、防腐剤、皮膚軟化剤、化粧品として許容される洗浄界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の熱への曝露時に毛髪の損傷を低減するためのプロセスに関する。具体的には、本発明は、毛髪の熱への曝露時の毛髪損傷を低減するためのプロセスであって、化粧品として許容される水性担体を提供することと、熱保護剤を選択することであって、熱保護剤が、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、熱保護剤が、官能化デキストランポリマーであるように選択され、以下:(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、選択することと、選択された熱保護剤を提供することと、前記化粧品として許容される水性担体と前記熱保護剤とを組み合わせて、水性熱保護剤配合物を形成することであって、毛髪を提供することと、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布して、保護された毛髪を得ることと、熱発生ヘアケア器具を提供することと、熱発生ヘアケア器具を用いて、保護された毛髪を50~300℃の温度に1~30分間曝露することと、を含む、プロセスに関する。
【0002】
熱を(例えば、ブロードライヤー、ストレートヘアアイロン(フラットアイロンなど)、カール装置、加熱コーム、加熱ブラシ(回転ドラムの有無にかかわらず)を使用した、熱支援型スタイリング又は乾燥中に)毛髪繊維に適用する熱支援型プロセスは、どこにでもある。しかしながら、そのような熱支援型プロセスは、毛髪を乾燥させ、損傷させる可能性がある。更に、例えば、ブロードライヤーを毛髪に近過ぎる状態で保持し、毛髪を乾かし過ぎること、又は毛髪の特定の場所でホットツールを毛髪に長時間あて過ぎることなどの不適切な技術は、損傷をもたらし得る。熱支援型プロセスにより、毛髪から水分が蒸発するか、又は押し出されることで、毛髪が脆くなり、亀裂の影響をより受けやすくなる。加えて、熱スタイリングは、毛髪への物理的損傷を引き起こし得る。例えば、キューティクルを持ち上げること、及び/又は個々の毛髪繊維上にブリスターを作製することによって、毛髪繊維間の摩擦の増加を引き起こす場合がある。毛髪繊維間の摩擦の増加により、とかすことがより難しくなり、毛髪をとかすのにより多くの力が必要になる。とかす力を増加させて適用すると、今度は毛髪の外面を摩耗させて、毛髪に亀裂及び破損を引き起こす場合がある。長年にわたって、研究者らは、ヒトの毛髪が、ケラチンタンパク質で構成されているため、羊毛と同様の温度ベースの特性を有すると考えている。最近の研究により、ヒトの毛髪が加熱に応答して以下の特徴を呈することが明らかになった。(a)≦150℃の熱に曝露されると、緩く結合した水及びしっかりと結合した水が、ヒトの毛髪から失われるか、又は蒸発する。(b)160℃~175℃の熱に曝露されると、ヒトの毛髪は、ガラス転移段階を受ける。毛髪は、高温ガラスで流動し始める。ガラス転移温度において、毛髪は、塑性変形を受け得る。通常、水和された毛髪は、弾性的に延伸し、その元の長さに戻ることができる。したがって、通常の水和された毛髪は、カールのようなスタイル、及びよじれ/もつれが発生する可能性がある一時的な可塑性を呈する。しかしながら、ガラス転移温度を超えて処理されると、毛髪の可塑性は、一時的ではない。冷却すると、毛髪は、スタイルを保持し得るが、毛幹は、損傷している。(c)215℃~235℃で熱に曝露されると、すべての毛髪に天然のアルファヘリックスとして存在するケラチンが溶融し、それによって毛髪を永久的に損傷する。毛髪のスタイリングは、典型的には、150℃を超える動作温度を呈するツールを使用して行われ、ガラス転移を超えて毛髪にスタイルを付与することに留意されたい。毛髪をスタイルするために熱を使用する場合、ガラス転移温度を超えるのに必要な温度は、毛髪の水和レベルに比例する。毛髪の含水量が高いほど、毛髪のガラス転移点に到達するのに必要な温度が低くなる。したがって、毛髪への望ましくない損傷のレベルを可能な限り低くするために、熱支援スタイリングプロセス中の毛髪の水和を最大化することが有利であろう。
【0003】
ケラチン繊維を処理するための1つのプロセスは、Greaves al.によってWO2019043032に記載されている。Greaves et al.は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、特に毛髪を処理するためのプロセスであって、(i)該繊維に、a)アミン基を有する1つ以上の単糖を塗布することからなるステップと、(ii)該繊維に、b)アミン基を有する1つ以上の多糖類を塗布することからなるステップと、(ii’)任意選択で、乾燥ステップと、(iii)次いで、好ましくは、ヘアアイロンを用いて、80℃以上の温度、特に100℃~250℃の温度で熱処理するステップと、を含む、プロセスを開示しており、ステップ(i)及び(ii)は、同時に、又は順次に実施されてもよく、好ましくは、ステップ(i)及び(ii)は、同時に実施され、それが存在する場合、乾燥ステップ(ii’)は、熱処理ステップに先行し、ステップ(i)及び(ii)に続く。
【0004】
それにもかかわらず、毛髪への熱の曝露時に毛髪の損傷を低減するためのプロセスが依然として必要とされている。
【0005】
本発明は、毛髪の熱への曝露時の毛髪損傷を低減するためのプロセスであって、化粧品として許容される水性担体を提供することと、熱保護剤を選択することであって、熱保護剤が、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、熱保護剤が、官能化デキストランポリマーであるように選択され、以下:(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、選択することと、選択された熱保護剤を提供することと、前記化粧品として許容される水性担体と前記熱保護剤とを組み合わせて、水性熱保護剤配合物を形成することであって、毛髪を提供することと、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布して、保護された毛髪を得ることと、熱発生ヘアケア器具を提供することと、熱発生ヘアケア器具を用いて、保護された毛髪を50~300℃の温度に1~30分間曝露することと、を含む、プロセスを提供する。
【0006】
本発明は、毛髪の熱への曝露時の毛髪損傷を低減するためのプロセスであって、化粧品として許容される水性担体を提供することと、熱保護剤を選択することであって、熱保護剤が、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、熱保護剤が、官能化デキストランポリマーであるように選択され、以下:(a)式Aの三級アミン基;
【0007】
【0008】
【0009】
【化3】
及び、(d)それらの組合せ、
からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、選択することと、式中、
【0010】
【化4】
は、デキストランポリマー上のペンダント酸素であり、Xは、ペンデント(pendent)酸素に三級アミン基を結合する二価連結基であり、zは、0又は1であり、各R
2及びR
3は、独立して、C
1~7アルキル基からなる群から選択され、各R
4は、独立して、置換又は非置換C
1~6アルキル基から選択され、各R
5は、独立して、C
1~6アルカンジイル基からなる群から選択され、Yが、二価の架橋基である、デキストランポリマーが、Aは、ペンデント(pendent)酸素に四級アンモニウム基を結合する二価連結基であり、各R
9は、独立して、C
1~22アルキル基からなる群から選択され、選択された熱保護剤を提供することと、前記化粧品として許容される水性担体と前記熱保護剤とを組み合わせて、水性熱保護剤配合物を形成することであって、水性熱保護剤配合物が、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%の熱保護剤を含有する、形成することと、毛髪を提供することと、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布して、保護された毛髪を得ることと、熱発生ヘアケア器具を提供することと、熱発生ヘアケア器具を用いて、保護された毛髪を50~300℃の温度に1~30分間曝露することと、を含む、プロセスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、熱に曝露する前に本発明の水性熱保護剤配合物で処理された毛髪を見出し、ここで、水性熱保護配合物は、選択された熱保護剤を含み、この熱保護剤は、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、熱保護剤は、以下:(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、官能化デキストランポリマーであるように選択され、処理された毛髪は、熱に同様に曝露されるが(示差走査熱量測定を用いて測定されるような)水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも高い変性温度と、熱に同様に曝露されるが(示差走査熱量測定を用いて測定されるような)水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも高い変性エンタルピーと、のうち少なくとも1つを呈する。
【0012】
別段示されない限り、比率、百分率、部などは、重量によるものである。
【0013】
本明細書で使用される場合、別段示されない限り、「分子量」又はMWという語句は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)及びポリエチレングリコール標準などの従来の標準を用いて従来の手法で測定される重量平均分子量を指す。GPCの技法は、Modern Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-Interscience,1979に、及びA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81-84に詳述されている。分子量は、本明細書においてダルトンの単位で、又は同等にg/molで報告される。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「化粧品として許容される」という用語は、パーソナルケア組成物に典型的に使用される成分について言及するものであり、パーソナルケア組成物に典型的に見られる量で存在する場合に有毒な材料は、本発明の一部として企図されないことを強調することを意図する。
【0015】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスは、化粧品として許容される水性担体を提供することと、熱保護剤を選択することであって、熱保護剤は、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するその能力に基づいて選択され、熱保護剤は、官能化デキストランポリマーであるように選択され、以下:(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、選択することと、選択された熱保護剤を提供することと、前記化粧品として許容される水性担体と前記熱保護剤とを組み合わせて、水性熱保護剤配合物を形成することであって、(好ましくは、水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、25~99.95重量%(好ましくは、50~99.9重量%、より好ましくは、75~99.5重量%、最も好ましくは、80~99.3重量%)の化粧品として許容される水性担体、及び水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含む)と、毛髪を提供することと、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布して、保護された毛髪を得ること(好ましくは、毛髪1g当たり0.01g~5gの水性ヘアケア配合物を塗布する)と、任意選択で、毛髪を水ですすぐこと(好ましくは、毛髪は、水性保護剤配合物を毛髪に塗布する前にすすぐ)と、任意選択で、毛髪をタオルで拭くこと及び押し付けることのうちの少なくとも1つによって、すすいだ毛髪を乾燥させて、過剰な水を除去すること(好ましくは、毛髪は、水性保護剤配合物を毛髪に塗布する前に毛髪をタオルで拭くこと及び押し付けることのうちの少なくとも1つによって乾燥させて、過剰な水を除去する)と、任意選択で、水性熱保護剤配合物の塗布後に毛髪をとかすこと及びブラッシングすることのうちの少なくとも1つを行うこと(好ましくは、毛髪を熱発生ヘアケア器具からの熱に曝露する前、その間、及び/又はその後に、毛髪をとかす及び/又はブラッシングする)と、熱発生ヘアケア器具を提供すること(例えば、フラットアイロン/カーリングを行う、毛髪をカーラーにセットし加熱する、カーリングアイロン及びホットローラでカーリングする)(ヘアスタイリング器具であって、ヘアドライヤー、熱風ヘアスタイリング器、及びヘアカーラーのうちの少なくとも1つからなる群から選択される、ヘアスタイリング器具)と、保護された毛髪を、50~300℃(好ましくは、80~280℃、より好ましくは、90~275℃、最も好ましくは、100~250℃)の温度に、熱発生ヘアケア器具(好ましくは、熱発生ヘアケア器具は、熱風ヘアケア器具(例えば、ヘアドライヤー、熱風ヘアスタイリング器)並びに高温表面ヘアケア器具(例えば、ホットカーラー、フラットアイロン、及びカーリングアイロン)のうち少なくとも1つからなる群から選択される)を用いて、1~30分間曝露すること(例えば、毛髪を乾燥又はスタイリングするため)(好ましくは、毛髪を乾燥させるために熱風ヘアケア器具及び高温表面ヘアケア器具を1~20分間提供し、続いて毛髪をスタイリングするために高温表面ヘアケア器具で1~20分間毛髪を処理する)(好ましくは、水性保護剤配合物が塗布された毛髪は、熱に同様に曝露されるが水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも高い変性温度、及び熱に同様に曝露されるが水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも高い変性エンタルピーのうちの少なくとも1つを呈する)(より好ましくは、水性保護剤配合物が塗布された毛髪は、熱に同様に曝露されるが水性保護剤配合物を塗布されていない毛髪よりも高い変性温度及び高い変性エンタルピーを呈する)と、を含む。
【0016】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、25~99.95重量%(好ましくは、50~99.9重量%、より好ましくは、75~99.5重量%、最も好ましくは、80~99.3重量%)の化粧品として許容される水性担体を含む。より好ましくは、本発明のプロセスで提供及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、25~99.95重量%(好ましくは、50~99.9重量%、より好ましくは、75~99.5重量%、最も好ましくは、80~99.3重量%)の化粧品として許容される水性担体を含み、ここで、化粧品として許容される水性担体は、水を含む。最も好ましくは、本発明の水性コンディショナー配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、25~99.95重量%(好ましくは、50~99.9重量%、より好ましくは、75~99.5重量%、より好ましくは、80~99.3重量%)の化粧品として許容される水性担体を含み、ここで、化粧品として許容される担体は、水である。
【0017】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物で使用される水は、蒸留水及び脱イオン水のうちの少なくとも1つである。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物で使用される水は、蒸留され、脱イオン化される。
【0018】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含む。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含み、ここで、熱保護剤は、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するように選択され、熱保護剤は、以下:(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、官能化デキストランポリマーであるように選択される。
【0019】
好ましくは、熱保護剤は、(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーであるように選択され、ここで、デキストランポリマーは、50,000~3,000,000ダルトン(好ましくは、100,000~2,000,000ダルトン、より好ましくは、125,000~1,000,000ダルトン、なおより好ましくは、130,000~650,000ダルトン、最も好ましくは、145,000~525,000ダルトン)の重量平均分子量を有する。より好ましくは、熱保護剤は、(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーであるように選択され、ここで、デキストランポリマーは、50,000~3,000,000ダルトン(好ましくは、100,000~2,000,000ダルトン、より好ましくは、125,000~1,000,000ダルトン、なおより好ましくは、130,000~650,000ダルトン、最も好ましくは、145,000~525,000ダルトン)の重量平均分子量を有し、デキストランポリマーは、分岐鎖デキストランポリマーである。なおより好ましくは、熱保護剤は、(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーであるように選択され、ここで、デキストランポリマーは、50,000~3,000,000ダルトン(好ましくは、100,000~2,000,000ダルトン、より好ましくは、125,000~1,000,000ダルトン、なおより好ましくは、130,000~650,000ダルトン、最も好ましくは、145,000~525,000ダルトン)の重量平均分子量を有し、デキストランポリマーは、分岐鎖デキストランポリマーを含み、分岐鎖デキストランポリマーは、複数のグルコース構造単位を含み、グルコース構造単位の90~98モル%(好ましくは、92.5~97.5モル%、より好ましくは、93~97モル%、最も好ましくは、94~96モル%)は、α-D-1,6結合によって接続され、グルコース構造単位の2~10モル%(好ましくは、2.5~7.5モル%、より好ましくは、3~7モル%、最も好ましくは、4~6モル%)は、α-1,3結合によって接続される。最も好ましくは、熱保護剤は、(i)三級アミン基;(ii)四級アンモニウム基;及び(iii)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーであるように選択され、ここで、デキストランポリマーは、50,000~3,000,000ダルトン(好ましくは、100,000~2,000,000ダルトン、より好ましくは、125,000~1,000,000ダルトン、なおより好ましくは、130,000~650,000ダルトン、最も好ましくは、145,000~525,000ダルトン)の重量平均分子量を有し、デキストランポリマーは、分岐鎖デキストランポリマーであり、分岐鎖デキストランポリマーは、複数のグルコース構造単位を含み、グルコース構造単位の90~98モル%(好ましくは、92.5~97.5モル%、より好ましくは、93~97モル%、最も好ましくは、94~96モル%)は、α-D-1,6結合によって接続され、グルコース構造単位の2~10モル%(好ましくは、2.5~7.5モル%、より好ましくは、3~7モル%、最も好ましくは4~6mol%)のグルコース構造単位は、α-1,3結合によって接続されており、式(i)に従い、
【0020】
【化5】
(式中、R
1は、水素、C
1~4アルキル基、及びヒドロキシC
1~4アルキル基から選択され、デキストランポリマー骨格からの平均分岐は、3無水グルコース単位以下である)によるα-1,3結合によって結合されている。
【0021】
好ましくは、デキストランポリマーは、デキストランポリマーの重量に基づいて、0.01重量%未満のオルタナンを含有する。より好ましくは、デキストランポリマーは、デキストランポリマーの重量に基づいて、0.001重量%未満のアルテルナンを含有する。最も好ましくは、デキストランポリマーは、検出可能限界未満のオルタナンを含有する。
【0022】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含み、ここで、熱保護剤は、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するように選択され、熱保護剤は、以下:(a)式Aの三級アミン基;
【0023】
【0024】
【0025】
【化8】
及び、(d)それらの組合せ、からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、官能化デキストランポリマーであるように選択し、式中、
【0026】
【化9】
は、デキストランポリマー上のペンダント酸素であり、Xは、分岐鎖デキストランポリマー上のペンダント酸素にトリアルキルアンモニウム部分を結合する二価連結基であり(好ましくは、Xは、任意選択で(例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エーテル基、カチオン性窒素基で)置換され得る、二価炭化水素基から選択され、より好ましくは、Xは、-(CH
2)
y-基であり、yは、1~4(好ましくは、1~3、より好ましくは、1~2、最も好ましくは、2)であり、最も好ましくは、Xは、-CH
2CH
2-基である)、zは、0又は1であり、R
2及びR
3は、C
1~7アルキル基(好ましくは、C
1~3アルキル基、より好ましくは、メチル基及びエチル基、最も好ましくは、エチル基)からなる群から独立して選択されるか、又はR
2及びR
3は、飽和若しくは不飽和環構造を形成してもよい(好ましくは、R
2及びR
3が結合したNを含む飽和若しくは不飽和環構造は、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール、及びモルホリンからなる群から選択され、より好ましくは、R
2及びR
3が結合したNを含む飽和若しくは不飽和環構造は、イミダゾール及びモルホリンからなる群から選択される)、各R
4は、独立して、置換又は非置換C
1~6アルキル基から選択され(ここで、「置換」とは、対象の基が、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、又はカルボキシ基のうち少なくとも1つを含有することを意味する)(好ましくは、各R
4は、独立して、非置換C
1~6アルキル基から選択され、より好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、及びイソヘキシル基からなる群から選択され、なおより好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、及びsec-ブチル基からなる群から選択され、更により好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基からなる群から選択され、更になおより好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基及びエチル基からなる群から選択され、最も好ましくは、各R
4は、メチル基である)、各R
5は、独立して、C
1~6アルカンジイル基からなる群から選択され(好ましくは、各R
5は、独立して、C
1~4アルカンジイル基からなる群から選択され、より好ましくは、各R
5は、独立して、C
1~2アルカンジイル基からなる群から選択され、最も好ましくは、各R
5は、-CH
2-基である)、Yは、二価架橋基であり(好ましくは、Yは、C
1~6アルカンジイル基及び-R
6-O-R
7-基からなる群から選択される二価架橋基であり、より好ましくは、Yは、-R
6-O-R
7-基であり)、R
6及びR
7は、独立して、C
1~6アルカンジイル基からなる群から選択され(好ましくは、R
6及びR
7は、独立して、C
1~4アルカンジイル基からなる群から選択され、より好ましくは、R
6及びR
7は、独立して、C
1~3アルカンジイル基からなる群から選択され、最も好ましくは、R
6及びR
7は、両方とも-CH
2CH
2-基である)(好ましくは、R
6及びR
7は、同じである)、式中、Aは、デキストランポリマー上のペンダント酸素に四級アンモニウム部分を結合している二価の連結基であり(好ましくは、式中、Aは、二価の炭化水素基から選択され、二価の炭化水素基は(例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エーテル基で)任意選択的に置換され得、より好ましくは、Aは、-CH
2CH(OR
8)CH
2-基であり、R
8は、水素及びC
1~4アルキル基からなる群から選択され;最も好ましくは、Aは、-CH
2CH(OH)CH
2-基であり)、各R
9は、独立して、C
1~22アルキル基からなる群から選択される。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含み、ここで、熱保護剤は、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するように選択され、熱保護剤は、以下:(a)式Aの三級アミン基;(b)式Bの四級アンモニウム架橋基;(c)式Cの四級アンモニウム基;及び(d)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、官能化デキストランポリマーであるように選択され、ここで、式Bの四級アンモニウム架橋基は、式Dのものであり、
【0027】
【化10】
式中、式Cの四級アンモニウム基は、式Eのものであり、
【0028】
【0029】
【化12】
は、デキストランポリマー上のペンダント酸素であり、各R
4は、独立して、非置換C
1~6アルキル基から選択され(好ましくは、各R
4は、独立して、非置換C
1~6アルキル基から選択され、より好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、及びイソヘキシル基からなる群から選択され、なおより好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、及びsec-ブチル基からなる群から選択され、更により好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基からなる群から選択され、更になおより好ましくは、各R
4は、独立して、メチル基及びエチル基からなる群から選択され、最も好ましくは、各R
4は、メチル基である)、各R
5は、独立して、C
1~6アルカンジイル基からなる群から選択され(好ましくは、各R
5は、C
1~4アルカンジイル基であり、より好ましくは、各R
5は、C
1~2アルカンジイル基であり、最も好ましくは、各R
5は、-CH
2-基である)、R
6及びR
7は、独立して、C
1~6アルカンジイル基からなる群から選択され(好ましくは、R
6及びR
7は、独立して、C
1~4アルカンジイル基からなる群から選択され、より好ましくは、R
6及びR
7は、独立して、C
1~3アルカンジイル基からなる群から選択され、最も好ましくは、-CH
2CH
2-基である)(好ましくは、R
6及びR
7は、同じである)、各R
8は、水素及びC
1~4アルキル基からなる群から選択され(好ましくは、R
8は、水素である)、各R
9は、独立して、C
1~22-アルキル基(好ましくは、C
6~22アルキル基、より好ましくは、C
6~18アルキル基、最も好ましくは、C
-8~16アルキル基)-から選択され、各R
10は、独立して、メチル基及びエチル基(好ましくは、メチル基)からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含み、ここで、熱保護剤は、熱への曝露からの熱保護を毛髪に付与するように選択され、熱保護剤は、以下:(a)式Aの三級アミン基;(b)式Bの四級アンモニウム架橋基;(c)式Eの四級アンモニウム基;及び(d)それらの組合せ;からなる群から選択される部分を官能化デキストランポリマーを含む、官能化デキストランポリマーであるように選択され、ここで、式Bの四級アンモニウム架橋基は、以下からなる群から選択される:
【0030】
【0031】
好ましくは、熱保護剤は、灰分及び揮発性物質について補正された、0.4~5.0重量%(好ましくは0.5~4.5重量%、より好ましくは、0.5~4.0重量%、最も好ましくは、0.5~3.5重量%)のケルダール窒素含有量、TKN(ASTM法D-2364に記載されるように、Buchi KjelMaster K-375自動分析装置を用いて測定し、揮発性物質及び灰分について補正した)を有する。
【0032】
好ましくは、熱保護剤は、0.001meg/グラム未満(好ましくは、0.0001meq/グラム未満、より好ましくは、0.00001meq/グラム未満、最も好ましくは、検出可能限界未満)のアルデヒド官能基を含む。
【0033】
好ましくは、熱保護剤は、0.1%未満(好ましくは、0.01%未満、より好ましくは、0.001%未満、最も好ましくは、検出可能限界未満)の、堆積助剤ポリマーにおける個々のグルコース単位間の連結を含み、β-1,4連結である。
【0034】
好ましくは、熱保護剤は、0.1%未満(好ましくは、0.01%未満、より好ましくは、0.001%未満、最も好ましくは、検出可能限界未満)の、堆積助剤ポリマーにおける個々のグルコース単位間の連結を含み、β-1,3連結である。
【0035】
好ましくは、熱保護剤は、0.001meq/グラム未満(好ましくは、0.0001meq/グラム未満、より好ましくは、0.00001meq/グラム未満、最も好ましくは、検出可能限界未満)の官能基を含むシリコーンを含む。
【0036】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、リンスオフヘアトリートメント及びリーブオンヘアトリートメントからなる群から選択される。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、リーブオンヘアトリートメントである。
【0037】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、化粧品として許容される洗浄界面活性剤、増粘剤(例えば、多糖類、セルロース系ポリマー)、石鹸、着色剤、pH調整剤、酸化防止剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン)、皮膚軟化剤(ポリオキシエチレングリコール(C7~20)脂肪酸、グリセロールのエステル-例えば、PEG-7グリセリルココエート、PEG-30グリセリルココエート、PEG-12グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルオレエート)、ワックス、発泡剤、乳化剤(例えば、PEG-100ステアレート及びグリセリルステアレート混合物)、着色剤、香料、キレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、クエン酸、乳酸)、抗菌剤/防腐剤(例えば、メチルクロロイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノン、パラ安息香酸のエステル、ジアゾリジニル尿素、及びイミダゾリジニル尿素、安息香酸、ソルビン酸)、漂白剤、潤滑剤、感覚調節剤、日焼け止め添加剤、ビタミン、タンパク質/アミノ酸、植物抽出物、天然成分、生物活性剤、劣化防止添加剤、顔料、酸、浸透剤、帯電防止剤、縮れ防止剤、抗ふけ剤、毛髪ウェービング/矯正剤、毛髪スタイリング剤、ヘアオイル、吸収剤、硬質粒子、軟質粒子、コンディショニング剤(例えば、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、PQ-10、PQ-7)、滑り剤、乳白剤、真珠光沢剤、及び塩からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を更に含む。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、乳化剤(例えば、PEG-100ステアリン酸塩及びステアリン酸グリセリル混合物)、抗菌剤/防腐剤(例えば、メチルクロロイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノン、パラ安息香酸のエステル、ジアゾリジニル尿素、及びイミダゾリジニル尿素、安息香酸、ソルビン酸)、増粘剤(例えば、多糖類、セルロース系ポリマー)、並びにキレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、クエン酸、乳酸)からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を更に含む。最も好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、PEG-100ステアレート及びステアリン酸グリセリル混合物との乳化剤混合物、ヒドロキシエチルセルロースポリマー増粘剤、セテアリルアルコールエステル化剤、エチレンジアミン四酢酸キレート剤の四ナトリウム、並びにフェノキシエタノールとメチルイソチアゾリノン防腐剤との混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を更に含む。
【0038】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、乳化剤を更に含む。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.01~80重量%(好ましくは、0.1~5重量%、更により好ましくは、0.5~2重量%、最も好ましくは、0.75~1.25重量%の乳化剤を更に含む。最も好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.01~80重量%(好ましくは、0.1~5重量%、更により好ましくは、0.5~2重量%、最も好ましくは、0.75~1.25重量%の化合物の乳化剤を更に含み、水性コンディショナー配合物は、リーブオンヘアコンディショナー及びリンスオフヘアコンディショナーからなる群から選択され、乳化剤は、PET-100ステアリン酸塩とステアリン酸グリセリルとの混合物を含む。
【0039】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、増粘剤を更に含む。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、増粘剤を更に含み、増粘剤は、好ましくは、パーソナルケア組成物の他の特性を実質的に変更することなく、水性コンディショナー配合物の粘度を増加させるように選択される。更により好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、増粘剤を更に含み、増粘剤は、好ましくは、パーソナルケア組成物の他の特性を実質的に変更することなく、パーソナルケア組成物の粘度を増加させるように選択され、増粘剤は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0~5.0重量%(好ましくは、0.1~5.0重量%、より好ましくは、0.2~2.5重量%、最も好ましくは、0.5~2.0重量%)を占める。好ましい増粘剤としては、多糖類及びセルロース系ポリマーが挙げられる。好ましくは、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースポリマーである。
【0040】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、キレート剤を更に含む。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.001~0.75重量%(好ましくは、0.03~0.25重量%)のキレート剤を更に含み、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、クエン酸、乳酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.001~0.75重量%(好ましくは、0.03~0.25重量%)のキレート剤を更に含み、キレート剤は、キレート剤は、EDTA四ナトリウムを含む。
【0041】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、任意選択で、抗菌剤/防腐剤を更に含む。より好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.05~1.25重量%(好ましくは、0.1~1重量%、より好ましくは、0.25~0.75重量%)の抗菌剤/防腐剤を更に含み、抗菌剤/防腐剤は、フェノキシエタノール、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、DMDMヒダントイン、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、イソチアゾリノン(例えば、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.05~1.25重量%(好ましくは、0.1~1重量%、より好ましくは、0.25~0.75重量%)の抗菌剤/防腐剤を更に含み、抗菌剤/防腐剤は、フェノキシエタノールとイソチアゾリノンとの混合物である(より好ましくは、抗微生物/防腐剤は、フェノキシエタノールとメチルイソチアゾリノンとの混合物である)。
【0042】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、アミン基を有する単糖の<検出限界を含有する。
【0043】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、糖の<検出限界を含有する。
【0044】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、大豆タンパク質の<検出限界を含有する。
【0045】
好ましくは、本発明のプロセスで調製及び使用される水性熱保護剤配合物は、加水分解されたシルクの<検出限界を含有する。
【0046】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、提供される熱保護剤配合物、化粧品として許容される水性担体、及び任意の追加の成分は、既知の加工技術を使用して組み合わされて、水性熱保護剤配合物を提供する。より好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、提供される熱保護剤配合物、化粧品として許容される水性担体、及び任意の追加の成分は、既知の加工技術を使用して組み合わされて、水性熱保護剤配合物を提供し、水性熱保護剤配合物は、水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、25~99.95重量%(好ましくは、50~99.9重量%、より好ましくは、75~99.5重量%、最も好ましくは、80~99.3重量%)の化粧品として許容される水性担体、及び水性熱保護剤配合物の重量に基づいて、0.1~5重量%(好ましくは、0.15~2.5重量%、より好ましくは、0.2~2重量%、最も好ましくは、0.25~1.5重量%)の熱保護剤を含む。
【0047】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、水性熱保護剤配合物は、周知の技術を使用して毛髪に塗布される。より好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、水性熱保護剤配合物は、毛髪に塗布され、0.01g~5gの水性熱保護剤配合物が毛髪1g当たりに塗布される。
【0048】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、熱発生ヘアケア器具を提供することを含む。熱発生ヘアケア器具は、典型的には、2つの主要なカテゴリ、すなわち、(1)好ましくは、湿潤した毛髪に使用される熱発生ヘアケア器具(例えば、ヘアドライヤー)、及び(2)好ましくは、乾燥した毛髪に使用される熱発生ヘアケア器具(例えば、フラットアイロン/カーリング、ハットローラ)のうちの1つに該当する。
【0049】
湿潤した毛髪のために設計され、典型的には使用される熱発生器具は、熱風ヘアケア器具と呼ばれることがある。熱風ヘアケア器具の例としては、ヘアドライヤー及び熱風ヘアスタイリング器が挙げられる。典型的なヘアドライヤーは、毛髪の乾燥を促進するために、熱風を毛髪に方向付けるように設計されている。これらのヘアドライヤーでは、空気は、適切なオリフィスを通して方向付けられ、ファンによって加速される。そのようなヘアドライヤーによって排出される空気は、例えば、抵抗加熱器の使用を通して加熱され得る。ヘアドライヤーは、フードを組み込んでもよく、毛髪の主要部分は、フードによって覆われている。ヘアドライヤーは、典型的には、50~100℃の熱風温度を送達することによって動作する。熱風スタイラーは、典型的には、毛髪をとかすか、又は別様に操るために設計された取り付け具を通して熱風を方向付ける。熱風スタイリング器は、最大130℃の熱風温度を送達し得る。
【0050】
乾燥した野ウサギのために設計され、典型的には使用される熱発生器具は、高温表面ヘアケア器具と呼ばれることがある。高温表面ヘアケア器具の例は、毛髪のカーリング及び/又は毛髪の矯正のために設計され得る。高温表面ヘアケア器具は、典型的には、熱風を使用するのではなく、器具との直接接触を介して、熱が毛髪に輸送される抵抗加熱に依存する。熱伝達は、典型的には、毛髪を高温表面ヘアケア器具の金属又はセラミック表面と接触させることによって達成される。高温表面ヘアケア器具は、典型的には、毛髪を乾燥させるために使用されない。むしろ、高温表面ヘアケア器具は、典型的には毛髪のカールを生成するか、又は毛髪を矯正するために、毛髪のスタイルを変化させるために実装される。毛髪に熱を接触させて移動させるように設計された高温表面ヘアケア器具の表面は、典型的には、130~300℃の温度を実現する。
【0051】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、50~300℃(好ましくは、80~280℃、より好ましくは、90~275℃、最も好ましくは、100~250℃)の温度の熱に、熱発生ヘアケア器具(熱発生ヘアケア器具は、熱風ヘアケア器具(例えば、ヘアドライヤー、熱風ヘアスタイリング器)並びに高温表面ヘアケア器具(例えば、ホットカーラー、フラットアイロン、及びカーリングアイロン)のうちの少なくとも1つからなる群から選択される)を使用して、毛髪を曝露することを含む(例えば、毛髪を乾燥又はスタイリングするため)。より好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、50~300℃(好ましくは、80~280℃、より好ましくは、90~275℃、最も好ましくは、100~250℃)の温度の熱に、熱発生ヘアケア器具(熱発生ヘアケア器具は、熱風ヘアケア器具(例えば、ヘアドライヤー、熱風ヘアスタイリング器)並びに高温表面ヘアケア器具(例えば、ホットカーラー、フラットアイロン、及びカーリングアイロン)のうちの少なくとも1つからなる群から選択される)を使用して、1~40分間毛髪を曝露することを含む(例えば、毛髪を乾燥又はスタイリングするため)。最も好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、50~300℃(好ましくは、80~280℃、より好ましくは、90~275℃、最も好ましくは、100~250℃)の温度の熱に、熱発生ヘアケア器具(熱発生ヘアケア器具は、熱風ヘアケア器具(例えば、ヘアドライヤー、熱風ヘアスタイリング器)並びに高温表面ヘアケア器具(例えば、ホットカーラー、フラットアイロン、及びカーリングアイロン)のうちの少なくとも1つからなる群から選択される)を使用して、2~40分間毛髪を曝露することを含み(例えば、毛髪を乾燥又はスタイリングするため)、毛髪を乾燥させるために、熱風ヘアケア器具を使用して、1~20分間毛髪を熱に曝露し、次いで、毛髪をスタイリングするために、高温表面ヘアケア器具を使用して、1~20分間毛髪を熱に曝露する。
【0052】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、任意選択で、毛髪を水ですすぐことを更に含む。より好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、任意選択で、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布する前に毛髪を水ですすぐことを更に含む(好ましくは、毛髪は、水で30秒~20分(より好ましくは、30秒~5分)すすぐ)。最も好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、任意選択で、水性熱保護剤配合物を毛髪に塗布する前に毛髪を水ですすぐことを更に含み(好ましくは、毛髪は、水で30秒~20分(より好ましくは、30秒~5分)すすぐ)、次いで、水性保護剤配合物を毛髪に塗布する前に、タオルで拭くこと及び押し付けることのうちの少なくとも1つによって、すすいだ毛髪を乾燥させて、過剰な水を除去する。
【0053】
好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、任意選択で、毛髪をとかすこと及びブラッシングすることのうちの少なくとも1つを更に含む。より好ましくは、本発明の毛髪の熱への曝露時の毛髪(好ましくは、哺乳動物の毛髪、より好ましくは、ヒトの毛髪)損傷を低減するためのプロセスでは、任意選択で、水性熱保護剤配合物の塗布後に毛髪をとかすこと及びブラッシングすることのうちの少なくとも1つを更に含む(好ましくは、毛髪を熱発生ヘアケア器具からの熱に曝露する前、その間、及び/又はその後に、毛髪をとかす及び/又はブラッシングする)。
【0054】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【0055】
合成S1:カチオン性デキストランポリマーの合成
ゴム隔壁キャップと、窒素入口と、圧力均等添加漏斗と、撹拌パドル及びモーターと、J-KEMコントローラに接続された表面下熱電対と、鉱油バブラに接続されたフリードリッヒ凝縮器と、を備えた500mLの四つ口丸底フラスコを、デキストランポリマー(25.0g;Aldrich、カタログ番号D4876)を装入した。添加漏斗に、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの70%水溶液(30.0g;SKW QUAB Chemicalsから入手可能なQUAB(登録商標)151)、及び3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-1-ジメチルドデシルアンモニウムクロリドの40%水溶液(39.3g;SKW QUAB Chemicalsから入手可能なQUAB(登録商標)342)を装入した。撹拌しながら、装置内の一切の同伴酸素を除去するためにフラスコのヘッドスペースをゆっくりとした定常流の窒素(1秒あたり約1つの気泡)で1時間パージした。
【0056】
窒素下で撹拌しながら、25%水酸化ナトリウム水溶液(11.0g)を、フラスコの内容物に、2分間かけてプラスチックシリンジを用いて滴加した。窒素パージ下で1時間撹拌した後、添加漏斗の内容物を、3分間かけてフラスコの内容物に添加した。次いで、フラスコ内容物を、窒素下で20分間撹拌した後、55℃の設定温度でマントルに熱を適用した。次いで、フラスコの内容物を、窒素下で1.5時間撹拌し続けながら加熱した。
【0057】
次いで、フラスコ内を正の窒素圧に維持しながら、フラスコの内容物を水浴で冷却した。窒素下で10分間撹拌を続けながら、1.66gの氷酢酸を添加することによってフラスコ内容物を中和した。
【0058】
生成物ポリマーをメタノール中の非溶媒沈殿によって回収し、およそ1Lのメタノールを、全25.0gバッチの沈殿のために使用した。メタノールをデカントで取り出し、ポリマーを皿に入れて、50℃で一晩真空乾燥させた。乾燥したポリマーを、すり鉢及びすりこ木を用いて手動で粉砕し、米国標準#30ふるいに通してスクリーニングした。
【0059】
生成物ポリマーは、白色の固体(27.2g)として得られ、揮発性物質含有量は5.13%、灰分含有量(塩化ナトリウムとして)は0.56%、ケルダール窒素含有量(灰分及び揮発性物質を補正)は1.329%、カチオン性置換(cationic substitution、CS)に対する対応値は0.134であった。
【0060】
合成S2:デキストラン架橋剤の合成
ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテル(10.84g)及び水(23.12g)を、容器内で一緒に混合した。容器の内容物のpHを、濃塩酸で8.5にpH調整した。容器の内容物の設定点温度を25℃に維持しながら、99.9%のエピクロロヒドリン(20.84g)を60分間にわたって容器に添加した。容器の内容物の設定点温度を更に2時間25℃に維持した後、設定点温度を50℃まで上昇させ、その温度設定点を2時間維持した。次いで、容器の内容物のpHを濃塩酸で、2.0未満まで下げ、設定点温度を70℃まで上げ、その温度設定点を1時間維持した。次いで、容器の内容物を冷却させた。容器の内容物の温度が50℃を下回ったら、容器の内容物のpHを50%水酸化ナトリウム溶液で4~6に調整した。次いで、容器の内容物の抽出を塩化メチレン(1体積:1体積)で7回実施し、次いで、残留塩化メチレンを従来の方法で除去した。回収した材料は、39.4重量%の生成物固形分を含有していた。生成物固形分を、13C NMRを介して分析して、生成物が、
【0061】
【化14】
N,N’-(オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(3-クロロ-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドであることを確認した。
【0062】
合成S3:架橋デキストランポリマーの合成
ゴム隔壁キャップと、窒素入口と、圧力均等添加漏斗と、撹拌パドル及びモーターと、J-KEMコントローラに接続された表面下熱電対と、鉱油バブラに接続されたフリードリッヒ凝縮器と、を備えた500mLの四つ口丸底フラスコに、デキストラン(23.23g;Aldrich製品番号D4876)及び脱イオン水(120g)を装入した。内容物を撹拌しながら、装置を窒素でパージして、系内に取り込まれたあらゆる酸素を排出した。窒素流量は、1秒当たり約1気泡であった。混合物を、1時間撹拌しながら窒素でパージした。プラスチックシリンジを使用して、50%水酸化ナトリウム水溶液(14.9g)を、窒素下で撹拌しながら、フラスコの内容物に数分間にわたって添加した。次いで、フラスコの内容物を、窒素下で30分間撹拌させた。次いで、合成S2に従って調製したデキストラン架橋剤の47%水溶液(74.45g)を、フラスコの内容物に添加し、加熱前に5分間撹拌させた。次いで、55℃に設定したJ-KEMコントローラを使用して制御される加熱マントルで、フラスコの内容物に熱を加えた。フラスコの内容物を55℃まで加熱し、90分間維持した。次いで、フラスコ内を正の窒素圧に維持しながら、フラスコの内容物を室温まで冷却した。フラスコの内容物が室温に達したら、氷酢酸(3.0g)を添加することによってフラスコの内容物を中和させ、フラスコの内容物を10分間撹拌させた。次いで、フラスコの内容物を希釈し、使用のために精製せずに移し、希釈した生成物固形分の含有量は、11.1重量%であった。溶液のアリコートをメタノールから沈殿させ、50℃において真空中で乾燥させた。乾燥沈殿物の総ケルダール窒素含有量、TKNを、2.72重量%で、Buchi KjelMaster K-375自動分析装置を使用して測定した。
【0063】
合成S4:カチオン性デキストランポリマーの合成
ゴムセーラムキャップと、窒素入口と、圧力均等添加漏斗と、撹拌パドル及びモーターと、J-KEM制御装置に接続された表面下熱電対と、ミネラルオイルバブラーに接続されたフリードリッヒ凝縮器と、を備えた500mLの四つ口丸底フラスコを、デキストランポリマー(126.92g、21.4%ポリデックス水性デキストラン)、N,N-ジメチルドデシルアミン(13.54g)、及びエピクロロヒドリン(5.84g)で満たした。フラスコの内容物を70rpmで撹拌した。撹拌しながら、フラスコ内のヘッドスペースをゆっくりとした定常流の窒素(1秒当たり約1つの気泡)で1時間パージして、装置内の一切の同伴酸素を除去した。
【0064】
1時間の窒素パージ後、加熱マントル及びJ-KEM制御装置(70℃の設定点)を使用して、フラスコの内容物に熱を適用した。窒素下で撹拌しながら、フラスコの内容物を70℃で5時間維持した。この間、フラスコの内容物の色は、黄色から暗褐色に変化し、粘度は、反応の進行とともに著しく増加した。
【0065】
次いで、フラスコ内を正の窒素圧に維持しながら、フラスコの内容物を水浴で冷却した。固体ポリマー生成物を、アセトンでの非溶媒沈殿によってフラスコの内容物から回収した。Waringブレンダーを500mLのアセトンで満たし、約20mLのポリマー溶液を、プラスチック製の使い捨てシリンジを使用して適度な混合速度でゆっくりと連続的に添加した。微細フリットを有するブフナー漏斗を通して真空濾過することによって、ポリマーを回収した。Waringブレンダーを新鮮なアセトンで満たし、残りの水溶液の非溶媒沈殿を続けた。ポリマーを短時間風乾させ、次いで真空中50℃で一晩乾燥させた。乾燥したポリマーを、すり鉢及びすりこ木を用いて手動で粉砕し、米国標準#30ふるいに通してスクリーニングした。
【0066】
生成物ポリマーは、白色の固体(29.96g)として得られ、揮発性物質含有量は2.35%、灰分含有量(塩化ナトリウムとして)は1.99%、ケルダール窒素含有量は、1.079%、CSへの対応値0.163のBuchi KjelMaster K-375自動分析装置(灰分及び揮発性物質を補正)を用いて測定した。
【0067】
合成S5:カチオン性デキストランポリマーの合成
ゴム隔壁キャップと、窒素入口と、圧力均等添加漏斗と、撹拌パドル及びモーターと、J-KEMコントローラに接続された表面下熱電対と、鉱油バブラに接続されたフリードリッヒ凝縮器と、を備えた500mLの四つ口丸底フラスコを、デキストランポリマー(29.42g;Aldrich、カタログ番号D4876);脱イオン水(100.69g);N,N-ジメチルヘキサデシルアミン(17.10g)及びエピクロロヒドリン(5.83g)を装入した。フラスコの内容物を70rpmで撹拌した。撹拌しながら、フラスコ内のヘッドスペースをゆっくりとした定常流の窒素(1秒当たり約1つの気泡)で1時間パージして、装置内の一切の同伴酸素を除去した。
【0068】
1時間の窒素パージ後、加熱マントル及びJ-KEM制御装置(70℃の設定点)を使用して、フラスコの内容物に熱を適用した。窒素下で撹拌しながら、フラスコの内容物を70℃で5時間維持した。この時間中、フラスコの内容物の粘度は、反応の進行とともに著しく増加した。
【0069】
次いで、フラスコ内を正の窒素圧に維持しながら、フラスコの内容物を水浴で冷却した。固体ポリマー生成物を、アセトンでの非溶媒沈殿によってフラスコの内容物から回収した。Waringブレンダーを500mLのメタノールで満たし、約20mLのポリマー溶液を、プラスチック製の使い捨てシリンジを使用して適度な混合速度でゆっくりと連続的に添加した。微細フリットを有するブフナー漏斗を通して真空濾過することによって、ポリマーを回収した。Waringブレンダーを新鮮なメタノールで満たし、残りの水溶液の非溶媒沈殿を続けた。ポリマーを短時間風乾させ、次いで真空中50℃で一晩乾燥させた。乾燥したポリマーを、すり鉢及びすりこ木を用いて手動で粉砕し、米国標準#30ふるいに通してスクリーニングした。
【0070】
生成物ポリマーは、白色の固体(21.66g)として得られ、揮発性物質含有量は2.91%、灰分含有量(塩化ナトリウムとして)は0.20%、ケルダール窒素含有量(灰分及び揮発性物質を補正)は、0.543%、CSに対する対応値0.073でのBuchi KjelMaster K-375自動分析装置を用いて測定した。
【0071】
比較例C1~C7及び実施例1~5:熱保護
加熱損傷手順
毛束(International Hair Importersから入手可能な2gのミディアムブラウン色の未加工毛髪)を、40℃の蒸留水中で30秒間湿潤させ、次いで、9重量%ラウレス硫酸ナトリウム(SLE)溶液(0.2g/g毛髪)を毛髪にマッサージした後、0.4L/分で60秒間流動する水ですすぎ、ブラシでほぐす。毛束は、次いで、0.15g/g又は毛髪の適用速度で、表1に記載の保護剤水溶液(存在する場合)を、1分間にわたり束へと塗布及びマッサージすることによって処理した。束を、熱処理の前に、室温(25℃)及び相対湿度50%で、少なくとも12時間風乾させた。毛束の熱処理の前に、フラットアイロン(Sexy Hair Smooth Lock Pro Ceramic Flat Iron)を232℃まで予熱した。次いで、束を、フラットアイロンにより根本から毛先まで、各々10秒間にわたり10回処理した。毛束を洗浄すること、この毛束を1重量%の保護剤水溶液で処理すること、及び熱処理によるこのプロセスを、各毛束で3回繰り返した後、性能評価を行った。3回目の熱処理サイクルの後、以下のDSC研究を実施する前に、束を、9重量%のSLS溶液(0.2g/g毛髪)で30秒間洗浄し、水で60秒間すすぎ、25℃及び50%相対湿度で一晩乾燥させた。
【0072】
【0073】
DSC研究
各束からの毛髪の少なくとも2つの異なるロックを隔離し、クリッパーを用いて小さな(<2mmの長さ)片にそれらをトリミングすることにより、各比較例C1~C7及び実施例1~5の各々に従って処理した毛束から試料を調製した。選定された毛髪ロックの全長を切り取り、秤量紙上にランダムに分布させて、束の長さに沿った毛髪特性の任意の違いを平均した。次いで、ピンセットを使用して、小さな毛髪片の各パイルから10mgの試料を採取した。試料を別々の40μLのステンレス鋼パン(Perkin-Elmer部品番号0319-2018)に入れ、パンの底部に均一に分配した。各パンに、ピペットを使用して30μLの脱イオン水を添加し、キューティクルを可塑化し、分解温度未満の毛髪変性温度を低下させた。次いで、パンをViton Oリング及びステンレス鋼の蓋でプレス密封し、総開始質量の重量を量った。毛髪試料を水和レベルで平衡化させるために、密封パンを25℃で12時間静置した。次いで、毛髪試料を、冷蔵された冷却システム(RCS90)ユニットと対になった示差走査熱量計(DSC)によって分析した。毛髪試料は、40℃で平衡化し、次いで試料を毎分10℃の温度勾配速度で200℃に加熱することによって分析した。分析中、気泡流量は、毎分25mLの窒素であった。機器ソフトウェア(TRIOS)を使用して、変性温度及び変性エンタルピーの両方を決定した。変性温度は、吸熱転移のピーク温度及び吸熱転移を積分することによって変性エンタルピーを決定したときに決定した。DSC曲線の観点からのピーク温度を、表2に報告する。毛髪試料についての変性エンタルピーも、表2に報告する。
【0074】
【国際調査報告】