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特表2024-511309スティック製品のための再充填可能なディスペンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】スティック製品のための再充填可能なディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A45D40/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553982
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022020179
(87)【国際公開番号】W WO2022203893
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】17/209,843
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ギャリソン、チャド
(57)【要約】
本発明によるスティック製品のための再充填可能なディスペンサは、ホルダカップと、Aシェルと、内側基部と、を備える。好ましくは、ディスペンサはまた、外側基部と、クロージャと、を備える。ホルダカップ及びAシェルは、底部充填することができ、必要に応じて取り外して交換することができる、スティック製品のためのカートリッジサブアセンブリを形成する。ディスペンサは、いかなる潤滑剤も必要としない。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スティック製品のためのカートリッジサブアセンブリであって、
中空段付きチューブとして形成されたホルダカップであって、前記ホルダカップが、
上部ステップと、
少なくとも1つの切り欠きを有する下部ステップと、
タブであって、前記少なくとも1つの切り欠きの各々に位置付けられ、前記タブに圧力が印加されたときに、前記タブが半径方向内向きに移動すること、及び圧力が除去されたときに再度元に戻ることを可能にする可撓性支柱によって前記ホルダカップに接続される、タブと、
スティック製品の一方の端部を支持することができるカップとして形成された遠位端部と、
前記ホルダカップの内面に形成されたねじ山付きシャフトと、を備える、ホルダカップと、
中空段付きチューブとして形成されるAシェルであって、前記Aシェルが、
上部ステップと、
近位端部及び少なくとも1つのアパーチャを有する下部ステップと、を備える、Aシェルと、を備え、
前記ホルダカップ及びAシェルが互いに対して移動することができないように、前記ホルダカップが、前記Aシェルの内部に位置し、前記ホルダカップの前記少なくとも1つのタブが、前記Aシェルの前記少なくとも1つのアパーチャを通って突出する、スティック製品のためのカートリッジサブアセンブリ。
【請求項2】
前記ホルダカップの前記下部ステップ及び前記Aシェルの前記下部ステップが、異なる断面形状を有し、よって、
前記ホルダカップの前記下部ステップが、少なくとも1つの相対配向では前記Aシェルの前記下部ステップに嵌合することができ、
少なくとも1つの他の相対配向では前記Aシェルの前記下部ステップに嵌合することができない、請求項1に記載のスティック製品のためのカートリッジサブアセンブリ。
【請求項3】
前記ホルダカップの前記上部ステップ及び前記Aシェルの前記上部ステップが、同じ非円形の断面形状を有する、請求項1に記載のスティック製品のためのカートリッジサブアセンブリ。
【請求項4】
スティック製品のための再充填可能なディスペンサであって、
請求項1に記載のカートリッジサブアセンブリと、
内側基部であって、
円筒壁と、
内面を有する閉鎖端部と、
前記閉鎖端部の前記内面から立ち上がり、遠位端部を有するねじ山付き螺旋と、を備える、内側基部と、を備え、
前記内側基部の前記ねじ山付き螺旋が、前記カートリッジサブアセンブリの前記ねじ山付きシャフトにねじ込まれ、
前記ホルダカップの前記少なくとも1つのタブが、前記内側基部の前記円筒壁によって内向きに付勢され、
前記ホルダカップが、前記Aシェルに対して回転することは阻止されるが、前記Aシェル及び前記内側基部の相対的回転によって前記Aシェル内を上下に並進移動することができる、再充填可能なディスペンサ。
【請求項5】
前記ホルダカップの前記カップが、製品を充填するための開口部を有する底部を有する、請求項4に記載の再充填可能なディスペンサ。
【請求項6】
前記Aシェルの前記近位端部が前記内側基部の底部に到達したときに、前記ねじ山付き螺旋の前記遠位端部が、前記ホルダカップの前記カップの少なくとも1回転分下方にある、請求項5に記載の再充填可能なディスペンサ。
【請求項7】
前記Aシェルの上を滑り、前記Aシェルの前記下部ステップ及び前記内側基部を覆う中空段付きチューブとして形成される外側基部を更に備える、請求項6に記載の再充填可能なディスペンサ。
【請求項8】
前記内側基部の前記円筒壁の外面に位置する複数の長手方向溝と、
前記外側基部の前記下部ステップの前記円筒壁の内面に位置する複数の長手方向突起と、を更に備え、
前記外側基部の前記長手方向突起が、前記内側基部の前記長手方向溝に載置される、請求項7に記載の再充填可能なディスペンサ。
【請求項9】
いかなる潤滑剤も使用しない、請求項7に記載の再充填可能なディスペンサ。
【請求項10】
カートリッジサブアセンブリに充填する方法であって、
請求項5に記載のカートリッジサブアセンブリを提供するステップと、
前記ホルダカップを前記Aシェル内に完全に後退させるステップと、
成型キャップを前記Aシェルの遠位端部の上に配置するステップと、
前記カートリッジサブアセンブリを倒立させるステップと、
前記ホルダカップの近位端部を通して製品充填ノズルを挿入するステップと、
前記成型キャップと前記カップの前記底部との間の前記カートリッジの容積に製品を充填するステップと、を含む、カートリッジサブアセンブリに充填する方法。
【請求項11】
前記ねじ山付きシャフトの少なくとも1回転分、製品が充填されるまで、製品の充填を続けるステップを更に含む、請求項10に記載のカートリッジサブアセンブリに充填する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅などのスティック製品のためのディスペンサに関する。より具体的には、本発明は、スティック製品の交換可能なカートリッジを利用する再充填可能なディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
スティック製品のための先行技術の容器は、その底端部に配置された回転可能な部材を有するシリンダを含み得る。スティック製品は、ホルダカップ内に受容され、ホルダカップは、シリンダ内に配置される。回転可能な部材がシリンダに対して回転することにより、シリンダ内部の機構がスティック製品を回転する部材から離れる方向に長手方向に前進させ、そのため、スティック製品の一部分がシリンダの上方に露出する。このようにして、製品の露出部分が、適用するために利用可能である。あるタイプの設計は、ねじ山付きシャフト上を動くねじ切りフォロワを使用する。このタイプのものは、米国特許出願公開第2020/0154852(A1)号及び英国特許第1281886(A)号である。これらはどちらも、再充填可能なディスペンサ及び底部充填可能な交換カートリッジを開示していない。また、使用時に、互いの上を摺動する表面は、回転時又は並進移動時のいずれにおいても、相当な程度の摩擦を受ける。このため、互いの上を移動する表面には潤滑剤を塗布することが一般的である。潤滑剤に対する必要性を排除することは、製造及び組み立てをより容易にかつ低コストにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、スティック製品の再使用可能な部品及び交換可能なカートリッジを利用するスティック製品のためのディスペンサを提供することである。
【0004】
本発明の別の目的は、底部充填されるスティック製品の交換可能なカートリッジを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、潤滑剤を使用しないスティック製品のためのディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるスティック製品のための再充填可能なディスペンサは、ホルダカップと、Aシェルと、内側基部と、を備える。ホルダカップ及びAシェルは、必要に応じて取り外すこと及び交換することができる、スティック製品のためのカートリッジサブアセンブリを形成する。カートリッジが内側基部に組み立てられる前に、ホルダカップ及びAシェルは、互いに対して移動させることができない。カートリッジが内側基部に組み立てられた後に、ホルダカップは、Aシェル内を並進移動させることはできるが、Aシェルに対して回転させることはできない。好ましくは、ディスペンサはまた、外側基部と、クロージャと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】スティック製品のためのホルダカップの一実施形態を描写する。
図2図1のホルダカップの断面図である。
図3図1のホルダカップの下部ステップの拡大図である。
図4図1のホルダカップの上面図である。
図5】Aシェルの一実施形態を描写する。
図6】カートリッジサブアセンブリ(図5のAシェル内部の図1のホルダカップ)の断面図である。
図7図5のAシェルの断面図である
図8図6のカートリッジサブアセンブリの斜視底面図である。
図9】内側基部の一実施形態を描写する。
図10図9の内側基部の断面図である。
図11】内側基部がまだ完全に組み立てられていない、再充填可能なディスペンサの一実施形態の立面図である。
図12】内側基部が完全に組み立てられた状態の、図11のディスペンサの断面図である。
図13】外側基部の一実施形態を描写する。
図14図13の外側基部の断面図である。
図15】外側基部及びクロージャが組み立てられた状態の、再充填可能なディスペンサの一実施形態の断面図である。
図16】カートリッジサブアセンブリの第2の実施形態の斜視底面図である。
図17】スティック製品のためのホルダカップの別の実施形態を描写する。
図18図17のホルダカップの断面図である。
図19】Aシェルの別の実施形態を描写する。
図20図19のAシェルの断面図である。
図21】カートリッジサブアセンブリ(図19のAシェル内部の図17のホルダカップ)の上面図である。
図22】ホルダカップ及び非円形断面を有するスティック製品を描写する。
図23】Aシェル及び成型キャップを描写する。
図24】底部に充填している、再充填可能なディスペンサを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「備える(comprises)」という用語は、要素のリストが、明示的に記載された要素に限定され得ないことを意味する。
【0009】
本発明によるスティック製品(9)のための再充填可能なディスペンサ(10)は、交換可能なカートリッジサブアセンブリ(8)を備える。カートリッジサブアセンブリは、Aシェル(2)と、Aシェル内へ完全に挿入されるホルダカップ(1)と、を備え、それにより、ホルダカップ及びAシェルは、互いに対して自由に回転すること又は並進移動することができない。再充填可能なディスペンサはまた、カートリッジサブアセンブリと協働して、ホルダカップがAシェル内を上下に並進移動することは可能にするが、自由に回転することは可能にしない、内側基部(3)を備える。好ましくは、ディスペンサはまた、外側基部(4)と、クロージャ(5)と、を備える。
【0010】
交換可能なカートリッジサブアセンブリ
ホルダカップ
図1図4を参照すると、ホルダカップ(1)は、中空段付きチューブとして形成される。上部ステップ(1a)は、壁(1b)を備える。下部ステップ(1c)は、壁(1d)を備える。下部ステップは、ホルダカップの下部ステップから上部ステップへの移行部に肩部(1e)が存在するように、その横方向寸法が上部ステップよりも大きい。ホルダカップは、下部ステップの自由端に対応する近位端部(1f)と、上部ステップの自由端に対応する遠位端部(1g)と、を有する。
【0011】
ホルダカップ(1)の遠位端部(1g)の内側は、カップ(1h)として形成される。カップは、上部ステップの一部の円筒壁(1b)によって、及び円筒壁の内面から半径方向内向きに延在する底部(1i)によって画定される。好ましくは、カップの底部は、製品を充填するための開口部(1j)を有する(以下を参照されたい)。カップは、通常の意図した使用中に、スティック製品(9)の一方の端部を支持して、スティック製品を保持することができる。当技術分野に共通して行われるように、保持を確実にするために、いくつかの垂直スプライン(1k)が、カップの内面及び底部に提供され得る。カップ(1h)のレベルの下方には、ホルダカップ(1)の上部ステップ(1a)の円筒壁(1b)の内面が、下部ステップ(1c)まで下方に延在するが、ホルダカップの近位端部(1f)まで完全に延在し得ない、ねじ山付きシャフト(1l)として形成される。
【0012】
下部ステップ(1c)の壁(1d)には、少なくとも1つの切り欠き(1m)が提供される。好ましくは、互いに対向して位置する2つの切り欠きが存在する。少なくとも1つの切り欠きには、半径方向外向きに突出したタブ(1n)が位置付けられる。各タブは、可撓性支柱(1o)によって下部ステップの壁に接続され、当該可撓性支柱は、タブに圧力が印加されたときに、タブが半径方向内向きに移動し、次いで、圧力が除去されたとき再度戻ることを可能にする。示されるように、タブの縁部(1p)が丸み付けされていることが好ましい。好ましくは、丸み付けされた縁部の曲率半径は、Aシェル(2)の上部ステップ(2a)の壁の厚さ(2b)よりも大きい(以下を参照されたい)。
【0013】
Aシェル
図5図8を参照すると、Aシェル(2)もまた、中空段付きチューブとして形成される。Aシェルの上部ステップ(2a)は、壁(2b)を備える。Aシェルの下部ステップ(2c)は、壁(2d)を備える。下部ステップは、下部ステップからAシェルの上部ステップへの移行部に肩部(2e)が存在するように、その横方向寸法が上部ステップよりも大きい。Aシェルは、下部ステップの自由端に対応する近位端部(2f)と、上部ステップの自由端に対応する遠位端部(2g)と、を有する。下部ステップの壁には、少なくとも1つのアパーチャ(2m)が提供される。好ましくは、互いに対向して位置する2つのアパーチャが存在する。
【0014】
Aシェル(2)は、ホルダカップ(1)をAシェル内へ完全に挿入することを可能にするようにサイズ決定される(図6を参照されたい)。例えば、近位端部(2f)から遠位端部(2g)までのAシェルの全長は、ホルダカップの全長よりも長い。また、Aシェルの上部ステップ(2a)は、ホルダカップの上部ステップ(1a)に対応するために十分に大きく、Aシェルの下部ステップ(2c)は、ホルダカップの下部ステップ(1c)に対応するために十分に大きい。したがって、ホルダカップの遠位端部(1g)がAシェルの近位端部(2f)を通して挿入されると、ホルダカップの上部ステップ(1a)がAシェルの上部ステップ(2a)に嵌合し、そして、ホルダカップの下部ステップ(1c)がAシェルの下部ステップ(2c)に嵌合する。しかしながら、ホルダカップ(1)のタブ(1n)は、それらの静止位置では、ホルダカップがAシェル(2)内へ完全に挿入されるのを阻止する。したがって、ホルダカップをAシェル内へ完全に組み立てるために、タブを半径方向内向きに変位させなければならない。上述したように、タブの縁部(1p)が、Aシェルの下部ステップ(2c)の下部円筒壁(2d)の厚さ以上の曲率半径で丸み付けされることが好ましい。これは、タブ(1n)がAシェルの近位端部(2f)内へ進入するのをより容易にする。ホルダカップがAシェル内へ完全に組み立てられると、次いで、ホルダカップのタブが、Aシェルのアパーチャ(2m)と整列する。これは、タブが、それらの静止位置に戻って、Aシェルのアパーチャを通って突出することを可能にする。Aシェルのサブアセンブリ及びホルダカップは、交換可能なカートリッジ(8)を形成する。カートリッジの近位端部及び遠位端部は、Aシェルの近位(2f)端部及び遠位(2g)端部と一致する。更に、図6及び図8に示される配置では、ホルダカップ(1)及びAシェル(2)が係止されており、それにより、これらは、回転時にも、並進移動時にも(可能性として、僅かな量を除いて)、互いに対して移動することができない。しかしながら、使用時には、スティック製品(9)を延在させるために、ホルダカップがAシェルに対して並進移動することは可能にするが、それでも回転は可能にしないことが必要となる。分かるように、並進移動は、ホルダカップのタブ(1n)を押下することによって可能になり、その結果として、ホルダカップとAシェルとの間の回転を阻止するための手段を提供しなければならない。「回転を阻止する」という句は、構成要素内の少量の遊びに起因して、僅かな回転が起こり得ることを意味する。
【0015】
回転止め手段-第1の例
ホルダカップ(1)とAシェル(2)との間の回転を阻止する1つの例は、少なくとも1つの相対配向ではホルダカップの下部ステップがAシェルの下部ステップに嵌合することができ、少なくとも1つの他の相対配向ではAシェルの下部ステップに嵌合することができないように、ホルダカップの下部ステップ(1c)及びAシェルの下部ステップ(2c)が異なる断面形状を有することを必要とする。例えば、ホルダカップの下部ステップは、(図1図4に示されるように)長軸(M)及び短軸(m)を有し、2つのタブ(1n)が主軸(M)に沿った長円形の壁のいずれかの頂点に位置する、長円などの非円形断面を有し得る。同時に、Aシェルの下部ステップ(2c)は、ホルダカップの下部ステップがそこに嵌合することができるものであるが、ホルダカップのタブがAシェルのアパーチャと整列しているときだけである。例えば、Aシェルの下部ステップが円筒形である場合、Aシェルの下部ステップの内側寸法を効果的に低減し、それにより、当該内側寸法がホルダカップの下部ステップの長軸(M)よりも小さくなるように、Aシェルの下部ステップの内面は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの長手方向スプライン(2q)を有し得る。これは、図8において最良に示され得る。この配置では、ホルダカップの長円形状の下部ステップは、Aシェルの下部ステップ内で回転することができない。更に、長手方向スプラインは、Aシェルに対する並進移動中に、ホルダカップを安定させる。
【0016】
回転止め手段-第2の例
図16図21は、ホルダカップ(1’)及びAシェル(2’)の第2の実施形態を描写する。この実施形態は、ホルダカップとAシェルとの間の回転を阻止する別の手段を実証する。ホルダカップ(1’)の上部ステップ(1a’)は、非円形断面を有する壁(1b’)を備える。同様に、Aシェル(2’)の上部ステップ(2a’)は、同じ断面を有し、ホルダカップの上部ステップをそこに嵌合させることができるようにわずかにだけ大きい、壁(2b’)を備える。この実施形態では、ホルダカップの下部ステップ(1c’、2c’)及びAシェルが同心の円筒壁(1d’、2d’)を備える場合であっても、ホルダカップ及びAシェルの上部ステップの非円形の断面形状は、これらの構成要素間の相対的回転を阻止する。一般に、スティック製品(9)の形状を決定するホルダカップ(1’)及びAシェル(2’)の断面形状の選択には多くの自由度があり、これは、スティック製品(9)の形状の無限の設計上の選択を可能にする。
【0017】
回転止め手段-第3の例
いくつかの実施形態では、ホルダカップ(1’)及びAシェル(2’)が互いに対して回転することができないことを確実にする他の手段が提供され得る。例えば、図16図17、及び図20に示されるように、ホルダカップの下部ステップ(1c’)の円筒壁(1d’)の外面には、Aシェルの下部ステップ(2c’)の円筒壁(2d’)の内面に位置する同数の長手方向フランジ(2q’)を受容するように設計された1つ以上の長手方向溝(1q’)が提供され得る。ホルダカップは、溝内を上下に並進移動することができるが、Aシェルに対しては回転することができない。
【0018】
内側基部
図9図12を参照すると、内側基部(3)は、その近位端部(3f)が閉じた円筒壁(3b)として形成される。閉鎖端部の内面からは、ねじ山付き螺旋(3l)が立ち上がっている。ねじ山付き螺旋は、内側基部の円筒壁の上方に立ち上がり、ホルダカップ(1)のねじ山付きシャフト(1l)と協働するように設計されている。カートリッジ(8)を内側基部に組み立てるには、内側基部のねじ山付き螺旋(3l)をホルダカップの近位端部(1f)内へ挿入し、次いで、ホルダカップのねじ山付きシャフト(1l)内へねじ込む。これは、Aシェル(2)をしっかりと保持しながら内側基部をねじることによって、又はその逆によって達成され得る。ねじ山付き螺旋は、ねじ山付きシャフトよりよりも短い。好ましくは、完全に組み立てられると、ねじ山付き螺旋(3l)の遠位端部(3g)は、ホルダカップ(1)の底部(1i)よりも少なくともねじ1回転分下方にある(図12を参照されたい)。より好ましくは、完全に組み立てられると、ねじ山付き螺旋の遠位端部は、ホルダカップの底部よりも少なくともねじ2回転分下方にある。下で説明されるように、ねじ山付きシャフト(1l)内の余分の空間は、製品が充填され得る。
【0019】
内側基部(3)の内径は、シェル(2)の近位端部(2f)を受容するようにサイズ決定される。カートリッジ(8)が内側基部(3)にねじ込まれるとき、Aシェル(2)のアパーチャ(2m)を通って突出するホルダカップ(1)のタブ(1n)が内側基部の円筒壁(3b)に当たる。しかしながら、タブの丸み付けされた縁部(1p)は、タブを内向きに偏向させ、内側基部の円筒壁がタブを通過することを可能にする。内側基部は、Aシェルが内側基部の閉鎖端部の底部に到達するまで、カートリッジにねじ込まれる。完全に組み立てられると、ホルダカップ(1)のタブ(1n)は、内側基部(3)の内部にあり、内側基部の円筒壁(3b)によって内向きに付勢される。この構成(図12に示される)によって、ホルダカップは、Aシェル(2)内を上下に並進移動することはできるが、回転することはできない。ホルダカップ(1)の並進移動は、Aシェル(2)及び内側基部(3)の相対的回転によって達成される。
【0020】
ホルダカップの上昇中及び下降中に、Aシェルは、内側基部の閉じた近位端部(3f)の底部に到達する。Aシェルと内側基部との間の摩擦を低減するために、内側基部の閉鎖端部に環状リッジ(3r)を提供することが好ましくあり得る。Aシェルは、環状リッジ上を摺動する。限定された接触に起因して、Aシェルと内側基部との間の摩擦が大幅に低減される。これは、Aシェルと内側基部との間の任意の潤滑剤の必要性をなくす。任意選択的に、外側基部(4、以下を参照されたい)が含まれ得る。その場合、内側基部の円筒壁(3b)の外面には、外側基部と協働する複数の長手方向溝(3s)が提供される。
【0021】
外側基部
任意選択的に、外側基部(4)が含まれ得る。外側基部は、ディスペンサ(10)の外観を合理化して、クロージャ(5)を取り付けるための表面を提供する。図13図15を参照すると、一般に、外側基部は、上部ステップ(4a)と、下部ステップ(4c)と、それらの間の肩部(4e)と、を備える、別の中空段付きチューブとして形成される。外側基部の上部ステップは、外径を有する上部円筒壁(4b)を備える。外側基部の下部ステップは、外径を有する下部円筒壁(4d)を備える。外側基部の下部ステップは、Aシェル(2)の下部ステップ(2c)よりも高い。外側基部は、その近位端部(4f)及び遠位端部(4g)において開口している。近位端部は、Aシェルの遠位端部(2g)の上を滑り、外側基部がAシェルの下部ステップ(2c)及び内側基部(3)を覆うまで下方に摺動するように設計されている。外側基部の上部ステップ(4a)の長さは、Aシェルの遠位端部が外側基部の遠位端部を越えて突出するように、Aシェルの上部ステップ(2)よりも短い。これは、ユーザがAシェル及び外側基部を握持しなければならないので、ディスペンサの動作のために必要である。
【0022】
完全に組み立てられると、外側基部(4)の肩部(4e)の内面は、Aシェル(2)の肩部(2e)に接触し得る。ホルダカップ(1)の上昇中及び下降中のこれらの表面間の相対的回転は、不要な摩擦を生じさせる。このAシェルと外側基部との間の摩擦を低減するために、外側基部の肩部の内面上に1つ以上の弧状リッジ(4r)を提供することが好ましくなり得る。これは、Aシェルと外側基部との接触、したがって摩擦を大幅に低減する。これは、Aシェルと外側基部との間の任意の潤滑剤の必要性をなくす。
【0023】
外側基部(4)の下部ステップ(4c)の円筒壁(4b)の内面は、複数の長手方向突起(4s)を備える。これらの突起は、内側基部(3)の円筒壁(3b)の外面に位置する複数の長手方向溝(3s)と協働するように設計されている。例えば、外側基部が内側基部の上を滑ると、外側基部の長手方向突起が内側基部の長手方向溝内に止まる。このようにして内側基部及び外側基部が接合されると、Aシェルに対して外側基部を回転させることによって内側基部の回転が達成される。また、内側基部と外側基部との間の嵌合は、ディスペンサの通常動作中にこれらの構成要素を一緒に保持する摩擦力を生じさせるために十分に緊密であるべきである。この嵌合は、外側基部の近位端部(4f)の近くで外側基部と内側基部との間に十分な干渉を提供することによって達成され得る。しかしながら、嵌合は、ユーザが、カートリッジ(8)を交換するために必要である、内側基部からの外側基部の分離をすることができなくするほど緊密であるべきではない。任意選択的に、内側基部及びカートリッジが外側基部から偶発的に抜けることを阻止するために、円形の保持リング(4t)が外側基部の近位端部に提供され得る。
【0024】
クロージャ
図15を参照すると、スティック製品(9)を使用していないとき、ディスペンサ(10)の遠位端部は、クロージャ(5)と嵌合しているべきである。クロージャは、その近位端部(5f)が開口しており、その遠位端部(5g)が閉鎖されている、横壁(5b)を備える。クロージャは、提供された場合、Aシェル(2)の上部ステップ(2a)の上に、及び外側基部(4)の上部ステップ(4a)の上に嵌合する。クロージャの横壁(5b)は、Aシェルの上部ステップ(2a)の円筒壁(2b)、及び/又は外側基部の上部ステップ(4a)の円筒壁(4b)と協働することが可能である。クロージャは、摩擦、スナップ器具、ラッチ、及びねじ係合を含む、任意の好適な手段によって適所で保持され得る。例えば、クロージャは、単に、Aシェル(2)の上部ステップ(2a)に締まり嵌めし得る。代替的に、クロージャの横壁(5b)の内面は、クロージャが外側基部に完全に着座したときに外側基部の保持ニブ(4u)が止まる、環状溝(5u)が提供され得る。又は、クロージャ及び外側基部には、協働するねじ山が提供され得る。理想的には、クロージャ及び外側基部は、気密シールを形成することができるようになる。
【0025】
好ましい実施形態では、再充填可能なディスペンサ(10)は、外側基部(4)と、外側基部に取り付けるクロージャ(5)と、を備える。クロージャが外側基部に着座するとき、Aシェル(2)は、アクセス可能ではなく、ホルダカップ(1)の意図しない上昇は、可能ではない。
【0026】
スティック製品
ホルダカップ(1)のカップ(1h)は、通常の意図した使用中に、スティック製品の一方の端部(9、図22を参照されたい)を支持し、かつスティック製品を保持することができる。本発明による再充填可能なディスペンサ(10)は、製品を表面全体にわたって引くことによって塗布される、あらゆる種類のスティック製品(9)に有用であり得る。スティック製品としては、口紅、リップクリーム、デオドラントスティック、制汗スティック、接着剤スティック、などが挙げられる。本発明の目的のために、スティック製品は、細長い塊が一方の端部によって吊り下げられたときに、破断せずに、その自重を支持することができる、細長い固体又は半固体製品の細長い塊である。
【0027】
カートリッジに充填する方法
本発明による交換可能なカートリッジサブアセンブリ(8)は、底部充填され得るか、又は頂部充填され得る。好ましくは、カートリッジは、底部充填される。図24を参照すると、底部充填は、ホルダカップ(1)がAシェル(2)内の完全後退位置にある状態で行われるべきである。成型キャップ(20)は、Aシェル(2)の遠位端部(2g)の上に配置される。好ましくは、成型キャップは、Aシェルの遠位端部と相補的な形状を有する(図23を参照されたい)。カートリッジが倒立位置にある状態で、製品充填ノズル(21)がホルダカップの近位端部(1f)を通して挿入される。軟化した製品(9’)が、カートリッジ内に流入する。成型キャップとホルダカップのカップとの間のカートリッジ内の容積に製品が充填される。好ましくは、製品の充填は、いくらかの製品がホルダカップのねじ山付きシャフト(1l)に到達するが、内側基部(3)のねじ山付き螺旋(3l)が製品に到達しない程度まで続けられる。好ましくは、ねじ山付きシャフトの少なくともねじ1回転分、製品が充填される。より好ましくは、ねじ山付きシャフトの少なくともねじ2回転分、製品が充填される。これは、最終スティック製品に、優れた保持力を与える。充填された製品が冷めた時点で、カートリッジを上向きに回転させることができる。成型キャップ(20)は、Aシェルから取り外され得るか、又は、配達中にスティック製品を保護するために保持され得る。充填されたカートリッジ(8)は、内側基部(3)及び外側基部(4)内へ組み立てて、クロージャ(5)によって閉じられる準備ができている。カートリッジの底部充填は、スティック製品が相対的により軟質であるときに好ましく、Aシェル円筒壁(2b)によって提供される支持から利益を享受し得る。
【0028】
代替的に、本発明による交換可能なカートリッジ(8)は、頂部充填され得る。ホルダカップ(1)が完全に上昇した位置にある状態で、事前に準備したスティック製品(9)がホルダカップの底部(1i)までホルダカップ内へ挿入され得る。ホルダカップをAシェル(2)内へ後退させるとき、スティック製品の側面は、Aシェルの壁に接触しない。ホルダが完全に後退されるとき、配達中にスティック製品を保護するために、成型キャップ(20)がAシェルの遠位端部の上に配置され得る。充填されたカートリッジ(8)は、内側基部(3)及び外側基部(4)内へ組み立てられて、クロージャ(5)によって閉じられる準備ができている。この頂部充填方法は、Aシェル(2)の支持を必要としない、相対的により固いスティック製品(9)に実用的である。
【0029】
ディスペンサの動作
再充填可能なディスペンサ(10)を動作させるには、クロージャ(5)を、Aシェル(2)及び外側基部(4)から取り外す。成型キャップ(20)がAシェルの遠位端部(2g)上にある場合は、それも取り外す。再充填可能なディスペンサの完全後退構成では、ホルダカップ(1)のタブ(1n)は、Aシェルのアパーチャ(2m)内に着座しているが、タブの丸み付けされた縁部(1p)により、ホルダカップとAシェルとの間の並進移動は可能である。これは、丸み付けされた縁部の曲率半径が、Aシェルの下部円筒壁(2d)の厚さよりも大きいからである。したがって、反抗するねじり力がAシェル及び内側基部(又は任意選択的な外側基部)に印加されると、ホルダカップの回転が、(例えば、ホルダカップ(1)の下部ステップ(1c)の長円形の壁(1d)が、Aシェルの長手方向スプライン(2q)に当たるなどの)その目的のために提供された手段によって阻止される。結果として、ホルダカップは、Aシェル内で上方へ付勢される。タブ(1n)がアパーチャ(2m)の頂部に当たると、当該タブは、半径方向内向きに変位し、タブをAシェルのアパーチャから押し出す。Aシェルと外側基部との間の追加のねじりによって、ホルダカップは、ホルダカップの肩部(1e)がAシェルの肩部(2e)に当たるまでAシェル内を自由に上昇し続ける。この時点で、ホルダカップが完全に延在される。ねじり力を逆にすると、ホルダカップのタブがAシェルのアパーチャに戻るまで、ホルダカップが後退し、その時点で、ホルダカップが再度完全に後退する。クロージャ(5)は、Aシェル及び外側基部が交換され得る。
【0030】
カートリッジを交換する方法
ユーザがカートリッジを交換したい場合は、クロージャ(5)を再充填可能なディスペンサ(10)から取り外す。次いで、提供された場合は外側基部(4)を、外側基部と内側基部との間の摩擦に打ち勝つように外側基部を引き上げながらAシェル(2)の遠位端部を押し下げることによって、内側基部(3)から分離させる。次に、内側基部をホルダカップ(1)からねじ抜きしながらAシェルをしっかりと保持することによって、カートリッジ(8)を内側基部から取り外す。内側基部、外側基部、及びクロージャは、新しいスティック製品(9)の新しいカートリッジとともに何度も使用され得る。新しいカートリッジは、Aシェルが内側基部の閉鎖端部(3f)の底部に到達するまで、内側基部をホルダカップ内へねじ込みながらAシェルをしっかりと保持することによって、内側基部に組み立てられる。外側基部(4)の近位端部(4f)は、Aシェル(2)の遠位端部(2g)の上を滑り、外側基部の肩部(4e)がAシェルの肩部(2e)に接触するまで下方に摺動する。クロージャ(5)は、再充填可能なディスペンサ(10)の遠位端部(2g)に嵌合する。
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【国際調査報告】