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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電極用集電体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240306BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/574 20210101ALI20240306BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M50/534
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/574
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555381
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 KR2022003208
(87)【国際公開番号】W WO2022203243
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0036979
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521018683
【氏名又は名称】ユーアンドエス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨン フン
【テーマコード(参考)】
5H017
5H043
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017CC03
5H017DD01
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE05
5H017EE07
5H043AA04
5H043AA05
5H043BA19
5H043EA13
5H043GA09
5H043GA22
5H043GA26
5H043JA01E
5H043JA03E
5H043KA09E
5H043KA24E
5H043KA25E
5H043KA26E
5H043KA28E
5H043KA30E
5H043LA02E
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る電極用集電体は、ベースフィルム;および前記ベースフィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材;を含み、前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って2以上の部分に分割形成され得る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材;を含み、
前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って2以上の部分に分割形成されることを特徴とする、電極用集電体。
【請求項2】
前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って前記導電材全体にわたって形成された凹溝部を含み、
前記凹溝部には前記導電材が形成されないことを特徴とする、請求項1に記載の電極用集電体。
【請求項3】
前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って前記凹溝部と交互に形成された導電部を含み、
前記導電部には前記導電材が存在することを特徴とする、請求項2に記載の電極用集電体。
【請求項4】
前記導電部および前記凹溝部は、前記ベースフィルムの上面および下面に対称となるように形成されるか、非対称となるように形成されることを特徴とする、請求項3に記載の電極用集電体。
【請求項5】
前記ベースフィルムは、透明な材質で設けられることを特徴とする、請求項4に記載の電極用集電体。
【請求項6】
前記導電部および前記凹溝部と交差する方向に設けられるが、前記導電部全体と接触するように設けられる金属片またはリードタブを含むことを特徴とする、請求項4に記載の電極用集電体。
【請求項7】
前記金属片または前記リードタブと前記導電部との間に設けられる絶縁性高分子層を含むことを特徴とする、請求項6に記載の電極用集電体。
【請求項8】
前記絶縁性高分子層は、熱によって溶融されて前記導電部に前記金属片または前記リードタブを貼り付け、溶融部位を除いた部分は、前記導電部と前記金属片または前記リードタブとの間を絶縁することを特徴とする、請求項7に記載の電極用集電体。
【請求項9】
前記絶縁性高分子層が溶融されて形成された溶融ポイントのみで前記リードタブまたは前記金属片と前記導電部の電気的連結が形成され、
前記絶縁性高分子層が溶融されない部分は、前記リードタブまたは前記金属片と前記導電部との間を絶縁し、
前記溶融ポイントは、前記絶縁性高分子層が溶けない部分より小さく形成され、前記溶融ポイントを通じて電流パスが形成されることを特徴とする、請求項8に記載の電極用集電体。
【請求項10】
前記凹溝部によって分割された複数個の前記導電部のいずれか一つに短絡が発生すると、短絡が発生した前記導電部に接触する前記絶縁性高分子層が溶融されて形成された前記溶融ポイントを通じる電流パスが遮断され、短絡が発生した前記導電部を除いた他の導電部には短絡の影響が及ばないことを特徴とする、請求項9に記載の電極用集電体。
【請求項11】
前記導電部のいずれか一つに短絡が発生すると、短絡が発生した前記導電部は、該当導電部の両側に形成された前記凹溝部によって他の導電部と電気的に分離されることを特徴とする、請求項9に記載の電極用集電体。
【請求項12】
短絡が発生した前記導電部の両側に形成された前記凹溝部が他の導電部に短絡の影響が伝達されることを遮断するように前記凹溝部に区分される複数個の前記導電部は、前記金属片または前記リードタブに並列に連結されることを特徴とする、請求項6に記載の電極用集電体。
【請求項13】
前記金属片または前記リードタブ一側の前記導電部には、前記導電材の厚さが前記導電部より薄い段差部が形成されることを特徴とする、請求項6に記載の電極用集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用集電体に関し、さらに詳細には、ベースフィルムに設けられた導電材金属の一部分を除去することで、短絡時に電池の一部分のみ短絡を誘導し、残りの部分は短絡電流パスを遮断するなどの電気化学的ヒューズまたは物理的なヒューズ機能を発揮して電池の過熱現象を防止することで、電池の安全性を高めることができる電極用集電体に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち高いエネルギー密度と作動電位を示し、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されている。
【0003】
リチウム金属二次電池は、最初に商用化された二次電池であって、リチウム金属を負極として使用する。しかし、リチウム金属二次電池は、リチウム金属負極の表面に形成されるリチウム樹枝状によりセルの体積膨張、容量およびエネルギー密度の漸進的な減少、樹枝状の持続成長による短絡発生、サイクル寿命減少とセル安定性の問題(爆発および発火)があり、商用化されてわずか数年ぶりに生産が中断された。そこで、リチウム金属の代わりにより安定で格子や空いた空間内にリチウムをイオン状態で安定して貯蔵できる炭素系負極が使用され、前記炭素系負極の使用により本格的なリチウム二次電池の商用化および普及が進められた。
【0004】
現在まで、リチウム二次電池は、炭素系または非炭素系負極素材が主流となっており、ほとんどの負極材の開発は、炭素系(黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなど)と非炭素系(シリコン、スズ、チタン酸化物など)素材に集中されている。
【0005】
一方、近年は、携帯用電子機器および情報通信機器が小型化されるにつれ、これらを駆動するための超小型電源システムとしてリチウム二次電池の利用が大きく期待されている。
【0006】
さらに、最近は、柔軟性(Flexibility)、低価格、作製容易性などの長所を利用した高分子系電子機器および素子の開発および研究が盛んに進められている。従って、小型化した機器に使用するためには、リチウム二次電池のエネルギー密度または性能は維持しながらも電池の厚さまたは重さを減らす必要がある。
【0007】
また、リチウム二次電池の厚さまたは重さを減らしても、短絡の発生時、電流パスを遮断するか破壊することでリチウム二次電池の安全性を高めることができなければならない。
【0008】
特に、2Ah以上のエネルギーを貯蔵することができる大容量リチウム二次電池の場合、短絡が発生する場合に短絡電流を減らすか遮断することができる電池安全化技術がより一層必要な実情である。
【0009】
本出願人は、前記のような問題点を解決するために、本発明を提案することとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような問題点を解決するために提案されたものであり、金属フォイルからなる集電体と比較して厚さまたは重さを減らすことができると同時に内部短絡または外部短絡の発生時にヒューズのような機能を果たすことで温度上昇を防止し、電池の安定性を高めることができる電極用集電体を提供する。
【0011】
また、本発明は、大型リチウム二次電池において、短絡発生時に短絡が発生した部分を他の部分と隔離または分離することで電極用集電体の全体が短絡に反応することを防止し、短絡が発生した部分を除いた電極用集電体の他の部分は正常に作動できる電極用集電体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような課題を達成するための本発明の一実施例に係る電極用集電体は、ベースフィルム;および前記ベースフィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材;を含み、前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って2以上の部分に分割形成され得る。
【0013】
前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って前記導電材全体にわたって形成された凹溝部を含み、前記凹溝部には前記導電材が形成されない。
【0014】
前記導電材は、前記ベースフィルムの長手方向または短手方向に沿って前記凹溝部と交互に形成された導電部を含み、前記導電部には前記導電材が存在する。
【0015】
前記導電部および前記凹溝部は、前記ベースフィルムの上面および下面に対称となるように形成されるか、非対称となるように形成され得る。
【0016】
前記ベースフィルムは、透明な材質で設けられ得る。
【0017】
前記導電部および前記凹溝部と交差する方向に設けられるが、前記導電部全体と接触するように設けられる金属片またはリードタブを含むことができる。
【0018】
前記金属片または前記リードタブと前記導電部との間に設けられる絶縁性高分子層を含むことができる。
【0019】
前記絶縁性高分子層は、熱によって溶融されて前記導電部に前記金属片または前記リードタブを貼り付け、溶融部位を除いた部分は、前記導電部と前記金属片または前記リードタブとの間を絶縁することができる。
【0020】
前記絶縁性高分子層が溶融されて形成された溶融ポイントのみで前記リードタブまたは前記金属片と前記導電部の電気的連結が形成され、前記絶縁性高分子層が溶融されない部分は、前記リードタブまたは前記金属片と前記導電部との間を絶縁し、前記溶融ポイントは、前記絶縁性高分子層が溶けない部分より小さく形成され、前記溶融ポイントを通じて電流パスが形成され得る。
【0021】
前記凹溝部によって分割された複数個の前記導電部のいずれか一つに短絡が発生すると、短絡が発生した前記導電部に接触する前記絶縁性高分子層が溶融されて形成された前記溶融ポイントを通じる電流パスが遮断され、短絡が発生した前記導電部を除いた他の導電部には短絡の影響が及ばない。
【0022】
前記導電部のいずれか一つに短絡が発生すると、短絡が発生した前記導電部は、該当導電部の両側に形成された前記凹溝部によって他の導電部と電気的に分離され得る。
【0023】
短絡が発生した前記導電部の両側に形成された前記凹溝部が他の導電部に短絡の影響が伝達されることを遮断するように前記凹溝部に区分される複数個の前記導電部は、前記金属片または前記リードタブに並列に連結され得る。
【0024】
前記金属片または前記リードタブ一側の前記導電部には、前記導電材の厚さが前記導電部より薄い段差部が形成され得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る電極用集電体は、金属フォイルの代わり不導体からなるベースフィルムを利用し、ベースフィルムの表面に導電材をコーティングまたはめっき層を形成するため、金属フォイルからなる集電体より厚さを減らすことができる。
【0026】
本発明に係る電極用集電体は、短絡発生時に短絡が発生した部分の電極用集電体を他の部分と隔離して短絡が発生した部分の電流を遮断することで電極用集電体のうち短絡に関与する部分を減らすことができる。
【0027】
本発明に係る電極用集電体は、分割形成された多数の電極用集電体がリードタブと電気的並列に連結された形態と等価的な構造を有するため、短絡が発生した該当分割電極用集電体のみ分離して電流を遮断することで、電極用集電体の他の部分は継続して使用できるようになって、安全性を改善して使用寿命を伸ばすことができる。
【0028】
本発明に係る電極用集電体は、分割形成された多数の電極用集電体のうち短絡が発生した部分のみ短絡を誘導し、短絡が発生しない他の部分は、短絡電流パスを遮断するなど、電気化学的ヒューズまたは物理的なヒューズ機能を遂行することで、電池の過熱現象を防止することができ、電池の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る電極組立体を示した分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る電極用集電体に金属片およびリードタブが貼り付けられた様子を示した平面図である。
図4図3に係る電極用集電体を示した平面図および断面図である。
図5図3に係る金属片およびリードタブが貼り付けられた電極用集電体の機能を説明するための平面図および断面図である。
図6図5に係る電極用集電体において、金属片およびリードタブが溶接された状態を説明するための図である。
図7図6に係る金属片およびリードタブが貼り付けられた電極用集電体に短絡が発生した場合を説明するための図である。
図8図3に示された電極用集電体の変形例を見せる平面図である。
図9】本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を示した斜視図である。
図10】本発明のまた他の実施例に係る電極用集電体を示した平面図である。
図11図10の切断線C-Cに沿った断面図である。
図12】本発明に係る電極用集電体にリードタブを繋ぐ方法に従って、二次電池の外部短絡時、短絡電流を減らすか、遮断することができる結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下において、添付の図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。しかし、本発明が実施例により制限または限定されるものではない。各図面に提示された同じ参照符号は、同じ部材を示す。
【0031】
図1は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図、図2は、本発明の一実施例に係る電極組立体を示した分解斜視図、図3は、本発明の一実施例に係る電極用集電体に金属片およびリードタブが貼り付けられた様子を示した平面図、図4は、図3に係る電極用集電体を示した平面図および断面図、図5は、図3に係る金属片およびリードタブが貼り付けられた電極用集電体の機能を説明するための平面図および断面図、図6は、図5に係る電極用集電体において金属片およびリードタブが溶接された状態を説明するための図、図7は、図6に係る金属片およびリードタブが貼り付けられた電極用集電体に短絡が発生した場合を説明するための図、図8は、図3に示された電極用集電体の変形例を見せる平面図、図9は、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体を示した斜視図、図10は、本発明のまた他の実施例に係る電極用集電体を示した平面図、図11は、図10の切断線C-Cに沿った断面図である。
【0032】
図1および図2には、本発明に係る電極用集電体100を含む電極組立体10が示されている。図1および図2の場合、本発明に係る電極用集電体100は、正極電極用集電体である。電極組立体10に使用されるために電極用集電体100の表面に正極活物質103が塗布されなければならない。
【0033】
一方、負極電極用集電体200は、負極金属フォイル201に負極活物質203が塗布され、長手方向の一端側に負極リードタブ290が連結され得る。
【0034】
負極電極用集電体200と本発明に係る電極用(正極)集電体100との間に分離膜300が配置され得る。図2に示されたような状態で分離膜300を挟んで上下にそれぞれ負極電極用集電体200と正極電極用集電体100を順に積むと図1のような電極組立体10となる。
【0035】
以下においては、説明の便宜のために、正極電極用集電体100を電極用集電体と言及する。
【0036】
図3および図4には、本発明の一実施例に係る電極用集電体100が示されている。電極用集電体100は、先に言及した負極電極用集電体200とは異なり金属フォイルを使用しない。
【0037】
本発明の一実施例に係る電極用集電体(CURRENT COLLECTOR FOR ELECTRODES、100)は、金属フォイルとなった集電体の抵抗より大きい抵抗値を有するため、集電体を流れる電流の限界電流値を調整でき、ベースフィルムの損傷により電流の流れが妨害を受け得るため、二次電池の内部短絡の発生時、短絡電流を低下させるか発熱を防止できる。
【0038】
本発明に係る電極用集電体100を備えたリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)は、Max Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念を有し得る。以下においては、MCLBの具現を可能とする本発明に係る電極用集電体について説明する。
【0039】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、正極集電体であって、既存の電池の正極集電体、すなわち、金属フォイル(metal foil)で形成された正極集電体の抵抗より高い抵抗値を有するため、限界電流を調整できるだけでなく、内部短絡時に電流パスを遮断するか崩壊させることで短絡電流を低下させるか短絡時に発生する発熱現象を減らして電池の安全性を高めることができる。
【0040】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、金属フォイルを使用せず、ベースフィルム101を基本素材とし、ベースフィルム101上に薄い厚さの金属を塗布するかコーティングすることを一つの特徴とする。
【0041】
図3および図4を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体(current collector)100は、ベースフィルム(polymer film)101;および前記ベースフィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材102;を含むことができる。
【0042】
ここで、前記導電材102は、電気化学的ヒューズ(electrochemical fuse)の機能を果たすことができるため、短絡防止機能を有することができる。このような導電材102の電気化学的特性については後述する。
【0043】
ベースフィルム101は、一定の長さは有するように帯状に設けられ得る。ここで、ベースフィルム101は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリブチレンテレフタルレート(PBT:Polybutylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)またはポリエチレンテレフタルレート(PET:polyethylene terephthalate)などの不導体材質で設けられることが好ましい。
【0044】
ベースフィルム101は、50μm以下の厚さを有し、1.4μm以上、50μm以下の厚さを有することが好ましい。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属フォイル集電体を使用する場合より電池の厚さまたは重さを減らすことができるが、厚さが1.4μm以上、50μm以下の不導体のベースフィルム101を集電体100の基本構成として使用することで、本発明の一実施例に係る電極用集電体100を備えたリチウム二次電池の全体的な厚さまたは重さを減らすことができる。
【0045】
図3および図4を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、ベースフィルム101およびベースフィルム101の表面に設けられる導電材(conductive material)102を含むことができる。
【0046】
電極用集電体100が正極電極用集電体である場合に、導電材102は、アルミニウム(Al)金属で設けられ得る。導電材102は、電極用集電体100の最も外面を形成する導電層(conductive layer)ともいえる。
【0047】
前記導電材102は、電極用集電体100の限界電流または最大電流を調節するか下げるように形成され得る。言い換えれば、導電材102は、電極集電体100の導電性(conductivity)を制御するためにベースフィルム101の陰刻で凹まれた表面または陽刻で突出された表面にめっきまたはコーティングされるアルミニウム金属であり、ベースフィルム101の表面に蒸着またはコーティング(塗布)された状態に重点を置く場合は、導電材102は導電層ともいえる。以下において、導電材102は、導電層を含む概念であることを明らかにしておく。
【0048】
ベースフィルム101の表面にめっき(コーティング)または蒸着される導電材102のコーティング量またはコーティング厚さを調節することで電極用集電体100を流れる電流の最大量を制御または下げることができ、これによって、リチウム二次電池の安全性を高めることができ、短絡時に電池の安全性を確保することができる。
【0049】
言い換えれば、ベースフィルム101の表面に形成された導電材102の厚さまたは量によって電極用集電体100を流れる限界電流または最大電流が調節され得る。このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102によってリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)のMax Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念が具現され得る。
【0050】
また、物理的な内部短絡または外部短絡の発生時、ベースフィルム101が溶けることがあり、急激な電流の発生を妨害し得るため、電池の安全性を向上させることができる。
【0051】
前記導電材102は、多様な方式によりベースフィルム101の表面に形成され得る。例えば、導電材102であるアルミニウム金属は、スパッタリング(sputtering)または蒸発コーティング(evaporation coating)によってベースフィルム101の表面に形成され得る。アルミニウムは、よく酸化するため、電解めっきによってベースフィルム101の表面に導電材102を形成することは容易でない。
【0052】
導電材102がコーティングされる量(重さ)または厚さによって電極用集電体100の導電性を制御するか電池の安全性を確保することができるため、めっきまたはコーティングするとき、導電材102の厚さまたは重さを制御乃至調節できる方式を使用する必要がある。
【0053】
導電材102は、ベースフィルム101のいずれか一面にのみ形成されるか両面のいずれにも形成されてもよい。このとき、導電材102は、最小断面基準0.3μm、最大断面基準2.5μmの厚さに形成されることが好ましい。
【0054】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電材102によって電流流れが可能であるため、ベースフィルム101の表面に導電材102がコーティングされた状態がよく維持されなければならない。このために、ベースフィルム101の表面処理をして導電材102とベースフィルム101の結着力を高めることが好ましい。
【0055】
導電材102とベースフィルム101間の結着力がよくなければ、電解液が注入された状態で導電材102がベースフィルム101の表面から分離または離脱され得るため、導電材102とベースフィルム101間の結着力を高めることが重要である。
【0056】
ベースフィルム101の表面には、導電材102との接着力または結着力を高めるための表面処理が形成され得る。
【0057】
導電材102とベースフィルム101の結着力を高めるために、ベースフィルム101の表面にコロナ処理をすることが好ましい。
【0058】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、二次電池の正極として使用される集電体であって、既存の金属フォイルからなる集電体とは異なり、二次電池の安全性を高めることができる。なぜなら、ベースフィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102があたかもヒューズのように短絡電流遮断の機能を果たすためである。
【0059】
一般的に、二次電池に内部短絡または外部短絡が発生すると、短絡電流によって二次電池の温度が上がる発熱現象が生じ、また発熱のため電池が爆発するなどの危険性がある。これに対して、正極として本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用する二次電池の場合、内部短絡または外部短絡が発生しても、二次電池の温度が上がることを防止し、短絡電流を遮断することで電池の安全性を確保することができる。
【0060】
ベースフィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102が電流パス(path)の機能を果たすようになるが、短絡の発生時、導電材102が電解液と反応しながら腐食されたように細かく割れると、電流パスが遮断されるため、短絡電流がそれ以上流れなくなる。
【0061】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電材102がベースフィルム101の長手方向または短手方向に沿って2以上の部分に分割形成され得る。図4において、矢印Sは、ベースフィルム101の送り方向または長手方向を示す。ベースフィルム101の短手方向は、横長方向および縦長方向のうち相対的に長さが短い方向を意味する。
【0062】
図4を参照すると、導電材102は、ベースフィルム101の長手方向または短手方向に沿って導電材102の全体にわたって形成された凹溝部102bおよび凹溝部102bと交互に形成された導電部102aを含むことができる。図4には、導電材102の導電部102aおよび凹溝部102bがベースフィルム101の長手方向または送り方向Sに沿って形成された場合が示されている。
【0063】
ここで、凹溝部102bには導電材102が形成されず、導電部102aには導電材102が存在する。
【0064】
図4(a)は、凹溝部102bおよび導電部102aがベースフィルム101の長手方向に沿って形成された様子を見せる平面図であり、図4(b)は、図4(a)の切断線A-Aに沿った断面図である。
【0065】
導電材102に形成された凹溝部102bは、ベースフィルム101の上面または下面全体にわたって導電材102をコーティング(塗布)または蒸着した後にレーザーを利用して導電材102をカッティング(cutting)するか導電材102にパターニング(patterning)をすることで形成され得る。すなわち、ベースフィルム101に導電材102を形成した後に凹溝部102bを形成しようとする部分をレーザーを利用して除去することで凹溝部102bを形成することができる。
【0066】
一方、場合によっては、レーザーを利用せずに、導電材102であるアルミニウム金属と反応する化学的素材または化学物質を利用して凹溝部102bを形成することもできる。
【0067】
もし、ベースフィルム101が透明な材質である場合は、凹溝部102bを形成したレーザーはベースフィルム101を透過することができる。図6に示されたように、ベースフィルム101の上面および下面、すなわち、両面に導電材102が形成された状態でベースフィルム101の上面に形成された導電材102に向けてレーザーを照射して、レーザーが照射された部位の導電材102が除去されるとともに凹溝部102bが形成され得る。このとき、凹溝部102bが形成された部分には、導電材102が存在しないため、凹溝部102bの底にはベースフィルム101があるようになる。凹溝部102bの底に照射されたレーザーは、透明な材質のベースフィルム101を透過してベースフィルム101の下面に形成されている導電材102に到達するようになり、ベースフィルム101の下面に形成された導電材102にも凹溝部102bを形成するようになる。このとき、ベースフィルム101を基準に上側と下側に形成された凹溝部102bは対称となり、形状および位置が互いに一致するようになる。また、上下の導電部102aも同様に対称となり、形状および位置が互いに一致するようになる(図6(a)参照)。
【0068】
もし、ベースフィルム101が透明な材質ではない場合は、レーザーがベースフィルム101を透過することができないため、ベースフィルム101の上面および下面に形成された導電材102に別途にレーザーを照射しなければならない。この場合、上側および下側に形成された導電部102aおよび凹溝部102bは非対称となり、形状および位置が互いに一致しないこともある(図6(b)参照)。
【0069】
このように、導電材102は、ベースフィルム101の長手方向または短手方向に沿って導電材102の全体にわたって導電材が存在しないように形成された凹溝部102bおよびベースフィルム101の長手方向または短手方向に沿って凹溝部102bと交互に形成された導電部102aを含むことができる。凹溝部102bとは異なり、導電部102aには導電材102が存在する。
【0070】
また、導電部102aおよび凹溝部102bは、ベースフィルム101の上面および下面に対称となるように形成されるか、非対称となるように形成され得るが、ベースフィルム101がレーザーが透過できる透明な材質である場合に対称となり得る。
【0071】
図5に示されたように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電部102aおよび凹溝部102bと交差する方向に設けられるが、導電部102a全体と接触するように設けられる金属片(metal element)120またはリードタブ(leadtab)190を含むことができる。
【0072】
図5を参照すると、導電部102aおよび凹溝部102bは、ベースフィルム101の長手方向または送り方向に沿って形成されるのに対し、金属片120はベースフィルム101の短手方向に沿って配置されることが好ましい。これに対して、リードタブ190は金属片120と同じ方向に設けられてもよく、凹溝部102bまたは導電部102aが形成された方向に沿って設けられてもよい。
【0073】
ベースフィルム101と金属片120との間に導電材102の導電部102aが位置し得る。
【0074】
導電材102の導電部012aは、凹溝部102bによって分離されているため、導電部102aを全て電気的に連結する手段が必要である。金属片120が全ての導電部102aを連結する役割を果たすことができる。よって、金属片120は凹溝部102bで分離された全ての導電部102aと接触することができる位置または形態で設けられなければならない。
【0075】
金属片120が全ての導電部102aと接触するためには、ベースフィルム101の短手方向に配置されることが好ましい。図5に示されたように、導電部102aおよび凹溝部102bが水平方向に形成される場合、金属片120が垂直方向に形成されることが好ましいが、必ずしも垂直方向に金属片120が配置されなければならないものではなく、斜めに配置されても全ての導電部102aと接触するように配置されることで十分である。
【0076】
一方、リードタブ190が貼り付けられる側の反対面またはベースフィルム101の両面に金属片120を位置させ、金属片120にリードタブ190を溶接してリードタブ190を連結することができるが、ベースフィルム101がリードタブ190の溶接温度より低い温度で溶けなければリードタブ190が結合され得ない。よって、ベースフィルム101は、リードタブ190を溶接する過程で溶けることができる程度の融点を有することが好ましい。
【0077】
金属片120は、図5に示されたように、ベースフィルム101の両面のうちいずれか一面側にのみ設けられるか、図6に示されたように、ベースフィルム101の両面に全て設けら得る。
【0078】
金属片120は、ベースフィルム101上でリードタブ190を溶接する位置を確保する役割を果たすことができる。すなわち、金属片120は、リードタブ190の連結部のような役割を果たすことができる。
【0079】
金属片120は、5μm以上の厚さを有するように形成されることが好ましい。
【0080】
前記のように、金属片120は、5μm以上の厚さを有する金属薄膜または金属フォイルの形態を有することが好ましいが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。すなわち、金属片120は、薄膜、フォイルまたはメッシュ(mesh)の形態で設けられ得る。
【0081】
金属片120は、アルミニウムフォイル(foil)またはSUS 316Lフォイルで設けられることが好ましい。
【0082】
図5および図6を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、外部機器との連結のためのリードタブ190を備えることができる。
【0083】
既存の金属フォイル集電体は、金属フォイルに直接リードタブを溶接できるが、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属フォイルに対応する構成がベースフィルム101であるため、ベースフィルム101に直接リードタブを溶接することが不可能である。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、ベースフィルム101の両面またはリードタブ190が連結される面の反対側面に金属片120をさらに位置させ、金属片120にリードタブ190を溶接することで、このような問題を解決することができる。
【0084】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、リードタブ190は、超音波溶接(ultrasonic welding)、レーザー溶接(laser welding)またはスポット溶接(spot welding)によって金属片120に溶接され得る。
【0085】
図6に示されたように、ベースフィルム101の上下両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190が連結され得る。図示してはいないが、ベースフィルム101の一面にリードタブ190に連結され、リードタブ190と向かい合うベースフィルム101の他面には金属片120が設けられてもよい。このとき、ベースフィルム101と金属片120との間またはベースフィルム101とリードタブ190との間に導電材102が位置するようになる。すなわち、ベースフィルム101の上面および下面に導電材102を先に塗布またはコーティングした後に導電材102と電気的に連結されるように金属片120が導電材102上に位置するか金属片120が導電材102と接触するように設けられ得る。
【0086】
ベースフィルム101の両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190を溶接するとき、ベースフィルム101が溶けることでベースフィルム101の両面に設けられた金属片120が互いに連結され、その結果、リードタブ190がベースフィルム101の両面に設けられた導電材102と同時に電気的に連結され得る。
【0087】
ベースフィルム101の上下両面に金属片120と導電材102が設けられた状態でベースフィルム101の上面に設けられた金属片120にリードタブ190を超音波溶接、レーザー溶接またはスポット溶接するようになると、ベースフィルム101の一部が溶け得る。リードタブ190を溶接する時に発生する溶接熱がベースフィルム101の融点より高ければ、溶接過程でベースフィルム101は溶け得る。
【0088】
このようにベースフィルム101が溶けた部分ではベースフィルム101が存在しないため、上下の金属片120同士で直接接触し得る。このとき、金属片120も溶接熱によって溶融した状態であるため、上下の金属片120同士で接合するようになる。従って、ベースフィルム101が溶けてない部分で上下の金属片120同士で直接溶融結合されるため、いずれか一つの金属片120に溶接されるリードタブ190が上下の金属片120だけではなく、ベースフィルム101の上下面に形成された導電材102と電気的に連結され得る。
【0089】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、溶接熱によってベースフィルム101の一部が溶けても金属片120がベースフィルム101と連結された状態を維持するため、リードタブ190を連結することが可能である。
【0090】
ただし、場合によっては、ベースフィルム101が溶けていない状態でもリードタブ190を金属片120に溶接できる。
【0091】
一方、図5および図6を参照すると、導電材102と向かい合う金属片120の一面と導電材102との間には、絶縁性高分子層130が形成され得る。絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101の表面または導電材102の表面に金属片120を貼り付けるか、導電材102と金属片120を絶縁するためのものである。
【0092】
もし、金属片120なしにリードタブ190が導電材102に直接接触する場合には、リードタブ190と導電材102との間に絶縁性高分子層130が設けられることもある。
【0093】
より正確に言うと、金属片120またはリードタブ120と導電部102aとの間に絶縁性高分子層130が形成され得る。
【0094】
絶縁性高分子層130は、接着性または粘着性を有する物質で設けられることが好ましい。また、絶縁性高分子層130は、高分子(Polymer)材質で設けられるか高分子フィルム形態で設けられ得る。
【0095】
絶縁性高分子層130が高分子フィルムの形態で設けられる場合は、厚さが50μm未満であることが好ましい。絶縁性高分子層130の厚さが50μmを超えると、溶接が円滑にできず抵抗が大きくなり得る。
【0096】
絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101と同じ温度で溶けるか、ベースフィルム101の低い温度で溶けることができる。すなわち、絶縁性高分子層130は、ベースフィルム101と同じ融点を有するか、ベースフィルム101の融点より低い温度の融点を有することが好ましい。
【0097】
絶縁性高分子層130は、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF:Polyvinylidene Difluoride)、ポリエチレンテレフタルレート(PET:Polyethylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)などの高分子材質で形成されるだけでなく、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)またはアクリレート(Acrylate)系化合物などのように接着成分を有する高分子材質で形成され得る。
【0098】
絶縁性高分子層130は、導電材102ないし導電部102aの表面に金属片120またはリードタブ190を貼り付ける機能だけでなく、絶縁層の機能も果たすことができる。リードタブ190が溶接されるとき、絶縁性高分子層130は溶接熱によって溶けるか、溶融されて導電材102乃至導電部102aと電気的に連結されるが、溶融された部分を除いた部分は、絶縁性高分子層130によって絶縁された状態となる。
【0099】
外部短絡時、リードタブ190と導電材102が電気的に連結された部分が溶融部位に制限された場合、溶融された部分の導電材102が反応して電流を減らすか遮断できる。電気的に連結された部分が広い場合は、反応が多く必要であるため、電流遮断が難しいことがある。従って、導電材102と金属片120との間または導電材102とリードタブ190との間に絶縁性を有する絶縁性高分子層130が設けられることが好ましい。
【0100】
図6を参照すると、ベースフィルム101の両面にそれぞれ設けられた導電材102乃至導電部102aに貼り付けられる絶縁性高分子層130および金属片120は、ベースフィルム101を基準に互いに同じ位置に設けられ得る。
【0101】
リードタブ190が溶接される過程で絶縁性高分子層130とベースフィルム101が溶けながら溶融ポイントWを形成することができる。すなわち、図6(a)の場合、金属片120と導電部102aとの間に位置する絶縁性高分子層130が溶けながらリードタブ190が溶接されるが、リードタブ190または金属片120と導電部102aの電気的連結は、絶縁性高分子層130が溶けながら連結された溶融ポイントWだけでなされるようになる。
【0102】
絶縁性高分子層130とベースフィルム101が溶接時に発生した熱によって溶融されて形成された溶融ポイントWは、高分子絶縁層130のサイズと比較して小さく形成される。図6(a)を参照すると、溶融ポイントWのサイズG1は、導電部102aの幅と比較しても小さいことが分かる。
【0103】
このように、絶縁性高分子層130がある場合は、リードタブ190の溶接時にリードタブ190または金属片120と導電部102aの電気的連結が溶融ポイントのみで形成され、非常に小さい溶融ポイントに電流パス(path)が形成されるため、溶融ポイントを除いた部分、すなわち、絶縁性高分子層130の中から溶けない部分は、リードタブ190または金属片120と導電部102aとの間を絶縁させることができる。また、溶融ポイントを除いた残りの部分は、電解液に露出するか電解液が浸透しやすい状態となり得る。
【0104】
絶縁性物質で形成された絶縁性高分子層130がある場合は、リードタブ190の電気的連結は、絶縁性高分子層130が溶けながら連結された小さな溶融ポイント(部位)のみでなされるため、短絡時に電流パスの遮断に有利であり電池の安全性を高めることができる。
【0105】
また、ベースフィルム101の上下両面のうち少なくとも一面は電解液が浸透(または含浸)し易いように絶縁性高分子層130が接着されない部分が存在する構造であることが好ましい。すなわち、多孔質(porous)構造を有し電解液含浸に有利な構造を有するか、絶縁性高分子層130がベースフィルム101の一面のみで金属片120または導電材102のいずれか一つに設けられて絶縁性高分子層のない方を通じて電解液が浸透可能な構造を有することが有利である。また、電解液がゲル(Gel)化される特性があれば浸透に有利であることができる。
【0106】
上記で説明した本発明に係る正極電極用集電体100は、導電材102が塗布されたベースフィルム101の上下両面に通電されながら金属片120とリードタブ190を貼り付けるためには、ベースフィルム101の上下両面に金属片120またはリードタブ190が必要である。例えば、ベースフィルムの上下両面に金属片があるか、ベースフィルムの一面には金属片があり、他の一面にはリードタブが必要である。もし、ベースフィルムの一面にのみ金属片またはリードタブがある場合は、リードタブ溶接部位の接着強度または引張強度が低く、使用し難い。
【0107】
また、外部短絡が発生した時に電流パス遮断性能を確保し、電池の安全性を高めるためには、絶縁させてながら溶けられる高分子からなる絶縁性高分子層130が金属片120またはリードタブ190と導電部102aとの間に必要である。このとき、絶縁性高分子層130により電気的連結はリードタブ190の溶接時に形成された溶融ポイントのみでなされる。
【0108】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100を含む二次電池において、凹溝部102bで分離される導電部102aのいずれか一つの導電部102aに外部短絡が発生すると、短絡の影響が他の導電部102aには及ばない。なぜなら、短絡が発生した該当導電部102aの溶融ポイントで電流パスが遮断されるためである。図面を参照して以下において詳細に説明する。
【0109】
まず、図5および図6に示されたように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、それぞれの導電部102aが個別的なユニットセル(UC)の機能を発揮することができる。それぞれの導電部102aは、凹溝部102bによって完全に分離されており、全ての導電部102aは、一つの金属片120に連結されるため、凹溝部102bに区分される複数個の導電部102aは、金属片120またはリードタブ190に並列に連結されたものと同一の形態または等価的な形態を有するものと見られる。
【0110】
よって、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、個別的な集電体の電気的機能を発揮することができるそれぞれの導電部102aがユニットセル(UC)として金属片120またはリードタブ190に並列に連結された形態を有するようになる。
【0111】
図6(a)を参照すると、それぞれのユニットセル(UC)は、凹溝部102bによって区分され、ユニットセル(UC)は、金属片120、絶縁性高分子層130、導電部102aおよびベースフィルム101を含むことができる。ここで、各ユニットセル(UC)は、少なくとも一つの溶融ポイントWを含むことができる。
【0112】
図6(a)に示された電極用集電体100は、導電部102aおよび凹溝部102bがベースフィルム101の上下で対称となる同一の形態で設けられるのに対し、図6(b)に示された電極用集電体100は、非対称となる形態で設けられる点で差がある。
【0113】
図6(b)の場合は、ベースフィルム101の上面に形成された凹溝部102bとベースフィルム101の下面に形成された凹溝部102bの位置が垂直線上に位置するものではない。図6(b)の場合、ユニットセル(UC)は、溶融ポイントWを基準に区分され得る。すなわち、それぞれのユニットセル(UC)は少なくとも一つの溶融ポイントWを含み、ベースフィルム101の上面に位置する凹溝部102bと下面に位置する凹溝部102bをそれぞれ一つずつ含むように区分され得る。
【0114】
図7(a)は、導電材102のうち最も下側に位置する導電部102aに外部短絡Cが発生した場合を説明する図である。外部短絡(C1参照)が発生した該当導電部102aを含むユニットセル(UC)は、該当導電部102aの両側に形成された凹溝部102bによって他の導電部と電気的に分離されるため、他の導電部102aには短絡の影響が及ばない。
【0115】
導電部102aのいずれか一つに短絡が発生すると、短絡が発生した該当導電部102aを含むユニットセル(UC)に位置する絶縁性高分子層130の溶融ポイントWに形成された電流パスが遮断され、短絡が発生した該当導電部102aの外に他の導電部には短絡の影響が及ばない。
図7(a)に示されたように、凹溝部102bによって分割された導電部102aのうち最も下に位置する導電部102aに短絡が発生すると、残りの導電部102aの電流がほとんど全て短絡が発生した導電部102aに流れるようになる。残りの導電部102aを流れる電流が短絡が発生した導電部102aに流れるようになると、短絡が発生した導電部102aで短絡電流パスが遮断され、短絡が発生した導電部102aが残りの導電部102aから隔離される効果を得ることができる。
【0116】
図7(b)を参照してさらに説明すると、導電部102aに短絡(C、C2参照)が発生すると、絶縁性高分子層130が導電部102aと接触する部位の抵抗が大きいため、瞬間的に増加する電流によって該当接触部位が溶けるかまたは接触部位の電位が離れて負極電位近く(すなわち、<0.3volt、負極Li金属)に低くなり、導電材102が電解液と反応するようになると、導電材102があたかも腐食されたように割れながら短絡電流を下げるか(減らすか)遮断することができる。このとき、電流パスが形成された溶融ポイントWは非常に小さいため、電流パスに関与する導電材102の厚さまたは量も少ないしかなく、薄いか小さく形成された導電材102が電解液と反応して腐食されたように細かく割れると、電流パスが遮断されるため、短絡電流が低くなるか(減らすか)、それ以上流れなくなる。
【0117】
このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、凹溝部102bに区分される複数個の導電部102aは、金属片120またはリードタブ190に並列に連結されるため、短絡が発生した導電部102aは該当導電部102aの両側に形成された凹溝部102bによって他の導電部に影響を与えない。すなわち、他の導電部102aに短絡電流が流れることを凹溝部102bが遮断するため、短絡が発生した該当導電部102aのみで副反応が発生し、残りの導電部102aでは副反応が発生しない。よって、短絡が発生しない残りのユニットセル(UC)は正常な機能を発揮することができ、これによって本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用する二次電池の使用寿命を伸ばすことができる。
【0118】
それだけでなく、短絡が発生した該当導電部102aを含むユニットセル(UC)も絶縁性高分子層130が導電材102と接触する部分に副反応が集中しながら短絡電流が遮断されるため、温度上昇で電池が爆発するか火災が発生するなどの安全事故を防止することができ、二次電池の安全性を確保することができる。
【0119】
このように、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102は、相対的に厚さが薄い部分102cで電気化学的ヒューズ機能または短絡電流遮断機能を発揮するため、短絡発生時に電池の温度が高くなることを防止し、短絡電流を遮断することで電池の安全性を確保することができる。
【0120】
図8には、本発明の一実施例に係る電極用集電体の変形例が示されている。図7に示された電極用集電体とは異なり、凹溝部102bが直線ではなく曲線などの形態に形成されることもできる。ベースフィルム101の表面に導電材102を完全にコーティングした後にレーザーを利用して凹溝部102bを形成するため、凹溝部102bは多様な形態で設けられ得る。ただし、ベースフィルム101に形成された全ての導電部102aが一つの金属片120またはリードタブ190と連結できるように、凹溝部102bは一定の方向性を有する形態に形成されることが好ましい。
【0121】
図9には、本発明の他の一実施例に係る電極用集電体100が示されている。図9を参照すると、凹溝部が導電材102だけでなく導電材102の表面に塗布される正極活物質103にも形成される点で差がある。ベースフィルム101に導電材102を先に塗布した後、導電材102に正極活物質103を塗布した状態でレーザーまたは化学的素材を利用してパターニングをするようになると、パターニングされる部分では導電材102だけでなく正極活物質103までも除去されるとともに正極活物質には除去部103bが形成され得る。正極活物質103bに形成された除去部103bは、導電材102の凹溝部102bと繋がれる形態になる。図9において、図面符号103aは、正極活物質の残存部である。
【0122】
図10および図11には、本発明のまた他の一実施例に係る電極用集電体100が示されている。
【0123】
まず、図10を参照すると、金属片120またはリードタブ190の一側に隣接した導電材102乃至導電部102aには、相対的に導電材102の厚さが薄い段差部102cが形成され得る。すなわち、段差部102cは、凹溝部102bのように導電材102が完全に存在しない部分ではなく、導電部102aより導電材102が薄い厚さで形成された部分である。
【0124】
ここで、段差部102cは、図11(a)に示したように断面形状が四角形状に形成されるか、図11(b)に示したように断面形状が逆三角形状に形成されてもよい。段差部102cは、図11に示された形状の外に他の形状に形成されてもよい。
【0125】
段差部102cは、金属片120またはリードタブ190の一側に形成されるが、相対的に導電部102aの面積が大きい部分に形成されることが好ましい。図10を参照すると、金属片120またはリードタブ190の右側より左側に存在する導電部102aの面積が大きいため、段差部102cは金属片120またはリードタブ190の左側に形成され得る。このとき、段差部102cは、金属片120またはリードタブ190に最大限近く形成されることが好ましい。
【0126】
凹溝部102bによって分離される導電部102aのいずれか一つに短絡が発生するようになると、短絡が発生した導電部102aに残りの導電部102aの電流が流れるようになるが、短絡が発生した導電部102aに流れる電流が大きくなると、短絡が発生した導電部102aに存在する段差部102cで電気化学的反応が発生して抵抗が増加するため、短絡電流のパスが遮断されることがある。すなわち、段差部102cに存在する導電材102の厚さが相対的に薄いため、段差部102cが電気化学的ヒューズの機能または短絡電流遮断機能を遂行することができる。
【0127】
本発明のまた他の一実施例に係る電極用集電体100を含むリチウム二次電池に短絡が発生すると、導電材102が電解液と反応して導電材102の全体厚さにわたって厚さ方向に沿って腐食されるか割れるため、短絡電流を下げるか(減らすか)短絡電流のパスを遮断することができる。
【0128】
ところで、本発明のまた他の一実施例に係る電極用集電体100の場合は、導電材102のうち相対的に厚さが薄い段差部102cが存在し、短絡発生時に導電材102の厚さが薄い段差部102cは、その全体厚さにわたって厚さ方向に沿って完全に腐食されるか割れやすく、その結果、段差部102cで抵抗が増加するため、短絡電流のパスを遮断することができる。
【0129】
このように、本発明のまた他の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102は、相対的に厚さが薄い段差部102cで電気化学的ヒューズ機能または短絡電流遮断機能を発揮するため、短絡発生時に電池の温度が高くなることを防止し、短絡電流を遮断することで、電池の安全性を確保することができる。
【0130】
一方、図12は、本発明に係る電極用集電体にリードタブを連結する方法によって二次電池の外部短絡時に短絡電流を減らすか遮断することができる結果を見せるグラフである。
【0131】
図12(a)は、図10および図11に示されたように、導電部102aに段差部102cがある電極用集電体100を使用した二次電池の外部短絡の試験結果である。ベースフィルム101として厚さ7μmのPETを使用し、高分子絶縁層130として厚さ6μmのEVAをベースフィルム101の上下面に設け、スパッタリングを通じて厚さ0.5μmのアルミニウム導電材102がコーティングされた電極用集電体100を使用した。このとき、段差部102cの厚さはアルミニウム導電材102厚さの50%未満に形成した。負極集電体としては、厚さ8μmの銅フォイル(Cu foil)を使用し、電解液としては、EC/EMC=1/2(v/v)1.1M LiPF6(some additives添加)が使用されたアルミニウムパウチ二次電池に対して外部短絡の試験をした。二次電池を先に4.2Vで満充電した後、常温で60mOhmの抵抗を連結して外部短絡の試験を進行した。
【0132】
図12(a)を参照すると、外部短絡が発生しても電池の温度(Cell Temp)はほとんど変化がなく、過熱現象が発生しないことが分かる。
【0133】
図12(b)は、図3ないし図8に示されたように、導電部102aに凹溝部102bがある本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用した二次電池の外部短絡の試験結果である。ベースフィルム101として厚さ7μmのPETを使用し、スパッタリングを通じて厚さ0.5μmのアルミニウム導電材102がコーティングされた電極用集電体100を使用した。負極集電体としては、厚さ8μmの銅フォイル(Cu foil)を使用し、電解液としては、EC/EMC=1/2(v/v)1.1M LiPF6(some additives添加)が使用されたアルミニウムパウチ二次電池に対して外部短絡の試験をした。電極用集電体100とリードタブ190の連結は、厚さ5μmのポリエチレン(PE)とされた高分子絶縁層130をベースフィルム101の上下両面に置き、一方の高分子絶縁層130には12μmのアルミニウム金属片120を置き、他方の高分子絶縁層130にはリードタブ190を置き、超音波溶接によってリードタブ190を連結した。このように形成された容量550mAhの二次電池を先に4.35Vで満充電した後、常温で60mOhmの貯蔵を連結して外部短絡の試験を進行した。
【0134】
図12(b)を参照すると、外部短絡が発生しても電池の温度(Cell Temp)はほとんど変化がなく、過熱現象が発生しないことが分かった。
【0135】
以上のように本発明の一実施例においては、具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例および図面により説明されたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。従って、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する請求の範囲だけではなく、この請求の範囲と均等であるか等価的変形のある全てのものは、本発明思想の範疇に属するといえる。
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図7
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図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】