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特表2024-511359熱サイクリングのための装置及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】熱サイクリングのための装置及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240306BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557042
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 GB2022050686
(87)【国際公開番号】W WO2022195289
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103831.0
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2118743.0
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511302220
【氏名又は名称】ビージー リサーチ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】BG RESEARCH LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナザレス ネルソン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
(57)【要約】
装置であって、互いに実質的に対向して配置された第1及び第2のペルチェデバイスと、第1のペルチェデバイスと第2のペルチェデバイスとの間に実質的に画定され、使用中に反応容器を取り囲んで、反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された熱伝導チャンバと、を備える、装置。
【選択図】図5.4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合されて内部に内容物を収容するために構成された本体及び蓋を備える反応容器であって、前記本体及び蓋は、それぞれ、溶接可能部分を備え、前記溶接可能部分は、前記本体に結合されたときに前記蓋を所定の温度まで加熱することにより、前記溶接可能部分が溶融して前記反応容器内の前記内容物を密封するように構成されている、反応容器。
【請求項2】
前記溶接可能部分は、前記本体及び蓋の対応するフランジ部分を備える、請求項1に記載の反応容器。
【請求項3】
前記本体は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形又は矩形の断面を含み、任意選択で、主壁及び/又は副壁は、前記蓋に向かって分岐する、請求項1又は2に記載の反応容器。
【請求項4】
前記蓋は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形の形状を有し、前記蓋の前記フランジ部分は、前記長辺及び/又は短辺から延在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項5】
前記蓋は、前記本体の開口部を閉じるように構成された栓を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項6】
前記蓋の前記溶接可能部分は、前記栓の周囲に形成された溶接ビードを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項7】
前記反応容器は、前記蓋と本体とが互いに結合されたときに前記蓋を前記本体に固定するように構成された締結手段を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項8】
前記蓋又は本体は、それらの間の前記結合を誘導するように構成された1つ以上の直立部を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項9】
前記本体は、前記溶接可能部分の溶融中に前記蓋から前記反応容器の前記内容物への熱の伝達を抑制又は遅延させるように構成されたカラーを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項10】
前記本体は、前記反応容器の前記内容物の光学的インターロゲーションのための1つ以上の窓部分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項11】
前記反応容器は、熱伝導性材料から作製され、任意選択で、
一次材料に二次材料を充填して作製され、
任意選択で、前記一次材料は、ポリプロピレン、ガラス、アクリル、ナイロン、及びポリカーボネートのうちの1つ以上を含み、任意選択で、前記二次材料は、炭素、黒鉛フレーク、黒鉛粉末、セラミック、窒化ホウ素、及びダイヤモンド粉末のうちの1つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項12】
前記反応容器は、ポリメラーゼ連鎖反応法、分子酵素プロセス、等温増幅プロセス又は抗体媒介反応における使用に好適である、請求項1~11のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項13】
前記反応容器は、
a)20~120μl、又は30~110、40~100、50~90、60~80若しくは70μl、
b)少なくとも20μl、例えば、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110若しくは少なくとも120μl、及び/又は
c)120μl未満、例えば110、100、90、80、70、60、50、40、30、20μl未満の容積を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項14】
前記反応容器の前記壁の厚さは、
a)0.4~1.0mm、若しくは0.5~0.9、若しくは0.6~0.8mm、
b)1.0mm未満、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4mm未満、及び/又は
c)少なくとも0.4mm、若しくは少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8若しくは少なくとも0.9mm、又は
d)0.6mmである、請求項1~13のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項15】
a)1:0.3~1:0.82、例えば1:0.3~1:0.7、1:0.4~1:0.6、若しくは1:0.65~1:0.73、及び/又は
b)少なくとも1:0.3、例えば、少なくとも1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.65、1:0.7、1:0.73、1:0.8、1:0.9の表面積対容積比を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項16】
ポリメラーゼ連鎖反応法、分子酵素プロセス、等温増幅プロセス又は抗体媒介反応における使用に好適な、本体及び蓋を備える反応容器であって、前記本体は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形又は矩形の断面を含み、任意選択で、主壁及び/又は副壁は、前記蓋に向かって分岐する、反応容器。
【請求項17】
前記蓋は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形の形状を有し、前記蓋の前記フランジ部分は、前記長辺及び/又は短辺から延在する、請求項16に記載の反応容器。
【請求項18】
前記反応容器は、熱伝導性材料から作製され、任意選択で、
一次材料に二次材料を充填して作製され、
任意選択で、前記一次材料は、ポリプロピレン、ガラス、アクリル、ナイロン、及びポリカーボネートのうちの1つ以上を含み、任意選択で、前記二次材料は、炭素、黒鉛フレーク、黒鉛粉末、セラミック、窒化ホウ素、及びダイヤモンド粉末のうちの1つ以上を含む、請求項16又は17に記載の反応容器。
【請求項19】
前記反応容器は、
A)
a)20~120μl、又は30~110、40~100、50~90、60~80若しくは70μl、
b)少なくとも20μl、例えば、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110若しくは少なくとも120μl、及び/又は
c)120μl未満、例えば110、100、90、80、70、60、50、40、30、20μl未満の容積、
B)
a)0.4~1.0mm、若しくは0.5~0.9、若しくは0.6~0.8mm、
b)1.0mm未満、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4mm未満、及び/又は
c)少なくとも0.4mm、若しくは少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8若しくは少なくとも0.9mm、又は
d)0.6mmの厚さを有する壁、
並びに/あるいは
C)
a)1:0.3~1:0.82、例えば1:0.3~1:0.7、1:0.4~1:0.6、若しくは1:0.65~1:0.73、及び/又は
b)少なくとも1:0.3、例えば、少なくとも1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.65、1:0.7、1:0.73、1:0.8、1:0.9の表面積対容積比を有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項20】
先行請求項のいずれか一項に記載の反応容器を保持するように構成された遠心分離機。
【請求項21】
略矩形又は矩形の断面を有する反応容器を保持するように構成され、任意選択で、2つの主壁及び2つの副壁を含む略矩形又は矩形の断面を有する反応容器を保持するように構成され、前記主壁及び/又は副壁は、蓋に向かって分岐する、遠心分離機。
【請求項22】
装置であって、
互いに実質的に対向して配置された第1及び第2のペルチェデバイスと、
前記第1のペルチェデバイスと第2のペルチェデバイスとの間に実質的に画定され、使用中に反応容器を取り囲んで前記反応容器と前記ペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された熱伝導チャンバと、を備える、装置。
【請求項23】
前記熱伝導チャンバは、使用中に前記反応容器の外部表面領域の全て又は実質的に全てに物理的に接触するように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記反応容器は、その内容物の光学的インターロゲーションのための1つ以上の窓部分を備え、前記熱伝導チャンバは、使用中に前記1つ以上の窓部分を除いて、前記反応容器の前記外部表面領域の実質的に全てに物理的に接触するように構成される、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記熱伝導チャンバは、互いに物理的に接触して前記反応容器を取り囲むように構成された2つ以上の別個の部分を備える、請求項22~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記熱伝導チャンバは、少なくとも部分的に、一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面から形成される、請求項22~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記熱伝導チャンバは、一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面に取り付けられた熱伝導性材料のフレームを備える、請求項22~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記熱伝導チャンバは、使用中に各ペルチェデバイスの第1の面と接触して配置されるように構成された熱伝導性材料の取り外し可能なフレームを備える、請求項22~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記反応容器は、2つの主壁及び2つの副壁によって画定される略矩形の断面を有し、前記熱伝導チャンバは、各ペルチェデバイスが使用中に前記反応容器のそれぞれの主壁に隣接するように構成される、請求項22~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記反応容器は、蓋を有し、前記熱伝導チャンバは、使用中に前記反応容器の前記蓋が前記ペルチェデバイスの間に位置決めされるように構成される、請求項22~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記反応容器は、フランジ付き蓋を有し、前記熱伝導チャンバは、使用中に前記フランジ付き蓋が前記ペルチェデバイス間から突出するように構成される、請求項22~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記熱伝導チャンバは、使用中に前記反応容器の前記蓋に物理的に接触するように構成されたキャップ部分を備える、請求項22~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記キャップ部分は、前記反応容器の前記蓋が前記ペルチェデバイスによる加熱とは独立して加熱されることを可能にするように構成された加熱要素を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記キャップ部分は、温度センサを備える、請求項32又は33に記載の装置。
【請求項35】
各ペルチェデバイスは、第1の面及び第2の面を有し、各ペルチェデバイスの前記第1の面及び第2の面は、1つ以上の個別の温度センサを備える、請求項22~34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記装置は、コントローラを備え、前記コントローラは、前記温度センサから測定値を受信し、前記受信された測定値に基づいて、前記第1のペルチェデバイス、前記第2のペルチェデバイス、及び前記熱伝導チャンバの前記キャップ部分のうちの1つ以上の温度を制御するように構成される、請求項22~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記コントローラは、共通の温度サイクルを前記ペルチェデバイス及びキャップ部分に適用するように構成される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記コントローラは、前記キャップ部分の前記温度サイクルが前記ペルチェデバイスの前記温度サイクルに対して進められるように、時間的オフセットを適用するように構成される、請求項36又は37に記載の装置。
【請求項39】
各ペルチェデバイスの前記第2の面は、ファンを有するヒートシンクを備え、前記コントローラは、前記ペルチェデバイスの前記第1及び/又は第2の面上の前記温度センサから前記受信された測定値に基づいて、前記ファンの速度を制御するように構成される、請求項22~38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記熱伝導チャンバは、使用中に前記反応容器の前記蓋に物理的に接触するように構成されたキャップ部分を備え、前記キャップ部分は、前記反応容器の前記蓋が前記キャップ部分に付着するのを防止するように構成された非粘着性コーティングを備える、請求項22~39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記反応容器は、フランジ部分を備えるフランジ付き蓋を有し、前記熱伝導チャンバの前記キャップ部分は、前記フランジ付き蓋の前記フランジ部分を除去するための切断手段を備える、請求項22~40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記熱伝導チャンバは、前記キャップ部分が使用中に前記反応容器の前記蓋に圧力を加えるように構成される、請求項22~41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記熱伝導チャンバは、基部部分を備え、前記装置は、使用後に前記熱伝導チャンバから前記反応容器を排出するために前記基部部分に形成された排出システムを備える、請求項22~42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記排出システムは、温度センサを備え、前記温度センサによって測定された温度が所定の閾値を超えると、前記反応容器の加熱を自動的に停止するように構成される、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記排出システムは、使用中に前記反応容器を前記熱伝導チャンバの前記キャップ部分に向かって押し付けるように構成された付勢手段を備える、請求項43及び44に記載の装置。
【請求項46】
前記キャップ部分は、前記熱伝導チャンバからの前記反応容器の取り外しを可能にするために開かれるように構成され、前記排出システムは、前記キャップ部分が開かれたときに前記反応容器が前記基部部分から持ち上げられるように、前記キャップ部分に結合される、請求項43~45に記載の装置。
【請求項47】
前記装置は、前記ペルチェデバイスを一緒に押し付けて、前記反応容器と前記ペルチェデバイスとの間の熱の前記伝達を容易にするように構成された付勢手段を備える、請求項22~46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項48】
前記装置は、前記ペルチェデバイスを一緒に保持して、前記反応容器と前記ペルチェデバイスとの間の熱の前記伝達を容易にするように構成された締結手段を備える、請求項22~47のいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
前記反応容器は、請求項1~19のいずれか一項に記載の反応容器である、請求項22~48のいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
請求項1~19のいずれか一項に記載の反応容器と、請求項22~49のいずれか一項に記載の装置と、を備える、システム。
【請求項51】
請求項1~19のいずれか一項に記載の反応容器と、請求項20又は21に記載の遠心分離機と、を備える、キット。
【請求項52】
請求項22~49のいずれか一項に記載の装置と、請求項1~19のいずれか一項に記載の反応容器と、を備える、キット。
【請求項53】
請求項22~49のいずれか一項に記載の装置と、請求項20又は21に記載の遠心分離機と、を備える、キット。
【請求項54】
請求項22~49のいずれか一項に記載の装置と、請求項20又は21のいずれか一項に記載の遠心分離機と、請求項1~19のいずれか一項に記載の反応容器と、を備える、キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
RT-QPCRなどの熱サイクリング及び蛍光検出に依存する分子アプローチを使用した、粗試料からの直接的な野外病原体検出。
【背景技術】
【0002】
対処すべき第1の問題は、可能な限り短い期間で直接RT-qPCRプロセスを実施するための、大量の反応の迅速かつ均一な熱サイクルである。COVID-19パンデミックによって実証されているように、患者が待っている間に必要な時点で検出を行うことができることは、大きな商業的利点であり、インフラストラクチャがなくとも(例えば、グリッド電力へのアクセスがなくとも)、又は専門の分子生物学者に操作が限定されていても、任意の場所でかかる試験を行うことができれば、更なる利点が得られる。
【0003】
本出願によって示されるように、粗試料が反応に直接添加される場合、任意の阻害化合物の存在下でスプリアス生成物を作製する時間又は更なる時間を招く時間がより少ないため、より迅速な熱サイクリングが性能上の利点を提供することが知られている(Carl Wittwer;Rapid thermal cycling and PCR kinetics.PCR Applications,Page:211-229;1999)。同時係属出願であるGB2019052133において、本発明者らは、粗生体試料からのウイルス病原体の直接検出のためのプロセスを概説している。本明細書の重要な態様は、低いウイルス力価での病原体検出の機会を最大にするための複数回の逆転写の使用である。ウイルスRNAは、分子生物学において概して使用される緩衝液中で、特にポリメラーゼ酵素の活性に必要とされる二価カチオンの存在において不安定であり、結果として、より迅速な熱サイクルが直接的な病原体検出化学に対して付加的な利益を有することが知られている(Barshevskaia TN,Goriunova LE,Bibilashvili RSh.Non-specific RNA degradation in the presence of magnesium ions].Mol Biol(Mosk).1987 Sep-Oct;21(5):1235-41)。より迅速な熱サイクルは、PCRに利益をもたらすだけでなく、より多くのウイルスRNA標的が無傷のままであることを確実にするため、周期的逆転写プロセスの有用性が向上する。最も標準的な反応は、25μlの容積を中心とする。
【0004】
本出願では、いかなる事前の前処理ステップもなしに試料を添加する必要があるため、より大きい反応容積に焦点が当てられている。
【0005】
従来のブロック熱サイクラーにおいて、チューブを保持するブロックは、反応容器のためのレセプタクルが作製された金属のブロックの下に配置されたペルチェによって加熱及び冷却されている。
【0006】
本明細書では、TEC、ペルチェ、及び熱電冷却器という用語は、交換可能に使用される。同様に、反応容器、容器、及びチューブという用語は、PCR反応が行われるレセプタクルを意味すると解釈される。
【0007】
一部の従来の熱サイクラーでは、追加の加熱手段が、ブロックにわたって温度の均一さを確実にするために提供されているが、TECデバイスは、ブロックと密接に接触したままであるため、容器自体又は実際にはその内容物を直接加熱/冷却するのとは対照的に、ブロックを効果的に熱サイクリングさせる。これにより、熱がペルチェデバイスから容器を保持している金属ブロックに、次に容器に、そして最終的には容器自体の液体内容物に伝達するため、システムにかなりの量の熱遅れが生じる。
【0008】
加えて、容積に対する低い表面積は、PCRプロセスにおいて従来使用されている容器の特徴であり、容器内容物の熱平衡が遅くなる。これは、容器がポリプロピレンから形成されるという事実によって更に悪化し、ポリプロピレンは、効果的な絶縁体であるため、このプロセスによって必要とされる急速な熱転移に適していない。
【0009】
かかるブロック熱サイクラーは、Applied Biosystems及びRocheによって記載されたUS2005/145273A1、EP2060324A1に開示されているような先行技術によって例示されており、デバイス間で共有される単一のヒートシンクを有するペルチェデバイスのアレイと、試料レセプタクルが機械加工された作業面に取り付けられた金属ブロックとを含んでおり、これは典型的には96ウェルSBSマイクロプレートフォーマットである。
【0010】
熱サイクリングの速度及び均一さを増加させるための代替的なアプローチが記載されている。これらには、ユタ大学及びCorbettリサーチによるEP1674585A1及びEP2227559A1に開示されているような空気熱サイクラーが含まれるが、ガラスキャピラリーの容積及び必要性(ユタ大学)により、このプロセスには適していない。
【0011】
US2014/080133A1に開示されているものと同様に、ナノリットル又は一桁のマイクロリットルの範囲まで反応容積を減少させることを使用することによって熱ランピング速度を達成する更なる代替案が記載されている。これらは、概して、薄いフィルムヒータ又はプリント回路デバイス、及び小さい液滴サイズの反応物の加熱に依存している。そのため、十分な標的物質を反応に入れるために粗試料の容積が最小でも5μlになるような直接RT-qPCRアプローチには全く適しておらず、一般的に接着フィルムの使用によって密封されるため、バイオセキュアな方法で密封される手段も有していない。
【0012】
静的熱ゾーン間で反応内容物を往復させることに依存するアプローチもまた、EP1885885A2などに記載されている。これらのアプローチは、非常に小さな反応物の使用に依存しており、可動部分、又はマイクロ流体工学及びアクチュエータを有するため、大量の粗試料のバイオセキュアな取り扱いを必要とする大量の直接RT-qPCR反応の処理には適用できない。
【0013】
Alpha Helixは、EP1173284A1に開示されているように、遠心力の使用によって熱均質化の速度を増加させることに基づく代替アプローチを記載している。しかしながら、かかるアプローチは、遠心分離が可能な大型器具の使用を必要とするため、現場での携帯的な使用には全く適していない。
【0014】
最後に、ランプ又はマイクロ波のいずれかからの直接放射を使用するアプローチ(US27828606A)、及び冷却システムとして吹き出された周囲空気を使用するアプローチが記載されている。これらは、反応容積、非標準的な反応容器に関して同様の問題を抱えており、周囲空気は、より大きな反応容積を急速に冷却するには遅すぎる。
【0015】
要約すると、代替のアプローチは、小容積に依存するか、又はガラスのような材料から作製された容器を有するかのいずれかであり、これらは、高病原性生物を含む可能性のある試料の取り扱いには適していない。本明細書及び同時係属出願に記載される直接的な病原体の方法論は、最終反応容積の最大20%まで粗試料を添加する必要があるため、より大きな反応容積が必要となり、したがって、代表的な反応容積は、60μlの総反応容積中の10μlの粗試料、又は120μlの反応容積中の20μlの粗試料の範囲となり得る。
【0016】
これらの制限に対する技術的解決策は、試料ホルダ又は「ブロック」の要件を取り除き、反応容器全体を直接保持するために一対の対向するペルチェセルを使用し、反応容器の実質的に全てがペルチェ及び熱伝導チャンバ(TCC)表面と直接接触する、熱的に取り囲まれたチャンバを作成することである。これにより、熱が反応容器の内外に直接ポンピングされるように、複数の熱接合部及び試料ホルダ自体の質量が取り除かれる。これは、熱伝導性材料から形成され、増加した表面積対容積比を有する反応容器の使用と組み合わせられ、迅速な熱サイクリング及び容器内容物の平衡化を確実にする。
【0017】
従来の熱サイクラーでは、反応容器の一部が常に加熱部分の表面の上に露出され得る。サイクリング部分の内側の反応容器の実質的に全てを取り囲むことにより、全反応容積(液体)が迅速なサイクリング条件下で均一に循環し、そして凝縮を防止するために反応容器の上の加熱された蓋の必要性を除去することが確実となる。この実装形態は、取り囲まれた直接伝導チャンバの概念を示す熱伝導チャンバ(TCC)と称され、反応容器全体が実質的に温度制御されたチャンバの内部に位置し、したがって容器の内容物は、プロセスによって必要とされる均一な温度に迅速に達することができる。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書で説明される装置はまた、キャップ部分、例えば、二重目的キャップ部分を備える。二重目的キャップ部分は、典型的には、中央ペルチェを備え、a)容器の蓋を容器の本体に溶接するのに十分な温度まで加熱すること(及び付随して、任意の追加の余分な蓋材料を除去して、容器及び蓋がTCC内に完全に位置することを可能にすること)と、b)特定のアッセイのための反応条件に従って、適切な温度範囲の間で循環し、その結果、容器及び蓋がほぼ同じ温度であるため、容器の上部での凝縮の形成が防止される一方で、できるだけエネルギー効率の良いプロセスを維持することと、の両方が可能であり、これは、例えば、熱サイクリングデバイスが電池によって電力供給される場合に重要であると考えられる。二重目的キャップ部分の詳細は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0019】
第2の態様は、反応容器自体である。BG Research Ltdは、以前に、副壁が「光学的に透明」であり、主壁がカーボン充填ポリマーで形成されている、主壁及び副壁を有する反応容器を記載している(WO2017/055791)。反応容器及び接合された蓋として定義される容器システムは、2ショット射出成形プロセスによって単一部品として製造される。類似の容器は、元々はCepheidによって、そのSmartcycler(商標)システム(US5958349)で使用するために記載されたが、その場合、容器は、反応チャンバを作製するためにプラスチックフィルムが取り付けられた射出成形フレームで形成される。
【0020】
提案された容器は、バイオセキュリティを確実にするために溶接された蓋を有する高熱伝導性の壁を有する2ショット射出成形プロセスから構成されるという点で異なる。Cepheidのシステムは、熱サイクルを受けるホルダと接触する主壁のうちの1つのみを有している。
【0021】
この利点は、より大きな表面積対容積比によって達成される(図11)。本出願は、かかる反応容器(BGR及びCepheidの出願(以下の従来技術の項に示される))に対する改良点を記載するものであり、密封手段は、溶接された蓋の使用を通して改良され、溶接されるように設計された部分は、容器自体との単一のピース又は部分として形成される(図2.4)。Cepheidの容器は、ファーツリー型プッシュイン蓋を使用して容器を密封し、次いで、ピギーバックTEC(一方が他方の背面温度を制御する)によって容器の単一の主壁を加熱している。背景技術のBGR IPは、反応容器のいずれかの側にTECを使用しているが、試料ホルダの必要性を除去することで熱サイクル速度及び均一さを大きく改善することができるという点で、本出願で記載された改善点とは正反対の試料ホルダを有している。したがって、両方の場合において、従来のBG Research IPのねじ込み式の蓋又はCepheidの容器のファーツリー型キャップは、反応物の流出を防止するための固定手段又は蓋が、任意の容器の加熱された部分に隣接する試料ホルダの利用可能な幅よりも大きいため、それらの全体を等温チャンバ内に配置することができない。このため、容器内に非加熱面による低温スポットが生じ、熱サイクル速度を遅くし、重要な平衡化時間が遅くなる。
【0022】
熱チャンバの外側の任意の容器構造は、異なる速度で熱的に循環し、放射及び伝達及び伝導に起因する損失を通して容器内容物の温度に影響を及ぼす。容器ホルダの外側の容器の部分は、ペルチェ(TEC)から熱を奪うことが知られており、また、蓋がカーボン充填容器ほど熱伝導性ではないため、速度は低いものの、熱サイクルも可能である。これは、容器内容物の熱サイクルの速度を低下させるか、又は液体内容物内に温度勾配を生じさせる効果を有し、RNA変性の複合効果及びより不十分なPCR性能により、結果までの時間の増加又は感度の低下につながる。これは、ヒータへのより大きな電力入力を提供することによって部分的に克服することができるが、携帯型電池式デバイスでは電池寿命が低下するため、検査件数が低下することになる。
【0023】
したがって、容器を溶接して閉じることで、容器の上部と同じ外部寸法とすることが可能な反応チャンバの上部に蓋を形成することが可能になり、完全にバイオセキュアとなるという二重の利点を有する(図4.1及び図4.3)。容器の上部と同じ外部寸法を有するシールを有することで、容器全体をTCC内に降ろすことができる(図4.3)。提案されている蓋の形状は、容器全体を実質的にチャンバ内に収めることを可能にする。溶接された表面は、容器をバイオセキュアにし、PCR熱サイクリング容器の文脈においてこれまでに記載されていない恒久的なシールを形成する。
【0024】
本明細書における以前に公開された文献又は任意の背景の列挙又は考察は、必ずしも、その文献又は背景が最新技術の一部であるか、又は共通の一般知識であることの承認として解釈されるべきではない。本開示の1つ以上の態様/実施形態は、背景問題のうちの1つ以上に対処してもよく、又は対処しなくてもよい。
【発明の概要】
【0025】
第1の態様によれば、
互いに実質的に対向して配置された第1及び第2のペルチェデバイスと、
第1のペルチェデバイスと第2のペルチェデバイスとの間に実質的に画定され、使用中に反応容器を取り囲んで反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された熱伝導チャンバと、を備える、装置が提供される。
【0026】
熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の外部表面領域の全て又は実質的に全てに物理的に接触するように構成され得る。
【0027】
反応容器は、その内容物の光学的インターロゲーションのための1つ以上の窓部分を備えてもよく、熱伝導チャンバは、1つ以上の窓部分、又は1つ以上の窓の一部分、例えば、容器の上部近傍の窓の一部分を除いて、使用中に反応容器の外部表面領域の実質的に全てに物理的に接触するように構成され得る。
【0028】
熱伝導チャンバは、互いに物理的に接触して反応容器を取り囲むように構成された2つ以上の別個の部分を備えることができる。
【0029】
熱伝導チャンバは、一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面から少なくとも部分的に形成され得る。熱伝導チャンバは、両方のペルチェデバイスの第1の面から少なくとも部分的に形成され得る。一部の好ましい実施形態では、熱伝導チャンバは、完全に、又は実質的に完全に、両方のペルチェデバイスの第1の面から形成される。蓋の上部の第3のペルチェ面は、熱サイクルプロセス中に熱伝導チャンバを完成させることができる。
【0030】
各ペルチェデバイスの第1の面は、セラミック、金属、合金、アルミニウム、銅、酸化アルミニウム、及び窒化アルミニウムのうちの1つ以上から形成され得る。
【0031】
熱伝導チャンバは、一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面に取り付けられた熱伝導性材料のフレームを備えることができる。
【0032】
一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面は、それへのフレームの取り付け(例えば、はんだ付けによる)を容易にするために金属コーティングを含み得る。
【0033】
金属コーティングはニッケルを含み得る。
【0034】
熱伝導チャンバは、使用中に各ペルチェデバイスの第1の面と接触して配置されるように構成された熱伝導性材料の取り外し可能なフレームを備えることができる。
【0035】
フレームは、セラミック、金属、合金、銅及びアルミニウム(又は同様の熱伝導性材料)のうちの1つ以上から形成され得る。
【0036】
反応容器は、2つの主壁及び2つの副壁によって画定される略矩形の断面を有してもよく、熱伝導チャンバは、各ペルチェデバイスが使用中に反応容器のそれぞれの主壁に隣接するように構成されてもよい。
【0037】
反応容器は、蓋を有してもよく、熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の蓋がペルチェデバイス間に位置決めされるように構成されてもよい。
【0038】
反応容器は、フランジ付き蓋を有してもよく、熱伝導チャンバは、使用中にフランジ付き蓋がペルチェデバイス間から突出するように構成されてもよい。この配置は、反応容器の取り扱い/取り外しを補助することができる。
【0039】
熱伝導チャンバは、実質的に対称な構成を有することができる。
【0040】
反応容器は、フランジのない蓋を有してもよく、熱伝導チャンバは、実質的に対称又は非対称の構成を有してもよい。
【0041】
熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の蓋に物理的に接触するように構成されたキャップ部分を備えることができる。
【0042】
キャップ部分は、反応容器の蓋が、熱伝導チャンバを画定する第1及び第2のペルチェデバイスによる加熱から独立して加熱されることを可能にするように構成される、加熱要素を備えることができる。
【0043】
上述のように、キャップ部分は、少なくとも2つの用途を有することができ、すなわち、一部の実施形態では、キャップ部分は、二重目的キャップ部分である。二重目的キャップ部分の第1の目的は、第1及び第2のペルチェと組み合わせて機能し、TCCの第3の壁を形成し、TCC内の容器の迅速かつ適切な加熱/冷却を確実にすることであり得る。一部の実施形態では、キャップ部分は第3のペルチェを備え、一部の更なる実施形態では、第3のペルチェの第1の面は、容器がTCC内のその場にあると、容器の蓋部分に直接接触する。本発明のキャップ部分は、好ましい実施形態では、熱サイクリングが可能であり、熱伝導チャンバを画定する第1及び第2のペルチェと同様又は同じサイクリングプログラムに従うように設定することができる。当業者は、一部の実施形態では、キャップ部分の熱サイクリングプログラムは、熱伝導チャンバを画定する第1及び第2のペルチェデバイスの熱サイクリングプログラムからわずかにオフセットされること、すなわち、キャップ部分は、熱伝導チャンバが同じ温度に達する数秒又は数ミリ秒前に必要な温度に達するべきであることを理解するであろう。
【0044】
二重目的キャップ部分が有し得る第2の目的は、蓋を容器に溶接することができること、すなわち、容器及び/又は蓋の材料を溶融させて、2つが完全に密封されるように、十分に長い期間にわたって十分に高い温度に加熱することができることである。溶接動作を実行する際に、キャップ部分はまた、容器及び蓋がTCC内に完全に着座することを可能にするために、任意の追加の余分な蓋材料を除去する能力を有してもよい。例えば、一部の実施形態では、蓋は、密封された蓋を最終的に形成する材料以外の材料を含むことができ、例えば、フランジ付き部分を含むことができる。一部の実施形態では、キャップ部分は、蓋を容器内に圧力溶接し、容器の外面に張り出す蓋からの任意の材料が除去される。一部の実施形態では、キャップ部分は、蓋を容器内に押し、容器の外面に張り出す蓋からの任意の材料が除去される。
【0045】
キャップ部分は、ペルチェデバイス(第3のペルチェデバイスと称される)を備えることができる。
【0046】
加熱要素は、反応容器の蓋を100、150、200、250、又は300℃まで加熱するように構成され得る。
【0047】
キャップ部分は、温度センサを備えることができる。
【0048】
各ペルチェデバイスは、第1の面及び第2の面を有してもよく、各ペルチェデバイスの第1の面及び第2の面は、1つ以上の個別の温度センサを備えてもよい。
【0049】
装置は、温度センサから測定値を受信し、受信した測定値に基づいて(例えば、必要な設定点に関連して)熱伝導チャンバの第1のペルチェデバイス、第2のペルチェデバイス、及びキャップ部分(例えば、キャップ部分内に存在する第3のペルチェ)のうちの1つ以上の温度を制御するように構成されたコントローラを備えることができる。第1のペルチェデバイス、第2のペルチェデバイス及び/又はキャップ部分(例えば及び/又はキャップ部分内に存在する第3のペルチェ)の温度は、独立して制御されてもよい。
【0050】
コントローラは、ペルチェデバイス及びキャップ部分に共通の温度サイクルを適用するように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、コントローラは、第1のペルチェ及び第2のペルチェに共通の温度サイクルを適用し、第3のペルチェに共通の温度サイクルを適用するが、わずかに進んだ時点で適用するように構成される。
【0051】
コントローラは、(例えば第3のペルチェの)キャップ部の温度サイクルが第1及び第2のペルチェデバイスの温度サイクルに対して進むように、時間的オフセットを適用するように構成され得る。
【0052】
各ペルチェデバイスの第2の面は、ファンを有するヒートシンクを備えてもよく、コントローラは、ペルチェデバイスの第1及び/又は第2の面上の温度センサから受信した測定値に基づいて、ファンの速度を制御するように構成され得る。
【0053】
キャップ部分は、セラミックと、セラミックと反応容器の蓋との間の熱の伝達を容易にするように構成された金属板とを備えることができる。
【0054】
セラミックは、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムを含むことができ、金属プレートは、アルミニウム又は銅を含むことができる。
【0055】
キャップ部分は、金属を含むことができ、加熱要素は、金属内に形成されたワイヤヒータを備えることができる。
【0056】
金属は、アルミニウム又は銅を含んでもよく、ワイヤヒータは、ニクロムから形成されてもよい。
【0057】
キャップ部分は、反応容器の蓋がキャップ部分に付着するのを防止するように構成された非粘着性コーティングを含むことができる。
【0058】
非粘着性コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン及びキシラン(又は当該技術分野で既知の類似物)のうちの1つ以上を含み得る。
【0059】
キャップ部分は、熱伝導チャンバの別の部分にヒンジ式に又は取り外し可能に結合され得る。
【0060】
反応容器は、フランジ部分を備えるフランジ付き蓋を有してもよく、熱伝導チャンバのキャップ部分は、フランジ付き蓋のフランジ部分を除去するための切断手段を備えてもよい。
【0061】
熱伝導チャンバは、使用中にキャップ部分が反応容器の蓋に圧力を加えるように構成され得る。
【0062】
熱伝導チャンバは、基部部分を備えることができ、装置は、使用後に熱伝導チャンバから反応容器を排出するために基部部分に形成された排出システムを備えることができる。
【0063】
排出システムは、温度センサを備えてもよく、温度センサによって測定された温度が所定の閾値を超えると、反応容器の加熱を自動的に停止するように構成されてもよい。
【0064】
排出システムは、使用中に反応容器を熱伝導チャンバのキャップ部分に向かって押し付けるように構成された付勢手段を備えることができる。
【0065】
キャップ部分は、熱伝導チャンバからの反応容器の取り外しを可能にするために開かれるように構成されてもよく、排出システムは、キャップ部分が開かれると反応容器が基部部分から持ち上げられるように、キャップ部分に結合されてもよい。
【0066】
装置は、ペルチェデバイスを互いに押し付けて、反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された付勢手段を備えることができる。
【0067】
ペルチェデバイスの一方又は両方は、他方のペルチェデバイスに向かってばね付勢されてもよい。
【0068】
装置は、ペルチェデバイスを一緒に保持して、反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された締結手段を備えることができる。
【0069】
装置は、1つ以上の更なるペルチェデバイスを備えてもよく、熱伝導チャンバは、反応容器を取り囲むように、第1の、第2の、及び更なるペルチェデバイスの間に実質的に画定されてもよい。
【0070】
熱伝導チャンバは、単一の反応容器又は複数の反応容器を取り囲むように構成され得る。
【0071】
本装置は、2つ以上の接続可能なモジュールを備えてもよく、各モジュールは、第1及び第2のペルチェデバイスと、1つ以上の反応容器を取り囲むための関連付けられた熱伝導チャンバとを備える。
【0072】
装置は、反応容器を更に備えることができる。
【0073】
反応容器は、ポリメラーゼ連鎖反応法、分子酵素プロセス、等温増幅プロセス又は抗体媒介反応における使用に好適であり得る。
【0074】
更なる態様によれば、本明細書に記載の装置を使用する方法が提供され、該方法は、
熱伝導チャンバ内に反応容器を位置決めすることと、
ペルチェデバイスを使用して、反応容器の内容物の温度を循環させることと、を含む。
【0075】
この方法は、ポリメラーゼ連鎖反応法、分子酵素プロセス、等温増幅プロセス又は抗体媒介反応の少なくとも一部を形成し得る。
【0076】
反応容器は、反応容器内に内容物を収容するために互いに結合されるように構成された本体及び蓋を備えることができる。本体及び蓋はそれぞれ、溶接可能部分を備えることができる。熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の蓋に物理的に接触するように構成されたキャップ部分を備えることができる。キャップ部分は、蓋がペルチェデバイスによる加熱とは独立して加熱されることを可能にするように構成された加熱要素を備えることができる。方法は、キャップ部分を使用して、本体に結合されたときに蓋を所定の温度まで加熱して、溶接可能な部分を融合させ、温度を循環させる前に反応容器内の内容物を完全に密封する(したがって、容器をバイオセキュアにする)ことを含むことができる。
【0077】
更なる態様によれば、互いに結合されて内部に内容物を収容するために構成された本体及び蓋を備える反応容器が提供され、本体及び蓋は、それぞれ、溶接可能部分を備え、溶接可能部分は、本体に結合されたときに蓋を所定の温度まで加熱することにより、溶接可能部分が溶融して反応容器内の内容物を密封するように構成されている。
【0078】
溶接可能部分は、本体及び蓋の対応するフランジ部分を備えることができる。
【0079】
蓋は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形の形状を有することができ、蓋のフランジ部分は、長辺及び短辺から延在することができる。
【0080】
蓋は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形の形状を有してもよく、蓋のフランジ部分は、短辺のみから延在してもよい。
【0081】
反応容器は、反応容器内の内容物を一時的に密封する(例えば、気密する)ために、本体のフランジ部分に接着するように構成された密封フィルムを備えることができる。
【0082】
蓋は、本体内の開口部を閉じるように構成された栓を含むことができる。
【0083】
蓋の溶接可能部分は、栓の周囲に形成された溶接ビードを含むことができる。溶接ビードは、本体への蓋の割り出しを容易にし、開口部を溶接するための増大した表面積を提供する。
【0084】
反応容器は、蓋と本体とが互いに結合されたときに蓋を本体に固定するように構成された締結手段を備えることができる。
【0085】
締結手段は、1つ以上のクリップを備えることができる。
【0086】
蓋又は本体は、それらの間の結合を誘導するように構成された1つ以上の直立部を備えることができる。
【0087】
本体は、溶接可能部分の溶融中に蓋から反応容器の内容物への熱の伝達を抑制又は遅延させるように構成されたカラーを備えることができる。カラーは、本体よりも熱伝導性が低い材料(例えば、断熱材料)から形成されてもよい。同じ材料を使用して蓋を形成することができる。
【0088】
本体は、2つの主壁及び2つの副壁によって画定される略矩形の断面を有してもよく、主壁及び/又は副壁は、蓋に向かって分岐してもよい。
【0089】
主壁及び/又は副壁は、1~2°の角度で分岐してもよい。これにより、成形プロセス中のツーリングからの反応容器の取り外しを容易にすることができる。
【0090】
蓋は、本体にヒンジ接続され得る。
【0091】
本体及び蓋の一方又は両方は、反応容器の内容物の識別を容易にするための識別子(例えば、バーコード)を含むことができる。
【0092】
当業者には、容器が、基部又は基部壁、すなわち、蓋が容器を閉じる位置にあるときに蓋に対して垂直に延在し、2つの主壁及び2つの副壁に接触する表面を備えることが明らかであろう。当業者は、いかなる液体も保持することができないため、基部のない構造は容器ではないことを理解するであろう。基部は、平坦であってもよく、湾曲していてもよい。基部が平坦である場合、基部は、容器の主壁及び副壁と垂直であってもよい。
【0093】
本体は、反応容器の内容物の光学的インターロゲーションのための1つ以上の窓部分を備えることができる。好ましい実施形態では、1つ以上の窓部分は、容器の副壁を含む。一部の実施形態では、窓は、副壁に位置し(すなわち、副壁は、光学的に透明な材料から作製される)、容器の基部から容器の上部まで延在する。好ましい実施形態では、窓は、基部壁に位置しない。同じ又は追加の実施形態では、窓は、副壁に位置し、副壁の下3分の1にだけ位置するわけではない。
【0094】
蓋及び本体の溶接可能部分は、熱可塑性物質又は金属から形成されてもよく、本体の窓部分は、光学的に透明な熱可塑性物質から形成されてもよく、本体の残りの部分は、熱伝導性材料から形成されてもよい。
【0095】
熱可塑性物質は、ポリプロピレン及びポリカーボネート(又は反応プロセスのために生体適合性であり、かつ光学的に透明である別の材料)のうちの1つ以上を含み得る。
【0096】
熱伝導性材料は、一次材料の熱伝導性を増大させるために二次材料が充填された一次材料を含んでもよく、一次材料は、ポリプロピレン、ガラス、アクリル、ナイロン、及びポリカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよく、二次材料は、炭素、黒鉛フレーク、黒鉛粉末、セラミック、窒化ホウ素、及びダイヤモンド粉末のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0097】
熱伝導性材料は、二次材料の40~80%を構成してもよい。
【0098】
熱伝導性材料は、二次材料の50~80%を構成してもよい。
【0099】
反応容器は、20~120μl、例えば、
a)20~120μl、又は30~110、40~100、50~90、60~80若しくは70μl、
b)少なくとも20μl、例えば、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110若しくは少なくとも120μl、及び/又は
c)120μl未満、例えば110、100、90、80、70、60、50、40、30、20μl未満の容積を有することができる。
【0100】
反応容器は、0.4~1.0mm、好ましくは約0.6mmの壁厚を有することができる。例えば、一部の実施形態では、反応容器は、
a)0.4~1.0mm、若しくは0.5~0.9、若しくは0.6~0.8mm、
b)1.0mm未満、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4mm未満、及び/又は
c)少なくとも0.4mm、若しくは少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8若しくは少なくとも0.9mm、又は
d)0.6mmの壁厚を有することができる。
【0101】
反応容器は、1:0.30~1:0.82、好ましくは1:0.65~1:0.73の表面積対容積比を有することができる。一部の実施形態では、反応容器は、
a)1:0.3~1:0.82、例えば1:0.3~1:0.7、1:0.4~1:0.6、若しくは1:0.65~1:0.73、及び/又は
b)少なくとも1:0.3、例えば、少なくとも1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.65、1:0.7、1:0.73、1:0.8、1:0.9の表面積対容積比を有する。
【0102】
反応容器は、ポリメラーゼ連鎖反応法、分子酵素プロセス、等温増幅プロセス又は抗体媒介反応における使用に好適であり得る。
【0103】
内容物は、DNA/RNA試料、1つ以上のプライマー、及び1つ以上の重合酵素を含むことができる。これらは、ピペッティングステップの数を減らし、コールドチェーンの問題を取り除くために、容器内で凍結乾燥されてもよい。
【0104】
本発明の反応容器の特有の寸法が特有の補助装置を必要とすることは、当業者には明らかであろう。WO2019/207308によれば、本発明者らは、核酸増幅に関連して遠心分離を使用することが特に有利であることを見出した。
【0105】
これを考慮して、本発明はまた、本発明の容器を保持し、遠心分離することができる遠心分離機を提供する。本発明の遠心分離機は、本発明の容器を保持するように構成された少なくとも2つの開口を備える。
【0106】
一部の実施形態では、本発明の遠心分離機は、少なくとも2つの開口部を有するロータを備え、各開口部は、2つの長辺及び2つの短辺を備え、実質的に矩形又は矩形の横断面を有する。
【0107】
更なる態様によれば、本明細書に記載の反応容器を作製する方法が提供され、該方法は、
光学的に透明な熱可塑性樹脂を射出成形して、蓋及び本体の溶接可能部分並びに本体の窓部分を形成することと、
熱伝導性材料を射出成形して、本体の残りの部分を形成することと、を含む。
【0108】
光学的に透明な熱可塑性物質は、型の研磨された部分に射出されて窓部分を形成することができる。
【0109】
本発明はまた、反応容器が本明細書で定義される本発明による反応容器である、本明細書で定義される本発明の装置を提供する。
【0110】
本発明はまた、本明細書に記載される本発明による反応容器及び本明細書に記載される本発明による装置を備えるシステムを提供する。
【0111】
本発明はまた、本明細書に記載される本発明による反応容器と、本明細書に記載される本発明による遠心分離機と、を含むキットを提供する。
【0112】
本発明はまた、本明細書に記載される本発明による装置と、本明細書に記載される本発明による反応容器と、を含むキットを提供する。
【0113】
本発明はまた、本明細書に記載される本発明による装置と、本明細書に記載される本発明による遠心分離機と、を含むキットを提供する。
【0114】
本発明はまた、本明細書に記載される本発明による装置と、本明細書に記載される本発明による遠心分離機と、本明細書に記載される本発明による反応容器と、を含むキットを提供する。
【0115】
更なる態様によれば、添付の図面を参照して本明細書で実質的に説明され、添付の図面によって示される装置が提供される。
【0116】
本明細書に開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、又は当業者によって理解されない限り、開示される正確な順序で行われる必要はない。
【0117】
本明細書に開示される方法のうちの1つ以上を実装するための対応するコンピュータプログラム(キャリア上に記録されてもされなくてもよい)もまた、本開示内にあり、説明される例示的な実施形態のうちの1つ以上によって包含される。
【0118】
本開示は、1つ以上の対応する態様、例示的な実施形態、又は特徴を、単独で、又は種々の組み合わせで、その組み合わせ又は単独で(特許請求の範囲を含めて)具体的に述べられているか否かにかかわらず含む。説明した機能のうちの1つ以上を実行するための対応する手段も本開示の範囲内である。
【0119】
上記の概要は、単なる例示であり、非限定的であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
次に、添付の概略図を参照して、単なる例として説明を行う。
【0121】
図1.1】上から見た熱伝導チャンバを示す。
図2.1】側面から開いた状態の反応容器を示す。
図2.2】側面からの図2.1の反応容器を断面で示す。
図2.3】図2.1の反応容器を正面から示す。
図2.4】図2.1の反応容器を斜視図で示す。
図2.5】開いた状態の別の反応容器を斜視図で示す。
図2.6】図2.5の反応容器を側面から示す。
図2.7】図2.5の反応容器を正面から示す。
図2.8】図2.5の反応容器を上から示す。
図3.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図3.2】正面からの図3.1の熱伝導チャンバを断面で示す。
図4.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図4.2】正面からの図4.1の熱伝導チャンバを断面で示す。
図5.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図5.2】正面からの図5.1の熱伝導チャンバを断面で示す。
図5.3】上方からの図5.1の熱伝導チャンバを断面で示す。
図5.4】図5.1の熱伝導チャンバを分解斜視図で示す。
図6.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図6.2】正面からの図6.1の熱伝導チャンバを断面で示す。
図6.3】図6.1の熱伝導チャンバを分解斜視図で示す。
図7.1】別の反応容器を斜視図で示す。
図7.2】側面からの図7.1の反応容器を断面で示す。
図7.3】図7.1の反応容器を正面から示す。
図7.4】別の反応容器を斜視図で示す。
図7.5】側面からの図7.4の反応容器を断面で示す。
図7.6】図7.4の反応容器を正面から示す。
図8.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図8.2】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図9.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図9.2】図9.1の熱伝導チャンバを正面から見た分解図で示す。
図9.3】図9.1の熱伝導チャンバを側面から見た分解図で示す。
図10.1】正面からの別の熱伝導チャンバを示す。
図10.2】図10.1の熱伝導チャンバを正面から見た分解図で示す。
図10.3】図10.1の熱伝導チャンバを側面から見た分解図で示す。
図11】反応容器の異なる容積についての表面積対容積比を示す。
図12.1】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するプロセスを示す。
図12.2】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するプロセスを示す。
図12.3】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するプロセスを示す。
図12.4】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するプロセスを示す。
図12.5】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するプロセスを示す。
図12.6】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するプロセスを示す。
図13.1】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するための別のプロセスを示す。
図13.2】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するための別のプロセスを示す。
図13.3】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するための別のプロセスを示す。
図13.4】熱伝導チャンバ内に配置する前にフランジ付き反応容器を溶接し切断するための別のプロセスを示す。
図14】挿入され、冷却され、溶接の準備ができた容器である。
図15】溶接ユニットダウン、溶接容器である。
図16】溶接ユニット、容器、エジェクタダウン、熱サイクルである。
図17】溶接前及び溶接後の反応容器である。
図18】熱伝導チャンバ(TCC)である。
図19】熱伝導チャンバ(TCC)である。
【0122】
特定の態様/実施形態の説明
反応容器
反応容器の異なる実施形態を図2図7及び図11(副図を含む)に示す。
【0123】
図2(フランジ付き容器)
容器の概略図は、主壁9(ペルチェとの直接接触を介した熱伝導のための高表面積)及び副壁13(光学的インターロゲーションのため)を有するフランジ付き容器10の重要な特徴を示す。ヒンジ機構4及びクリップ6も示されている。促進する主な設計機能:
-延長フランジ10及びクリップ6を介した容器の取り扱い。
-溶接ビード12(栓及び開口部を蓋に溶接するためのより高い表面積)を設計することによって、蓋10を容器本体に溶接する。
-使用前に凍結乾燥試薬を「腐らせる」であろう、容器からの凍結乾燥試薬の流出又は空気/湿気の進入を防止するために、容器開口部を覆うように、フランジ領域10上に接着剤又は熱ベースのフィルムで容器を一時的にフィルム化する。
【0124】
図7(トリミングされた容器)
図7.1~図7.3の概略図は、容器全体が実質的に熱伝導チャンバ内に位置することを可能にするために、溶接後に最も長い側のフランジ2、7が切り取られた容器を示す。これは、容器全体及び内容物が熱サイクルプロセス中に実質的に同じ温度であることを確実にする。
【0125】
クリップ及びヒンジは、熱伝導チャンバ6~8の外側に位置してもよく、又はトリミングされてもよく、好ましくは、フランジ、クリップ及びヒンジをトリミングする。
【0126】
実施形態は、1つ以外の同一の特徴セットを共有し(図7.4~図7.6)、溶接プロセスのための更なる表面積を提供するフランジの追加を有し、完全な個人保護装置(PPE)を着用している作業者によってより容易に操作可能である。
【0127】
図2の反応容器は、2ショット射出成形プロセス9、10、13を使用して単一部品として形成される。容器は、一部のセクション10、13において光学的に透明なポリプロピレンから形成され、残りは炭素充填ポリマー9から形成される。好適な充填量は、50~60%の炭素の範囲であるが、窒化ホウ素又は他のセラミック及び異なる形態の炭素を含む、他の熱伝導性材料及び好適な組成物が当技術分野で知られている。
【0128】
記載された反応容器は、反応の表面積対容積比を最大にし、重要なことに、壁と物理的に接触している反応の割合を最大にする。設計上の制限は、ピペットチップを用いて容器内に液体を入れ、ガラスキャピラリーベースの容器の使用に見られるような反応を遠心分離しなければならないという負担を導入しないという要件である。
【0129】
容器は、実質的に3つの部分、すなわち-反応チャンバ(チューブ)9、光学窓13及び蓋10からなる。
【0130】
図11(表面対容積比)
図11は、容器壁厚(したがって、内部反応容積を変化させる)及び容器表面積に関連する、必要とされる高い表面積対容積比の計算を示す。反応容器は、20~120μlの範囲、好ましくは50~100μlの範囲の総容積で熱サイクル反応を保持するように設計されている。したがって、反応容器は、1:0.30(7.21μlの試料容積)~1:0.82(190.28μlの試料容積)、好ましくは1:0.65(50μlの試料容積)~1:0.73(100μlの試料容積)の表面積対容積比を有する。対照的に、50μlの試料容積を有する従来のPCRチューブは、1:1.3の表面積対容積比を有する。
【0131】
図2の反応容器は、2つの対向する主壁1及び2つの副壁13から形成され、副壁には、2つの熱電デバイス間に締まり嵌めを形成することができるように、1~2度の範囲のテーパがある。
【0132】
容器の主壁及び基部は、炭素充填ポリマーから形成され、熱電冷却器の作用面と締まり嵌めを形成するのは、これらの表面である。
【0133】
容器の副壁の両方は、透明なポリマーから形成され、したがって、基部及び両方の主壁が成形され、次いで、光学窓、反応チャンバの上部セクション、及び蓋が、2ショット射出成形プロセスの一部として第2ショット成形される。2つの材料の壁厚は、0.4~0.8mmの範囲の厚さであるが、好ましくは0.6mmの厚さである。
【0134】
光学窓13は、金型の高度に研磨された部分に形成され、光学透明性を確保する。ポリプロピレンは、その光学特性、プロセスに対する生体適合性、及びその溶融温度、したがって溶接プロセスに対する適合性の両方のために選択されている。
【0135】
反応チャンバの上部は、ポリプロピレン材料のリングによって囲まれて、溶接部のための底面を形成し、この追加の材料は、図1Aにおいて強調されている。蓋は、透明であるが、通常、光学的インターロゲーションには使用されない。
【0136】
ヒンジ4は、溶接プロセスが行われるための正しい位置に蓋を確実に戻すとともに、蓋が反応チャンバ/チューブとともに保持されることを確実にし、この表面は、(試料追跡及び機器のプログラミングを支援するための)バーコード配列の追加のために任意選択で利用されてもよい。
【0137】
蓋2、10は、溶接プロセスによって恒久的に密封され、ポリプロピレンの場合、これは、160~250℃の範囲の温度が適用されることを必要とする。溶接温度は、別個のデバイス、「溶接ステーション」によって促進され得るか、又は器具内で使用される加熱要素の場合、これは、その場で実施され得るかのいずれかである。溶接プロセスに必要とされる熱エネルギーは、2つの嵌合表面7、10の間の一貫した恒久的なシールを確実にすることを補助するための圧力の要件を伴って、又は伴わずに、上方のみから、上方及び下方から印加されてもよい。蓋特徴は、溶接されるべき表面の全体の周囲の連続シールを確実にするために、溶接条件下で追加の材料を提供するであろう、追加の材料12の同心リングを具備してもよい。
【0138】
熱伝導チャンバ(TCC)
TCCの異なる実施形態が、図1図3図6、及び図8図10(部分図を含む)に示されている。
【0139】
図1
熱伝導システム及び蓋5、6、8の概略図である。容器は、それぞれが容器と接触しない表面上にヒートシンク1を有する2つの対向するペルチェデバイス内に配置される。
【0140】
図3及び図4(焼結TCC)
図は、特別に設計されたペルチェ2を示し、容器8と接触する側は、フランジを有する容器(図3)及びフランジを有さない容器(図4)を受容するように成形される。容器との密接な熱接触は、容器の中/外への迅速な熱伝達を確実にし、それによって、全体的熱サイクル時間及び結果をより迅速に報告する能力を低減させる。
【0141】
図5及び図6(はんだ付けされたTCC)
図面は、フランジレス(図5)又はフランジ付き(図6)とすることができる容器を受け入れるために、ペルチェの1つの面上にはんだ付けされたアルミニウム又は銅のような熱伝導性材料から作製された熱伝導チャンバ4を示す。容器との密接な熱接触は、容器の内外への迅速な熱伝達を確実にし、それによって、全体的な熱サイクル時間及び結果をより迅速に報告する能力を低減する。蓋5は、熱伝導性材料で作られ、実質的に等温の環境で容器を収容する熱伝導チャンバを完成させ、その温度は、サイクリング温度設定点によって決定される。
【0142】
図8(金属TCC)
図8.1は、熱伝導チャンバの壁がペルチェ面の外側に延在するように、容器を受容するペルチェの面にはんだ付けされる、金属又は他の好適な熱伝導体から作製される、熱伝導チャンバ6、7内に着座するフランジ付き容器8を示す。蓋7は、熱伝導性材料から作製され、実質的に等温環境内に容器を収納する熱伝導チャンバを完成させ、その温度は、サイクリング温度設定点によって決定付けられる。
【0143】
フランジ7、8は、金属ホルダ内に位置し、はんだ付けプロセス中にアンビルとして作用する。
【0144】
図9及び図10(取り外し可能なフレームTCC)
図9は、金属製又は同様の伝導性材料製の熱伝導チャンバ5が自立型の実体である実施形態を示す。フランジ付き(図9)又はフランジなし(図10)であり得る容器が、金属キャリア内に配置され、受容ペルチェ3内に挿入される。次いで、効率的な熱伝達のためにペルチェ面が容器の主壁に接触するように、アセンブリ全体が正の機械的圧力下で一緒に保持される。プロセスの終わりに、金属キャリア及び容器は、アセンブリから除去され、プロセスは、更なる試験容器について繰り返される。
【0145】
TCC(図1)の概念は、能動的に温度制御された表面と熱的に接触している反応容器の表面の実質的に全てによって定義される。Idaho TechnologyのLightcycler(商標)及びCorbettのRotorgene(商標)のようなデバイスは、反応容器を等温チャンバ中に配置することを記載しているが、これらは、この定義を満たさない。Lightcycler(商標)の場合、それらは、ガラスキャピラリーへのプラスチックヘッドを有し、これらは、空気オーブンの外側の金属製ホルダ中に位置し、したがって、試薬は、チャンバ中に存在するが、容器の一部は存在しない。同様に、Rotorgene(商標)は、回転ホルダを有し、これもまた、チャンバと同じ速度で熱サイクルしない。加えて、それらは、材料表面との物理的接触を有することとは対照的に、空気を通した加熱に依拠し、したがって、それらは、実質的に同一温度であり得るが、表面の物理的接触はなく、両方とも、容積が約30μlに限定される。
【0146】
2つのペルチェデバイス(図3図6)は、それらの排熱能力を最大化するために、それらの基部面を形成するか又は基部面にはんだ付けされたヒートシンクを有する。これらの各々に対してファン及び調速機が設けられ、最大量の熱を排除することができ、そうすることによって、デバイスの冷却速度を最大にすることができる。加熱は、デバイスの純粋な抵抗ベースの加熱によって補助され得るが、冷却は、ヒートポンピングに完全に依存する。ヒートポンピングを最大化するためには、ポンピングされた熱を可能な限り迅速に排除することが必要である。ペルチェの低温面の温度を測定する温度センサがあり(図1)、これは、高温面上の温度センサ及びファン速度変調とともに、ここで想定される電池駆動のポータブルデバイスなどの電力節約が重要である環境において、高温面のインテリジェント/予測的冷却を確実にする。ヒートパイプベースの熱交換器は、特に容器内容物の冷却中に熱伝達を最大化するために使用され得る。
【0147】
ペルチェデバイスの低温面は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムなどのセラミックから製造することができるが、他の材料は、アルミニウム又は当技術分野で知られている同様の金属及びセラミックを含むことができる。窒化アルミニウムは、酸化アルミニウムよりも高い熱伝導率を有し、焼結などの製造方法に適合するという利点を有する(図3及び図4)。
【0148】
各ペルチェ及び熱交換器は、TCC5、6a及び6b、熱交換器1又はチューブ排出機構4(図1)内のペルチェの高温側及び低温側のそれぞれに配置された温度センサを有し、容器内容物内の最適な温度制御及びプロセス中のエネルギーの保存とともにペルチェの高温側での最大の熱除去を確実にする。
【0149】
重要なことは、ペルチェ自体が、容器の熱伝導性の主壁に(好ましくは直接)接触するホルダを形成し、したがって、ペルチェとホルダとの間及びホルダと容器との間の熱接合を除去し、これをペルチェと容器との間の単一の熱接合に低減することである。
【0150】
チャンバによって、出願人は、反応容器の全ての表面が、能動的に温度制御された表面と実質的に良好な熱接触状態にあることを意味する。唯一の例外は、光学的に透明な副壁10内の小さなセクションであり、これは、密封された容器内で行われるRT-qPCRプロセスから生じる蛍光発光を観察するための要件によって必要とされ、容器の蓋のクリップ3及びヒンジ4機構である可能性がある(図7.5)。
【0151】
実際には、これは、容器の主壁1(図2参照)と熱電冷却器の作用面との熱接触によって提供され、基部及び副壁は、それ自体が2つのデバイス4の作用面と接触している薄い金属片7によって接触され、同様に容器の上部は金属製の蓋7によって接触される。したがって、容器は、プロセス中に所定の温度で実質的に等温であるが、異なる材料間の温度伝達遅延による差を許容する(図1)。
【0152】
チャンバの上部において、蓋10は、熱電デバイスの2つの低温面を再び橋渡しする金属ストリップと熱的に接触しており、それらと実質的に等温であるか、又は必要に応じて能動的に温度制御することができる。この、チャンバの上部セクションは、開かれることができ、容器が定位置に設置され、次いで、蓋が閉鎖されることができるように、配置される。これは、容器の基部及び壁における良好な熱接触を確実にする下向きの圧力の印加を可能にするという追加の利点を有する。これは、チャンバの上部からの熱損失を防止するために、絶縁材料で裏打ちされた金属のストリップの形態をとることができる。
【0153】
容器全体がチャンバ内に入ると、直接RT-qPCRプロセスの終了時に反応容器を排出するための手段が設けられなければならない(図1図3及び図4)。これは、容器を保持する熱伝導チャンバの一部を形成し、同じ材料で作製された排出プレートによって提供される。そうすることにより、プレートをTCCの基部から持ち上げ、反応容器を押し上げて、オペレータが反応容器を取り出すことができるように十分に押し出す。同時に、カムシステムを使用して、デバイスの蓋の動作を排出プレートに接続し、蓋が持ち上げられるときに容器を自動的に排出する手段を提供することができることが想定される。
【0154】
熱制御に関して、ペルチェの各々の温度を独立して監視するための回路が提供される。これは、熱電コントローラ(図1図3及び図4)ごとに1つのサーミスタ又は他の温度感知デバイスを意味する。温度を監視し、それに応じて供給される電流を変更して、所望の熱プロファイルが追従されることを確実にする回路が提供される。代替的な実施形態では、TECデバイスごとに2つの温度測定センサが設けられる。これらのうちの1つは、基部面(図3図5)に取り付けられてもよく、第2のものは、作業面(図3図6)に取り付けられてもよく、基部面は、ヒートシンクが取り付けられるものであり、その利点は、関連するファン及びヒートシンクの速度を変化させることによって、基部面の周囲温度を事実上設定することができることである。別の温度センサが、排出機構を保持するピストン内に搭載されてもよい。加熱が差し迫って必要とされるとき、ヒートシンク温度を上昇させることが可能であり、その結果、この熱は、次いで、作用面内に急速にポンピングされることができ、同様に、冷却が必要とされようとしているとき、ファンは、ヒートシンクをより低温にし、したがって、デルタTを低下させ、より効率的な冷却をもたらすように加速されることができる。温度センサはまた、TCC及び/又は排出プレートの本体内に配置されてもよい。
【0155】
溶接プロセス
溶接プロセスの間、容器の熱に不安定な内容物が熱損傷から保護されることが重要である。図12及び図13(副図を含む)は、これをどのように達成することができるかの2つの異なる例を示す。両方の例において、容器の内容物は、溶接プロセス中にペルチェによって冷却されるが、ペルチェと内容物との間に十分な熱の伝達があることを確実にするために異なる手段が使用される。
【0156】
図12(取り外し可能なピラー)
この溶接プロセスは、フランジ付き容器が、本明細書で溶接アンビル2と称される保持構造内の所定の位置に保持されることを必要とする。アンビルは、溶接ヘッド3からの熱及び下向きの圧縮圧力が、反応容器5(蓋及び容器フランジを備える)上に溶接部を生成することを可能にする。溶接ヘッドは、溶接される領域にわたって力が及ぼされる間、所定の期間にわたって180~250℃の温度に保たれる。
【0157】
溶接ヘッドは、カッターを有してもよく、又はカッターを有する非粘着性の熱拡散金属板に取り付けられて、溶接及び切断後にフランジが(もしあれば)ほとんど残らないように容器のフランジを除去してもよい。次いで、溶接ヘッド3は、溶接プロセス中に使用された金属保持構造2、4が除去された後に、フランジレスチューブをTCC内に押し込む。溶接ヘッド又は熱拡散プレートは、TCCのキャップ部分として機能する。
【0158】
図に示されるように、容器は溶接ホルダ内に配置される(図12.1)。溶接ヘッドは、次いで、必要な温度まで加熱され、余分なプラスチック(フランジ、ヒンジ、及びクリップ)は、ペルチェが容器内容物を20~30℃に保ちながら除去される(図12.2)。容器は溶接構造から取り出され(図12.3)、溶接構造は廃プラスチックとともに除去される(図12.4)。次に、溶接ヘッド(ヒータのスイッチを切り、周囲温度まで冷却させる)を使用して、容器をTCCに押し込み(図12.5)、次いで、TCCは、生物学的プロセスを開始する準備ができているペルチェ面内に位置する(図12.6)。
【0159】
図13(膨張TEC)
この例では、TCCの底部にある排出機構6を使用して、熱に不安定な内容物が溶接プロセス中にペルチェによって冷却される正しい高さにある所定の位置に容器を持ち上げて保持する(図13.1)。チューブの内容物は、容器の主壁に作用する冷却モードの2つのペルチェ1で低温に保たれ、容器は更に溶接アンビル2によって所定の位置に保持される。容器と接触するペルチェ面は、ペルチェ面が持ち上げられた容器の下部と接触するのに必要な角度を可能にするように、機械的に互いに近づくように押される。次に、溶接ヘッド3又は熱拡散プレートが容器を溶接し、余分なプラスチック4を除去することができるようにそれを切断する(図13.2)。次いで、溶接ヘッド又は熱拡散プレートがフランジレス容器をTCCに押し込む前に、垂直支持体/エジェクタ6が稼働位置まで下降される(図13.3)。反応プロセスが開始できるように、機構は、ペルチェ面が開放されることを可能にし、容器及びペルチェが下降位置で互いに接触することを可能にする(図13.4)。
【0160】
容器溶接方法
図14:予備溶接
1 容器が器具上の保持トレイ(5)に配置される
2 容器エジェクタ(7)は、溶接プロセス中に容器の基部を支持するように完全に「上の位置」にある
3 溶接ヘッド(4)は容器蓋の上方に配置される
4 溶接ヘッドは、内蔵温度センサ(3)によって測定される溶接温度まで上昇する
図15:溶接
1 容器は、2つのTEC(9,10)が容器と接触するように配置され、TECは、容器の内容物が溶接プロセス中に40℃未満に保たれることを確実にするために予め冷却される
2 溶接ヘッドが容器蓋上に配置される
3 容器蓋をフランジに溶接することを可能にする予め設定された温度/時間の後、容器ホルダの開口部を通して押し込む(図17参照)
4 TEC(2)を使用して溶接ヘッドを冷却する
【0161】
熱サイクル
図16:熱サイクル
1 TEC(9,10)は、容器(6)との良好な機械的/熱的接触を行うように移動する
2 エジェクタ(7)は、チューブの基部を機械的/熱的に支持する
図19:制御温度蓋(4)は、反応容器(5)がTCC右(3)、TCC左(2)及びエジェクタ(4)の間の実質的に等温の環境(TCC)内に位置するような位置に配置される。
制御温度蓋(1)の温度は、容器の内容物及び容器の大部分が熱サイクルプロセス中に実質的に等温であることを確実にするようにプロセス制御下にある
【0162】
フィールド内検出のためのプロセス
1.ユーザには、凍結乾燥された診断反応物を含む反応容器が提供され、これは、接着剤、UVグルー又は熱適用フィルムによって密封される。
2.ユーザは、供給されたバーコードをスキャンし、これは、ポータブル診断プラットフォームのための熱プロファイルをプログラムし、ユーザが一意の患者情報を割り当てることを可能にする。
3.ユーザがフィルムを除去し、供給された固定容積ピペットを用いて緩衝液で反応物を再懸濁する。
4.ユーザは、供給された固定容積ピペットを用いて、指定された容積の粗生体試料を添加する。
5.ユーザは、ヒンジ式蓋を閉じ、容器を溶接器具内に配置することによって、蓋を密封する。
6.機器は、溶接が完了したときを示す。
7.反応をTCCに移し、実行を開始する。
8.機器は、データを自動的に分析し、結果をユーザに知らせる。
9.ユーザは、実行が完了したことを促され、容器が廃棄され、プロセスを繰り返すことができる。
【0163】
本出願人は、本明細書に記載される個々の特徴及び2つ以上のかかる特徴の任意の組み合わせを、かかる特徴又は特徴の組み合わせが本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかにかかわらず、特許請求の範囲を限定することなく、当業者の共通の一般知識に照らして、かかる特徴又は組み合わせが全体として本明細書に基づいて実施されることが可能である限りにおいて、単独で開示する。開示された態様/実施形態は、任意のかかる個々の特徴又は特徴の組み合わせからなり得ることを出願人は示す。前述の説明を考慮すると、本開示の範囲内で種々の修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。
【0164】
本発明は、以下の番号付けされたパラグラフによっても定義される。
1.装置であって、
互いに実質的に対向して配置された第1及び第2のペルチェデバイスと、
第1のペルチェデバイスと第2のペルチェデバイスとの間に実質的に画定され、使用中に反応容器を取り囲んで反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された熱伝導チャンバと、を備える、装置。
【0165】
2.熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の外部表面領域の全て又は実質的に全てに物理的に接触するように構成される、パラグラフ1に記載の装置。
【0166】
3.反応容器は、その内容物の光学的インターロゲーションのための1つ以上の窓部分を備え、熱伝導チャンバは、使用中に1つ以上の窓部分を除いて、反応容器の外部表面領域の実質的に全てに物理的に接触するように構成される、パラグラフ1又は2に記載の装置。
【0167】
4.熱伝導チャンバは、互いに物理的に接触して反応容器を取り囲むように構成された2つ以上の別個の部分を備える、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0168】
5.熱伝導チャンバは、少なくとも部分的に、一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面から形成される、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0169】
6.熱伝導チャンバは、一方又は両方のペルチェデバイスの第1の面に取り付けられた熱伝導性材料のフレームを備える、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0170】
7.熱伝導チャンバは、使用中に各ペルチェデバイスの第1の面と接触して配置されるように構成された熱伝導性材料の取り外し可能なフレームを備える、パラグラフ1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0171】
8.反応容器は、2つの主壁及び2つの副壁によって画定される略矩形の断面を有し、熱伝導チャンバは、各ペルチェデバイスが使用中に反応容器のそれぞれの主壁に隣接するように構成される、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0172】
9.反応容器は、蓋を有し、熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の蓋がペルチェデバイスの間に位置決めされるように構成される、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0173】
10.反応容器は、フランジ付き蓋を有し、熱伝導チャンバは、使用中にフランジ付き蓋がペルチェデバイス間から突出するように構成される、パラグラフ1~8のいずれか1つに記載の装置。
【0174】
11.熱伝導チャンバは、使用中に反応容器の蓋に物理的に接触するように構成されたキャップ部分を備える、パラグラフ9又は10に記載の装置。
【0175】
12.キャップ部分は、反応容器の蓋がペルチェデバイスによる加熱とは独立して加熱されることを可能にするように構成されている加熱要素を含む、パラグラフ11に記載の装置。
【0176】
13.キャップ部分は、温度センサを備える、パラグラフ12に記載の装置。
【0177】
14.各ペルチェデバイスは、第1の面及び第2の面を有し、各ペルチェデバイスの第1の面及び第2の面は、1つ以上の個別の温度センサを備える、パラグラフ13に記載の装置。
【0178】
15.装置は、コントローラを備え、コントローラは、温度センサから測定値を受信し、受信された測定値に基づいて、第1のペルチェデバイス、第2のペルチェデバイス、及び熱伝導チャンバのキャップ部分のうちの1つ以上の温度を制御するように構成される、パラグラフ14に記載の装置。
【0179】
16.コントローラは、共通温度サイクルをペルチェデバイス及びキャップ部分に適用するように構成される、パラグラフ15に記載の装置。
【0180】
17.コントローラは、キャップ部分の温度サイクルがペルチェデバイスの温度サイクルに対して進められるように、時間的オフセットを適用するように構成される、パラグラフ16に記載の装置。
【0181】
18.各ペルチェデバイスの第2の面は、ファンを有するヒートシンクを備え、コントローラは、ペルチェデバイスの第1及び/又は第2の面上の温度センサから受信された測定値に基づいて、ファンの速度を制御するように構成される、パラグラフ14~17のいずれか1つに記載の装置。
【0182】
19.キャップ部分は、キャップ部分への反応容器の蓋の付着を防止するように構成されている非粘着性コーティングを含む、パラグラフ12~18のいずれか1つに記載の装置。
【0183】
20.反応容器は、フランジ部分を備えるフランジ付き蓋を有し、熱伝導チャンバのキャップ部分は、フランジ付き蓋のフランジ部分を除去するための切断手段を備える、パラグラフ11~19のいずれか1つに記載の装置。
【0184】
21.熱伝導チャンバは、キャップ部分が使用中に反応容器の蓋に圧力を加えるように構成される、パラグラフ11~20のいずれか1つに記載の装置。
【0185】
22.熱伝導チャンバは、基部部分を備え、装置は、使用後に熱伝導チャンバから反応容器を排出するために基部部分に形成された排出システムを備える、パラグラフ11~21のいずれか1つに記載の装置。
【0186】
23.排出システムは、温度センサを備え、温度センサによって測定された温度が所定の閾値を超えると、反応容器の加熱を自動的に停止するように構成される、パラグラフ22に記載の装置。
【0187】
24.排出システムは、使用中に反応容器を熱伝導チャンバのキャップ部分に向かって押し付けるように構成された付勢手段を備える、パラグラフ22又は23に記載の装置。
【0188】
25.キャップ部分は、熱伝導チャンバからの反応容器の取り外しを可能にするために開かれるように構成され、排出システムは、キャップ部分が開かれたときに反応容器が基部部分から持ち上げられるように、キャップ部分に結合される、パラグラフ22又は23に記載の装置。
【0189】
26.装置は、ペルチェデバイスを一緒に押し付けて、反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された付勢手段を備える、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0190】
27.装置は、ペルチェデバイスを一緒に保持して、反応容器とペルチェデバイスとの間の熱の伝達を容易にするように構成された締結手段を備える、任意の先行するパラグラフに記載の装置。
【0191】
28.互いに結合されて内部に内容物を収容するために構成された本体及び蓋を備える反応容器であって、本体及び蓋は、それぞれ、溶接可能部分を備え、溶接可能部分は、本体に結合されたときに蓋を所定の温度まで加熱することにより、溶接可能部分が溶融して反応容器内の内容物を密封するように構成されている、反応容器。
【0192】
29.溶接可能部分は、本体及び蓋の対応するフランジ部分を備える、パラグラフ28に記載の反応容器。
【0193】
30.蓋は、2つの長辺及び2つの短辺を含む略矩形の形状を有し、蓋のフランジ部分は、長辺及び/又は短辺から延在する、パラグラフ29に記載の反応容器。
【0194】
31.蓋は、本体の開口部を閉じるように構成された栓を備える、パラグラフ28~30のいずれか1つに記載の反応容器。
【0195】
32.蓋の溶接可能部分は、栓の周囲に形成された溶接ビードを含む、パラグラフ31に記載の反応容器。
【0196】
33.反応容器は、蓋と本体とが互いに結合されたときに蓋を本体に固定するように構成された締結手段を備える、パラグラフ28~32のいずれか1つに記載の反応容器。
【0197】
34.蓋又は本体は、それらの間の結合を誘導するように構成された1つ以上の直立部を備える、パラグラフ28~33のいずれか1つに記載の反応容器。
【0198】
35.本体は、溶接可能部分の溶融中に蓋から反応容器の内容物への熱の伝達を抑制又は遅延させるように構成されたカラーを備える、パラグラフ28~34のいずれか1つに記載の反応容器。
【0199】
36.本体は、2つの主壁及び2つの副壁によって画定される略矩形断面を有し、主壁及び/又は副壁は、蓋に向かって分岐する、パラグラフ28~35のいずれか1つに記載の反応容器。
【0200】
37.本体は、反応容器の内容物の光学的インターロゲーションのための1つ以上の窓部分を含む、パラグラフ28~36のいずれか1つに記載の反応容器。

図1.1】
図2.1】
図2.2】
図2.3】
図2.4】
図2.5】
図2.6】
図2.7】
図2.8】
図3.1】
図3.2】
図4.1】
図4.2】
図5.1】
図5.2】
図5.3】
図5.4】
図6.1】
図6.2】
図6.3】
図7.1】
図7.2】
図7.3】
図7.4】
図7.5】
図7.6】
図8.1】
図8.2】
図9.1】
図9.2】
図9.3】
図10.1】
図10.2】
図10.3】
図11
図12.1】
図12.2】
図12.3】
図12.4】
図12.5】
図12.6】
図13.1】
図13.2】
図13.3】
図13.4】
図14
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図19
【国際調査報告】