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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電気化学的表面処理装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G21F9/28 571E
G21F9/28 571A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557050
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2022057389
(87)【国際公開番号】W WO2022195131
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103827.8
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521349255
【氏名又は名称】シー-テック イノベーション リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】513131202
【氏名又は名称】ナショナル・ニュークリア・ラボラトリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ルーク
(57)【要約】
本発明は、パイプ(1)の放射能で汚染された内面を処理するための電気化学的表面処理装置(100)を提供する。装置(100)は、電極デバイス(102)を含む。デバイス(102)は、電極(4)であって、使用中、隙間(106)が電極(4)と、処理される処理表面(104)との間に画定された状態で、処理表面(104)に隣接する、パイプ(1)内の電解質液(2)内に位置する、電極(4)を含む。装置(100)は、循環装置(108)を含む。電極(4)は、内部通路(110)を画定する。循環装置(108)は、使用中、隙間(106)を通って一方向に、かつ通路(110)に沿って反対方向に電解質液(2)の再循環流を引き起こす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの放射能で汚染された内面を処理するための電気化学的表面処理装置であって、前記装置は電極デバイスを含み、前記デバイスは、電極であって、使用中、隙間が前記電極と、処理される処理表面との間に画定された状態で、前記処理表面に隣接する、前記パイプ内の電解質液内に位置する、電極を含み、前記装置は循環装置を含み、
前記電極は、内部通路を画定し、
前記循環装置は、使用中、前記隙間を通って一方向に、かつ前記通路に沿って反対方向に電解質液の再循環流を引き起こす、電気化学的表面処理装置。
【請求項2】
前記電極が環状であり、前記通路がそれを通る中央通路である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記通路が、両端で開いている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記通路が、一端で又は一端に向かって閉じており、前記電極が、前記通路と前記隙間との間の連通を可能にする複数の側孔を画定し、使用中、電解質液が、前記隙間に沿って一方向に、前記通路に沿って反対方向に、かつ前記側孔を通って前記隙間に戻るように循環する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記電極は、断面が円形である作業面を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記デバイスが、前記循環装置を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記循環装置が、ポンプを含み、前記ポンプが、入口及び出口を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ポンプが、前記通路内に部分的又は全体的に位置する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ポンプが、アンビリカルケーブルによって前記デバイスに接続された動力供給装置から電気的又は空気圧的に動力供給されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ポンプ用の動力が、前記電極の動力供給装置から取り出される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ポンプの動作が、連続的ではなく断続的又はパルス状である、請求項7~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記循環装置が、液体又は気体によって動力供給されるエダクタを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記デバイスが、機械的又は超音波的であり得る、前記電極の振動を提供するための振動子を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、サイズ、形状及び間隔が異なり得る複数の前記電極デバイスを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記デバイス又は各デバイスが、反対の極性の2つの電極を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記電極は、使用中、前記電解質液を通る一方の電極から他方の電極までの電気抵抗が、一方の電極から前記処理表面まで、前記処理表面に沿って、及び前記処理表面から第2の電極までの経路の前記電気抵抗よりも著しく大きいように、ある距離だけ分離されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記電極が、対向電極を含み、前記処理表面が、作動電極を含み、前記装置が、前記電極への動力供給装置を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記動力供給装置が、直流供給装置を含み、前記電極が、使用中、前記直流供給装置によってカソード及びアノードとして交互に分極されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記動力供給装置が、直流バイアス交流供給装置を含み、前記電極が、使用中、少なくとも1Hz及び多くても1000Hzの周波数を有し得る、前記直流バイアス交流供給装置によって、カソード及びアノードとして交互に分極されている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
電解質液の前記流れが、使用中に生成された気泡を変位させるのに十分なものである、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記電極又は各電極が、使用中、前記処理表面から一定の距離に位置している電極表面を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記電極表面が、前記隙間よりも大きい長さ又は幅の最小表面寸法を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記流れが、前記電極表面のほぼ全体にわたって延びる、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
表面を電気化学的に処理する方法であって、前記方法は、放射能で汚染された表面を前記処理するための電気化学的表面処理装置を提供することを含み、前記装置は、電極デバイスを含み、前記デバイスは、電極であって、使用中、隙間が前記電極と、処理される処理表面との間に画定された18状態で、前記処理表面に隣接する電解質液内に位置する、電極を含み、前記装置は、使用中、前記電極の場所において、前記隙間を通る電解質液の再循環流を引き起こす、循環装置を含む、方法。
【請求項25】
前記装置が、請求項1~23のいずれか一項で定義されるものである、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的表面処理装置に関し、具体的には、以下に限定するものではないが、放射能で汚染された表面を処理するための電気化学的表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属表面の除染は、金属が放射性核種と接触して汚染される原子力産業を含む産業界で一般的な問題である。汚染金属には、ダクト、配管、グローブボックス、貯蔵容器などが含まれ得る。金属表面が放射性種を含む媒体と接触すると、汚染物質が表面にしっかりと結合し得、単純なすすぎ又は洗浄によって除去することができない場合がある。これは、放射性元素が表面と反応するか、又は物理的な表面の特徴(例えば、ひび、腐食ピットなど)若しくは表面元素マトリックス構造への取り込みを介して表面にわずかに浸透するか、いずれかの結果であり得る。その結果、表面に結合する放射能が存在する。
【0003】
したがって、物品の表面から放射性汚染を除去することが望ましい。金属製品から薄い汚染表面層を除去することによって、物質の大部分をより低い廃棄物カテゴリに再分類することができ、したがって、作業員の放射線量の低減と、管理を必要とする廃棄物インベントリの低減と、関連コストの低減とを含む、多くの利益がもたらされる。
【0004】
汚染物質の取り扱いは、作業者の関連放射線量と、制限された実地のアクセスにより、しばしば課題となる。その結果、汚染を除去し、健康に対する有害性を最小限に抑え、従来のリサイクルプロセスを介した再利用のために除染金属を回収することを目的として、汚染物品を処理するための追加の予防措置、方法及び施設が必要とされている。
【0005】
汚染金属表面の処理の最初のステップは、グリース又は塗料などのあらゆる表面コーティングの除去である。好適なプロセスには、グリースを除去するための溶媒の使用、及び塗料を除去するためのグリットブラストなどの研磨技術の使用が含まれ得る。US 2009/060780A(WESTINGHOUSE ELECTRIC GERMANY)05/03/2009“Device & method for the treatment and or decontamination of surfaces”に記載されているレーザアブレーション、又は表面の機械加工もまた使用され得る。これらの方法は効果的であるが、粒子状廃棄物及び蒸気を生成し、したがって、追加のハザード制御及び封じ込めの課題を提示する、多大な手作業を必要とするプロセスである。溶媒系プロセスは、その後に、放射性核種の下流の処理及び抽出を汚染する有機材料が導入され得るという追加の欠点を有する。
【0006】
あらゆる表面コーティングを除去すると、除染を達成するために、金属から薄いサブ表面層を除去する手段が必要である。以下で考察されるように、様々な手段が知られている。
【0007】
1つの方法は、任意の酸化物又は他の堆積層を含む金属の汚染層を化学的に溶解することである。この汚染層を完全に溶解するとともに、非汚染基板金属を有限かつ制御された量だけ溶解することが課題である。表面を除染するために、化学試薬を組み合わせて、又は多段階プロセスの一部として適用することができる。酢酸の使用(以降「酸洗い」という用語を使用)、硫酸、並びに、軟鋼用の塩酸及びステンレス鋼用のフッ酸、又はフッ酸/硝酸混合物などの他の又は追加の薬剤の使用を含む、様々な化学的処理が知られている。これらの化学的処理は、金属の熱加工が、更なる処理ステップを実行し得る前に除去する必要のある酸化物表面層を生じさせる、金属仕上げ業で利用される。これらの処理は、それらが任意の下流排水処理プラントの土木資材と適合しない場合、核除染における使用に好ましくない場合がある。
【0008】
硝酸を除染剤として使用することに伴う制約は、溶解反応が非常に遅いため、必要な大量の酸性試薬を扱うための比較的大きなプラントが必要であることである。反応速度は、セリウム(IV)などの酸化剤、クエン酸及びシュウ酸などの有機酸、並びにエチレンジアミン四酢酸などの錯化剤を添加することで増加させることができる。これらの薬剤は、表面との反応速度を増加させることができるが、腐食性が高く、従来の核排水処理プラントを使用して扱う又は処理することができない二次廃液が出ることを犠牲にしている。
【0009】
表面除染の異なる方法は、導電性電解槽を使用して電流が汚染物を流れる、US7384529 B(US ENERGY)10/06/2008“Method for electrochemical decontamination of radioactive metal”に記載されている。電気化学的スケール除去(又は、「電気酸洗い」)は、金属加工で一般的に使用されている。この方法は、表面除去の速度が化学的方法でのものよりもはるかに高いという点で、化学的方法に勝る重要な利点を有する。
【0010】
実際の結果は、電気化学的処理が、化学的処理よりもはるかに少ない酸性試薬の量を必要とすることである。追加の利点は、電気化学的プロセスが、印加された電位によって決定される電流通過レベルに即座に応答するため、電気化学的プロセスが容易に制御可能であることである。しかしながら、電気化学的プロセスは、幾何形状が、加工片の近くに対向電極を配置することを可能にする場合にのみ有効であるという点で重大な欠点を有する。これは、ワークピース(作業電極)と対向電極との間の電界強度は、両者間の隙間が拡大するにつれて低下するからである。対向電極は、電解質と接触する導電性材料である。それは、単一の材料片又は複数の材料片で形成され得る。
【0011】
電気酸洗いで使用するための電気波形の選択は、過去の研究の対象であり、直流オフセットを交流波形に組み合わせることが有利であることが見出されている。US 2003/075456 A(COLLINS ET AL)24/04/2003では、直流バイアスのない交流波形を使用する場合よりも、直流バイアスのある交流波形を使用して、酸化膜でコーティングされた幅広い金属をより迅速にスケール除去することが可能であることが示されている。また、直流バイアスの極性を周期的に反転させることが有利であり得ることも示された。交流電流のみの使用と比較して、直流バイアスが交流波形に印加された場合、金属表面上の酸化物層の除去又は洗浄がより速くなることが示された。洗浄機構は、汚染層のいくらかの溶解と、下地金属が溶解されるいくらかのアンダーカットと、界面における気泡の生成に起因するいくらかのスクラビング作用と、を伴う。
【0012】
WO 2020/089610に開示されている発明は、放射能で汚染された金属ワークピースの表面を除染するための電解処理システムであって、各々が表面に近接しているが、表面と直接電気的に接触していない、少なくとも2つの電極を備える、電解処理システムを記載している。電解質溶液は、ワークピース表面と電極との間の空間に存在する。電極は、表面に対して移動することができる。電極は、交流電源に接続されており、システムが使用中のとき、電極と電解質溶液との間、かつ金属ワークピースを通って電流が流れる。
【0013】
これは、放射能で汚染された金属パイプ容器又は他の構造物の内面を処理する手段として有用である。汚染された内面は、電解質溶液に電気化学的に溶解する。電解質溶液は、その後、放射性汚染を除去するために処理される。
【0014】
硝酸は、原子力産業で広く使用されているため、本プロセスの電解質として一般的に使用されているが、他の酸及び試薬も使用され得る。
【0015】
この電気化学的表面処理プロセスを実行するのに好適なデバイスは、汚染表面に対して移動することができるため、拡張領域が処理され得る。移動は、例えば、容器の内面、又は容器内に収容された物体若しくは配管の外面にわたって、又はパイプの内面に沿って行われ得る。
【0016】
好適に迅速な表面処理速度を実現するために、作業電極(処理されているワークピース)の同等の寸法に対応する、特定の最小寸法の対向電極を使用することが有利である。このことが、所与の電流密度に対してより大きな電流を通過させることを可能にするため、作動電極のより広い表面積が有利である。表面から除去された材料の量は、通過する電荷に比例し、そのため、より大きい電流は、処理速度を増加させる。
【0017】
対向電極がワークピースから一定の距離に維持され、両者が平行であることが優先される。これにより、電極にわたる一定の電流密度と、それに応じた均一な処理とが可能になる。
【0018】
作動電極と対向電極との間の距離は、両者間の直接の物理的接触及び電気的接触を回避することと調和して最小に保たれることもまた好ましい。これは、電解質液が、液体の抵抗加熱に起因する、電解質における電圧降下及び電力損失を引き起こす、有限の電気抵抗を有するからである。
【0019】
この目的のための既知のデバイスの問題は、電気化学的作用が、プロセスを妨げる可能性のある気体を生成することである。気体の生成は、溶液中の水及び他の化学種の電気化学的分解の結果である。水素、酸素、窒素酸化物、及び他の気体が生成され得る。電気化学的処理の電流密度及び速度を低減することによって、気体の生成を減らすことができるが、実用的に有用な電気化学的処理速度のために、気体の生成は避けられない。気泡及び気孔は、作動電極及び対向電極の表面、並びにそれらの間の空間に蓄積する可能性があり、その結果、電流経路が塞がれる、すなわち「遮られる」。これにより、表面処理が低減され、不均一になる。
【0020】
容器又はパイプ内で動作するシステムの場合、気体の蓄積は、電解質の著しい流れによって処理デバイス付近の電解質を継続的に更新することによって回避され得る。電解質の流量が十分である場合、電極又は処理表面で生成された気体は、液体の流れに混入し、電極から遠ざけて運ばれる。原理上は可能であるが、このアプローチは、処理の進行中に、更なる複雑さ及び大量の必要電解質による廃液量の増加と、電解質を継続的に供給しなければならないリスクとのため、実際には望ましくない。処理は、充填されたパイプ又は容器内に含まれた電解質を使用して、処理時間中に電解質の外部供給又は取り扱いなしで実行されることが好ましい。
【0021】
本発明は、核汚染の処理、特に表面からの核汚染除去に関する。
【0022】
本明細書では、処理される表面、ワークピース、物品、物、又は物体への任意の言及は、パイプ、容器、チューブ、ダクト、ボックス、タンク、フラスコ、シリンダ、シャフト、及び他の構造要素を含むが、これらに限定されない金属物品及び金属製品の表面を指す。
【発明の概要】
【0023】
本発明の第1の態様によれば、パイプの放射能で汚染された内面を処理するための電気化学的表面処理装置であって、装置は、電極デバイスを含み、デバイスは、電極であって、使用中、隙間が電極と、処理される処理表面との間に画定された状態で、処理表面に隣接する、パイプ内の電解質液内に位置する、電極を含み、装置は循環装置を含み、電極は、内部通路を画定し、循環装置は、使用中、隙間を通って一方向に、かつ通路に沿って反対方向に電解質液の再循環流を引き起こす、電気化学的表面処理装置が提供される。
【0024】
おそらく、電極は環状である。おそらく、通路は、それを通る中央通路である。
【0025】
おそらく、通路は、両端で開いている。
【0026】
おそらく、通路は、一端で又は一端に向かって閉じている。電極は、通路と隙間との間の連通を可能にする複数の側孔を画定し得る。電解質液は、使用中、隙間に沿って一方向に、通路に沿って反対方向に、かつ側孔を通って隙間に戻るように循環し得る。
【0027】
おそらく、電極は、断面が円形である作業面を含む。
【0028】
おそらく、デバイスは、循環装置を含む。
【0029】
おそらく、循環装置は、入口及び出口を含み得るポンプを含む。
【0030】
おそらく、ポンプは、通路内に部分的又は全体的に位置する。
【0031】
おそらく、ポンプは、おそらくアンビリカルケーブルによってデバイスに接続された動力供給装置から電気的又は空気圧的に動力供給されている。
【0032】
おそらく、ポンプ用の動力は、電極の動力供給装置から取り出される。
【0033】
おそらく、ポンプの動作は、連続的ではなく断続的又はパルス状である。
【0034】
おそらく、循環装置は、液体又は気体によって動力供給されるエダクタを含む。
【0035】
おそらく、デバイスは、機械的又は超音波的であり得る、電極の振動を提供するための振動子を含む。
【0036】
おそらく、装置は、サイズ、形状及び間隔が異なり得る複数の電極デバイスを含む。
【0037】
おそらく、デバイス又は各デバイスは、反対の極性の2つの電極を含む。
【0038】
おそらく、電極は、使用中、電解質液を通る一方の電極から他方の電極までの電気抵抗が、一方の電極から処理表面まで、処理表面に沿って、及び処理表面から第2の電極までの経路の電気抵抗よりも著しく大きいように、ある距離だけ分離されている。
【0039】
おそらく、電極は、対向電極を含み、処理表面は、作動電極を含む。
【0040】
おそらく、装置は、電極への動力供給装置を含む。
【0041】
おそらく、動力供給装置は、直流供給装置を含む。おそらく、電極は、使用中、直流供給装置によって、カソード及びアノードとして交互に分極されている。
【0042】
おそらく、動力供給装置は、直流バイアス交流供給装置を含む。おそらく、電極は、使用中、少なくとも1Hz及び多くても1000Hzの周波数を有し得る、直流バイアス交流供給装置によって、カソード及びアノードとして交互に分極されている。
【0043】
おそらく、電極又は各電極は、使用中、処理表面から一定の距離に位置している電極表面を含む。
【0044】
おそらく、電極表面は、隙間よりも大きい長さ又は幅の最小表面寸法を有する。
【0045】
おそらく、流れは、電極表面のほぼ全体にわたって延びる。
【0046】
おそらく、使用中、装置は、処理中にパイプに沿った電解質の正味の流れがないように、パイプに沿った電解質の流れが実質的に防止又は抑制されているパイプ内に位置する。おそらく、パイプの一端は、封止されている。
【0047】
おそらく、再循環流は、電極の場所において循環する。
【0048】
おそらく、装置と、処理されている内面との間に直接的な接触はない。
【0049】
本発明の第2の態様によれば、表面を電気化学的に処理する方法であって、方法は、パイプの放射能で汚染された内面を処理するための電気化学的表面処理装置を提供することを含み、装置は、電極デバイスを含み、デバイスは、電極であって、使用中、隙間が電極と、処理される処理表面との間に画定された状態で、処理表面に隣接する、パイプ内の電解質液内に位置する、電極を含み、装置は循環装置を含み、電極は、内部通路を画定し、循環装置は、使用中、隙間を通って一方向に、かつ通路に沿って反対方向に電解質液の再循環流を引き起こす、方法が提供される。
【0050】
おそらく、本装置は、前述の記述のいずれか、以下の説明又は添付の図面に示され又は説明される特徴のいずれかを含む。おそらく、本方法は、前述の記述のいずれか、以下の説明又は添付の図面に示され又は説明されるステップのいずれかを含む。
【0051】
以下、本発明の実施形態について、例示的に、添付の図を参照しながら、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】パイプ内に位置する、電気化学的表面処理装置の側面概略図である。
図2】パイプ内に位置する、別の電気化学的表面処理装置の側面概略図である。
【0053】
図面において、同一の又は類似の特徴の複数の例が存在する場合、明確にするために、特徴の例のうちの代表的なもの又はいくつかのみが参照番号を提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、電解質溶液を含む、金属パイプ若しくは容器、又は封入されたワークピース内で使用するための、電解処理デバイスの新規設計である。対向電極は、対向電極と作動電極との間の隙間が、作動電極に平行な対向電極表面の幅及び長さの両方よりも小さいように、作動電極に平行に位置決めされる。対向電極と作動電極との間の隙間を通って、任意の気孔を変位させるのに十分な速度で、電解質をポンプで送る処理デバイスの一部として、ポンプが提供される。ポンプ用の液体の供給は、デバイスのすぐ近くから引き出される。この電解質の流れは、デバイス、その電極、及び電気化学的に処理されている表面の近くでのみ起こり、他の場所で起こる必要はないことは十分である。このようにして、パイプ若しくは容器の内面、又は他のワークピースは、それらの近傍に電気化学的作用を別様に妨げるであろう気孔が存在する場合でも、均等に処理することができる。電解質の遠隔供給の必要はなく、ポンプが連続的に液体を吸い込むように、容器又はパイプに十分な量の電解質が含まれていればよい。
【0055】
容器の内面、又は容器内に含まれた他の表面のパイプの外面の処置に好適な本発明の実施形態は、電極の表面が、処理されている表面から一定距離に維持されるような形状である、1つ以上の電極を有する。電流は、電極から電解質溶液を通過し、ワークピースの表面からの金属の電気化学的溶解を引き起こす。1つの電極、並びにパイプ及び動力供給装置を通る及び帰還電気路がある場合もあり、又は、電流が、2つ以上の電極の処理ゾーン間の短い距離に沿ってのみ移動するように、2つ以上の類似の電極がある場合もある。ポンプは、デバイス内に位置し、電解質は、処理デバイス内又は処理デバイスに近接する点から、及び電極表面間の隙間を通ってポンプで送られる。このようにして、電極の近くで気体の蓄積は発生しない。複数の電極の場合、液体の循環装置は変化し得る。各電極は、独自のポンプを備え得るか、又は2つ以上の電極は、単一のポンプのみを備え得る。ポンプ作用は、連続的又はパルス状であり得る。ポンプは、電気的、又は油圧的に、又は空気圧的に動力供給され得る。必要な液体の移動を提供する他の方法もまた好適であり得、液体又は気体によって動力供給されるエダクタ、及び往復運動パドル又はバッフル配置を含む。対向電極の超音波的振動又は機械的振動は、液体の流れによる気泡の除去に役立ち得る。
【0056】
パイプの内面を処理するのに好適な本発明の好ましい実施形態は、円筒環状の1つ以上の電極を有する。電流は、電極から電解質溶液を通過し、パイプの内面からの金属の電気化学的溶解を引き起こす。電極はパイプ内の中央に維持される。1つの電極、並びにパイプ及び動力供給装置を通る及び帰還電気路がある場合もあり、又は、電流が、2つ以上の電極の処理ゾーン間の短い距離に沿ってのみ移動するように、2つ以上の類似の電極がある場合もある。ポンプは、デバイス内に位置し、電解質は、処理デバイス内又は処理デバイスに近接する点におけるパイプの中心軸から、及び電極外面とパイプ内面との間の環状隙間を通ってポンプで送られる。このようにして、電極の近くで気体の蓄積は発生しない。動作を実行する目的のため、パイプの一端は封止され、他端は開いている。ポンプ作用は、パイプに沿った液体の正味の流れを引き起こさず、電極の近くの液体の循環のみを引き起こす。ポンプ作用は、連続的又はパルス状であり得る。ポンプは、電気的、又は油圧的に、又は空気圧的に動力供給され得る。複数の電極の場合、液体の循環装置は変化し得る。各電極は、独自のポンプを備え得るか、又は2つ以上の電極は、単一のポンプのみを備え得る。
【0057】
図1
図1を参照すると、本発明は、パイプ1の放射能で汚染された内面を処理するための電気化学的表面処理装置100を提供する。
【0058】
装置100は、電極デバイス102を含む。デバイス102は、電極4であって、使用中、隙間106が電極4と、処理される処理表面104との間に画定された状態で、処理表面104に隣接する、パイプ1内の電解質液2内に位置する、電極4を含む。
【0059】
装置100は、循環装置108を含む。電極4は、内部通路110を画定する。循環装置108は、使用中、隙間106を通って一方向に、かつ通路110に沿って反対方向に電解質液2の再循環流を引き起こす。
【0060】
示されている例では、電極4は環状であり、通路110は、それを通る中央通路である。
【0061】
図1では、通路110は、両端で開いている。
【0062】
電極は、断面が円形である作業面を含む。
【0063】
デバイスは、循環装置を含む。
【0064】
循環装置は、入口及び出口を含み得るポンプを含む。
【0065】
示されている例では、ポンプは、通路内に全体的に位置する。他の実施形態では、ポンプは、通路内に部分的に位置し得る。
【0066】
ポンプは、アンビリカルケーブルによってデバイスに接続された動力供給装置から電気的又は空気圧的に動力供給されている。
【0067】
ポンプ用の動力は、電極の動力供給装置から取り出され得る。
【0068】
ポンプの動作は、連続的ではなく断続的又はパルス状であり得る。
【0069】
他の実施形態では、循環装置108は、液体又は気体によって動力供給されるエダクタを含み得る。
【0070】
デバイスは、機械的又は超音波的であり得る、電極の振動を提供するための振動子を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、装置は、サイズ、形状及び間隔が異なり得る複数の電極デバイスを含み得る。
【0072】
デバイス又は各デバイスは、反対の極性の2つの電極を含み得る。
【0073】
電極は、使用中、電解質液を通る一方の電極から他方の電極までの電気抵抗が、一方の電極から処理表面まで、処理表面に沿って、及び処理表面から第2の電極までの経路の電気抵抗よりも著しく大きいように、ある距離だけ分離され得る。
【0074】
極は、対向電極を含み得、処理表面は、作動電極を含み得る。
【0075】
装置は、電極への動力供給装置を含み得る。
【0076】
動力供給装置は、直流供給装置を含み得、電極は、使用中、直流供給装置によってカソード及びアノードとして交互に分極され得る。
【0077】
代替的に、動力供給装置は、直流バイアス交流供給装置を含み得、電極は、使用中、少なくとも1Hz及び多くても1000Hzの周波数を有し得る、直流バイアス交流供給装置によって、カソード及びアノードとして交互に分極され得る。
【0078】
電極又は各電極は、使用中、処理表面から一定の距離に位置している電極表面を含み得る。
【0079】
電極表面は、隙間よりも大きい長さ又は幅の最小表面寸法を有し得る。
【0080】
流れは、使用中、電極表面のほぼ全体にわたって延びる。
【0081】
装置は、使用中、処理中にパイプに沿った電解質の正味の流れがないように、パイプに沿った電解質の流れが実質的に防止又は抑制されているパイプ内に位置する。パイプの一端は、封止され得る。
【0082】
再循環流は、電極の場所において循環する。
【0083】
図1は、略円形の断面1のパイプに沿った断面図である。パイプは、電解質液2で充填されており、パイプの最上部3に集められた気孔がある。電気化学的表面処理装置は、パイプの中心に位置する電極デバイスを含む。デバイスは、電極、及び液体の循環装置を含む。
【0084】
第2の電極デバイス、誘導デバイス、構造要素、及びアンビリカル接続を含む装置の他の部品は、明確にするために省略される。機械的及び電気素子8は、図示されていない設備の他の部品への好適な接続を行う。
【0085】
示されている例では、電極は、アンビリカルケーブルを介して遠隔動力供給装置に接続された環状電極4を含む。循環装置は、入口6及び出口7を含むポンプ5を含む。電極は、中央通路を画定する。
【0086】
環状電極の内部は、ポンプを通過する以外の液体通路に対して塞がれている。入口6は、パイプの中心軸にほぼ沿って位置決めされている。
【0087】
液体は、入口6に引き込まれ、出口7から送り出され、環状電極の外側とパイプの内面との間の隙間を通過する。
【0088】
液体の流れの方向は矢印で示される。電極とパイプ表面との間の隙間を通る液体の圧力及び流量は、そこの任意の気孔を変位させるのに十分であり、そのため、電気化学的処理は、パイプ表面の周囲に均等に配分される。
【0089】
驚くべきことに、本出願人らは、容器内面又はパイプ内部の均一な処理は、気孔を除いて、容器又はパイプの全体を液体で完全に充填する必要はないことと、電極の近くの電解質の局所的な循環は、気体の蓄積と関連付けられた問題を回避するのに十分であることと、電解質溶液の外部ポンピング及び脱気は必要ないことと、を見出した。
【0090】
本発明は、処理中に生成された気泡を変位させるのに十分な、作動電極と対向電極との間の電解質の流れを維持する表面処理装置を提供することによって、この見出したことを利用する。
【0091】
他の実施形態
図2は、本発明の別の実施形態を示し、その多くの特徴は、図1の実施形態との関連で既に説明したものと同様である。したがって、簡潔にするために、以下の実施形態は、既に説明した実施形態と異なる限りにおいてのみ説明する。特徴が同一又は類似である場合、同一の参照番号が使用され、特徴は再び説明されない。
【0092】
図2は、液体の流れパターンの異なる配置を示すが、同じ目的を達成する。本図は、再び電解質液2で満たされ、パイプの上部に気孔3がある、略円形の断面のパイプを通る断面図を再び示している。
【0093】
本例では、装置200は、一端で又は一端に向かって閉じている通路110を画定する電極4を含む。電極4は、通路110と隙間106との間の連通を可能にする複数の側孔202を画定する。電解質液2は、使用中、隙間106に沿って一方向に、通路110に沿って反対方向に、及び側孔202を通って隙間106に戻るように循環する。
【0094】
液体の流れの方向は矢印で示される。環状電極は、ポンプを通過する以外の端からの液体流出に対して封止されており、液体は、その表面の周りの孔を通ってのみ出ることができる。電極内の孔を通り、かつ電極間の隙間に沿った液体の流れは、この領域から気孔が排除されるようになっている。素子8は、図示されていないデバイスの部品へのコネクタを含む。
【0095】
他の修正
様々な修正が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。本装置は、(本明細書の特定の定義の範囲内で)任意の好適なサイズ及び形状であり得、任意の好適な材料で形成され得る。
【0096】
図示又は説明される実施形態のいずれかの特徴又はステップのいずれかは、本明細書の全体的な開示の範囲内で、任意の好適な方式で組み合わせることができる。
図1
図2
【国際調査報告】