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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電解内面処理装置
(51)【国際特許分類】
   C25F 3/16 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
C25F3/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557051
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022057390
(87)【国際公開番号】W WO2022195132
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103823.7
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521349255
【氏名又は名称】シー-テック イノベーション リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】513131202
【氏名又は名称】ナショナル・ニュークリア・ラボラトリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ルーク
(57)【要約】
金属パイプ(1)の内面(102)の電解処理のための電解内面処理装置(100)は、少なくとも2つの反対方向に分極された電極(3、4)を含む。装置(100)は、使用中、パイプ(1)内の中心にある電極(3、4)を保持するための電気絶縁中心化装置(106)と、2つの電極(3、4)の間に位置し、一方の電極の他方の電極に対する移動を可能にするための電気絶縁可撓接続装置(104)と、を含む。中心化装置(106)は、複数の離間中心化デバイス(5、6)を含む。各中心化デバイス(5、6)は、それぞれの中心化デバイス(5、6)を装置(100)に取り付けるための電気絶縁取付台(7)を含む。各中心化デバイス(5、6)は、複数の可撓性要素(108)を含み、それらの各々は、取付台(7)に固定されており、かつ取付台(7)から外側へ延びる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パイプの内面の電解処理のための電解内面処理装置であって、前記装置は、少なくとも2つの反対方向に分極された電極を含み、前記装置は、使用中、前記装置と処理されている前記内面との間に直接電気的接触がないように配置されており、前記装置は、
使用中、前記パイプ内の中心にある前記電極を保持するための電気絶縁中心化装置と、
前記2つの電極の間に位置し、一方の電極の他方の電極に対する移動を可能にするための電気絶縁可撓接続装置と、を含み、
前記中心化装置は、複数の離間中心化デバイスを含み、
各中心化デバイスは、前記それぞれの中心化デバイスを前記装置に取り付けるための電気絶縁取付台を含み、
各中心化デバイスは、複数の可撓性要素を含み、それらの各々は、前記取付台に固定されており、かつ前記取付台から外側へ延びる、電解内面処理装置。
【請求項2】
1つの中心化デバイスが、前記装置の各端へ、又は前記装置の各端において、又は前記装置の各端に向けて取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1つの中心化デバイスが、各電極の各端へ、又は各電極の各端において、又は各電極の各端に向けて取り付けられている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電気絶縁取付台が、前記それぞれの電極の端面にわたって延びており、そこを通る電流の流れを防止する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記可撓性要素が、前記取付台の周りに半径方向に間隔を置くか、又は均等に配置されている、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
各可撓性要素が、弾性的に変形可能な材料で形成される、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
各可撓性要素が、非導電性であるか、又は高い電気抵抗率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各可撓性要素が、ポリマー、又は炭素繊維強化ポリマー複合材料、又はガラス繊維強化ポリマー複合材料、又は電気絶縁コーティングでコーティングされた金属材料で形成されており、前記金属材料が、チタン又はスチールであり得る、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記可撓性要素が、ブラシ状又はばね状である、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、ブラシ状の可撓性要素及びばね状の可撓性要素の両方を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
各可撓性要素が、使用中、前記パイプにばね力を及ぼす、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ばね力が、前記それぞれの可撓性要素に対する線形圧縮を変更することによって調整可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各可撓性要素が、前記内面との摩擦を低減するコーティングを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
各可撓性要素が、前記可撓性要素の電気抵抗を増加させるコーティングを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記可撓性要素の各々が、両端で固定されており、前記端が、同じ取付台又は異なる取付台に固定されている、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、1つ以上の可撓性電気絶縁抵抗障壁部材を含み、前記可撓性電気絶縁抵抗障壁部材又は前記可撓性電気絶縁抵抗障壁部材の各々は、前記2つの反対方向に分極された電極間の流体経路の前記電気抵抗を増加させるために、前記反対方向に分極された電極間に位置する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置が、中心軸を有し、前記抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材が、前記中心軸に対して外側へ延びる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材の直径が、前記電極の直径よりも大きく、前記パイプの直径よりも小さい、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材が、前記パイプ内部を別個の空間又はポケットに実質的に分割し、各空間又はポケットが、電極を有さないか、又はその中に1つの極性のみの1つ以上の電極を有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、前記抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材を前記装置に取り付けるための障壁取付台を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記障壁取付台又は各障壁取付台が、電気絶縁材料を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記障壁取付台又は各障壁取付台が、前記電極のうちの1つに取り付けられている、請求項16~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材は、各々が単独で変形することができる複数の部品を含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材が、孔又は穿孔を画定する、請求項16~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記装置が、一対の電極アセンブリを含み、各電極アセンブリは、1つの電極及び一対の中心化デバイスを含み、1つの中心化デバイスは、前記それぞれの電極の各端へ、又はその各端において、又はその各端に向けて位置する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
各電極アセンブリが、抵抗障壁部材を含む、請求項16~24のいずれか一項に従属する場合の、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記装置が、前記反対方向に分極された各々の複数の電極を含み、各電極間に可撓接続装置を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記電極アセンブリのうちの1つ又は各々が、可撓性接続片によって連結されている複数のセグメントを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
1つ以上の中心化デバイスが、前記電極アセンブリ又は各電極アセンブリに沿って間隔を置いて位置する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
内面を電解処理する方法であって、前記方法は、金属パイプの内面の電解処理のための電解内面処理装置を提供することを含み、前記装置は、少なくとも2つの反対方向に分極された電極を含み、前記装置は、使用中、前記装置と処理されている前記内面との間に直接電気的接触がないように配置されており、前記装置は、
使用中、前記パイプ内の中心にある前記電極を保持するための電気絶縁中心化装置と、
前記2つの電極の間に位置し、一方の電極の他方の電極に対する移動を可能にするための電気絶縁可撓接続装置と、を含み、
前記中心化装置は、複数の離間中心化デバイスを含み、
各中心化デバイスは、前記それぞれの中心化デバイスを前記装置に取り付けるための電気絶縁取付台を含み、
各中心化デバイスは、複数の可撓性要素を含み、それらの各々は、前記取付台に固定されており、かつ前記取付台から外側へ延びる、方法。
【請求項31】
前記装置が、請求項1~29のいずれか一項で定義されるものである、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解内面処理装置に関し、具体的には、以下に限定するものではないが、配管の内面を処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしばピグ又はピギングデバイスと呼ばれる、パイプに沿って通過するデバイスによる、金属配管の内面の処理が知られている。ピギングシステムの様々な設計が利用可能であり、石油化学配管及び化学配管で使用されている。本デバイスは、ブラシ及びスクレーパを含む様々な洗浄技術を組み込み、更に、測定デバイス及びセンサを含み得る。ピギングシステムは、アンビリカル接続によって、又は流体圧力によって、又は自給式動力供給装置によって、パイプを通して推進され得る。
【0003】
金属配管の内部の電気化学的処理にそのようなデバイスを使用することもまた知られている。このプロセスは、電解研磨として時には知られており、そのような用途のために、本デバイスには、1つ以上の円形断面電極が取り付けられている。電流は、本デバイスから、パイプ内の導電性流体又は電解質を通って、パイプの導電性金属体内に流れる。パイプの内面での電解作用は、金属の表面の溶解を引き起こし、このようにして、表面が処理される。このような技術の例は、米国特許第6712668号の電解研磨のためのシステム及び方法に開示されている。パイプの内周の均一な処理を実現するために、円形断面の電極を、パイプ内の中心に保つ必要がある。原子力産業で使用されている配管の内面は、放射能で汚染される可能性があり、余剰配管の廃止措置及び撤去の目的のために、この汚染を除去することが望ましい。電解洗浄又は電解研磨は、本用途に適しており、電解溶解によって、金属パイプの放射能で汚染された内層の除去を可能にする。汚染物質は、電解質中に溶解し、溶液形態で再処理施設に運ばれる。放射能で汚染された配管の除染における電解研磨の適用を実現可能にするために、いくつかの要件を満たす必要がある。
【0004】
第1の要件は、十分な処理速度が必要ということである。処理速度は、電解質を通過してパイプ表面に入る電流の量によって制限される。これは、次に、電極の表面における電流密度によって制限される。電流密度が高すぎると、気体が過剰に発生し、プロセスが非効率になる。加えて、電極は、過剰な電流密度で劣化する傾向にあり得る。したがって、電流密度は、一定の限度未満に維持する必要がある。本要件は、十分な処理速度を与えるために、使用される電極の最小表面積を規定する。これは、実際上は、パイプの内面を処理するために使用された電極の任意の剛性部の最大長が、電極とパイプとの間の隙間に過度の変動がなく、かつ電極がパイプに接触しない状態で、パイプ内の屈曲部分を電極がよける必要性によって制限されることを意味する。
【0005】
本出願人は、効率を高めるために、電流経路は、大部分がパイプの内面を介して電極間にあり、電解質流体を通って伝導されないことが望ましいことを認識している。
【0006】
更なる要件は、デバイスが、一端で封止された液体充填パイプに沿って連続的に進むことができ、デバイスのどの部分も、デバイスの周りの液体の通路に対してシールを形成しないことである。十分な処理速度で均一な電気化学的処理を達成するためには、連続的な移動が必要である。
【0007】
更なる要件は、デバイスが、パイプの内面の周りに均一な処理を行うことである。電気化学的作用は、電極とパイプ表面との間の電気抵抗の関数として変化し、電極がパイプ内部により近いと抵抗はより低く、電流が局所的に増加する。均一な処理を実現するために、隆起した溶接部又は他の表面変化がないパイプの部分に関し、電極とパイプ表面との間に一定の隙間が維持される必要がある。
【0008】
本要件の同等の記述は、円形電極がパイプの中心に維持されなければならないということである。この状態を維持すると同時に、デバイスは、電極がパイプ表面と接触することなく、かつデバイスを移動して不均一性をやり過ごすための過剰な力を必要とすることなく、パイプ表面の不均一性を自由に通過することができることが必要である。不均一性には、溶接部の隆起面、又はバルブ又はパイプ継ぎ手の周りのプロファイルの変動が含まれ得る。
【0009】
更なる要件は、デバイスがまた、前方及び後方のいずれにもスムーズに自由に移動することができることも必要ということである。これは、多くの用途では、可撓性アンビリカル接続によって固定アクセスポイントに接続され、処理ポイントに到達してから回収されるために前後に移動する必要があるからである。
【0010】
更なる要件は、デバイスが、使用中、内径が50mmと小さいパイプを含めて、堅牢であることである。このことは、多くのリンケージを有する非常に複雑な機械的装置の使用を軽減する。
【0011】
既存の設計は、これらの要件の全てを同時には満たしておらず、本目的には好適ではない。既存の設計の問題は、パイプ内に電極を正しく位置付ける既知の手段が、他の要件を満たすことを可能にしないことである。ばね付きキャリアに取り付けられたガイドホイールを使用すると、効果的な動作を可能にしない。
【0012】
パイプ径が50mm程度で、パイプ表面に6mm程度の不均一性が生じる可能性があるため、電極を位置付ける主要手段としてホイールを使用することは実用的ではない。パイプの内径に対する、不均一性を横切るために必要なホイールの比較的大きな直径と、不均一性上のスムーズな通過を確保するために必要な比較的低いばね力とは、デバイスの幾何学的制約内で、装置が、電極を位置付ける効果的な手段ではないことを意味する。デバイスを、不均一性上を移動させるために必要な力を十分に低く保つと同時に、それらの不均一性上のスムーズな通過を実現することは不可能である。このアプローチの追加の欠点は、必要な機械的装置の複雑さが、使用中のデバイスの堅牢性を低下させることである。様々な種類のフランジを使用することはまた、パイプ内の電極を位置付けることにも好適ではない。遭遇する不均一性のサイズに対応するのに十分な可撓性を有するフランジは、デバイスの移動方向の反転に対応することができない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の記述
本発明の第1の態様によれば、金属パイプの内面の電解処理のための電解内面処理装置であって、装置は、少なくとも2つの反対方向に分極された電極を含み、装置は、使用中、装置と処理されている内面との間に直接電気的接触がないように配置されており、装置は、
使用中、パイプ内の中心にある電極を保持するための電気絶縁中心化装置と、
2つの電極の間に位置し、一方の電極の他方の電極に対する移動を可能にするための電気絶縁可撓接続装置と、を含み、
中心化装置は、複数の離間中心化デバイスを含み、
各中心化デバイスは、それぞれの中心化デバイスを装置に取り付けるための電気絶縁取付台を含み、
各中心化デバイスは、複数の可撓性要素を含み、それらの各々は、取付台に固定されており、かつ取付台から外側へ延びる、電解内面処理装置が提供される。
【0014】
おそらく、1つの中心化デバイスは、装置の各端へ、又は装置の各端において、又は装置の各端に向けて取り付けられており、おそらく、各電極の各端へ、又は各電極の各端において、又は各電極の各端に向けて取り付けられている。
【0015】
おそらく、電気絶縁取付台又は各電気絶縁取付台は、それぞれの電極の端面にわたって延びており、おそらくほぼ完全に、そこを通る電流の流れを防止する。おそらく、取付台又は各取付台は、カラー、エンドピース、又はエンドキャップを含み、取付台又は各取付台は、それぞれの電極の端の上に位置するか、端に隣接するか、又は端を受容し得る。
【0016】
おそらく、可撓性要素は、取付台の周りに半径方向に間隔を置くか、又は均等に配置されている。
【0017】
おそらく、各可撓性要素は、弾性的に変形可能な材料で形成され、非導電性であり得、又は高い電気抵抗率を有し得る。
【0018】
おそらく、各可撓性要素は、ポリマー、又は炭素繊維強化ポリマー複合材料、又はガラス繊維強化ポリマー複合材料で形成される。
【0019】
おそらく、各可撓性要素は、電気絶縁コーティングでコーティングされた金属材料で形成される。金属材料は、チタン又はスチールであり得る。
【0020】
おそらく、可撓性要素は、ブラシ状又はばね状である。本装置は、ブラシ状の可撓性要素及びばね状の可撓性要素の両方を含み得る。
【0021】
おそらく、各可撓性要素は、使用中、パイプにばね力を及ぼす。ばね力は、それぞれの可撓性要素に対する線形圧縮を変更することによって調整可能であり得る。
【0022】
おそらく、各可撓性要素は、内面との摩擦を低減するコーティングを有する。おそらく、各可撓性要素は、可撓性要素の電気抵抗を増加させるコーティングを有する。
【0023】
おそらく、可撓性要素の各々は、両端で固定されており、端は、同じ取付台又は異なる取付台に固定されている。
【0024】
おそらく、本装置は、1つ以上の可撓性電気絶縁抵抗障壁部材を含む。抵抗障壁部材の各々は、おそらく、2つの反対方向に分極された電極間の流体経路の電気抵抗を増加させるために、反対方向に分極された電極間に位置し得る。
【0025】
おそらく、本装置は、中心軸を有する。抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材は、中心軸に対して外側へ延び得る。
【0026】
おそらく、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材の直径が、電極の直径よりも大きく、パイプの直径よりも小さくてよい。
【0027】
おそらく、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材は、パイプ内部を別個の空間又はポケットに実質的に分割する。各空間又はポケットは、電極を有さなくてもよいか、又はその中に1つの極性のみの1つ以上の電極を有してもよい。
【0028】
おそらく、本装置は、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材を装置に取り付けるための障壁取付台を含む。おそらく、障壁取付台又は各障壁取付台は、電気絶縁材料を含む。おそらく、障壁取付台又は各障壁取付台は、電極のうちの1つに取り付けられている。おそらく、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材は、各々が単独で変形することができる複数の部品を含む。
【0029】
おそらく、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材は、孔又は穿孔を画定する。
【0030】
おそらく、本装置は、一対の電極アセンブリを含む。各電極アセンブリは、1つの電極及び一対の中心化デバイスを含み得る。おそらく、1つの中心化デバイスは、それぞれの電極の各端へ、又はその各端において、又はその各端に向けて位置する。
【0031】
おそらく、各電極アセンブリは、抵抗障壁部材を含む。
【0032】
おそらく、本装置は、反対方向に分極された各々の複数の電極を含み、各電極間に可撓接続装置を有する。
【0033】
おそらく、電極アセンブリのうちの1つ又は各々は、可撓性接続片によって連結されている複数のセグメントを備える。おそらく、1つ以上の中心化デバイスは、電極アセンブリ又は各電極アセンブリに沿って間隔を置いて位置する。
【0034】
おそらく、電極は、使用中、電解質液内に浸され、実質的に電解質液で満たされている空間内に位置し得る。空間は、金属パイプの内部を含み得る。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、内面を電解処理する方法であって、方法は、金属パイプの内面の電解処理のための電解内面処理装置を提供することを含み、装置は、少なくとも2つの反対方向に分極された電極を含み、装置は、使用中、装置と処理されている内面との間に直接電気的接触がないように配置されており、装置は、
使用中、パイプ内の中心にある電極を保持するための電気絶縁中心化装置と、
2つの電極の間に位置し、一方の電極の他方の電極に対する移動を可能にするための電気絶縁可撓接続装置と、を含み、
中心化装置は、複数の離間中心化デバイスを含み、
各中心化デバイスは、それぞれの中心化デバイスを装置に取り付けるための電気絶縁取付台を含み、
各中心化デバイスは、複数の可撓性要素を含み、それらの各々は、取付台に固定されており、かつ取付台から外側へ延びる、電解内面処理装置が提供される。
【0036】
おそらく、本装置は、前述の記述のいずれか、以下の説明又は添付の図面に示され又は説明される特徴のいずれかを含む。おそらく、本方法は、前述の記述のいずれか、以下の説明又は添付の図面に示され又は説明されるステップのいずれかを含む。
【0037】
以下、本発明の実施形態について、例示的に、添付の図を参照しながら、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】パイプ内の電解内面処理装置の概略断面側面図である。
図2】パイプ内のオプションのスペーサユニットの概略断面側面図である。
図3】パイプ内の別の電解内面処理装置の概略断面側面図である。
【0039】
図面において、同一の又は類似の特徴の複数の例が存在する場合、明確にするために、特徴の例のうちの代表的なもの又はいくつかのみに参照番号が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0040】
説明
装置は、円形又は他の外側断面の2つ以上の反対方向に分極された電極を備える。これにより、システムは、電流が、動力供給装置から装置に、電解質液を通って、パイプの短尺部に沿って、パイプ表面に、電解質を通って戻り、第2の反対方向に分極された電極に流れることが可能になる。この配置は、アノードとカソードの両方として同時に作用する、処理されている表面を伴い、パイプに直接電気的接続を行う必要がないため、他の配置よりも好ましい。これにより、装置の動作がより迅速かつ容易になり、それは、プラントのアクセスできない部分での長尺パイプ部に関する困難を提示する可能性がある、パイプへの電気的接続を行うこと、及び処理されているパイプに沿った電気回路の連続性をチェックする必要がなくなるためである。
【0041】
各電極には、両端に中心化デバイスが取り付けられているため、パイプの断面が円形から逸脱しても、電極はパイプの略中心にとどまる。中心化デバイスは、集合的に中心化力を提供するが、個別に変形してパイプ表面の凹凸をスムーズに通過することができる、電気絶縁材料の可撓性撚り線又は繊維又はストリップを含む。好適な材料としては、ポリマー、電気絶縁コーティングを有するガラス繊維強化ポリマー金属、及び他の複合材料が挙げられる。材料の選択及び要素の数に応じて、中心化デバイスは、環状ブラシ、又は放射状に設けられた可撓性ばねに似ていてもよい。中心化デバイスは、液体がそれらを通過して流れることを可能にする。中心化デバイスと合わせた電極の全長は、パイプ内面から好適な距離に電極の全ての点を維持しながら、必要な最小曲げ半径をよけることができるような値である。
【0042】
2つ以上の電極アセンブリが、関節ジョイントを使用して、互いに接続されている。ジョイントは、設備が屈曲部分をよける際に屈曲することを可能にする。処理時間を短縮するか、又は除去された表面層の量を増加させる必要がある場合、3つ以上のモジュールが有利であり得る。電極間の間隔は、追加のジョイントと、電極間の間隔片とを含むことによって変えることができる。
【0043】
装置は、デバイスに電力を供給するアンビリカル接続を含む。それはまた、パイプに沿って装置を移動させる原動力としても機能し得る。それはまた、計装用の配線を拡張し得る。
【0044】
電解作用のための電気供給装置は交流電流であるため、アノード又はカソードについては定義されていない。交流電流は、正弦波形からなり得るか、又は電解作用を最大化するのに最も適した別の波形からなり得る。
【0045】
好ましい実施形態では、装置は、流体の流れを制限しない一方で、2つの電極間の流体経路の電気抵抗を増加させるのに役立つ、反対方向に分極された電極間に位置する電気絶縁抵抗障壁部材を含み得る。これは、ある電極から別の電極に電流が流れ得る液体の断面積を減少させることによって達成される。その効果は、パイプを通るのではなく、溶液を通る、一方の電極から他方の電極への電流の直接的な通過により起こる、電気損失を低減することである。これらの抵抗障壁部材は、可撓性絶縁材料で作られており、その可撓性は、抵抗障壁が装置に位置決め力をほとんど提供せず、デバイスの前方又は後方の動きに抵抗しないようなものである。液体は、抵抗障壁部材を通りかつその周りを流れることができる。各抵抗障壁部材は、単一の可撓性材料片又は複数の材料片で構成され得、1つ以上の孔又は穿孔を画定し得る。
【0046】
電極は、剛性構造であってもよく、又は任意選択的に、可撓性構造であってもよい。小さいパイプ曲げ半径に、可撓性電極が必要な場合がある。電極は、複数の部分に分割され得、各部分は、電気的に互いに接続されるが、可撓性接続片によって達成される、部分間のある程度の物理的可撓性を有する。位置付けデバイス及び可撓性電気抵抗障壁部材は、剛性電極と同じ様式で提供される。
【0047】
図1
図1を参照すると、金属パイプ1の内面102の電解処理のための電解内面処理装置100は、少なくとも2つの反対方向に分極された電極3、4を含む。装置100は、使用中、装置100と処理されている内面102との間に直接電気的接触がないように配置されている。
【0048】
装置100は、使用中、パイプ1内の中心にある電極3、4を保持するための電気絶縁中心化装置106と、2つの電極3、4の間に位置し、一方の電極の他方の電極に対する移動を可能にするための電気絶縁可撓接続装置104と、を含む。
【0049】
中心化装置106は、複数の離間中心化デバイス5、6を含む。各中心化デバイス5、6は、それぞれの中心化デバイス5、6を装置100に取り付けるための電気絶縁取付台7を含む。
【0050】
各中心化デバイス5、6は、複数の可撓性要素108を含み、それらの各々は、取付台7に固定されており、かつ取付台7から外側へ延びる。
【0051】
示されている例では、電極3、4は、環状で円形断面であり、中心化装置106によってパイプ1の中心に保持される。
【0052】
1つの中心化デバイス5、6は、装置100の各端へ、又は装置100の各端において、又は装置100の各端に向けて取り付けられている。
【0053】
示されている例では、1つの中心化デバイス5は、一方の電極3の各端に取り付けられ、1つの中心化デバイス6は、他方の電極4の各端に取り付けられている。
【0054】
電気絶縁取付台7の各々は、それぞれの電極3、4の端面にわたって延びており、そこを通る電流の流れを防止する。
【0055】
各取付台7は、カラー、エンドピース、又はエンドキャップを含み得る。各取付台7は、それぞれの電極3、4の端の上に位置するか、端に隣接するか、又は端を受容し得る。
【0056】
可撓性要素108は、取付台7の周囲に半径方向に均等に配置されている。
【0057】
各可撓性要素108は、弾性的に変形可能な材料で形成され、かつ、非導電性であるか又は高い電気抵抗率を有する。
【0058】
各可撓性要素108は、ポリマー、又は炭素繊維強化ポリマー複合材、又はガラス繊維強化ポリマー複合材で形成される。
【0059】
代替的に、各可撓性要素108は、電気絶縁コーティングでコーティングされた金属材料で形成され得る。金属材料は、チタン又はスチールであり得る。
【0060】
可撓性要素108は、ブラシ状又はばね状であり得る。装置100は、ブラシ状の可撓性要素及びばね状の可撓性要素の両方を含み得る。
【0061】
各可撓性要素108は、使用中、パイプ1にばね力を及ぼし得る。ばね力は、それぞれの可撓性要素に対する線形圧縮を変更することによって調整可能であり得る。
【0062】
示されている例では、例示的な説明のために、中心化デバイス5、6の2つの異なる設計が示される。動作中、単一タイプの中心化デバイス、又はタイプの組み合わせを使用することができる。
【0063】
一方の中心化デバイス5は、撚り線又は剛毛であり得る、リング状の短い可撓性ブラシ状要素を含む。これらの要素は、それらを電極3に固定する、電気絶縁取付台7から放射状に延びている。
【0064】
他方の中心化デバイス6は、電気絶縁取付台7に取り付けられた、半径方向に配向された可撓性ばね状要素を含むが、この場合、要素数はより少なく、各々がより大きな剛性を有し、パイプ表面に生じた不均一性又は凹凸を、いずれの方向でも容易に通過することができるような形状である。
【0065】
各可撓性要素108は、内面102との摩擦を低減するコーティングを有し得る。各可撓性要素102は、可撓性要素の電気抵抗を増加させるコーティングを有し得る。
【0066】
可撓性要素108の各々は、両端で固定され得、端は、同じ取付台又は異なる取付台に固定されている。
【0067】
装置100は、1つ以上の可撓性電気絶縁抵抗障壁部材8を含む。抵抗障壁部材8の各々は、2つの反対方向に分極された電極3、4間の流体経路の電気抵抗を増加させるために、反対方向に分極された電極間に位置する。
【0068】
装置100は、中心軸110を有する。抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材8は、中心軸110に対して外側へ延びる。
【0069】
抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材8の直径は、電極3、4の直径よりも大きく、パイプ1の直径よりも小さい。各抵抗障壁部材8は、それぞれの電極からパイプの内面に向かって外側へ延び、パイプの近くに延在し得、パイプに接触し得る。抵抗障壁部材のサイズは、パイプに沿った電極の移動が防止又は実質的に妨げられないように手配されている。
【0070】
抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材8は、パイプ内部を別個の空間又はポケット112に実質的に分割する。各空間又はポケット112は、電極を有さないか、又はその中に1つの極性のみの1つ以上の電極を有する。
【0071】
装置100は、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材8を装置100に取り付けるための障壁取付台9を含む。障壁取付台又は各障壁取付台9は、電気絶縁材料を含む。障壁取付台又は各障壁取付台9は、電極3、4のうちの1つに取り付けられている。
【0072】
示されている例では、2つの反対方向に分極された電極の間に配置された位置決めされた、2組の抵抗障壁8がある。
【0073】
いくつかの実施形態では、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材8は、各々が単独で変形することができる複数の部品を含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、抵抗障壁部材又は各抵抗障壁部材8は、孔又は穿孔を画定し得る。
【0075】
装置100は、一対の電極アセンブリ116を含む。各電極アセンブリ116は、1つの電極3、4及び一対の中心化デバイス5、6を含む。1つの中心化デバイス5、6は、それぞれの電極3、4の各端へ、又はその各端において、又はその各端に向けて位置する。
【0076】
各電極アセンブリ116は、抵抗障壁部材8を含む。
【0077】
装置100は、反対方向に分極された各々の複数の電極3、4を含み、各電極3、4間に可撓接続装置104を有する。
【0078】
可撓接続装置104は、可撓性要素11を介して2つの電極アセンブリを互いに接続する接続要素10を含む。アンビリカルケーブル12は、装置をその動力供給装置に接続し、接続片13を介して装置に取り付けられている。アンビリカルケーブルはまた、図示された場合における、装置をパイプに沿って移動させる力を提供する。
【0079】
装置100は、使用中、導電性電解質液2で満たされているパイプ1内に位置する。
【0080】
他の実施形態
図2及び図3は、本発明の他の実施形態を示し、その多くの特徴は、図1の実施形態との関連で既に説明したものと同様である。したがって、簡潔にするために、以下の実施形態は、既に説明した実施形態と異なる限りにおいてのみ説明する。特徴が同一又は類似である場合、同様の部分には同一の参照番号が使用され、特徴は再び説明されない。
【0081】
図2は、2つの電極アセンブリの間に挿入され得るオプションのスペーサユニット200を示す。ユニットは、電解質液2で満たされたパイプ1に示されている。スペーサユニットは、反対方向に分極された電極間の流体経路の電気抵抗を増加させる手段である。それは、図1に示される電気抵抗障壁8の代わりに、又はそれに加えて使用され得る。スペーサユニットの両端には、電極アセンブリに接続する可撓性結合要素11がある。可撓性結合は、接続要素10によって、可撓性中心化デバイス5の絶縁取付台7に連結されている。この図では、図1に示されるタイプのより多くのばね状要素108Bが代替的に使用され得るが、ブラシ状中心化要素108Aが示される。電気絶縁スペーサ要素202は、2つの中心化デバイス5の間に挟まれている。
【0082】
図3は、急な曲げ半径に有用であり得る、可撓性電極のためのオプションの配置を示す。この実施形態では、電極アセンブリ316は、可撓性接続片310によって連結される複数の電極セグメント303Aを含む、電極303を含む。1つ以上の中心化デバイス5は、電極アセンブリ316又は各電極アセンブリ316に沿って間隔を置いて位置する。
【0083】
パイプ1は、電解質液2で満たされている。中心化デバイス5は、間隔を置いて位置決めされ、電極セグメント303Aを挟んでいる。電極セグメント303Aは、電気的に接続され、1つの電極303を形成する。常に全ての電極セグメントが電気的に接続され、したがって単一の電極を形成することを条件として、電極セグメント、中心化デバイス、及び可撓性接続片の異なる数及び配置が使用され得る。アセンブリの両端には、接続片10、及び可撓性ジョイント11がある。2つ以上のそのような可撓性電極は、図1に示されるのと同じ様式で他の構成要素と一緒に接続され得る。
【0084】
他の修正
様々な修正が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。本装置及びその様々な構成要素は、(本明細書の特定の定義の範囲内で)任意の好適なサイズ及び形状であり得、任意の好適な材料で形成され得る。
【0085】
図示又は説明される実施形態のいずれかの特徴又はステップのいずれも、本明細書の全体的な開示の範囲内で、任意の好適切な方式で組み合わせることができる。
【0086】
結び
したがって、従来の装置よりも多くの利点を有する電解内面処理装置が提供される。本装置は、放射能で汚染された金属パイプ、チューブ、又は容器の内面を処理することを可能にし、一度廃止措置された配管の廃棄に伴うリスクを軽減する。処理方法は、表面層の電気化学的除去手段によって行われ、本発明は、電気化学的プロセスに必要な電極の位置決めを制御する手段である。本発明は、デバイスがパイプの内面の屈曲部をよけ、内面の凹凸の周りを通過しても、パイプの中心に電極を維持し、いずれの方向でも、閉じた端を有する液体充填パイプ内で、過剰な力を必要とすることなく、デバイスの自由な移動を可能にする。有利なことに、抵抗障壁部材は、電解質液を通る電極間の伝導を低減し、電流経路が、大部分がパイプの内面を介して電極間にあることを確実にすることによって、装置の効率を高める。
図1
図2
図3
【国際調査報告】