(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】部品製造及び外部検査
(51)【国際特許分類】
B22F 3/24 20060101AFI20240306BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240306BHJP
【FI】
B22F3/24 G
B22F10/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557056
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022020742
(87)【国際公開番号】W WO2022197920
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】メイベリー,トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ベニナッティ,グレゴリー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アーサー,マイケル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
4K018FA06
4K018HA01
4K018KA01
(57)【要約】
プリフォーム部品(20)を用意することを含む製造方法が提供される。プリフォーム部品は、プリフォーム部品の外側にブラインド開口部(36)を含む。プリフォーム部品の外側を機械加工して、機械加工部品(64)を得る。機械加工部品の外側を検査して、機械加工部品の特性を決定する。機械加工部品の特性は、ブラインド開口部に関係付けられる。機械加工部品の特徴が基準を満たすか否かを、機械加工部品の特性に基づいて判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造方法であって、
プリフォーム部品を用意することであって、前記プリフォーム部品は前記プリフォーム部品の外側にブラインド開口部を含む、前記用意することと、
前記プリフォーム部品の前記外側を機械加工して、機械加工部品を得ることと、
前記機械加工部品の外側を検査して、前記ブラインド開口部に関係付けられる前記機械加工部品の特性を決定することと、
前記機械加工部品の特徴が基準を満たすか否かを、前記機械加工部品の前記特性に基づいて判定することと、を含む、
製造方法。
【請求項2】
前記機械加工部品の前記特性が、前記機械加工部品における前記ブラインド開口部の少なくとも一部の存在を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記判定することは、前記機械加工部品が前記ブラインド開口部の少なくとも一部を含む場合に、前記機械加工部品の前記特徴が前記基準を満たすと判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記判定することは、前記プリフォーム部品の前記機械加工が前記ブラインド開口部を完全に取り除いた場合に、前記機械加工部品の前記特徴が前記基準を満たさないと判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記機械加工部品が前記ブラインド開口部の少なくとも一部を含み、
前記機械加工部品の前記特性が、前記ブラインド開口部の前記少なくとも一部の深さを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記判定することは、前記機械加工部品に含まれる前記ブラインド開口部の少なくとも一部の深さが、ある値以上である場合に、前記機械加工部品の前記特徴が前記基準を満たすと判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記判定することは、前記機械加工部品に含まれる前記ブラインド開口部の少なくとも一部の深さが、ある値未満である場合に、前記機械加工部品の前記特徴が前記基準を満たさないと判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記機械加工部品の前記特徴は、前記機械加工部品の寸法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記機械加工部品の前記特徴は、前記機械加工部品の側壁の厚さを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記機械加工部品の前記特徴は、前記機械加工部品内の通路と前記機械加工部品の外面との間の距離を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プリフォーム部品を前記用意することは、前記プリフォーム部品を積層造形することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記機械加工することは、前記プリフォーム部品のプリフォーム外面を機械加工して、前記機械加工部品に機械加工された外面を与えることを含み、
前記ブラインド開口部の少なくとも一部は、前記機械加工された外面から前記機械加工部品内に延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プリフォーム外面は非平面な外面であること、または
前記機械加工された外面は平面な外面であることのうちの少なくとも1つである、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械加工部品が、前記ブラインド開口部の少なくとも一部、開口部端面、及び内部通路を含み、
前記ブラインド開口部の前記少なくとも一部が、前記機械加工部品内に垂直に前記開口部端面まで延び、
前記内部通路の側面が、前記開口部端面と垂直方向に位置合わせされる、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記機械加工部品が、前記ブラインド開口部の少なくとも一部、開口部端面、及び内部通路を含み、
前記ブラインド開口部の前記少なくとも一部が、前記機械加工部品内に垂直に前記開口部端面まで延び、
前記内部通路の側面が、前記開口部端面から垂直方向にずれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ブラインド開口部が階段状の開口部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
製造方法であって、
プリフォーム部品を用意することであって、前記プリフォーム部品は、開口部、プリフォーム外面、及び開口部端面を含み、前記開口部は、前記プリフォーム外面から前記開口部端面まで前記プリフォーム部品内に延びる、前記用意することと、
機械加工された外面を伴う機械加工部品を得るために前記プリフォーム部品を機械加工することであって、前記機械加工部品は前記開口部の一部を含み、前記開口部の前記一部は、前記機械加工された外面から前記開口部端面まで前記機械加工部品内に延びる、前記機械加工することと、
前記機械加工された外面から前記開口部端面までの距離を測定することと、
前記機械加工部品の特徴が基準を満たすか否かを、前記機械加工された外面から前記開口部端面までの前記距離に基づいて判定することと、を含む、
製造方法。
【請求項18】
前記プリフォーム部品は積層造形され、
前記プリフォーム外面は非平面な外面であり、
前記機械加工された外面は平面な外面である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記機械加工部品の前記特徴は、前記機械加工部品内の通路から前記機械加工された外面までの距離を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
製造方法であって、
プリフォーム部品を用意することであって、前記プリフォーム部品は検査特徴部を含み、前記検査特徴部は開口部または突出部を含む、前記用意することと、
前記プリフォーム部品の外側を機械加工して、機械加工部品を得ることと、
前記機械加工部品を目視検査して、前記検査特徴部に関係する前記機械加工部品の特性を決定することと、
前記機械加工部品の目に見えない特徴が基準を満たすか否かを、前記機械加工部品の前記特性に基づいて判定することと、を含む、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国特許出願第17/204,556号(2021年3月17日に出願)に対する優先権を主張する。なおこの文献は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。
(技術分野)
本開示は全般的に、1つ以上の内部特徴を備えた部品の製造及び検査に関する。
【背景技術】
【0002】
液体フロースルー冷却板には1つ以上の内部通路が含まれる。製造中に、冷却板のプリフォームを1つ以上の既知の製造技術を用いて形成する場合がある。この冷却板プリフォームは、プリフォームの外側に1つ以上の欠陥を含む場合がある。これらの欠陥を取り除くために、冷却板プリフォームの1つ以上の表面を平面に機械加工する場合がある。しかし、欠陥のタイプ及び大きさによっては、そのような機械加工によって、内部通路のうちの1つ以上の側壁材料が過度に薄くなるかまたは完全に取り除かれ、それによって冷却板が使用できなくなる場合がある。過剰な機械加工を特定するために、コンピューター断層撮影(CT)スキャンなどの検査プロセスを冷却板に対して行って、冷却板内の内部通路の位置を特定し及び/または冷却板の側壁の厚さを測定する場合がある。しかし、そのような検査プロセスは、費用及び/または時間がかかる場合がある。
【0003】
当該技術分野では、1つ以上の内部特徴を備えた部品を製造及び検査するための改善された方法が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様によれば、製造方法が提供される。この方法の間に、プリフォーム部品が用意される。プリフォーム部品は、プリフォーム部品の外側にブラインド開口部を含む。プリフォーム部品の外側を機械加工して、機械加工部品を得る。機械加工部品の外側を検査して、ブラインド開口部に関係付けられる機械加工部品の特性を決定する。機械加工部品の特徴が基準を満たすか否かを、機械加工部品の特性に基づいて判定する。
【0005】
本開示の別の態様によれば、他の製造方法が提供される。この方法の間に、プリフォーム部品が提供される。プリフォーム部品は、開口部、プリフォーム外面、及び開口部端面を含む。開口部は、プリフォーム外面から開口部端面までプリフォーム部品内に延びる。プリフォーム部品を機械加工して、機械加工された外面を伴う機械加工部品を得る。機械加工部品は、開口部の一部を含む。開口部の一部は、機械加工された外面から開口部端面まで機械加工部品内に延びる。機械加工された外面から開口部端面までの距離を測定する。機械加工部品の特徴が基準を満たすか否かを、機械加工された外面から開口部端面までの距離に基づいて判定する。
【0006】
本開示のさらに別の態様によれば、他の製造方法が提供される。この方法の間に、プリフォーム部品が提供される。プリフォーム部品は検査特徴部を含む。プリフォーム部品の外側を機械加工して、機械加工部品を得る。機械加工部品を目視検査して、検査特徴部に関係する機械加工部品の特性を決定する。機械加工部品の目に見えない特徴が基準を満たすか否かを、機械加工部品の特性に基づいて判定する。
【0007】
検査特徴部は、開口部または突出部として構成してもよいし、他の場合には開口部または突出部を含んでもよい。
【0008】
プリフォーム部品を積層造形してもよい。プリフォーム外面は非平面な外面であってもよい。機械加工された外面は平面な外面であってもよい。
【0009】
機械加工部品の特徴は、機械加工部品内の通路から機械加工された外面までの距離であってもよい。
【0010】
機械加工部品の特性は、機械加工部品におけるブラインド開口部の少なくとも一部の存在であってもよい。
【0011】
判定することは、機械加工部品がブラインド開口部の少なくとも一部を含む場合に、機械加工部品の特徴が基準を満たすか否かを判定することを含んでいてもよい。
【0012】
判定することは、プリフォーム部品の機械加工がブラインド開口部を完全に取り除いた場合に、機械加工部品の特徴が基準を満たさないと判定することを含んでいてもよい。
【0013】
機械加工部品は、ブラインド開口部の少なくとも一部を含んでいてもよい。機械加工部品の特性が、ブラインド開口部の少なくとも一部の深さであってもよい。
【0014】
判定することは、機械加工部品に含まれるブラインド開口部の少なくとも一部の深さが、ある値以上である場合に、機械加工部品の特徴が基準を満たすと判定することを含んでいてもよい。
【0015】
判定することは、機械加工部品に含まれるブラインド開口部の少なくとも一部の深さが、ある値未満である場合に、機械加工部品の特徴が基準を満たさないと判定することを含んでいてもよい。
【0016】
機械加工部品の特徴は、機械加工部品の寸法であってもよい。
【0017】
機械加工部品の特徴は、機械加工部品の側壁の厚さであってもよい。
【0018】
機械加工部品の特徴は、機械加工部品内の通路と機械加工部品の外面との間の距離であってもよい。
【0019】
プリフォーム部品を用意することは、プリフォーム部品を積層造形することを含んでいてもよい。
【0020】
機械加工することは、プリフォーム部品のプリフォーム外面を機械加工して、機械加工部品に機械加工された外面を与えることを含んでいてもよい。ブラインド開口部の少なくとも一部は、機械加工された外面から機械加工部品内に延びてもよい。
【0021】
プリフォーム外面は非平面な外面であってもよい。それに加えてまたはその代わりに、機械加工された外面は平面な外面であってもよい。
【0022】
機械加工部品は、ブラインド開口部の少なくとも一部、開口部端面、及び内部通路を含んでいてもよい。ブラインド開口部の少なくとも一部は、機械加工部品内に垂直に開口部端面まで延びてもよい。内部通路の側面は、開口部端面と垂直方向に位置合わせされてもよい。
【0023】
機械加工部品は、ブラインド開口部の少なくとも一部、開口部端面、及び内部通路を含んでいてもよい。ブラインド開口部の少なくとも一部は、機械加工部品内に垂直に開口部端面まで延びてもよい。内部通路の側面は、開口部端面から垂直方向にずれていてもよい。
【0024】
機械加工部品は、熱交換器として構成してもよいしまたは熱交換器の一部であってもよい。
【0025】
ブラインド開口部は、階段状の開口部として構成してもよいし、他の場合には階段状の開口部を含んでいてもよい。
【0026】
本開示は、前述及び/または以下で開示される個々の特徴のうちのいずれか1つ以上を、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで含んでいてもよい。
【0027】
本発明の前述の特徴及び動作は、以下の説明及び添付図面を考慮して、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】部品を製造するための方法のフロー図である。
【0029】
【0030】
【
図3】
図2の線分3-3に沿って見たプリフォーム部品の概略断面図である。
【0031】
【
図4】
図3の線分4-4に沿って見たプリフォーム部品の概略断面図である。
【0032】
【
図5】プリフォーム部品の積層造形層の概略斜視図である。
【0033】
【0034】
【
図7A】プリフォーム部品を機械加工して機械加工部品が得られ得る種々の様式を示す概略断面図である。
【
図7B】プリフォーム部品を機械加工して機械加工部品が得られ得る種々の様式を示す概略断面図である。
【
図7C】プリフォーム部品を機械加工して機械加工部品が得られ得る種々の様式を示す概略断面図である。
【0035】
【
図8】少なくとも1つの検査開口部及び少なくとも1つの内部特徴を伴う機械加工部品の一部の概略断面図である。
【0036】
【
図9A】内部特徴に対する検査開口部の種々の配置を示す概略断面図である。
【
図9B】内部特徴に対する検査開口部の種々の配置を示す概略断面図である。
【0037】
【
図10A】種々の検査開口部の断面形状を示す図である。
【
図10B】種々の検査開口部の断面形状を示す図である。
【
図10C】種々の検査開口部の断面形状を示す図である。
【0038】
【
図11】複数の階段状の検査開口部を備えて構成されるプリフォーム部品の図である。
【0039】
【
図12】階段状の検査開口部のうちの1つを備えて構成されるプリフォーム部品の一部の断面図である。
【0040】
【
図13】隆起したリムを備えて構成されるプリフォーム部品の図である。
【0041】
【
図14】隆起したリム内の検査開口部のうちの1つを備えて構成されるプリフォーム部品の一部の断面図である。
【0042】
【0043】
【0044】
【
図17】1つ以上の追加部品を備えて構成される熱交換器プレートの概略図である。
【0045】
【0046】
【
図19】検査用突出部を備えて構成されるプリフォーム部品の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示は、1つ以上の内部特徴を伴う部品を製造するための方法を含む。これらの内部特徴のそれぞれは、製造された部品の内部に部分的または完全に配置される。したがって、内部特徴は、製造された部品の外部からは目に見えない及び/または検査用に簡単にアクセス可能ではない場合がある。したがって、本開示の製造方法は、たとえば、費用及び/または時間のかかる画像化処理(たとえば、X線スキャン、コンピューター断層撮影(CT)スキャンなど)を必要とせずに、製造された部品の外部から内部特徴に関係付けられる情報を検査及び/または取得するための技法/プロセスを含み得る。
【0048】
図1は、少なくとも1つの内部特徴を伴う部品を製造するための方法1000のフロー図である。説明を簡単にするために、製造された部品を熱交換器として以下で説明し、内部特徴を内部通路として以下で説明する。熱交換器の例としては、熱交換器プレート(たとえば、液体フロースルーコールドプレート)、ヒートスプレッダ、ラジエーター、及びモジュール式熱交換器のセクション/モジュールが挙げられるが、これらに限定されない。熱交換器は、液体対液体熱交換器、気体対液体熱交換器、及び/または気体対気体熱交換器として構成され得る。しかし本開示は、そのような典型的な熱交換器の製造にも、熱交換器の用途にも限定されない。たとえば、他の実施形態では、製造方法1000は、流体容器(たとえば、タンク)または流体導管を製造するために行ってもよい。また本開示は、内部特徴が内部通路である実施形態にも限定されない。たとえば、他の実施形態では、内部特徴は、代替的に、内部空洞、内部コア、異なる多孔度及び/または密度を伴う製造された部品の一部、または製造された部品内に少なくとも部分的にまたは完全に配置された任意の他のタイプの体積及び/または要素であってもよいし、またはこれらを含んでいてもよい。そのような製造された部品は、種々の用途、たとえば、限定することなく、モバイルデバイス(たとえば、陸上車両、船舶、航空機、宇宙船、発射体、ミサイルなど)、センサシステム、通信システム、及び制御システムに対して使用され得る。
【0049】
ステップ1002では、製造された部品のプリフォーム20が用意される。プリフォーム部品20の概略斜視図を
図2に例示する。このプリフォーム部品20は外側に、対向する長手方向側面22及び24、対向する横方向側面26及び28、対向する垂直側面30及び32を伴う。プリフォーム部品20は、長手方向側面22及び24の間で長手方向に(たとえば、x軸に沿って)延びる。プリフォーム部品20は、横方向側面26及び28の間で横方向に(たとえば、y軸に沿って)延びる。プリフォーム部品20は、垂直側面30及び32の間で垂直方向に(たとえば、Z軸に沿って)延びる。
【0050】
図2のプリフォーム部品20は、少なくとも1つの内部通路34(内部特徴)を含み、通路34の端部が
図2に見える。また
図2のプリフォーム部品20は、少なくとも1つの検査開口部36(たとえば、凹部、溝、チャネル、ノッチ、ディンプルなど)を含む。
【0051】
図3を参照して、内部通路34は入口38及び出口40を有し得る。
図3の内部通路34は、プリフォーム部品20内で、入口38及び出口40の間で内部通路34の中心線42に沿って延びる。内部通路34及びその中心線42は、1つ以上の直線部分44~46を含んでいてもよい。内部通路34及びその中心線42は、さらにまたは代替的に、1つ以上の非直線部分48及び50(たとえば、湾曲部分、アーチ形部分、曲がりくねった部分、蛇行部分など)を含んでいてもよい。それによって、内部通路34及びその中心線42は、プリフォーム部品20内で蛇行状の軌跡をたどってもよい(
図12も参照)。しかし、本開示は、そのような典型的な内部通路構成には限定されない。
【0052】
図4を参照して、検査開口部36はブラインド開口部として構成してもよい。
図4の検査開口部36は、たとえば、プリフォーム部品20のプリフォーム外面52からプリフォーム部品20の開口部端面54まで、プリフォーム部品20内に部分的に延びる。
図4のプリフォーム外面52は、プリフォーム部品20の第2の垂直側面32に(たとえば、その上に、それに隣接して、またはそれに近接して)配置される。開口部端面54は、プリフォーム部品20の垂直側面30及び32の間に垂直方向に配置される。開口部端面54は、プリフォーム外面52から(たとえば、Z軸に沿って)垂直距離56だけ離れて配置される。この垂直距離56は、プリフォーム部品20内での検査開口部36の垂直深さを画定する。
【0053】
プリフォーム部品20は、積層造形装置を使用した積層造形によって形成してもよい。用語「積層造形」は、一つまたは複数の部品が、通常は交互積層方法で材料を共に蓄積及び/または融合することによって形成されるプロセスを記述する場合がある。たとえば、粉末材料の層を配置し、その後、互いに順次固化させて、部品(複数可)を形成する。用語「固化させる」は、本明細書では、材料が焼結及び/またはそうでなければ溶融し、それによって、焼結及び/または溶融した材料の別個の粒子または液滴が互いに融合するプロセスを記述するために使用される。積層造形プロセスの例としては、レーザ粉末床溶融結合(LPBF)プロセス及び電子ビーム粉末床溶融結合(EB-PBF)プロセスが挙げられる。積層造形装置の例としては、レーザ粉末床溶融結合(LPBF)デバイス及び電子ビーム粉末床溶融結合(EB-PBF)デバイスが挙げられる。当然のことながら、他の種々の積層造形プロセス及びデバイスが当該技術分野で知られており、本開示はそれらのいずれかの特定のものに限定されない。さらに、本開示は積層造形形成プロセスに限定されない。たとえば、プリフォーム部品20は、さらにまたは代替的に、鋳造及び/または機械加工によって形成してもよい。
【0054】
プリフォーム部品20は1つ以上の欠陥を含む場合がある。用語「欠陥」は、製造方法1000の後続のステップ(複数可)で対処され得る(たとえば、取り除かれ及び/またはそうでなければ変更され得る)プリフォーム部品形成プロセスからのアーチファクトを記述する場合がある。たとえば、プリフォーム部品20が積層造形される場合、プリフォーム部品20を形成する材料の層のうちの1つ以上またはすべてが、別個にまたは一括して、その全体にわたって不均一な温度差にさらされる場合がある。たとえば、
図5を参照して、新たに固化された層60の端部58が、たとえば、新たに固化された層60の中間/中央部分(複数可)62よりも速く冷却する場合がある。この不均一な冷却によって、新たに形成された層60が歪む場合がある(たとえば、カップ、「ポテトチップ」など)。したがって、
図2及び4のプリフォーム外面52は、非平面(たとえば、非平坦)な幾何学的形状を有する場合がある。プリフォーム外面52は、たとえば、湾曲した(たとえば、カップ状の)または波状の外面であってもよい。当然のことながら、プリフォーム部品20は、さらにまたは代替的に、種々の他のタイプの欠陥を含んでいてもよい。
【0055】
ステップ1004では、プリフォーム部品20を機械加工して、機械加工部品64を得る(
図6を参照)。プリフォーム外面52(
図2を参照)の少なくとも一部(または全体)を、たとえば、平面削りし、ミリングし、及び/またはそうでなければ機械加工して、機械加工部品64に、機械加工された外面52’を第2の垂直側面32’において与える(
図6を参照)。この機械加工された外面52’は、平面な幾何学的形状を有していてもよい。
図6の機械加工された外面52’は、たとえば、平坦な外面である。これにより、機械加工ステップ1004は、プリフォーム部品20から外面の湾曲及び/または波形を取り除き得る(たとえば、形成プロセスのアーチファクト(複数可)を取り除き得る)。当然のことながら、プリフォーム部品20の1つ以上のさらなる部分(たとえば、側面22、24、26、28、及び/または30における表面のうちの1つ以上)も、少なくとも部分的にまたは完全に機械加工して、機械加工部品64を得てもよい。
【0056】
図6の機械加工部品64は、プリフォーム部品20からの検査開口部36のうちの少なくとも一部(または全体)を含んでいてもよい。
図7Aに、機械加工部品64が検査開口部36の全体を含む実施形態を例示する。
図7B及び7Cに、機械加工部品64が検査開口部36の一部を含む実施形態を例示する。
【0057】
ステップ1006では、機械加工部品64の外側を検査する。
図8を参照して、この検査は、検査開口部36に関係付けられる/関連する機械加工部品64の少なくとも1つの(たとえば、外部の)特性を判定するために行う。
【0058】
検査開口部特性は、検査開口部36の全体または少なくとも一部が、機械加工部品64内にまだ存在するか否かであってもよい。機械加工部品64内での検査開口部36の存在(または存在の欠如)は、たとえば、機械加工部品64の外部、より詳細にはその機械加工された外面52’の目視検査を介して判定してもよい。この目視検査は、人間の検査官によって(たとえば、人間の目を介して)手動で行ってもよい。目視検査は、さらにまたは代替的に、検査システム(たとえば、自動カメラ検査システム)を使用して行ってもよい。しかし、製造方法1000は、前述の典型的な目視検査技法には限定されない。
【0059】
検査開口部特性は、さらにまたは代替的に、機械加工部品64内の検査開口部36(たとえば、残存する検査開口部部分)の寸法56’(たとえば、垂直深さ)であっても(またはそれを示しても)よい。機械加工部品64内の残存する検査開口部36の寸法56’は、手動検査装置(たとえば、測定ノギスのセット)を使用して決定してもよい。検査開口部36の寸法56’は、さらにまたは代替的に、検査システム、たとえば、自動接触または非接触検査システムを使用して決定してもよい。これは、座標測定機(CCM)または(たとえば、白色または青色)光測定システムなどであるが、これらに限定されない。しかし、製造方法1000は、前述の典型的な寸法検査手法には限定されない。
【0060】
ステップ1008では、機械加工部品64の少なくとも1つの特徴が、(たとえば、設計及び/または製造)基準を満たしているかまたは満たしていないかが判定される。特徴が基準を満たすか否かの判定は、機械加工部品64の検査開口部特性に基づいて行ってもよい。
【0061】
機械加工部品の特徴は、機械加工部品64の寸法または他の内部特性であってもよい。たとえば、特徴は、機械加工部品64の側壁70の厚さ68であってもよいし、または代替的に、側壁の厚さ68を示すかそうでなければ側壁の厚さ68に関連していてもよい。
図8の側壁70は、機械加工された外面52’と内部通路34の周辺境界72との間を垂直方向に延びて、それを少なくとも部分的に形成する。側壁の厚さ68は、機械加工された外面52’から内部通路34及びその周辺境界72までの(たとえば、最短及び/または垂直の)垂直距離として測定してもよい。しかし、製造方法1000は、前述の典型的な機械加工部品の特徴には限定されない。
【0062】
機械加工部品の特徴は、検査開口部36に関連する。たとえば、検査開口部36は、内部通路34(内部特徴)に近接した既知の位置に空間的に配置してもよい。また検査開口部36は、内部通路34(内部特徴)に関する情報を提供するように構成(たとえば、サイズ、配列など)してもよい。たとえば、
図9Aを参照して、開口部端面54を、内部通路34(内部特徴)の周辺境界72(たとえば、垂直側面)と垂直方向に(たとえば、Z軸に沿って)位置合わせしてもよい。代替的に、
図9Bを参照して、開口部端面54は、内部通路34(内部特徴)の周辺境界72(たとえば、側面)から既知の垂直距離74だけ垂直方向に(Z軸に沿って)ずれていてもよい。
図9Bの開口部端面54は、たとえば、内部通路34の周辺境界72(たとえば、側面)と機械加工された外面52’との間で垂直方向に(Z軸に沿って)配置される。開口部端面54(たとえば、
図9Aまたは9Bを参照)を、内部通路34(内部特徴)及びその周辺境界72(たとえば、側面)に対して既知の(たとえば、垂直)位置に配置することによって、周辺境界72(たとえば、側面)の位置を、機械加工部品64内での検査開口部36の深さを知ることによって決定することができる。したがって、内部通路34(内部特徴)に関する情報を、たとえば、費用及び/または時間のかかる画像化処理(たとえば、X線スキャン、コンピューター断層撮影(CT)スキャンなど)を使用せずに、機械加工部品64の外側を検査することによって決定することができる。
【0063】
機械加工部品64が検査開口部36の全体(または少なくとも一部)を含む場合、内部通路34(内部特徴)と機械加工された外面52’との間に十分な材料がまだ存在すると判定してもよい。たとえば、検査開口部36の全体(または少なくとも一部)が存在するので、側壁の厚さ68が基準の仕様内であると判定することができる。したがって、機械加工部品64を、基準を満たしている(たとえば、設計公差に準拠している/設計公差内である)として特定/分類してもよい。しかし、機械加工部品64が検査開口部36の一部のみを含むかまたは検査開口部36を全く含まない場合、内部通路34(内部特徴)と機械加工された外面52’との間に存在する材料は不十分であると判定してもよい。たとえば、検査開口部36の一部のみが存在するかまたは全く存在しないので、側壁の厚さ68が基準の仕様の外であると判定することができる。したがって、機械加工部品64は、基準を満たしていないとして特定/分類してもよい。
【0064】
機械加工部品64内での検査開口部36の深さが、(たとえば、所定の設計)値以上であると測定された場合、内部通路34(内部特徴)と機械加工された外面52’との間に十分な材料がまだ存在すると判定してもよい。したがって、機械加工部品64は、基準を満たすとして特定/分類してもよい。しかし、機械加工部品64内での検査開口部36の深さが(たとえば、所定の設計)値未満であると測定された場合、内部通路34(内部特徴)と機械加工された外面52’との間に十分な材料が存在していないと判定してもよい。したがって、機械加工部品64は基準を満たしていないとして特定/分類してもよい。
【0065】
ステップ1010では、機械加工部品64を、基準を満たしているかまたは満たしていないとして、マーキングし及び/または他の方法で特定する。機械加工部品64が基準を満たす場合、機械加工部品64を、さらなる下流処理(たとえば、さらなる機械加工、仕上げ、及び/または組み立て)用に特定する。機械加工部品64が基準を満たさない場合、機械加工部品64を、他の処理(たとえば、再加工及び/または廃棄)用に特定する。
【0066】
機械加工部品64は、機械加工部品64上にマーキング(たとえば、書き込み、ラベルなど)を適用することによって特定してもよい。機械加工部品64は、さらにまたは代替的に、機械加工部品64を個々の貯蔵所内に配置すること、機械加工部品64を個々の棚上に配置することなどによって特定してもよい。しかし、製造方法1000は、前述の典型的な特定(たとえば、マーキング)技法には限定されない。
【0067】
図10Aを参照して、検査開口部36のうちの1つ以上またはすべてが、たとえば、個々の検査開口部36の中心線76に対して垂直に見たときに、円形の断面形状を有していてもよい。
図10B及び10Cを参照して、検査開口部36のうちの1つ以上またはすべてが、さらにまたは代替的に、たとえば、個々の検査開口部の中心線76に対して垂直に見たときに、非円形の断面形状を有していてもよい。たとえば、検査開口部の断面形状は、実質的にまたは正確に長円形、楕円形、または多角形(たとえば、正方形、長方形など)の形状であってもよい。しかし、本開示は、前述の典型的な検査開口部の構成に限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、
図4を参照して、検査開口部36は、均一な深さ(たとえば、垂直距離56)によって構成してもよい。より詳細には、検査開口部36は、プリフォーム部品20内に垂直に単一の開口部端面54まで延びてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、
図11及び12を参照して、検査開口部36のうちの1つ以上またはすべてをそれぞれ、変化する深さ(たとえば、段階的な深さ)によって構成してもよい。
図12の検査開口部36は、たとえば、階段状の開口部として構成される。この検査開口部36は、プリフォーム部品20内に垂直に複数の開口部端面54A~Cまで延びる。第1の端面54Aは、プリフォーム外面52から(たとえば、均一な)第1の垂直距離56Aに配置される。したがって、第1の立ち上がり面55Aが、プリフォーム外面52と第1の端面54Aとの間を垂直に延びる。第2の端面54Bは、プリフォーム外面52から(たとえば、均一な)第2の垂直距離56Bに配置される。第2の垂直距離56Bは第1の垂直距離56Aよりも長い。したがって、第2の立ち上がり面55Bが、第1及び第2の端面54A及び54B間を垂直に延びる。第3の端面54Cは、プリフォーム外面52から(たとえば、均一な)第3の垂直距離56Cに配置される。第3の垂直距離56Cは第2の垂直距離56Bよりも長い。したがって、第3の立ち上がり面55Cが、第2及び第3の端面54B及び54C間を垂直に延びる。
【0070】
開口部端面54A、54B、54Cのそれぞれは、対応する属性に関係付けられ得る。たとえば、機械加工ステップ1004の後に開口部端面54A~Cのすべてが存在する(たとえば、目に見える)場合、機械加工部品は基準を満たすと判定してもよい。機械加工ステップ1004の後に開口部端面54B及び54Cのそれぞれが存在する(たとえば、目に見える)場合、やはり機械加工部品は基準を満たすと判定してもよい。開口部端面54B及び54Cのそれぞれがまだ存在する場合、元の開口部端面54A及び立ち上がり面55Bを画定した段差57Aの一部がまだ存在し得ることに留意されたい。この段差57A/立ち上がり面55Bの少なくとも一部の存在は、表面54Bがその元の形状にあることを示し得る。元の開口部端面54B及び立ち上がり面55Cを画定した段差57Bの一部が、機械加工ステップ1004中に機械加工されて除去された場合、機械加工部品は基準を満たさないと判定してもよい。しかし、本開示は、前述の典型的な端面/段差属性割り当てに限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態では、
図13及び14を参照して、検査開口部36のうちの1つ以上またはすべてをそれぞれ、プリフォーム部品20の隆起部分内に配置してもよい。
図13及び14の検査開口部36は、たとえば、プリフォーム部品20の外周部分の周りに部分的または完全に延びる隆起リム部分59内に配列される。機械加工部品は、前述した方法1000を使用して隆起リム部分59内の検査開口部36を用いて検査してもよい。そして、検査ステップ1006に続いて、隆起リム部分59の(たとえば、残存する/機械加工されていない部分)を残してもよいしまたは機械加工して除去してもよい。
【0072】
図15及び16に、機械加工部品64(製造された部品)を、熱交換器プレート78(たとえば、冷却器プレート)として例示する。この機械加工部品64は、複数の検査開口部36を、機械加工された外面52’に沿った種々の場所に含む。これらの検査開口部36のそれぞれは、前述したように、機械加工部品64内の1つ以上の内部通路34(内部特徴)の個々の部分についての情報を提供するように構成されている。
【0073】
図17を参照して、1つ以上の追加部品80(たとえば、電子機器)を、機械加工部品64に取り付けてもよい。追加部品80は、たとえば、機械加工された外面52’に取り付けてもよい。
【0074】
図18を参照して、複数の機械加工部品64を、熱交換器システム82を提供するために組み立ててもよいし、そうでなければ一緒に配列してもよい。しかし、本開示は、そのような典型的な熱交換器システムにも、前述したような熱交換部品の製造にも限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、
図19を参照して、すべての検査開口部36のうちの1つ以上をそれぞれ、検査用突出部36’と置き換えてもよい。この検査用突出部36’は本質的に、前述した検査開口部36と逆であってもよい。検査用突出部36’は、たとえば、リブ、台座、段、または任意の他の突出部であって1つ以上の(たとえば、既知の)基準(たとえば、幾何学的形状、寸法など)を備えたものであってもよい。
図19の検査用突出部36’は、たとえば、プリフォーム外面52から個々の検査用突出部36’の遠位端面54’まで、既知の垂直距離56’だけ垂直方向に突出する。この検査用突出部36’を、検査開口部36と同様の様式で方法1000において使用してもよい。たとえば、この検査用突出部36’の少なくとも一部が機械加工ステップ1004の後に残存する場合、機械加工部品が基準を満たすと判定してもよい。当然のことながら、検査ステップ1006に続いて、検査用突出部36’を、機械加工部品から完全に取り除いてもよい。
【0076】
本開示の種々の実施形態について説明してきたが、当業者には明らかなように、本開示の範囲内でさらに多くの実施形態及び実施態様が可能である。たとえば、本明細書に記載する開示は、特定の特徴を含むいくつかの態様及び実施形態を含む。これらの特徴は個別に記載してもよいが、これらの特徴の一部または全部を態様のいずれか1つと組み合わせて本開示の範囲内に留まり得ることは、本開示の範囲内である。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物を考慮する場合を除いて、制限されるべきではない。
【国際調査報告】