(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】エネルギ貯蔵システム及びバッテリ管理システムの電力供給方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240306BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02J1/00 306B
H02J9/06 110
H02J1/00 304J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557113
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2021081249
(87)【国際公開番号】W WO2022193165
(87)【国際公開日】2022-09-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,チュンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,シージアーン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジープオン
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
【Fターム(参考)】
5G015GB03
5G015GB06
5G015JA34
5G015JA52
5G165BB06
5G165DA01
5G165EA02
5G165EA09
5G165HA01
5G165LA01
5G165NA06
(57)【要約】
本出願は、エネルギ貯蔵システム及びバッテリ管理システムの電力供給方法を提供する。エネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムを含む。第1電源モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と直流バスのバス電圧との間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、入力電圧に基づいて第1直流電圧を第2電源モジュールに出力するよう構成され得る。第1電力変換モジュールは、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュールに出力するよう構成され得る。この場合、第2電源モジュールは、第1直流電圧と第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、目標電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給するよう構成され得る。本出願では、バッテリ管理システムに対する電力供給の信頼性が改善され、エネルギ貯蔵システムのコストが低減され、適用範囲が拡大される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ貯蔵システムであって、当該エネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムとを備え、前記第1電源モジュールの第1入力端は前記エネルギ貯蔵モジュールに接続され、前記第1電源モジュールの第2入力端は前記直流バスに接続され、前記第1電源モジュールの出力端は前記第2電源モジュールの第1入力端に接続され、前記第2電源モジュールの第2入力端は、第1電力変換モジュールを使用することにより交流主電源又は前記電力変換モジュールに接続され、前記第2電源モジュールの出力端は前記バッテリ管理システムに接続され、
前記第1電源モジュールは、前記エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と前記直流バスのバス電圧との間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、前記入力電圧に基づいて第1直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するよう構成され、
前記第1電力変換モジュールは、前記交流主電源又は前記電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、前記第2直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するよう構成され、
前記第2電源モジュールは、前記第1直流電圧と前記第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、前記目標電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するよう構成される、
エネルギ貯蔵システム。
【請求項2】
前記第1電源モジュールは、第1ダイオードと、第2ダイオードと、第2電力変換モジュールとを備え、前記第1ダイオードの正極は、前記第1電源モジュールの前記第1入力端として使用され、前記エネルギ貯蔵モジュールに接続され、前記第2ダイオードの正極は、前記第1電源モジュールの前記第2入力端として使用され、前記直流バスに接続され、前記第1ダイオードの負極と前記第2ダイオードの負極は、前記第2電力変換モジュールの入力端に接続され、前記第2電力変換モジュールの出力端は、前記第1電源モジュールの前記出力端として使用される、
請求項1に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項3】
前記第2電力変換モジュールは、前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧が前記直流バスの前記バス電圧より大きいとき、前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧を前記入力電圧として使用して、前記入力電圧を前記第1直流電圧に変換するよう構成される、
請求項2に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項4】
前記第2電力変換モジュールは、前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧が前記直流バスの前記バス電圧より小さいとき、前記直流バスの前記バス電圧を前記入力電圧として使用して、前記入力電圧を前記第1直流電圧に変換するよう構成される、
請求項2に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項5】
前記第2電源モジュールは、第3ダイオードと、第4ダイオードと、第3電力変換モジュールとを備え、前記第3ダイオードの正極は、前記第2電源モジュールの前記第1入力端として使用され、前記第1電源モジュールの前記出力端に接続され、前記第3ダイオードの負極と前記第4ダイオードの負極は、前記第3電力変換モジュールの入力端に接続され、前記第4ダイオードの正極は、前記第2電源モジュールの前記第2入力端として使用され、前記第1電力変換モジュールに接続され、前記第3電力変換モジュールの出力端は、前記第2電源モジュールの前記出力端として使用される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項6】
前記第3電力変換モジュールは、前記第1直流電圧が前記第2直流電圧より大きいとき、前記第1直流電圧を前記目標電圧として使用して、前記目標電圧を目標直流電圧に変換し、前記目標直流電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するよう構成される、
請求項5に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項7】
前記第3電力変換モジュールは、前記第1直流電圧が前記第2直流電圧より小さいとき、前記第2直流電圧を前記目標電圧として使用して、前記目標電圧を目標直流電圧に変換し、前記目標直流電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するよう構成される、
請求項5に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項8】
前記第1電力変換モジュールは、複数の電力変換ユニットを備え、前記電力変換ユニットの数量は、当該エネルギ貯蔵システムの供給電力によって必要とされる目標量よりも多く、
前記第1電力変換モジュールは、前記複数の電力変換ユニット内の目標電力変換ユニットが故障しているとき、前記目標電力変換ユニット以外の各電力変換ユニットに基づいて、前記交流主電源又は前記電力変換モジュールの前記出力交流電圧を前記第2直流電圧に変換するよう構成される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項9】
前記バッテリ管理システムは、コンテナモニタリングユニットを備え、
前記コンテナモニタリングユニットは、当該エネルギ貯蔵システムのシステムパラメータを収集するか又はと当該エネルギ貯蔵システムのシステムコントローラとのデータ伝送を実行して、当該エネルギ貯蔵システムの動作状態をモニタするよう構成され、
前記システムパラメータは、当該エネルギ貯蔵システムの温度及び湿度を含む、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項10】
前記バッテリ管理システムは、バッテリ制御ユニットを更に備え、前記エネルギ貯蔵モジュールは、少なくとも1つのバッテリクラスタを備え、
前記バッテリ制御ユニットは、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータを検出し、各バッテリクラスタの前記バッテリクラスタパラメータに基づいて各バッテリクラスタ内のバッテリパックの充電又は放電を制御して、各バッテリクラスタの電流と電圧をバランスさせるよう構成され、
前記バッテリクラスタパラメータは、充電状態値、ヘルス状態値及び電力状態値を含む、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項11】
前記バッテリ管理システムは、複数のバッテリ管理ユニットを更に備え、前記エネルギ貯蔵モジュールは、少なくとも1つのバッテリクラスタを備え、1つのバッテリクラスタは複数のバッテリパックを備え、1つのバッテリパックは1つのバッテリ管理ユニットに対応し、
前記複数のバッテリ管理ユニットの各々は、各バッテリクラスタにおける各バッテリパックのバッテリパラメータをバランスさせるよう構成される、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項12】
当該エネルギ貯蔵システムは、第4電力変換モジュールを更に備え、前記エネルギ貯蔵モジュールは、前記第4電力変換モジュールを使用することにより前記直流バスに接続され、
前記第4電力変換モジュールは、前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧を、前記直流バスによって必要とされる前記バス電圧に変換するように構成される、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項13】
前記バッテリ管理システム内のバッテリ制御ユニットは、前記第4電力変換モジュールに統合される、
請求項12に記載のエネルギ貯蔵システム。
【請求項14】
バッテリ管理システムの電力供給方法であって、当該方法は、エネルギ貯蔵システムに適用可能であり、前記エネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムとを備え、前記第1電源モジュールの第1入力端は前記エネルギ貯蔵モジュールに接続され、前記第1電源モジュールの第2入力端は前記直流バスに接続され、前記第1電源モジュールの出力端は前記第2電源モジュールの第1入力端に接続され、前記第2電源モジュールの第2入力端は、第1電力変換モジュールを使用することにより交流主電源又は前記電力変換モジュールに接続され、前記第2電源モジュールの出力端は前記バッテリ管理システムに接続され、
当該方法は、
前記第1電源モジュールによって、前記エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と前記直流バスのバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、前記入力電圧に基づいて第1直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するステップと、
前記第1電力変換モジュールによって、前記交流主電源又は前記電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、前記第2直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するステップと、
前記第2電源モジュールによって、前記第1直流電圧と前記第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、前記目標電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1電源モジュールによって、前記エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と前記直流バスのバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、前記入力電圧に基づいて第1直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するステップは、
前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧が前記直流バスの前記バス電圧より大きいとき、前記第1電源モジュールによって、前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧を前記入力電圧として使用して、前記入力電圧を前記第1直流電圧に変換し、前記第1直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するステップ、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1電源モジュールによって、前記エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と前記直流バスのバス電圧との間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、前記入力電圧に基づいて第1直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するステップは、
前記エネルギ貯蔵モジュールの前記出力直流電圧が前記直流バスの前記バス電圧より小さいとき、前記第1電源モジュールによって、前記直流バスの前記バス電圧を前記入力電圧として使用して、前記入力電圧を前記第1直流電圧に変換し、前記第1直流電圧を前記第2電源モジュールに出力するステップ、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2電源モジュールによって、前記第1直流電圧と前記第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、前記目標電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するステップは、
前記第1直流電圧が前記第2直流電圧より大きいとき、前記第2電源モジュールによって、前記第1直流電圧を前記目標電圧として使用して、前記目標電圧を目標直流電圧に変換し、前記目標直流電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するステップ、
を含む、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2電源モジュールによって、前記第1直流電圧と前記第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、前記目標電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するステップは、
前記第1直流電圧が前記第2直流電圧より小さいとき、前記第2電源モジュールによって、前記第2直流電圧を目標電圧として使用して、前記目標電圧を目標直流電圧に変換し、前記目標直流電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するステップ、
を含む、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1電力変換モジュールは、複数の電力変換ユニットを備え、前記電力変換ユニットの数量は、前記エネルギ貯蔵システムの供給電力によって必要とされる目標量よりも多く、
前記第1電力変換モジュールによって、前記交流主電源又は前記電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換することは、
前記複数の電力変換ユニット内の目標電力変換ユニットが故障しているとき、前記第1電力変換モジュールによって、前記目標電力変換ユニット以外の各電力変換ユニットに基づいて、前記交流主電源又は前記電力変換モジュールの前記出力交流電圧を前記第2直流電圧に変換すること、
を含む、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、パワーエレクトロニクス技術の分野に関し、特に、エネルギ貯蔵システム及びバッテリ管理システムの電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギ貯蔵システムは、電力グリッドの電力品質を改善し、再生可能エネルギを有効に利用することができ、電力システムの発電及び配電分野において広く利用され得る。エネルギ貯蔵システムでは、独立の交流主電源(alternating current mains)又は電力変換システム(power conversion system、PCS)が、バッテリ管理システム(battery management system、BMS)へ電力を供給するための交流電源として使用され得る。バッテリ管理システムは、バッテリ及びエネルギ貯蔵システムの動作状態をモニタする。
【0003】
本出願の発明者は、研究及び実施プロセスにおいて、
図1に示されるように、従来技術では、エネルギ貯蔵システムは、通常、交流(direct current、AC)/直流(direct current、DC)変換モジュールを使用することによって、交流主電源及び/又は電力変換システムによって提供される交流(すなわち、交流バスのバス電圧)を整流し、エネルギ貯蔵システムにおけるバッテリ管理システムに電力を供給することを発見した。バッテリ管理システムは、バッテリの電圧、電流、電気化学セル温度等をリアルタイムでモニタし、エネルギ貯蔵システムの環境をモニタして、バッテリの安全性を確保し、エネルギ貯蔵システムのサービス寿命を延ばすことができる。しかしながら、交流故障が起こると、バッテリ管理システムは動作を停止することがあり、バッテリ及びエネルギ貯蔵システムの動作状態を検出することができない。そのため、従来技術では、
図1に示されるように、無停電電源(uninterruptible power supply、UPS)がエネルギ貯蔵システム内に構成され、この無停電電源がバックアップ電源として使用され、交流故障が起こったときにバッテリ管理システムに電力を供給する。しかしながら、無停電電源のコストは非常に高く、適用範囲も狭い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、バッテリ管理システムの電力供給の信頼性を向上させ、エネルギ貯蔵システムのコストを低減し、適用範囲を拡大するために、エネルギ貯蔵システム及びバッテリ管理システムの電力供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面によると、本出願は、エネルギ貯蔵システムを提供する。エネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源(power supply)モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムとを含み得る。本明細書において、エネルギ貯蔵モジュールは、少なくとも1つのバッテリクラスタ(すなわち、1つ以上のバッテリクラスタ)を含み得る。第1電源モジュールの第1入力端はエネルギ貯蔵モジュールの出力端に接続され、第1電源モジュールの第2入力端は直流バスに接続され、第1電源モジュールの出力端は第2電源モジュールの第1入力端に接続され、第2電源モジュールの第2入力端は、第1電力変換モジュールを使用することにより交流主電源(alternating current mains)又は電力変換モジュールに接続され、第2電源モジュールの出力端はバッテリ管理システムに接続される。第1電源モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と直流バスのバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、入力電圧に基づいて第1直流電圧を第2電源モジュールに出力するよう構成され得る。本明細書において、入力電圧は、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧又は直流バスのバス電圧であり得る。言い換えると、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧又は直流バスのバス電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流バックアップ電源として理解されてよい。第1電力変換モジュールは、AC/DC変換機能を有するので、第1電力変換モジュールは、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュールに出力するよう構成され得る。この場合、第2電源モジュールは、第1直流電圧と第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、目標電圧に基づいて前記バッテリ管理システムに電力を供給するよう構成され得る。本明細書において、目標電圧は、第1直流電圧又は第2直流電圧であり得る。言い換えると、第1直流電圧又は第2直流電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流補助電源(略して直流補助電源と呼ばれることがある)として理解されてよい。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムにおいて、電力変換モジュールの交流主電源又は出力交流電圧、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧、あるいは直流バスのバス電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給するための複数のバックアップ電源として使用されてもよく、それにより、バッテリ管理システムの電力供給の信頼性を向上させることができる。加えて、エネルギ貯蔵システムからバッテリ管理システムに電力が供給されてよく、これにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高め、適用範囲を拡大することができる。
【0006】
第1の側面に関連して、第1の可能な実装では、第1電源モジュールは、第1ダイオードと、第2ダイオードと、第2電力変換モジュールを含む。第1ダイオードの正極は、第1電源モジュールの第1入力端として使用され、エネルギ貯蔵モジュールに接続され、第2ダイオードの正極は、第1電源モジュールの第2入力端として使用され、直流バスに接続され、第1ダイオードの負極と第2ダイオードの負極は、第2電力変換モジュールの入力端に接続され、第2電力変換モジュールの出力端は、第1電源モジュールの出力端として使用される。
【0007】
第1の側面の第1の可能な実装に関連して、第2の可能な実装では、直流バスが故障しているか又は正常に動作することができないとき、直流バスのバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧よりも小さい。この場合、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流バックアップ電源として理解され得る。この場合、第2電力変換モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧が直流バスのバス電圧より大きいとき、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧を入力電圧として使用して、入力電圧を第1直流電圧に変換するよう構成され得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力を供給するためにエネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧から電力を取得して、電力供給の信頼性を向上させることができ、また、無停電電源を構成する必要がなく、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高めることができる。
【0008】
第1の側面の第1の可能な実装に関連して、第3の可能な実装では、直流バスが正常に動作するとき、直流バスのバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧よりも大きい。この場合、直流バスのバス電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流バックアップ電源として理解され得る。この場合、第2電力変換モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧が直流バスのバス電圧より小さいとき、直流バスのバス電圧を入力電圧として使用して、入力電圧を第1直流電圧に変換するよう構成され得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力を供給するために直流バスのバス電圧から電力を取得してよく、それにより、電力供給の信頼性を向上させることができ、バッテリ電力を節約することができる。加えて、無停電電源を構成する必要がなく、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高めることができる。
【0009】
第1の側面の第3の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第4の可能な実装では、第2電源モジュールは、第3ダイオードと、第4ダイオードと、第3電力変換モジュールとを含み、第3ダイオードの正極は、第2電源モジュールの第1入力端として使用され、第1電源モジュールの出力端に接続され、第3ダイオードの負極と第4ダイオードの負極は、第3電力変換モジュールの入力端に接続され、第4ダイオードの正極は、第2電源モジュールの第2入力端として使用され、第1電力変換モジュールに接続され、第3電力変換モジュールの出力端は、第2電源モジュールの出力端として使用される。
【0010】
第1の側面の第4の可能な実装に関連して、第5の可能な実装では、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧がパワーダウン又はパワーオフされるとき、第2直流電圧は第1直流電圧よりも小さい。この場合、第1直流電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流補助電源として理解されてよい。本明細書において、第1直流電圧は、直流バスのバス電圧又はエネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧によって決定される。この場合、第3電力変換モジュールは、第1直流電圧が第2直流電圧より大きいとき、第1直流電圧を目標電圧として使用して、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給するよう構成され得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力を供給するために直流バスのバス電圧又はエネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧から電力を取得してよく、それにより、電力供給の信頼性を向上させることができる。加えて、無停電電源を構成する必要がなく、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高めることができる。
【0011】
第1の側面の第4の可能な実装に関連して、第6の可能な実装では、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧が正常に電力を供給しているとき、第2直流電圧は第1直流電圧よりも大きい。この場合、第2直流電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流補助電源として理解されてよい。言い換えると、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する交流バックアップ電源として使用されてよい。この場合、第3電力変換モジュールは、第1直流電圧が第2直流電圧より小さいとき、第2直流電圧を目標電圧として使用して、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給するよう構成され得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力を供給するために交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧から電力を取得してよく、それにより、電力供給の信頼性を向上させ、直流を節約し、エネルギ貯蔵システムの利点を向上させる。加えて、無停電電源を構成する必要がなく、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高めることができる。
【0012】
第1の側面の第6の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第7の可能な実装では、第1電力変換モジュールは、複数の電力変換ユニットを備え、電力変換ユニットの数量は、エネルギ貯蔵システムの供給電力によって必要とされる目標量よりも多い(すなわち、第1電力変換モジュールに対して冗長設計が行われる)。第1電力変換モジュールは、複数の電力変換ユニット内の目標電力変換ユニットが故障しているとき、目標電力変換ユニット以外の各電力変換ユニットに基づいて、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換するよう構成される。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、第1電力変換モジュールに対して冗長設計が行われてよく、目標電力変換ユニットが故障したときは、別の電力変換ユニットが正常に動作して、バッテリ管理システムに電力を供給し得る。これにより、電力供給の信頼性を向上させ、適用範囲が拡大される。
【0013】
第1の側面の第7の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第8の可能な実装では、バッテリ管理システムは、コンテナモニタリングユニットを含み、コンテナモニタリングユニットは、エネルギ貯蔵システムのシステムパラメータを収集するか又はエネルギ貯蔵システムのシステムコントローラとのデータ伝送を実行して、エネルギ貯蔵システムの動作状態をモニタするよう構成される。本明細書において、システムパラメータは、エネルギ貯蔵システムの温度及び湿度又は別のパラメータを含み得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、電力がバッテリ管理システムに正常に供給された後、エネルギ貯蔵システムのサービス寿命を保証するために、エネルギ貯蔵システムは、コンテナモニタリングユニットを使用することにより、リアルタイムでモニタリングされ得る。
【0014】
第1の側面の第8の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第9の可能な実装では、バッテリ管理システムは、バッテリ制御ユニットを更に含み、エネルギ貯蔵モジュールは、少なくとも1つのバッテリクラスタを含む。バッテリ制御ユニットは、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータを検出し、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータに基づいて各バッテリクラスタ内のバッテリパックの充電又は放電を制御して、各バッテリクラスタの電流と電圧をバランスさせるよう構成され得る。本明細書において、バッテリクラスタパラメータは、充電状態値、ヘルス状態値、電力状態値及び別のパラメータを含み得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力が正常に供給された後、バッテリ制御ユニットを使用することにより各バッテリクラスタの電流と電圧をバランスさせることができ、その結果、適用範囲が拡大される。
【0015】
第1の側面の第9の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第10の可能な実装では、バッテリ管理システムは、複数のバッテリ管理ユニットを更に備え、エネルギ貯蔵モジュールは、少なくとも1つのバッテリクラスタを含み、1つのバッテリクラスタは複数のバッテリパックを含み、1つのバッテリパックは1つのバッテリ管理ユニットに対応し、複数のバッテリ管理ユニットの各々は、各バッテリクラスタにおける各バッテリパックのバッテリパラメータをバランスさせるよう構成される。本明細書において、バッテリパラメータは、充電状態値、ヘルス状態値、電力状態値、最大動作電流(maximum working current)及び別のパラメータを含み得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力が正常に供給された後、バッテリ管理ユニットを使用することにより各バッテリクラスタの各バッテリパックのバッテリパラメータをバランスさせることができ、その結果、適用範囲が広くなる。
【0016】
第1の側面の第10の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第11の可能な実装では、エネルギ貯蔵システムは、第4電力変換モジュールを更に含み、エネルギ貯蔵モジュールは、第4電力変換モジュールを使用することにより直流バスに接続されてよく、第4電力変換モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧を、直流バスによって必要とされるバス電圧に変換するように構成され得る。言い換えると、第4電力変換モジュールの出力直流電圧は、直流バスのバス電圧と同じであり、第4電力変換モジュールの出力直流電圧は、バッテリ管理システムに電力を供給する直流バックアップ電源と理解されてよい。第4電力変換モジュールが正常に動作するとき、直流バスのバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧よりも大きい。反対に、第4電力変換モジュールが故障しているか又は正常に動作できないとき、直流バスのバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧よりも小さい。本出願のエネルギ貯蔵システムでは、バッテリ管理システムに電力を供給するために、第4電力変換モジュールの出力直流電圧から電力が取得されてよく(すなわち、直流バスのバス電圧から電力が取得されてよい)、それにより、電力供給の信頼性を向上させ、バッテリ電力を節約することができる。加えて、無停電電源を構成する必要がなく、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高めることができる。
【0017】
第1の側面の第11の可能な実装までの第1の側面のいずれか1つに関連して、第12の可能な実装では、バッテリ管理システム内のバッテリ制御ユニットは、第4電力変換モジュールに統合される。任意に、バッテリ管理システム内のバッテリ制御ユニットは、代替的に、第4電力変換モジュールの外部に統合されてもよい。これは、実際の適用シナリオに従って具体的に決定されてよく、本明細書において限定されない。
【0018】
第2の側面によると、本出願は、バッテリ管理システムの電力供給方法を提供する。本方法は、エネルギ貯蔵システムに適用可能である。エネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムを含む。第1電源モジュールの第1入力端はエネルギ貯蔵モジュールに接続され、第1電源モジュールの第2入力端は直流バスに接続され、第1電源モジュールの出力端は第2電源モジュールの第1入力端に接続され、第2電源モジュールの第2入力端は、第1電力変換モジュールを使用することにより交流主電源又は電力変換モジュールに接続され、第2電源モジュールの出力端はバッテリ管理システムに接続される。本方法では、第1電源モジュールが、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と直流バスのバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、入力電圧に基づいて第1直流電圧を第2電源モジュールに出力する。第1電力変換モジュールが、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュールに出力する。第2電源モジュールが、第1直流電圧と第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、目標電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給する。
【0019】
第2の側面に関連して、第1の可能な実装では、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧が直流バスのバス電圧より大きいとき、第1電源モジュールが、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧を入力電圧として使用して、入力電圧を第1直流電圧に変換し、第1直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。
【0020】
第2の側面に関連して、第2の可能な実装では、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧が直流バスのバス電圧より小さいとき、第1電源モジュールが、直流バスのバス電圧を入力電圧として使用して、入力電圧を第1直流電圧に変換し、第1直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。
【0021】
第2の側面の第2の可能な実装までの第2の側面のいずれか1つに関連して、第3の可能な実装では、第1直流電圧が第2直流電圧より大きいとき、第2電源モジュールが、第1直流電圧を目標電圧として使用して、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給し得る。
【0022】
第2の側面の第2の可能な実装までの第2の側面のいずれか1つに関連して、第4の可能な実装では、第1直流電圧が第2直流電圧より小さいとき、第2電源モジュールが、第2直流電圧を目標電圧として使用して、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給し得る。
【0023】
第2の側面の第4の可能な実装までの第2の側面のいずれか1つに関連して、第5の可能な実装では、第1電力変換モジュールは、複数の電力変換ユニットを備え、電力変換ユニットの数量は、エネルギ貯蔵システムの供給電力によって必要とされる目標量よりも多い。複数の電力変換ユニット内の目標電力変換ユニットが故障しているとき、第1電力変換モジュールが、目標電力変換ユニット以外の各電力変換ユニットに基づいて、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し得る。
【0024】
本出願では、複数のバックアップ電源が、バッテリ管理システムに電力を供給するために使用されてよく、それにより、バッテリ管理システムの電力供給の信頼性を向上させることができる。加えて、エネルギ貯蔵システムからバッテリ管理システムに電力が供給され、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高め、適用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】バッテリ管理システムの電源システムの構成を示す概略図である。
【0026】
【
図2】本出願によるエネルギ貯蔵システムの適用シナリオの概略図である。
【0027】
【
図3】本出願によるエネルギ貯蔵システムの構造の概略図である。
【0028】
【
図4】本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
【0029】
【
図5】本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
【0030】
【
図6】本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
【0031】
【
図7】本出願によるエネルギ貯蔵システムの更に別の構造の概略図である。
【0032】
【
図8】本出願によるバッテリ管理システムの電力供給方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本出願で提供されるエネルギ貯蔵システムは、太陽光発電装置又は風力発電装置のような複数のタイプの発電装置及び異なるタイプの電気機器(電力グリッド、家庭用デバイス、産業及び商業用電気機器のような)に適用可能であり、自動車分野又はマイクログリッド分野等に適用され得る。本出願で提供されるエネルギ貯蔵システムは、異なるタイプのエネルギ貯蔵ユニットのエネルギ貯蔵に適用可能である。異なるタイプのエネルギ貯蔵ユニットにおける構成要素は、リチウムイオン電池、鉛電池(又は鉛蓄電池とも呼ばれる)、スーパーキャパシタ(電気化学キャパシタとも呼ばれる)等を含み得る。エネルギ貯蔵ユニットにおける構成要素の具体的なタイプは、本出願において特に限定されない。説明を容易にするために、本出願で提供されるエネルギ貯蔵システムは、電池を例として使用することにより説明される。
【0034】
本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムとを含み得る。第1電源モジュールの第1入力端はエネルギ貯蔵モジュールの出力端に接続され、第1電源モジュールの第2入力端は直流バスに接続され、第1電源モジュールの出力端は第2電源モジュールの第1入力端に接続され、第2電源モジュールの第2入力端は、第1電力変換モジュールを使用することにより交流主電源又は電力変換モジュールに接続されてよく、第2電源モジュールの出力端はバッテリ管理システムに接続される。第1電源モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と直流バスのバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、入力電圧に基づいて第1直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。第1電力変換モジュールは、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。この場合、第2電源モジュールは、第1直流電圧と第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、目標電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給し得る。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムにおいて、バッテリ管理システムに電力を供給するために複数のバックアップ電源が使用されてもよく、それにより、バッテリ管理システムの電力供給の信頼性を向上させることができる。加えて、エネルギ貯蔵システムからバッテリ管理システムに電力が供給されてよく、これにより、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し、エネルギ貯蔵システムの経済的価値を高め、適用範囲を拡大することができる。本出願において提供されるエネルギ貯蔵システムは、例えば太陽光発電シナリオ、風力発電シナリオ又は電気デバイス電力供給のような様々な適用シナリオに適用可能であり得る。以下では、電気デバイス電力供給シナリオを説明の例として使用する。詳細は以下では再度説明しない。
【0035】
図2は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの適用シナリオの概略図である。
図2に示されるように、エネルギ貯蔵システム(例えばエネルギ貯蔵システム1)は、電源構成要素、DC/AC変換器及びバッテリ管理システムを含み得る。電源構成要素は、ここでは、少なくとも1つのバッテリクラスタとDC/DC変換器を含んでよく、バッテリクラスタは並列に接続され、1つのバッテリクラスタは、直列に接続された複数のバッテリセルを含み得る。バッテリセルはバッテリパックであってよく、1つのバッテリパックは、最小エネルギ貯蔵及び管理ユニットを形成するために、直列及び並列に接続された1つ以上のバッテリユニット(バッテリユニットの電圧は通常2.5Vと4.2Vの間である)を含み得る。エネルギ貯蔵システム1が電力グリッド(例えば電力グリッド2)又は負荷(例えば家庭用デバイス3)に電力を供給するプロセスにおいて、バッテリ管理システムは、正常に動作するように交流主電源又はDC/AC変換器の出力電圧によって電力が供給され得る。電源構成要素内の少なくとも1つのバッテリクラスタは、DC/DC変換器に直流電圧を提供し得る。DC/DC変換器は、直流電圧に対して電力変換を実行してDC/AC変換器に出力する、すなわち、電源構成要素は、直流電圧をDC/AC変換器に出力し得る。このとき、DC/AC変換器は、電源構成要素により入力された直流電圧に対して電力変換を実行して交流電圧を取得し、その交流電圧を電力グリッド2又は家庭用デバイス3に出力して、電力グリッド2及び家庭用デバイス3に電力を供給し得る。交流主電源又はDC/AC変換器の出力電圧がバッテリ管理システムに電力を供給することができないとき、エネルギ貯蔵システム1によってバッテリ管理システムに電力供給され、バッテリ管理システムが正常に動作することを可能にする。例えばバッテリ管理システムは、少なくとも1つのバッテリクラスタの出力電圧又はDC/DC変換器の出力電圧によって電力供給される。この場合、バッテリ管理システムは、バッテリの電圧、電流及び電気化学セル温度のような情報をリアルタイムでモニタしてよく、バッテリの安全性を確保し、エネルギ貯蔵システム1のサービス寿命を延ばすためにエネルギ貯蔵システム1の動作環境を更にモニタしてもよく、それにより、エネルギ貯蔵システム1は、負荷又は電力グリッドにより良好に電力供給することができる。
【0036】
以下では、
図3~
図7を参照して、本出願で提供されるエネルギ貯蔵システムと、エネルギ貯蔵システムの動作原理を説明する。
【0037】
図3は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの構造の概略図である。
図3に示されるように、エネルギ貯蔵システム1は、エネルギ貯蔵モジュール10と、第4電力変換モジュール20と、直流バス30と、電力変換モジュール40と、交流主電源50と、第1電源モジュール60と、第1電力変換モジュール70と、第2電源モジュール80と、バッテリ管理システム90を含み得る。本明細書におけるエネルギ貯蔵システム1は、コンテナ内に一体化されてもよく、交流主電源50は、正弦波を有する交流、例えば交流グリッドによって提供される交流を指してもよい。第1電源モジュール60の第1入力端はエネルギ貯蔵モジュール10の出力端と、第4電力変換モジュール20の入力端とに接続され、第1電源モジュール60の第2入力端は直流バス30と、第4電力変換モジュール20の出力端とに接続され、第1電源モジュール60の出力端は第2電源モジュール80の第1入力端に接続され、第2電源モジュール80の第2入力端は、第1電力変換モジュール70を使用することにより、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力端に接続され、第2電源モジュール80の出力端はバッテリ管理システム90に接続される。第2電源モジュール80の第2入力端は第1電力変換モジュール70の出力端に接続されてよく、第1電力変換モジュール70の入力端は交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力端に接続されることが理解され得る。本出願では、エネルギ貯蔵システム内の交流AC/直流DC変換機能を有する1つ以上の機能モジュールがまとめて、第1電力変換モジュールと呼ばれることがある。本出願では、エネルギ貯蔵モジュールに並列に接続され、直流DC/直流DC変換機能を有する1つ以上の機能モジュールが、第4電力変換モジュールと呼ばれることがある。
【0038】
いくつかの実現可能な実装において、第1電源モジュール60は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧と直流バス30のバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、入力電圧に基づいて第1直流電圧を第2電源モジュール80に出力し得る。本明細書において、直流バス30のバス電圧は、第4電力変換モジュール20の出力直流電圧として理解されてもよい。第1電力変換モジュール70は、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧を第2直流電圧に変換(すなわち、整流)し、第2直流電圧を第2電源モジュール80に出力し得る。この場合、第2電源モジュール80は、第1直流電圧と第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、その目標電圧に基づいてバッテリ管理システム90に電力を供給し得る。バッテリ管理システム90に電力を供給した後、バッテリ管理システム90は、エネルギ貯蔵モジュール10内のバッテリの電圧、電流及び電気化学セル温度のような情報をリアルタイムでモニタしてよく、バッテリの安全性を確保して、エネルギ貯蔵システム1のサービス寿命を延ばすために、エネルギ貯蔵システム1の動作環境を更にモニタし、その結果、エネルギ貯蔵システム1は、より良好に負荷に電力を供給することができ、それにより、エネルギ貯蔵システム1の電力供給効率を向上させることができる。
【0039】
いくつかの実現可能な実装において、
図4は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
図4に示されるように、
図3に示されるエネルギ貯蔵モジュール10は、回路遮断器S1を介して第4電力変換モジュール20に接続され、第4電力変換モジュール20は、直流バス30及び回路遮断器S2を介して電力変換モジュール40の入力端に接続されてよく、電力変換モジュール40の出力端及び交流主電源40は、回路遮断器S3を介して第1電力変換モジュール70の入力端に接続されてよい。第4電力変換モジュール20はDC/DC変換モジュールであってよく、電力変換モジュール40はDC/AC変換モジュールであってよく、第1電力変換モジュール70はAC/DC変換モジュールであってよい。第4電力変換モジュール40は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を、直流バス30によって必要とされるバス電圧に変換し得る。言い換えると、第4電力変換モジュール40の出力直流電圧は、直流バス30のバス電圧と同じである。本明細書において、回路遮断器とは、通常ループ状態(normal loop condition)では電流を遮断(close)し、通電し、ターンオフすることができ、かつ異常ループ状態(abnormal loop condition)では所定時間内に電流を遮断し、通電し、ターンオフすることができるスイッチ装置を指すことがある。バッテリ管理システム90に正常に電力を供給するプロセスでは、エネルギ貯蔵モジュール10と、第4電力変換モジュール20と、交流主電源50又は電力変換モジュール40はすべて正常に動作し、回路遮断器S1、回路遮断器S2及び回路遮断器S3はすべて遮断状態となる。反対に、エネルギ貯蔵モジュール10が故障しているときは、回路遮断器S1が自動的にターンオフされ、第4電力変換モジュール20が故障しているときは、回路遮断器S2が自動的にターンオフされ、交流主電源50又は電力変換モジュール40が故障しているか又はパワーオフされているとき、回路遮断器S3が自動的にターンオフされてエネルギ貯蔵システムを保護する。
【0040】
いくつかの実現可能な実装では、
図4に示されるように、
図3に示される第1電源モジュール60は、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2及び第2電力変換モジュール600を含み得る。第1ダイオードD1の正極は、第1電源モジュール60の第1入力端として使用され、エネルギ貯蔵モジュール10及び第4電力変換モジュール20の入力端に接続され、第2ダイオードD2の正極は、第1電源モジュール60の第2入力端として使用され、直流バス30及び第4電力変換モジュール20の出力端に接続され、第1ダイオードD1の負極及び第2ダイオードD2の負極は、第2電力変換モジュール600の入力端に接続され、第2電力変換モジュール600の出力端は、第1電源モジュール60の出力端として使用される。本出願では、第1電源モジュールにおいて直流DC/直流DC変換機能(すなわち、整流機能)又は直流昇圧機能を有する1つ以上の機能モジュールを、まとめて第2電力変換モジュールと呼ぶことがある。例えば第2電力変換モジュール600は、DC/DC変換モジュールであり得る。
【0041】
いくつかの実現可能な実装では、第4電力変換モジュール40は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を、直流バス30によって要求されるバス電圧に変換し得る。言い換えると、第4電力変換モジュール40の出力直流電圧は、直流バス30のバス電圧と同じである。第4電力変換モジュール20が故障しているか又は正常に動作することができないとき、直流バス30のバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧よりも低い。この場合、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する直流バックアップ電源として理解されてよい。直流バス30のバス電圧がエネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧よりも低いとき、第1ダイオードD1が導通され、第2ダイオードD2が遮断(cut off)され、その結果、第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2は二者択一(either-or selection)を実行して、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を第2電力変換モジュール600に出力する。この場合、第2電力変換モジュール600は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を入力電圧として使用して、入力電圧を第1直流電圧に変換し、第1直流電圧を第2電源モジュール80に出力し得る。
【0042】
いくつかの実現可能な実装では、第4電力変換モジュール20が正常に動作するとき、直流バス30のバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧よりも大きい。この場合、直流バス30のバス電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する直流バックアップ電源として理解されてよい。言い換えると、第4電力変換モジュール20の出力直流電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する直流バックアップ電源として理解される。直流バス30のバス電圧がエネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧より大きいとき、第1ダイオードD1が遮断され、第2ダイオードD2が導通され、その結果、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2との二者択一を実行して、直流バス30のバス電圧を第2電力変換モジュール600に出力する。この場合、第2電力変換モジュール600は、直流バス30のバス電圧を入力電圧として使用し、入力電圧を第1直流電圧に変換し、第1直流電圧を第2電源モジュール80に出力し得る。
【0043】
いくつかの実現可能な実装において、
図5は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
図5に示されるように、
図4に示される第1電力変換モジュール70は、複数の電力変換ユニット(例えば電力変換ユニット700a~電力変換ユニット700n)を含み、電力変換ユニットの数量は、エネルギ貯蔵システム1の供給電力によって必要とされる目標量よりも多く、電力変換ユニットはAC/DC変換ユニットであってよい。目標量は、エネルギ貯蔵システム1の負荷によって必要とされる供給電力と単一の電力変換ユニットの供給電力との比に基づいて決定され得る。例えば目標量は、比率を丸めることによって得られる値であり得る。第1電力変換モジュール70における電力変換ユニットの数量は、目標量よりも少なくとも1つ多いことが理解され得る。言い換えると、第1電力変換モジュール70は、第1電力変換モジュール70の冗長設計を実装するために、目標量よりも少なくとも1つ多い電力変換ユニットで構成される。複数の電力変換ユニット内の目標電力変換ユニットが故障しているとき、第1電力変換モジュール70は、目標電力変換ユニット以外の各電力変換ユニットに基づいて、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧を第2直流電圧に変換し得る。本出願では、第1電力変換モジュール内の故障電力変換ユニットを、まとめて目標電力変換ユニット(target power conversion unit)と呼ぶことがある。
【0044】
以下では、説明の便宜上、以下では、電力変換ユニット700a~電力変換ユニット700nを説明のために例として使用する。目標量よりも多い1つ又は複数の電力変換ユニット(例えば電力変換ユニット700n)が、第1電力変換モジュール70について構成されると想定する。電力変換ユニット700a~電力変換ユニット700n内の目標電力変換ユニット(例えば電力変換ユニット700a)が故障しているとき、第1電力変換モジュール70は、電力変換ユニット700b~電力変換ユニット700nに基づいて、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュール80に出力し得る。第1電力変換モジュールに対して冗長設計を行ってよく、その結果、目標電力変換ユニットが故障したとき、別の電力変換ユニットが正常に動作してバッテリ管理システムに電力を供給することができ、それにより、電力供給の信頼性を向上させ、適用範囲を拡大することができることがわかる。
【0045】
いくつかの実現可能な実装では、
図6は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
図6に示されるように、
図5に示される第2電源モジュール80は、第3ダイオードD3と、第4ダイオードD4と、第3電力変換モジュール800を含む。第3ダイオードD3の正極は、第2電源モジュール80の第1入力端として使用され、第1電源モジュール60の出力端に接続され、第3ダイオードD3の負極と第4ダイオードD4の負極は、第3電力変換モジュール800の入力端に接続され、第4ダイオードD4の正極は、第2電源モジュール80の第2入力端として使用され、第1電力変換モジュール70の出力端に接続され、第3電力変換モジュール800の出力端は、第2電源モジュール80の出力端として使用される。本出願では、第2電源モジュールにおける直流DC/直流DC変換機能(すなわち、整流機能)又は直流昇圧機能を有する1つ以上の機能モジュールを、まとめて第3電力変換モジュールと呼ぶことがある。例えば第3電力変換モジュール800は、DC/DC変換モジュールであってよく、第3電力変換モジュール800は、少なくとも1つのDC/DC変換ユニット(すなわち、1つ以上のDC/DC変換ユニット)を含み得る。
【0046】
いくつかの実現可能な実装では、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧がパワーダウン又はパワーオフされるとき、第1電力変換モジュール70によって出力される第2直流電圧は、第1電源モジュール60によって出力される第1直流電圧よりも小さい。この場合、第1直流電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する直流補助電源(すなわち、バッテリ管理システム90に利用可能な直流補助電源)として理解され得る。第2直流電圧が第1直流電圧より小さいとき、第3ダイオードD3が導通され、第4ダイオードD4が遮断され、その結果、第3ダイオードD3と第4ダイオードD4は二者択一を実行して、第1直流電圧を第3電力変換モジュール800に出力する。この場合、第3電力変換モジュール800は、第1直流電圧を目標電圧として使用し、目標電圧を目標直流電圧に変換し、この目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システム90に電力を供給し得る。
【0047】
いくつかの実現可能な実装では、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧が正常に電力を供給するとき、第1電力変換モジュール70によって出力される第2直流電圧は、第1電源モジュール60によって出力される第1直流電圧より大きい。この場合、第2直流電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する直流補助電源(すなわち、バッテリ管理システム90に利用可能な直流補助電源)として理解されてよい。言い換えると、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する交流バックアップ電源として使用されてもよい。第2直流電圧が第1直流電圧よりも大きいとき、第3ダイオードD3が遮断され、第4ダイオードD4が導通され、その結果、第3ダイオードD3と第4ダイオードD4は二者択一を実行して、第2直流電圧を第3電力変換モジュール800に出力する。この場合、第3電力変換モジュール800は、第2直流電圧を目標電圧として使用し、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給し得る。
【0048】
いくつかの実現可能な実装では、エネルギ貯蔵モジュール10、第4電力変換モジュール20、交流主電源50及び電力変換モジュール40がすべて正常に動作しているとき、バッテリ管理システム90に電力を供給するための交流バックアップ電源としての交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧の優先度は、バッテリ管理システム90に電力を供給するための直流バックアップ電源としての第4電力変換モジュール20の出力直流電圧(すなわち、直流バス30のバス電圧)の優先度よりも高く、バッテリ管理システム90に電力を供給するための直流バックアップ電源としての第4電力変換モジュール20の出力直流電圧の優先度は、バッテリ管理システム90に電力を供給するための直流バックアップ電源としてのエネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧の優先度よりも高い。バッテリ管理システムに電力を供給するために複数のバックアップ電源を使用することにより、電力供給の信頼性を向上させることができ、エネルギ貯蔵システムのコストを削減し得ることがわかる。任意に、エネルギ貯蔵モジュール10、第4電力変換モジュール20、交流主電源50又は電力変換モジュール40のいずれもバッテリ管理システム90に電力を供給することができないとき、バッテリ管理システム90に電力を供給するために、無停電電源がエネルギ貯蔵システム1において代替的に構成され得る。
【0049】
いくつかの実現可能な実装では、バッテリ管理システム90は、コンテナモニタリングユニット(container monitoring unit、CMU)、バッテリ制御ユニット(battery control unit、BCU)及び複数のバッテリ管理ユニット(battery management unit、BMU)の複数の組合せを含む。これは、実際の適用シナリオに従って具体的に決定されてよく、本明細書において限定されない。
図7は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの更に別の構造の概略図である。
図7に示されるように、
図6に示されるバッテリ管理システム90は、3層構造の分散型バッテリ管理システムであってよく、構造レベルに従ってコンテナモニタリングユニット901、バッテリ制御ユニット902及び複数のバッテリ管理ユニット(例えばバッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903m)に分類され得る。バッテリ制御ユニット902は、第4電力変換モジュール20に統合されてもよく、あるいはバッテリ制御ユニット902は、第4電力変換モジュール20の外部に統合されてもよい。これは、実際の適用に従って具体的に決定されてよく、本明細書において限定されない。バッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903m内の1つのバッテリ管理ユニットは、エネルギ貯蔵モジュール10内の1つのバッテリパックに接続されてよい、すなわち、1つのバッテリパックが1つのバッテリ管理ユニットに対応する。
図7に示されるように、コンテナモニタリングユニット901、バッテリ制御ユニット902及びバッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903mの異なる電力要件を満たすために、第3電力変換モジュール800は、3つのDC/DC変換ユニット(例えばDC/DC変換ユニット8001~DC/DC変換ユニット8003)を含んでよく、本明細書において、3つのDC/DC変換ユニットは、それぞれコンテナモニタリングユニット901、バッテリ制御ユニット902及びバッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903mに接続することにより、電力を供給するために使用され得る。例えばDC/DC変換ユニット8001は、コンテナモニタリングユニット901の電力要件に従ってコンテナモニタリングユニット901に電力を供給してよく、DC/DC変換ユニット8002は、バッテリ制御ユニット902の電力要件に従ってバッテリ制御ユニット902に電力を供給してよく、DC/DC変換ユニット8003は、バッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903mへの電力要件に従ってバッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903mへ電力を供給してもよい。
【0050】
いくつかの実現可能な実装では、DC/DC変換ユニット8001がコンテナモニタリングユニット901に電力を供給した後、コンテナモニタリングユニット901は、エネルギ貯蔵システム1のシステムパラメータをリアルタイムで収集するか、又はエネルギ貯蔵システム1のシステムコントローラとのデータ伝送を実行し(例えばエネルギ貯蔵システム1のシステムコントローラの異なるスケジューリング指示を受信する)、エネルギ貯蔵システム1の動作状態をリアルタイムでモニタリングし得る。本明細書において、システムパラメータは、エネルギ貯蔵システム1の温度と湿度又は別のパラメータを含み得る。エネルギ貯蔵システム1の動作状態が異常であることを検出した後、コンテナモニタリングユニット901は、エネルギ貯蔵システム1のシステムコントローラにアラーム情報を送信して、時間内にエネルギ貯蔵システム1を整備するようユーザに促し得る。
【0051】
いくつかの実現可能な実装では、エネルギ貯蔵システム10が複数のバッテリクラスタを含むとき、DC/DC変換ユニット8002がバッテリ制御ユニット902に電力を供給した後、バッテリ制御ユニット902は、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータを検出し、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータに基づいて、各バッテリクラスタのバッテリパックの充電又は放電を制御して、各バッテリクラスタの電流と電圧をバランスさせ得る。本明細書において、バッテリクラスタパラメータは、充電状態(state of charge、SOC)値、ヘルス状態(state of health、SOH)値、電力状態(state of power、SOP)値及び別のパラメータを含んでよい。DC/DC変換ユニット8003がバッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903mに電力を供給した後、バッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903m内のバッテリ管理ユニットは各々、各バッテリクラスタ内の各バッテリパックのバッテリパラメータをバランスさせ得る。本明細書において、バッテリパラメータは、充電状態値、ヘルス状態値、電力状態値、最大動作電流及び別のパラメータを含み得る。バッテリ管理システム90が、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧、あるいは第4電力変換モジュール20の出力直流電圧(すなわち、直流バス30のバス電圧)又はエネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を使用することによって電力供給された後、バッテリ管理システム90は、エネルギ貯蔵モジュール10内のバッテリの電圧、電流及び電気化学セル温度のような情報をリアルタイムでモニタしてよく、バッテリの安全性を確保し、エネルギ貯蔵システム1のサービス寿命を延ばすためにエネルギ貯蔵システム1の動作状態を更にモニタし、その結果、エネルギ貯蔵システム1がより良好に負荷に電力を供給することができ、それにより、エネルギ貯蔵システム1の電力供給効率を向上させ、適用範囲を拡大することができる。
【0052】
図8は、本出願によるバッテリ管理システムの電力供給方法の概略フローチャートである。本方法は、エネルギ貯蔵システム(例えば
図3~
図7に示されるエネルギ貯蔵システム)に適用可能である。エネルギ貯蔵システムは、エネルギ貯蔵モジュールと、直流バスと、電力変換モジュールと、第1電源モジュールと、第2電源モジュールと、バッテリ管理システムを含む。第1電源モジュールの第1入力端はエネルギ貯蔵モジュールに接続され、第1電源モジュールの第2入力端は直流バスに接続され、第1電源モジュールの出力端は第2電源モジュールの第1入力端に接続され、第2電源モジュールの第2入力端は、第1電力変換モジュールを使用することによって交流主電源又は電力変換モジュールに接続され、第2電源モジュールの出力端はバッテリ管理システムに接続される。
図8に示されるように、本方法は、以下のステップS101~ステップS103を含む。
【0053】
ステップS101:第1電源モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧と直流バスのバス電圧の間で大きい方の電圧を入力電圧として選択し、入力電圧に基づいて第1直流電圧を第2電源モジュールに出力する。
【0054】
いくつかの実現可能な実装では、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧が直流バスのバス電圧より大きいとき、第1電源モジュールは、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧を入力電圧として使用し、入力電圧を第1直流電圧に変換し、第1直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。反対に、エネルギ貯蔵モジュールの出力直流電圧が直流バスのバス電圧よりも小さいとき、第1電源モジュールは、直流バスのバス電圧を入力電圧として使用し、入力電圧を第1直流電圧に変換して、第1直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。
【0055】
ステップS102:第1電力変換モジュールは、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュールに出力する。
【0056】
いくつかの実現可能な実装では、第1電力変換モジュールは、複数の電力変換ユニットを含み、電力変換ユニットの数量は、エネルギ貯蔵システムの供給電力によって要求される目標量より多い。複数の電力変換ユニット内の目標電力変換ユニットが故障しているとき、第1電力変換モジュールは、目標電力変換ユニット以外の各電力変換ユニットに基づいて、交流主電源又は電力変換モジュールの出力交流電圧を第2直流電圧に変換し、第2直流電圧を第2電源モジュールに出力し得る。
【0057】
ステップS103:第2電源モジュールは、第1直流電圧と第2直流電圧の間で大きい方の電圧を目標電圧として選択し、目標電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給する。
【0058】
いくつかの実現可能な実装では、第1直流電圧が第2直流電圧より大きいとき、第2電源モジュールは、第1直流電圧を目標電圧として使用し、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給し得る。反対に、第1直流電圧が第2直流電圧よりも小さいとき、第2電源モジュールは、第2直流電圧を目標電圧として使用し、目標電圧を目標直流電圧に変換し、目標直流電圧に基づいてバッテリ管理システムに電力を供給し得る。
【0059】
具体的な実装では、本出願で提供されるバッテリ管理システムのための電力供給方法における更なる動作については、
図3~
図7に示されるエネルギ貯蔵システムにおける第1電力供給モジュール、第1電力変換モジュール及び第2電力供給モジュールによって実行される実装及びその動作原理を参照されたい。詳細はここでは再度説明しない。
【0060】
本出願では、複数のバックアップ電源を使用してバッテリ管理システムに電力を供給し、それによりバッテリ管理システムの電力供給の信頼性を向上させることができる。加えて、エネルギ貯蔵システムからバッテリ管理システムに電力が供給され、それにより、エネルギ貯蔵システムのコストが低減され、エネルギ貯蔵システムの経済性が向上され、適用範囲が拡大される。
【0061】
上記の説明は、本発明の具体的な実装にすぎず、本発明の保護範囲を限定するように意図されない。本発明において開示される技術的範囲内で当業者によって容易に理解されるいかなる変更又は置換も、本発明の保護範囲内に入るものとする。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
本出願の発明者は、研究及び実施プロセスにおいて、
図1に示されるように、従来技術では、エネルギ貯蔵システムは、通常、交流(
alternating current、AC)/直流(direct current、DC)変換モジュールを使用することによって、交流主電源及び/又は電力変換システムによって提供される交流(すなわち、交流バスのバス電圧)を整流し、エネルギ貯蔵システムにおけるバッテリ管理システムに電力を供給することを発見した。バッテリ管理システムは、バッテリの電圧、電流、電気化学セル温度等をリアルタイムでモニタし、エネルギ貯蔵システムの環境をモニタして、バッテリの安全性を確保し、エネルギ貯蔵システムのサービス寿命を延ばすことができる。しかしながら、交流故障が起こると、バッテリ管理システムは動作を停止することがあり、バッテリ及びエネルギ貯蔵システムの動作状態を検出することができない。そのため、従来技術では、
図1に示されるように、無停電電源(uninterruptible power supply、UPS)がエネルギ貯蔵システム内に構成され、この無停電電源がバックアップ電源として使用され、交流故障が起こったときにバッテリ管理システムに電力を供給する。しかしながら、無停電電源のコストは非常に高く、適用範囲も狭い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
いくつかの実現可能な実装において、
図4は、本出願によるエネルギ貯蔵システムの別の構造の概略図である。
図4に示されるように、
図3に示されるエネルギ貯蔵モジュール10は、回路遮断器S1を介して第4電力変換モジュール20に接続され、第4電力変換モジュール20は、直流バス30及び回路遮断器S2を介して電力変換モジュール40の入力端に接続されてよく、電力変換モジュール40の出力端及び交流主電源40は、回路遮断器S3を介して第1電力変換モジュール70の入力端に接続されてよい。第4電力変換モジュール20はDC/DC変換モジュールであってよく、電力変換モジュール40はDC/AC変換モジュールであってよく、第1電力変換モジュール70はAC/DC変換モジュールであってよい。第4電力変換モジュール
20は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を、直流バス30によって必要とされるバス電圧に変換し得る。言い換えると、第4電力変換モジュール
20の出力直流電圧は、直流バス30のバス電圧と同じである。本明細書において、回路遮断器とは、通常ループ状態(normal loop condition)では電流を遮断(close)し、通電し、ターンオフすることができ、かつ異常ループ状態(abnormal loop condition)では所定時間内に電流を遮断し、通電し、ターンオフすることができるスイッチ装置を指すことがある。バッテリ管理システム90に正常に電力を供給するプロセスでは、エネルギ貯蔵モジュール10と、第4電力変換モジュール20と、交流主電源50又は電力変換モジュール40はすべて正常に動作し、回路遮断器S1、回路遮断器S2及び回路遮断器S3はすべて遮断状態となる。反対に、エネルギ貯蔵モジュール10が故障しているときは、回路遮断器S1が自動的にターンオフされ、第4電力変換モジュール20が故障しているときは、回路遮断器S2が自動的にターンオフされ、交流主電源50又は電力変換モジュール40が故障しているか又はパワーオフされているとき、回路遮断器S3が自動的にターンオフされてエネルギ貯蔵システムを保護する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
いくつかの実現可能な実装では、第4電力変換モジュール20は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を、直流バス30によって要求されるバス電圧に変換し得る。言い換えると、第4電力変換モジュール20の出力直流電圧は、直流バス30のバス電圧と同じである。第4電力変換モジュール20が故障しているか又は正常に動作することができないとき、直流バス30のバス電圧は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧よりも低い。この場合、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧は、バッテリ管理システム90に電力を供給する直流バックアップ電源として理解されてよい。直流バス30のバス電圧がエネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧よりも低いとき、第1ダイオードD1が導通され、第2ダイオードD2が遮断(cut off)され、その結果、第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2は二者択一(either-or selection)を実行して、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を第2電力変換モジュール600に出力する。この場合、第2電力変換モジュール600は、エネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を入力電圧として使用して、入力電圧を第1直流電圧に変換し、第1直流電圧を第2電源モジュール80に出力し得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
いくつかの実現可能な実装では、エネルギ貯蔵モジュール10が複数のバッテリクラスタを含むとき、DC/DC変換ユニット8002がバッテリ制御ユニット902に電力を供給した後、バッテリ制御ユニット902は、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータを検出し、各バッテリクラスタのバッテリクラスタパラメータに基づいて、各バッテリクラスタのバッテリパックの充電又は放電を制御して、各バッテリクラスタの電流と電圧をバランスさせ得る。本明細書において、バッテリクラスタパラメータは、充電状態(state of charge、SOC)値、ヘルス状態(state of health、SOH)値、電力状態(state of power、SOP)値及び別のパラメータを含んでよい。DC/DC変換ユニット8003がバッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903mに電力を供給した後、バッテリ管理ユニット903a~バッテリ管理ユニット903m内のバッテリ管理ユニットは各々、各バッテリクラスタ内の各バッテリパックのバッテリパラメータをバランスさせ得る。本明細書において、バッテリパラメータは、充電状態値、ヘルス状態値、電力状態値、最大動作電流及び別のパラメータを含み得る。バッテリ管理システム90が、交流主電源50又は電力変換モジュール40の出力交流電圧、あるいは第4電力変換モジュール20の出力直流電圧(すなわち、直流バス30のバス電圧)又はエネルギ貯蔵モジュール10の出力直流電圧を使用することによって電力供給された後、バッテリ管理システム90は、エネルギ貯蔵モジュール10内のバッテリの電圧、電流及び電気化学セル温度のような情報をリアルタイムでモニタしてよく、バッテリの安全性を確保し、エネルギ貯蔵システム1のサービス寿命を延ばすためにエネルギ貯蔵システム1の動作状態を更にモニタし、その結果、エネルギ貯蔵システム1がより良好に負荷に電力を供給することができ、それにより、エネルギ貯蔵システム1の電力供給効率を向上させ、適用範囲を拡大することができる。
【国際調査報告】