(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】アルカリ金属原子炉電源
(51)【国際特許分類】
G21C 15/12 20060101AFI20240306BHJP
G21C 1/32 20060101ALI20240306BHJP
G21D 7/04 20060101ALI20240306BHJP
G21C 7/28 20060101ALI20240306BHJP
G21C 15/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G21C15/12 Z
G21C1/32
G21D7/04
G21C7/28
G21C15/02 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557480
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2021135991
(87)【国際公開番号】W WO2022121878
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011422901.1
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523214188
【氏名又は名称】上▲海▼核工程研究▲設▼▲計▼院股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼其昌
(72)【発明者】
【氏名】叶成
(72)【発明者】
【氏名】▲湯▼春桃
(72)【発明者】
【氏名】王煦嘉
(72)【発明者】
【氏名】林千
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼金坤
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲維▼忠
(72)【発明者】
【氏名】袁春田
(72)【発明者】
【氏名】▲錢▼雅▲蘭▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲錦▼明
(72)【発明者】
【氏名】王▲偉▼
(57)【要約】
本発明に係るアルカリ金属原子炉電源は、底部に液体アルカリ金属(2)が設けられた原子炉容器(1)と、原子炉容器(1)内に配置された原子炉心(4)と、アルカリ金属熱電変換装置(7)とを備える。原子炉心(4)は、複数の燃料棒(3)と、複数の燃料棒(3)の周辺に設けられた径方向反射層(11)を備え、燃料棒(3)の表面に第1の吸液芯(5)が設けられ、原子炉心(4)の底部に第2の吸液芯(19)が設けられ、第2の吸液芯が第1の吸液芯(5)と接続し、第2の吸液芯(19)が液体アルカリ金属(2)に接触可能である。アルカリ金属熱電変換装置(7)は、径方向反射層(11)の外周に沿って配置され、原子炉容器(1)の内部をアルカリ金属熱電変換装置(7)の上方にある高圧蒸気室(6)とアルカリ金属熱電変換装置(7)の下方にある低圧蒸気室(8)とに分離する。アルカリ金属の相変化に伴う熱伝導を利用し、吸液芯で液体アルカリ金属(2)の循環動力を提供し、構造がシンプルであり、配置の自由度が高く、発電効率が高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に液体アルカリ金属が設けられた原子炉容器と、
前記原子炉容器内に配置された原子炉心であって、複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の周辺に設けられた径方向反射層とを含み、前記燃料棒の表面に第1の吸液芯が設けられ、前記原子炉心の底部に第2の吸液芯が設けられ、前記第2の吸液芯が前記原子炉心の底部を覆うと共に前記第1の吸液芯と接続し、前記第2の吸液芯が前記液体アルカリ金属に接触可能である、原子炉心と、
アルカリ金属熱電変換装置であって、前記径方向反射層の外周に沿って配置され、前記径方向反射層の外側と前記原子炉容器の内壁との間に設けられ、前記原子炉容器の内部を、前記アルカリ金属熱電変換装置の上方にある高圧蒸気室と前記アルカリ金属熱電変換装置の下方にある低圧蒸気室に分離するアルカリ金属熱電変換装置と、
を備えることを特徴とするアルカリ金属原子炉電源。
【請求項2】
前記低圧蒸気室には、凝縮器が設けられることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ金属原子炉電源。
【請求項3】
前記アルカリ金属熱電変換装置は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられたBASE管とを含み、前記高圧蒸気室内に、アルカリ金属蒸気が前記陽極、前記BASE管、前記陰極を順に通過し、前記陽極と前記陰極の間に電位差が生じる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属原子炉電源。
【請求項4】
原子炉が起動される前に、前記原子炉容器が真空処理され、前記原子炉容器内が負圧になる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属原子炉電源。
【請求項5】
前記燃料棒は、燃料芯ブロックと、前記燃料芯ブロックを覆うケーシングとを含み、前記第1の吸液芯は前記ケーシングの外周面に設けられ、前記ケーシングの外周面に溝が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属原子炉電源。
【請求項6】
前記原子炉心の中部に、原子炉を制御する制御棒が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属原子炉電源。
【請求項7】
前記径方向反射層内に、原子炉の出力を制御する複数の制御ドラムが設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属原子炉電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉発電の技術分野に関わり、特にアルカリ金属原子炉電源に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ原子炉は独特な小型原子炉システムであり、通常、その熱出力が20MW以下、電気出力が10MW以下であり、主に宇宙スペース、海上、陸上基地などの特殊な応用場面での電力や動力のニーズを満たすのに用いられる。マイクロ原子炉は、従来の原子炉と比べて、出力、寸法、重量等が大幅に減少し、工場で予め組み立て可能、装置の運搬性、運転の自己制御性などは主な特徴である。マイクロ原子炉は、システム設計が大幅に簡略化され、異なる応用環境で迅速に設置することを実現でき、様々な遠隔地方のエネルギー供給に幅広く応用することができる。現在、マイクロ原子炉の具体的な応用としては、宇宙用原子炉電源、深海用原子力電源、車載用原子炉電源などが挙げられる。
【0003】
アルカリ金属熱電変換(AMTEC)は、効率的でスタティックな熱電変換技術であり、気体又は液体のアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)を媒体とし、β"- Al2O3固体電解質(BASE)を選択的イオン透過膜とし、アルカリ金属イオンのBASE中の移動過程を利用して熱から電気への変換を実現し、理論上、熱電変換効率が30%以上に達する。AMTECは、アルカリ金属を充填した密閉回路システムであり、BASEで圧力の異なる2つ部分に分離され、高圧側のアルカリ金属が熱源により熱を吸収し、低圧側のアルカリ金属の蒸気が凝縮器により凝縮され液体となり、電磁ポンプや吸液芯で高圧側へ戻される。スタティック性と高い熱電変換効率の特徴を兼ね備えているため、アルカリ金属熱電変換技術は原子力など各分野に応用でき、宇宙空間や遠隔地などでの応用が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、原子炉で発生した熱をアルカリ金属熱電変換装置を介して直接電気に変換し、遠隔地、水中潜水装置、宇宙船などに電力を供給することができるアルカリ金属原子炉電源を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るアルカリ金属原子炉電源は、底部に液体アルカリ金属が設けられた原子炉容器と、前記原子炉容器内に配置された原子炉心と、アルカリ金属熱電変換装置と、を備える。前記原子炉心は、複数の燃料棒と、前記複数の燃料棒の周辺に設けられた径方向反射層とを含み、前記燃料棒の表面に第1の吸液芯が設けられ、前記原子炉心の底部に第2の吸液芯が設けられ、前記第2の吸液芯が前記原子炉心の底部を覆うと共に前記第1の吸液芯と接続し、前記第2の吸液芯が前記液体アルカリ金属に接触可能である。前記アルカリ金属熱電変換装置は、前記径方向反射層の外周に沿って配置され、前記径方向反射層の外側と前記原子炉容器の内壁との間に設けられ、前記原子炉容器の内部を、前記アルカリ金属熱電変換装置の上方にある高圧蒸気室と前記アルカリ金属熱電変換装置の下方にある低圧蒸気室に分離する。
【0006】
好ましくは、前記低圧蒸気室には、凝縮器が設けられる。
【0007】
好ましくは、前記アルカリ金属熱電変換装置は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられたBASE管とを含み、前記高圧蒸気室内に、アルカリ金属蒸気が前記陽極、前記BASE管、前記陰極を順に通過し、前記陽極と前記陰極の間に電位差が生じる。
【0008】
好ましくは、原子炉が起動される前に、前記原子炉容器が真空処理され、前記原子炉容器内が負圧になる。
【0009】
好ましくは、前記燃料棒は、燃料芯ブロックと、前記燃料芯ブロックを覆うケーシングとを含み、前記第1の吸液芯は前記ケーシングの外周面に設けられ、前記ケーシングの外周面に溝が設けられている。
【0010】
好ましくは、前記原子炉心の中部に、原子炉を制御する制御棒が設けられている。
【0011】
好ましくは、前記径方向反射層内に、原子炉の出力を制御する複数の制御ドラムが設けられている。
【0012】
本発明に係るアルカリ金属原子炉電源は、第1の吸液芯と第2の吸液芯の毛細管力を利用して、液体アルカリ金属を燃料棒の表面に運び、燃料棒の核分裂による発熱を利用して液体アルカリ金属を気化し、アルカリ金属蒸気は高圧蒸気室に入り、高圧によりアルカリ金属熱電変換装置に入り発電し、その後低圧蒸気室に入り、アルカリ金属蒸気は低圧蒸気室で凝縮し液体状態になり、液体アルカリ金属の循環動力を実現し、従来の原子炉システムにおけるポンプ、バルブなどの部材を省き、信頼度を大幅に向上させる。本発明は、システムが簡略化され、構造がシンプルであり、原子炉と熱電変換器が一体化され、一つの媒体、一つの循環システムを用いて、直接発電できる。本発明に係るアルカリ金属原子炉電源装置は、小型かつ軽量で、配置の自由度が高く、発電効率が高いなどの特徴を有し、一体として運搬、設置、配備が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願発明をより明確に説明するため、以下、本願の実施形態で用いられる図面を簡単に説明する。 以下に説明する図面は本願の一の実施形態に過ぎず、当業者は、以下の図面に基づき、創造的な労働を経ずに他の図面を得ることができる。
【0014】
【
図1】
図1は本発明のアルカリ金属原子炉電源の概略図である。
【
図4】
図4は
図1におけるアルカリ金属熱電変換装置の一部の概略図である。
【
図5】
図5は
図1におけるアルカリ金属熱電変換装置の一部の上面図である。
【0015】
なお、添付図面は実際のスケールで描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。 なお、以下実施例の詳細な記載と図面は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限しない。即ち、本発明は以下の実施例に限られるものではない。
【0017】
以下の記載において、特別な説明がある場合を除き、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語で示された向きや位置関係は、説明の便宜上用いたものであり、装置や部材は特定の向きを有し、特定の向きで構成され又は動作することを意味せず、本願を限定するものではない。
以下の説明で現れた方向の表現は、図面に示された方向であり、本願を限定するものではない。また、以下の記載に、明確な説明がある場合を除き、「接続」という用語は広く理解されるべき、例えば、固定接続、脱着式接続、又は一体的な接続でもよく、また、直接接続、又は媒体を介した間接接続でもよい。当業者は、具体的な状況に応じて本発明で上記用語の意味を特定すれば宜しい。
【0018】
図1は本発明のアルカリ金属原子炉電源の概略図であり、
図2は
図1における原子炉心4の上面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本発明に係るアルカリ金属原子炉電源は、原子炉容器1、原子炉心4及びアルカリ金属熱電変換装置7を備える。原子炉容器1の底部には液体アルカリ金属2が設けられている。原子炉心4は、原子炉容器1内に配置され、具体的に、原子炉容器1の中部に設置してもよい。原子炉心4は、複数の燃料棒3と、複数の燃料棒3の周辺に設けられた径方向反射層11を備え、燃料棒3の表面に第1の吸液芯5が設けられ、原子炉心4の底部に第2の吸液芯19が設けられている。第2の吸液芯19は、原子炉心4の底部を覆うと共に第1の吸液芯5に接続されており、第2の吸液芯19は液体アルカリ金属2に接触可能である。アルカリ金属熱電変換装置7は、径方向反射層11の外周に沿って配置され、径方向反射層11の外側と原子炉容器1の内壁との間に設けられ、原子炉容器1をアルカリ金属熱電変換装置7の上方に位置する高圧蒸気室6とアルカリ金属熱電変換装置7の下部に位置する低圧蒸気室8に分離する。
【0020】
原子炉容器1は密閉された耐圧構造であり、原子炉が起動される前に、原子炉容器1に対して真空処理を行い、原子炉容器1内部を負圧にし、すなわち、原子炉容器1内の圧力が大気圧より低くなり、液体アルカリ金属2の蒸発に有利である。
【0021】
原子炉心4の底部に設けられた第2の吸液芯19は、原子炉心4の底部を覆い、燃料棒3の底部の間の全ての空隙を覆い、第1の吸液芯5と接続する。第2の吸液芯19と第1の吸液芯5は、多孔質の毛細管吸引構造を有し、第2の吸液芯19と第1の吸液芯5の毛細管力により、液体アルカリ金属2を燃料棒3の表面に運ぶ。燃料棒3の核燃料の核分裂により発生した熱で、燃料棒3の表面に運ばれた液体アルカリ金属2は気化され、アルカリ金属蒸気となり、アルカリ金属蒸気は、
図1の破線矢印で示す方向に高圧蒸気室6に入り、
図1の破線矢印で示す方向にアルカリ金属熱電変換装置7に入り発電を行い、その後に低圧蒸気室8に入り、アルカリ金属の蒸気は低圧蒸気室8で凝縮して液体状態になり、反応容器1の底部に流れ、底部での液体アルカリ金属2と合流する。底部での液体アルカリ金属2は、第2の吸液芯19と第1の吸液芯5の毛細管力により、液体アルカリ金属2を燃料棒3の表面に運ばれ、アルカリ金属流れの循環が完了する。
【0022】
液体アルカリ金属2が熱で気化されて高圧蒸気室6に入るため、高圧蒸気室6内の圧力は低圧蒸気室8内の圧力より高い。なお、高圧蒸気室6の高圧と低圧蒸気室8の低圧は、単に両者の比較であり、高圧蒸気室6内の圧力が低圧蒸気室8内の圧力より高い。
【0023】
本発明に係るアルカリ金属原子炉電源は、アルカリ金属を原子炉の冷却剤として用い、アルカリ金属は低圧で蒸発することにより原子炉心からの熱を持っていき、第2の吸液芯19と第1の吸液芯5の毛細管力により液体アルカリ金属2の流れの駆動力を提供し、アルカリ金属熱電変換装置7を用いて原子炉心の熱を直接電気に変換する。
【0024】
図1に示すように、低圧蒸気室8内に凝縮器9が設けられており、凝縮器9の数は1つでも複数でもよく、凝縮器9はアルカリ金属蒸気を液体状態に凝縮することを加速できる。
【0025】
図2に示すように、原子炉心4の中央には、原子炉を制御する制御棒10が設けられている。制御棒10は中性子吸収材料で作られ、原子炉の緊急停止に用いられ、事故時に原子炉心4の中心に挿入されることにより原子炉心の中性子を吸収し、原子炉を停止させる。
【0026】
図2に示すように、径方向反射層11は、原子炉心4からの中性子漏れを低減し、径方向反射層11内に、複数の制御ドラム12が設けられ、原子炉の出力制御を行う。制御ドラム12は、中性子吸収材料と中性子反射材料で作られ、制御ドラム12の中性子吸収材料は、
図2の制御ドラム12の黒塗り部分であり、制御ドラム12の中性子反射材料は
図2の制御ドラム12の黒塗りなしの部分である。制御ドラム12は主に原子炉の出力制御や停止に用いられる。制御ドラム12の中性子吸収材料(黒塗り部分)側が原子炉心の中心に向く場合に、原子炉心の中性子を吸収して原子炉を停止させ、中性子反射材料(黒塗りなしの部分)側が原子炉心の中心に向く場合に、原子炉心からの中性子の漏れを低減することができ、これにより原子炉の出力制御を実現する。
【0027】
【0028】
図3に示すように、燃料棒3は、燃料芯ブロック15と、燃料芯ブロック15を覆うケーシング14とを備える。第1の吸液芯5はケーシング14の外周面に設けられており、ハウジング14の外周面には、液体アルカリ金属2が流れる流路となる溝13が設けられている。燃料芯ブロック15は核燃料から作られ、燃料芯ブロック15の核燃料は核分裂によって発熱する。ケーシング14は燃料芯ブロック15を包覆い、核燃料中の放射性物質の漏れを防止する。燃料棒3の発熱により液体アルカリ金属2は継続的に気化され、それと同時に、第2の吸液芯19と第1の吸液芯5は液体アルカリ金属2を吸い込み続け、補給する。
【0029】
図4は
図1におけるアルカリ金属熱電変換装置7の一部の概略図であり、
図5は
図1におけるアルカリ金属熱電変換装置7の一部の上面図である。
【0030】
図4、
図5に示すように、アルカリ金属熱電変換装置7は、陽極18と、陰極17と、陽極18と陰極17との間に設けられたBASE管(Beta alumina solid electrolyte tube、BASE管)16を備える。アルカリ金属熱電変換装置7の上下の圧力差に駆動されて、高圧蒸気室6内におけるアルカリ金属蒸気は、
図4の破線矢印で示す方向に、陽極18、BASE管16、陰極17を順に通過し、低圧蒸気室8に入り、陽極18と陰極17との間に電位差が生じ、電気エネルギー変換が実現される。アルカリ金属熱電変換装置7は、複数の独立した熱電熱交換ユニットを有し、各熱電熱交換ユニットは、陽極18と、陰極17と、陽極18と陰極17との間に設けられたBASE管16を含む。
【0031】
本発明に係るアルカリ金属原子炉電源は、アルカリ金属の相変化に伴う熱伝導を利用し、毛細管吸液芯で液体アルカリ金属の循環動力を提供し、従来の原子炉システムにおけるポンプ、バルブなどの部材を省き、信頼度を大幅に向上させる。本発明は、システが簡略化され、構造がシンプルであり、原子炉と熱電変換器が一体化され、一つの媒体、一つの循環システムを用い、直接発電できる。本発明に係るアルカリ金属原子炉電源装置は、小型かつ軽量で、配置の自由度が高く、発電効率が高いなどの特徴を有し、一体として運搬、設置、配備が可能である。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の技術的思想に属する様々な実施形態は本発明の保護範囲に属する。当業者は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、以上の実施例に対して行った変更または修正は、本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0033】
1 原子炉容器
2 液体アルカリ金属
3 燃料棒
4 原子炉心
5 第1の吸液芯
6 高圧蒸気室
7 アルカリ金属熱電変換装置
8 低圧蒸気室
9 凝縮器
10 制御棒
11 径方向反射層
12 制御ドラム
13 溝
14 ケーシング
15 燃料芯ブロック
16 BASE管
17 陰極
18 陽極
19 第2の吸液芯
【国際調査報告】