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特表2024-511404比色型バイオセンサー、その作製方法およびそれを用いた抗生物質感受性検査方法
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  • 特表-比色型バイオセンサー、その作製方法およびそれを用いた抗生物質感受性検査方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】比色型バイオセンサー、その作製方法およびそれを用いた抗生物質感受性検査方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240306BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240306BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12Q1/04
G01N21/78 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557811
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 KR2022020936
(87)【国際公開番号】W WO2023132528
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0002636
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517154199
【氏名又は名称】インハ ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】INHA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チョン, テ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム, スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヒ スー
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ウー ジン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ソ ユン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA01
4B063QA06
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QR75
4B063QR76
4B063QR83
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、比色型バイオセンサー、その作製方法およびそれを用いた抗生物質感受性検査方法に関する。より具体的には、本発明では、ポリジアセチレンおよびヒドロゲル高分子(アルギネート、PEG-DA等)を含む多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物栄養源を含む比色型バイオセンサーを作製することができ、これを用いてリアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物検出用比色型バイオセンサーまたは微生物の抗生物質感受性検査方法に応用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲル高分子およびポリジアセチレンからなる多孔性ヒドロゲル構造体;および
微生物栄養源(nutrient source)を含む比色型バイオセンサー。
【請求項2】
前記微生物栄養源は、前記多孔性ヒドロゲル構造体の内部にカプセル化されたものである、請求項1に記載の比色型バイオセンサー。
【請求項3】
前記微生物栄養源は、前記多孔性ヒドロゲル構造体の表面を取り囲むシェル状に形成されたものである、請求項1に記載の比色型バイオセンサー。
【請求項4】
前記ヒドロゲル高分子は、アルギネート、アガロース、キトサン、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEG-DA)、ヒドロキシエチレンメタクリレート(HEMA)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリアクリルアミド(PAM)からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の比色型バイオセンサー。
【請求項5】
前記微生物栄養源は、LB(Luria-Berani broth)ブロスまたはLB寒天(agar)培地、トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth;TSB)培地、Lactobacilli MRS培地、R2A培地(MB-R2230)、MH(Mueller Hinton)培地およびカゼイン加水分解物(casamino acid)含有培地からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の比色型バイオセンサー。
【請求項6】
前記比色型バイオセンサーは、色変化を通じて微生物を検出するものである、請求項1に記載の比色型バイオセンサー。
【請求項7】
前記微生物は、バクテリア(bacterium)、真菌(fungus)、海藻(alga)、原生動物(protozoan)、および後生動物(metazoan)の単離された細胞からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の比色型バイオセンサー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の比色型バイオセンサーおよび抗生物質の存在下で微生物を培養する段階を含む、抗生物質感受性検査方法。
【請求項9】
前記比色型バイオセンサーの比色変化がない場合に、前記微生物が前記抗生物質に対する感受性を有するものと判断し、
前記比色型バイオセンサーの比色変化が存在する場合に、前記微生物が前記抗生物質に対する抵抗性を有するものと判断するものである、請求項8に記載の抗生物質感受性検査方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の比色型バイオセンサーおよび抗生物質を含む、抗生物質感受性検査用キット。
【請求項11】
(a)ポリジアセチレン溶液、ヒドロゲル高分子および微生物栄養源を含むヒドロゲル前駆体溶液を得る段階;
(b)塩化カルシウム溶液に前記ヒドロゲル前駆体溶液を滴下し、ヒドロゲル構造体を得る段階;および
(c)前記ヒドロゲル構造体に200~300nm波長の紫外線を照射する段階を含む比色型バイオセンサーの作製方法。
【請求項12】
前記ヒドロゲル前駆体溶液中の前記ヒドロゲル高分子の濃度は、1.0~15.0%(w/v)である、請求項11に記載の比色型バイオセンサーの作製方法。
【請求項13】
前記ポリジアセチレン溶液の濃度は、0.5~5mMである、請求項11に記載の比色型バイオセンサーの作製方法。
【請求項14】
前記塩化カルシウム溶液の濃度は、0.5~20.0%(w/v)である、請求項11に記載の比色型バイオセンサーの作製方法。
【請求項15】
前記比色型バイオセンサーは、前記ヒドロゲル高分子およびポリジアセチレンからなる多孔性ヒドロゲル構造体である;および前記微生物栄養源を含み、
前記微生物栄養源が前記多孔性ヒドロゲル構造体の内部にカプセル化されるか、または前記微生物栄養源が前記多孔性ヒドロゲル構造体の表面を取り囲むシェル状で形成されるものである、請求項11に記載の比色型バイオセンサーの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比色型バイオセンサー、その作製方法およびそれを用いた抗生物質感受性検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比色型バイオセンサーは、細胞レベル(cellular level)またはin vivoレベルで、比色変化または蛍光を発するナノ物質の特性を利用し、シグナルを検出することによって、データを分析するにおいて、より簡単で有用な情報を提供できる物質または装置である。
【0003】
このようなバイオセンサーのセンサー材料としてのポリジアセチレン(polydiacetylene,PDA)は、水溶液中での合成が容易な利点があり、DNA、タンパク質、炭水化物、およびイオンなどのような生物学的に重要な標的物質は、ほとんど親水性を有するため、センサー材料として有利である。また、ポリジアセチレンは、付加的な触媒や開始剤の使用を必要とせず、UV刺激により青色に色遷移が起こり、外部の物理的、化学的、生物学的刺激により赤色に色遷移が起こることが知られている。
【0004】
一方、微生物の成長を抑制できる抗生物質を選別する検査を抗生物質感受性検査というが、これは微生物に使用する抗生物質の種類を選択することができる直接的で重要な検査である。また、患者に適した抗生物質を処方する際、処方方法と頻度、費用、副作用を考慮し、カスタマイズ処方が可能となる。感受性の結果を利用すれば、抗生物質を経験的に処方したときに生じ得る治療費の増加と介護者の失望感を減らすことができ、バクテリアの耐性獲得と合併症の減少、並びに患者の回復期間を短縮させる機会を提供する。
【0005】
最も一般的な抗生物質感受性検査には、ディスク拡散法(disk diffusion technique)と液体培地希釈法(broth dilution technique)がある。ただし、これらの方法は、バクテリアを数日間培養してからバクテリアを同定した後、濁度を測定する過程が必要であるが、このような過程は時間がかかり、多くの労力を必要とする欠点がある。
【0006】
そのため、リアルタイム測定が可能であり、時間および労力を短縮することができ、従来の抗生物質感受性検査法の問題点を克服するための方法の開発が必要とされる。
【0007】
そこで、本発明の発明者らは、ポリジアセチレンおよびヒドロゲル高分子(アルギネート、PEG-DA、etc.)を含む多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物の栄養源を含む比色型バイオセンサーを作製し、これを用いてリアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物検出用比色型バイオセンサーまたは微生物の抗生物質感受性検査方法に応用できることに着目し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【課題が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題を考慮して見出されたものであり、本発明の目的は、ポリジアセチレンおよびヒドロゲル高分子(アルギネート、PEG-DA、etc.)を含む多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物栄養源を含む比色型バイオセンサーを作製し、これを用いてリアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物の抗生物質感受性検査方法に応用するものである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、前記にて述べた課題(ら)に限定されず、言及されていない他の課題(ら)は、以下の記載から当業者であれば明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するために、本発明は、ヒドロゲル高分子およびポリジアセチレンからなる多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物栄養源(nutrient source)を含む比色型バイオセンサーを提供する。
【0011】
前記微生物栄養源は、前記多孔性ヒドロゲル構造体内にカプセル化されたものであることができる。
【0012】
前記微生物栄養源は、前記多孔性ヒドロゲル構造体の表面を取り囲むシェル状に形成されたものであることができる。
【0013】
前記ヒドロゲル高分子は、アルギネート、アガロース、キトサン、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEG-DA)、ヒドロキシエチレンメタクリレート(HEMA)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリアクリルアミド(PAM)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0014】
前記微生物栄養源は、LB(Luria-Berani broth)ブロスまたはLB寒天(agar)培地、トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth;TSB)培地、Lactobacilli MRS培地、R2A培地(MB-R2230)、MH(Mueller Hinton)培地およびカゼイン加水分解物(casamino acid)含有培地からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0015】
前記比色型バイオセンサーは、色の変化により微生物を検出することができる。
【0016】
前記微生物は、バクテリア(bacterium)、真菌(fungus)、海藻(alga)、原生動物(protozoan)、および後生動物(metazoan)の単離された細胞からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0017】
また、本発明は、本発明による比色型バイオセンサーおよび抗生物質の存在下で微生物を培養する段階を含む抗生物質感受性検査方法を提供する。
【0018】
前記比色型バイオセンサーの比色変化がない場合に、前記微生物が前記抗生物質に対する感受性を有するものと判断し、前記比色型バイオセンサーの比色変化が存在する場合に、前記微生物が前記抗生物質に対する抵抗性を有するものとする判断するものであることができる。
【0019】
また、本発明は、本発明による比色型バイオセンサーおよび抗生物質を含む抗生物質感受性検査用キットを提供する。
【0020】
また、本発明は、(a)ポリジアセチレン溶液、ヒドロゲル高分子および微生物栄養源を含むヒドロゲル前駆体溶液を得る段階;(b)塩化カルシウム溶液に前記ヒドロゲル前駆体溶液を滴下し、ヒドロゲル構造体を得る段階;および(c)前記ヒドロゲル構造体に200~300nm波長の紫外線を照射する段階、を含む比色型バイオセンサーの作製方法を提供する。
【0021】
前記ヒドロゲル前駆体溶液中の前記ヒドロゲル高分子の濃度は、1.0~15.0%(w/v)であってもよい。
【0022】
前記ポリジアセチレン溶液の濃度は、0.5~5mMであってもよい。
【0023】
前記塩化カルシウム溶液の濃度は、0.5~20.0%(w/v)であってもよい。
【0024】
前記比色型バイオセンサーは、前記ヒドロゲル高分子およびポリジアセチレンから形成される多孔性ヒドロゲル構造体および微生物栄養源を含み、前記微生物栄養源が前記多孔性ヒドロゲル構造体内にカプセル化されるものであってもよく、または前記微生物栄養源が前記多孔性ヒドロゲル構造体の表面を取り囲むシェル状に形成されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ポリジアセチレンおよびヒドロゲル高分子を含む多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物栄養源を含む比色型バイオセンサーを作製することができ、これを用いてリアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物の抗生物質感受性検査方法に応用することができる。
【0026】
本発明の効果は、前記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例による比色型バイオセンサーによる微生物検出過程を示す画像である[比色型バイオセンサー:微生物培養(Incubation with bacteria)前、青色 → 微生物培養後、赤色]。
図2】本発明の一実施例に従って、(a)層状形態(Layered form)および(b)カプセル化形態(Encapsulated form)の比色型バイオセンサーを作製する過程を示す画像である[PDA-Alginate Beads:青色、LB:黄色、PDA-Alginate-LB Beads:青色]。
図3】本発明の一実施例に従って作製された(a)層状形態(Layered form)および(b)カプセル化形態(Encapsulated form)の比色型バイオセンサーを示す画像である。
図4】LBブロス(broth)培地が、カプセル化形態の比色型バイオセンサーの(a)外部および(b)内部に位置した場合の感度差を示す実験結果の画像である[T1:0h、T2:6h、T3:12h、T4;18hおよびT5;24h]。
図5】カプセル化形態(Encapsulated form)の比色型バイオセンサーを用いた抗生物質感受性実験結果の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を添付された図面を参照してより詳細に説明する。本発明の実施例は、様々な形態に変形することができ、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状は、より明確な説明を強調するために誇張されている。
【0029】
従来、普遍的に行われる抗生物質感受性検査は、ディスク拡散法(disk diffusion technique)と液体培地希釈法(broth dilution technique)があった。しかし、これらの方法は、バクテリアを数日間培養してからバクテリアを同定した後、濁度を測定する過程を必要とするが、このような過程に時間がかかり、多くの労力が必要とされる欠点が存在した。
【0030】
したがって、リアルタイム測定が可能であり、時間および労力を短縮させ、従来の抗生物質感受性検査法の問題点を克服する方法の開発が必要な実情である。
【0031】
前記した問題点を解決するために、本発明では、ポリジアセチレンおよびヒドロゲル高分子を含む多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物栄養源を含む比色型バイオセンサーを作製し、これを用いてリアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物の抗生物質感受性検査方法に応用することを目指す。
【0032】
比色型バイオセンサー
本発明は、ヒドロゲル高分子およびポリジアセチレン(PDA)からなる多孔性ヒドロゲル構造体;および微生物栄養源(nutrient source)を含む比色型バイオセンサーを提供する。
【0033】
本発明の一実施例によれば、前記比色型バイオセンサーは、色変化を通じて微生物を検出することができる。具体的には、前記比色型バイオセンサーを微生物と共培養した場合、センサー(内部)に含まれた微生物栄養源が外部に拡散し、微生物がこれを成長源として活用し増殖が起こる。このような微生物の増殖によって産生される代謝産物である生体分子(biomolecule)は、多孔性ヒドロゲル構造体の気孔を通してヒドロゲル内部に浸透し、PDAを刺激しながら、比色型バイオセンサーの色変化を誘導することができる。図1を参照すると、前記比色型バイオセンサーは、微生物培養(Incubation with bacteria)前には青色を呈していたが、微生物培養が進行した後には前述した色変化メカニズムによって赤色に色の変化が起こることを確認することができる。
【0034】
より具体的には、前記微生物、特にバクテリアは、周囲環境の成長源を認識して成長する特性を有する。すなわち、バクテリアは、成長源のある方向に集まって成長することができる。本発明では、このような特性を利用して、バクテリアがセンサー材料であるPDAと最も近いところで成長できるように、成長源として作用可能な栄養源とPDAをヒドロゲルに含ませた。
【0035】
また、PDAは、表面に生じる多様な刺激(温度、pH、電気的/物理的刺激など)により内部の構造変化が起こり、これにより青色から赤色への色変化が起こる特徴がある。そのため、バクテリアが産生する代謝産物の一部がPDAの表面と相互作用するにつれて刺激が与えられ、色変化が引き起こされる可能性がある。
【0036】
このような色変化は、目視でも確認することが可能であり、画像処理装置を通じて数値的にも分析することができる。したがって、色変化によって微生物の有無および増殖速度を測定することができる。
【0037】
より具体的には、前記比色型バイオセンサーは、青色から赤色への色遷移現象を通じて微生物の有無および増殖速度を測定することができる。前記比色型バイオセンサーは、青色を呈することができ、上述したように、微生物との培養過程を通じて微生物から産生された生体分子により赤色に色遷移現象を示すことができる。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記ヒドロゲル高分子は、アルギネート、アガロース、キトサン、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEG-DA)、ヒドロキシエチレンメタクリレート(HEMA)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリアクリルアミド(PAM)からなる群から選択される1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。具体的には、前記ヒドロゲル高分子は、アルギネートであり、この場合、より優れた色変化感度を示すことができる。
【0039】
本発明の一実施例によれば、前記多孔性ヒドロゲル構造体は、球状であってもよいが、これに限定されるものではない。具体的にはビーズ状であってもよい。
【0040】
本発明の一実施例によれば、前記微生物栄養源は、前記多孔性ヒドロゲル構造体の表面を取り囲むシェル状で形成されていてもよい(図3a参照)。この場合、微生物が微生物栄養源に接近することがより容易なため、微生物に対する感度を向上させる効果がある。
【0041】
本発明の一実施例によれば、前記微生物栄養源は、前記多孔性ヒドロゲル構造体の内部にカプセル化されたものであってもよい(図3b参照)。この場合、驚くべきことに、微生物栄養源が前記構造体の表面を取り囲む場合に比べて微生物に対する感度がより向上したことが確認された。
【0042】
前記微生物栄養源は、LB(Luria-Berani broth)ブロスまたはLB寒天(agar)培地、トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth;TSB)培地、Lactobacilli MRS培地、R2A培地(MB-R2230)、MH(Mueller Hinton)培地およびカゼイン加水分解物(casamino acid)含有培地からなる群から選択される1種以上であってもよい。具体的には、前記微生物栄養源は、LB培地であってもよい。より具体的には、前記微生物栄養源は、トリプトン、酵母抽出物およびNaClで組成されるLBブロス培地である、またはトリプトン、酵母抽出物およびNaClと寒天(Agar)が混合されたLB寒天(Agar)培地であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記微生物栄養源は、前記した種類のみに限定されるものではなく、検出しようとする標的微生物の成長源として活用できるものであれば、いずれを用いても構わない。
【0043】
前記微生物は、バクテリア(bacterium)、真菌(fungus)、海藻(alga)、原生動物(protozoan)、および後生動物(metazoan)の単離された細胞からなる群から選択される1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。具体的には、前記微生物は、バクテリアであってもよい。より具体的には、前記微生物は、代表的なグラム陰性菌(Gram-negative bacteria)である大腸菌(Escherichia )属、シュードモナス(Pseudomonas)属のバクテリアであってもよく、代表的なグラム陽性菌(Gram-positive bacteria)であるスタフィロコッカス(Staphylococus)属またはエンテロコッカス(Enterococcus)属(genus)のバクテリアであってもよい。
【0044】
本発明の一実施例によれば、本発明による培養は、滅菌水で行うことができる。微生物の培養時に必要な培地成分は、本発明による栄養源に含有され、前記多孔性ヒドロゲル構造体の内部または外部に存在するため、微生物を培養するための別の培地が不要であり、滅菌水で培養が行われることができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
前記培養は、検出すべき微生物の増殖(Proliferation)を得るために行われる。微生物を培養するための技術および条件は、特に、各微生物について、本発明による微生物の増殖に適した栄養培地、最適な成長温度(例えば、哺乳動物の多くの病原性バクテリアの場合、37℃)、および必要な条件についてよく知っている当業者にはよく知られている。培養時間は、成長速度および世代時間(generation time)、すなわち、微生物が2つの子孫微生物に分裂するのに必要な時間によって各微生物に対して変わるはずである。一般に、前記培養時間は72時間、48時間、または24時間未満である。また、前記培養は、探している情報、すなわち検出、定量、または抗生物質に対する感受性が得られるとすぐに中断されるであろう。
【0046】
比色型バイオセンサーの用途
本発明は、本発明による比色型バイオセンサーおよび抗生物質の存在下で微生物を培養する段階を含む抗生物質感受性検査方法を提供する。
【0047】
前記抗生物質感受性(antibiotic susceptibility)は、抗生物質感受性とも呼ばれ、当該微生物(菌株など)が特定の抗生物質により生育抑制などの影響を受けるものであって、従来の抗生物質感受性検査法によれば、抗生物質を処理した場合、抗生物質を処理した部分周囲に菌が成長できない場合に感受性を有するとされる。抗生物質感受性検査の結果は、一例として、感受性、中間感受性(中間耐性)および抵抗性(耐性)に分けられる。微生物による感染症の治療には、感受性を示す抗生物質を使用しなければならないが、前記感受性(susceptible)が読み取られた菌株の感染は、その菌種、その感染部位に推奨される用量の抗菌剤で治療できることを意味し、中間感受性(または中間耐性、intermediate susceptible)は、試験菌株に対する抗菌剤の最小阻止濃度が血中または組織濃度に類似していることを意味し、そのため、治療効果が感受性菌株の場合よりも低いことを意味し、尿などの抗菌剤が濃縮される部位に感染した時や多量に投与できる薬剤を最大量投与したとき、治療効果があることを意味し、抵抗性(または耐性、resistant)は、通常の用量を投与したときの血中濃度では治療できないことを意味する。
【0048】
本発明の一実施例によれば、前記比色型バイオセンサーの比色変化がなかった場合に、前記微生物が前記抗生物質に対する感受性を有するものと判断し、前記比色型バイオセンサーの比色変化があった場合には、前記微生物が前記抗生物質に対する抵抗性を有するものと判断することができる。
【0049】
具体的には、上述したように、前記比色型バイオセンサーを微生物と共に培養した場合、センサー(内部)に含まれた微生物栄養源が外部に移動し、微生物がこれを成長源として活用して増殖が行われる。このような微生物の増殖によって産生される代謝産物である生体分子(biomolecule)は、多孔性ヒドロゲル構造体の気孔を通してヒドロゲル内部に浸透し、PDAを刺激しながら、比色型バイオセンサーの色変化を誘導することができる。
【0050】
このとき、前記バイオセンサー周辺部に抗生物質が存在する場合、前記抗生物質に対する感受性を示す微生物は増殖が中断され、代謝産物である生体分子が生成されなくなり、この結果、前記比色型バイオセンサーの比色変化が観察できなくなくなる。その一方、前記抗生物質に対する抵抗性(耐性)を示す微生物は増殖が進み、代謝産物である生体分子が生成され、その結果、前記比色型バイオセンサーの比色変化を観察することができる。
【0051】
このように、本発明による比色型バイオセンサーを用いてリアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物の抗生物質感受性検査方法を提供することができる。
【0052】
本発明の一実施例によれば、前記抗生物質は、ペニシリン系抗生物質、グリコペプチド(glycopeptide)系抗生物質、キノロン系抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、スルホンアミド系抗生物質、ポリエーテル系抗生物質およびペプチド系抗生物質からなる群から選択される1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。具体的には、前記抗生物質は、ペニシリン系およびグリコペプチド(glycopeptide)系抗生物質であってもよい。
【0053】
また、本発明は、本発明による比色型バイオセンサーおよび抗生物質を含む抗生物質感受性検査用キットを提供する。具体的には、前記比色型バイオセンサーは、標的物質(微生物など)の特定の抗生物質に対する感受性または抵抗性を確認することができる通常のキットとして提供することができる。
【0054】
具体的な一例として、前記抗生物質感受性検査用キットは、前記比色型バイオセンサーが投入または処理されたウェルプレートおよび抗生物質をそれぞれ別々に含むものであるか、または前記比色型バイオセンサーおよび抗生物質が共に投入または処理されたウェルプレートであってもよい。この場合、前記抗生物質はキットをなす各ウェルに互いに異なる濃度で含ませるが、例えば、各種検査対象の抗生物質を0.25、0.5、1、2、4、8、16、32μg/mLなどと異にして含まれた培地を上記キットを構成する各ウェルに入れる。前記培地の量は、マルチ-ウェルプレートを構成する個別ウェルの容積によって変わるが、一般に各ウェルに平均200μlずつ入れることができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記キットを構成する各ウェルには滅菌水をさらに含むことができる。上述したように、微生物の培養時に必要な培地成分は、本発明による栄養源に含有され、前記多孔性ヒドロゲル構造体の内部または外部に存在するため、微生物を培養するための別の培地が不要であり、滅菌水で培養が行われることができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
比色型バイオセンサーの作製方法
本発明は、(a)ポリジアセチレン(PDA)溶液、ヒドロゲル高分子および微生物栄養源を含むヒドロゲル前駆体溶液を得る段階; (b)塩化カルシウム溶液に前記ヒドロゲル前駆体溶液を滴下し、ヒドロゲル構造体を得る段階;および(c)前記ヒドロゲル構造体に200~300nm波長の紫外線を照射する段階、を含む比色型バイオセンサーの作製方法を提供する。
【0057】
本発明の一実施例によれば、前記(a)段階は、ヒドロゲル構造体を形成するためのヒドロゲル前駆体溶液を準備する段階であって、PDA溶液、ヒドロゲル高分子および微生物栄養源を混合して行うことができる。
【0058】
前記ヒドロゲル前駆体溶液中の前記ヒドロゲル高分子の濃度は、1.0~15.0%(w/v)、5.0~13.0%(w/v)または8.0~10.0%(w/v)であってもよい。前記ヒドロゲル高分子の濃度が1.0%(w/v)以上である場合にはゲルの形成能に優れ、15.0%(w/v)以下である場合には、球状の多孔性ヒドロゲル構造体に対する形態保存能に優れ、粘度が適切なため、取り扱いやすいという効果がある。驚くべきことに、前記ヒドロゲル高分子の濃度範囲を維持する場合、PDA溶液および微生物栄養源との混合割合が多様に調節されても、前記した臨界的効果は、維持されることができる。
【0059】
前記PDA溶液の濃度は、0.5~5mM、0.5~4mM、または1.0~3mMであってもよい。前記PDA溶液の濃度は、前記(b)段階のヒドロゲル構造体を得る過程に影響を及ぼすことができ、前記したPDA溶液の濃度範囲ではヒドロゲル構造体の形成が容易な効果がある。
【0060】
前記塩化カルシウム溶液の濃度は、0.5~20.0%(w/v)、0.5~10.0%(w/v)、0.5~5.0%(w/v)、または0.5~1.5%(w/v)であってもよい。前記塩化カルシウム溶液の濃度範囲では、生成される比色型バイオセンサーの感度がより向上する効果がある。
【0061】
本発明の一実施例によれば、前記(b)段階は、前記ヒドロゲル前駆体溶液が前記塩化カルシウムとの反応を通じてゲル化したヒドロゲル構造体を得る段階であって、滴下した液滴が塊にならないようにマグネットバーを用いて、前記塩化カルシウム溶液を撹拌する過程を同時に行うことができる。
【0062】
本発明の一実施例によれば、前記(b)段階以後に、前記ゲル化が完了したヒドロゲル構造体を蒸留水で洗浄する過程をさらに行うことができる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、段階(c)は、前記ヒドロゲル構造体に200~300nm、230~280nm、240~270nm、または250~260nm波長の紫外線を照射することによって、青色を呈する比色型バイオセンサーを得る段階であることができる。前記波長範囲の紫外線を照射する場合、青色への色遷移を容易に行うことができる。
【0064】
前記比色型バイオセンサーは、前記ヒドロゲル高分子およびポリジアセチレンからなる多孔性ヒドロゲル構造体および前記微生物栄養源を含み、前記微生物栄養源が前記多孔性ヒドロゲル構造体の内部にカプセル化されるか、または前記微生物栄養源が前記多孔性ヒドロゲル構造体の表面を取り囲むシェル状に形成されることができるが、その形態がこれらに限定されるものではない。
【0065】
本発明の比色型バイオセンサー、その用途およびその作製方法で言及された事項は、互いに矛盾しない限り同様に適用される。
【0066】
上述した説明は、本発明の技術思想を一具現例を用いて説明したものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明で説明した実施例は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0067】
<実施例>
実施例1.カプセル化形態の比色型バイオセンサー(Encapsulated form)の作製
3mMのPDA(Polydiacetylene)溶液、アルギネート(ヒドロゲル前駆体溶液に対して9%(w/v))およびLBブロス(broth)培地を混合し、ヒドロゲル前駆体溶液を準備した。前記ヒドロゲル前駆体溶液をシリンジニードルを通して1%(w/v)塩化カルシウム(CaCl2)溶液で満たされたビーカーに滴下(dripping)した。該滴下した液滴が塊にならないように、マグネティックバーを用いて塩化カルシウム溶液を持続的に掻きまわすことにより、ヒドロゲル前駆体溶液を塩化カルシウムと反応させ、ゲル(gel)状にゲル化(gelation)させた。ゲル化が完了したヒドロゲル構造体を塩化カルシウム溶液から取り出し、蒸留水で洗浄した後、254nm波長のUVを照射し、前記ヒドロゲル構造体の内部のPDAの色を青色に変換し、カプセル化形態の比色型バイオセンサーを作製した(図2bおよび3b参照)。
【0068】
実施例2.層状形態の比色型バイオセンサー(Layered form)の作製
3mMのPDA(Polydiacetylene)溶液およびアルギネート(ヒドロゲル前駆体溶液に対して9%(w/v))を混合し、ヒドロゲル前駆体溶液を準備した。前記ヒドロゲル前駆体溶液をシリンジニードルを通して1%(w/v)塩化カルシウム(CaCl2)溶液で満たされたビーカーに滴下した。該滴下した液滴が塊にならないように、マグネティックバーを用いて、塩化カルシウム溶液を持続的に掻きまわすことにより、ヒドロゲル前駆体溶液を塩化カルシウムと反応させ、ゲル(gel)状にゲル化(gelation)させた。ゲル化が完了したヒドロゲル構造体を塩化カルシウム溶液から取り出して蒸留水で洗浄した後、254nm波長のUVを照射し、前記ヒドロゲル構造体内部のPDAの色を青色に変換した。その後、ゲル化が完了したヒドロゲル構造体を、疎水性液状のLB寒天(agar)培地にピペットを用いて落とし、薄い膜状で覆われるようにした。コーティングされたLB寒天(agar)培地は、低温により速やかに固まり、最終的にバクテリア成長源を層状(layered)形態で有する比色型バイオセンサーを作製した(図2aおよび図3a参照)。
【0069】
実験例1.感受性感度比較実験
LBブロス(Broth)培地がカプセル化形態の比色型バイオセンサー(a)外部および(b)内部に位置した場合、センサーの感受性感度比較実験を行って図4に示した。
【0070】
具体的には、前記実施例1からカプセル化形態の比色型バイオセンサーを作製する際に、LBブロス(broth)培地が含まれていない、またはLBブロス(broth)培地が含まれた形態で準備した。LB培地が含まれていないバイオセンサーが入ったウェルには、108CFU/mLの大腸菌とLB培地を一緒に満たした(図4a)。LB培地が含まれたバイオセンサーを入れたウェルには、108CFU/mLの大腸菌のみを満たした(図4b)。実験の条件を同様に構成するために、LBブロス(broth)培地の濃度を同様に準備した。大腸菌の成長およびそれに伴うバイオセンサーの色変化を誘導するために37℃の条件で培養し、各ウェルプレート写真を0、6、12、18、および24時間毎に撮影し、色変化を比較した。
【0071】
図4を参照すると、LBブロス(broth)培地がバイオセンサー内部に含まれた場合(図4b)がそうでない場合(図4a)と比較して、PDAの色変化がより速く起きることを確認することができる。具体的に図4bを参照すると、LBブロス(broth)培地が比色型バイオセンサー内部に位置している場合、6時間(T2)後から色変化(青色->赤色)を示したが、図4aを参照すると、LBブロス(broth)培地が比色型バイオセンサーの外部に位置した場合、18時間(T4)後から色変化(青色→赤色)が現れた。したがって、大腸菌がバイオセンサー内部のLBブロス(broth)培地を認知し、バイオセンサー表面で成長し、それに伴って放出される生体分子(biomolecule)がバイオセンサー内部にさらに容易に移動し、PDA色変化をより速く誘導することを判断することができる。
【0072】
実験例2.抗生物質感受性検査試験
前記実施例1により作製されたカプセル化形態の比色型バイオセンサーの抗生物質感受性検査実験を行い、その結果を図5に示した。
【0073】
具体的には、前記実施例1によりカプセル化形態の比色型バイオセンサーを作製し、アンピシリン(ampicillin)抗生物質2、4μg/mLを含むウェル(図5B図5C)とバンコマイシン(vancomycin)抗生物質0.25、2、4μg/mLを含むウェル(図5D図5E図5F)に投入した。また、抗生物質感受性試験のためにアンピシリン(ampicillin)に対しては抵抗性を有し、バンコマイシン(vancomycin)に対しては感受性を有するMethicillin Resistant Staphylococcus Aureus(MRSA)バクテリアを各ウェルに106CFU/mLだけ投入した。比較実験のために、比色型バイオセンサーとバクテリアのみが入っているウェル(図5A)と比色型バイオセンサーのみが入っているウェル(図5G)も準備した。MRSAの成長およびこれに伴うバイオセンサーの色変化を誘導するために37℃条件で培養し、各ウェルプレート写真を0、5、6、7、9、12、13、および15時間毎に撮影し、色変化を比較した。
【0074】
図5を参照すると、比色型バイオセンサーとMRSAのみ培養した場合、7時間(t=7)後から色変化(青色->赤色)が現れた(図5A)。一方、抗生物質とバクテリアの両方ない場合、15時間(t=15)が過ぎても色変化がみられなかった(図5G)。MRSAと比色型バイオセンサーが投入されたウェルに2μg/mLアンピシリン(ampicillin)を共培養した場合、9時間(t=9)後から色変化(青色->赤色)が現れ(図5B)、4μg/mLアンピシリン(ampicillin)を共培養した場合、13時間(t=13)後から色変化(青色->赤色)が現れた(図5C)。MRSAの場合、アンピシリン(ampicillin)抗生物質に対する抵抗性が有しているため、共培養した場合、比色型バイオセンサーの色変化を引き起こしたことが判断できる。次に、MRSAと比色型バイオセンサーが投入されたウェルに0.25μg/mLバンコマイシン(vancomycin)を共培養した場合、9時間(t=9)後から色変化(青色->赤色)が現れたが(図5D)、2、4μg/mlのバンコマイシン(vancomycin)を共培養した場合、色変化はみられなかった(図5E図5F)。MRSAの場合、バンコマイシン(vancomycin)抗生物質を共培養したとき、2μg/mLから色の変化が起こらなかったたため、バンコマイシン(vancomycin)抗生物質に対して2μg/mL濃度で感受性を有していると判断することができる。
【0075】
したがって、本発明による比色型バイオセンサーは、リアルタイム測定が可能であり、優れた感度(sensitivity)を示すことができる微生物検出用比色型バイオセンサーまたは微生物の抗生物質感受性検査方法に応用することができることが確認された。
【0076】
上述した詳細な説明は、本発明を例示するものである。また、前述した内容は、本発明の好ましい実施形態を示して説明するものであり、本発明は様々な他の組み合わせ、変更および環境で使用することができる。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、叙述された開示内容と均等な範囲および/または当業界における技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。開示された実施例は、本発明の技術的思想を具現するための最良の形態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野および用途に要求される様々な変更も可能である。したがって、前記した発明の詳細な説明は、開示された実施形態で本発明を限定することを意図するものではない。さらに、添付された特許請求の範囲は、他の実施形態も含むものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】