(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】糸状菌材料を含む食品
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240306BHJP
A23L 13/10 20160101ALI20240306BHJP
C12N 1/14 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A23L5/00 N
A23L13/10
A23L5/00 J
C12N1/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558141
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022021369
(87)【国際公開番号】W WO2022204166
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518308809
【氏名又は名称】ザ・フィンダー・グループ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Fynder Group, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】エクストロム,エレノア,ブロフィー
(72)【発明者】
【氏名】ゴトラ,バルジット
(72)【発明者】
【氏名】アヴニエル,ユバル
(72)【発明者】
【氏名】クロップ,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カワバタ,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】カーレ,エリック
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B065
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE05
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4B065AA58X
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4B065CA41
(57)【要約】
糸状菌食品組成物が開示され、このような糸状菌食品組成物を作製する方法も開示される。糸状菌食品組成物は、従来の非真菌食品、特にミートジャーキーなどの肉製品の類似物として役立ち得る。糸状菌食品組成物の製造方法は、糸状菌バイオマスを、大気圧を下回る圧力下で処理するステップを含み得る。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を調製する方法であって、
(a)糸状菌バイオマスを、食品添加物を含む溶液と接触させるステップと;
(b)前記糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;
(c)前記溶液の溶媒の少なくとも一部を除去して前記複数の糸状菌片を処理して、前記糸状菌片および前記食品添加物を含む前記食品を形成するステップと
を含み、
ステップ(a)およびステップ(b)が同時にまたは任意の順序で順次に行われる、方法。
【請求項2】
前記食品添加物が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液の質量が、前記溶液と接触する前の前記糸状菌バイオマスの総質量の約1%~約30%の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)が、大気圧を下回る圧力下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記大気圧を下回る圧力が約0.1パスカル以下の圧力である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)が、大気圧を超える圧力下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)が室温未満の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記室温未満の温度が約40°F以下である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)の持続時間の少なくとも一部の間、前記糸状菌バイオマスの温度が約34°F以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)の前に、前記糸状菌バイオマスから水を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)が、前記糸状菌バイオマスを前記溶液と共に攪拌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記糸状菌バイオマスが、前記糸状菌バイオマスの重量の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%に等しい量の前記溶液を吸収する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)が、少なくとも2つの糸状菌バイオマスを前記溶液と接触させることを含み、方法が、ステップ(a)とステップ(b)との間に、前記少なくとも2つの糸状菌バイオマスを凝集させて糸状菌凝集体を形成するステップをさらに含み、ステップ(b)が、前記糸状菌凝集体をサイズ減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記凝集ステップが、前記少なくとも2つの糸状菌バイオマスをケーシングに包むことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記凝集ステップが、大気圧を下回る圧力下で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記大気圧を下回る圧力が約0.1パスカル以下の圧力である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記凝集ステップが、前記少なくとも2つの糸状菌バイオマスをクラスト凍結することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(a)とステップ(b)との間に、前記糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記クラスト凍結ステップ後の前記糸状菌バイオマスの内部温度が約25°F~約27°Fの間である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記クラスト凍結ステップが、前記糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れることによって行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)が、前記糸状菌バイオマスの切断、細断、およびシェービングのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の糸状菌片が、前記糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の糸状菌片の平均長さ、平均幅、および平均深さのうちの少なくとも1つが約0.5mm~約1.0mmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(c)が、前記複数の糸状菌片を焙煎すること、前記複数の糸状菌片を焼成すること、前記複数の糸状菌片をボイリングすること、前記複数の糸状菌片を揚げること、前記複数の糸状菌片を蒸気処理すること、前記複数の糸状菌片を冷薫すること、および前記複数の糸状菌片を温燻することのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液が水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記溶液が非水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ステップ(a)の前に、
発酵培地中もしくは発酵培地上または発酵培地が付随する膜上で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって前記糸状菌バイオマスを形成するステップと;
前記糸状菌バイオマスを不活性化するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記発酵法が、表面発酵法、深部発酵法、膜発酵法、固体基質発酵法、空気媒体コロイド(AMC)発酵法、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記不活性化ステップが、前記糸状菌バイオマスを蒸気処理することによって行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記食品が、少なくとも約30g/cm
2、少なくとも約40g/cm
2、少なくとも約50g/cm
2、少なくとも約60g/cm
2、少なくとも約70g/cm
2、少なくとも約80g/cm
2、少なくとも約90g/cm
2、少なくとも約100g/cm
2、少なくとも約150g/cm
2、少なくとも約200g/cm
2、少なくとも約250g/cm
2、少なくとも約300g/cm
2、少なくとも約350g/cm
2、少なくとも約400g/cm
2、少なくとも約450g/cm
2、少なくとも約500g/cm
2、少なくとも約550g/cm
2、少なくとも約600g/cm
2、少なくとも約650g/cm
2、少なくとも約700g/cm
2、少なくとも約750g/cm
2、少なくとも約800g/cm
2、少なくとも約850g/cm
2、少なくとも約900g/cm
2、少なくとも約950g/cm
2、少なくとも約1000g/cm
2、少なくとも約1500g/cm
2、少なくとも約2000g/cm
2、少なくとも約2500g/cm
2、少なくとも約3000g/cm
2、少なくとも約3500g/cm
2、または少なくとも約4000g/cm
2の引張強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記食品が全ての必須アミノ酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の方法に従って作製された肉類似物食品。
【請求項38】
食品を調製する方法であって、
(a)糸状菌バイオマスを、食品添加物を含む溶液と接触させるステップと;
(b)前記糸状菌バイオマスを脱水して、前記糸状菌バイオマスおよび前記糸状菌バイオマス内に分散された前記食品添加物を含む前記食品を形成するステップと
を含む方法。
【請求項39】
前記食品がミートジャーキー類似物食品である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記溶液の質量が、前記溶液と接触する前の前記糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(a)が、大気圧を下回る圧力下で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記大気圧を下回る圧力が約0.1パスカル以下の圧力である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(a)が室温未満の温度で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記室温未満の温度が約40°F以下である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(a)が室温より上の温度で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(a)の持続時間の少なくとも一部の間、前記糸状菌バイオマスの温度が約34°F以下である、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(a)の前に、前記糸状菌バイオマスから水を除去するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(a)が、前記糸状菌バイオマスを前記溶液と共に攪拌することによって行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の前記溶液を吸収する、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記溶液が水溶液である、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記溶液が非水溶液である、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(a)の前に、
発酵培地中で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって前記糸状菌バイオマスを形成するステップと;
前記糸状菌バイオマスを不活性化するステップと
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記発酵法が表面発酵法である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記不活性化ステップが、前記糸状菌バイオマスを蒸気処理することによって行われる、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記食品が、少なくとも約30g/cm
2、少なくとも約40g/cm
2、少なくとも約50g/cm
2、少なくとも約60g/cm
2、少なくとも約70g/cm
2、少なくとも約80g/cm
2、少なくとも約90g/cm
2、少なくとも約100g/cm
2、少なくとも約150g/cm
2、少なくとも約200g/cm
2、少なくとも約250g/cm
2、少なくとも約300g/cm
2、少なくとも約350g/cm
2、少なくとも約400g/cm
2、少なくとも約450g/cm
2、少なくとも約500g/cm
2、少なくとも約550g/cm
2、少なくとも約600g/cm
2、少なくとも約650g/cm
2、少なくとも約700g/cm
2、少なくとも約750g/cm
2、少なくとも約800g/cm
2、少なくとも約850g/cm
2、少なくとも約900g/cm
2、少なくとも約950g/cm
2、少なくとも約1000g/cm
2、少なくとも約1500g/cm
2、少なくとも約2000g/cm
2、少なくとも約2500g/cm
2、少なくとも約3000g/cm
2、少なくとも約3500g/cm
2、または少なくとも約4000g/cm
2の引張強度を有する、請求項38に記載の方法
【請求項57】
前記食品が全9種の必須アミノ酸を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項58】
前記食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項59】
前記食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
前記食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項61】
前記糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
請求項39に記載の方法に従って作製されたミートジャーキー類似物食品。
【請求項64】
糸状菌を含む肉類似物食品であって、少なくとも約2週間の貯蔵寿命を有し、以下のうちの少なくとも1つが当てはまる:
(i)肉類似物食品が、食品28グラム当たり約200ミリグラム未満のナトリウムを含む;
(ii)肉類似物食品が、食品28グラム当たり15グラム以下の砂糖を含む;および
(iii)肉類似物食品の砂糖含有量が約10重量%以下である、
肉類似物食品。
【請求項65】
少なくとも約3週間、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約18か月、少なくとも約21か月、または少なくとも約24か月の貯蔵寿命を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項66】
約0.35~約0.85の間の水分活性を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項67】
約0.45以下の水分活性を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項68】
食品28グラム当たり約190ミリグラム未満、約180ミリグラム未満、約170ミリグラム未満、約160ミリグラム未満、約150ミリグラム未満、約140ミリグラム未満、約130ミリグラム未満、約120ミリグラム未満、約110ミリグラム未満、または約100ミリグラム未満のナトリウムを含む、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項69】
以下のうちの少なくとも1つが当てはまる:
(i)肉類似物食品が、食品28グラム当たり14グラム以下、13グラム以下、12グラム以下、11グラム以下、10グラム以下、9グラム以下、8グラム以下、7グラム以下、6グラム以下、5グラム以下、4グラム以下、3グラム以下、2グラム以下、または1グラム以下の砂糖を含む;および
(ii)肉類似物食品の砂糖含有量が、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下である、
請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項70】
少なくとも約30g/cm
2、少なくとも約40g/cm
2、少なくとも約50g/cm
2、少なくとも約60g/cm
2、少なくとも約70g/cm
2、少なくとも約80g/cm
2、少なくとも約90g/cm
2、少なくとも約100g/cm
2、少なくとも約150g/cm
2、少なくとも約200g/cm
2、少なくとも約250g/cm
2、少なくとも約300g/cm
2、少なくとも約350g/cm
2、少なくとも約400g/cm
2、少なくとも約450g/cm
2、少なくとも約500g/cm
2、少なくとも約550g/cm
2、少なくとも約600g/cm
2、少なくとも約650g/cm
2、少なくとも約700g/cm
2、少なくとも約750g/cm
2、少なくとも約800g/cm
2、少なくとも約850g/cm
2、少なくとも約900g/cm
2、少なくとも約950g/cm
2、少なくとも約1000g/cm
2、少なくとも約1500g/cm
2、少なくとも約2000g/cm
2、少なくとも約2500g/cm
2、少なくとも約3000g/cm
2、少なくとも約3500g/cm
2、または少なくとも約4000g/cm
2の引張強度を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項71】
全9種の必須アミノ酸を含む、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項72】
アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含む、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項73】
少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含む、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項74】
約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項75】
前記糸状菌が、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含む、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項76】
前記糸状菌が、糸状菌バイオマットまたはその一部を含む、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項77】
食品を調製する方法であって、
(a)第1の糸状菌バイオマスを第1の溶液と接触させるステップと;
(b)前記第1の糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;
(c)第2の糸状菌バイオマスを第2の溶液と接触させるステップと;
(d)前記複数の糸状菌片および前記第2の糸状菌バイオマスを合わせるステップと;
(e)前記複数の糸状菌片および前記第2の糸状菌バイオマスを処理して前記食品を形成するステップと
を含む方法。
【請求項78】
前記食品がミートジャーキー類似物食品である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の溶液および前記第2の溶液のうちの少なくとも1つが、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
以下のうちの少なくとも1つが当てはまる:(i)前記第1の溶液の質量が、ステップ(a)の前の前記第1の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間である;および(ii)前記第2の溶液の質量が、ステップ(c)の前の前記第2の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが、大気圧を下回る圧力下で行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記大気圧を下回る圧力が約0.1パスカル以下の圧力である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが室温未満の温度で行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記室温未満の温度が約40°F以下である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
ステップ(a)の持続時間の少なくとも一部の間、前記第1の糸状菌バイオマスおよび前記第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つの温度が約34°F以下である、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが室温より上の温度で行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
(i)ステップ(a)の前に、前記第1の糸状菌バイオマスから水を除去するステップ;および(ii)ステップ(c)の前に、前記第2の糸状菌バイオマスから水を除去するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項88】
以下のうちの少なくとも1つが当てはまる:(i)ステップ(a)が、前記第1の糸状菌バイオマスを前記第1の溶液と共に攪拌することによって行われる;および(ii)ステップ(c)が、前記第2の糸状菌バイオマスを前記第2の溶液と共に攪拌することによって行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
以下のうちの少なくとも1つが当てはまる:(i)前記第1の糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の前記第1の溶液を吸収する;および(ii)前記第2の糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の前記第2の溶液を吸収する、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
(i)ステップ(a)とステップ(b)との間に、前記第1の糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップ、および(ii)ステップ(c)とステップ(d)との間に、前記第2の糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記クラスト凍結ステップ後の、(i)が当てはまる場合の前記第1の糸状菌バイオマスの内部温度、または(ii)が当てはまる場合の前記第2の糸状菌バイオマスの内部温度が約25°F~約27°Fの間である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記クラスト凍結ステップが、前記糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れることによって行われる、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記第1の溶液および前記第2の溶液のうちの少なくとも1つが水溶液である、請求項77に記載の方法。
【請求項94】
前記第1の溶液および前記第2の溶液のうちの少なくとも1つが非水溶液である、請求項77に記載の方法。
【請求項95】
ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つの前に、
発酵培地中で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって前記糸状菌バイオマスおよび前記第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つを形成するステップと;
前記第1の糸状菌バイオマスおよび前記第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つを不活性化するステップと
をさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項96】
前記発酵法が表面発酵法である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記不活性化ステップが、前記糸状菌バイオマスを脱水すること、前記糸状菌バイオマスを凍結すること、前記糸状菌バイオマスを圧力処理すること、前記糸状菌バイオマスをすすぐこと、前記糸状菌バイオマスをサイズ減少させること、前記糸状菌バイオマスを蒸気処理すること、および前記糸状菌バイオマスを温度サイクルすることのうちの少なくとも1つによって行われる、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記食品が、少なくとも約30g/cm
2、少なくとも約40g/cm
2、少なくとも約50g/cm
2、少なくとも約60g/cm
2、少なくとも約70g/cm
2、少なくとも約80g/cm
2、少なくとも約90g/cm
2、少なくとも約100g/cm
2、少なくとも約150g/cm
2、少なくとも約200g/cm
2、少なくとも約250g/cm
2、少なくとも約300g/cm
2、少なくとも約350g/cm
2、少なくとも約400g/cm
2、少なくとも約450g/cm
2、少なくとも約500g/cm
2、少なくとも約550g/cm
2、少なくとも約600g/cm
2、少なくとも約650g/cm
2、少なくとも約700g/cm
2、少なくとも約750g/cm
2、少なくとも約800g/cm
2、少なくとも約850g/cm
2、少なくとも約900g/cm
2、少なくとも約950g/cm
2、少なくとも約1000g/cm
2、少なくとも約1500g/cm
2、少なくとも約2000g/cm
2、少なくとも約2500g/cm
2、少なくとも約3000g/cm
2、少なくとも約3500g/cm
2、または少なくとも約4000g/cm
2の引張強度を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項99】
前記食品が全9種の必須アミノ酸を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項100】
前記食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項101】
前記食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項102】
前記食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項103】
前記糸状菌バイオマスおよび前記第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項104】
前記第1の糸状菌バイオマスおよび前記第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項105】
請求項78に記載の方法に従って作製されたミートジャーキー類似物食品。
【請求項106】
糸状菌バイオマスと;
前記糸状菌バイオマスによって吸収された、食品添加物を含む溶液と
を含む中間食品組成物。
【請求項107】
前記溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項108】
前記溶液の質量が、前記糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間である、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項109】
前記溶液が水溶液である、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項110】
前記溶液が非水溶液である、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項111】
前記糸状菌バイオマスが、表面発酵法、深部発酵法、膜発酵法、固体基質発酵法、および空気媒体コロイド(AMC)発酵法、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される発酵法から誘導される、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項112】
前記糸状菌バイオマスが不活性化される、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項113】
前記糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含む、請求項106に記載の中間食品組成物。
【請求項114】
食品を調製する方法であって、
(a)糸状菌バイオマスを真空成形するステップであって、前記糸状菌バイオマスが食品添加物を含む溶液を含む、ステップと;
(b)前記真空成形された糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;
(c)前記溶液の溶媒の少なくとも一部を除去して前記複数の糸状菌片を処理して、前記糸状菌片および前記食品添加物を含む前記食品を形成するステップと
を含む方法。
【請求項115】
ステップ(a)で、前記糸状菌バイオマスが約0.1パスカル以下の絶対圧力に曝露される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
ステップ(a)の後、前記糸状菌バイオマスがほぼ円筒形状を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
ステップ(a)とステップ(b)との間に、前記糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップをさらに含む、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記クラスト凍結ステップ後の前記糸状菌バイオマスの内部温度が約25°F~約27°Fの間である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記クラスト凍結ステップが、前記糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れることによって行われる、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
ステップ(b)が、前記糸状菌バイオマスの切断、細断、およびシェービングのうちの少なくとも1つを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項121】
前記複数の糸状菌片が、前記糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑のうちの少なくとも1つを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記複数の糸状菌片の平均長さ、平均幅、および平均深さのうちの少なくとも1つが約0.5mm~約1.0mmの間である、請求項114に記載の方法。
【請求項123】
ステップ(a)の前に、
発酵培地中で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって前記糸状菌バイオマスを形成するステップと;
前記糸状菌バイオマスを不活性化するステップと
をさらに含む、請求項114に記載の方法。
【請求項124】
前記発酵法が表面発酵法である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記不活性化ステップが、前記糸状菌バイオマスを蒸気処理することによって行われる、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
前記食品が、少なくとも約30g/cm
2、少なくとも約40g/cm
2、少なくとも約50g/cm
2、少なくとも約60g/cm
2、少なくとも約70g/cm
2、少なくとも約80g/cm
2、少なくとも約90g/cm
2、少なくとも約100g/cm
2、少なくとも約150g/cm
2、少なくとも約200g/cm
2、少なくとも約250g/cm
2、少なくとも約300g/cm
2、少なくとも約350g/cm
2、少なくとも約400g/cm
2、少なくとも約450g/cm
2、少なくとも約500g/cm
2、少なくとも約550g/cm
2、少なくとも約600g/cm
2、少なくとも約650g/cm
2、少なくとも約700g/cm
2、少なくとも約750g/cm
2、少なくとも約800g/cm
2、少なくとも約850g/cm
2、少なくとも約900g/cm
2、少なくとも約950g/cm
2、少なくとも約1000g/cm
2、少なくとも約1500g/cm
2、少なくとも約2000g/cm
2、少なくとも約2500g/cm
2、少なくとも約3000g/cm
2、少なくとも約3500g/cm
2、または少なくとも約4000g/cm
2の引張強度を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項127】
前記食品が全9種の必須アミノ酸を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項128】
前記食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項129】
前記食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項130】
前記食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項131】
前記糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項132】
前記糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項133】
前記食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項134】
前記食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項135】
前記食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項136】
前記食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項137】
約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項138】
食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有する、請求項64に記載の肉類似物食品。
【請求項139】
前記食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項140】
前記食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項141】
前記食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項142】
前記食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有する、請求項114に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月22日に出願された、米国仮特許出願第63/164466号明細書の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は、概して、糸状菌材料を含む食品およびその製造方法、特に従来の食品の類似物またはレプリカとして役立ち得るが、これらと比較して改善された特性を有する食品に関する。
【背景技術】
【0003】
燻製肉または干し肉、例えばミートジャーキーなどの多くの従来の加工食品は、アレルギー物質および/または動物に由来するもしくは動物から得られる物質を含み、したがって、食事制限がある人、例えば動物肉摂取を減少もしくは排除したい人またはアレルギー過敏症を有する人が消費するのに不適切となり得る。従来の加工食品に対する既存の低アレルギー性代替品またはビーガン代替品は、多くの場合、安定性および/または貯蔵寿命が悪く、魅力的でない味または食感などが問題になる。さらに、特定の味、食感、または貯蔵寿命を達成するための加工条件または要件の結果として、これらの従来の加工食品の多くは、栄養上の欠点を有する;非限定的な例として、従来のミートジャーキーは、多くの場合、湿潤剤、例えば、砂糖、塩など(安定剤として、およびジャーキーの特徴的な堅い食感を得るためその可塑化効果のために加工中にかなりの量使用しなければならない)が高く、燻製またはそれ以外の方法で加工された従来の肉製品は、多くの場合、脂肪(得られる脂肪組織の結果として)および/または塩(調味および貯蔵寿命の延長のため)が高い。さらに、肉は含水量および水分活性が高いため、肉製品は短い貯蔵寿命が問題になる、またはかなりの程度まで脱水されなければならない。
【0004】
したがって、従来の加工食品と味、食感、ならびに他の審美的および感覚的特性が類似しているが、より低コストでおよび/または改善された栄養プロファイルで提供することができる食品が当技術分野で必要である。このような加工食品が、場合によりアレルギー性製品も動物由来製品も含まず、これらの製品がより広範囲の潜在的な消費者にアピールすることを可能にし、例えば、より低い活性もしくは含水量を有することによって、および/または内部水分を保持し、実質的な密封バリアを提供しながら、微生物による定着を回避するコーティングもしくはシール層を含むことによって、より長い使用可能な貯蔵寿命を提供するように長期間にわたって安定なままでありながら、依然として所望の食感を保持することがさらに有利である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様では、食品を調製する方法が、(a)糸状菌バイオマスを溶液と接触させるステップと;(b)糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;(c)複数の糸状菌片を処理して食品を形成するステップとを含む。ステップ(a)およびステップ(b)は同時にまたは任意の順序で順次に実施され得る。
【0006】
実施形態では、溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0007】
実施形態では、溶液の質量が、溶液と接触する前の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間であり得る。
【0008】
実施形態では、ステップ(a)が、大気圧を下回る圧力下で行われ得る。大気圧を下回る圧力は、約0~約101.325キロパスカルの間、または約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない。
【0009】
実施形態では、ステップ(a)が、還元酸素および/または窒素濃縮雰囲気下で行われ得る。
【0010】
実施形態では、ステップ(a)が、糸状菌バイオマスから水を除去するサブステップを含み得る。
【0011】
実施形態では、ステップ(a)が、糸状菌バイオマスを溶液と共に攪拌することによって行われ得る。
【0012】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマスの総(すなわち、「湿潤」または脱水/水除去前)重量の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%に等しい量の溶液を吸収する、または取り込むことができる。
【0013】
実施形態では、ステップ(a)が、少なくとも2つの糸状菌バイオマスを溶液と接触させることを含み得;方法が、ステップ(a)とステップ(b)との間に、少なくとも2つの糸状菌バイオマスを凝集させて糸状菌凝集体を形成するステップをさらに含み得;ステップ(b)が、糸状菌凝集体をサイズ減少させることを含み得る。凝集体は、少なくとも2つの糸状菌バイオマスを包むケーシングを含み得るが、そうである必要はない。凝集ステップは、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない、大気圧を下回る圧力下で行われ得るが、そうである必要はない。凝集ステップは、少なくとも2つの糸状菌バイオマスをクラスト凍結する(crust-freezing)ことを含み得るが、そうである必要はない。
【0014】
実施形態では、ステップ(b)が、糸状菌バイオマスの切断、細断、およびシェービングのうちの少なくとも1つを含み得る。複数の糸状菌片は、糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑のうちの少なくとも1つを含み得るが、そうである必要はない。
【0015】
実施形態では、複数の糸状菌片の平均長さ、平均幅、および平均深さのうちの少なくとも1つが約0.5mm~約1.0mmの間であり得る。
【0016】
実施形態では、ステップ(c)が、複数の糸状菌片を焙煎すること、複数の糸状菌片を焼成すること、複数の糸状菌片をボイリングすること、複数の糸状菌片を揚げること、複数の糸状菌片を蒸気処理すること、複数の糸状菌片を冷薫すること、および複数の糸状菌片を温燻することのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0017】
実施形態では、溶液が水溶液であり得る。
【0018】
実施形態では、溶液が非水溶液であり得る。
【0019】
本発明の別の態様では、食品を調製する方法が、(a)糸状菌バイオマスを溶液と接触させるステップと;(b)糸状菌バイオマスを脱水するステップとを含む。
【0020】
実施形態では、食品がミートジャーキー類似物食品であり得る。
【0021】
実施形態では、溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、および食用タンパク質のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0022】
実施形態では、溶液の質量が、溶液と接触する前の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間であり得る。
【0023】
実施形態では、ステップ(a)が、大気圧を下回る圧力下で行われ得る。大気圧を下回る圧力は、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない。
【0024】
実施形態では、ステップ(a)が、糸状菌バイオマスから水を除去するサブステップを含み得る。
【0025】
実施形態では、ステップ(a)が、糸状菌バイオマスを溶液と共に攪拌することによって行われ得る。
【0026】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の溶液を吸収する、または取り込むことができる。
【0027】
実施形態では、溶液が水溶液であり得る。
【0028】
実施形態では、溶液が非水溶液であり得る。
【0029】
本発明の別の態様では、食品を調製する方法が、(a)第1の糸状菌バイオマスまたはその一部を第1の溶液と接触させるステップと;(b)第1の糸状菌バイオマスまたはその一部をサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;(c)第2の糸状菌バイオマスまたはその一部を第2の溶液と接触させるステップと;(d)複数の糸状菌片および第2の糸状菌バイオマスまたはその一部を合わせるステップと;(e)複数の糸状菌片および第2の糸状菌バイオマスまたはその一部を処理して食品を形成するステップとを含む。
【0030】
実施形態では、食品がミートジャーキー類似物食品であり得る。
【0031】
実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちの少なくとも1つが、塩化ナトリウム、食品調味料、および食用タンパク質のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0032】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)第1の溶液の質量が、ステップ(a)の前の第1の糸状菌バイオマスまたはその一部の質量の約1%~約30%の間である;および(ii)第2の溶液の質量が、ステップ(c)の前の第2の糸状菌バイオマスまたはその一部の質量の約1%~約30%の間である。
【0033】
実施形態では、ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが、大気圧を下回る圧力下で行われ得る。大気圧を下回る圧力は、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない。
【0034】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)ステップ(a)が、第1の糸状菌バイオマスまたはその一部から水を除去するサブステップを含む;および(ii)ステップ(c)が、第2の糸状菌バイオマスまたはその一部から水を除去するサブステップを含む。
【0035】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)ステップ(a)が、第1の糸状菌バイオマスまたはその一部を第1の溶液と共に攪拌することによって行われる;および(ii)ステップ(c)が、第2の糸状菌バイオマスまたはその一部を第2の溶液と共に攪拌することによって行われる。
【0036】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)第1の糸状菌バイオマスまたはその一部が、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の第1の溶液を吸収する、または取り込む;および(ii)第2の糸状菌バイオマスまたはその一部が、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の第2の溶液を吸収する、または取り込む。
【0037】
実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちの少なくとも1つが水溶液であり得る。
【0038】
実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちの少なくとも1つが非水溶液であり得る。
【0039】
本発明の別の態様では、ミートジャーキー類似物食品が、本明細書に記載される方法に従って作製される。
【0040】
実施形態では、ミートジャーキー類似物食品が、約0.35~約0.85の間、または約0.45未満の水分活性を有し得る。
【0041】
実施形態では、ミートジャーキー類似物食品が、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約18か月、少なくとも約21か月、または少なくとも約24か月の貯蔵寿命を有し得る。
【0042】
本発明の別の態様では、中間食品組成物が、糸状菌バイオマスまたはその一部と;糸状菌バイオマスまたはその一部によって吸収された、または取り込まれた溶液とを含む。
【0043】
実施形態では、溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、および食用タンパク質のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0044】
実施形態では、溶液の質量が、糸状菌バイオマスまたはその一部の質量の約1%~約30%の間であり得る。
【0045】
実施形態では、溶液が水溶液であり得る。
【0046】
実施形態では、溶液が非水溶液であり得る。
【0047】
本発明の別の態様では、食品を調製する方法が、(a)糸状菌バイオマスを、食品添加物を含む溶液と接触させるステップと;(b)糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;(c)溶液の溶媒の少なくとも一部を除去して複数の糸状菌片を処理して、糸状菌片および食品添加物を含む食品を形成するステップとを含み、ステップ(a)およびステップ(b)が同時にまたは任意の順序で順次に行われる。
【0048】
実施形態では、食品添加物が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0049】
実施形態では、溶液の質量が、溶液と接触する前の糸状菌バイオマスの総質量の約1%~約30%の間であり得る。
【0050】
実施形態では、ステップ(a)が、大気圧を下回る圧力下で行われ得る。大気圧を下回る圧力は、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない。
【0051】
実施形態では、ステップ(a)が、大気圧を超える圧力下で行われ得る。
【0052】
実施形態では、ステップ(a)が室温未満の温度で行われ得る。室温未満の温度は約40°F以下であり得るが、そうである必要はない。
【0053】
実施形態では、ステップ(a)の持続時間の少なくとも一部の間、糸状菌バイオマスの温度が約34°F以下であり得る。
【0054】
実施形態では、方法が、ステップ(a)の前に、糸状菌バイオマスから水を除去するステップをさらに含み得る。
【0055】
実施形態では、ステップ(a)が、糸状菌バイオマスを溶液と共に攪拌することを含み得る。
【0056】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマスの重量の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%に等しい量の溶液を吸収し得る。
【0057】
実施形態では、ステップ(a)が、少なくとも2つの糸状菌バイオマスを溶液と接触させることを含み得、方法が、ステップ(a)とステップ(b)との間に、少なくとも2つの糸状菌バイオマスを凝集させて糸状菌凝集体を形成するステップをさらに含み、ステップ(b)が、糸状菌凝集体をサイズ減少させることを含む。凝集のステップは、少なくとも2つの糸状菌バイオマスをケーシングに包むことを含み得るが、そうである必要はない。凝集ステップは、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない、大気圧を下回る圧力下で行われ得るが、そうである必要はない。凝集ステップは、少なくとも2つの糸状菌バイオマスをクラスト凍結することを含み得るが、そうである必要はない。
【0058】
実施形態では、方法が、ステップ(a)とステップ(b)との間に、糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップをさらに含み得る。クラスト凍結ステップ後の糸状菌バイオマスの内部温度は、約25°F~約27°Fの間であり得るが、そうである必要はない。クラスト凍結ステップは、糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れることによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0059】
実施形態では、ステップ(b)が、糸状菌バイオマスの切断、細断、およびシェービングのうちの少なくとも1つを含み得る。複数の糸状菌片は、糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑のうちの少なくとも1つを含み得るが、そうである必要はない。
【0060】
実施形態では、複数の糸状菌片の平均長さ、平均幅、および平均深さのうちの少なくとも1つが約0.5mm~約1.0mmの間であり得る。
【0061】
実施形態では、ステップ(c)が、複数の糸状菌片を焙煎すること、複数の糸状菌片を焼成すること、複数の糸状菌片をボイリングすること、複数の糸状菌片を揚げること、複数の糸状菌片を蒸気処理すること、複数の糸状菌片を冷薫すること、および複数の糸状菌片を温燻することのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0062】
実施形態では、溶液が水溶液であり得る。
【0063】
実施形態では、溶液が非水溶液であり得る。
【0064】
実施形態では、方法が、ステップ(a)の前に、発酵培地中もしくは発酵培地上または発酵培地が付随する膜上で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって糸状菌バイオマスを形成するステップと;糸状菌バイオマスを不活性化するステップとをさらに含み得る。発酵法は、表面発酵法、深部発酵法、膜発酵法、固体基質発酵法、および空気媒体コロイド(air-medium colloid)(AMC)発酵法からなる群から選択され得るが、そうである必要はない。不活性化ステップは、糸状菌バイオマスを蒸気処理することによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0065】
実施形態では、食品が、少なくとも約30g/cm2、少なくとも約40g/cm2、少なくとも約50g/cm2、少なくとも約60g/cm2、少なくとも約70g/cm2、少なくとも約80g/cm2、少なくとも約90g/cm2、少なくとも約100g/cm2、少なくとも約150g/cm2、少なくとも約200g/cm2、少なくとも約250g/cm2、少なくとも約300g/cm2、少なくとも約350g/cm2、少なくとも約400g/cm2、少なくとも約450g/cm2、少なくとも約500g/cm2、少なくとも約550g/cm2、少なくとも約600g/cm2、少なくとも約650g/cm2、少なくとも約700g/cm2、少なくとも約750g/cm2、少なくとも約800g/cm2、少なくとも約850g/cm2、少なくとも約900g/cm2、少なくとも約950g/cm2、少なくとも約1000g/cm2、少なくとも約1500g/cm2、少なくとも約2000g/cm2、少なくとも約2500g/cm2、少なくとも約3000g/cm2、少なくとも約3500g/cm2、または少なくとも約4000g/cm2の引張強度を有し得る。
【0066】
実施形態では、食品が全ての必須アミノ酸を含み得る。
【0067】
実施形態では、食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含み得る。
【0068】
実施形態では、食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含み得る。
【0069】
実施形態では、食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有し得る。
【0070】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含み得る。
【0071】
実施形態では、食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有し得る。
【0072】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマット(biomat)またはその一部を含み得る。
【0073】
実施形態では、食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有し得る。
【0074】
本発明の別の態様では、肉類似物食品が、本明細書に記載される方法に従って作製される。
【0075】
本発明の別の態様では、食品を調製する方法が、(a)糸状菌バイオマスを、食品添加物を含む溶液と接触させるステップと;(b)糸状菌バイオマスを脱水して、糸状菌バイオマスおよび糸状菌バイオマス内に分散された食品添加物を含む食品を形成するステップとを含む。
【0076】
実施形態では、食品がミートジャーキー類似物食品であり得る。
【0077】
実施形態では、溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0078】
実施形態では、溶液の質量が、溶液と接触する前の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間であり得る。
【0079】
実施形態では、ステップ(a)が、大気圧を下回る圧力下で行われ得る。大気圧を下回る圧力は、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない。
【0080】
実施形態では、ステップ(a)が室温未満の温度で行われ得る。室温未満の温度は、約40°F以下であり得るが、そうである必要はない。
【0081】
実施形態では、ステップ(a)が室温より上の温度で行われ得る。
【0082】
実施形態では、ステップ(a)の持続時間の少なくとも一部の間、糸状菌バイオマスの温度が約34°F以下であり得る。
【0083】
実施形態では、方法が、ステップ(a)の前に、糸状菌バイオマスから水を除去するステップをさらに含み得る。
【0084】
実施形態では、ステップ(a)が、糸状菌バイオマスを溶液と共に攪拌することによって行われ得る。
【0085】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の溶液を吸収し得る。
【0086】
実施形態では、溶液が水溶液であり得る。
【0087】
実施形態では、溶液が非水溶液であり得る。
【0088】
実施形態では、方法が、ステップ(a)の前に、発酵培地中で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって糸状菌バイオマスを形成するステップと;糸状菌バイオマスを不活性化するステップとをさらに含み得る。発酵法は表面発酵法であり得るが、そうである必要はない。不活性化ステップは、糸状菌バイオマスを蒸気処理することによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0089】
実施形態では、食品が、少なくとも約30g/cm2、少なくとも約40g/cm2、少なくとも約50g/cm2、少なくとも約60g/cm2、少なくとも約70g/cm2、少なくとも約80g/cm2、少なくとも約90g/cm2、少なくとも約100g/cm2、少なくとも約150g/cm2、少なくとも約200g/cm2、少なくとも約250g/cm2、少なくとも約300g/cm2、少なくとも約350g/cm2、少なくとも約400g/cm2、少なくとも約450g/cm2、少なくとも約500g/cm2、少なくとも約550g/cm2、少なくとも約600g/cm2、少なくとも約650g/cm2、少なくとも約700g/cm2、少なくとも約750g/cm2、少なくとも約800g/cm2、少なくとも約850g/cm2、少なくとも約900g/cm2、少なくとも約950g/cm2、少なくとも約1000g/cm2、少なくとも約1500g/cm2、少なくとも約2000g/cm2、少なくとも約2500g/cm2、少なくとも約3000g/cm2、少なくとも約3500g/cm2、または少なくとも約4000g/cm2の引張強度を有し得る。
【0090】
実施形態では、食品が全9種の必須アミノ酸を含み得る。
【0091】
実施形態では、食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含み得る。
【0092】
実施形態では、食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含み得る。
【0093】
実施形態では、食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有し得る。
【0094】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含み得る。
【0095】
実施形態では、食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有し得る。
【0096】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含み得る。
【0097】
実施形態では、食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有し得る。
【0098】
本発明の別の態様では、ミートジャーキー類似物食品が、本明細書に開示される方法に従って作製される。
【0099】
本発明の別の態様では、肉類似物食品が糸状菌を含み、肉類似物食品が、少なくとも約2週間の貯蔵寿命を有し、以下のうちの少なくとも1つが当てはまる:(i)肉類似物食品が、食品28グラム当たり約200ミリグラム未満のナトリウムを含む;(ii)肉類似物食品が、食品28グラム当たり15グラム以下の砂糖を含む;および(iii)肉類似物食品の砂糖含有量が約10重量%以下である。
【0100】
実施形態では、肉類似物食品が、少なくとも約3週間、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約18か月、少なくとも約21か月、または少なくとも約24か月の貯蔵寿命を有し得る。
【0101】
実施形態では、肉類似物食品が約0.35~約0.85の間の水分活性を有し得る。
【0102】
実施形態では、肉類似物食品が約0.45以下の水分活性を有し得る。
【0103】
実施形態では、肉類似物食品が、食品28グラム当たり約190ミリグラム未満、約180ミリグラム未満、約170ミリグラム未満、約160ミリグラム未満、約150ミリグラム未満、約140ミリグラム未満、約130ミリグラム未満、約120ミリグラム未満、約110ミリグラム未満、または約100ミリグラム未満のナトリウムを含み得る。
【0104】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)肉類似物食品が、食品28グラム当たり14グラム以下、13グラム以下、12グラム以下、11グラム以下、10グラム以下、9グラム以下、8グラム以下、7グラム以下、6グラム以下、5グラム以下、4グラム以下、3グラム以下、2グラム以下、または1グラム以下の砂糖を含む;および(ii)肉類似物食品の砂糖含有量が、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下である。
【0105】
実施形態では、食品が、少なくとも約30g/cm2、少なくとも約40g/cm2、少なくとも約50g/cm2、少なくとも約60g/cm2、少なくとも約70g/cm2、少なくとも約80g/cm2、少なくとも約90g/cm2、少なくとも約100g/cm2、少なくとも約150g/cm2、少なくとも約200g/cm2、少なくとも約250g/cm2、少なくとも約300g/cm2、少なくとも約350g/cm2、少なくとも約400g/cm2、少なくとも約450g/cm2、少なくとも約500g/cm2、少なくとも約550g/cm2、少なくとも約600g/cm2、少なくとも約650g/cm2、少なくとも約700g/cm2、少なくとも約750g/cm2、少なくとも約800g/cm2、少なくとも約850g/cm2、少なくとも約900g/cm2、少なくとも約950g/cm2、少なくとも約1000g/cm2、少なくとも約1500g/cm2、少なくとも約2000g/cm2、少なくとも約2500g/cm2、少なくとも約3000g/cm2、少なくとも約3500g/cm2、または少なくとも約4000g/cm2の引張強度を有し得る。
【0106】
実施形態では、肉類似物食品が全9種の必須アミノ酸を含み得る。
【0107】
実施形態では、肉類似物食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含み得る。
【0108】
実施形態では、肉類似物食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含み得る。
【0109】
実施形態では、肉類似物食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有し得る。
【0110】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含み得る。
【0111】
実施形態では、肉類似物食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有し得る。
【0112】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含み得る。
【0113】
実施形態では、肉類似物食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有し得る。
【0114】
本発明の別の態様では、食品を調製する方法が、(a)第1の糸状菌バイオマスを第1の溶液と接触させるステップと;(b)第1の糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;(c)第2の糸状菌バイオマスを第2の溶液と接触させるステップと;(d)複数の糸状菌片および第2の糸状菌バイオマスを合わせるステップと;(e)複数の糸状菌片および第2の糸状菌バイオマスを処理して食品を形成するステップとを含む。
【0115】
実施形態では、食品がミートジャーキー類似物食品であり得る。
【0116】
実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちの少なくとも1つが、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0117】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)第1の溶液の質量が、ステップ(a)の前の第1の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間である;および(ii)第2の溶液の質量が、ステップ(c)の前の第2の糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間である。
【0118】
実施形態では、ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが、大気圧を下回る圧力下で行われる。大気圧を下回る圧力は、約0.1パスカル以下の圧力であり得るが、そうである必要はない。
【0119】
実施形態では、ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが室温未満の温度で行われ得る。室温未満の温度は、約40°F以下であり得るが、そうである必要はない。ステップ(a)の持続時間の少なくとも一部の間、第1の糸状菌バイオマスおよび第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つの温度は約34°F以下であり得るが、そうである必要はない。
【0120】
実施形態では、ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つが室温より上の温度で行われ得る。
【0121】
実施形態では、方法が、(i)ステップ(a)の前に、第1の糸状菌バイオマスから水を除去するステップ;および(ii)ステップ(c)の前に、第2の糸状菌バイオマスから水を除去するステップのうちの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0122】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)ステップ(a)が、第1の糸状菌バイオマスを第1の溶液と共に攪拌することによって行われる;および(ii)ステップ(c)が、第2の糸状菌バイオマスを第2の溶液と共に攪拌することによって行われる。
【0123】
実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが当てはまり得る:(i)第1の糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の第1の溶液を吸収する;および(ii)第2の糸状菌バイオマスが、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の第2の溶液を吸収する。
【0124】
実施形態では、方法が、(i)ステップ(a)とステップ(b)との間に、第1の糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップ、および(ii)ステップ(c)とステップ(d)との間に、第2の糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップのうちの少なくとも1つをさらに含み得る。クラスト凍結ステップ後の、(i)が当てはまる場合の第1の糸状菌バイオマスの内部温度、または(ii)が当てはまる場合の第2の糸状菌バイオマスの内部温度は、約25°F~約27°Fの間であり得るが、そうである必要はない。クラスト凍結ステップは、糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れることによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0125】
実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちの少なくとも1つが水溶液であり得る。
【0126】
実施形態では、第1の溶液および第2の溶液のうちの少なくとも1つが非水溶液であり得る。
【0127】
実施形態では、方法が、ステップ(a)およびステップ(c)のうちの少なくとも1つの前に、発酵培地中で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって糸状菌バイオマスおよび第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つを形成するステップと;第1の糸状菌バイオマスおよび第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つを不活性化するステップとをさらに含み得る。発酵法は表面発酵法であり得るが、そうである必要はない。不活性化ステップは、糸状菌バイオマスを脱水すること、糸状菌バイオマスを凍結すること、糸状菌バイオマスを圧力処理すること、糸状菌バイオマスをすすぐこと、糸状菌バイオマスをサイズ減少させること、糸状菌バイオマスを蒸気処理すること、および糸状菌バイオマスを温度サイクルすることのうちの少なくとも1つによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0128】
実施形態では、食品が、少なくとも約30g/cm2、少なくとも約40g/cm2、少なくとも約50g/cm2、少なくとも約60g/cm2、少なくとも約70g/cm2、少なくとも約80g/cm2、少なくとも約90g/cm2、少なくとも約100g/cm2、少なくとも約150g/cm2、少なくとも約200g/cm2、少なくとも約250g/cm2、少なくとも約300g/cm2、少なくとも約350g/cm2、少なくとも約400g/cm2、少なくとも約450g/cm2、少なくとも約500g/cm2、少なくとも約550g/cm2、少なくとも約600g/cm2、少なくとも約650g/cm2、少なくとも約700g/cm2、少なくとも約750g/cm2、少なくとも約800g/cm2、少なくとも約850g/cm2、少なくとも約900g/cm2、少なくとも約950g/cm2、少なくとも約1000g/cm2、少なくとも約1500g/cm2、少なくとも約2000g/cm2、少なくとも約2500g/cm2、少なくとも約3000g/cm2、少なくとも約3500g/cm2、または少なくとも約4000g/cm2の引張強度を有し得る。
【0129】
実施形態では、食品が全9種の必須アミノ酸を含み得る。
【0130】
実施形態では、食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含み得る。
【0131】
実施形態では、食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含み得る。
【0132】
実施形態では、食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有し得る。
【0133】
実施形態では、糸状菌バイオマスおよび第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含み得る。
【0134】
実施形態では、食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有し得る。
【0135】
実施形態では、第1の糸状菌バイオマスおよび第2の糸状菌バイオマスのうちの少なくとも1つが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含み得る。
【0136】
実施形態では、食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有し得る。
【0137】
本発明の別の態様では、ミートジャーキー類似物食品が、本明細書に開示される方法に従って作製される。
【0138】
本発明の別の態様では、中間食品組成物が、糸状菌バイオマスと;糸状菌バイオマスによって吸収された、食品添加物を含む溶液とを含む。
【0139】
実施形態では、溶液が、塩化ナトリウム、食品調味料、食用タンパク質、および繊維性基礎材料のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0140】
実施形態では、溶液の質量が、糸状菌バイオマスの質量の約1%~約30%の間であり得る。
【0141】
実施形態では、溶液が水溶液であり得る。
【0142】
実施形態では、溶液が非水溶液であり得る。
【0143】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、表面発酵法、深部発酵法、膜発酵法、固体基質発酵法、空気媒体コロイド(AMC)発酵法、およびこれらの組合せからなる群から選択される発酵法から誘導され得る。
【0144】
実施形態では、糸状菌バイオマスが不活性化される。
【0145】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含み得る。
【0146】
本発明の別の態様では、食品を調製する方法が、(a)糸状菌バイオマスを真空成形するステップであって、糸状菌バイオマスが食品添加物を含む溶液を含む、ステップと;(b)真空成形された糸状菌バイオマスをサイズ減少させて複数の糸状菌片を形成するステップと;(c)溶液の溶媒の少なくとも一部を除去して複数の糸状菌片を処理して、糸状菌片および食品添加物を含む食品を形成するステップとを含む。
【0147】
実施形態では、ステップ(a)で、糸状菌バイオマスが約0.1パスカル以下の絶対圧力に曝露され得る。
【0148】
実施形態では、ステップ(a)の後、糸状菌バイオマスがほぼ円筒形状を有し得る。
【0149】
実施形態では、方法が、ステップ(a)とステップ(b)との間に、糸状菌バイオマスをクラスト凍結するステップをさらに含み得る。クラスト凍結ステップ後の糸状菌バイオマスの内部温度は、約25°F~約27°Fの間であり得るが、そうである必要はない。クラスト凍結ステップは、糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れることによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0150】
実施形態では、ステップ(b)が、糸状菌バイオマスの切断、細断、およびシェービングのうちの少なくとも1つを含み得る。複数の糸状菌片は、糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑のうちの少なくとも1つを含み得るが、そうである必要はない。
【0151】
実施形態では、複数の糸状菌片の平均長さ、平均幅、および平均深さのうちの少なくとも1つが約0.5mm~約1.0mmの間であり得る。
【0152】
実施形態では、方法が、ステップ(a)の前に、発酵培地中で糸状菌を培養するステップを含む発酵法によって糸状菌バイオマスを形成するステップと;糸状菌バイオマスを不活性化するステップとをさらに含み得る。発酵法は表面発酵法であり得るが、そうである必要はない。不活性化ステップは、糸状菌バイオマスを蒸気処理することによって行われ得るが、そうである必要はない。
【0153】
実施形態では、食品が、少なくとも約30g/cm2、少なくとも約40g/cm2、少なくとも約50g/cm2、少なくとも約60g/cm2、少なくとも約70g/cm2、少なくとも約80g/cm2、少なくとも約90g/cm2、少なくとも約100g/cm2、少なくとも約150g/cm2、少なくとも約200g/cm2、少なくとも約250g/cm2、少なくとも約300g/cm2、少なくとも約350g/cm2、少なくとも約400g/cm2、少なくとも約450g/cm2、少なくとも約500g/cm2、少なくとも約550g/cm2、少なくとも約600g/cm2、少なくとも約650g/cm2、少なくとも約700g/cm2、少なくとも約750g/cm2、少なくとも約800g/cm2、少なくとも約850g/cm2、少なくとも約900g/cm2、少なくとも約950g/cm2、少なくとも約1000g/cm2、少なくとも約1500g/cm2、少なくとも約2000g/cm2、少なくとも約2500g/cm2、少なくとも約3000g/cm2、少なくとも約3500g/cm2、または少なくとも約4000g/cm2の引張強度を有し得る。
【0154】
実施形態では、食品が全9種の必須アミノ酸を含み得る。
【0155】
実施形態では、食品が、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、セレノシステイン、およびチロシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸を含み得る。
【0156】
実施形態では、食品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の分岐鎖アミノ酸を含み得る。
【0157】
実施形態では、食品が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有し得る。
【0158】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、乾燥重量基準で少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含み得る。
【0159】
実施形態では、食品が、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有し得る。
【0160】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその一部を含み得る。
【0161】
実施形態では、食品が、約10重量%~約25重量%の総タンパク質含有量を有し得る。
【0162】
本発明の利点は、本明細書に含まれる開示から明らかとなる。
【0163】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」、および「および/または」は、演算において連言と選言の両方であるオープンエンドな表現である。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つまたは複数」、「A、BまたはCのうちの1つまたは複数」および「A、Bおよび/またはC」という表現の各々は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB合わせて、AおよびC合わせて、BおよびC合わせて、またはA、BおよびC合わせてを意味する。
【0164】
「a」または「an」実体という用語は、1つまたは複数のその実体を指すことに留意すべきである。したがって、「a」(または「an」)、「1つまたは複数」、および「少なくとも1つ」という用語は本明細書で互換的に使用され得る。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語が互換的に使用され得ることも留意すべきである。
【0165】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「約(about)」、「およそ(approximately)」などの用語は、数値限界または範囲に関して使用される場合、列挙される限界または範囲が最大10%変化し得ることを意味する。非限定的な例として、「約750」は、わずか675もしくは825も、またはそれらの間の任意の値を意味することができる。2つ以上の数値限界または範囲の間の比または関係に関連して使用される場合、「約(about)」、「およそ(approximately)」などの用語は、限界または範囲の各々が最大10%変化し得ることを意味し;非限定的な例として、2つの量が「ほぼ等しい(approximately equal)」という記述は、2つの量の間の比がわずか0.9:1.1または1.1:0.9も(またはその間の任意の値)であることを意味することができ、4成分比(four-way ratio)が「約5:3:1:1」であるという記述は、比内の第1の数が少なくとも4.5かつ5.5以下の任意の値であり得、比内の第2の数が少なくとも2.7かつ3.3以下の任意の値であり得る、等々を意味することができる。
【0166】
本明細書に記載される実施形態および構成は、完全でもなく、網羅的でもない。理解されるように、上に示される、または以下に詳細に記載される特徴のうちの1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて利用する本発明の他の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【
図1-1】本開示の実施形態による、糸状菌材料を食品または食品に使用するための材料に加工する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図1-2】本開示の実施形態による、糸状菌材料を食品または食品に使用するための材料に加工する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2-1】本開示の実施形態による、真菌バイオマットから誘導され、
図1Aに示される方法に従って加工された糸状菌食品材料をミートジャーキー類似物食品に加工する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2-2】本開示の実施形態による、真菌バイオマットから誘導され、
図1Aに示される方法に従って加工された糸状菌食品材料をミートジャーキー類似物食品に加工する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図3-1】本発明の実施形態による、3つのジャーキー類似物食品の断片の画像である。
【
図3-2】本発明の実施形態による、3つのジャーキー類似物食品の断片の画像である。
【
図3-3】本発明の実施形態による、3つのジャーキー類似物食品の断片の画像である。
【
図4-1】本発明の実施形態による、ジャーキー類似物食品の親水性側の顕微鏡画像である。
【
図4-2】本発明の実施形態による、ジャーキー類似物食品の親水性側の顕微鏡画像である。
【
図5-1】本発明の実施形態による、ジャーキー類似物食品の疎水性側および親水性側のそれぞれの顕微鏡画像である。
【
図5-2】本発明の実施形態による、ジャーキー類似物食品の疎水性側および親水性側のそれぞれの顕微鏡画像である。
【
図6-1】本発明の実施形態による、ジャーキー類似物食品の破砕した引張強度試験標本の画像である。
【
図6-2】本発明の実施形態による、ジャーキー類似物食品の破砕した引張強度試験標本の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0168】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の用語に複数の定義がある場合、特に明記しない限り、発明の概要で提供される定義が優先する。
【0169】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「類似物」または「類似物食品」という用語は、特定された非真菌食品との審美的、料理的、栄養的、および/または感覚的な等価性または類似性を有する食用真菌を含む食品を指す。非限定的な例として、「肉類似物食品」は、この用語が本明細書で使用される場合、動物肉との審美的、料理的、栄養的、および/または感覚的な等価性または類似性を有する食用真菌を含む食品を指し、「ジャーキー食品類似物製品」は、この用語が本明細書で使用される場合、動物肉から作製された従来のジャーキーとの審美的、料理的、栄養的、および/または感覚的な等価性または類似性を有する食用真菌を含む食品を指す。
【0170】
本明細書で使用される場合、「バイオマス」という用語は、特に指定しない限り、生きているまたは以前生きていた生物の量を指す。非限定的な例として、本明細書で使用される「糸状菌バイオマス」という句は、生きているまたは以前生きていた糸状菌の量を指す。糸状菌バイオマスは、バイオマット(この用語が本明細書で使用される場合)、ならびに(それだけに限らないが)Finniganらの米国特許第7635492号明細書に記載されるマイコプロテイン(mycoprotein)ペーストなどの、深部発酵によって製造された糸状菌を含み得る。
【0171】
本明細書で使用される場合、「バイオマット」という用語は、特に指定しない限り、織り交ぜられた菌糸フィラメントのネットワークを含む糸状菌組織の凝集塊を指す。バイオマットは、この用語が本明細書で使用される場合、1リットル当たり約50~約200グラムの間の密度、約5重量%~約20重量%の間の固形分、および増殖基質(例えば、液体増殖培地、固体真菌複合材料、または固体膜もしくはメッシュ)の表面から実質的に無傷で持ち上げるのに十分な引張強度のうちの1つまたは複数を特徴とし得るが、そうである必要はない。バイオマットは、この用語が本明細書で使用される場合、非限定的な例として、PCT出願公開第2020/176758号パンフレット、同第2019/099474号パンフレットおよび同第2018/014004号パンフレットに記載される方法などの、当技術分野で公知の任意の1つまたは複数の真菌発酵法によって製造され得る。
【0172】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「遊離水」という用語は、材料の塊から除去されることが化学的にも物理的にも妨げられない、材料の塊内の水分子を指す。
【0173】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「不活性化される」という用語は、真菌細胞が生存不能にされた糸状菌バイオマス、またはバイオマス内で分解するもしくは生化学的変換を引き起こすことができる酵素が不活性化された糸状菌バイオマス、またはその両方を指す。拡張すると、「不活性化」という用語は、非限定的な例として、脱水、凍結、圧力処理、すすぎ、サイズ減少、蒸気処理、および温度サイクルなどの、糸状菌バイオマスを不活性化し得る任意の方法またはプロセスを指す。
【0174】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「物理的結合水」という用語は、材料の分子と物理的に接触しているが、材料に化学的に結合していない材料の塊内の水分子を指す。
【0175】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「束縛水(tightly bound water)」という用語は、分子間力、例えば、水素結合、イオン結合、イオン-双極子力、ファンデルワールス力などによって、材料の分子に化学的に結合されている材料の塊内の水分子を指す。
【0176】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「ビーガン」という用語は、動物に由来するタンパク質などの食品構成成分または成分を実質的に含まない食品を指す。非ビーガン食品成分または製品の具体例としては、血液、卵、アイシングラス、肉(およびその構成成分、例えば、動物性タンパク質または脂肪)、生乳、レンネット、およびこれらの成分のうちのいずれか1種または複数を使用して作製された食品(例えば、アイスクリーム、マヨネーズなど)が挙げられる。本明細書に開示されるように、一部のビーガン食品は非ビーガン食品の類似物であり得る。
【0177】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「ベジタリアン」という用語は、肉およびその構成成分を実質的に含まない食品を指す。「ベジタリアン」食品は、この用語が本明細書で使用される場合、動物に由来する肉以外の食品構成成分または成分(例えば、卵、生乳など)を含み得る(が、そうである必要はない)。したがって、これらの用語が本明細書で使用される場合、全ての「ビーガン」食品は「ベジタリアン」であるが、全ての「ベジタリアン」食品が必ずしも「ビーガン」であるわけではない。
【0178】
本発明の実施形態は、糸状菌を含む組成物、典型的には食用糸状菌を含む組成物、最も典型的には糸状菌食品組成物、すなわち、糸状菌バイオマスを含む、ヒトまたは飼育動物、養殖動物(例えば、農業または水産養殖)、または家畜による消費に適合した食用糸状菌組成物を含む。一部の実施形態では、糸状菌食品組成物が、糸状菌バイオマスが動物由来成分に加えて、または動物由来成分の代わりに提供される、肉または別の動物由来成分を含む従来のまたは既知の食品に類似した食品であり得る。実施形態では、本発明の糸状菌食品組成物が、非限定的な例として、塊肉、ひき肉(およびひき肉から形成された製品、例えば、ミートボール)、ミートローフ、ハンバーガーパティ、細切り肉、ジャーキーなどの肉製品の類似物であり得る。
【0179】
本発明の実施形態は、糸状菌バイオマスと、非限定的な例として、塩、香料、ビタミン、および栄養構成成分(例えば、炭水化物、脂肪、タンパク質など)などの1種または複数の食品添加物を含む溶液、一般的に、必ずしもそうではないが、水溶液とを含む食品組成物から調製された食品を含み、溶液は、総食品組成物の約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、もしくは約50重量%、または代わりに5重量%~50重量%の間の任意の範囲、もしくは5重量%~50重量%の間の任意の整数重量パーセント~5重量%~50重量%の間の任意の他の整数重量パーセントの任意の範囲を構成する。本発明の1つの重要な利点および利益は、本発明の食品組成物中に存在する糸状菌バイオマスが、従来の肉成分よりも、調味、香味付け、および/もしくは栄養上の目的を達成するため、ならびに/または食感特性(例えば、咀嚼性、弾力性、機械的挙動特性、例えば引き裂き傾向もしくは引き破れ傾向など)を規定するために真菌バイオマスに適用される溶液、例えば「マリネード」または同様の溶液を吸収するまたは取り込む有意に高い能力を有し得ることである;いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、この効果が、菌糸体構造が、肉よりも結合水の非結合水に対する比の変化(したがってマリネードの再吸収)を受けやすいという点で、糸状菌バイオマットの菌糸体構造と肉の筋線維構造との間の違いに起因すると仮定している。糸状菌バイオマス自体は、溶液がそれに適用される前でさえ、ほとんどの塊肉よりも高い、80重量%もの含水量を有し得るため、本発明の食品組成物、特に肉類似物食品の含水量は有利に高くなり得る。本発明の実施形態は、(例えば、糸状菌バイオマスを溶液と接触させ、糸状菌バイオマスが溶液を吸収する、または取り込むことを可能にすることによって)上記のように糸状菌バイオマスと溶液とを含む食品組成物を形成する方法、およびこのような方法によって作製された食品組成物をさらに含む。本発明の「食品組成物」が、この用語が本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「最終」食品組成物(すなわち、さらなる加工なしに、ヒトまたは飼育動物、養殖動物または家畜によって消費されることを意図した組成物)または「中間」食品組成物(すなわち、さらに加工され、さらなる加工後にのみヒトまたは飼育動物、養殖動物または家畜によって消費されることを意図した組成物)であり得ることを明確に理解すべきである。本発明による、「中間」食品組成物が「最終」食品組成物になり得る加工ステップには、脱水が含まれるが、決してこれに限定されない。
【0180】
実施形態では、糸状菌バイオマスが、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、または少なくとも約75重量%の含水量を有し得る。一部の実施形態では、糸状菌バイオマス中に存在する水分の極めて少量が遊離水であり得るか、または糸状菌バイオマス中に存在する水分のいずれも遊離水であり得ない、換言すれば、糸状菌バイオマスが、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、または少なくとも約75重量%の物理的結合水および束縛水の総含有量を有し得る。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、本発明の糸状菌食品組成物が溶液を吸収する、または取り込む能力は、主に物理的結合水および束縛水の含有量に関連し、必ずしも総含水量に関連しないと考えられる;特に、遊離水は、結合水よりも容易に脱水中に除去され、マリネードまたは他の液体溶液によって置き換えられ得る。したがって、遊離水として存在する水分の割合が比較的低い限り、高水分糸状菌バイオマスでさえ、本発明の糸状菌食品組成物に適切に使用され、かなりの量の溶液を吸収する、または取り込むことができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の方法が、糸状菌バイオマスを処理してそこから遊離水の少なくとも一部を除去して、その後の処理ステップで液体溶液を取り込むためのバイオマスの容量を増加させるステップを含み得る;このようなステップは、得られる食品のより長い貯蔵寿命をもたらし得る。本発明者らが、いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、貯蔵寿命が菌糸構造内の安定化により結合水として最初に存在する水分の割合と相関すると仮定するからである。
【0181】
本発明の方法および組成物の1つの特定の利点および利益は、本発明による食品組成物が、とりわけ糸状菌食品組成物が類似し得る従来の食品(例えば、肉製品)と比較して、有利に高い貯蔵安定性、換言すれば、有利に長い貯蔵寿命を有することができるが、食品の審美的または栄養的特性に悪影響を及ぼし得る防腐剤、安定剤、および/またはカビ阻害剤(例えば、ソルビン酸カリウム)の使用を削減する、または一部の実施形態では排除さえすることができることである;一部の実施形態では、食品が、防腐剤、安定剤、および/またはカビ阻害剤(すなわち、添加される量で、製品の貯蔵寿命に実質的に影響を及ぼすことができる、食品に添加される構成成分)を実質的に含まないことができる、および/または食品を作製する方法が、防腐剤、安定剤、および/またはカビ阻害剤を添加するステップを含まないことができる。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、この利点および利益は、少なくとも一部の実施形態では、(1)本発明の方法によって可能になる糸状菌バイオマスの含水量の制御、特に、所望により糸状菌バイオマス内の遊離水のある程度を除去する能力(および場合により除去された遊離水を他の化学物質で置き換える能力)、および(2)糸状菌バイオマス内の酵素および二次代謝産物の不活性化のいずれかまたは両方の結果であり得る。非限定的な例として、従来のミートジャーキー製品は、極めて貯蔵安定であり、周囲条件下では、数か月の貯蔵寿命を有し得るが、ジャーキー製品のための可塑剤および/または安定剤として作用するかなりの量の塩および/または砂糖を含むことによってのみ、この安定性を達成し得る。しかしながら、塩および砂糖の添加には周知の栄養上の欠点がある。本発明の糸状菌食品組成物は、いくつかの方法のうちのいずれか1つで、例えば、安定剤としての砂糖を塩に置き換えることによって(実施形態では、より許容される栄養プロファイルをもたらし得る)、類似の従来の食品よりも少ない量の安定剤を使用することによって、または真の肉と比較してより低い脂肪含有量(または他の栄養上の利点)を有することによって、この欠点を克服することができる。実施形態では、本発明の食品組成物が、糸状菌バイオマスと、1種または複数の食品添加物(例えば、塩、香料、ビタミン、添加炭水化物、添加脂肪、添加タンパク質など)とを含み、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約18か月、少なくとも約21か月、または少なくとも約24か月の貯蔵寿命を有する。追加的または代替的に、このような実施形態は、食品組成物28グラム当たり15グラム以下、14グラム以下、13グラム以下、12グラム以下、11グラム以下、10グラム以下、9グラム以下、8グラム以下、7グラム以下、6グラム以下、5グラム以下、4グラム以下、3グラム以下、2グラム以下、もしくは1グラム以下の砂糖、および/または約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、もしくは約1重量%以下の砂糖含有量を含む食品組成物を含むことができる。特に、本発明の食品組成物は、依然として有利に長い貯蔵寿命と有利に低い砂糖含有量の両方を有しながら、従来のミートジャーキー製品に類似した「弾力のある」または「歯ごたえがある」堅さおよび食感、ならびに/あるいは「ジューシーさ」または知覚される量もしくは程度の水分を有し得る。これらの有利に長い貯蔵寿命は、実施形態では、低い水分活性、例えば、約0.95未満、約0.90未満、約0.85未満、約0.80未満、約0.75未満、約0.70未満、約0.65未満、約0.60未満、約0.55未満、約0.50未満、約0.45未満、約0.40未満、約0.35未満、約0.30未満、約0.25未満、約0.20未満、約0.15未満、約0.10未満、または約0.05未満の水分活性の結果であり得る。
【0182】
本発明の糸状菌食品組成物の別の利点および利益は、糸状菌バイオマスに添加される香料成分の知覚性が、類似の従来の肉および乳製品と現在のビーガンまたはベジタリアンの肉類似物または乳製品類似物製品の両方におけるそれらの知覚性と比較して向上し得ることである。非限定的な例として、本発明者らは、塩を糸状菌バイオマスに添加して本発明の食品組成物を形成すると、得られる食品組成物が、同じ濃度の塩を含有する従来の肉製品よりも主観的にはるかに「塩辛い」(すなわち、塩味の味覚が大きい)ことを予想外に発見した。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、この結果は、肉中よりも糸状菌バイオマス中の脂肪含有量が低いこと(脂肪は食品中の塩の知覚性を鈍くし得る)、および/または多くの種類の肉と比較した糸状菌バイオマスの本質的に「穏やかな」もしくは「中性の」風味に起因し得ると考えられる。しかしながら、機序にかかわらず、この有利な結果は、香料添加物が、それらが類似し得る従来の食品よりも本発明の食品組成物中で少ない量で使用されることを可能にする。実施形態では、本発明の糸状菌食品組成物が、1食当たり約200ミリグラム未満、約190ミリグラム未満、約180ミリグラム未満、約170ミリグラム未満、約160ミリグラム未満、約150ミリグラム未満、約140ミリグラム未満、約130ミリグラム未満、約120ミリグラム未満、約110ミリグラム未満、または約100ミリグラム未満のナトリウムを含みながら、従来の肉製品に匹敵する知覚される塩味を有し得る。
【0183】
本発明の糸状菌食品組成物の別の利点および利益は、調理または調製プロセスによって食品組成物に付与される風味の知覚性が、類似の従来の食品におけるそれらの知覚性と比較して向上し得ることである。非限定的な例として、本発明者らは、糸状菌バイオマスを燻製して本発明の燻製食品組成物を形成すると、得られる食品組成物が同じ方法で燻製された従来の肉製品よりも主観的にはるかに「スモーキー」(すなわち、燻製風味の味覚が大きい)であり、これにより、より少ない量の煙および/またはより短い燻製時間で「スモーキーさ」またはスモーキーな風味の所与の知覚を達成することが可能になり得ることを予想外に発見した。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、この結果は、(1)多孔質糸状菌材料、例えば、糸状菌バイオマットを使用して、煙、マリネードなどに存在する分子が真菌材料を通って移動し、その表面に付着することが可能になること、および/または(2)糸状菌バイオマス中の含水量がより低く(固有にまたは燻製前の乾燥/脱水プロセスの結果として)、糸状菌バイオマスが高水分の肉切れよりも煙中の疎水性化合物の吸収を受けることができるようになるために、糸状菌バイオマスが、燻製プロセス中に煙またはその構成成分(例えば、シリンゴール、グアイアコール、およびピロカテコール、ならびにそれらのアルキル誘導体などのフェノール類)を吸収する、または取り込むこと、および/または(3)糸状菌自体の強い旨味または香り豊かな風味の反応のうちのいずれか1つまたは複数の結果であり得る。また、糸状菌バイオマスは肉よりも低い脂肪含有量を有するため、風味を付与する、煙、マリネードなどに存在する分子が、異なる位置で、または異なる機序によって、食品組成物に付着し得る、とらわれるようになり得る、または存在するようになり得る。しかしながら、機序にかかわらず、この有利な結果は、本発明の食品組成物中の糸状菌バイオマスを、それらが類似し得る従来の食品よりも短い時間、小さい強度で、少ない環境影響などで燻製もしくはその他の方法で調製することを可能にする、および/または本発明の食品組成物が、同一に調製された従来の肉製品と比較して、向上した、高められた、もしくは強化された風味を有することを可能にする。さらに、本発明の糸状菌食品組成物は、食品組成物の脂肪含有量(スモーキーな風味に寄与する)が類似の肉製品の脂肪含有量よりもはるかに低い場合でさえ、主観的に「スモーキーな」風味を有し得る。実施形態では、本発明の糸状菌食品組成物が、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の脂肪含有量を有しながら、従来の燻製肉製品に匹敵する知覚されるスモーキーさを有し得る。比較して、スモークポークは一般に約15重量%の脂肪含有量を有し、ビーフブリスケットは一般に約33重量%の脂肪含有量を有する。
【0184】
本発明の糸状菌食品組成物の別の利点および利益は、糸状菌バイオマスが、肉または他の植物もしくは真菌ベースの肉類似物材料と比較して、所望の物理的形態により容易に加工され得るので、必要とする結合剤、充填剤、または同様の機能的材料の含有量が低くなり得る、またはこれらの完全な省略さえ可能になり得ることである。特に、本発明者らは、本発明に従って製造された糸状菌バイオマスが、(特定の用途に望ましくなり得るように)繰り返し凍結、解凍、脱水、再水和などすることができ、新鮮な形態または凍結形態のいずれか(またはその両方)で、結合剤を添加することなく、プレス、成型、または所望の物理的構成へのその他の成形を受けることができることを実証した。実施形態では、本発明の糸状菌食品組成物、および実施形態では、肉類似物糸状菌食品組成物が、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約91重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約93重量%、少なくとも約94重量%、または少なくとも約95重量%の真菌バイオマスを含み得る、および/または約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、または約5重量%以下の結合剤および充填剤(類似の機能性材料を含む)を含み得る。一部の実施形態では、本発明の糸状菌食品組成物が、結合剤および充填剤を実質的に含まない。この特徴は、糸状菌食品組成物が、真菌バイオマス以外の成分の総含有量を最小限に抑えなければならない肉類似物食品である場合に特に有利となり得る。
【0185】
本発明による糸状菌食品組成物は、任意の1種または複数の形態またはタイプの糸状菌バイオマスを含み得る。非限定的な例として、本発明の食品組成物に使用するのに適した糸状菌バイオマスの形態またはタイプには、それだけに限らないが、加工バイオマット、バイオマットから形成された真菌ペースト、未加工または「生」バイオマット、ならびにこれらの組合せおよび混合物が含まれる。さらなる非限定的な例として、本発明の食品組成物に使用するのに適した糸状菌バイオマスは、真菌バイオマットをもたらす表面発酵プロセスの代わりに、またはこれに加えて、任意の1種または複数の他の方法、例えば、真菌ペーストをもたらす深部発酵プロセスなどによって製造することができる;一部の実施形態では、2つ以上の異なるプロセス、例えば、液体表面発酵プロセス、固体表面発酵プロセス、空気媒体コロイド発酵プロセス、深部発酵プロセスなどのうちのいずれか2つ以上によって製造される形態またはタイプの糸状菌バイオマスを組み合わせることも可能である。したがって、いくつかの形態またはタイプの糸状菌バイオマスのいずれかを組み込むことができることが、本発明の組成物および方法の別の利点および利益である。
【0186】
本発明による糸状菌食品組成物は、実施形態では、高密度真菌バイオマスを含み得、一部の実施形態では、高密度真菌バイオマットまたはその一部を含み得る。真菌および増殖条件に応じて、糸状菌バイオマスはまた、肉をまねる食感を必要とする食品組成物(すなわち、肉類似物食品)を製造する場合に重要な考慮事項となる繊維状食感を示し得る;一部の実施形態では、バイオマスの繊維状構造が、引き裂くのが比較的難しいもしくは比較的容易である、または引き裂くのが比較的難しいもしくは比較的容易である選択された部分を有する材料(したがって、場合によっては、食品組成物または製品)を提供するように操作または配向され得る。バイオマスの高密度な性質はまた、バイオマスの回収と食品組成物への加工との間の濃縮ステップ(例えば、遠心分離、濾過)を必要とすることなく、容易な回収を可能にすることができる。バイオマスの密度は、約0.01g乾燥重量/cm3~約1g/cm3、およびこの範囲内の任意の部分範囲の範囲であり得る。一部の実施形態では、密度が、約0.01g/cm3超、約0.02g/cm3超、約0.03g/cm3超、約0.04g/cm3超、約0.05g/cm3超、約0.06g/cm3超、約0.07g/cm3超、約0.08g/cm3超、約0.09g/cm3超、約0.1g/cm3超、約0.2g/cm3超、約0.3g/cm3超、約0.4g/cm3超、約0.5g/cm3超、約0.6g/cm3超、約0.7g/cm3超、約0.8g/cm3超、約0.9g/cm3超、または約1g/cm3超であり得る。一部の実施形態では、比較的乾燥した真菌バイオマスが、本発明の食品組成物に組み込まれる前に、粉砕され得る、または比較的細かい粒子、例えば糸状菌「粉」にサイズ減少され得る;これらの実施形態では、乾燥真菌粉の充填密度により、上記の範囲のまたはさらに高い密度が達成され得る。他の実施形態では、真菌バイオマスが、やや粗い粒子(例えば、粒子の少なくとも90%が、約4mm~約10mmの間の長さ、および/または約1mm~約3mmの間の幅、および/または最大約0.75mmの高さを有する)に粉砕またはサイズ減少され得、これはひき肉または加工肉により典型的なものである。
【0187】
本発明による糸状菌食品組成物の製造方法の別の利点および利益は、糸状菌バイオマスの材料および/または機械的特性が、(例えば、真菌バイオマットの形態で)製造される場合、糸状菌食品組成物への加工中に維持され得る、または強化さえされ得ることである。第1の非限定的な例として、本明細書に開示される製造方法は、食品組成物を製造するために使用される糸状菌バイオマットの糸状構造またはネットワークを維持または強化し得、これは、例えば、香料または栄養添加物、煙、食品着色料などの吸収または取り込みに適した高い内部表面積を維持するのに有利となり得る。第2の非限定的な例として、本明細書に開示される製造方法は、食品組成物を製造するために使用される糸状菌バイオマットの引張強度を維持または強化し得る。実施形態では、糸状菌バイオマスを含む糸状菌食品組成物またはその一部が、少なくとも約30g/cm2、少なくとも約40g/cm2、少なくとも約50g/cm2、少なくとも約60g/cm2、少なくとも約70g/cm2、少なくとも約80g/cm2、少なくとも約90g/cm2、少なくとも約100g/cm2、少なくとも約150g/cm2、少なくとも約200g/cm2、少なくとも約250g/cm2、少なくとも約300g/cm2、少なくとも約350g/cm2、少なくとも約400g/cm2、少なくとも約450g/cm2、少なくとも約500g/cm2、少なくとも約550g/cm2、または少なくとも約600g/cm2、または少なくとも約650g/cm2、または少なくとも約700g/cm2、または少なくとも約750g/cm2、または少なくとも約800g/cm2、または少なくとも約850g/cm2、または少なくとも約900g/cm2、または少なくとも約950g/cm2、または少なくとも約1000g/cm2、または少なくとも約1500g/cm2、または少なくとも約2000g/cm2、または少なくとも約2500g/cm2、または少なくとも約3000g/cm2、または少なくとも約3500g/cm2、または少なくとも約4000g/cm2の引張強度を有し得る。他の実施形態では、本発明のバイオマス(例えば、真菌バイオマット)が、30g/cm2超の任意の整数超の引張強度を有することができる。あるいは、本発明のバイオマス(例えば、真菌バイオマット)の引張強度は、約30g/cm2~約4000g/cm2の間の範囲、または約30g/cm2~約4000g/cm2の間の任意の整数範囲であり得る。糸状菌バイオマスがバイオマットとして製造される実施形態では、バイオマットが、増殖期間の終わりに増殖培地の表面から本質的に無傷で持ち上げるのに十分な引張強度を有し得る。
【0188】
多くの実施形態では、食品組成物の糸状菌バイオマスが、食品組成物中のタンパク質の実質的な割合を提供する。特に、糸状菌バイオマスは、食品組成物中のタンパク質の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または実質的に全部を提供し得る。一部の実施形態では、糸状菌バイオマスのタンパク質含有量が、糸状菌バイオマスが、類似の従来の食品、特に動物由来成分(例えば、肉)に見られるタンパク質に富む成分の代わりになることを可能にし得るが、他の実施形態では、糸状菌バイオマスが、食品のタンパク質含有量を増加させるために、タンパク質に富む成分に加えて、またはタンパク質に富む成分の部分的な置き換えとして提供され得る。糸状菌バイオマスは、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約26重量%、少なくとも約27重量%、少なくとも約28重量%、少なくとも約29重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約31重量%、少なくとも約32重量%、少なくとも約33重量%、少なくとも約34重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約36重量%、少なくとも約37重量%、少なくとも約38重量%、少なくとも約39重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約41重量%、少なくとも約42重量%、少なくとも約43重量%、少なくとも約44重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約46重量%、少なくとも約47重量%、少なくとも約48重量%、少なくとも約49重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約51重量%、少なくとも約52重量%、少なくとも約53重量%、少なくとも約54重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約56重量%、少なくとも約57重量%、少なくとも約58重量%、少なくとも約59重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約61重量%、少なくとも約62重量%、少なくとも約63重量%、少なくとも約64重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約66重量%、少なくとも約67重量%、少なくとも約68重量%、少なくとも約69重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約71重量%、少なくとも約72重量%、少なくとも約73重量%、少なくとも約74重量%、少なくとも約77重量%、少なくとも約76重量%、少なくとも約77重量%、少なくとも約78重量%、少なくとも約79重量%、または少なくとも約80重量%のタンパク質含有量を含み得る。あるいは、本発明の実施形態では、糸状菌が、20重量%~80重量%の間の範囲、または20重量%~80重量%の間の任意の整数パーセンテージ範囲のタンパク質を含むことができる。したがって、結果として、本発明の糸状菌食品組成物は、顕著に高いまたは濃縮されたタンパク質および/または繊維含有量を有し得る。したがって、乾燥重量基準で(または、換言すれば、同じ含水量で)、本発明の食品組成物は、類似の従来の食品よりもタンパク質が高くなり得る、および/または、同様の理由で、本発明の食品組成物は、より小さい質量および/またはサービングサイズで、類似の従来の食品と同じタンパク質含有量を提供し得る。
【0189】
一部の実施形態では、本開示による食品組成物および製品が、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、または少なくとも約25重量%のタンパク質含有量を含み得る。あるいは、実施形態では、本開示による食品組成物および製品が、10重量%~25重量%の間の範囲、または10重量%~25重量%の間の任意の整数パーセンテージ範囲のタンパク質を含むことができる。したがって、結果として、本発明の糸状菌食品組成物は、顕著に高いまたは濃縮されたタンパク質および/または繊維含有量を有し得る。したがって、乾燥重量基準で(または、換言すれば、同じ含水量で)、本開示の食品組成物は、類似の従来の食品よりもタンパク質が高くなり得る、および/または、同様の理由で、本開示の食品組成物は、より小さい質量および/またはサービングサイズで、類似の従来の食品と同じタンパク質含有量を提供し得る。
【0190】
本発明の食品組成物中の糸状菌バイオマスは、高い全体的なタンパク質含有量を有することに加えて、有利なタンパク質組成または化学を提供し得る。第1の非限定的な例として、糸状菌バイオマスは、全9種の必須アミノ酸を提供することによって「完全」タンパク質源となり得る。第2の非限定的な例として、糸状菌バイオマスは、少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン)を含み得、一部の実施形態では、このようなアミノ酸を少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の量で含有し得る。
【0191】
本発明の食品組成物によって提供されるさらなる栄養上または組成上の利点は、これらの組成物が類似の従来の食品よりも脂肪が低くなり得ることである。特に、本発明の糸状菌食品組成物は、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約19重量%未満、約18重量%未満、約17重量%未満、約16重量%未満、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、または約5重量%未満の総脂肪含有量を有し得る。
【0192】
本発明の食品組成物によって提供されるさらなる栄養上または組成上の利点は、糸状菌が従来の食品に存在することができない、または従来の食品によって送達することができない機能性化合物を含有することを可能にする方法によって、糸状菌が製造され得ることである。第1の非限定的な例として、糸状菌が製造される増殖培地は、真菌によって取り込まれ、したがって食品組成物の消費者に伝えられ得る任意の1種または複数の有益な栄養素または化合物(ビタミン、脂質、糖脂質、多糖類、糖アルコール、ω-3脂肪酸など)を付与され得る。第2の非限定的な例として、糸状菌が製造される増殖培地は、真菌によって取り込まれ、糸状菌の審美的または感覚的品質を改善し得る任意の1種または複数の化合物(例えば、顔料、インク、染料、香料など)を付与され得る。
【0193】
本発明の食品組成物によって提供されるさらなる栄養上または組成上の利点は、組成物がアレルゲン、抗生物質、および/または動物由来製品を含まず、アレルゲン感受性または食事制限を有する人々(例えば、ビーガンまたはベジタリアン)が類似の従来の食品を摂取するのを防ぐことができることである。非限定的な例として、肉を含まない、場合により乳糖を含まない、卵を含まない、大豆を含まない、および/もしくは乳製品を含まない、ならびに/またはさらに場合によりビーガンである、多種多様な従来の肉製品(例えば、燻製肉製品、ミートジャーキーなど)の類似物が本発明に従って製造され得る。なおさらに有利には、これらの問題のある成分が、一部の実施形態では、栄養上の利益を有する構成成分によって置き換えられ得る、例えば、赤身肉は、真菌フィラメントまたは菌糸体(すなわち、赤身肉によって示される心血管の健康に対する潜在的な悪影響を及ぼさない組織)によって置き換えられ得る。
【0194】
本発明の食品組成物によって提供されるさらなる栄養上または組成上の利点は、これらの組成物が有利に高い食物繊維含有量を有して、高繊維食品(特に、より低い繊維含有量を有し得る従来の食品、特に従来の肉製品の高繊維代替物または類似物)の作製を可能にし得ることである。一部の実施形態では、糸状菌粒子が、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、または少なくとも約10重量%の食物繊維を含み得る。追加的または代替的に、食品組成物は、食品組成物28グラム当たり少なくとも約1グラム、少なくとも約2グラム、少なくとも約3グラム、少なくとも約4グラム、少なくとも約5グラム、少なくとも約6グラム、少なくとも約7グラム、少なくとも約8グラム、少なくとも約9グラム、少なくとも約10グラム、少なくとも約11グラム、少なくとも約12グラム、少なくとも約13グラム、または少なくとも約14グラムの食物繊維の食物繊維含有量を有し得る。高い繊維含有量は、栄養組成に直接関連しない任意の1つまたは複数の追加の理由、例えば、改善された水和特性(より容易な調製/貯蔵およびより長い貯蔵寿命を可能にするための水分活性の低下など)、摂食時の飽満感または「満腹感」の増加(消費者がより適度な量を食べることを促し、それによって高コレステロールなどの有害な健康効果を予防または軽減するのに役立ち得る)、改善された消化率、改善された消化および/または便秘の予防などのために有利となり得る。特に、飽満感または「満腹感」の増加は、消費者がより少ない総カロリーを消費することを可能にし、それによって、例えば、ダイエット中の消費者が体重を減らすのを助けることができる。したがって、本発明の糸状菌食品組成物は、既知および/または市販の減量食またはレジメンに含めるのに特に好適または有利となり得る。
【0195】
本発明の実施形態では、糸状菌食品組成物を調製する方法が、糸状菌バイオマス、一部の実施形態では真菌バイオマットを、比較的低温、例えば、約185°F以下、最も典型的には約165°F以下で、例えば、約20分~約12時間の間の期間にわたって脱水するステップを含む。典型的には、低温乾燥オーブンまたは脱水機を使用して、糸状菌バイオマスの脱水を行うことができ、燻製器、真空脱水システム、タンブル乾燥(周囲圧力または真空下のいずれか)、または真菌材料の基本構造を保持しながら糸状菌バイオマスの含水量および水分活性を低下させるのに適した任意の他の装置もしくは方法も同様に使用することができる。脱水ステップ後の糸状菌バイオマスの含水量は、約45重量%以下、約44重量%以下、約43重量%以下、約42重量%以下、約41重量%以下、約40重量%以下、約39重量%以下、約38重量%以下、約37重量%以下、約36重量%以下、約35重量%以下、約34重量%以下、約33重量%以下、約32重量%以下、約31重量%以下、約30重量%以下、約29重量%以下、約28重量%以下、約27重量%以下、約26重量%以下、約25重量%以下、約24重量%以下、約23重量%以下、約22重量%以下、約21重量%以下、約20重量%以下、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下であり得る。あるいは、脱水ステップ後の糸状菌バイオマスの含水量は、1重量%~45重量%の間の任意の整数範囲であり得る。
【0196】
本発明で使用するのに適した糸状菌は、接合菌門(zygomycota)、グロムス門(glomeromycota)、ツボカビ門(chytridiomycota)、担子菌門(basidiomycota)または子嚢菌門(ascomycota)から選択され得る。担子菌門(basidiomycota)は、とりわけ、ハラタケ目(Agaricales)、ベニタケ目(Russulales)、タマチョレイタケ目(Polyporales)およびクロボキン目(Ustilaginales)を含み;子嚢菌門(ascomycota)は、とりわけ、チャワンタケ目(Pezizales)およびボタンタケ目(Hypocreales)を含み;接合菌門(zygomycota)は、とりわけ、ケカビ目(Mucorales)を含む。本発明の食用糸状菌は、クロボキン目(Ustilaginales)、ベニタケ目(Russulales)、タマチョレイタケ目(Polyporales)、ハラタケ目(Agaricales)、チャワンタケ目(Pezizales)、ボタンタケ目(Hypocreales)およびケカビ目(Mucorales)から選択される目に属し得る。
【0197】
一部の実施形態では、クロボキン目(Ustilaginales)の糸状菌がクロボキン科(Ustilaginaceae)から選択される。一部の実施形態では、ベニタケ目(Russulales)の糸状菌がサンゴハリタケ科(Hericiaceae)から選択される。一部の実施形態では、タマチョレイタケ目(Polyporales)の糸状菌がサルノコシカケ科(Polyporaceae)またはマイタケ科(Grifolaceae)から選択される。一部の実施形態では、ハラタケ目(Agaricales)の糸状菌が、シメジ科(Lyophyllaceae)、モエギタケ科(Strophariaceae)、ホコリタケ科(Lycoperdaceae)、ハラタケ科(Agaricaceae)、ヒラタケ科(Pleurotaceae)、タマバリタケ科(Physalacriaceae)、またはツキヨタケ科(Omphalotaceae)から選択される。一部の実施形態では、チャワンタケ目(Pezizales)の糸状菌がセイヨウショウロ科(Tuberaceae)またはアミガサタケ科(Morchellaceae)から選択される。一部の実施形態では、ケカビ目(Mucorales)の糸状菌がケカビ科(Mucoraceae)から選択される。
【0198】
一部の実施形態では、糸状菌が、フザリウム属(Fusarium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、リゾプス属(Rhizopus)、ウスチラゴ属(Ustilago)、ヘリクルルム属(Hericululm)、タマチョレイタケ属(Polyporous)、マイタケ属(Grifola)、シロタモギタケ属(Hypsizygus)、ユキワリ属(Calocybe)、スギタケ属(Pholiota)、ノウタケ属(Calvatia)、モエギタケ属(Stropharia)、ハラタケ属(Agaricus)、クリタケ属(Hypholoma)、ヒラタケ属(Pleurotus)、アミガサタケ属(Morchella)、ハナビラタケ属(Sparassis)、カニタケ属(Disciotis)、ノムシタケ属(Cordyceps)、マンネンタケ属(Ganoderma)、エノキタケ属(Flammulina)、シイタケ属(Lentinula)、オフィオコルディセプス属(Ophiocordyceps)、シロアミタケ属(Trametes)、アミメアナタケ属(Ceriporia)、シロカラカサタケ属(Leucoagaricus)、ハンドケア属(Handkea)、モナスカス属(Monascus)およびニューロスポラ属(Neurospora)から選択され得る。
【0199】
糸状菌の種の例としては、限定されないが、ウスティラゴ・エスクレンタ(Ustilago esculenta)、ヤマブシタケ(Hericululm erinaceus)、アミヒラタケ(Polyporous squamosus)、マイタケ(Grifola fondrosa)、ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)、シロタモギタケ(Hypsizygus ulmariuos)(エルムオイスター)、ユキワリ(Calocybe gambosa)、ナメコ(Pholiota nameko)、セイヨウオニフスベ(Calvatia gigantea)、マッシュルーム(Agaricus bisporus)、サケツバタケ(Stropharia rugosoannulata)、クリタケ(Hypholoma lateritium)、エリンギ(Pleurotus eryngii)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)(パール)、ヒラタケ変種コロンビヌス(Pleurotus ostreatus var. columbinus)(ブルーオイスター)、チャセイヨウショウロ(Tuber borchii)、アミガサタケ(Morchella esculenta)、トガリアミガサタケ(Morchella conica)、モルケラ・インポルトゥナ(Morchella importuna)、ハナビラタケ(Sparassis crispa)(カリフラワー)、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、フザリウム(Fusarium)フラボラピス(flavolapis)株(ATCCアクセッション寄託番号PTA-10698)、カニタケ(Disciotis venosa)、サナギタケ(Cordyceps militaris)、マンネンタケ(Ganoderma lucidum)(レイシ)、エノキタケ(Flammulina velutipes)、シイタケ(Lentinula edodes)、トウチュウカソウ(Ophiocordyceps sinensis)が挙げられる。追加の例としては、限定されないが、カワラタケ(Trametes versicolor)、セリポリア・ラセラタ(Ceriporia lacerate)、フォリオタ・ギガンテア(Pholiota gigantea)、ロイコアガリクス・ホロセリセウス(Leucoagaricus holosericeus)、トキイロヒラタケ(Pleurotus djamor)、タマノウタケ(Calvatia fragilis)、ハンドケア・ウトリフォルミス(Handkea utriformis)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、およびアカパンカビ(Neurospora crassa)が挙げられる。
【0200】
一部の実施形態では、糸状菌がフザリウム属(Fusarium)種である。一部の実施形態では、糸状菌が、フザリウム(Fusarium)フラボラピス(flavolapis)株(米国バージニア州マナサス1081大学通り所在のアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関に寄託されたATCC PTA-10698)である。以前のある研究ではMK7株と呼ばれていたこの株は、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)株であると以前報告された。しかしながら、これはその後、オキシスポラム(oxysporum)株ではないと特定され、現在暫定的にフザリウム(Fusarium)フラボラピス(flavolapis)株と命名されているフザリウム属(Fusarium)の新規な株とみなされている。一部の実施形態では、糸状菌がフザリウム属(Fusarium)株のフザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)である。
【0201】
本発明の食品組成物中の糸状菌材料が由来する真菌バイオマスは、例えば、PCT出願公開、国際公開第2017/151684号パンフレット、国際公開第2019/046480号パンフレット、もしくは国際公開第2020/176758号パンフレット、またはPCT出願PCT/US2020/064208号パンフレット(全て全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される深部発酵、固体状態発酵、膜発酵、または表面発酵プロセスなどの任意の既知の発酵プロセス、ならびに/あるいはPCT出願公開、国際公開第2019/099474号パンフレットに開示される方法によって製造され得る。
【0202】
一部の実施形態では、糸状菌バイオマスが、表面発酵プロセスによって製造された1種または複数の糸状菌バイオマットの形態であり得る。これらの実施形態のある特定のものでは、表面発酵プロセスのパラメータが、糸状菌バイオマットに、したがって得られる食品組成物に所望の形態または構造を提供するように選択または制御され得る。第1の非限定的な例として、表面発酵プロセスは、真菌菌糸体が、液体発酵培地と発酵培地上の雰囲気またはヘッドスペースとの間の界面に主に平行に配向され、それによって、菌糸体が主に単一平面内で増殖する(これにより、得られる食品組成物またはその一部に所望の食感または機械的特性が提供され得る)ことを確実にするように制御され得る。第2の非限定的な例として、糸状菌が表面発酵プロセスで増殖するトレイまたは容器は、真菌菌糸体の類似の「配向」構造を提供するように、実質的に縦長であり得る(逆もまた同様)。これらの方法および当業者によって理解されるであろう他の方法によって、菌糸体の類似のまたは異なる幾何学的配向を有する複数のバイオマットおよび/または糸状菌バイオマスの層を「積み重ねる」または「織る」ことにより、事前に選択された食感または機械的特性を有する層状食品組成物を得ることができる。
【0203】
本発明による肉類似物食品を含むが、必ずしもこれに限定されない食品組成物は、ハイドロフォビン(hydrophobin)などのタンパク質をさらに含み得る。これらは、約100~150アミノ酸長の範囲の低分子量タンパク質であり、疎水性-親水性界面で両親媒性フィルムに自己組織化することができる両親媒性分子である。乳化剤、増粘剤、または界面活性剤として;疎水性表面を親水化するため;親水性基質の水安定性を改善するため;および水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンを調製するためを含む、ハイドロフォビンの様々な用途が当技術分野で記載されており、これらは、医薬品および化粧品ならびに食品組成物における用途を有する。食品においては、ハイドロフォビンは、気泡の形成および安定性に影響を及ぼし、したがって、発泡性および発泡安定化(例えば、ハイドロフォビンは、発泡体積安定性および食品の粗大化の阻害を提供する)を補助し、冷凍食品中の氷結晶の成長を阻害し、脂肪の凝集に影響を及ぼし、したがって、空気を含んだ食品組成物および/または冷凍食品組成物の食感、安定性、および貯蔵時間を改善することが示されている。
【0204】
したがって、本発明の一部の実施形態はハイドロフォビンを含み得る。ハイドロフォビンは、一般に、クラスIおよびクラスIIに分類され;クラスIハイドロフォビンは比較的不溶性であるが、クラスIIハイドロフォビンは、様々な溶媒に容易に溶解し、したがって、一般的に好ましい。ハイドロフォビンおよび同様のタンパク質は、糸状菌および細菌において特定されており、それらの配列は当技術分野で記載されている。クラスIおよびクラスIIハイドロフォビンを含むこれらのタンパク質の全てが本発明に包含される。本発明での使用に適したハイドロフォビンは、天然源から、または組換え手段によって単離され得る。一部の実施形態では、ハイドロフォビンが精製タンパク質として食品組成物に添加され得る。一部の実施形態では、ハイドロフォビンが、食品組成物に使用され、したがって、真菌バイオマスの一部として供給される糸状菌種によって発現され得る。実施形態では、本開示による食品組成物および食品に使用される糸状菌バイオマスが、少なくとも約500の100万マッピングリード当たりの転写産物1キロベース当たりのリード(RPKM)、少なくとも約1000RPKM、少なくとも約1500RPKM、少なくとも約2000RPKM、少なくとも約2500RPKM、もしくは少なくとも約3000RPKMのクラスIハイドロフォビン、および/または少なくとも約1RPKM、少なくとも約2RPKM、少なくとも約3RPKM、少なくとも約4RPKM、少なくとも約5RPKM、少なくとも約6RPKM、もしくは少なくとも約7RPKMのクラスIIハイドロフォビンを含み得る。
【0205】
ここで
図1Aを参照すると、本発明の実施形態による、非限定的な例として、細切り肉類似物食品などの肉類似物食品を作製する方法100の第1の実施形態が例示されている。
図1Aに示されるように、方法100のこの実施形態は、バイオマス製造ステップ110、不活性化ステップ120、冷蔵ステップ130、溶液調製ステップ135、真空攪拌ステップ140、真空成形ステップ150、クラスト凍結ステップ160、任意のサイズ減少ステップ170、および任意の後処理ステップ180を含む。
【0206】
図1Aに例示される方法100の実施形態のバイオマス製造ステップ110では、非限定的な例として、PCT出願公開第2020/176758号パンフレットに記載される表面発酵法などの、当技術分野で公知であり、記載されている任意の適切な方法によって、糸状菌のバイオマスを製造する。
【0207】
図1Aに例示される方法100の実施形態の不活性化ステップ120では、ステップ110で製造された糸状菌バイオマスを、例えば、蒸気処理によって不活性化する。一部の実施形態では、糸状菌バイオマスが、糸状菌バイオマットまたはその比較的大きい(例えば、約3~約5インチ幅)断片であり得;バイオマスのサイズ減少は、方法100のこの段階で行われる場合、不活性化ステップ120の前、これと同時、および/または後に行われ得ることを明確に理解すべきである。
【0208】
図1Aに例示される方法100の実施形態の冷蔵ステップ130では、糸状菌バイオマスを約34°F以下の温度に冷却する。冷蔵ステップ130は、糸状菌の完全な不活性化を確実にし、下流の処理ステップのために糸状菌バイオマスを硬化させる(それによってその加工性を改善する)。
【0209】
図1Aに例示される方法100の実施形態の溶液調製ステップ135では、1種または複数の食品添加物(例えば、塩、調味料、栄養添加物など)を水に溶解および/または懸濁する。好ましくは、溶液調製ステップ135で調製された溶液を、室温未満(例えば、約40°Fの温度)で提供し;溶液を、食品添加物溶質を水に添加する前、これと同時、または後に冷却することができる。溶液調製ステップ135は、冷蔵ステップ130の前、これと同時、または後に行うことができる。一部の実施形態では、溶液調製ステップ135で調製された溶液が、食品に所望の機能性を提供する、および/または食品の総タンパク質含有量を増加させるための1種または複数のタンパク質を含み得る。
【0210】
図1Aに例示されておらず、そこに示される方法100の実施形態にも提供されていないが、溶液調製ステップ135で調製された溶液は、必ずしも水性である必要はない、および/または水に加えて1種もしくは複数の溶媒を含み得ることを明確に理解すべきである。非限定的な例として、このような溶媒は、調理油、オレオビタミン溶液などを含み得る。したがって、溶液調製ステップ135で調製された溶液が非水性である実施形態は、本発明の範囲内として明確に企図される。
【0211】
図1Aには例示されていないが、一部の実施形態では、真菌バイオマスが、不活性化ステップ120の後であるが、真空攪拌ステップ140の開始前の任意の時点で、最終食品に所望の構造、食感、口当たりなどを提供するための任意の1つまたは複数の機械的処理または食感付与(texturizing)処理に供され得ることを明確に理解すべきである。非限定的な例として、最終食品に「よりソフトな」またはより「柔らかい」口当たりを提供することが望まれる場合、真菌バイオマス内の長いフィラメントを切断するおよび/または解きほぐすために、マルチブレード(例えば、ジャカードスタイルなど)肉たたきを使用して真菌バイオマスを柔らかくすることができる。
【0212】
図1Aに例示される方法100の実施形態の真空攪拌ステップ140では、ステップ130で製造された冷蔵糸状菌バイオマスおよびステップ135で調製された冷水溶液を真空タンブラーに一緒に入れる;最も典型的には、真空攪拌ステップ140は、冷蔵下で(すなわち、約40°F以下の温度で)行われる冷真空攪拌ステップであるが、代わりに真空攪拌ステップ140を室温でまたは室温より上への加熱下で行ってもよい。次いで、真空タンブラー内の雰囲気を排気して、タンブラー内を低真空(すなわち、約3キロパスカル~約100キロパスカルの間の絶対圧力)、中真空(すなわち、約100ミリパスカル~約3キロパスカルの間の絶対圧力)、高真空(すなわち、約100ナノパスカル~約100ミリパスカルの間の絶対圧力)、超高真空(すなわち、約100ピコパスカル~約100ナノパスカルの間の絶対圧力)、または極高真空(すなわち、約100ピコパスカル未満の絶対圧力)にしておく。次いで、糸状菌バイオマスおよび水溶液を一緒に攪拌して、水溶液が糸状菌バイオマスに浸透することを可能にする。当業者であれば、適切な攪拌時間、方法、および速度を選択する方法を理解するであろう;非限定的な例として、真空タンブラーは回転式タンブラーであり得、糸状菌バイオマスおよび水溶液を、約7RPM~約10RPMの間の速度で、合計約40分間一緒に回転させることができる。当業者によって理解され得るように、糸状菌バイオマスおよび水溶液を、攪拌期間の間に休止期間を設けて2回以上攪拌する(例えば、間に10分間の休止期間を設けた2回の20分間の攪拌期間)ことができることを明確に理解すべきである。真空攪拌ステップ140の結果として、糸状菌バイオマスは、水溶液の少なくとも一部(一部の実施形態では、糸状菌バイオマスの初期重量の最大約30%)を吸収する、または取り込む。
【0213】
糸状菌バイオマスがバイオマットまたはその比較的大きな断片の形態である場合、真空攪拌ステップ140の、大気圧を下回る圧力は、バイオマットのいくつかの物理的特性のうちのいずれか1つまたは複数に影響を及ぼし得る。非限定的な例として、この高真空環境への曝露は、バイオマットのマトリックス内の真菌菌糸体間の空間を拡大し、水溶液と接触するために利用可能な菌糸体の利用可能な表面積を増加させ得る。この効果は、いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、真空攪拌ステップ140で塩を含む水溶液と攪拌された糸状菌バイオマスが予想よりもはるかに塩辛かったという本発明者らによる観察を説明し得る;塩辛い水溶液と接触する菌糸体表面積の増加は、より大きな割合の塩が真菌菌糸体の表面に堆積することを可能にした、および/または真菌菌糸体の表面に堆積した塩が消費時に消費者の味蕾に運ばれるのに必要な時間を増加させた、および/または消費者の口の中の味覚感受性組織と接触する食品の表面積を増加させる可能性がある。このようにして、本発明による糸状菌食品組成物が、より長時間にわたって消費者に風味を提供するというさらなる利点および利益を有することが可能となり得る。
【0214】
図1Aに例示される方法100の実施形態の真空成形ステップ150では、水溶液の少なくとも一部(一部の実施形態では、糸状菌バイオマスの初期重量の最大約30%)を吸収した、または取り込んだ糸状菌バイオマスを、キャビティまたは型に配置し、キャビティまたは型を取り囲む雰囲気を排気して高真空(すなわち、約0.1パスカル以下の絶対圧力)にする。これにより、糸状菌バイオマスが所望の形状もしくは他の物理的構成に配置されること、および/または様々な物理的変形もしくは操作を受けること、および/または糸状菌バイオマスのある部分が第1の密度を有し、糸状菌バイオマスの別の部分が第2の密度を有することが可能になる;非限定的な例として、ソーセージ類似物食品を製造することが望まれる場合、糸状菌バイオマスをケーシングに詰め込むことができる。多くの実施形態では、糸状菌バイオマスを「丸太」または「ロッド」、すなわちほぼ円筒形の塊に形成することが望ましい場合がある。真空成形ステップ150はまた、糸状菌バイオマスの密度および/またはその菌糸体ネットワークの特性に影響を及ぼし得、これにより、非限定的な例として、さらなる機能的または栄養添加物を適用するための菌糸体表面積および/または真菌バイオマスの透過性がさらに増加し得る。したがって、糸状菌バイオマスを、真空成形ステップ150の一部として、固体、液体、または気体形態であるかどうかにかかわらず、1種または複数の香料または他の機能的もしくは栄養添加物と接触させてもよいが、そうである必要はないことを明確に理解すべきである。
【0215】
図1Aに例示される方法100の実施形態の実施においては、真空攪拌ステップ140および真空成形ステップ150を必要に応じて何度でも繰り返すことができることを明確に理解すべきである。特に、(1)真菌フィラメント間の空間、例えば、真菌バイオマット内の細孔、(2)真菌フィラメントの表面、および/または(3)真菌フィラメントの内部のうちのいずれか1つまたは複数の上または中に、機能的コーティングまたは添加物をコーティングまたは含浸させることが望ましい場合、真菌菌糸体による完全な吸収、または真菌菌糸体のコーティングもしくは被覆を確実にするために、繰り返しの真空攪拌ステップ140および/または真空成形ステップ150が必要となり得る。
【0216】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、真空攪拌ステップ140および真空成形ステップ150で糸状菌バイオマスに適用される、大気圧を下回る圧力の1つの機能的利益は、これらの圧力が真菌バイオマスを膨張させ、それによって、菌糸体と他の真菌構造との間の間質空間の体積を増加させることであると考えられる。結果として、これらのステップ中に適用される添加物がこれらの空間により容易に浸透し得る。その後、マットをもう一度周囲圧力または大気圧に曝露すると、真菌バイオマスは収縮し、したがって、間質空間に存在する添加物(複数可)が真菌バイオマス内にしっかりと捕捉される。
【0217】
図1Aに例示される方法100の実施形態のクラスト凍結ステップ160では、成形された糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れ、例えば、約25°F~約27°Fの間の内部温度に(一部の実施形態では、少なくとも約0.35℃/分の速度で)急速に冷却する。この温度範囲は、後続の方法100の処理ステップに最適な条件を提供することが本発明者らによって見出されている。
【0218】
図1Aに例示される方法100の実施形態の任意のサイズ減少ステップ170では、ブラスト凍結された糸状菌バイオマスを、一部の実施形態では、細切り肉類似物としての使用に適し得るより小さな断片に切断、細断、および/またはシェービングする。最も典型的には、糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑は、好ましくは、この範囲が従来の細切り肉製品に最も類似しているため、約0.1ミリメートル~約10ミリメートルの間の厚さを有する。重力スライサーまたは従来のデリミートスライサーを含むが必ずしもこれらに限定されない任意のサイズ減少手段を使用して、サイズ減少ステップ170を行うことができる。
【0219】
図1Aに例示される方法100の実施形態の任意の後処理ステップ180では、サイズ減少された糸状菌バイオマスを、燻製または塩漬肉製品などを調製するために使用される後処理に類似した任意の1つまたは複数の形態の後処理に供することができる。第1の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを真空蒸気処理(例えば、約12分間の期間、約85℃の内部温度に)して、蒸気処理された肉類似物食品を形成することができる。第2の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを、冷燻(例えば、約90°Fの温度で約4時間の期間)して、冷燻された肉類似物食品を形成することができる。第3の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを温燻(例えば、約230°Fの温度で約2時間の期間)して、温燻された肉類似物食品を形成することができる。第4の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを、例えば、焙煎、焼成、ボイリング、および/または揚げなどの任意の他の適切な調理技術によって調理することができる。一般に、生の塊肉または生の細切り肉が供され得る任意の形態(複数可)の後処理を、サイズ減少された糸状菌バイオマスにしかるべき変更を加えた上で適用して、同様の糸状菌食品を形成することができる。サイズ減少された糸状菌バイオマスを凍結したら、冷蔵したら、または室温で、後処理ステップ180を行うことができる。
【0220】
一部の実施形態では、サイズ減少ステップ170および/または後処理ステップ180が、真菌ペーストを長いストリップに押し出すことを含み得る。この押出ステップは、任意の適切な装置または方法によって行われ得、非限定的な例として、所望の断面形状を有する食品組成物を提供する(とりわけ所望の断面形状が入り組んでいるまたは複雑である場合)、食品組成物に対する選択された種類の物理的応力(例えば、圧縮応力、せん断応力など)を防止する(または意図的に付与する)、食品組成物の最終外観を改善する、および/または通常、薄いもしくは狭いストリップで提供される従来の食品(例えば、ジャーキー、ベーコンなど)と外観もしくは構造が類似した食品組成物を作製するのに特に好適または有利となり得る。非押出せん断、加熱(例えば、タンパク質および/または炭水化物を凝固させるための同時せん断の有無にかかわらず)、凍結、解凍などの追加または代替の熱または機械的操作をサイズ減少ステップ170および/または後処理ステップ180の一部として採用することができる。
【0221】
ここで
図1Bを参照すると、本発明の実施形態による、非限定的な例として、細切り肉類似物食品などの肉類似物食品を作製する方法100の第2の実施形態が例示されている。
図1Bに示されるように、方法100のこの実施形態は、バイオマス製造ステップ110、不活性化ステップ120、真空成形ステップ150、クラスト凍結ステップ160、任意のサイズ減少ステップ170、および任意の後処理ステップ180を含む。
【0222】
図1Bに例示される方法100の実施形態のバイオマス製造ステップ110では、非限定的な例として、PCT出願公開第2020/176758号パンフレットに記載される表面発酵法などの、当技術分野で公知であり、記載されている任意の適切な方法によって、糸状菌のバイオマスを製造する。
【0223】
図1Bに例示される方法100の実施形態の不活性化ステップ120では、ステップ100で製造された糸状菌バイオマスを、例えば蒸気処理によって不活性化する。一部の実施形態では、糸状菌バイオマスが糸状菌バイオマットまたはその比較的大きな(例えば、約1インチ幅)断片であり得;バイオマスのサイズ減少は、方法100のこの段階で行われる場合、不活性化ステップ120の前、これと同時、および/または後に行われ得ることを明確に理解すべきである。
【0224】
図1Bに例示される方法100の実施形態の真空成形ステップ150では、水溶液の少なくとも一部(一部の実施形態では、糸状菌バイオマスの初期重量の最大約30%)を吸収した、または取り込んだ糸状菌バイオマスをキャビティまたは型に配置し、キャビティまたは型を取り囲む雰囲気を排気して高真空(すなわち、約0.1パスカル以下の絶対圧力)にする。これにより、糸状菌バイオマスが所望の形状もしくは他の物理的構成に配置されること、および/または様々な物理的変形もしくは操作を受けることが可能になる;非限定的な例として、ソーセージ類似物食品を製造することが望まれる場合、糸状菌バイオマスをケーシングに詰め込むことができる。多くの実施形態では、糸状菌バイオマスを「丸太」、すなわちほぼ円筒形の塊に形成することが望ましい場合がある。真空成形ステップ150はまた、糸状菌バイオマスの密度および/またはその菌糸体ネットワークの特性に影響を及ぼし得、これにより、非限定的な例として、さらなる機能的または栄養添加物を適用するための菌糸体表面積および/または真菌バイオマスの透過性がさらに増加し得る。したがって、糸状菌バイオマスを、真空成形ステップ150の一部として、固体、液体、または気体形態であるかどうかにかかわらず、1種または複数の香料または他の機能的もしくは栄養添加物と接触させてもよいが、そうである必要はないことを明確に理解すべきである。
【0225】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、真空成形ステップ150で糸状菌バイオマスに適用される、大気圧を下回る圧力の1つの機能的利益は、これらの圧力が真菌バイオマスを膨張させ、それによって、菌糸体と他の真菌構造との間の間質空間の体積を増加させることであると考えられる。その後、マットをもう一度周囲圧力または大気圧に曝露すると、真菌バイオマスは収縮する。同様にいかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、真空成形ステップ150で糸状菌バイオマスに適用される、大気圧を下回る圧力の別の機能的利益は、これが菌糸体の表面挙動を有益に変化させ得ることであると考えられる。
【0226】
図1Bに例示される方法100の実施形態のクラスト凍結ステップ160では、成形された糸状菌バイオマスをブラストフリーザーに入れ、例えば、約25°F~約27°Fの間の内部温度に急速に冷却する。この温度範囲は、後続の方法100の処理ステップに最適な条件を提供することが本発明者らによって見出されている。
【0227】
図1Bに例示される方法100の実施形態のサイズ減少ステップ170では、ブラスト凍結された糸状菌バイオマスを、肉類似物としての使用に適したより小さい断片に切断、細断、および/またはシェービングする。最も典型的には、糸状菌バイオマスのストリップ、断片、および削り屑は、好ましくは、この範囲が、真菌製品が類似している従来の肉製品に最も類似しているため、約0.1ミリメートル~約10ミリメートルの間の厚さを有する。重力スライサーまたは従来のデリミートスライサーを含むが必ずしもこれらに限定されない任意のサイズ減少手段を使用して、サイズ減少ステップ170を行うことができる。
【0228】
図1Bに例示される方法100の実施形態の任意の後処理ステップ180では、サイズ減少された糸状菌バイオマスを、燻製または塩漬肉製品などを調製するために使用される後処理に類似した任意の1つまたは複数の形態の後処理に供することができる。第1の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを真空蒸気処理(例えば、約12分間の期間、約85℃の内部温度に)して、蒸気処理された肉類似物食品を形成することができる。第2の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを、冷燻(例えば、約90°Fの温度で約4時間の期間)して、冷燻された肉類似物食品を形成することができる。第3の非限定的な例として、サイズ減少された糸状菌バイオマスを温燻(例えば、約230°Fの温度で約2時間の期間)して、温燻された肉類似物食品を形成することができる。一般に、生の塊肉または生の細切り肉が供され得る任意の形態(複数可)の後処理を、サイズ減少された糸状菌バイオマスにしかるべき変更を加えた上で適用して、同様の糸状菌食品を形成することができる。サイズ減少された糸状菌バイオマスを凍結したら、冷蔵したら、または室温で、後処理ステップ180を行うことができる。
【0229】
一部の実施形態では、サイズ減少ステップ170および/または後処理ステップ180が、真菌ペーストを長いストリップに押し出すことを含み得る。この押出ステップは、任意の適切な装置または方法によって行われ得、非限定的な例として、所望の断面形状を有する食品組成物を提供する(とりわけ所望の断面形状が入り組んでいるまたは複雑である場合)、食品組成物に対する選択された種類の物理的応力(例えば、圧縮応力、せん断応力など)を防止する(または意図的に付与する)、食品組成物の最終外観を改善する、および/または通常、薄いもしくは狭いストリップで提供される従来の食品(例えば、ジャーキー、ベーコンなど)と外観もしくは構造が類似した食品組成物を作製するのに特に好適または有利となり得る。非押出せん断、加熱(例えば、タンパク質および/または炭水化物を凝固させるための同時せん断の有無にかかわらず)、凍結、解凍などの追加または代替の熱または機械的操作をサイズ減少ステップ170および/または後処理ステップ180の一部として採用することができる。
【0230】
図1Aおよび
図1Bに例示される方法100の2つの実施形態の違いは、
図1Bに示される実施形態では、冷蔵ステップ130、溶液調製ステップ135、および真空攪拌ステップ140が省略されることである。方法100のどの実施形態が採用されるかは、得られる肉類似物食品の所望の風味および意図する用途に依存する;
図1Aに例示される方法は、概して、例えば、加工肉類似物または燻製肉類似物食品(例えば、ベーコン類似物食品、ジャーキー類似物食品など)に使用するのに適した予め風味付けされた製品をもたらすが、
図1Bに例示される方法は、概して、生または塊肉類似物食品に使用するのに適したより中性の風味プロファイルを有する食品をもたらす。方法100を使用して多種多様な肉類似物食品のいずれかを製造することができるという点で、使用のこの柔軟性が本発明のさらに別の利益である。
【0231】
ここで
図2Aおよび
図2Bを参照すると、本発明の実施形態によるミートジャーキー類似物食品を作製する方法200が例示されている。
図2Aおよび
図2Bに示されるように、方法200は、マリネード調製ステップ210、コーティングステップ220、および脱水ステップ230を含む。
【0232】
方法200のマリネード調製ステップ210では、
図1Aに例示される方法100に従って製造された糸状菌食品材料がマリネにされるマリネードを調製する。このようなマリネードは、ミートジャーキーを含むが必ずしもこれに限定されない、従来の肉製品のマリネードに一般的に見られる任意の1種または複数の成分を含むことができるが、一部の実施形態では、このような従来の肉マリネードよりも多量または少量のこれらの成分を含み得る。従来の肉マリネプロセスと同様に、マリネード調製ステップ210に従って調製されたマリネードは、糸状菌バイオマスに風味を付与する、および/または糸状菌バイオマスを柔らかくする、または糸状菌バイオマスに食感を付与するように適合された液体であり;したがって、マリネードは、1種もしくは複数の酸性成分(例えば、酢、レモンジュース、ワイン)および/または1種もしくは複数の酵素成分(例えば、パイナップル、パパイヤ、ヨーグルト、ショウガ)を含み得(そうである必要はない)、糸状菌バイオマスをさらに風味付けするための油、ハーブ、および/または香辛料をさらに含み得る。料理分野の当業者であれば、マリネード調製ステップ210に従って適切なマリネードを調製する方法を容易に理解するであろう。
【0233】
方法200のコーティングステップ220では、
図1Aに例示される方法100に従って製造された糸状菌食品材料を、室温または冷蔵下のいずれかで、マリネード調製ステップ210で調製されたマリネードにマリネする、すなわちマリネードでコーティングする(したがって、方法200の任意の1つまたは複数のステップ210、220、230を方法100の後処理ステップ180と見なすことができる)。最も一般的には、コーティングステップ220を、広範囲内の任意の温度(例えば、少なくとも約0℃への冷蔵下、周囲温度、および/または少なくとも約40℃もの高温下)で、約2秒間~約2日間の間の期間(すなわち、従来のミートジャーキー製品のマリネプロセスに典型的であるように)行うことができるが、一部の実施形態では、糸状菌バイオマスが(室温であれ冷蔵下であれ)肉ほど容易には腐敗しないので、コーティングステップ220をより長い時間行って、さらに風味を付与する、および/またはバイオマスを柔らかくすることができる。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、コーティングステップ220の温度および時間の変化は、糸状菌バイオマスの内部構造に影響を及ぼし、したがって、バイオマス内にマリネードが「捕捉される」異なる程度を可能にし得る。コーティングステップ220は、糸状菌食品材料とマリネードの攪拌または混合を含んでも含まなくてもよいが、攪拌/混合によって、または糸状菌食品材料を、所望の滞留時間もしくはマリネ時間、完全に浸漬させるもしくは沈めるのに十分なマリネードを適切な容器に提供することによって、糸状菌食品材料の実質的に全ての側面および/または表面がマリネードでコーティングされることを確実にすることが一般的に望ましい。コーティングステップ220は、追加的または代替的に、真菌バイオマスをマリネードでコーティングする、例えば、真菌バイオマスをマリネードに浸す、真菌バイオマスにマリネードを噴霧する(その後の乾燥の有無にかかわらず)などの任意の他の手段を含み得る。
【0234】
一部の実施形態では、コーティングステップ220が、場合により、安定剤またはカビ阻害剤、例えば、ソルビン酸カリウムを適用して、得られる食品組成物の貯蔵寿命をさらに延ばすことを含み得るが、そうである必要はない;一部の実施形態では、安定剤またはカビ阻害剤が審美的または感覚的利益も有し得る(例えば、ソルビン酸カリウムは、唾液分泌を刺激し、塩味い風味に寄与する塩味化合物である)。しかしながら、安定剤および/またはカビ阻害剤の適用は省略してもよく、一部の実施形態では、この適用を省略することが好ましい場合があることを明確に理解すべきである。
【0235】
方法200の脱水ステップ230では、
図1Aに例示される方法100に従って製造された糸状菌食品材料を、比較的低温、例えば、約165°F以下で、約20分間~約12時間の間、最も一般的には約2時間~約5時間の間の期間にわたって脱水する。典型的には、低温乾燥オーブンまたは脱水機を採用して、脱水ステップ230を行うことができ、燻製器、真空脱水システム、タンブル乾燥(周囲圧力または真空下のいずれか)、または真菌材料の基本構造を保持しながら糸状菌食品材料の含水量および水分活性を低下させるための任意の他の適切な装置もしくは方法も採用することができる。
【0236】
図2Aおよび
図2Bに例示される方法200の2つの実施形態の違いは、ステップの順序にあり、コーティングステップ220は、
図2Aのように、脱水ステップ230の前に行うことができる、または
図2Bのようにその逆であってもよい。方法200のどの実施形態が採用されるかは、得られるミートジャーキー類似物食品の所望の食感に依存する;
図2Aに例示される方法は、概して、真のミートジャーキーに類似した「歯ごたえのある」食感をもたらすが、
図2Bに例示される方法は、概して、ジャガイモまたはトルティーヤチップのような「サクサクした」食感をもたらす。方法200を使用して、真のジャーキー類似物食品、または代替的に、肉を使用して達成できない可能性がある「サクサクした」チップのような食感を有するミートジャーキー風味の組合せを有する新規な食品を製造することができるという点で、ステップの順序付けにおけるこの柔軟性が本発明のさらに別の利益である。実際には、
図2Aおよび
図2Bの方法200は、マリネード調製ステップ210で調製されたマリネードが一般的に高い含水量を有するため、脱水ステップ230が、コーティングステップ220によって先行される場合、より長い時間(典型的には4~5時間)、コーティングステップ220に先行する場合、より短い時間(典型的には2~3時間)行われ得ることを除いて、概して同一である、または同一であり得る。
【0237】
本発明は、以下の例示的な非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0238】
[実施例1]
図1Aに例示される方法100に従って、糸状菌食品材料の断片を製造した。その後、8.6重量%の栄養酵母、5.2重量%のニンニク粉末、25重量%のオリーブ油、47重量%の醤油、9.4重量%のメープルシロップ、4重量%の挽いた黒コショウ、および0.8重量%のパプリカを含むマリネードを、均質になるまで全ての成分を一緒に混合することによって調製した。次いで、マリネにされた糸状菌食品材料が19:1の真菌バイオマス:マリネード重量比(すなわち、95重量%の真菌バイオマス対5重量%のマリネード)を含むように、糸状菌食品材料をこのマリネードで完全にコーティングした。次いで、マリネにされた糸状菌食品材料の断片を、確実にいずれの2つの断片も互いに触れないように注意を払ってトレイ上に配置し、160°Fの従来の脱水機で4~5時間の間脱水した。得られたミートジャーキー類似物食品は、従来のビーフジャーキーのような味および同様の歯ごたえのある食感を有していた。
【0239】
ミートジャーキー類似物食品は、0.4894の水分活性および14.09重量%の含水量を有することが分かった。これらの値は、従来のミートジャーキー食品に匹敵する、またはこれよりも優れてさえいる(すなわち、より乾燥している)。
【0240】
[実施例2]
糸状菌食品材料の断片を、
図1Aに例示される方法100に従って製造し、確実にいずれの2つの断片も互いに触れないように注意を払ってトレイ上に配置した。次いで、糸状菌食品材料の断片を、160°Fの従来の脱水機で2~4時間の間脱水した。その後、8.6重量%の栄養酵母、5.2重量%のニンニク粉末、25重量%のオリーブ油、47重量%のたまり醤油、9.4重量%のメープルシロップ、4重量%の挽いた黒コショウ、および0.8重量%のパプリカを含むマリネードを、均質になるまで全ての成分を一緒に混合することによって調製した。次いで、マリネにされた糸状菌食品材料が19:1の真菌バイオマス:マリネード重量比(すなわち、95重量%の真菌バイオマス対5重量%のマリネード)を含むように、脱水された糸状菌食品材料をこのマリネードで完全にコーティングした。得られたミートジャーキー類似物食品は、従来のビーフジャーキーのような味を有していたが、典型的な「歯ごたえのある」ミートジャーキー食感を示すのではなく、代わりにジャガイモまたはトルティーヤチップのような「サクサクした」食感を有していた。
【0241】
[実施例3]
糸状菌食品材料の断片を、
図1Aに例示される方法100に従って製造し、その後、事前のマリネなしで、160°Fの従来の脱水機で2時間脱水した。脱水後、一部の断片を実施例1および実施例2のマリネードでマリネにし(「ジャーキーA」)、他の断片をマリネにしないままにし、代わりに室温の水浴中に2時間入れた(「マリネにしていないジャーキーA」)。別に、実施例1に記載される方法の第2の実行に従って製造されたジャーキー類似物製品(「ジャーキーC」)と、糸状菌バイオマスを表面コーティングするのではなく、30分間マリネードで真空タンブリングしたことを除いて、実施例1に記載される方法に従って製造されたジャーキー類似物製品(「ジャーキーB」)の2つの他のジャーキー類似物製品を製造した。ジャーキーBおよびCでは、真菌バイオマスに対するマリネードの量も、実施例1に記載される方法と比較して変化させた;具体的には、真菌バイオマスを等しい(1:1)質量のマリネードにマリネにした。
【0242】
マリネにしたジャーキーA、ジャーキーB、およびジャーキーCのそれぞれの試料を、マリネ前(すなわち、真菌バイオマスのみ)、脱水前に適用したマリネードを含めて、および脱水後に秤量した。次いで、脱水後の各ジャーキーの水分活性および含水量を評価した。3種のジャーキーは全て、開始含水量が79.84%である真菌バイオマットからとった糸状菌バイオマスを使用して作製した。これらの試験の結果を表1に示す。
【0243】
【0244】
マリネにしていないジャーキーA、ジャーキーB、およびジャーキーCの試料の画像を、それぞれ
図3A、
図3B、および
図3Cに示す。ジャーキーBおよびジャーキーCの密度は、それぞれ0.74g/cm
3および0.73g/cm
3として記録された。
【0245】
3種のジャーキーは、質的な感覚印象が大いに異なっていた。ジャーキーAは極めてサクサクしており、脆く、ガラスのような粉砕を受ける傾向があると観察され、マリネードを適用しても風味が最も少なかった。ジャーキーBは薄くてサクサクしていたが(ジャーキーAほどではないが)、ジャーキーAと比較してマリネードの風味が高まった。ジャーキーCは、従来の、貯蔵安定性の、ソフトな、歯ごたえのあるミートジャーキーと官能評価においてはるかに最も類似しており;ジャーキーAおよびジャーキーBよりも歯ごたえがあり、ソフトで、マリネードによって付与された強いスパイシーでスモーキーな風味を有していた。
【0246】
[実施例4]
実施例3で製造されたジャーキーAの3種のマリネにしていない試料を、それぞれ30分間、1時間、および2時間、室温の水浴に入れ、再水和の前と後の両方で秤量して、ジャーキーAの水再取り込み能力を決定した。結果を表2に示す。
【0247】
【0248】
乾燥したジャーキー製品を水に浸すと気泡が観察され、試験した全ての試料の非常に活発な再水和を示した。
【0249】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、束縛水が全ての試料において脱水中に大部分は除去されないという仮説を立てている。しかしながら、例えば、真菌バイオマスの毛管および多孔質構造に保持される物理的結合水および遊離水が、ジャーキー製品における食感開発の範囲を広げる。乾燥したジャーキー製品の含水量は24%±4%であるが、その水分活性(実施例3で報告される)は、広範囲の食感を有するジャーキーを製造することができることを示している。ジャーキー製品のその後の再水和は、水滴を保持し、ジャーキー製品の可塑化特性に寄与することができる、ジャーキー製品の新規な多孔質構造を強調する。このその後の再水和の間、液体は、遊離水が以前に存在した真菌構造に進入することができるが、一部の物理的結合水(全水の約25重量%)は、脱水中の真菌構造の喪失のために回復することができない。この機序が、再水和中の水分の開始質量の全てまでは再取り込みされないことを説明する。したがって、本発明は、脱水中に糸状菌バイオマスの多孔質構造を維持する方法、特にこの多孔質構造を活用して、真菌材料からの所望の程度の液体除去を正確に制御および/または選択する方法を提供すると見なすことができる。このようにして、所望の水分活性、例えば、約0.45未満の水分活性を選択することができる。
【0250】
[実施例5]
ジャーキーCの全断片の顕微鏡画像を、糸状菌バイオマットの親水性側に対応する断片の一部から撮影した。これらの画像を
図4A(試料の上と下の両方の光)および
図4B(試料の下のみの光)として示す。これらの画像は、脱水後のバイオマット中の小さな穴を示している。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、これらの画像は、一部の真菌マット構造は処理中に破壊され得るが、マット構造の大部分は無傷のままであり得るという仮説を支持する。
【0251】
次いで、ジャーキーC断片を平らに置き、ユーティリティナイフを使用して互いに近い2本の平行線を切断した。次いで、試料をナイフが通過した側に向けた。この手順により、ジャーキー断片の疎水性側の顕微鏡画像(
図5A)と親水性側の顕微鏡画像(
図5B)の2つの顕微鏡画像の捕捉が可能になった。
【0252】
図5Aでは、試料の中央または最内側部分が画像の左側にあり、試料の縁が画像の右側にある。
図5Aおよび
図5Bが例示するように、試料の中心付近で最小程度の構造変形が観察され、変形が試料の縁に向かって増加する(例えば、より大きな細孔)。
【0253】
図5Bでは、画像の左側が
図5Aに対して反対側の試料の縁を表す。構造は有意に密度が高く見える。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものでもないが、液体(水性)増殖培地中またはその表面上に沈められて増殖する糸状菌バイオマットの親水性側は、バイオマットの疎水性(すなわち、雰囲気に面する)側が、フィラメント構造を有する気中菌糸体が形成される場所であるため、より密度の高い構造を有するように増殖すると考えられる。
【0254】
[実施例6]
マリネにしていないジャーキーA、ジャーキーB、およびジャーキーCの断片を、引張強度試験および破断時ひずみ試験のために調製した。マリネにしていないジャーキーAの断片は、その脆さのために試験することができないことがすぐに発見された;これらの試料は、試験のために切断することが不可能であった、または試験装置のグリップに配置されると粉砕しただろう。ジャーキーBの断片は著しく脆かったが、断片の平坦な部分は、試験試料の切断を可能にするのに十分に展性であり、ジャーキーBは、1.10±0.51MPaの最大引張強度および1.75%±0.71%の破断時ひずみを有することが分かった。ジャーキーCの断片は、はるかにより展性であり、そこからの試料の切断がはるかに容易になり、ジャーキーCは、1.98±0.66MPaの最大引張強度および8.08%±0.81%の破断時ひずみを有することが分かった。
【0255】
引張強度および破断時ひずみについて試験した試料を、
図6A(ジャーキーA)および
図6B(ジャーキーC)に示す。
図6Aおよび
図6Bが明確に例示するように、ジャーキーBは脆性破壊を示し、ジャーキーCはより弾性破壊を示した。
図7に示されるジャーキーBの2つの試験試料およびジャーキーCの3つの試験試料の応力-ひずみ曲線は、この観察を確認し;
図7では、ジャーキーBの2つの試料が、正方形および三角形のデータ点によって表され、ジャーキーCの3つの試料が、ダッシュ、円、およびひし形のデータ点によって表される。
【0256】
本明細書に例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素非存在下で適切に実施することができる。しかしながら、本発明の多くの変更、変形、修正、他の使用、および適用が可能であり、本発明の精神および範囲から逸脱しない変更、変形、修正、他の使用、および適用は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明によって網羅されると見なされることが当業者には明らかである。
【0257】
本発明の前記議論は、例示および説明の目的で提示されている。前記は、本発明を本明細書に開示される1つまたは複数の形態に限定することを意図するものではない。前記の発明を実施するための形態では、例えば、本開示を合理化する目的で、本発明の様々な特徴が1つまたは複数の実施形態にまとめられている。本発明の実施形態の特徴は、上に論じられるもの以外の代替の実施形態で組み合わせることができる。この開示方法は、特許請求される発明が各請求項に明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求の範囲が反映するように、発明の態様は、単一の前記の開示される実施形態の全ての特徴よりも少ないものにある。したがって、以下の特許請求の範囲は、これにより本発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の好ましい実施形態として自立している。
【0258】
さらに、本発明の説明は1つまたは複数の実施形態およびある特定の変形形態および修正形態の説明を含んでいるが、他の変形形態、組合せ形態、および修正形態も、例えば、本開示を理解した後、当業者の技能および知識の範囲内にあり得るように、本発明の範囲内にある。特許請求されたものに対する代替的な、交換可能な、および/または等価な構造、機能、範囲、またはステップが本明細書に開示されているかどうかにかかわらず、また特許可能な主題を公にすることを意図することなく、このような代替的な、交換可能な、および/または等価な構造、機能、範囲、またはステップを含む代替実施形態を許可される範囲で含む権利を得ることを意図している。
【国際調査報告】