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特表2024-511433蛍光情報及び酸性度情報を用いた診断システム、及びこれを用いた診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】蛍光情報及び酸性度情報を用いた診断システム、及びこれを用いた診断方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B10/00 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558399
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 KR2022003859
(87)【国際公開番号】W WO2022203295
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0038694
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519361461
【氏名又は名称】オソン メディカル イノベーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ラグ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ビョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ヨン ジェ
(57)【要約】
蛍光情報及び酸性度情報を用いた診断システム、及びこれを用いた診断方法において、前記診断システムは、蛍光情報取得部と、酸性度情報取得部と、導出部と、酸性度情報演算部と、診断部とを含む。前記蛍光情報取得部は、サンプル及び診断の対象である検体から、蛍光情報を取得する。前記酸性度情報取得部は、前記サンプルから、酸性度情報を取得する。前記導出部は、前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係を導出する。前記酸性度情報演算部は、前記関係を用いて、前記検体から取得した蛍光情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算する。前記診断部は、前記検体から取得した蛍光情報、及び前記演算された酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル及び診断の対象である検体から、蛍光情報を取得する蛍光情報取得部と、
前記サンプルから、酸性度情報を取得する酸性度情報取得部と、
前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係を導出する導出部と、
前記関係を用いて、前記検体から取得した蛍光情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算する酸性度情報演算部と、
前記検体から取得した蛍光情報、及び前記演算された酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行う診断部と、
を含むことを特徴とする診断システム。
【請求項2】
更に、前記導出部で導出される関係に関する情報を記憶する記憶部を含むことを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記蛍光情報は、蛍光強度情報及び蛍光寿命情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項4】
前記蛍光寿命情報は、1ギガバイト以上の周波数をサンプリングするデジタイザ(digitizer)を用いて、検出された光から直接蛍光寿命を測定して取得されることを特徴とする請求項3に記載の診断システム。
【請求項5】
前記導出部は、前記蛍光情報のうち、前記蛍光寿命情報と前記酸性度情報の間の関係を導出し、
前記酸性度情報演算部は、前記検体で取得した蛍光情報のうち、蛍光寿命情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算することを特徴とする請求項3に記載の診断システム。
【請求項6】
前記診断部は、前記蛍光強度情報及び前記酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行うことを特徴とする請求項3に記載の診断システム。
【請求項7】
前記蛍光情報取得部は、パルスレーザを用いた共焦点スキャニングシステムであり、
前記酸性度情報取得部は、蛍光造影剤の酸性度と前記蛍光情報の関係を基に、前記サンプルに対する酸性度情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項8】
前記サンプルは、診断の対象であるそれぞれの種類別癌細胞であり、
前記導出部は、それぞれの種類別癌細胞別に前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係を導出することを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項9】
前記酸性度情報演算部は、
前記導出部で導出された関係のうち、該当検体に該当する種類の癌細胞に対する関係を用いて、該当検体の酸性度情報を演算することを特徴とする請求項8に記載の診断システム。
【請求項10】
蛍光情報と酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶するステップと、
診断の対象である検体から、蛍光情報を取得するステップと、
前記関係を用いて、前記検体から取得した蛍光情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算するステップと、
前記検体から取得した蛍光情報、及び前記演算された酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行うステップと、
を含むことを特徴とする診断方法。
【請求項11】
蛍光情報と酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶するステップは、
サンプルから、蛍光情報を取得するステップと、
前記サンプルから、酸性度情報を取得するステップと、
前記蛍光情報と前記酸性度情報の関係を導出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の診断方法。
【請求項12】
前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶するステップでは、それぞれの種類別癌細胞をサンプルとして前記関係に関する情報を記憶し、
前記酸性度情報を演算するステップでは、前記関係のうち、該当検体に該当する種類の癌細胞に対する関係を用いることを特徴とする請求項11に記載の診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光情報及び酸性度情報を用いた診断システム、及びこれを用いた診断方法に関し、より詳しくは、蛍光情報と酸性度情報の間の関係を基に、測定された蛍光情報から酸性度情報を取得して、癌診断のような診断を行うことができる、蛍光情報及び酸性度情報を用いた診断システム、及びこれを用いた診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌疾患の発生が増加することにつれ、癌診断技術も様々に開発されており、特に、近年は、非侵襲的に癌を診断するか、最小切開手術を用いて癌を診断する技術についての関心が高まっている。
【0003】
特に、非侵襲法や最小切開手術の場合、診断や治療後の生活の質が向上し、合併症を最小化することができ、このような技術に対するニーズは増加しているが、現在まで、このような方法を用いた癌診断技術の場合、診断の正確性が高くないという限界がある。
【0004】
例えば、大韓民国登録特許第10-1467482号では、非侵襲法で呼吸ガスを用いた癌診断技術を開示しているが、このような呼吸ガスを用いた癌診断の場合、診断の正確度が高くないため、殆ど使用していない。
【0005】
これに、癌を種類別に正確に診断し、診断の正確性が高く、患者の便宜性が相対的に向上することができる癌診断技術の開発が必要な状況である。
【0006】
これに関する先行文献としては、大韓民国登録特許第10-1467482号がある。
【発明の概要】
【0007】
技術的課題
本発明の目的は、蛍光情報と酸性度情報の間の関係を基に、測定された蛍光情報から酸性度情報を取得し、癌診断のような診断をより正確に非侵襲的に行うことができる、蛍光情報及び酸性度情報を用いた診断システムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記診断システムを用いた診断方法を提供することである。
【0009】
技術的解決方法
前記した本発明の目的を実現するための一実施形態に係る診断システムは、蛍光情報取得部と、酸性度情報取得部と、導出部と、酸性度情報演算部と、診断部とを含む。前記蛍光情報取得部は、サンプル及び診断の対象である検体から、蛍光情報を取得する。前記酸性度情報取得部は、前記サンプルから、酸性度情報を取得する。前記導出部は、前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係を導出する。前記酸性度情報演算部は、前記関係を用いて、前記検体から取得した蛍光情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算する。前記診断部は、前記検体から取得した蛍光情報、及び前記演算された酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行うことを特徴とする。
【0010】
更に、前記導出部で導出される関係に関する情報を記憶する記憶部を含む。
【0011】
前記蛍光情報は、蛍光強度情報及び蛍光寿命情報を含む。
【0012】
前記蛍光寿命情報は、1ギガバイト以上の周波数をサンプリングするデジタイザ(digitizer)を用いて、検出された光から直接蛍光寿命を測定して取得される。
【0013】
前記導出部は、前記蛍光情報のうち、前記蛍光寿命情報と前記酸性度情報の間の関係を導出し、前記酸性度情報演算部は、前記検体で取得した蛍光情報のうち、蛍光寿命情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算する。
【0014】
前記診断部は、前記蛍光強度情報及び前記酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行う。
【0015】
前記蛍光情報取得部は、パルスレーザを用いた共焦点スキャニングシステムであり、前記酸性度情報取得部は、蛍光造影剤の酸性度と前記蛍光情報の関係を基に、前記サンプルに対する酸性度情報を取得する。
【0016】
前記サンプルは、診断の対象であるそれぞれの種類別癌細胞であり、前記導出部は、それぞれの種類別癌細胞別に前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係を導出する。
【0017】
前記酸性度情報演算部は、前記導出部で導出された関係のうち、該当検体に該当する種類の癌細胞に対する関係を用いて、該当検体の酸性度情報を演算する。
【0018】
前記した本発明の他の目的を実現するための一実施形態に係る診断方法は、蛍光情報と酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶するステップと、診断の対象である検体から、蛍光情報を取得するステップと、前記関係を用いて、前記検体から取得した蛍光情報を基に、前記検体の酸性度情報を演算するステップと、前記検体から取得した蛍光情報、及び前記演算された酸性度情報を基に、前記検体に対する癌診断を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
蛍光情報と酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶するステップは、サンプルから、蛍光情報を取得するステップと、前記サンプルから、酸性度情報を取得するステップと、前記蛍光情報と前記酸性度情報の関係を導出するステップとを含む。
【0020】
前記蛍光情報と前記酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶するステップでは、それぞれの種類別癌細胞をサンプルとして前記関係に関する情報を記憶し、前記酸性度情報を演算するステップでは、前記関係のうち、該当検体に該当する種類の癌細胞に対する関係を用いる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、蛍光情報、特に、蛍光情報のうち、蛍光強度情報と酸性度情報を同時に用いて、検体に対する癌診断を行うことができるので、蛍光強度情報のみを用いた癌診断の技術と比較して、癌診断の正確性を向上することができる。
【0022】
この場合、非侵襲的な方法で、検体に対して酸性度情報を取得することが難しい問題を考えて、診断の対象となる様々な種類の癌細胞をサンプルとして、それぞれのサンプルから、蛍光寿命情報と酸性度情報の関係に関する情報を取得し、実際検体の場合、蛍光寿命情報のみを取得し、これを基に、前記酸性度情報を演算することができるので、非侵襲的な方法を用いて使用者の便宜性を向上させ、癌診断をより正確に行うことができる。
【0023】
また、前記蛍光情報、すなわち、前記蛍光寿命情報及び前記蛍光強度情報の場合、パルスレーザを用いた共焦点スキャニングシステムを用いて取得するので、取得される情報の正確性が向上し、非侵襲的な情報の取得が可能であり、使い勝手がよくなる。
【0024】
一方、前記蛍光寿命情報を取得することに当たり、従来技術において、光検出器で取得された光信号を、電気的にフィルタ(GLPF、Gaussian low pass filter)及びアンプを通過させた後、デジタイザで信号を測定及び修復して取得することを単純化して、相対的に高い1ギガバイト(Gigabyte)以上の周波数をサンプリングするデジタイザ(digitizer)を用いて、フィルタとアンプを省略し、検出された光から、直接、蛍光寿命を測定して取得することができるので、信号対雑音比(SNR)を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る診断システムを示すブロック図である。
【0026】
図2図2は、図1の診断システムを用いた診断方法を示すフローチャートである。
【0027】
図3図3は、図1における蛍光情報取得部を示す模式図である。
【0028】
図4図4は、図1における導出部で導出される蛍光寿命と酸性度の関係を示すグラフである。
【0029】
図5図5は、図1の診断システムを用いて、検体に対する診断を行った結果を示すイメージである。
【符号の説明】
【0030】
10 : 診断システム
100 : 蛍光情報取得部
【0031】
200 : 酸性度情報取得部
300 : 導出部
【0032】
400 : 記憶部
500 : 酸性度情報演算部
【0033】
600 : 診断部
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示し、本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態について限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されなければいけない。第1、第2のなどの用語は、様々な構成要素を説明することに用いられるが、前記構成要素は、前記用語により限定されてはいけない。
【0035】
前記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使われる。本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なることを意味しない限り、複数の表現をも含む。
【0036】
本出願において、「含む」又は「からなる」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせるものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解すべきである。
【0037】
異なって定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使われる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、一般に理解されることと同様な意味を有している。 一般に使われる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解析されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解析されない。
【0038】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る診断システムを示すブロック図である。図2は、図1の診断システムを用いた診断方法を示すフローチャートである。図3は、図1における蛍光情報取得部を示す模式図である。図4は、図1における導出部で導出される蛍光寿命と酸性度の関係を示すグラフである。
【0040】
まず、図1に示しているように、本実施形態による前記診断システム10は、蛍光情報取得部100と、酸性度情報取得部200と、導出部300と、記憶部400と、酸性度情報演算部500と、診断部600とを含む。
【0041】
一方、以下では、図1及び図2を参照して、前記診断システム10、及び前記診断システム10を用いた診断方法について説明する。
【0042】
前記診断方法では、まず、蛍光情報と酸性度情報の間の関係に関する情報を記憶する(ステップS10)。
【0043】
すなわち、実際検診の対象となる検体22に対して診断を行う前に、様々なサンプル21についてデータベースを蓄積し、この場合、蓄積されるデータベースは、蛍光情報と酸性度情報の間の係に関するデータである。
【0044】
特に、前記検体22が癌細胞を含む検体であり、結果として診断の対象は、癌診断であるので、前記サンプル21も、癌細胞を含むサンプルであり、前記サンプル21の種類は、多様に用意する必要がある。
【0045】
すなわち、様々な種類の癌細胞を含むサンプル21に対して、前記蛍光情報と酸性度情報の間の関係に関するデータを蓄積及び記憶した状態で、検診が必要な検体22に対して、必要な情報を抽出し、前記記憶されたデータを用いて、該当検体22に対する検診を行うことになる。
【0046】
この場合、前記関係は、蛍光情報と酸性度情報の間の関係として説明しているが、実質的には、蛍光寿命情報と酸性度情報の間の関係である。
【0047】
より具体的に、前記関係に関する情報を記憶するステップ(ステップS10)では、まず、前記蛍光情報取得部100が、前記サンプル21から、蛍光情報を取得する(ステップS11)。
【0048】
この場合、取得される蛍光情報は、蛍光強度情報及び蛍光寿命情報であり、図3では、前記蛍光情報取得部100の例として、共焦点スキャニングシステムを示している。
【0049】
すなわち、図3に示しているように、前記蛍光情報取得部100は、例えば、共焦点スキャニングシステムであり、レーザ発生部110と、光分配部120と、スキャナ130と、レンズユニット140と、プローブ150と、検出部160とを含む。
【0050】
前記レーザ発生部110は、パルスレーザを発生させて、第1のレンズ111を介して前記光分配部120に提供し、前記光分配部120においては、前記パルスレーザを、前記スキャナ130に向かう方向に提供する。
【0051】
前記スキャナ130は、前記サンプル21に向かってパルスレーザを提供し、前記サンプル21に対するスキャニングを行い、前記レンズユニット140及び前記プローブ150を介して前記サンプル21に提供されるレーザの焦点を制御するか、スキャニングする位置に対するフォーカシングを行う。
【0052】
この後、前記サンプル21から検出されるレーザ光は、第2のレンズ161を介して前記光分配部120を通じて前記検出部160に提供され、前記検出部160では、前記レーザ光を分析して、前記サンプル21に関する蛍光強度情報及び蛍光寿命情報を検出する。
【0053】
また、前記検出部160で検出される前記蛍光強度情報及び前記蛍光寿命情報はそれぞれイメージングして、最終提供される。
【0054】
前記蛍光強度情報のみを基に、前記サンプル21又は検体22に対する診断、すなわち、必要な情報を取得する場合と比較して、本実施形態の場合、前記蛍光強度情報の他に、前記蛍光寿命情報を同時に用いて、前記サンプル21又は検体22に対する診断、すなわち、必要な情報を取得する。
【0055】
一方、本実施形態では、前記蛍光寿命情報を取得することに当たり、従来技術において、光検出器で取得された光信号を、電気的にフィルタ(GLPF、Gaussian low pass filter)及びアンプを通過させた後、デジタイザで信号を測定及び修復して取得することを、単純化することを特徴とする。
【0056】
すなわち、相対的に高い1ギガバイト以上の周波数をサンプリングするデジタイザ(digitizer)を用いて、フィルタとアンプを省略し、検出された光から直接蛍光寿命を測定して取得することができる。
【0057】
かくして、相対的に信号対雑音比(SNR)を減少することができる。
【0058】
以上のように、前記蛍光情報取得部100を用いて、前記サンプル21に関する蛍光情報を取得し、前述したように、様々なサンプル21に対して、前記蛍光情報取得部100を用いて、蛍光情報として、蛍光強度情報及び蛍光寿命情報を取得する(ステップS11)。
【0059】
さらには、本実施形態では、前記蛍光情報取得部100の例として、共焦点スキャニングシステムを示して説明したが、このような蛍光情報取得部100は、組織から切除した前記サンプル21に対して診断することができる顕微鏡タイプに製作できることは、自明である。
【0060】
また、このような顕微鏡タイプで製作される場合、後述する前記酸性度情報取得部200を同時に含めて、前記診断システム10を、顕微鏡タイプに製作することもできる。
【0061】
一方、前記酸性度情報取得部200では、前記サンプル21から、酸性度情報を取得する(ステップS12)。
【0062】
この場合、酸性度情報とは、該当サンプルの酸性の程度、又は酸の強度程度であり、水素イオン指数(pH)に導出される。
【0063】
前記酸性度情報取得部200は、前記蛍光情報の取得のために用いられる蛍光造影剤の酸性度と、前記蛍光情報のうち、蛍光寿命情報の関係を基に、前記サンプルに対する酸性度情報を取得する。
【0064】
これとは異なり、前記酸性度情報取得部200は、前記サンプル21に対するpHを直接測定して、酸性度情報を取得することもでき、この場合、公知の酸性度情報測定装置を利用することもできる。
【0065】
以上のように、それぞれのサンプル21に対して、蛍光情報として、蛍光寿命情報及び蛍光強度情報を取得し、酸性度情報も同時に取得した後、前記導出部300は、サンプル21のそれぞれに対して、前記蛍光寿命情報と前記酸性度情報の関係を導出する(ステップS13)。
【0066】
前記蛍光寿命情報と前記酸性度情報は、図4に示しているように、グラフにより、その関係を導出することができる。
【0067】
具体的に、前述したように、前記酸性度情報取得部200において、前記蛍光情報の取得に用いられる蛍光造影剤の酸性度と蛍光寿命情報を測定して式を導出することになると、前記サンプル21の酸性度を求めることができ、これを基に、前記蛍光寿命情報と前記酸性度情報の関係を導出することができる。
【0068】
図4では、蛍光寿命が増加するほど、サンプルの酸性度が増加する傾向を示している。酸性度が7以上の場合は、蛍光寿命が一定に維持されることが確認できる。
【0069】
以上のように、最終的にそれぞれのサンプル21に対して、蛍光寿命情報と酸性度情報の関係を導出することになると、前記関係は、前記記憶部400にデータベースとして記憶される。
【0070】
この後は、実際に検体22に対する診断を行うが、前記検体22は、患者から取得された検体であるか、患者からの取得が難しい場合、非侵襲的な診断のために、該当検体22が位置する患者に対する診断を行うことができる。
【0071】
かくして、前記蛍光情報取得部100では、前記検体22に対してパルスレーザを用いて、蛍光情報を取得し(ステップS20)、この場合、前記蛍光情報の取得は、前記サンプル21に対する蛍光情報の取得(ステップS11)と同様である。
【0072】
この後、前記酸性度情報演算部500は、前記記憶部400に記憶された前記蛍光寿命情報と酸性度情報の関係を基に、前記検体22に対する酸性度情報を演算する(ステップS30)。
【0073】
すなわち、前記記憶部400には、様々なサンプル21に対する蛍光寿命情報と酸性度情報の関係が記憶された状態であるので、診断しようとする検体22に関するサンプル21に対する関係を基に、前記検体22に対する酸性度情報を演算することができる。
【0074】
例えば、診断しようとする前記検体22が胃癌検体である場合、胃癌細胞に対するサンプルから、記憶された蛍光寿命情報と酸性度情報の関係を使用することができる。
【0075】
以上のように、前記検体22に対する酸性度情報が演算されると、前記診断部600では、前記蛍光強度情報と前記酸性度情報を基に、前記検体22に対する診断を行う(ステップS40)。
【0076】
すなわち、単に、蛍光強度情報のみを基に検体に対する診断を行うことではなく、蛍光強度情報と酸性度情報を同時に用いて、前記検体に対する診断を行い、これにより、検体に対する診断の正確性がより向上する。
【0077】
図5は、図1における診断システムを用いて、検体に対する診断を行った結果を示すイメージである。
【0078】
図5に示しているように、本実施形態による検体に対する診断を行った結果、実際に酸性度情報pHが7.0~7.4の場合、正常部位と診断し、酸性度情報pHが6.4~7.0の場合、腫瘍部位と診断する。特に、このような酸性度情報と共に蛍光強度情報も活用することができ、このような診断の正確性は、より向上することができる。
【0079】
本発明の実施形態によると、蛍光情報、特に、蛍光情報のうち、蛍光強度情報と酸性度情報を同時に用いて、検体に対する癌診断を行うことができるので、単に、蛍光強度情報のみを用いた癌診断の技術と比較して、癌診断の正確性を向上することができる。
【0080】
この場合、非侵襲的な方法で、検体に対して酸性度情報を取得することが難しいという問題を考えて、診断の対象となる様々な種類の癌細胞をサンプルとして、それぞれのサンプルから、蛍光寿命情報と酸性度情報の関係に関する情報を取得し、実際に検体の場合、蛍光寿命情報のみを取得して、これを基に前記酸性度情報を演算することができるので、非侵襲的な方法を用いて、使用者の便宜性を向上し、癌診断をより正確に行うことができる。
【0081】
また、前記蛍光情報、すなわち、前記蛍光寿命情報及び前記蛍光強度情報の場合、パルスレーザを用いた共焦点スキャニングシステムを用いて取得するので、取得される情報の正確性が向上し、非侵襲的な情報取得が可能であって、使い勝手がよくなる。
【0082】
一方、前記蛍光寿命情報を取得することに当たり、従来技術において、光検出器で取得された光信号を、電気的にフィルタ(GLPF、Gaussian low pass filter)及びアンプを通過させた後、デジタイザで信号を測定及び復元して取得することを単純化して、相対的に高い1ギガバイト以上の周波数をサンプリングすることができるデジタイザ(digitizer)を用いて、フィルタとアンプを省略し、検出された光から直接蛍光寿命を測定して取得することができるので、信号対雑音比(SNR)を減少することができる。
【0083】
前記では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】