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特表2024-511455乗り物グレージング及び近赤外線ビジョンシステムを有する関連機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】乗り物グレージング及び近赤外線ビジョンシステムを有する関連機器
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20240306BHJP
   C03C 17/25 20060101ALI20240306BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03C17/25 A
B60J1/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558502
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 FR2022050539
(87)【国際公開番号】W WO2022200735
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2102963
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ポリーヌ ジラール
【テーマコード(参考)】
4G059
4G061
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC04
4G059CB05
4G061AA20
4G061BA02
4G061CB12
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA23
(57)【要約】
本発明は、第一超透明ガラス板(外部グレージング)、及び905nm又は1550nmに適した反射防止コーティング(101)を有する、乗り物グレージング(100a)に関する。本発明はまた、関連機器に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物グレージング(100a~500)であって、特には路上又は鉄道の乗り物用であり、特にはウィンドシールド、リアウィンドウであり、特には湾曲しており、所定の厚さを有し、下記を有し、:
- 外部グレージングであることを意図されている第一ガラス板(1)であって、第一外側主面F1(11)、及び車室に向いている第二内側主面F2(12)を有する、第一ガラス板(1)、
- 好ましくは、積層中間層(3)であって、ポリマー材料でできており、F2に向いている主面Faを有し、Faの反対側に向いている主面Fbを有する、積層中間層(3)、
- 好ましくは、第二ガラス板(1’)であって、内部グレージングであることを意図されており、F2側に第三主面F3(13)、及び車室に向いている第四内側主面F4(14)を有する、第二ガラス板(1’)、
ここで、前記グレージングの少なくとも1つの第一ゾーン、すなわち赤外線透過ゾーンは、少なくとも、905nm±30nmである赤外線領域におけるいわゆる動作波長である第一波長LB1、及び/又は、少なくとも、1550nm±30nmである赤外線領域におけるいわゆる動作波長である第二波長LB2、において透明であり、
ここで、前記赤外線透過ゾーンにおいて、前記グレージングが、面F1の反対側に下記を有すること、を特徴とする乗り物グレージング(100a~500):
(a)前記第一動作波長LB1における反射防止コーティング(101)であって、165nm±50nmの厚さを有し、前記赤外線透過ゾーン内において、前記反射防止コーティング(101)を有する前記グレージングが、前記第一動作波長LB1において少なくとも85%の全透過率を有する、反射防止コーティング(101)
(b)又は、前記第二動作波長LB2における反射防止コーティング(101)であって、275nm±50nmの厚さを有し、前記赤外線透過ゾーン内において、前記反射防止コーティング(101)を有する前記グレージングが、前記第二動作波長LB2において少なくとも85%の全透過率を有する、反射防止コーティング(101)。
【請求項2】
(a)に関して、前記反射防止コーティング(101)が、0°の入射角で、前記第一動作波長LB1において、少なくとも90%の全透過率を有し、60°の入射角で、LB1において少なくとも80%の全透過率を有すること、
又は(b)に関して、前記反射防止コーティング(101)が、0°の入射角で、前記第二動作波長LB2において、少なくとも90%の全透過率を有し、60°の入射角で、LB2において少なくとも80%の全透過率を有すること、
を特徴とする、請求項1に記載の乗り物グレージング(100a~500)。
【請求項3】
(a)に関して、前記反射防止コーティング(101)が、8°の入射角で、前記第一動作波長LB1において、最大7%又は5%の反射率を有すること、
又は(b)に関して、前記反射防止コーティング(101)が、8°の入射角で、前記第二動作波長LB2において、最大7%又は5%の反射率を有すること、
を特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の乗り物グレージング(100a~500)
【請求項4】
前記反射防止コーティング(101)が、多孔性シリカの層を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(100a~500)。
【請求項5】
前記反射防止コーティングが、化学的保護下地層、特には密度の高いシリカ層、特にはゾル-ゲル法によるもの、を有しており、これが、その上に配置されている、多孔性シリカの機能層、特にはゾル-ゲル法によるものを有していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の乗り物グレージング。
【請求項6】
前記反射防止コーティング(101)が、基材上にあり、
- 前記グレージングが、積層され、かつ前記積層中間層及び前記第二ガラス板を有する場合、前記基材は、下記の中から選択され:
- (i)前記第二ガラス板であって、特には超クリアガラスでできており、面F4(14)上の反射防止コーティングが、剥き出しであるか、又は機能性コーティングでコーティングされている、前記第二ガラス板、
- 又は(j)ピースであって、反射防止コーティングが、前記第一動作波長LB1及び/又は前記第二動作波長LB2において透明なピース(9)の自由面上にあり、ピースが、前記第二ガラス板の貫通穴(4)の下及び/又は中にある、ピース、
- 又は(k)前記第一ガラス板であって、特には超クリアガラスでできており、面F2(12)上の反射防止コーティングが、剥き出しであるか、又は機能性コーティングでコーティングされており、前記積層中間層が、前記第二ガラス板の貫通穴に合っている中間層貫通穴によって穿孔されている、前記第一ガラス板、
- 前記グレージングが、モノリシックである場合、前記基材は:
- (l)前記第一ガラス板であって、面F2(12)上の反射防止コーティングが、剥き出しであるか、又は機能性コーティングでコーティングされている、前記第一ガラス板である、
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(100a~500)
【請求項7】
構成(j)において、前記ピースが、随意に止まり穴を有する、前記積層中間層上にあり、又は、前記積層中間層が前記貫通穴に合っている中間層貫通穴で穿孔されており、前記ピースが、面F2に付着していることを特徴とする、請求項6に記載の乗り物グレージング(200~400)。
【請求項8】
構成(j)では、前記ピースが、ガラスでできており、特には超クリアであり、特には強化、半強化、化学的強化、アニーリングされていることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の乗り物グレージング(200~400)。
【請求項9】
構成(j)では、前記ピースが、ガラスでできており、特には超クリアであり、最大2.2mm、さらには最大1.1mm、さらには少なくとも0.1mm又は0.3mmの厚さを有することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(200~400)。
【請求項10】
前記赤外線透過ゾーンが、前記グレージングの周縁領域内、好ましくは上方の長手方向の端部内、さらには周縁中央領域内にあり、特には前記反射防止コーティングが、局所的であるか、又は前記グレージングの全部又は一部を覆う前記透過ゾーンから突出していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(100a~500)。
【請求項11】
前記赤外線透過ゾーンが、センチメートル単位であり、特には比較的小さい寸法の場合少なくとも5cmであり、好ましくは比較的大きい寸法の場合最大70cmであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(100a~500)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の乗り物グレージングであって、前記赤外線透過ゾーンから分離された別の赤外線透過ゾーンを有し、これは、特にはセンチメートル単位であり、前記反射防止コーティング(a)若しくは(b)が、これら2つの赤外線透過ゾーンに共通の反射防止コーティングであるか、又はさらには、反射防止コーティング(a)若しくは(b)が、前記赤外線透過ゾーンのそれぞれについて存在することを特徴とする、乗り物グレージング。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(100a~500)であって、不透明マスキング層(5)を、特にはエナメルを、面F2上かつ/又は面Fa(31)上に有し、特には前記不透明マスキング層が、前記赤外線透過ゾーンと一致して、少なくとも中央ゾーン内に存在しないか、又は前記赤外線透過ゾーンに合っている間隙を有し、特には前記反射防止コーティング(101)が、前記不透明マスキング層と離れているか、又は接触していることを特徴とする、乗り物グレージング(100a~500)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(100a~500)であって、不透明マスキング層を面F4内に有し、特には前記不透明マスキング層が、前記赤外線透過ゾーンに一致して、少なくとも中央ゾーン内に存在しないか、又は前記赤外線透過ゾーンに合っている間隙を有し、特には面F4上の前記反射防止コーティング(101)が、好ましくは前記マスキング層と間隔を置くか、又は前記マスキング層の下に部分的に存在することを特徴とする、乗り物グレージング(100a~500)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(200~500)であって、前記反射防止コーティングを有する前記赤外線透過ゾーンにおいて、前記面F2側の上に、可視領域において吸収性であり、かつ前記第一動作波長LB1及び/又は前記第二動作波長LB2において透明である、選択フィルターを有し、この場合、前記グレージングが、可視領域において、特には少なくとも400nm~700nmの範囲内の参照値において、最大10.0%、最大5.0%、又は最大1.0%若しくは最大0.5%の全透過率を有することを特徴とする、乗り物グレージング(200~500)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の乗り物グレージング(200~500)であって、前記選択フィルターが、カモフラージュコーティングであり、特には面F2(12)上にあり、さらには面F3(13)の下に突出しており、前記反射防止コーティングが、好ましくは面F2から離れていることを特徴とする、乗り物グレージング(200~500)。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の乗り物グレージングであって、面F2又は面F3上に、グレージングの全部又は一部にわたって延在している機能層であって、特には導電層であり、透明であり、熱遮断性であり、随意に加熱作用があり、特には銀スタック若しくはTCOである、機能層を有し、又は不透明マスキング層、特にはエナメルも有し、この機能層が、前記動作波長LB1及び/又は前記第二動作波長LB2において吸収性であり、前記赤外線透過ゾーンにおいて、少なくとも前記中央ゾーンにおいて、存在しないことを特徴とする、乗り物グレージング。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の乗り物グレージングであって、透明加熱導電層を有し、これが、前記第一動作波長LB1及び/又は前記第二動作波長LB2において透明であり、特には透明伝導性酸化物でできており、前記赤外線透過ゾーン内に位置していることを特徴とする、乗り物グレージング。
【請求項19】
機器であって、下記を有することを特徴とする、機器:
- 請求項1~18のいずれか一項に記載のグレージング、
- 前記第一動作波長LB1及び/又は前記第二動作波長LB2における赤外線ビジョンシステムであって、車室内で前記グレージングの後方に配置され、それによって、前記赤外線透過ゾーンにおいて前記グレージングを通過した後の放射線を、送信かつ/又は受信するようになっている、赤外線ビジョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線ビジョンシステムに関連した、乗り物内、特には路上走行車又は列車内の、グレージング、特にはウィンドシールドに関する。本発明は同様に、上記グレージング及びビジョンシステムを組み合わせた機器についても説明する。
【背景技術】
【0002】
自律走行車のグレージング及びその関連技術は、特には安全性向上のために、常に進化している。レーザーリモートセンシング又はLIDARは、「光検出及び測距(light detection and ranging)」又は「レーザー検出及び測距(laser detection and ranging)」の頭文字をとったものであり、自律走行車のヘッドライト内で用いられうる。
【0003】
最近では、国際公開第2018/0153012号が、750nm~1050nmの近赤外線において作動するLIDARを、2枚の超クリアガラス板及び赤外線フィルターを有する、積層されたウィンドスクリーンの後方に置くことを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このビジョンシステム(LIDARと関連したグレージング)の性能を、向上させうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
より広義には、本発明は、赤外線ビジョンシステムを有する機器も対象としている。より正確には、本発明は、乗り物グレージングに関し、特には路上走行車(自動車、トラック、公共交通機関:バス、コーチなど)又は鉄道車両(特には最高速度が最大時速90km/h又は時速70km/hであり、特には地下鉄、路面電車)のグレージングに関し、特には湾曲している、特には(積層された)ウィンドシールドに関し、又はリアウィンドウ(モノリシックであり随意に強化(テンパリング)若しくは積層されている)にも、又はサイドグレージング(モノリシックであり随意に強化若しくは積層されている)にも関し、所定の厚さE1が、例えばサブセンチメートルであり、特には路上走行車のウィンドシールドに関して最大9mm又は7mm又は5mmであるグレージングに関し、特には積層された、下記を有するグレージングに関する:
- 第一ガラス板であって、特には湾曲しており、外部グレージングとなるように意図されており、第一外側主面F1及び車室に向いている第二内側主面F2を有し、自動車である場合、好ましくは最大4mmの厚さ、さらには最大3mm又は2.5mmの厚さ - 特には2.1mm、1.9mm、1.8mm、1.6mm及び1.4mm - を有し、好ましくは、少なくとも0.7mm又は1mmの厚さを有し、第二ガラス板が、特にはシリカ系、ソーダ石灰系、好ましくはソーダ石灰シリカ系、又はアルミノケイ酸塩系、若しくはホウケイ酸塩系であり、第一ガラス板が、好ましくは、最大0.05重量%の総酸化鉄含有量(Feの形態で表される)を有する、第一ガラス板。
- 好ましくは積層中間層(単一板又は複数板)であって、随意にニュートラルであり、クリアであり、超クリアであり、又は着色されており、特には灰色又は緑色に着色されており、ポリマー材料、好ましくは熱可塑性、より好ましくはポリビニルブチラール(好ましくは可塑剤を含む、PVB)でできており、好ましくは路上走行車である場合、最大1.8mm、より好ましくは最大1.2mm、及びさらにより好ましくは最大0.9mmの厚さ(より好ましくは少なくとも0.3mm、さらには少なくとも0.6mmの厚さ)を有し、積層中間層が、随意に音響特性を有し、かつ/又は随意に、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用の積層されたグレージング(特にはウィンドシールド)の上部から下部に向かって、くさび状に先細りしている断面を有し、積層中間層が、F2に向けられた主面Fa、及びFaとは反対側の主面Fbを有する、積層中間層。
- 好ましくは第二ガラス板であって、内部グレージングとなるように意図されており、好ましくは湾曲しており、特には着色されており、F2側に第三主面F3、及び車室に向いている第四主内側面F4を有し、路上走行車である場合、好ましくは第一グレージングの厚さよりも小さい厚さ、さらには最大3mm又は2mmの厚さ - 特には1.9mm、1.8mm、1.6mm及び1.4mm - 、さらには最大1.3mmの厚さを有し、好ましくは少なくとも0.7mmの厚さを有し、第一及び第二ガラス板の厚さが、好ましくは厳密に5又は4mm未満、さらには3.7mm未満であり、第二ガラス板が、特にはシリカ系、ソーダ石灰系、好ましくはソーダ石灰シリカ系、又はアルミノケイ酸塩系、又はホウケイ酸塩系である、第二ガラス板。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明の第一実施形態におけるウィンドスクリーン100aの概略断面図を示す。
【0007】
図2a図2aは、図1のウィンドシールド100aの概略正面図(車室側)を示す。
【0008】
図2b図2bは、本発明の第一実施形態の第一変形例に係るウィンドスクリーン100bの概略正面図(車室側)を示す。
【0009】
図2c図2cは、本発明の第一実施形態の第二変形例に係るウィンドスクリーン100cの概略正面図(車室側)を示す。
【0010】
図2d図2dは、300~1800nmの波長範囲におけるウィンドシールドの透過曲線、特には赤外線の透過曲線を示す。
【0011】
図3図3は、本発明の第二実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド200の概略断面図を示す。
【0012】
図4図4は、図3のウィンドシールド200の概略正面図(車室側)を示す。
【0013】
図5図5は、本発明の第三実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド300の概略断面図を示す。
【0014】
図6図6は、本発明の第四実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド400の概略断面図を示す。
【0015】
図7図7は、本発明の第五実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド500の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記グレージングの少なくとも1つの第一ゾーン、いわゆる赤外線透過ゾーンは、特には、比較的小さい方の寸法の場合少なくとも3cmであり、かつ比較的大きい方の寸法の場合少なくとも70cmであり、少なくとも、905nm±30nmさらには905nm±10nmの赤外線領域におけるいわゆる動作波長である第一波長LB1、及び/又は、少なくとも、1550nm±30nmさらには550nm±10nmの赤外線領域におけるいわゆる動作波長である第二波長LB2、に対して、透明(透過性)である。
【0017】
上記赤外線透過ゾーンにおいて、グレージングは、面F1の反対側(したがって、面F2側の上)に、下記を有する:
(a)第一動作波長LB1における反射防止コーティング(単層)であって、165nm±50nm、さらには165nm±30nm、特には165nm±15nmである厚さを有し、赤外線透過ゾーン内に、上記反射防止コーティングを有するグレージングが、第一動作波長LB1において、特には0°の入射角(換言すれば、上記反射防止コーティングの支持基材の局所平面に対して90°)で測定された、少なくとも85%、若しくは少なくとも90.0%、91.0%、若しくは92.0%、若しくは93%、若しくは94%の全透過率を有し、また、さらに好ましくは、60°の入射角で測定された、少なくとも80%、若しくは85%、若しくは86%の全透過率を有する、反射防止コーティング、
(b)又は、第二動作波長LB2における反射防止コーティング(単層)であって、275nm±50nm、さらには275nm±30nm、特には275nm±15nmである厚さを有し、赤外線透過ゾーン内に、上記反射防止コーティングを有するグレージングが、第二動作波長LB2において、特には0°の入射角で測定された、少なくとも85%、若しくは少なくとも90.0%、91.0%、若しくは92.0%、若しくは93%、若しくは94%の全透過率を有し、また、さらに好ましくは、60°の入射角で測定された、少なくとも80%若しくは85%の全透過率を有する、反射防止コーティング。
【0018】
有利には:
- (a)に関して、上記反射防止コーティングは、8°の入射角で、第一動作波長LB1において、最大7%若しくは5%の反射率、さらには60°の入射角において、最大14%若しくは13%若しくは12%の反射率を有する;
- 又は、(b)に関して、上記反射防止コーティングは、8°の入射角で、第二動作波長LB2において、最大7%若しくは5%の反射率、さらには60°の入射角において、最大14%若しくは13%若しくは12%の反射率を有する。
【0019】
これらの特定の厚さは、LB1及び/又はLB2において作動するLIDARの性能を大幅に向上させる。
【0020】
例えば、反射防止コーティングの支持基材は、550nmにおいて1.4~1.6の屈折率n0を有し、反射防止コーティングは、550nmにおいて最大1.3±0.2の屈折率n1を有する。
【0021】
本発明は、自律走行車又は半自律走行車用の:レベルL2+、L3、L4、及びL5(「完全」自律走行)、並びにロボットタクシー及びシャトルバスなどの乗り物用の、グレージング(ウィンドスクリーン、窓など)に、特には適している。
【0022】
グレージングの、特には路上走行車のウィンドシールドの、角度は、典型的には、地面に対して21°~36°、平均30°でありうる。また、60°における高い透過率が、特に有利である;なぜならば、ウィンドシールドが地面から30°の位置にある場合に、これが、ウィンドシールド上におけるLIDARのビームの入射角であるからである。
【0023】
赤外線透過率は、例えばBrukerVertex-70などの、フーリエ分光計を用いて測定される。
【0024】
反射防止コーティング(単層)は、(自由表面を有する)多孔性シリカの層、特にはナノ多孔性の層、好ましくはゾル-ゲル法の層を有し、これらは、特には、20%~70%、特には35%~65%、さらには40%~50%の多孔度を有する。
【0025】
反射防止コーティング、特には局所的な反射防止コーティングは、好ましくは、赤外線透過領域から、最大100mm、50mm、30mm、又は20mm、又は10mm突出し、特にはグレージングの30%未満、10%未満、5%未満を占める。
【0026】
第一実施形態では、細孔は、ナノビーズの、特にはシリカの、非コンパクトなスタックの間隙であり、この層は、例えば米国特許出願公開第20040258929号明細書において開示されている。
【0027】
第二実施形態では、多孔性シリカ層は、NHタイプの蒸気によって高密度化された縮合シリカゾル(シリカオリゴマー)を堆積させることによって得られ、この層は、例えば国際公開第2005049757号において記載されている。
【0028】
第三実施形態では、多孔性シリカ層はまた、欧州特許出願公開第1329433号において記載されているようなゾル-ゲル法タイプのものであってもよい。多孔性層を、他の公知の下記の細孔形成剤を用いて得てもよい:溶液中の、随意に加水分解形態の、カチオン性界面活性剤分子のミセル、又はアニオン性のもの、非イオン性界面活性剤のもの、又は両親媒性分子のもの、例えばブロックコポリマーのもの。
【0029】
第四実施形態では、多孔性シリカ層はまた、国際公開第2008/059170号において記載されているような、ゾル-ゲル法タイプのものであってもよい。このようにして、多孔性層を、好ましくはポリマービーズである、細孔形成剤を用いて得てよい。
【0030】
多孔性シリカの層は、少なくとも20nm、50nm又は80nm、好ましくは最大120nm又は100nmの、閉じている(層の厚さより小さい大きさの)細孔を有しうる。随意に機能層は、自由表面(空いている表面)の方向に量が増加している細孔を、有しうる。細孔は、特には米粒のような、細長い形状を有しうる。さらにより好ましくは、細孔は、実質的に球形又はオーバル形でありうる。閉じている細孔の大部分、さらにはそれらの少なくとも80%が、実質的に同一の所定の形状、特には細長い形状、実質的には球形又はオーバル形を有することが好ましい。多孔性シリカを、例えば、大きな強度を必要とする用途(ファサード、外装など)の場合、その加水分解含量をさらに向上させるために、ドープしうる。ドーピング元素は、好ましくは、Al、Zr、B、Sn、Znから選択されうる。ドーパントは、Si原子を、好ましくは10%、さらにより好ましくは最大5%に達しうるモル割合で、置換するよう導入される。
【0031】
多孔性シリカ層、特にはゾル-ゲル法のものを、高温熱処理(特には300℃又は400℃以上のもの)なしで得うる。反射防止コーティングは、化学的保護下地層を有し、これは、好ましくは、参照波長(550nm又はLB1若しくはLB2)において、基材の参照波長における屈折率n0と反射防止層の参照波長における屈折率n1との中間の、屈折率を有し、例えば最大1.45~550nm、特には最大200nm又は120nmの厚さを有し、例えば、特には、ゾル-ゲル法による、密度の高いシリカ層(屈折率1.4)であり、上に、多孔性シリカ機能層(反射防止)(ゾル-ゲル法)が配置されている。
【0032】
このようにして、反射防止コーティングは、1つの多孔性シリカ層(単層)のみを有し、随意に、その反射防止機能も強化しうる、この下地層を有する。下地層は、シリカ、又は少なくとも部分的に酸化された誘導体であって、二酸化ケイ素、亜化学量論的酸化ケイ素、ケイ素のオキシ炭化物、オキシ窒化物若しくはオキシ炭窒化物から選択されるケイ素の誘導体、に基づいてよい。下地層は、下方の表面がソーダ石灰シリカガラスでできている場合に、有用である;なぜなら、これは、アルカリに対するバリアとしてふるまうためである。したがって、この下地層は、有利には、Si、O、随意に炭素及び窒素を含む。しかしながら、それはまた、ケイ素に対して少数である材料、例えばAl、Zn、Zrのような金属を含みうる。下地層は、ゾル-ゲル法によって、又は熱分解によって、特には気相熱分解(CVD)によって、堆積されうる。後者の技術は、特にはガラス基材の場合にフロートガラスリボン上に直接堆積させることによって、SiO又はSiOの層を極めて容易に得ることを、可能にする。しかしながら、堆積はまた、真空技術によって、例えば、Siターゲット(随意にドープされている)又は亜酸化ケイ素ターゲット(例えば反応性酸化及び/又は窒化雰囲気中)からのカソードスパッタリングによって、実施されうる。この下地層は、好ましくは少なくとも5nmの厚さ、特には10nm~200nm、例えば80nm~120nmの厚さを有する。
【0033】
多孔性シリカ層は、自由表面を有する。反射防止コーティングはまた、オーバーレイヤーを、それが反射防止特性を変化させない場合、有してもよい。
【0034】
反射防止コーティングはまた、面F2側の上(面F2若しくは面F4、又は後述するピースの面上)とは反対側の面F1上にも置かれうる。
【0035】
反射防止コーティングは、赤外線透過ゾーンの断面と同じ形状、例えば台形又は長方形もなど、を有しうる。
【0036】
反射防止コーティングは、(特にはガラスでできており、好ましくは超クリアな)基材上にありうる。
- グレージングが、積層され、特にはウィンドシールドであり、積層中間層及び第二ガラス板を有する場合、この基材は、下記の中から選択される:
- (i)第二ガラス板であって、特には超クリアガラスでできており、面F4上の反射防止コーティングが、剥き出しであるか、若しくは機能性コーティング(カモフラージュ、熱遮断、加熱など)を、特には200nm超の厚さで(既に)コーティングされている(第一グレージング構成と呼ばれる)、第二ガラス板。
- 又は(j)ピースの上;反射防止コーティングは、上記第一動作波長LB1及び/若しくは上記第二動作波長LB2において透明(透過性)であるピースの自由面上にあり、この透明ピースは、(赤外線透過ゾーン内の)第二ガラス板の貫通穴の下かつ/若しくは貫通穴の中(特に好ましくは貫通穴の中、さらには部分的に貫通穴の下、特には面F4と面一(面F4をはみ出している))にあり(第二グレージング構成と呼ばれる)、特には、ありうる中間層の止まり穴(一部は貫通穴の下に突出しているか、若しくは突出していない)を有する積層中間層上のピースであり、若しくは上記貫通穴に合っている中間層貫通穴によって穿孔された積層中間層を有する面F2(剥き出し若しくは機能性コーティングでコーティングされている)に付着しているピースである。
- 又は(k)第一ガラス板であって、特には超クリアガラスでできており、面F2上で剥き出しであるか、若しくは機能性コーティング(好ましくはカモフラージュコーティング、若しくは熱遮断コーティング、加熱コーティングなども)で、特には最大200nmの厚さを有する機能性コーティングで(既に)コーティングされており、積層中間層は、(赤外線透過ゾーン内の)第二ガラス板の貫通穴に合っている中間層貫通穴によって穿孔されている(第三グレージング構成と呼ばれる)、第一ガラス板。
- グレージングがモノリシックである場合、特にはサイドウィンドウ又はリアウィンドウである場合、基材は下記である:
- (l)第一ガラス板であって、特には超クリアガラスでできており、面F2(12)上の反射防止コーティングが、剥き出しであるか、又は機能性コーティングでコーティングされている、第一ガラス板。
【0037】
第二構成では、本発明によるこのピースは、好ましくは、安全性を向上させるために第二ガラス板の貫通穴の中(さらにはその下)に、追加される。
【0038】
貫通穴内のピースの大きさ(幅及び/又は表面)は、第二ガラス板の貫通穴よりも小さく、ピースは、第二ガラス板の貫通穴を区画している第二ガラス板の壁面と、接触している端面を有し、又は最大5mmの間隔をあけている、好ましくは、最大2mm、さらには0.1mm~2mm若しくは0.3mm~2mmの範囲の距離で、若しくは0.1mm~0.7mm若しくは0.3mm~0.7mmの範囲の距離でも、間隔をあけている端面を有する。ピースの表面は、面F4に対して引っ込んでいてよく、面F4に対して面一であってよく、面F4に対してはみ出していてよい。
【0039】
ピースは、第一(又は第二)ガラス板の湾曲に従って、湾曲(凸状)しうる;特には、ピースは湾曲し、特には、第一(又は第二)ガラス板の湾曲に従う、テンパーガラス又はアニールガラスである。ガラス曲げ処理に関して、国際公開第2002/006170号を参照されたい。
【0040】
ピースは、ポリマーであってよいし、又はガラスでできていてよく、好ましくは、超クリアであってよく、特にはアニーリング若しくは(熱的に)強化(テンパリング)されてよく、又は化学的に強化されてよく、又は(少なくとも300℃又は400℃の)高温熱処理をされなくてもよい。特には少なくとも300℃又は400℃の、アニーリングは、支持シリカ層の製造方法(特には多孔質化剤の除去かつ/又は層の高密度化)から生じうる。ピースを湾曲させるための温度を、シリカ層を形成(特には、細孔形成剤の除去かつ/又は層の高密度化)するのに用いうる。
【0041】
ピースは、シリカ系、ソーダ石灰系、ソーダ石灰シリカ系、又はアルミノケイ酸塩系、又はホウケイ酸塩系のガラス、特には超クリアガラスでできていてよい。ピースは、最大0.05%(500ppm)の、好ましくは最大0.03%(300ppm)かつ最大0.015%(150ppm)の重量で、特には0.005%以上の重量で、総酸化鉄含有量(Feの形で表される)を有しうる。
【0042】
特にはガラスでできており、好ましくは超クリア又はポリマーである、ピースの厚さは、少なくとも0.1mm、又はさらには少なくとも0.3mm、かつ最大2.2mm若しくは1.5mm、又はさらには最大1.1mm、若しくは1mm、若しくは0.9mm、若しくは0.75mmでありうる(要求される透過レベル及び/又は要求されるセキュリティ強化による)。
【0043】
ピースは、特にはガラスでできており、例えば0.9mm若しくは0.75mmであるピースに関して、(その可撓性によって)冷間湾曲(ドーミング)されてよいし、又はガラスピースも、例えば厚さ0.75mm若しくは0.9mmであるピースに関して、ガラス板のものと同様の曲面によって湾曲させられる
【0044】
ピースの厚さ、特にはガラスでできているピースの厚さは、第二ガラス板の厚さよりも小さくてよい。
【0045】
薄板ガラスの例として、コーニング社のゴリラ(登録商標)ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、随意に化学強化ガラスを挙げてよい。
【0046】
積層されたグレージングの場合、赤外線透過ゾーンは、このようにして、下記を有する:
- 面F2上に反射防止コーティング(内側にピースの無い、第二の穿孔された板)を有する、好ましくは、面F2(スズ面又は反対側の面など)上に直接有する、第一ガラス板。
- 第一ガラス板、積層中間層、面F4上に反射防止コーティングを有する第二ガラス板
- 第一ガラス板、第二ガラス板の貫通穴内に反射防止コーティングを有するピースを結合するための積層中間層又は接着剤
【0047】
LB1及び/又はLB2におけるありうる限り高い透明度(透過度)が、赤外線透過ゾーンにおける各要素(及び、特にはカモフラージュのための、機能コーティングとして追加された任意のその他のもの)に対して選択される。
【0048】
赤外線透過ゾーンは、グレージングの周縁領域内に、好ましくは上方の長手方向の端部上に、さらには中央の周縁領域内にも、あってよく、反射防止コーティングは、局所的であるか、又はグレージングの全部又は一部を覆う赤外線透過ゾーンから、突出している(特にはF4内の場合)。
【0049】
本発明による(この時局所的である)反射防止コーティングは、例えば、赤外線透過ゾーンを超えて、最大100mm又は50mm又は10mm突出しうる。
【0050】
赤外線透過ゾーンは、グレージングの端面上に開いていてよく、反射防止コーティングは、グレージングの端面上に開いていてよいし、又はグレージングの端面から、特には少なくとも3cm若しくは5cm若しくは1cm離隔していてよい。
【0051】
赤外線透過ゾーンは、グレージングの端面から、特には少なくとも3cm又は5cm離間していてよく、反射防止コーティングは、グレージングの端面上に開いていてよいし、又はグレージングの端面から、特には少なくとも3cm若しくは5cm若しくは1cm離隔していてもよい。
【0052】
赤外線透過ゾーンは(表面によって画定され)、センチメートル単位で、特には比較的小さい場合少なくとも5cmでありうるし、好ましくは比較的大きい場合最大70cm又は50cmでありうる。
【0053】
例えば、赤外線透過ゾーンは、グレージング上の局所的なものであってもよく、特には高さ(グレージングの表面上、例えば第一ガラス板上の、端から端まで)が最大30cm以下(少なくともセンチメートル単位で、少なくとも5cm)であり、長さが最大70cm又は50cm(少なくともセンチメートル単位で、少なくとも5cm又は10cm)である。
【0054】
赤外線透過ゾーン(特にはこのゾーン内の第一ガラス板の表面によって画定される)は、特には断面が凸状であってよく、とりわけ好ましくは台形で、又は円形、若しくはオーバル形、若しくは楕円体でも、又は長方形、正方形でもあってよい。
【0055】
赤外線透過ゾーン(特にはこのゾーン内の第一ガラス板の表面によって画定される)は、下記でありうる:
- 閉じており(第二ガラス板の壁面によって囲まれており)、したがってグレージング内にあり、特にはグレージングの最も近い端面から少なくとも3cm又は5cm離隔している。
- グレージングの端面上に開いている。
【0056】
上記赤外線透過ゾーンから分離された(特には上記赤外線透過ゾーンと同様の大きさ及び/又は形状を有する)別の赤外線透過ゾーン(センチメートルの大きさである)、特には赤外線ビジョンシステム(Lidar)の、一方は送信機専用のもの及び他方は受信機専用のものが、存在してよい。反射防止コーティングは、これら2つの赤外線透過ゾーンに対して共通のコーティングであってよく(特には、それが面F2若しくは面F4内の反射防止コーティングである場合)、又は本発明による反射防止コーティングも、赤外線透過ゾーンの各々について(特には、第二ガラス板の2つの分離された貫通穴内の2つの部分上に)、存在してもよい。
【0057】
第一ガラス板、特にはシリカ系、ソーダ石灰系、(好ましくは)ソーダ石灰シリカ系、又はアルミノケイ酸塩系、又はホウケイ酸塩系である。第一ガラス板は、最大0.05%(500ppm)、好ましくは最大0.03%(300ppm)かつ最大0.015%(150ppm)、特には0.005%以上の重量で総酸化鉄含有量(Feの形態で表される)を有しうる。
【0058】
積層されたグレージングの場合、第二ガラス板であって、特にはシリカ系、ソーダ石灰系、好ましくはソーダ石灰シリカ系(第一ガラス板と同様)、さらにはアルミノケイ酸塩系、又はホウケイ酸塩系である第二ガラス板は、下記を有しうる:
(i)第一グレージング構成において、最大0.05%(500ppm)、好ましくは最大0.03%(300ppm)かつ最大0.015%(150ppm)、特には0.005%以上の重量による、総酸化鉄含有量(Feの形で表される)、特には超クリアガラス、
(j)又は第二若しくは第三グレージング構成において、最大0.4%、好ましくは最大1.5%の重量による、総酸化鉄含有量(Feの形で表される)。
【0059】
本発明による第二又は第三の構成では、高い伝送レベルを達成するために、下記のものが選択される:
(1)対象とする近赤外線領域内で超クリアである、外部ガラス、
(2)近赤外線領域における吸収性がより高く、必然的に第二ガラス板の貫通穴による穴を開けられている、内部ガラス。
【0060】
さらに、第二超クリアガラス板を用いることを避けることによって、快適性(乗り物内の熱)、美観が向上し、コストが抑えられる。
【0061】
酸化鉄は、ガラス製造において用いられる天然原料(砂、長石、石灰石、ドロマイトなど)のほとんどに、不純物として存在し、可視領域及び近紫外線領域内(第二鉄イオンFe3+による吸収)の両方で、とりわけ可視領域及び近赤外領域内(第一鉄イオンFe2+による吸収)で、吸収を示す。このため、酸化鉄は、第一ガラス板内で低減される。
【0062】
第二ガラス板では、より高量の酸化鉄を有する選択をしうる。
【0063】
可視領域におけるガラスの透過率を定量化するために、光透過性と呼ばれる、光透過率がしばしば定義され、しばしば「T」と略され、ISO規格9050:2003に従い、このようにして、規格ISO/CIE10526によって定義されている照度D65、及び規格ISO/CIE10527によって定義されているC.I.E.1931測色標準観測者を考慮して、380~780nmで計算され、3.2mm又は4mmのガラス厚に適用される。
【0064】
当然ながら、赤外線透過外のゾーン(ウィンドシールドの中央ゾーン)における(積層などされている)グレージングの光透過率Tは、好ましくは少なくとも70%又は75%、80%又は85%、88%である。
【0065】
第二又は第三グレージング構成において、第二ガラス板は、特には緑、青、灰色である。第二ガラス板は、Feによる緑色、又はCoO及びSeによる青色、又はSe及びCoOによる灰色であってよい。
【0066】
TSAnx(鉄0.5~0.6%)、TSA2+、TSA3+(鉄0.8~0.9%)、TSA4+(鉄1%)、TSA5+と呼ばれ、例えば緑色である、本出願人のガラスが、特には挙げられうる。
【0067】
例えばTSA3+(2.1mm)は、905mmにおいて約40%、1550mmにおいて約50%の全透過率を有する。
【0068】
第二ガラス板は、重量によるFeO(第一鉄)含有量と重量による総酸化鉄含有量(Feの形で表される)との比が、0.22~0.35、又は0.30であると定義される、酸化還元率を有しうる。
【0069】
上記第二ガラス板は、下記に定義される重量限度内で変化する含有量において、下記の成分を含む化学組成を有しうる:
SiO 64~75%、
Al 0~5%、
0~5%、
CaO 2~15%、
MgO 0~5%、
NaO 9~18%、
O 0~5%、
SO 0.1~0.35%、
Fe(合計の鉄) 少なくとも0.4%、さらには0.4~1.5%、
随意に起こる酸化還元率 0.22~0.3。
【0070】
特には、不純物は0.1%未満である。
【0071】
第二ガラス板の貫通穴は、下記でありうる:
- 閉じている穴であり(第二ガラス板の壁面によって囲まれている)、したがってグレージング内にあり、特にはグレージングの最も近い端面から少なくとも3cm又は5cm離隔している。
- 開いている又は開口しており、(周縁部の)ノッチを形成している。
【0072】
第二ガラス板の貫通穴は、好ましくは、積層されたグレージングの周縁ゾーン内、好ましくは上方の長手方向の端部上かつ/又は周縁中央領域内にあり、反射防止コーティングは、局所的であり、この周縁領域内にある。
【0073】
第二ガラス板の貫通穴は、所定の形状、特には凸状の垂直横断面、例えば台形、長方形、丸みを帯びた形、オーバル形など、を有する。反射防止コーティングは、相似的形状又は任意の他の形状、例えば長方形を、有しうる。
【0074】
必要であれば、同一の形状及び/又は寸法の、第二ガラス板内の複数の貫通穴(2、3穴)は、例えば特にはこの周縁領域において並んでいることも、想定されうる。そして、面F2は、全ての穴において自由表面を有する、共通の反射防止コーティング(a)若しくは(b)を有するか、又は各穴について異なる、局所的な反射防止コーティング(a)若しくは(b)を有する。
【0075】
第二ガラス板の貫通穴の形状及び寸法は、グレージング(ウィンドシールド、窓など)を通過する全ての放射線を、特にはLIDARの場合、乗り物の外側の立体角範囲から反射され、LIDARを介して捕捉されるような、乗り物の前方の領域から来る放射線を、効果的かつ選択的に収集するために、当技術分野の技術に従って構成される。
【0076】
例えば、第二ガラス板の貫通穴は、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムと同じ形状を有する。
【0077】
第二ガラス板の貫通穴(開いている又は閉じている)は、特には凸状断面でありうるし、とりわけ好ましくは、台形で、又は円形、若しくはオーバル形、若しくは楕円体で、又は長方形、正方形でもありうる。
【0078】
第二ガラス板の貫通穴がノッチである場合、このノッチの一部は、グレージングのフレームによって隠されるであろうし、このように、ビジョンシステムに対して機能しない。穴が端部に近すぎる場合も、同様に当てはまる。
【0079】
第二ガラス板の貫通穴が閉じている場合、グレージングの端面(好ましくは上方の長手方向の端部、特には中央ゾーン内)に最も近い穴の縁は、(第二の板の)グレージングのこの端面から、好ましくは少なくとも2cm又は3cm、より好ましくは5cm離隔している。
【0080】
第二ガラス板の貫通穴は、ウィンドシールドの上方の長手方向の端部の中央ゾーン内、内側リアビューミラー(乗り物によっては、穴に隣接するか又はリアビューミラーが排除される)の通常ゾーン内、面F2及び/又は面FA上のマスキング層が、上方の端部に沿った短手方向ゾーン上(助手席、運転席)よりも一般的に厚いゾーン内に、ありうる。
【0081】
好ましくは、第二ガラス板の貫通穴は、断面、特には台形、又は円盤若しくはオーバル型の断面を有し、-比較的小さい場合、少なくとも5cm(例えば赤外線ビジョンシステムの大きさに適合している)であり-好ましくは比較的大きい場合、(特には長辺又は直径が)最大40cm、30cm、25cm、20cm(機械的観点のため)であり、好ましくは、反射防止コーティングは、第二ガラス板の貫通穴を包含している表面であって、最大40cm又は30cmの長さを有する表面、を占める。
【0082】
特に、その断面は、四辺形、特には長方形又は台形であり、下記を有する:
- 第一の、いわゆる上方の長手方向の(長)辺又は端部(グレージングの上方の長手方向の端部の端面に最も近い)であって、好ましくはグレージングの上方の長手方向の端部の端面に平行であり、長さが好ましくは最大30cm、20cm又は15cm又は12cmであり、特には(グレージングの上方の長手方向の端部の)端面から少なくとも5cm又は6cm離隔しているもの、
- 第二の、いわゆる下方の長手方向の(長)辺又は端部(グレージングの上方の長手方向の端部の端面から最も遠く、中央ゾーンに最も近い)であって、好ましくはグレージングの上方の長手方向の端部の端面に平行であり、長さが好ましくは最大35cm、30cm、25cm、20cmであり、好ましくは第一長辺の長さより大きいもの;
- 好ましくは少なくとも5cm、さらには最大15cmの(第一長辺と第二長辺との間の)高さ。
【0083】
代替的には、第二ガラス板を貫通する貫通穴は、短手方向の端部に沿っている。
【0084】
リアウィンドウの場合、第二ガラス板を貫通する貫通穴は、長手方向の端部(特には上方)又は短手方向の端部に沿って周縁にありうる。
【0085】
本発明によるグレージングは、不透明マスキング層、特にはエナメル(黒色など)を、面F2上かつ/又は面Fa上に(特にはFa上にインク、特には黒色など)有してよく、特に不透明マスキング層は、赤外線透過ゾーン(特には、第一、第二又は第三の構成)に一致して存在しないか、又は間隙を有する。
【0086】
不透明マスキング層は、(必要な場合、第二ガラス板の貫通穴の)赤外線透過ゾーンの端部上、特には周縁ゾーン内、さらには中央ゾーン内、好ましくはグレージングの長手方向の端部に沿ってあってよく、反射防止コーティング(特には、潜在的に密度の高いシリカ下地層を有する多孔性シリカ層)は、不透明マスキング層と離れているか、又は接触している。
【0087】
マスキング層は、例えば、(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴の)赤外線透過ゾーンに一致して、少なくとも中央ゾーン内に間隙を有し、これは、好ましくは、(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴内の)赤外線透過ゾーンにおいて、最大で30mm又は20mm又は10mm又は5mm突出する。
【0088】
このマスキング層は、赤外線ビジョンシステム、及び例えばその覆いを、隠す。
【0089】
マスキング層は、積層中間層上、例えばPVB上、に印刷された層でありうる。
【0090】
反射防止コーティング(特には、密度の高いシリカのありうる下地層を有する多孔性シリカ層)はまた、マスキング層(例えば、これは、面F2上にあり、特にはエナメルでできている)から離隔しうるし、又は少なくともこれを覆わないことがありうる。
【0091】
不透明マスキング層は、好ましくは(一様の端部を有し平坦化されているか、又は変形例として勾配のある端部(パターンの一組)を有する)連続層である。
【0092】
マスキング層は、(最も近い)グレージングの端面から2mm又は3mm(5mm未満)の位置にありうる。
【0093】
マスキング層は、グレージング(ウィンドシールドなど)を縁取る帯状のものであってよく、特には黒色のエナメルでできていてよい。このようにして、間隙がこのマスキング層内に生成される。
【0094】
別のマスキング層(特には黒色のエナメルなど)は、面F3又は面F4上にあってよく、特にはマスキング層の方を向いている(さらには同一の性質のものであってよく、例えば特には黒色のエナメルなどであってよい)。
【0095】
グレージングは、(面F2内又は面Fa上のマスキング層と累積的に)面F4内で不透明マスキング層を有してよく、特に不透明マスキング層は、(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴の)赤外線透過ゾーンに一致して、(少なくとも中央領域内に)存在しないか、又は間隙を有し、特に面F4上の反射防止コーティング(第一の積層されたグレージング構成)は、好ましくはこのマスキング層から離隔しているか、又は部分的にこのマスキング層の下にある。
【0096】
反射防止コーティングを有する赤外線透過ゾーンにおいて、グレージングは、面F2側の上に、可視領域において吸収性を有する選択フィルターであって、第一動作波長LB1及び/又は第二動作波長LB2において透明な選択フィルターを有してよく、そして、このグレージングは、可視領域において、特には少なくとも400nm~700nmの範囲内の参照値において、最大10.0%、5.0%、又は1.0%若しくは0.5%の全透過率を有する。
【0097】
選択フィルターは、好ましくは、LB1及び/若しくはLB2において少なくとも90%の赤外線透過率を有し、かつ/又は、選択フィルターのないグレージングに対して、LB1及び/若しくはLB2において最大5%又は3%又は1%減少させる。
【0098】
選択フィルターは、カモフラージュコーティング(機能的)であってよく、特には面F2上にあり、さらには面F3の下に突出しており、反射防止コーティングは、好ましくは面F2から離れており、特にはピース上(構成k)又は面F4上(構成j)にある。
【0099】
カモフラージュコーティングは、例えば一様な層であり、又は不連続性を有する層でもあり、例えば(マイクロ又はナノ)メッシュを形成する。
【0100】
このカモフラージュコーティングは、下記の任意の性質を有しうる:有機又は鉱物、インク、ワニス(特には、下記に詳述する着色層)など。それは、(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴の)上記赤外線透過ゾーンに位置していてよく、又は、以下に詳述するように、例えば、1つ以上のセンサーを隠すために、より広範囲であってよい。
【0101】
このカモフラージュコーティングは、(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴の)赤外線透過ゾーンを越えて、上記穴の端部ゾーンと呼ばれる、(グレーズされた)ゾーンにおいて面F2と面F3との間に、例えば最大50mm、又はより好ましくは最大20mm、突出してよく、例えば、フィルター及び貫通穴に関して異なる形状を有してよい。
【0102】
したがって、選択フィルターは、下記でありうる:
- 着色ポリマーフィルム(塊では不透明)であって、例えば、特には最大0.6mm若しくは0.3mm若しくは0.2mmのミリメートル単位の厚さを有し、面F2(随意の貫通穴の下)に付着又は接着接触している、着色ポリマーフィルム、
- 又は、カモフラージュコーティング(機能性)であって、ポリマーフィルム(例えば、特には最大0.3mm若しくは0.2mmの厚さを有する)上にあり、面F2(随意の貫通穴の下)に付着又は接着接触している。
【0103】
構成(j)において、着色ポリマーフィルム(塊では不透明)は、例えば、好ましくはガラスでできているピースの下にある。着色ポリマーフィルム(塊では不透明)は、例えば感圧接着剤によってピースに付着する。
【0104】
構成(i)において、着色ポリマーフィルム(塊では不透明)は、例えば積層中間層内にあり、特にはPVBである。
【0105】
着色されている、若しくはLB1及び/若しくはLB2において透明な、ポリマーフィルム、並びに/又はLB1及び/若しくはLB2においてありうる限り透明なカモフラージュコーティングが、選択される。
【0106】
好ましくは、選択フィルター(面F2上若しくはポリマーフィルム上のカモフラージュコーティングによる、又は面F2に付着若しくは接着接触している着色ポリマーフィルムによるもの)は、本質的に、周縁の不透明マスキング層(黒色など)と実質的に同じ色(黒色など)及び/又は同じ光学密度を、特には面F2内で、有する。例えば、面F2内の選択フィルターと不透明マスキング層との間の光学密度の差は、最大5%、3%、2%であり、それらは同じ色でもある。
【0107】
選択フィルター(例えば、面F2上の、若しくは例えば面F2に接着された、ポリマーフィルム上の、カモフラージュコーティング、又は面F2に付着若しくは接着接触している、着色ポリマーフィルムによるもの)は、(グレージングの表面の一部を占める)赤外線透過ゾーンの領域において、局所的であってよく、グレージングの30%未満、10%未満、5%未満を占めてよい。
【0108】
選択フィルター(例えば、面F2上若しくはポリマーフィルム上のコーティング、又は面F2に付着若しくは接着接触している着色ポリマーフィルムによるもの)は、貫通穴の形状に対して、長方形、正方形、同一形状、さらには相似的形状など、任意の一般的な形状を有しうる。
【0109】
上方の長手方向の端部と選択フィルターとの間の距離は、最大30mm、20mm、15mm、さらには10mmでありうる。
【0110】
第二グレージング構成では、面F2上の選択フィルター(カモフラージュコーティング)、及び/又は面F2に付着若しくは接着接触している、フィルム(ポリマー)を有する選択フィルターは、選ばれた閉じている貫通穴を取り囲んでよく(閉じている穴の周縁にわたって存在する)、例えばその穴と類似的又は相似的形状のものであってよい。選択フィルターはまた、単純な幾何学的形状(長方形など)であって、この中で閉じている穴が内接する形状であってもよい。
【0111】
LIDARゾーンを特定しないために、選択フィルターは、好ましくは、積層されたグレージングの透明ゾーンに隣接して、その周縁部の全部又は一部にわたって、隔離された(実質的に)不透明なゾーン(これは、面F1から視認可能であり、特定可能である)を形成しない。したがって、選択フィルターは下記でありうる:
- (開いている又は閉じている)間隙を提供されたマスキング/装飾ゾーン(例えば、グレージングの周縁部において慣例となっているものなど)内に組み込まれうる、
- このマスキングゾーンに隣接しうる、
- かつ/又は面F3の下に延在して、この装飾ゾーンの全部又は一部を形成しうる。
【0112】
一実施形態では、選択フィルターは、マトリックス(有機、高分子、鉱物又はハイブリッド)、及び上記マトリックス中に分散された着色剤、を含む化合物でできている着色層を有し、上記着色剤は、上記可視領域内に位置している光を(実質的に全て)吸収し、上記第一動作波長LB1及び/又は第二動作波長LB2において(実質的に)透明であり、この着色層は、(第二ガラス板の上記随意の貫通穴の)赤外線透過ゾーン内に、既に説明したカモフラージュコーティングを、以下のように形成する:
- 面F2上、
- 又は積層中間層上、面FA若しくは面FB側の上で、好ましくはPVBでできている、特にはPVB粒子をさらに含むインクできている、
- 又はポリマーフィルム(これは、可視領域並びに第一動作波長LB1及び/若しくは第二動作波長LB2において透明である)上、特にはポリエチレンテレフタレート(PET)上で、F2に接着接触しているか、若しくは付着しており、若しくは第二ガラス板の上記貫通穴内のピースに接着接触しているか、若しくは付着しており、好ましくはサブミリメートルの厚さを有し、特には最大0.6mm又は0.3mm、0.15mmの厚さを有し、好ましくは面F2に接続されている。
【0113】
着色層は、サブミリメートルの厚さを有し、さらには最大20μmの厚さを有する。
【0114】
着色層の化合物は、ポリマー又は有機-鉱物ハイブリッドでありうる。着色層の化合物/ポリマーマトリックスは、下記を含むモノマー、オリゴマー、又はポリマーから選択される:少なくとも1つのメタクリレート官能基、エポキシド、PVBの分散粒子からなるワニス、ラテックス、ポリウレタン又はアクリレート。
【0115】
着色層は、任意の顔料又は染料であって、可視領域におけるその透過率よりも高い、赤外線領域における透過率を有する任意の顔料又は染料、例えば、可視波長を実質的に吸収し、かつ近赤外線内の波長を透過する、近赤外線黒色インクなど、を含有しうる。例えば、着色層は、染料又はインク、例えば下記を含有しうる;SpectreTMインク、例えばSpectreTM 100、110、120、130、140、150、若しくは160(Epolin、ニューアーク、ニュージャージー州);Mimakiインク、例えばMimaki ES3、SS21、BS3、SS2、若しくはHS(Mimaki Global、東御市、長野県、日本);又はSeikoインク、例えばSeiko 1000、1300、SG700、SG740、若しくはVIC(Seiko Advance Ltd.、日本);又は他にはMingBo anti Forgery Technology Co ltd.からの黒色インクIR9508など。
【0116】
着色層は、ブラック、シアン、マゼンタ、又はイエロー染料の1種以上の成分を含有しうる。
【0117】
着色層は、染料若しくは顔料、又はその両方を含みうる。着色層は、Lumogen(登録商標)Black FK 4280又はLumogen(登録商標)Black FK 4281(BASF、サウスフィールド、ミシガン州)を含みうる。
【0118】
好ましくは、着色層内で、以下となっている:
- 染料は、スダンブラックB又はニグロシンソルベントブラック5から選択され、好ましくはスダンブラックB又はニグロシンソルベントブラック5であり、好ましくはスダンブラックBである。
- 染料は、層の0.1~10重量%、好ましくは層の0.2~3重量%を表す。
【0119】
着色層は、30μm未満のワニスでありうる。
【0120】
着色層に関して、層の厚さ又は染料の重量パーセントを調節してよく、特には1%未満、5%~20%、30%に調整してよい。選択フィルターは、好ましくはサブミリメートル厚さの着色(大部分が不透明である)ポリマーフィルム、例えば、PETであって、「ロール・ツー・ロール」による「深染め」プロセスによって、特には染料を含む熱浴内に浸漬させることによって、その大部分に染料を含むPETなど、を有しうる。染料の最終濃度は、可視領域において不透明性を提供するのに十分でなければならない。国際公開第9307329号又は米国特許第5162046号明細書を参照されたい。
【0121】
PETなどの(透明又は着色された)ポリマーフィルム上では、主面ごとに着色層を置いてよい。
【0122】
大部分が染色された、PETなどのポリマーフィルムと、このフィルム上の着色層、PETなどの別のポリマーフィルムとを、上記穴に面している残りのPVB上、又は面F2上で、組み合わせうる。
【0123】
様々な範囲を選択フィルターに対して、面F3の下に、特には第二ガラス板の貫通穴内のピースから離隔して、提供しうる:
- 選択フィルターは、第二ガラス板の上記随意の貫通穴を越えて、面F3の下に延在し、外側からマスキング層を延長し、又は周縁マスキング層の間隙を隠す、
- 選択フィルターは、第二ガラス板の上記随意の貫通穴を越えて、面F3の下に延在し、特には外側からマスキング層を延長し、又は周縁マスキング層の間隙を隠し、選択フィルターは、光線の通過を可能にするための、特には少なくとも1つの追加のセンサーのための、特には可視カメラ又はサーマルカメラのセンサーのための、特には上記光線又は電磁線(サーマルカメラ)の通過を可能にするために面F4内の穴あきプレートに取り付けられたカメラのセンサーのための、少なくとも1つの開口部又は局所的な不連続部を有する。
【0124】
選択フィルターは、L CIE 1976色空間内で定義される、L1、a1 b1によって、定義されうる。色C1のマスキング層はまた、下記の式によって与えられる色差ΔEを有する、L2、a2 b2によって定義される:
【0125】
[数1]
ΔE = √ (ΔL*2 + Δa*2 + Δb*2
【0126】
好ましくは、ΔE<4、より好ましくはΔE<2(人間の目では識別困難)、さらにより好ましくはΔE<1(人間の目では識別されない)である。
【0127】
特には、選択フィルターの端面は、不透明性における中断を肉眼で見ないために、間隙から(マスキング層から)最大100μm(短手方向に)離隔しており、間隙の端部を形成するマスキング層の端面は、選択フィルターの範囲を限定したい場合、(第二ガラス板の)貫通穴の壁面から最大500μm(短手方向に)離隔している。
【0128】
マスキング層が、積層中間層(PVB)上に堆積(印刷)されたインクであるといった、特定の場合には、剥離を防止するために、インクが、上記貫通穴の端部から少なくとも1cm離隔していることが好ましい場合がある。
【0129】
特には、選択フィルターは、面F2上のカモフラージュコーティングであり、マスキング層によって覆われており、特には最大50mmにわたって重なっている。
【0130】
特には、選択フィルターは、面F2上のカモフラージュコーティングであり、マスキング層は、面FA又は面FB上の一方にあり、特には最大50mmにわたって重なっている。
【0131】
特には、選択フィルターは、面FA又は面FB上のカモフラージュコーティングであり、マスキング層によって、例えばインクによって、覆われ、特には最大50mmにわたって重なっている。
【0132】
特には、選択フィルターは、面FA又は面FB上の一方にあるカモフラージュコーティングであり、マスキング層は、面FA又は面FB上の他方にあり、特には最大50mmにわたって重なっている。
【0133】
特には、選択フィルターは、面F2、面FA又は面FB上のうちの1つにあるカモフラージュコーティングであり、マスキング層は、面F3又は面F4上にあり、特には最大50mmにわたって重なっている(突出している)。
【0134】
グレージングは、面Fb側の上に金属性ワイヤー、特には加熱ワイヤーを有してよく、これらは、特には面Fb上に固着され、好ましくは赤外線透過領域(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴)において存在しない。
【0135】
加熱ワイヤーは、特には0.1mm以下の厚さを有し、好ましくは銅、タングステン、金、銀、若しくはアルミニウム、又はこれらの金属の少なくとも2種の合金でできている。
【0136】
第一ガラス板及び/又は第二ガラス板のガラスに関して、好ましくはソーダ石灰シリカタイプのガラスが用いられる。
【0137】
内部ガラス及び/又は外部ガラスは、硬化タイプ若しくはアニーリングタイプの化学処理若しくは熱処理を受けてよく、又は(特にはより良好な機械的強度を得るために)テンパリングを受けてよく、若しくは半強化されてよい。
【0138】
第一ガラス板及び/又は第二ガラス板のガラスは、好ましくはフロートガラスタイプのものであり、すなわち、溶融ガラスを溶融スズの浴(「フロート」浴と呼ばれる)上に注ぐことからなる方法によって得られうる。「雰囲気」面及び「スズ」面という用語は、それぞれ、雰囲気と接触しているフロート浴中のその面、及び溶融スズと接触しているその面を、意味すると理解される。スズ面は、ガラスの構造内に拡散したスズの、僅かな表面量を含む。
【0139】
第一ガラス板は、例えば、ソーダ石灰シリカガラス、例えば、Saint-Gobain GlassのDiamant(登録商標)、PilkingtonのOptiwhite、SchottのB270、AGCのSunmaxなど、であってよく、又は国際公開第04/025334号に記載されている他の組成のガラスであってよい。サンゴバンガラスからのPlaniclearガラスも選択されうる。
【0140】
通常の天然原料の場合、酸化鉄の重量による総含有量は、0.1%(1000ppm)の状態である。酸化鉄含有量を減らすために、特には純粋な原料を、選択しうる。
【0141】
本発明において、第一ガラス板のFe含有量(全鉄分)、さらにはピースのFe含有量(全鉄分)は、好ましくは0.015%未満、さらには0.012%以下、特には0.010%であり、それによって、ガラスの近赤外線透過率を高める。Fe含有量は、好ましくは0.005%以上、特には0.008%であり、それによって、ガラスのコストが、不利にならない。
【0142】
第一ガラス板の赤外線透過率をさらに向上させるために、さらには赤外線領域内のピースの赤外線透過率を向上させるために、第一鉄の含有量を第二鉄の含有量のために低減させ、このようにして、ガラス中に存在する鉄分を酸化させる。したがって、ありうる限り酸化還元率が少ない、理想的にはゼロか、又はほぼゼロのガラスが望まれる。この数値は0~0.9で変化しうるし、ゼロの酸化還元率は、完全に酸化されたガラスに相当する。
【0143】
酸化鉄の少ない量、特には200ppm未満、さらには150ppm未満の量を有するガラスは、0.4以上、さらには0.5の高い酸化還元率を有する自然な傾向を有する。この傾向は、おそらく酸化鉄の含有量に基づく鉄分の酸化還元平衡の変位に起因する。
【0144】
第一ガラス板の酸化還元率は、好ましくは0.15以上、特には0.2~0.30、特には0.25~0.30である。実際、過度に低い酸化還元率は、炉の稼動寿命を低下させる一因となる。
【0145】
本発明によるガラス(第一板及び第二板)において、シリカSiOは、一般的に、下記の理由のために狭い範囲内に維持される。75%を超えると、ガラスの粘度及びその失透傾向が大きく増加し、これは、溶融スズ浴上へのその溶融及び注湯をより困難にする。60%未満、特には64%未満では、ガラスの耐加水分解性が、急激に低下する。好ましい含有量は、65~75%、特には71~73%である。
【0146】
上記第一ガラス板、さらにピースは、下記に定義される重量限度内で変化する含有量において、下記の成分を含む化学組成を有しうる:
SiO 60~75%、
Al 0~10%、
0~5%、好ましくは0、
CaO 5~15%、
MgO 0~10%、
NaO 5~20%、
O 0~10%、
BaO 0~5%、好ましくは0、
SO 0.1~0.4%、
Fe(全鉄分) 0~0.015%、
及び酸化還元率 0.1~0.3。
【0147】
本文中、パーセントは、重量パーセントである。
【0148】
ガラス板は、好ましくは、スズ浴上に浮かべることによって形成される。他のタイプの形成方法、例えば、延伸法、ダウンドロー法、積層法、フーコー法などを、用いてよい。
【0149】
第一ガラス板(さらにはその部分)のガラス組成は、特に原料中に含まれる不可避の不純物以外に、他の成分、例えばガラスの溶融若しくは精製を助ける薬剤(Cl...)、又は炉の建設において用いられるリフラクトリーの溶解から生じる元素(例えばZrO2)などをも、僅かな割合(最大1%)で含みうる。既に述べた理由のため、本発明による組成は、好ましくは、例えばSb、As又はCeOなどの、酸化物を含まない。
【0150】
第一ガラス板(さらにはその部分)の組成は、好ましくは、(特には、800~1800nmで含まれる波長に対する)赤外線吸収剤を含まない。特には、本発明による組成は、好ましくは下記の薬剤のいずれも含有しない:遷移元素の酸化物、例えばCoO、CuO、Cr、NiO、MnO、Vなど、希土類酸化物、例えばCeO、La、Nd、Erなど、又は元素状態の着色剤、例えばSe、Ag、Cuなど。また、他の薬剤の中で、好ましくは除外されるのは、下記の元素の酸化物である:Sc、Y、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、Lu。これらの薬剤は、しばしば非常に強力な望ましくない着色効果を有し、非常に少量、時には数ppm以下の状態で、現れる(1ppm=0.0001%)。このように、それらの存在は、ガラスの透過率を非常に大きく低下させる。
【0151】
好ましくは、第一ガラス板は、下記に定義されるような重量限度内で変化する含有量において、下記の成分を含む化学組成を有する:
SiO 60~75%、
Al 0~10%、
0~5%、好ましくは0、
CaO 5~15%、
MgO 0~10%、
NaO 5~20%、
O 0~10%、
BaO 0~5%、好ましくは0、
SO >0.2~0.4%、
Fe(全鉄分) 0~0.015%、
及び、酸化還元率 0.2~0.30。
【0152】
第一のガラス板(さらにはその部分)は、下記に定義される重量限度内で変化する含有量において、下記の成分を含む化学組成を有しうる:
SiO 60~75%、
Al 0~10%、
0~5%、好ましくは0、
CaO 5~15%、
MgO 0~10%、
NaO 5~20%、
O 0~10%、
BaO 0~5%、好ましくは0、
SO 0.1~0.4%、
Fe(全鉄分) 0~0.02%、
及び、酸化還元率 0.15~0.3。
【0153】
本発明において、Fe含有量(全鉄分)は、好ましくは0.015%未満、さらには0.012%以下、特には0.010%であり、これは、ガラスの近赤外線透過率を高めるためである。Fe含有量は、好ましくは0.005%以上、特には0.008%であり、それによって、ガラスのコストが、不利にならない。
【0154】
酸化還元率は、好ましくは0.15以上、特には0.2~0.30、特には0.25~0.30である。実際、過度に低い酸化還元率は、炉の稼動寿命を低下させる一因となる。
【0155】
本発明によるガラスにおいて、シリカSiOは、一般的に、下記の理由のため狭い範囲内に維持される。75%を超えると、ガラスの粘度及びその失透傾向が大きく増加し、これは、溶融スズ浴上へのその溶融及び注湯をより困難にする。60%未満、特には64%未満では、ガラスの耐加水分解性が、急激に低下する。好ましい含有量は、65~75%、特には71~73%である。
【0156】
本発明による他の好ましい組成(第一ガラス板用、さらにはその部分用)を、下記で再掲する:
SiO 65~75%、
Al 0~3%、
CaO 7~12%、
MgO 2~5%、
NaO 10~15%、
O 0~5%、
SO 0.1~0.3%、
Fe(全鉄分) 0%~0.015%未満、
及び、酸化還元率 0.1~0.3。
【0157】
本発明による他の好ましい組成(第一ガラス板用、さらにはその部分用)を、下記で再掲する:
SiO 65~75%、
Al 0~5%、
CaO 7~12%、
MgO 1~5%、
NaO 10~15%、
O 0~5%、
SO 0.2~0.4%、
Fe(全鉄分) 0%~0.015%未満、
及び、酸化還元率 0.1~0.3。
【0158】
本発明の範囲から逸脱することなく、中間層は、熱可塑性材料でできている、複数の異なるタイプの積層体、例えば、音響機能を提供するために、例えば、米国特許第6132882号明細書に記載されているように、異なる硬度を有するもの、特には、異なる硬度を有する、一組のPVB積層体を、明確に有しうる。同様に、ガラス板の一方を、従来用いられている厚さに比べて薄くしてよい。
【0159】
本発明によれば、中間層は、特にはHUD(ヘッドアップディスプレイ)用途の観点から、くさび形状を有しうる。中間層の積層体の1つを、塊状に着色してもよい。
【0160】
一般的な積層中間層として、PVB以外に、軟質ポリウレタンPU、例えばエチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)などの可塑剤を含まない熱可塑性プラスチック、アイオノマー樹脂を挙げうる。これらのプラスチックは、例えば0.2mm~1.1mm、特には0.3mm~0.7mmの厚さを有する。
【0161】
積層中間層は、別の機能性プラスチックフィルム(透明、クリア又は着色されている)、例えば、熱遮断性、導電性などである層を支持するポリエチレンテレフタレートPETフィルム、例えば、PVB/機能性フィルム/PVBを、面F2と面F3との間に、有しうる。
【0162】
透明プラスチックフィルムは、10~100μmの厚さを有しうる。透明プラスチックフィルムは、より広義には、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン(PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)でできていてよい。クリアフィルムが好ましく、特にはPETが好ましい。
【0163】
例えば、クリアコーティングPETフィルム、例えばEastmanからのXIRなど、共押出成形されたPET/PMMAフィルム、例えばSRF 3M(登録商標)タイプだけでなく、その他多数のフィルム(例えばPC、PE、PEN、PMMA、PVC)を用いてよく、これらは、視覚的にありうる限り透明であり、オートクレーブ中で、それらの表面及びそれらの粘度に関して、改変されていない。
【0164】
積層中間層は、好ましくは、着色されておらず(無色)、超クリアであり、LB1及び/若しくはLB2において、少なくとも90%若しくは95%の赤外線透過率を有し、かつ/又はモノリシックグレージングに対して、LB1及び/若しくはLB2において最大5%又は3%又は1%の赤外線透過率を低下させる。
【0165】
車室内の加熱を抑えるため、又は空調の使用を抑えるために、ガラス板の少なくとも1枚(好ましくは外部ガラス)は着色され、積層されたグレージングはまた、日射を反射又は吸収する層を、好ましくは面F4内、又は面F2若しくは面F3内に、含んでもよく、特には、TCO層として知られる、透明導電性酸化物層(面F4上)、又は少なくとも1つのTCO層を有する薄層のスタック、MCW、若しくは少なくとも1つの銀層を有する薄層のスタックを(F2又はF3上で)含んでもよく、その銀層又は各銀層は、誘電体層間に配置される。
【0166】
面F2及び/又は面F3上の層(銀)、並びに面F4上のTCO層を、組み合わせてよい。
【0167】
(透明導電性酸化物の)TCO層は、好ましくは、フッ素ドープ酸化スズ(SnO:F)の層又は混合インジウムスズ酸化物(ITO)の層である。
【0168】
このようにして、グレージングは、面F2又は面F3上に、グレージング上の全部又は一部に延在する機能層を有し、特には透明層、特には導電性(熱遮断性)であり、随意に加熱作用があり、特には、上述の銀スタック又はTCOである、機能層を有し、又は不透明マスキング層、特にはエナメルをも有し、上記第一動作波長LB1及び/又は上記第二動作波長LB2における機能層であって、赤外線透過ゾーンにおいて存在せず(必要な場合、第二ガラス板の上記貫通穴において存在せず)、少なくとも中央ゾーン内に存在せず、例えば(面F2と面Faとの間の、第二ガラス板の貫通穴の)赤外線透過ゾーンの端部上に存在する、機能層を有する。
【0169】
反射防止コーティングは、好ましくは機能層から離れている。
【0170】
特には曇り又は結露を回避するために、グレージングは、(機能コーティングとして)透明な、加熱作用のある、導電性層を有してよく、これは、上記第一動作波長LB1及び/又は上記第二動作波長LB2において透明であり、特には、透明伝導性酸化物でできており、赤外線透過ゾーン(局所的加熱ゾーン)内に位置し、例えば、面F2上に(機能コーティングとして)、積層中間層上のポリマーフィルム上若しくは積層中間層内のポリマーフィルム上に(機能コーティングとして)、又は第二ガラス板の貫通穴内のピース上にも(機能コーティングとして)位置する(構成k)。(機能コーティングとしての)加熱層は、好ましくは少なくとも2つの電源、特には2つの局所的なバスバー又は(1つ又は複数の)フラットプラグが供給され、好ましくは外側から隠され、加熱層の2つの反対側にある端部上に供給される。
【0171】
本発明はまた、前述の(乗り物用)グレージング、特には積層されたグレージング、ウィンドシールド、を有する乗り物(好ましくは路上走行車)にも関する。
【0172】
本発明はまた、機器にも関し、これは下記を有する:
- 前述の(乗り物用)グレージング、特には積層されたグレージング、ウィンドシールド、
- 上記第一動作波長LB1及び/又は上記第二動作波長LB2における、さらにはマルチスペクトルにおける、また、したがって可視領域における、特には500~600nmにおける、(LIDARのような)赤外線ビジョンシステムであって、車室内で上記グレージングの後方に配置され、それによって、赤外線透過ゾーンにおいてグレージングを通過した後の放射線を送信かつ/又は受信する、赤外線ビジョンシステム。
【0173】
赤外線ビジョンシステム(LIDAR)は、様々な技術を有しうる。それは、乗り物に最も近い物体の距離を、広い範囲の角度方向で決定することによって、乗り物の環境を測定することを可能にする。このようにして、乗り物の環境を3Dにおいて再構成しうる。採用されている技術は、光ビームを送信すること、及び障害物でそれが乱反射した後にそれを受信することに、基づいている。これを、回転源によって行ってよく、マイクロ電気機械システム(MEMS)又は完全な立体システムによってスキャンされてよい。このようにして、単一の閃光が、環境全体を明らかにしうる。
【0174】
これら全ての技術に関して、光は、出射時かつ入射時に、2回グレージングを通過するはずであり、これは、LIDARの動作波長LB1及び/又はLB2において優れた透明性を有するグレージングを有する必要があることを説明している。
【0175】
スピードはまた、ドップラー(DOPPLER)技術を用いて測定しうる。
【0176】
赤外線ビジョンシステム(LIDAR)は、好ましくは反射防止コーティングから離隔している。
【0177】
第二グレージング構成では、本発明による反射防止コーティングを有するピースは、好ましくは、赤外線ビジョンシステム(LIDAR)から離隔しており、かつ/又は、赤外線ビジョンシステム(LIDAR)の取り付けに関して機能しない。赤外線ビジョンシステム(LIDAR)は、上記貫通穴と(かつ上記貫通穴内のピースと)対向していてよく、又はこれらからオフセットされていてよく、例えば、光学システムが、ピースと赤外線ビジョンシステム(LIDAR)との間にある。
【0178】
赤外線ビジョンシステム(LIDAR)は、例えば、面F4及び/又は車体、ルーフトリムを介して取り付けられる。赤外線ビジョンシステム(LIDAR)はオフセットされていてよい。
【0179】
赤外線ビジョンシステム(LIDAR)は、例えば、ウィンドシールド(及び随意にその部分)に対するその位置決めを最適化できる(そのように設計された)プレート又は多機能基部内に、これらが面F4に付着することによって、組み込まれる。
【0180】
本発明の有利であるが非限定的な実施形態を、以下でいくつか説明するが、もちろんこれらを適宜組み合わせてよい。
【0181】
図1は、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明の第一実施形態におけるウィンドスクリーン100aの概略断面図を示す。
【0182】
図2aは、図1のウィンドシールド100aの概略正面図(車室側)を示す。
【0183】
図2bは、本発明の第一実施形態の第一変形例に係るウィンドスクリーン100bの概略正面図(車室側)を示す。
【0184】
図2cは、本発明の第一実施形態の第二変形例に係るウィンドスクリーン100cの概略正面図(車室側)を示す。
【0185】
図2dは、300~1800nmの波長範囲におけるウィンドシールドの透過曲線、特には赤外線の透過曲線を示す。
【0186】
図3は、本発明の第二実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド200の概略断面図を示す。
【0187】
図4は、図3のウィンドシールド200の概略正面図(車室側)を示す。
【0188】
図5は、本発明の第三実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド300の概略断面図を示す。
【0189】
図6は、本発明の第四実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド400の概略断面図を示す。
【0190】
図7は、本発明の第五実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド500の概略断面図を示す。
【0191】
図1は、905nm又は1550nmにおけるLIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド100aを、断面図で概略的に示す。それはまた、可視領域において、最大905nmまで又は1550nmまで、又は1800nmまでも動作しうる、マルチスペクトルシステムでありうる。図2aは、図1のウィンドシールド100aの正面図(車室側)を示す。図2bは、本発明の第一実施形態の第一変形例としてのウィンドシールド100bの正面図(車室側)を示す。図2cは、本発明の第一実施形態の第二変形例としてのウィンドシールド100cの概略正面図(車室側)を示す。
【0192】
ビジョンシステム7は、ウィンドシールドの後方に置かれ、好ましくはウィンドシールドの中央及び上方部分内に位置している、ゾーンに向いている。このゾーンでは、赤外線ビジョンシステム7は、ウィンドシールドの表面(面F2)に対してある角度で向けられている。特に、LIDARは、地面とほぼ平行な方向で、すなわち路面に対して僅かに傾斜した方向で、画像捕捉ゾーンに直接向けられうる。換言すれば、LIDAR7は、その機能を果たすように適合された視野を有する僅かな角度で、路面に向かって向けられうる。
【0193】
ウィンドシールド100は、下記を有する、従来の積層されたグレージングである:
- 外部面F1及び内部面F2を有する、外側ガラス板1、
- 及び、例えば1.6mmの厚さ又はそれ未満の厚さをも有し、外部面F3及び車室側上の内部面F4を有する、内側ガラス板2。
- この2枚のガラス板は、熱可塑性材料3でできている中間層によって互いに結合されており、これは、最も通常はポリビニルブチラール(PVB)であり、好ましくは透明であり、サブミリメートルの厚さを有し、場合によっては、積層されたグレージングの上部から下部に向かって角形状で先細りする短手方向の断面を有し、例えば約0.76mmの厚さを有するPVB(Solutia又はEastmanからのRC41)であり、又は代替的には、必要な場合、音響用PVB(3層又は4層)であり、例えば約0.81mmの厚さを有し、例えば3枚のPVB膜でできている中間層である。
【0194】
従来公知の方法で、ウィンドシールドは、要素1、2、及び3を高温で積層することによって得られる。クリアな、0.76mmであるPVB、又は0.38mmであるPVBも、選択される。
【0195】
第一ガラス板1、特にはシリカ系、ソーダ石灰系、(好ましくは)シリカソーダ石灰系、アルミノケイ酸塩系、又はホウケイ酸塩系のものは、最大0.05%(500ppm)、好ましくは最大0.03%(300ppm)かつ最大0.015%(150ppm)、特には最大0.005%の重量で、総酸化鉄含有量(Feの形態で表される)を有する。第一ガラス板は、好ましくは0.15以上、特には0.2~0.30、特には0.25~0.30の酸化還元率を有しうる。特に1.95mmのOPTIWHITEガラスが、選択される。
【0196】
第二ガラス板2は、特にはシリカ系、ソーダ石灰系、好ましくはソーダ石灰シリカ系(第一ガラス板と同様)、又はアルミノケイ酸塩系、又はホウケイ酸塩系である。これは、少なくとも0.4%、好ましくは最大1.5%の重量で総酸化鉄含有量を有する。第二ガラス板は、0.22~0.35又は0.30の酸化還元率を有しうる。TSAnx(0.5~0.6%の鉄分)TSA2+、TSA3+(0.8~0.9%の鉄分)、TSA4+(1%の鉄分)、TSA5+と呼ばれ、例えば緑色である、本出願人のガラスが、特には挙げられうる。例えば、1.6mmのTSA3+ガラスが選択される。
【0197】
第一ガラス板1は、面F2上で、赤外線領域内に反射防止コーティング101を有し、これは、上方壁面301及び下方壁面302によって区画される中間層(中間層貫通穴)の厚さ、及び上方壁面401及び下方壁面402によって区画される第二ガラス板(貫通穴)、したがって穴の厚さ、における総合貫通穴4によって、(積層中間層及び第二ガラス板によって覆われていない)自由表面を有する。この総合穴は、LIDARに対する赤外線透過ゾーンの限界値(最大値)を定義する。
【0198】
コーティング101は、905nmである第一動作波長LB1において反射防止性であり、165nm±50nmの厚さを有する。赤外線透過ゾーンにおいて、上記反射防止コーティング101を有するグレージングは、第一動作波長LB1において少なくとも85%の全透過率を有する。
【0199】
代替的には、コーティング101は、1550nmである第二動作波長LB2において反射防止性であり、275nm±50nmの厚さを有する。赤外線透過ゾーンにおいて、上記反射防止コーティング101を有するグレージングは、第二動作波長LB2において少なくとも85%の全透過率を有する。
【0200】
上記反射防止コーティングは、好ましくは多孔性シリカ層である。
【0201】
この例の場合、用いた堆積法はローラー法である。溶液の乾燥抽出物は、3.2%に固定され、溶液の多孔度は、45%に固定されている。この例の多孔性シリカ層の屈折率は、550nmに対して約1.3である。
【0202】
シリカ前駆体(テトラエチルオルソシリケート(TEOS))は、pH2(塩酸の添加)の水中で、室温で加水分解される。その後、非常に大量のpH2の水を添加し、それによって、溶液の乾燥抽出物を構成する。大量の有機細孔形成剤(70nmのポリメタクリル酸メチル(PMMA)の粒子)を溶液に加える。これらの細孔形成剤は、例えば、好ましくは300℃超又は400℃超で、熱処理によって除去され、それによって、ガラスはアニーリングされ、又はさらには強化(テンパリング)される。
【0203】
より具体的には、以下の表1に、入射角0°(したがって法線方向)及び入射角8°(法線方向から8°)で測定した、下記に関する透過率及び反射率の値が含まれている:
- 反射防止コーティングを有しない、1.95mmOptiwhiteガラス参照である第一ガラス板を有する、グレージングR
- 可視領域において最適化された反射防止コーティングを有する、1.95mmOptiwhiteガラスである第一ガラス板を有する、グレージングA
- LB1において最適化された反射防止コーティングを有する、1.95mmのOptiwhiteガラスである第一ガラス板を有する、グレージングB(下線値)
- LB2において最適化された反射防止コーティングを有する、1.95mmのOptiwhiteガラスである第一ガラス板を有する、グレージングC(下線値)。
【0204】
【表1】
【0205】
構成Bは、905nmの波長に適しており、光透過率が+3%超で増加し、光反射率が-3%減少している(測定の不確かさ:±0.2%)。反射防止コーティングの厚さは、約180nmで評価された。
【0206】
構成Cについては、それは1550nmの波長に適しており、光透過率が向上し、光の反射率が減少している。コーティングの厚さは、約265nmで評価した。
【0207】
より具体的には、以下の表2に、グレージングR、グレージングA、グレージングB、及びグレージングCについて、入射角60°で測定した透過率及び反射率の値が含まれている。
【0208】
【表2】
【0209】
角度付きの光透過率及び光反射率の結果は、垂直入射で得られた結果を裏付けている。すなわち、905nmでの最良の構成Bに関して、TLが+4%増加し、RLが-4%減少し、1550nmでの最良の構成Cに関して、TLが+3%増加し、RLが-3%減少した。
【0210】
図2dは、これらのグレージングR、A、B、Cの、波長範囲300~800nmにおける透過曲線、特には赤外線透過曲線を示し、透過率は、LB1 905nm(点I)及びLB2 1550nm(点J)に位置している。
【0211】
グレージングB Cと同様のモノリシックグレージングは、例えばサイドウィンドウ又は窓に対して用いてよい。
【0212】
図1及び図2a内に示すように、穴は、ここでは、(ガラス板の壁面に囲まれた)閉じている穴であり、したがって、特にはグレージング内で、台形断面を有し、下記を有する:
- 第一長辺又はいわゆる上方の長手方向の端部であって、グレージング10の上方の長手方向の端部の端面に最も近く、この端面に平行であり、最大20cm、例えば10.6cmの長さを有し、(その長辺が)その端面から少なくとも5cm又は6cm離隔している、第一長辺又はいわゆる上方の長手方向の端部。
- 第二長辺又はいわゆる下方の長手方向の端部(上方の長手方向の端部10の端面から最も遠く、中央ゾーンに近い)であって、第一長辺に平行であり、最大25cm又は20cmの長さを有し、好ましくは第一長辺の長さよりも大きい、例えば17.5cmの長さを有する、第二長辺又はいわゆる下方の長手方向の端部、
- 少なくとも5cm、本明細書では10cmの、(長辺間の)高さを有する。
【0213】
赤外線ビジョンシステム7は、貫通穴4に対向している。
【0214】
貫通穴4は、ノッチであってもよく、したがって、貫通穴は、好ましくはルーフ側上に開いている。
【0215】
貫通穴4は、ウィンドシールド100aの他の領域内にあってよく、又は乗り物の他のグレージング内、特にはリアウィンドウ内にもあってよい。
【0216】
貫通穴4は、中央にあってよく、その場合、中央線が、それを2つの同じ部分に分割するであろう。
【0217】
反射防止コーティング101はまた、局所的である(図2a参照)。ここで、それは、この周縁領域において長方形の形状であり、その端部は、面12と面Faとの間の穴4を区画する壁面から最大10mm突出している。代替的には、それは、穴4において相似的形状であるか、又は他の形状である。
【0218】
ウィンドシールド100aは、面F2 12上で、不透明なマスキング層、例えば、黒色5、例えばエナメル層又はラッカーなど、を有し、これは、ウィンドシールド(又は窓)の周縁フレームを形成し、貫通穴を有する周縁ゾーン内で、それは、十分な大きさの間隙51’を有し、それによって、LIDAR7の実行を妨げないが、LIDAR7の覆い8(プラスチック、金属など)を隠すことができる。覆い8は、面F4に接着剤6によって付着してよく、ルーフ80に付着してよい。覆いは、面F4上に据えつけられたプレート8’に取り付けてよく、上記赤外線を通過させることを可能にする穴を有する。
【0219】
不透明層は、赤外線透過ゾーンが形成される、中央ゾーンにおいて(短手方向の端部10’ではなく長手方向の端部10に沿って)、厚くなっている(下方の内側端部51)。
【0220】
ここで、カモフラージュコーティング101は、面F2上にあり、マスキング層を部分的に覆う。
【0221】
ウィンドシールド100aは、ほとんど見えない、例えば厚さ50μmの、一組の金属ワイヤーを有してよく、これは、積層中間層3の、面F3上にある面Fb上に(全てのその領域にわたって)、随意に直線の形態で、置かれている。これらのワイヤーは、貫通穴4において存在しない。
【0222】
図2b及び図2cに示すように、貫通穴4は、代替的には、例えば台形形状(図2b)又は長方形形状(図2c)の、ノッチであってよく、このようにして、貫通穴は、好ましくはルーフ側上(上方の長手方向の端部10上)に開いている。
【0223】
貫通穴は、丸い角を有しうる(図2b及び2c)。貫通穴の外形は、401、402、403、404である。マスキング層の間隙の外形は、502、503、504である。例えば、面F2上のコーティング101は、マスキング層5(これは、ここでは穴の中に少しもはみ出さない)から離隔しており、さらには貫通穴4の内側にある(面F3の下にはみ出さない)。
【0224】
閉じている貫通穴4又は開いている貫通穴4は、ウィンドシールド100aの他の領域内に、又は乗り物の他のグレージング内、特にはリアウィンドウ内にも、あってよい。
【0225】
図3は、本発明の第二実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有するウィンドシールド200を、断面図で概略的に示す。図4は、図3のウィンドシールド200の概略正面図(車室側)を示す。第一実施形態との相違点のみを、以下で説明する。
【0226】
貫通穴内かつ随意に貫通穴4の下(面F3の下)に、ピース9があり、これは、特にはポリマーできており、又は好ましくはガラスでできており、少なくとも第一の、いわゆる動作波長LB1 905±30nm及び/又は第二の、いわゆる動作波長LB2 1550±30nmにおいて透明である。このピースは、例えば、超クリアガラスであり、ソーダ石灰シリカ系であり、湾曲されており(ドーミングされており)、随意に熱強化(テンパリング)若しくはアニーリング、半強化されており、又は熱処理若しくはアニーリングされていない。
【0227】
ピース9は、いわゆる接続主表面91であって、特には剥き出しであるか、又は機能層でコーティングされており、ここでは(好ましくは)主面Fbに接続されている(ここでは接着剤で接触しておる)、接続主表面91を有し、その接続表面の反対側に、いわゆる内部主表面92を有する。
【0228】
内側表面92は、上記動作波長LB1又はLB2において、上記反射防止コーティング101を有する。
【0229】
ピース9は、第二ガラス板の貫通穴を区画している壁面401、402と接触しているか、又はそれらから最大5mm離隔している、好ましくは最大2mm、さらには0.3~2mmの範囲の距離で離隔している、端面を有する。
【0230】
第一ガラス板1は、面F2上に、カモフラージュコーティング110を有し、これは、赤外線領域LB1又はLB2における動作波長において透明であり、可視領域において吸収性を有する。カモフラージュコーティング110は、この周縁領域(図4では見えないように破線)において長方形形状(長手方向の端部111、112及び短手方向の端部113、114)である。
【0231】
カモフラージュコーティングの端部111~114は、随意に、面F2 12と中間層の面Fa 31との間に、例えば第二ガラス板の貫通穴4を区画している壁面401~404から、最大10mm又は5mm突出する。ここで、カモフラージュコーティング110は、面F2上にあり、面F2上の随意のマスキング層5を部分的に覆っている。
【0232】
カモフラージュコーティング110は、代替的には、別の形状、例えば貫通穴の断面の形状と相似である形状、したがって例えば台形形状を有する。
【0233】
ありうる変形例は、下記の通りであり(網羅的ではない)、随意に累積される:
- カモフラージュコーティング110が、第二ガラス板の貫通穴から(面F3の下に)突出せず、さらには貫通穴の端部から離隔しており、好ましくは最大1cm又は5mm離隔している。
- カモフラージュコーティング110が、マスキング層(例えば、これは面F2内にあり、特にはエナメルでできている)から離隔しているか、又は少なくともそれを覆わない。
【0234】
覆い8は、接着剤6によって、面F4に据えつけられたプレート8’に取り付けられ、上記赤外線を通過させることを可能にする穴を有する。
【0235】
下記を有する積層されたグレージングが作られる:
- 1.95mmのOptiwhiteと呼ばれるガラスである、第一ガラス板、
- 0.76mmの透明積層中間層PVB
- 穴を有し、本発明による多孔性シリカの、厚さ約180nmの、反射防止コーティングを有する、ガラスピースを有する、第二ガラス板。
【0236】
例Dにおいて;ピースは、厚さ1.95mmのOptiwhiteと呼ばれる超クリアガラスである。このガラスは、多孔性シリカ層の形成の際にアニーリングされる。このガラスは、第一ガラス板と同様に湾曲している。
【0237】
例Eにおいて;ピースは、厚さ0.5mmのゴリラ(登録商標)ガラスである。このガラスは、可撓性があり、組立ての際かつ積層後の休止の際に湾曲させられる。アルミノケイ酸塩ガラスは、ここでは、多孔性シリカ層の形成の際に400℃超でアニーリングされる。
【0238】
赤外線領域における透過率を、905nmにおいて、入射角0°かつ入射角60°で測定し、赤外線領域における反射率を、入射角8°かつ入射角60°で測定した。905nmに最適化されたグレージングD及びEに関する結果を、表3及び表4内に示す。
【0239】
【表3】
【0240】
【表4】
【0241】
図5は、本発明の第三実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド300の概略断面図を示す。
【0242】
第二実施形態との相違点のみを、以下で説明する。
【0243】
積層中間層3は、例えば2枚のPVB膜33、34でできており、貫通穴4に合っている、部分的な中間層穴(例えば面F3側の上にある、膜34上の、完全な穴)を有する。
【0244】
中間層穴は、好ましくは、貫通穴4と同じ大きさであってよく、又は貫通穴4よりも広くてよく、さらには、随意に、積層中間層3の厚さ内で、中間層壁面301、302によって区画される、閉じている部分的な中間層穴である。
【0245】
ここでの中間層穴は、貫通穴4と同じ台形形状を有し、2つの大きな側面301、302及び2つの小さな側面を有する。中間層穴は、好ましくは、貫通穴4と同じ大きさであってよく、又は貫通穴4よりも広くてよく、例えば、中間層穴を区画する壁面301、302は、貫通穴を区画するガラスの壁面401、402から最大10mm又は5mm後退している。変形例として、これは、長方形、又は貫通穴の表面を包含する任意の他の形状(台形又は他の形状)である。
【0246】
さらには(面F2内のカモフラージュコーティングの代わりに)、随意に、カモフラージュ選択フィルター110’を形成するポリマーフィルム(着色)が、例えば感圧接着剤81によって、ピース9の接続表面91に付着している。
【0247】
図6は、本発明の第四実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド400を、断面図で概略的に示す。
【0248】
第三実施形態との相違点のみを、以下で説明する。
【0249】
積層中間層は、随意に、2枚のPVB膜33、34でできており、閉じている貫通穴に合っており、壁面301、302によって区画される、中間層貫通穴を有する。
【0250】
中間層貫通穴は、好ましくは、穴4と同じ大きさであってよく、又は穴4よりも広くてよい。
【0251】
ここでの中間層貫通穴は、穴4と同じ台形形状を有し、2つの大きな側面301、302及び2つの小さな側面を有する。
【0252】
中間層穴は、好ましくは、穴4と同じ大きさであってよく、又は穴4よりも広くてよく、例えば、中間層穴を区画する壁面301、302は、ガラスの壁面401、402から最大10mm又は5mm後退している。変形例として、これは、長方形、又は貫通穴の表面を包含する任意の他の形状(台形又は他の形状)である。
【0253】
変形例として、例には示されていないが、接続フィルムは、接着剤と置き換えられる。
【0254】
カモフラージュコーティング110は、図3で既に説明したように、面F2内に存在する。
【0255】
図7は、本発明の第五実施形態に係る、LIDARなどの赤外線ビジョンシステムを有する、本発明によるウィンドシールド500の概略断面図を示す。
【0256】
第一実施形態との相違点のみを、以下で説明する。
【0257】
第二ガラス板2は、穴を有さない。それは、超クリアガラスでできている。
【0258】
カモフラージュコーティング110が、図3で既に説明したように、面F2内に存在する。代替的には、PVB内に埋め込まれた着色ポリマーフィルムが、選択される。
【0259】
反射防止コーティング101は、赤外線透過ゾーン4’を画定するマスキング層5の間隙(高所の端部501及び低所の端部502)と反対側にある、面F4 14上にある。
【0260】
覆い8は、面F4に据え付けられたプレート8’に対して接着剤6によって取り付けられており、上記赤外線をゾーン4’内に通過させることを可能にする穴を有する。
【0261】
この積層されたグレージングであって、厚さ1.95mmのOptiwhiteと呼ばれる2枚のガラス及び0.76mmのPVBを有し、ここでは、面F4上に多孔性シリカである本発明による反射防止コーティングを有する、この積層されたグレージングに関して、赤外線領域における透過率を、905nmかつ1550nm、入射角0°かつ入射角60°で測定し、赤外線領域における反射率を、入射角8°かつ入射角60°で測定した。
【0262】
可視領域において最適化されたグレージングA及び905nmに対して最適化されたグレージングBに関する結果を、表5及び表6内に示す(下線値)。
【0263】
【表5】
【0264】
【表6】
【0265】
提示された実施形態を参照すると、ありうる変形例は、下記の通りであり(網羅的ではない)、随意に累積される:
- 反射防止コーティングは、化学的保護下地層、特には密度の高いシリカ層、特にはゾル-ゲル法によるものを有しており、その上にゾル-ゲル法多孔性シリカの機能層を有する。
- 面F2は、(機能コーティングとして)熱遮断機能層、特には加熱する熱遮断機能層(銀又はTCO)を有し、これは、随意に、面F2内のエナメルの下又は上に部分的に存在し、赤外線透過窓に合っている(必要な場合、第二板の貫通穴に合っている)間隙を有する。
- 面F3は、熱遮断機能層、特には加熱作用のあるもの(銀又はTCO)を有し、これは、赤外線透過窓に合っている間隙を有する。
- 積層されたグレージングは、PVB上かつ面F3の下、又は2枚の中間層(PVB)の膜間に、サブミリメートルのポリマーフィルム(例えばPET)(さらには最大300μm、又は200μm、又は150μm、又は100μmである)を有し、これは、熱遮断機能層、特には加熱作用のあるものを用いてコーティングされ、赤外線透過窓に合っている(必要な場合、第二板の貫通穴に合っている)間隙を有する。
- グレージングは、導電層を有し、これは、透明であり、加熱作用があり、上記第一動作波長LB1及び/又は上記第二動作波長LB2において透明であり、特には透明伝導性酸化物でできており、赤外線透過ゾーン内に位置しているか(例えば、層110の代わりに面F2上にあるか、若しくは貫通穴内のピース9上の反射防止コーティングとは反対側の面上にもある)、又はサブミリメートルのPETなどのポリマーフィルム上に位置する(必要な場合、さらには、最大150μm若しくは100μmであり、特には第二ガラス板の貫通穴の下にある)。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】